JP2019203706A - 錆評価撮影装置、錆評価システム、及び錆評価方法 - Google Patents

錆評価撮影装置、錆評価システム、及び錆評価方法 Download PDF

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Abstract

【課題】客観的な錆の評価を実施することで点検者によらず安定した点検結果を得ることができる技術を提供する。【解決手段】あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて対象物の錆の程度を評価するシステムであって、錆指標値計測手段と錆階級評価手段を備えたものである。このうち指標値計測手段は、対象物を撮影した対象物画像に基づいて対象物の計測錆指標値を求める手段であり、錆階級評価手段206は、対象物の計測錆指標値と錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定する手段である。【選択図】図4

Description

本願発明は、例えば橋梁の部材表面に生ずる錆の程度を評価する技術に関するものであり、より具体的には、錆の程度を評価するための画像を取得する錆評価撮影装置と、段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて錆の程度を評価するシステム及び方法に関するものである。
高度経済成長期に集中的に整備されてきた建設インフラストラクチャー(以下、「建設インフラ」という。)は、既に相当な老朽化が進んでいることが指摘されている。平成26年には「道路の老朽化対策の本格実施に関する提言(社会資本整備審議会)」がとりまとめられ、平成24年の笹子トンネルの例を挙げて「近い将来、橋梁の崩落など人命や社会装置に関わる致命的な事態を招くであろう」と警鐘を鳴らし、建設インフラの維持管理の重要性を強く唱えている。
このような背景のもと、国は道路法施行規則の一部を改正する省令を公布し、具体的な建設インフラの点検方法、主な変状の着目箇所、判定事例写真などを示した定期点検要領を策定している。この定期点検要領では、約70万橋に上るといわれる橋長2.0m以上の橋を対象としており、供用開始後2年以内に初回点検、以降5年に1回の頻度で定期点検を行うこととしている。
ところで橋梁は、構造形式(桁橋や吊橋など)に着目して分類されたり、用途(道路橋や鉄道橋など)に着目して分類されたり、主桁の位置(上路橋や下路橋など)に着目して分類されることがある。また、主要部材(特に主桁)に着目して分類されることもあり、この場合、コンクリート製の主桁が用いられるコンクリート橋や、鋼製の主桁が用いられる鋼橋が代表例として挙げられる。このうち鋼橋は、鋼材を主要材料とすることから、維持管理においては部材の腐食が最も重要な要素のひとつとされる。一般的に鋼橋は防食として塗装が行われるが、塗装の塗膜も経年劣化することから適切な維持管理を要するわけである。
鋼橋の維持管理としては、定期的な(あるいは臨時の)点検を行い、その結果、劣化した部分には塗り替えを行うのが一般的である。通常、この点検作業は人による目視によって行われることから、多くの時間とコストを要するという問題があり、しかも相当の経験や知識を必要とすることから人材の確保も大きな問題となっている。さらに、ひとたび劣化部分の塗り替えを行うとなれば著しく手間とコストがかかる作業となり、特に海上の長大橋に対する塗り替え作業には多大な手間とコストを要する。
鋼橋の塗装の塗膜点検に関しては、これまでも多くの文献でその問題が指摘され、これを解決する種々の技術が提案されている。例えば特許文献1では、人の経験値に頼った判断では点検結果が安定しないため画像処理技術を利用した定量評価が好ましいとしたうえで、ノイズによる画像の濃淡を取り除いたうえで適切に塗装の劣化を定量評価する技術について提案している。
特開平06−116914号公報
上記したとおり鋼橋の塗装の維持管理(点検〜塗り替え作業)は、多くの手間やコストがかかるうえ人材の確保も難しいといった問題を抱えている。そこで、環境条件を満たす地域では、塗装を必要としない耐候性鋼橋が採用されることがある。耐候性鋼橋は耐候性鋼の主桁を用いたものであり、そしてこの耐候性鋼はCuやCr、Niなどの合金元素を含有した鋼材であって、大気中での適度な乾湿の繰り返しによって表面に緻密な錆を形成する鋼材である。つまり耐候性鋼橋は、緻密な錆で鋼材表面を覆うことによってその鋼材の腐食速度を著しく減じさせることができ、すなわち鋼材の腐食減耗を大幅に低減させることができ、その結果、塗装を省くことができるという特長を有している。なお、耐候性鋼橋を採用することができる環境条件は一般的に飛来塩分量が0.05mdd(mg/dm/day)以下の地域とされており、当該条件を満たす地域では50年経過後の腐食減耗量が0.3mm以下と予測されている。
耐候性鋼橋は、無塗装とすることができるうえ、鋼材の腐食減耗の大幅な低減を期待することができるが、当初予定した量よりも多くの飛来塩分量がある、想定外の湿潤状態が継続する、あるいは塩化カルシウムを含む凍結防止剤の散布など、不測の環境条件とされた結果、予定以上に鋼材表面に錆が生じることもある。この場合、鋼材の腐食減耗が進行するばかりでなく、錆により表面が剥離して落下することにより第三者被害を引き起こすおそれもある。
したがって耐候性鋼橋であっても、その点検作業は実施する必要がある。そして、その点検方法は、塗装の塗膜点検と同様、目視検査が基本とされている。ただし耐候性鋼橋の点検は、塗装の塗膜点検とは異なり、5段階の外観評点(1〜5)と照合しながら対象の錆の評価を行うこととされている。5段階の外観評点はあらかじめ設定されており、それぞれの段階の代表的な画像とともにその特徴が提供されており、実際のサンプル(標本)を提供している団体もある。なお、外観評点が3〜5であれば健在な状態であり特段の処置の必要がなく、外観評点が2であれば経過観察を要し、外観評点が1であれば早期の対策が必要とされる。
あらかじめ5段階の外観評点が提示されていることから、単に目視点検するよりも個人差による結果のばらつきは抑制できるものの、点検者の目視によることから客観的な評価とはいえず、多少なりとも個人差によるばらつきは生じ、安定した点検結果を得るという点においては十分とは言えない。
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、客観的な錆の評価を実施することで点検者によらず安定した点検結果を得ることができる技術を提供することにある。
本願発明は、標本(サンプル)を撮影して得た標本画像と点検対象を撮影した対象物画像を照らし合わせることによって点検対象の錆の程度を評価するという点と、自然光を遮り暗室状態としたうえで多方向から光を照らして対象物画像を取得するという点に着目してなされたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
本願発明の錆評価撮影装置は、対象物の錆の程度を評価するための画像を取得するものであって、函体と画像取得手段、照明手段、制御手段を備えたものである。このうち函体は、本体壁と、この本体壁内に形成される内部空間、開口部を具備するもので、画像取得手段は、内部空間に設置され開口部を通じて対象物を撮影し得るものである。また照明手段は、内部空間に設置され異なる2以上の方向から照明し得るもので、制御手段は、2以上の照明手段が順に照明するように制御するとともにそれぞれの照明手段が照明するたびに画像取得手段が画像を取得するように制御するものである。なお、対象物によって開口部を塞ぐと(つまり、開口部を対象物に密接させると)、内部空間は暗室状態となる。
本願発明の錆評価撮影装置は、開口部周辺に1又は2以上の磁石が設置されたものとすることもできる。
