JP2019210526A - 成膜装置及び成膜方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】減圧空間を生じさせるための設備をより小さく構成することができ、かつ、その設備を簡易に且つ迅速に相対移動させて被膜の形成位置を変化させ得る技術を、成膜対象物にダメージを与えにくい方式で実現する。【解決手段】成膜装置1において、位置調整装置8は、空間包囲部の開口部を被対向部の表面と対向させつつ離間させた離間状態で維持しながら、空間包囲部を被対向部に対して相対的に移動させる。減圧装置10は、位置調整装置8が上記離間状態を維持しているときに被対向部と空間包囲部とによって囲まれた空間を400Pa以下の減圧状態にする。そして、このような減圧状態のときに、ノズル30から被成膜体92の表面にエアロゾル60を噴射する。【選択図】図1

Description

本発明は、成膜装置及び成膜方法に関するものである。
特許文献1には、エアロゾルデポジション法によって成膜する方法が開示されている。この成膜方法は、ガス中に微粒子材料が分散してなるエアロゾルを成膜室内に設けられたノズルから成膜対象物に向けて噴射し、エアロゾル内に含まれる微粒子材料を成膜対象物の表面に衝突させるようにして被膜を形成する。
特開2014−181375号公報 特開2004−265992号公報
ところで、エアロゾルデポジション法やコールドスプレー法などのように、微粒子材料を含んだエアロゾルをノズルから噴射して成膜する方法では、被成膜体をチャンバー内に収容し、このチャンバーを減圧状態で維持しながらエアロゾルを噴射する方法が一般的であった。このため、大型のチャンバーや大型の排気系設備を用意しなければならなかった。
これに対し、特許文献1には、局所減圧チャンバーを基板上の膜形成領域を覆うように当接させ、局所的な減圧空間を形成しながらエアロゾルデポジション法によって被成膜体(基板)上に膜を形成する技術が開示されている。この技術を用いると、被成膜体(基板)よりも小さいサイズのチャンバーを用いてエアロゾルデポジション法を実現することができ、チャンバーや排気系設備等を小型化しやすいというメリットがある。しかし、特許文献1の技術のままでは、局所減圧チャンバーの相対位置を迅速かつ容易に変化させることができず、成膜位置を変化させて新たに被膜を形成するのに時間がかかってしまうという問題がある。例えば、特許文献1の技術では、被成膜体(基板)の所定位置に局所減圧チャンバーを接触させながら膜を形成してから別の位置に局所減圧チャンバーを移動させて新たな位置で膜を形成する場合に、「局所減圧チャンバーを基板から離間させることによる大気開放動作」「局所減圧チャンバーを基板に対して相対的に移動させる動作」「局所減圧チャンバーを新たな位置に位置決めする動作」「局所減圧チャンバー内を減圧する動作」を行った後に、ようやく新たな位置で膜を形成することが可能となり、非常に時間がかかってしまうという問題がある。
一方、特許文献2には、被成膜体(基材)の表面に対してパッドを当接させて閉じた空間を構成し、この空間を減圧状態にしながらエアロゾルを導出して成膜体を形成する技術が開示され、更に、被成膜体(基材)に対してパッドを移動する旨も記載されている。しかし、この技術では、被成膜体(基材)とパッドとを当接させたままパッドを相対移動させるため、被成膜体(基材)に傷等のダメージが生じる懸念がある。
本発明は、上述した課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルを噴射して被成膜体の表面に被膜を形成するにあたり、減圧空間を生じさせるための設備をより小さく構成することができ、かつ、その設備を迅速に相対移動させて被膜の形成位置を変化させ得る技術を、被成膜体にダメージを与えにくい方式で実現することを目的とする。
本発明の第1態様の成膜装置は、
ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、
前記エアロゾル発生器によって発生した前記エアロゾルを流入させ、自身の一端側から前記エアロゾルを噴射するノズルと、
を有し、
前記ノズルから被成膜体の表面に向けて前記エアロゾルを噴射することで前記被成膜体の表面に前記成膜材料の被膜を形成する成膜装置であって、
前記ノズルの周囲の空間を囲む周壁部と、前記周壁部の一端側を閉塞する閉塞部と、を備え、前記周壁部の他端が開口部として構成され、自身の内部に前記ノズルが組み付けられる空間包囲部と、
少なくとも一部が前記被成膜体とされた被対向部の表面と前記開口部とを対向させつつ離間させた離間状態を維持しながら、前記空間包囲部を前記被対向部に対して相対的に移動させる位置調整装置と、
前記位置調整装置が前記離間状態を維持しているときに、前記被対向部と前記空間包囲部とによって囲まれた空間を400Pa以下の減圧状態にする減圧装置と、
を有する。
上記第1態様の成膜装置は、エアロゾルを噴射して被成膜体の表面に被膜を形成するにあたり、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部)の内側と外側とに跨るように被成膜体を配置して被膜を形成することが可能となる。よって、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部)をより小さく構成することができる。更に、被成膜体と空間包囲部との離間状態を維持しながら空間包囲部を被成膜体に対して相対的に移動させ得る構成であるため、被膜の形成位置を円滑に且つ迅速に変化させることが可能となり、しかも、相対移動の際に空間包囲部が被成膜体の表面に接触することを防ぐことができるため、相対移動によって被膜形成位置を変化させる際に被成膜体に損傷等が生じにくくなる。その上、被対向部と空間包囲部とによって囲まれた空間を400Pa以下に減圧状態にしているので、エアロゾルデポジション法によって被成膜体に確実に被膜を成膜することができる。
本発明の第1態様の成膜装置において、位置調整装置は、離間状態のときに開口部と被対向部の表面との間隔を被膜の厚さよりも大きくする構成であってもよい。
この成膜装置は、開口部と被対向部の表面との間隔が被膜の厚さよりも大きくなるように離間状態が設定されるため、被成膜体のいずれかの位置に被膜を形成した後、その離間状態を維持したまま、既に形成された被膜が空間包囲部の外側に外れるように空間包囲部を相対的に移動させても、その被膜が移動時に空間包囲部に干渉してしまう事態が生じにくくなる。よって、被成膜体のより広い範囲に対して、より円滑に且つより迅速に被膜を形成しやすくなる。
本発明の第1態様の成膜装置において、空間包囲部は、周壁部から離れた位置で周壁部の周囲を囲むように配置されるとともに離間状態のときに自身の他端部が被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される第2周壁部を備えていてもよい。そして、周壁部と第2周壁部との間には、開口部と他端部とによってガス流出口が構成されたガス流路が設けられていてもよい。更に、成膜装置は、ガス流路内にクリーンガスを流すガス供給装置を有していてもよい。
この成膜装置は、第2周壁部の他端部と被対向部(少なくとも一部が被成膜体とされた部分であり、空間包囲部の開口部と対向する部分)との間から外側に向かってクリーンガスを流しながら、空間包囲部内を減圧状態で維持し、被膜を形成することができる。よって、被膜の形成の際に空間包囲部内を減圧状態で維持しても、空間包囲部の外側の外気が空間包囲部内に流入しにくくなり、外気の流入に起因する異物の混入を効果的に防ぐことができる。
