JP2019206460A - レーザを用いて孔を有するガラス基板を製造する方法 - Google Patents

レーザを用いて孔を有するガラス基板を製造する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスへの吸収が小さい波長のレーザで効率的に孔を有するガラス基板を製造する。【解決手段】孔を有するガラス基板を製造する方法であって、相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、前記ガラス基板の前記第1、第2の表面のうち、少なくとも1つの表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程と、平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程と、を有することを特徴とする、孔を有するガラス基板の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、レーザを用いて孔を有するガラス基板を製造する方法に関する。
従来、ガラス基板にレーザ照射により孔を形成する方法として、COレーザ等による方法が知られている(例えば特許文献1)。COレーザはガラスに吸収される波長を有するため、ガラス基板がレーザを吸収し熱加工により孔が形成される。しかし、熱加工であることや、レーザの集光性が悪いことから、孔径60μm以下の微細孔の形成ができないという問題があった。
その他にも、可視光からUV領域の波長を有するレーザを、パルス発振して用いる方法が知られている(例えば特許文献2、特許文献3)。これらの方法では、1孔の加工時間が数十msから百msと長いため、生産効率が悪いという問題があった。
また、これらの孔形成工程に続けて、エッチング工程を設けることで、孔内壁の平滑化や孔径の拡大を図った例も知られている。(例えば、特許文献1、2)
特開2016−56046号公報 特表2014−501686号公報 特許第3797068号公報
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、ガラスへの吸収率が低い波長を有するレーザを、高出力で連続発振しガラス基板に照射することで、孔径・深さを制御し、所望の孔を短時間で形成することを可能にする、新しいレーザ加工方法を提供する。
本発明では、
相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
前記ガラス基板の前記第1、第2の表面のうち、少なくとも1つの表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程と、
平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程と、
を有することを特徴とする、孔を有するガラス基板の製造方法が提供される。
本発明の製造方法は、ガラスへの吸収率が低い波長を有するレーザを、高出力で連続発振しガラス基板に照射することで、孔径・深さを制御し、所望の孔を短時間で形成することを可能にする。
本発明の一実施形態により形成され得る孔の断面を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法のフローを模式的に示した図である。 本発明の一実施形態おける、レーザ照射工程で使用され得るレーザ照射装置を概略的に示した図である。 本発明の他の一実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法のフローを模式的に示した図である。 例13において、レーザ照射工程後に形成された貫通孔の、ガラス基板の第1、第2の表面における開口部、および断面状態の写真である。 例28における、エッチング工程後の貫通孔の、ガラス基板の第1、第2の表面における開口部、および断面状態の写真である。
本発明における実施形態では、孔を有するガラス基板の製造方法であって、
(1)相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程(ガラス基板準備工程)と、
(2)前記ガラス基板の前記第1の表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程(吸収層設置工程)と、
(3)平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程(レーザ照射工程)と、
を有する方法が提供される。
本発明における実施形態では、吸収層設置工程でガラス基板表面に設置した吸収層に、レーザ照射工程において、特定の条件を満たすレーザを照射することにより、ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成することができる。以下、レーザ照射工程で孔が形成される条件や原理について、詳細を説明する。
まず、レーザ照射工程では、吸収層設置工程で設置された吸収層にレーザが照射される。吸収層はレーザのエネルギーを吸収し、プラズマを発生する(ステップ1)。発生したプラズマの熱によりガラス基板表面には凹部が形成される(ステップ2)。レーザは連続発振されるため、プラズマに連続的にエネルギーが供給される。その結果、レーザの照射時間の間、プラズマが持続し、ガラス基板の凹部を拡張する。これにより、ガラス基板に孔が形成される(ステップ3)。
(ステップ1について)
レーザは、ガラス基板への吸収が小さい波長を有する連続発振レーザが選択される。従って、COレーザのようにガラス基板に熱的に孔は形成されず、また高パルスエネルギーを有する短パルスレーザのようにアブレーション現象も観測されない。従って、ガラス基板表面に吸収層を設置することにより、初めて孔形成が可能になる。
(ステップ2について)
