JP2019198900A - 姿勢制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】誤判定の発生を抑制し、制御対象物が持ち上げられた状態であることを高い精度で判定することができる姿勢制御装置を提供する。【解決手段】鉛直方向に沿って人型ロボットHR(制御対象物)の重心Gを通る軸を重心軸LG、正立時における鉛直方向に沿って人型ロボットHR(制御対象物)の重心Gを通る軸を基準軸LB、と設定し、基準軸LBから離れた位置に配置された把持部DHと、重心軸LGと基準軸LBとのなす角度(傾斜角θ)を検出する傾斜角検出手段11と、人型ロボットHR(制御対象物)が持ち上げられた状態か否かを判定するECU12(判定手段)と、を備え、ECU12(判定手段)は、傾斜角検出手段11によって検出された角度が、所定の角度範囲RAθ内にある場合に、人型ロボットHR(制御対象物)が持ち上げられた状態であると判定する。【選択図】図7

Description

本発明は、ロボット、および駆動部を有する制御対象物が持ち上げられた状態にあることを検出する姿勢制御装置に関する。
人による持ち運びが可能なロボットには、稼働中に持ち上げられた際に、緊急停止する機能が従来から付与されている。
たとえば、特許文献1では、加速度センサを備え、検出した上下方向の加速度変化から持ち上げられたことを判定し、稼働中の動作を停止させる手法が提案されている。
特開2007−044781号公報
ところで、検出した上下方向の加速度変化から持ち上げられたことを判定する手法には、誤判定をする可能性が高いという問題がある。
たとえば、ロボットが走行移動中に、路面の凹凸を乗り越えた場合に、上下方向の加速度変化が検出されて、持ち上げられたと判定してしまうおそれがある。
また、ロボットをエレベータで移動させる場合に、エレベータの上下移動による加速度変化が検出されて、持ち上げられたと判定してしまうおそれがある。
本発明は、前述の課題に鑑みて創案されたものであり、誤判定の発生を抑制し、制御対象物が持ち上げられた状態であることを高い精度で判定することができる姿勢制御装置を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明に係る姿勢制御装置は、鉛直方向に沿って該制御対象物の重心を通る軸を重心軸、正立時における鉛直方向に沿って制御対象物の重心を通る軸を基準軸、と設定し、該基準軸から離れた位置に配置された把持部と、該重心軸と該基準軸とのなす角度を検出する傾斜角検出手段と、該制御対象物が持ち上げられた状態か否かを判定する判定手段と、を備え、該判定手段は、該傾斜角検出手段によって検出された角度が、所定の角度範囲内にある場合に、該制御対象物が持ち上げられた状態であると判定することを特徴とする。
本発明によれば、誤判定の発生を抑制し、制御対象物が持ち上げられた状態であることを高い精度で判定することができる姿勢制御装置を提供することを目的とする。
本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置を人型ロボットに適用した例を示す前方斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置を人型ロボットに適用した例を示す背面図である。 本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置を人型ロボットに適用した例を示す自由度構成図である。 本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置を示すブロック図である。 本発明の第1実施形態に係る持ち上げ/転倒判定の手順を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態に係る姿勢制御装置を人型ロボットに適用した例を示す左側面図である。 把持部を掴んで人型ロボットを持ち上げた状態を示す左側面図である。 一方の把持部を掴んで人型ロボットを持ち上げた状態を示す背面図である。 本発明の第2実施形態に係る把持部を示す要部拡大図である。 本発明の第3実施形態に係る姿勢制御装置を示すブロック図である。
