以下、本発明の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるモータの外観斜視図であり、図2は、図1中のV11−V11線に沿ったモータの断面図である。図2には、V11−V11線に沿った断面図の隣に、この断面図におけるV12−V12線に沿った断面図も示されている。
本実施形態のモータ1は直流モータであり、ハウジング11、ロータ12、一対の永久磁石13、一対のブラシ14、一対のブラシアーム15、一対の電源端子16、及びエンドキャップ17、を備えている。
ハウジング11は、金属で有底円筒形状に形成された部材である。ハウジング11における円形の底壁111の中央には、ロータ12のシャフト121が貫通する貫通孔111aと、このシャフト121に対する軸受111bと、が設けられている。
ロータ12は、シャフト121を回転軸として、その軸121a回りに回転する、このモータ1における回転子であって、ロータコア122にコイル123が収められ、整流子124を介してコイル123に供給される直流電流に応じて回転するものである。このロータ12については、後で詳細に説明する。
一対の永久磁石13は、このモータ1における固定子であって、シャフト121に沿って各々が延在する円弧板状の磁石である。これら一対の永久磁石13は、ロータ12におけるロータコア122を相互間に挟んでシャフト121の軸121a回りに対面配置されるように、ハウジング11の周壁112の内面に貼付されている。また、一対の永久磁石13は、互いに異極性どうしが向かい合うように配置されており、一方の永久磁石13を発した磁束が、ロータコア122を通って他方の永久磁石13へと至るようになっている。このとき、その他方の永久磁石13へと至った磁束は、金属製のハウジング11の周壁112を磁路として通過し、上記の一方の永久磁石13へと帰還する。ロータ12は、このような磁束とロータ12のコイル123を流れる電流によって回転する。
一対のブラシ14は、カーボンで形成されたブラシであり、ロータ12における整流子124に各々が接するように配置されている。
一対のブラシアーム15は、各々がブラシ14と電源端子16とを電気的に繋ぐ金属アームであり、一方の端部にブラシ14が固定され、他方の端部が電源端子16に固定されている。また、各ブラシアーム15は、弾性を持った板バネとなっており、端部のブラシ14を所定の押付け力で整流子124に押し付けている。尚、ブラシ14は、カーボンに代えて銀や銅、またはそれらを含む合金の薄膜をブラシアーム15に貼り付けたものでもよい。
一対の電源端子16は、端部をモータ1の外部に露出させた状態でエンドキャップ17に固定された金属端子である。外部に露出させた端部に、例えば直流電源からの電線等が接続されて直流電流が供給される。また、モータ1の内部側の端部が上記のようにブラシアーム15に固定されている。電源端子16の外部側の端部に供給された直流電流は、内部側の端部からブラシアーム15へ、ブラシアーム15からブラシ14へ、ブラシ14から整流子124へ、整流子124からコイル123へと供給される。
エンドキャップ17は、ハウジング11の開口11aを塞ぐ円形の部材であり、その中央に、ロータ12のシャフト121が貫通する貫通孔171と、このシャフト121に対する軸受172と、が設けられている。シャフト121は、ハウジング11の底壁111側の軸受111bと、このエンドキャップ17側の軸受172と、で回転自在に軸支されている。
次に、ロータ12について詳細に説明する。
図3は、図1及び図2に示されているロータの外観図である。この図3には、ロータ12の側面図、及び、ロータ12を整流子124側から見た平面図が示されている。
ロータ12は、シャフト121、ロータコア122、コイル123、及び整流子124を備える。
シャフト121は、ロータ12の回転軸となる金属棒であり、上述したように一対の軸受111b,172によって回転自在に軸支される。
ロータコア122は、シャフト121に中央を貫通された積層コアであり、シャフト121から径方向外側に延出するように偶数個のティース122aが設けられている。詳細には、ティース122aは、(8n+4)個(nは自然数)設けられており、本実施形態では、n=1とした12個のティース122aが設けられている。
コイル123は、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに電線が収まるように巻き回されて偶数個が形成されている。具体的には(4n+2)個(本実施形態では、n=1とした6個)のコイル123が形成されている。このコイル123については、後で別図を用いて詳細に説明する。
整流子124は、複数個、詳細には上記の(2n+1)個(本実施形態では、n=1とした3個)の整流子片124aがシャフト121の軸121a回りに、相互間に微小間隙を空けつつ円筒形をなすように配置されたものである。上記のコイル123は、後述するように整流子124に接続され、この整流子124を介して各コイル123に直流電流が流される。
