JP2019210969A - 車両の油量推定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が基準油量から減少したことを推定することができる車両の油量推定装置を提供する。【解決手段】第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が第1所定値θc1よりも大きい場合に、オイルパン54に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部90と、を備える。コイルエンド44bは、第1電動機MG1の発熱部位であるので、コイルエンド44bの第1温度T1は、オイルの油量が前記基準油量から減少して、例えば第1電動機MG1を冷却するオイルがなくなると、駆動力伝達装置12内でギヤ機構等から受ける熱によりコイルエンド44bの第1温度T1が上昇する温度に比べてより高く上昇する。これにより、従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が前記基準油量から減少したことを推定することができる。【選択図】図8
Description
本発明は、オイル貯留部に貯留されているオイルの油量が基準油量から減少したことを推定する車両の油量推定装置において、オイルの温度を検出する温度センサによってオイルの油量が基準油量から減少したと推定する従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が基準油量から減少したことを推定することができる技術に関する。
オイル貯留部に貯留されているオイルの油量が基準油量から減少したことを推定する車両の油量推定装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された車両の油量推定装置がそれである。特許文献1の油量推定装置は、オイルパンに貯留されたオイルの第1温度を検出する第1温度センサと、オイルポンプから吐出されたオイルの第2温度を検出する第2温度センサとを備え、前記第1温度と前記第2温度との油温差が所定値以上になったときに、オイルの油量が基準油量から減少したと推定している。すなわち、特許文献1の油量推定装置は、オイルパンに貯留されたオイルのオイルレベルが低下してストレーナから空気を吸い込んでしまうことによってオイルポンプから吐出される気泡が含まれたオイルと、オイルパンに貯留された前記気泡が含まれていないオイルとに生じる温度差によって、オイルの油量が基準油量から減少したと推定している。
ところで、特許文献1のような油量推定装置を、例えばオイルパンから供給されたオイルが駆動力伝達装置において回転電機を冷却すると共にギヤ機構を潤滑してオイルパンに戻る車両に適用させることが考えられる。すなわち、前記オイルパンに貯留されたオイルの第3温度と、前記オイルポンプから前記駆動力伝達装置内に供給されたオイルの第4温度との温度差から、オイルの油量が基準油量から減少したと推定することができると考えられる。しかしながら、上記のような油量推定装置において、前記オイルポンプから前記駆動力伝達装置内に供給されるオイルの第4温度は、例えば、前記駆動力伝達装置内に設けられた前記ギヤ機構および前記回転電機から受ける熱や、前記駆動力伝達装置を収容するケースの外との熱交換等の様々の要因により変化(上昇)する場合があるので、精度良くオイルの油量が基準油量から減少したと推定することが困難であった。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が基準油量から減少したことを推定することができる車両の油量推定装置を提供することにある。
第1発明の要旨とするところは、(a)オイルが貯留されたオイル貯留部から供給されたオイルが、駆動力伝達装置において回転電機を冷却すると共にギヤ機構を潤滑して、前記オイル貯留部に戻る車両に関して、前記オイル貯留部に貯留しているオイルの油量が予め定められた基準油量から減少したと推定する車両の油量推定装置であって、(b)前記回転電機のコイルエンドの温度を検出する温度センサと、(c)前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって冷却されるときの前記回転電機のコイルエンドの推定温度を推定する温度推定部と、(d)前記温度センサが検出した温度またはその温度から算出される温度勾配と、前記温度推定部で推定した推定温度またはその推定温度から算出される推定温度勾配との乖離量が、予め定められた所定値よりも大きい場合に、前記オイル貯留部に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部と、を備えることにある。
第1発明によれば、(b)前記回転電機のコイルエンドの温度を検出する温度センサと、(c)前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって冷却されるときの前記回転電機のコイルエンドの推定温度を推定する温度推定部と、(d)前記温度センサが検出した温度またはその温度から算出される温度勾配と、前記温度推定部で推定した推定温度またはその推定温度から算出される推定温度勾配との乖離量が、予め定められた所定値よりも大きい場合に、前記オイル貯留部に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部と、を備える。前記コイルエンドは、前記回転電機の発熱部位であるので、前記コイルエンドの温度は、前記オイル貯留部に貯留しているオイルの油量が前記基準油量から減少して、前記回転電機を冷却するオイルが少なくなると、または前記回転電機を冷却するオイルがなくなると、前記駆動力伝達装置内で例えば前記ギヤ機構等から受ける熱により前記コイルエンドの温度が上昇する温度に比べてより高く上昇する。これにより、従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が基準油量から減少したことを推定することができる。
本発明の一実施形態において、前記温度推定部は、前記回転電機の駆動状態から前記回転電機のコイルエンドで発生する発熱量を推定し、その推定された前記発熱量から前記回転電機のコイルエンドの推定温度を推定する。このため、好適に前記回転電機のコイルエンドの推定温度を推定することができる。
また、本発明の一実施形態において、(a)前記回転電機は、第1回転電機と第2回転電機とを備え、(b)前記温度センサは、前記第1回転電機のコイルエンドの第1温度を検出する第1温度センサと、前記第2回転電機のコイルエンドの第2温度を検出する第2温度センサと、を備えており(c)前記温度推定部は、前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって前記第1回転電機が冷却されるときの前記第1回転電機のコイルエンドの第1推定温度と、前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって前記第2回転電機が冷却されるときの前記第2回転電機のコイルエンドの第2推定温度と、を推定し、(d)前記油量推定部は、前記第1温度または前記第1温度から算出される第1温度勾配と前記第1推定温度または前記第1推定温度から算出される第1推定温度勾配との第1乖離量が予め定められた第1所定値より大きく、且つ、前記第2温度または前記第2温度から算出される第2温度勾配と前記第2推定温度または前記第2推定温度から算出される第2推定温度勾配との第2乖離量が予め定められた第2所定値より大きい場合に、前記オイル貯留部に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する。このため、例えば、前記第1温度センサまたは前記第2温度センサの一方の温度センサが故障して、前記第1乖離量または前記第2乖離量の一方が大きくなった場合でも、前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定することが防止される。
