JP2019199621A - インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、及び印刷物の製造方法 - Google Patents

インク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、及び印刷物の製造方法 Download PDF

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Shie Yamazaki
史絵 山崎
直樹 白石
Naoki Shiraishi
直樹 白石
めぐ美 大柿
Megumi Ogaki
めぐ美 大柿
杉田 行生
Yukio Sugita
行生 杉田
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Abstract

【課題】水を主成分とするインク組成物であってもインク組成物が樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好なインク組成物であり、様々な基材に対しても好適に用いることができるインク組成物を提供すること。【解決手段】水と有機溶剤とを含有する溶剤と、樹脂と、界面活性剤と、を含有し、水はインク組成物100質量部中50質量部以上であり、有機溶剤には炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部以上含有され、25℃における静的表面張力が26mN/m以下であるインク組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、主にインクジェット方式により吐出されるインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法、及び印刷物の製造方法に関する。
インク組成物として、各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させたインク組成物が広く用いられている。このインク組成物をインクジェット方式等により紙等の基材に直接吐出し、付着させて混合液が乾燥することにより文字や画像を得ることができる。
上記のインク組成物のなかでも水がインク組成物中50質量%以上含有されるような水を主成分とするインク組成物が用いられている。水は、インク組成物に含有される他の溶剤よりも沸点が低い。又、水は有機溶剤のように引火することがなく安全であり環境面でも優れる溶剤である。
例えば、特許文献1には、顔料と、樹脂と、所定の表面張力の溶剤と、所定の界面活性剤とを、含有するインク組成物が開示されている。特許文献1によれば、特許文献1に記載のインク組成物は、高画質で、高耐久性な画像を作成でき、又、安定に吐出が可能で、長期に渡って安定に印刷可能なインク組成物である。
又、特許文献2には、プラスティックフィルム基材に、色剤と、所定量のシリコン系界面活性剤と、所定の溶媒と、を含有したインク組成物を用いた印刷方法が開示されている。特許文献2によれば、特許文献2に記載のインク組成物は、インク組成物を50%以上の高濃度で印刷した際のインクの凝集ムラや混色ブリーディングを改善させた印刷方法である。
特許第5504890号 特開2009−114454号公報
さて、水は、上記の通り沸点が低く、安全性は高い溶媒であるが、有機溶剤と比較すると表面張力が高い溶剤である。そのため、水を主成分とするインク組成物は有機溶剤を主成分とするインク組成物と比べて表面張力が高くなる傾向がある。
本発明者らの見解によれば、水を主成分とするインク組成物は表面張力が高いことから、そのインク組成物を塗布する基材によっては、濡れ広がりにくくなる場合があることが見出された。特にインク組成物を塗布する基材が低吸収性基材や樹脂基材等の非吸収性基材である場合には、塗布されたインク組成物が基材ではじかれて画像を形成することが困難となる場合がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、水を主成分とするインク組成物であってもインク組成物が樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好なインク組成物であり、様々な基材に対しても好適に用いることができるインク組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討をした結果、インク組成物に含有される水以外の有機溶媒の含有量と、インク組成物全体の表面張力と、を調整することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)水と有機溶剤とを含有する溶剤と、樹脂と、界面活性剤と、を含有し、前記水はインク組成物100質量部中50質量部以上であり、前記樹脂の少なくとも一部は、樹脂エマルジョンとして含有し、前記有機溶剤には炭素数7以下のアルカンジオールが前記有機溶剤100質量部中30質量部以上含有され、25℃における静的表面張力が26mN/m以下であるインク組成物。
(2)樹脂基材に用いられる(1)に記載のインク組成物。
(3)前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する(1)又は(2)に記載のインク組成物。
(4)前記溶剤は2−ピロリドンを含有する(1)から(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(5)前記炭素数7以下のアルカンジオールは、2−メチル−1,3−ペンタンジオール及び/又は2−メチル−1,3−プロパンジオールを含有する(1)から(4)のいずれかに記載のインク組成物。
(6)前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテルである(1)から(5)のいずれかに記載のインク組成物。
(7)インクジェット方式にて基材の表面に吐出する(1)から(6)のいずれかに記載のインク組成物。
(8)(1)から(7)のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出するインクジェット記録方法。
(9)(1)から(7)のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する工程を含む印刷物の製造方法。
本発明のインク組成物は、インク組成物が樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好なインク組成物であり、様々な基材に対しても好適に用いることができるインク組成物である。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<インク組成物>
本実施形態のインク組成物は、溶剤と、色材と、樹脂と、界面活性剤と、を含有するインク組成物である。又、溶剤は水と有機溶剤とを含有する。水はインク組成物100質量部中50質量部以上であり、有機溶剤には炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部以上含有される。
本実施形態のインク組成物は、インク組成物中の水の含有量が50質量部以上であることにより、インク組成物の引火性が低減し、安全なインク組成物となる。又、水は沸点が低いため、インク組成物中の水の含有量が50質量部以上であることにより、インク組成物の乾燥性を向上させることができる。尚、インク組成物中の水の含有量が50質量部以上である本実施形態のインク組成物を「水を主成分とする本実施形態のインク組成物」と表記することがある。
