(実施例1)
本発明を具体的に説明する前に、概要を述べる。本発明の実施例1は、自動操舵モードと手動操舵モードとの切替が可能な車両に搭載された車両制御装置に関する。車両制御装置は、自動操舵モードの継続が困難であると判定した場合、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を運転者に提案する。運転者が提案に同意した場合、車両制御装置は、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を実行する。これまで、自動操舵モードの継続が困難であるとの判定は、自律センサの検知結果をもとになされている。自律センサは、例えば、カメラやミリ波レーダなどである。しかしながら、自律センサの検知範囲は数十m程度と短いので、運転者には急な切替が必要とされる。切替をスムーズに実行するために、本実施例に係る車両制御装置は、ITS(Intelligent Transport Systems)等の通信システムにおいて取得した情報をもとに、判定を実行する。
ITSは、車両に搭載された端末装置間において車車間通信を実行するとともに、交差点等に設置された基地局装置から端末装置へ路車間通信も実行する通信システムである。通信システムは、IEEE802.11等の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)と同様に、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)と呼ばれるアクセス制御機能を使用する。そのため、複数の端末装置によって同一の無線チャネルが共有される。一方、ITSでは、不特定多数の端末装置へ情報を送信する必要がある。そのような送信を効率的に実行するために、本通信システムは、パケット信号をブロードキャスト送信する。
つまり、車車間通信として、端末装置は、車両の速度あるいは位置等の情報を格納したパケット信号をブロードキャスト送信する。また、他の端末装置は、パケット信号を受信するとともに、前述の情報をもとに車両の接近等を認識する。ここで、路車間通信と車車間通信との干渉を低減するために、基地局装置は、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し規定する。基地局装置は、路車間通信のために、複数のサブフレームのいずれかを選択し、選択したサブフレームの先頭部分の期間において、制御情報等が格納されたパケット信号をブロードキャスト送信する。
制御情報には、当該基地局装置がパケット信号をブロードキャスト送信するための期間(以下、「路車送信期間」という)に関する情報が含まれている。端末装置は、制御情報をもとに路車送信期間を特定し、路車送信期間以外の期間(以下、「車車送信期間」という)においてCSMA方式にてパケット信号をブロードキャスト送信する。その結果、路車間通信と車車間通信とが時分割多重される。なお、基地局装置からの制御情報を受信できない端末装置、つまり基地局装置によって形成されたエリアの外に存在する端末装置は、フレームの構成に関係なくCSMA方式にてパケット信号を送信する。このような通信システムにおいて、パケット信号の送信可能な距離が、自律センサの検出可能な距離よりも長いので、判定のタイミングを早めることが可能になる。
以下では、本実施例に係る車両制御装置において使用される通信システムを説明してから、車両制御装置を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る通信システム100の構成を示す。これは、1つの交差点を上方から見た場合に相当する。通信システム100は、基地局装置10、車両12と総称される第1車両12a、第2車両12b、第3車両12c、第4車両12d、第5車両12e、第6車両12f、第7車両12g、第8車両12h、ネットワーク202を含む。ここでは、第1車両12aのみに示しているが、各車両12には、端末装置14が搭載されている。また、エリア212が、基地局装置10の周囲に形成され、エリア外214が、エリア212の外側に形成されている。
図示のごとく、図面の水平方向、つまり左右の方向に向かう道路と、図面の垂直方向、つまり上下の方向に向かう道路とが中心部分で交差している。ここで、図面の上側が方角の「北」に相当し、左側が方角の「西」に相当し、下側が方角の「南」に相当し、右側が方角の「東」に相当する。また、ふたつの道路の交差部分が「交差点」である。第1車両12a、第2車両12bが、左から右へ向かって進んでおり、第3車両12c、第4車両12dが、右から左へ向かって進んでいる。また、第5車両12e、第6車両12fが、上から下へ向かって進んでおり、第7車両12g、第8車両12hが、下から上へ向かって進んでいる。
通信システム100において、基地局装置10は、交差点に固定して設置される。基地局装置10は、端末装置間の通信を制御する。基地局装置10は、図示しないGPS(Global Positioning System)衛星から受信した信号、あるいは図示しない他の基地局装置10にて形成されたフレームをもとに、複数のサブフレームが含まれたフレームを繰り返し生成する。ここで、各サブフレームの先頭部分に路車送信期間が設定可能であるような規定がなされている。
基地局装置10は、フレーム中の複数のサブフレームのうち、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレームを選択する。基地局装置10は、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。基地局装置10は、設定した路車送信期間においてパケット信号を報知する。路車送信期間において、複数のパケット信号が報知されることもある。また、パケット信号には、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。なお、パケット信号には、路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する制御情報も含まれる。