本発明の第1態様の成膜装置は、離間状態のときに、第2周壁部の他端部と被対向部の表面との間隔が周壁部の開口部と被対向部の表面との間隔よりも大きくなる構成であってもよい。
この成膜装置は、第2周壁部の他端部と被対向部(少なくとも一部が被成膜体とされた部分であり、空間包囲部の開口部と対向する部分)の表面との間隔が相対的に大きく構成されているため、ガス流路内を流れたクリーンガスが第2周壁部と被対向部との間から第2周壁部の外側に向かって流れやすくなる。よって、第2周壁部と被対向部との間から外気が流入することを遮断する効果が一層高まり、ひいては、外気の流入に起因する異物混入を防止する効果がより一層高まる。
本発明の第1態様の成膜装置において、空間包囲部は、ノズルから噴射されたエアロゾルが開口部側に向かって流動する領域を周壁部から離れた位置で囲むように周壁部内に配置され、且つ離間状態のときに自身の被対向部側端部が被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される仕切り壁を備えていてもよい。そして、周壁部と仕切り壁との間には気体誘導路が構成されていてもよい。更に、気体誘導路は、開口部と被対向部側端部とによって構成された気体流入口から、気体流入口よりも閉塞部側の位置に形成された気体流出口へと気体を誘導する流路であってもよい。
この成膜装置は、仕切り壁が存在するため、周壁部の端部(開口部)と被対向部との間から周壁部外側の外気が流入したとしても、その外気が気体流入口からそれよりも閉塞部側に存在する気体流出口へと誘導されやすくなる。よって、仕切り壁よりも内側のエアロゾル流動領域に外気が入り込みにくくなり、外気の流入に起因する異物混入を防止する効果が高まる。
本発明の第2態様の成膜方法は、
ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルをノズルから噴射し、被成膜体の表面に前記成膜材料の被膜を形成する成膜方法であって、
位置調整装置により、前記ノズルの周囲の空間を囲む周壁部と前記周壁部の一端側を閉塞する閉塞部とを備えるとともに前記周壁部の他端が開口部として構成され且つ自身の内部に前記ノズルが組み付けられる空間包囲部の前記開口部を、少なくとも一部が前記被成膜体とされた被対向部の表面と対向させつつ離間させた離間状態で維持しながら、前記空間包囲部を前記被対向部に対して相対的に移動させる移動工程と、
前記位置調整装置が前記離間状態を維持しているときに前記被対向部と前記空間包囲部とによって囲まれた空間を、減圧装置によって400Pa以下の減圧状態にする減圧工程と、
前記位置調整装置が前記ノズルからの噴射先に前記被成膜体を配置しつつ前記離間状態を維持し、且つ、前記減圧工程が行われているときに、前記ノズルから前記被成膜体の表面に前記エアロゾルを噴射する噴射工程と、
を有する。
第2態様の成膜方法は、エアロゾルを噴射して被成膜体の表面に被膜を形成するにあたり、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部)の内側と外側とに跨るように被成膜体を配置して被膜を形成することが可能となる。よって、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部)の小型化を図りつつ、被膜の形成を実現し得る。更に、被成膜体と空間包囲部との離間状態を維持しながら空間包囲部を被成膜体に対して相対的に移動させ得る方法であるため、被膜の形成位置を円滑に且つ迅速に変化させることが可能となり、しかも、相対移動の際に空間包囲部が被成膜体の表面に接触することを防ぐことができるため、相対移動によって被膜形成位置を変化させる際に被成膜体に損傷等が生じにくくなる。その上、被対向部と空間包囲部とによって囲まれた空間を400Pa以下に減圧状態にしているので、被成膜体に確実に被膜を成膜することができる。
第2態様の成膜方法では、移動工程及び噴射工程において、位置調整装置が、離間状態のときの開口部と被対向部の表面との間隔を被膜の厚さよりも大きくしてもよい。
この成膜方法では、開口部と被対向部の表面との間隔が被膜の厚さよりも大きくなるように離間状態が設定されるため、被成膜体のいずれかの位置に被膜を形成した後、その離間状態を維持したまま、既に形成された被膜が空間包囲部の外側に外れるように空間包囲部を相対的に移動させても、その被膜が移動時に空間包囲部に干渉してしまう事態が生じにくくなる。よって、被成膜体のより広い範囲に対して、より円滑に且つより迅速に被膜を形成しやすくなる。
第2態様の成膜方法で用いられる空間包囲部は、周壁部から離れた位置で周壁部を囲むように配置されるとともに離間状態のときに自身の他端部が被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される第2周壁部を備えていてもよい。そして、周壁部と第2周壁部との間には、開口部と他端部とによってガス流出口が構成されたガス流路が設けられていてもよい。そして、噴射工程では、ガス供給装置によってガス流路内にクリーンガスを流すようにしてもよい。
この成膜方法では、第2周壁部の他端部と被対向部(少なくとも一部が被成膜体とされた部分であり、空間包囲部の開口部と対向する部分)との間から外側に向かってクリーンガスを流しながら、空間包囲部内を減圧状態で維持し、被膜を形成することができる。よって、被膜の形成の際に空間包囲部内を減圧状態で維持しても、空間包囲部の外側の外気が空間包囲部内に流入しにくくなり、外気の流入に起因する異物の混入を効果的に防ぐことができる。
第2態様の成膜方法では、離間状態のときに、他端部と被対向部の表面との間隔を開口部と被対向部の表面との間隔よりも大きくしてもよい。
この成膜方法では、第2周壁部の他端部と被対向部(少なくとも一部が被成膜体とされた部分であり、空間包囲部の開口部と対向する部分)の表面との間隔が相対的に大きく設定されるため、ガス流路内を流れたクリーンガスが第2周壁部と被対向部との間から第2周壁部の外側に向かって流れやすくなる。よって、第2周壁部と被対向部との間から外気が流入することを遮断する効果が一層高まり、ひいては、外気の流入に起因する異物混入を防止する効果がより一層高まる。
第2態様の成膜方法で用いられる空間包囲部は、ノズルから噴射されたエアロゾルが開口部側に向かって流動する領域を周壁部から離れた位置で囲むように周壁部内に配置され、且つ離間状態のときに自身の被対向部側端部が被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される仕切り壁を備えていてもよい。そして、周壁部と仕切り壁との間には気体誘導路が構成されていてもよい。そして、気体誘導路は、開口部と被対向部側端部とによって構成された気体流入口から、気体流入口よりも閉塞部側の位置に形成された気体流出口へと気体を誘導する流路であってもよい。
この成膜方法では、周壁部の内側に仕切り壁を配置するため、周壁部の端部(開口部)と被対向部との間から周壁部外側の外気が流入したとしても、その外気が気体流入口からそれよりも閉塞部側に存在する気体流出口へと誘導されやすくなる。よって、仕切り壁よりも内側のエアロゾル流動領域に外気が入り込みにくくなり、外気の流入に起因する異物混入を防止する効果が高まる。
