JP2019206085A - 液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法 - Google Patents

液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法 Download PDF

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Naoki Hamazaki
直樹 濱嵜
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翼 米原
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Abstract

【課題】印刷画質を向上させることが可能な液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法を提供する。【解決手段】本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射する複数のノズルと、複数のノズルの近傍における液体の温度を調整する1または複数の温度調整部と、複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように液体噴射ヘッドが配置されている場合に、複数のノズルからそれぞれ噴射される液体の温度が、重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、温度調整部における液体の温度調整動作を制御する制御部とを備えている。【選択図】図2

Description

本開示は、液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法に関する。
液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置が様々な分野に利用されている。液体噴射ヘッドでは、圧電アクチュエータにパルス信号が印加されることにより圧力室内の容積が変化し、それにより圧力室に充填された液体が、ノズルから噴射されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−205389号公報
このような液体噴射ヘッドでは一般に、印刷画質を向上させることが求められている。印刷画質を向上させることが可能な液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法を提供することが望ましい。
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドは、液体を噴射する複数のノズルと、複数のノズルの近傍における液体の温度を調整する1または複数の温度調整部と、複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように液体噴射ヘッドが配置されている場合に、複数のノズルからそれぞれ噴射される液体の温度が、重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、温度調整部における液体の温度調整動作を制御する制御部とを備えたものである。
本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置は、上記本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドを備えたものである。
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドの制御方法は、液体を噴射する複数のノズルの近傍における液体の温度を調整することと、複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように液体噴射ヘッドが配置されている場合に、複数のノズルからそれぞれ噴射される液体の温度が、重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、液体の温度調整動作を制御することとを含むようにしたものである。
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッド、液体噴射記録装置および液体噴射ヘッドの制御方法によれば、印刷画質を向上させることが可能となる。
本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドの外観構成例を表す模式斜視図である。 図1に示した液体噴射ヘッドを備えた液体噴射記録装置の構成例を表す模式図である。 図2に示した液体噴射記録装置の構成例を表すブロック図である。 液体の水頭差と液滴量との対応関係の一例を表す図である。 ノズル近傍の液体の温度と液滴量との対応関係の一例を表す図である。 実施の形態に係る液体の温度調整動作の制御方法の一例を表す図である。 変形例1に係る液体噴射ヘッドの構成例を表す模式図である。 変形例2,3に係る液体噴射ヘッドの構成例を表す模式図である。 変形例4に係る液体噴射ヘッドの構成例を表す模式図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(温度調整部としての加温機構が1つ設けられている場合の例)
2.変形例
変形例1(温度調整部としての冷却機構が1つ設けられている場合の例)
変形例2,3(複数の温度調整部が設けられている場合の例)
変形例4(温度調整部同士の境界面がノズルの配列方向に非直交である場合の例)
3.その他の変形例
<1.実施の形態>
[プリンタ3の構成]
図1は、本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドとしてのインクジェットヘッド1の外観構成例を、模式的に斜視図で表したものである。図2は、このインクジェットヘッド1を備えた、本開示の一実施の形態に係る液体噴射記録装置としてのプリンタ3の構成例を、模式図で表したものである。図3は、このプリンタ3の構成例をブロック図で表したものである。なお、本明細書の説明に用いられる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
また、図2では、インクジェットヘッド1における後述する複数のノズル孔Hn間に、重力方向dgに沿った高低差が生じるように、インクジェットヘッド1が配置されている場合の例を示している。具体的には、この図2では、詳細は後述するが、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)が、水平方向dHと交差する方向(この例では、重力方向dg(垂直方向dV))となっている。
