本発明の実施形態に係る行先階登録装置、エレベータの群管理システム、及びエレベータシステムについて、図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同様の構成要素については同一の符号を付している。
(実施形態1)
1−1.エレベータシステムの概要
本実施形態に係るエレベータシステムの概要について説明する。図1は、実施形態1に係るエレベータシステムの配置を示す概略図である。
本実施形態に係るエレベータシステムは、図1に示すように、複数のエレベータ1A〜1Fと、行先階登録装置2A,2Bと、ホールスピーカ3A,3Bとを備える。エレベータの群管理システムは、エレベータ(A号機〜F号機。以下適宜「号機」という)1A〜1Fの走行および運行を統合的に制御する。本実施形態では、一例としてA号機からF号機の6台のエレベータ1A〜1Fが設けられている。各エレベータ1A〜1Fの乗降口がエレベータホールに設けられており、利用者はエレベータホールからエレベータ1A〜1Fに乗降する。
本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、行先階登録方式を採用する。行先階登録方式は、利用者がエレベータ1A〜1Fの乗車する前に、利用者の目的の階床である行先階があらかじめ登録される方式である。本実施形態では、行先階登録装置2A,2Bが、エレベータホールの入口の近傍に設置されているものとする。以下、行先階登録装置2A,2Bを総称して「行先階登録装置2」という場合がある。
図2は、本システムにおける行先階登録装置を説明するための図である。図2(a)は、行先階登録装置2の外観を示す。行先階登録装置2は、カードリーダ21と、表示部22と、タッチパネル23と、押しボタン24と、音声出力部25とを備える。利用者は、行先階登録装置2において、カードリーダ21を利用して個人認証をしたり、表示部22の表示に基づきタッチパネル23にタッチしたりして、行先階を指定する操作を行う。すると、本システムでは、行先階登録装置2において指定された行先階が、複数台のエレベータ1A〜1Fの内のいずれかのエレベータに割り当てられる。以下、利用者の行先階が割り当てられたエレベータを「割当号機」という。
図2(b)は、行先階登録装置2の表示部22による表示例を示す。行先階登録装置2では、登録された行先階が割当号機に割り当てられると、図2(b)に示すように、割当号機(この例ではD号機)を利用者に案内するための画像が表示部22に表示される。利用者は、表示部22の表示を視認することにより、自身が乗車すべき号機を確認することができる。また、本実施形態では、表示部22の表示を視認することが困難な視覚障害者のために、行先階登録装置2の音声出力部25や、ホールスピーカ3A,3Bから、割当号機を案内するための音声出力も行われる。本システムは、行先階登録装置2のカードリーダ21から取得する利用者を示す情報(利用者情報)を用いて、行先階登録装置2の操作を行い易くする。以下、本システムの構成について説明する。
1−2.エレベータの群管理システムの構成
本実施形態に係るエレベータの群管理システムの構成について、図1〜3を参照して説明する。図3は、実施形態1に係るエレベータの群管理システムの構成を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、エレベータ1A〜1F毎に設けられた号機制御装置5A〜5Fと、複数の行先階登録装置2A,2Bと、複数のホールスピーカ3A,3Bと、群管理制御装置4とを備える。
各エレベータ(各号機)1A〜1Fは、かご、巻上機(モータ)、釣合おもり、制御部等を有する。
エレベータ1A〜1Fの内で、エレベータ1A,1Bは、スピーカ11(音声案内部)などの、視覚障害者に適した運行が可能な仕様を有する専用機である。スピーカ11は、例えば、エレベータ1A,1Bが視覚障害者の行先階の到着したときに、所定のアナウンスやメロディ音などの音声情報を出力する。図1に示すように、エレベータ1A,1Bは、それぞれエレベータ1A〜1Fの内で、行先階登録装置2A,2Bの設置位置に最も近い位置に設置されている。
ホールスピーカ3A,3Bは、それぞれ図1に示すように、エレベータ1A,1Bの乗降口の近傍に設置されている。ホールスピーカ3A,3Bは、それぞれエレベータ1A,1Bに視覚障害者の行先階が割り当てられたときに、視覚障害者にエレベータ1A,1Bの位置を案内するために、所定のアナウンスやメロディ音などの音声情報を出力する。
1−3.群管理制御装置の構成
群管理制御装置4は、行先階登録装置2によって登録される行先階を、複数のエレベータ1A〜1Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる制御を行う。群管理制御装置4は、図3に示すように、記憶部40と、群管理制御部41と、入出力インタフェース42とを備える。群管理制御装置4は、複数の階床に渡って運行するエレベータ1A〜1Fを管理する群管理制御装置の一例である。
記憶部40は、群管理制御装置4の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。例えば、記憶部40は、行先階登録装置2A,2Bの設置場所から各エレベータ1A〜1Fまでの距離や移動時間(例えば閑散時と混雑時とのそれぞれにおける移動時間)、各エレベータ1A〜1Fの仕様などのデータを格納している。記憶部40は、例えばハードディスク(HDD)や半導体記憶装置(SSD)で構成される。