本発明に記載の製造方法では、発生したプラズマの熱によりガラス基板表面に凹部が形成される。従来のCOレーザによる孔加工では、ガラス基板はレーザのエネルギーを直接吸収し、熱溶融するため、孔径60μm以下の孔を形成できなかった。しかし、発生したプラズマの熱による加工する本発明の方法によれば、レーザ照射条件によって、孔径60μm以下の孔加工も実現できる。
(ステップ3について)
レーザの一部が孔内壁で反射され、孔の深さ方向に進行することで、プラズマが孔底部に到達し、深さ方向に加工が進行する。レーザ照射時間や、開口数を調節することで、プラズマの到達深度が変わり、任意の深さの孔を形成できる。特に、低い開口数を選択することで、レーザのガラス基板への入射角度が小さくなり、孔形成中においては、孔内壁に対するレーザの反射角度が大きくなるため、レーザがより深くまで到達でき、高いアスペクト比を有する孔が形成できる。
このように、本発明のレーザ照射工程では、ガラス基板への吸収が小さい波長を有するレーザであっても、上記メカニズムにより孔加工が実現できる。なお、上記メカニズムは現時点で考察したものであって、実際の孔の形成挙動は、その他のメカニズムで説明されても良い。
また、プラズマを利用した孔形成法として、特許文献3には、YAGパルスレーザを用いる方法が記載されている。しかし、パルスレーザを用いるため、1孔の加工時間が40ms〜400msと長くなり、生産効率が悪いという課題がある。また、特許文献3では、どのような寸法の孔が得られるかについて、具体的な記載がなく、更に、具体的な孔径、深さを有する孔を加工するための条件も開示されていなかった。そのため、例えばインターポーザ等で要求される寸法・精度の孔を特許文献3に記載の方法で得ることができるか不明である。本発明では、孔径を20μm〜80μm、深さを10μm〜700μmの範囲で制御し、所望の寸法を持つ孔を、従来の方法と比較して、約100分の1〜8000分の1の短時間で形成できる条件を提供する。
次に、上記メカニズムにより、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成するためのレーザ照射条件について説明する。
(レーザの波長について)
本発明で使用されるレーザの波長は、レーザの波長に対する被加工ガラスの吸収係数が0.5cm−1以下であれば、特に限られない。ガラスへの吸収係数が小さい波長を有するレーザで加工することにより、ガラス基板への熱影響を抑えられるため、孔径の拡大を防ぐことができる。従って、本発明では、目的とする孔径の孔を加工するために、被加工ガラスの吸収係数が0.5cm−1であるようなレーザ波長を選択することを特徴とする。好ましくは0.3cm−1以下、更に好ましくは0.15cm−1以下であると、熱影響を更に軽減できる。この条件を満たす波長の範囲は、例えば下限が350nm以上、好ましくは500nm以上、より好ましくは1000nm以上であり、上限が3000nm以下、好ましくは2050nm以下、より好ましくは1090nm以下である。
(レーザの平均出力について)
レーザの平均出力は、50W〜300Wの範囲である。レーザの平均出力がこの範囲であれば、本発明に記載の、直径20μm〜80μmの孔が形成できる。レーザの出力の大きさは、特に形成する孔の孔径に与える影響が大きく、出力が大きなレーザをガラス基板に照射することにより、短時間で大きな孔径の孔が形成される傾向にある。更に、クラックの発生を抑制し、高品質の孔を形成するには、レーザの平均出力は250W以下であることが好ましく、150W以下であることがより好ましい。一方、安定的に孔を形成し、孔曲がりを抑制して、孔品質を向上するためには、レーザ平均出力は、70W以上が好ましく、80W以上がより好ましい。
(レーザの照射時間について)
レーザのガラス基板への照射時間は、加工したい孔の孔径、深さに応じて適当な値に調節される。特に、照射時間は形成される孔の深さへの影響が大きい。同じ開口数、出力で、照射時間を長くすると、深く、アスペクト比の大きな孔を形成することができる。本発明に記載の方法では、連続発振されたレーザを使用することにより、1孔の加工時間を従来技術より短くすることが可能であり、生産性を大幅に改善できる。加工時間短縮の観点から言えば、照射時間は短いほど好ましく、例えば1ms以下であり、好ましくは500μs以下であり、より好ましくは300μs以下である。一方で、十分に孔形成を進めるために、照射時間は好ましくは1μs以上であり、より好ましくは10μs以上であり、更に好ましくは50μs以上である。
(集光レンズの開口数について)
集光レンズの開口数は、レーザの集光半角の正弦値として与えられる値である。開口数は、加工したい孔の孔径、深さに応じて、適当な値に調節される。例えば、開口数は形成される孔の孔深さやアスペクト比に影響を与える。出力、照射時間が同じであっても、低い開口数ほど深く、アスペクト比が高い孔が形成される傾向にある。深孔を形成するためには、開口数は0.150以下が好ましく、0.130以下がより好ましい。一方、集光エネルギーを確保し、安定して孔を形成するためには、開口数は0.015以上が好ましく、0.020以上がより好ましい。
(本発明で形成される孔について)
以上の条件でレーザを照射することにより、ガラス基板に直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成することが可能になる。孔は、ガラス基板を貫通していても良く、未貫通で合っても良い。以下で、形成される孔の形状の詳細について説明する。図1には、ガラス基板に形成され得る未貫通孔の模式図を示す。
本発明に記載の製造方法により、ガラス基板の表面に形成された孔の開口部の直径を孔径φとすると(図1のφ参照)、孔径φは20μm以上であり、好ましくは25μm以上であり、更に好ましくは30μm以上の範囲である。また、孔径φは、80μm以下であり、好ましくは75μm以下であり、更に好ましくは65μm以下の範囲である。本発明に記載の方法では、出力や照射時間、開口数などを適切に選択することで、従来レーザ照射のみで形成することが難しかった、孔径20μm〜60μmを含む、広い範囲の孔径を有する孔を、短時間で形成することが可能である。