プリンタ3は、後述するインク9を利用して、被記録媒体(例えば記録紙)に対し、画像や文字等の記録(印刷)を行うインクジェットプリンタである。このプリンタ3は、図1〜図3に示したように、インクジェットヘッド1と、インク容器2およびインク供給チューブ20と、情報入力部30とを備えている。
ここで、インクジェットヘッド1は、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応し、プリンタ3は、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例に対応している。また、インク9は、本開示における「液体」の一具体例に対応している。なお、本開示の一実施の形態に係る液体噴射ヘッドの制御方法は、本実施の形態のプリンタ3において具現化されるため、以下、併せて説明する。この点は、後述する各変形例においても同様である。
インク容器2は、図2に示したように、インク9を内部に収容する容器である。インク供給チューブ20は、図2に示したように、インク容器2の内部に収容されているインク9を、後述するインク供給口12からインクジェットヘッド1に対して供給するためのチューブである。
情報入力部30は、図3に示したように、インクジェットヘッド1内の後述する制御部19に対して、各種の情報(データ)を供給するものであり、このような各種の情報の入力や、各種の設定および操作等が行われるようになっている。このような情報入力部30は、例えば、プリンタ3の筺体等に配設されるタッチパネルを用いて構成されている。なお、情報入力部30がプリンタ3自体に設けられるのではなく、例えば、プリンタ3に対してネットワークを介して接続された、ホストコンピュータであってもよい。
(インクジェットヘッド1)
インクジェットヘッド1は、図1,図2中の破線の矢印で示したように、後述する複数のノズル(ノズル孔Hn)から被記録媒体に対して液滴状のインク9を噴射(吐出)して、画像や文字等の記録を行うヘッドである。このインクジェットヘッド1は、図1〜図3に示したように、圧電アクチュエータ(アクチュエータプレート)10、ノズルプレート11、インク供給口12、エアダンパー13、駆動基板14、加温機構15、温度検知部17、姿勢検知部18および制御部19を有している。
ノズルプレート11は、ポリイミド等のフィルム材または金属材料により構成されたプレートであり、図1,図2に示したように、インク9を噴射する複数のノズル孔Hnを有している。これら複数のノズル孔Hnは、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて一直線上(1列)に並んで形成されており、円形状となっている。また、図2に示した配置例では、これら複数のノズル孔Hnは、重力方向dg(垂直方向dV)に沿って配列されている。したがって、この図2に示した配置例では、各ノズル孔Hnから水平方向dHへ向けて、インク9が噴射されるようになっている(図2中の破線の矢印参照)。
なお、各ノズル孔Hn(図2中に示した、後述するノズル孔Hn1,Hn2を含む)は、本開示における「ノズル」の一具体例に対応している。
圧電アクチュエータ10は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の圧電材料により構成されたプレートである。この圧電アクチュエータ10には、複数のチャネル(不図示)が設けられている。これらのチャネルは、インク9に対して圧力を印加するための圧力室として機能する部分であり、X軸方向に沿って所定の間隔をおいて互いに平行となるよう、並んで配置されている。各チャネルは、圧電体からなる駆動壁(不図示)によってそれぞれ画成されており、断面視にて凹状の溝部となっている。
このようなチャネルには、インク9を吐出させるための吐出チャネルと、インク9を吐出させないダミーチャネル(非吐出チャネル)とが存在している。言い換えると、吐出チャネルにはインク9が充填される一方、ダミーチャネルにはインク9が充填されないようになっている。また、各吐出チャネルは、上記したノズルプレート11におけるノズル孔Hnと連通している一方、各ダミーチャネルは、ノズル孔Hnには連通しないようになっている。これらの吐出チャネルとダミーチャネルとは、X軸方向に沿って交互に並んで配置されている。
上記した駆動壁における対向する内側面にはそれぞれ、駆動電極(不図示)が設けられている。この駆動電極には、吐出チャネルに面する内側面に設けられたコモン電極(共通電極)と、ダミーチャネルに面する内側面に設けられたアクティブ電極(個別電極)とが存在している。これらの駆動電極と、後述する駆動基板14における駆動回路との間は、フレキシブル基板(不図示)に形成された複数の引き出し電極(不図示)を介して、電気的に接続されている。これにより、このフレキシブル基板を介して、駆動回路から各駆動電極に対し、後述する駆動電圧Vd(パルス信号Sp)が印加されるようになっている。
インク供給口12は、図1,図2に示したように、インク容器2内から前述したインク供給チューブ20を介して、インクジェットヘッド1内にインク9が供給される部分である。
エアダンパー13は、インク供給口12から供給されたインク9が内部を通過する部分であり、上記した圧電アクチュエータ10を介して各ノズル孔Hnへ向けて、インク9が供給されるようになっている。このエアダンパー13は、例えば印刷動作中のインクジェットヘッド1に物理的な衝撃が与えられた場合でも、いわゆるノズル抜けなどの不具合を発生しにくくするバッファ機能を有しており、様々な形態のものがある。
駆動基板14は、後述する制御部19を含む駆動回路(前述)が形成されている基板である。この駆動回路には、前述した情報入力部30から各種の情報(印刷データ等)が供給され、前述したフレキシブル基板を介して、駆動回路から圧電アクチュエータ10の各駆動電極に対し、後述する駆動電圧Vd(パルス信号Sp)が印加されるようになっている。
加温機構15は、後述する制御部19からの制御信号Scに基づき、複数のノズル孔Hnの近傍におけるインク9の温度(インク温度Ti:図3参照)を調整する機構であり、特にインク9の温度を上昇させる(加温する)ことで、温度調整を行うようになっている。また、本実施の形態では、図2に示したように、インクジェットヘッド1内には1つ(単一)の加温機構15のみが設けられており、この1つの加温機構15を用いて、後述するインク9の温度分布Dt(温度勾配)が形成されるようになっている。このような加温機構15は、例えばヒーター等を用いて構成されている。
なお、このような加温機構15は、本開示における「温度調整部」の一具体例に対応している。
温度検知部17は、上記したインク温度Ti(複数のノズル孔Hnの近傍におけるインク9の温度)を常時検知するものであり、例えばサーミスタを用いて構成されている。このようにして温度検知部17により検知されたインク温度Tiは、図3に示したように、制御部19へと随時供給されるようになっている。