以下、本発明の実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明が適用されるハイブリッド車両(車両)10の駆動力伝達装置12の概略構成を説明する図であると共に、駆動力伝達装置12の各部を制御する為に設けられた電子制御装置14を説明する図である。図1に示すように、駆動力伝達装置12は、走行用の駆動力源としてのエンジン16から出力される駆動力を第1電動機(回転電機)MG1および出力歯車18へ分配する動力分配機構(ギヤ機構)20と、出力歯車18に連結された歯車機構(ギヤ機構)22と、出力歯車18に歯車機構22を介して動力伝達可能に連結された第2電動機(回転電機)MG2等と、を備えている。このように構成された駆動力伝達装置12では、ダンパー24および入力軸26を介して入力されるエンジン16の駆動力や第2電動機MG2の駆動力が出力歯車18へ伝達され、その出力歯車18からカウンタギヤ対28、ファイナルギヤ対30、差動歯車装置32、一対の車軸34等を順次介して一対の駆動輪36へ伝達される。なお、動力分配機構20は、第1サンギヤS1と、第1ピニオンギヤP1と、その第1ピニオンギヤP1を自転及び公転可能に支持する第1キャリアCA1と、第1ピニオンギヤP1を介して第1サンギヤS1に噛み合う第1リングギヤR1と、を備えている。また、歯車機構22は、第2サンギヤS2と、第2ピニオンギヤP2と、その第2ピニオンギヤP2を自転及び公転可能に支持する第2キャリアCA2と、第2ピニオンギヤP2を介して第2サンギヤS2に噛み合う第2リングギヤR2と、を備えている。
入力軸26は、その一端がダンパー24およびクランク軸の逆回転を規制するロック装置として機能する一方向クラッチ38を介してエンジン16のクランク軸に連結され、その他端が1つのオイル供給装置として機能する機械式オイルポンプ40に連結されている。このため、機械式オイルポンプ40はエンジン16により直接的に回転駆動され、駆動力伝達装置12内の各部、例えば第1電動機MG1、第2電動機MG2、動力分配機構20、歯車機構22等にオイル(潤滑油)が供給される。
第1電動機MG1および第2電動機MG2は、電気エネルギから機械的な動力を発生させる発動機としての機能及び機械的なエネルギから電気エネルギを発生させる発電機としての機能を有する所謂モータジェネレータであり、インバータ58を介して蓄電装置60との間で電力が授受される。なお、第1電動機MG1および第2電動機MG2は、インバータ58を介して蓄電装置60から出力される電力(特に区別しない場合には電気エネルギも同意)により走行用の駆動トルクを発生する。また、第1電動機MG1および第2電動機MG2は、エンジン16からの出力を回生により電気エネルギに変換または駆動輪36から入力される被駆動力を回生により電気エネルギに変換して、その電気エネルギをインバータ58を介して蓄電装置60に蓄積する。また、第1電動機MG1は、ケース42に固定された円筒状のステータ44と、円筒状のステータ44の内側に所定の間隙を隔てて第1サンギヤS1に動力伝達可能に連結されたロータ46と、を備えている。なお、第1電動機MG1のステータ44は、ロータ46の外周側において第1回転軸線C方向に積層された複数枚の円板状の電磁綱板を備えるステータコア44aと、そのステータコア44aの両端から第1回転軸線C方向に突き出すコイルエンド44bと、を備えている。また、第2電動機MG2は、ケース42に固定された円筒状のステータ48と、円筒状のステータ48の内側に所定の間隙を隔てて第2サンギヤS2に動力伝達可能に連結されたロータ50と、を備えている。なお、第2電動機MG2のステータ48は、ロータ50の外周側において第1回転軸線C方向に積層された複数枚の円板状の電磁綱板を備えるステータコア48aと、そのステータコア48aの両端から第1回転軸線C方向に突き出すコイルエンド48bと、を備えている。
図2は、駆動力伝達装置12内において第1電動機MG1および第2電動機MG2を冷却すると共に動力分配機構20および歯車機構22を潤滑するためのオイルの供給経路を説明する図である。なお、前記オイルの供給経路には、機械式オイルポンプ40とは異なる他のオイル供給装置として機能する電動オイルポンプ52が設けられており、機械式オイルポンプ40が駆動されないエンジン16の停止時に電動オイルポンプ52が電子制御装置14によって駆動させられるようになっている。
図2に示すように、機械式オイルポンプ40は、オイルパン(オイル貯留部)54に貯留されたオイルをストレーナ55を介して吸引し、その吸入したオイルを第1逆止弁V1、第1油路L1、水冷オイルクーラ56、第2油路L2を通して、第1電動機MG1および第2電動機MG2へ供給する。また、電動オイルポンプ52は、オイルパン54に貯留されたオイルをストレーナ55を介して吸引し、その吸入したオイルを第2逆止弁V2、第1油路L1、水冷オイルクーラ56、第2油路L2を通して、第1電動機MG1および第2電動機MG2へ供給する。なお、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から第1電動機MG1に供給されたオイルの一部は、第1電動機MG1のコイルエンド44bに供給されるようになっており、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から第2電動機MG2に供給されたオイルの一部は、第2電動機MG2のコイルエンド48bに供給されるようになっている。また、第1逆止弁V1は、入力軸26内に設けられた第3油路L3へも独立してオイルを出力するようになっており、オイルは第3油路L3を通して第1電動機MG1、動力分配機構20、歯車機構22へ供給されるようになっている。
なお、図示されていないが、機械式オイルポンプ40および電動オイルポンプ52から駆動力伝達装置12内の第1電動機MG1、第2電動機MG2、動力分配機構20、歯車機構22等に供給されたオイルは、第1電動機MG1および第2電動機MG2を冷却すると共に動力分配機構20および歯車機構22を潤滑して、再びオイルパン54に戻るようになっている。また、オイルパン54には、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52が駆動したときに、十分な量のオイルが第1電動機MG1、第2電動機MG2、動力分配機構20、および歯車機構22等に供給されるように、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さ(オイルレベル)Hが予め定められた基準高さより高く、すなわちオイルパン54に貯留されているオイルの油量が予め定められた基準油量より多くなっている。なお、例えば、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが前記基準高さより低くなる、すなわちオイルパン54に貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少すると、空気の吸入等により機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から第1電動機MG1、第2電動機MG2、動力分配機構20、および歯車機構22等に供給されるオイルの量が不充分となる。