又、本実施形態のインク組成物は、有機溶剤には炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部以上含有されることにより、樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好となり、適切に画像を形成することができる。炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部未満であると、インク組成物全体の静的表面張力を下げることが困難となり好ましくない。又、炭素数7以下のアルカンジオールの代わりに炭素数8超のアルカンジオールを用いた場合には、水との相溶性が悪化し、更にインク組成物の乾燥性が低下するため好ましくない。
尚、本実施形態のインク組成物を基材の表面に吐出する方法は、オフセット方式、グラビア方式、スプレー方式、刷毛塗り方式など従来公知の方式で吐出することはできるが、小ロット多品種に対応できる点でインクジェット方式であることが好ましい。
更に、本実施形態のインク組成物は25℃における静的表面張力が26mN/m以下と調整されている。静的表面張力が26mN/m以下であることにより、樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好となり、適切に画像を形成することができる。本実施形態のインク組成物は25℃における静的表面張力は25mN/m以下であることが好ましく、24mN/m以下であることがより好ましい。尚、本明細書における静的表面張力は、例えば測定温度25℃にてWilhelmy法(協和界面科学製 DY−300)で測定することができる。
本実施形態のインク組成物は、炭素数7以下のアルカンジオール等の有機溶剤と、界面活性剤と、により静的表面張力を26mN/m以下に調整することができる。
例えば、特許文献1に記載のインク組成物は、表面張力が25mN/m以上40mN/m以下の溶剤を含有するインク組成物ではあるが、インク組成物そのものの表面張力については何ら記載もない。又、インク組成物の表面張力は溶剤の種類、含有量や界面活性剤の種類、含有量に強く依存するものの、特許文献1にはインク組成物自体の表面張力は何ら記載されていない。
本実施形態のインク組成物は、インク組成物自体の静的表面張力を調整することにより、樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好となり、適切に画像を形成することができる。よって、本実施形態のインク組成物は、あらゆる基材に対しても好適に用いることができるインク組成物である。
本実施形態のインク組成物に用いることのできる基材は特に制限されず、吸収性基材、低吸収性基材、及び樹脂基材等の非吸収性基材のいずれも好適に用いることができる。
吸収性基材としては、例えば、更紙、中質紙、上質紙、コピー用紙(PCC)等の非塗工紙;綿、化繊織物、絹、麻、不織布等の布帛等が挙げられる。なお、基材の吸収性は、例えば、JAPAN TAPPI 紙パルプ試験法No.51−87等で試験を行うことができる。非塗工紙は、インクの浸透、吸収を低下させる塗工剤が塗工されていないため、吸収性が高い。低吸収性基材としては、例えば、微塗工紙、軽量コート紙、コート紙、アート紙、キャスト紙等の塗工紙等が挙げられる。塗工紙とは、白色顔料やバインダー成分を加えて作った塗工液を塗って表面平滑性を改善したもので、インク組成物が吸収、浸透されにくい。又、非吸収性基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂フィルム基材、金属蒸着基材、等が挙げられる。
本実施形態のインク組成物はコート紙のような低吸収性基材であっても、コート紙に対する乾燥性や濡れ広がり性は高い。そのため、良好な画像を印刷することができる。
更に、本実施形態のインク組成物は樹脂基材に対しても濡れ広がり性が良好であり、好適に画像を形成することができるインク組成物である。低吸収性基材だけでなく、樹脂基材等の非吸収性基材にも用いることができる。本実施形態のインク組成において表面張力を26mN/m以下とすることにより、例えば、塩化ビニルのような樹脂を使用した非吸収性基材に対しても使用することができる。
次に、本実施形態のインク組成物に含有される各成分について説明する。
[溶剤]
本実施形態のインク組成物に含有される溶剤は、水と有機溶剤とを含有する溶剤である。含有される水としては、種々のイオンを含有するものではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。水の含有量としては、インク組成物100質量部中50質量部以上であれば特に限定されるものではないが、インク組成物100質量部中55質量部以上であることが好ましく、インク組成物100質量部中60質量部以上であることが好ましい。水の含有量が、インク組成物100質量部中50質量部以上であることにより、インク組成物の引火性が低減し、安全なインク組成物となる。又、水は沸点が低いため、インク組成物中の水の含有量が50質量部以上であることにより、インク組成物の乾燥性を向上させることができる。
又、含有される有機溶剤としては、炭素数7以下のアルカンジオールが含有される。そして、炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部以上含有される。そのため、本実施形態のインク組成物は、樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好であり、適切に画像を形成することができ、インクの安定性、インクジェットヘッドのノズル保湿性、吐出安定性を良好にすることができる。炭素数7以下のアルカンジオールが有機溶剤100質量部中30質量部未満であると、基材が樹脂基材であった場合に、インク組成物がはじかれる場合があり、適切に画像を形成することができなくなる場合がある。
炭素数7以下のアルカンジオールとしては、例えば、2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、エチレングリコール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール等を挙げることができる。
炭素数7以下のアルカンジオールは、2−メチル−1,3−ペンタンジオール及び/又は2−メチル−1,3−プロパンジオールを含有することが好ましい。2−メチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールは、基材へのインクの濡れ広がりを向上させることができ、又、基材へのインク定着性も良好なものにすることができる。
又、本実施形態のインク組成物に含有される有機溶剤には、炭素数7以下のアルカンジオール以外の有機溶剤を含有していてもよい。炭素数7以下のアルカンジオール以外の有機溶剤としては、例えば、アルキルアルコール類;3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−n−ブタノール等の1価のアルコール類;1−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、3−メトキシプロパンアミド、3−ブトキシプロパンアミド、N,N−ジメチル−3−メトキシプロパンアミド、N,N−ジブチル−3−メトキシプロパンアミド、N,N−ジブチル−3−ブトキシプロパンアミド、N,N−ジメチル−3−ブトキシプロパンアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のオキシエチレン又はオキシプロピレン共重合体;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール等のトリオール類:メソエリスリトール、ペンタエリスリトール等の4価アルコール類;エチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(又はエチル、イソプロピル、n−ブチル,イソブチル)エーテル等のモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコールのジアルキルエーテル類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環化合物;γ−ブチロラクトン、スルホラン等の環状化合物等が挙げられる。