本願発明の錆評価システムは、あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて対象物の錆の程度を評価するシステムであって、錆指標値計測手段と錆階級評価手段を備えたものである。このうち錆指標値計測手段は、対象物を撮影した対象物画像に基づいて対象物の計測錆指標値を求める手段であり、錆階級評価手段は、対象物の計測錆指標値と錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定する手段である。なお計測錆指標値は、対象物画像の色相の統計値に基づいて求められ、基準錆指標値は、錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる。
本願発明の錆評価システムは、色相に代えて影部割合(輝度によって表された輝度画像のうち輝度閾値を下回る輝度値を示す割合に基づいて求められる値)に基づいて得られる計測錆指標値と基準錆指標値を利用して、対象物の錆の程度を評価するものとすることもできる。この場合の計測錆指標値は、対象物画像における影部割合に基づいて求められ、基準錆指標値は、錆階級を示す標本を撮影した標本画像における影部割合に基づいて求められる。
本願発明の錆評価システムは、合成輝度画像(2以上の輝度画像を合成した画像)における影部割合に基づく計測錆指標値と基準錆指標値を利用して評価するものとすることもできる。この場合の計測錆指標値は、照明方向を変えて対象物を撮影して得られた輝度画像を合成した合成画像における影部割合に基づいて求められ、基準錆指標値は、照明方向を変えて標本を撮影して得られた2以上の輝度画像を合成した合成輝度画像における影部割合に基づいて求められる。
本願発明の錆評価システムは、さらに錆評価撮影装置を備えたものとすることもできる。この場合、計測錆指標値と基準錆指標値は、合成輝度画像における影部割合に基づいて求められる。また、この合成画像を形成する2以上の輝度画像は、対象物によって開口部を塞ぐことによって内部空間を暗室状態としたうえで、それぞれの照明手段の照明に応じて画像取得手段が取得した画像が利用される。
本願発明の錆評価システムは、色相及び影部割合に基づいて得られる計測錆指標値と基準錆指標値を利用して、対象物の錆の程度を評価するものとすることもできる。この場合の計測錆指標値は、対象物画像の色相の統計値に基づいて求められる「色相指標値」と対象物画像における影部割合に基づいて求められる「影部指標値」で構成され、また基準錆指標値は、標本画像の色相の統計値に基づいて求められる「色相基準指標値」と標本画像における影部割合に基づいて求められる「影部基準指標値」で構成される。そしてこの場合の錆階級評価手段は、色相指標値と色相基準指標値(錆階級ごとにあらかじめ設定)を照らし合わせるとともに、影部指標値と影部基準指標値(錆階級ごとにあらかじめ設定)を照らし合わせることで、対象物の錆階級を決定する。
本願発明の錆評価方法は、あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて対象物の錆の程度を評価する方法であって、対象物画像取得工程と、錆指標値計測工程、錆階級評価工程を備えた方法である。このうち対象物画像取得工程では、対象物を撮影して対象物画像を取得し、錆指標値計測工程では、対象物画像に基づいて計測錆指標値を求め、錆階級評価工程では、対象物の計測錆指標値と錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定する。なお計測錆指標値は、対象物画像の色相の統計値に基づいて求められ、基準錆指標値は、錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる。
本願発明の錆評価方法は、色相に代えて影部割合に基づいて得られる計測錆指標値と基準錆指標値を利用して、対象物の錆の程度を評価する方法とすることもできる。この場合の計測錆指標値は、対象物画像における影部割合に基づいて求められ、基準錆指標値は、錆階級を示す標本を撮影した標本画像における影部割合に基づいて求められる。
本願発明の錆評価方法は、錆評価撮影装置で対象物を撮影して対象物画像を取得する方法とすることもできる。色相に代えて影部割合に基づいて得られる計測錆指標値と基準錆指標値を利用して、対象物の錆の程度を評価する方法とすることもできる。この場合、対象物画像取得工程では、対象物によって開口部を塞ぐことによって内部空間を暗室状態としたうえで、それぞれの照明手段の照明に応じて2以上の対象物画像を取得する。また錆指標値計測工程では、対象物画像取得工程で取得した2以上の対象物画像の輝度画像を合成した合成輝度画像における影部割合に基づいて計測錆指標値を求める。
本願発明の錆評価方法は、色相及び影部割合に基づいて得られる計測錆指標値と基準錆指標値を利用して、対象物の錆の程度を評価する方法とすることもできる。この場合の計測錆指標値は、対象物画像の色相の統計値に基づいて求められる「色相指標値」と対象物画像における影部割合に基づいて求められる「影部指標値」で構成され、また基準錆指標値は、標本画像の色相の統計値に基づいて求められる「色相基準指標値」と標本画像における影部割合に基づいて求められる「影部基準指標値」で構成される。そしてこの場合の錆階級評価工程では、色相指標値と色相基準指標値(錆階級ごとにあらかじめ設定)を照らし合わせるとともに、影部指標値と影部基準指標値(錆階級ごとにあらかじめ設定)を照らし合わせることで、対象物の錆階級を決定する。
本願発明の錆評価撮影装置には、次のような効果がある。
(1)例えば、耐候性鋼橋の主桁表面に開口部を当接するだけで暗室状態となることから、自然光に影響を受けることなく鮮明な対象物画像を取得することができる。
(2)制御手段の制御によって、特段の手間を要することなく、異なる方向から照明された複数の対象物画像を取得することができる。
(3)対象物が鋼製の部材であれば、開口部周辺に磁石を設けることで、手を添えることなく(フリーハンドで)対象物画像を取得することができる。
本願発明の錆評価システム、及び錆評価方法には、次のような効果がある。
(1)点検者の主観によることなく客観的な錆の評価を実施することができ、その結果、安定した点検結果を得ることができる。
(2)評価の再現性(トレーサビリティ)が確保され、他者に対する説明の信頼性が向上する。
(3)標本(サンプル)や標本画像を現地に携行する必要がなく、点検作業にかかる負担を軽減することができる。
(a)は本願発明の錆評価撮影装置を上方から見た平面図、(b)は本願発明の錆評価撮影装置の正面図。 函体を側方から見た側面図。 (a)は右側の照明手段のみが点灯した状態で画像取得手段が撮影している状況を示す平面図、(b)は左側の照明手段のみが点灯した状態で画像取得手段が撮影している状況を示す平面図。 第1の形態における錆評価システムの主な構成を示すブロック図。 第1の形態における錆評価システムのうち、基準錆指標値を算出する主な構成を示すブロック図。 第2の形態における錆評価システムの主な構成を示すブロック図。 第2の形態における錆評価システムのうち、基準錆指標値を算出する主な構成を示すブロック図。 (a)は右照明手段のみが点灯した状態で画像取得手段が対象物画像を取得する状況を示すモデル図、(b)は左照明手段のみが点灯した状態で画像取得手段が対象物画像を取得する状況を示すモデル図。 (a)は右照明手段の照明による輝度画像の影を模式的に示すモデル図、(b)は左照明手段の照明による輝度画像の影を模式的に示すモデル図、(c)は右照明手段と左照明手段による輝度画像を合成した合成輝度画像の影を模式的に示すモデル図。 (a)は右照明手段の照明による輝度画像を示すモデル図、(b)は左照明手段の照明による輝度画像を示すモデル図、(c)は上照明手段の照明による輝度画像を示すモデル図、(d)は下照明手段の照明による輝度画像を示すモデル図、(e)は上記4つの輝度画像を合成した合成輝度画像を示すモデル図。 第1の形態における本願発明の錆評価方法の主な工程の流れを示すフロー図。 第2の形態における本願発明の錆評価方法の主な工程の流れを示すフロー図。
本願発明の錆評価撮影装置、錆評価システム、及び錆評価方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
1.錆評価撮影装置
