JP2019206657A - 粘着剤層、粘着シート、及び積層体 - Google Patents

粘着剤層、粘着シート、及び積層体 Download PDF

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佳子 吉良
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Kunifumi Hoshino
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Abstract

【課題】常温の圧着によっても高い接着力が得られ、通気性素材が湿潤した際にも粘着剤層の剥がれを防止し得る粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び通気性素材と粘着剤層とを備える積層体を提供する。【解決手段】本発明は、通気性素材に貼付する粘着剤層であって、ベースポリマーを含有しヤング率が1〜50kPaである粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び通気性素材と該粘着剤層とを備える積層体に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び積層体に関する。
従来、接着剤が種々の分野に使われて使用されており、繊維製品や布帛の加工の手段の一つとしてホットメルト型接着剤が種々の分野に使われている。特に繊維業界において、ホットメルト型接着剤を粉末・エマルジョン・糸・フィルムなど種々の形態で塗布し、アイロンなどによって加圧加熱して接着剤を溶かすことにより、布帛を接着することで、縫製工程の大幅な合理化・省力化・高速化が図られている。
特許文献1には、低融点を有しながらも耐洗濯性が良好なホットメルト型接着剤が記載されている。
特許文献2には、優れた透湿性と剥離強度とを両立し、風合いの優れる積層体を与える接着剤として、特定構造のポリオールとポリイソシアネートとの反応物であるイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを含有する湿気硬化型ウレタンホットメルト樹脂組成物が記載されている。
特開平7−157743号公報 国際公開第2017/104266号
しかしながら、従来の接着剤は、通気性素材に適用した場合、通気性素材は水を透過しやすいため、洗濯等の際に水分が粘着剤層に接触して接着力が低下し、十分な耐洗濯性が得られないという課題がある。さらに、接着には加熱圧着が必要であり、熱により溶融した接着剤成分が通気性素材の表地に染み出す虞がある。加熱圧着は、熱に弱い被着体に適用することはできないという問題もある。また、個別識別できるタグの接着方法として常温接着できる粘着シートが求められている。
そこで、本発明は、通気性素材に貼付する粘着剤層であって、常温の圧着によっても高い接着力が得られ、通気性素材が湿潤した際にも粘着剤層の剥がれを防止し得る粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び積層体を提供することを一つの課題とする。
本発明者らは、通気性素材に接着する粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び積層体を提供することを目的として鋭意検討を重ねた結果、通気性素材に接着する際に常温の圧着によっても高い接着力が得られ、通気性素材が湿潤した際にも粘着剤層の剥がれを防止するには、粘着剤層のヤング率を特定の範囲とすることが重要であることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一態様は、通気性素材に貼付する粘着剤層であって、ベースポリマーを含有しヤング率が1〜50kPaである粘着剤層に関する。
本発明の一態様において、粘着剤層は、さらに湿気硬化性成分を含有することが好ましい。
本発明の一態様において、湿気硬化性成分が、イソシアネート化合物及びアルコキシシリル基含有ポリマーから選択される1種以上であってもよい。
本発明の一態様において、湿気硬化性成分は、脂肪族イソシアネート又は脂環族イソシアネートであってもよい。
本発明の一態様において、ベースポリマーは、ゴム系ポリマー、又はアクリル系ポリマーを含むことが好ましい。
本発明の一態様において、通気性素材のJIS L 1096 8.26フラジール法における通気度が0.001〜500cm/cm・secであることが好ましい。
本発明の一態様において、通気性素材が、織物、編物、レース、フェルト、不織布より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の一態様において、通気性素材が、衣服、タオル、毛布、カーテン、カーペット、マットより選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の一態様は、上記の粘着剤層を備える粘着シートに関する。
本発明の一態様において、上記粘着剤層は基材上に形成されていてもよい。
本発明の一態様は、粘着剤層と、通気性素材とを備える積層体に関する。
本発明によれば、常温の圧着によっても高い接着力が得られ、通気性素材が湿潤した際にも粘着剤層の剥がれを防止し得る粘着剤層、該粘着剤層を備える粘着シート、及び積層体を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る粘着シートの概略断面図の一例である。 図2は、本発明の実施形態に係る粘着シートの概略断面図の一例である。 図3は、本発明の実施形態に係る粘着シートの概略断面図の一例である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明の実施形態に係る粘着剤層は、通気性素材に貼付する粘着剤層であって、ベースポリマーを含有しヤング率が1〜50kPaである。
ここで、本明細書において「粘着シート」という場合には、「粘着テープ」、「粘着ラベル」、「粘着フィルム」等と称されるものが包含され得る。
また、「粘着面」とは、粘着シートにおいて通気性素材に貼り付けられる側の面(貼付面)である。本発明の粘着シートは、片面のみが粘着面であってもよく、両面が粘着面であってもよい。
また、「未反応状態」とは、水による硬化反応を生じていない状態を表す。または、被着体と化学結合可能な官能基が残存している状態を表す。本発明においては、特に粘着剤層の粘着面側の表面付近の湿気硬化性成分が未反応状態であることが好ましい。
本実施形態における粘着剤層は、通気性素材に貼付する粘着剤層である。
本実施形態の粘着剤層または該粘着剤層を備える粘着シート(以下、まとめて粘着シートともいう)は、通気性素材に貼付されると、粘着剤が通気性素材の繊維に絡みあうことで接着力は向上する。
通気性素材とは、通気性を有する素材であれば特に制限は無く、通気性及び透水性を有する素材であってもよい。
また、通気性素材が湿潤するとは、通気性素材が水分又は蒸気を含んだ状態をいう。
本発明の実施形態に係る通気性素材としては、例えば、織物、編み物、レース、フェルト、不織布、紙、通気性の合成樹脂フィルム等が挙げられる。また、通気性素材は、衣服、タオル、毛布、カーテン、カーペット、マットより選択される少なくとも1種であってもよい。
通気性素材が繊維によって構成される場合、その繊維には特に限定はないが、粘着剤組成物(粘着剤層)が後述の湿気硬化性成分を含有する場合は、粘着剤組成物(粘着剤層)中の未反応状態の湿気硬化性成分と化学結合しうるものが好ましい。
