JP2019200342A - 光走査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光偏向器のミラー部の高温化を回避しつつ、複数の走査光を生成して出射する光走査装置の小型化を図る。【解決手段】VCSELアレイ2は、光出射面11aが共通の配列面10上に分布するように配列された複数のVCSEL11から成る。配列面10は、複数のセグメント12a〜12dに画定され、各セグメントごとに光出射面11aの点灯状態が制御される。導光手段4は、VCSELアレイ2からの出射光Loa〜Lodをセグメント別に異なる導光路で導光し、それぞれ光偏向器アレイ5の光偏向器30a〜30dのミラー部31へ出射する。【選択図】図1
Description
本発明は、光偏向器により走査光を出射する光走査装置に関する。
軸線の回りに往復回動するミラー部を有する光偏向器を利用して、レーザ光源等から出射した出射光を光偏向器の揺動ミラー部で反射して、走査光として照射する光走査装置が知られている(例:特許文献1)。
一方、光出射面が共通の配列面上に分布するように複数のVCSEL(垂直共振器面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)が配列されたVCSELアレイも知られている。従来のVCSELアレイでは、複数の光出射面からの出射光は、利用上、1つの出射光として処理されている。
光走査装置が走査光で照射領域を照射する場合に、該照射領域の照度を増大するためには、2つの方法がある。第1の方法は、光源の出力を増大することである。この場合、高出力の出射光により光偏向器のミラー部が高温となるので、光偏向器の機能低下や故障の原因になる。
第2の方法は、特許文献1の光走査装置のように、走査光を複数にして、照射領域を複数の走査光で照射することである。この場合は、光源及び光偏向器が各走査光系に必要となるので、光走査装置が大型になる問題がある。
本発明の目的は、光偏向器のミラー部の高温化を回避しつつ、複数の走査光を生成して出射する光走査装置の小型化を図ることである。
本発明の光走査装置は、
光出射面が共通の配列面上に分布するように複数のVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)が配列されたVCSELアレイと、
前記VCSELアレイは、前記配列面において複数のセグメントに画定され、各セグメントごとに前記VCSELの点灯状態を制御する光源制御部と、
前記VCSELアレイから出射された出射光を前記セグメント別に異なる導光路で導光する導光手段と、
各々が、軸線の回りに往復回動するミラー部を有するとともに、前記導光手段の各導光路からの前記出射光を前記ミラー部で反射させて走査光として出射する複数の光偏向器と、
を備えることを特徴とする。
光出射面が共通の配列面上に分布するように複数のVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)が配列されたVCSELアレイと、
前記VCSELアレイは、前記配列面において複数のセグメントに画定され、各セグメントごとに前記VCSELの点灯状態を制御する光源制御部と、
前記VCSELアレイから出射された出射光を前記セグメント別に異なる導光路で導光する導光手段と、
各々が、軸線の回りに往復回動するミラー部を有するとともに、前記導光手段の各導光路からの前記出射光を前記ミラー部で反射させて走査光として出射する複数の光偏向器と、
を備えることを特徴とする。
本発明によれば、VCSELアレイの複数の光出射面の配列面に複数のセグメントが設定され、光源制御部が、複数のVCSELをセグメントごとに制御する。また、各セグメントからの出射光が対応の光偏向器に出射されて、複数の走査光が生成される。これにより、光偏向器のミラー部の高温化を回避しつつ、複数の走査光を生成して出射する光走査装置の小型化を図ることができる。
本発明の光走査装置において、前記VCSELアレイの前記複数のVCSELは、共通の半導体の基板上に結晶成長されて形成されていることが好ましい。
