JP2019199557A - リグニン誘導体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 セメント組成物等に用いた場合のモルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができるリグニン誘導体を提供する。【解決手段】 構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有することを特徴とするリグニン誘導体。【選択図】なし

Description

本発明は、リグニン誘導体に関する。より詳しくは、植物から得られるリグニンを原料として得られ、セメント添加剤等の用途に使用可能なリグニン誘導体に関する。
リグニンは、木材等の植物系バイオマスの3大主成分のうちの一つ(3大主成分:セルロース、ヘミセルロース、リグニン)であり、天然の芳香族ポリマーとして地球上に最も豊富に存在している。リグニンの構造については、光合成(一次代謝)により同化された炭素化合物が更なる代謝(二次代謝)を受けることで合成されるフェニルプロパノイドのうち、p−クマリルアルコール・コニフェニルアルコール・シナピルアルコールという3種類の基本骨格であるリグニンモノマーが、ラッカーゼ・ペルオキシダーゼ等の酸化酵素により一電子酸化され、フェノキシラジカルとなり、これが不定形にラジカルカップリングすることにより、複雑な三次元網目構造をとっている。
上述のように、リグニンの分子構造は複雑であり、また、植物体から単離する際の単離方法によりリグニンの化学的特性が大きく変化すること、及び、リグニンが基本的には疎水性物質であり、難水溶性であること等の理由により、これまでリグニンの工業材料としての利用は限られていた。
しかし一方で、安価に入手可能なリグニンを工業的に利用すべく、種々の検討がなされており、例えば、特許文献1には、リグニンと(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級又は2級アミン化合物由来のアミノ基とが2価の連結基を介して結合した構造を有することを特徴とするリグニン誘導体が開示されている。また、特許文献2には、リグニン誘導体の製造方法であって、該製造方法は、リグニンと有機化合物とを反応させる第1工程と、第1工程の反応生成物と第1工程の有機化合物とは異なる有機化合物とを反応させる第2工程とを含み、該第1工程及び第2工程は、一方を酸性条件下で、他方をアルカリ性条件下で行うことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法が開示されている。更に特許文献3には、リグニン誘導体の製造方法であって、該製造方法は、アルカリ性条件下でリグニンに極性基を導入する第1工程と、酸性条件下で第1工程の反応生成物に芳香環含有側鎖を導入する第2工程を含むことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法が開示されている。
特開2016−121321号公報 特開2016−196416号公報 特開2016−196540号公報
上述のとおり、種々のリグニン誘導体及びその製造方法が開示されているが、従来のリグニン誘導体は、セメント組成物等に用いた場合のモルタル分と骨材との分離が生じるという問題があり、改善の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、セメント組成物等に用いた場合のモルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができるリグニン誘導体を提供することを目的とする。
本発明者は、リグニン誘導体について種々検討したところ、リグニンにリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを導入したリグニン誘導体がセメント組成物等におけるモルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体である。
上記リグニン誘導体は、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とがそれぞれ2価の連結基を介してリグニンと結合した構造を有することが好ましい。
上記リグニン誘導体におけるリン酸(塩)基の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることが好ましい。
上記リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることが好ましい。
上記リグニン誘導体は、重量平均分子量が1,000〜100,000であることが好ましい。
本発明はまた、上記リグニン誘導体を含むセメント混和剤でもある。
本発明はまた、上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物でもある。
本発明は更に、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体の製造方法であって、該製造方法は、リグニンとリン酸化合物と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行う工程を含むリグニン誘導体の製造方法でもある。
上記リン酸化合物は、アミノ基を有するものであることが好ましい。
上記(ポリ)アルキレングリコール含有化合物は、アミノ基を有するものであることが好ましい。
上記原料は、更にアルデヒド化合物を含むことが好ましい。
本発明のリグニン誘導体は、上述の構成よりなり、セメント組成物等におけるモルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができるため、セメント混和剤、セメント組成物等に好適に用いることができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
本発明のリグニン誘導体は、構造中にリン酸(塩)基を有する。上記リグニン誘導体は、リン酸(塩)基を有することによりキレート能に優れ、セメント等への架橋がより充分なものとなるため、セメント組成物等の粘度が好適な範囲となり、モルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができると推定される。また本発明のリグニン誘導体は、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有することにより、セメント分散性やセメントへの吸着性にも優れる。したがって本発明のリグニン誘導体は、優れたセメント分散性やセメントへの吸着性を発揮しつつ、モルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができるため、セメント混和材等に好適に用いることができる。
本発明のリグニン誘導体は、構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するものであれば、特に制限されず、リグニン由来の芳香環にリン酸(塩)基、(ポリ)アルキレングリコール鎖が直接結合していても、連結基を介して結合していてもよい。リグニンの分子は、複雑な三次元網目構造を有する大きな分子であり、1つのリグニン分子中にリン酸(塩)基、(ポリ)アルキレングリコール鎖と結合しうる反応サイトは複数存在する。このため、1つのリグニン分子中に複数のリン酸(塩)基、(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合しうるが、本発明のリグニン誘導体は、少なくとも1つのリン酸(塩)基及び少なくとも1つの(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合していればよく、リグニンに結合するリン酸(塩)基及び(ポリ)アルキレングリコール鎖の数は特に制限されない。また、リグニン分子中の反応サイトにおいて、リン酸(塩)基、(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合する位置も特に制限されず、全ての反応サイトにおいて、同じ位置でリン酸(塩)基、(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合していてもよく、異なる位置で結合していてもよい。
