JP2019206610A - 重合体塩および接着剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、疎水性材料と親水性材料の両方に親和性を示す重合体塩と、当該重合体塩を含む接着剤を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る重合体塩は、下記式(I)で表される構造単位を有する重合体および下記式(II)で表される化合物を含むことを特徴とする。[式中、R1〜R3は、Hなどを示し、R4はC4-12フルオロアルキル基などを示し、X1はリンカー基などを示し、YとZは、いずれか一方がカチオン性基であり且つ他方がアニオン性基を示す。]【選択図】なし

Description

本発明は、疎水性材料と親水性材料の両方に親和性を示す重合体塩と、当該重合体塩を含む接着剤に関するものである。
接着剤とは固体と固体とを接合するために用いられる物質であり、一般的には天然高分子や合成高分子を主成分とする。接着剤は、極性など被接着体の表面の性質に応じて選択することが重要であり、アンカー効果、分子間相互作用、化学結合などが接着力を支配する主な因子である。その中で被接着体と接着剤との分子間相互作用を高めることは非常に重要である。例えばフッ素樹脂などは撥水撥油性であり、接着が困難な材料とされている。このような材料を接着させるには、接着前にプライマーと呼ばれる表面処理剤で被接着体の表面を処理しなければならない。
その一方で、近年、フッ素樹脂はコーティング材の他、耐熱性や耐薬品性に優れた素材として利用量が増えてきており、フッ素樹脂を接着可能な接着剤が求められている。例えば特許文献1には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などに接着性を示すフルオロポリマー系粘接着性組成物が開示されている。当該組成物は、フルオロポリマーとイオン液体を含む。
イオン液体は、有機カチオンと主にフッ素などのハロゲンを含むアニオンからなる塩物質であるが、日常我々が取り扱う塩とは異なり、融点が100℃以下と低く、その多くは常温で液体である。イオン液体は液体でありながら不燃性や不揮発性など優れた性質を有し、さらにイオン伝導性や二酸化炭素吸収能など様々な機能性を有している。また、カチオン種やアニオン種を設計することで磁性や液晶性などの機能性付加も容易に可能であり、機能性材料としての研究も盛んに行われている。そのような中、力学特性や加工性などの観点から、重合性官能基を有するイオン液体モノマーを高分子化したポリイオン液体など、イオン液体の性質を有する固体材料に関する試みがなされ始めている。
例えば本発明者らは、メタクリロイル基を有する四級アンモニウム系のイオン液体モノマーである[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホン)アミド([MTMA][TFSA])の分散重合や乳化重合により、ポリイオン液体微粒子の合成に成功している。また、当該粒子から作製したフィルムの表面における迅速な極性変換を発見している(非特許文献1,2)。
特開2012−17431号公報
M.TOKUDAら,Macromol.Rapid Commun.,33,1130(2012) M.TOKUDAら,Langmuir,30,3406(2014)
上述したように、フッ素樹脂など接着し難い樹脂のための接着剤が検討されている。しかし、フッ素樹脂の利用の増加につれて、フッ素樹脂と他の素材とを接着するための接着剤が求められるようになってきている。
例えばフッ素樹脂は撥水撥油性であるが、金属など親水性材料との接着が必要となる場合がある。ところが、フッ素樹脂にのみ相互作用する接着剤では親水性材料との接着に問題が生じる可能性がある。例えば特許文献1に記載の実験データによれば、フルオロポリマー系粘接着性組成物のPTFEに対する接着力に比べて、親水性材料であるガラスに対する接着力は約10分の1に過ぎない。その結果、フッ素樹脂とガラスとを接着する場合には、ガラスと接着剤層との間で界面剥離が生じる可能性がある。
また、本発明者らは、ポリイオン液体であるポリ([MTMA][TFSA])が迅速な極性変換を起こすことを見出しているが、残念ながら十分な接着性を示すものではなかった。
そこで本発明は、疎水性材料と親水性材料の両方に親和性を示す重合体塩と、当該重合体塩を含む接着剤を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、特定のカチオン化合物とアニオン化合物とを組み合わせた重合体塩が、疎水性材料と親水性材料の両方に親和性を示し、接着剤成分として非常に有用であることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 下記式(I)で表される構造単位を有する重合体および下記式(II)で表される化合物を含むことを特徴とする重合体塩。
[式中、
1〜R3は、独立して、H、F、C1-4アルキル基、またはC1-4フルオロアルキル基を示し、
4は、C4-12アルキル基またはC4-12フルオロアルキル基を示し、