この構成によれば、VCSELアレイの複数のVCSELは、共通の半導体の基板上に結晶成長されて形成されている。この結果、VCSELアレイにおけるVCSEL間の固体差を抑制して、均一な出射光を生成することができる。
本発明の光走査装置において、前記複数の光偏向器は、基板部を共通とするMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の光偏向器であることが好ましい。
この構成によれば、複数の光偏向器の配置スペースを縮小することができるとともに、光偏向器の取付け作業を能率化することができる。
本発明の光走査装置において、各光偏向器からの前記走査光の走査照射領域は、他の光偏向器のうちの少なくとも1つからの前記走査光の照射領域と、少なくとも部分的に重なっているか、又は共通の境界線により隣接するように、各光偏向器からの各走査光の走査範囲が設定されていることが好ましい。
この構成によれば、各光偏向器からの走査光が走査する走査照射パターンを重ねたり、隣接させたりして、全体の走査照射領域に対し、多様な配光パターン及び強度パターンを生成することができる。
本発明の光走査装置において、前記導光手段は、ミラー及びプリズムの少なくとも1つを含むことが好ましい。
この構成によれば、VCSELの各セグメントからの出射光を、対応する光偏向器の方へ円滑に導光することができる。
[実施形態/構成]
図1は、光走査装置1の構成図である。光走査装置1は、光の進路に沿って、VCSEL(垂直共振器面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)アレイ2、マイクロレンズアレイ3、導光手段4、光偏向器アレイ5及び制御装置8を備える。制御装置8は、光源制御部8a及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)制御部8bを含む。
図1は、光走査装置1の構成図である。光走査装置1は、光の進路に沿って、VCSEL(垂直共振器面発光レーザ:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)アレイ2、マイクロレンズアレイ3、導光手段4、光偏向器アレイ5及び制御装置8を備える。制御装置8は、光源制御部8a及びMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)制御部8bを含む。
図2は、VCSELアレイ2の正面図である。VCSELアレイ2は、各々が1つの光出射面11aを有する複数のVCSEL11の配列から成る。複数のVCSEL11の光出射面11aは、共通の配列面10上に縦横に等間隔(格子配列)で分布している。配列面10には、縦横2×2でセグメント12a〜12dが画定される。以降、セグメント12a〜12dを区別しないときは、それらを「セグメント12」と総称する。
図示の例では、各セグメント12は、VCSELアレイ2をそれに正対する方向から見て、相互に等しい形状(例:正方形)及び面積に設定されている。したがって、各セグメント12に含まれるVCSEL11の個数は、相互に等しい。セグメント12a〜12dの出射光をそれぞれ出射光Loa〜Lodで定義する。
なお、図示の例では、各セグメント12は、縦横に同数(例:縦横4×4)のVCSEL11の配列となっているが、各セグメント12は、縦横に異なる数のVCSEL11の配列であってもよい。その場合は、セグメント12は、VCSELアレイ2をそれに正対する方向から見て矩形となる。また、各セグメント12に含まれるVCSEL11の個数は、相互に等しくなくてもよい。
光源制御部8aは、各セグメント12ごとにVCSEL11の出力(点灯状態)を制御することができる。なお、各セグメント12ごとのVCSEL11の出力の制御は、各セグメント12ごとの出射光Loa〜Lodごとの制御でもある。また、VCSEL11の点灯状態とは、具体的には、例えば、VCSEL11の点灯、消灯及び点灯時の輝度が含まれる。