図3は、電子制御装置14に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。電子制御装置14は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことによりハイブリッド車両10の各種制御を実行する。図3に示すように、電子制御装置14には、ハイブリッド車両10に設けられた各センサにより検出される各種入力信号が供給されるようになっている。例えば、第1電動機MG1のコイルエンド44bに設けられたサーミスタである第1温度センサ(温度センサ)62により検出される第1電動機MG1のコイルエンド44bの実際の第1温度(温度)T1(℃)を表す信号と、第2電動機MG2のコイルエンド48bに設けられたサーミスタである第2温度センサ(温度センサ)64により検出される第2電動機MG2のコイルエンド48bの実際の第2温度(温度)T2(℃)を表す信号と、エンジン回転速度センサ66により検出されるエンジン16の回転速度Ne(rpm)を表す信号と、油温センサ67により検出される機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から吐出されるオイルの油温Toil(℃)を表す信号等と、が電子制御装置14に入力される。
また、電子制御装置14から、ハイブリッド車両10に設けられた各装置に各種出力信号が供給されるようになっている。例えば、第1電動機MG1および第2電動機MG2をそれぞれ制御する為の電動機制御指令信号Smgと、図示しないメータパネルに設けられたウォーニングランプ68を点灯させるランプ点灯信号Sla等と、が電子制御装置14から各部へ出力される。
図3に示すように、電子制御装置14には、第1電動機駆動開始判定部70と、第1電動機駆動終了判定部72と、第2電動機駆動開始判定部74と、第2電動機駆動終了判定部76と、モード判定部78と、第1温度勾配算出部80と、第2温度勾配算出部82と、第1温度勾配推定部(温度推定部)84と、第2温度勾配推定部(温度推定部)86と、上昇基準温度算出部88と、油量推定部90と、表示制御部92と、が機能的に備えられている。
第1電動機駆動開始判定部70は、第1電動機MG1の駆動または発電が開始されたか否かを判定する。例えば、第1電動機駆動開始判定部70は、電子制御装置14から出力される電動機制御指令信号Smgによって、第1電動機MG1の駆動または発電が開始されたか否かを判定する。なお、第1電動機MG1の駆動または発電が開始すると、第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1温度T1が上昇する。
第1電動機駆動終了判定部72は、第1電動機MG1の駆動または発電が終了すなわち第1電動機MG1が停止したか否かを判定する。例えば、第1電動機駆動終了判定部72は、電子制御装置14から出力される電動機制御指令信号Smgによって、第1電動機MG1の駆動または発電が終了されたか否かを判定する。なお、第1電動機MG1の駆動または発電が終了すると、すなわち第1電動機MG1が停止すると、第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1温度T1が下降する。
第2電動機駆動開始判定部74は、第2電動機MG2の駆動または発電が開始されたか否かを判定する。例えば、第2電動機駆動開始判定部74は、電子制御装置14から出力される電動機制御指令信号Smgによって、第2電動機MG2の駆動または発電が開始されたか否かを判定する。なお、第2電動機MG2の駆動または発電が開始すると、第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2が上昇する。
第2電動機駆動終了判定部76は、第2電動機MG2の駆動または発電が終了すなわち第2電動機MG2が停止したか否かを判定する。例えば、第2電動機駆動終了判定部76は、電子制御装置14から出力される電動機制御指令信号Smgによって、第2電動機MG2の駆動または発電が終了されたか否かを判定する。なお、第2電動機MG2の駆動または発電が終了すると、すなわち第2電動機MG2が停止すると、第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2が下降する。
モード判定部78は、第1電動機MG1が駆動または発電し第2電動機MG2が停止するモード、すなわち第1電動機MG1のみの発熱が強いモードであるか否かを判定する。例えば、モード判定部78は、第1電動機駆動開始判定部70で第1電動機MG1の駆動または発電が開始していると判定され、且つ、第2電動機駆動終了判定部76で第2電動機MG2の駆動または発電が終了していると判定すなわち第2電動機MG2が停止していると判定されると、第1電動機MG2のみの発熱が強いモードであると判定する。なお、上記した第1電動機MG1のみの発熱が強いモードは、例えば、車両停止時においてエンジン16からの出力によって第1電動機MG1が発電して蓄電装置60を充電する充電モード(Pチャージモード)等である。
第1温度勾配算出部80は、第1電動機駆動開始判定部70で第1電動機MG1の駆動または発電が開始していると判定されると、第1温度センサ62からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第1温度T1から第1温度勾配(温度勾配)θ1(度)を算出する。例えば、第1温度勾配算出部80は、図4および図5に示すように、第1温度センサ62からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第1温度T1a、T1c(℃)と第1温度T1b、T1d(℃)とから、サンプリングタイムtsp(sec)の間で上昇する第1上昇温度T1up(℃)を算出し、サンプリングタイムtspの間で第1温度T1a、T1cから第1温度T1b、T1dに上昇する第1上昇温度T1upの温度勾配θ1すなわち第1温度勾配θ1を算出する。なお、第1温度センサ62からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第1温度T1のデータは、例えば、最新の第1温度T1のデータ例えば図4では第1温度T1b、図5では第1温度T1dと、その最新の第1温度T1のデータの1つ前の第1温度T1のデータ例えば図4では第1温度T1a、図5では第1温度T1cと、が電子制御装置14に記憶され、逐次検出される第1温度T1のデータによって電子制御装置14に記憶された最新の第1温度T1のデータと最新の1つ前の第1温度T1のデータとが逐次更新されるようになっている。また、第1上昇温度T1up(℃)は、図4では第1温度T1bと第1温度T1aとの差(T1b−T1a)であり、図5では第1温度T1dと第1温度T1cとの差(T1d−T1c)である。