図1に示す未貫通孔において、ガラス基板の開口部が形成された表面から、孔底部までの距離を孔深さdとする(図1のd参照)。本発明に記載の製造方法により形成される孔では、孔深さdは10μm以上であり、好ましくは50μm以上であり、更に好ましくは80μm以上の範囲である。また、孔深さdは、700μm以下であり、好ましくは600μm以下であり、更に好ましくは500μm以下の範囲である。本発明では、出力や照射時間、開口数などを適切に選択することで、広い範囲の孔深さを有する孔を形成することが可能である。
前記孔深さdと、孔径φの比d/φをアスペクト比とすると、孔のアスペクト比は、例えば1以上である。また、アスペクト比は15以下であり、好ましくは13以下であり、更に好ましくは10以下である。
ガラス基板をインターポーザとして用いる場合、用途に応じて様々な孔径、孔深さ、アスペクト比を有する孔の形成が求められる。本発明に記載の方法によれば、レーザ照射条件を調節することにより、孔径、孔深さ、アスペクト比を制御し様々な孔を形成できる。
なお、孔がガラス基板を貫通している場合、前記孔深さdが計測できない。そこで、以下では、貫通孔を形成した条件と同様の条件でレーザ照射工程を行った場合、ガラス基板の厚さが充分であったならば、形成されたと推測される未貫通孔のアスペクト比を、「推定されるアスペクト比」と呼ぶ。この時、実際に形成された貫通孔の、ガラス基板の第1、第2の表面に形成された開口部のうち、大きい方の開口部の直径を孔径φとし、ガラス基板の厚さをtとすると、(推定されるアスペクト比)>t/φである。
上述のレーザ照射条件、メカニズムにより、上述の形状を有する孔を形成できる。近年、半導体分野のインターポーザ用として、微細孔を有するガラス基板の需要が高まっており、用途に応じてガラス基板に様々な孔径、深さを有する微細孔を短時間で加工する技術が求められている。本発明が提供する方法を用いれば、従来技術では追加の工程なく加工出来なかった、20μm〜60μmの中程度の孔径を有する微細孔を、レーザ照射のみで形成できる。また、加工時間を従来に比べて10分の1〜1万分の1と大幅に短縮できるため、生産効率を改善できる。
以下では、本発明の具体的な実施の形態について、詳細を説明する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法について、図2または図3を参照して説明する。
図2には、本発明の第1の実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法のフローを模式的に示す。
図2に示すように、第1の実施形態における、孔を有するガラス基板の製造方法では、
(工程S110)相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程(ガラス基板準備工程)と、
(工程S120)前記ガラス基板の前記第1の表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程(吸収層設置工程)と、
(工程S130)平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程(レーザ照射工程)と、
を有する。
以下、図3を参照して、各工程について説明する。なお、図3には、第1の実施形態で使用され得る装置の構成を概略的に示す。
(工程S110)
まず、被加工用のガラス基板10が準備される。ガラス基板は相互に対向する第1の表面10および第2の表面10bを有する。
(工程S120)
次に、ガラス基板の第1の表面10aに、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層が設置される。
吸収層は、レーザ照射工程で利用されるレーザの、少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する限り、特に限られない。吸収層は、例えば、前記レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する材料のみによって構成されても良く、前記材料が有機材料中に分散されたもので構成されても良い。例えば、カーボンブラックやグラファイト、またはこれらを含む顔料や塗料、合成樹脂インク、レーザプリンターに使用されるトナーなどであって良い。
なお、吸収層は、第2の表面に設置されても良く、第1及び第2の表面の両方に設置されても良い。特に、吸収層がガラス基板の第1の表面に設置されると、孔径や孔深さにばらつきの少ない、精度の高い孔加工が可能である。本発明の第1の実施形態では、第1の表面に吸収層が設置される場合について説明する。
吸収層の設置方法は、特に限られない。例えば蒸着法、CVD法、スパッタリング法、スプレーコート法、インクジェット法、その他の塗布方法であってよい。蒸着法、CVD法、スパッタリング法では、ガラス基板と吸収層の密着性を高め、発生プラズマの熱を効率的にガラス基板に伝えることができる。スプレーコート法やインクジェット法では、簡便な設備を用い、短時間で吸収層を設置できるため、生産効率の向上やコストの削減につながる。
(工程S130)
次に、吸収層が設置されたガラス基板の第1の表面10aにレーザが照射される。図3には、工程S130で使用され得る装置の構成を概略的に示す。
図3に示すように、レーザ照射装置140は、ステージ150、レーザ発振器160と、ビーム調整光学系170と、集光レンズ180等を有する。
まず、ステージ150に、工程S120で第1の表面10aに吸収層を設置されたガラス基板10が、第2の表面10bをステージの側にして設置される。ガラス基板は、ステージに固定されても良い。固定方法は特に限られないが、冶具などで抑えられても良く、吸着固定または接着固定されても良い。吸着は、例えば真空吸着、または静電吸着等である。
次に、レーザ発振器160からレーザビーム165が発振される。