第2態様の成膜方法では、被成膜体及び被成膜体とは異なる別部材を隣接させて被対向部を構成し、噴射工程では、位置調整装置が開口部を被成膜体と別部材とに跨るように又は別部材と対向するように配置しつつ離間状態を維持し、且つ、減圧装置が減圧状態を維持しているときに、ノズルから被成膜体の表面にエアロゾルを噴射する。
この成膜方法によれば、被成膜体が周壁部の端部(開口部)の一部又は全部と対向することができない配置であっても、別部材を利用して被対向部を構成し、開口部と対向させることができる。よって、被成膜体が周壁部の端部(開口部)の一部又は全部と対向することができない配置(例えば、被成膜体の端部を被膜形成位置とするような配置)であっても、被成膜体に対して被膜を形成することが可能となる。
本発明によれば、ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルを噴射して被成膜体の表面に被膜を形成するにあたり、減圧空間を生じさせるための設備をより小さく構成することができ、かつ、その設備を簡易に且つ迅速に相対移動させて被膜の形成位置を変化させ得る技術を、被成膜体にダメージを与えにくい方式で実現することができる。
第1実施形態の成膜装置を概略的に例示する概略図である。 図1の成膜装置の一部を拡大して説明する説明図である。 図2のA−A位置の切断面を簡略的に示す断面図である。 第1実施形態の成膜装置を用いた第2態様の成膜方法を説明する説明図である。 第1実施形態の成膜装置を用いた第3態様の成膜方法を説明する説明図である。 第2実施形態の成膜装置を概略的に例示する概略図である。 図6の成膜装置の一部を拡大して説明する説明図である。 図7のB−B位置の切断面を簡略的に示す断面図である。
<第1実施形態>
1−1.成膜装置の概要
まず、図1を参照し、第1実施形態に係る成膜装置1の概要を説明する。
成膜装置1は、エアロゾルデポジション法によってセラミック材料や金属材料の被膜を形成する装置として構成され、ノズル30から被成膜体92の表面に向けてエアロゾル60を噴射することで被成膜体92の表面に成膜材料の被膜70を形成する装置である。成膜装置1は、主として、エアロゾル発生器2、乾燥装置4、空間包囲部110(成膜室構成部)、成膜用ノズル30(以下、ノズル30ともいう)、位置調整装置8、減圧装置10、ガス供給装置20、その他の周辺構成などを備える。
エアロゾル発生器2は、エアロゾルデポジション法で採用される公知のエアロゾル発生器として構成され、キャリアガス中に微粒子状の成膜材料64が分散してなるエアロゾルを発生させ、このエアロゾルを下流側に存在する乾燥装置4に向けて送り出す装置である。エアロゾル発生器2には、ガスボンベ14、マスフローコントローラ16、バルブ18などが配管を介して接続されている。ガスボンベ14には、キャリアガスとなるヘリウム等のガスが高圧状態で充填されており、マスフローコントローラ16は、ガスボンベ14からのガスの放出を制御する。このガスは、成膜材料64を分散させる対象となるキャリアガスとして機能する。なお、ガスボンベ14から放出するガスは、ヘリウムガスに限定されず、例えば、アルゴン、ネオン、窒素の不活性ガスをキャリアガスとして用いることができる。また、成膜材料(微粒子材料)64としてセラミックスを用いる場合、キャリアガスは酸化性のガス、例えば酸素や空気を用いてもよい。
エアロゾル発生器2には、収容器2Aと振動機2Bとが設けられている。収容器2Aは成膜材料64(微粒子材料)を収容する容器である。成膜材料64は、セラミック材料や金属材料などの微粒子である。振動機2Bは、超音波振動や電磁振動、機械的振動などにより収容器2A内に収容された微粒子に対して運動エネルギーを与える装置である。収容器2A内に収容された微粒子は、収容器2A内へのキャリアガスの流入と振動機2Bの振動作用とによって収容器2A内で巻き上げられ、キャリアガス中に分散する。エアロゾル発生器2は、このように発生させたエアロゾル(キャリアガス内に微粒子材料が分散するようにエアロゾル化させたもの)を、管路24Aを介して送り出すように構成される。
乾燥装置4は、エアロゾル発生器2から管路24Aを介して送り出されたエアロゾルを乾燥させ、乾燥後のエアロゾルを管路24Bに送り出す機能を有する。乾燥装置4は、公知の様々な乾燥装置を用いることができ、例えば、管路24Aから流入するエアロゾルが乾燥装置4に設けられた乾燥室内を通過するように構成し、この乾燥室内をヒータ等によって加熱してエアロゾルを乾燥させるような方式を用いてもよい。或いは、このようにエアロゾルが乾燥室内を通過するように構成し、乾燥室内を通るエアロゾルに対してマイクロ波を供給することでエアロゾル内の水分を振動させて乾燥させてもよい。なお、これらの乾燥方式に限定されるわけではなく、流入するエアロゾルを乾燥させて送り出し得る公知の乾燥方式であれば、様々な方式を採用することができる。
図1の成膜装置1では、空間包囲部110と被対向部90とによって成膜室6を構成している。この成膜室6は、エアロゾル発生器2で生成されて乾燥装置4で乾燥したエアロゾル60をノズル30から噴射し、被成膜体92上に被膜70を形成するエリアであり、後述する減圧装置10によって内部を減圧状態にし得るエリアである。成膜室6は、ノズル30を配置する空間が、空間包囲部110及び被対向部90を含んだ複数の壁部によって箱状に囲まれた構成をなしている。成膜室6の詳細については後述する。
ノズル30は、エアロゾル発生器2からの配管(具体的には、乾燥装置4からの管路24B)が一端(後端)に接続され、他端(先端34)が後述する被対向部90と対向するように配置される部品である。このノズル30は、エアロゾル発生器2で発生し、乾燥装置4を介して送り込まれたエアロゾル60を自身の一端(後端)から流入させ、自身の内部を通過させた後に、自身の他端(先端34)ら噴射するように機能する。成膜装置1では、乾燥装置40から送られたエアロゾル60がノズル30内で加速され、このエアロゾル60が先端34から大きな速度で噴射されることにより、エアロゾル60が被成膜体92の表面に対して強く吹き付けられる。
位置調整装置8は、ノズル30と対向させた状態で被成膜体92を保持する保持台8Bと、保持台8Bとともに被成膜体92を移動させ得る移動装置8Aとを備える。移動装置8Aは、例えば保持台8BをX方向(所定の基準方向)、Y方向(X方向と直交する方向)、Z方向(X方向及びY方向と直交する方向)に移動させうるXYZステージとして構成されている。この位置調整装置8は、空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を調整し得る装置である。位置調整装置8は、例えば、後述する成膜方法を実施する際に、成膜室6の一部をなす被対向部90の表面と空間包囲部110の開口部114とを互いに対向させつつ離間させた離間状態を維持するように被対向部90の位置を定めうる。更に、位置調整装置8は、移動装置8Aによって保持台8Bを移動させることで、被対向部90を空間包囲部110に対して相対的に移動させうる。
ガス供給装置20は、クリーンガスを供給する装置である。ガス供給装置20から供給するクリーンガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、空気などを採用し得る。このガス供給装置20は、管路28を介して後述するガス流路140にクリーンガスを供給するように動作する。ガス供給装置20の構成は、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、空気などが高圧状態で充填されたガスボンベと、このガスボンベからのガスの放出を制御するコントローラとを備えた構成とすることができる。この場合、ガス供給装置20は、ガスボンベから管路28へのガスの放出をコントローラによって制御するように動作すればよい。勿論、クリーンガスを供給し得る構成であればその他の構成であってもよい。