また、第1温度勾配算出部80は、第1電動機駆動終了判定部72で第1電動機MG1の駆動または発電が終了していると判定されると、第1温度センサ62からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第1温度T1から第1温度勾配θ1(度)を算出する。例えば、第1温度勾配算出部80は、図6および図7に示すように、第1温度センサ62からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第1温度T1e、T1g(℃)と第1温度T1f、T1h(℃)とから、サンプリングタイムtsp(sec)の間で下降する第1下降温度T1dw(℃)を算出し、サンプリングタイムtspの間で第1温度T1e、T1gから第1温度T1f、T1hに下降する第1下降温度T1dwの温度勾配θ1すなわち第1温度勾配θ1を算出する。なお、図6において、電子制御装置14に記憶されている最新の第1温度T1のデータは第1温度T1fであり、第1温度T1eは最新の1つ前の第1温度T1のデータである。また、図7において、電子制御装置14に記憶されている最新の第1温度T1のデータは第1温度T1hであり、第1温度T1gは最新の1つ前の第1温度T1のデータである。また、第1下降温度T1dw(℃)は、図6では第1温度T1eと第1温度T1fとの差(T1e−T1f)であり、図7では第1温度T1gと第1温度T1hとの差(T1g−T1h)である。
第2温度勾配算出部82は、第2電動機駆動開始判定部74で第2電動機MG2の駆動または発電が開始していると判定されると、第2温度センサ64からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第2温度T2から第2温度勾配(温度勾配)θ2(度)を算出する。例えば、第2温度勾配算出部82は、図4および図5に示すように、第2温度センサ64からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第2温度T2a、T2c(℃)と第2温度T2b、T2d(℃)とから、サンプリングタイムtsp(sec)の間で上昇する第2上昇温度T2up(℃)を算出し、サンプリングタイムtspの間で第2温度T2a、T2cから第2温度T2b、T2dに上昇する第2上昇温度T2upの温度勾配θ2すなわち第2温度勾配θ2を算出する。なお、第2温度センサ64からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第2温度T2のデータは、例えば、最新の第2温度T2のデータ例えば図4では第2温度T2b、図5では第2温度T2dと、その最新の第2温度T2のデータの1つ前の第2温度T2のデータ例えば図4では第2温度T2a、図5では第2温度T2cと、が電子制御装置14に記憶され、逐次検出される第2温度T2のデータによって電子制御装置14に記憶された最新の第2温度T2のデータと最新の1つ前の第2温度T2のデータとが逐次更新されるようになっている。また、第2上昇温度T2up(℃)は、図4では第2温度T2bと第2温度T2aとの差(T2b−T2a)であり、図5では第2温度T2dと第2温度T2cとの差(T2d−T2c)である。
また、第2温度勾配算出部82は、第2電動機駆動終了判定部76で第2電動機MG2の駆動または発電が終了していると判定されると、第2温度センサ64からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第2温度T2から第2温度勾配θ2(度)を算出する。例えば、第2温度勾配算出部82は、図6および図7に示すように、第2温度センサ64からサンプリングタイムtsp(sec)毎に検出される第2温度T2e、T2g(℃)と第2温度T2f、T2h(℃)とから、サンプリングタイムtsp(sec)の間で下降する第2下降温度T2dw(℃)を算出し、サンプリングタイムtspの間で第2温度T2e、T2gから第2温度T2f、T2hに下降する第2下降温度T2dwの温度勾配θ2すなわち第2温度勾配θ2を算出する。なお、図6において、電子制御装置14に記憶されている最新の第2温度T2のデータは第2温度T2fであり、第2温度T2eは最新の1つ前の第2温度T2のデータである。また、図7において、電子制御装置14に記憶されている最新の第2温度T2のデータは第2温度T2hであり、第2温度T2gは最新の1つ前の第2温度T2のデータである。また、第2下降温度T2dw(℃)は、図6では第2温度T2eと第2温度T2fとの差(T2e−T2f)であり、図7では第2温度T2gと第2温度T2hとの差(T2g−T2h)である。
第1温度勾配推定部84は、第1電動機駆動開始判定部70で第1電動機MG1の駆動または発電が開始していると判定され、且つ、第1温度勾配算出部80で第1温度勾配θ1が算出されると、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量を満たす場合において機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルによって第1電動機MG1のコイルエンド44bが冷却されるときの第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度(推定温度)T1bs、T1ds(℃)を推定して、その推定した第1推定温度T1bs、T1ds(℃)から第1推定温度勾配(推定温度勾配)θ1s(度)を算出する。
例えば、第1温度勾配推定部84は、図4および図5に示すように、電子制御装置14に記憶された最新の1つ前のデータの第1温度T1すなわち第1温度T1a、第1温度T1cからサンプリングタイムtsp(sec)の間で第1電動機MG1のコイルエンド44bの温度が上昇する第1上昇推定温度T1ups(℃)を推定し、その第1上昇推定温度T1ups(℃)から第1推定温度T1bs、T1ds(℃)を推定する。第1上昇推定温度T1ups(℃)は、サンプリングタイムtsp(sec)の間で第1電動機MG1のコイルエンド44bで発生する第1発熱量Q1aと、サンプリングタイムtsp(sec)の間でオイルによって第1電動機MG1のコイルエンド44bから放熱される第1放熱量Q1bと、を推定して、第1発熱量Q1aと第1放熱量Q1bとの差(Q1a−Q1b)から第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1比熱C1(J/(kg・K))およびそのコイルエンド44bの質量m1(kg)を用いて算出される。なお、第1発熱量Q1aは、第1電動機MG1の駆動状態、すなわち蓄電装置60から第1電動機MG1に出力される電力または第1電動機MG1で発電された電力から、例えばマップ等を用いて算出されるようになっている。また、第1放熱量Q1bは、例えば、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルの供給量と、油温センサ67から検出されるオイルの油温Toil(℃)等とから、予め設定された式を用いて算出されるようになっている。なお、前記オイルの供給量は、例えばエンジン16の回転速度Neまたは電動オイルポンプ52に出力される電力から例えばマップ等を用いて算出されるようになっている。
また、例えば、第1温度勾配推定部84は、図4および図5に示すように、第1推定温度T1bs、T1ds(℃)を推定すなわち第1上昇推定温度T1ups(℃)を推定すると、サンプリングタイムtspの間で第1温度T1a、T1cから第1推定温度T1bs、T1dsに上昇する第1上昇推定温度T1upsの温度勾配θ1sすなわち第1推定温度勾配θ1sを算出する。
また、第1温度勾配推定部84は、第1電動機駆動終了判定部72で第1電動機MG1の駆動または発電が終了していると判定され、且つ、第1温度勾配算出部80で第1温度勾配θ1が算出されると、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量を満たす場合において機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルによって第1電動機MG1のコイルエンド44bが冷却されるときの第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度T1fs、T1hs(℃)を推定して、その推定した第1推定温度T1fs、T1hs(℃)から第1推定温度勾配θ1s(度)を算出する。
