JP2019201530A - 永久磁石型同期電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】すみやかに永久磁石型同期電動機の異常を検出する。【解決手段】永久磁石型同期電動機1の制御装置100は、電力変換器3と、永久磁石型同期電動機1の入力電流を検出する電流検出器4と、永久磁石と平行方向であるd軸電流及び垂直方向であるq軸電流を出力する電流成分変換器7と、入力電圧を検出する電圧検出器8とd軸電圧及び垂直q軸電圧を出力する電圧成分変換器9と、d軸電流とq軸電流と永久磁石型同期電動機1の回転速度と永久磁石型同期電動機1の一次抵抗と永久磁石と平行方向であるd軸インダクタンス及び垂直であるq軸インダクタンスと永久磁石の磁束とからq軸電圧を演算するq軸電圧演算器11と、演算q軸電圧とq軸電圧とから永久磁石の磁束を補正する磁束補正部14と、磁束補正値と磁束補正レベルとを比較して、磁束補正レベルより磁束補正値が大きくなった場合に、異常を検知する磁束補正比較部18とを備える。【選択図】図1
Description
本発明は、永久磁石型同期電動機の制御装置に関し、特に制御異常、部品故障の検出に関する。
永久磁石型同期電動機1のトルクTは、(1)式で表される。このため、q軸電流指令iqrは、永久電動機のd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqと永久磁石の磁束φとを用いて算出される。永久磁石型同期電動機1の永久磁石の磁束φは温度変化によって変動する。永久磁石の磁束φは永久磁石型同期電動機の温度変化によって変動するため、永久磁石の磁束φを固定しておくと、温度変化によって(2)式のq軸電流指令iqrが正しい値として算出されず、永久磁石型同期電動機の出力トルクの制御精度が変動する。
したがって、従来技術の制御装置200は、永久磁石の磁束φが温度変化に伴ってq軸電流指令値iqrが正しい値として算出されないことを回避するために、磁束φを補正している(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の永久磁石型同期電動機の制御装置について、図2を参照して説明する。図2に示すように、永久磁石型同期電動機1の制御装置200は、電流検出器2、電力変換器3、電流制御器4、q軸電流指令算出器5、d軸電流指令算出器6、電流成分変換器7、電圧検出器8、電圧成分変換器9、d軸電圧演算器10、q軸電圧演算器11、抵抗補正部12、インダクタンス補正部13、磁束補正部14、第1減算器15、第2減算器16を備える。永久磁石型同期電動機1は、速度検出器17に接続される。
電力変換器3は、電流制御器4から出力される制御信号を入力として電力変換を行う。電流検出器2は、電力変換器3から供給される永久磁石型同期電動機の入力電流を検出する。電流成分変換器7は、該電流検出器2の出力から永久磁石型同期電動機1の永久磁石と平行方向であるd軸電流idと、垂直方向であるq軸電流iqとを電流制御器4に出力する。電圧検出器8は、永久磁石型同期電動機1の入力電圧vを検出する。電圧成分変換器9は、電圧検出器8の出力から永久磁石と平行方向であるd軸電圧vdと垂直方向であるq軸電圧vqとを出力する。
d軸電圧演算器10は、d軸電流idとq軸電流iqと回転速度ωと一次抵抗Rnとd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとにより永久磁石型同期電動機1のd軸電圧vdcを演算する。q軸電圧演算器11は、d軸電流idとq軸電流iqと永久磁石型同期電動機1の回転速度ωと永久磁石型同期電動機の一次抵抗とd軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqと永久磁石の磁束φとから永久磁石型同期電動機1のq軸電圧vqcを演算する。
q軸電流指令算出器5は、トルク指令Tcと、d軸電流指令idrと、永久磁石型同期電動機1の永久磁石に平行方向であるd軸インダクタンスLd及び垂直方向であるq軸インダクタンスLqと、磁束補正部14によって補正された永久磁石の磁束φnとを入力としてq軸電流指令iqrを出力する。d軸電流指令算出器6は、d軸電流指令idrを出力する。
電流制御器4は、電流成分変換器7から出力されたd軸電流idとq軸電流iqとがそれぞれd軸電流指令算出器6から出力されたd軸電流指令idrとq軸電流指令算出器6から算出されたq軸電流指令iqrに追従するような制御信号を電力変換器3に出力する。