上記リグニン誘導体におけるリン酸(塩)基の含有割合は、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることが好ましい。これによりセメント組成物等におけるモルタル分と骨材との分離をより充分に抑制することができる。また、セメント分散性やセメントへの吸着性もより向上させることができる。より好ましくは3〜40モル%であり、更に好ましくは5〜35モル%であり、特に好ましくは5〜30モル%である。
上記リン酸(塩)基の含有割合は、消費された原料のリン酸化合物が全てリグニンへ付加するものとして、リン酸化合物の消費率に基づき算出することができる。リン酸化合物の消費率は、反応原料として用いたリン酸化合物の残存量から求めることができ、リン酸化合物の残存量は、後述する実施例に記載のLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
上記リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることが好ましい。これによりセメント組成物等に用いた場合の分散性がより向上する。より好ましくは1〜40モル%であり、更に好ましくは1〜30モル%であり、特に好ましくは1〜20モル%である。
なお、上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、オキシアルキレン基の数ではなく、(ポリ)アルキレングリコール鎖の数に基づき算出する。例えば原料としてリグニンと(ポリ)アルキレングリコール含有化合物を用いてリグニン誘導体を製造する場合、リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、リグニン100モル%に対して反応した(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の割合(モル%)に相当する。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合は、消費された原料の(ポリ)アルキレングリコール含有化合物が全てリグニンへ付加するものとして、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の消費率に基づき算出することができる。(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の消費率は、反応原料として用いた(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の残存量から求めることができ、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の残存量は、後述する実施例に記載のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができる。
本発明のリグニン誘導体は、重量平均分子量が1,000〜100,000であるものが好ましい。リグニン誘導体がこのような重量平均分子量を有するものであると、後述するセメント混和剤としてより好適なものとなる。リグニン誘導体の重量平均分子量は、より好ましくは、1,500〜80,000であり、更に好ましくは、2,000〜60,000である。
リグニン誘導体の重量平均分子量は、GPCを用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
本発明のリグニン誘導体の構造中の、リン酸(塩)基及び/又は(ポリ)アルキレングリコール鎖が結合した反応サイトは、下記式(1);
Figure 2019199557
(式中、Rは、水素原子又はアルコキシ基を表し、ベンゼン環に複数結合していてもよい。Xは、直接結合又は2価の連結基を表す。Yは、リン酸(塩)基又は(ポリ)アルキレングリコール鎖を表す。Zは、水素原子又は1価の官能基を表す。)で表される構造であることが好ましい。
上記式(1)において、リグニン誘導体の反応サイトのリグニン由来のベンゼン環とXで表される2価の連結基又はリン酸(塩)基若しくは(ポリ)アルキレングリコール鎖とが結合する位置は特に制限されないが、リグニン誘導体が有する複数の反応サイトのうち少なくとも1つは、水酸基のオルト位で、Xで表される2価の連結基又はリン酸(塩)基若しくは(ポリ)アルキレングリコール鎖と結合していることが好ましい。
上記Rとしては、水素原子、炭素数1〜18のアルコキシ基のいずれかが好ましい。より好ましくは、水素原子、炭素数1〜2のアルコキシ基のいずれかである。
上記Zの1価の官能基としては、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基等のアニオン性官能基;アミノ基等のカチオン性官能基のいずれかが好ましい。より好ましくは、水酸基、スルホン酸基、カルボン酸基のいずれかである。
上記リグニン誘導体は、上記式(1)で表される構造を複数有するが、それら複数の構造におけるR、X及びYは、同一でも異なっていてもよい。
上記式(1)で表される構造におけるXは2価の連結基であることが好ましい。
すなわち本発明のリグニン誘導体は、リン酸(塩)基及び(ポリ)アルキレングリコール鎖とリグニンとがそれぞれ2価の連結基を介して結合した構造であることが好ましい。
上記2価の連結基は、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。炭素、水素以外の原子としては硫黄原子、窒素原子、酸素原子等のヘテロ原子が挙げられる。
2価の炭化水素基としては、炭素数1〜18の2価の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、炭素数1〜4の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1の2価の炭化水素基、すなわち、メチレン基である。
炭素、水素以外の原子を含む基としては、窒素原子含有基等が好ましい。
本発明のリグニン誘導体における2価の連結基としては、2価の窒素原子含有基であることが好ましい。
2価の窒素原子含有基としては、下記式(2);
Figure 2019199557
(式中、Wは、直接結合又は2価の連結基を表す。Wは、2価の連結基を表す。Rは、水素原子又は炭素数1〜5の1価の炭化水素基を表す。)で表される基が挙げられる。
、Wにおける2価の連結基としては、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。
、Wにおける2価の連結基として好ましくは炭素数1〜18の炭化水素基である。
上記炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜5であり、より好ましくは1〜3であり、更に好ましくは1〜2である。
上記炭化水素基としては、例えばアルキル基、アルキレン基、アリール基等から水素原子を1つ引き抜いて得られる2価の基等が挙げられる。
上記炭化水素基の中でも好ましくはアルキレン基であり、より好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基であり、更に好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基である。