図3は、マイクロレンズアレイ3の正面図である。なお、マイクロレンズアレイ3の正面とは、VCSELアレイ2の配列面10と対面している側の面とは反対側の面、すなわちマイクロレンズアレイ3の光の出射側の面を言うものとする。マイクロレンズアレイ3は、VCSELアレイ2に正対して配設され、複数のコリメートレンズ16を格子配列の等密度の分布で有している。なお、VCSELアレイ2の光出射面11a及びマイクロレンズアレイ3のコリメートレンズ16は、それぞれ配列面10及びマイクロレンズアレイ3において等密度で分布しているものの、個数は、相互に等しくなくてもよい。
マイクロレンズアレイ3は、面方向に縦横2×2の区画17a〜17dに区分けされる。区画17a〜17dは、それぞれセグメント12a〜12dに対応している。したがって、VCSELアレイ2のセグメント12a〜12dの各々からの出射光Loa〜Lodは、区画17a〜17dにそれぞれ属するコリメートレンズ16を通過して、コリメート光Lpa〜Lpdとなる。以降、区画17a〜17dを区別しないときは、それらを「区画17」と総称する。
図4は、導光手段4及び光偏向器アレイ5の模式図、図5は図4のX5矢視図である。導光手段4は、マイクロレンズアレイ3の区画17a〜17dに対応付けてプリズム20a〜20dを備えている。光偏向器アレイ5は、4つの光偏向器30a〜30dを備えている。光偏向器アレイ5において、光偏向器30a−30c(又は光偏向器30b−30d)の縦方向間隔と横方向間隔とは、相互には等しくなっている。プリズム20a〜20dは、マイクロレンズアレイ3から、マイクロレンズアレイ3の中心線の回りに等角度間隔(例:90°間隔)で放射方向に張出し、マイクロレンズアレイ3からのコリメート光Lpa〜Lpdを別々の導光路で、換言すれば、セグメント別に異なる導光路で光偏向器アレイ5の縦横等間隔配置の光偏向器30a〜30dの方へ導光する。プリズム20a〜20dが導く光を分枝光Lba〜Lbdと名付ける。
以下、プリズム20a〜20dを区別しないときは、それらを「プリズム20」と総称する。光偏向器アレイ5は、縦横2×2の配列でMEMSの光偏向器30a〜30dを備えている。以下、光偏向器30a〜30dを区別しないときは、それらを「光偏向器30」と総称する。
各プリズム20は、マイクロレンズアレイ3の区画17a〜17dに正対している入射面21と、光偏向器アレイ5の光偏向器30a〜30dのミラー部31の中心の方に向けられた出射面22と、入射面21−出射面22間を延在する導光部23とを有する。
分枝光Lba〜Lbdは、導光部23により入射面21から導光部23に導光されて、出射面22から光偏向器30a〜30dのミラー部31の中心に向かって出射する。導光部23は、入射面21側及び出射面22側にそれぞれ全反射面26a,26bを有する。分枝光Lba〜Lbdは、全反射面26a,26bにより進行方向を所定角度(例:90°)変更される。
図6は光偏向器30の正面図である。光偏向器30は、構造及び作用共に周知のものであるので、ここでは、概略だけを説明する。詳細については、例えば、特開2012−203186号公報、特開2013−8480号公報及び特開2013−84530号公報を参照されたい。
図6において、光偏向器30は、ミラー部31、可動枠32及び固定枠33を備えている。説明の便宜のために、図6において三軸直交座標系を図示している。三軸直交座標系の中心Oは、ミラー部31の中心に位置する。X軸及びY軸は、矩形の固定枠33の長辺及び短辺にそれぞれ平行になっている。Z軸は、固定枠33の厚み方向に平行になっている。
光偏向器30は、二次元光偏向器である。すなわちミラー部31は、二軸の回りに往復回動する。上下一対のトーションバー34は、ミラー部31からY軸に沿って延び出して可動枠32の内周に結合している。内側圧電アクチュエータ35は、可動枠32とトーションバー34との間に介在して、トーションバー34を介して光走査装置1をトーションバー34の軸線の回りに往復回動させる。