磁束補正部14は、q軸電圧演算器11から出力されたq軸電圧vqcと電圧成分変換器9から出力されたq軸電圧vqとから永久磁石の磁束φを補正する。抵抗補正部12は、d軸電圧演算器10から出力されたd軸電圧vdcと電圧成分変換器9から出力されたd軸電圧vdから一次抵抗Rを補正する。インダクタンス補正部13は、抵抗補正部12によって補正された一次抵抗が第1閾値を超えるか、又は第1閾値より小さい第2閾値よりも下回った場合に、d軸電圧演算器から出力されたd軸電圧vdcと電圧成分変換器9から出力されたd軸電圧vdとからq軸インダクタンスLqを補正する。
しかしながら、特許文献1に示された制御方式おいては、機器の故障、制御異常時にも補正を続けるため異常を検知することができない。
永久磁石型同期電動機の永久磁石の減磁、永久磁石型同期電動機のコイルの過熱異常、電流検出器の故障などが発生した場合、すみやかに異常を検出し、保護動作あるいは異常を知らせなければならない。すなわち、機器の故障、制御異常を速やかに検出することが要求される。
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、磁束、抵抗、d軸インダクタンスを補正し、かつ速やかに機器の故障、制御異常を検出する永久磁石型同期電動機の制御装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る永久磁石型同期電動機の制御装置は、電力変換を行う電力変換器と、前記電力変換器から供給される永久磁石型同期電動機の入力電流を検出する電流検出器と、前記電流検出器から出力された前記永久磁石型同期電動機の永久磁石と平行方向であるd軸電流及び垂直方向であるq軸電流を出力する電流成分変換器と、トルク指令とd軸電流指令と永久磁石型同期電動機の永久磁石と平行方向であるd軸インダクタンス及び垂直方向であるq軸インダクタンスと前記永久磁石の磁束とを入力としてq軸電流指令を出力するq軸電流指令算出器と、d軸電流指令を出力するd軸電流指令算出器と、前記d軸電流及び前記q軸電流がそれぞれ前記d軸電流指令及び前記q軸電流指令に追従するような制御信号を前記電力変換器に出力する電流制御器と、前記永久磁石型同期電動機の入力電圧を検出する電圧検出器と、前記電圧検出器から出力された、永久磁石と平行方向であるd軸電圧及び垂直方向であるq軸電圧を出力する電圧成分変換器と、前記d軸電流とq軸電流と永久磁石型同期電動機の回転速度と永久磁石型同期電動機の一次抵抗と前記d軸インダクタンス及び前記q軸インダクタンスと前記永久磁石の磁束とから前記永久磁石型同期電動機のq軸電圧を演算するq軸電圧演算器と、前記q軸電圧演算器から出力された演算q軸電圧と前記電圧成分変換器から出力された前記q軸電圧とから前記永久磁石の磁束を補正する磁束補正部と、前記磁束補正部から出力された磁束補正値と磁束補正レベルとを比較して、前記磁束補正レベルより前記磁束補正値が大きくなった場合に、異常を検知する磁束補正比較部と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る永久磁石型同期電動機の制御装置において、前記d軸電流と前記q軸電流と前記回転速度と前記一次抵抗と前記d軸インダクタンスと前記q軸インダクタンスより前記永久磁石型同期電動機のd軸電圧を演算するd軸電圧演算器と、前記d軸電圧演算器から出力された演算d軸電圧と前記電圧成分変換器から出力されたd軸電圧とから前記一次抵抗を補正する抵抗補正部と、前記抵抗補正部から出力された抵抗補正値と抵抗補正レベルとを比較して、前記抵抗補正レベルより前記抵抗補正値が大きくなった場合に、異常を検知する抵抗補正比較部と、を備えることを特徴とする。
さらに、本発明に係る永久磁石型同期電動機の制御装置において、前記抵抗補正部によって補正された前記一次抵抗が大きい任意の値を超えるか、または小さい任意の値よりも下回った場合に、前記d軸電圧演算器から出力された演算d軸電圧と電圧成分変換器から出力されたd軸電圧とからq軸インダクタンスを補正するインダクタンス補正部と、前記インダクタンス補正部から出力されたインダクタンス補正値とインダクタンス補正レベルとを比較して、前記インダクタンス補正レベルより前記インダクタンス補正値が大きくなった場合に、異常を検知するインダクタンス補正比較部と、を備えることを特徴とする。