例えば、第1温度勾配推定部84は、図6および図7に示すように、電子制御装置14に記憶された最新の1つ前のデータの第1温度T1すなわち第1温度T1e、第1温度T1gからサンプリングタイムtsp(sec)の間で第1電動機MG1のコイルエンド44bの温度が下降する第1下降推定温度T1dws(℃)を推定し、その第1下降推定温度T1dws(℃)から第1推定温度T1fs、T1hs(℃)を推定する。なお、第1下降推定温度T1dws(℃)は、サンプリングタイムtsp(sec)の間でオイルによって第1電動機MG1のコイルエンド44bから放熱される第1放熱量Q1bから、第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1比熱C1(J/(kg・K))およびそのコイルエンド44bの質量m1(kg)を用いて算出される。
また、例えば、第1温度勾配推定部84は、図6および図7に示すように、第1推定温度T1fs、T1hs(℃)を推定すなわち第1下降推定温度T1dws(℃)を推定すると、サンプリングタイムtspの間で第1温度T1e、T1gから第1推定温度T1fs、T1hsに下降する第1下降推定温度T1dwsの温度勾配θ1sすなわち第1推定温度勾配θ1sを算出する。
第2温度勾配推定部86は、第2電動機駆動開始判定部74で第2電動機MG2の駆動または発電が開始していると判定され、且つ、第2温度勾配算出部82で第2温度勾配θ2が算出されると、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量を満たす場合において機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルによって第2電動機MG2のコイルエンド48bが冷却されるときの第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度(推定温度)T2bs、T2ds(℃)を推定して、その推定した第2推定温度T2bs、T2ds(℃)から第2推定温度勾配(推定温度勾配)θ2s(度)を算出する。
例えば、第2温度勾配推定部86は、図4および図5に示すように、電子制御装置14に記憶された最新の1つ前のデータの第2温度T2すなわち第2温度T2a、第2温度T2cからサンプリングタイムtsp(sec)の間で第2電動機MG2のコイルエンド48bの温度が上昇する第2上昇推定温度T2ups(℃)を推定し、その第2上昇推定温度T2ups(℃)から第2推定温度T2bs、T2ds(℃)を推定する。第2上昇推定温度T2ups(℃)は、サンプリングタイムtsp(sec)の間で第2電動機MG2のコイルエンド48bで発生する第2発熱量Q2aと、サンプリングタイムtsp(sec)の間でオイルによって第2電動機MG2のコイルエンド48bから放熱される第2放熱量Q2bと、を推定して、第2発熱量Q2aと第2放熱量Q2bとの差(Q2a−Q2b)から第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2比熱C2(J/(kg・K))およびそのコイルエンド48bの質量m2(kg)を用いて算出される。なお、第2発熱量Q2aは、第2電動機MG2の駆動状態、すなわち蓄電装置60から第2電動機MG2に出力される電力または第2電動機MG2で発電された電力から、例えばマップ等を用いて算出されるようになっている。また、第2放熱量Q2bは、例えば、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルの供給量と、油温センサ67から検出されるオイルの油温Toil(℃)等とから、予め設定された式を用いて算出されるようになっている。
また、例えば、第2温度勾配推定部86は、図4および図5に示すように、第2推定温度T2bs、T2ds(℃)を推定すなわち第2上昇推定温度T2ups(℃)を推定すると、サンプリングタイムtspの間で第2温度T2a、T2cから第2推定温度T2bs、T2dsに上昇する第2上昇推定温度T2upsの温度勾配θ2sすなわち第2推定温度勾配θ2sを算出する。
また、第2温度勾配推定部86は、第2電動機駆動終了判定部76で第2電動機MG2の駆動または発電が終了していると判定され、且つ、第2温度勾配算出部82で第2温度勾配θ2が算出されると、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量を満たす場合において機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から供給されるオイルによって第2電動機MG2のコイルエンド48bが冷却されるときの第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度T2fs、T2hs(℃)を推定して、その推定した第2推定温度T2fs、T2hs(℃)から第2推定温度勾配θ2s(度)を算出する。
例えば、第2温度勾配推定部86は、図6および図7に示すように、電子制御装置14に記憶された最新の1つ前のデータの第2温度T2すなわち第2温度T2e、第2温度T2gからサンプリングタイムtsp(sec)の間で第2電動機MG2のコイルエンド48bの温度が下降する第2下降推定温度T2dws(℃)を推定し、その第2下降推定温度T2dws(℃)から第2推定温度T2fs、T2hs(℃)を推定する。なお、第2下降推定温度T2dws(℃)は、サンプリングタイムtsp(sec)の間でオイルによって第2電動機MG2のコイルエンド48bから放熱される第2放熱量Q2bから、第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2比熱C2(J/(kg・K))およびそのコイルエンド48bの質量m2(kg)を用いて算出される。
また、例えば、第2温度勾配推定部86は、図6および図7に示すように、第2推定温度T2fs、T2hs(℃)を推定すなわち第2下降推定温度T2dws(℃)を推定すると、サンプリングタイムtspの間で第2温度T2e、T2gから第2推定温度T2fs、T2hsに下降する第2下降推定温度T2dwsの温度勾配θ2sすなわち第2推定温度勾配θ2sを算出する。
上昇基準温度算出部88は、モード判定部78で第1電動機MG1のみの発熱が強いモードであると判定されると、すなわち、第1電動機駆動開始判定部70で第1電動機MG1の駆動または発電が開始していると判定され且つ第2電動機駆動終了判定部76で第2電動機MG2が停止していると判定されると、サンプリングタイムtsp(sec)の間で第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2が上昇する上昇基準温度Tupb(℃)を算出する。なお、上昇基準温度Tupb(℃)は、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量を満たす場合において、第1電動機MG1のコイルエンド44bの発熱により第1電動機MG1と第2電動機MG2とに循環するオイルを介して第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2が上昇する上昇温度である。また、上昇基準温度Tupbは、第1温度センサ62から検出される第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1温度T1の上昇温度から、例えばマップ等により算出されるようになっている。