通気性素材の繊維としては、木綿、絹、麻、モヘヤ、ウール、カシミアといった天然繊維、アセテート、キュプラ、レーヨンなどの再生繊維、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリフェニレンスルファイドなどの合成繊維などが挙げられる。
本発明の実施形態に係る通気性素材は、JIS L 1096 8.26フラジール法により測定した通気度が0.001〜500cm/cm・secであることが好ましい。
本実施形態に係る通気性素材のフラジール法により測定した通気度は、より好ましくは500cm/(cm・sec)以下であり、更に好ましくは480cm/(cm・sec)以下であり、特に好ましくは450cm/(cm・sec)以下である。
フラジール法により測定した通気度は、JIS L1096に規定されている通気性測定法のB法(ガーレー試験法)により測定されるガーレー数により表示した通気度をG[秒/100ml]と表示したときに、以下の関係式を用いてGを換算することによって算出できることが知られており、このようにして求めた値に対しても良好な接着力を示す。
F=1.57/G
<フラジール式通気量の測定方法>
フラジール式通気量は、例えば装置として、株式会社東洋精機製作所製、フラジール形通気性試験機FP2を用い、JIS L 1096 8.26に準じて測定することができる。
本実施形態の粘着剤層は、ヤング率が1〜50kPa以上である。ヤング率は、5kPa以上であることがより好ましく、10kPa以上であることがさらに好ましい。該ヤング率が1kPa以上であれば、凹凸面を有する通気性素材に対しても良好な追従性を発揮し、通気性素材に貼付されると、粘着剤が通気性素材の繊維に絡みあうことで接着力が向上する。該ヤング率が1kPa以下の場合、作製した粘着シートが洗濯後の乾燥時やアイロンがけの際に、粘着剤層が溶融してシート形状を保てないおそれや、通気性素材を貫通して裏抜けする不具合が生じるおそれがある。また、水中での使用においても良好な接着力を示し、優れた耐水性を発揮しやすくするには、ヤング率は50kPa以下であることが好ましく、40kPa以下であることがより好ましい。
ここで、粘着剤層のヤング率は、該粘着剤層を断面積が3mm、長さが20mmのひも状に形成した試料を作製し、25℃にて引張試験機(株式会社島津製作所製のAG−IS)を用いて50mm/minの速度、初めの標点距離10mmで引張ったときに測定される応力−ひずみ曲線から算出することができる。
また、本実施形態において、粘着剤層の吸水性が低いと、水分が粘着剤層中に蓄積されにくくなる結果、ヤング率を特定の範囲としやすくなる。また粘着剤層が湿気硬化性成分を含有する場合、湿気硬化性成分の保存安定性が向上し、また、粘着剤層の膨潤を抑制できるため好ましい。粘着剤層の吸水性が低いと、周囲の液体(水分や湿気)が粘着剤層中に蓄積し難くなる。そのため、粘着剤層や粘着シートの保存時、あるいは通気性素材に貼付する前等の段階で、湿気硬化性成分が周囲の水分や湿気と反応して湿気硬化するのを抑制できる。その結果、粘着剤層や粘着シートの通気性素材への貼付が困難になるのを防ぎ、貼付後に十分な接着力が発揮しやすくなる。
そこで、本実施形態における粘着剤層は、吸水率が10%以下であることが好ましい。上記吸水率が10%以下であれば、水分や湿気との接触による粘着剤層の膨潤を抑制できる。上記吸水率は、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。なお、当該吸水率は低い方が好ましく、その下限値も特に限定されないが、例えば、0.5%である。
吸水率は、例えば、厚み1mmの粘着剤層にアルミ箔50μmで裏打ちし、2cm角に切り出して作製した試料を25℃の純水に24時間浸し、浸漬前後の試料の質量を測定し、下記の式により算出できる。
吸水率(%)=〔(浸漬後質量−浸漬前質量)/浸漬前質量〕×100
そこで、本実施形態の粘着剤層においては、25℃の純水中で24時間保管後の吸水率(以下、単に含水率ともいう)を10質量%以下とすることが好ましい。粘着剤層の上記含水率が10質量%以下であれば吸水性が低くなり、粘着剤層の保存時、粘着剤層からの粘着シートの作製時、粘着シートの保存時、あるいは粘着シートを通気性素材に貼付する際等の段階で、周囲の液体(水分、湿気)が粘着剤層中に蓄積(吸液)することを十分に防止ないし抑制できる。さらに、粘着シートを通気性素材に貼付した後に水中で使用し通気性素材が湿潤した場合であっても、粘着剤層が吸水することを防止ないし抑制できる。これにより、粘着剤層の膨潤を防止ないし抑制できる。その結果、かかる粘着シートは通気性素材に対してより良好に貼付でき、また良好な接着力を発現し、耐水性がより得られやすくなる。上記含水率は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下である。なお、上記含水率は低い方が好ましく、その下限値は特に限定されないが、例えば、0.5質量%である。
本実施形態における粘着剤層を形成する粘着剤組成物が含有するベースポリマーとしては特に限定されず、粘着剤に用いられる公知のポリマーを用いることが可能である。例えば、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ビニルアルキルエーテル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ウレタン系ポリマー、フッ素系ポリマー、エポキシ系ポリマーなどが挙げられる。上記例示したポリマーの中でも、接着性の観点からは、アクリル系ポリマー及びゴム系ポリマーが好ましく、疎水性の観点からは、ゴム系ポリマーがより好ましい。
疎水性のポリマーを含有することにより粘着剤層が疎水性となり、通気性素材が洗濯等により湿潤した場合であっても水分を弾き、粘着剤層の表面から水を排除する効果がある。それにより粘着剤層中に水分を取り込みにくくなるため接着力の低下を防止することができる。
本実施形態において、ゴム系ポリマーとしては、例えば、ポリイソブチレン(PIB)、イソブチレンとノルマルブチレンとの共重合体、イソブチレンとイソプレンとの共重合体(例えば、レギュラーブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチルゴム、部分架橋ブチルゴム等のブチルゴム類)、これらの加硫物等のイソブチレン系ポリマー;スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、イソプレンゴム(IR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS、SISの水添物)、スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体(SEP、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水添物)、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等のスチレン系ブロックコポリマー等のスチレン系熱可塑性エラストマー;ブチルゴム(IIR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、EPR(二元系エチレン−プロピレンゴム)、EPT(三元系エチレン−プロピレンゴム)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコンゴム等が挙げられる。中でも含水率が低いことから、PIB、IIR、IR、SIS、SIBSが好ましく、PIBがより好ましい。なお、これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ゴム改質剤は優れた粘着性を粘着剤組成物に付与するために配合されていてもよく、例えば、パラフィン類、ワックス類、ナフテン類、アロマ類、アスファルト類、乾性油類(例えば、アマニ油など)、動植物油類、石油系オイル類(例えば、プロセスオイルなど)、ポリブテン、低分子量ポリエチレングリコール、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ステアリン酸またはそのエステル類、アルキルスルホン酸エステル類などが挙げられる。これらのゴム改質剤は、単独使用または2種以上併用することができる。好ましくは、石油系オイル類、ポリブテンが挙げられる。