1は、C1-6アルキレン基、アミノ基(−NH−)、エーテル基(−O−)、チオエーテル基(−S−)、カルボニル基(−C(=O)−)、チオニル基(−C(=S)−)、エステル基(−O−C(=O)−または−C(=O)−O−)、アミド基(−NH−C(=O)−または−C(=O)−NH−)、ウレア基(−NH−C(=O)−NH−)、もしくはチオウレア基(−NH−C(=S)−NH−)、または、C1-6アルキレン基の一端もしくは両端に、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオニル基、エステル基、アミド基、ウレア基、および/もしくはチオウレア基が結合しているリンカー基を示し、
YとZは、いずれか一方がカチオン性基であり且つ他方がアニオン性基を示す。]
[2] 上記カチオン性基が、下記式(III)〜(VI)のいずれかで表されるカチオン性基である上記[1]に記載の重合体塩。
[式中、
5〜R7は、独立して、C1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、但し、R5とR6は一緒になってC3-6アルキレン基またはC3-6フルオロアルキレン基を形成していてもよく、
8とR9は、独立して、C1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、
10はC1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、
11はC1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示す。]
[3] 上記アニオン性基が、スルフェート基、スルホネート基、カルボキシレート基、またはホスフェート基である上記[1]または[2]に記載の重合体塩。
[4] 上記(I)で表される構造単位を有する重合体が、更に下記式(VII)で表される構造単位を有する共重合体である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の重合体塩。
[式中、
12〜R14は、独立して、H、F、C1-4アルキル基、またはC1-4フルオロアルキル基を示し、
15は、C1-8アルキル基またはC1-8フルオロアルキル基を示し、
2は、単結合、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオニル基、エステル基、アミド基、ウレア基、またはチオウレア基を示す。]
[5] X1がエステル基である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の重合体塩。
[6] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の重合体塩を含むことを特徴とする接着剤。
本開示において「C1-4アルキル基」は、炭素数1以上、4以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチルなどを挙げることができる。R1〜R3およびR12〜R14として好ましくはC1-2アルキル基であり、より好ましくはメチルである。
「C1-4フルオロアルキル基」は、1以上のフルオロ基に置換されたC1-4アルキル基をいう。例えば、フルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、ノナフルオロブチルなどを挙げることができる。R1〜R3およびR12〜R14として好ましくはC1-2フルオロアルキル基であり、より好ましくはフルオロメチルであり、最も好ましくはトリフルオロメチルである。また、置換可能なHの60%以上がフルオロにより置換されていることが好ましい。当該割合としては、80%以上がより好ましく、90%以上がより更に好ましく、100%が特に好ましい。
「C4-12アルキル基」は、炭素数4以上、12以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシルなどを挙げることができる。R4として好ましくは直鎖状C4-12アルキル基であり、直鎖状C6-10アルキル基がより好ましい。
「C4-12フルオロアルキル基」は、1以上のフルオロに置換されたC1-4アルキル基をいう。例えば、4,4,4−トリフルオロブチル、3,3,4,4,4−ペンタフルオロブチル、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、ノナフルオロブチル、n−パーフルオロペンチル、n−パーフルオロヘキシル、n−パーフルオロヘプチル、n−パーフルオロオクチル、n−パーフルオロノニル、n−パーフルオロデシル、n−パーフルオロウンデシル、n−パーフルオロドデシルなどを挙げることができる。好ましくは直鎖状C4-12フルオロアルキル基であり、直鎖状C6-10フルオロアルキル基がより好ましい。また、置換可能なHの60%以上がフルオロにより置換されていることが好ましい。当該割合としては、80%以上がより好ましく、90%以上がより更に好ましく、100%、即ちパーフルオロアルキル基が特に好ましい。