減圧装置10は、成膜室6内の圧力(気圧)を成膜室6の外側の気圧よりも小さくするように減圧しうる装置である。減圧装置10は、管路26を介して成膜室6内のガス(キャリアガス)を排気するためのメカニカルブースタ11とロータリポンプ12とが接続されている。減圧装置10は、例えば図1のように位置調整装置8が所定の離間状態(空間包囲部110と被対向部90とを対向させつつ所定の間隙で離間させた状態)を維持しているときに、被対向部90と空間包囲部110とによって囲まれた空間を400Pa以下の減圧状態にし得る構成をなす。
1−2.成膜室の構造
次に、成膜室6について詳述する。
図2のように、成膜装置1は、一端が開放して構成された空間包囲部110と、この空間包囲部110に対向する被対向部90とによって成膜室6を構成する。成膜室6を構成する空間包囲部110と被対向部90との位置関係は、位置調整装置8によって調整されるようになっている。なお、以下の説明では、空間包囲部110と被対向部90とが対向する方向を上下方向とし、上下方向において閉塞部116側を上側、開口部114側を下側として説明する。図1の例では、空間包囲部110において周壁部112が延びる方向が上下方向となっている。なお、上下方向をZ方向とし、上下方向と直交する所定の前後方向をX方向とし、上下方向及び前後方向と直交する左右方向をY方向としたとき、移動装置8Aは、被対向部90を所定姿勢で維持したままX方向、Y方向、Z方向のいずれにも移動し駆動装置となっている。
図2のように、空間包囲部110は、成膜室6の一部を構成する部分であり、下方側が開放した中空状且つ箱状の形態をなす。空間包囲部110は、ノズル30の周囲の空間を囲む周壁部112と、周壁部112の外側において周壁部112を囲むように配置される第2周壁部130と、周壁部112及び第2周壁部130の一端側を閉塞するようにこれら周壁部112及び第2周壁部130に連結される閉塞部116と、を備える。そして、周壁部112の他端が開口部114として構成されている。周壁部112は、円筒状の形態をなしている。第2周壁部130は、周壁部112と同心状の円筒状形態をなし、周壁部112から離れた位置で周壁部112の周囲を囲むように配置される外周部である(図3も参照)。周壁部112の上端は閉塞部116によって塞がれており、更に、周壁部112及び第2周壁部130の両上端間も閉塞部116によって塞がれている。このように構成された空間包囲部110の内部にノズル30が組み付けられている。なお、図2等では、ノズル30を空間包囲部110内で指示するための部材(フレーム等)は省略している。また、図3では、図2のA−A位置での空間包囲部110の断面を概念的に示しており、水平方向のノズル30の位置を二点鎖線にて概念的に示している。
図2のように、空間包囲部110には、周壁部112と第2周壁部130との間にガス流路140が構成されている(図3も参照)。具体的には、周壁部112の外側且つ第2周壁部130の内側にガスが流れ得る環状の空間が構成されており、この環状の空間の上端側が閉塞部116で塞がれている。周壁部112の下端部(開口部114)と第2周壁部130の下端部132(他端部)とによってガス流出口140Aが構成されており、ガス流路140内を流れたクリーンガスはガス流出口140Aから排出されるようになっている。上述のガス供給装置20(図1)からのガス供給経路となる管路28は、閉塞部116を跨ぐ形で一端がガス流路140内に開放しており、ガス供給装置20から供給されるガスは、管路28を通ってガス流路140内(具体的には、ガス流路140内の閉塞部116付近)に供給されるようになっている。このように構成されたガス流路140は、周壁部112の外側において、閉塞部116側から空間包囲部110の下端側にクリーンガスが流れるようになっている。ガス流路140内を流れたクリーンガスは、ガス流出口140Aから排出されるようになっており、図2のような離間状態では、ガス流出口140Aから排出されたクリーンガスが、ガス流出口140Aと被対向部90との間の隙間を通って周壁部112よりも内側及び第2周壁部130よりも外側に流れ込むようになっている。
被対向部90は、上述の空間包囲部110とともに成膜室6を構成する部分であり、成膜工程のときに空間包囲部110と対向して配置される部分である。被対向部90は、少なくとも一部が被成膜体とされていればよく、図2の例では、被対向部90の全体が被成膜体92によって構成され、この被成膜体92は、所定形状の板状形態をなす基板として構成されている。このように構成された被対向部90は、後述する成膜工程のときに位置調整装置によって位置決めされ、周壁部112の開口部114との関係が所定の離間状態となるように配置される。
1−3.成膜方法
1−3−1.第1態様
次に、成膜装置1によって行われる成膜方法の第1態様を説明する。
本明細書では、主に、エアロゾルデポジション法によって被膜を形成する方法を例示するが、ガス中に成膜材料(微粒子材料)が分散してなるエアロゾルをノズルの噴射口から噴射し、成膜材料の被膜を被成膜体(成膜対象物)の表面に形成する成膜方法であればコールドスプレー法などであってもよい。また、以下の説明では成膜材料(微粒子材料)としてセラミック微粒子を例示するが、金属粒子であってもよい。
成膜装置1は、以下の成膜方法を実現する工程(成膜工程)を行うにあたり、位置調整工程、減圧工程、噴射工程などを行い得る。
位置調整工程は、図2のような所定の「離間状態」となるように、位置調整装置8が空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を位置調整する工程であり、このような「離間状態」を維持しながら空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を変化させずに維持する「位置保持工程」と、上述の「離間状態」を維持しながら空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を変化させる工程(移動工程)を含む工程である。
図2で示す「離間状態」は、被対向部90の表面と開口部114とを対向させつつ離間させた状態であり、具体的には、開口部114の周方向のいずれの位置においても被対向部90の表面との間隔が予め定められた一定値以内となるような離間状態となっている。具体的には、板状に構成された被成膜体92の板面(成膜対象面である上面)と周壁部112の下端部(開口部114)との間隔が予め定められた一定間隔(一定距離)D2となるような離間状態となっており、より詳しくは、開口部114の周方向のいずれの位置においても、被成膜体92の板面と周壁部112の下端部(開口部114)との間隔が間隔D2となっている。なお、図2の例では、ノズル30の先端34から被成膜体92の表面までの距離は、ノズル30から噴射されたエアロゾル60によって被成膜体92の表面に被膜70が形成され得る所定距離であり、図2のような「離間状態」において、開口部114の位置は、ノズル30の先端よりも被対向部90に近い位置に配置される。