レーザビーム165の波長は、レーザビーム165の波長に対する被加工ガラスの吸収係数が0.5cm−1以下であれば、特に限られない。
レーザビーム165は、連続発振されることを特徴とする。連続発振レーザを用いる事により、パルスレーザに比べ短時間で孔を形成できる。
レーザビーム165の発振モードは、特に限られない。好ましくは、シングルモードであると、集光特性が良く、真円度の高い孔の形成が可能である。
レーザ発振器160は、特に限られない。例えばHe−Neレーザ、Arイオンレーザ、エキシマXeFレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YAGレーザの第2高周波、第3高周波、ルビーレーザ、ファイバーレーザなどであって良い。好ましくは、レーザ発振器160はファイバーレーザである。ファイバーレーザは、ビーム品質が高いため、高精度の微細孔加工が可能であり、また装置の設置やメンテナンスが容易で、安価なことや、消費電力、装置寿命という点でもすぐれた特性を有する。ファイバーレーザは、Yb.ファイバーレーザ、Nd.ファイバーレーザ、Tm.ファイバーレーザ等である。
レーザ発振器160から連続発振されたレーザビーム165は、ビーム調整光学系170に入射し、ビーム調整光学系でビーム径やビーム形状が調整されレーザビーム175となる。
ビーム調整光学系170は、凹レンズや凸レンズの組み合わせで形成される。ビーム調整光学系170は、アパーチャを有しても良い。
レーザビーム175は、集光レンズ180に入射し、集光されてレーザビーム185となり、ガラス基板の第1の表面10aに入射する。
レーザビーム175の焦点は、例えばガラス基板10の第1の表面10a上に形成されても良く、ガラス基板10の内部に形成されても良く、ガラス基板10の第2の表面10b上に形成されても良い。好ましくは焦点を第1の表面10aに形成することで、孔径や孔深さのばらつきが少ない、高精度な孔加工が可能である。
ここで、集光レンズ180とガラス基板10の間の媒質を空気、空気の屈折率をn、集光半角をθ(図3参照)とすると、開口数NAは、下記式(1)から算出される。
NA=n・sinθ・・・(1)
ここで、空気の屈折率n=1であるとすると、上式(1)は、下記式(2)のように表される。
NA=sinθ・・・(2)
ここで、集光半角θは、下記式(3)により算出される値である。
(r/2)/f=tanθ・・・(3)
この時、上式(3)において、rは集光レンズ180に入射するレーザビーム175のビーム径、fは集光レンズ180の焦点距離(図3参照)である。なお、図3は、ガラス基板の第1の表面10a上に焦点が設定された場合を示している。
今、θは充分に小さく、sinθはtanθで近似できるため、(2)、(3)より、開口数NAは下記(4)式で計算できる。
NA=(r/2)/f・・・(4)
本発明では、(4)式を用いて開口数NAの計算を行った。
開口数は、加工したい孔の孔径、深さに応じて、前述の値の範囲で調節される。
レーザビーム185のスポット径sは、加工したい孔の孔径に応じて、適当な値に調節される。例えば4μm〜50μmの範囲である。
レーザの平均出力は、レーザビーム185を用いて測定される。レーザの平均出力は、加工したい孔の孔径に応じて、前述の値の範囲で設定される。
レーザビーム185がガラス基板10の第1の表面10aに設置された吸収層に入射すると、吸収層はレーザビーム185のエネルギーを吸収し、プラズマを発生する。発生したプラズマは、前述のメカニズムによりガラス基板に孔11を形成する。
以上の工程により、ガラス基板に孔11が形成される。孔11はガラス基板の第1の表面に開口部を有し、第2の表面に向かって形成される。孔11は前述の形状を有する。また、ガラス基板に孔は一つ、または複数形成される。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法について、図4を参照して説明する。
図4には、本発明の第2の実施形態による孔を有するガラス基板の製造方法のフローを概略的に示す。
図4に示すように、第2の実施形態における、孔を有するガラス基板製造方法では、
(工程S210)相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程(ガラス基板準備工程)と、
(工程S220)前記ガラス基板の前記第1の表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程吸収層を設置する工程(吸収層設置工程)と、
(工程S230)平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程(レーザ照射工程)と、
(工程S240)前記ガラス基板をアニールする工程(アニール工程)と、
(工程S250)前記ガラス基板をエッチングする工程(エッチング工程)と、
を有する。
以下、各工程について説明する。
(工程S210)
まず、被加工用のガラス基板が準備される。なお、この工程は前述の第1の実施形態における工程S110と同様であるため、ここではこれ以上詳しく説明しない。
(工程S220)
次にガラス基板の表面に、吸収層が設置される。なお、この工程は前述の第1の実施形態における工程S120と同様である。
(工程S230)
次に、吸収層が設置されたガラス基板の第1の表面にレーザが照射される。なお、この工程は前述の第1の実施形態における工程S130と同様である。
(工程S240)
次に、前記ガラス基板がアニールされる。アニールにより、レーザ照射工程によりガラス基板の孔周辺に生じた応力を緩和できる。これにより、この後のエッチング工程で、孔の内壁を等方的に、均一に除去することが可能になる。
(工程S250)
