JP2019199637A - 炭素被覆の連続形成方法 - Google Patents

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Joon-Soo Park
峻秀 朴
晃 香山
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晃 香山
絵里 柳谷
Eri Yanagiya
絵里 柳谷
直史 中里
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直史 中里
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Abstract

【課題】本発明は、無機基材に残留変形を起こさず、炭素被覆を連続的に高速で形成する製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、無機基材に残留変形を起こさず、炭素被覆を連続的に高速で形成しつつ、被覆の均質性や構造を安定して維持する。両端開放型の連続被覆炉を用い、炉内は反応ガスとキャリアガスからなる加圧雰囲気とし、炉内へのガス供給位置・供給量を制御し、炉内のガス流れと基材の進行方法と同一方向にして、基材表面に連続で炭素被覆処理を行う事を特徴する。【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック基材表面への炭素被覆の連続形成方法に関するものである。
セラミック繊維で強化されたセラミック複合材料は繊維強化によるセラミック材料の強度や延性の改善を目指すものである。このために繊維とマトリックスという構成要素に加えて繊維/マトリックス界面(F/M界面)は重要であり、マトリックスから繊維への亀裂伝播を抑制し、繊維を保護する重要な役割を果たす。SiC/SiC複合材料のF/M界面相としては適度の接合強度を提供する炭素、窒化ホウ素、炭化ケイ素と窒化ホウ素の多重被覆、多孔質マトリックスなどから選択される事が多い。炭素は比較的に安価で容易に被覆する事が可能で、耐酸化特性が要求されない用途で用いることが出来る。炭素被覆の形成方法としては多様な方法が知られているが、被覆層の厚み制御・被覆層の品質などの観点から化学気相蒸着(CVD)法が優位である。既存のCVD法による炭素被覆では主にバッチタイプの反応炉による均温加熱CVD(Isothermal CVD)が用いられており、反応炉の内部形状・容積により基材の処理量・炉内の置き方が大きく制限される。なお、基材の形状変形、被覆厚みのバラツキの品質問題と、被覆形成速度が非常に遅いという欠点も残されていた。
炭化ケイ素系無機繊維表面への炭素被覆技術としては、例えば特願平9−149874号に記載されている一酸化炭素中に1300℃以上の温度で加熱処理して被覆する技術が開発されており、100nm程度の厚さの炭素被覆が得られるが、処理時間は3時間以上で非常に長い処理時間が必要とされるという欠点があった。
セラミック繊維表面への連続被覆技術として例えば、特開2003−183979に開示されているように、窒化ホウ素被覆のプロセスが開発されている。被覆処理は減圧雰囲気で行われ、基材の送出から巻戻まで含めて気密構造にしなければならない。又は、別途の圧力勾配室及び排気設備を設置し、少なくとも炉内部は減圧構造にしなければならない。よって、基材交換、整備・点検で非常に手間が掛かり、処理経費の高騰につながっていた。
強化繊維を保護し、F/M界面による亀裂分散機能が十分に期待できる界面被覆厚みはSiC/SiC複合材料の製造手法によって異なるが、例えば、特許第4536950号に開示されているSiC繊維強化型SiC複合材料のホットプレス製造方法を用いて製作する場合は、F/M界面での十分な亀裂分散機能を得るためには少なくとも300nm以上、好ましくは500mn以上の炭素界面を必要とする。通常のバッチタイプCVD法でも500nm以上の炭素被覆を施した炭化ケイ素繊維が得られるが、被覆処理後の炭化ケイ素繊維には炉内での置き方により湾曲・ねじれなどの残留変形が残り、同被覆繊維を用いた中間製品および最終製品において繊維配列を揃える事が難しいという致命的な欠点があった。
