JP2019199557A - リグニン誘導体 - Google Patents
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Abstract
Description
上記リン酸(塩)基の含有割合は、消費された原料のリン酸化合物が全てリグニンへ付加するものとして、リン酸化合物の消費率に基づき算出することができる。リン酸化合物の消費率は、反応原料として用いたリン酸化合物の残存量から求めることができ、リン酸化合物の残存量は、後述する実施例に記載のLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
なお、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、オキシアルキレン基の数ではなく、(ポリ)アルキレングリコール鎖の数に基づき算出する。例えば原料としてリグニンと(ポリ)アルキレングリコール含有化合物を用いてリグニン誘導体を製造する場合、リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、リグニン100モル%に対して反応した(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の割合(モル%)に相当する。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、消費された原料の(ポリ)アルキレングリコール含有化合物が全てリグニンへ付加するものとして、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の消費率に基づき算出することができる。(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の消費率は、反応原料として用いた(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の残存量から求めることができ、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の残存量は、後述する実施例に記載のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
リグニン誘導体の重量平均分子量は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記Zの1価の官能基としては、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性官能基;アミノ基等のカチオン性官能基のいずれかが好ましい。より好ましくは、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基のいずれかである。
上記リグニン誘導体は、上記式(1)で表される構造を複数有するが、それら複数の構造におけるR1、X及びYは、同一でも異なっていてもよい。
すなわち本発明のリグニン誘導体は、リン酸(塩)基及び(ポリ)アルキレングリコール鎖とリグニンとがそれぞれ2価の連結基を介して結合した構造であることが好ましい。
上記2価の連結基は、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。炭素、水素以外の原子としては硫黄原子、窒素原子、酸素原子等のヘテロ原子が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の2価の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1の2価の炭化水素基、すなわち、メチレン基である。
炭素、水素以外の原子を含む基としては、窒素原子含有基等が好ましい。
本発明のリグニン誘導体における2価の連結基としては、2価の窒素原子含有基であることが好ましい。
2価の窒素原子含有基としては、下記式(2);
W1、W2における2価の連結基としては、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。
W1、W2における2価の連結基として好ましくは炭素数1〜18の炭化水素基である。
上記炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1〜2である。
上記炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アリール基等から水素原子を1つ引き抜いて得られる2価の基等が挙げられる。
上記炭化水素基の中でも好ましくはアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基であり、更に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
W1として特に好ましくはメチレン基であり、W2として特に好ましくはエチレン基である。
R2における炭素数1〜5の1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基等が挙げられる。上記R2における炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。
R2における炭化水素基として好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。
R2として好ましくは水素原子である。
−OPO3M2 (3)
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、又は、有機アミン基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記一価金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。三価金属原子としては、アルミニウム、鉄等が挙げられる。有機アミン基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン及びフェニルアミン等の第一級アミン由来の基;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン及びジフェニルアミン等の第二級アミン由来の基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン及びトリフェニルアミン等の第三級アミン由来の基;およびエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の基が挙げられる。
上記Mとして好ましくは水素原子、一価金属原子であり、より好ましくは水素原子である。
−(R3O)n−R4 (4)
(式中、R3は、同一又は異なって、アルキレン基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。R4は、水素原子又は1価の有機基を表す。)で表される基であることが好ましい。
なお、上記式(4)中、R3は、「同一又は異なって、」アルキレン基を表すが、これは、(ポリ)アルキレングリコール鎖中にn個存在するR3Oのアルキレン基が全て同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。
上記炭化水素基としては例えばアルキル基、アルキレン基、アリール基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。炭化水素基の炭素数としては、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15であり、更に好ましくは1〜10であり、特に好ましくは1〜4である。
R4としては、水素原子が好ましい。
上記式(4)中、nは、1〜300であることが好ましい。より好ましくは、2〜250であり、更に好ましくは、5〜200である。
本発明はまた、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体を製造する方法であって、上記製造方法は、リグニンとリン酸化合物と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行う工程を含む製造方法でもある。
重量平均分子量は、GPC分析法を用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記Mは、式(3)におけるMと同様である。
R5における炭素数1〜8の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、特に制限されないが、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、チオール基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。中でも好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基である。
R5として好ましくは水素原子である。すなわち、上記リン酸化合物は第1級アミノ基を有するものであることが好ましい。
2価の連結基として好ましくは、上記W2と同様の炭素数1〜18の炭化水素基である。
(ポリ)アルキレングリコール含有化合物が第1級又は第2級アミノ基を有するものである場合、(ポリ)アルキレングリコール鎖がアミノ基に1つ結合した1級アミン化合物であってもよく、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基がアミノ基に2つ結合した2級アミン化合物であってもよく、(ポリ)アルキレングリコール鎖と置換基を有していてもよい炭素数1〜8の主鎖を有する炭化水素基とが1つずつアミノ基に結合した2級アミン化合物であってもよい。