次に、前記ガラス基板がエッチングされる。エッチングにより、孔径の拡大、孔内部の平滑化、ガラス基板表面のデブリ除去等が可能である。本発明の製造方法によると、エッチングを行わずに、レーザ照射のみで孔径20μm〜80μmの孔径を有する孔を得られることが特徴であった。従って、第2の実施形態のように、レーザ照射後、エッチング工程を行う場合であっても、従来の、パルスレーザによりアブレーションを発生させ、1〜15μmの微細孔をあけた後、エッチングで孔径を拡張する方法と比較しても、本発明の方法では、エッチング工程に有するエッチング液の量や、時間、エッチングされるガラス基板の量を少なくすることが可能である。
次に、本発明の実施例について説明する。
(例1〜例14)
例1〜16では、厚さ500μmのガラス基板を用いて孔形成実験を行った。実験条件と結果を下記表1にまとめた。下記で、各例の条件について説明する。
(例1)
まず、対向する第1、第2の表面を有するガラス基板を準備した。ガラス基板は無アルカリガラスであり、波長1070nmのレーザに対する吸収係数は約0.15cm−1であった。ガラス基板の厚さは500μmであった。
次に、このガラス基板の第1の表面に、グラファイトを含む塗料を噴霧し吸収層とした。
続いて、ガラス基板に、前述の図2に示した装置140と同等の構成を有するレーザ照射装置を用いて孔を形成した。レーザ発振器160としてYb.ファイバーレーザを用いた。装置140のステージ150に、第2の表面をステージの側にして設置し、前述の第1の実施形態におけるレーザ照射工程を実施した。レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。ガラス基板に入射させたレーザビーム185の波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径sは16μm、出力は50Wであった。照射時間は、50μsであった。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと第1の表面から計測した孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、φ=25μm、d=20μm、d/φ=0.8、であった。なお、10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例2〜4)
例2〜4では、例1と同様に、ガラス基板準備工程、吸収層設置工程を行い、同じ装置を用いてレーザ照射工程を行った。なお、各条件は例1と同様に、レーザビーム波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μm、出力は50Wであり、レーザビームは連続発振し、レーザビームの焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。例2、3、4ではレーザの照射時間はそれぞれ、100μs、200μs、300μsであった。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと第1の表面から計測した孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、例2ではφ=30μm、d=42μm、d/φ=1.40、例3ではφ=35μm、d=72μm、d/φ=2.06、例4ではφ=41μm、d=77μm、d/φ=1.88であった。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例5〜7)
例5〜7では、例1と同様にガラス基板準備工程、吸収層設置工程を行い、同じ装置を用いてレーザ出力を88Wに変更し、レーザ照射工程を行った。なお、各条件は例1と同様に、レーザビーム波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmであり、レーザビームは連続発振し、レーザビームの焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。例5、6、7ではレーザの照射時間をそれぞれ50μs、100μs、200μsに設定した。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと第1の表面から計測した孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、例5ではφ=24μm、d=85μm、d/φ=3.54、例6ではφ=30μm、d=231μm、d/φ=7.70、例7ではφ=43μm、d=440μm、d/φ=10.2であった。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例8〜10)
例1と同様にガラス基板準備工程、吸収層設置工程を行い、同じ装置を用いてレーザ出力を100Wに変更し、レーザ照射工程を行った。レーザの照射時間は例8では50μs、例9では100μs、例10では200μsに設定した。なお、その他の各条件は例1と同様に、レーザビーム波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmであり、レーザビームは連続発振し、レーザビームの焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと第1の表面から計測した孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、例8ではφ=30μm、d=102μm、d/φ=3.40、例9ではφ=40μm、d=255μm、d/φ=6.38、であった。また、例10では孔径φ=45μmであり、孔は厚さ500μmのガラス基板を貫通していた。従って、ガラス基板厚さtと、大きい方の開口部の直径φの比t/φ=11.1であるため、ガラス基板が充分な厚さを有していた場合、形成されたと推定される未貫通孔のアスペクト比(すなわち、「推定されるアスペクト比」)、は、(推定されるアスペクト比)>11.1である。例10で形成された貫通孔は、第1の表面における開口部径が、第2の表面における開口部径より大きい、テーパ形状をしていた。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例11〜13)