また、本実施形態において、アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸エステルを主たる単量体成分とするポリマーであり、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル)を主たる単量体成分として含有するものを好適に用いることができる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数1〜20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。中でも好ましくは炭素数1〜14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、さらに好ましくは炭素数2〜10のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。なお、上記「(メタ)アクリル酸エステル」とは、「アクリル酸エステル」及び/又は「メタクリル酸エステル」を表し、他も同様である。
また、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外の(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルは、単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、極性官能基を有さないモノマーであれば、アクリル系モノマー以外のモノマーを(メタ)アクリル酸エステルと共重合させてもよい。
本実施形態において、アクリル系ポリマーを構成する単量体成分のうち、80質量%以上が(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることが好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%である。
また、本実施形態の粘着剤層を形成する粘着剤組成物において、ベースポリマーは、後述の湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないポリマーを含むことが好ましい。そのようなポリマーとしては、例えば、官能基を有さないポリマー(無官能ポリマー)が挙げられる。あるいは、湿気硬化性成分と反応しない官能基を有するポリマーであってもよい。
ベースポリマーに湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないポリマーを用いることで、粘着シートを通気性素材に貼付する前の各段階における、ベースポリマーと湿気硬化性成分との反応を防止して、保存安定性に優れた粘着剤層または粘着シートとすることができる。その結果、かかる粘着シートは通気性素材に常温でも良好に貼付でき、また優れた接着力を発現できる。
ここで、湿気硬化性成分と反応する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、シアノ基、スルホン酸基、リン酸基、イミド基、イソシアネート基、アルコキシ基、シラノール基等の極性官能基が挙げられる。
本実施形態において、湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないアクリル系ポリマーとするには、モノマー成分として、極性基含有単量体や多官能性単量体などの湿気硬化性成分と反応しうる官能基を有する単量体を用いないことが好ましい。
そのような極性基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルなどの水酸基含有単量体;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有単量体;アクリロニトリルやメタアクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。
また、上記多官能性単量体としては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
また、ベースポリマーには、本発明の効果が著しく阻害されない範囲において、上述した湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないポリマー以外の改質剤などのポリマー(以下、他のポリマーともいう)が含有されていてもよい。その場合、ベースポリマー全体(100質量%)に対する他のポリマーの含有割合は、75質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
また、ベースポリマー全体(100質量%)に対する、湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないポリマーの含有量は、100質量%であってもよいが、他のポリマーを含有させる場合には、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。また、湿気硬化性成分と反応する官能基を有さないポリマーの含有量は、上述した効果を良好に発揮するためには、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。
なお、本実施形態におけるベースポリマーは、湿気硬化性成分の保存安定性の観点から、湿気硬化性成分と反応可能な官能基を有さないポリマーを含むことが好ましく、湿気硬化性成分と反応可能な官能基を有するポリマーを含有しないことがより好ましい。ここで、湿気硬化性成分と反応する官能基としては、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、シアノ基、スルホン酸基、リン酸基、イミド基、イソシアネート基、アルコキシ基、シラノール基等の極性官能基が挙げられる。
また、本実施形態におけるベースポリマーは、水との反応により湿気硬化性成分と反応可能な官能基となる官能基を有するポリマーを含有していることが好ましく、この場合、上記官能基を有するポリマーが、通気性素材に湿潤した水分等との反応によって、湿気硬化性成分と反応可能な官能基を有するポリマーとなる。そして、湿気硬化性成分自体の硬化に加えて、この湿気硬化性成分と反応可能な官能基を有するポリマーと湿気硬化性成分との架橋反応も進行することで、粘着剤層の凝集力がさらに向上し、接着性がより向上する。
