JP2019200200A - 圧力測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】隔液ダイアフラムを装置ボディに溶接する工程のタクトタイムを短くすることが可能な圧力測定装置を提供する。【解決手段】第1および第2の被測定流体3,5の圧力を受ける第1および第2の隔液ダイアフラム11,12が溶接され、これらの隔液ダイアフラム11,12が壁の一部となる第1および第2の導圧室15,16が形成された装置ボディ6を備える。導圧室15,16内に封入液18が封入される。第1および第2の導圧室15,16内の圧力を測定する圧力センサ23を備える。第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、装置ボディ6に溶接された環状の板状部32と、板状部32より径方向の内側で第1および第2の導圧室15,16の内方に向けて延びる立下り部33と、立下り部33の底となる円板状の底部34とを有している。【選択図】 図1
Description
本発明は、被測定流体の圧力を圧力センサ側の封入液に伝達する隔液ダイアフラムを有する圧力測定装置に関する。
従来のこの種の圧力測定装置は、例えば特許文献1に記載されているものがある。この特許文献1に開示された圧力測定装置は、被測定流体の圧力を受ける隔液ダイアフラムと、この隔液ダイアフラムが壁の一部となる導圧室を有する装置ボディとを備えている。導圧室には封入液が封入されている。装置ボディは、導圧室内の圧力を測定する圧力センサを有している。
隔液ダイアフラムは、円板状に形成されており、導圧室が液密にシールされるように、装置ボディにシーム溶接によって溶接されている。シーム溶接は、隔液ダイアフラムの外周部の全周にわたって行われている。
特許文献1に記載された圧力測定装置では、隔液ダイアフラムを装置ボディに溶接する際の作業時間が長く必要であるという問題があった。作業時間が長くなる理由は、隔液ダイアフラムがシーム溶接によって装置ボディに溶接されているからである。一般に、シーム溶接では、ワークを強く固定し難い場合、仮付けをすることがある。したがって、隔液ダイアフラムを装置ボディに溶接する場合、仮付け後にシーム溶接用のローラ電極を隔液ダイアフラムに対して転動させて行われる場合がある。すなわち、2段階に溶接を行わなければならないから、上述したように溶接作業の作業時間が長くなる。
本発明の目的は、隔液ダイアフラムを装置ボディに溶接する工程のタクトタイムを短くすることが可能な、圧力測定装置を提供することである。
この目的を達成するために、本発明に係る圧力測定装置は、被測定流体の圧力を受ける隔液ダイアフラムが溶接され、前記隔液ダイアフラムが壁の一部となる導圧室が形成された装置ボディと、前記導圧室内に封入された封入液と、前記導圧室内の圧力を測定する圧力センサとを備え、前記隔液ダイアフラムは、前記装置ボディにプロジェクション溶接によって溶接された環状の板状部と、前記板状部より径方向の内側で前記導圧室の内方に向けて延びる立下り部と、前記立下り部の底となる底部とを有しているものである。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記装置ボディにおける前記隔液ダイアフラムが溶接される被溶接部は、環状のプロジェクション溶接用突起が突設された平坦面を有し、前記板状部は、前記平坦面に沿う形状に形成されていてもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記立下り部の側面形状は、円筒形、円錐形、球形、回転楕円形のうちいずれか一つの側面形状であってもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記立下り部の深さ方向の全長は、前記隔液ダイアフラムの厚さの5倍以上であってもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、円筒形または円錐形に形成された前記立下り部の曲面方向の長さは、前記立下り部の深さ方向の全長の1/2以上であってもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、装置ボディにおける前記隔液ダイアフラムが溶接される被溶接部と前記隔液ダイアフラムの前記板状部とは、前記装置ボディと前記隔液ダイアフラムとの間をシールするシール部を構成していてもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記装置ボディは、前記隔液ダイアフラムと前記導圧室とを有する一対の導圧部を備え、前記圧力センサは、前記一対の導圧部のうち一方の導圧部の前記導圧室内の圧力と、前記一対の導圧部のうち他方の導圧部の前記導圧室内の圧力との差圧を測定するものであってもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記隔液ダイアフラムの厚みは、5μm〜500μmであってもよい。
本発明は、前記圧力測定装置において、前記隔液ダイアフラムの前記立下り部は、深絞り加工によって形成されていてもよい。
本発明によれば、隔液ダイアフラムを装置ボディに溶接する工程のタクトタイムを短くすることが可能な圧力測定装置を提供することができる。