図2の例では、位置調整装置8により、開口部114と被対向部90の表面(被成膜体92の上側の板面)との間隔D2が、被成膜体92に最終的に形成される被膜70の厚さD1よりも大きくなるように「離間状態」が調整され、後述する噴射工程によって被膜70を形成する場合には、間隔D2よりも厚さが小さくなるように被膜70を形成する。より具体的には、位置調整装置8は、開口部114の周方向のいずれの位置でも被対向部90の表面との間隔が、最終的に形成される被膜70の被膜形成領域での最大厚さよりも大きくなるように、図2で示す「離間状態」を設定する。
図2の例では、空間包囲部110は、周壁部112の下端部(開口部114)の位置が第2周壁部130の下端部132の位置よりも下位置となっており、位置調整装置8は、図2のような「離間状態」とする場合、第2周壁部130の下端部132(他端部)と被対向部90の表面との間隔D3が上述の間隔D2(周壁部112の開口部114と被対向部90の表面との間隔)よりも大きくなるように被対向部90に対する空間包囲部110の相対位置を定める。具体的には、周壁部112の下端部(開口部114)における周方向のいずれの位置でも被対向部90の表面との間隔が上述の間隔D2となり、第2周壁部130の下端部132における周方向のいずれの位置でも被対向部90の表面との間隔が上述の間隔D3となり、間隔D3が間隔D2よりも大きくなるように、被対向部90に対する空間包囲部110の相対位置を定めている。
このように、位置調整工程では、位置調整装置8によって上述の「離間状態」に設定されるようになっており、この位置調整工程では、位置保持工程(上述の「離間状態」を維持しながら空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を変化させずに維持する工程)又は移動工程(上述の「離間状態」を維持しながら空間包囲部110に対する被対向部90の相対位置を変化させる工程)のいずれかが行われる。
成膜装置1は、このような位置調整工程を開始した後、この位置調整工程と並行して減圧工程を行う。減圧工程は、主に減圧装置10よって実現される工程であり、具体的には、図2のように位置調整装置8が上述の「離間状態」を維持しているときに被対向部90と空間包囲部110とによって囲まれた空間100(即ち、成膜室6内の空間)の気圧を成膜室6外の気圧よりも低い状態とする工程である。この減圧工程では、減圧装置10によって成膜室6内の空気を吸引し、被対向部90と空間包囲部110とによって囲まれた空間100を400Pa以下の減圧状態にする。減圧工程のときの空間100の気圧は0Paでも良いが、現実的には、0を除いた400Pa以下の範囲とするとよい。減圧工程では、減圧装置10によって成膜室6から排気する際の単位時間当たりの排気量が、開口部114と被対向部90との間から流入する外気の単位時間当たりの流入量よりも大きくなるように減圧装置10によって成膜室6内を吸引することになる。
成膜装置1は、このように位置調整工程と減圧工程とを並行して行いながら、ノズル30から被成膜体92の表面にエアロゾル60を噴射する噴射工程を行う。この噴射工程は、図2のように位置調整工程が行われている状態(即ち、位置調整装置8がノズル30からの噴射先に被成膜体92を配置しつつ上述の「離間状態」を維持している状態)、且つ、減圧工程が行われている状態(即ち、空間100が400Pa以下とされている状態)で、位置調整工程及び減圧工程と並行して行われる。
噴射工程を行うにあたっては、この噴射工程に先立ち、形成材料となる平均粒径が所定範囲(例えば、10nm〜1μm)の成膜材料64(例えばセラミック微粒子)を予めエアロゾル発生器2(図1)の収容器2Aに充填しておく。噴射工程では、このようにエアロゾル発生器2に成膜材料64が充填された状態で、ガスボンベ14から所定圧力のヘリウムガスをキャリアガスとして収容器2Aに供給し、更に振動機2Bにより加振して、成膜材料64をガス内に分散させるようにエアロゾル化する。更に、エアロゾル発生器2により、生成したエアロゾルを管路24Aに送り出し、この管路24Aを介して乾燥装置4に流入させる。そして、乾燥装置4により、エアロゾル発生器2から送り出されたエアロゾルを乾燥させてエアロゾルに含まれる水分を除去し、このように乾燥させたエアロゾルを管路24Bに送り出し、この管路24Bを介してノズル30に流入させる。そして、このようにノズル30に流入させたエアロゾルをノズル30の先端34に形成された噴射口から被成膜体92に向けて噴射させる。上述の位置調整工程では、ノズル30の先端34に形成された噴射口を被成膜体92(成膜対象物)に対向させるように空間包囲部110及びノズル30の相対位置を定めるため、このような位置調整工程と並行して噴射工程を行えば、ノズル30の噴射口から噴射されるエアロゾル60が被成膜体92の表面に衝突させることができ、その表面上に成膜材料64の被膜70(AD膜)を形成することができる。なお、噴射工程中は、ガス供給装置20によってガス流路140内にクリーンガスを供給し続けることが望ましい。
このような噴射工程は、上述した位置調整工程のうちの位置保持工程中に行ってもよく、移動工程中に行ってもよい。移動工程中に噴射工程を行う場合、位置調整装置8によって上述の離間状態(空間包囲部110の開口部114を被対向部90の表面と対向させつつ離間させた離間状態)で維持しつつ空間包囲部110を被対向部90に対して相対的に移動させながら、上述の噴射工程を行うことになる。このように移動工程と並行して噴射工程を行うようにすれば、被成膜体92の表面に被膜70を形成しながら、この被膜70の形成位置(ノズル30から放出されるエアロゾル60を衝突させる位置)を徐々に変化させることが可能となり、より広い範囲に被膜を形成することが可能となる。なお、移動工程と並行して噴射工程を行う場合、移動工程では、被成膜体92の表面と周壁部112の開口部114との上下方向の距離を上述の間隔D2に維持、又は間隔D2と同程度に維持しながら相対移動を行うことが望ましく、被成膜体92の表面と第2周壁部130の下端部132との上下方向の距離を、上述の間隔D3に維持、又は間隔D3と同程度に維持しながら相対移動を行うことが望ましい。
1−3−2.第2態様
次に、成膜装置1による成膜方法の第2態様について説明する。
第2態様の成膜方法は、第1態様で用いた被対向部90に代えて被対向部90Aを用いた点のみが第1態様と異なり、それ以外は第1態様と同様である。よって、以下では、被対向部90A以外については簡略的に説明する。例えば、成膜装置1の構成は、第1態様で用いた成膜装置1と同一であるため成膜装置1の詳細な説明は省略する。
第2態様の成膜方法では、被成膜体92と、被成膜体92とは異なる別部材94Aとを隣接させて被対向部90Aを構成している。図4の例では、被成膜体92が所定形状の板状形態をなす基板として構成され、別部材94Aは被成膜体92と同程度の厚さを有する板状部材によって構成されている。図4の例では、被成膜体92の一方の端部に隣接した形態で別部材94Aが設けられている。被対向部90Aは、互いに隣接する被成膜体92及び別部材94Aによって全体として板状に構成され、このように構成された被対向部90Aが保持台8Bによって保持されている。