はじめに本願発明の錆評価撮影装置について説明する。図1は本願発明の錆評価撮影装置100を示す図であり、(a)は上方から見た平面図、(b)は後述する開口部側から見た正面図である。この図に示すように錆評価撮影装置100は、函体110と、画像取得手段120、照明手段130、制御手段140を含んで構成される。以下、錆評価撮影装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
(函体)
図2は、函体110を側方から見た側面図である。この図に示すように函体110は、壁体111と、この壁体111に囲まれた内部空間112、そして開口部113を有している。図1と図2に示す函体110は、5つの壁体111によって形成され、具体的には右側面の壁体111aと、左側面の壁体111b、上面の壁体111c、下面の壁体111d、背面の壁体111eによって箱状に形成され、これら5つの壁体111によって内部空間112が設けられるとともに前面側(図2)に開口部が設けられる。なお、図1と図2に示す函体110の外形は概ね直方体の箱状とされているが、これに限らず任意形状の箱状とすることもできるし、そのほか筒状や袋状とすることもできる。また、壁体111(この図では、右側面の壁体111aと左側面の壁体111b)に、手持ち用の取手114を設けることもできる。
(画像取得手段)
画像取得手段120は、反射光を電気的に読み取るCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)といった撮像素子を備えたものであり、従来用いられているカメラ等を利用することができる。この画像取得手段120は、函体110の開口部113を通じてその前方を撮影することができる姿勢で、函体110の内部空間112内に設置される。例えば図1では、画像取得手段120のレンズが開口部113の方向に向く姿勢とされたうえで、背面の壁体111eに固定されている。
(照明手段)
照明手段130は、画像取得手段120が撮影する際に照明を与える光源であり、従来用いられているLED(Light Emitting Diode)照明器具等を利用することができる。函体110の内部空間112内には2以上(図では4つ)の照明手段130が設置され、しかもそれぞれ照明方向が異なる(平行にならない)姿勢で配置される。例えば図1では、右側面の壁体111aに固定された右照明手段130aと、左側面の壁体111bに固定された左照明手段130b、上面の壁体111cに固定された上照明手段130c、下面の壁体111dに固定された下照明手段130dの4つの照明手段130が配置され、それぞれの照明方法は函体110の開口部113中央付近に向かっている。
(制御手段)
制御手段140は、画像取得手段120による撮影と照明手段130の点灯を制御するものであり、専用のものとして製造することもできるし、汎用的なコンピュータ装置を利用することもできる。このコンピュータ装置は、パーソナルコンピュータ(PC)や、iPad(登録商標)といったタブレット型PC、スマートフォンを含む携帯端末、あるいはPDA(Personal Data Assistance)などによって構成することができる。コンピュータ装置は、CPU等のプロセッサ、ROMやRAMといったメモリを具備しており、さらにマウスやキーボード等の入力手段やディスプレイ(表示手段)を含むものもある。なお、一般的なPCであればマウスやキーボード等のデバイスから入力するが、タブレット型端末やスマートフォンではタッチパネルを用いた操作(タップ、ピンチイン/アウト、スライド等)で入力することが多い。
制御手段140が所定のプログラムを実行することによって、複数の照明手段130が順に点灯していき、それぞれの照明手段130が点灯するタイミングで画像取得手段120が撮影する。なお、画像取得手段120が撮影するときには1の照明手段130のみが点灯しており、すなわち前の照明手段130が消灯するとともに次の照明手段130が点灯した状態で画像取得手段120は撮影する。例えば図1の例では、まず右照明手段130aが点灯すると画像取得手段120が撮影し、そして右照明手段130aが消灯するとともに左照明手段130bが点灯すると画像取得手段120が撮影するわけである。同様に、上照明手段130cと下照明手段130dをそれぞれ単独で点灯させながら、画像取得手段120が撮影していく。
(錆評価撮影装置の使用例)
点検対象である耐候性鋼橋(対象物)の錆の程度を評価するために主桁表面の画像を取得する例で、錆評価撮影装置100の使用について説明する。なお、既述したとおり耐候性鋼橋の点検は、5段階の外観評点(1〜5)と照合しながら点検対象の錆の評価を行うこととされていることから、ここでは錆評価撮影装置100で取得した画像をもって5段階評価を行う例で説明する。この5段階評価は、それぞれの段階の代表的な画像が提供されているとともに、その特徴が次のように提示されている。
外観評価点5・・・さびの量は少なく、比較的明るい色調を呈する。
外観評価点4・・・さびの大きさは1mm程度以下で細かく均一である。
外観評価点3・・・さびの大きさは1〜5mm程度で粗い。
外観評価点2・・・さびの大きさは5〜25mm程度のうろこ状である。
外観評価点1・・・さびは層状の剥離がある。
そして外観評価点5〜3と評価されると今後の処置は不要と判断され、外観評価点2と評価されると経過観察が必要、外観評価点1と評価されると早期対策が必要と判断される。
太陽光の下で耐候性鋼橋を撮影すると、反射や影の影響で主桁表面の正確な状態を捉えることができないこともある。一方、外観評価においては主桁表面の凹凸状態が極めて重要であり、したがってその凹凸状態が明確に把握できるように画像を取得する必要がある。本願発明の錆評価撮影装置100を使用すれば、自然光の影響を受けることなく、しかも主桁表面の凹凸状態が明確に把握できる画像を取得することができる。以下、図3を参照しながらより詳しく説明する。
図3に示すように、耐候性鋼橋の主桁Gr表面に函体110の開口部113を当接すると、この開口部113は塞がれることとなり、その結果、内部空間112は暗室状態とされる。このように内部空間112を暗室状態としたうえで主桁Gr表面を撮影すると、自然光の影響を受けることなく主桁表面の正確な状態を捉えることができるわけである。なお、図3に示すように開口部113周辺に磁石150を設置しておくと、手を添えることなく錆評価撮影装置100を主桁Gr表面に固定することができ、すなわち点検者はフリーハンドとなって他の作業を行うことができて好適となる。図1(b)では、右側面の壁体111aと、左側面の壁体111b、上面の壁体111c、下面の壁体111dそれぞれの先端(妻面)に磁石150を設置しているが、強力な磁力の磁石150を用いる場合はその設置数を1つとすることもできるし、磁石150の磁力によっては図1(b)の設置数(8つ)より数多く設置することもできる。また、この図では制御手段140と函体110(つまり、画像取得手段120と照明手段130)を優先で接続しているが、もちろん無線で接続(通信)することもできるし、函体110と制御手段140を一体として形成することもできる。
主桁Gr表面に錆評価撮影装置100をセットしその内部空間112を暗室状態にすると、制御手段140に所定のプログラムを実行させることで、順に照明手段130を点灯させながら画像取得手段120で撮影する。図3(a)では右照明手段130aのみが点灯した状態で画像取得手段120が撮影し、図3(b)では左照明手段130bのみが点灯した状態で画像取得手段120が撮影している。このように照明方向を指定したうえで画像を取得すると、画像上の影によって主桁Gr表面の凹凸の位置や程度が明確に把握することができる。また、多方向(図では4方向)から照明を与えることによって、もれなく主桁Gr表面の凹凸を把握することができるわけである。
錆評価撮影装置100(画像取得手段120)で取得した画像は記憶され、事後的に(あるいはその場で)5段階の外観評点の標本(サンプル)やその画像と照らし合わせることによって、点検対象である耐候性鋼橋の錆の程度を評価する。ところで、耐候性鋼橋の全体的な点検を行うとき、一般的にその表面は広大であるため数多くの画像を取得することになる。そして、大量の画像が記憶された後に、その画像の取得位置を判断することは容易でない。そこで錆評価撮影装置100が位置情報とともに画像を記憶する仕様とするとよい。この場合、全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System )を利用することとし、錆評価撮影装置100にGNSS受信機を設けることもできる。