端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載され移動可能である。端末装置14は、基地局装置10からのパケット信号を受信すると、エリア212に存在すると推定する。端末装置14は、エリア212に存在する場合、パケット信号に含まれた制御情報、特に路車送信期間が設定されたタイミングに関する情報およびフレームに関する情報をもとに、フレームを生成する。その結果、複数の端末装置14のそれぞれにおいて生成されるフレームは、基地局装置10において生成されるフレームに同期する。端末装置14は、路車送信期間とは異なった期間である車車送信期間においてパケット信号を報知する。ここで、車車送信期間においてCSMA/CAが実行される。一方、端末装置14は、エリア外214に存在していると推定した場合、フレームの構成に関係なく、CSMA/CAを実行することによって、パケット信号を報知する。端末装置14は、他の端末装置14からのパケット信号をもとに、他の端末装置14が搭載された車両12の接近を認識する。当該認識の詳細は後述する。
図2は、基地局装置10の構成を示す。基地局装置10は、アンテナ20、RF部22、変復調部24、処理部26、制御部28、ネットワーク通信部30を含む。また、処理部26は、フレーム規定部32、選択部34、生成部36を含む。
RF部22は、受信処理として、図示しない端末装置14あるいは他の基地局装置10からのパケット信号をアンテナ20にて受信する。RF部22は、受信した無線周波数のパケット信号に対して周波数変換を実行し、ベースバンドのパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、ベースバンドのパケット信号を変復調部24に出力する。一般的に、ベースバンドのパケット信号は、同相成分と直交成分によって形成されるので、ふたつの信号線が示されるべきであるが、ここでは、図を明瞭にするために1つの信号線だけを示すものとする。RF部22には、LNA(Low Noise Amplifier)、ミキサ、AGC、A/D変換部も含まれる。
RF部22は、送信処理として、変復調部24から入力したベースバンドのパケット信号に対して周波数変換を実行し、無線周波数のパケット信号を生成する。さらに、RF部22は、路車送信期間において、無線周波数のパケット信号をアンテナ20から送信する。また、RF部22には、PA(Power Amplifier)、ミキサ、D/A変換部も含まれる。
変復調部24は、受信処理として、RF部22からのベースバンドのパケット信号に対して、復調を実行する。さらに、変復調部24は、復調した結果を処理部26に出力する。また、変復調部24は、送信処理として、処理部26からのデータに対して、変調を実行する。さらに、変復調部24は、変調した結果をベースバンドのパケット信号としてRF部22に出力する。ここで、通信システム100は、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)変調方式に対応するので、変復調部24は、受信処理としてFFT(Fast Fourier Transform)も実行し、送信処理としてIFFT(Inverse Fast Fourier Transform)も実行する。
フレーム規定部32は、図示しないGPS衛星からの信号を受信し、受信した信号をもとに時刻の情報を取得する。なお、時刻の情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。フレーム規定部32は、時刻の情報をもとに、複数のフレームを生成する。例えば、フレーム規定部32は、時刻の情報にて示されたタイミングを基準にして、「1sec」の期間を10分割することによって、「100msec」のフレームを10個生成する。このような処理を繰り返すことによって、フレームが繰り返されるように規定される。なお、フレーム規定部32は、復調結果から制御情報を検出し、検出した制御情報をもとにフレームを生成してもよい。このような処理は、他の基地局装置10によって形成されたフレームのタイミングに同期したフレームを生成することに相当する。
図3(a)−(d)は、通信システム100において規定されるフレームのフォーマットを示す。図3(a)は、フレームの構成を示す。フレームは、第1サブフレームから第Nサブフレームと示されるN個のサブフレームによって形成されている。これは、端末装置14が報知に使用可能なサブフレームを複数時間多重することによってフレームが形成されているといえる。例えば、フレームの長さが100msecであり、Nが8である場合、12.5msecの長さのサブフレームが規定される。Nは、8以外であってもよい。図3(b)−(d)の説明は、後述し、図2に戻る。
選択部34は、フレームに含まれた複数のサブフレームのうち、路車送信期間を設定すべきサブフレームを選択する。具体的に説明すると、選択部34は、フレーム規定部32にて規定されたフレームを受けつける。また、選択部34は、図示しないインターフェイスを介して、選択したサブフレームに関する指示を受けつける。選択部34は、指示に対応したサブフレームを選択する。これとは別に、選択部34は、自動的にサブフレームを選択してもよい。その際、選択部34は、RF部22、変復調部24を介して、図示しない他の基地局装置10あるいは端末装置14からの復調結果を入力する。選択部34は、入力した復調結果のうち、他の基地局装置10からの復調結果を抽出する。選択部34は、復調結果を受けつけたサブフレームを特定することによって、復調結果を受けつけていないサブフレームを特定する。
これは、他の基地局装置10によって路車送信期間が設定されていないサブフレーム、つまり未使用のサブフレームを特定することに相当する。未使用のサブフレームが複数存在する場合、選択部34は、ランダムに1つのサブフレームを選択する。未使用のサブフレームが存在しない場合、つまり複数のサブフレームのそれぞれが使用されている場合に、選択部34は、復調結果に対応した受信電力を取得し、受信電力の小さいサブフレームを優先的に選択する。
図3(b)は、図示しない第1基地局装置10aによって生成されるフレームの構成を示す。第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第1基地局装置10aは、第1サブフレームの路車送信期間を除く期間と、第2サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。車車送信期間とは、端末装置14がパケット信号を報知可能な期間である。つまり、第1基地局装置10aは、第1サブフレームの先頭期間である路車送信期間においてパケット信号を報知可能であり、かつフレームのうち、路車送信期間以外の車車送信期間において端末装置14がパケット信号を報知可能であるような規定がなされる。