以下、本発明に係る圧力測定装置の一実施の形態を図1〜図10を参照して詳細に説明する。この実施の形態においては、本発明を差圧測定装置に適用する場合の例について説明する。図1に示す圧力測定装置1は、図1において左側に位置する第1の流体通路2を満たす第1の被測定流体3の圧力と、図1において右側に位置する第2の流体通路4を満たす第2の被測定流体5の圧力との差圧を測定する装置である。
圧力測定装置1は、第1の流体通路2と第2の流体通路4との間に設けられた装置ボディ6に各種の部品を組付けて構成されている。装置ボディ6は、圧力測定装置1のハウジングを構成するものである。装置ボディ6の一側部(図1においては左側の側部)には、第1の被測定流体3の圧力を受ける第1の隔液ダイアフラム11がプロジェクション溶接法によって溶接されている。装置ボディ6の他側部には、第2の被測定流体5の圧力を受ける第2の隔液ダイアフラム12がプロジェクション溶接法によって溶接されている。第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の説明は後述する。図1に示す装置ボディ6は、内部の構成を理解し易くするために一つの部品として描いてある。しかし、実際の装置ボディ6は、図示してはいないが複数の部品を組み合わせて構成されている。
装置ボディ6の内部には、第1の隔液ダイアフラム11を有する第1の導圧部13と、第2の隔液ダイアフラム12を有する第2の導圧部14とが設けられている。すなわち、装置ボディ6は、図1において左右方向に対をなす一対の第1および第2の導圧部13,14を有している。第1の導圧部13は、第1の隔液ダイアフラム11と、第1の隔液ダイアフラム11が壁の一部となる第1の導圧室15とによって構成されている。第2の導圧部14は、第2の隔液ダイアフラム12と、第2の隔液ダイアフラム12が壁の一部となる第2の導圧室16とによって構成されている。
第1の導圧室15と第2の導圧室16とは、装置ボディ6の中央部に位置するセンターダイアフラム17によって仕切られている。これらの第1の導圧室15内と第2の導圧室16内とには、それぞれ封入液18が封入されている。封入液18は、圧力伝達媒体で、例えばオイルが用いられる。また、第1の導圧室15と第2の導圧室16とには、第1および第2の連通路21,22によって圧力センサ23が接続されている。圧力センサ23は、第1の連通路21を介して伝播された第1の導圧室15内の圧力と、第2の連通路22を介して伝播された第2の導圧室16内の圧力との差圧を測定する。
装置ボディ6の一側部における第1の隔液ダイアフラム11が溶接される被溶接部24(図1参照)と、装置ボディ6の他側部における第2の隔液ダイアフラム12が溶接される被溶接部25は、図9に示すように、環状の平坦面26を有している。環状の平坦面26の径方向内側の端縁は、第1および第2の導圧室15,16の開口縁である。平坦面26の径方向の中間部には、環状のプロジェクション溶接用突起31が突設されている。
プロジェクション溶接用突起31は、所定の断面形状を有する突条で、平坦面26の周方向の全域に途切れることがないように一連に形成されている。この実施の形態によるプロジェクション溶接用突起31は、被溶接部24,25に機械加工を施すことによって、図5に示すように断面台形状に形成されている。断面台形状のプロジェクション溶接用突起31の下辺の寸法Aは、60μm〜300μmであり、上辺の寸法Bは、20μm〜100μmであり、高さの寸法Cは、20μm〜100μmである。なお、プロジェクション溶接用突起31の断面形状は台形状に限定されることはなく、適宜変更することができる。
プロジェクション溶接用突起31は、例えば、図6に示すように、断面三角形状に形成したり、図7に示すように、外縁が円弧状となる断面山形状に形成することができる。図6に示す断面三角形状のプロジェクション溶接用突起31の幅の寸法Dは、60μm〜300μmであり、高さの寸法Eは、20μm〜100μmである。図7に示す断面山形状のプロジェクション溶接用突起31の幅の寸法Fは、100μm〜1000μmであり、高さの寸法Gは、20μm〜100μmである。
第1の隔液ダイアフラム11と第2の隔液ダイアフラム12は、複数の機能を有している。第1の機能は、第1の導圧室15内および第2の導圧室16内に封入液18を封入する機能である。第2の機能は、第1の被測定流体3の圧力や第2の流体通路4の圧力を封入液18に伝達する機能である。第3の機能は、封入液18の膨脹、収縮に伴って第1および第2の導圧室15の容積を増減させる機能である。
第1の隔液ダイアフラム11と第2の隔液ダイアフラム12とは同一の構成である。これらの第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、図9に示すように、円形の皿状に形成されている。これらの第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、金属材料からなる円板状の母材(図示せず)に深絞り加工を施して所定の形状に成形されている。第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を形成する金属材料は、ステンレス鋼、Ni基合金、チタン、タンタルなどの耐食性を有する金属材料を用いることができる。