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
≪第1実施形態≫(図1〜図8参照)
本実施形態の姿勢制御装置1は、様々な状況での人型ロボットHR(制御対象物)の姿勢、体勢を検出するもので、制御システムCSの一部を構成している。
そこでまず、人型ロボットHRの構成について説明する(図1〜図3参照)。
人型ロボットHR(制御対象物)は、人の形を模して作られるとともに、自律的に人の動きを模して動作するロボットで、ヒューマノイドロボット、とも称される。
なお、以下の説明では人型ロボットHRの前後方向をX軸、左右方向をY軸、上下方向をZ軸と、それぞれ定義する。
またX軸周りの回転方向をロール(Roll)、Y軸周りの回転方向をピッチ(Pitch)、Z軸周りの回転方向をヨー(Yaw)と、それぞれ定義する。
人型ロボットHRは、最上部に頭部HR1を備え、頭部HR1を下から首部HR2を介して、胴体部HR3が支えている(図1、図2参照)。
胴体部HR3には、上部の左右側縁に肩部HR4を介して、腕部HR5(右腕部HR5R、左腕部HR5L)が配置されている。
胴体部HR3には、下部の左右側縁に脚部HR6(右脚部HR6R、左脚部HR6L)が配置されている。また、胴体部背面HR3Bには、一対の把持部DHが配置されている。
首部HR2には、3つのモータMが設置されている(図3参照)。
1つ目は、頭部HR1を左右に傾ける(ロール)頭部かしげモータM21である。
2つ目は、頭部HR1を上下方向(ピッチ)に揺動する頭部上下モータM22である。
3つ目は、頭部HR1を左右方向(ヨー)に振る頭部左右モータM23である。
そして、これら3つのモータMが、首関節として機能するとともに、これら3つのモータMを独立、協調して駆動することで、人と同様の頭部の動きが再現される。
肩部HR4には、2つのモータMが設置されている(図3参照)。
1つ目は、腕を左右方向に揺動(ロール)する肩左右モータM41である。
2つ目は、腕を前後方向に揺動(ピッチ)する肩前後モータM42である。
そして、これら2つのモータMが、肩関節として機能するとともに、これら2つのモータMを独立、協調して駆動することで、人と同様の肩の動きが再現される。
腕部HR5には、4つのモータMが設置されている(図3参照)。
1つ目は、上腕部のひねりを行う上腕ひねりモータM51である。
2つ目は、肘の曲げ伸ばしを行う肘モータM52である。
3つ目は、前腕部のひねりを行う前腕ひねりモータM53である。
4つ目は、指で物を掴む動作を行うグリップモータM54である。
そして、これら4つのモータMを独立、協調して駆動することで、人と同様の腕の動きが再現されるとともに、物を掴めるように構成されている。また、腕部HR5の先端には、空転可能な手輪DT4が設置されている。
脚部HR6には、3つのモータMが設置されている(図3参照)。
1つ目は、股関節の曲げ伸ばしを行う股関節モータM61である。
2つ目は、膝の曲げ伸ばしを行う膝モータM62である。
3つ目は、足首の曲げ伸ばしを行う足首モータM63である。
そして、これら3つのモータMを独立、協調して駆動することで、人と同様の脚の動きが再現される。また、脚部HR6の下端には、走行手段DTが配置されている(図1〜図3参照)。
走行手段DTは、脚部HR6の下端に配置された走行モータDT1、駆動輪DT2、従動輪DT3、および腕部HR5の先端に設置された手輪DT4で構成されている。走行手段DTを備えることで、人型ロボットHRは直立姿勢のままで接地面上を走行移動することができる。
走行モータDT1は、駆動手段として、駆動輪DT2を転動する際の駆動力を発生する。
駆動輪DT2は、走行モータDT1と連動して、正転、後転する。
従動輪DT3は、駆動輪DT2による走行移動を補助しつつ、阻害しないように、空転可能に配置されている。従動輪DT3は、たとえばオフセットキャスタ等で構成される。
手輪DT4は、人型ロボットHRが四つん這いの姿勢、しゃがんで手を着いた姿勢等、腕部HR5の先端を接地させた姿勢での走行移動を行う際に使用され、手輪DT4が、腕部HR5と接地面との摩擦抵抗を軽減する。そして、腕部HR5を接地させた姿勢をとることで、直立姿勢の場合よりも安定して走行移動を行うことができる。