図3(c)は、図示しない第2基地局装置10bによって生成されるフレームの構成を示す。第2基地局装置10bは、第2サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第2基地局装置10bは、第2サブフレームの路車送信期間を除く期間と、第1サブフレーム、第3サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。図3(d)は、図示しない第3基地局装置10cによって生成されるフレームの構成を示す。第3基地局装置10cは、第3サブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。また、第3基地局装置10cは、第3サブフレームの路車送信期間を除く期間と、第1サブフレーム、第2サブフレーム、第4サブフレームから第Nサブフレームに車車送信期間を設定する。このように、複数の基地局装置10は、互いに異なったサブフレームを選択し、選択したサブフレームの先頭部分に路車送信期間を設定する。図2に戻る。選択部34は、選択したサブフレームの番号を生成部36へ出力する。
生成部36は、選択部34から、サブフレームの番号を受けつける。生成部36は、受けつけたサブフレーム番号のサブフレームに路車送信期間を設定し、路車送信期間において報知すべきパケット信号を生成する。1つの路車送信期間において複数のパケット信号が送信される場合、生成部36は、それらを生成する。パケット信号は、制御情報、ペイロードによって構成されている。制御情報には、路車送信期間を設定したサブフレーム番号等が含まれる。また、ペイロードには、例えば、事故情報、渋滞情報、信号情報等が含まれる。これらのデータは、ネットワーク通信部30によって、図示しないネットワーク202から取得される。処理部26は、変復調部24、RF部22に対して、路車送信期間においてパケット信号をブロードキャスト送信させる。制御部28は、基地局装置10全体の処理を制御する。
この構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ハードウエアとソフトウエアの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
図4は、端末装置14の構成を示す。端末装置14は、アンテナ50、RF部52、変復調部54、処理部56、制御部58を含む。処理部56は、タイミング特定部60、転送決定部62、位置情報取得部64、生成部66、通知部70を含み、タイミング特定部60は、抽出部72、キャリアセンス部74を含む。端末装置14は、前述のごとく、車両12に搭載可能である。アンテナ50、RF部52、変復調部54は、図2のアンテナ20、RF部22、変復調部24と同様の処理を実行する。ここでは差異を中心に説明する。
変復調部54、処理部56は、受信処理において、図示しない他の端末装置14あるいは基地局装置10からのパケット信号を受信する。なお、前述のごとく、変復調部54、処理部56は、路車送信期間において、基地局装置10からのパケット信号を受信し、車車送信期間において、他の端末装置14からのパケット信号を受信する。他の端末装置14からのパケット信号には、当該他の端末装置14が搭載される他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の存在位置、進行方向、移動速度等(以下、「位置情報」と総称する)が少なくとも含まれる。他の端末装置14における位置情報の取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。
抽出部72は、変復調部54からの復調結果が、図示しない基地局装置10からのパケット信号である場合に、路車送信期間が配置されたサブフレームのタイミングを特定する。その際、抽出部72は、図1のエリア212内に存在すると推定する。抽出部72は、サブフレームのタイミングと、パケット信号のメッセージヘッダの内容、具体的には、路車送信期間長の内容をもとに、フレームを生成する。なお、フレームの生成は、前述のフレーム規定部32と同様になされればよいので、ここでは説明を省略する。その結果、抽出部72は、基地局装置10において形成されたフレームに同期したフレームを生成する。パケット信号の報知元が、他の端末装置14である場合、抽出部72は、同期したフレームの生成処理を省略するが、パケット信号に含まれた位置情報を抽出し、位置情報を通知部70へ出力する。
一方、抽出部72は、基地局装置10からのパケット信号を受信していない場合、図1のエリア外214に存在すると推定する。抽出部72は、エリア212に存在していることを推定した場合、車車送信期間を選択する。抽出部72は、エリア外214に存在していることを推定すると、フレームの構成と無関係のタイミングを選択する。抽出部72は、車車送信期間を選択した場合、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報をキャリアセンス部74へ出力する。抽出部72は、フレームの構成と無関係のタイミングを選択すると、キャリアセンスの実行をキャリアセンス部74に指示する。
キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームおよびサブフレームのタイミング、車車送信期間に関する情報を受けつける。キャリアセンス部74は、車車送信期間内でCSMA/CAを開始することによって送信タイミングを決定する。一方、キャリアセンス部74は、抽出部72から、フレームの構成に関係のないキャリアセンスの実行を指示された場合、フレームの構成を考慮せずに、CSMA/CAを実行することによって、送信タイミングを決定する。キャリアセンス部74は、決定した送信タイミングを変復調部54、RF部52へ通知し、パケット信号をブロードキャスト送信させる。
転送決定部62は、制御情報の転送を制御する。転送決定部62は、制御情報のうち、転送対象となる情報を抽出する。転送決定部62は、抽出した情報をもとに、転送すべき情報を生成する。ここでは、この処理の説明を省略する。転送決定部62は、転送すべき情報、つまり制御情報のうちの一部を生成部66に出力する。