油量推定部90には、第1異常判定カウント部94と、第2異常判定カウント部96と、が備えられており、第1異常判定カウント部94には、第1異常判定部94aが備えられており、第2異常判定カウント部96には、第2異常判定部96aが備えられている。
第1異常判定部94aは、モード判定部78で第1電動機MG1のみの発熱が強いモードでないと判定され、且つ、第1温度勾配算出部80で第1温度勾配θ1が算出され、且つ、第1温度勾配推定部84で第1推定温度勾配θ1sが算出されると、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生しているか否かを判定する。例えば、第1異常判定部94aは、第1温度勾配算出部80で算出された第1温度勾配θ1と第1温度勾配推定部84で推定された第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量(乖離量)θk1(度)が、予め定められた第1所定値(所定値)θc1(度)より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定する。なお、第1乖離量θk1は、第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sと差(θ1−θ1s)の絶対値である。また、第1所定値θc1は、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から十分な量のオイルが供給されないことによって、第1温度センサ62によって検出される実際の第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1温度T1と第1温度勾配推定部84で推定される第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度T1sとに比較的大きな差が発生する、予め設定された第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの乖離量である。
また、第1異常判定部94aは、モード判定部78で第1電動機MG1のみの発熱が強いモードであると判定され、且つ、第1温度勾配算出部80で第1温度勾配θ1が算出され、且つ、第1温度勾配推定部84で第1推定温度勾配θ1sが算出され、且つ、上昇基準温度算出部88で第2電動機MG2の上昇基準温度Tupb(℃)が算出されると、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生しているか否かを判定する。例えば、第1異常判定部94aは、上昇基準温度算出部88で算出された上昇基準温度Tupbが第2温度センサ64から検出された第2電動機MG2のコイルエンド48bの上昇温度より大きくなり、且つ、第1乖離量θk1(度)が第1所定値θc1(度)より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定する。なお、第1異常判定部94aでは、第1電動機MG1と第2電動機MG2との間のオイルの循環が充分でなく第1電動機MG1と第2電動機MG2との間のオイルよる熱の伝導がオイル内に混在する空気によって阻害されるときに、上昇基準温度算出部88で算出された上昇基準温度Tupbが第2温度センサ64から検出された第2電動機MG2のコイルエンド48bの上昇温度より大きいと判定される。
第2異常判定部96aは、モード判定部78で第1電動機MG1のみの発熱が強いモードでないと判定され、且つ、第2温度勾配算出部82で第2温度勾配θ2が算出され、且つ、第2温度勾配推定部86で第2推定温度勾配θ2sが算出されると、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生しているか否かを判定する。例えば、第2異常判定部96aは、第2温度勾配算出部82で算出された第2温度勾配θ2と第2温度勾配推定部86で推定された第2推定温度勾配θ2sとの第2乖離量(乖離量)θk2(度)が、予め定められた第2所定値(所定値)θc2(度)より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定する。なお、第2乖離量θk2は、第2温度勾配θ2と第2推定温度勾配θ2sと差(θ2−θ2s)の絶対値である。また、第2所定値θc2は、機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から十分な量のオイルが供給されないことによって、第2温度センサ64によって検出される実際の第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2と第2温度勾配推定部86で推定される第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度T2sとに比較的大きな差が発生する、予め設定された第2温度勾配θ2と第2推定温度勾配θ2sとの乖離量である。
第1異常判定カウント部94は、第1異常判定部94aでオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定されると、その異常が発生した異常発生回数が1つ増えたと回数を数える。
第2異常判定カウント部96は、第2異常判定部96aでオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定されると、その異常が発生した異常発生回数が1つ増えたと回数を数える。
油量推定部90は、第1異常判定カウント部94で数えられた上記異常の異常発生回数が予め定められた所定回数N(回)になるか、または、第2異常判定カウント部96で数えられた上記異常の異常発生回数が所定回数N(回)になると、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低く、すなわちオイルパン54に貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少したと判定する。なお、上記所定回数Nは、例えば車両旋回時等にオイルパン54に貯留されたオイルの油面が傾いてストレーナ55からオイルが吸引されず機械式オイルポンプ40または電動オイルポンプ52から十分なオイルが供給されない場合において、油量推定部90においてオイルの油量が前記基準油量から減少したと判定されないように予め実験等により設定された回数である。
表示制御部92は、油量推定部90でオイルパン54に貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少したと判定されると、運転者にオイルパン54の貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少していることを知らせるために、ウォーニングラング68を点灯する。
図8は、電子制御装置14において、例えば第1電動機MG1が駆動して走行している状態においてオイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが前記基準高さより低くなったことを推定する油量推定装置98の作動の一例を説明するフローチャートである。なお、油量推定装置98は、例えば、ハイブリッド車両10に設けられた各センサ例えば第1温度センサ62、第2温度センサ64等と、電子制御装置14等とを備えている。