図4は、図2及び図3に示されているロータにおけるコイルの配置を示す模式図である。
本実施形態のモータ1のロータ12では、ロータコア122が1番から12番までの12個のティース122aを有している。そして、これらのティース122aに電線123aが巻き回されてA11,A12,B11,B12,C11,C2の6個のコイル123が形成されている。各コイル123は、2つ以上のティース122a、詳細には、(4n+1)個(本実施形態では、n=1とした5個)のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されて形成されている。コイル123は、これら5個のティース122aにおいて、軸121a回りの配列端に位置する一対のティース122aに架け渡されて巻き回されている。
ここで、各ティース122aは、シャフト121から径方向外側に延出した本体部122a−1と、当該本体部122a−1の先端から軸121a回りに沿って両側に張り出した張出し部122a−2と、を有している。上記の一対のティース122aがなす角度θ11は、一方のティース122aにおける張出し部122a−2の端部と、他方のティース122aにおける張出し部122a−2の端部と、の相互間の角度である。
更に言えば、本実施形態では、モータ1は、N極とS極とが向き合って配置された一対の永久磁石13が、軸121a回りに互いに同等な角度幅θ12を有するように設けられている。この角度幅θ12は、凡そ135°に設定されている。そして、各コイル123が、永久磁石13の角度幅θ12に応じた数(本実施形態では5個)のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されたものとなっている。
各コイル123は、このような5個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されて形成されている。また、上述したように、何れのコイル123も、2つのティース122aの相互間に形成される電線スロット122bに1コイル分の電線123aが収まるように形成されている。そして、軸121a回りに隣り合うコイル123を一対として(4n+2)個(本実施形態では6個)のコイル123が(2n+1)対(本実施形態では3対)に分けられたときの各対をなすコイル123が次のように接続されている。まず、各対をなすコイル123は、シャフト121の軸121aに対して180°の反転対称の位置関係となる一対のティース122aを挟んで隣り合っている。そして、そのように隣り合ったコイル123が、互いに直列接続された状態で、整流子124における何れか一対の整流子片124aに接続されている。
図5は、図4に示されているコイルの接続状態を示す模式図である。
A11及びA12のコイル123は、軸121aに対して180°の反転対称の位置関係となる4番及び10番のティース122aを挟んで隣り合っており、互いに直列接続された状態で、1番及び3番の整流子片124aに接続されている。また、B11及びB12のコイル123は、同様に反転対称の位置関係となる6番及び12番のティース122aを挟んで隣り合っており、互いに直列接続された状態で、2番及び3番の整流子片124aに接続されている。また、C11及びC12のコイル123は、2番及び8番のティース122aを挟んで隣り合っており、互いに直列接続された状態で、1番及び2番の整流子片124aに接続されている。
これら6個のコイル123は、1本の電線123aが、途中で各整流子片124aの接続点を経ながら次のように巻き回されることで形成される。
まず、電線123aは3番の整流子片124aに接続され、9番及び10番のティース122aの相互間の電線スロット122bを通って、4番及び5番のティース122aの相互間の電線スロット122bへと向かう。ここで、図5では、図示が簡略化されているが、電線123aがこれら2つの電線スロット122bを繰り返し通過するように巻き回されてA11のコイル123が形成される。このA11のコイル123の巻終わりは、4番及び5番のティース122aの相互間の電線スロット122bとなる。A11のコイル123を巻き終わった電線123aは、今度は、この電線スロット122bから、10番及び11番のティース122aの相互間の電線スロット122bを通って、3番及び4番のティース122aの相互間の電線スロット122bへと向かう。電線123aがこれら2つの電線スロット122bを繰り返し通過するように巻き回されてA12のコイル123が形成される。ここまでの電線の巻き回しにより、互いに直列接続されたA11及びA12の2つのコイル123が形成される。A12のコイル123の巻終わりは、3番及び4番のティース122aの相互間の電線スロット122bとなる。A12のコイル123を巻き終わった電線123aは、1番の整流子片124aに接続される。
