JP2019206492A - 外用組成物 - Google Patents

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【課題】本発明は、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とが両立する外用組成物を提供することを目的とする。【解決手段】ポリビニルピロリドンと、多価アルコールとを含有し、且つ吐出容器に収容される、外用組成物は、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とを両立することができる。好ましくは、多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールからなる群より選択される。【選択図】なし

Description

本発明は、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とが両立した外用組成物に関する。
従来より、液状外用組成物の性状の調整を、増粘剤等により行うことが知られている。具体的には、適用部位での効果を高めることを目的として滞留性を向上させる場合に、増粘剤等により粘度を増加させることが有効であると考えられる。例えば、特許文献1には、ピリチオン類、カルボキシメチルセルロースナトリウム、並びに、ヒドロキシエチルセルロース、キサンタンガム、アルギン酸ナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムの群から選ばれる1種以上の粘結剤を含有する口腔用組成物が、ピリチオン類の口腔内の残留性を高めることができることが記載されている。
特開2001−322922号公報
外用組成物は、吐出容器に収容され、吐出によって目的部位に適用するように構成されることがある。しかしながら、適用部位によっては、求める滞留性を満たす程度まで増粘させた外用組成物は、吐出容器に収容したとしても、粘性が高すぎて吐出性が悪くなる問題がある。吐出容器からの吐出性が悪いと、吐出口で外用組成物が詰まったり、吐出口から外用組成物が吐出されたとしても液滴が十分に飛ばなかったりすることで、目的部位に効果的に適用することが出来なくなる。反対に、吐出性を上げるために粘度を下げると、吐出された外用組成物の液滴が目的部位に到達しても、滞留性が悪くなるため、適用部位での効果が十分に得られない。つまり、吐出容器に収容された外用組成物は、吐出性と適用部位における滞留性とが両立しない課題がある。
そこで本発明は、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とが両立した外用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は鋭意検討の結果、吐出容器に収容する外用組成物において、ポリビニルピロリドンと多価アルコールとを組み合わせることによって、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とが両立することを見出した。本発明は、この知見に基づいてさらに検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. ポリビニルピロリドンと、多価アルコールとを含有し、且つ吐出容器に収容される、外用組成物。
項2. 前記吐出容器は、容器内部から吐出口に連通する流路にメッシュが設けられていない、項1に記載の外用組成物。
項3. 前記多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールからなる群より選択される、項1又は2に記載の外用組成物。
項4. 前記多価アルコールはプロピレングリコールである、項1〜3のいずれかに記載の外用組成物。
項5. 25℃での粘度が600〜1450cPである、項1〜4のいずれかに記載の外用組成物。
項6. 咽喉頭粘膜に適用される、項1〜5のいずれかに記載の外用組成物。
本発明によれば、吐出容器からの吐出性と適用部位における滞留性とが両立する外用組成物が提供されるため、適用部位での効果を有効に高めることが可能となる。
本発明の外用組成物は、ポリビニルピロリドンと、多価アルコールとを含有し、且つ吐出容器に収容されることを特徴とする。以下、本発明の外用組成物について詳述する。
ポリニビルピロリドン
本発明の外用組成物は、ポリビニルピロリドンを含有する。本発明の外用組成物において、ポリビニルピロリドンは、多価アルコールと組み合わせられることで、外用組成物の粘度を過度に上げることなく、適用部位における滞留性を向上させることができる。
ポリビニルピロリドンとは、N−ビニル−2−ピロリドンが重合した水溶性の高分子化合物である。