一対の把持部DH(左把持部DHL、右把持部DHR)は、たとえば人型ロボットHRを持ち運ぶ際に持ち手として用いられる(図1、図2参照)。
一対の把持部DHは、互いに同様の形状に形成されており、同径の円環形状を備えている。また、一対の把持部DHは、胴体部背面HR3Bに背面視で、基準軸LBを挟んで線対称に配置されている(図2参照)。
つまり、一対の把持部DHは、基準軸LBから前後方向(X軸方向)に離れた位置に配置されている(図6参照)。
さらに、一対の把持部DHは、後述する後方カメラDS4の視野(画角)を遮らない位置、角度で胴体部背面HR3Bに取り付けられている。
このため、一対の把持部DHは、胴体部HR3の背中から翼が生えているかのような態様を呈している。
次に、制御システムCSについて説明する(図4参照)。
制御システムCSは、人の様々な動きを人型ロボットHRに再現させるために、前述の各モータMを独立、協調して駆動するための構成である。制御システムCSは、センサDS、姿勢制御装置1を備えている。そして、制御システムCSは、各センサDSから得た情報を元に、周囲の状況、人型ロボットHRの状態等を判定し、判定結果を各モータMの制御に反映させる。
次に、制御システムCSを構成する様々なセンサについて説明する。
センサDSは、人型ロボットHRの周囲の情報、人型ロボットHRの状態等を把握するための構成で、人型ロボットHRの様々な部位に、様々な種類のセンサDSが配置されている(図1、図2参照)。
頭部HR1には、頭部前方の視覚情報を入手するためのカメラDS1、周囲の聴覚情報(音情報)を入手するためのマイクDS2等が配置されている。
カメラDS1、マイクDS2は、頭部HR1の動きに連動して移動し、前方だけでなく、左右側方の視覚情報、聴覚情報(音情報)等を入手する。
首部HR2には、前方に向けて周囲環境測定用センサDS3が配置されている。
周囲環境測定用センサDS3は、周囲の物体、障害物等との距離を測定する(図1参照)。
胴体部背面HR3Bには、後方カメラDS4が設置されている(図2参照)。
後方カメラDS4は、左把持部DHL、および右把持部DHRの間に設置されている。後方カメラDS4は、たとえば人型ロボットHRが、先導して人を誘導、案内する際に、後方を確認するために使用される。
次に、姿勢制御装置1の構成について説明する。
姿勢制御装置1は、人型ロボットHRの動作中の姿勢を制御するための構成である(図4参照)。姿勢制御装置1は、傾斜角検出手段11、ECU12(Electronic Control Unit)を備えている。
傾斜角検出手段11は、鉛直方向に沿って人型ロボットHR(制御対象物)の重心Gを通る重心軸LGと基準軸LBとのなす角度(傾斜角θ)、および角速度を取得するための構成である。本実施形態では、傾斜角検出手段11として、ジャイロセンサDS5を採用している。
ジャイロセンサDS5は、特定の計測方式に限定されるものではなく、人型ロボットHRが運用される状況、環境、仕様に応じて、振動式、地磁気式、光学式、流体式、機械式等の計測方式から適宜選択される。
なお、本実施形態では、傾斜角検出手段11として、ジャイロセンサDS5を採用しているが、ジャイロセンサDS5に限定するものではなく、傾斜角θ、角速度dθを計測、検出可能な手段であれば、適宜採用することができる。
たとえば、傾斜角の計測に対して、MEMS技術(Micro Electro Mechanical System)を活用した静電容量型の傾斜センサ(図示せず)、電解液技術を活用した抵抗型の傾斜センサ(図示せず)、複数の加速度センサ(図示せず)を組合わせたもの等が、採用可能である。
つまり、人型ロボットHRが運用される状況、環境、仕様に応じて、より適切な計測方式のセンサを適宜選択することができる。
ECU12(判定手段)は、姿勢判定部13、機構制御部14を備えている。また、ECU12は、ジャイロセンサDS5、各モータMに接続されている。
姿勢判定部13は、傾斜角検出手段11(ジャイロセンサDS5)の出力信号からロール軸、ピッチ軸、ヨー軸の回転角度(ロール角、ピッチ角、ヨー角)、および角速度を取得する。また、姿勢判定部13は、取得した回転速度、角速度を元に、持ち上げ/転倒判定を行う。