2.錆評価システム
次に本願発明の錆評価システムについて説明する。なお、本願発明の錆評価システムは、ここまで説明した錆評価撮影装置100を使用することもでき、したがって錆評価撮影装置100で説明した内容と重複する説明は避け、錆評価システムに特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.錆評価撮影装置」で説明したものと同様である。
本願発明の錆評価システムは、点検を行う対象物(以下、単に「対象物」という。)の錆の程度を評価するシステムであり、錆階級ごとの「基準錆指標値」と対象物の「計測錆指標値」を照らし合わせることをひとつの特徴としている。ここで錆階級とは、あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された階級(例えば、既述した外観評価点1〜5)のことであり、基準錆指標値とは、錆階級それぞれの標本(サンプル)を撮影した画像(以下、「標本画像」という。)に基づいて求められる値のことであり、計測錆指標値とは、対象物を撮影した画像(以下、「対象物画像」という。)に基づいて求められる値のことである。そして、本願発明の錆評価システムにおける基準錆指標値と計測錆指標値は、「画像の色相」に基づいて求められる形態と、「画像の輝度」に基づいて求められる形態、「画像の色相」及び「画像の輝度」の両方に基づいて求められる形態に大別することができる。そこで、「画像の色相」に基づいて求められる形態を第1の形態、「画像の輝度」に基づいて求められる形態を第2の形態、そして「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて求められる形態を第3の形態として順に説明する。
(錆評価システムの第1の形態)
図4は、第1の形態における錆評価システム200の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本形態の錆評価システム200は、錆指標値算出手段204と錆階級評価手段206を含んで構成され、そのほか本願発明の錆評価撮影装置100や、対象物画像記憶手段201、RGB取得手段202、HSV変換手段203、基準錆指標値記憶手段205、標本画像記憶手段207(図5)を含んで構成することもできる。
対象物画像記憶手段201は、対象物を撮影した対象物画像を記憶するものであり、例えばインターネット経由で保存するクラウドサーバに構築することができる。なお第1の形態ではカラー画像が用いられることから、本形態の対象物画像記憶手段201はカラーの対象物画像を記憶する。また、対象物の同一の範囲に対して1の対象物画像を取得して記憶することもできるし、対象物の同一の範囲に対して複数の対象物画像を取得して記憶することもできる。同一範囲に対して複数の対象物画像を取得する場合は、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を利用して照明方向を変えながら対象物画像を取得することができる。図4に示す対象物画像記憶手段201では、同一範囲に対して4方向の照明(照明a〜照明d)で取得した対象物画像を記憶している
錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)は、対象物画像(カラー画像)の色相の統計値に基づいて計測錆指標値を算出するものである。このように本形態では「色相」を用いることから、ここで画像の「色」について簡単に説明する。
本来、色は人の視覚で認識するものであり、個人差が伴うものである。近年、コンピュータで処理すべくこの色をモデル化させるようになった。色をモデル化する手法にも種々あり、赤(Red)・緑(Green)・青(Blue)の3色を基本色とするRGB、シアン(Cyan)・マゼンタ(Magenta)・イエロー(Yellow)・ブラック(KeyPlate)の4色を基本色とするCMYK、黄・赤・青・緑・黒・白の6色を基本色とするNCSやオストワルト表色系などが知られている。ここでは、RGBで色をモデル化した場合について説明するが、本願発明を実施するには他の手法を採用してもよい。
また色は、色相と彩度、明度からなる3つの属性を備えている。RGBは前記したとおり、赤・緑・青を基本色とし、この3原色を混ぜ合わせる加法混色により様々な色を表現するものであり、種々の組み合わせによって色相、彩度、明度を表現する。具体的には、赤の明度をr、緑の明度をg、青の明度をbとすると、RGBは(r、g、b)で表され、rとgとbの値の組み合わせによって色の3属性を表現する。この明度は、0から255の整数で表現することが多いが、0%〜100%の範囲で表現したり、0〜1(整数に限らない)の範囲で表現したり、適宜選択することができる。一例として、純色の赤のRGBは(255、0、0)で表され、純色の緑は(0、255、0)、純色の青なら(0、0、255)となる。
色相、彩度、明度の表現は、球形モデルで表すことができることが知られている。色相は色味を表すものであり、球形モデルの中心軸(鉛直軸)回りの円周方向(いわば赤道方向)に赤〜緑〜青と変化していく。なお、赤と緑の間にはこれらを混ぜ合わせた黄色(255、255、0)があり、緑と青の間、青と赤の間にもこれらを混ぜ合わせた色があり、色相は徐々に変化していく。なお、色相のみの変化を平面上に表したものは色相環と呼ばれる。
彩度は文字どおり色の鮮やかさを表すものであり、球形モデルの中心軸から離れるほど色は鮮やかとなる。純色の赤(255、0、0)、純色の緑(0、255、0)、純色の青(0、0、255)はそれぞれ中心軸から最も離れた円周上(いわば赤道上)にあって彩度が最大となる。一方、RGBが(255、200、200)などのように赤の明度r、緑の明度g、青の明度bの値が近似すると、それぞれの明度が相殺されて中心軸に近づき、すなわち彩度が小さくなる(この場合、白っぽくなる)。赤の明度r、緑の明度g、青の明度bがすべて等しい場合、中心軸上に位置することとなり、彩度は失われ、また色相もなくなり、この結果、明度だけで表現される色となる。たとえば、RGBが(255、255、255)であれば白、RGBが(0、0、0)であれば黒となる。
明度は、色の明るさ(暗さ)を表すものであり、球形モデルの中心軸と平行する方向であって上方(いわば北極方向)へ進むほど色は明るくなり、下方(いわば南極方向)へ進むほど色は暗くなる。すなわち、赤の明度r、緑の明度g、青の明度bすべての明度が最大である白(255、255、255)が最も明るく、逆に、赤の明度r、緑の明度g、青の明度bすべての明度が最小である黒(0、0、0)が最も暗い色となる。
既述したとおり錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)は、対象物画像の色相の統計値に基づいて計測錆指標値を算出するものである。そして、対象物画像からこの色相を抽出するのがRGB取得手段202とHSV変換手段203である。具体的には、RGB取得手段202が対象物画像の各画素のRGBを取得し、HSV変換手段203が取得したRGBを色相(Hue)に変換する。
HSV変換手段203によって対象物画像の色相が得られると、錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)が計測錆指標値を算出する。一般的に、対象物に「色むら」が少ないと錆の程度は低いとされている。そして、対象物に「色むら」が少ないということは、対象物画像全体の色相のばらつきが小さいと考えることができる。そこで本形態では、対象物画像の各画素の色相から標準偏差を求め、この標準偏差を「計測錆指標値」としている。すなわち錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)は、対象物画像の色相の標準偏差を求め、色相の標準偏差を「計測錆指標値」とするわけである。このとき、同一範囲に対して複数の対象物画像が取得されていれば、それぞれの対象物画像の各画素の色相に基づいて色相の標準偏差(つまり計測錆指標値)を算出することができる。なお本願発明では、標準偏差に代えて、分散などばらつきを示す他の統計値を採用することもできる。