ポリビニルピロリドンの重量分子量については、特に制限されないが、外用組成物の粘度を過度に上げることなく、適用部位における滞留性を向上させる観点から、好ましくは100万〜170万、より好ましくは25万〜50万が挙げられる。ここで、ポリビニルピロリドンの重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー/多角度光散乱光度計(GPC/MALLS)によって測定される値を指す。
本発明の外用組成物において、ポリビニルピロリドンの含有量については、特に限定されないが、外用組成物を適正粘度として吐出性を確保するとともに適用部位における滞留性を有効に向上させる観点から、例えば、0.1〜10重量%、好ましくは0.3〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%が挙げられる。
多価アルコール
本発明の外用組成物は、多価アルコールを含有する。本発明の外用組成物において、多価アルコールは、ポリビニルピロリドンと組み合わせられることで、外用組成物の粘度を過度に上げることなく、適用部位における滞留性を向上させることができる。
多価アルコールとしては、薬学的又は香粧学的に許容されることを限度として特に制限されないが、例えば、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。
前記ポリエチレングリコールの平均分子量については、特に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコールとして、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール800等を使用することができる。
これらの多価アルコールの中でも、外用組成物を適正粘度として吐出性を確保するとともに適用部位における滞留性を有効に向上させる観点から、好ましくは、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトールが挙げられる。さらに、粘度上昇をより良好に抑制し、且つ、適用部位における蒸発抑制性に優れることで、より優れた滞留性と吐出容器における詰まり防止効果とが得られる点で、プロピレングリコールが特に好ましい。
これらの多価アルコールは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の外用組成物において、多価アルコールの含有量は、特に限定されないが、外用組成物を適正粘度として吐出性を確保するとともに適用部位における滞留性を有効に向上させる観点から、例えば10〜80重量%、好ましくは30〜60重量%が挙げられる。
本発明の外用組成物において、ポリビニルピロリドンに対する多価アルコールの比率については、ポリビニルピロリドン及び多価アルコールの各含有量に応じて定まるが、外用組成物を適正粘度として吐出性を確保するとともに適用部位における滞留性を有効に向上させる観点から、例えば、ポリビニルピロリドン1重量部当たり、多価アルコール1〜500重量部、好ましくは5〜200重量部、更に好ましくは20〜100重量部、一層好ましくは30〜60重量部が挙げられる。
増粘剤
本発明の外用組成物には、必要に応じて増粘剤を含ませることができる。増粘剤としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、グアーガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ベントナイト、アルギン酸、マクロゴール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、カルボキシエチルセルロース等が挙げられ、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。これらの増粘剤は、1種を単独で使用してもよし、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の外用組成物に増粘剤を含ませる場合、その含有量としては、外用組成物を、吐出性が確保される適正粘度となる範囲内で使用することができ、例えば、0.65重量%以下、好ましくは0.60重量%以下が挙げられる。

本発明の外用組成物は、更に、水を含有することができる。水としては特に制限されず、精製水、蒸留水、イオン交換水、超純水、滅菌水などが挙げられ、好ましくは精製水が挙げられる。本発明の外用組成物に水を含有させる場合、その含有量については、設定すべき粘度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは40〜70重量%が挙げられる。
その他の成分
本発明の外用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の成分を適宜選択し配合することができる。例えば、薬効成分、界面活性剤(ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤等)、希釈剤、可溶化剤、pH調整剤、粘度調整剤、安定化剤、防腐剤、矯味剤(甘味料を含む)、矯臭剤(香料を含む)、着色料等が挙げられる。