上記有機溶剤の中でも、複素環化合物を含有することが好ましく、2−ピロリドン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ピロリドンカルボン酸、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、α−ラクタム、β−ラクタム、γ−ラクタム、δ−ラクタム等の沸点120℃以上250℃以下のC=O結合を有する複素環式化合物を含有することがより好ましく、2−ピロリドンを含有することが更に好ましい。インク組成物の非吸収性基材への密着性をより良好なものとすることができる。水を主成分とするインク組成物は、特に樹脂基材等の非吸収性基材に対してはじかれやすいインク組成物である。しかしながら、インク組成物に2−ピロリドンが含有されることにより、特に塩化ビニル等のフィルム基材への密着性が向上するという効果を有する。又、2−ピロリドンは水と炭素数7以下のアルカンジオールとの双方に溶解する溶剤であり、インク組成物の安定性を高くすることができる。
インク組成物に2−ピロリドンを含有する場合、2−ピロリドンの含有量は、インク組成物100質量部中2質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、更に10質量部以上であることがより好ましい。インク組成物100質量部中2質量部以上であることにより、特に樹脂基材との密着性が高くなり、適切に画像を形成することができる。インク組成物100質量部中20質量部以下であることが好ましく、18質量部以下であることがより好ましい。インク組成物100質量部中20質量部以下であることにより、乾燥性に優れたインク組成物となる。
[色材]
本実施形態のインク組成物は、色材を含有してもよい。色材は、インク組成物に一般的に用いられる、染料又は顔料を用いることができる。顔料は、無機顔料や有機顔料等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、溶性アゾ顔料、染料からの誘導体、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、ジオキサジン顔料、ニッケルアゾ顔料、イソインドリノン顔料、ピランスロン顔料、チオインジゴ顔料、縮合アゾ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、キノフタロン顔料、イソインドリン顔料、キナクリドン系固溶体顔料、ペリレン系固溶体顔料等の有機固溶体顔料、その他の顔料として、カーボンブラック等が挙げられる。
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、20、24、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、213、214;C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48、49、52、53、57、97、112、122、123、149、168、177、180、184、192、202、206、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、254;C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、64、71;C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50;C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64;C.I.ピグメントグリーン7、36、58;C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
無機顔料としては、例えば、硫酸バリウム、酸化鉄、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、合成マイカ、アルミナ、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、無機固溶体顔料等を挙げることができる。
顔料の平均分散粒径は、所望の発色が可能なものであれば特に限定されるものではない。顔料の種類によっても異なるが、顔料の分散安定性が良好で、充分な着色力を得る点から、10nm以上の範囲内であることが好ましく、30nm以上の範囲内であることがより好ましい。顔料の平均分散粒径は、300nm以下の範囲内であることが好ましく、200nm以下の範囲内であることがより好ましい。平均分散粒径が300nm以下であれば、インクジェットヘッドのノズル目詰まりを起こしにくく、再現性の高い均質な画像を得ることができる。平均分散粒径が10nm以上であれば、得られる印刷物の耐光性を良好なものとすることができる。
顔料の含有量としては、所望の画像を形成可能であれば特に限定されるものではなく、適宜調整されるものである。具体的には、顔料の種類によっても異なるが、インク組成物100質量部中に対して0.05質量部以上の範囲内であることが好ましく、0.1質量部以上の範囲内であることがより好ましい。インク組成物100質量部中に対して20質量部以下の範囲内であることが好ましく、10質量部以下の範囲内であることがより好ましい。顔料の含有量が0.05質量部以上、又は20質量部以下の範囲内であることにより、顔料の分散安定性と着色力のバランスに優れたものとすることができる。
[顔料分散剤]
本実施形態のインク組成物には顔料分散剤が含有されていてもよい。ここで顔料分散剤とは、顔料表面の一部に付着することでインク内での顔料の分散性を向上させる機能を有する樹脂又は界面活性剤のことを意味する。
本実施形態のインク組成物において、用いることのできる顔料分散剤は特に限定されない。例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン(シリコン)系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
本実施形態のインク組成物において用いることのできる顔料分散剤としては、水溶性高分子分散剤を好ましく用いることができる。水溶性高分子分散剤としては、例えば、ポリエステル系、ポリアクリル系、ポリウレタン系、ポリアミン系、ポリカプトラクトン系の主鎖を有し、側鎖に、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等の極性基を有する分散剤等が挙げられる。例えば、ポリアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物とアクリル酸エステル等の不飽和カルボン酸エステルの共重合体類;ポリアクリル酸等の不飽和カルボン酸の(共)重合体の(部分)アミン塩、(部分)アンモニウム塩や(部分)アルキルアミン塩類;水酸基含有ポリアクリル酸エステル等の水酸基含有不飽和カルボン酸エステルの(共)重合体やそれらの変性物;ポリウレタン類;不飽和ポリアミド類;ポリシロキサン類;長鎖ポリアミノアミドリン酸塩類;ポリエチレンイミン誘導体(ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離カルボキシル基含有ポリエステルとの反応により得られるアミドやそれらの塩基);ポリアリルアミン誘導体(ポリアリルアミンと、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド又はエステルとアミドの共縮合物(ポリエステルアミド)の3種の化合物の中から選ばれる1種以上の化合物とを反応させて得られる反応生成物)等が挙げられる。中でも、(メタ)アクリル樹脂を含有する水溶性高分子分散剤が、インクの分散安定性と、印刷物の画像鮮明性の観点から好ましい。