外側圧電アクチュエータ36は、ミアンダパターンで直列結合された複数の圧電カンチレバーを備え、可動枠32と固定枠33との間に介在する。外側圧電アクチュエータ36は、可動枠32をX軸の軸線の回りに往復回動させる。
以降、トーションバー34の軸線の回りのミラー部31の往復回動による走査光Lsa〜Lsdの走査方向を横方向、X軸の軸線の回りのミラー部31の往復回動による走査光Lsa〜Lsdの走査方向を縦方向と定義する。この例では、トーションバー34の軸線の回りのミラー部31の往復回動の周波数は、X軸の軸線の回りのミラー部31の往復回動の周波数より十分に大きい。したがって、走査光Lsa〜Lsdの横方向走査周波数は、縦方向走査周波数より大きい。
[実施形態/作用]
制御装置8の光源制御部8aは、VCSELアレイ2の各セグメント12からの出射光Loa〜Lodの出射、非出射及び出射時の強度を個々に制御する。制御装置8のMEMS制御部8bは、光偏向器アレイ5の光偏向器30を個々に制御する。MEMS制御部8bの光偏向器30の制御には、具体的には、例えば、光偏向器30のミラー部31の各軸周りの回動角、回動周波数及びオフセット角が含まれる。
制御装置8の光源制御部8aは、VCSELアレイ2の各セグメント12からの出射光Loa〜Lodの出射、非出射及び出射時の強度を個々に制御する。制御装置8のMEMS制御部8bは、光偏向器アレイ5の光偏向器30を個々に制御する。MEMS制御部8bの光偏向器30の制御には、具体的には、例えば、光偏向器30のミラー部31の各軸周りの回動角、回動周波数及びオフセット角が含まれる。
VCSELアレイ2の各セグメント12a〜12dからの出射光Loa〜Lodは、広がりつつ、マイクロレンズアレイ3の対応する区画17a〜17dのコリメートレンズ16に入射する。出射光Loa〜Lodは、マイクロレンズアレイ3の区画17a〜17dのコリメートレンズ16を通過後、コリメート光Lpa〜Lpdになる。
各コリメート光Lpa〜Lpdは、それぞれ導光手段4の対応するプリズム20a〜20dの入射面21に入射する。各コリメート光Lpa〜Lpdは、対応するプリズム20a〜20dによる導光により分枝光Lba〜Lbdとなって、光偏向器30a〜30dのミラー部31の中心に向かって出射面22から出射する。
光偏向器アレイ5において、各光偏向器30a〜30dは、導光手段4からの分枝光Lba〜Lbdをミラー部31で、ミラー部31の回動角に応じた向きに反射、偏向する。各光偏向器30a〜30dは、二軸の回りに往復揺動しているので、各光偏向器30a〜30dからの偏向光は、二軸方向に走査する走査光Lsa〜Lsdとなる。
走査光Lsa〜Lsdが、走査照射領域において各時点で照射する部位は、それぞれ光偏向器30a〜30dのミラー部31の各時点の法線の向きに応じた位置になる。そして、各ミラー部31の法線の向きは、MEMS制御部8bが制御する。
[導光手段の実施例/その1]
図7は、別の導光手段40の構成図である。図7において、図5に図示した要素と同一の要素は、図5の符号と同一の符号で指示している。
図7は、別の導光手段40の構成図である。図7において、図5に図示した要素と同一の要素は、図5の符号と同一の符号で指示している。
導光手段40では、マイクロレンズアレイ3の区画17a〜17dに対応して、導光路41a〜41dが形成される。導光路41a〜41dは、プリズム20a〜20d(図5)が形成する導光路と同一である。以下、導光路41a〜41dを区別しないときは、それらを「導光路41」と総称する。導光路41は、マイクロレンズアレイ3側及び光偏向器アレイ5側にそれぞれ反射ミラー42a,42bを有する。導光路41の反射ミラー42a,42bは、プリズム20の入射面21及び出射面22に相当する。
マイクロレンズアレイ3の各区画17a〜17dから出射したコリメート光Lpa〜Lpbは、導光手段40の対応する導光路41a〜41dによりそれぞれ導光される。導光途中において、反射ミラー42a,42bにより進行方向を90°変更される。導光路41a〜41dから出射される分枝光Lba〜Lbdは、それぞれ光偏向器30a〜30dのミラー部31の中心に向かう