持ち上げ/転倒判定は、人型ロボットHRが持ち上げられた状態なのか、転倒した状態なのか、どちらでもない状態(たとえば正立した状態)なのか、を判定する。
持ち上げ/転倒判定は、角度判定と、角速度判定とで構成されている。
機構制御部14は、姿勢判定部13による持ち上げ/転倒判定の判定結果を受け、判定結果に応じて、所定のモータMの動作を制御する。
次に、持ち上げ/転倒判定の判定手順について説明する(図6、図7参照)。
本実施形態では、一対の把持部DHの両方を掴んで、人型ロボットHRを持ち上げる場合について説明する。
<角度判定>
角度判定では、把持部DHを掴んで、人型ロボットHRを持ち上げた場合、傾斜角θが所定の角度範囲RAθ内に収まることを利用している。
本実施形態では、傾斜角θは、人型ロボットHRの重心軸LGと基準軸LBとのなす角度、と定義する。
重心軸LGは、鉛直方向(Z軸方向)に沿って人型ロボットHRの重心Gを通る軸、と定義する。
基準軸LBは、静態時における鉛直方向(Z軸方向)に沿って人型ロボットHRの重心Gを通る軸、と定義する。
静態時とは、人型ロボットHRが直立姿勢で接地面上に正立した状態、と定義する。
つまり、静態時には、基準軸LBと重心軸LGが一致する。
傾斜角θのピッチ方向成分(ピッチ角度)をθPと称し、傾斜角θのロール方向成分(ロール角度)をθRと称する。
傾斜角θは、角度φに角度ψを加算した角度(θ=φ+ψ)である。
角度φは、人型ロボットHRが接地面に置かれた状態の姿勢で、ジャイロセンサDS5が検出する角度である。
角度ψは、把持部DHと重心Gを結んだ直線(持ち上げられた状態での重心軸LG)と、基準軸LBとのなす角度である。
なお、静態時は、角度φ=0、角度ψ=θであるため、角度φ、角度ψの図示は省略する。
≪角度判定(ピッチ方向)≫
把持部DHは、基準軸LBに対してX軸方向にずれて配置されているため、人型ロボットHRは、持ち上げた際にY軸周りのピッチ方向に傾く。そこで、ピッチ方向の傾きについて、数式1と数式2とを用いて判定する。
数式1 (θH+Δθ1)≧θP>(θH−Δθ2)
数式2 |θP|>(θH+Δθ1)
角度θHpは、把持部DHを掴んで持ち上げられた際の傾斜角θのピッチ方向の平均値である。
角度Δθ1、Δθ2は、実験などを元に、あらかじめ設定された角度(>0)である。
たとえば、角度Δθ1、Δθ2には、把持部DHを掴んで持ち上げる際に、把持部DHの掴み方、掴む部位によって生じる角度のばらつきを設定する。
数式1が成立した場合は、ピッチ方向について、持ち上げられた状態にあると判定し、数式2が成立した場合は、ピッチ方向について、転倒状態であると判定する。
また、数式1、数式2がともに不成立の場合は、ピッチ方向について、接地面上に立っている状態、たとえば正立状態と判定する。
≪角度判定(ロール方向)≫
接地面の傾きが所定の角度を超えると、人型ロボットHRは正立できずに転倒してしまう。そこで、ロール方向の傾きについて、数式3を用いて判定する。
数式3 |θR|>Δθ3
角度Δθ3は、実験などを元に、あらかじめ設定された角度(>0)である。
たとえば、角度Δθ3は、これ以上大きくなると、人型ロボットHRがロール方向に正立できない角度(立っていられない角度)に設定される。
数式3が成立した場合は、ロール方向について、転倒状態であると判定し、数式3が不成立の場合は、ロール方向について、正立状態であると判定する。
≪角度判定(結果判定)≫
ピッチ方向、ロール方向の少なくともどちらか一方が転倒状態と判定した場合、人型ロボットHRとしては転倒状態にあると判定する。
ピッチ方向が持ち上げられた状態と判定され、ロール方向が正立状態と判定された場合、人型ロボットHRとしては持ち上げられた状態と判定する。
ピッチ方向、ロール方向の両方が正立状態と判定された場合、人型ロボットHRとしては正立状態と判定する。
<角速度判定>
角速度判定では、角度判定で検出された傾斜角θ(姿勢角)が、通常の制御状態の中で検出されたものか、否かを判定する。
たとえば、持ち上げられる途中の状態、倒れる途中の状態等で検出されたものなのか、否か、を判定する。
角速度判定は、検出された角度、角速度の大きさで判断する。