水溶性高分子分散剤の具体例としては、SARTOMER社製SMA1440、SMA2625、SMA17352、SMA3840、SMA1000、SMA2000、SMA3000、BASFジャパン社製JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL586、JONCRYL611、JONCRYL680、JONCRYL682、JONCRYL690、JONCRYL819、JONCRYL−JDX5050、EFKA4550、EFKA4560、EFKA4585、EFKA5220、EFKA6230、ルーブリゾール社製SOLSPERSE20000、SOLSPERSE27000、SOLSPERSE41000、SOLSPERSE41090、SOLSPERSE43000、SOLSPERSE44000、SOLSPERSE46000、SOLSPERSE47000、SOLSPERSE54000、ビックケミー社製BYKJET−9150、BYKJET−9151、BYKJET−9170、DISPERBYK−168、DISPERBYK−190、DISPERBYK−198、DISPERBYK−2010、DISPERBYK−2012、DISPERBYK−2015、等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、本実施形態のインク組成物において好適に用いることができる。
本実施形態のインク組成物において、用いることのできる顔料は、顔料を顔料分散剤によって水溶性溶媒中に分散させた顔料分散体、であっても、顔料の表面に直接に親水性基を修飾した自己分散型顔料とした顔料分散体であってもよい。本実施形態において、インクジェット記録用インクに用いることのできる顔料は、複数の先述した有機顔料や無機顔料を併用してもよく、先述した顔料分散剤によって水溶性溶媒中に分散させた顔料分散体と後述する自己分散型顔料を併用したものであってもよい。
[樹脂]
本実施形態のインク組成物には樹脂を含有する。インク組成物に樹脂を含有することで、印刷物の定着性や耐水性が向上する。又、本実施形態のインク組成物では、含有する樹脂の少なくとも一部は、樹脂エマルジョンとして含有する。本実施形態のインク組成物において、樹脂エマルジョンとは、連続相が水溶性溶媒であり、分散粒子が樹脂微粒子である水性分散液を意味する。樹脂エマルジョンを形成することによって、樹脂が静電反発力や立体反発力によって樹脂微粒子としてインク組成物中に分散することができる。上記樹脂エマルジョンは、一般に連続相である水溶性溶媒が蒸発や浸透等により減少すると、増粘・凝集する性質を持ち、色材の基材への定着を促進する効果を有する。
インク中にバインダー成分として樹脂が含有されると耐性が良好なインク塗膜を形成することができるが、水溶性樹脂の含有量が多くなりすぎると、インク塗膜の耐水性や吐出安定性が低下する可能性がある。又、樹脂エマルジョンとすることによって、高分子量の樹脂を含有することができ、インク塗膜物性を良好なものとすることができる。そのため、含有する樹脂の少なくとも一部は、樹脂エマルジョンとして含有することが好ましい。
本実施形態のインク組成物に含有される樹脂は、所望の耐水性を示すことができるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン(シリコン)樹脂、アクリルアミド樹脂、エポキシ樹脂、あるいはこれらの共重合樹脂や混合物を用いることができる。これらのものは耐水性に加えて耐溶剤性も向上させることができる点で好ましい。中でも、吐出安定性、耐水性及び耐溶剤性に優れたものとすることができることから、アクリル樹脂を含むものであることが好ましい。
アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成するモノマーの主成分として含むものであれば特に限定されるものではない。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、公知の化合物を使用することができ、単官能の(メタ)アクリル酸エステルを好ましく用いることができる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等を挙げることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−iso−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸−iso−オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸−iso−ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸−3,4−エポキシシクロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸−3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−シアノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、(メタ)アクリル酸トリエトキシシリルプロピル、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリル酸エステル類、等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を意味するものである。これらのモノマーは、三菱レイヨン(株)、日本油脂(株)、三菱化学(株)、日立化成工業(株)等から入手することができる。
アクリル樹脂を構成するモノマーとしては、酸基を有する酸基含有モノマーや水酸基を有する水酸基含有モノマー、及びアミノ基を有するアミノ基含有モノマーを含むものであってもよい。上記酸基を有する酸基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノブチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸モノブチルエステル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシル基末端カプロラクトン変性(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有脂肪族系単量体等のエチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有するカルボキシル基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基を含有する水酸基含有モノマーとしては、不飽和二重結合及び水酸基を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシ(メタ)アクリレート、メチルα−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、エチルα−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、n−ブチルα−(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。