JP2019201556A - 麦芽飲料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】渋味が抑制され、キレに優れた、濃色の麦芽飲料及びその製造方法を提供すること。【解決手段】色度が20°EBC以上である麦芽飲料において、コーヒー由来ポリフェノールを、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmとなるように含有させること。【選択図】なし

Description

本発明は、麦芽飲料及びその製造方法に関する。
ビールなどの麦芽飲料が知られている。麦芽飲料の中でも、濃色の飲料には、様々な理由から一定のニーズがある。濃色の麦芽飲料を製造するためには、通常、原料として、黒麦芽等の着色麦芽やそのエキスが使用される。
例えば、特許文献1(特許第5752626号)には、濃色麦芽を含んだ麦芽由来の麦汁と、着色料と、を含む麦芽非発酵飲料であって、エタノール含有量が1体積%未満であり、麦汁由来の色度に対する着色料由来の色度の比率が特定の範囲にあり、麦汁由来の色度が20以上であり、着色料がカラメル色素であることを特徴とする、麦芽非発酵飲料に係る発明が開示されている。
特許第5752626号
ところで、濃色の麦芽飲料では、黒麦芽等の着色麦芽が使用される結果、濃醇な香り、特に麦芽臭が強くなりやすい。その結果、香味のバランスが崩れ、渋味が目立ちやすく、キレに劣る飲料になりやすい。そこで本発明の課題は、濃色の麦芽飲料において、渋味を抑制し、キレを向上させる技術を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の事項を含んでいる。
[1]色度が20°EBC以上であって、コーヒー由来ポリフェノールを含有し、総ポリフェノール濃度が、200〜1000ppmである、麦芽飲料。
[2]前記コーヒー由来ポリフェノールの含有量が、30〜900ppmである、[1]に記載の麦芽飲料。
[3]イソα酸を10〜30ppm含有する、[1]に記載の麦芽飲料。
[4]前記イソα酸中のイソコフムロンの比率が、33質量%以上である、[3]に記載の麦芽飲料。
[5]色度が50°EBC以上である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[6]着色麦芽由来物を含有する、[1]乃至[5]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[7]前記着色麦芽が、黒麦芽を含む、[6]に記載の麦芽飲料。
[8]麦芽使用比率が、50%以上である、[1]乃至[7]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[9]発酵飲料である、[1]乃至[8]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[10]麦芽を含む原料液を調製する工程と、前記原料液の色度を20°EBC以上に調整する工程と、前記原料液に、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmになるように、コーヒー由来ポリフェノールを添加する工程とを含む、麦芽飲料の製造方法。
本発明によれば、渋味が抑制され、キレに優れた、濃色の麦芽飲料及びその製造方法が提供される。
以下、本発明の実施態様について説明する。
本実施態様に係る麦芽飲料は、EBC(European Brewery Convention)色度が20°EBC以上であって、コーヒー由来ポリフェノールを含有し、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmである。
色度とは、飲料の色の濃さを示す指標であり、値が大きいほど色が濃いことを示す。色度が20°EBC以上である麦芽飲料は、色の濃さから一定のニーズがあるものの、渋味が強く、キレが少ない飲料になりやすい。これに対して、本実施態様では、コーヒー由来ポリフェノールが添加されており、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmに調製されているため、渋味が抑えられ、キレが増強された飲料となる。
麦芽飲料の色度は、20°EBC以上であれば特に限定されないが、好ましくは20〜200°EBC、より好ましくは50°〜200°EBC、更に好ましくは50〜150°EBC、最も好ましくは90〜130°EBCである。
なお、色度は、EBCのAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる
