JP2019201556A - 麦芽飲料及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]色度が20°EBC以上であって、コーヒー由来ポリフェノールを含有し、総ポリフェノール濃度が、200〜1000ppmである、麦芽飲料。
[2]前記コーヒー由来ポリフェノールの含有量が、30〜900ppmである、[1]に記載の麦芽飲料。
[3]イソα酸を10〜30ppm含有する、[1]に記載の麦芽飲料。
[4]前記イソα酸中のイソコフムロンの比率が、33質量%以上である、[3]に記載の麦芽飲料。
[5]色度が50°EBC以上である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[6]着色麦芽由来物を含有する、[1]乃至[5]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[7]前記着色麦芽が、黒麦芽を含む、[6]に記載の麦芽飲料。
[8]麦芽使用比率が、50%以上である、[1]乃至[7]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[9]発酵飲料である、[1]乃至[8]のいずれかに記載の麦芽飲料。
[10]麦芽を含む原料液を調製する工程と、前記原料液の色度を20°EBC以上に調整する工程と、前記原料液に、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmになるように、コーヒー由来ポリフェノールを添加する工程とを含む、麦芽飲料の製造方法。
本実施態様に係る麦芽飲料は、EBC(European Brewery Convention)色度が20°EBC以上であって、コーヒー由来ポリフェノールを含有し、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmである。
色度とは、飲料の色の濃さを示す指標であり、値が大きいほど色が濃いことを示す。色度が20°EBC以上である麦芽飲料は、色の濃さから一定のニーズがあるものの、渋味が強く、キレが少ない飲料になりやすい。これに対して、本実施態様では、コーヒー由来ポリフェノールが添加されており、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmに調製されているため、渋味が抑えられ、キレが増強された飲料となる。
なお、色度は、EBCのAnalytica−EBC標準法、又はこれに準じた方法により測定できる
なお、本発明において、淡色麦芽とは、EBCにおいて定められるコングレス麦汁色度が10°EBC未満である麦芽を意味するものとする。
また、着色麦芽とは、EBCにおいて定められるコングレス麦汁色度が10°EBC以上である麦芽である。
黒麦芽とは、コングレス麦汁色度が1000〜2000°EBCの範囲となる麦芽であり、淡色麦芽を200℃〜220℃でローストして得られる着色麦芽である。
カラメル麦芽とは、コングレス麦汁色度が50〜120°EBCの範囲となる麦芽であり、ビールに濃醇さを与え、麦芽の香味を付与する麦芽である。
より好ましくは、原料となる麦芽として、淡色麦芽、黒麦芽、及びカラメル麦芽の組み合わせが用いられる。
黒麦芽の使用量は、淡色麦芽に対して、質量比で、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.03〜0.3である。
カラメル麦芽の使用量は、淡色麦芽に対して、質量比で、例えば0.01〜1.0、好ましくは0.03〜0.3である。
コーヒー由来ポリフェノールの含有量は、好ましくは100〜800ppm、より好ましくは150〜750ppm、更に好ましくは200〜700ppm、最も好ましくは350〜550ppmである。コーヒー由来ポリフェノールは、例えば、飲料にコーヒーエキスを添加することにより、含有させることができる。
ホップやホップ抽出物中には、α酸が含まれる。好ましくは、麦芽飲料には、ホップ由来のα酸がイソ化したイソα酸が含まれる。イソα酸としては、具体的には、イソコソフムロン、ノルマルイソフムロン、及びイソアドフムロンが知られており、これらの成分には、それぞれにつき、cis体とtrans体が存在する。
イソコフムロン比率は、例えば、ホップの品種ごとに、イソコフムロン及びそれ以外のイソα酸の含有量を測定し、イソコフムロン比率が所定の値になるような品種のホップを選択することにより、調整することができる。例えば、イソコフムロン比率が異なる複数の品種のホップをブレンドすることにより、所望するイソコフムロン比率を得ることができる。
(式):イソコフムロン比率=(イソコフムロン濃度)/(イソフムロン濃度+イソコフムロン濃度+イソアドフムロン濃度)×100(%)
イソフムロン濃度、イソアドフムロン濃度、およびイソコフムロン濃度は、例えば、以下のように分析、定量される。
炭酸ガスを抜いた麦芽飲料10gに3N塩酸 1mlを添加し、試料をガラスバイアルに入れる。更に、20mlのイソオクタン液を添加し、振とう後、遠心分離し、イソオクタン層を得る。そしてイソオクタン層を、例えば下記の条件で逆相HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により分析する。
分離モジュール:1200シリーズ(アジレント・テクノロジーズ社製)
UV検出器:(アジレント・テクノロジーズ社製)
カラム:A250×4.6mm i.d.カラム(XBridge Phenyl、5μ、ウォーターズ社製)
カラム温度:40℃
注入量:40μL
検出波長:275nm
移動相A:1.0%ギ酸水溶液
移動相B:1.0%ギ酸−アセトニトリル溶液
<グラジエント条件>
流速:0.9ml/min
40%B液(0〜40min)→55%B液(40〜40.1min)→100%B液→100%B液(40.1〜50min)
イソフムロン、イソアドフムロン、およびイソコフムロン濃度は、得られたクロマトグラフのピーク面積から求めることができる。ピーク面積からの定量方法は、面積百分率法によってもよく、濃度既知の標準品のピーク面積との比から求めてもよい。