上記(ポリ)アルキレングリコール含有化合物としては、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基がアミノ基に1つ結合した1級アミン化合物であることが好ましい。
このような化合物として例えば下記式(6);
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物として好ましくは、下記式(7);
xとしては、1〜200が好ましく、より好ましくは1〜180であり、更に好ましくは1〜160である。
yとしては、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜70であり、更に好ましくは1〜40である。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物として具体的には、上記式(7)で表される化合物におけるR8がメチル基、xが19、yが3であるジェファーミン(登録商標)M−1000及び上記式(7)で表される化合物におけるR8がメチル基、xが31、yが10であるジェファーミン(登録商標)M−2070等が挙げられる。
上記式(9)で表される化合物の中でも、下記式(10);
上記R11としては、水素原子であることが好ましい。上記R12としては、水素原子、メチル基、水酸基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。上記pとしては、1〜2の数であることが好ましい。上記qとしては、2〜4の数であることが好ましい。
上記エチレン性不飽和基を有する(ポリ)アルキレングリコール類としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールモノビニルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノビニルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル等の、下記式(11);
上記アルデヒド化合物としては、下記式(13);
R12−CHO (13)
(式中、R12は水素原子又は1価の炭化水素基を表す。)で表されることが好ましい。アルデヒド化合物としてこのような構造の化合物を用いると、リグニン、リン酸化合物、又は、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物に下記式(14);
この場合、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物由来のそれぞれの基とリグニンとがR12より炭素数が1多い2価の炭化水素基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体となる。
式(13)のR12が水素原子である場合、式(13)のアルデヒド化合物はホルムアルデヒドとなる。式(13)のR12が炭素数1〜3の炭化水素基である場合、式(13)のアルデヒド化合物は、それぞれアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナールとなる。
上記(2)の方法の中でも、予めアルデヒド化合物とリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを反応させた後に、該反応生成物とリグニンとを反応させる方法が好ましい。
上記反応工程において好ましくは上記(1)の方法である。
上記リン酸化合物が酸性の化合物である場合には、塩基性物質を用いてpHを調節することができる。
例えば上記リン酸化合物が塩基性の化合物である場合、リン酸化合物を添加することにより反応溶液のpHを塩基性領域とすることができるが、リン酸化合物以外の塩基性物質を用いてpHを調節してもよい。上記リン酸化合物以外の塩基性物質としては、特に制限されないが、例えばナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。反応溶液のpHは、pHメーター(pHメーターD−51:堀場製作所製)により測定することができる。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
上記アルデヒド化合物とリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物との反応生成物と、リグニンとの反応における反応温度は、20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。
これらの反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
反応溶液のpH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムである。
上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
反応原料として用いた(ポリ)アルキレングリコール及びリン酸化合物の残存量は、以下の測定法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム:CAPCELL PAK SCX UG80 5μm(内径4.6mm×長さ250mm、資生堂社製)
カラム温度:40℃
溶媒:水11207g、アセトニトリル7680gの混合溶媒にリン酸132.8g、リン酸二水素ナトリウム二水和物179.7gを溶解させた溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)
リグニン誘導体の重量平均分子量及び(ポリ)アルキレングリコール含有物の残存量は、以下の測定方法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル+GPCオプション(Waters社製)
カラム:TSKgel ガードカラムα(内径6.0×40mm)+α5000+α4000+α3000(各内径7.8×長さ300mm)(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:100mMホウ酸水溶液15170gに水酸化ナトリウム30.4gとアセトニトリル3800gを混合した溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
試料濃度:0.5質量%
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
較正曲線:標準物質として東ソー社製ポリエチレングリコール(Mp=300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470、1010、400)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成
温度:20℃±1℃
相対湿度:60±10%
モルタル配合(W/C40%):C/S/W=535g/1350g/214g
モルタル配合(W/C50%):C/S/W=500g/1350g/250g
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては消泡剤MA−404(BASFジャパン社製)を各試料の固形分に対して40質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。モルタルの調製はJIS−R5201−1997に準拠して次のように行った。ホバート型ミキサー(型番N−50;ホバート社製)を用い、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2速で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。得られたモルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移し、スパチュラで左右各10回かき混ぜた後、直ちにフロー測定板(30cm×30cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、更にモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突き、最後に不足分を補い、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから5分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)及び前記長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。重合体の添加量を適宜変えて以上の操作を繰り返し、フロー値が200mmとなる添加量(標準添加量)を求めた。なお、重合体の添加量は、セメント質量に対する重合体固形分の質量%である。
測定する重合体水溶液をイオン交換水で希釈し、固形分濃度で1質量%溶液とした。この溶液100質量部をふたができる容器に量り採り、マグネチックスターラーで強く撹拌した状態にしてからセメント100質量部を追加し、ふたを閉めてそのまま撹拌を継続した。10分後に混合液の一部を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液およびセメント添加前の上記1質量%重合体水溶液を1質量%HClで10〜20倍程度に希釈し、全有機体炭素濃度計(TOC)で炭素濃度を分析した。吸着率は次のように計算した。
C0:セメント添加前の1質量%重合体水溶液の炭素濃度(ppm)
C10:セメント添加10分後の上澄み液の炭素濃度(ppm)
吸着率(%)=[(C0−C10)/C0]×100