「C1-6アルキレン基」は、炭素数1以上、6以下の直鎖状または分枝鎖状の二価飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、メチレン、エチレン、メチルメチレン、n−プロピレン、メチルエチレン、n−ブチレン、メチルプロピレン、ジメチルエチレン、n−ペンチレン、n−ヘキシレン等である。好ましくはC1-4アルキレン基であり、より好ましくはC2-4アルキレン基であり、より更に好ましくはエチレンであり、また、直鎖状アルキレン基が好ましい。
「C1-6アルキル基」は、炭素数1以上、6以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。R5〜R11として好ましくはC2-6アルキル基であり、より好ましくはC3-5アルキル基であり、また、直鎖状アルキル基が好ましい。
「C1-6フルオロアルキル基」は、1以上のフルオロに置換されたC1-6アルキル基をいう。R5〜R11として好ましくはC2-6フルオロアルキル基であり、より好ましくはC3-5フルオロアルキル基であり、また、直鎖状フルオロアルキレン基が好ましい。また、置換可能なHの60%以上がフルオロにより置換されていることが好ましい。当該割合としては、80%以上がより好ましく、90%以上がより更に好ましく、100%、即ちパーフルオロアルキル基が特に好ましい。
式(III)で表されるカチオン性基においてR5とR6が一緒になってC3-6アルキレン基またはC3-6フルオロアルキレン基を形成する場合、当該基としてはC4-5アルキレン基またはC4-5フルオロアルキレン基が好ましく、−(CH24−、−(CH25−、−(CFH)4−、−(CFH)5−、−(CF24−または−(CF25−がより好ましく、−(CH24−または−(CH25−が好ましい。即ち、NとR5とR6とでピロリジン環構造またはピペリジン環構造を形成していることが好ましい。
「C1-8アルキル基」は、炭素数1以上、8以下の直鎖状または分枝鎖状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。R15として好ましくはC2-6アルキル基であり、また、直鎖状アルキル基が好ましい。
「C1-8フルオロアルキル基」は、1以上のフルオロ基に置換されたC1-8アルキル基をいう。R15として好ましくはC2-6フルオロアルキル基であり、また、直鎖状フルオロアルキル基が好ましい。また、置換可能なHの60%以上がフルオロにより置換されていることが好ましい。当該割合としては、80%以上がより好ましく、90%以上がより更に好ましく、100%、即ちパーフルオロアルキル基が特に好ましい。
一般的な化合物は、疎水性であれば疎水性材料に対して、親水性であれば親水性材料に対して親和性が高いといえるので、疎水性材料と親水性材料の両方へは親和性を示し難い。その上、ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂は、撥水撥油性を示し、ほとんどの接着剤に対して親和性を示さない難接着性化合物である。それに対して本発明に係る重合体塩は、疎水性材料と金属などの親水性材料の両方に親和性を示す上に、フッ素樹脂などの難接着性化合物にも親和性を示す。よって本発明に係る重合体塩は、接着剤の有効成分として非常に有用である。
図1は、本発明に係る重合体塩を製造した重合反応液の写真(図1a)と、得られた重合体塩粒子の光学顕微鏡写真(図1b)と、得られた重合体塩粒子のSEM像(図1c)である。 図2は、本発明に係る重合体塩から作製したフィルムの水との接触角を測定した結果を示す写真である。 図3は、n−ブチルアクリレートを共重合させた重合体塩におけるn−ブチルアクリレートの割合と剪断接着強度との関係を示すグラフである。
本発明に係る重合体塩は、式(I)で表される構造単位(以下、「構造単位(I)と略記する)を有する重合体と式(II)で表される化合物(以下、「化合物(II)」と略記する)を含むことを特徴とする。本発明の重合体塩は、化合物(II)の存在下、構造単位(I)に対応する下記モノマー(VIII)を重合することにより製造するか、或いは化合物(II)以外の極性化合物の存在下、モノマー(VIII)を重合した後、当該極性化合物と化合物(II)とを交換することにより製造することができる。
[式中、R1〜R3、X1およびYは、前述したものと同義を示す。]
構造単位(I)に式(VII)で表される構造単位(以下、「構造単位(VII)」と略記する)を含む共重合体と化合物(II)との塩は、可塑性に極めて富み、接着剤成分としてより優れたものになり得る。構造単位(I)と構造単位(VII)を含む共重合体は、モノマー(VIII)と、構造単位(VII)に対応する下記モノマー(IX)を共重合することにより製造することができる。
[式中、R12〜R15およびX2は、前述したものと同義を示す。]