また、ベースポリマーに含有される、水との反応により湿気硬化性成分と反応可能な官能基となる官能基を有するポリマーは、水との反応前には湿気硬化性成分との間で反応しないため、粘着シートを貼付するまでの湿気硬化性成分の保存安定性が確保される。ここで、湿気硬化性成分の保存安定性を確保するとの観点からは、湿気硬化性成分と反応しない無極性ポリマーを用いることも考えられるが、無極性ポリマーは湿気硬化性成分と反応しないことから、粘着剤層全体としての強度が低くなる。
水との反応により湿気硬化性成分と反応可能な官能基となる官能基を有するポリマーとしては、例えば、無水マレイン酸、ヒドロキシル基、アミン基等で変性されたポリマー等が挙げられ、中でも、湿気硬化剤の保存安定性の観点からは、無水マレイン酸で変性されたポリマー(無水マレイン酸変性ポリマー)が好ましい。例えば、無水マレイン酸で変性されたポリマーの無水マレイン酸基は、水との反応により開環してカルボキシル基となる。そのカルボキシル基を有するポリマーと湿気硬化性成分とは架橋反応しうる。
粘着剤組成物が重合開始剤を含む場合、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いた熱や活性エネルギー線による硬化反応を利用することができる。上記重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
上記光重合開始剤としては、特に限定されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
具体的には、ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。
また、ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
光重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、例えば、ベースポリマーを形成するための全モノマー成分(またはベースポリマー)100質量%に対して0.01〜5質量%(好ましくは0.05〜3質量%)の範囲から選択することができる。
光重合開始剤の活性化に際しては、活性エネルギー線を照射する。このような活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギーや、その照射時間などは特に限定されず、光重合開始剤を活性させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
上記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
上記熱重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、ベースポリマーを形成するための全モノマー成分(又はベースポリマー)100質量%に対して、0.001質量%以上が好ましく、より好ましくは0.05質量%以上であり、5質量%以下が好ましく、より好ましくは3質量%以下である。
本実施形態に係る粘着剤組成物中におけるベースポリマーの含有量は特に限定されるものではないが、接着力の観点からは、粘着剤組成物の溶媒を除く成分全体に対して、すなわち粘着剤組成物の溶媒を除く成分全量を100質量%として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。また、ベースポリマーの含有量は、湿気硬化性成分等を含有させる観点からは、粘着剤組成物の溶媒を除く成分全体に対して90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。なお、粘着剤層中におけるベースポリマーの含有量の好ましい範囲は、粘着剤組成物中の溶媒を除いた成分全量(不揮発分全量)に対するベースポリマーの含有量の好ましい範囲と実質的に同じである。
本実施形態において、湿気硬化性成分とは、水(水分や湿気)の存在により硬化反応を生じる性質(湿気硬化性)を有する成分である。例えば、分子内に一つ以上の加水分解性反応基あるいは水により反応を開始する官能基を有し、空気中などの周囲の水(水分や湿気)によって硬化を開始する樹脂や化合物が包含される。
本実施形態の粘着剤層は、湿気硬化性成分をさらに含有することが好ましい。湿気硬化性成分を含有することにより、繰り返される洗濯に対してもより優れた接着性を発揮する。そして、湿気硬化性成分は未反応状態で粘着剤層に含有されていることが好ましい。粘着剤組成物(粘着剤層)中に未反応状態で含有されている湿気硬化性成分が、通気性素材を通じて吸収された水分や、周囲の水分や湿気といった水と反応して繊維に絡み合ったまま湿気硬化することにより接着力が向上するためである。その結果、通気性素材に貼付した際に、接着力が経時的に上昇し、より高い接着力を発現することができる。なお、湿気硬化性成分が通気性素材と化学結合可能なものである場合、粘着剤層中に未反応状態で含有されている通気性素材と化学結合可能な湿気硬化性成分と、通気性素材の表面との間の化学結合が進行することにより、通気性素材の表面に対する接着力がさらに向上するため好ましい。
本実施形態の粘着剤層を備える粘着シートが通気性素材に貼付されると、未反応状態の湿気硬化性成分自体が、通気性素材に湿潤した水分や、周囲の水分や湿気といった水により硬化することで接着性がより向上する。また、湿気硬化性成分は、貼付される通気性素材と化学結合可能な成分であることが好ましい。そのような場合、未反応状態の湿気硬化性成分と通気性素材との間で化学結合が進行することで、接着性がより向上する。
本実施形態に用いられる湿気硬化性成分は、イソシアネート化合物、アルコキシシリル基含有ポリマー、シアノアクリレート系化合物、ウレタン系化合物等が挙げられる。なかでも、相溶性や硬化速度の点において、イソシアネート化合物及びアルコキシシリル基含有ポリマーが好ましい。なお、湿気硬化性成分は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート化合物(イソシアネート)は、水の存在下で加水分解されてアミンとなり、イソシアネートとアミンが反応してウレア結合を形成することにより硬化する。また、通気性素材表面の水酸基や、アミノ基、カルボキシル基等との間で化学結合を形成することができる。
イソシアネート化合物としては、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート及び芳香族イソシアネートが挙げられる。中でも、ベースポリマー、特にゴム系ポリマーとの相溶性が良好であり、湿気や水分との反応性が緩やかなことから、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートが好ましい。
脂肪族イソシアネートとしては、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHMDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート(LDI)、リジントリイソシアネート(LTI)等が挙げられる。
脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート(CHDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素添加XDI(HXDI)、水素添加MDI(H12MDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等が挙げられる。