群管理制御部41は、群管理制御装置4の動作全体を制御する。群管理制御部41は、記憶部40から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置4における後述する各種の機能を実現する。群管理制御部41は、例えばCPU、MPUで構成される。群管理制御部41は、専用に設計された電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路(ASIC,FPGA等)で構成されてもよい。群管理制御部41の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
入出力インタフェース42は、行先階登録装置2A,2B及び号機制御装置5A〜5Fとの間で各種信号を送受信するためのインタフェース回路である。入出力インタフェース42は、群管理制御部41から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース42は、行先階登録装置2A,2B及び号機制御装置5A〜5Fから入力された信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御部41に出力する。入出力インタフェース42は、各種装置と有線接続を介して通信してもよいし、無線接続を介して通信してもよい。
1−4.号機制御装置の構成
号機制御装置5A〜5Fは、群管理制御装置4からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ1A〜1Fをそれぞれ駆動する制御装置である。また、号機制御装置5A〜5Fはそれぞれ、対応するエレベータ1A〜1Fのかごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報を含むかご状態信号を群管理制御装置4に出力する。なお、以下では、号機制御装置5A〜5Fを総称して「号機制御装置5」という場合がある。
号機制御装置5A〜5Fの内で、エレベータ(専用機)1A,1Bの号機制御装置5A,5Bは、それぞれ群管理制御装置4からの制御信号に従い、エレベータ1A,1Bの種々の運行状態を設定する運行モードを切替え制御する。エレベータ1A,1Bの運行モードには、通常モードと配慮運転モードとがある。通常モードは、エレベータ1A,1Bにおいて、専用機以外のエレベータ1C〜1Fと同様の運行を行う運行モードである。配慮運転モードは、エレベータ1A,1Bにおいて、視覚障害者の乗車に配慮した運転を行うための、エレベータの運行モードである。配慮運転モードでは、例えば、特定の階床(視覚障害者の出発階及び行先階)においてドアの開放期間を通常時よりも長くしたり、出発階から行先階までスピーカ11から上記の音声出力をしたりするように、種々の制御がなされる。号機制御装置5の構成の詳細については後述する。
1−5.行先階登録装置の構成
行先階登録装置2の構成について、図2及び図4を参照して説明する。図4は、本システムにおける行先階登録装置2の構成を示すブロック図である。
行先階登録装置2は、行先階登録方式において利用者の行先階を群管理制御装置4に登録するための装置である。行先階登録装置2は、図4に示すように、制御部20と、カードリーダ21と、表示部22と、タッチパネル23と、押しボタン24と、音声出力部25と、記憶部26と、入出力インタフェース27とを備える。
制御部20は、行先階登録装置2の動作全体を制御する。制御部20は、記憶部26から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置2における後述する各種の機能を実現する。制御部20は、例えばCPU、MPUで構成される。制御部20は、専用に設計された電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路(ASIC,FPGA等)で構成されてもよい。制御部20の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
カードリーダ21は、例えば接触型ICカードリーダで構成される。カードリーダ21は、ICカードの接触を検知して、検知したICカードに記録される利用者情報を読み取る。カードリーダ21は、利用者情報の記録媒体の一例であるICカードから、利用者情報を取得する情報取得部の一例である。カードリーダ21は、密着型や近接型などの非接触型ICカードリーダで構成されてもよい。
本実施形態では、エレベータの利用者がICカードを所持しており、ICカードに、利用者を示す利用者情報が記録されていることを想定している。本実施形態において、利用者情報は、ID情報と、属性情報と、優先順位情報とを含む。ID情報は、利用者を個人認証するための情報であり、例えば識別番号を含む。属性情報は、利用者情報が示す利用者の属性を示す情報である。本実施形態では、属性情報は、視覚障害者とそれ以外の者のいずれかの利用者属性を示す。優先順位情報は、エレベータ1A〜1Fが運行する階床に関する特定の順番を示す情報である。優先順位情報における階床の順番は、利用者の行先階の候補としての優先順位に対応しており、例えば、利用者の利用頻度が高い階床順に設定される。
本実施形態におけるカードリーダ21には、図2(a)に示すように、ICカードの接触面上に複数の凸部21aが設けられている。凸部21aは、例えば凸形状部を有するシール部材をカードリーダ21の接触面に貼り付けることによって形成される。これにより、利用者は、凸部21aに触れることによってカードリーダ21の接触面の位置を触覚で認識することができる。また、視覚障害者がカードリーダ21を利用しやすい。