上記アミノ基含有モノマーとしては、不飽和二重結合及びアミノ基を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリルアミドN−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアクリルアミド化合物、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリンのエチレンオキサイド付加(メタ)アクリレート等の窒素原子含有(メタ)アクリレート化合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルピリジン、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルオキサゾリドン、N−ビニルサクシンイミド、N−ビニルメチルカルバメート、N,N−メチルビニルアセトアミド、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−2−オキサゾリン、(メタ)アクリロニトリル等を挙げることができる。
又、アクリル樹脂を構成するモノマーとしては、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマー等以外に、必要に応じてその他のモノマーを有するものであってもよい。このようなその他のモノマーとしては、上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合が可能であり、所望の耐水性及び耐溶剤性を有するものとすることができるものであれば特に限定されるものではなく、エチレン性不飽和二重結合の数が1つである単官能モノマーであっても、2以上である多官能モノマーであってもよい。例えば、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、N−ビニルカルバゾール、ビニルイミダゾール、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニルモノマー;スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体、ビニルトルエン、クロルスチレン等の芳香族ビニルモノマー;エチレン、プロピレン、イソプロピレン等のオレフィンモノマー;ブタジエン、クロロプレン等のジエンモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物モノマー等を用いることができる。又、ポリエテレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3一ブチレングリコールジアクリレート等のジアクリレート化合物;トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート等のトリアクリレート化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート等のジメタクリレート化合物;トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート等のトリメタクリレート化合物;ジビニルベンゼン等を用いることができる。
中でも、芳香族ビニルモノマー、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有するカルボキシル基含有モノマーであることが好ましい。水を主成分とする本実施形態のインク組成物であっても、芳香族ビニルモノマー、エチレン性不飽和二重結合及びカルボキシル基を有するカルボキシル基含有モノマーにより構成される樹脂が含有されることにより、基材に対する濡れ広がり性、塗膜耐性、インク安定性をより優れたものとすることができる。
なお、アクリル樹脂は、これらのモノマーを用いて形成可能なものであるが、モノマーの共重合の形態については、特に限定されるものではなく、例えばブロックコポリマー、ランダムコポリマー、グラフトコポリマー等とすることができる。樹脂エマルジョンは、例えば、乳化重合反応させ、反応後に中和させて製造することができる。乳化剤としては、通常の高分子型界面活性剤を用いてもよく、不飽和結合を有する反応性界面活性剤を用いてもよい。合成方法については、特に限定されるものではないが、例えば、反応性界面活性剤、非反応性界面活性剤、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体等の存在下で水と、モノマーと、乳化剤と、重合開始剤とを混合して乳化重合することができる。又、樹脂エマルジョンは、乳化重合反応させることなく、樹脂溶液を、界面活性剤とともに、水と混合することによっても得ることができる。例えば、(メタ)アクリル酸エステル又はスチレンと(メタ)アクリル酸エステルからなる樹脂の溶液及び界面活性剤を水中に添加して混合することにより得ることができる。
市販の樹脂エマルジョンとしては、例えば、アクリットWEM−031U、WEM−200U、WEM−321、WEM−3000、WEM−202U、WEM−3008、(大成ファインケミカル(株)製、アクリル−ウレタン樹脂エマルジョン)、アクリットUW−550CS、UW−223SX、AKW107、RKW−500(大成ファインケミカル(株)製、アクリル樹脂エマルジョン)、LUBRIJET N240(ルーブリゾール製、アクリル樹脂エマルジョン)、スーパーフレックス150、210、470、500M、620、650、E2000、E4800、R5002(第一工業製薬(株)製、ウレタン樹脂エマルジョン)、ビニブラン701FE35、701FE50、701FE65、700、701、711、737、747(日信化学(株)製、塩化ビニル−アクリル樹脂エマルジョン)、ビニブラン2706、2685(日信化学(株)製、アクリル樹脂エマルジョン)、モビニール743N、6600、7470、7720、(日本合成化学(株)製、アクリル樹脂エマルジョン)、等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インク組成物中での分散安定性と、インクジェット吐出性の観点から、30nm以上が好ましく、50nm以上がより好ましい。樹脂エマルジョンの平均粒子径は、インク組成物中での分散安定性と、インクジェット吐出性の観点から、300nm以下が好ましく、250nm以下がより好ましい。なお、本実施形態において、顔料の数平均粒子径は、測定温度25℃にて濃厚系粒径アナライザー(大塚電子(株)製、FPAR−1000)を用いて測定することができる。
樹脂エマルジョンの質量平均分子量は、膜耐水性の観点から、10000以上が好ましく、100000以上がより好ましい。樹脂エマルジョンの質量平均分子量は、インク組成物の安定性の観点から、1000000以下が好ましく、500000以下がより好ましい。なお、本実施形態において樹脂の分子量は、質量平均分子量Mwを示すものであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定された値であり、東ソー(株)製の「HLC−8120GPC」にて、校正曲線用ポリスチレンスタンダードを標準にして測定することができる。
樹脂エマルジョンのガラス転移点(Tg)は、低吸収性基材や非吸収性基材に印刷した場合でも、耐水性、耐溶剤性及び耐擦過性を有する印刷物を形成可能であることから、又、印刷物を形成するために高い温度をかけることを回避でき、多くのエネルギーを不要とすることや、印刷基材が熱による損傷を受けにくいものとすることができることから、0℃以上100℃以下が好ましく、10℃以上90℃以下がより好ましく、20℃以上80℃以下がより好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、例えば島津製作所(株)製の示差走査熱量計「DSC−50」にて測定することができる。