芳香族イソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI);粗製ジフェニルメタンジイソシアネート;多核ポリフェニレンポリメチルポリイソシアネート(ポリメリックMDI);2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート等のトリレンジイソシアネート(TDI);1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート等のナフタレンジイソシアネート(NDI);1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート;1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート等のフェニレンジイソシアネート(PDI);キシレンジイソシアネート(XDI);テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI);トリジンジイソシアネート(TODI);2,4,6−トリメチルフェニル−1,3−ジイソシアネート、2,4,6−トリイソプロピルフェニル−1,3−ジイソシアネート、クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート等が挙げられる。
アルコキシシリル基含有ポリマーは、水の存在下で加水分解されてシラノールとなり、縮合(架橋)することで硬化する。また、通気性素材表面の水酸基との間で脱水縮合反応すること等で強固な化学結合を形成することができる。
アルコキシシリル基含有ポリマーとしては、例えば、株式会社カネカ製の、サイリルSAX220やサイリルSAT350等の直鎖型ジメトキシ基両末端タイプ、サイリルSAT145等の直鎖型ジメトキシ基片末端タイプ、サイリルSAX510やサイリルSAT580等の直鎖型トリメトキシ基両末端タイプ、サイリルSAT400等の分岐型ジメトキシ基末端タイプ、サイリルMA440やサイリルMA903、サイリルMA904等のアクリル変性タイプから選ばれる1種以上を用いることができる。
本実施形態における粘着剤組成物中の湿気硬化性成分の含有量は特に限定されるものではないが、高い接着力を得る観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、0.1質量部以上であることが好ましく、0.2質量部以上であることがより好ましく、0.3質量部以上であることが更に好ましい。また、湿気硬化性成分が過剰であるとベースポリマーに溶解できずに粘着剤表面にブリードアウトして粘着特性が低下するおそれがあることから、湿気硬化性成分の含有量は、ベースポリマー100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましく、60質量部以下であることが更に好ましい。なお、粘着剤層中におけるベースポリマー100質量部に対する湿気硬化性成分の含有量の好ましい範囲は、粘着剤組成物中のベースポリマー100質量部に対する湿気硬化性成分の含有量の好ましい範囲と実質的に同じであり、粘着剤組成物(粘着剤層)中に含有されうるその他の成分についても同様である。
本実施形態の粘着シート(粘着剤層)が湿気硬化性成分を含有する場合においては、25℃、50%RHで24時間保存した後の、粘着剤層の粘着面側の表面付近の湿気硬化性成分の維持率(残存率)が30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。また、当該維持率(残存率)は高いほど好ましく、100%であることが最も好ましい。当該維持率(残存率)は、実施例の欄に記載の方法で測定することができる。
上記25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の、粘着剤層の粘着面側の表面付近の維持率は、例えば、湿気硬化性成分としてイソシアネート化合物を用いる場合であれば、全反射測定法(ATR法)により得られる赤外吸収スペクトルから求めることができる。ATR法は、試料の表面から深さ数μmの領域の赤外吸収スペクトルを得ることができる測定法であり、したがって粘着剤層の粘着面側の表面付近における湿気硬化性成分の維持率の測定に適している。具体的には、以下のようにして測定できる。
まず、作製直後の粘着シート(粘着剤層)のATR法による赤外分光測定から得られるイソシアネート基由来の2275cm−1における吸光度とベースポリマーのメチレン基由来の2250−2255cm−1における吸光度の比を算出する。ここで、吸光度比とは、上記メチレン基由来の吸光度に対する上記イソシアネート基由来の吸光度の比(イソシアネート基由来の吸光度/メチレン基由来の吸光度)である。また、25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の粘着シート(粘着剤層)のATR法による赤外分光測定から得られる吸光度比を同様にして算出し、これらの変化率から、湿気硬化性成分(イソシアネート化合物)の維持率を算出する。具体的には、以下の関係式から算出される。
湿気硬化性成分(イソシアネート化合物)の維持率(%)={(25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の粘着シートの吸光度比)/(作製直後の粘着シートの吸光度比)}×100
なお、湿気硬化性成分がイソシアネート化合物以外の場合においても同様に、ATR法による赤外分光測定においてその湿気硬化性成分に由来する代表的なピークが現れる波数における吸光度比の変化率から、粘着剤層の粘着層面側の表面付近における湿気硬化性成分の維持率を算出することができる。
具体的には、以下の関係式から算出される。
湿気硬化性成分の維持率(%)={(25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の粘着シートの吸光度比)/(作製直後の粘着シートの吸光度比)}×100
また、湿気硬化性成分は、20℃、60%RHの環境における硬化性が低いことが好ましく、20℃、60%RHの環境下で硬化しないことがより好ましい。湿気硬化性成分の硬化性はJIS K−5400に基づく指触乾燥試験、及び硬化乾燥試験により確認できる。
上記硬化性の観点からもイソシアネート化合物としては脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートが好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、ヤング率の調整ならびに初期接着の際のタックを与えることを目的として、タッキファイヤー(粘着付与剤)を含有させてもよい。タッキファイヤーとしては、例えば、ポリブテン類、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系樹脂(例えば、石油系脂肪族炭化水素樹脂、石油系芳香族炭化水素樹脂、石油系脂肪族・芳香族共重合炭化水素樹脂、石油系脂環族炭化水素樹脂(芳香族炭化水素樹脂を水素添加したもの)等)、クマロン系樹脂等が挙げられる。相溶性の点において、好ましくは、石油系樹脂、ロジン系樹脂である。タッキファイヤーは、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着剤組成物中にタッキファイヤーを含有させる場合の含有量は、ヤング率を低下させる観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、5質量部以上であることが好ましく、10質量部以上であることがより好ましく、15質量部以上であることがさらに好ましい。また、タッキファイヤーの含有量は、粘着剤に適度な凝集力を持たせる観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、400質量部以下であることがより好ましく、250質量部以下であることがさらに好ましい。