以上の巻き回しにより、5番から9番までの5個のティース122aを内側に収めるA11のコイル123と、1番から3番及び11番と12番のティース122aを内側に収めるA12のコイル123と、が互いに直列接続された状態で形成される。A11及びA12のコイル123は、相互に直列接続している端部とは反対側の端部が、3番及び1番の2つの整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
1番の整流子片124aに接続された電線123aは、1番及び2番のティース122a、8番及び9番のティース122a、2番及び3番のティース122a、7番及び8番のティース122a、の各相互間の電線スロット122bを経由して巻き回される。この巻き回しにより、9番から12番及び1番のティース122aを内側に収めるC11のコイル123と、3番から7番のティース122aを内側に収めるC12のコイル123と、が互いに直列接続された状態で形成される。C11及びC12のコイル123を巻き終わった電線123aは、2番の整流子片124aに接続される。つまり、C11及びC12のコイル123において、相互に直列接続している端部とは反対側の端部が、1番及び2番の整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
2番の整流子片124aに接続された電線123aは、5番及び6番のティース122a、12番及び1番のティース122a、6番及び7番のティース122a、11番及び12番のティース122a、の各相互間の電線スロット122bを経由して巻き回される。この巻き回しにより、7番から11番までのティース122aを内側に収めるB11のコイル123と、1番から5番のティース122aを内側に収めるB12のコイル123と、が互いに直列接続された状態で形成される。B11及びB12のコイル123を巻き終わった電線123aは、3番の整流子片124aに戻って接続される。つまり、B11及びB12のコイル123において、相互に直列接続している端部とは反対側の端部が、2番及び3番の整流子片124aそれぞれにおける接続点に接続される。
ここで、各整流子片124aにおける接続点は、整流子片124aの外周面に立設されたフック端子である。電線123aは、まず、3番の整流子片124aのフック端子に掛けられた状態からスタートし、A11及びA12のコイル123が巻き回されると、1番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。引き続き、電線123aは、C11及びC12のコイル123の巻き回しに供され、この巻き回しが終わると、2番の整流子片124aのフック端子に掛けられる。更に続いて、電線123aは、B11及びB12のコイル123の巻き回しに供され、この巻き回しが終わると、3番の整流子片124aのフック端子に戻って掛けられる。このように3番の整流子片124aのフック端子から始まって、同フック端子で巻き回しが終了すると、電線123aが掛けられた状態の各フック端子に対してスポット溶接が行われる。このスポット溶接により、電線123a、即ち各コイル123の、各整流子片124aに対する機械的及び電気的な接続が行われる。
次に、以上に説明した第1実施形態のロータ12及びモータ1に対する比較例について説明する。
図6は、図1〜図5に示されている第1実施形態のロータ及びモータに対する比較例を、図4と同様の模式図で示す図である。
この比較例のモータ5は、第1実施形態と同様の一対の永久磁石53の相互間に、第1実施形態とは異なるロータ52が配置されている。比較例のロータ52では、まず、ロータコア522において、シャフト521から径方向外側に延出するようにティース522aが3個設けられている。各ティース522aは、シャフト521から径方向外側に延出した本体部522a−1と、当該本体部522a−1の先端からシャフト521の軸521a回りに沿って両側に張り出した張出し部522a−2と、を有している。そして、各ティース522aの本体部522a−1に電線523aが巻き付けられてA51,B51,C51の3個のコイル523が形成されている。整流子524は、3つの整流子片524aで形成されている。A51のコイル523は、2番及び3番の整流子片524aに接続され、B51のコイル523は、1番及び3番の整流子片524aに接続され、C51のコイル523は、1番及び2番の整流子片524aに接続されている。
この比較例では、各ティース522aの本体部522a−1に電線523aが巻き付けられてコイル523が形成されている。このため、一対の永久磁石53によって発生する磁束のうち、ロータ52の回転に寄与する各コイル523に対する鎖交磁束は、各ティース522aにおける張出し部522a−2を通過する磁束となる。この鎖交磁束をなるべく多くするためには、張出し部522a−2における、シャフト521の軸521a回りの角度幅θ51を広くする必要があるが、この比較例の構造では、この角度幅θ51は120°以上に拡げることはできない。一方で、永久磁石53における軸521a回りの角度幅θ52は、上述した第1実施形態の永久磁石13のように135°程度に拡げることができる。この場合、張出し部522a−2の角度幅θ51と永久磁石53の角度幅θ52との差異分に相当する磁束は、ロータ52の回転に寄与せずに無駄となってしまう。