姿勢検知部18は、インクジェットヘッド1の姿勢を常時検知するものであり、例えば加速度センサや地磁気センサ等を用いて構成されている。この姿勢検知部18は、具体的には、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向:図1,図2参照)が、水平方向dHと平行となっているのか否かを検知するようになっている(図2参照)。このようにして姿勢検知部18により検知された、インクジェットヘッド1の姿勢情報Ipは、図3に示したように、制御部19へと随時供給されるようになっている。
制御部19は、インクジェットヘッド1の各構成部品に電気的に接続されて相互に信号を送受信することで、各構成部品を包括的に制御するものである。具体的には、制御部19は、インクジェットヘッド1における各種動作(インク9の噴射動作等)を制御するようになっている。詳細には図3に示したように、制御部19は、情報入力部30から各種情報(印刷データ等)を入力するとともに、圧電アクチュエータ10に対して前述した駆動電圧Vd(パルス信号Sp)を出力することで、各ノズル孔Hnからのインク9の噴射動作を制御する。また、制御部19は、上記した温度検知部17および姿勢検知部18からそれぞれ、インク温度Tiおよび姿勢情報Ipを入力するとともに、加温機構15に対して制御信号Scを出力することで、加温機構15におけるインク9の温度調整動作を制御する。なお、このような制御部19によるインク9の温度調整動作の制御方法の詳細については、後述する(図6等参照)。
このような制御部19は、各種の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、このCPUによって実行すべき制御プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)と、各種データのバッファや演算処理のワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)と、を有している。
[動作および作用・効果]
(A.プリンタ3の基本動作)
このプリンタ3では、以下のようなインクジェットヘッド1によるインク9の噴射動作を用いて、被記録媒体に対する画像や文字等の記録動作(印刷動作)が行われる。具体的には、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、以下のようにして、せん断(シェア)モードを用いたインク9の噴射動作が行われる。
まず、制御部19は、圧電アクチュエータ10内の前述した駆動電極(コモン電極およびアクティブ電極)に対し、駆動電圧Vd(パルス信号Sp)を印加する。具体的には、制御部19は、前述した吐出チャネルを画成する一対の駆動壁に配置された各駆動電極に対し、駆動電圧Vdを印加する。これにより、これら一対の駆動壁がそれぞれ、その吐出チャネルに隣接するダミーチャネル側へ、突出するように変形する。
このとき、駆動壁における深さ方向の中間位置を中心として、駆動壁がV字状に屈曲変形することになる。そして、このような駆動壁の屈曲変形により、吐出チャネルがあたかも膨らむように変形する。このように、一対の駆動壁での圧電厚み滑り効果による屈曲変形によって、吐出チャネルの容積が増大する。そして、吐出チャネルの容積が増大することにより、インク9が吐出チャネル内へ誘導されることになる。
次いで、このようにして吐出チャネル内へ誘導されたインク9は、圧力波となって吐出チャネルの内部に伝播する。そして、ノズルプレート11のノズル孔Hnにこの圧力波が到達したタイミングで、駆動電極に印加される駆動電圧Vdが、0(ゼロ)Vとなる。これにより、上記した屈曲変形の状態から駆動壁が復元する結果、一旦増大した吐出チャネルの容積が、再び元に戻ることになる。
このようにして、吐出チャネルの容積が元に戻ると、吐出チャネル内部の圧力が増加し、吐出チャネル内のインク9が加圧される。その結果、液滴状のインク9が、ノズル孔Hnを通って外部へと(被記録媒体へ向けて)吐出される(図1,図2参照)。このようにしてインクジェットヘッド1におけるインク9の噴射動作(吐出動作)がなされ、その結果、被記録媒体に対する画像や文字等の記録動作が行われることになる。
(B.制御部19による制御動作)
次に、図1〜図3に加えて図4〜図6を参照して、前述した制御部19による制御動作(インク9の温度調整動作の制御方法)について、詳細に説明する。
まず、インクジェットヘッドでは一般に、近年、特に産業用の分野において、樹脂や金属などあらゆる材質への印刷化や、印刷速度の高速化などの要求が高まっている。このため、高周波数や高温などの条件下において、多種多様なインクを使用して液滴噴射が可能な、インクジェットヘッドが製品化されている。また、画質の高精細性(高画質化)も求められるため、例えば液滴サイズの階調を増加させて吐出動作を行うことで、小液滴から大液滴までをカバーするようにした、インクジェットヘッドも開発されている。このようにしてインクジェットヘッドでは、高精細性および高生産性の双方が求められており、このことは、写真や文書などのOA(Office Automation)用途だけでなく、ダンボールや木材などの産業用途においても言えることである。
(B−1.水頭差hと液滴量Vとの対応関係について)
ところで、特にダンボールなどの梱包物の表示に、インクジェットヘッドによる印刷(インクジェット印刷)を適用する場合、被印刷面へ向けて、インクを水平方向へ噴射させる手法が用いられる(前述した図2の例を参照)。インクジェット印刷の際には一般に、ノズル面(複数のノズル孔の配列面)が水平方向に沿って配置されるようにするが、上記のように対象物の側面に印刷する場合、水平方向以外の方向(垂直方向や斜め方向)に沿って、ノズル面を配置することになる。また、このようにして、ノズル面を水平方向以外の方向に沿って配置する手法は、工場などのラインで大量生産する際にも使用されている。
この手法(吐出方法)による利点は、印刷してから梱包できないものや、梱包の向きが変更できないものであっても、対応が可能となるということである。
ところが、ノズル面を水平方向以外の方向に沿って配置した場合、複数のノズル孔間に重力方向に沿った高低差が生じることから(図2参照)、各ノズル孔とインクの液面との間に高低差が生じるため、インクジェットヘッド本来の性能を得ることが困難となる。具体的には、以下説明するように、複数のノズル孔間で印刷濃度のばらつきが生じ、印刷画質が低下してしまうおそれがある。
ここで、図4は、インク9の水頭差h(インク容器2内のインク9の液面と各ノズル孔Hnとの水頭差h:図2参照)と、各ノズル孔Hnから吐出される液滴量Vとの対応関係の一例(実験例)を、グラフG1として表したものである。なお、この実験は、エスアイアイ・プリンテック社製のインクジェットヘッドを用いて検証されたものである。
この図4中のグラフG1に示したように、インク9の水頭差hが、各ノズル孔Hnから吐出される液滴量Vを左右している。すなわち、この水頭差hが大きくなるのに従って、ノズル孔Hnのメニスカスに生じる背圧が大きくなるため、インク9の吐出量が減少していくことになる。