表示部22は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。表示部22は、制御部20が生成する画像信号に基づいて、種々の画像を表示する。例えば、表示部22は、図2(b)に示すように割当号機を示す画像を表示する。図2(b)の例では、「D号機の前でお待ち下さい」と表示されている。
タッチパネル23は、表示部22の表示面に重畳して設けられたタッチセンサである。タッチパネル23は、表示部22によって表示された画像に対するタッチ操作を受け付け、所定の信号を制御部20に出力する。表示部22とタッチパネル23とは、タッチパネル式表示デバイスを構成する。タッチパネル式表示デバイスにおいて、表示部22とタッチパネル23とは一体的に形成されてもよいし、別体で形成されてもよい。
押しボタン24は、押圧式の操作部材である。押しボタン24は、押圧操作を検知して所定の信号を制御部20に出力する。押しボタン24は、図2(a)に示すように、カードリーダ21に併設されている。また、押しボタン24の主面には、点字形状の凸部24aが形成されている。利用者は、押しボタン24における点字形状の凸部24aに触れることによって、押しボタン24の位置を触覚で認識することができるので、視覚障害者は押しボタン24を利用しやすい。本実施形態において、行先階登録装置2に対する利用者の操作を受け付ける操作部は、タッチパネル23と押しボタン24とを含む。
音声出力部25は、制御部20からの制御信号に基づいて、所定の情報を有する音声を出力する。音声出力部25は、例えば音声合成装置で構成される。なお、音声出力部25は、音声アナウンスに限らず、メロディ音やブザー音などを出力してもよい。本実施形態において、利用者に行先階の候補に関する情報を報知する報知部は、表示部22と音声出力部25とを含む。
図4に戻り、記憶部26は、行先階登録装置2の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。例えば、記憶部26は、当該記憶部26を含む行先階登録装置2の識別情報を示す行先階登録装置IDを記録している。記憶部26は、例えばフラッシュメモリで構成される。
入出力インタフェース27は、群管理制御装置4やホールスピーカ3A,3Bとの間で各種信号を送受信するためのインタフェース回路である。入出力インタフェース27は、制御部20から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース27は、群管理制御装置4から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部20に出力する。入出力インタフェース27は、群管理制御装置4と有線接続を介して通信してもよいし、無線接続を介して通信してもよい。入出力インタフェース27は、群管理制御装置4に各種情報を送受信する通信部の一例である。
1−6.号機制御装置の構成の詳細
各エレベータ1A〜1Fに対する号機制御装置5A〜5Fは、群管理制御装置4からの制御信号に基づいて、巻上機(モータ)の動作等を制御することにより、かごの上昇、下降、停止等を制御する。号機制御装置5の構成の詳細について、図5を参照して説明する。図5は、本システムにおける号機制御装置5の構成を示すブロック図である。
号機制御装置5は、図5に示すように、制御部50と、記憶部51と、入出力インタフェース52とを備える。
制御部50は、号機制御装置5の動作全体を制御する。制御部50は、記憶部51から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、号機制御装置5における後述する各種の機能を実現する。制御部50は、例えばCPU、MPUで構成される。制御部50は、専用に設計された電子回路や再構成可能な電子回路などのハードウェア回路(ASIC,FPGA等)で構成されてもよい。制御部50の機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
記憶部51は、行先階登録装置2の機能を実現するために必要なプログラム及びデータを記憶する記憶媒体である。プログラムは、本実施形態の各種機能を実現するためのプログラムを含む。記憶部51は、例えばフラッシュメモリで構成される。
入出力インタフェース52は、群管理制御装置4やエレベータとの間で各種信号を送受信するためのインタフェース回路である。入出力インタフェース52は、制御部50から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース52は、号機制御装置5A〜5F毎に対応するエレベータ1A〜1Fや、群管理制御装置4から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部50に出力する。入出力インタフェース52は、群管理制御装置4と有線接続を介して通信してもよいし、無線接続を介して通信してもよい。
2.動作
2−1.動作の概要
本実施形態に係る行先階登録装置2及びエレベータの群管理システムの動作の概要について説明する。本システムにおいて、エレベータの利用者は、行先階登録装置2のカードリーダ21にICカードをかざして個人認証し、その後に自身の行先階を登録するための操作を行う。このとき、行先階登録装置2の操作に手間がかかると、利用者にとって不便である。また、本実施形態において、行先階登録装置2は、視覚障害者が行先階の登録操作を行えるように、行先階の候補を案内するための音声アナウンスを行う。その際、行先階以外の階床ばかりアナウンスされると、毎回時間がかかり、利用者(視覚障害者)にとって不便である。さらには、ある利用者による行先階の登録操作時のアナウンスが長引くと、他の利用者や周辺にいる人々に煩わしさやストレスを与えてしまう。