樹脂エマルジョンは、カチオン性、ノニオン性、アニオン性いずれかに限定されるものではないが、樹脂エマルジョンの酸価は、インク組成物の保存安定性等の観点から、0.01mgKOH/g以上であることが好ましい。樹脂エマルジョンの酸価は、印刷物の耐水性、インク組成物の保存安定性等の観点から、25mgKOH/g以下であることが好ましい。なお、本発明において酸価とは、試料(樹脂の固形分)1g中に含まれる酸性成分を中和するために要する水酸化カリウムの質量(mg)を示すものであり、JIS K 0070に記載の方法に準ずる方法により測定することができるものである。
本実施形態のインク組成物において、インク組成物100質量部中に含まれる樹脂(樹脂エマルジョン)の質量部は、所望の耐水性及び耐溶剤性を有する印刷物を形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば、インク組成物中に0.05質量部以上であることが好ましく、中でも、0.1質量部以上であることが好ましく、更に0.5質量部以上であることが好ましく、1質量部以上であることがより好ましい。又、インク組成物中に20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましい。
[界面活性剤]
本実施形態のインク組成物には界面活性剤が含有される。界面活性剤は、特に限定されるものではないが、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルやポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテルやアルキレンオキサイド変性されていてもよいアセチレングリコール系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤を挙げることができる。
本実施形態のインク組成物においては、中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。水を主成分とするインク組成物であっても、樹脂基材等の基材に対して濡れ広がり性が良好なインク組成物となる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル等が挙げられる。中でもポリオキシエチレンアルキルエーテルを好ましく用いることができる。水を主成分とするインク組成物であっても、樹脂基材等の基材に対して濡れ広がり性が良好なインク組成物となる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルは、例えば、ノニオンP−208、P−210、P−213、E−202S、E−205S、E−215、K−204、K−220、S−207、S−215、A−10R、A−13P、NC−203、NC−207(日本油脂(株)製)、エマルゲン106、108、707、709、A−90、A−60(花王(株)製)、フローレンG−70、D−90(共栄社化学(株)製)、ポエムJ−0081HV(理研ビタミン(株)製)、アデカトールNP−620、NP−650、NP−660、NP−675、NP−683、NP−686、アデカコールCS−141E、TS−230E((株)アデカ製)等、ソルゲン30V、40、TW−20、TW−80、ノイゲンCX−100(第一工業製薬(株)製)等が例示される。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテル、フッ素化アルキル親水性基含有オリゴマー、フッ素化アルキルエステル付加重合物、等が挙げられ、中でもノニオン性ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテルを含有することがより好ましい。基材に対する濡れ広がり性をより優れたものとすることができる。
ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテルを含有することにより、水を主成分とする本実施形態のインク組成物であっても静的表面張力を大きく下げる効果を有するため、静的表面張力を好ましい範囲にすることができる。そのため、本実施形態のインク組成物に含有される界面活性剤として、ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテルを含有する界面活性剤を用いることが好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファック(DIC株式会社製)、サーフロン(AGCセイミケミカル社製)、フタージェント(ネオス社製)等を挙げることができる。
ポリシロキサン系界面活性剤としては、有機変性ポリシロキサン系のノニオン性界面活性剤が好ましく、本発明においては、中でもポリエーテル基を有するポリエーテル基変性ポリシロキサン化合物を好ましく用いることができる。
ポリシロキサン化合物は、市販品としては、例えば、FZ−2122、FZ−2110、FZ−7006、FZ−2166、FZ−2164、FZ−7001、FZ−2120、SH 8400、FZ−7002、FZ−2104、8029 ADDITIVE、8032 ADDITIVE、57 ADDITIVE、67 ADDITIVE、8616 ADDITIVE(いずれも、東レ・ダウコーニング社製)、KF−6012、KF−6015、KF−6004、KF−6013、KF−6011、KF−6043、KP−104、110、112、323、341、(いずれも、信越化学(株)製)、BYK−300/302、BYK−301、BYK−306、BYK−307、BYK−320、BYK−325、BYK−330、BYK−331、BYK−333、BYK−337、BYK−341、BYK−342、BYK−344、BYK−345/346、BYK−347、BYK−348、BYK−349、BYK−375、BYK−377、BYK−378、BYK−UV3500、BYK−UV3510、BYK−310、BYK−315、BYK−370、BYK−UV3570、BYK−322、BYK−323、BYK−3455、BYK−Silclean3700(いずれも、ビックケミー社製)、シルフェイスSAG503A、シルフェイスSJM−002、シルフェイスSJM−003(いずれも、日信化学工業(株)製)、TEGO Twin 4000、TEGO Twin 4100、TEGO Wet 240、TEGO Wet 250、TEGO Wet 240、(いずれも、エボニック社製)等を挙げることができる。
ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレントリベンジルフェニルエーテル(例えば、花王(株)製、エマルゲンB66)等を挙げることができる。
アルキレンオキサイド非変性アセチレングリコール系界面活性剤としては、具体的には、2,5−ジメチル−3−ヘキシン−2,5−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、3−ヘキシン−2,5−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオール等が挙げられる。又、市販品としては、サーフィノール61、82、104(いずれも、エアープロダクツ社製)等を用いることができる。
アルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤としては、具体的には、サーフィノール420、440、465、485、TG、2502、ダイノール604、607(いずれも、エアープロダクツ社製)、サーフィノールSE、MD−20、オルフィンE1004、E1010、PD−004、EXP4300、PD−501、PD−502、SPC(いずれも、日信化学工業(株)製)、アセチレノールEH、E40、E60、E81、E100、E200(いずれも、川研ファインケミカル(株)製)等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。界面活性剤の含有量は、インク混和性や洗浄性、流路内壁への濡れ性、インクジェット吐出性に合わせて適宜調整され、インク組成物100質量部中、好ましくは0.05質量部以上、より好ましくは0.1質量部以上含有される。又、インク組成物100質量部中、好ましくは5質量部以下、3質量部以下含有される。
[その他の添加剤]
本実施形態のインク組成物には、必要に応じて、更に、従来公知の添加剤を含んでもよい。添加剤としては、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、消泡剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、電荷調整剤、湿潤剤等の公知の添加剤が任意成分として挙げられる。
<インク組成物の製造方法>
本実施形態のインク組成物を製造する方法は、色材と、樹脂と、水と有機溶剤とを含有する溶剤と、を混合することによりインク組成物を製造する製造方法を挙げることができる。
例えば、有機溶剤、水、色材、樹脂、界面活性剤及び必要に応じてその他の成分を添加して調製する方法、水と有機溶剤とを含有する溶剤に、色材と分散剤を加えて分散した後、樹脂、界面活性剤及び必要に応じてその他の成分を添加して調製する方法、水と有機溶剤とを含有する溶剤に色材と樹脂と界面活性剤と必要に応じてその他の成分を添加した後、色材を分散して調製する方法等が挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本実施形態の記録用インク組成物を用いたインクジェット記録方法において、基材は特に制限されず、上記に記載した通り、吸収性基材、低吸収性基材、及び非吸収性基材のいずれも好適に用いることができる。
本実施形態のインク組成物を用いたインクジェット記録方法(以下、単にインクジェット記録方法と表記することがある。)は、特に限定されるものではないが、例えば、基材上にインクジェット方式にて本実施形態のインク組成物を吐出するインクジェット記録方法を挙げることができる。本実施形態のインク組成物を用いることにより、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置の部材適性が良好でメンテナンス性に優れたインクジェット記録方法を実現することができる。又、本実施形態のインク組成物は、樹脂基材に吐出した場合であっても、基材に対しても濡れ広がり性は良好である。
本実施形態のインク組成物は、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等のいずれのインクジェット記録装置にも適用することができる。いずれの方式のインクジェット記録装置においても、インクカートリッジ内のインク組成物中の樹脂エマルジョンが増粘・凝集、あるいは塗膜化することによるインクジェット記録装置の流路内やインクジェットヘッドの流路やノズルの詰まりを抑制することができ、又、インクの物性の変化によって吐出性が悪くなることを抑制することができる。
中でも、本実施形態のインク組成物は、圧力発生素子として圧電振動子を用い、圧電振動子の変形により圧力室内を加圧・減圧してインク滴を吐出させる方式であるピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いられることが好ましい。
ピエゾ方式は、サーマル方式と比べて、高速で流体(インク組成物)を往復動作させる距離が長い。又、近年のインクジェット方式の高密度高精度化によりノズルに連結する流路の幅も狭くなり、ノズル孔は縮小及び高密度化している。そのため、ピエゾ方式によりインク組成物を吐出した場合には、インク組成物の吐出に不具合が起こる可能性が高くなってきている。水を主成分とするインク組成物であって、更に樹脂エマルジョンや他の成分(例えば色材)を含有するインク組成物は、インク組成物に含有される水の蒸発(揮発)によってインクジェット記録装置におけるヘッドの内部やノズルの近傍にインク組成物に含有される成分が析出物として発生する可能性が水を主成分としないインク組成物と比較して高くなる傾向がある。
しかしながら、本実施形態のインク組成物は水の他に有機溶剤として炭素数7以下のアルカンジオールが前記有機溶剤100質量部中30質量部以上含有する。これらの水以外の有機溶媒を含有することにより、本実施形態のインク組成物をピエゾ方式のインクジェット記録装置に用いたとしても、インクジェット記録装置におけるヘッドの内部やノズルの近傍に析出物が発生することを抑制することができ、吐出安定性に優れたものとすることができる。
インクジェット印刷方法の形式は特に限定されず、シリアルヘッド型のインクジェット方式であっても、ラインヘッド型のインクジェット方式であってもよい。
<印刷物の製造方法>
本実施形態の記録用インク組成物を用いて印刷物を製造することができる。例えば上記に記載したインクジェット方式にて基材の表面に吐出する工程を含む印刷物の製造方法を挙げることができる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<インク組成物の調整>
色材(顔料分散体)、樹脂(樹脂エマルジョン)、水(イオン交換水)と有機溶剤を用いて下記のように実施例、比較例のインク組成物を調整した。顔料分散体、樹脂(樹脂エマルジョン)、の調整方法を下記に示す。
1.顔料分散体の調整
下記方法により、顔料分散剤を調製した。
100℃に保たれたトルエン200g中にメタクリル酸メチル63g、アクリル酸ブチル27g、メタクリル酸ブチル30g、アクリル酸15g、メタクリル酸15g、とtert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート3.6gとの混合物を1.5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃で2時間反応させた後冷却して、樹脂溶液を得た。樹脂溶液から樹脂をヘキサンにて精製して、質量平均分子量20000、酸価143mgKOH/gの顔料分散剤を得た。
水(イオン交換水)80gに、上記で得られた顔料分散樹脂2.5gと、N,N−ジメチルアミノエタノール0.6gを溶解させ、C.I.ピグメントレッド122を15gと消泡剤(エアープロダクツ社製「サーフィノール104PG」)を0.05g加え、ジルコニアビーズを用いてペイントシェーカーにて分散し、顔料分散体1を得た。
上記顔料分散体1の製造において、C.I.ピグメントレッド122をC.I.ピグメントブルー15:3に置き換えて同様にして顔料分散体2を得た。同様に、上記顔料分散体1の製造において、C.I.ピグメントイエロー155に置き換えて同様にして顔料分散体3を得た。同様に、上記顔料分散体1の製造において、C.I.ピグメントブラック7に置き換えて同様にして顔料分散体4を得た。
2.樹脂エマルジョンの調整
2−1.樹脂エマルジョン1の調整