ここで、通常のインクジェット印刷(各ノズル孔Hnから垂直方向dV(重力方向dg)へ向けてインク9が噴射される場合)では、各ノズル孔Hnにおいて水頭差hの値が変わらない(一定値である)ため、全てのノズル孔Hnにおいて、均一な液滴量Vとなる。これに対して、図2に示した配置例のように、複数のノズル孔Hnの配列方向が水平方向dHではなく、複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じるようにインクジェットヘッド1が配置されている場合、以下のようになる。すなわち、この図2の配置例では、各ノズル孔Hnから水平方向dHへ向けてインク9が噴射されるため、ノズル孔Hn間において、インク9の水頭差hの値に差異が生じる。
具体的には、図2,図4に示した例では、重力方向dgに沿って上方側(最上端)のノズル孔Hn1では、水頭差h1となっており、重力方向dgに沿って下方側(最下端)のノズル孔Hn2では、水頭差h2(<水頭差h1)となっている。
この場合、水頭差hが相対的に大きいノズル孔Hn1(水頭差h1)では、水頭差hが相対的に小さいノズル孔Hn2(水頭差h2)と比べ、インク容器2内からインク9が供給されにくくなるため、吐出されるインク9の液滴量Vが小さくなる。すなわち、図4に示したように、ノズル孔Hn1(水頭差h1)における液滴量V1は、ノズル孔Hn2(水頭差h2)における液滴量V2と比べ、小さくなっている(液滴量V1<液滴量V2)。このため、水頭差hが相対的に大きいノズル孔Hn1(水頭差h1)では、水頭差hが相対的に小さいノズル孔Hn2(水頭差h2)と比べ、印刷濃度が小さくなることから、複素のノズル孔Hn間で、印刷濃度のばらつきが生じてしまうことになる。なお、このような水頭差h1,h2間での液滴量Vの変化量(液滴量V1,V2の差)は、一例として、4%程度である。
このようにして、図2に示した配置例のように、複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じるようにインクジェットヘッド1が配置されている場合、以下のようになる。すなわち、上記したような重力の影響(ノズル孔Hn間でのインク9の水頭差hの値の差異)に起因して、複数のノズル孔Hn間において、印刷濃度のばらつきが生じてしまうおそれがある。
なお、上記した水頭差h1,h2間の差異は、インクジェットヘッド1における有効印刷長に相当する(図2参照)。このため、ノズル孔Hnの数(ノズル数)が多い、いわゆる長尺タイプのインクジェットヘッドの場合に、上記した問題が特に顕著に現れると言える。ちなみに、この水頭差h1,h2間の差異(有効印刷長)は、一例として、72mm程度である。
(B−2.インク温度Tiと液滴量Vとの対応関係について)
また、図5は、各ノズル孔Hnの近傍におけるインク9の温度(インク温度Ti)と、各ノズル孔Hnから吐出される液滴量Vとの対応関係の一例(実験例)を、グラフG21,G22,G23,G25として表したものである。なお、この実験も、エスアイアイ・プリンテック社製のインクジェットヘッドを用いて検証されたものである。
ここで、グラフG21は、ポジティブパルス信号を1回印加する駆動波形(駆動電圧Vdのタイミング波形)の場合に相当し、いわゆる「1ドロップ(1d)」の場合である。また、グラフG22は、いわゆるマルチパルス方式によるインクジェットヘッド1の駆動方法の場合において、上記したポジティブパルス信号を2回印加する場合(いわゆる「2ドロップ(2d)」の場合)に相当する。同様に、グラフG23は、上記したポジティブパルス信号を3回印加する場合(いわゆる「3ドロップ(3d)」の場合)であり、グラフG25は、上記したポジティブパルス信号を5回印加する場合(いわゆる「5ドロップ(5d)」の場合)である。
この図5中のグラフG21,G22,G23,G25にそれぞれ示したように、インク温度Tiが、温度T1,T2,T3と増加していくのに従って、各ノズル孔Hnから吐出される液滴量Vが増加してくことが分かる。すなわち、上記した「1d」,「2d」,「3d」,「5d」のいずれの場合においても、インク温度Tiが高くなるのに従って、液滴量Vが増加していくことが分かる。これは、インク温度Tiが高くなると、インク9の粘度が低くなり、ノズル孔Hnからインク9が吐出され易くなるためである。
ちなみに、図5中の温度T1,T2,T3はそれぞれ、一例として、25℃,30℃,35℃が挙げられる。また、図5の例では、インク温度Tiが10℃上がると、液滴量Vが、約10%〜20%ほど増加している。具体的には、液滴量Vの変化率(温度T1〜T3間での変化率)は、「1d」の場合には一例として、15%程度である。同様に、「2d」の場合には一例として、17%程度であり、「3d」の場合には一例として、10%程度であり、「5d」の場合には一例として、10%程度である。
これらのことから、前述した水頭差hの差異による液滴量Vの変化量(4%程度)の場合(図4参照)、この4%の変化量をキャンセルするには、図5の例では、インク温度Tiを5℃程度上げる手法が考えられると言える。これにより、インクジェットヘッド1における最上端のノズル孔Hn1と最下端のノズル孔Hn2との間での、液滴量Vの差を無くすことができる。なお、インク9の種類や、前述した駆動波形の数(ドロップ数)に応じて、上記した手法での数値例は変動するため、状況に応じて数値例を最適化すればよい。
(B−3.インク9の温度調整動作の制御方法)
以上のことから、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、以下のようにして、加温機構15におけるインク9の温度調整動作を制御することで、前述した複数のノズル孔Hn間での印刷濃度のばらつきを抑えるようにしている。
図6(A)〜(D)は、制御部19によるインク9の温度調整動作の制御方法の一例を、模式的に表でまとめて表したものである。
まず、制御部19は、複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じるようにインクジェットヘッド1が配置されている場合(図2参照)に、制御信号Scを用いて、以下のようにして、加温機構15におけるインク9の温度調整動作を制御する。すなわち、制御部19は、複数のノズル孔Hnからそれぞれ噴射されるインク9の温度(インク温度Ti)が、重力方向dgの上方へ向かって高くなる温度分布Dtを示すように、インク9の温度調整動作を制御する。
具体的には、図2の例では、制御部19は、例えば、重力方向dgに沿って下方側(水頭差h2)のノズル孔Hn2と、重力方向dgに沿って上方側(水頭差h1(>水頭差h2))のノズル孔Hn1とについてそれぞれ、以下のインク温度Tiを示すように制御する。すなわち、制御部19は、例えば、ノズル孔Hn1(水頭差h1)近傍でのインク温度Ti=T3が、ノズル孔Hn2(水頭差h2)近傍でのインク温度Ti=T1よりも高くなるように(T3>T1:図5参照)、インク9の温度分布Dtを設定する(図6(A)参照)。一般化すると、制御部19は、ノズル孔Hnにおけるインク9の水頭差hが大きくなるのに従って、インク温度Tiが増加するように、インク9の温度分布Dtを設定する(図6(B)参照)。