角速度判定は、静止状態、および通常の制御状態で検出される角速度dθが、持ち上げられる際、転倒する際など、に検出される場合ほど大きくならないことを利用している。
ジャイロセンサDS5が検出する角速度dθのピッチ方向成分(ピッチ角速度)をdθPと称し、角速度dθのロール方向成分(ロール角速度)をdθRと称する。
数式4 |θP|<Δθ4
数式5 |θR|<Δθ5
数式6 |dθP|<Δdθ6
数式7 |dθR|<Δdθ7
数式4〜7の全てが成立した場合、姿勢判定部13は、姿勢を制御できている、通常の制御状態にあると判定する。
また、数式4〜7のうち、いずれか1つでも不成立の場合、姿勢判定部13は、姿勢を制御できていない、非制御下状態にあると判定する。
Δθ4、Δθ5、Δdθ6、Δdθ7は持ち上げ検出システムに対して設定された角度、角速度(>0)である。
たとえば、角度Δθ4は、これ以上大きくなると、人型ロボットHRがピッチ方向に正立できない角度(立っていられない角度)に設定される。
角度Δθ5は、これ以上大きくなると、人型ロボットHRがロール方向に正立できない角度に設定される。
角速度Δdθ6は、通常の制御状態では、人型ロボットHRの姿勢がこれ以上早くピッチ方向に変化することはない角速度に設定される。
角速度Δdθ7は、通常の制御状態では、人型ロボットHRの姿勢がこれ以上早くロール方向に変化することはない角速度に設定される。
なお、角速度の代わりに加速度を用いて、通常の制御状態であるか否かの判定を行う手法を用いることが可能であり、同様の作用効果が得られる。
<最終判定>
最終判定では、角度判定の判定結果と角速度判定の判定結果から、人型ロボットHRがどのような状態なのかを判定する。
角度判定で正立状態、角速度判定で通常制御と判定された場合、人型ロボットHRは、接地面上に正立している、と判定する。
角度判定で正立状態、角速度判定で非制御下と判定された場合、人型ロボットHRは、正立した姿勢で持ち上げられている、と判定する。
角度判定で持ち上げられた状態、角速度判定で通常制御と判定された場合、人型ロボットHRは、接地面上にある(たとえば、障害物にもたれ掛かった状態)、と判定する。
角度判定で持ち上げられた状態、角速度判定で非制御下と判定された場合、人型ロボットHRは、持ち上げられている、と判定する。
角度判定で転倒状態、角速度判定で通常制御と判定された場合、人型ロボットHRは、接地面上にある(たとえば、転倒後の状態)、と判定する。
角度判定で転倒状態、角速度判定で非制御下と判定された場合、人型ロボットHRは、転倒している、と判定する。
次に、姿勢判定部13による持ち上げ/転倒判定の流れをフローチャートFLで説明する(図5参照)。
まず、ステップS1では、ジャイロセンサDS5の出力信号から、人型ロボットHRのロール軸、ピッチ軸、ヨー軸の回転角度、角速度を取得する。
ステップS2では、角度判定を行う。
角度判定を行い、正立状態と判定した場合には、ステップS3へ移行し、持ち上げられた状態、または転倒状態と判定した場合には、ステップS13へ移行する。
ステップS3では、姿勢判定部13は、角速度判定を行う。
角速度判定を行い、通常の制御状態と判定した場合には、正立していると最終判定して、正立信号を出力し(ステップS5)、処理を終了する。
また、角速度判定で、通常の制御状態ではないと判定した場合には、持ち上げられていると最終判定し、ステップS4へ移行する。
ステップS4では、姿勢判定部13は、保持する持ち上げ状態変数を更新して、持ち上げ信号を機構制御部14へ送信し、処理を終了する。
ステップS13では、持ち上げられた状態か、転倒状態か、の判定を行う。
持ち上げられた状態と判定した場合には、ステップS14へ移行し、転倒状態と判定した場合には、ステップS24へ移行する。
ステップS14では、姿勢判定部13は、角速度判定を行う。
角速度判定を行い、通常の制御状態と判定した場合には、接地面上にあると最終判定して、ステップS15へ移行する。
角速度判定で、通常の制御状態ではないと判定した場合には、持ち上げられていると最終判定し、持ち上げ信号を出力し(ステップS16)、処理を終了する。
ステップS15では、姿勢判定部13は、保持する持ち上げ状態変数を更新して、接地信号を機構制御部14へ送信し、処理を終了する。