として特に好ましくはメチレン基であり、Wとして特に好ましくはエチレン基である。
における炭素数1〜5の1価の炭化水素基としては、アルキル基、アルキレン基、アリール基等が挙げられる。上記Rにおける炭化水素基の炭素数として好ましくは1〜3であり、より好ましくは1〜2である。
における炭化水素基として好ましくはアルキル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基である。
として好ましくは水素原子である。
上記リン酸(塩)基は、下記式(3);
−OPO (3)
(式中、Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、又は、有機アミン基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記一価金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。二価金属原子としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。三価金属原子としては、アルミニウム、鉄等が挙げられる。有機アミン基としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン及びフェニルアミン等の第一級アミン由来の基;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジ−tert−ブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン及びジフェニルアミン等の第二級アミン由来の基;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン及びトリフェニルアミン等の第三級アミン由来の基;およびエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン由来の基が挙げられる。
上記Mとして好ましくは水素原子、一価金属原子であり、より好ましくは水素原子である。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖は、下記式(4);
−(RO)−R (4)
(式中、Rは、同一又は異なって、アルキレン基を表す。nは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。Rは、水素原子又は1価の有機基を表す。)で表される基であることが好ましい。
上記式(4)中、Rで表されるアルキレン基は、炭素数2〜18のアルキレン基であることが好ましい。より好ましくは、炭素数2〜8のアルキレン基であり、更に好ましくは、炭素数2又は3のアルキレン基である。炭素数2又は3のアルキレン基である場合、(ポリ)アルキレングリコール鎖は、(ポリ)エチレングリコール鎖又は(ポリ)プロピレングリコール鎖となる。
なお、上記式(4)中、Rは、「同一又は異なって、」アルキレン基を表すが、これは、(ポリ)アルキレングリコール鎖中にn個存在するROのアルキレン基が全て同一であってもよく、異なっていてもよいことを意味する。
上記式(4)中、Rが1価の有機基である場合、1価の有機基としては、炭素数1〜30の炭化水素基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては例えばアルキル基、アルキレン基、アリール基等が挙げられる。これらの中でも、アルキル基が好ましい。炭化水素基の炭素数としては、1〜20が好ましく、より好ましくは1〜15であり、更に好ましくは1〜10であり、特に好ましくは1〜4である。
としては、水素原子が好ましい。
上記式(4)中、nは、1〜300であることが好ましい。より好ましくは、2〜250であり、更に好ましくは、5〜200である。
本発明はまた、リン酸化合物とリグニンと(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行って得られるリグニン誘導体でもある。このような原料を用いて反応を行うことで、構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体を得ることができる。
本発明はまた、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体を製造する方法であって、上記製造方法は、リグニンとリン酸化合物と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行う工程を含む製造方法でもある。
上記製造方法は、リン酸化合物とリグニンとを反応させる工程と、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とリグニンとを反応させる工程とを含むことが好ましく、その場合、上記リン酸化合物とリグニンとを反応させる工程と、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とリグニンとを反応させる工程とを同時に行っても、別々に行ってもよい。上記2つの工程を別々に行う場合、その順序も特に制限されないが、リン酸化合物とリグニンとを反応させる工程を先に行うことが好ましい。
上記リグニン誘導体の製造方法においては、上記リン酸化合物とリグニンとを反応させる工程と、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とリグニンとを反応させる工程と同時に行うことが好ましい。すなわち、リン酸化合物とリグニンと(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを同時に反応させることが好ましい。
本発明のリグニン誘導体の原料となるリグニンは特に制限されず、針葉樹や広葉樹由来の木本系リグニンであってもよく、草本系リグニンであってもよい。また、蒸解方法も特に制限されず、アルカリ蒸解で得られるアルカリリグニン(リグニンアルカリ)、クラフト蒸解で得られるクラフトリグニン、酢酸蒸解で得られる酢酸リグニン、サルファイト蒸解で得られるリグニンスルホン酸のいずれを用いてもよい。本発明のリグニン誘導体においては、リグニン由来の水酸基、スルホン酸基等の官能基を利用してリン酸(塩)基を導入しても、利用せずに導入してもよい。したがって、本発明のリグニン誘導体の製造方法では、原料となるリグニン由来の官能基の種類や量に依存せず、リン酸(塩)基を導入することができるため、様々な蒸解方法により得られたリグニンを利用することができる。上記リグニン誘導体の原料となるリグニンとして好ましくは、アルカリリグニン、クラフトリグニン、酢酸リグニンである。
本発明のリグニン誘導体の原料となるリグニンの重量平均分子量は特に限定されないが、例えば、重量平均分子量1,000〜80,000のリグニンを使用することが好ましい。より好ましくは、重量平均分子量1,500〜60,000のリグニンであり、更に好ましくは、重量平均分子量2,000〜40,000のリグニンである。
重量平均分子量は、GPC分析法を用い、後述する実施例に記載の条件により測定することができる。
上記原料に含まれるリン酸化合物は、リン酸(塩)基を有し、かつ、リグニン由来の構造に直接結合又は他の化合物を介して結合できるものであれば特に制限されないが、アミノ基を有するものであることが好ましい。後述するとおり、上記原料が更にアルデヒド化合物を含む場合、アミノ基を有するリン酸化合物がアルデヒド化合物と縮合反応し、リグニンとリン酸(塩)基とがアルデヒド化合物由来の2価の連結基を介して結合することとなる。
上記アミノ基としては、第1〜3級アミノ基若しくはこれらの酸中和物又は第4級アンモニウム塩基が挙げられる。アミノ基を有するリン酸化合物としては、これらの少なくともいずれかのアミノ基とリン酸(塩)基とを有するものであればよいが、第1級又は第2級アミノ基とリン酸(塩)基とを有する化合物が好ましい。中でも、下記式(5);