特許第4536950号
本発明は、従来法に依って無機基材の表面に炭素被覆を形成させる際の問題点である残留変形の問題、被覆層の不均一性の問題、被覆速度の遅さなどを解決させるものである。両端開放型の連続被覆炉を用い、炉内は反応ガスとキャリアガスからなる加圧雰囲気とし、炉内へのガス供給位置・供給量を制御し、炉内のガス流れと基材の進行方法と同一方向にして、基材表面に連続で炭素被覆処理を行う事によりこれらの問題を解決しつつ、炭素被覆を連続的に高速で形成することが出来る。
本発明は、無機基材に残留変形を起こさず、炭素被覆を連続的に高速で形成しつつ、被覆の均質性や構造を安定して維持する製造方法を提供する。
本発明は、両端開放型の連続被覆炉を用い、炉内は反応ガスとキャリアガスからなる加圧雰囲気とし、炉内へのガス供給位置・供給量を制御し、炉内のガス流れと基材の進行方法と同一方向にして、基材表面に連続で炭素被覆処理を行う事を特徴する製造方法に関する。
本発明の基材には、種々の無機材料を用いることができる。具体的には炭素繊維、炭化ケイ素繊維、窒化ケイ素繊維、ホウ素繊維等の単独又は複数素材を組み合わせる事が出来る。基材は少なくとも反応温度より高い耐熱性を持つ基材である事が必要である。例えば、不純物酸素を含まない結晶性の高い近化学量論的組成の炭化ケイ素繊維、例えば、ハイ・ニカロン・タイプ・エス又はチラノSAは1800℃級の耐熱性を持つ炭化ケイ素繊維であり、被覆処理時に反応温度を1800℃近くまで高める事が出来る。
本発明の製造方法に用いる基材の形状は、長繊維、平織物、朱子織物、三次元織物、紐織物のような各種織物、あるいはフェルト、不織布のような形態でも良い。
本発明の製造方法の処理温度は1300℃以上である。処理温度が1300℃より低いと、炭素層が形成されにくい。処理温度の上限は、特に制限はないが、被処理繊維の耐熱性により調整する必要がある。一般には1400〜1800℃が好ましい。加熱部通過時間は巻き取り速度に反比例する。巻き取り速度は特に制限はないが0.01〜10m/min、好ましくは0.1〜3m/minが良い。巻き取り速度が早すぎる場合は十分な厚みの被覆層が得られず、遅い場合は分厚く被覆できるが、基材同士の被覆層による接着を起こし、被覆層成長速度も低下し、品質・生産効率が悪くなる。
本発明の製造方法の炉内雰囲気は反応ガスとキャリアガスから成る。キャリアガスは反応炉の発熱体、断熱材、内壁などの材質に合わせて選択する事が出来る。キャリアガスの種類は特に限定しないが、例えば、炭素製の発熱体、断熱材を用いる場合は、不活性ガス、例えば、アルゴン、窒素を用いても良い。さらに好ましくは、反応温度が1600℃より低い場合は窒素を用い、それより高温ではアルゴンガスを用いると良い。ケイ素系の基材を窒素雰囲気で処理する場合は温度が高くなるほど基材表面に窒化ケイ素が形成し易くなるからである。反応ガスは炭素前駆体ガスであれば、特に限定はしないが、例えば、炭水素ガス、炭酸ガスを単独または組み合わせて用いる事が出来る。好ましくはメタン(CH)を用いると良い。CHのモル質量は16.04g/molで空気より軽く、反応炉の出入口に排気設備を設ける事で処理室から容易に排除する事ができ、より安全に被覆を行う事が出来る。
本発明の製造方法の炉内雰囲気の流れは反応炉のガス供給・排気口の開閉及び流量を変える事で制御出来る。炉内の全体圧力は加圧状態を維持し、炉外雰囲気を侵入させない。なお、入口方向から反応ガス並びにキャリアガスの供給量を出口方向の反応ガス並びにキャリアガスの供給量より大きくする事で、基材の流れ方向に沿って反応ガス並びにキャリアガスの流れを作る事ができる。
本発明の製造方法を用いる事で、入り口方向で室温であった基材が炉内に向け移動する際に生じる温度勾配とガス流れにより反応ガスの円滑な供給により、炭素被覆相の成長を大きく促進する事が出来る。また、炭素被覆相は厚みにおけるバラツキが少なく、湾曲・ねじれなどの残留変形のない基材を得る事が出来る。
基材として耐熱性の炭化ケイ素繊維を用いて、下記の条件のように出入口の反応ガス並びにキャリアガスの供給を同等にして連続的被覆した。
反応炉の温度:1600℃