先ず、第1温度勾配算出部80の機能に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、サンプリングタイムtsp毎にサーミスタである第1温度センサ62により検出される第1温度T1から、サンプリングタイムtspの間で上昇する第1上昇温度T1upの第1温度勾配θ1が算出される。次に、第1温度勾配推定部84の機能に対応するS2において、第1推定温度T1s(℃)が推定すなわち第1上昇推定温度T1ups(℃)が推定されると、サンプリングタイムtspの間で第1推定温度T1sに上昇する第1上昇推定温度T1upsの温度勾配θ1sすなわち第1推定温度勾配θ1sが算出される。
次に、第1異常判定部94aの機能に対応するS3において、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生しているか否か、すなわち第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が予め定められた第1所定値θc1より大きいか否かが判定される。S3の判定が否定される場合には、再度S1が実行されるが、S3の判定が肯定される場合には、第1異常判定カウント部94の機能に対応するS4が実行される。
S4では、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生した異常発生回数が1つ増えたと回数が数えられる。次に、油量推定部90の機能に対応するS5において、上記S4で数えられた上記異常の異常発生回数が予め定められた所定回数N(回)になったか否かが判定される。S5の判定が否定される場合には、再度S1が実行されるが、S5の判定が肯定される場合には、油量推定部90および表示制御部92の機能に対応するS6が実行される。S6では、オイルパン54に貯留されているオイルの油面高さHが基準高さより低く、すなわちオイルパン54に貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少したと判定され、運転者にオイルパン54の貯留されているオイルの油量が前記基準油量から減少していることを知らせるために、ウォーニングラング68が点灯される。
上述のように、本実施例のハイブリッド車両10の油量推定装置98によれば、第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1温度T1を検出する第1温度センサ62と、前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって冷却されるときの第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度T1sを推定する第1温度勾配推定部84と、第1温度センサ62が検出した第1温度T1から算出される第1温度勾配θ1と、第1温度勾配推定部84で推定した第1推定温度T1sから算出される第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が、予め定められた第1所定値θc1よりも大きい場合に、オイルパン54に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部90と、を備える。コイルエンド44bは、第1電動機MG1の発熱部位であるので、コイルエンド44bの第1温度T1は、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量から減少して、第1電動機MG1を冷却するオイルが少なくなると、または第1電動機MG1を冷却するオイルがなくなると、駆動力伝達装置12内で例えば動力分配機構20および歯車機構22などのギヤ機構等から受ける熱によりコイルエンド44bの第1温度T1が上昇する温度に比べてより高く上昇する。これにより、従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が前記基準油量から減少したことを推定することができる。
また、本実施例のハイブリッド車両10の油量推定装置98によれば、第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2温度T2を検出する第2温度センサ64と、前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって冷却されるときの第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度T2sを推定する第2温度勾配推定部86と、第2温度センサ64が検出した第2温度T2から算出される第2温度勾配θ2と、第2温度勾配推定部86で推定した第2推定温度T2sから算出される第2推定温度勾配θ2sとの第2乖離量θk2が、予め定められた第2所定値θc2よりも大きい場合に、オイルパン54に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部90と、を備える。コイルエンド48bは、第2電動機MG2の発熱部位であるので、コイルエンド48bの第2温度T2は、オイルパン54に貯留しているオイルの油量が前記基準油量から減少して、第2電動機MG2を冷却するオイルが少なくなると、または第2電動機MG2を冷却するオイルがなくなると、駆動力伝達装置12内で例えば動力分配機構20および歯車機構22などのギヤ機構等から受ける熱によりコイルエンド48bの第2温度T2が上昇する温度に比べてより高く上昇する。これにより、従来の油量推定装置に比較して精度よくオイルの油量が前記基準油量から減少したことを推定することができる。
また、本実施例のハイブリッド車両10の油量推定装置98によれば、第1温度勾配推定部84は、第1電動機MG1の駆動状態例えば蓄電装置60から第1電動機MG1に出力される電力または第1電動機MG1で発電された電力から第1電動機MG1のコイルエンド44bで発生する第1発熱量Q1aを推定し、その推定された第1発熱量Q1aから第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度T1sを推定する。このため、好適に第1電動機MG1のコイルエンド44bの第1推定温度T1sを推定することができる。
また、本実施例のハイブリッド車両10の油量推定装置98によれば、第2温度勾配推定部86は、第2電動機MG2の駆動状態例えば蓄電装置60から第2電動機MG2に出力される電力または第2電動機MG2で発電された電力から第2電動機MG2のコイルエンド48bで発生する第2発熱量Q2aを推定し、その推定された第2発熱量Q2aから第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度T2sを推定する。このため、好適に第2電動機MG2のコイルエンド48bの第2推定温度T2sを推定することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例の第1異常判定部94aにおいて、第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が、予め定められた第1所定値θc1より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定していた。しかしながら、例えば、第1異常判定部94aにおいて、電子制御装置14に記憶されている最新の第1温度T1のデータである第1温度T1b、T1d、T1f、T1hと、第1温度勾配推定部84で推定された第1推定温度T1bs、T1ds、T1fs、T1hsとの乖離量が、予め定められた所定値よりも大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定しても良い。