この実施の形態による第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みは、40μmである。第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みは、圧力測定装置1の外形の大きさに影響を与える。この理由は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みが薄ければ薄いほど弾性変形が容易になり、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を径方向に小型化できるからである。なお、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を実現可能な厚みは、5μm〜500μmである。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、図1および図2に示すように、外周部に位置する環状の板状部32と、板状部32より径方向の内側で第1および第2の導圧室15,16の内方に向けて延びる立下り部33と、立下り部33の底となる円板状の底部34とを有している。底部34は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12に第1の被測定流体3や第2の被測定流体5の圧力が加えられたときに主に変位する、実質的に受圧部となる部分である。板状部32と立下り部33との間には、開口側の屈曲部35が形成されている。立下り部33と底部34との間には、底側の屈曲部36が形成されている。これらの屈曲部35,36は、それぞれ断面形状が円弧状となるように形成されている。底部34は、底側の屈曲部36を支点として立下り部33に支持されている。
この実施の形態による第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、第1および第2の被測定流体3,5の圧力が作用したときに底部34が図2中に二点鎖線で示すように変位する。ここでいう「変位」は、底側の屈曲部36を支点として円板状の底部34の中心部が厚み方向に移動するような変位である。板状部32は、図9に示すように、装置ボディ6の平坦面26に沿う円環板状に形成されている。板状部32の内径R1(図3参照)は、装置ボディ6の平坦面26の内径R2と同等かそれより小さい。この実施の形態による板状部32の径方向の形成幅W(図4参照)は、板状部32を装置ボディ6の被溶接部24,25に重ねた状態でプロジェクション溶接用突起31が板状部32の略中央部に接触するような幅である。しかし、板状部32の幅Wは、図4に示す幅より広くすることができる。板状部32を被溶接部24,25の全域が覆われるように大きく形成した場合は、プロジェクション溶接用突起31が板状部32の内周側に偏る位置に接触する。
立下り部33は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の母材に深絞り加工を施すことによって所定の形状に形成されている。この実施の形態による立下り部33は、側面形状が円筒形の側面形状となるように形成されており、図1および図2に示すように、第1および第2の導圧室15,16の開口部15a,16a内に挿入されている。ここでいう側面形状とは、立下がり部33が延びる方向とは直交する方向から見たときの形状である。深絞り加工は、たとえば、円板からコップ状の底付き円筒容器をつくる場合のように、所定の輪郭形状に剪断した平板素材を、ダイスおよびポンチとよばれるメス・オス一対の金型を用いて成形する作業である。板状部32は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を深絞り加工で成形する際にダイに載置されていた部分、すなわち円板状の母材の外周部である。この実施の形態による立下り部33は、円筒からなる円筒部37を有している。円筒部37は、外周面37aが立下り部33の軸線C(図1参照)と平行に延びている。
すなわち、立下り部33は、板状部32の厚み方向であって、板状部32と平行な仮想の平面(図示せず)とは直交する方向に延びている。なお、深絞り加工によって成形された成形品が深絞り加工後に僅かに復元する現象であるスプリングバックが円筒部37にも生じるために、板状部32側の外径は、底部34側の外径より僅かに大きい。円筒部37は、上述したスプリングバックによる傾斜より大きく傾斜するように形成することができるし、外周面37aが軸線Cに対してスプリングバックによる傾斜方向とは反対方向に所定の角度だけ傾斜するように形成することができる。
この実施の形態による立下がり部33の曲面方向の長さ(立下がり部33の外周面の一端から他端までの長さであって、図2において符号H1で示す長さ)は、図2に示すように、立下り部33の深さ方向の全長H2の1/2以上となるように形成されている。なお、長さH1は、全長H2の1/2より短くすることができる。立下り部33の軸線方向の長さH1が長いほど、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の歪みが吸収され易くなる。立下り部33が歪みを吸収することについての説明は後述する。
立下がり部33の深さ方向の全長H2は、第1および第2の隔壁ダイアフラム11,12の厚さの5倍以上である。