第2態様の成膜方法では、このように構成された被対向部90Aと対向させるように、第1態様と同様の上述の「離間状態」で空間包囲部110を配置する。具体的には、位置調整装置8により、開口部114と被成膜体92の上側の板面との間隔D2が、被成膜体92に最終的に形成される被膜70の厚さD1よりも大きくなるように「離間状態」が調整され、後述する噴射工程によって被膜70を形成する場合には、間隔D2よりも厚さが小さくなるように被膜70を形成する。より具体的には、位置調整装置8は、開口部114の周方向のいずれの位置でも被対向部90Aの表面との間隔が、最終的に形成される被膜70の被膜形成領域での最大厚さよりも大きくなるように、図4で示す「離間状態」を設定する。図4の例でも、位置調整装置8は、第2周壁部130の下端部132(他端部)と被対向部90Aの表面との間隔D3が上述の間隔D2よりも大きくなるように被対向部90Aに対する空間包囲部110の相対位置を定める。
成膜装置1は、このような位置調整工程を開始した後、この位置調整工程と並行して減圧工程を行う。減圧工程については、減圧装置10によって第1態様と同様に行う。そして、成膜装置1は、位置調整工程と減圧工程とを並行して行いながら噴射工程を行う。噴射工程は、第1態様と同様に行うことができ、上述した位置調整工程のうちの位置保持工程中に行ってもよく、移動工程中に行ってもよい。なお、図4の状態では、開口部114が被成膜体92と別部材94Aとに跨るように対向しているが、移動工程によって開口部114が被成膜体92のみに対向するように相対位置が変化してもよく、開口部114が別部材94Aのみに対向するように相対位置が変化してもよい。
1−3−3.第3態様
次に、成膜装置1を用いた成膜方法の変更例である第3態様について説明する。
図5で示す第3態様の成膜方法は、第1態様で用いた被対向部90に代えて被対向部90Bを用いた点のみが第1態様と異なり、それ以外は第1態様と同様である。よって、以下では、被対向部90B以外については簡略的に説明する。例えば、成膜装置1の構成は、第1態様で用いた成膜装置1と同一であるため成膜装置1の詳細な説明は省略する。
第3態様の成膜方法では、被成膜体92と、被成膜体92とは異なる別部材94Bとを隣接させて被対向部90Bを構成している。図5の例では、被成膜体92が所定形状の板状形態をなす基板として構成され、別部材94Bは被成膜体92と同程度の厚さを有する板状部材によって構成されている。図5の例では、平面視したときに被成膜体92の周囲に環状に配置された構成となるように別部材94Bが設けられている。被対向部90Bは、互いに隣接する被成膜体92及び別部材94Bによって全体として板状に構成され、このように構成された被対向部90Bが保持台8Bによって保持されている。
第3態様の成膜方法では、このように構成された被対向部90Bと対向させるように、第1態様と同様の上述の「離間状態」で空間包囲部110を配置する。具体的には、位置調整装置8により、開口部114と被成膜体92の上側の板面との間隔D2が、被成膜体92に最終的に形成される被膜70の厚さD1よりも大きくなるように「離間状態」が調整され、後述する噴射工程によって被膜70を形成する場合には、間隔D2よりも厚さが小さくなるように被膜70を形成する。より具体的には、位置調整装置8は、開口部114の周方向のいずれの位置でも被対向部90Bの表面との間隔が、最終的に形成される被膜70の被膜形成領域での最大厚さよりも大きくなるように、図5で示す「離間状態」を設定する。図5の例でも、位置調整装置8は、第2周壁部130の下端部132(他端部)と被対向部90Bの表面との間隔D3が上述の間隔D2よりも大きくなるように被対向部90Bに対する空間包囲部110の相対位置を定める。
成膜装置1は、このような位置調整工程を開始した後、この位置調整工程と並行して減圧工程を行う。減圧工程については、減圧装置10によって第1態様と同様に行う。そして、成膜装置1は、位置調整工程と減圧工程とを並行して行いながら噴射工程を行う。噴射工程は、第1態様と同様に行うことができ、上述した位置調整工程のうちの位置保持工程中に行ってもよく、移動工程中に行ってもよい。なお、図5の状態では、開口部114が別部材94Bのみに対向しているが、移動工程によって開口部114が被成膜体92と別部材94Bとに跨るように相対位置が変化してもよく、開口部114が被成膜体92のみに対向するように相対位置が変化してもよい。
1−4.効果
上述した成膜装置1は、エアロゾル60を噴射して被成膜体92の表面に被膜70を形成するにあたり、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部110)の内側と外側とに跨るように被成膜体92を配置して被膜70を形成することが可能となる。よって、減圧空間を生じさせるための設備(空間包囲部110)をより小さく構成することができる。更に、被成膜体92と空間包囲部110との離間状態を維持しながら空間包囲部110を被成膜体92に対して相対的に移動させ得る構成であるため、第1〜第3態様のいずれの成膜方法を実施する場合でも、被膜70の形成位置を円滑に且つ迅速に変化させることが可能となり、しかも、移動工程での相対移動の際に空間包囲部110が被成膜体92の表面に接触することを防ぐことができるため、相対移動によって被膜形成位置を変化させる際に被成膜体92に損傷等が生じにくくなる。その上、被対向部90、90A、90Bと空間包囲部110とによって囲まれた空間を400Pa以下に減圧状態にしているので、被成膜体92に確実に被膜70を成膜することができる。
また、第1〜第3態様のいずれの成膜方法を実施する場合でも、位置調整装置8は、開口部114と被対向部90、90A、90Bの表面との間隔D2を被膜70の厚さD1よりも大きくするように離間状態を設定する。このように、間隔D2が被膜70の厚さD1よりも大きくなるように離間状態が設定されるため、被成膜体92のいずれかの位置に被膜70を形成した後、その離間状態を維持したまま、既に形成された被膜70が空間包囲部110の外側に外れるように空間包囲部110を相対的に移動させても、その被膜70が移動時に空間包囲部110に干渉してしまう事態が生じにくくなる。よって、被成膜体92のより広い範囲に対して、より円滑に且つより迅速に被膜70を形成しやすくなる。
また、第1〜第3態様のいずれの成膜方法を実施する場合でも、成膜装置1は、第2周壁部130の下端部(他端部)と被対向部90、90A、90Bとの間から外側に向かってクリーンガスを流しながら、空間包囲部110内を減圧状態で維持し、被膜70を形成することができる。よって、被膜70の形成の際に空間包囲部110内を減圧状態で維持しても、空間包囲部110の外側の外気が空間包囲部110内に流入しにくくなり、外気の流入に起因する異物の混入を効果的に防ぐことができる。
更に、第2周壁部130の下端部(他端部)と被対向部90、90A、90Bの表面との間隔D3が間隔D2よりも相対的に大きく設定されるため、ガス流路140内を流れたクリーンガスが第2周壁部130と被対向部90、90A、90Bとの間から第2周壁部130の外側に向かって流れやすくなる。よって、第2周壁部130と被対向部90、90A、90Bとの間から外気が流入することを遮断する効果が一層高まり、ひいては、外気の流入に起因する異物混入を防止する効果がより一層高まる。
また、第2、第3態様の成膜方法によれば、被成膜体92が周壁部112の端部(開口部114)の一部又は全部と対向することができない配置であっても、別部材を利用して被対向部を構成し、開口部114と対向させることができる。よって、被成膜体92が開口部114の一部又は全部と対向することができない配置(例えば、図4のように被成膜体92の端部を被膜形成位置とするような場合や、図5のように被成膜体92が開口部114よりも小さい場合など)であっても、被成膜体92に対して被膜70を形成することが可能となる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る成膜装置201について説明する。