本実施形態に係る麦芽飲料は、麦芽を含む植物原料の糖化物から得られた飲料である。原料として用いられる麦芽は、大麦麦芽であってもよく、小麦麦芽であってもよい。また、麦芽は、シロップ及びエキス等の形態として使用されてもよい。好ましくは、麦芽を粉砕処理して得られる麦芽粉砕物が、原料として用いられる。
色度が20°EBC以上である麦芽飲料を得るために、麦芽原料の少なくとも一部として着色麦芽を使用することが好ましい。好ましくは、麦芽原料として、淡色麦芽と着色麦芽との組み合わせが用いられる。
なお、本発明において、淡色麦芽とは、EBCにおいて定められるコングレス麦汁色度が10°EBC未満である麦芽を意味するものとする。
また、着色麦芽とは、EBCにおいて定められるコングレス麦汁色度が10°EBC以上である麦芽である。
着色麦芽としては、例えば、黒麦芽及びカラメル麦芽が挙げられる。
黒麦芽とは、コングレス麦汁色度が1000〜2000°EBCの範囲となる麦芽であり、淡色麦芽を200℃〜220℃でローストして得られる着色麦芽である。
カラメル麦芽とは、コングレス麦汁色度が50〜120°EBCの範囲となる麦芽であり、ビールに濃醇さを与え、麦芽の香味を付与する麦芽である。
より好ましくは、原料となる麦芽として、淡色麦芽、黒麦芽、及びカラメル麦芽の組み合わせが用いられる。
黒麦芽の使用量は、淡色麦芽に対して、質量比で、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.03〜0.3である。
カラメル麦芽の使用量は、淡色麦芽に対して、質量比で、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.03〜0.3である。
原料である植物原料には、麦芽以外の成分が含まれていてもよい。麦芽以外の成分としては、例えば、麦芽以外の麦類;米、トウモロコシ、大豆等の豆類;及びイモ類などが挙げられる。
麦芽飲料の麦芽使用比率は、好ましくは50%以上、より好ましくは67%以上、更に好ましくは80%以上、最も好ましくは95%以上である。尚、麦芽使用比率とは、水を除く全原料に対する麦芽の割合(質量%)である。
麦芽飲料は、発酵飲料であっても非発酵飲料であってもよいが、好ましくは発酵飲料である。
麦芽飲料は、アルコール(エタノール)度数が1容量%以上であるアルコール飲料であってもよく、アルコール度数が1容量%未満であるいわゆるノンアルコール飲料又はローアルコール飲料であってもよい。好ましくは、麦芽飲料はアルコール飲料である。アルコール度数は、好ましくは4〜9容量%である。
麦芽飲料の原麦汁エキスは、特に限定されるものではないが、例えば、通常のビールと当程度の値とすることができる。原麦汁エキスは、例えば8〜16質量%、好ましくは9〜15質量%、より好ましくは10〜14質量%である。原麦汁エキスは、国際法として公定されているSCABA(Servo Chem Automatic Beer Analyzer)法にしたがって、アルコール濃度とエキス濃度から測定することができる。
麦芽飲料の総ポリフェノール含有量は、上述のように、200〜1000ppmである。好ましくは、総ポリフェノール含有量は250〜950ppm、より好ましくは300〜900ppm、更に好ましくは500〜700ppmである。
また、麦芽飲料は、上述のように、コーヒー由来ポリフェノールが添加されている。コーヒー由来ポリフェノールの含有量は、例えば、30〜900ppmである。このような量でコーヒー由来ポリフェノールを含有することにより、渋味を抑制し、キレを高めることができる。
コーヒー由来ポリフェノールの含有量は、好ましくは100〜800ppm、より好ましくは150〜750ppm、更に好ましくは200〜700ppm、最も好ましくは350〜550ppmである。コーヒー由来ポリフェノールは、例えば、飲料にコーヒーエキスを添加することにより、含有させることができる。
麦芽飲料は、好ましくは、イソα酸を10〜30ppm、好ましくは15〜25ppm含有する。イソα酸は、好ましくは、ホップ由来とすることができる。
ホップやホップ抽出物中には、α酸が含まれる。好ましくは、麦芽飲料には、ホップ由来のα酸がイソ化したイソα酸が含まれる。イソα酸としては、具体的には、イソコソフムロン、ノルマルイソフムロン、及びイソアドフムロンが知られており、これらの成分には、それぞれにつき、cis体とtrans体が存在する。
好ましくは、麦芽飲料に含まれるイソα酸の総量に対するイソコフムロンの割合、すなわちイソコフムロン比率が、33質量%以上である。イソコフムロン比率は、より好ましくは33.0〜50.0質量%、更に好ましくは36.0〜47.0質量%である。このような範囲であれば、渋味がより抑えられ、よりキレに優れた飲料を得ることができる。