[導光手段の実施例/その2]
図8は、他の導光手段45の構成図である。図8において、図5に図示した要素と同一の要素は、図5の符号と同一の符号で指示している。
図8は、他の導光手段45の構成図である。図8において、図5に図示した要素と同一の要素は、図5の符号と同一の符号で指示している。
導光手段45では、マイクロレンズアレイ3の区画17a〜17dに対応して、導光路46a〜46d(図8には、導光路46b,46dは図示を省略されている。)が形成される。以下、導光路46a〜46dを区別しないときは、それらを「導光路46」と総称する。導光路46は、マイクロレンズアレイ3側及び光偏向器アレイ5側にそれぞれ楔型プリズム47a,47bを有する。導光路46の楔型プリズム47a,47bは、プリズム20の入射面21及び出射面22に相当する。
図9は、導光手段45の一部を形成するプリズムアレイ48の斜視図である。プリズムアレイ48は、導光路46a〜46dの4つの楔型プリズム47aを合体したものになっている。中心線49は、プリズムアレイ48の中心線であり、マイクロレンズアレイ3の中心線でもある。マイクロレンズアレイ3から導光路46a〜46dの各楔型プリズム47aに向かって平行に出射されて来るコリメート光Lpa〜Lpdは、各楔型プリズム47aを通過することにより、分枝光Lba〜Lbdとして対応の楔型プリズム47bの方へ向きを変更される。
前述したように、図4の光偏向器アレイ5では、光偏向器30a〜30d(厳密にはそれらのミラー部31)が縦横に等間隔の配置であった。そして、導光路46a〜46dの各楔型プリズム47bは、光偏向器アレイ5の対応の光偏向器30a〜30dのミラー部31の中心に向けて分枝光Lba〜Lbdを出射しており、それぞれの分枝光間の角度は全て90°を成している。図9のプリズムアレイ48の各楔型プリズム47aは、このような90°の間隔に対処した輪郭面に形成されている。
図10Aは、別の導光手段4b及び光偏向器アレイ5bを装備した光走査装置1の模式図である。光偏向器アレイ5bの光偏向器30a〜30dは図4の光偏向器アレイ5と比較して光偏向器30a−30c(又は光偏向器30b−30d)の間を開けずに配置しており小型化により適している。すなわち、光偏向器アレイ5bでは、光偏向器30a〜30dの縦方向間隔は、横方向間隔より小さくされている。ただし、このような配置にすることにより、図4では分枝光間の角度が全て90°であったのに対して、この例では分枝光間の角度は、縦方向及び横方向にそれぞれ45°及び135°になる。
図10Bは、図10Aの光偏向器アレイ5bに対処するプリズムアレイ48bの斜視図である。プリズムアレイ48bの各楔型プリズム48aは、分枝光Lba〜Lbd間の角度を縦方向及び横方向に前述した45°及び135°にするため、分枝光Lba〜Lbdの出射方向に対応する輪郭面で形成されている。
[走査照射パターンの実施例/その1]
図11は、マルチ走査型光走査装置を使用して走査照射領域51の走査時間を短縮する走査照射パターンを示す図である。なお、走査光が1本及び複数本である光走査装置をそれぞれ「モノ走査型光走査装置」及び「マルチ走査型光走査装置」と呼ぶことにする。
図11は、マルチ走査型光走査装置を使用して走査照射領域51の走査時間を短縮する走査照射パターンを示す図である。なお、走査光が1本及び複数本である光走査装置をそれぞれ「モノ走査型光走査装置」及び「マルチ走査型光走査装置」と呼ぶことにする。
光走査装置1は、マルチ走査型光走査装置の一例である。図11では、左右にそれぞれモノ走査型光走査装置及びマルチ走査型光走査装置の走査照射パターンを示し、走査の所要時間を対比している。走査照射パターンの説明の便宜のために、仮想スクリーン50を想定している。仮想スクリーン50とは、光走査装置から所定距離に光走査装置に正対させた仮想のスクリーンである。