また、本実施形態の粘着剤層を形成する粘着剤組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲において、粘度調整剤、剥離調整剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、老化防止剤、界面活性剤、レベリング剤、消泡剤、光安定剤等、粘着剤組成物に通常添加される添加剤をさらに添加してもよい。
充填剤としては、例えば、タルク、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、炭酸カルシウム、カーボン、シリカ、クレー、マイカ、硫酸バリウム、ウィスカー、水酸化マグネシウム等の無機充填剤が挙げられる。
充填剤の含有量は、粗面接着性の観点からは、ベースポリマー100質量部に対して、500質量部以下であることが好ましく、300質量部以下であることがより好ましい。
また、粘着剤組成物に利用される溶剤(溶媒)としては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。前記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類等の有機溶剤が挙げられる。前記溶剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用されてもよい。
本実施形態における粘着剤層は、上記の粘着剤組成物を用いて形成される。形成方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法を採用することができ、下記の粘着シートの製造方法に準じて行うことができる。なお、粘着剤層中における各成分量の好ましい範囲は、粘着剤組成物中の溶媒を除いた各成分量の好ましい範囲と同様である。例えば、粘着剤組成物を公知の塗工方法を用いて後述する基材に塗布し、乾燥させて、粘着シートの形態として得ることができる。また、剥離性を有する表面に粘着剤組成物を塗布して乾燥または硬化させることにより該表面上に粘着剤層を形成した後、その粘着剤層を非剥離性の基材に貼り合わせて転写させてもよい。粘着剤組成物を基材に塗布する方法は、特に制限されず、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、ファウンテンダイコーター、クローズドエッジダイコーター等を用いて行うことができる。
また、粘着剤層は、粘着剤組成物を剥離シート(剥離面を備えるシート状基材であってもよい。)に塗布して粘着剤層を形成してもよい。
乾燥後の粘着剤層の厚みは特に制限されないが、凹凸面を有する通気性素材に対して良好な追従性を発揮させる観点からは、5〜5000μmであることが好ましく、10〜1000μmであることがより好ましい。乾燥温度は、例えば、50〜150℃とすることができる。
粘着剤層は圧延や押出などの無溶剤塗工法を用いて形成してもよい。この場合、粘着剤組成物は加熱し混練して混練物として得ることができる。混練には、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどのバッチ式混練機や、2軸混練機などの連続混練機などが用いられる。混練における加熱温度は、例えば、80〜180℃とすることができる。
上記により得られた粘着剤組成物を、例えば、押出機、カレンダーロール、プレス機(
熱プレス機)などの成形装置により、加熱して、粘着剤層をシート状に形成できる。
本実施形態の粘着シートは、上記の粘着剤層を有する。
本実施形態の粘着シートは、粘着剤層をシート状基材(支持体)の片面又は両面に有する形態の基材付き粘着シートであってもよく、粘着剤層が剥離シートに保持された形態等の基材レスの粘着シートであってもよい。ここでいう粘着シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称されるものが包含され得る。
なお、粘着剤層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば、点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された粘着剤層であってもよい。また、本実施形態の粘着シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の粘着シートであってもよい。
基材を形成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム;ポリ塩化ビニル等のプラスチックフィルム;クラフト紙、和紙等の紙類;綿布、スフ布等の布類;ポリエステル不織布、ビニロン布織布等の布織布類;金属箔が挙げられる。また、基材の厚みは特に限定されないが、例えば10〜200μmである。
前記プラスチックフィルム類は、無延伸フィルムであってもよいし、延伸(一軸延伸又は二軸延伸)フィルムであってもよい。また、基材の粘着剤層が設けられる面には、下塗り剤の塗布、コロナ放電処理等の表面処理が施されていてもよい。
本実施形態においては、粘着シートに穿孔して貫通孔を設けてもよい。このようにすれば、粘着シートを通気性素材に張り付けた際に、通気性素材に湿潤した水分が貫通孔を通じて粘着シートの背面側(貼付面とは反対側)に抜けることができるため、通気性素材に湿潤した水分をより多く除去することができる。
本実施形態の粘着シートにおいては、使用時まで粘着剤層が剥離ライナー(セパレーター、剥離フィルム)により保護されていてもよい。また、剥離ライナーによる保護は、粘着剤層中に湿気硬化性成分を含む場合、湿気硬化性成分の未反応状態を維持するためにも有用である。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙などを使用でき、特に限定されないが、例えば、剥離処理層を有する基材、フッ素系ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを用いることができる。
剥離処理層を有する基材としては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。
フッ素系ポリマーからなる低接着性基材のフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。
無極性ポリマーからなる低接着性基材の無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、剥離ライナーは公知乃至慣用の方法により形成することができる。また、剥離ライナーの厚さ等も特に制限されない。