上記共重合体における構造単位(I)と構造単位(VII)の割合は、適宜調整すればよい。例えば、構造単位(VII)による可塑性向上効果は、構造単位(VII)の割合が高いほど有効に得られる。しかし、構造単位(VII)のみでは、構造単位(I)のYと化合物(II)のZとの間の静電的相互作用により形成される塩による優れた接着性が得られず、また、構造単位(VII)の割合が過剰に高いと可塑性もかえって低下する傾向がある。よって、構造単位(I)と化合物(II)と構造単位(VII)との合計に対する構造単位(VII)の割合を、10質量%以上、90質量%以下にすることが好ましい。当該割合としては、25質量%以上がより好ましく、50質量%以上がより更に好ましく、また、85質量%以下がより好ましい。なお、構造単位(I)と化合物(II)と構造単位(VII)との合計に対する構造単位(VII)の割合は、重合反応開始時におけるモノマー(VIII)と化合物(II)とモノマー(IX)の仕込み比により調整することができる。即ち、上記の構造単位(I)と化合物(II)と構造単位(VII)との合計に対する構造単位(VII)の割合は、重合反応開始時におけるモノマー(VIII)と化合物(II)とモノマー(IX)との合計に対するモノマー(IX)の割合に等しいものとする。なお、化合物(II)の代わりに別の極性化合物を使って重合を行った後、化合物(II)を使ってアニオン交換反応またはカチオン交換反応を行う場合には、上記割合は、重合反応開始時におけるモノマー(VIII)と極性化合物とモノマー(IX)との合計に対するモノマー(IX)の割合として算出することもできる。なお、構造単位(I)からなる重合体と化合物(II)との塩が接着剤成分として十分な可塑性を有する場合には、モノマー(IX)を用いる必要は無い。
本発明の重合体塩において、重合体における構造単位(I)中のYと化合物(II)中のZは静電的に相互作用するため、構造単位(I)のモル数と化合物(II)のモル数は同一または略同一であることが好ましい。ここでの略同一とは、例えば、構造単位(I)のモル数に対する化合物(II)のモル数の比が0.8以上、1.2以下であることをいう。当該比としては、0.9以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、また、1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。当該比は、反応開始時におけるモノマー(VIII)のモル数と化合物(II)のモル数との比と等しいといえる。
重合溶媒に対する化合物(II)の溶解性が十分でない場合には、化合物(II)の代わりに溶解性の高い極性化合物を用い、モノマー(VIII)と塩を形成させたり、重合反応を行ったりした後、アニオン交換反応またはカチオン交換反応により重合体と化合物(II)との重合体塩を得ることができる。モノマー(VIII)とのカウンターアニオンまたはカウンターカチオンとして化合物(II)の代わりに用いる上記極性化合物としては、例えば、ビス(フルオロスルホニル)アミドやビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミドなどのアニオン化合物;テトラブチルアンモニウム、トリブチルスルホニウム、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1−ブチル−1−メチルピペリジニウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチルピリジニウムクロリドなどのカチオン化合物を挙げることができる。当然ではあるが、構造単位(I)およびモノマー(VIII)のYがカチオン性基である場合は上記極性化合物としてアニオン化合物を用い、Yがアニオン性基である場合は上記極性化合物としてカチオン化合物を用いる。
1.塩の調製工程
化合物(II)の存在下、モノマー(VIII)を重合する場合、またはモノマー(VIII)とモノマー(IX)を共重合する場合には、まず化合物(II)とモノマー(VIII)との塩を調製することが好ましい。モノマー(VIII)と化合物(II)は極性基を有していることから、重合溶媒として有機溶媒を使い難いが、モノマー(VIII)と化合物(II)との塩は有機溶媒に対する親和性が比較的高いため、有機溶媒中での分散重合や溶液重合が可能になる。また、モノマー(VIII)と化合物(II)以外の極性化合物とで塩を調製し、当該塩を用いて重合した後に、化合物(II)とアニオン交換反応またはカチオン交換反応を行ってもよい。
モノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物との塩は、溶媒中、モノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物を混合するのみで得られる。溶媒は、モノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物を適度に溶解でき且つ反応を阻害しないものから選択すればよいが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;これらの混合溶媒を用いることができる。
モノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物は、等モルまたは略等モル用いることが好ましい。略等モルとは、例えば、モノマー(VIII)のモル数に対する化合物(II)または上記極性化合物のモル数の比が0.8以上、1.2以下であることをいう。当該比としては、0.9以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、また、1.1以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。なお、過剰量のモノマー(VIII)、化合物(II)または上記極性化合物は、反応後、水などを用いる洗浄で除去することができる。