本発明の永久磁石型同期電動機の制御装置は、永久磁石型同期電動機におけるトルク制御にかかわるもので、特に制御異常、部品故障を速やかに検出することができる。
以下、本発明の実施形態について、図1を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る永久磁石型同期電動機1の制御装置100の構成例を示すブロック図である。制御装置100は、永久磁石型同期電動機1を制御する。制御装置100は、電流検出器2と、電力変換器3と、電流制御器4と、q軸電流指令算出器5と、d軸電流指令算出器6と、電流成分変換器7と、電圧検出器8と、電圧成分変換器9と、d軸電圧演算器10と、q軸電圧演算器11と、抵抗補正部12と、インダクタンス補正部13と、磁束補正部14と、第1減算器15と、第2減算器16を備える。永久磁石型同期電動機1は、速度検出器17に接続される。また、制御装置100は、磁束補正比較部18と、抵抗補正比較部19と、インダクタンス補正比較部20とを備える点で、図2に示した制御装置200と相違となっている。
電力変換器3は、追って詳細に説明する電流制御器4から出力された制御信号に基づいて電力変換を行う。
電流検出器2は、電力変換器3から出力され、永久磁石型同期電動機1に入力する入力電流iを検出する。
電流成分変換器7は、該電流検出器2によって検出された入力電流iにおける、永久磁石型同期電動機1の永久磁石と平行方向であるd軸電流idを出力する。また、電流成分変換器7は、該電流検出器2から出力された入力電流iにおける、永久磁石型同期電動機1の永久磁石と垂直方向であるq軸電流iqを出力する。
電圧検出器8は、電力変換器3から供給された永久磁石型同期電動機1の入力電圧vを検出する。
電圧成分変換器9は、入力電圧vから、永久磁石型同期電動機1の永久磁石に平行方向であるd軸電圧vdと、垂直方向であるq軸電圧vqとを出力する。
d軸電圧演算器10は、d軸電流idと、q軸電流iqと、回転速度ωと、d軸インダクタンスLdと、補正されたq軸インダクタンスLqnと、補正された一次抵抗Rnとを入力して演算d軸電圧vdcを演算する。
q軸電圧演算器11は、d軸電流idと、q軸電流iqと、回転速度ωと、d軸インダクタンスLdと、補正されたq軸インダクタンスLqnと、補正された一次抵抗Rnと、補正された永久磁石の磁束φnとを入力して演算q軸電圧vqcを演算する。
q軸電流指令算出器5は、トルク指令Tcと、d軸電流指令算出器6から出力されたd軸電流指令idrと、d軸インダクタンスLdと、補正されたq軸インダクタンスLqnと、補正された永久磁石の磁束φnとを入力としてq軸電流指令iqrを出力する。d軸インダクタンスLdは、永久磁石型同期電動機1の永久磁石と平行方向であるインダクタンスである。q軸インダクタンスLqは、永久磁石型同期電動機1の永久磁石と垂直方向であるインダクタンスである。
永久磁石型同期電動機1のトルクTは、d軸電流idと、q軸電流iqと、d軸インダクタンスLdと、q軸インダクタンスLqと、永久磁石の磁束φを用いて、上記の(1)式により表される。このため、q軸電流指令iqrは、d軸電流指令idrと、トルク指令Tcと、永久電動機のd軸インダクタンスLdと、q軸インダクタンスLqと、永久磁石の磁束φとを用いて、上記の(2)式により算出される。
d軸電流指令算出器6は、d軸電流指令idrを出力する。
電流制御器4は、電流成分変換器7によって出力されたd軸電流idが、d軸電流指令算出器6によって出力されたd軸電流指令idrに追従するような制御信号を電力変換器3に出力する。また、電流制御器4は、電流成分変換器7によって出力されたq軸電流iqが、q軸電流指令算出器5によって出力されたq軸電流指令iqrに追従するような制御信号を電力変換器3に出力する。
速度検出器17は、永久磁石型同期電動機1の回転速度ωを出力する。
第1減算器15は、d軸電圧vdと演算d軸電圧vdcとの差(vd−vdc)を出力する。第2減算器16は、q軸電圧vqと演算q軸電圧vqcとの差(vq−vqc)を出力する。
抵抗補正部12は、第1減算器15から出力されたd軸電圧差(vd−vdc)と、一次抵抗Rとを入力して、補正された一次抵抗Rnが第1閾値を超えるか、又は第1閾値より小さい第2閾値よりも下回った場合に信号を出力する。抵抗補正部12が一次抵抗Rを補正する詳細な方法は追って説明する。