位置情報取得部64は、図示しないGPS受信機、ジャイロスコープ、車速センサ等を含んでおり、それらから供給されるデータによって、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)、つまり端末装置14が搭載された車両12の存在位置、進行方向、移動速度等(前述のごとく、「位置情報」と総称する)を取得する。なお、存在位置は、緯度・経度によって示される。これらの取得には公知の技術が使用されればよいので、ここでは説明を省略する。また、位置情報には、端末装置14が搭載された車両12が自律センサ等で検出した周囲の車両(例えば、前後を走行する車両)の存在位置、移動速度等の情報を含めてもよい。位置情報取得部64は、位置情報を生成部66へ出力する。
生成部66は、位置情報取得部64から位置情報を受けつけ、転送決定部62から制御情報の一部を受けつける。生成部66は、これらが含まれたパケット信号を生成するとともに、キャリアセンス部74において決定した送信タイミングにて、変復調部54、RF部52、アンテナ50を介して、生成したパケット信号をブロードキャスト送信する。これは、車車間通信に相当する。
通知部70は、位置情報取得部64からの位置情報を入力するとともに、抽出部72からの位置情報を入力する。前者が他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の位置情報に相当し、後者が本車両12(図7(a)−(b)の第1車両12a)の位置情報に相当する。通知部70は、本車両12(図7(a)−(b)の第1車両12a)の位置情報と、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の位置情報とをもとに、本車両12(図7(a)−(b)の第1車両12a)と他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)との衝突あるいは非衝突を判定する。衝突あるいは非衝突の判定には、公知の技術が使用されればよい。例えば、本車両12(図7(a)−(b)の第1車両12a)の現在の存在位置から、進行方向と移動速度を考慮して、将来の存在位置が推定されるとともに、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の現在の存在位置から、進行方向と移動速度を考慮して、将来の存在位置が推定される。
通知部70は、両者の将来の存在位置が近接する場合、衝突と判定し、それ以外の場合、非衝突と判定する。近接は、両者の将来の存在位置がしきい値よりも近づく場合に相当し、非近接は、それ以外の場合に相当する。このような判定は、定期的、例えば、フレーム周期の100msec間隔でなされる。通知部70は、図示しないディスプレイあるいはスピーカを介して、判定結果を運転者に通知する。また、通知部70は、他の端末装置14あるいは基地局装置10からのパケット信号に含まれた情報も運転者へディスプレイやスピーカを介して通知してもよい。
図5は、本発明の実施例1に係る車両12の構成を示し、特に、自動運転に関連する構成を示す。車両12は、端末装置14、車両制御装置300、自動運転制御装置302、表示部304、モード切替スイッチ306を含む。車両制御装置300は、I/O部310、処理部312を含み、処理部312は、受信部330、判定部332、通知部334を含む。自動運転制御装置302は、I/O部320、処理部322を含む。
端末装置14は、前述の通り構成される。ここで、端末装置14は、他の端末装置14から受信したパケット信号に含まれた位置情報、つまり他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の位置情報をI/O部310に出力する。また、端末装置14は、本端末装置14の位置情報もI/O部310に出力する。表示部304は、運転者向けの情報を視覚的に知らせるものであり、例えば、カーナビゲーション装置またはディスプレイオーディオ装置のディスプレイである。また、表示部304は、フロントガラスに画像を表示するHUD(Head Up Display)であってもよく、ダッシュボード上に設置され、後述の車両制御装置300と連系して動作するスマートフォンやタブレットのディスプレイであってもよい。さらに、表示部304は、端末装置14における通知部70が情報を表示するためのディスプレイと共用されてもよい。
モード切替スイッチ306は、運転者により操作されるスイッチであり、自動操舵モードと手動操舵モードを切り替えるためのスイッチである。モード切替スイッチ306からの切替信号は、信号線を介して車両制御装置300に伝達される。
自動運転制御装置302は、自動運転制御機能を実装した自動運転コントローラである。処理部322の構成はハードウエア資源とソフトウエア資源の協働、またはハードウエア資源のみにより実現できる。ハードウエア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用でき、ソフトウエア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション、ファームウェア等のプログラムを利用できる。I/O部320は、各種の通信フォーマットに応じた各種の通信制御を実行する。
車両制御装置300は、運転モードの決定機能を実行するためのコントローラである。
処理部312は、ハードウエア資源とソフトウエア資源の協働、またはハードウエア資源のみにより実現できる。ハードウエア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用でき、ソフトウエア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション、ファームウェア等のプログラムを利用できる。I/O部310は、各種の通信フォーマットに応じた各種の通信制御を実行する。車両制御装置300と自動運転制御装置302との間は直接、信号線で接続される。なお、これらはCAN(Controller Area Network)を介して接続されてもよい。また、車両制御装置300と自動運転制御装置302を統合して1つのコントローラとされてもよい。