反応液におけるモノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物の濃度は適宜調整すればよいが、例えば、5質量%以上、40質量%以下程度とすることができる。反応条件も適宜選択すればよく、例えば、常温から70℃以下の温度で、1時間以上、50時間以下程度攪拌すればよい。
反応後は、通常の後処理を行えばよい。例えば、反応液中に析出した不溶性の塩を濾過や遠心分離などにより溶液から分離し、水などの貧溶媒で洗浄した後、乾燥すればよい。塩の析出を促進するために、反応液に水などの貧溶媒を添加してもよい。
2.重合工程
本工程では、化合物(II)または上記極性化合物の存在下、モノマー(VIII)を重合するか、またはモノマー(VIII)とモノマー(IX)を共重合する。この際、モノマー(VIII)と化合物(II)または上記極性化合物との塩を用いることが好ましいことは、上述した通りである。
重合反応のための溶媒は、原料化合物を適度に溶解でき且つ重合反応を阻害しないものであれば特に制限されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール系溶媒;トリフルオロメタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロ−2−プロパノールなどのフルオロアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素溶媒;ジクロロメタン、テトラクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化脂肪族炭化水素溶媒;これらの混合溶媒を用いることができる。
溶媒の使用量は適宜調整すればよいが、例えば、溶媒量に対する化合物(II)または上記極性化合物、モノマー(VIII)およびモノマー(IX)の合計の割合が5質量%以上、70質量%以下程度となるよう調整すればよい。
重合開始剤は、ビニル基やアクリロイル基などのラジカル重合を促進できるものの中から適宜選択すればよい。例えば、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)などのアゾ化合物;過酸化ベンゾイル、ジ−t−ブチルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシドなどの有機過酸化物などを用いることができる。
重合開始剤の使用量は適宜調整すればよく、例えば、化合物(II)または上記極性化合物、モノマー(VIII)およびモノマー(IX)の合計に対して0.1質量%以上、5質量%以下程度とすることができる。
化合物(II)または上記極性化合物、モノマー(VIII)およびモノマー(IX)が溶媒に溶解しない場合には、分散安定剤を用いることが好ましい。分散安定剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリル酸などを用いることができる。
分散安定剤の使用量は、不溶成分の分散液を安定化できる範囲で適宜調整すればよいが、例えば、化合物(II)または上記極性化合物とモノマー(VIII)の合計に対して1質量%以上、30質量%以下程度とすることができる。
反応条件も適宜選択すればよく、例えば、常温から90℃以下の温度で、1時間以上、50時間以下程度攪拌すればよい。
反応後は、通常の後処理を行えばよい。例えば、反応液中に析出した重合物を濾過や遠心分離などにより溶液から分離し、アルコール系溶媒などの貧溶媒で洗浄した後、乾燥すればよい。塩の析出を促進するために、反応液にアルコール系溶媒などの貧溶媒を添加してもよい。
3.交換反応
重合反応に化合物(II)の代わりに上記極性化合物を用いた場合には、重合反応後、アニオン交換反応またはカチオン交換反応を行い、構造単位(I)を含む重合体のカウンターアニオンまたはカウンターカチオンを化合物(II)に交換する。
具体的には、溶媒中、構造単位(I)を含むポリマーと上記極性化合物との塩、および化合物(II)の塩を混合すればよい。
溶媒は、交換反応の促進のため、構造単位(I)を含むポリマーと上記極性化合物との塩と化合物(II)の塩の両方に溶解性を示すものを用いることが好ましい。かかる溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミドなどのアミド系溶媒;メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒;アセトンやメチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒などを用いることができる。
溶媒の使用量は適宜調整すればよいが、例えば、溶媒量に対する構造単位(I)を含むポリマーと上記極性化合物との塩と化合物(II)の塩の合計の割合が50質量%以上、90質量%以下程度となるよう調整すればよい。
反応条件も適宜選択すればよく、例えば、常温から80℃以下の温度で、1時間以上、50時間以下程度攪拌すればよい。