インダクタンス補正部13は、第1減算器15から出力されたd軸電圧差(vd−vdc)と、q軸インダクタンスLqとを入力する。インダクタンス補正部13は、抵抗補正部12から出力された信号を入力する。インダクタンス補正部13は、信号が入力された場合、d軸電圧差(vd−vdc)と、q軸インダクタンスLqとに基づいて補正されたq軸インダクタンスLqnを出力する。インダクタンス補正部13は、抵抗補正部12の信号が入力されない場合、そのままq軸インダクタンスLqnを出力する。抵抗補正部12がq軸インダクタンスLqを補正したq軸インダクタンスLqnを算出する詳細な方法は追って説明する。
磁束補正部14は、永久磁石型同期電動機1の永久磁石の磁束φを補正する。上述のように、永久磁石の磁束φは永久磁石型同期電動機1の温度変化によって変動するため、永久磁石の磁束φを固定しておくと、温度変化によって(2)式のq軸電流指令iqrが正しい値として算出されず、永久磁石型同期電動機1の出力トルクの制御精度が変動する結果となるからである。
ここで、磁束補正部14についてより詳細に説明する。まず、磁束補正部14が磁束を補正するために、q軸電圧演算器11によって演算されるq軸電圧vqについてより詳細に説明する。永久磁石型同期電動機1の電圧方程式は、(3)式で表される。(3)式において、pは微分演算子である。
よって、d軸電流id、q軸電流iq、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、一次抵抗R、永久磁石の磁束φ、及び回転速度ωが分かれば、q軸電圧演算器11は、(4)式よりq軸電圧vqを演算できることがわかる。
永久磁石の磁束φが正しい値なら、(4)式によってvqとして演算された演算q軸電圧vqcと、電圧成分変換器9によって出力されたq軸電圧vqとは等しい値となる。しかし、温度変化によって永久磁石の磁束φの値が変動してくると、演算q軸電圧vqcとq軸電圧vqとは等しくならない。そこで、磁束補正部14は、第2減算器16の出力を用いて、(5)式及び(6)式による演算を行って、永久磁石の磁束φを補正する。
ここで、φxは永久磁石の磁束φの磁束補正値、Kφは積分定数である。φnは補正後の磁束である。永久磁石の磁束φが実際の値よりも小さければ、vq>vqcとなり、(5)式のφxは増加し、(6)式のφnも増加することで、永久磁石の磁束φが補正される。逆に永久磁石の磁束φが実際の値よりも大きければ、vq<vqcとなり、(5)式のφxは減少し、(6)式のφnも減少することで、永久磁石の磁束φが補正される。以上説明したように、演算されたq軸電圧vqcとq軸電圧vqとから永久磁石の磁束φを補正することが可能となる。
演算q軸電圧vqcは、(4)式から明らかなように、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqと一次抵抗Rも使用する。その中で、一次抵抗Rも、温度変化によって変化する。そこで、抵抗補正部12が一次抵抗Rを補正する。
ここで、抵抗補正部12についてより詳細に説明する。まず、抵抗補正部12が抵抗を補正するために、d軸電圧演算器10よって演算される演算q軸電圧vqcについてより詳細に説明する。永久磁石型同期電動機1のd軸電圧方程式は、(3)式で表される。よって、d軸電流id、q軸電流iq、d軸インダクタンスLd、q軸インダクタンスLq、一次抵抗R、及び回転速度ωが分かれば、演算d軸電圧vdcを演算できることがわかる。
一次抵抗Rが正しい値なら、(3)式によって演算された演算d軸電圧vdcとd軸電圧vdとは等しい値となる。しかし、温度変化によって一次抵抗Rの値が変動してくると、演算されたd軸電圧vdcとd軸電圧vdとは等しくならない。そこで、第1減算器15の出力を用いて抵抗補正部12は、(7)式及び(8)式による演算を行って、一次抵抗Rを補正する。
ここで、Rxは一次抵抗Rの補正値である抵抗補正値、KRは積分定数である。Rnは補正後の一次抵抗である。一次抵抗Rが実際の値よりも小さければ、vd>vdcとなり、(7)式のRxは増加し、(8)式のRnも増加することで、一次抵抗Rが補正される。逆に一次抵抗Rが実際の値よりも大きければ、vd<vdcとなり、(7)式のRxは減少し、(8)式のRnも減少することで、一次抵抗Rが補正される。以上説明したように、演算d軸電圧vdcとd軸電圧vdとから一次抵抗Rを補正することが可能となる。