処理部312は、自動運転制御装置302の運転モードを管理する。ここでは、運転モードとして、自動操舵モード、手動操舵モード、切替モードが規定される。図6は、処理部312において管理されるモードの遷移を示す。図示のごとく、切替モードは、自動操舵モードから手動操舵モードへの直接の切替を回避するために、自動操舵モードから手動操舵モードへ至る遷移の途中に設けられる。これは、自動操舵モードから手動操舵モードへの直接の切替がなされた場合、運転者の対応が困難になるからである。一方、手動操舵モードから自動操舵モードへの直接の切替がなされても、運転者は対応可能であるので、自動操舵モードから手動操舵モードへ至る遷移の途中には切替モードが設けられない。
ラインL1は、自動操舵モードから切替モードへの状態遷移を示しており、数秒後あるいは数m以内で自走操舵モードが維持できなくなると判定された場合の状態遷移を示す。ラインL2は、切替モードから自動操舵モードへの状態遷移を示しており、自動操舵モードの実行が可能であると判定された場合の状態遷移を示す。ラインL3は、切替モードから手動操舵モードへの状態遷移を示しており、モード切替スイッチ306が運転者によって押し下げられた場合の状態遷移を示す。
ラインL4は、手動操舵モード内の状態遷移を示しており、運転者によって手動操舵モードから自動操舵モードへの切替がなされるが、自動操舵モードの実行が不可能であるであると判定された場合の状態遷移を示す。ラインL5は、手動操舵モードから自動操舵モードへの状態遷移を示しており、運転者によって手動操舵モードから自動操舵モードへの切替がなされ、自動操舵モードの実行が可能であるであると判定された場合の状態遷移を示す。以下では、ラインL1での判定を説明する。図5に戻る。
受信部330は、I/O部310を介して端末装置14から、本車両12(図7(a)−(b)の第1車両12a)の位置情報を受信する。これは、位置情報取得部64において取得された位置情報を受信することに相当する。前述のごとく、位置情報には、存在位置、進行方向、移動速度等の情報が少なくとも含まれる。便宜上、この位置情報を「第1位置情報」という。また、受信部330は、I/O部310を介して端末装置14から、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)の位置情報も受信する。これは、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)に搭載された他の端末装置14から送信されたパケット信号に含まれた位置情報を受信することに相当する。便宜上、この位置情報を「第2位置情報」という。第2位置情報には、第1位置情報に含まれた情報に加えて、他の車両12(図7(a)−(b)の第2車両12bから第7車両12g)が走行している車線に関する情報が含まれていてもよい。受信部330は、第1位置情報、第2位置情報を判定部332に出力する。
判定部332は、受信部330からの第1位置情報、第2位置情報を入力する。判定部332は、受信部330からの第1位置情報、第2位置情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定する。この判定処理を説明するために、図7(a)−(b)を使用する。図7(a)−(b)は、処理部312による処理の概要を説明するための図である。図7(a)−(b)は、高速道路などでの本線合流にかかるシーンである。図7(a)における第1車両12aが本車両12に相当する。第1車両12aは、自動操舵モードによって合流車線を走行しており、第2車両12bから第7車両12g(以下、これらを「他の車両12」と総称する場合がある)が本線車線を走行している。また、第1車両12aは、合流車線から本線車線に合流しようとしている。第1車両12aに搭載された端末装置14が、他の車両12に搭載された他の端末装置14との間で位置情報を互いに交換することによって、前述のごとく、判定部332には、第1位置情報、第2位置情報が入力される。
判定部332は、予め記憶した地図情報に、第1位置情報を対応づけることによって、図7(a)のような状況、つまり第1車両12aが本線車両に合流しようとしている状況を認識する。さらに、判定部332は、第2位置情報をもとに、本線車線における他の車両12の密度を導出する。これは、本線車線の合流区間250を走行している他の車両12の台数を数えることに相当する。判定部332は、密度がしきい値よりも小さければ、自動操舵モードの維持が可能であると判定する。一方、判定部332は、密度がしきい値以上であれば、自動操舵モードの維持が困難であると判定する。これは、第1車両12aが合流車線を走行中、本線車線の合流区間250が渋滞しており、自動操舵モードでの合流が困難である状況に相当する。なお、判定部332は、第2位置情報をもとに、本線車両における他の車両12間の車間距離の平均値を導出してもよい。その場合、判定部332は、車間距離がしきい値よりも長ければ、自動操舵モードの維持が可能であると判定し、車間距離がしきい値以下であれば、自動操舵モードの維持が困難であると判定する。
これは、他の車両12の位置情報とをもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定することに相当し、図6のラインL1に沿って切替モードに遷移することに相当する。図7(b)の説明は後述し、図5に戻る。判定部332は、現在の運転モードを自動操舵モードから切替モードに変更し、処理部312は、現在の運転モードが切替モードであることを管理する。さらに、判定部332は、切替モードに変更になったことを通知部334に出力する。
通知部334は、切替モードの変更を通知された場合、つまり、判定部332において切替を判定した場合に、手動操舵モードへの切替を運転者に促すための信号をI/O部310経由で表示部304に出力する。表示部304は、信号を入力すると、手動操舵モードへの切替を運転者に促すためのメッセージをディスプレイに表示する。
このメッセージに運転者が同意することによって、モード切替スイッチ306が押し下げられると、前述のごとく、切替信号が車両制御装置300に伝達される。さらに、切替信号は、車両制御装置300から自動運転制御装置302にも伝達される。自動運転制御装置302は、切替信号を入力すると、車両12を自動操舵モードから手動操作モードに切りかえる。また、車両制御装置300内において、処理部312が切替信号を入力すると、処理部312は、現在の運転モードが手動操舵モードであることを管理する。