反応後は、通常の後処理を行えばよい。例えば、構造単位(I)を有する重合体と化合物(II)からなる本発明に係る塩に不溶性を示し、且つ使用した溶媒に対して混和性を示す貧溶媒を反応液に添加し、本発明に係る塩を析出させ、析出した重合物を濾過や遠心分離などにより溶液から分離し、貧溶媒で洗浄した後、乾燥すればよい。
本発明に係る重合体塩は、塩であることから金属やガラスなどの親水性材料に親和性を示す。また、従来、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリエチレン系樹脂に適する接着剤は極めて少なかったが、本発明に係る重合体塩はポリエチレン主鎖を有することから、ポリエチレン系樹脂にも親和性を示し得る。更に、比較的炭素数が多く且つフルオロ置換度の高いフルオロアルキル基を有する本発明に係る重合体塩は、フッ素樹脂にも親和性を示す。よって本発明に係る重合体塩は、金属やガラスなどの親水性材料に対する接着性のみならず、ポリエチレン系樹脂やフッ素樹脂などの疎水性材料に対する接着性も示す。
本発明に係る重合体塩は、構造単位(I)を有する重合体と化合物(II)の他の成分を含み得る。当該他の成分としては、例えば、含まれる構造単位(I)と化合物(II)のモル数が等しくない場合、構造単位(I)と化合物(II)との間で塩を形成していないカチオン性基またはアニオン性基のカウンターアニオンまたはカウンターカチオンが考えられる。当該カウンターアニオンとしては、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオンなどのハロゲン化物イオン;硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオンなどの無機酸イオンなどが挙げられ、当該カウンターカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;アンモニウムイオンなどが挙げられる。
本発明に係る重合体塩は、構造単位(I)を有する重合体と化合物(II)から実質的になることが好ましい。「実質的になる」とは、不可避的不純物や不可避的残留物以外、構造単位(I)を有する重合体と化合物(II)からなることを意味する。
本発明に係る重合体塩は、親水性材料と疎水性材料の両方に親和性を示すことから、親水性材料同士、疎水性材料同士、または親水性材料と疎水性材料とを接着するための接着剤成分として有用である。また、比較的炭素数が多く且つフルオロ置換度の高いフルオロアルキル基を有する本発明に係る重合体塩は、フッ素樹脂のための接着剤成分としても有用である。
本発明に係る重合体塩自体は、例えば、ホットメルト接着剤として用いることができる。或いは、本発明に係る重合体塩の溶液または分散液を、接着剤として用いることも可能である。溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶媒を挙げることができる。本発明に係る重合体塩を含む接着剤は、その他、フィラー、顔料、難燃剤、酸化防止剤などを含んでいてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1: 本発明に係る重合体塩の製造
(1)イオン液体モノマーの調製
カリウムパーフルオロオクタンスルフォネート(K[PFOS])(3.0g)を500mLビーカーに加え、更にアセトン(30g)を加えた。そこへ、カチオン性モノマーである[2−(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド([MTMA]Cl)の80質量%水溶液(14g)と純水(27g)を加えた。ビーカーをホットスターラー上に設置し、50℃、600rpmで24時間攪拌した。
次いで、遠心分離機(「CR20GIII」日立工機社製)を用い、反応液を10000rpmにて10分間遠心分離し、上澄液を廃棄した。沈降物に純水を加え、タッチミキサーを用いて水中に分散させた。沈降物が水中に分散した分散液を、再び同様の条件の遠心分離に付した。この一連の遠心分離および上澄液の廃棄の操作を3回繰り返し、沈降物を洗浄した後、真空乾燥した。
得られた沈降物を、フーリエ変換赤外分光光度計(「FT/IR−6200」日本分光社製)を用いてFT−IRで分析したところ、MTMAとPFOSの双方に由来するピークが認められたことから、[MTMA]+[PFOS]-であることが確認された。
また、得られた沈降物を、示差走査熱量計(「DSC7000X」日立ハイテクサイエンス社製)を用いた示差走査熱量測定に付したところ、92℃に融点ピークが見られ、その融点が反応前の物質の何れにも該当しなかったことから、カチオン性モノマーの[MTMA]ClとK[PFOS]とのアニオン交換により[MTMA]+[PFOS]-が得られていることを確認した。更に、得られた沈降物を実際に95℃で1時間加熱したところ、融解した。
(2)重合体塩の製造
封管中、上記実施例1(1)で得られた[MTMA]+[PFOS]-(1g)、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(10mg)、および分散安定剤としてポリビニルピロリドン(150mg)をメタノール(10g)に添加した。次いで、封管中の気相を窒素で置換し、恒温漕を使って60℃で24時間分散重合させた。次に、得られた微粒子を、エタノールを使って1250rpmで3分間遠心洗浄し、未反応の原料試薬と溶媒であるメタノールを除去することで、重合体塩を精製した。以下、当該重合体塩を「P([MTMA][PFOS])」と略記する。