また、この比較例では、コイル523が、2つのティース522aの相互間に形成される電線スロット522bに2コイル分の電線523aが収まるように形成されるので、電線スロット522bにおける巻線占積が小さくなりがちである。
以上に説明した比較例に対し、上述した第1実施形態のロータ12及びモータ1によれば、5個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されてコイル123が形成されている。このコイル123に対する鎖交磁束は、5個のティース122aの配列端に位置する一対のティース122aの相互間の角度θ11の範囲内を通過する磁束となる。各ティース122aの張出し部122a−2の角度幅は最大で30°弱であるので、第1実施形態では、鎖交磁束について、最大で5×30°=150°弱の角度範囲を通過する分まで増やすことができる。上述したように、第1実施形態では、永久磁石13の角度幅θ12が凡そ135°に設定されている。つまり、本実施形態によれば、コイル123に対する鎖交磁束が通過可能な角度範囲を、永久磁石13の角度幅θ12よりも大きくすることで、永久磁石13が発生する磁束を、コイル123に対する鎖交磁束として最大限活用することができる。
その上で、第1実施形態では、1つの電線スロット122bに1コイル分の電線123aが収まるようにコイル123が形成されることで、シャフト121の軸121a回りに隣り合うコイル123の対が構成されている。そして、各対のコイル123が、互いに直列接続された状態で整流子片124aに接続されている。これにより、整流子片124aの数が、コイル123の数よりも少なく抑えられている。本実施形態では、6個のコイル123に対して、整流子片124aの数は半数の3個となっている。
ここで、上述したようにコイル123の形成は、途中で整流子片124aに接続しつつ電線123aを巻き回して行われるが、この作業に当たって整流子片124aの数は少ない方が望ましい。第1実施形態では、この整流子片124aの数が、コイル123の半数まで抑えられているので、良好な作業性の下で、コイル123の形成及び整流子片124aへの接続作業を行うことができる。
このように、第1実施形態によれば、コイル123が受ける鎖交磁束の増加と整流子片124aの数の低減とを両立させることができる。
また、本実施形態によれば、1つの電線スロット122bに収められる電線123aが1コイル分のみとなる。このため、1つの電線スロット522bに2コイル分の電線523aを収める上記の比較例と比較して、電線スロット122bにおける巻線占積を向上させることができる。
また、本実施形態では、直列接続される一対のコイル123は、軸121aに対して180°の反転対称の位置関係となる一対のティース122aを挟んで隣り合っている。このような一対のコイル123は、上記の反転対称の一対のティース122aを挟んで対象の位置関係にある。これにより、その一対のコイル123が周辺の磁束から受ける磁気吸引力が上記の一対のティース122aを挟んで対象となるので、ロータ12が受ける磁気吸引力は、シャフト121の軸121a回りにバランスのとれたものとなる。その結果、ロータ12を安定的に回転させて、回転中のロータ12の振動や騒音等を抑えることができる。
また、本実施形態では、ロータコア122は、ティース122aが12個設けられたものであり、整流子124は、整流子片124aが、12個のティース122aに対して3つ設けられたものとなっている。本実施形態のロータ12は、コイル123が受ける鎖交磁束の増加と整流子片124aの数の低減とを好適に両立させた一態様となっている。尚、ティースが12の整数倍の個数設けられ、整流子片が3の整数倍の個数設けられたロータについても、本実施形態と同様の好適な態様となる。
また、本実施形態では、モータ1における一対の永久磁石13は、軸121a回りに互いに同等な凡そ135°の角度幅θ12を有している。そして、コイル123が、その角度幅θ12に応じた5個のティース122aを内側に収めて電線123aが巻き回されたものとなっている。これにより、永久磁石13が発する磁束のうち、ロータ12の回転に有効な、コイル123の鎖交磁束を良好に増加させることができる。
次に、第2実施形態について説明する。
図7は、本発明の第2実施形態にかかるロータ及びモータを、図4と同様の模式図で示す図である。