また、この際に制御部19は、温度検知部17により検知されたインク9の温度(実際のインク温度Ti)に基づいて、インク温度Tiが所望の値を保持するように、加温機構15におけるインク9の温度調整動作を制御する(図3参照)。
具体的には、制御部19は、温度分布Dtにおけるインク温度Tiがいずれも、インクジェットヘッド1の周囲の環境温度Taよりも高い温度となるように(Ti>Ta)、インク9の温度調整動作を制御する(図6(C)参照)。また、制御部19は、温度分布Dt内でのインク9の温度差ΔT(図5参照)が、例えば5℃〜10℃の範囲内となるように(5℃≦ΔT≦10℃)、インク9の温度調整動作を制御する(図6(D)参照)。
更に、この際に制御部19は、姿勢検知部18により検知されたインクジェットヘッド1の姿勢(姿勢情報Ip)に応じて、インク9の温度調整動作を制御する(図3参照)。すなわち、例えば制御部19は、姿勢情報Ipに基づいて、複数のノズル孔Hnの配列方向が水平方向dHと平行となっていない(複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じている)ことが検知された場合に、上記したインク9の温度調整動作の制御を開始する。
(C.作用・効果)
このようにして本実施の形態のインクジェットヘッド1では、複数のノズル孔Hnからそれぞれ噴射されるインク9の温度(インク温度Ti)が、重力方向dgの上方へ向かって高くなる温度分布Dtを示すように、加温機構15におけるインク9の温度調整動作が制御される。
これにより、例えば、複数のノズル孔Hnの配列方向が水平方向dHではなく、複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じるようにインクジェットヘッド1が配置されている場合(図2参照)であっても、以下のようになる。すなわち、前述したような重力の影響(ノズル孔Hn間でのインク9の水頭差hの値の差異)に起因した、複数のノズル孔Hn間での印刷濃度のばらつきが抑えられる。具体的には、重力方向dgの上方へ向かって高くなる温度分布Dtを示すように制御されることで、重力方向dgに沿って上方側のノズル孔Hn(例えば図2中のノズル孔Hn1)において、インク9の粘度が減少し、吐出される液滴量が増加する。その結果、上方側のノズル孔Hn(例えば図2中のノズル孔Hn1)と下方側のノズル孔Hn(例えば図2中のノズル孔Hn2)との間での、印刷濃度のばらつきが抑えられる。
以上のことから、本実施の形態のインクジェットヘッド1では、印刷濃度のばらつきを抑えることができ、印刷画質を向上させることが可能となる。
また、特に図2に示したように、複数のノズル孔Hnが重力方向dgに沿って配列されている場合には、以下のようになる。すなわち、上記した制御部19によるインク9の温度調整動作の制御が行われないと、上記した重力の影響に起因した複数のノズル孔Hn間での印刷濃度のばらつきが、最も大きくなってしまう。従って、上記した制御部19によるインク9の温度調整動作の制御が行われることで、複数のノズル孔Hn間での印刷濃度のばらつきの抑制効果が、最も大きくなる結果、印刷画質の向上効果も最も大きくすることが可能となる。
更に、本実施の形態では、加温機構15を用いてインク9の温度調整動作が行われる(温度調整部が加温機構15を含んでいる)ことから、以下のようになる。すなわち、温度分布Dt全体において、インク9の温度を増加させる方向に温度調整が行われることになるため、各ノズル孔Hnにおいて、インク9の粘度が減少し、吐出される液滴量が増加する方向となる。従って、まず、例えばヒーター等を用いて加温するという簡易的な構成で、インクジェットヘッド1の装置設計が可能となる。また、粘度が減少することから、様々な種類の液体をインク9として使用することができるため、その結果、このインクジェットヘッド1を多様な印刷に適用することができるようになり、インクジェットヘッド1の汎用性を向上させることが可能となる。
加えて、温度検知部17によって検知されたインク9の温度(実際のインク温度Ti)に基づいて、インク9の温度調整動作の制御が行われることから、以下のようになる。すなわち、上記した印刷濃度のばらつきが、より効果的に抑えられる結果、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
また、温度分布Dtにおけるインク温度Tiが環境温度Taよりも高い温度となるように(Ti>Ta)、インク9の温度調整動作が制御されることで、各ノズル孔Hnにおいて、インク9の粘度が減少し、吐出される液滴量が増加する方向となる。従って、まず、例えばヒーター等からなる加温機構15を用いて加温するという、簡易的な構成で、インクジェットヘッド1の装置設計が可能となる。また、粘度が減少することから、様々な種類の液体をインク9として使用することができるため、その結果、このインクジェットヘッド1を多様な印刷に適用することができるようになり、インクジェットヘッド1の汎用性を向上させることが可能となる。
更に、温度分布Dt内でのインク9の温度差ΔTが5℃〜10℃の範囲内となるように、インク9の温度調整動作が制御されるようにした場合には、以下のようになる。すなわち、上記した印刷濃度のばらつきが、より効果的に抑えられる結果、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
加えて、姿勢検知部18によって検知されたインクジェットヘッド1の姿勢(姿勢情報Ip)に応じて、インク9の温度調整動作の制御が行われることから、以下のようになる。すなわち、上記した印刷濃度のばらつきが、より効果的に抑えられる結果、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1〜4)について説明する。具体的には、液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド)に関する変形例について説明する。なお、これらの変形例1〜4に係る各液体噴射ヘッドもまた、上記実施の形態と同様にして、液体噴射記録装置(プリンタ)に設けられているようにしてもよい。また、以下では、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
[変形例1]
図7は、変形例1に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1A)の構成例を、模式的に側面図(Z−X側面図)で表したものである。本変形例のインクジェットヘッド1Aは、実施の形態のインクジェットヘッド1(図2等参照)において、加温機構15の代わりに冷却機構16を設けたものに対応しており、他の構成は基本的に同様となっている。