Figure 2019199557
(式中、Rは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の炭化水素基を表す。Wは、2価の連結基を表す。Mは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、又は、有機アミン基を表す。)で表される化合物であることがより好ましい。
上記Mは、式(3)におけるMと同様である。
における炭素数1〜8の炭化水素基が有していてもよい置換基としては、特に制限されないが、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、アミド基、チオール基等が挙げられる。
上記炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基等が挙げられる。中でも好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜8のアルキル基である。
として好ましくは水素原子である。すなわち、上記リン酸化合物は第1級アミノ基を有するものであることが好ましい。
上記Wにおける2価の連結基は、特に制限されず、炭化水素基であってもよく、炭素、水素以外の原子を含む基であってもよい。
2価の連結基として好ましくは、上記Wと同様の炭素数1〜18の炭化水素基である。
上記アミノ基を有するリン酸化合物としては、例えば、リン酸二水素−アミノメチル、リン酸二水素2−アミノエチル、リン酸二水素3−アミノプロピル、リン酸二水素4−アミノブチル等が挙げられる。中でも好ましくは、リン酸二水素2−アミノエチルである。
上記原料に含まれる(ポリ)アルキレングリコール含有化合物は、(ポリ)アルキレングリコール鎖を有し、かつ、リグニン由来の構造に直接結合又は他の化合物を介して結合できるものであれば特に制限されないが、アミノ基を有するものであることが好ましい。後述するとおり、上記原料が更にアルデヒド化合物を含む場合、アミノ基を有する(ポリ)アルキレングリコール含有化合物がアルデヒド化合物と縮合反応し、リグニンと(ポリ)アルキレングリコール鎖とがアルデヒド化合物由来の2価の連結基を介して結合することとなる。
上記アミノ基としては、第1〜3級アミノ基若しくはこれらの酸中和物又は第4級アンモニウム塩基が挙げられ、好ましくは第1級又は第2級アミノ基である。
(ポリ)アルキレングリコール含有化合物が第1級又は第2級アミノ基を有するものである場合、(ポリ)アルキレングリコール鎖がアミノ基に1つ結合した1級アミン化合物であってもよく、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基がアミノ基に2つ結合した2級アミン化合物であってもよく、(ポリ)アルキレングリコール鎖と置換基を有していてもよい炭素数1〜8の主鎖を有する炭化水素基とが1つずつアミノ基に結合した2級アミン化合物であってもよい。
上記(ポリ)アルキレングリコール含有化合物としては、(ポリ)アルキレングリコール鎖含有基がアミノ基に1つ結合した1級アミン化合物であることが好ましい。
このような化合物として例えば下記式(6);
Figure 2019199557
(式中、Rは、式(4)におけるRと同様である。Rは、水素原子、炭素数1〜30の炭化水素基又はアミノ基を表す。mは、オキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1〜300の数である。)で表される化合物等が挙げられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物として好ましくは、下記式(7);
Figure 2019199557
(式中、R及びmは、上記(6)におけるR及びmと同様である。Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基を表す。)で表される化合物等が挙げられる。上記Rにおける炭化水素基は特に制限されないが、アルキル基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。Rとして好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。上記式(7)で表される化合物におけるm個のRが、すべて同一である場合、Rは、水素原子であることが好ましい。
上記式(7)で表される化合物におけるm個のRが、異なる場合、上記式(7)で表される化合物として好ましくは下記式(8);
Figure 2019199557
(式中、xは、1〜200の数である。yは、1〜100の数である。Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜16のアルキル基を表す。)で表される化合物である。上記Rとしては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基である。
xとしては、1〜200が好ましく、より好ましくは1〜180であり、更に好ましくは1〜160である。
yとしては、1〜100が好ましく、より好ましくは1〜70であり、更に好ましくは1〜40である。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物として具体的には、上記式(7)で表される化合物におけるRがメチル基、xが19、yが3であるジェファーミン(登録商標)M−1000及び上記式(7)で表される化合物におけるRがメチル基、xが31、yが10であるジェファーミン(登録商標)M−2070等が挙げられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物が上記式(6)で表される化合物である場合、市販品を用いてもよいが、例えば、特表平8−505082号公報に記載の方法と同様のアミン化合物へのアルキレンオキシドの付加反応又は特表2008−543955号公報に記載の方法と同様の(ポリ)アルキレングリコール類とアミン化合物との反応等により製造したものを用いてもよい。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖含有化合物の製造に用いられるアミン化合物としては、特に制限されないが、アンモニア;エチルアミン等の炭素数1〜8のモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン等の炭素数2〜16のジアルキルアミン;2−アミノエタノール、2−プロパノールアミン等の炭素数1〜8のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等の炭素数2〜16のジアルカノールアミン;2−(メチル)アミノエタノール等の炭素数2〜16のアルキルアルカノールアミン;1,3−ジアミノ−2−プロパノール等の炭素数2〜8のジアミノアルカノール;1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン;化学式HO−C−NH−C−NH若しくはHO−C−(NHC)n−NHを満たす化合物;エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン等の炭素数2〜16のアルキレンジアミン;ビス(2−アミノエチル)アミン等の炭素数2〜16のジアルキレントリアミン;尿素等の炭素数1〜8のカルバミド化合物;システアミン、システアミン塩酸塩等の炭素数1〜8のアミノアルカンチオール及びこれの酸による中和物等が挙げられる。