そこで、本実施形態に係る行先階登録装置2は、カードリーダ21を介して取得した利用者情報に基づいて、行先階の候補を報知する順番を利用者毎に変化させる。また、本システムは、行先階登録装置2で取得された利用者情報に基づいて、利用者が視覚障害者である場合に限って、音声アナウンスを実行したり、視覚障害者が利用し易いようにエレベータを運行したりする。以下、本システムにおける行先階登録装置2及び群管理制御装置4の動作について説明する。
2−2.行先階登録装置の動作
図6〜9を参照して、行先階登録装置2の動作について説明する。図6は、行先階登録装置2による行先階登録処理を示すフローチャートである。図7は、図6の行先階登録処理に続く残りの行先階登録処理を示すフローチャートである。図8は、図6の行先階登録処理における表示部22の表示例を示す図である。図9は、図7の行先階登録処理における表示部22の表示例を示す図である。
行先階登録処理は、行先階登録装置2において、利用者による行先階の登録操作を受け付けるとともに、行先階が割り当てられたエレベータを利用者に報知する処理である。行先階登録処理は、行先階登録装置2の制御部20によって実行される。本処理は、行先階登録装置2のカードリーダ21(図2参照)が、ICカードの接触を検出したときに開始される。以下では、一例として、エレベータ1A〜1F(図1参照)は1〜13階の階床間で運行するものとする。
まず、制御部20は、カードリーダ21がICカードから利用者情報を取得したか否かを検知する(S1)。図8(a)は、行先階登録処理の初期状態(ステップS1)における表示部22の表示例を示す。
ステップS1において、表示部22は、図8(a)に示すように、「ICカードをカードリーダにかざしてください」というメッセージや、カードリーダ21の設置位置に向いた矢印マークなどの画像を表示する。利用者がICカードをカードリーダ21にかざしたとき、カードリーダ21は、利用者のICカードから利用者情報を取得する。制御部20は、カードリーダ21による利用者情報の取得を検知するまで、ステップS1の処理を繰り返す(S1でNO)。
制御部20は、カードリーダ21によって利用者情報が取得されたことを検知すると(S1でYES)、取得された利用者情報に含まれる属性情報に基づいて、利用者情報が示す利用者が、視覚障害者であるか否かを判断する(S2)。以下、利用者が視覚障害者でない場合と利用者が視覚障害者である場合にそれぞれ実行される処理について、説明する。
(1)利用者が視覚障害者でない場合
まず、利用者が視覚障害者でない場合に実行される処理について説明する。以下の処理では、視覚障害者でない利用者として健常者を想定している。
制御部20は、利用者情報における属性情報に基づいて利用者が視覚障害者でないと判断した場合(S2でNO)、利用者情報における優先順位情報に基づいて利用者の行先階の候補を示す画像を生成し、生成した画像を表示部22に表示させる(S3)。図8(b)は、ステップS3における表示部22の表示例を示す。
図8(b)の表示例において、表示部22は、「行先階にタッチしてください」という、利用者に行先階を指定することを促すメッセージとともに、複数のボタン状の階数ボタンを示す画像(以下、「階床ボタン」という。)を表示している。利用者は、階床ボタンをタッチすることにより、階床ボタンに対応する階床を行先階として指定できる。
複数の階床ボタンの配置は、図8(b)に示すように、所定の方向d1において順番に並べられる。階床ボタンが方向d1において並ぶ順番は、利用者情報における優先順位情報が示す優先順位の順番である。図8(b)の例では、上ほど優先順位が高く、優先順位情報が示す優先順位が1番、2番及び3番の階床はそれぞれ13階、1階及び9階である。優先順位が1番から3番までの階床ボタンは、優先順位順に並ぶとともに、優先順位の4番以降の階床ボタンよりも大きいサイズで強調されるように表示されている。このため、利用者は優先順位が高い階床ボタンを視認し易く、自身の優先順位に応じた行先階の指定操作を行い易い。
また、本実施形態では、優先順位情報における4番以降の優先順位が、階床数が大きい順で規定されている。これに応じて、優先順位が4番以降の階床ボタンが、図8(b)に示すような配置で表示される。なお、行先階登録装置2の設置階に対応する階床ボタンの表示は、省略されてもよい。また、優先順位情報は、1〜3番などの所定範囲内の優先順位を規定する情報であってもよい。この場合、制御部20が、優先順位情報で規定されない階床に対し、所定の順番(階床数が大きい順や小さい順など)を設定してもよい。
図6に戻り、制御部20は、タッチパネル23が、利用者の階床ボタンに対するタッチ操作による行先階の登録操作を受け付けたか否かを検知する(S4)。
制御部20は、タッチパネル23が行先階の指定操作を受け付けたことを検知すると(S4でYES)、指定された行先階を示す行先階情報と、行先階登録装置IDと、利用者情報に含まれる利用者の属性情報とを群管理制御装置4に送信する(S5)。制御部20は、タッチパネル23が行先階の指定操作を受け付けるまで、ステップS4の処理を繰り返す(S4でNO)。なお、制御部20は、所定期間中(例えば10秒)にタッチパネル23で行先階の指定操作がなされなかった場合、ステップS1以降の処理を再度、行ってもよい。