イソコフムロン比率は、例えば、ホップの品種ごとに、イソコフムロン及びそれ以外のイソα酸の含有量を測定し、イソコフムロン比率が所定の値になるような品種のホップを選択することにより、調整することができる。例えば、イソコフムロン比率が異なる複数の品種のホップをブレンドすることにより、所望するイソコフムロン比率を得ることができる。
麦芽飲料中のイソコフムロン比率は、次の式に従って求めることができる。
(式):イソコフムロン比率=(イソコフムロン濃度)/(イソフムロン濃度+イソコフムロン濃度+イソアドフムロン濃度)×100(%)
イソフムロン濃度、イソアドフムロン濃度、およびイソコフムロン濃度は、例えば、以下のように分析、定量される。
炭酸ガスを抜いた麦芽飲料10gに3N塩酸 1mlを添加し、試料をガラスバイアルに入れる。更に、20mlのイソオクタン液を添加し、振とう後、遠心分離し、イソオクタン層を得る。そしてイソオクタン層を、例えば下記の条件で逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分析する。
<逆相HPLCの条件>
分離モジュール:1200シリーズ(アジレント・テクノロジーズ社製)
UV検出器:(アジレント・テクノロジーズ社製)
カラム:A250×4.6mm i.d.カラム(XBridge Phenyl、5μ、ウォーターズ社製)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
検出波長:275nm
移動相A:1.0%ギ酸水溶液
移動相B:1.0%ギ酸−アセトニトリル溶液
<グラジエント条件>
流速:0.9ml/min
40%B液(0〜40min)→55%B液(40〜40.1min)→100%B液→100%B液(40.1〜50min)
イソフムロン、イソアドフムロン、およびイソコフムロン濃度は、得られたクロマトグラフのピーク面積から求めることができる。ピーク面積からの定量方法は、面積百分率法によってもよく、濃度既知の標準品のピーク面積との比から求めてもよい。
麦芽飲料には、必要に応じて、食物繊維、pH調整剤、苦味料、酸味料、甘味料、香料等の添加剤が含まれていてもよい。これらの添加剤の含有量については、これらの添加剤について、慣用されている量を採用すればよい。
(麦芽飲料の製造方法)
続いて、本実施態様に係る麦芽飲料の製造方法の一例について説明する。
まず、麦芽を準備し、これを粉砕して原料とする。必要に応じて、副原料として、米やコーンスターチ等のデンプン質材料を、原料に混合する。次いで、原料に温水を加え、加温する。これにより、主に麦芽の酵素により、原料が糖化し、糖化液が麦汁として得られる。尚、酵素として、例えば、グルコアミラーゼ等を外部から添加してもよい。
続いて、得られた麦汁を濾過する。必要に応じて、濾過後、麦汁にホップを添加する。ホップの添加後、煮沸釜において麦汁を煮沸する。尚、ホップの添加タイミングは、必ずしも煮沸前である必要はなく、例えば、麦汁の煮沸中、または煮沸後であってもよい。
煮沸後、麦汁を沈殿槽(ワールプール等と呼ばれる)に移送し、所定時間、加温状態で静置し、ホップ粕等の沈殿物を除去する。また、コーヒーエキスを添加し、コーヒー由来ポリフェノールの含有量を調整する。沈殿物の除去後、熱交換器(プレートクーラー)により、適切な発酵温度にまで冷却する。
冷却後、麦汁に酵母を接種して発酵させる。これにより、本実施態様に係る麦芽飲料を得ることができる。
なお、コーヒーエキスの添加タイミングは、必ずしも沈殿槽における静置段階とする必要はなく任意の段階とすることができる。但し、沈殿槽における静置中にコーヒーエキスを添加すれば、コーヒーエキスの加熱殺菌工程を兼ねることができるため、好ましい。
(実施例)
以下、本発明をより詳細に説明するため、実施例について説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
[総ポリフェノール濃度の測定]
以下の実施例において、総ポリフェノール濃度は、「ANALYTICA−EBC,Method9.11」に従って測定した。
[官能検査]
以下の実施例において、官能検査は、7名のパネリストによりブラインド条件で実施した。評価項目は、「渋味」、「キレ」、及び「総合評価」の3項目とした。各項目について、以下の基準で評価し、7名の評点の平均点を結果とした。
<渋味>
1:非常に弱い
2:弱い
3:やや弱い
4:普通
5:やや弱い
6:強い
7:非常に強い
<キレ>
1:非常に弱い
2:弱い
3:やや弱い
4:普通
5:やや弱い
6:強い
7:非常に強い
<総合評価>