上記(ポリ)アルキレングリコール類としては、特に制限されないが、(ポリ)エチレングリコール等の(ポリ)アルキレングリコール;メトキシ(ポリ)エチレングリコール等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール;エチレン性不飽和基を有する(ポリ)アルキレングリコール;エポキシ基を有する(ポリ)アルキレングリコール等が挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、特に制限されないが、アルキレン基の具体例及び好ましい例は、上述の式(4)におけるアルキレン基と同様である。
(ポリ)アルキレングリコール鎖含有化合物としては、下記式(9);
Figure 2019199557
(式中、R、nは、式(4)のR、nと同様である。R、R10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基、水酸基、カルボン酸基を表す。R11は、水素原子又は1価の有機基を表す。pは、1〜4の数である。qは、2〜5の数である。)で表される化合物であることもまた、好ましい実施形態の1つである。なお、R、R10において、「同一又は異なって」とは、上記式(9)で表される化合物において複数存在するR及びR10がそれぞれ、同一であっても異なっていてもよく、また、RとR10とが同一であっても異なっていてもよいことを意味する。上記R11における1価の有機基としては、炭素数1〜30の炭化水素基等が挙げられる。
上記式(9)で表される化合物の中でも、下記式(10);
Figure 2019199557
(式中、R、R11、n、p、qは、式(9)の、R、R11、n、p、qと同様である。R12は、水素原子、炭素数1〜2のアルキル基、水酸基を表す。)で表される化合物であることがより好ましい。
上記R11としては、水素原子であることが好ましい。上記R12としては、水素原子、メチル基、水酸基であることが好ましく、より好ましくは水素原子又はメチル基である。上記pとしては、1〜2の数であることが好ましい。上記qとしては、2〜4の数であることが好ましい。
上記(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物が上記式(9)で表される化合物である場合、例えば、チオール基を有するアミン化合物とエチレン性不飽和基を有する(ポリ)アルキレングリコール類とのエン−チオール反応又はチオール基を有するアミン化合物とエポキシ基を有する(ポリ)アルキレングリコール類との反応等により(ポリ)アルキレングリコール鎖を有する1級アミン化合物を製造することができる。
上記チオール基を有するアミン化合物としては、例えば、システアミン、システイン等の、カルボン酸基等の置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアミノアルカンチオール等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和基を有する(ポリ)アルキレングリコール類としては、例えば、(ポリ)エチレングリコールモノビニルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノビニルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、(ポリ)エチレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノ(3−メチル−3−ブテニル)エーテル、メトキシ(ポリ)エチレングリコール(メタ)アリルエーテル等の、下記式(11);
Figure 2019199557
(式中、rは、0〜3の数である。R、R11、nは、式(9)のR、R11、nと同様である。R13は、水素原子又は炭素数1〜2のアルキル基を表す。)で表される化合物が挙げられる。
上記エポキシ基を有する(ポリ)アルキレングリコール類としては、(ポリ)エチレングリコールモノグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールモノグリシジルエーテル等の、下記式(12);
Figure 2019199557
(式中、sは、1〜4の数である。R、R11、nは、式(9)のR、R11、nと同様である。)で表される化合物が挙げられる。
上記反応工程における原料は、更にアルデヒド化合物を含むことが好ましい。
上記アルデヒド化合物としては、下記式(13);
12−CHO (13)
(式中、R12は水素原子又は1価の炭化水素基を表す。)で表されることが好ましい。アルデヒド化合物としてこのような構造の化合物を用いると、リグニン、リン酸化合物、又は、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物に下記式(14);
Figure 2019199557
(式中、R12は、式(13)のR12と同様である。)で表される基が導入された中間体を経て、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物由来のそれぞれの基とリグニンとが2価の炭化水素基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体を製造することができる。
この場合、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物由来のそれぞれの基とリグニンとがR12より炭素数が1多い2価の炭化水素基を介して結合した構造を有するリグニン誘導体となる。
式(13)中、R12としては、水素原子又は炭素数1〜17の炭化水素基が好ましい。より好ましくは、水素原子又は炭素数1〜3の炭化水素基であり、特に好ましくは、水素原子である。R12が水素原子であって、リン酸化合物又は(ポリ)アルキレングリコール含有化合物がアミノ基を有するものである場合、リグニンとリン酸化合物又は(ポリ)アルキレングリコール含有化合物由来のアミノ基とがメチレン基を介して結合した構造のリグニン誘導体を製造することができる。
式(13)のR12が水素原子である場合、式(13)のアルデヒド化合物はホルムアルデヒドとなる。式(13)のR12が炭素数1〜3の炭化水素基である場合、式(13)のアルデヒド化合物は、それぞれアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブタナールとなる。
上記反応工程における原料が上記アルデヒド化合物を含む場合、(1)リン酸化合物、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物、リグニン及びアルデヒド化合物を同時に反応させても、(2)予めアルデヒド化合物をリグニンと反応させた後、又は、予めアルデヒド化合物をリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物と反応させた後、該反応生成物を、リグニン、又は、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物と反応させてもよい。(2)の方法において、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物をアルデヒド化合物、又は、アルデヒド化合物とリグニンとの反応生成物と反応させる方法としては、リン酸化合物及と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを同時にアルデヒド化合物、又は、上記反応生成物と反応させても、別々に反応させてもよい。
上記(2)の方法の中でも、予めアルデヒド化合物とリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを反応させた後に、該反応生成物とリグニンとを反応させる方法が好ましい。
上記反応工程において好ましくは上記(1)の方法である。