得られたP([MTMA][PFOS])粒子を、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。重合反応液を図1aに、光学顕微鏡像を図1bに、SEM像を図1cに示す。重合反応により図1aに示す通りエマルションが得られ、図1b,cの通り、比較的単分散なマイクロサイズの粒子が得られていることが明らかとなった。また、P([MTMA][PFOS])粒子をNMRで分析したところ、重合性官能基CH2=C<に由来する6ppm付近のピークが消失していたことから、重合が完結していることが確認された。
実施例2: 共重合体塩の製造
柔軟なポリマー成分となるnBMAモノマーとの溶液共重合による内部可塑化を試みた。具体的には、プラスチックチューブ中、上記実施例1(1)で得られた[MTMA]+[PFOS]-(0〜1g)、メタクリル酸n−ブチル(1〜0g)、および重合開始剤として過酸化ベンゾイル(10mg)を、アセトン/2,2,2−トリフルオロエタノール=9/1(w/w)の混合溶媒(0.1g)に溶解した。[MTMA]+[PFOS]-とメタクリル酸n−ブチルとの合計量は1gとした。次いで、封管中の気相を窒素で置換し、恒温漕を使って60℃で24時間重合させた。次に、メタノールを使った再沈殿法により未反応の原料試薬と溶媒を除去することで、重合体を精製した。以下、当該重合体塩を「P(IL−nBMA)」と略記する。
重合後は、重合溶媒で膨潤したポリマーと見られる軟質な固体が得られた。得られた重合体をNMRで分析したところ、未反応のモノマーは存在したものの、いずれも60%程度の重合率での重合の進行が確認された。この低重合率は溶液重合の重合速度の低さにあると考えられ、重合方法や条件の検討などにより改善が期待できる。
実施例3: ポリイオン液体の製造
(1)イオン液体モノマーの調製
1−(2−メタクリロイルオキシエチル)イミダゾール(5.0g)、臭化ブチル(3.8g)、およびメタノール(10g)を混合し、60℃にて24時間反応させた。反応液中に生じた沈殿物を回収し、ジエチルエーテル中に再沈殿させた後に上澄を除去することにより、未反応物を除去した。得られた沈殿物を真空乾燥することにより、1−(2−メタクリロイルオキシエチル)イミダゾールの臭化物塩([Mbim]Br)を得た。
[Mbim]Br(6.0g)とリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド(Li[TFSA])(5.4g)を水(11.4g)に加え、常温にて混合した。水相と油相に分離したところで水相を取り除いた。得られた油性の液体へ純水を加え洗浄を5回繰り返しおこなった後、真空乾燥を行うことで、イオン液体モノマーとして[Mbim]+[TFSA]-を得た。
(2)重合体塩の製造
[Mbim]+[TFSA]-(1.0g)と2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(0.01g)をDMF(5g)中に溶解させ,60℃にて24時間溶液重合を行なった。メタノール中での再沈殿による精製を行い、ポリイオン液体を得た。以下、当該ポリイオン液体を「P([Mbim][TFSA])」と略記する。
(3)アニオン種の交換
得られたP([Mbim][TFSA])(0.5g)とカリウムパーフルオロオクタンスルフォネート(K[PFOS])(1.35g)をDMF(2.5g)に溶解し,FT−IRによりアニオン交換の進行度を確認しつつ、50℃にて24時間アニオン交換反応を行った。反応液にメタノールを加え、析出物をメタノールで5回洗浄した後に真空乾燥することにより、P([Mbim][PFOS])を得た。
試験例1: 表面物性評価
上記実施例1で得られたP([MTMA][PFOS])粒子のエマルションをガラス基板上に塗布し、100℃で1時間加熱してフィルムを作製した。接触角計(「Dropmaster 6000X」共和界面化学社製)を用いて水の接触角を測定し、フィルムの表面物性を評価した。結果を図2に示す。
図2aに示すように静的接触角は67°と比較的疎水性の値を示したが、図2bの通り後退接触角は40°にまで低下し、フィルム表面が水との接触により親水性へと変化したことが示唆された。次いで水滴を完全に後退させ、フィルム表面を空気に接触させた後に再び水滴を滴下すると、接触角は71°と瞬時に再び疎水性を示した。
かかる結果より、P([MTMA][PFOS])のフィルムにもポリイオン液体特有の迅速な極性変換が見られ、高い分子配向性を有することが示唆された。即ち、親水性材料と疎水性材料の両方に親和性を示すと考えられる。
試験例2: 接着性評価