光走査装置の現実の走査照射環境では、仮想スクリーン50は存在しないが、仮想スクリーン50の走査照射領域51に生成される走査照射パターンと、光走査装置の現実の走査照射領域の走査照射パターンとは、対応関係がある。光走査装置1の走査照射パターンは、走査光の本数が複数であるときの走査照射パターンに対応する。前述の光走査装置1では、走査光は、走査光Lsa〜Lsdの計4本であったが、図11では、説明の簡略化のために、走査光Lsa,Lsbの2本で説明する。また、モノ走査型光走査装置の走査光は、走査光Lsaの1本のみとする。
図11において、左のモノ走査型走査型光走査装置では、走査照射領域51の全部を1本の走査光Lsaで照射しなければならない。
これに対し、図11において、右のマルチ走査型走査型光走査装置では、走査照射領域51の照射を走査光Lsa,Lsbの2本で分担することができる。すなわち、走査照射領域51の上側半部は走査光Lsaが走査し、下側半部は走査光Lsbが走査する。この結果、走査照射領域51の全体を走査するのに要する時間が、モノ走査型光走査装置の半分に短縮される。
[走査照射パターンの実施例/その2]
図12は、マルチ走査型光走査装置を使用して走査照射領域51の生成画像の解像を増大する走査照射パターンを示す図である。図12では、左右にそれぞれモノ走査型光走査装置及びマルチ走査型光走査装置の走査照射パターンを示し、両者の解像度を対比している。
図12は、マルチ走査型光走査装置を使用して走査照射領域51の生成画像の解像を増大する走査照射パターンを示す図である。図12では、左右にそれぞれモノ走査型光走査装置及びマルチ走査型光走査装置の走査照射パターンを示し、両者の解像度を対比している。
モノ走査型光走査装置では、1つの走査光Lsaが走査照射領域51の全体を走査するので、縦方向の走査線間隔が粗くなる。これに対し、マルチ走査型光走査装置では、走査光Lsaと走査光Lsbとが、相互に相手方の走査線間を走査するように、仮想スクリーン50を制御することにより、解像度を上下方向に2倍にすることができる。
[適用例/その1]
図13は、光走査装置1を装備する車両用前照灯56の構成図である。車両用前照灯56は、光走査装置1、蛍光体パネル57、及び投影レンズ58を備える。蛍光体パネル57及び投影レンズ58が、光走査装置1からの走査光Lsa〜Lsdの出射側に配設される。
図13は、光走査装置1を装備する車両用前照灯56の構成図である。車両用前照灯56は、光走査装置1、蛍光体パネル57、及び投影レンズ58を備える。蛍光体パネル57及び投影レンズ58が、光走査装置1からの走査光Lsa〜Lsdの出射側に配設される。
車両用前照灯56に配備される光走査装置1では、VCSELアレイ2のVCSEL11は、典型的には、青色のレーザ光を出射するものが採用される。蛍光体パネル57は、走査光Lsa〜Lsdをその通過時に一部、黄色に変換する機能を有する。この結果、投影レンズ58から車両前方の照射領域に向かう光は、青色と黄色との混色である白色となる。
蛍光体パネル57は、また、結像機能をもつ。したがって、車両用前照灯56の前方の照射領域には、走査光Lsa〜Lsdが蛍光体パネル57に形成する配光パターンに対応する配光パターンが生成される。
車両用前照灯56を装備する車両の前方の照射領域は、それぞれ走査光Lsa〜Lsdが走査、照射する複数の走査領域を含む。ここで、説明の便宜のために、走査光Lsa〜Lsdが走査、照射する複数の走査領域を含む。ここで、説明の便宜のために、走査光Lsa〜Lsdが走査して照射する走査照射領域をそれぞれ走査照射領域Fa〜Fdと名付ける。また、走査照射領域Fa〜Fdを含む全体の走査照射領域を走査照射領域Fwと名付ける。
走査照射領域Fa〜Fdの幾つかは、走査照射領域Fwにおいて、境界線で隣接するように、走査光Lsa〜Lsbの走査範囲が設定することができる。この結果、走査照射領域Fwを広大化することができる。
走査照射領域Fa〜Fdの幾つかは、走査照射領域Fwにおいて、少なくとも部分的に重なるように、設定することができる。重なった走査照射領域は、照度を増大することができる。また、MEMS制御部8bが所定の光偏向器30のオフセット角を制御することにより、重なった走査照射領域、すなわち照度の大きい走査照射領域を、車両の走行状態(例:カーブ走行)に応じてシフトすることができる。