立下がり部33の深さ方向の全長H2は、第1および第2の隔壁ダイアフラム11,12の厚さの5倍以上である。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接するためには、先ず、図4に示すように、装置ボディ6の被溶接部24,25に板状部32を重ねる。このとき、被溶接部24,25のプロジェクション溶接用突起31が板状部32に接触する。そして、板状部32にプロジェクション溶接用の電極41を重ね、被溶接部24,25と板状部32とが互いに押し合うように、電極41と装置ボディ6とに所定の荷重Fを加える。しかる後、電極41を介して被溶接部24,25と板状部32とに通電し、プロジェクション溶接用突起31に電流を集中させて抵抗溶接を行う。プロジェクション溶接用突起31が溶接中につぶされて溶接部となることにより溶接が終了する。
プロジェクション溶接用突起31の全域が溶接部になることにより、被溶接部24,25と板状部32とが装置ボディ6と第1および第2の隔液ダイアフラム11,12との間をシールするシール部42(図1および図2参照)を構成するようになる。ここでいう「シール」とは、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12と装置ボディ6との間を空気や封入液18などが通過することがないように封止された状態のことである。このため、シール部42は、封止部と言い換えることができる。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接するプロジェクション溶接は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の材質や厚みなどに応じて、プロジェクション溶接法による溶接形態を変えてもよい。溶接形態としては、固相接合と、ナゲット(図示せず)を形成する接合とがある。
このように装置ボディ6に溶接された第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、それぞれ立下り部33を有しているから、第1および第2の被測定流体3,5の圧力が加えられたときに底部34が正しく変位して封入液18に圧力を伝達する。ここでいう「正しく変位する」とは、底部34が底側の屈曲部36を支点にして変位し、しかも、底部34の中央部で変位量が最大となるように底部34の全体が厚み方向に弾性変形することをいう。
立下り部33を有していない隔液ダイアフラム(図示せず)を装置ボディ6にプロジェクション溶接法で溶接すると、プロジェクション溶接中に隔液ダイアフラムに熱歪みが生じることが原因で隔液ダイアフラムが溶接部でスリップして、溶接部近傍が変形することがある。このような場合には、ダイアフラム全体が歪んだりダイアフラムに皺や凹凸が生じる。このようにダイアフラムに歪みが生じると、いわゆるバックリングと呼ばれる現象が生じる。バックリング現象が生じると、隔液ダイアフラムが被測定流体の圧力で弾性変形するときに、印加圧力の増加あるは減少に対して変位量が増加あるいは減少する割合が一定になり難く、圧力測定装置の性能が低くなってしまう。
しかし、この実施の形態による第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、板状部32の径方向内側に立下り部33を有しており、溶接時に板状部32で生じた変形が立下り部33で吸収されるから、底部34が歪んで上述したバックリングが起こるようなことはない。プロジェクション溶接時に板状部32が変形により径方向の内側あるいは外側に変位すると、図8中に二点鎖線で示すように、立下り部33が底側の屈曲部36を中心にして揺動するように(開口側の内径が縮小あるいは拡大するように)変位する。このため、板状部32の溶接時の熱歪みが立下り部33で吸収され、底部34の支点が熱歪みの影響を受けることはない。
この結果、底部34が第1および第2の被測定流体3,5の圧力変化に追従して正しく変形するようになり、図10に示すように、印加圧力の増加あるいは減少に対して底部34の変位量の増加あるいは減少する割合が一定になる。すなわち、底部34が変位するときの支点がプロジェクション溶接による熱歪みを受けることがないから、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12のヒステリシス特性が向上する。このことは、板状部32の熱歪みは、ヒステリシス特性に大きな影響を及ぼすことはないことを意味する。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12に立下り部33が設けられていない場合(円板状のダイアフラムの場合)、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みが相対的に薄いと皺が発生し、厚みが相対的に厚いと、中心が撓んで全体が丸く張り出すか凹むようになる。この実施の形態に示したように立下り部33を備えると、底部34に皺が発生することはなく、底部34の全体が丸く張り出したり凹むことはない。