例1と同様にガラス基板準備工程、吸収層設置工程を行い、同じ装置を用いてレーザ出力を150Wに変更し、レーザ照射工程を行った。レーザの照射時間は、例11では50μs、例12では100μs、例13では200μsに設定した。なお、各条件は例1と同様に、レーザビーム波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmであり、レーザビームは連続発振し、レーザビームの焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、例11はφ=36μm、d=134μm、d/φ=3.72、例12ではφ=47μm、d=274μm、d/φ=5.83であった。また、例13では孔径φ=56μmであり、孔は厚さ500μmのガラス基板を貫通していた。従って、(推定されるアスペクト比)>8.93である。例10で形成された貫通孔は、第1の表面における開口部径が、第2の表面における開口部径より大きい、テーパ形状をしていた。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。図5には、例13におけるレーザ照射工程で形成された貫通孔のガラス基板第1の表面における開口部(501)、第2の表面における開口部(503)と孔の断面写真(502)を示した。写真における第1の表面における開口部の直径は56μm、第2の表面における開口部の直径は11μmであり、ガラス基板の厚さは500μmであった。
(例14)
例1と同様にガラス基板準備工程、吸収層設置工程を行い、同じ装置を用いてレーザ出力を200Wに変更し、レーザ照射工程を行った。照射時間は300μsであった。なお、その他の各条件は例1と同様に、レーザビーム波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmであり、レーザビームは連続発振し、レーザビームの焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。例14では孔径φ=73μmであり、孔は厚さ500μmのガラス基板を貫通していた。従って、(推定されるアスペクト比)>6.85である。例10で形成された貫通孔は、第1の表面における開口部径が、第2の表面における開口部径より大きい、テーパ形状をしていた。なお、10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
このように、レーザ出力を大きくすることで、孔径φ、孔深さdの値を大きくし、特に孔径φを拡大できた。一方、レーザの照射時間を大きくすることで、孔径φ、孔深さdの値が大きくなり、特に孔深さdを深くすることができた。また、レーザ出力と照射時間を調節することで、500μmの厚さを有するガラス基板に、テーパ形状の貫通孔を形成できた。
(例15〜20)
次に、ガラス基板の厚さを変更し、貫通孔を形成する実験を行った。ガラス基板は対向する第1の表面と第2の表面を有し、例1〜14と同様の組成、吸収係数を有するものを用いた。ガラス基板の厚さは例15では100μm、例16では200μm、例17では300μm、例18〜20では700μmとした。下記表2に、例15〜20の実験条件と結果をまとめた。
ガラス基板の第1の表面には、例1〜14と同様にグラファイトを塗布し吸収層とし、前述の第1の実施形態におけるレーザ照射工程を行った。ガラス基板に入射させたレーザビーム185の波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmとし、レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。下記で、各例の条件について説明する。
(例15〜17)
例15では、出力は88W、照射時間は70μsとした結果、厚さ100μmのガラス基板にテーパ形状の貫通孔が形成できた。この時、ガラス基板の第1の表面における開口部の径(以下、TOP孔径と記載する)は30μm、第2の表面における開口部の径(以下、BTM孔径と記載する)は13μmであり、従ってアスペクト比は3.33以上であった。例16では、出力88W、照射時間100μsとした結果、厚さ200μmのガラス基板にテーパ形状の貫通孔が形成できた。この時、TOP孔径は37μm、BTM孔径は11μmであり、従って推定されるアスペクト比は5.41以上である。例17では出力100W、照射時間140μsとした結果、厚さ300μmのガラス基板にテーパ形状の貫通孔が形成できた。この時、TOP孔径は43μm、BTM孔径は10μmであり、従って推定されるアスペクト比は6.98以上であった。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例18〜20)
例18〜20では、厚さ700μmのガラス基板を用いて実験を行った。例18では、出力100W、照射時間200μs、例19では、出力100W、照射時間300μs、例20では、出力150W、照射時間300μsとして加工を行った。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。例18、19では孔はガラス基板を貫通しなかったが、例20ではガラス基板を貫通した。例18におけるTOP孔径は50μmであり、第1の表面から計測した孔深さは538μmであり、従ってアスペクト比は10.8であった。例19におけるTOP孔径は53μmであり、第1の表面から計測した孔深さは639μmであり、従ってアスペクト比は12.1であった。例20では、貫通孔の形状はテーパであり、TOP径は64、BTM径は13であり、従って推定されるアスペクト比は10.9以上である。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
(例21〜24)