ここで、ステップS5において群管理制御装置4に送信される属性情報は、視覚障害者ではない利用者の属性を示す。本実施形態では、上述のとおり、このような利用者として健常者を想定している。群管理制御装置4は、上記の属性情報とともに行先階情報及び行先階登録装置IDを受信すると、これに応答して、行先階情報が示す行先階が割り当てられた割当号機を示す割当号機情報を行先階登録装置2に送信する。群管理制御装置4の動作の詳細については後述する。
次に、行先階登録装置2の制御部20は、入出力インタフェース27(図4参照)を介して群管理制御装置4から割当号機情報を受信したか否かを判断する(S6)。
制御部20は、群管理制御装置4から割当号機情報を受信するまでステップS6の判断を繰り返し行い(S6でNO)、群管理制御装置4から割当号機情報を受信したことを検知すると(S6でYES)、受信した割当号機情報が示す割当号機を利用者に案内するための案内画像を生成して、表示部22に表示させる(S7)。図8(c)は、ステップS7における表示部22の表示例を示す。
図8(c)の表示例で、表示部22は「D号機の前でお待ちください」と表示している。これにより、利用者の行先階に対して、D号機(エレベータ1D(図1参照))が割り当てられたことを示す。利用者は、案内画像を視認することにより、自身の行先階が割り当てられた割当号機を認識することができる。
制御部20は、例えば、表示部22に所定時間(例えば3秒)、図8(c)に示す案内画像を表示させ、その後に案内画像を消去させ、本処理を終了する。
(2)利用者が視覚障害者である場合
次に、利用者が視覚障害者である場合に実行される処理について説明する。以下では、一例として、本処理の対象となる利用者(視覚障害者)に関する優先順位情報が、図8(b)の例と同様の場合(優先順位が高い順に、13階、1階、9階…の場合)について説明する。
図6のステップS2において、制御部20は、利用者情報における属性情報に基づき、利用者が視覚障害者であると判断した場合(S2でYES)、図7のステップS10に進み、利用者情報における優先順位情報に基づき、優先順位が最優先の階床を選択する(S10)。制御部20は、利用者の優先順位情報が図8(b)の例と同様の場合には、優先順位が1番である「13階」を最優先の階床として選択する。
次に、制御部20は、選択した階床を行先階の候補として示す階床情報を生成し、音声出力部25に、階床情報をアナウンス(音声出力)させる(S11)。例えば、ステップS10の処理において13階が選択された場合、音声出力部25は、「行先階は13階ですか」という音声アナウンスを出力する。
次に、制御部20は、利用者によってアナウンスされた階床情報に対する指定操作がなされたか否かを判断する(S12)。本実施形態において、階床情報に対する指定操作の有無の判断は、音声出力部25によるアナウンスの開始時点から所定期間(例えば3秒)中に、押しボタン24の押圧操作またはタッチパネル23のタッチ操作があったか否かを判断することによって行われる(図2参照)。また、本実施形態では、ステップS12において制御部20は、図9(a)に示すような画像を表示部22に表示させる(詳細は後述)。例えば、表示部22には「行先階の案内後、画面をタッチしてください」と表示される。
制御部20は、アナウンスされた階床情報に対する指定操作がなされなかったと判断した場合(S12でNO)、利用者情報における優先順位情報を参照して、アナウンスされた階床の次の優先順位の階床を選択する(S13)。制御部20は、優先順位の順番で階床を選択する度に、選択した階床の階床情報を音声出力部25にアナウンスさせ(S11)、アナウンスされた階床情報に対する指定操作がなされるまで、ステップS11〜S13の処理を繰り返す。
例えば、優先順位が1番である「13階」の階床情報のアナウンス後に、この階床情報に対する指定操作がなされなければ(S12でNO)、音声出力部25は、優先順位が2番である「1階」の階床情報のアナウンスを行う(S13,S11)。このように、優先順位(13階、1階、9階…)の順番において1つずつ、階床情報のアナウンスが音声出力部25から行われる。また、一つずつ階床情報がアナウンスされる度に、アナウンスされた階床情報に対する指定操作が、操作部(押しボタン24及びタッチパネル23)に対してなされたか否かを判断する。
制御部20は、アナウンスされた階床情報に対する指定操作がなされたと判断した場合(S12でYES)、音声出力部25による階床情報のアナウンスを停止する(S14)。例えば、優先順位が2番の「1階」の階床情報に対する指定操作がなされると、その時点で階床情報のアナウンスが停止され、優先順位が3番以降(9階…)の階床情報のアナウンスは省略される。
次に、制御部20は、指定操作がなされた階床情報が示す階床を、行先階として示す行先階情報、行先階登録装置ID及び利用者が視覚障害者であることを示す属性情報を、群管理制御装置4に送信する(S15)。
群管理制御装置4は、視覚障害者を示す属性情報とともに行先階情報及び行先階登録装置IDを受信すると、例えば記憶部40に記録されている距離を参照して行先階登録装置IDが示す行先階登録装置2から最寄りの専用機(割当号機)に行先階情報が示す行先階を割り当てて、割当号機情報を当該行先階登録装置2に送信する。
次に、行先階登録装置2の制御部20は、入出力インタフェース27(図4参照)を介して群管理制御装置4から割当号機情報を受信したか否かを判断する(S16a)。