このように構成された圧力測定装置1においては、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12として装置ボディ6にプロジェクション溶接によって溶接可能なものを用いているから、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接するにあたってプロジェクション溶接法を採用することができる。このため、溶接作業が簡略化される。この理由は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6にシーム溶接によって溶接する場合と較べると、溶接を一度に行うことができるからである。また第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を電極41で押さえるので、固定治具が不要になるメリットもある。
したがって、この実施の形態によれば、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接する工程のタクトタイムを短くすることが可能な圧力測定装置を提供することができる。
また、この実施の形態による圧力測定装置1の第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、立下り部33を有しているから、溶接時に板状部32で生じる変形が立下り部33で吸収され、底部34の歪みに起因するバックリングが起こるようなことはない。このため、この実施の形態による圧力測定装置1は、測定精度が高くなる。
また、この実施の形態による圧力測定装置1の第1および第2の隔液ダイアフラム11,12は、立下り部33を有しているから、溶接時に板状部32で生じる変形が立下り部33で吸収され、底部34の歪みに起因するバックリングが起こるようなことはない。このため、この実施の形態による圧力測定装置1は、測定精度が高くなる。
さらに、この実施の形態によれば、ハステロイC276(登録商標)やタンタルなどからなる第1および第2の隔液ダイアフラム11,12(耐食バリアダイアフラム)を装置ボディ6にプロジェクション溶接によって界面接合できるから、耐食性がより一層高い圧力測定装置1が得られる。この理由は2つある。第1の理由は、接液面に装置ボディ6の材料成分が露出することがないからである。従来においては、耐食バリアダイアフラムを装置ボディ6に溶接する場合には、特許文献1に開示されているように、ハステロイ(登録商標)やタンタルからなる耐食リングが必要になる。しかし、この実施の形態のように耐食ダイアフラムを界面接合できると、耐食リングが不要になるから、従来と較べて部品数が減少してコストダウンを図ることができる。
第2の理由は、溶接部が装置ボディ6の材料成分で希釈されることがないからである。
第2の理由は、溶接部が装置ボディ6の材料成分で希釈されることがないからである。
この実施の形態による第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の立下り部33は、板状部32の厚み方向に延びている。
このため、立下り部33が板状部32に対して直角に絞られ、底部34が立下り部33に対して直交するようになる。底部34が被測定流体の圧力で変形するときの底部34の支点は、立下り部33との境界部分(底側の屈曲部36)になる。すなわち、第1および第2の被測定流体3,5の圧力変化を底部34のみで受けるようになるから、印加圧力の増加あるは減少に対して第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の変位量が増加あるいは減少する割合が一定になり易い。
したがって、この実施の形態によれば、検出精度がより一層高くなる圧力測定装置を提供することができる。
このため、立下り部33が板状部32に対して直角に絞られ、底部34が立下り部33に対して直交するようになる。底部34が被測定流体の圧力で変形するときの底部34の支点は、立下り部33との境界部分(底側の屈曲部36)になる。すなわち、第1および第2の被測定流体3,5の圧力変化を底部34のみで受けるようになるから、印加圧力の増加あるは減少に対して第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の変位量が増加あるいは減少する割合が一定になり易い。
したがって、この実施の形態によれば、検出精度がより一層高くなる圧力測定装置を提供することができる。
この実施の形態による立下り部33は、外周面37aが軸線と平行に延びる円筒からなる円筒部37を有している。
このため、底部34の支点の位置が円筒部37の分だけ板状部32から離れることになるとともに、板状部32の歪みが立下り部33で周方向に分散し易くなるので、熱歪みの影響をより一層受け難くなって圧力測定装置1の検出精度が更に高くなる。
このため、底部34の支点の位置が円筒部37の分だけ板状部32から離れることになるとともに、板状部32の歪みが立下り部33で周方向に分散し易くなるので、熱歪みの影響をより一層受け難くなって圧力測定装置1の検出精度が更に高くなる。
この実施の形態による立下がり部33の曲面方向の長さH1は、立下り部33の深さ方向の全長H2の1/2以上である。このため、板状部32の変形を立下り部33で吸収するにあたって容量が十分に多くなるから、底部34がより一層歪み難く、検出精度の更なる向上を図ることができる。