[適用例/その2]
図14は、光走査装置1を装備するTOF方式測距装置68の構成図である。TOF方式測距装置68は、送光系69と受光系70とを備える。光走査装置1は、TOF方式測距装置68の送光系69に装備される。受光系70は、結像レンズ73と撮像素子74とを備える。
図14は、光走査装置1を装備するTOF方式測距装置68の構成図である。TOF方式測距装置68は、送光系69と受光系70とを備える。光走査装置1は、TOF方式測距装置68の送光系69に装備される。受光系70は、結像レンズ73と撮像素子74とを備える。
この例では、測距ターゲット77が存在する撮像素子74の撮像範囲が、走査光Lsa〜Lsdに対応して4つの区画に分割される。該4つの区画は、上下左右に隣接する区画同士が境界線を共有するように、走査光Lsa〜Lsdの走査範囲が設定される。この場合、走査光Lsa〜Lsdの走査範囲としての該4つの区画は重ならない。例えば、走査光Lsa〜Lsdは、それぞれ撮像範囲の左上、右上、左下及び右下の区画を分担して走査する。
走査光Lsa〜Lsdは、測距ターゲット77に当たると、反射光となって、受光系70に入射する。反射光は、結像レンズ73を通過し、撮像素子74の画素上に結像する。撮像素子74は、反射光を画素ごとに検出する。走査光Lsa〜Lsdの出射時刻から反射光が撮像素子74の各画素に入射するまでに所要時間が測定される。そして、画素ごとの所要時間に基づいて画素ごとに測距ターゲット77までの距離が算出される。
図15は、シリコンウェハ80から図10Aの光偏向器アレイ5bの切り出し態様を示す図である。光偏向器30は、1枚のシリコンウェハ80を基板にして、該基板の上に、PZT膜(圧電膜)等を成膜したり、エッチングしたりして同時に多数、製造される。
図1及び図4の光偏向器アレイ5における光偏向器30a〜30dの切り出し(ソーシング)方法は、光偏向器30をシリコンウェハ80から1個ずつ分離して、共通の基板上に並べることを意図している。これに対し、図10Aの光偏向器アレイ5bでは、シリコンウェハ80から縦横2×2で切り出される。詳細には、シリコンウェハ80上の複数の光偏向器30が、隣接する縦横2×2を単位に分離するように、縦ソーシング線81及び横ソーシング線82がシリコンウェハ80上に設定される。そして、縦ソーシング線81及び横ソーシング線82に沿って、シリコンウェハ80のソーシングが行われる。
シリコンウェハ80から縦横2×2の単位で分離された光偏向器アレイ5が、パッケージ等に封入され、光走査装置1において使用される。この場合、個々の光偏向器30を4つずつ集めて、面方向に2×2の配列で結合する作業が省略されるとともに、配置スペースを小さくすることができる。
[変形例]
実施形態の光偏向器アレイ5の光偏向器30は、すべて二次元の光偏向器となっている。本発明の複数の光偏向器は、すべて一次元の、すなわちミラー部31が一軸の回りにのみに回動する光偏向器であってもよい、一次元の光偏向器と二次元の光偏向器との混成であってもよい。
実施形態の光偏向器アレイ5の光偏向器30は、すべて二次元の光偏向器となっている。本発明の複数の光偏向器は、すべて一次元の、すなわちミラー部31が一軸の回りにのみに回動する光偏向器であってもよい、一次元の光偏向器と二次元の光偏向器との混成であってもよい。
実施形態では、光偏向器30a〜dは、シリコンウェハ80を共通の基板部としている。シリコンウェハ80の例として、SOIが含まれる。また、シリコンウェハ80は、光偏向器30a〜dを製造する際、表面側及び裏面側をエッチングされるので、シリコンウェハ80そのものが共通の基板部にはならない。SOIでは、典型的には、最上層のケイ素層が光偏向器30a〜dの共通の基板部を構成する。