次に、インダクタンス補正部13についてより詳細に説明する。演算d軸電圧vdcと演算q軸電圧vqcとは、(3)式と(4)式とから明らかなように、d軸インダクタンスLdとq軸インダクタンスLqとを用いる。インダクタンスは、磁気飽和の影響で流す電流の大きさによって変化する。d軸電流idは通常あまり流さないため、(3)式と(4)式より、d軸インダクタンスLdの誤差の影響は小さい。また、d軸インダクタンスLdは、磁気飽和の影響が小さく、d軸電流idも小さいため、変化は小さい。
逆に、永久磁石型同期電動機1の回転速度ωを上げたり、負荷が大きくなったりすると、q軸電流iqは大きくなるため、q軸インダクタンスLqの誤差の影響は大きい。また、q軸インダクタンスLqは、磁気飽和の影響が大きく、q軸電流iqも大きいため、変化が大きい。そこで、一次抵抗Rは、抵抗補正部12によって補正されるが、q軸インダクタンスLqに誤差があれば正しい値に補正されない。
そのため、抵抗補正値Rxに任意の上限値と下限値とを設け、抵抗補正値Rxがそれらの値を超えると、インダクタンス補正部13は、(9)式及び(10)式の演算を行って、q軸インダクタンスLqを補正する。
ここで、Lxはq軸インダクタンスLqの補正値であるインダクタンス補正値、KLは積分定数である。Lqnは補正後のq軸インダクタンスである。q軸インダクタンスLqが実際の値よりも小さければ、vd<vdcとなり、(9)式のLxは増加し、(10)式のLqnも増加することで、q軸インダクタンスLqが補正される。逆にq軸インダクタンスLqが実際の値よりも大きければ、vd>vdcとなり、(9)式のLxは減少し、(10)式のLqnも減少することで、q軸インダクタンスLqが補正される。以上説明したように、抵抗補正部12により補正された一次抵抗Rnが大きい任意の値を超えるか、又は小さい任意の値よりも下回った場合に出力される信号と、演算されたd軸電圧vdcとd軸電圧vdとからq軸インダクタンスLqを補正することが可能となる。
磁束補正比較部18は、磁束補正部14によって出力された磁束補正値φxと磁束補正レベルφlとを比較する。磁束補正レベルφlは、磁束補正値φxが該磁束補正レベルφlより大きくなった場合、永久磁石型同期電動機1が故障していると推測される値である。磁束補正比較部18は、磁束補正値φxが磁束補正レベルφlより大きくなった場合に、異常を検知する。磁束補正比較部18は異常を検知すると、永久磁石型同期電動機1あるいは制御装置100に故障が発生したことを知らせるための磁束異常信号φerrを電力変換器3に出力する。磁束補正比較部18は、磁束異常信号φerrを、制御装置100を制御する上位の装置に出力してもよい。
抵抗補正比較部19は、抵抗補正部12によって出力された抵抗補正値Rxと抵抗補正レベルRlとを比較する。抵抗補正レベルRlは、抵抗補正値Rxが該抵抗補正レベルRlより大きくなった場合、永久磁石型同期電動機1が故障していると推測される値である。抵抗補正比較部19は、抵抗補正値Rxが該抵抗補正レベルRlより大きくなった場合に、異常を検知する。抵抗補正比較部19は異常を検知すると、永久磁石型同期電動機1あるいは制御装置100に故障が発生したことを知らせるための抵抗異常信号Rerrを電力変換器3に出力する。抵抗補正比較部19は、抵抗異常信号Rerrを、制御装置100を制御する上位の装置に出力してもよい。
インダクタンス補正比較部20は、インダクタンス補正部13によって出力されたインダクタンス補正値Lxとインダクタンス補正レベルLqlを比較する。インダクタンス補正レベルLqlは、インダクタンス補正値Lxが該インダクタンス補正レベルLqlより大きくなった場合、永久磁石型同期電動機1が故障していると推測される値である。インダクタンス補正比較部20は、インダクタンス補正値Lxが該インダクタンス補正レベルLqlより大きくなった場合に、異常を検知する。インダクタンス補正比較部20は、異常を検知すると永久磁石型同期電動機1あるいは制御装置100に故障が発生したことを知らせるためのインダクタンス異常信号Lqerrを電力変換器3に出力する。インダクタンス補正比較部20は、インダクタンス異常信号Lqerrを、制御装置100を制御する上位の装置に出力してもよい。
以上、本実施形態によれば、制御装置100は、磁束補正値φxが磁束補正レベルφlより大きくなった場合に、永久磁石型同期電動機1の故障を検知する。したがって、永久磁石型同期電動機1の故障に対して対応を行うことができる。例えば、永久磁石型同期電動機1に用いられている磁石が減磁することがある。この場合、磁束補正比較部18が磁束φを補正するために大きい電流が用いられ続け、電力消費の観点から好ましくない。上述のように永久磁石型同期電動機1の故障を認識することができれば、故障の原因を解明し、永久磁石型同期電動機1を正常に動作させるための対応を行うことができる。