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)0.75g、過硫酸カリウム0.04g、メタクリル酸1gと純水150gを仕込み、25℃にて攪拌し混合した。これに、メタクリル酸メチル60g、アクリル酸メチル45g、スチレン22.5g、αメチル−スチレン22.5gの混合物を滴下してプレエマルジョンを調製した。又、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)3g、過硫酸カリウム0.01gと純水200gを70℃にて攪拌し混合した。その後、調製した前記プレエマルジョンを3時間かけてフラスコ内に滴下した。70℃で更に3時間加熱熟成した後冷却し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpHを8となるよう調整し、#150メッシュ(日本織物製)にて濾過し、固形分30質量%、500gの樹脂エマルジョン1(ガラス転移温度76℃、酸価4mgKOH/g、平均粒子径90nm)を得た。
2−2.樹脂エマルジョン2の調整
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)0.75g、過硫酸カリウム0.04g、アクリル酸2g、メタクリル酸2gを仕込み、25℃にて攪拌し混合した。これに、メタクリル酸ブチル37g、アクリル酸メチル38g、メタクリル酸メチル71gの混合物を滴下してプレエマルジョンを調製した。又、機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、反応性界面活性剤(花王(株)製、商品名:ラテムルPD−104)3g、過硫酸カリウム0.01gと純水200gを70℃にて攪拌し混合した。その後、調製した前記プレエマルジョンを3時間かけてフラスコ内に滴下した。70℃で更に3時間加熱熟成した後冷却し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpHを8となるよう調整し、#150メッシュ(日本織物製)にて濾過し、固形分30質量%、500gの樹脂エマルジョン2(ガラス転移温度54℃、酸価19mgKOH/g、平均粒子径100nm)を得た。
2−3.水溶性樹脂1の調整
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えたフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、メチルエチルケトン100gを加え、75℃に加温した。
そこに、メタクリル酸ブチル60g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル20g、アクリル酸2g、アゾビスイソブチロニトリル0.5g、とメチルエチルケトン50gの混合物を滴下し、加熱還流した。冷却後、メチルエチルケトンを除去し、イオン交換水とN,N−ジメチルエタノールアミンでpHを8となるよう調整し、水溶性樹脂1(質量平均分子量70000、酸価155mgKOH/g、固形分30質量%)を得た。
3.インクの調製
顔料分散体、樹脂エマルジョン、水溶性溶媒、界面活性剤、イオン交換水を用いて表1のインク組成物を調整した。
Figure 2019199621
<評価>
[画質評価試験]
実施例及び比較例のインク組成物について印字を行い、各項目の評価を行った。具体的には、OKトップコート+(コート紙;王子製紙(株)製)、及びIMAGin JT5829R(ポリ塩化ビニルフィルム;MACtac社製)上にインクジェット記録装置にて解像度720×720dpiで印刷を行い、印刷物を80℃に加温したヒーター上で5分間乾燥した。次いで、乾燥処理後のインク膜の状態を目視にて評価した。評価結果を表1に示す(表1中、「画質」と表記。)。
評価基準は下記のとおりとした。A、Bが実使用範囲である。
A:ハジキやムラが起きずに均一で平滑なインク膜である。
B:局所的にハジキ、ムラがあるが、画像品質への影響が少ない。
C:ハジキ、ムラが部分的にあり、画像品質への影響が大きい。
D:ハジキ、ムラが顕著でインク膜が形成できない。
[耐水性試験]
実施例及び比較例に係るインク組成物により印刷された印刷物について、耐水性試験を行った。具体的には、上記の画質評価試験の条件で、印字率100%のベタ印字を上記のコート紙上に行い、ベタ印字部分を100℃3分間乾燥した試験片を、イオン交換水で拭き、目視で印刷物を確認した。評価結果を表1に示す(表1中、「耐水性」と表記。)。
評価基準は下記のとおりとした。A、Bが実使用範囲である。
A:印刷物に変化は見られなかった。
B:印刷物の色がわずかに薄くなっていた。
C:印刷物の色が明らかに薄くなっていた。
[密着性試験]
実施例及び比較例に係るインク組成物により印刷された印刷物について、密着性試験を行った。具体的には、上記の画質評価試験の条件で、印字率100%のベタ印字を上記の塩化ビニル上に行い、次いで、乾燥したインク膜表面へセロハンテープを圧着して90°剥離した際のインク膜の状態を目視で評価した。評価結果を表1に示す(表1中、「密着性」と表記。)。
評価基準は下記のとおりとした。A、Bが実使用範囲である。
A:剥離が全くない。
B:インク膜の剥離面積が、試験面積全体の20%未満である。
C:インク膜の剥離面積が、試験面積全体の20%以上である。
[乾燥性試験]
実施例及び比較例で得られたインク組成物について、具体的には、上記の画質評価試験の条件で、印字率100%のベタ印字を上記のコート紙及び塩化ビニル上に行った。インク膜を指触して、インク組成物が付着しなくなるまでの乾燥時間を測定し、評価を行った。評価結果を表1に示す(表1中、「乾燥性」と表記。)。
評価基準は下記のとおりとした。A、Bが実使用範囲である。
A:5分以内にインク組成物の付着がなくなる。
B:10分以内にインク組成物の付着がなくなる。
C:インク組成物の乾燥に10分以上を必要とする。
表1より、本発明のインク組成物は、インク組成物が樹脂基材等の基材に対しても濡れ広がり性が良好なインク組成物であり、様々な基材に対しても好適に用いることができるインク組成物であることが分かる。

Claims (9)

  1. 水と有機溶剤とを含有する溶剤と、樹脂と、界面活性剤と、を含有し、
    前記水はインク組成物100質量部中50質量部以上であり、
    前記樹脂の少なくとも一部は、樹脂エマルジョンとして含有し、
    前記有機溶剤には炭素数7以下のアルカンジオールが前記有機溶剤100質量部中30質量部以上含有され、
    25℃における静的表面張力が26mN/m以下であるインク組成物。
  2. 樹脂基材に用いられる請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、フッ素系界面活性剤、及びポリシロキサン系界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤を含有する請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. 前記溶剤は2−ピロリドンを含有する請求項1から3のいずれかに記載のインク組成物。
  5. 前記炭素数7以下のアルカンジオールは、2−メチル−1,3−ペンタンジオール及び/又は2−メチル−1,3−プロパンジオールを含有する請求項1から4のいずれかに記載のインク組成物。
  6. 前記界面活性剤は、ポリオキシアルキレンフッ素化アルキルエーテルである請求項1から5のいずれかに記載のインク組成物。
  7. インクジェット方式にて基材の表面に吐出する請求項1から6のいずれかに記載のインク組成物。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出するインクジェット記録方法。
  9. 請求項1から7のいずれかに記載のインク組成物を、インクジェット方式にて基材の表面に吐出する工程を含む印刷物の製造方法。
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