実施形態では、VCSELアレイ2のセグメント12a〜12dに属する光出射面11aの個数は、相互に等しくなっている。しかしながら、本発明では、VCSELアレイの配列面の各セグメントの光出射面の個数を相互に等しくしなくてもよい。その場合、出射光Loa〜Lodの最大強度は、セグメント12a〜12dに属する光出射面11aの個数に応じて差異が生じることになる。
実施形態では、図15で説明したように、4つの光偏向器30a〜dが共通の基板部としてのシリコンウェハ80を有している。本発明の光走査装置の複数の光偏向器は、共通の基板部を有していなくてもよい。また、全部の光偏向器のうち一部のみが基板部を共有し、他は、1個ずつ分離していてもよい。
実施形態では、セグメント12a〜12dは、共通の配列面10に形成されている。本発明では、各セグメントに属する光出射面11aが共通の配列面に形成されていれば、セグメント12a〜12dごとに異なる配列面(段差のある配列面)であってもよい。また、セグメント12a〜12dごとに、VCSEL11の色が異なっていてもよい。
実施形態では、VCSELアレイ2に含まれる全部のVCSEL11は、すなわちセグメント12a〜12dの全部は、共通の半導体の基板上に結晶成長されて形成されている。しかしながら、本発明では、各セグメントごとに別々の半導体の基板上に結晶成長されて形成されたものにしてもよい。
1・・・光走査装置、2・・・VCSELアレイ、4,40,45・・・導光手段、5・・・光偏向器アレイ、8a・・・光源制御部、10・・・配列面、11・・・光出射面、12a〜12d・・・セグメント、20・・・プリズム、23a〜23d・・・導光部、30a〜30d・・・光偏向器、31・・・ミラー部、41,46・・・導光路、42・・・反射ミラー、47・・・楔型プリズム、80・・・シリコンウェハ(基板部)。
Claims (5)
- 光出射面が共通の配列面上に分布するように複数のVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)が配列されたVCSELアレイと、
前記VCSELアレイは、前記配列面において複数のセグメントに画定され、各セグメントごとに前記VCSELの点灯状態を制御する光源制御部と、
前記VCSELアレイから出射された出射光を前記セグメント別に異なる導光路で導光する導光手段と、
各々が、軸線の回りに往復回動するミラー部を有するとともに、前記導光手段の各導光路からの前記出射光を前記ミラー部で反射させて走査光として出射する複数の光偏向器と、
を備えることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置において、
前記VCSELアレイの前記複数のVCSELは、共通の半導体の基板上に結晶成長されて形成されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1又は2に記載の光走査装置において、
前記複数の光偏向器は、基板部を共通とするMEMSの光偏向器であることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光走査装置において、
各光偏向器からの前記走査光の走査照射領域は、他の光偏向器のうちの少なくとも1つからの前記走査光の照射領域と、少なくとも部分的に重なっているか、又は共通の境界線により隣接するように、各光偏向器からの各走査光の走査範囲が設定されていることを特徴とする光走査装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光走査装置において、
前記導光手段は、ミラー及びプリズムの少なくとも1つを含むことを特徴とする光走査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018095355A Pending JP2019200342A (ja) | 2018-05-17 | 2018-05-17 | 光走査装置 |
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2018
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