この実施の形態による装置ボディ6の被溶接部24,25と第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の板状部32とは、装置ボディ6と第1および第2の隔液ダイアフラム11,12との間をシールするシール部42を構成している。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接するにあたっては、板状部32を全周にわたって溶接するのではなく、周方向の複数の部位のみを装置ボディ6に溶接することが考えられる。この場合、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12と装置ボディ6との間のシールは、溶接部より径方向外側あるいは溶接部の真上にOリング(図示せず)や環状のガスケット(図示せず)などのシール部材を設けることにより行われる。
第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を装置ボディ6に溶接するにあたっては、板状部32を全周にわたって溶接するのではなく、周方向の複数の部位のみを装置ボディ6に溶接することが考えられる。この場合、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12と装置ボディ6との間のシールは、溶接部より径方向外側あるいは溶接部の真上にOリング(図示せず)や環状のガスケット(図示せず)などのシール部材を設けることにより行われる。
このような構成では、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12がシール部材との接触により破損することがないように第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を十分な剛性が得られる厚みとなるように厚く形成する必要がある。しかし、この実施の形態においては、装置ボディ6と第1および第2の隔液ダイアフラム11,12との間をシールするシール部材は不要であるから、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みを可能な限り薄くすることができる。第1および第2の隔液ダイアフラム11,12を薄く形成できると、底部34の変形が容易になるから、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の径を小さくすることができ、圧力測定装置1の小型化を図ることができる。
この実施の形態による装置ボディ6は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12と第1および第2の導圧室15,16とを有する一対の第1および第2の導圧部13,14と、これらの導圧部の導圧室15,16どうしを仕切るセンターダイアフラム17とを備えている。圧力センサ23は、一対の第1および第2の導圧部13,14のうち一方の導圧部13の導圧室15内の圧力と、他方の導圧部14の導圧室16内の圧力との差圧を検出する。
このため、この実施の形態によれば、一方の導圧室の圧力と他方の導圧室の圧力との差圧を高い精度で測定可能な差圧測定装置を実現することができる。
このため、この実施の形態によれば、一方の導圧室の圧力と他方の導圧室の圧力との差圧を高い精度で測定可能な差圧測定装置を実現することができる。
この実施の形態による第1および第2の隔液ダイアフラム11,12の厚みは、5μm〜500μmとすることができる。このため、この実施の形態においては、測定可能な圧力、隔液ダイアフラムの外径などが異なる多種類の圧力測定装置を提供することができる。
上述した実施の形態による立下り部33は、円環板状の板状部32とは直交する方向に延びている。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、立下り部33が板状部32に対して僅かに傾斜して延びるように形成されていたとしても、同様の効果が得られる。
上述した実施の形態によるプロジェクション溶接用突起31は、装置ボディ6の被溶接部24,25に設けられている。しかし、プロジェクション溶接用突起31は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12に設けることができる。この場合、立下り部33をプレス加工によって形成するときに同時にプロジェクション溶接用突起31を成形することができる。
上述した実施の形態によるプロジェクション溶接用突起31は、装置ボディ6の被溶接部24,25に設けられている。しかし、プロジェクション溶接用突起31は、第1および第2の隔液ダイアフラム11,12に設けることができる。この場合、立下り部33をプレス加工によって形成するときに同時にプロジェクション溶接用突起31を成形することができる。
立下り部33を成形する加工方法は、深絞り加工に限定されることはない。すなわち、金属板を塑性変形させて所定の形状に成形する加工方法であれば、どのような加工方法であってもよい。
立下り部33の側面形状は、円筒形の側面形状に限定されることはなく、立下り部33と底部34との境界からなる支点(屈曲部36)が板状部32より所定の長さだけ第1の導圧室15または第2の導圧室16の内方に位置するように、底部34が板状部32に対して段差をもって厚み方向に偏って位置するような形状であれば、どのような形状でもよい。この場合、板状部32の内径R1の1/2以上の長さだけ支点が板状部32から第1の導圧室15または第2の導圧室16の内方に離れることが望ましい。