次に、レーザ照射工程における、開口数NA、スポット径を例1〜20と異なる値になるよう調節し、実験を行った。下記の表3に、例21〜24におけるレーザ照射条件と、レーザ照射工程によって形成された孔の孔径φ、孔深さd、アスペクト比d/φをまとめた。
ガラス基板、吸収層は例1と同様のものを準備した。ガラス基板を前述の図2に示したような装置140のステージ150に、第2の表面をステージの側にして設置し、前述の第1の実施形態におけるレーザ照射工程を実施した。ガラス基板に入射させたレーザビーム185の波長は1070nm、開口数NAは0.125、スポット径は7μm、出力は150Wとし、レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。照射時間は、例21、22、23、24でそれぞれ50μs、100μs、200μs、300μsとした。
これにより、ガラス基板に孔が形成された。第1の表面における孔径φと孔深さd、アスペクト比d/φはそれぞれ、例21ではφ=39μm、d=96μm、d/φ=2.46、例22ではφ=47μm、d=219μm、d/φ=4.66、例23ではφ=57μm、d=345μm、d/φ=6.05、例24ではφ=63μm、d=365μm、d/φ=5.79、であった。なお、各例で10孔を加工したところ、クラックは発生しなかった。
ここで、開口数NA=0.125、スポット径7μmで実験を行った例21〜23を、同じ出力で、開口数NA=0.047、スポット径16μmで実験を行った例11〜13と比較すると、同じ照射時間において形成された孔の孔深さが浅くなったことがわかる。
このように、本発明に記載の方法によれば、開口数、出力、照射時間を調節することにより、広い範囲の孔径、孔深さ、アスペクト比を有する孔を形成できた。
(例25〜28)
次に、レーザ照射工程により、ガラス基板に貫通孔を形成した後、上述の第2の実施形態で示したような、アニール工程とエッチング工程を行った実験結果を示す。図6には、例28における、エッチング後の貫通孔のガラス基板第1の表面における開口部(601)、第2の表面における開口部(603)と孔の断面写真(602)を示した。写真における第1の表面における開口部の直径は57μm、第2の表面における開口部の直径は28μmであり、ガラス基板の厚さは482μmであった。下記の表4には、例25、26、27、28の、レーザ照射条件と、アニール、エッチング工程後の、ガラス基板の第1の表面における孔径(TOP孔径)、第2の表面における孔径(BTM孔径)、エッチングにより減少したガラス基板の厚み、をまとめた。
まず、例1と同様の手法でガラス基板を準備、吸収層を設置し、レーザ照射工程を行い貫通孔を形成した。ガラス基板に入射させたレーザビーム185の波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μmとし、レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定した。例25では、ガラス基板の厚さを200μm、レーザ出力を88W、照射時間を100μs、例26では、ガラス基板の厚さを300μm、レーザ出力を100W、照射時間を150μs、例27では、ガラス基板の厚さを500μm、レーザ出力を100W、照射時間を200μs、例28では、ガラス基板の厚さを500μm、レーザ出力を150W、照射時間を200μsとして加工を行い、貫通孔を形成した。
次に、貫通孔が形成されたガラス基板をアニールした。
続けて、ガラス基板をエッチングした。エッチングには、濃度2質量%のフッ酸をエッチング液として使用した。
これにより、例25〜28におけるガラス基板の厚みはそれぞれ18μm減少した。エッチング後のガラス基板の第1の表面における孔径(TOP径)、第2の表面における孔径(BTM径)は、それぞれ、例25でのTOP孔径が45μm、BTM孔径が30μm、例26でのTOP孔径が50μm、BTM孔径が30μm、例27でのTOP孔径が49μm、BTM孔径が21μm、例28でのTOP孔径が57μm、BTM孔径が28μmであった。孔の断面形状はそれぞれ、TOP径がBTM径より大きく、内部に狭窄部のないテーパ形状であった。
(例29〜31)
次に、吸収層の設置位置、レーザ照射工程における、レーザ焦点の形成位置を変更して実験を行った。
ガラス基板は例1〜14と同じ物を使用した。ガラス基板は厚さ500μmであった。
次に、吸収層としてグラファイトを設置した。例29、30では、ガラス基板の第2の表面に、例31ではガラス基板の第1の表面と第2の表面の両方に、それぞれ吸収層を設置した。
次に、レーザ照射工程を行った。加工には例1〜14と同じ装置を用い、波長は1070nm、開口数NAは0.125、スポット径7μm、出力は150W、照射時間は200μsとし、連続発振レーザを用いて加工を行った。レーザビーム185の焦点の形成位置は、例29ではガラス基板の第2の表面(BTM面)、例30、31ではガラス基板の内部、すなわち第1の表面と第2の表面の中間地点に設置した。
レーザ照射工程により、ガラス基板に孔が形成された。例29では、ガラス基板の第2の表面に開口部を有する孔が形成され、孔径は66μm、第2の表面から計測した孔深さは206μmであった。例30においても、ガラス基板の第2の表面から孔が形成されたが、開口部はふさがっていた。開口部における孔径を測定することはできなかったが、孔断面写真より推測される孔径は50μm程度であり、第2の表面から計測した孔深さは462μmであった。例31では、ガラス基板の第2の表面に、孔径約67μmの開口部が形成され、第2の表面から計測した孔深さは約100μm〜300μmであった。
このように、吸収層の設置位置や、レーザビームの焦点の形成位置を変更しても、孔が形成可能であることが分かった。
(比較例1)