図6で示す第2実施形態の成膜装置201は、空間包囲部110に代えて空間包囲部210を用いた点、ガス供給装置20及び管路28を省略した点のみが第1実施形態の成膜装置1(図1)と異なり、それ以外は成膜装置1と同様である。よって、以下では、成膜装置1と同様の構成及び機能を有する部分については、成膜装置1と同一の符号を付し詳細な説明は省略する。
図6のように、成膜装置201では、空間包囲部210と、この空間包囲部210に対向する被対向部90とによって成膜室206を構成する。成膜室206は、減圧装置10によって減圧状態にし得る空間であり、エアロゾルを噴射する空間である。なお、図6の例では、被対向部90は、第1実施形態の第1態様で説明した被対向部90(図2等)と同一のものを用いているが、図4のような被対向部90Aを用いてもよく、図5のような被対向部90Bを用いてもよい。
図7のように、空間包囲部210は、成膜室206の一部を構成し、上端側が閉塞され、下方側が開放した中空状(具体的には筒状)且つ箱状の形態をなす。空間包囲部210は、ノズル30の周囲の空間を囲む円筒状の周壁部212と、周壁部212の一端側(上端側)を閉塞するように周壁部212に連結される閉塞部216と、を備える。周壁部212は、空間包囲部210の外周部を構成しており、周壁部212の他端(下端)は、円形状の開口部214として構成されている。空間包囲部210の内部には、第1実施形態の成膜装置1(図1)で用いたものと同様のノズル30が図示しない支持部材(フレーム等)によって所定位置に固定されている。
更に、本実施形態の成膜装置201では、空間包囲部210において周壁部212内に仕切り壁252が設けられている。仕切り壁252は、周壁部212と同心状の円筒形態をなし、ノズル30から噴射されるエアロゾル60が下方側(開口部214の開口領域側)に向かって流動する領域を周壁部212から内側に離れた位置で囲むように配置される(図8も参照)。なお、図8は、図7におけるB−B位置での空間包囲部210の断面を概念的に示しており、水平方向のノズル30の位置を二点鎖線にて概念的に示している。本実施形態の成膜装置201では、図7のような成膜工程において位置調整装置8によって離間状態に設定されたときに、仕切り壁252は、自身の下端部(被対向部90側の端部)が被対向部90の表面に対向しつつ離間した状態で配置され、ノズル30から噴射されるエアロゾル60は、仕切り壁252の内側の領域を通って被成膜体92に照射されるようになっている。
図7のように、空間包囲部210は、仕切り壁252と周壁部212との間に気体誘導路250が構成される。気体誘導路250は仕切り壁252の外周面と周壁部212の内周面の一部との間で気体が流れ得るようになっている(図8も参照)。気体誘導路250の下端部は、仕切り壁252の下端部(被対向部90側の端部)と周壁部212の下端部(開口部214)とによって気体流入口255が構成されている。気体流入口255は、仕切り壁252の下端部と周壁部212の下端部との間の開放した空間から気体が上側に入り込むことができる流入口である。気体誘導路250の上端部は、仕切り壁252の上端部(被対向部90とは反対側の端部)と周壁部212の内壁とに連結される連結部254が設けられ、仕切り壁252は、この連結部254を介して周壁部212と一体的に連結されている。連結部254には、貫通孔として構成された気体流出口256が形成されており、気体誘導路250は、気体流出口256を介して周壁部212内における気体誘導路250内の空間以外の内部空間と連通している。
図7で示す成膜装置201によって成膜工程を行う場合、ガス供給装置20(図1)によるガス供給を省略する点以外は、第1実施形態の成膜装置1(図1)が行う成膜工程と同様の成膜工程を行うことができる。この例でも、位置調整装置8により、上述の第1〜第3対象と同様の方法で位置調整工程を行うことができ、この位置調整工程でも、周壁部212の開口部214と被対向部90の上面(被成膜体92の上側の板面)との間隔D2を、被成膜体92に最終的に形成される被膜70の厚さD1よりも大きくするように「離間状態」を設定することができる。この場合、噴射工程では、上記間隔D2よりも被膜70の厚さD1が小さくなるように被膜70を形成することになる。また、位置調整工程では、図7のように、被対向部90の表面と仕切り壁252の下端部との間隔D4が、被対向部90の表面と開口部214との間隔D2よりも小さくなるように「離間状態」が設定されるため、仕切り壁252よりも内側に外気が入り込むことを、より抑制しやすくなる。
そして、成膜装置201によって成膜工程を行う場合でも、噴射工程は、位置調整工程のうちの位置保持工程中に行ってもよく、移動工程中に行ってもよい。移動工程中に噴射工程を行う場合、位置調整装置8によって上述の離間状態(空間包囲部210の開口部214を被対向部90の表面と対向させつつ離間させた離間状態)で維持しつつ空間包囲部210を被対向部90に対して相対的に移動させながら、上述の噴射工程を行うことになる。このように移動工程と並行して噴射工程を行う場合、移動工程では、被成膜体92の表面と周壁部212の開口部214との上下方向の距離を上述の間隔D2に維持、又は間隔D2と同程度に維持しながら相対移動を行うことが望ましく、被成膜体92の表面と仕切り壁252の下端部との上下方向の距離を、上述の間隔D4に維持、又は間隔D4と同程度に維持しながら相対移動を行うことが望ましい。
第2実施形態の成膜装置201を用いた成膜方法では、図7のように周壁部212の内側に仕切り壁252を配置した状態で噴射工程を行うことができるため、噴射工程の際に周壁部212の外側の外気が周壁部212の下端部(開口部214)と被対向部90との間から流入したとしても、その外気を気体流入口255から気体誘導路250内に入り込ませ、それよりも上側(閉塞部216側)に存在する気体流出口256へと誘導することができる。特に、気体流出口256は、気体流入口255よりも上側(閉塞部116側)の位置に形成され、更に、ノズル30から噴射されたエアロゾル60が被成膜体92に向かう領域よりも周壁部212側の位置に形成されているため、周壁部212の外側から入り込んだ外気が気体誘導路250によって気体流出口256に導かれれば、その外気は、被膜70から遠ざかるように周壁部212の内部空間に案内されることになる。よって、仕切り壁252よりも内側のエアロゾル流動領域(特に被膜70付近)に外気が入り込みにくくなり、外気の流入に起因して被膜70の近くに異物が混入してしまうことを防止する効果が一層高まる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施形態や後述する実施形態の様々な特徴は、矛盾しない組み合わせであればどのように組み合わせてもよい。
上述した実施形態又は上述した実施形態を変更したいずれの例でも、成膜装置1,201が採用する成膜方法は、エアロゾルデポジション法に限定されない。例えば、成膜装置1,201は、コールドスプレー法を実施し得る成膜装置として構成されていてもよい。このようなコールドスプレー法を実施し得る成膜装置においても、いずれかの実施形態と同様の空間包囲部を使用することができ、使用される空間包囲部に合わせた成膜方法を用いることができる。