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂と君津産砂との混合物、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:290.0kg/m3、水:154kg/m3、細骨材:859.6kg/m3(混合比は大井川:君津=775.15:84.50)、粗骨材:1014.9kg/m3、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):46%、水/セメント比(重量比)=0.531の配合にて、コンクリート組成物を調製した。なお、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。コンクリート中の連行空気量調整のため、消泡剤であるマイクロエアMA404(BASFジャパン社製)、及び、AE剤であるマイクロエアMA202(BASFジャパン社製)を配合し、連行空気量が4.0〜5.5%になるよう調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値が12cmとなるように重合体の添加量を調整した。なお、スランプ値、および空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。
コンクリートの一体感は、以下のように評価した。
スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材が分離しにくいものは、コンクリートの一体感が良く、モルタル分と骨材が分離しやすいものは、コンクリートの一体感が悪い状態である。以下の基準により、○(良)〜×(悪)の3段階で評価を行った。
○:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が確認されない。
△:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が若干確認される。
×:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が確認される。
500mLセパラブルフラスコにアリルアルコールのエチレンオキシド100モル付加物(以下、PEA−100ともいう)49.09g、システアミン塩酸塩1.39g及び脱イオン水21.04gを仕込んだ。セパラブルフラスコを40℃に昇温し、攪拌しながら60分間窒素置換を行った。次に5.24%過硫酸ナトリウム(NaPS)水溶液10.30gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、40℃で更に150分間撹拌した。 撹拌後、室温まで冷却し、PAGアミン化合物含有組成物を得た。PEA−100の消費率は88%であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水30.96g、30%NaOH水溶液3.84g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.85g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.17gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体1を得た。得られた生成物(リグニン誘導体1)の重量平均分子量は30,000であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水30.34g、30%NaOH水溶液3.99g、37%ホルムアルデヒド水溶液1.13g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.35gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体2を得た。得られた生成物(リグニン誘導体2)の重量平均分子量は30,200であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水29.12g、30%NaOH水溶液4.30g、37%ホルムアルデヒド水溶液1.70g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.69gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体3を得た。得られた生成物(リグニン誘導体3)の重量平均分子量は33,700あった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体4を得た。得られた生成物(リグニン誘導体4)の重量平均分子量は36,800であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水21.35g、30%NaOH水溶液6.27g、37%ホルムアルデヒド水溶液5.30g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル2.89gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体5を得た。得られた生成物(リグニン誘導体5)の重量平均分子量は41,000であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物33.75g(PAGアミン化合物15.77g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体6を得た。得られた生成物(リグニン誘導体6)の重量平均分子量は38,200であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物15.00g(PAGアミン化合物7.00g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体7を得た。得られた生成物(リグニン誘導体7)の重量平均分子量は39,400であった。
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水31.57g、30%NaOH水溶液3.68g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.56g及び、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)をセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体8を得た。得られた生成物(リグニン誘導体8)の重量平均分子量は25,900であった。
実施例1〜3及び比較例1で得られたリグニン誘導体について、上記方法により、モルタル試験におけるリグニン誘導体の標準添加量(モルタル配合(W/C40%))及びセメント吸着率を測定した。結果を表1に示す。
実施例2、4〜7及び比較例1で得られたリグニン誘導体並びに比較例4としてポリカルボン酸系減水剤(LA110)について、上記方法により、モルタル試験におけるリグニン誘導体の標準添加量(モルタル配合(W/C50%))及びセメント吸着率を測定した。更に上記方法により、コンクリートの一体感を評価した。結果を表2に示す。
Claims (11)
- 構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有することを特徴とするリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体は、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とがそれぞれ2価の連結基を介してリグニンと結合した構造を有することを特徴とする請求項1に記載のリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体におけるリン酸(塩)基の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリグニン誘導体。
- 前記リグニン誘導体は、重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリグニン誘導体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のリグニン誘導体を含むことを特徴とするセメント混和剤。
- 請求項6に記載のセメント混和剤とセメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
- リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体を製造する方法であって、
該製造方法は、リグニンとリン酸化合物と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行う工程を含むことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。 - 前記リン酸化合物は、アミノ基を有するものであることを特徴とする請求項8に記載のリグニン誘導体の製造方法。
- 前記(ポリ)アルキレングリコール含有化合物は、アミノ基を有するものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のリグニン誘導体の製造方法。
- 前記原料は、更にアルデヒド化合物を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のリグニン誘導体の製造方法。
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