本実施形態に係る粘着剤組成物、該粘着剤組成物からなる粘着剤層または該粘着剤層を備える粘着シート中において、湿気硬化性成分は未反応状態で含有されていることが好ましい。なお、本実施形態において、湿気硬化性成分は、その全部が未反応状態であることがより好ましいが、本発明の効果を奏する限りにおいて、その一部が反応状態となっていてもよく、この場合も、本実施形態における湿気硬化性成分が未反応状態で含有されていることに包含される。
本実施形態の粘着剤組成物、粘着剤層並びに粘着シート(粘着剤組成物等)は、粘着剤組成物等の中の未反応状態の湿気硬化性成分の未反応状態を保持するために、周囲の水(水分や湿気)の影響を低減ないし遮断しておくことが好ましい。例えば、本実施形態の粘着シートは、適宜な包装体で包装されていてもよい。包装体の材料としては、アルミニウム製の防湿袋等が例示されるが、これに限定されるものではない。また、包装体内部の雰囲気は、空気であってもよいが、窒素やアルゴン等の不活性ガス等で置換されていてもよい。また、包装体内部にはシリカゲル等の乾燥剤を同梱してもよい。
本発明の実施形態に係る積層体は、粘着剤層と、通気性素材とを備える。粘着剤層と、通気性素材としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
図1は、本発明の実施形態に係る粘着シートの概略断面図の一例である。
本実施形態の粘着シート10は、基材11と、粘着剤層12とを備え、粘着剤層12の基材11と反対側の面は、剥離ライナー13により剥離可能に被覆されている。
本実施形態の粘着シート10は、剥離ライナー13を剥離除去して、粘着剤層12を介して通気性素材に貼り付けられて使用される。すなわち、本実施形態における粘着剤層12においては、剥離ライナー13側の面が粘着面である。
本実施形態における粘着剤層12は、ベースポリマーを含有しヤング率が1〜50kPaである粘着剤組成物からなる。
本実施形態の粘着シート10は、通気性素材に貼付されると、粘着剤が通気性素材の繊維に絡みあうことで接着力は向上する。
また、粘着剤組成物(粘着剤層)が湿気硬化性成分を含む場合、粘着剤組成物(粘着剤層)中に含有されている未反応状態の湿気硬化性成分が、通気性素材に湿潤した水分や、周囲の水分や湿気といった水と反応して湿気硬化することにより、通気性素材に対する接着力が向上する。その結果、通気性素材が湿潤した際に、接着力が経時的に上昇し、より高い接着力を発現することができるため好ましい。なお、湿気硬化性成分が通気性素材と化学結合可能なものである場合、粘着剤組成物(粘着剤層)中に含有されている通気性素材と化学結合可能な湿気硬化性成分と、通気性素材表面との間の化学結合が進行することにより、通気性素材表面に対する接着力がさらに向上するため好ましい。
本発明の実施形態に係る粘着シートは、図2に示すように基材の両面に粘着剤層を設け、粘着剤層を剥離ライナーにより保護してもよい。
本実施形態の粘着シート30は、第1の剥離ライナー33A、第1の粘着剤層32A、基材31、第2の粘着剤層32B、及び第2の剥離ライナー33Bをこの順で備える。
本実施形態の粘着シート30は、第1の剥離ライナー33A及び第2の剥離ライナー33Bを剥離除去し、第1の粘着剤層32Aと第2の粘着剤層32Bとをそれぞれ異なる被着体に貼付して使用され、少なくとも一方の被着体が通気性素材である。すなわち、本実施形態においては第1の粘着剤層32Aの第1の剥離ライナー33A側の面、及び、第2の粘着剤層32Bの第2の剥離ライナー33B側の面の両方が粘着面である。
本実施形態における基材31、第1及び第2の粘着剤層32A及び32B、第1及び第2の剥離ライナー33A及び33Bは、上記基材11、粘着剤層12、剥離ライナー13と同様である。
また、本実施形態における粘着シート30は巻回されていてもよい。すなわち、本実施形態の粘着シート30は、例えば第2の剥離ライナー33Bを備えず、第2の粘着剤層32Bの粘着面が第1の剥離ライナー33Aの第1の粘着剤層32Aとは反対側の面に貼付されるように巻回されていてもよい。
本発明の実施形態に係る粘着シートは、図2に示すように基材を設けず、粘着剤層の両面を剥離ライナーにより保護してもよい。
すなわち、本実施形態の粘着シート40は、第1の剥離ライナー43A、粘着剤層42、及び第2の剥離ライナー43Bをこの順で備えていてもよい。
本実施形態の粘着シート40は、第1の剥離ライナー43A及び第2の剥離ライナー43Bを剥離除去し、粘着剤層42の一方の面と他方の面とをそれぞれ異なる被着体に貼付して使用され、少なくとも一方の被着体が通気性素材である。すなわち、本実施形態においては粘着剤層42の第1の剥離ライナー43A側の面、及び、第2の剥離ライナー43B側の面がいずれも粘着面である。
粘着剤層42の一方の面に貼付される被着体が通気性素材であれば、他方の面に貼付される被着体としては、特に限定されないが、粘着剤層が湿気硬化性成分を含有する場合、粘着剤組成物(粘着剤層)中の未反応状態の湿気硬化性成分と化学結合しうるものが好ましい。
該他方の面に貼付される被着体としては、例えば、コンクリート、モルタル、アスファルト、金属、木材、タイル、塗膜面や浴室の内壁等のプラスチック材、通気性素材などの他、生物の外部(例えば、皮膚や外殻、鱗)や生物の内部(例えば、歯や骨等)などが挙げられ、好ましくは通気性素材である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。
(通気性試験)
まず、通気性素材として市販の無地綿ハンカチを用意し、株式会社東洋精機製作所製、フラジール形通気性試験機FP2を用い、JIS L 1096 8.26に準じて通気性を測定した。無地綿ハンカチの通気度は80(単位cm/cm・sec)であった。
〔実施例1〕
(粘着シートの作製)
ベースポリマーとしての高分子量のポリイソブチレン重合体(BASF社製のオパノールN80)50質量部と低分子量のポリイソブチレン重合体(JXTGエネルギー株式会社製テトラックス5T)50質量部、液状ポリブテン(JXTGエネルギー株式会社製HV−300)100質量部を溶媒としてのトルエンに溶解させた後、この溶液に、湿気硬化性成分としてのヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)(BASF社製のバソナットHA2000)15質量部、粘着付与剤としての石油樹脂(JXTGエネルギー株式会社、T−Rez RB100)100質量部を配合して、粘着剤組成物1を作製した。
基材としてPETフィルム(商品名「ルミラーS10(厚み25μm)」、東レ株式会社製)の一方の面に、上記粘着剤組成物1を塗布し、130℃で5分間乾燥し、厚み150μmの粘着剤層を形成した。上記の基材上に形成された粘着剤層の他面を、剥離ライナー(PETフィルム(商品名「ダイアホイルMRF(厚み38μm)」、三菱ケミカル株式会社製)の剥離面に貼り合わせて、粘着シートを作製した。
(T字ピール接着力の測定)
まず、通気性素材として市販の無地綿ハンカチ(通気度80cm/cm・sec)を用意した。次に、上記で作製した粘着シートを幅10mm、長さ10cmになるように切断し、剥離ライナーを剥離除去した。
続いて、通気性素材に、上記で作製した粘着シート(試験片)を2kgローラーで1往復して圧着して貼付し、積層体を作製した。得られた積層体を25℃/50%RH環境下にて24時間静置した。その後、粘着シート(試験片)が貼着された通気性素材(積層体)を取り出し、引張試験機(ミネベア株式会社製のテクノグラフTG−1kN)を用いて、通気性素材に対する、剥離温度23℃、剥離速度300mm/minでのT字ピール接着力(24時間静置後)(N/10mm)を測定した。