例1〜14と同じ、厚さ500μmのガラス基板を用いて、第1の実施形態におけるレーザ照射工程を行う。第1の表面に吸収層を設置し、例1〜14と同様の装置に、第2の表面をステージの側にしてガラス基板を設置する。ガラス基板に入射させたレーザビーム145の波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μm、出力10W、照射時間50μsとし、レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定して加工を行う。
ガラス基板に孔径20μm以上、深さ10μ以上の孔は形成されないと推測される。
(比較例2)
例1〜14と同じ、厚さ500μmのガラス基板を用いて、第1の実施形態におけるレーザ照射工程を行った。第1の表面に吸収層を設置し、例1〜14と同様の装置に、第2の表面をステージの側にしてガラス基板を設置した。ガラス基板に入射させたレーザビーム185の波長は1070nm、開口数NAは0.047、スポット径は16μm、出力300W、照射時間300μsとし、レーザビーム185は連続発振し、レーザビーム185の焦点はガラス基板の第1の表面上に設定して加工を行った。
これにより、ガラス基板に孔が形成され、孔はガラス基板を貫通していた。TOP孔径は90μm、BTM孔径は19μmであり、従って推定されるアスペクト比は5.56以上である。孔の周辺にはクラックが発生した。このように、出力300W,照射時間300μsの条件では、TOP径が80μmを超え、またクラックが10孔のうち3孔で発生した。
以上の実施例に記載したように、本発明の方法は、ガラスを透過する波長を有するレーザを照射し、発生プラズマを利用して孔を形成するものであって、目的とする孔径・深さを有する孔を形成できる詳細な条件について初めて開示したものである。特に、従来のレーザ加工方法が苦手とする20μm〜60μmの中程度の孔径を有する孔を、追加の工程なく、数十〜数百μsの短時間で形成できる特徴は、インターポーザを初めとする様々な用途において有用である。
10 ガラス基板
10a ガラス基板の第1の表面
10b ガラス基板の第2の表面
11 ガラス基板に形成された、第1の表面に開口部を有する孔
140 レーザ照射装置
150 ステージ
160 レーザ発振器
165 レーザ発振器120から発振されたレーザビーム
170 ビーム調整光学系
175 ビーム調整光学系130により調製されたレーザビーム
180 集光レンズ
185 集光レンズ140により集光されたレーザビーム
d ガラス基板に形成された、第1の表面に開口部を有する孔の孔深さ
φ ガラス基板に形成された孔の開口部径(孔径)
t ガラス基板の厚さ
f 集光レンズ180の焦点距離
s レーザビーム185のスポット径
r レーザビーム175のビーム径
θ 集光半角

Claims (12)

  1. 相互に対向する第1および第2の表面を有するガラス基板を準備する工程と、
    前記ガラス基板の前記第1、第2の表面のうち、少なくとも1つの表面に、レーザの少なくとも一部のエネルギーを吸収する機能を有する吸収層を設置する工程と、
    平均出力が50〜500Wの範囲であり、前記ガラス基板の吸収係数が0.5cm−1以下である波長を備えたレーザを連続発振し、前記ガラス基板の、前記第1の表面の側に1ms以下の照射時間で照射することにより、前記ガラス基板に、直径20μm〜80μm、深さ10μm〜700μmの範囲である孔を形成する工程と、
    を有することを特徴とする、孔を有するガラス基板の製造方法。
  2. 前記孔のアスペクト比が1〜15となるように、前記レーザを照射することを特徴とする、ガラス基板の製造方法、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記レーザは、開口数(NA)が0.015〜0.150で照射されることを特徴とする、請求項1乃至2のいずれか一つに記載の製造方法。
  4. 前記レーザの波長は、350nm〜3000nmであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の製造方法。
  5. 前記レーザは、ファイバーレーザである、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の製造方法。
  6. 前記レーザのスポット径が、4μm〜50μmの範囲であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の製造方法。
  7. 前記レーザの焦点がガラス基板の第1の表面、第2の表面、ガラス基板内部のいずれか一つに形成されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の製造方法。
  8. 前記レーザのビームはシングルモードであることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の製造方法。
  9. 前記ガラス基板をアニールする工程を有することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一つに記載の製造方法。
  10. 前記ガラス基板をエッチングする工程を有することを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一つに記載の製造方法。
  11. 前記吸収層に、前記レーザが照射されることにより発生したプラズマが、前記ガラス基板に凹部を形成し、更に、前記プラズマが、連続して入射される前記レーザを吸収することにより存続し、前記凹部を拡大し、前記ガラス基板に孔を形成することを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一つに記載の製造方法。
  12. 前記吸収層を前記ガラス基板の前記第1の表面に設置することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一つに記載の製造方法。
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