すなわち、インクジェットヘッド1では、加温機構15を用いてインク9の温度調整を行っていたのに対し、インクジェットヘッド1Aでは、冷却機構16を用いてインク9の温度調整を行うようになっている。
なお、インクジェットヘッド1Aは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。また、冷却機構16は、本開示における「温度調整部」の一具体例に対応している。
冷却機構16は、制御部19からの制御信号Scに基づき、複数のノズル孔Hnの近傍におけるインク9の温度(インク温度Ti)を調整する機構であり、特にインク9の温度を下降させる(降温する)ことで、温度調整を行うようになっている。また、本変形例では、図7に示したように、インクジェットヘッド1A内には1つ(単一)の冷却機構16のみが設けられており、この1つの冷却機構16を用いて、インク9の温度分布Dt(温度勾配)が形成されるようになっている。このような冷却機構16は、例えばペルチェ冷却素子等を用いて構成されている。
このような構成の本変形例においても、基本的には実施の形態と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。すなわち、例えば、複数のノズル孔Hnの配列方向が水平方向dHではなく、複数のノズル孔Hn間に重力方向dgに沿った高低差が生じるようにインクジェットヘッド1Aが配置されている場合(図7参照)であっても、複数のノズル孔Hn間での印刷濃度のばらつきを抑えることができる。よって、本変形例においても、印刷画質を向上させることが可能となる。
また、特に本変形例では、冷却機構16を用いてインク9の温度調整動作が行われる(温度調整部が冷却機構16を含んでいる)ことから、以下のようになる。すなわち、まず、例えば高温で変質し易い液体についても、インク9として使用することが可能となる。また、例えば、このインクジェットヘッド1Aにおける発熱に起因した故障の発生を、抑えることが可能となる。
[変形例2,3]
図8(A)は、変形例2に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1B)の構成例を、模式的に側面図(Z−X側面図)で表したものである。また、図8(B)は、変形例3に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1C)の構成例を、模式的に側面図(Z−X側面図)で表したものである。
まず、図8(A)に示した変形例2のインクジェットヘッド1Bは、実施の形態または変形例1のインクジェットヘッド1,1Aにおいて、1つ(単一)の加温機構15または冷却機構16の代わりに、2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)を設けたものに対応している。なお、このインクジェットヘッド1Bにおける他の構成は、インクジェットヘッド1,1Aと基本的に同様となっている。
具体的には、このインクジェットヘッド1Bでは、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)に沿って、2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)が配置されている(図8(A)参照)。また、制御部19は、これら2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)におけるインク9の温度調整動作を、個別に(独立して)制御するようになっている。つまり、図8(A)に示したように、制御部19は、制御信号Scaを用いて、加温機構15a(または冷却機構16a)における温度調整動作を制御し、制御信号Scbを用いて、加温機構15b(または冷却機構16b)における温度調整動作を制御している。なお、温度検知部17についても2つ設けるようにし、2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)付近でのインク温度Tiを、個別に検知するようにしてもよい。
また、図8(B)に示した変形例3のインクジェットヘッド1Cは、実施の形態または変形例1のインクジェットヘッド1,1Aにおいて、1つの加温機構15または冷却機構16の代わりに、3つの加温機構15a,15b,15c(または3つの冷却機構16a,16b,16c)を設けたものに対応している。なお、このインクジェットヘッド1Cにおける他の構成は、インクジェットヘッド1,1Aと基本的に同様となっている。
具体的には、このインクジェットヘッド1Cでは、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)に沿って、3つの加温機構15a,15b,15c(または3つの冷却機構16a,16b,16c)が配置されている(図8(B)参照)。また、制御部19は、これら3つの加温機構15a,15b,15c(または3つの冷却機構16a,16b,16c)におけるインク9の温度調整動作を、個別に(独立して)制御するようになっている。つまり、図8(B)に示したように、制御部19は、制御信号Scaを用いて、加温機構15a(または冷却機構16a)における温度調整動作を制御し、制御信号Scbを用いて、加温機構15b(または冷却機構16b)における温度調整動作を制御し、制御信号Sccを用いて、加温機構15c(または冷却機構16c)における温度調整動作を制御している。なお、温度検知部17についても3つ設けるようにし、3つの加温機構15a,15b,15c(または3つの冷却機構16a,16b,16c)付近でのインク温度Tiを、個別に検知するようにしてもよい。
なお、インクジェットヘッド1B,1Cはそれぞれ、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。また、加温機構15a,15b,15cおよび冷却機構16a,16b,16cはそれぞれ、本開示における「温度調整部」の一具体例に対応している。
このようにして変形例2,3では、複数の加温機構15または冷却機構16におけるインク9の温度調整動作が、個別に制御されることから、以下のようになる。すなわち、例えば実施の形態または変形例のように、単一の加温機構15または冷却機構16のみが設けられている場合と比べ、インク9の温度分布Dtが形成し易くなる。従って、前述した印刷濃度のばらつきを簡易に抑えることができ、印刷画質を容易に向上させることが可能となる。
なお、これらの変形例2,3では、加温機構15または冷却機構16が、2つまたは3つ設けられている場合について説明したが、これには限られない。すなわち、インクジェットヘッド内において、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)に沿って、4つ以上の加温機構15または冷却機構16が設けられているようにしてもよい。