(洗濯試験)
上記と同様にして、作製した粘着シートを通気性素材に貼付して積層体とし、25℃/50%RH環境下にて24時間静置した。
続いて、粘着シート(試験片)が貼付された通気性素材(積層体)を300gの純水と1gの市販液状洗剤を混合した洗濯液中でディスパー(430rpm)にて1時間撹拌して洗濯した後、70度のオーブン中で1時間乾燥した。その後、粘着シート(試験片)が貼着された通気性素材(積層体)を目視にて観察し、粘着シートの剥がれの有無を確認した。
(実施例2)
実施例1で用いた2kgローラーを中温(130〜150℃)のアイロンに変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(実施例3)
実施例1の通気性素材を市販のスパークオーガンジー(通気度400cm/cm・sec)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(実施例4)
実施例1の通気性素材を市販のチュール(通気度480cm/cm・sec)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(実施例5)
実施例1の通気性素材を市販のサテン(通気度110cm/cm・sec)に変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(実施例6)
実施例1の各成分を表1に記載された配合になるように変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(実施例7)
実施例1の各成分を表1に記載された配合になるように変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った
(実施例8)
実施例1の各成分を表1に記載された配合になるように変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った
(実施例9)
実施例8の通気性素材を市販のガーゼ(通気度290cm/cm・sec)に変更した以外は実施例8と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(比較例1)
実施例1の各成分を表1に記載された配合になるように変更した以外は実施例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(比較例2)
比較例1の通気性素材を市販のガーゼ(通気度290cm/cm・sec)に変更した以外は比較例1と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(比較例3)
比較例2の2kgローラーを中温(130〜150℃)のアイロンに変更した以外は比較例2と同様にして粘着シート、及び積層体を作製し、T字ピール接着力の測定及び洗濯試験を行った。
(ヤング率の測定)
作製直後の各例の粘着剤層を断面積が3mm、長さが20mmのひも状に丸めた試料を作製し、25℃にて引張試験機(株式会社島津製作所製のAG−IS)を用いて、引張速度:50mm/分、つかみ具間距離:10mm、ロードセル:50Nの条件下で引張試験を行った。応力−歪み(S−S)波形(測定チャート)から、引張強度(N)および破断直前の平均伸び(%)を読み取り、S−S波形からヤング率(初期)(kPa)を算出した。
(湿気硬化性成分維持率の測定)
まず、作製直後の各例の粘着シートから剥離ライナーを剥離除去し、粘着剤層の粘着面側に対して、赤外分光測定(Varian社製の3100 FT−IRを使用し、ATR法により測定)から得られるイソシアネート基由来の2268cm−1における吸光度とベースポリマーのメチレン基由来の2250−2255cm−1における吸光度の比を算出した。ここで、吸光度比とは、上記メチレン基由来の吸光度に対する上記イソシアネート基由来の吸光度の比(イソシアネート基由来の吸光度/メチレン基由来の吸光度)である。
次に、25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の粘着シートに対して、上記と同様に吸光度比を算出した。
これらの変化率から、湿気硬化性成分(イソシアネート化合物)の維持率を算出した。具体的には、以下の関係式から算出した。
湿気硬化性成分(イソシアネート化合物)維持率(%)={(25℃、50%RHの環境下で24時間保存した後の粘着シートの吸光度比)/(作製直後の粘着シートの吸光度比)}×100
結果を表1に示す。
Figure 2019206657
表1に示されるように、ヤング率が特定の範囲内である実施例1、3〜9の粘着剤層及び粘着シートは、常温の圧着によっても加熱圧着した場合と同等の高い接着力が得られ、加熱圧着した実施例2はより高い接着力が得られた。また、通気性素材が湿潤した際にも耐洗濯性を示し、粘着剤層の剥がれを防止し得ることがわかる。
一方、ヤング率が特定の範囲外の粘着剤層及び粘着シートは比較例3の加熱圧着では接着力が得られるものの、常温圧着した比較例1及び2では、接着力が低く、耐洗濯性に劣ることがわかる。
10、30、40 粘着シート
11、31 基材
12、42 粘着剤層
13 剥離ライナー
32A 第1の粘着剤層
32B 第2の粘着剤層
33A、43A 第1の剥離ライナー
33B、43B 第2の剥離ライナー

Claims (11)

  1. 通気性素材に貼付する粘着剤層であって、
    ベースポリマーを含有し、ヤング率が1〜50kPaである粘着剤層。
  2. さらに、湿気硬化性成分を含有する請求項1に記載の粘着剤層。
  3. 前記湿気硬化性成分が、イソシアネート化合物及びアルコキシシリル基含有ポリマーから選択される1種以上である請求項2に記載の粘着剤層。
  4. 前記湿気硬化性成分が、脂肪族イソシアネート、又は脂環族イソシアネートである請求項2に記載の粘着剤層。
  5. 前記ベースポリマーは、ゴム系ポリマー、又はアクリル系ポリマーを含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着剤層。
  6. 前記通気性素材のJIS L 1096 8.26フラジール法における通気度が0.001〜500cm/cm・secである請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着剤層。
  7. 前記通気性素材が、織物、編物、レース、フェルト、不織布より選択される少なくとも1種である請求項1〜6のいずれか1項に記載の粘着剤層。
  8. 前記通気性素材が、衣服、タオル、毛布、カーテン、カーペット、マットより選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の粘着剤層。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着剤層を備える粘着シート。
  10. 前記粘着剤層が基材上に形成されている請求項9に記載の粘着シート。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の粘着剤層と、通気性素材とを備える積層体。
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