一方、手動操舵モードへの切替を運転者に促すためのメッセージをディスプレイに表示しても、運転者がモード切替スイッチ306を押し下げない場合がある。これに対応するため、処理部312は、手動操舵モードへの切替を運転者に促すための信号を出力してからの走行期間あるいは走行距離を計測する。モード切替スイッチ306からの切替信号を受信しないまま、一定の走行期間あるいは一定の走行距離が経過すると、処理部312は、自動操舵モードによる車両12の停止を決定する。処理部312は、I/O部310を介して、停止の決定を自動運転制御装置302に出力する。自動運転制御装置302は、停止の決定を入力すると、車両12を安全な場所に停止させる。
図7(a)において、第1車両12aに搭載された車両制御装置300(図示せず)は、ポイントP1において、手動操舵モードへの切替を運転者に促すためのメッセージを表示する。そのため、権限移譲区間252を第1車両12aが走行している間に、運転者がモード切替スイッチ306を押し下げれば、第1車両12aは、自動操舵モードから手動操作モードに切りかわる。そのため、運転者がメッセージを確認してからモード切替スイッチ306を押し下げるまでに、権限移譲区間252に対応した時間あるいは距離が確保される。
一方、図7(b)は、本実施例の比較対象として、自動操作モードの維持が困難であることが自律センサによって判定される場合を示す。前述のごとく、自律センサで検知可能なエリアは狭いので、ポイントP2において、手動操舵モードへの切替を運転者に促すためのメッセージが表示される。そのため、権限移譲区間254を第1車両12aが走行している間に、運転者は、モードの切替を指示しなくてはならない。ここで、権限移譲区間254は、権限移譲区間252よりも短い。図5に戻る。
判定部332における判定は、次のようになされてもよい。端末装置14が受信するパケット信号には、事象情報が含まれている場合がある。事象情報とは、工事により片側交互通行になっている情報、信号交差点において臨時的に手旗信号が実行されている情報等の通常とは異なった交通事情が示された情報である。受信部330は、I/O部310を介して、端末装置14からの事象情報を受信する。受信部330は、事象情報を判定部332に出力する。判定部332は、事象情報を入力した場合、事象情報において示された位置情報を特定する。この位置情報は、例えば、片側交互通行になっている場所を示しており、便宜的に「第3位置情報」という。判定部332は、第3位置情報から所定の範囲に第1位置情報が含まれた場合に、自動操舵モードの維持が困難であると判定する。つまり、判定部332は、事象情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定する。
以上の構成による車両制御装置300の動作を説明する。図8は、車両制御装置300による自動操舵モードでの処理手順を示すフローチャートである。端末装置14は、パケット信号を受信する(S10)。処理部312は、自動操舵モードを実行する(S12)。自動操舵モードが可能でなければ(S14のN)、判定部332は、切替モードへの遷移を判定する(S16)。自動操舵モードが可能であれば(S14のY)、ステップ14はスキップされる。
図9は、車両制御装置300による切替モードでの処理手順を示すフローチャートである。端末装置14は、パケット信号を受信する(S30)。処理部312は、切替モードを実行する(S32)。自動操舵モードが可能である場合(S34のY)、処理部312は、自動操舵モードへの遷移を判定する(S38)。自動操舵モードが可能でなく(S34のN)、切替信号を受理した場合(S36のY)、処理部312は、手動操舵モードへの遷移を実行する(S40)。切替信号を受理しない場合(S36のN)、ステップ40をスキップする。
本発明の実施例によれば、他の車両に搭載された無線装置からのパケット信号をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定するので、早期の判定を実行できる。また、早期の判定が実行されるので、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替をスムーズに実行できる。また、他の車両に搭載された無線装置からのパケット信号を使用するので、自律センサよりも広い範囲の情報を取得できる。また、他の車両に搭載された無線装置からのパケット信号を使用するので、他の車両との位置関係による自動操舵モードの継続の困難性を回避できる。また、事象情報による自動操舵モードの継続の困難性を回避できる。
(実施例2)
次に、本発明の実施例2を説明する。実施例2も、実施例1と同様に、自動操舵モードと手動操舵モードとの切替が可能な車両に搭載された車両制御装置であって、かつ通信システムにおいて取得した位置情報を使用する車両制御装置に関する。実施例1のような合流が生じる場合において、合流に関連する複数の車両全体の走行を制御する装置が設けられ、その装置からの指令にしたがって、各車両が走行していた。しかしながら、自動操舵モードの車両が合流する場合、走行経路および走行速度(以下、これらを「走行予定」と総称する)を決定するためのパラメータは、位置および速度だけではなく、他の要因の影響も受ける。他の要因は、例えば、障害物の存在、車両の特性(加速性能や制動性能)、乗員の特性・嗜好(嗜好:車間距離の好みなど)などである。指令にしたがって走行する場合、これらの他の要因を考慮して走行予定を作成することが困難である。
これに対応するために本実施例に係る車両制御装置は、車両が合流車線を走行している場合に、通信により取得した本線車線の他の車両の位置情報をもとに、自動操舵モードで本線車線を走行している他の車両の前後で合流できるように、走行予定情報を作成する。また、車両制御装置は、車車間通信により走行予定情報を送信することによって、本線車側の他の車両に合流の予定を通知する。他の車両は、走行予定情報をもとに、合流しようとする車両の存在を認識するとともに、走行予定情報に応じて走行を制御する。実施例2に係る通信システム100は、図1から図4と同様のタイプであり、ここでは差異を中心に説明する。なお、自動操舵モードで本線車線を走行している他の車両が合流するタイミングで存在しない場合には、先の実施例1での手順に沿って判定し、自動操舵モードと手動操舵モードとの切替を実行すればよい。