剪断接着強度を測定することにより、上記実施例2で製造したP(IL−nBMA)および上記実施例3で製造したP([Mbim][PFOS])の接着性を評価した。具体的には、縦25mm、横100mmのPTFE製板とアルミニウム製板を、P(IL−nBMA)またはP([Mbim][PFOS])の溶液を接着剤として用いて接着し、アルミニウムに荷重を与えて剪断接着強度を測定した。比較のため、いわゆる木工用ボンド(酢酸ビニルエマルション)とシアノアクリレート系瞬間接着剤(「アロンアルファ(R)」東亞合成社製)を用いて同様の実験を行った。結果を表1と図3に示す。
図3に示す結果の通り、MTMAとnBMAとの共重合により接着強度の向上が見られ、仕込み比が[MTMA][PFOS]/nBMA=3/7(w/w)のとき、[MTMA][PFOS]ホモポリマーと比較して6倍程度の接着強度の向上に成功した。nBMAの割合が更に大きくなると、共重合体塩成分の減少のためか接着強度は低下した。また、ポリマーの力学的強度について評価を行ったところ、最も接着強度の高いものでもその分子量は約4000〜8000と低かったことから、高分子量化などポリマーの力学的強度に関する要因の検討により,今後さらなる接着強度の向上が可能であることが示唆された。
また、表1に示す結果の通り、P([Mbim][PFOS])の剪断接着強度は0.33MPaであった。
なお、いわゆる木工用ボンド(酢酸ビニルエマルション)とシアノアクリレート系瞬間接着剤(「アロンアルファ(R)」東亞合成社製)を用いて同様の実験を行ったところ、剪断接着強度はそれぞれ0MPaおよび0.01MPaと、予想通りフッ素樹脂と金属は通常の接着剤ではまったく接着できなかった。
また、木工用ボンドとシアノアクリレート系瞬間接着剤の場合、接着剤層がPTFE製板から剥離する界面破壊が起こったのに対して、P(IL−nBMA)とP([Mbim][PFOS])の場合には接着剤層はPTFE製板とアルミニウム製板の両方から剥離することはなく、接着剤層が切断される凝集破壊が起こった。この様にP(IL−nBMA)とP([Mbim][PFOS])は疎水性であるPTFE製板と親水性であるアルミニウム製板の両方に親和性を示すことが明らかとなった。

Claims (6)

  1. 下記式(I)で表される構造単位を有する重合体および下記式(II)で表される化合物を含むことを特徴とする重合体塩。
    [式中、
    1〜R3は、独立して、H、F、C1-4アルキル基、またはC1-4フルオロアルキル基を示し、
    4は、C4-12アルキル基またはC4-12フルオロアルキル基を示し、
    1は、C1-6アルキレン基、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオニル基、エステル基、アミド基、ウレア基、もしくはチオウレア基、または、C1-6アルキレン基の一端もしくは両端に、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオニル基、エステル基、アミド基、ウレア基、および/もしくはチオウレア基が結合しているリンカー基を示し、
    YとZは、いずれか一方がカチオン性基であり且つ他方がアニオン性基を示す。]
  2. 上記カチオン性基が、下記式(III)〜(VI)のいずれかで表されるカチオン性基である請求項1に記載の重合体塩。
    [式中、
    5〜R7は、独立して、C1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、但し、R5とR6は一緒になってC3-6アルキレン基またはC3-6フルオロアルキレン基を形成していてもよく、
    8とR9は、独立して、C1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、
    10はC1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示し、
    11はC1-6アルキル基またはC1-6フルオロアルキル基を示す。]
  3. 上記アニオン性基が、スルフェート基、スルホネート基、カルボキシレート基、またはホスフェート基である請求項1または2に記載の重合体塩。
  4. 上記(I)で表される構造単位を有する重合体が、更に下記式(VII)で表される構造単位を有する共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載の重合体塩。
    [式中、
    12〜R14は、独立して、H、F、C1-4アルキル基、またはC1-4フルオロアルキル基を示し、
    15は、C1-8アルキル基またはC1-8フルオロアルキル基を示し、
    2は、単結合、アミノ基、エーテル基、チオエーテル基、カルボニル基、チオニル基、エステル基、アミド基、ウレア基、またはチオウレア基を示す。]
  5. 1がエステル基である請求項1〜4のいずれかに記載の重合体塩。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の重合体塩を含むことを特徴とする接着剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115353837A (zh) * 2022-08-24 2022-11-18 南开大学 一种单组分聚离子液体黏附剂及其制备方法应用

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