1:ビールとしてのバランスが悪い
2:ややビールとしてのバランスが悪い
3:ややビールとしてのバランスが良い
4:ビールとしてのバランスが良い
(比較例1)淡色ビールにおける検討
色度が7°EBCの淡色ビールを準備した。準備した淡色ビールの総ポリフェノール濃度を測定したところ、160ppmであった。準備した淡色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例1乃至6の飲料を得た。得られた飲料について、官能検査を行った。
評価結果を表1に示す。淡色ビールにおいては、コーヒー由来ポリフェノールを添加するにつれ、渋味が増し、キレが損なわれる傾向にあった。
(実施例1)濃色ビールにおける検討
淡色麦芽34kg、黒麦芽3kgおよびカラメル麦芽3kgを50℃、160Lの湯と混合し、タンパク分解させた。得られた水溶液を糖化させ、次いで、76℃で酵素失活を行い、麦汁を得た。次いで、麦汁を濾過した。濾過後、麦汁を煮沸釜に入れ、200Lになるように水を加えた後、ホップを添加した。ホップとしては、ヘラクレス種のホップエキス15g、ヘラクレス種のホップペレット50g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。ホップの添加後、60分間、麦汁を煮沸した。その後、濃度調整のために湯を添加して、全量を200Lとした。その後、麦汁をワールプールに移し、固液分離した。固液分離後、熱交換器によって麦汁を冷却した。冷却後、麦汁に酵母を添加し、発酵させた。発酵後の液を濾過し、試験例7に係る麦芽飲料を得た。
試験例7に係る麦芽飲料の色度は、110°EBCであった。イソα酸濃度は、22ppmであった。イソコフムロン比率は、47%であった。アルコール度数は、5.5容量%であった。原麦汁エキスは、12.6%であった。
試験例7に係る麦芽飲料に、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例7乃至12の飲料を得た。得られた飲料について、比較例1と同一の基準で、官能検査を行った。
結果を表2に示す。表2に示されるように、淡色ビールの場合とは異なり、総ポリフェノールが200〜1000ppmの範囲になるようにコーヒーエキスを加えた試験例8乃至11に係る飲料においては、対照である試験例7と比べて、渋味が低減され、また、キレが向上していた。
特に、総ポリフェノール濃度が500〜700ppmであり、コーヒー由来ポリフェノール濃度が350〜550ppmの範囲にある試験例9及び10においては、総合評価が特に良好であった。
なお、コーヒー由来ポリフェノール以外のポリフェノールを添加した場合に同様の効果が得られるか否かを確かめるため、試験例7に係る麦芽飲料に茶ポリフェノール(メディエンス株式会社製、「緑茶ポリフェノールEGCG50」ポリフェノール含有濃度:99%)を添加し、官能評価を行ったが、茶ポリフェノールの添加に伴い、渋味が強調され、キレが損なわれる傾向にあった。
また、試験例7に係る麦芽飲料にアップルポリフェノール(アサヒグループ食品株式会社製、「APP−100」ポリフェノール含有濃度:75%)を添加し、官能評価を行ったが、茶ポリフェノール添加時と同様に、渋味が強調され、キレが損なわれる傾向にあった。
すなわち、濃色の麦芽飲料において、コーヒー由来ポリフェノールを添加することにより得られる渋味及びキレに関する効果は、コーヒー由来ポリフェノールに特有の効果であることが判った。
(実施例2)イソコフムロン比率の検討
実施例1における試験例7と同様の条件で、ホップの品種を変更することにより、イソコフムロン比率が異なる(イソα酸濃度は同じ)試験例13乃至16に係る飲料を得た。具体的には、以下のホップの組み合わせを用いた。
<試験例13>イソコフムロン比率30%
ホップとして、ナゲット種のホップエキス15g、ナゲット種のホップペレット50g、及びボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
<試験例14>イソコフムロン比率36%
ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス5g、ナゲット種のホップエキス10g、ヘラクレス種のホップペレット15g、ナゲット種のホップペレット35g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
<試験例15>イソコフムロン比率40%
ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス10g、ナゲット種のホップエキス5g、ヘラクレス種のホップペレット35g、ナゲット種のホップペレット15g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