図10は、本発明の実施例2に係る車両12の構成を示す。車両12は、端末装置14、車両制御装置300、自動運転制御装置302、表示部304、モード切替スイッチ306を含む。車両制御装置300は、I/O部310、処理部312を含み、処理部312は、受信部330、判定部332、通知部334、生成部336、送信部338を含む。自動運転制御装置302は、I/O部320、処理部322を含む。
受信部330は、前述のごとく、第1位置情報、第2位置情報を受信する。受信部330は、第1位置情報、第2位置情報を生成部336に出力する。生成部336は、受信部330から第1位置情報、第2位置情報を入力する。生成部336は、判定部332が判定する前に、第1位置情報、第2位置情報をもとに、本車両12(図11の第1車両12a)の自動操舵モードによる走行予定情報を生成する。その際、第1位置情報、第2位置情報における存在位置、進行方向、移動速度が使用される。生成部336は、(1)基準予定情報の作成、(2)本線車線の他の車両12(図11の第2車両12bから第8車両12h)との干渉判定、(3)基準予定情報の修正を実行することによって、走行予定情報を生成する。以下では、これらの処理を図11を使用しながら説明する。
図11は、処理部312による処理の概要を説明するための図である。図11には、図7(a)と同様に、高速道路などの合流車線と本線車線とが示されており、本車両12である第1車両12aが合流車線を走行している。また、本線車線には、第2車両12bから第8車両12hが走行しており、これらも「他の車両12」と総称される場合がある。
(1)基準予定情報の作成
生成部336は、第1車両12aの現在位置から合流区間近端260まで、合流路規制速度で走行すると仮定する。また、生成部336は、合流区間近端260から先において、合流路規制速度から本線路規制速度までの間になるような加速度で走行すると仮定する。さらに、生成部336は、これらの仮定のもと、本線路規制速度到達時の合流区間近端260からの距離、つまり合流開始地点262を導出するとともに、その所要時間、つまり合流開始時間を導出する。
(2)本線車線の他の車両12との干渉判定
生成部336は、他の車両12の位置と走行速度とをもとに、基準予定情報で求めた合流開始時間経過後の他の車両12と合流区間近端260の間の距離Lを導出する。判定部332は、距離Lと合流開始地点262の差分の絶対値が、予め定める安全車間距離以下である場合、第1車両12aと他の車両12が干渉すると判定する。なお、乗員の特性・嗜好に応じて、第1車両12aが他の車両12の前方に合流するか、後方に合流するかが設定されており、その設定に応じて、安全車間距離が変更されてもよい。
(3)基準予定情報の修正
生成部336は、干渉する場合、基準予定情報との差異が小さい非干渉経路を作成する。具体的に説明すると、生成部336は、合流後に他の車両12との安全車間距離を確保可能な速度であって、かつ第1車両12aが合流車線を走行するときの速度を導出する。また、生成部336は、第1車両12aが合流区間近端260通過後の加速を開始する時間、合流車線規制速度から本線路規制速度まで加速するときの加速度を導出する。なお、算出できない場合、生成部336は、合流不可と判定する。また、生成部336は、基準予定との差異が小さい、つまり合流開始地点262が最も近い経路を修正後の経路として選択し、選択した経路における、合流開始地点262および合流開始時間を算出する。最終的な基準予定情報が、走行予定情報に相当する。なお、生成部336は、本線車線を走行する他の車両12のうち、自動操舵モードで走行している他の車両12の前方に合流するように走行予定情報を生成してもよい。図10に戻す。
このような処理の結果、生成部336において生成された走行予定情報のうち、必須情報は、合流車線走行中、合流開始時間の情報を含む。合流開始時間は、何秒後に合流を開始するかを示す。また、走行予定情報のうち、オプションは、方向(上り、下り)、合流区間近端260までの距離、合流開始地点262、合流車両位置、合流合意状況、合流完了時目標速度の情報を含む。合流開始地点262は、合流区間近端260からの距離を示し、合流車両位置は、どの他の車両12間に進入するかを車両IDで示し、合流合意状況は、進入する前後の他の車両12との合意状況を示す。
例えば、必須情報は、合流車線走行中、合流開始時間:20sを示す。また、オプションは、方向:上り、合流区間の近端までの距離:200m、合流開始地点262:70m、合流車両位置車両ID:Yの前方、合流合意状況車両ID”Y”:未承認、合流完了時目標速度:不定を示す。生成部336は、走行予定情報を送信部338に出力する。
送信部338は、生成部336において生成した走行予定情報を入力する。送信部338は、I/O部310を介して端末装置14に、走行予定情報を送信する。端末装置14は、走行予定情報が含まれたパケット信号をブロードキャスト送信する。端末装置14は、ブロードキャスト送信したパケット信号に含まれた走行予定情報に対する承認結果であって、他の車両12による承認結果が含まれたパケット信号を受信する。端末装置14は、I/O部310経由で承認結果を受信部330に送信する。
受信部330は、承認結果を受信する。受信部330は、送信部338が送信した走行予定情報に対する承認結果であって、かつ他の車両による承認結果を受信する。承認結果の必須情報は、合流可否判定結果を含み、例えば、車両ID:X OKと示される。また、承認結果のオプションは、方向、合流区間近端260までの距離、合流区間近端260までの到達時間、前方車間距離、後方車間距離、右側状況、左側状況を含む。例えば、方向:上り、合流区間近端260までの距離:320m、合流区間近端260までの到達時間:15秒、前方車間距離:120m、後方車間距離:50mと示される。受信部330は、承認結果を生成部336、判定部332に出力する。
生成部336は、承認結果を確認するとともに、前述の処理を実行することによって、走行予定情報を再度生成する。ここで、2回目以降の基準予定情報を作成する場合、前回の処理で作成した基準予定情報が使用される。例えば、必須情報は、合流車線走行中、合流開始時間:18sを示す。また、オプションは、方向:上り、合流区間の近端までの距離:150m、合流開始地点262:75m、合流車両位置車両ID:Yの前方、合流合意状況車両ID”Y”:未承認、合流完了時目標速度:80km/hを示す。生成部336は、走行予定情報を送信部338に出力する。生成部336は、これまでと同様に、走行予定情報を送信部338に出力する。