錆階級評価手段206は、計測錆指標値と基準錆指標値を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定するものである。ここで基準錆指標値は、既述したとおり階級(例えば、外観評価点1〜5)それぞれの標本(サンプル)を撮影した標本画像に基づいて求められる。以下、図5を参照しながら基準錆指標値を算出する過程について説明する。
図5は、第1の形態における錆評価システムのうち、基準錆指標値を算出する主な構成を示すブロック図である。標本画像記憶手段207は、階級ごとの標本画像を記憶するものであって、対象物画像記憶手段201と同様、カラーの標本画像を記憶するものであり、例えばインターネット経由で保存するクラウドサーバに構築することができる。また、同一階級の標本に対して1の標本画像を取得して記憶することもできるし、同一階級の標本に対して複数の標本画像を取得して記憶することもできる。同一階級の標本に対して複数の標本画像を取得する場合は、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を利用して照明方向を変えながら標本画像を取得することができる。図5に示す標本画像記憶手段207では、5階級の標本画像をそれぞれ4方向の照明(照明a〜照明d)で取得した標本画像(5階級×4照明)を記憶している
図5に示すようにRGB取得手段202は、標本画像記憶手段207が記憶した標本画像の各画素のRGBを取得し、HSV変換手段203が取得したRGBを色相(Hue)に変換する。RGBから色相(Hue)への変換は、従来用いられている種々の技術を利用することができる。HSV変換手段203によって標本画像の色相が得られると、錆指標値算出手段204が階級ごと(図5では5階級ごと)の標本画像の色相の標準偏差を算出しこれを基準錆指標値とする。すなわちこの場合の錆指標値算出手段204は、各階級の標本画像の色相の標準偏差を求め、色相の標準偏差を各階級の「計測錆指標値」とするわけである。このとき、同一階級の標本に対して複数の標本画像が取得されていれば、それぞれの標本画像の各画素の色相に基づいて色相の標準偏差(つまり計測錆指標値)を算出することができる。ここで算出された各階級の基準錆指標値は、基準錆指標値記憶手段205に記憶される。この基準錆指標値記憶手段205も対象物画像記憶手段201や標本画像記憶手段207と同様、例えばインターネット経由で保存するクラウドサーバに構築することができる。なお基準錆指標値は、実際の点検作業の前にあらかじめ算出しておくとよい。
図4に示すように、錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)によって計測錆指標値が得られると、錆階級評価手段206がこの計測錆指標値と基準錆指標値を照らし合わせて対象物の錆階級を決定する。具体的には、基準錆指標値記憶手段205から読み出した各階級の基準錆指標値と、計測錆指標値を比較し、計測錆指標値に最も近い基準錆指標値を有する階級を、当該対象物の階級(すなわち錆の程度)として決定するわけである。
(錆評価システムの第2の形態)
図6は、第2の形態における錆評価システム200の主な構成を示すブロック図である。この図に示すように本形態の錆評価システム200は、錆指標値算出手段204と錆階級評価手段206を含んで構成され、そのほか本願発明の錆評価撮影装置100や、対象物画像記憶手段201、輝度画像作成手段208、輝度画像合成手段209、基準錆指標値記憶手段205、標本画像記憶手段207(図5)を含んで構成することもできる。
対象物画像記憶手段201は、対象物を撮影した対象物画像を記憶するものである。なお第2の形態では輝度によって表された画像(以下、「輝度画像」という。)が用いられることから、本形態の対象物画像記憶手段201は輝度画像(例えばモノクロ画像やグレースケール画像)として取得した対象物画像を記憶することもできるし、通常のカラー画像を記憶することもできる。また、対象物の同一の範囲に対して1の対象物画像を取得して記憶することもできるし、対象物の同一の範囲に対して複数の対象物画像を取得して記憶することもできる。同一範囲に対して複数の対象物画像を取得する場合は、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を利用して照明方向を変えながら対象物画像を取得することができる。図6に示す対象物画像記憶手段201では、同一範囲に対して4方向の照明(照明a〜照明d)で取得した対象物画像を記憶している
錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)は、対象物画像(輝度画像)の「影部割合」に基づいて計測錆指標値を算出するものである。ここで「影部割合」とは、輝度画像のうち輝度閾値を下回る輝度値(以下、「低輝度」という。)を示す割合のことであり、例えば輝度画像の全画素数のうち低輝度の画素数が占める割合を影部割合とすることができる。なお輝度閾値は、あらかじめ設定される値で、例えば輝度を256階調で表す場合は輝度閾値を10とすることができる。もちろん輝度閾値は、対象物の重要度や維持管理の程度に応じて適宜設定することができる。
錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)が輝度画像による影部割合を利用することから、対象物画像記憶手段201がカラーの対象物画像を記憶する場合、図6に示すように輝度画像作成手段208がこの対象物画像(カラー)から輝度画像(例えばグレースケール画像)に変換する。もちろん、対象物画像記憶手段201が対象物画像を輝度画像として記憶する場合は、この輝度画像作成手段208は省くことができる。
また、同一範囲に対して複数の対象物画像が取得されている場合、輝度画像合成手段209がそれぞれの輝度画像を合成した画像(以下、「合成輝度画像」という。)を作成する。以下、輝度画像合成手段209による合成輝度画像の作成手法について、図8〜図10を参照しながら説明する。なおここでは、図1に示す本願発明の錆評価撮影装置100を用いて対象物画像を取得した例で説明する。
図8(a)は、右照明手段130aのみが点灯した状態で画像取得手段120が対象物画像を取得する状況を示すモデル図であり、図8(b)は、左照明手段130bのみが点灯した状態で画像取得手段120が対象物画像を取得する状況を示すモデル図である。この図に示すように対象物表面に凸部Keがあると、照明を当てて撮影することで対象物画像には影Shが明確に表される。しかも照明の方向が既知であれば、その照明に対する影Shに基づいて凸部Keの位置や大きさ(程度)を推定することができる。さらに図8に示すように多方向から照明を当てて画像を取得すると、対象物表面の凸部Keをもれなく取得することができる。
図9(a)は、右照明手段130aの照明による輝度画像の影Shを模式的に示すモデル図であり、図9(b)は、左照明手段130bの照明による輝度画像の影Shを模式的に示すモデル図であり、図9(c)は、右照明手段130aと左照明手段130bによる輝度画像を合成した合成輝度画像の影Shを模式的に示すモデル図である。図8(a)で取得された対象物画像から変換した輝度画像(輝度画像を取得した場合は対象物画像そのもの)は、図9(a)に示す影Shを示す。同様に、図8(b)で取得された対象物画像による輝度画像は、図9(b)に示す影Shを示す。そして、図8(a)による輝度画像の影Shと、図8(b)による輝度画像の影Shを合成したものが図9(c)に示す影Shである。図9(c)からわかるように、図9(a)や図9(b)単体の輝度画像よりも、合成輝度画像の方が明確に凸部Keを把握することができる。
図10(a)は、右照明手段130aの照明による輝度画像を示すモデル図であり、図10(b)は、左照明手段130bの照明による輝度画像を示すモデル図、図10(c)は、上照明手段130cの照明による輝度画像を示すモデル図、図10(d)は、下照明手段130dの照明による輝度画像を示すモデル図である。そして、輝度画像合成手段209がこれら4つの輝度画像を合成したものが、図10(e)に示す合成輝度画像である。