[変形例4]
図9は、変形例4に係る液体噴射ヘッド(インクジェットヘッド1D)の構成例を、模式的に側面図(Z−X側面図)で表したものである。本変形例のインクジェットヘッド1Dは、変形例2のインクジェットヘッド1B(図8(A)参照)と同様に、2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)が設けられている。
なお、このインクジェットヘッド1Dは、本開示における「液体噴射ヘッド」の一具体例に対応している。
ただし、図9中の符号Pb(境界領域付近)で示したように、本変形例では変形例2とは異なり、これら2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)同士の境界面(境界面延在方向db)が、以下のようになっている。すなわち、この境界面延在方向dbが、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)に対して非直交(斜め方向)となっている。
このような構成により本変形例では、複数のノズル孔Hnの配列方向(X軸方向)に沿ったインク9の温度分布Dtにおいて、2つの加温機構15a,15b(または2つの冷却機構16a,16b)同士の境界面付近での温度勾配が緩和され、急激な温度変化が回避される。換言すると、この境界面付近での温度勾配を、自然な勾配とすることができる。従って、この境界面付近での印刷濃度のばらつきも抑えられるため、印刷画質を更に向上させることが可能となる。
なお、本変形例では、上記した境界面(境界面延在方向db)が複数のノズル孔Hnの配列方向に対して非直交(斜め方向)となっている場合を例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、この境界面付近での温度勾配を緩和する(小さくする)ことができる構造であれば、他の構造を採用するようにしてもよい。
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本開示を説明したが、本開示はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、プリンタ3およびインクジェットヘッド1における各部材の構成例(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。また、上記実施の形態等で説明した各種パラメータの値や範囲、大小関係等についても、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の値や範囲、大小関係等であってもよい。
具体的には、例えば、上記実施の形態等では、1列タイプ(複数のノズル孔Hnが1列に沿って配列されているタイプ)のインクジェットヘッド1を例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、例えば、2列以上の複数列タイプのインクジェットヘッドであってもよい。また、ノズル孔Hnの形状についても、上記実施の形態等で説明したような円形状には限られず、例えば、三角形状等の多角形状や、楕円形状や星型形状などであってもよい。
また、インクジェットヘッド1の構造としては、各タイプのものを適用することが可能である。すなわち、例えば、圧電アクチュエータ10における各吐出チャネルの延在方向の中央部からインク9を吐出する、いわゆるサイドシュートタイプのインクジェットヘッド1であってもよい。あるいは、例えば、各吐出チャネルの延在方向に沿ってインク9を吐出する、いわゆるエッジシュートタイプのインクジェットヘッド1であってもよい。
更に、例えば、インク容器2とインクジェットヘッド1との間でインク9を循環させて利用する、循環式のインクジェットヘッド1、あるいは、インク9を循環させずに利用する、非循環式のインクジェットヘッド1のいずれであっても、本開示を適用することが可能である。
加えて、上記実施の形態等では、制御部19による制御方法の例を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等で挙げた例には限られず、他の手法を用いて制御するようにしてもよい。具体的には、例えば、温度検知部17によって検知されたインク温度Tiや、姿勢検知部18によって検知された姿勢情報Ipなどを用いずに、インク9の温度調整動作を制御するようにしてもよい。また、場合によっては、温度分布Dtにおけるインク温度Tiが、環境温度Ta以下となるように(Ti≦Ta)、インク9の温度調整動作を制御してもよい。更に、場合によっては、温度分布Dt内でのインク9の温度差ΔTが、5℃〜10℃の範囲から外れるように、インク9の温度調整動作を制御してもよい。
また、上記実施の形態等で説明した一連の処理は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、各機能をコンピュータにより実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。なお、このようなプログラムは、本開示における「液体噴射ヘッドの駆動プログラム」の一具体例に対応している。
更に、上記実施の形態等では、本開示における「液体噴射記録装置」の一具体例として、プリンタ3(インクジェットプリンタ)を挙げて説明したが、この例には限られず、インクジェットプリンタ以外の他の装置にも、本開示を適用することが可能である。換言すると、本開示の「液体噴射ヘッド」(インクジェットヘッド1)を、インクジェットプリンタ以外の他の装置に適用するようにしてもよい。具体的には、例えば、ファクシミリやオンデマンド印刷機などの装置に、本開示の「液体噴射ヘッド」を適用するようにしてもよい。
加えて、これまでに説明した各種の例を、任意の組み合わせで適用させるようにしてもよい。
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
また、本開示は、以下のような構成を取ることも可能である。
(1)
液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
前記液体を噴射する複数のノズルと、
前記複数のノズルの近傍における前記液体の温度を調整する1または複数の温度調整部と、
前記複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように前記液体噴射ヘッドが配置されている場合に、前記複数のノズルからそれぞれ噴射される前記液体の温度が、前記重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、前記温度調整部における前記液体の温度調整動作を制御する制御部と
を備えた液体噴射ヘッド。
(2)
前記複数のノズルの配列方向に沿って、前記複数の温度調整部が設けられており、