上記反応工程において、リン酸化合物の重量は、リグニン1000gに対して10〜1000gであることが好ましい。このような重量のリン酸化合物を付加させることで、得られるリグニン誘導体が、リン酸(塩)基を有することの効果をより充分に発揮することができる。リン酸化合物の重量は、より好ましくは10〜750gであり、更に好ましくは10〜500gであり、特に好ましくは10〜300gであり、最も好ましくは10〜200gである。
上記反応工程におけるリン酸化合物の量はまた、アルデヒド化合物100モル%に対して、10〜300モル%であることが好ましい。より好ましくは、50〜200モル%であり、更に好ましくは、80〜120モル%ある。
上記反応工程において、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の重量は、リグニン1000gに対して10〜100000gであることが好ましい。このような重量のリン酸化合物を付加させることで、得られるリグニン誘導体が、(ポリ)アルキレングリコール鎖を有することの効果をより充分に発揮することができる。(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の重量は、より好ましくは50〜50000gであり、更に好ましくは100〜10000gであり、特に好ましくは250〜4000gであり、最も好ましくは400〜2500gである。
上記反応工程における(ポリ)アルキレングリコール含有化合物の量はまた、アルデヒド化合物100モル%に対して、10〜300モル%であることが好ましい。より好ましくは、50〜200モル%であり、更に好ましくは、80〜120モル%である。
上記反応工程で用いられる溶媒は、反応が進行する限り特に制限されず、水の他、メタノール、プロパノール、エチレングリコール、ジオキサン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド等の有機溶媒も用いることができる。溶媒として好ましくは水である。
上記反応工程における反応は、反応が進行する限り酸性、塩基性のいずれの条件下で行ってもよいが、好ましくは塩基性条件下である。上記反応を塩基性条件下において行う場合、反応溶液のpHを8〜14として行うことが好ましい。より好ましくは、反応溶液のpHを9〜13として行うことである。
上記リン酸化合物が酸性の化合物である場合には、塩基性物質を用いてpHを調節することができる。
例えば上記リン酸化合物が塩基性の化合物である場合、リン酸化合物を添加することにより反応溶液のpHを塩基性領域とすることができるが、リン酸化合物以外の塩基性物質を用いてpHを調節してもよい。上記リン酸化合物以外の塩基性物質としては、特に制限されないが、例えばナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。反応溶液のpHは、pHメーター(pHメーターD−51:堀場製作所製)により測定することができる。
上記反応工程において、(1)リン酸化合物、(ポリ)アルキレングリコール含有化合物、リグニン及びアルデヒド化合物を同時に反応させる場合、反応温度は、20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
上記反応工程において、(2)予めアルデヒド化合物をリグニンと反応させた後、又は、予めアルデヒド化合物をリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物と反応させた後、該反応生成物を、リグニン、又は、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物と反応させる場合、アルデヒド化合物とリグニン、又は、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物との反応における反応温度は、20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。
また反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
上記アルデヒド化合物とリグニンとの反応生成物と、リン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物との反応における反応温度は20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。
上記アルデヒド化合物とリン酸化合物及び(ポリ)アルキレングリコール含有化合物との反応生成物と、リグニンとの反応における反応温度は、20〜120℃であることが好ましい。より好ましくは、50〜90℃である。
これらの反応時間は、0.5〜40時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜20時間である。
上記製造方法は、上記反応工程後に必要に応じて反応溶液を中和する工程を含んでいてもよい。
反応溶液のpH調整剤としては、特に制限されないが、例えば、ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムである。
本発明のリグニン誘導体は、リグニン由来の構造と、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有することにより、セメント組成物に添加することでセメント組成物におけるモルタル分と骨材との分離を充分に抑制することができ、セメント混和剤として好適に用いることができる。このような、本発明のリグニン誘導体を含むセメント混和剤もまた、本発明の1つである。
上記セメント混和剤とセメントとを含むセメント組成物もまた、本発明の1つである。
上記セメント組成物としては、セメント、水、細骨材、粗骨材等を含むものが好適であり、セメントとしては、ポルトランドセメント(普通、早強、超早強、中庸熱、耐硫酸塩、及びそれぞれの低アルカリ形);各種混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント);白色ポルトランドセメント;アルミナセメント;超速硬セメント(1クリンカー速硬性セメント、2クリンカー速硬性セメント、リン酸マグネシウムセメント);グラウト用セメント;油井セメント;低発熱セメント(低発熱型高炉セメント、フライアッシュ混合低発熱型高炉セメント、ビーライト高含有セメント);超高強度セメント;セメント系固化材;エコセメント(都市ごみ焼却灰、下水汚泥焼却灰の1種以上を原料として製造されたセメント)等の他、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シンダーアッシュ、クリンカーアッシュ、ハスクアッシュ、シリカヒューム、シリカ粉末、石灰石粉末等の微粉体や石膏を添加したもの等が挙げられる。
上記骨材としては、砂利、砕石、水砕スラグ、再生骨材等以外に、珪石質、粘土質、ジルコン質、ハイアルミナ質、炭化珪素質、黒鉛質、クロム質、クロマグ質、マグネシア質等の耐火骨材等が挙げられる。
上記セメント組成物の1mあたりの単位水量、セメント使用量及び水/セメント比(質量比)としては、例えば、単位水量100〜185kg/m、使用セメント量200〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.1〜0.7とすることが好適である。より好ましくは、単位水量120〜175kg/m、使用セメント量250〜800kg/m、水/セメント比(質量比)=0.2〜0.65とすることである。
本発明のセメント混和剤をセメント組成物に使用する場合、その配合割合としては、本発明のセメント混和剤の必須成分であるリグニン誘導体が、固形分換算で、セメント質量の全量100質量%に対して、0.01〜10質量%となるように設定することが好ましい。0.01質量%未満では性能的に充分とはならないおそれがあり、逆に10質量%を超えると、その効果は実質上頭打ちとなり経済性の面からも不利となるおそれがある。より好ましくは0.02〜8質量%であり、更に好ましくは0.05〜6質量%である。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<高速液体クロマトグラフィー(LC)>