ステップS24では、姿勢判定部13は、角速度判定を行う。
角速度判定を行い、通常の制御状態と判定した場合には、接地面上にあると最終判定し、ステップS25へ移行する。
角速度判定で、通常の制御状態ではないと判定した場合には、転倒していると最終判定し、転倒信号を出力し(ステップS26)、処理を終了する。
ステップS25では、姿勢判定部13は、保持する持ち上げ状態変数を更新して、接地信号を機構制御部14へ送信し、処理を終了する。
次に、第1実施形態の姿勢制御装置1の作用効果について説明する。
本実施形態では、把持部DHが人型ロボットHR(制御対象物)の基準軸LBからX軸方向へ離れた位置(人型ロボットHRの胴体部背面HR3B)に配置されている。
そして、把持部DHを掴んで、人型ロボットHRを持ち上げた場合、重心軸LGと基準軸LBとのなす傾斜角θが所定の角度範囲RAθ内に収まる。
そこで、ECU12(判定手段)は、傾斜角θが所定の角度範囲RAθ内に収まっている場合には、人型ロボットHRが持ち上げられた状態であると判定している。
これによって、誤判定の発生を抑制し、人型ロボットHR(制御対象物)が持ち上げられた状態であることを高い精度で検出することができる。
本実施形態では、傾斜角検出手段11として、ジャイロセンサDS5を採用している。ジャイロセンサDS5は、姿勢制御を行う際に、一般的に広く用いられるセンサであるため、重心軸LGと基準軸LBとのなす角度を検出するために、専用のセンサを新たに設置する必要がない。
このため、コストの増大、および人型ロボットHR(制御対象物)の大型化をもたらすことなく、持ち上げられた状態を高い精度で検出することができる。
本実施形態では、ECU12(判定手段)は、傾斜角検出手段11の検出した角度の絶対値が、所定の角度範囲RAθの絶対値よりも大きい場合に、転倒状態と判定している。そして、転倒状態を正確に検出できることで、転倒時の制御(起きあがり動作等)へ速やかに移行することができる。
これによって、倒れた状態で動作を継続することによる故障等を防止することができる。
なお、本実施形態では、説明の都合で前後方向の傾きについてのみ説明したが、左右方向の傾き(ロール方向の傾き)についても考慮することが可能である。
たとえば、把持部DHの左右どちらか一方のみを掴んで持ち上げるような場合には、前後方向だけでなく、左右方向にも傾斜する(図8参照)。そして、左右方向の傾きについても、前後方向の傾きと同様に、所定の角度範囲に収まる。
このため、前後方向の傾きと左右方向の傾きを合わせて考慮することで、把持部DHの一方を掴んで持ち上げるような場合であっても、持ち上げられた状態をより高い精度で判定することができる。
また、本実施形態では、説明の都合で直立姿勢での持ち上げについて説明したが、直立姿勢に限定するものではない。
たとえば、上体を傾けたお辞儀姿勢、床の上にしゃがんだ姿勢等、直立姿勢以外の様々な姿勢のまま持ち上げられた場合についても、それぞれの姿勢での傾斜角θの角度範囲を設定することができる。
このため、姿勢が変わることで重心の位置が変わる場合であっても、本願の作用効果を得ることができる。
また、本実施形態では、持ち上げられる制御対象物を人型ロボットHRとしているが、本願発明は、このような形態の物品に限定するものではない。
たとえば、犬のように四本脚で歩行する動物型ロボット(図示せず)、自律走行型掃除機(図示せず)等、様々な形態の物品を制御対象物とすることが可能であり、同様の作用効果が得られる。
つまり、本発明は、第1実施形態の構成に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
<第2実施形態>(図9参照)
次に、姿勢制御装置1の第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。 前述の姿勢制御装置1と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
前述の第1実施形態と大きく異なる構成は、把持部DHの取付形態である。
前述の第1実施形態の把持部DHは、人型ロボットHRの背面に固定された状態で設置されている。これに対して、本実施形態の把持部DHは、人型ロボットHRの背面にピッチ方向へ揺動可能な状態で設置されている。