判定部332は、承認結果に含まれた合流可否判定結果が、OK、つまり承認を示している場合に、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定する。つまり、判定部332は、自動操舵モードの維持が困難であると判定する。これに続く処理は、これまでと同様である。
以上の構成による車両制御装置300の動作を説明する。図12は、本発明の実施例2に係る車両12間における合流手順を示すシーケンス図である。第2車両12bは、第1車両12aに位置情報を送信する(S50)。第1車両12aは、合流位置を決定し(S52)、走行予定情報を生成する(S54)。第1車両12aは、第2車両12bに走行予定情報を送信する(S56)。第2車両12bは、合流可否を判定する(S58)。第2車両12bは、第1車両12aに承認結果を送信する(S60)。第1車両12aは、合流位置を決定し(S62)、走行予定情報を生成する(S64)。第1車両12aは、第2車両12bに走行予定情報を送信する(S66)。第2車両12bは、合流可否を判定する(S88)。
図13は、本発明の実施例2に係る車両12間における別の合流手順を示すシーケンス図である。第2車両12bは、第1車両12aに位置情報を送信し(S100)、第3車両12cは、第1車両12aに位置情報を送信する(S102)。第1車両12aは、合流位置を決定し(S104)、走行予定情報を生成する(S106)。第1車両12aは、第2車両12b、第3車両12cに走行予定情報を送信する(S108、110)。第2車両12bは、合流可否を判定し(S112)、第3車両12cは、合流可否を判定する(S114)。
第2車両12bは、第1車両12aに承認結果を送信し(S116)、第3車両12cは、第1車両12aに承認結果を送信する(S118)。第1車両12aは、合流位置を決定し(S120)、走行予定情報を生成する(S122)。第1車両12aは、第2車両12b、第3車両12cに走行予定情報を送信する(S124、S126)。第2車両12bは、合流可否を判定し(S128)、第3車両12cは、合流可否を判定する(S130)。
図14は、本発明の実施例2に係る車両制御装置300による走行予定情報の生成手順を示すフローチャートである。生成部336は、基準予定情報がなければ(S150のN)、基準予定情報を作成する(S152)。基準予定情報があれば(S150のY)、ステップ152をスキップする。干渉があれば(S154のY)、生成部336は、基準予定情報を修正する(S156)。干渉がなければ(S154のN)、ステップ156をスキップする。
本発明の実施例によれば、受信したパケット信号に含まれた他の車両の位置情報をもとに、走行予定情報を生成するので、早期の生成を実現できる。また、走行予定情報を生成する際に、乗員の特性・嗜好を反映するので、これらを反映できる。また、承認結果を受信するので、走行予定情報が受け入れられたかを認識できる。また、承認結果が不可であった場合に手動操舵モードへの切替を判定するので、走行予定情報が受け入れられなかったことを認識できる。また、走行予定情報が受け入れられなかった場合に、手動操舵モードに切りかえるので、自動操舵モードによる衝突発生を抑制できる。また、自動操舵モードの他の車両の前方に合流するので、安全性を確保できる。また、自車の特性を踏まえた、急な加減速のない、より安全で円滑な合流を実現できる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様の車両制御装置は、車両に搭載可能な車両制御装置であって、他の車両に搭載された無線装置からの情報を受信する受信部と、受信部において受信した情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定する判定部と、判定部において切替を判定した場合に、手動操舵モードへの切替を運転者に促す通知部と、を備える。
この態様によると、他の車両に搭載された無線装置からの情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定するので、早期の判定を実行できる。
判定部は、受信部において受信した事象情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定してもよい。この場合、事象情報による自動操舵モードの継続の困難性を回避できる。
判定部は、受信部において受信した他の車両の位置情報をもとに、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定してもよい。この場合、他の車両との位置関係による自動操舵モードの継続の困難性を回避できる。
判定部が判定する前に、受信部において受信した他の車両の位置情報をもとに、本車両の自動操舵モードによる走行予定情報を生成する生成部をさらに備えてもよい。この場合、受信した他の車両の位置情報をもとに、走行予定情報を生成するので、早期の生成を実現できる。
生成部において生成した走行予定情報を送信する送信部をさらに備えてもよい。受信部は、送信部が送信した走行予定情報に対する承認結果であって、かつ他の車両による承認結果を受信してもよい。この場合、承認結果を受信するので、走行予定情報が受け入れられたかを認識できる。
判定部は、受信部において受信した承認結果が不可であった場合、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替を判定してもよい。この場合、承認結果が不可であった場合に手動操舵モードへの切替を判定するので、走行予定情報が受け入れられなかったことを認識できる。
本発明の実施例1、2において、合流車線を走行している車両12が本線車線に合流する場合を一例として使用している。しかしながらこれに限らず例えば、所定の距離の間に車線変更をしなければならない場合であってもよい。その際、車線変更先の車列が長くかつ車間が詰まっていて、自動走行での車線変更が困難であれば、自動操舵モードから手動操舵モードへの切替がなされればよい。本変形例によれば、適用範囲を拡大できる。