また、前述の実施例の第2異常判定部96aにおいて、第2温度勾配θ2と第2推定温度勾配θ2sとの第2乖離量θk2が、予め定められた第2所定値θc2より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定していた。しかしながら、例えば、第2異常判定部96aにおいて、電子制御装置14に記憶されている最新の第2温度T2のデータである第2温度T2b、T2d、T2f、T2hと、第2温度勾配推定部86で推定された第2推定温度T2bs、T2ds、T2fs、T2hsとの乖離量が、予め定められた所定値よりも大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生していると判定しても良い。
また、前述の実施例の油量推定部90では、第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が第1所定値θc1より大きくなるか、または第2温度勾配θ2と第2推定温度勾配θ2sとの第2乖離量θk2が第2所定値θc2より大きくなると、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっている異常が発生した異常発生回数が1つ増えたと回数が数えられたが、例えば、第1温度勾配θ1と第1推定温度勾配θ1sとの第1乖離量θk1が第1所定値θc1より大きく、且つ第2温度勾配θ2と第2推定温度勾配θ2sとの第2乖離量θk2が第2所定値θc2より大きく場合に、前記異常発生回数が1つ増えたと回数が数えられても良い。これによって、例えば、第1温度センサ62または第2温度センサ64の一方の温度センサが故障して、第1乖離量θk1または第2乖離量θk2の一方が大きくなった場合でも、オイルの油面高さHが基準高さより低くなっていると推定することが防止される。
また、前述の実施例において、ハイブリッド車両10は、駆動力伝達装置12に一対の第1電動機MG1および第2電動機MG2が備えられていたが、例えば、電動機が1つしか備えられていないハイブリッド車両でも本発明を適用させることができる。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
10:ハイブリッド車両(車両)
12:駆動力伝達装置
20:動力分配機構(ギヤ機構)
22:歯車機構(ギヤ機構)
44b、48b:コイルエンド
54:オイルパン(オイル貯留部)
62:第1温度センサ(温度センサ)
64:第2温度センサ(温度センサ)
84:第1温度勾配推定部(温度推定部)
86:第2温度勾配推定部(温度推定部)
90:油量推定部
98:油量推定装置
MG1:第1電動機(回転電機)
MG2:第2電動機(回転電機)
T1:第1温度(温度)
T1s:第1推定温度(推定温度)
T2:第2温度(温度)
T2s:第2推定温度(推定温度)
θ1:第1温度勾配(温度勾配)
θ1s:第1推定温度勾配(推定温度勾配)
θ2:第2温度勾配(温度勾配)
θ2s:第2推定温度勾配(推定温度勾配)
θc1:第1所定値(所定値)
θc2:第2所定値(所定値)
θk1:第1乖離量(乖離量)
θk2:第2乖離量(乖離量)
12:駆動力伝達装置
20:動力分配機構(ギヤ機構)
22:歯車機構(ギヤ機構)
44b、48b:コイルエンド
54:オイルパン(オイル貯留部)
62:第1温度センサ(温度センサ)
64:第2温度センサ(温度センサ)
84:第1温度勾配推定部(温度推定部)
86:第2温度勾配推定部(温度推定部)
90:油量推定部
98:油量推定装置
MG1:第1電動機(回転電機)
MG2:第2電動機(回転電機)
T1:第1温度(温度)
T1s:第1推定温度(推定温度)
T2:第2温度(温度)
T2s:第2推定温度(推定温度)
θ1:第1温度勾配(温度勾配)
θ1s:第1推定温度勾配(推定温度勾配)
θ2:第2温度勾配(温度勾配)
θ2s:第2推定温度勾配(推定温度勾配)
θc1:第1所定値(所定値)
θc2:第2所定値(所定値)
θk1:第1乖離量(乖離量)
θk2:第2乖離量(乖離量)
Claims (1)
- オイルが貯留されたオイル貯留部から供給されたオイルが、駆動力伝達装置において回転電機を冷却すると共にギヤ機構を潤滑して、前記オイル貯留部に戻る車両に関して、前記オイル貯留部に貯留しているオイルの油量が予め定められた基準油量から減少したと推定する車両の油量推定装置であって、
前記回転電機のコイルエンドの温度を検出する温度センサと、
前記オイルの油量が前記基準油量を満たす場合に前記オイルによって冷却されるときの前記回転電機のコイルエンドの推定温度を推定する温度推定部と、
前記温度センサが検出した温度またはその温度から算出される温度勾配と、前記温度推定部で推定した推定温度またはその推定温度から算出される推定温度勾配との乖離量が、予め定められた所定値よりも大きい場合に、前記オイル貯留部に貯留している前記オイルの油量が前記基準油量から減少したと推定する油量推定部と、
を備えることを特徴とする車両の油量推定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018105573A JP2019210969A (ja) | 2018-05-31 | 2018-05-31 | 車両の油量推定装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018105573A JP2019210969A (ja) | 2018-05-31 | 2018-05-31 | 車両の油量推定装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019210969A true JP2019210969A (ja) | 2019-12-12 |
Family
ID=68845026
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018105573A Pending JP2019210969A (ja) | 2018-05-31 | 2018-05-31 | 車両の油量推定装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019210969A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7192952B1 (ja) * | 2021-11-29 | 2022-12-20 | 株式会社明電舎 | モータ冷却システム及びモータ冷却監視方法 |
-
2018
- 2018-05-31 JP JP2018105573A patent/JP2019210969A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP7192952B1 (ja) * | 2021-11-29 | 2022-12-20 | 株式会社明電舎 | モータ冷却システム及びモータ冷却監視方法 |
WO2023095401A1 (ja) * | 2021-11-29 | 2023-06-01 | 株式会社明電舎 | モータ冷却システム及びモータ冷却監視方法 |
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