把持部DHは、把持基体DH1、把持本体DH2を備えている。
把持基体DH1は、人型ロボットHRの背面に固定されている。また、把持基体DH1は、軸支孔DH1a、揺動円弧DH1bを備えている。
軸支孔DH1aは、把持基体DH1を貫通する貫通孔で構成されている。
揺動円弧DH1bは、軸支孔DH1aを中心とする円弧状に貫通するスリットで構成されている。
把持本体DH2は、環形状を備えている。また、把持本体DH2は、支軸DH2a、円弧軸DH2bを備えている。
支軸DH2aは、軸周りに回転可能に、軸支孔DH1aに支持されている。
円弧軸DH2bは、揺動円弧DH1b内を円弧に沿って移動可能に構成されている。
そして、把持本体DH2は、支軸DH2aを介して、把持基体DH1に揺動可能に軸支され、把持本体DH2が揺動する際に、円弧軸DH2bが揺動円弧DH1b内を移動する。
つまり、揺動円弧DH1bによって、把持本体DH2の揺動範囲が規定されている。
また、把持本体DH2は、揺動円弧DH1bの他端側から一端側に向かって、捻りバネ(図示せず)等によって、付勢保持されている。
このため、通常運用時には、把持本体DH2は、揺動範囲の一端(図9における右側端部)に位置している。
また、持ち上げられた際には、把持本体DH2は、揺動範囲の他端(図9における左側端部)に移動する。
つまり、把持部DHは、正立時の形態と、持ち上げられた状態での形態とが異なるように、胴体部背面HR3Bに組み付けられている。
次に、持ち上げ/転倒判定の判定手順の変更点について説明する。
人型ロボットHRを持ち上げる際に、一対の把持部DHの両方を掴んで持ち上げる手順は、本実施形態においても、前述の第1実施形態と同様である。
また、持ち上げ/転倒判定が、角度判定(持ち上げ状態確認)と、角速度判定(姿勢情報の比較)とで構成されている点も、第1実施形態と同様である。
持ち上げ/転倒判定で異なる点は、ピッチ方向の角度判定で用いる数式である。
本実施形態では、数式1の代わりに数式8、数式2の代わりに数式9をそれぞれ用いて判定を行う。
なお、数式8、数式9のζは、一対の把持本体DH2を掴んで持ち上げた際に、把持本体DH2が揺動することで変化する傾斜角の変化分である。
数式8 (θH+ζ+Δθ1)≧θP>(θH+ζ−Δθ2)
数式9 |θP|>(θH+ζ+Δθ1)
次に、第2実施形態の姿勢制御装置1の作用効果について説明する。
本実施形態では、把持部DHは、正立時の形態と、持ち上げられた状態での形態とが異なるように、胴体部背面HR3Bに組み付けられている。
つまり、把持部DHを掴んで人型ロボットHR(制御対象物)を持ち上げた際に、重心軸LGと基準軸LBとのなす傾斜角θが、ピッチ方向に変化するように、把持部DHは組み付けられている。
このように構成することで、持ち上げられた状態での傾斜角θを、通常の制御状態(自律運用状態)では発生頻度の低い姿勢の角度に設定することができる。
これによって、通常の制御状態では、持ち上げられたのと同様の姿勢が発生し難くなるため、誤判定をさらに抑制することができる。
また、これによって、通常の制御状態(自律運用状態)では、腕部HR5の動きを妨げない位置、カメラDS1の画角を遮らない位置、に把持部DHを設置することができる。
<第3実施形態>(図10参照)
次に、姿勢制御装置1の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。 前述の姿勢制御装置1と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
前述の第1実施形態と大きく異なる構成は、ECU12が警報手段15を備えている点である。警報手段15は、姿勢判定部13、機構制御部14に接続されている。
警報手段15は、人型ロボットHRが持ち上げられたり、転倒したことを周囲に報知するための構成である。
警報手段15は、警報部15a、スピーカ15bを備えている。
警報部15aは、ECU12から持ち上げ信号、転倒信号等の信号を受信した場合、受信した信号に応じて、あらかじめ用意されたメニューから警報を出力する。警報部15aは、持ち上げ、転倒信号を受信してから、設定された時間が経過するまでに接地信号を受信しない場合等、あらかじめ設定された条件を満たした場合に、警報を出力する。