入口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
出口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
全体メタンガス流量:2.8リットル/分
入口メタンガスバルブ:開
出口メタンガスバルブ:開
基材巻取速度:0.08m/分
得られた炭素被覆炭化ケイ素の繊維束を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、約250nmの炭素が繊維表面に形成出来ている事が分かった。
基材として耐熱性の炭化ケイ素繊維を用いて、下記の条件のように反応ガスを入り口側のみに供給して連続的被覆した。
反応炉の温度:1600℃
入口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
出口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
全体メタンガス流量:2.8リットル/分
入口メタンガスバルブ:開
出口メタンガスバルブ:閉
基材巻取速度:0.08m/分
得られた炭素被覆炭化ケイ素の繊維束を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、約600nmの炭素が繊維表面に形成しており、比較例1より2倍以上の厚みの炭素界面が形成出来た。
基材として耐熱性の炭化ケイ素繊維を用いて、下記の条件のように反応ガスを入り口側のみに供給し、基材の巻取り速度を実施例1の0.08 m/分に比べて12.5倍以上早い1 m/分の速度で連続的に被覆した。
反応炉の温度:1600℃
入口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
出口窒素ガスガス流量: 1 m^3/時間
全体メタンガス流量:1.5リットル/分
入口メタンガスバルブ:開
出口メタンガスバルブ:閉
基材巻取速度:1 m/分
得られた炭素被覆炭化ケイ素の繊維束を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、約400nmの炭素が繊維表面に形成しており、実施例1より炭素被覆厚みは薄いが、8.3倍以上早い被覆成長速度で炭素界面が形成出来た。
図1は両端開放の加圧型反応炉により、基材表面に炭素被覆を連続的に形成させる過程の説明図である。
優れた強度特性、特にセラミック材料としての高強度とセラミック材料の欠点である脆性を改善させ、擬延性を示すセラミック繊維強化複合材料の主要な構成材料としてセラミック繊維にはマトリックと繊維を隔離するための表面被覆が必要である。この被覆層の存在によってセラミック複合材料は設計通りの強度特性や擬延性を発現させることが出来る。このような無機材料(炭素被覆のみならず、炭化物被覆、酸化物被覆、ホウ素化物被覆なども同様な効果が期待できる)被覆を施した繊維は金属マトリックスをセラミック繊維で強化する複合材料においても利用できるものであり、幅広い繊維強化複合材料の開発に貢献できる。これらの新材料は自動車等の比較的苛酷環境が厳しく内容とはもちろん、原子力・核融合分野、超臨界地熱発電に代表される再生エネルギー分野での優れた耐環境性などが不可欠な用途にも適用できる。
1 送出部(繊維)
2 キャリアガス供給口
3 反応ガス供給口
4 加熱部
5 フィードローラー
6 巻き取り部(繊維:被覆完了)

Claims (2)

  1. 基材が単独、複数本からなる紐又は長い編織物、不職布状の無機材料への炭素層の被覆処理であり、両端開放型の連続炉により炭素被覆される事を特徴とする炭素被覆方法。炉内は加圧雰囲気であって、反応ガス又は反応ガス並びにキャリアガスの混合ガスを入り口から出口に向けた流れを形成し、入り口から出口に向けて糸は水平に移動することを特徴とする。
  2. 被覆処理後の繊維の巻き取りは図1のようにボビンでの巻き取りのほかに直線状でフィードし、決められた長さで切断し、直線状のままで回収する方法も含める。
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