支点が板状部32の内径R1の1/2以上の長さだけ板状部32から第1の導圧室15または第2の導圧室16の内方に離れるような立下り部33は、例えば図11〜図13に示すように形成することができる。図11に示す立下り部33の側面形状は、円錐形の側面形状である。図11に示す立下り部33の外周面33aは、底部34に向かうにしたがって外径が次第に小さくなるテーパー面となるように形成されている。図11に示す立下がり部33においても、曲面方向の長さH1が立下り部33の深さ方向の全長H2の1/2以上となるように形成されている。
図12に示す立下り部33の側面形状は、球形の側面形状である。すなわち、図12に示す立下り部33は、図12中に二点鎖線で示す仮想の球51の外面の一部となるように形成されている。図13に示す立下り部33は、回転楕円形に形成されている。ここでいう「回転楕円形」とは、図13中に二点鎖線で示すように、仮想の楕円52の一部を立下り部33の軸線Cを中心として回転させたような形状である。
本発明を差圧測定装置に適用する場合は、装置ボディ6を図14に示すように構成することができる。図14において、図1〜図10によって説明したものと同一もしくは同等の部材については、同一符号を付し詳細な説明を適宜省略する。図14に示す装置ボディ6は、第1の導圧室15と第2の導圧室16との一方の圧力が他方の圧力に影響を及ぼすことがないように形成されている。
すなわち、図14に示す装置ボディ6は、図1に示す実施の形態を採るときに用いられていたセンターダイアフラム17を備えていない。図14に示す構成を採る場合であっても、上述した実施の形態を採るときと同様に、第1および第2の隔液ダイアフラムを溶接する工程のタクトタイムが短い圧力測定装置を提供することができる。
上述した実施の形態は、本発明を差圧測定装置に適用する例を示した。しかし、本発明に係る圧力測定装置は、差圧測定装置に限定されることはなく、隔液ダイアフラムを有する圧力測定装置であればどのような圧力測定装置にも適用可能である。
1…圧力測定装置、3…第1の被測定流体、5…第2の被測定流体、6…装置ボディ、11…第1の隔液ダイアフラム、12…第2の隔液ダイアフラム、13…第1の導圧部、14…第2の導圧部、15…第1の導圧室、16…第2の導圧室、17…センターダイアフラム、18…封入液、23…圧力センサ、24,25…被溶接部、26…平坦面、31…プロジェクション溶接用突起、32…板状部、33…立下り部、34…底部、37…円筒部、42…シール部。
Claims (9)
- 被測定流体の圧力を受ける隔液ダイアフラムが溶接され、前記隔液ダイアフラムが壁の一部となる導圧室が形成された装置ボディと、
前記導圧室内に封入された封入液と、
前記導圧室内の圧力を測定する圧力センサとを備え、
前記隔液ダイアフラムは、
前記装置ボディにプロジェクション溶接によって溶接された環状の板状部と、
前記板状部より径方向の内側で前記導圧室の内方に向けて延びる立下り部と、
前記立下り部の底となる底部とを有していることを特徴とする圧力測定装置。 - 前記装置ボディにおける前記隔液ダイアフラムが溶接される被溶接部は、環状のプロジェクション溶接用突起が突設された平坦面を有し、
前記板状部は、前記平坦面に沿う形状に形成されていることを特徴とする、請求項1記載の圧力測定装置。 - 前記立下り部の側面形状は、円筒形、円錐形、球形、回転楕円形のうちいずれか一つの側面形状であることを特徴とする、請求項1または2記載の圧力測定装置。
- 前記立下り部の深さ方向の全長は、前記隔液ダイアフラムの厚さの5倍以上であることを特徴とする、請求項3記載の圧力測定装置。
- 円筒形または円錐形に形成された前記立下り部の曲面方向の長さは、前記立下り部の深さ方向の全長の1/2以上であることを特徴とする、請求項3または4記載の圧力測定装置。
- 前記装置ボディにおける前記隔液ダイアフラムが溶接される被溶接部と前記隔液ダイアフラムの前記板状部とは、前記装置ボディと前記隔液ダイアフラムとの間をシールするシール部を構成していることを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の圧力測定装置。
- 前記装置ボディは、
前記隔液ダイアフラムと前記導圧室とを有する一対の導圧部を備え、
前記圧力センサは、前記一対の導圧部のうち一方の導圧部の前記導圧室内の圧力と、前記一対の導圧部のうち他方の導圧部の前記導圧室内の圧力との差圧を測定するものであることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一つに記載の圧力測定装置。 - 前記隔液ダイアフラムの厚みは、5μm〜500μmであることを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一つに記載の圧力測定装置。
- 前記隔液ダイアフラムの前記立下り部は、深絞り加工によって形成されていることを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一つに記載の圧力測定装置。
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2019
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