輝度画像合成手段209によって合成輝度画像が得られると、錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)が計測錆指標値を算出する。一般的に、対象物に凹凸が少ないと錆の程度は低いとされている。そして、対象物に凹凸が少ないということは、対象物画像に表れる影部が少ない、すなわち影部割合が小さいと考えることができる。そこで本形態では、対象物画像の合成輝度画像から影部割合を求め、この影部割合を「計測錆指標値」としている。すなわち錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)は、対象物画像の合成輝度画像における影部割合を求め、この影部割合を「計測錆指標値」とするわけである。なお、同一範囲に対して1の対象物画像のみが取得されている場合は、合成輝度画像ではなく単体の輝度画像(対象物画像)の影部割合を計測錆指標値とすることができる。
錆階級評価手段206は、計測錆指標値と基準錆指標値を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定するものである。以下、図7を参照しながら基準錆指標値を算出する過程について説明する。
図7は、第2の形態における錆評価システムのうち、基準錆指標値を算出する主な構成を示すブロック図である。標本画像記憶手段207は、階級ごと標本画像を記憶するものであり、対象物画像記憶手段201と同様、カラーの標本画像又は輝度画像(モノクロ画像やグレースケール画像)を記憶する。また、同一階級の標本に対して1の標本画像を取得して記憶することもできるし、同一階級の標本に対して複数の標本画像を取得して記憶することもできる。同一階級の標本に対して複数の標本画像を取得する場合は、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を利用して照明方向を変えながら標本画像を取得することができる。図7に示す標本画像記憶手段207では、5階級の標本画像をそれぞれ4方向の照明(照明a〜照明d)で取得した標本画像(5階級×4照明)を記憶している
図7に示すように輝度画像作成手段208は、標本画像記憶手段207が記憶したカラーの標本画像を輝度画像に変換し、輝度画像合成手段209が複数の輝度画像を合成して合成輝度画像を作成する。輝度画像合成手段209によって合成輝度画像が得られると、錆指標値算出手段204が階級ごと(図7では5階級ごと)の合成輝度画像における影部割合を算出しこれを基準錆指標値とする。すなわちこの場合の錆指標値算出手段204は、各階級の標本画像の合成輝度画像における影部割合を求め、この影部割合を各階級の「計測錆指標値」とするわけである。ここで算出された各階級の基準錆指標値は、基準錆指標値記憶手段205に記憶される。なお基準錆指標値は、実際の点検作業の前にあらかじめ算出しておくとよい。
図6に示すように、錆指標値算出手段204(錆指標値計測手段)によって計測錆指標値が得られると、錆階級評価手段206がこの計測錆指標値と基準錆指標値を照らし合わせて対象物の錆階級を決定する。具体的には、基準錆指標値記憶手段205から読み出した各階級の基準錆指標値と、計測錆指標値を比較し、計測錆指標値に最も近い基準錆指標値を有する階級を、当該対象物の階級(すなわち錆の程度)として決定するわけである。
(錆評価システムの第3の形態)
第3の形態における錆評価システム200は、「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて計測錆指標値を求め、「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて基準錆指標値を求める形態である。より詳しくは、この形態における計測錆指標値は、第1の形態で説明した「画像の色相」に基づいて求められる計測錆指標値(以下、「色相指標値」という、)と、第2の形態で説明した「画像の輝度」に基づいて求められる計測錆指標値(以下、「影部指標値」という、)で構成され、この形態における基準錆指標値は、第1の形態で説明した「画像の色相」に基づいて求められる基準錆指標値(以下、「色相基準指標値」という、)と、第2の形態で説明した「画像の輝度」に基づいて求められる基準錆指標値(以下、「影部基準指標値」という、)で構成される。したがって第1の形態や第2の形態で説明した内容と重複する説明は避け、第3の形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「錆評価システムの第1の形態」と「錆評価システムの第1の形態」で説明したものと同様である。
第3の形態における錆評価システム200は、いわば第1の形態と第2の形態の両方の機能を有することから、双方の手段を合わせ持つ構成とされる。すなわち本形態における錆評価システム200は、RGB取得手段202と、HSV変換手段203、輝度画像作成手段208、輝度画像合成手段209、錆指標値算出手段204、錆階級評価手段206を含んで構成され、そのほか本願発明の錆評価撮影装置100や、対象物画像記憶手段201、基準錆指標値記憶手段205、標本画像記憶手段207を含んで構成することもできる。
本形態における錆指標値算出手段204は、対象物画像の各画素の色相に基づいて色相の統計値(例えば標準偏差)を「色相指標値」として算出するとともに、対象物画像の合成輝度画像における影部割合を「影部指標値」として求め、「色相指標値」及び「影部指標値」を「計測錆指標値」とする。そして錆階級評価手段206が、「色相指標値」と「色相基準指標値」を照らし合わせるとともに、「影部指標値」と「影部基準指標値」を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定する。具体的には、「色相指標値」と「色相基準指標値」によって決定される階級(以下、「色相による階級」という。)と、「影部指標値」と「影部基準指標値」によって決定される階級(以下、「影部による階級」という。)をそれぞれ求め、「色相による階級」と「影部による階級」を総合的に判断して最終的な階級を決定する。例えば、「色相による階級」と「影部による階級」を平均した階級とする、「色相による階級」と「影部による階級」のうち低い(あるいは高い)方の階級とする、あるいは「色相による階級」と「影部による階級」のうちどちらか一方を主な判断として用い他方は補助的な位置づけとして階級を決定する、など種々な手法で総合的な判断を行うことができる。
3.錆評価方法
続いて、本願発明の錆評価方法について、図11及び図12を参照しながら説明する。なお、本願発明の錆評価方法は、ここまで説明した錆評価撮影装置100や錆評価システム200を使用することもでき、したがって錆評価撮影装置100と錆評価システム200で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の錆評価方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.錆評価撮影装置」や「2.錆評価システム」で説明したものと同様である。
本願発明の錆評価方法は、対象物の錆の程度を評価する方法であり、本願発明の錆評価システム200と同様、錆階級ごとの「基準錆指標値」と対象物の「計測錆指標値」を照らし合わせることをひとつの特徴としており、また本願発明の錆評価方法における基準錆指標値と計測錆指標値は、画像の色相に基づいて求められる形態と、画像の輝度に基づいて求められる形態、「画像の色相」及び「画像の輝度」の両方に基づいて求められる形態に大別することができる。そこで、「画像の色相」に基づいて求められる形態を第1の形態、「画像の輝度」に基づいて求められる形態を第2の形態、そして「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて求められる形態を第3の形態として順に説明する。
(錆評価方法の第1の形態)