第2実施形態のモータ2は、第1実施形態と同様の一対の永久磁石23の相互間に、第1実施形態とは異なるロータ22が配置されている。第2実施形態のロータ22では、まず、ロータコア222において、ティース222aが、n=2としたときの(8n+4)個、即ち20個設けられている。また、コイル223は、A21,A22,・・・,E21,E22の(4n+2)個、即ち10個が形成されている。各コイル223は、(4n+1)個のティース222a、即ち9個のティース222aを内側に収めて電線223aが巻き回されて形成されている。また、各コイル223は、2つのティース222aの相互間に形成される電線スロット222bに1コイル分の電線223aが収まるように巻き回されて形成されている。整流子224は、(2n+1)個、即ち5個の整流子片224aがシャフト221の軸221a回りに配置されて構成されている。
A21及びA22のコイル223が、それぞれ9個のティース222aを内側に収めて形成されており、互いに直列接続された状態で、整流子224における何れか2つの整流子片224aに接続されている。同様に、9個のティース222aを内側に収めるB21及びB22のコイル223が互いに直列接続された状態で2つの整流子片224aに接続されている。また、C21及びC22のコイル223、D21及びD22のコイル223、及びE21及びE22のコイル223が、それぞれ直列接続された状態で2つの整流子片224aに接続されている。
これら10個のコイル223も、1本の電線223aを、途中で整流子片224aに接続しながら巻き回すことで形成される。この巻き回しや整流子片224aとの接続については、コイル223や整流子片224aの数が異なるだけで上述した第1実施形態と同等であるので説明を割愛する。
以上に説明した第2実施形態のロータ22やモータ2によっても、上述した第1実施形態と同様に、コイル223が受ける鎖交磁束の増加と整流子片224aの数の低減とを両立させることができることは言うまでもない。この第2実施形態のロータ22やモータ2も、鎖交磁束の増加と整流子片224aの数の低減とを好適に両立させた一態様となっている。尚、ティースが20の整数倍の個数設けられ、整流子片が5の整数倍の個数設けられたロータについても、本実施形態と同様の好適な態様となる。
また、本実施形態では、各コイル223が収める9個のティース222aの配列端となる一対のティース222aがなす角度θ22は、360°をティース222aの数(20個)で除すると最大で18°であるから、最大で18°×9=162°弱となり、凡そ135°の永久磁石23の角度幅θ22よりも広くなる。これにより、永久磁石23で発生した磁束の略全てをコイル223の鎖交磁束とすることができる。
尚、以上に説明した第1及び第2実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、この実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のロータやモータの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、第1及び第2実施形態では、本発明にいうロータの一例として、n=1,2としたときの(8n+4)=12個,20個のティース122a,222aが設けられたロータ12,22が例示されている。これらのロータ12,22では、上記のnに応じて、(4n+1)=5個,9個のティース122a,222aを内側に収める(4n+2)=6個,10個のコイル123,223が形成されている。また、これらのロータ12,22には、(2n+1)=3個,5個の整流子片124a,224aを有する整流子124,224が設けられている。しかしながら、本発明にいうロータは、これらに限るものではなく、上記のnを他の自然数に設定したものであってもよい。
また、第1及び第2実施形態では、本発明にいうロータの一例として、隣り合う一対のコイル123が互いに直列接続された状態で整流子片124aに接続されたロータ12,22が例示されている。しかしながら、本発明にいうロータは、これらに限るものではなく、隣り合う一対のコイルが互いに並列接続された状態で整流子片に接続されたものであってもよい。
また、第1及び第2実施形態では、本発明にいうモータの一例として、一対の永久磁石13,23の間にロータ12,22が配置されたモータ1,2が例示されている。しかしながら、本発明にいうモータは、これらに限るものではなく、複数対の磁石の間にロータが配置されたものであってもよい。この場合、ロータにおけるティース、コイル、コイルに収められるティースの数、及び整流子片の数は、上記のように自然数nによって定義される数でなくてもよい。ティース及びコイルの数は偶数、コイルに収められるティースの数は2つ以上であればよく、また、整流子片については、コイルが接続可能に複数設ければよい。
また、第1及び第2実施形態では、本発明にいうモータの一例として、一対のブラシ14を備えたモータ1,2が例示されている。しかしながら、本発明にいうモータは、これらに限るものではなく、複数対のブラシを備えたものであってもよい。