反応原料として用いた(ポリ)アルキレングリコール及びリン酸化合物の残存量は、以下の測定法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル(Waters社製)
カラム:CAPCELL PAK SCX UG80 5μm(内径4.6mm×長さ250mm、資生堂社製)
カラム温度:40℃
溶媒:水11207g、アセトニトリル7680gの混合溶媒にリン酸132.8g、リン酸二水素ナトリウム二水和物179.7gを溶解させた溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters 2414)
<ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)>
リグニン誘導体の重量平均分子量及び(ポリ)アルキレングリコール含有物の残存量は、以下の測定方法により測定した。
装置:Waters Alliance 2695(Waters社製)
解析ソフト:Empowerプロフェッショナル+GPCオプション(Waters社製)
カラム:TSKgel ガードカラムα(内径6.0×40mm)+α5000+α4000+α3000(各内径7.8×長さ300mm)(東ソー社製)
カラム温度:40℃
溶媒:100mMホウ酸水溶液15170gに水酸化ナトリウム30.4gとアセトニトリル3800gを混合した溶液
流速:1.0ml/min
試料導入量:100μl
試料濃度:0.5質量%
検出器:示差屈折率計(RI)検出器(Waters社製、Waters 2414)
較正曲線:標準物質として東ソー社製ポリエチレングリコール(Mp=300000、200000、107000、50000、27700、11840、6450、1470、1010、400)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成
<モルタル試験条件>
温度:20℃±1℃
相対湿度:60±10%
モルタル配合(W/C40%):C/S/W=535g/1350g/214g
モルタル配合(W/C50%):C/S/W=500g/1350g/250g
C:普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
S:セメント強さ試験用標準砂(セメント協会製)
W:試料と消泡剤のイオン交換水溶液
とし、Wについては消泡剤MA−404(BASFジャパン社製)を各試料の固形分に対して40質量%加え、更にイオン交換水を加えて所定量とし、充分に均一溶解させた。モルタルの調製はJIS−R5201−1997に準拠して次のように行った。ホバート型ミキサー(型番N−50;ホバート社製)を用い、C、Wを投入し、1速で30秒間混練した。更に1速で混練しながら、Sを30秒かけて投入した。S投入終了後、2速で30秒間混練した後、ミキサーを停止し、15秒間モルタルの掻き落としを行い、その後、75秒間静置した。75秒間静置後、更に2速で60秒間混練を行い、モルタルを調製した。得られたモルタルを混練容器からポリエチレン製1L容器に移し、スパチュラで左右各10回かき混ぜた後、直ちにフロー測定板(30cm×30cm)に置かれたミニスランプコーン(JISマイクロコンクリートスランプコーン、上端内径50mm、下端内径100mm、高さ150mm)に半量詰めて15回突き棒で突き、更にモルタルをミニスランプコーンのすりきりいっぱいまで詰めて15回突き棒で突き、最後に不足分を補い、ミニスランプコーンの表面をならした。その後、最初にミキサーを始動させてから5分30秒後にミニスランプコーンを垂直に引き上げ、広がったモルタルの直径(最も長い部分の直径(長径)及び前記長径に対して90度をなす部分の直径)を2箇所測定し、その平均値をモルタルフロー値とした。重合体の添加量を適宜変えて以上の操作を繰り返し、フロー値が200mmとなる添加量(標準添加量)を求めた。なお、重合体の添加量は、セメント質量に対する重合体固形分の質量%である。
<セメント吸着率>
測定する重合体水溶液をイオン交換水で希釈し、固形分濃度で1質量%溶液とした。この溶液100質量部をふたができる容器に量り採り、マグネチックスターラーで強く撹拌した状態にしてからセメント100質量部を追加し、ふたを閉めてそのまま撹拌を継続した。10分後に混合液の一部を3000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を得た。得られた上澄み液およびセメント添加前の上記1質量%重合体水溶液を1質量%HClで10〜20倍程度に希釈し、全有機体炭素濃度計(TOC)で炭素濃度を分析した。吸着率は次のように計算した。
:セメント添加前の1質量%重合体水溶液の炭素濃度(ppm)
10:セメント添加10分後の上澄み液の炭素濃度(ppm)
吸着率(%)=[(C−C10)/C]×100
<コンクリートの一体感評価>
セメントとして普通ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)、細骨材として大井川水系産陸砂と君津産砂との混合物、粗骨材として青海産砕石、混練水として水道水を用い、セメント:290.0kg/m、水:154kg/m、細骨材:859.6kg/m(混合比は大井川:君津=775.15:84.50)、粗骨材:1014.9kg/m、細骨材率(細骨材/細粗骨材+粗骨材)(容積比):46%、水/セメント比(重量比)=0.531の配合にて、コンクリート組成物を調製した。なお、コンクリート組成物の温度が20℃の試験温度になるように、試験に使用する材料、強制練りミキサー、測定器具類を上記の試験温度雰囲気下で調温し、混練および各測定は上記の試験温度雰囲気下で行った。コンクリート中の連行空気量調整のため、消泡剤であるマイクロエアMA404(BASFジャパン社製)、及び、AE剤であるマイクロエアMA202(BASFジャパン社製)を配合し、連行空気量が4.0〜5.5%になるよう調整した。
上記条件下に強制練りミキサーを用いて混練時間90秒間でコンクリートを製造し、スランプ値が12cmとなるように重合体の添加量を調整した。なお、スランプ値、および空気量の測定は、日本工業規格(JIS−A−1101、1128)に準拠して行った。
コンクリートの一体感は、以下のように評価した。
スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材が分離しにくいものは、コンクリートの一体感が良く、モルタル分と骨材が分離しやすいものは、コンクリートの一体感が悪い状態である。以下の基準により、○(良)〜×(悪)の3段階で評価を行った。
○:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が確認されない。
△:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が若干確認される。
×:スランプ値測定時及び、スコップを用いて練り返したときに、モルタル分と骨材との分離が確認される。
<製造例1>(PAGアミン化合物)
500mLセパラブルフラスコにアリルアルコールのエチレンオキシド100モル付加物(以下、PEA−100ともいう)49.09g、システアミン塩酸塩1.39g及び脱イオン水21.04gを仕込んだ。セパラブルフラスコを40℃に昇温し、攪拌しながら60分間窒素置換を行った。次に5.24%過硫酸ナトリウム(NaPS)水溶液10.30gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、40℃で更に150分間撹拌した。 撹拌後、室温まで冷却し、PAGアミン化合物含有組成物を得た。PEA−100の消費率は88%であった。