図11は、第1の形態における本願発明の錆評価方法の主な工程の流れを示すフロー図である。以下、この図に沿って第1の形態における本願発明の錆評価方法について説明する。まず、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を用いて対象物画像を取得する(Step11)。このとき、対象物の同一の範囲に対して1の対象物画像を取得することもできるし、対象物の同一の範囲に対して複数の対象物画像を取得することもできる。
対象物画像を取得すると、その対象物画像の各画素のRGBを取得し(Step12)、さらにそのRGBを色相(Hue)に変換する(Step13)。そして対象物画像の色相の統計値(例えば標準偏差)を求め、この統計値を「計測錆指標値」とする(Step14)。対象物の計測錆指標値が得られると、あらかじめ算出された各階級の基準錆指標値と、その計測錆指標値とを照らし合わせ、計測錆指標値に最も近い基準錆指標値を有する階級を当該対象物の階級(すなわち錆の程度)として決定する(Step15)。
(錆評価方法の第2の形態)
図12は、第2の形態における本願発明の錆評価方法の主な工程の流れを示すフロー図である。以下、この図に沿って第2の形態における本願発明の錆評価方法について説明する。まず、例えば本願発明の錆評価撮影装置100を用いて対象物画像を取得する(Step21)。このとき、対象物の同一の範囲に対して1の対象物画像を取得することもできるし、対象物の同一の範囲に対して複数の対象物画像を取得することもできる。また、輝度画像(例えばモノクロ画像やグレースケール画像)として対象物画像を取得することもできるし、通常のカラー画像として対象物画像を取得することもできる。ここでは便宜上、対象物の同一の範囲に対して複数のカラー画像(対象物画像)を取得したケースで説明する。
対象物画像を取得すると、その対象物画像(カラー)を輝度画像(例えばグレースケール画像)に変換する(Step22)とともに、対象物の同一の範囲に対して得られた複数の輝度画像を合成して合成輝度画像を作成し(Step23)、さらにその合成輝度画像から影部割合を求めこの影部割合を計測錆指標値とする(Step24)。そして対象物の計測錆指標値が得られると、あらかじめ算出された各階級の基準錆指標値と、その計測錆指標値とを照らし合わせ、計測錆指標値に最も近い基準錆指標値を有する階級を当該対象物の階級(すなわち錆の程度)として決定する(Step25)。
(錆評価方法の第3の形態)
第3の形態における錆評価方法は、「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて計測錆指標値を求め、「画像の色相」及び「画像の輝度」に基づいて基準錆指標値を求める形態である。より詳しくは、この形態における計測錆指標値は、第1の形態で説明した「色相指標値」と第2の形態で説明した「影部指標値」で構成され、この形態における基準錆指標値は、第1の形態で説明した「色相基準指標値」と第2の形態で説明した「影部基準指標値」で構成される。したがって第1の形態や第2の形態で説明した内容と重複する説明は避け、第3の形態に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「錆評価方法の第1の形態」と「錆評価方法の第1の形態」で説明したものと同様である。
第3の形態における錆評価方法は、いわば第1の形態と第2の形態の両方の機能を有することから、双方の工程を合わせ持つ方法とされる。すなわち本形態における錆評価方法は、対象物の画像取得工程(Step11、Step21)と、RGB取得工程(Step12)、HSV変換工程(Step13)、輝度画像作成工程(Step22)、輝度画像合成工程(Step23)、錆指標値計測工程(Step14、Step24)、錆階級評価工程(Step15、Step25)を備えた方法である。
本形態における錆指標値計測工程では、対象物画像の各画素の色相に基づいて色相の統計値(例えば標準偏差)を「色相指標値」として算出するとともに、対象物画像の合成輝度画像における影部割合を「影部指標値」として求め、「色相指標値」及び「影部指標値」を「計測錆指標値」とする。そして錆階級評価工程において、「色相指標値」と「色相基準指標値」を照らし合わせるとともに、「影部指標値」と「影部基準指標値」を照らし合わせることで対象物の錆階級を決定する。具体的には、「色相による階級」と「影部による階級」をそれぞれ求め、「色相による階級」と「影部による階級」を総合的に判断して最終的な階級を決定する。例えば、「色相による階級」と「影部による階級」を平均した階級とする、「色相による階級」と「影部による階級」のうち低い(あるいは高い)方の階級とする、あるいは「色相による階級」と「影部による階級」のうちどちらか一方を主な判断として用い他方は補助的な位置づけとして階級を決定する、など種々な手法で総合的な判断を行うことができる。
本願発明の錆評価撮影装置、錆評価システム、及び錆評価方法は、道路橋や鉄道橋など種々の橋梁に利用することができるほか、鉄塔や各種タンク、サイロといった構造物にも利用することができる。本願発明によって、供用中の構造物の劣化状況を評価することができ、その結果劣化に応じた補修・補強対策が可能となり、ひいては既設構造物の長寿命化につながることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
100 錆評価撮影装置
110 (錆評価撮影装置の)函体
111 (函体の)壁体
111a (壁体のうちの)右側面の壁体
111b (壁体のうちの)左側面の壁体
111c (壁体のうちの)上面の壁体
111d (壁体のうちの)下面の壁体
111e (壁体のうちの)背面の壁体
112 (函体の)内部空間
113 (函体の)開口部
114 (函体の)取手
120 (錆評価撮影装置の)画像取得手段
130 (錆評価撮影装置の)照明手段
130a (照明手段のうちの)右照明手段
130b (照明手段のうちの)左照明手段
130c (照明手段のうちの)上照明手段
130d (照明手段のうちの)下照明手段
140 (錆評価撮影装置の)制御手段
200 錆評価システム
201 (錆評価システムの)対象物画像記憶手段
202 (錆評価システムの)RGB取得手段
203 (錆評価システムの)HSV変換手段
204 (錆評価システムの)錆指標値算出手段
205 (錆評価システムの)基準錆指標値記憶手段
206 (錆評価システムの)錆階級評価手段
207 (錆評価システムの)標本画像記憶手段
208 (錆評価システムの)輝度画像作成手段
209 (錆評価システムの)輝度画像合成手段
Ke 凸部
Sh 影

Claims (11)

  1. 対象物の錆の程度を評価するための画像を取得する錆評価撮影装置であって、
    本体壁と、該本体壁内に形成される内部空間と、開口部と、を具備する函体と、
    前記内部空間に設置され、前記開口部を通じて前記対象物を撮影し得る画像取得手段と、
    前記内部空間に設置された照明方向が異なる2以上の照明手段と、
    2以上の前記照明手段が順に照明するように制御するとともに、それぞれの該照明手段が照明するたびに前記画像取得手段が画像を取得するように制御する制御手段と、を備え、
    前記対象物によって前記開口部を塞ぐと、前記内部空間が暗室状態になる、
    ことを特徴とする撮影装置。
  2. 前記開口部周辺に1又は2以上の磁石が設置された、
    ことを特徴とする錆評価撮影装置。
  3. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価するシステムであって、
    前記対象物を撮影した対象物画像に基づいて、該対象物の計測錆指標値を求める錆指標値計測手段と、
    前記錆指標値計測手段によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価手段と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像の色相の統計値に基づいて求められ、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる、