制御部20は、群管理制御装置4から割当号機情報を受信するまでステップS16aの判断を繰り返し行い(S16aでNO)、群管理制御装置4から割当号機情報を受信すると(S16aでYES)、割当号機情報に基づき当該制御部20を含む行先階登録装置2から最寄りの割当号機(専用機)を利用者に案内するためのメッセージを含む案内情報を生成して、生成した案内情報を音声出力部25にアナウンスさせる(S16)。最寄りの割当号機(専用機)は、行先階登録装置2A,2Bのそれぞれの設置位置に対して、最も近い位置に設置されているエレベータ1A,1Bである(図1参照)。例えば、行先階の登録が行先階登録装置2Aで行われた場合には、音声出力部25は、案内情報として「A号機の前でお待ちください」という音声アナウンスを出力する。また、制御部20は、図9(b)に示すように、音声アナウンスに対応した案内画像を表示部22に表示させる。例えば、表示部22は「配慮運転モードです、A号機の前でお待ちください」と表示する。
次に、制御部20は、ホールスピーカ3A,3Bの内で、最寄りの割当号機(専用機)に対応するホールスピーカに、所定のアナウンスやメロディ音などの音声情報を出力させる(S17)。これにより、視覚障害者の行先階が割り当てられたエレベータの近傍にあるホールスピーカから音声情報が出力され、視覚障害者に乗車すべきエレベータの位置を案内することができる。
制御部20は、音声情報の出力後に、表示部22に案内画像を消去させ、本処理を終了する。
以上の処理によると、行先階登録装置2において音声出力部25又は表示部22から階床情報(階床ボタン)が報知される順番が、利用者情報における優先順位情報に基づいて、利用者毎に変化する。このため、行先階登録装置2において、利用者が、行先階を指定するのが容易になる。
また、以上の処理では、利用者情報における属性情報に基づいて、視覚障害者などの特定の利用者には音声によって階床情報が報知され(図7のステップS11)、他の利用者の操作時には音声出力による報知が省略される。これにより、視覚障害者と他の利用者によらず、いずれの利用者においても、行先階登録装置2を利用しやすくなる。
また、本実施形態では、上述したように、ステップS12において、図9(a)に示すような画像が表示部22に表示される。図9(a)に示す表示例では、表示部22は、利用者が行先階の案内(階床情報)のアナウンス後にタッチパネル23をタッチすることを促すメッセージを表示している。このようなメッセージは、音声出力部25によって適時、音声出力されてもよい。
また、図9(a)に示すような表示部22の画面の表示中に、タッチパネル23は、表示部22の画面全体のどこがタッチされても、そのタッチ操作を、行先階の登録操作として受け付ける。このため、視覚障害者は、ステップS12において、階床情報のアナウンス後に簡単に登録操作を行うことができる。なお、ステップS12の処理は視覚障害者を対象としているが、視覚障害者の中には、全盲ではなく弱視の人もいる。このような人らにとって、図9(a)に示すようなメッセージの画像が表示されることで、行先階登録装置2が利用し易くなる。
2−3.群管理制御装置の動作
群管理制御装置4の動作について、図10を参照して説明する。
図10は、群管理制御装置4によるエレベータの割当処理を示すフローチャートである。エレベータの割当処理は、行先階登録装置2において登録された行先階を、群管理制御装置4において、複数のエレベータ1A〜1Fのうちのいずれかのエレベータに割り当てる処理である。図10に示すエレベータの割当処理は、図6,7に示す行先階登録装置2において行われた行先階登録処理に基づいて、群管理制御装置4の群管理制御部41によって実行される。
まず、群管理制御部41は、入出力インタフェース42(図3参照)を介して、図6のステップS5又は図7のステップS15において行先階登録装置2が送信した行先階情報、行先階登録装置ID及び利用者に関する属性情報を受信する(S20)。群管理制御部41は、行先階情報、行先階登録装置ID及び属性情報を受信していないと判断した場合(S20でNO)、本処理を繰り返し実行する。
群管理制御部41は、行先階情報、行先階登録装置ID及び属性情報を受信したと判断した場合(S20でYES)、受信した属性情報に基づいて、利用者が視覚障害者であるか否かを判断する(S21)。例えば、図6のステップS5の処理の実行時には、行先階登録装置2から健常者の利用者属性を示す属性情報が群管理制御装置4に送信される。この場合、群管理制御部41は、利用者が視覚障害者でないと判断し(S21でNO)、ステップS22に進む。
ステップS22において、群管理制御部41は、複数のエレベータ1A〜1Fの中からいずれかのエレベータに、受信した行先階情報が示す行先階を割り当てて、割当号機を決定する。ステップS22の処理は、例えば以下のように行われる。
まず、群管理制御部41は、エレベータ1A〜1Fにおける各エレベータの運行情報に基づいて、行先階を割り当てるべきエレベータ(割当号機)を選択するための評価値を、エレベータ毎に算出する。ここで、各エレベータの運行情報は、例えば、各エレベータのかご状態(かごの位置、走行方向、ドアの開閉状態、荷重等を含む)、予測される待ち時間(割当号機が出発階に到着するまでの時間)、予測されるサービス完了時間(割当号機が行き先階に到着するまでの時間)、かごの予定される停止回数(サービス完了までの間に予定されるエレベータの停止回数)などを示す情報を含む。上記評価値の算出後、群管理制御部41は、エレベータ1A〜1Fのうちから最も高い評価値を有するエレベータを選択し、行先階を、選択したエレベータに割り当てる。群管理制御部41は、この他、一般的に知られている従来の方法を用いて行先階をいずれかのエレベータに割り当ててもよい。