<実施例1>(リグニン−PEG−リン酸2モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水30.96g、30%NaOH水溶液3.84g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.85g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.17gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体1を得た。得られた生成物(リグニン誘導体1)の重量平均分子量は30,000であった。
<実施例2>(リグニン−PEG−リン酸4モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水30.34g、30%NaOH水溶液3.99g、37%ホルムアルデヒド水溶液1.13g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.35gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体2を得た。得られた生成物(リグニン誘導体2)の重量平均分子量は30,200であった。
<実施例3>(リグニン−PEG−リン酸10モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水29.12g、30%NaOH水溶液4.30g、37%ホルムアルデヒド水溶液1.70g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル0.69gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体3を得た。得られた生成物(リグニン誘導体3)の重量平均分子量は33,700あった。
<実施例4>(リグニン−PEG−リン酸15モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体4を得た。得られた生成物(リグニン誘導体4)の重量平均分子量は36,800であった。
<実施例5>(リグニン−PEG−リン酸29モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水21.35g、30%NaOH水溶液6.27g、37%ホルムアルデヒド水溶液5.30g、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル2.89gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体5を得た。得られた生成物(リグニン誘導体5)の重量平均分子量は41,000であった。
<実施例6>(リグニン/PEG/リン酸=100/9/15モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物33.75g(PAGアミン化合物15.77g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体6を得た。得られた生成物(リグニン誘導体6)の重量平均分子量は38,200であった。
<実施例7>(リグニン/PEG/リン酸=100/4/15モル%)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水27.48g、30%NaOH水溶液4.72g、37%ホルムアルデヒド水溶液2.46g、PAGアミン化合物含有組成物15.00g(PAGアミン化合物7.00g含有)及び、りん酸二水素2−アミノエチル1.15gをセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体7を得た。得られた生成物(リグニン誘導体7)の重量平均分子量は39,400であった。
<比較例1>(リグニン−PEG)
リグニンアルカリ(重量平均分子量16000、ALDRICH製)11.69g、脱イオン水31.57g、30%NaOH水溶液3.68g、37%ホルムアルデヒド水溶液0.56g及び、PAGアミン化合物含有組成物22.50g(PAGアミン化合物10.51g含有)をセパラブルフラスコへ仕込み、セパラブルフラスコを70℃に昇温し、14時間撹拌した。その後、冷却し、リグニン誘導体8を得た。得られた生成物(リグニン誘導体8)の重量平均分子量は25,900であった。
<実施例8〜10及び比較例2>
実施例1〜3及び比較例1で得られたリグニン誘導体について、上記方法により、モルタル試験におけるリグニン誘導体の標準添加量(モルタル配合(W/C40%))及びセメント吸着率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2019199557
<実施例11〜15及び比較例3、4>
実施例2、4〜7及び比較例1で得られたリグニン誘導体並びに比較例4としてポリカルボン酸系減水剤(LA110)について、上記方法により、モルタル試験におけるリグニン誘導体の標準添加量(モルタル配合(W/C50%))及びセメント吸着率を測定した。更に上記方法により、コンクリートの一体感を評価した。結果を表2に示す。
Figure 2019199557

Claims (11)

  1. 構造中にリン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有することを特徴とするリグニン誘導体。
  2. 前記リグニン誘導体は、リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とがそれぞれ2価の連結基を介してリグニンと結合した構造を有することを特徴とする請求項1に記載のリグニン誘導体。
  3. 前記リグニン誘導体におけるリン酸(塩)基の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のリグニン誘導体。
  4. 前記リグニン誘導体における(ポリ)アルキレングリコール鎖の含有割合が、リグニン部位100モル%に対して1〜50モル%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のリグニン誘導体。
  5. 前記リグニン誘導体は、重量平均分子量が1,000〜100,000であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のリグニン誘導体。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のリグニン誘導体を含むことを特徴とするセメント混和剤。
  7. 請求項6に記載のセメント混和剤とセメントとを含むことを特徴とするセメント組成物。
  8. リン酸(塩)基と(ポリ)アルキレングリコール鎖とを有するリグニン誘導体を製造する方法であって、
    該製造方法は、リグニンとリン酸化合物と(ポリ)アルキレングリコール含有化合物とを含む原料を用いて反応を行う工程を含むことを特徴とするリグニン誘導体の製造方法。
  9. 前記リン酸化合物は、アミノ基を有するものであることを特徴とする請求項8に記載のリグニン誘導体の製造方法。
  10. 前記(ポリ)アルキレングリコール含有化合物は、アミノ基を有するものであることを特徴とする請求項8又は9に記載のリグニン誘導体の製造方法。
  11. 前記原料は、更にアルデヒド化合物を含むことを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のリグニン誘導体の製造方法。
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