スピーカ15bは、警報部15aからの出力を警報音、および音声として流し、周囲に知らせる。
なお、本実施形態の警報手段15では、報知手段として、聴覚に訴えるスピーカ15bを備えているが、これに限定するものではない。
たとえば、視覚に訴える報知手段を併せて備えることも可能である。視覚に訴える報知手段として、胴体部HR3等の一部、または全体を発光、点滅させたり、文字情報をモニターに表示させる構成とすることが可能である。
また、警報部15aは、外部のモニタリングシステム(図示せず)に警報信号を出力し、警備員に知らせる手法をとることも可能である。
さらに、警報のレベルに応じて、人型ロボットHRが保有するソフトウェア、データなどの情報を消去したり、人型ロボットHRが起動できなくしたりすることも可能である。
なお、警報は、特定の手順による操作によって解除される。
次に、第3実施形態の姿勢制御装置1の作用効果について説明する。
本実施形態では、ECU12が警報手段15を備えている。
このような構成とすることで、人型ロボットHRが、持ち上げられたと判定された場合に、警報を発することができる。
これによって、部外者等による人型ロボットHRの持ち去り、盗難を防止することができる。
また、人型ロボットHRが、転倒したと判定された場合に、警報を発することができる。
これによって、溝に嵌ったり、障害物に引っ掛かったまま倒れてしまい、自力で起きあがれなくなった場合に、倒れたままの状態で周囲に気付かれずに、そのまま放置されることを防止することができる。
1 姿勢制御装置
11 傾斜角検出手段
12 ECU(判定手段)
HR 人型ロボット(制御対象物)
G 重心
LG 重心軸
LB 基準軸
DH 把持部
θ 傾斜角
RAθ 所定の角度範囲
DS5 ジャイロセンサ

Claims (6)

  1. 鉛直方向に沿って制御対象物の重心を通る軸を重心軸、
    正立時における鉛直方向に沿って該制御対象物の重心を通る軸を基準軸、
    と設定し、
    該基準軸から離れた位置に配置された把持部と、
    該重心軸と該基準軸とのなす角度を検出する傾斜角検出手段と、
    該制御対象物が該把持部を掴んで持ち上げられた状態か否かを判定する判定手段と、
    を備え、
    該判定手段は、
    該傾斜角検出手段によって検出された角度が、所定の角度範囲内にある場合に、該制御対象物が持ち上げられた状態であると判定する
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
  2. 請求項1に記載の姿勢制御装置において、
    前記傾斜角検出手段は、
    ジャイロセンサである
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
  3. 請求項1、または請求項2に記載の姿勢制御装置において、
    前記把持部は、
    正立時の形態と、持ち上げられた状態での形態とが異なるように、
    前記制御対象物に組み付けられた
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の姿勢制御装置において、
    前記判定手段による持ち上げられた状態の判定を受けて、
    前記制御対象物が持ち上げられたことを報知する警報手段を備える
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
  5. 請求項1、または請求項2に記載の姿勢制御装置において、
    前記判定手段は、
    前記傾斜角検出手段の検出した角度の絶対値が、所定の角度範囲の最大値よりも大きい場合には、転倒状態と判定する
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
  6. 請求項5に記載の姿勢制御装置において、
    前記判定手段による転倒状態の判定を受けて、
    前記制御対象物が倒れたことを報知する警報手段を備える
    ことを特徴とする姿勢制御装置。
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