また、本実施形態によれば、抵抗補正値Rxが抵抗補正レベルRlより大きくなった場合に、永久磁石型同期電動機1が故障を検知する。これにより、永久磁石型同期電動機1の故障を認識し、故障の原因を解明し、永久磁石型同期電動機1を正常に動作させるための対応を行うことができる。
また、本実施形態によれば、インダクタンス補正値Lxがインダクタンス補正レベルLqlより大きくなった場合に、永久磁石型同期電動機1の故障を検知する。これにより、永久磁石型同期電動機1の故障を認識し、故障の原因を解明し、永久磁石型同期電動機1を正常に動作させるための対応を行うことができる。
また、本実施形態によれば、抵抗補正値Rxやインダクタンス補正レベルLqlや磁束補正値φxが、各補正レベルより大きくなった場合に、制御装置100の故障を検知する。これにより、制御装置100の故障を認識し、故障の原因を解明し、制御装置100を正常に動作させるための対応を行うことができる。例えば、電流検出器2あるいは電圧検出器8が故障し電流、電圧が正しい値を検出できないことがある。この場合、抵抗補正値Rxやインダクタンス補正レベルLqlや磁束補正値φxが間違った値になり、大きな電流を流したり、永久磁石型同期電動機1を制御したりすることができなくなってしまう。上述のように制御装置100の故障を認識することができれば、故障の原因を解明し、制御装置100を安全に停止させるための対応を行うことができる。
本実施形態において、磁束補正比較部18は、磁束補正値φxが磁束補正レベルφlより大きくなった場合に磁束異常信号φerrを送信するとしたが、これに限られない。例えば、磁束補正比較部18は、補正後の磁束φnが磁束補正レベルφlに対応する値より大きくなった場合に磁束異常信号φerrを送信してもよい。また、抵抗補正比較部19は、抵抗補正値Rxが抵抗補正レベルRlより大きくなった場合に抵抗異常信号Rerrを送信するとしたが、これに限られない。例えば、抵抗補正比較部19は、補正後の一次抵抗Rnが抵抗補正レベルRlに対応する値より大きくなった場合に抵抗異常信号Rerrを送信してもよい。また、インダクタンス補正比較部20は、インダクタンス補正値Lxがインダクタンス補正レベルLqlより大きくなった場合にインダクタンス異常信号Lqerrを送信するとしたが、これに限られない。例えば、インダクタンス補正比較部20は、補正後のインダクタンスがインダクタンス補正レベルLqlに対応する値より大きくなった場合にインダクタンス異常信号Lqerrを送信してもよい。
また、抵抗補正値Rxやインダクタンス補正レベルLqlや磁束補正値φxを絶対値として、各補正レベルと比較してもよい。
上述の実施形態は代表的な例として説明したが、本発明の趣旨及び範囲内で、多くの変更及び置換ができることは当業者に明らかである。したがって、本発明は、上述の実施形態によって制限するものと解するべきではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、実施形態の構成図に記載の複数の構成ブロックを1つに組み合わせたり、あるいは1つの構成ブロックを分割したりすることが可能である。
1 永久磁石型同期電動機
2 電流検出器
3 電力変換器
4 電流制御器
5 q軸電流指令算出器
6 d軸電流指令算出器
7 電流成分変換器
8 電圧検出器
9 電圧成分変換器
10 d軸電圧演算器
11 q軸電圧演算器
12 抵抗補正部
13 インダクタンス補正部
14 磁束補正部
15 第1減算器
16 第2減算器
17 速度検出器
18 磁束補正比較部
19 抵抗補正比較部
20 インダクタンス補正比較部
100 制御装置
2 電流検出器
3 電力変換器
4 電流制御器
5 q軸電流指令算出器
6 d軸電流指令算出器
7 電流成分変換器
8 電圧検出器
9 電圧成分変換器
10 d軸電圧演算器
11 q軸電圧演算器
12 抵抗補正部
13 インダクタンス補正部
14 磁束補正部
15 第1減算器
16 第2減算器
17 速度検出器
18 磁束補正比較部
19 抵抗補正比較部
20 インダクタンス補正比較部
100 制御装置
Claims (3)
- 電力変換を行う電力変換器と、
前記電力変換器から供給される永久磁石型同期電動機の入力電流を検出する電流検出器と、