次に、群管理制御部41は、号機制御装置5A〜5Fの中で割当号機を制御する号機制御装置に、行先階呼び情報(出発階情報及び行先階情報)を送信する(S23)。出発階情報は、行先階登録装置2の設置階を出発階として示す情報である。ステップS23において行先階呼び情報を受信した号機制御装置は、行先階登録装置2の設置階(出発階)から行先階情報が示す行先階まで走行するように、割当号機を制御する。
次に、群管理制御部41は、行先階登録装置IDに基づき行先階情報の送信元の行先階登録装置2に、割当号機を示す割当号機情報を送信し(S24)、エレベータの割当処理を終了する。これにより、この行先階登録装置2は、割当号機を示す情報を表示する。
ステップS21において、利用者が視覚障害者であると判断した場合(S21でYES)、群管理制御部41は、号機制御装置5A〜5Fの内の専用機の号機制御装置5A又は5Bに対する配慮運転命令を生成する(S25)。配慮運転命令は、通常時とは異なる所定の運行モード(配慮運転モード)で専用機を運行することを要求する命令である。
次に、群管理制御部41は、専用機の号機制御装置5A,5Bの内で、行先階情報の送信元の行先階登録装置の最寄りの専用機を制御する号機制御装置に、行先階呼び情報と配慮運転命令を送信する(S26)。ステップS26において行先階呼び情報と配慮運転命令を受信した号機制御装置は、行先階登録装置2の設置階から行先階情報が示す行先階まで、配慮運転モードで運行するように、専用機を制御する。配慮運転モードでは、例えば、号機制御装置は、視覚障害者の出発階及び行先階においてドアの開放期間が通常時よりも長くしたり、行先階までの全停止階において所定の音声情報をスピーカ11(図3参照)から出力させたりする。これにより、視覚障害者は、エレベータの乗車時に常に停止階を確認できる。そのため、視覚障害者に、停止階が判らないという不安を生じさせないようにすることができる。
次に、群管理制御部41は、行先階登録装置IDに基づき行先階情報の送信元の行先階登録装置2に、割当号機を示す割当号機情報を送信し(S27)、エレベータの割当処理を終了する。割当号機情報を受信した行先階登録装置2は、割当号機を示す情報を音声で出力する。
以上の処理によると、行先階登録装置2からの行先階情報及び属性情報に基づいてエレベータ1A〜1Fの運行制御が行われる。これにより、視覚障害者とそれ以外の者のそれぞれにとって、エレベータを利用しやすくすることができる。
3.まとめ
以上のように、本実施形態に係る行先階登録装置2は、複数の階床に渡って運行するエレベータを管理する群管理制御装置4にエレベータの利用者の行先階を登録する装置である。行先階登録装置2は、タッチパネル23と、押しボタン24と、入出力インタフェース27と、カードリーダ21と、表示部22と、音声出力部25と、制御部20とを備える。タッチパネル23及び押しボタン24は、利用者が行先階を指定するタッチ操作及び押圧操作を受け付ける。入出力インタフェース27は、指定された行先階を示す行先階情報を群管理制御装置4に送信する。カードリーダ21は、利用者を示す利用者情報を取得する。表示部22及び音声出力部25は、利用者に対して、階床を示す階床情報を報知する。制御部20は、表示部22及び音声出力部25による報知動作を制御する。制御部20は、複数の階床のうち、利用者情報に応じた少なくとも一の階床を示す階床情報を、カードリーダ21によって取得された利用者情報に応じた順番で、表示部22又は音声出力部25から報知させる。
これにより、表示部22又は音声出力部25から利用者情報に応じた順番で階床情報が報知され、報知の順番が、利用者毎に適切に変化するため、利用者が、報知される階床情報から行先階を指定し易くすることができる。このため、利用者にとって行先階登録装置2を利用しやすくすることができる。
また、本実施形態では、音声出力部25は、音声出力によって階床情報を報知する。制御部20は、利用者情報に基づいて、特定の利用者に限定して、音声出力部25による階床情報の報知を行う。
これにより、例えば視覚障害者などの特定の利用者には音声出力によって階床情報が報知され、他の利用者の操作時には音声出力による報知が省略される。このため、視覚障害者を含む利用者にとって行先階登録装置2を利用しやすくすることができる。なお、上記の階床情報の報知(特定の利用者に限定して行われる報知)以外の音声出力部25による報知は、適宜、特定の利用者以外の利用者に対して行われてもよい。
また、本実施形態では、タッチパネル23及び押しボタン24は、音声出力部25によって一の階床情報が報知される度に、報知された階床情報が示す階床を行先階として指定する操作を受け付ける。制御部20は、タッチパネル23又は押しボタン24が当該操作を受け付けたとき、音声出力部25による報知動作を停止する。
これにより、行先階を指定中の利用者は、音声出力部25により報知中の階床情報が示す階床を行先階として指定する操作を、タッチパネル23又は押しボタン24を介して行うことができる。一方、行先階として指定する操作がなされると、音声出力部25による報知動作が停止するので、他の利用者に音声出力部25による報知動作が聞こえてしまう煩わしさを低減することができる。
また、本実施形態では、利用者情報は、複数の階床に関する特定の順番を示す優先順位情報を含む。制御部20は、優先順位情報が示す順番に基づいて、表示部22又は音声出力部25に階床情報を報知させる。
これにより、優先順位情報に基づいて、表示部22又は音声出力部25から利用者毎に優先順位が高い階床の階床情報を早い順番で報知でき、利用者の利便性を向上することができる。