続いて、本実施態様に係る麦芽飲料の製造方法の一例について説明する。
なお、コーヒーエキスの添加タイミングは、必ずしも沈殿槽における静置段階とする必要はなく任意の段階とすることができる。但し、沈殿槽における静置中にコーヒーエキスを添加すれば、コーヒーエキスの加熱殺菌工程を兼ねることができるため、好ましい。
以下、本発明をより詳細に説明するため、実施例について説明する。ただし、本発明は、実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において、総ポリフェノール濃度は、「ANALYTICA−EBC,Method9.11」に従って測定した。
以下の実施例において、官能検査は、7名のパネリストによりブラインド条件で実施した。評価項目は、「渋味」、「キレ」、及び「総合評価」の3項目とした。各項目について、以下の基準で評価し、7名の評点の平均点を結果とした。
1:非常に弱い
2:弱い
3:やや弱い
4:普通
5:やや弱い
6:強い
7:非常に強い
1:非常に弱い
2:弱い
3:やや弱い
4:普通
5:やや弱い
6:強い
7:非常に強い
1:ビールとしてのバランスが悪い
2:ややビールとしてのバランスが悪い
3:ややビールとしてのバランスが良い
4:ビールとしてのバランスが良い
色度が7°EBCの淡色ビールを準備した。準備した淡色ビールの総ポリフェノール濃度を測定したところ、160ppmであった。準備した淡色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例1乃至6の飲料を得た。得られた飲料について、官能検査を行った。
淡色麦芽34kg、黒麦芽3kgおよびカラメル麦芽3kgを50℃、160Lの湯と混合し、タンパク分解させた。得られた水溶液を糖化させ、次いで、76℃で酵素失活を行い、麦汁を得た。次いで、麦汁を濾過した。濾過後、麦汁を煮沸釜に入れ、200Lになるように水を加えた後、ホップを添加した。ホップとしては、ヘラクレス種のホップエキス15g、ヘラクレス種のホップペレット50g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。ホップの添加後、60分間、麦汁を煮沸した。その後、濃度調整のために湯を添加して、全量を200Lとした。その後、麦汁をワールプールに移し、固液分離した。固液分離後、熱交換器によって麦汁を冷却した。冷却後、麦汁に酵母を添加し、発酵させた。発酵後の液を濾過し、試験例7に係る麦芽飲料を得た。
特に、総ポリフェノール濃度が500〜700ppmであり、コーヒー由来ポリフェノール濃度が350〜550ppmの範囲にある試験例9及び10においては、総合評価が特に良好であった。
また、試験例7に係る麦芽飲料にアップルポリフェノール(アサヒグループ食品株式会社製、「APP−100」ポリフェノール含有濃度:75%)を添加し、官能評価を行ったが、茶ポリフェノール添加時と同様に、渋味が強調され、キレが損なわれる傾向にあった。
すなわち、濃色の麦芽飲料において、コーヒー由来ポリフェノールを添加することにより得られる渋味及びキレに関する効果は、コーヒー由来ポリフェノールに特有の効果であることが判った。
実施例1における試験例7と同様の条件で、ホップの品種を変更することにより、イソコフムロン比率が異なる(イソα酸濃度は同じ)試験例13乃至16に係る飲料を得た。具体的には、以下のホップの組み合わせを用いた。
ホップとして、ナゲット種のホップエキス15g、ナゲット種のホップペレット50g、及びボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス5g、ナゲット種のホップエキス10g、ヘラクレス種のホップペレット15g、ナゲット種のホップペレット35g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス10g、ナゲット種のホップエキス5g、ヘラクレス種のホップペレット35g、ナゲット種のホップペレット15g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
試験例7と同様に、ホップとして、ヘラクレス種のホップエキス15g、ヘラクレス種のホップペレット50g、およびボベック種のホップペレット50gの組み合わせを用いた。
色度が20°であり、イソコフムロン比率が33%の中濃色ビールを用意した。用意した中濃色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例21乃至26の飲料を得た。
色度が200°であり、イソコフムロン比率が33%である濃色ビールを用意した。用意した濃色ビールに、コーヒーエキス(高砂香料株式会社「コーヒーエキスCOL−24」ポリフェノール含有濃度:4.5w/v%)を添加し、ポリフェノールの含有量が異なる試験例27乃至32の飲料を得た。
Claims (10)
- 色度が20°EBC以上であって、
コーヒー由来ポリフェノールを含有し、
総ポリフェノール濃度が、200〜1000ppmである、
麦芽飲料。 - 前記コーヒー由来ポリフェノールの含有量が、30〜900ppmである、
請求項1に記載の麦芽飲料。 - イソα酸を10〜30ppm含有する、請求項1に記載の麦芽飲料。
- 前記イソα酸中のイソコフムロンの比率が、33質量%以上である、請求項3に記載の麦芽飲料。
- 色度が50°EBC以上である、請求項1乃至4のいずれかに記載の麦芽飲料。
- 着色麦芽由来物を含有する、請求項1乃至5のいずれかに記載の麦芽飲料。
- 前記着色麦芽が黒麦芽を含む、請求項6に記載の麦芽飲料。
- 麦芽使用比率が、50%以上である、請求項1乃至7のいずれかに記載の麦芽飲料。
- 発酵飲料である、請求項1乃至8のいずれかに記載の麦芽飲料。
- 麦芽を含む原料液を調製する工程と、
前記原料液の色度を20°EBC以上に調整する工程と、
前記原料液に、総ポリフェノール濃度が200〜1000ppmになるように、コーヒー由来ポリフェノールを添加する工程と、
を含む、
麦芽飲料の製造方法。
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