前記制御部は、前記複数の温度調整部における前記液体の温度調整動作を、個別に制御する
上記(1)に記載の液体噴射ヘッド。
(3)
前記複数の温度調整部同士の境界面が、前記複数のノズルの配列方向に対して非直交となっている
上記(2)に記載の液体噴射ヘッド。
(4)
前記複数のノズルの近傍における前記液体の温度を検知する温度検知部を更に備え、
前記制御部は、前記温度検知部により検知された前記液体の温度に基づいて、前記液体の温度調整動作を制御する
上記(1)ないし(3)いずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(5)
前記制御部は、前記温度分布における前記液体の温度が、前記液体噴射ヘッドの周囲の環境温度よりも高い温度となるように、前記液体の温度調整動作を制御する
上記(4)に記載の液体噴射ヘッド。
(6)
前記制御部は、前記温度分布内での前記液体の温度差が、5℃〜10℃の範囲内となるように、前記液体の温度調整動作を制御する
上記(4)または(5)に記載の液体噴射ヘッド。
(7)
前記液体噴射ヘッドの姿勢を検知する姿勢検知部を更に備え、
前記制御部は、前記姿勢検知部により検知された前記液体噴射ヘッドの姿勢に応じて、前記液体の温度調整動作を制御する
上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(8)
前記温度調整部は、加温機構または冷却機構を含む
上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(9)
前記複数のノズルが、前記重力方向に沿って配列されている
上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の液体噴射ヘッド。
(10)
上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の液体噴射ヘッドを備えた
液体噴射記録装置。
(11)
液体を噴射する液体噴射ヘッドの制御方法であって、
前記液体を噴射する複数のノズルの近傍における前記液体の温度を調整することと、
前記複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように前記液体噴射ヘッドが配置されている場合に、前記複数のノズルからそれぞれ噴射される前記液体の温度が、重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、前記液体の温度調整動作を制御することと
を含む液体噴射ヘッドの制御方法。
1,1A,1B,1C,1D…インクジェットヘッド、10…圧電アクチュエータ(アクチュエータプレート)、11…ノズルプレート、12…インク供給口、13…エアダンパー、14…駆動基板、15,15a,15b,15c…加温機構、16,16a,16b,16c…冷却機構、17…温度検知部、18…姿勢検知部、19…制御部、2…インク容器、20…インク供給チューブ、3…プリンタ、30…情報入力部、9…インク、Hn,Hn1,Hn2…ノズル孔、h,h1,h2…水頭差、dH…水平方向、dV…垂直方向、dg…重力方向、Sp…パルス信号、Vd…駆動電圧、Sc,Sca,Scb,Scc…制御信号、Ti…インク温度、T1,T2,T3…温度、ΔT…温度差、Ta…環境温度、Ip…姿勢情報、V,V1,V2…液滴量、Dt…温度分布、db…境界面延在方向。

Claims (11)

  1. 液体を噴射する液体噴射ヘッドであって、
    前記液体を噴射する複数のノズルと、
    前記複数のノズルの近傍における前記液体の温度を調整する1または複数の温度調整部と、
    前記複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように前記液体噴射ヘッドが配置されている場合に、前記複数のノズルからそれぞれ噴射される前記液体の温度が、前記重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、前記温度調整部における前記液体の温度調整動作を制御する制御部と
    を備えた液体噴射ヘッド。
  2. 前記複数のノズルの配列方向に沿って、前記複数の温度調整部が設けられており、
    前記制御部は、前記複数の温度調整部における前記液体の温度調整動作を、個別に制御する
    請求項1に記載の液体噴射ヘッド。
  3. 前記複数の温度調整部同士の境界面が、前記複数のノズルの配列方向に対して非直交となっている
    請求項2に記載の液体噴射ヘッド。
  4. 前記複数のノズルの近傍における前記液体の温度を検知する温度検知部を更に備え、
    前記制御部は、前記温度検知部により検知された前記液体の温度に基づいて、前記液体の温度調整動作を制御する
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  5. 前記制御部は、前記温度分布における前記液体の温度が、前記液体噴射ヘッドの周囲の環境温度よりも高い温度となるように、前記液体の温度調整動作を制御する
    請求項4に記載の液体噴射ヘッド。
  6. 前記制御部は、前記温度分布内での前記液体の温度差が、5℃〜10℃の範囲内となるように、前記液体の温度調整動作を制御する
    請求項4または請求項5に記載の液体噴射ヘッド。
  7. 前記液体噴射ヘッドの姿勢を検知する姿勢検知部を更に備え、
    前記制御部は、前記姿勢検知部により検知された前記液体噴射ヘッドの姿勢に応じて、前記液体の温度調整動作を制御する
    請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  8. 前記温度調整部は、加温機構または冷却機構を含む
    請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  9. 前記複数のノズルが、前記重力方向に沿って配列されている
    請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッド。
  10. 請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の液体噴射ヘッドを備えた
    液体噴射記録装置。
  11. 液体を噴射する液体噴射ヘッドの制御方法であって、
    前記液体を噴射する複数のノズルの近傍における前記液体の温度を調整することと、
    前記複数のノズル間に重力方向に沿った高低差が生じるように前記液体噴射ヘッドが配置されている場合に、前記複数のノズルからそれぞれ噴射される前記液体の温度が、重力方向の上方へ向かって高くなる温度分布を示すように、前記液体の温度調整動作を制御することと
    を含む液体噴射ヘッドの制御方法。
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