<試験例16>イソコフムロン比率47%
試験例7と同様に、ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス15g、ヘラクレス種のホップペレット50g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
また、試験例13乃至16に係る飲料の各々に、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5質量%)を0.78(mL/100ml)添加し、試験例17乃至20に係る飲料を得た。
得られた試験例13乃至20に係る飲料について、比較例1と同一の基準で、官能評価を行った。結果を表3に示す。表3に示されるように、イソコフムロン比率が高くなるにつれて、渋味が低減され、キレが向上する結果になった。加えて、コーヒー由来ポリフェノールを含有する場合には、イソコフムロン比率の増加に伴う渋味の低減及びキレの向上効果が、より顕著にみられた。
(実施例3)色度20°の飲料における検討
色度が20°であり、イソコフムロン比率が33%の中濃色ビールを用意した。用意した中濃色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例21乃至26の飲料を得た。
得られた試験例21乃至26に係る飲料について、比較例1と同一の基準で、官能評価を行った。結果を表4に示す。表4に示されるように、色度が20°であり、イソコフムロン比率が33%の中濃色ビールの場合でも、総ポリフェノール濃度が300〜900ppm、好ましくは500〜700ppmである場合に、150ppmである飲料(試験例21)に比べ、渋味が低減され、また、キレが向上する結果となった。
(実施例4)色度200°の飲料における検討
色度が200°であり、イソコフムロン比率が33%である濃色ビールを用意した。用意した濃色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例27乃至32の飲料を得た。
得られた飲料について、比較例1と同一の基準で、官能検査を行った。結果を表5に示す。表5に示されるように、色度が200°であり、イソコフムロン比率が33%の中濃色ビールの場合でも、総ポリフェノール濃度が300〜900ppm、好ましくは500〜700ppmである場合に、150ppmである飲料(試験例27)に比べ、渋味が低減され、また、キレが向上する結果となった。
実施例3及び4の検討結果より、イソコフムロン比率が33%であり、色度が20〜200°である場合においても、ポリフェノール添加による渋味低減効果およびキレ向上効果を確認することができた。
Figure 2019201556
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Claims (10)

  1. 色度が20°EBC以上であって、
    コーヒー由来ポリフェノールを含有し、
    総ポリフェノール濃度が、200〜1000ppmである、
    麦芽飲料。
  2. 前記コーヒー由来ポリフェノールの含有量が、30〜900ppmである、
    請求項1に記載の麦芽飲料。
  3. イソα酸を10〜30ppm含有する、請求項1に記載の麦芽飲料。
  4. 前記イソα酸中のイソコフムロンの比率が、33質量%以上である、請求項3に記載の麦芽飲料。
  5. 色度が50°EBC以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の麦芽飲料。
  6. 着色麦芽由来物を含有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の麦芽飲料。
  7. 前記着色麦芽が黒麦芽を含む、請求項6に記載の麦芽飲料。
  8. 麦芽使用比率が、50%以上である、請求項1乃至7のいずれかに記載の麦芽飲料。
  9. 発酵飲料である、請求項1乃至8のいずれかに記載の麦芽飲料。
  10. 麦芽を含む原料液を調製する工程と、
    前記原料液の色度を20°EBC以上に調整する工程と、
    前記原料液に、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmになるように、コーヒー由来ポリフェノールを添加する工程と、
    を含む、
    麦芽飲料の製造方法。
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