また、本実施形態では、表示部22は、利用者情報が示す利用者の行先階の候補を示す画像を表示する。
これにより、利用者は、表示部22において行先階の候補を示す画像を確認できる。
また、本実施形態では、制御部20は、利用者情報が示す利用者に応じて、複数の階床における特定の階床が強調されるように行先階の候補を示す画像を変化させるように、表示部を制御する。
これにより、利用者は、表示部22において利用者に応じて強調された特定の階床を確認し易い。
また、本実施形態では、タッチパネル23は、表示部22によって表示される画像に対するタッチ操作を受け付ける。利用者は、表示部22の表示に応じてタッチ操作を行える。
また、本実施形態では、押しボタン24は、点字を表す立体形状を有する。
そのため、触覚で点字を識別できる利用者にとって利用し易い。なお、押しボタン24は、点字を表す立体形状に限らず、例えば高さ0.1〜1mmの突起部など、触覚で操作位置を識別可能な形状を有してもよい。
また、本実施形態に係るエレベータの群管理システムは、行先階登録装置2と、複数の階床に渡って運行する複数のエレベータ1A〜1Fを管理する群管理制御装置4とを備える。
本実施形態では、複数のエレベータ1A〜1Fは、所定の仕様を有する少なくとも1つの専用機を含む。群管理制御装置4は、利用者情報に基づいて、利用者情報が示す利用者が所定条件(利用者情報の利用者属性が視覚障害者を示す)に該当する場合、利用者の行先階を割り当てるエレベータを、専用機1A,1Bに制限する。
これにより、利用者情報に基づいて、視覚障害者が乗車することとなるエレベータを、視覚障害者に適した専用機1A,1Bにすることができ、視覚障害者にとってエレベータを利用しやすくできる。
また、本実施形態では、専用機1A,1Bは、所定条件に該当する利用者の行先階が割り当てられたときに、当該利用者の行先階に関する音声案内を行うスピーカ11A,11Bを備える。
スピーカ11A,11Bの音声案内により、視覚障害者は自身の行先階に関する情報を専用機1A,1Bの乗車時に確認することができる。
また、本実施形態では、専用機1A,1Bは、複数のエレベータ1A〜1Fの内で、行先階登録装置2A,2Bに最も近い位置に設置されている。
これにより、視覚障害者などの利用者を、行先階登録装置2A,2Bから最も近い専用機1A,1Bに案内できる。
(その他の実施形態)
上記実施形態1では、情報取得部の一例のカードリーダ21について説明したが、情報取得部は、カードリーダ21に限らず、例えばNFC(近距離通信)リーダであってもよい。また、利用者情報の記録媒体もICカードに限らず、例えば、NFC通信に対応するスマートフォンなどのモバイル端末であってもよい。また、情報取得部は、顔認証や指紋認証などの生体認証により利用者情報を取得してもよく、例えば情報取得部は、顔認証を行うためのカメラであってもよい。
また、上記実施形態1では、利用者毎の属性情報や優先順位情報は、利用者情報の一部として、ICカードなどの利用者が所持する記録媒体に記録されていたが、ICカードに記録されていなくてもよい。例えば、行先階登録装置2の記憶部26に、利用者情報におけるID情報と関連付けられたデータとして記憶されてもよい。また、行先階登録装置2の制御部20が、利用者情報に基づき、群管理制御装置4の記憶部40や外部サーバから属性情報や優先順位情報を取得してもよい。
また、上記実施形態1では、利用者情報における属性情報において、利用者が視覚障害者とそれ以外の者のいずれかの利用者属性が設定されたが、これに限らず、例えば車いす使用者などの他の身体障害者や、老人、妊婦などを示す種々の利用者属性が設定されてもよい。群管理制御装置4は、利用者がこれらの利用者属性を有する場合においても、視覚障害者のための配慮運転モードと同様の運行モードでエレベータを運行するように、号機制御装置を制御してもよい。この場合、行先階登録装置2は、適宜、群管理制御装置4に種々の利用者属性を示す属性情報を送信する。
また、上記実施形態1では、階床情報を利用者に報知する報知部は、表示部22と音声出力部25とを含んで構成されたが、報知部は、表示部22と音声出力部25のうちの一方のみで構成されてもよい。
また、上記実施形態1では、利用者の操作を受け付ける操作部は、タッチパネル23と押しボタン24とを含んで構成されたが、操作部は、タッチパネル23と押しボタン24のうちの一方のみで構成されてもよいし、他の操作部材を含んでもよい。例えば、操作部は、キーパッドやキーボードを含んでもよい。
また、上記実施形態1では、図7のステップS12、S16において、図9(a),8(b)の表示が行われたが、ステップS12,S16において、これらの表示は、行われなくてもよい。
また、上記実施形態1では、利用者が視覚障害者である場合(図7参照)、行先階登録装置2は、群管理制御装置4から割当号機情報を受信してから(S16a)、割当号機情報に基づき最寄りのエレベータの案内情報を生成した(S16)。しかし、これに限らず、行先階登録装置2は、図7のステップS15において各種情報を群管理制御装置4に送信後に、割当号機情報を特に受信することなく、当該行先階登録装置2の最寄りのエレベータ(例えば行先階登録装置2Bの場合、エレベータ1B)の案内情報を生成してもよい。
また、上記実施形態1では、群管理制御装置4は6台のエレベータ1A〜1Fの運行を制御したが、6台のエレベータ1A〜1Fに限らず、任意の複数台のエレベータの運行を制御してもよいし、1台のエレベータの運行を制御してもよい。