薬効成分としては、ヨウ素系殺菌成分(例えば、ヨウ素、ポビドンヨード、ノノキシノールヨード及びフェノキシヨード等)、気管支拡張薬、鎮咳薬、去痰薬、消炎薬、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、殺菌剤、胃粘膜保護薬、カフェイン類、ビタミン薬、漢方薬、生薬成分を挙げることができる。
粘度
本発明の外用組成物の粘度は、吐出性と適用部位における滞留性とを両立させる限度において特に限定されないが、例えば、25℃での粘度が600〜1450cPとなるように設定することができる。吐出性をより良好としつつ適用部位における滞留性をより良好に向上させる観点から、外用組成物の25℃での粘度として、好ましくは800〜1400cPが挙げられる。
本明細書において、25℃での粘度とは、25℃の温度条件下でブルックフィールド型(B型)回転粘度計を用いて測定される値であり、スピンドル番号T−C93、回転数20rpmの測定条件で、回転開始から60秒後に測定される。
製剤形態
本発明の外用組成物の製剤形態については、スプレーで吐出可能であることを限度として特に制限されず、具体的には、液剤及びジェル剤が挙げられる。このような製剤形態への調製は、第十七改正日本薬局方製剤総則等に記載の公知の方法に従って、製剤形態に応じた添加剤を用いて製剤化することにより行うことができる。
吐出容器
本発明の外用組成物は、吐出容器に収容される。吐出容器とは吐出機構を備える容器であり、容器部と吐出部を含み、好ましくは、吐出部から外用組成物を直接適用部位に吐出するように構成される。適用部位としては、口腔内粘膜、特に咽喉頭粘膜が挙げられる。特に、容器内部から吐出口に連通する流路にメッシュが設けられていない容器は、吐出口から吐出された外用組成物が霧状等の態様で広がることなく、局所的な適用部位を狙って吐出できる点で好ましい。
吐出容器としては、具体的には、例えばトリガータイプの吐出容器、及びプッシュポンプタイプの吐出容器が挙げられる。より具体的には、特開2002−362605号公報、開2004−834号公報、特開2004−359242号公報、特開2004−359241号公報、特開2004−359238号公報、特開2004−352343号公報、特開2004−352333号公報、特開2007−277125号公報、及び特開2014−141288号公報などに記載されている吐出容器が挙げられる。これらの突出容器の中でも、特開2014−141288号公報に記載される吐出容器のように、突出部が延長ノズル形状を有する吐出容器は、適用部位が咽喉頭粘膜等の通常では塗布困難な場所でも外用組成物を容易に到達させ、使用実感が得られやすい点で好ましい。例えば販売名「のどぬーるスプレーB」(小林製薬株式会社製)において使用されている容器を用いてもよい。当該延長ノズルの長さは、好ましくは1〜8cm、より好ましくは2〜7cm、さらに好ましくは4〜7cmであり、また延長ノズルの吐出口は直径0.2〜1.5mmである。本発明の外用組成物は、吐出性が良好であるため、延長ノズルのように流路が長く且つ吐出口の径が小さい場合であっても、詰まりを抑制し容易に外用組成物の吐出が可能となる。
使用態様
発明の外用組成物は、吐出容器を動作させて適用すべき部位に外用投与することにより使用される。好ましくは、吐出容器の吐出部から外用組成物を直接適用部位に向かって吐出する。適用部位としては、外皮であれば特に限定されないが、好ましくは口腔内粘膜、特に咽喉頭粘膜が挙げられる。吐出容器を一回動作させた場合の外用組成物の射出量としては特に限定されないが、通常0.01〜3mL、好ましくは0.03〜1mL、より好ましくは0.05〜0.3mLが挙げられる。本発明の外用組成物の投与量としては、適用部位、及び処置すべき症状の程度等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、1回当たり0.03〜1mL、1日1〜3回が挙げられる。
本発明の外用組成物は、好ましくは、上記適用部位(好ましくは口腔内粘膜、特に咽喉頭粘膜)の殺菌、消毒、治療等の目的で使用することができる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例1
表1に示す組成の外用組成物を調製した。具体的には、多価アルコール(プロピレングリコール、グリセリン、又は70重量%ソルビトール)及び精製水を混合し、均一になるまで攪拌した。実施例においては、さらにポリビニルピロリドンを添加して均一になるまで攪拌した。最後に、ヒドロキシエチルセルロースを添加して均一になるまで攪拌した。なお、表1において各成分の量を示す数値の単位は、重量%である。得られた外用組成物を、以下の粘度測定、吐出性試験、及び滞留性試験に供した。
(25℃での粘度)
以下の測定条件で、外用組成物の粘度を測定した。
測定装置:ブルックフィールドDV-II+(B型粘度計)
気温:25℃