前記電流検出器から出力された前記永久磁石型同期電動機の永久磁石と平行方向であるd軸電流及び垂直方向であるq軸電流を出力する電流成分変換器と、
トルク指令とd軸電流指令と永久磁石型同期電動機の永久磁石と平行方向であるd軸インダクタンス及び垂直方向であるq軸インダクタンスと前記永久磁石の磁束とを入力としてq軸電流指令を出力するq軸電流指令算出器と、
d軸電流指令を出力するd軸電流指令算出器と、
前記d軸電流及び前記q軸電流がそれぞれ前記d軸電流指令及び前記q軸電流指令に追従するような制御信号を前記電力変換器に出力する電流制御器と、
前記永久磁石型同期電動機の入力電圧を検出する電圧検出器と、
前記電圧検出器から出力された、永久磁石と平行方向であるd軸電圧及び垂直方向であるq軸電圧を出力する電圧成分変換器と、
前記d軸電流とq軸電流と永久磁石型同期電動機の回転速度と永久磁石型同期電動機の一次抵抗と前記d軸インダクタンス及び前記q軸インダクタンスと前記永久磁石の磁束とから前記永久磁石型同期電動機のq軸電圧を演算するq軸電圧演算器と、
前記q軸電圧演算器から出力された演算q軸電圧と前記電圧成分変換器から出力された前記q軸電圧とから前記永久磁石の磁束を補正する磁束補正部と、
前記磁束補正部から出力された磁束補正値と磁束補正レベルとを比較して、前記磁束補正レベルより前記磁束補正値が大きくなった場合に、異常を検知する磁束補正比較部と、
を備えることを特徴とする永久磁石型同期電動機の制御装置。 - 前記d軸電流と前記q軸電流と前記回転速度と前記一次抵抗と前記d軸インダクタンスと前記q軸インダクタンスより前記永久磁石型同期電動機のd軸電圧を演算するd軸電圧演算器と、
前記d軸電圧演算器から出力された演算d軸電圧と前記電圧成分変換器から出力されたd軸電圧とから前記一次抵抗を補正する抵抗補正部と、
前記抵抗補正部から出力された抵抗補正値と抵抗補正レベルとを比較して、前記抵抗補正レベルより前記抵抗補正値が大きくなった場合に、異常を検知する抵抗補正比較部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の永久磁石型同期電動機の制御装置。 - 前記抵抗補正部によって補正された前記一次抵抗が大きい任意の値を超えるか、または小さい任意の値よりも下回った場合に、前記d軸電圧演算器から出力された演算d軸電圧と電圧成分変換器から出力されたd軸電圧とからq軸インダクタンスを補正するインダクタンス補正部と、
前記インダクタンス補正部から出力されたインダクタンス補正値とインダクタンス補正レベルとを比較して、前記インダクタンス補正レベルより前記インダクタンス補正値が大きくなった場合に、異常を検知するインダクタンス補正比較部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の永久磁石型同期電動機の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018096493A JP2019201530A (ja) | 2018-05-18 | 2018-05-18 | 永久磁石型同期電動機の制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018096493A JP2019201530A (ja) | 2018-05-18 | 2018-05-18 | 永久磁石型同期電動機の制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2019201530A true JP2019201530A (ja) | 2019-11-21 |
Family
ID=68613323
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018096493A Pending JP2019201530A (ja) | 2018-05-18 | 2018-05-18 | 永久磁石型同期電動機の制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2019201530A (ja) |
-
2018
- 2018-05-18 JP JP2018096493A patent/JP2019201530A/ja active Pending
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