    ことを特徴とする錆評価システム。
  4. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価するシステムであって、
    前記対象物を撮影した対象物画像に基づいて、該対象物の計測錆指標値を求める錆指標値計測手段と、
    前記錆指標値計測手段によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価手段と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像における影部割合に基づいて求められ、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像における前記影部割合に基づいて求められ、
    前記影部割合は、輝度によって表された輝度画像のうち、あらかじめ定めた輝度閾値を下回る輝度値を示す割合に基づいて求められる、
    ことを特徴とする錆評価システム。
  5. 前記計測錆指標値は、照明方向を変えて前記対象物を撮影して得られた2以上の前記輝度画像を合成した合成輝度画像における前記影部割合に基づいて求められ、
    前記基準錆指標値は、照明方向を変えて前記標本を撮影して得られた2以上の前記輝度画像を合成した合成輝度画像における前記影部割合に基づいて求められ、
    ことを特徴とする請求項4記載の錆評価システム。
  6. 本体壁と該本体壁内に形成される内部空間と開口部とを具備する函体、該内部空間に設置され該開口部を通じて前記対象物を撮影し得る画像取得手段、該内部空間に設置された照明方向が異なる2以上の照明手段、及び2以上の該照明手段が順に照明するように制御するとともにそれぞれの該照明手段が照明するたびに前記画像取得手段が画像を取得するように制御する制御手段を、有する錆評価撮影装置を、さらに備え、
    前記対象物を撮影して得られた2以上の前記輝度画像は、前記対象物によって前記開口部を塞ぐことによって前記内部空間を暗室状態としたうえで、それぞれの前記照明手段の照明に応じて前記画像取得手段が取得した前記対象物画像によるものである、
    ことを特徴とする請求項5記載の錆評価システム。
  7. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価するシステムであって、
    前記対象物を撮影した対象物画像に基づいて、該対象物の計測錆指標値を求める錆指標値計測手段と、
    前記錆指標値計測手段によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価手段と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像の色相の統計値に基づいて求められる色相指標値と、該対象物画像における影部割合に基づいて求められる影部指標値と、で構成され、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる色相基準指標値と、該標本画像における前記影部割合に基づいて求められる影部基準指標値と、で構成され、
    前記影部割合は、輝度によって表された輝度画像のうち、あらかじめ定めた輝度閾値を下回る輝度値を示す割合に基づいて求められ、
    前記錆階級評価手段前は、前記色相指標値と前記錆階級ごとにあらかじめ設定された色相基準指標値を照らし合わせるとともに、前記影部指標値と前記錆階級ごとにあらかじめ設定された影部基準指標値を照らし合わせることで、該対象物の前記錆階級を決定する、
    ことを特徴とする錆評価システム。
  8. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価する方法であって、
    前記対象物を撮影して対象物画像を取得する対象物画像取得工程と、
    前記対象物画像取得工程で取得された前記対象物画像に基づいて、計測錆指標値を求める錆指標値計測工程と、
    前記錆指標値計測工程によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価工程と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像の色相の統計値に基づいて求められ、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる、
    ことを特徴とする錆評価方法。
  9. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価する方法であって、
    前記対象物を撮影して対象物画像を取得する対象物画像取得工程と、
    前記対象物画像取得工程で取得された前記対象物画像に基づいて、計測錆指標値を求める錆指標値計測工程と、
    前記錆指標値計測工程によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価工程と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像における影部割合に基づいて求められ、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像における前記影部割合に基づいて求められ、
    前記影部割合は、輝度によって表された輝度画像のうち、あらかじめ定めた輝度閾値を下回る輝度値を示す割合に基づいて求められる、
    ことを特徴とする錆評価方法。
  10. 前記対象物画像取得工程では、錆評価撮影装置で前記対象物を撮影し、
    前記錆評価撮影装置は、本体壁と該本体壁内に形成される内部空間と開口部とを具備する函体、該内部空間に設置され該開口部を通じて前記対象物を撮影し得る画像取得手段、該内部空間に設置された照明方向が異なる2以上の照明手段、及び2以上の該照明手段が順に照明するように制御するとともにそれぞれの該照明手段が照明するたびに前記画像取得手段が画像を取得するように制御する制御手段を有し、
    さらに前記対象物画像取得工程では、前記対象物によって前記開口部を塞ぐことによって前記内部空間を暗室状態としたうえで、それぞれの前記照明手段の照明に応じて2以上の前記対象物画像を取得し、
    前記錆指標値計測工程では、前記対象物画像取得工程で取得した2以上の前記対象物画像の前記輝度画像を合成した合成輝度画像における前記影部割合に基づいて、前記計測錆指標値を求める、
    ことを特徴とする請求項8記載の錆評価方法。
  11. あらかじめ錆の程度に応じて段階的に設定された2以上の錆階級に基づいて、対象物の錆の程度を評価する方法であって、
    前記対象物を撮影して対象物画像を取得する対象物画像取得工程と、
    前記対象物画像取得工程で取得された前記対象物画像に基づいて、計測錆指標値を求める錆指標値計測工程と、
    前記錆指標値計測工程によって求められた前記対象物の前記計測錆指標値と、前記錆階級ごとにあらかじめ設定された基準錆指標値と、を照らし合わせることで該対象物の前記錆階級を決定する錆階級評価工程と、を備え、
    前記計測錆指標値は、前記対象物画像の色相の統計値に基づいて求められる色相指標値と、該対象物画像における影部割合に基づいて求められる影部指標値と、で構成され、
    前記基準錆指標値は、前記錆階級を示す標本を撮影した標本画像の色相の統計値に基づいて求められる色相基準指標値と、該標本画像における前記影部割合に基づいて求められる影部基準指標値と、で構成され、
    前記影部割合は、輝度によって表された輝度画像のうち、あらかじめ定めた輝度閾値を下回る輝度値を示す割合に基づいて求められ、
    前記錆階級評価工程では、前記色相指標値と前記錆階級ごとにあらかじめ設定された色相基準指標値を照らし合わせるとともに、前記影部指標値と前記錆階級ごとにあらかじめ設定された影部基準指標値を照らし合わせることで、該対象物の前記錆階級を決定する、
    ことを特徴とする錆評価方法。
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