スピンドル:T−C93
回転数:20rpm(回転開始から60秒後に測定)
(吐出性)
外用組成物を「のどぬーるスプレーB」容器(小林製薬株式会社製)に充てんし、吐出口をのどの方向に向け、上部ポンプを押して3回噴射した。「のどにしっかりと外用組成物が当たった」か否(外用組成物が舌の上に落ちた、のどまで到達しなかった等)かについて、以下の基準で10名の官能評価による吐出性を評価した。
○:「のどにしっかりと外用組成物が当たった」と感じた人数が7人以上
△:「のどにしっかりと外用組成物が当たった」と感じた人数が5〜6人
×:「のどにしっかりと外用組成物が当たった」と感じた人数が4人以下
(滞留性)
机の上に平行に置いたアクリル板に1gの外用組成物を滴下した後、ゆっくりとアクリル板を垂直に立てた。アクリル板が垂直に立った時から30秒後において、外用組成物が垂れた長さを測定し、以下の基準で滞留性を評価した。
○:垂れた長さが12cm未満
△:垂れた長さが12cm以上13cm未満
×:垂れた長さが13cm以上14cm未満
××:垂れた長さが14cm以上
得られた結果を下記表1に示す。表1から明らかなように、多価アルコールのみを含む場合(比較例1〜3)及びポリビニルピロリドンを含む場合(比較例4)は、滞留性が悪かったが、ポリビニルピロリドン及び多価アルコールを含む場合(実施例1〜3)は、吐出性を損なうことなく滞留性を向上させることで、吐出性と滞留性とを両立することができた。具体的には、グリセリンのみを含む場合(比較例1)と、さらにポリビニルピロリドンを含む場合(実施例1)との比較、及び、ソルビトールのみを含む場合(比較例3)と、さらにポリビニルピロリドンを含む場合(実施例3)との比較では、さらにポリビニルピロリドンを含む場合(実施例1、3)において僅かな粘度上昇しか認められなかったにも関わらず、滞留性が飛躍的に向上することで、吐出性と滞留性とを両立する顕著な効果が得られた。また、プロピレングリコールのみを含む場合(比較例2)とさらにポリビニルピロリドンを含む場合(実施例2)との比較に至っては、さらにポリビニルピロリドンを含む場合(実施例2)において粘度の減少が認められたにも関わらず、滞留性が飛躍的に向上することで、吐出性と滞留性とを両立する極めて顕著な効果が得られた。このように、比較例1、3と実施例1、3との比較、及び比較例2と実施例2との比較にみられるように、滞留性の向上は粘度に起因して達成されるものではなく、滞留性とは互いに相関するものではないことがわかる。つまり、滞留性の向上は、粘度ではなくポリビニルピロリドン及び多価アルコールを両方含むという組成上の要因で達成されていることがわかる。なお、多価アルコールのみを含む場合(比較例1)において、滞留性を備えさせようとして増粘剤をわずかに増加させただけ(比較例5)で吐出性が悪くなり、吐出性と滞留性とを両立させることが出来なかった。
Figure 2019206492
[試験例2]
実施例1〜実施例3の外用組成物について、以下の水分保持試験に供した。
秤量皿に1gの外用組成物を測りとり、40℃、湿度75%の環境下で72時間放置した。外用組成物の初回重量と72時間後の重量との比率から、液体の残量割合(蒸発残量割合;%)を算出した。
得られた結果を表2に示す。表2から明らかなように、本発明の外用組成物は蒸発速度が遅く、液体状態を長く保つことができるため、この点でも適用部位に付着した後の滞留性が良好であり、且つ、吐出容器において吐出口近辺や容器内部から吐出口に連通する流路内での詰まりも良好に抑制することができる。特に、多価アルコールとしてプロピレングリコールを用いた場合(実施例2)においては、他の多価アルコールに比べて沸点が低いにも関わらず、最も蒸発速度が遅く、最も長く液体状態を保つことができた。
Figure 2019206492

Claims (6)

  1. ポリビニルピロリドンと、多価アルコールとを含有し、且つ吐出容器に収容される、外用組成物。
  2. 前記吐出容器は、容器内部から吐出口に連通する流路にメッシュが設けられていない、請求項1に記載の外用組成物。
  3. 前記多価アルコールは、グリセリン、プロピレングリコール、及びソルビトールからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の外用組成物。
  4. 前記多価アルコールはプロピレングリコールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外用組成物。
  5. 25℃での粘度が600〜1450cPである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外用組成物。
  6. 咽喉頭粘膜に適用される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の外用組成物。
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