上述した実施形態では、位置調整装置8によって被対向部を移動させることで空間包囲部を被対向部に対して相対的に移動させる構成であったが、位置調整装置によって空間包囲部を移動させることで空間包囲部を被対向部に対して相対的に移動させる構成であってもよい。
1,201…成膜装置
2…エアロゾル発生器
8…位置調整装置
10…減圧装置
20…ガス供給装置
30…ノズル
60…エアロゾル
64…成膜材料
70…被膜
90,90A,90B…被対向部
92…被成膜体
94A,94B…別部材
110,210…空間包囲部
112,212…周壁部
114,214…開口部
116,216…閉塞部
130…第2周壁部
140…ガス流路
250…気体誘導路
252…仕切り壁
255…気体流入口
256…気体流出口

Claims (12)

  1. ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルを発生させるエアロゾル発生器と、
    前記エアロゾル発生器によって発生した前記エアロゾルを流入させ、自身の一端側から前記エアロゾルを噴射するノズルと、
    を有し、
    前記ノズルから被成膜体の表面に向けて前記エアロゾルを噴射することで前記被成膜体の表面に前記成膜材料の被膜を形成する成膜装置であって、
    前記ノズルの周囲の空間を囲む周壁部と、前記周壁部の一端側を閉塞する閉塞部と、を備え、前記周壁部の他端が開口部として構成され、自身の内部に前記ノズルが組み付けられる空間包囲部と、
    少なくとも一部が前記被成膜体とされた被対向部の表面と前記開口部とを対向させつつ離間させた離間状態を維持しながら、前記空間包囲部を前記被対向部に対して相対的に移動させる位置調整装置と、
    前記位置調整装置が前記離間状態を維持しているときに、前記被対向部と前記空間包囲部とによって囲まれた空間を400Pa以下の減圧状態にする減圧装置と、
    を有する
    成膜装置。
  2. 前記位置調整装置は、前記離間状態のときに前記開口部と前記被対向部の表面との間隔を前記被膜の厚さよりも大きくする
    請求項1に記載の成膜装置。
  3. 前記空間包囲部は、前記周壁部から離れた位置で前記周壁部の周囲を囲むように配置されるとともに前記離間状態のときに自身の他端部が前記被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される第2周壁部を備え、
    前記周壁部と前記第2周壁部との間には、前記開口部と前記他端部とによってガス流出口が構成されたガス流路が設けられ、
    前記ガス流路内にクリーンガスを流すガス供給装置を有する
    請求項1又は請求項2に記載の成膜装置。
  4. 前記離間状態のときに、前記他端部と前記被対向部の表面との間隔が前記開口部と前記被対向部の表面との間隔よりも大きい
    請求項3に記載の成膜装置。
  5. 前記空間包囲部は、前記ノズルから噴射された前記エアロゾルが前記開口部側に向かって流動する領域を前記周壁部から離れた位置で囲むように前記周壁部内に配置され、且つ前記離間状態のときに自身の被対向部側端部が前記被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される仕切り壁を備え、
    前記周壁部と前記仕切り壁との間には気体誘導路が構成され、
    前記気体誘導路は、前記開口部と前記被対向部側端部とによって構成された気体流入口から、前記気体流入口よりも前記閉塞部側の位置に形成された気体流出口へと気体を誘導する流路である
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の成膜装置。
  6. 前記被対向部は、前記被成膜体と前記被成膜体とは異なる別部材とを隣接させた構成をなし、
    前記位置調整装置が前記開口部を前記被成膜体と前記別部材とに跨るように配置しつつ前記離間状態を維持する
    請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の成膜装置。
  7. ガス中に微粒子状の成膜材料が分散してなるエアロゾルをノズルから噴射し、被成膜体の表面に前記成膜材料の被膜を形成する成膜方法であって、
    位置調整装置により、前記ノズルの周囲の空間を囲む周壁部と前記周壁部の一端側を閉塞する閉塞部とを備えるとともに前記周壁部の他端が開口部として構成され且つ自身の内部に前記ノズルが組み付けられる空間包囲部の前記開口部を、少なくとも一部が前記被成膜体とされた被対向部の表面と対向させつつ離間させた離間状態で維持しながら、前記空間包囲部を前記被対向部に対して相対的に移動させる移動工程と、
    前記位置調整装置が前記離間状態を維持しているときに前記被対向部と前記空間包囲部とによって囲まれた空間を、減圧装置によって400Pa以下の減圧状態にする減圧工程と、
    前記位置調整装置が前記ノズルからの噴射先に前記被成膜体を配置しつつ前記離間状態を維持し、且つ、前記減圧工程が行われているときに、前記ノズルから前記被成膜体の表面に前記エアロゾルを噴射する噴射工程と、
    を有する成膜方法。
  8. 前記移動工程及び前記噴射工程において、前記位置調整装置は、前記離間状態のときの前記開口部と前記被対向部の表面との間隔を前記被膜の厚さよりも大きくする
    請求項7に記載の成膜方法。
  9. 前記空間包囲部は、前記周壁部から離れた位置で前記周壁部を囲むように配置されるとともに前記離間状態のときに自身の他端部が前記被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される第2周壁部を備え、
    前記周壁部と前記第2周壁部との間には、前記開口部と前記他端部とによってガス流出口が構成されたガス流路が設けられており、
    前記噴射工程では、ガス供給装置によって前記ガス流路内にクリーンガスを流す
    請求項7又は請求項8に記載の成膜方法。
  10. 前記離間状態のときに、前記他端部と前記被対向部の表面との間隔を前記開口部と前記被対向部の表面との間隔よりも大きくする
    請求項9に記載の成膜方法。
  11. 前記空間包囲部は、前記ノズルから噴射された前記エアロゾルが前記開口部側に向かって流動する領域を前記周壁部から離れた位置で囲むように前記周壁部内に配置され、且つ前記離間状態のときに自身の被対向部側端部が前記被対向部の表面に対向しつつ離間した状態で配置される仕切り壁を備え、
    前記周壁部と前記仕切り壁との間には気体誘導路が構成され、
    前記気体誘導路は、前記開口部と前記被対向部側端部とによって構成された気体流入口から、前記気体流入口よりも前記閉塞部側の位置に形成された気体流出口へと気体を誘導する流路である
    請求項7から請求項10のいずれか一項に記載の成膜方法。
  12. 前記被成膜体と前記被成膜体とは異なる別部材とを隣接させて前記被対向部を構成し、
    前記噴射工程では、前記位置調整装置が前記開口部を前記被成膜体と前記別部材とに跨るように又は前記別部材と対向するように配置しつつ前記離間状態を維持し、且つ、前記減圧装置が前記減圧状態を維持しているときに、前記ノズルから前記被成膜体の表面に前記エアロゾルを噴射する
    請求項7から請求項11のいずれか一項に記載の成膜方法。
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