JP2009285816A - 脚式ロボット及びその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ロボットが転倒する危険性を迅速かつ正確に評価し、さらに、転倒時のロボットに対する衝撃を低減すること。
【解決手段】本発明に係るロボット2は、ZMP規範に基づいてロボット2の安定化制御を行うロボットであって、ロボット2をモデル化した方程式であって、ロボット2の状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算手段21と、予測物理量計算手段で計算した予測物理量に基づいてロボット2の転倒危険性を判断する転倒判断手段22と、を備え、予測物理量計算手段21は、状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測するロボット2の観測物理量とに基づいて状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて予測物理量を計算する。
【選択図】図2
【解決手段】本発明に係るロボット2は、ZMP規範に基づいてロボット2の安定化制御を行うロボットであって、ロボット2をモデル化した方程式であって、ロボット2の状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算手段21と、予測物理量計算手段で計算した予測物理量に基づいてロボット2の転倒危険性を判断する転倒判断手段22と、を備え、予測物理量計算手段21は、状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測するロボット2の観測物理量とに基づいて状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて予測物理量を計算する。
【選択図】図2
Description
本発明は脚式ロボット及びその制御方法に関し、特に脚式ロボットの転倒危険性を評価する技術に関する。
脚式ロボットの実世界の運用では、予期せぬ大きな外乱や路面の不整地の影響を受けて、ロボットは常に転倒する危険性をはらんでいる。従って、ロボットの制御においては、歩行中の安定性のみならず、ロボットが転倒しそうな時に転倒を回避するための対策や、転倒が回避できない時の対策が必要となる。
転倒しやすい脚式ロボットについては、転倒を回避し、安定して移動することを目的として、安定化制御技術について、多くの研究がなされている。一般的に、ZMP(Zero Moment Point)を用いた脚式ロボットの安定化制御技術は、ZMPが両足の支持多角形内に余裕をもって収まっている場合には、有効である。しかし、大きな外乱等によってZMPが両足の支持多角形の境界まで動いてしまったときには、安定化のために必要な床反力を得ることができず、そのまま転倒してしまうことがある。また、これらの研究には、歩行中の外乱に対してどれだけ安定性を保持して歩行を続けることができるかに主眼が置かれたものが多く、転倒回避や、転倒が回避できないときにどうするか等の実用的な手法についてはあまり考慮がなされていない。
従来、姿勢角や、姿勢角速度や、床反力などの目標値と実測値との偏差から、脚式ロボットの転倒を判別する手法が良く知られている。これらの手法では、一般的に、目標値と実測値との偏差が所定の閾値を超えた場合に、脚式ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断することが多い。また、例えば特許文献1には、ロボットに搭載されたバッテリの残容量に応じて脚式移動ロボットの転倒可能性を判別し、転倒しそうな状態であると判断した場合には、転倒回避動作を実行する脚式移動ロボットの制御装置が開示されている。特許文献1記載の脚式移動ロボットの制御装置では、ロボットに搭載されたバッテリの残容量が所定量以下に低下した場合に、ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断する。そして、ロボットが転倒しそうな状態である場合には、ロボットの重心を下げる(腰を下げる)ように制御することで、転倒を回避するものである。
特開平11−4810号公報
しかしながら、従来の脚式移動ロボットでは、外乱等の影響を受けた後に、実測値を検出した時点を基準とする偏差に応じて転倒を判断するものであるため、ロボットが実際に転倒を開始した後にしか転倒を判断することができないものと考えられる。
例えば、実測ZMPが足裏の許容範囲内に存在するか否かによって転倒判断を行う場合について説明する。外乱などにより、実測ZMPは目標値から外れて移動する。移動の結果、実測ZMPが許容範囲内を超えた場合には、ロボットは転倒する可能性があるものと判断することができる。即ち、許容範囲の境界付近に到達した時点での実測ZMPを基準として、転倒を判別することができる。しかし、既に転倒は始まっているため、許容範囲の境界付近に到達した時点で転倒を判別するものとしては、転倒判断のタイミングが遅くなり、以後の回避動作が間に合わないおそれがある。即ち、外乱により、ロボットが既に大きく傾いている場合には、既に転倒回避動作をとることができない状態になっているものと考えられる。一方で、許容範囲を狭めることで、転倒判断のタイミングを早めることができるものの、この場合には、僅かな外乱に対しても転倒回避動作を実行させてしまい、動作が不安定になるとも考えられ、また、ZMPはノイズが多く含まれるため、頻繁に安定範囲から出てしまい、停止せざるを得ないとも考えられる。これは、転倒判別のために計測する観測情報がZMPである場合に限られず、観測情報がロボットの姿勢角等である場合にも同様に、実際に転倒が開始してからしか転倒の判別をすることができないものと考えられる。
本発明の発明者らは、これらの課題を解決するため、まず、転倒の危険性をより迅速かつ正確に評価することが重要であることに着目した。さらには、転倒時のロボットに対する衝撃を低減するための動作生成を行うことが重要であることに着目して、本発明を創作するに至った。
従って、本発明は、転倒の危険性を迅速かつ正確に評価し、さらに、転倒時のロボットに対する衝撃を低減することが可能な脚式ロボット及びその制御方法を提供することを目的とする。
本発明に係る脚式ロボットは、関節角を変更して動作し、ZMP規範に基づいて前記脚式ロボットの安定化制御を行う脚式ロボットであって、前記脚式ロボットをモデル化した方程式であって、前記脚式ロボットの状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算手段と、前記予測物理量計算手段で計算した予測物理量に基づいて前記脚式ロボットの転倒危険性を判断する転倒判断手段と、を備え、前記予測物理量計算手段は、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測する前記脚式ロボットの観測物理量とに基づいて前記状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて前記予測物理量を計算するものである。
これにより、ZMP規範に基づいて安定化制御を行う脚式ロボットにおいて、その脚式ロボットをモデル化した状態方程式の出力と、観測する観測物理量とから状態変数を推定することで、外乱を受けた直後に、将来の物理量を予測することができる。予測物理量は現時点から所定の時間先に実際に観測されるであろう物理量を示しているため、予測物理量に基づいて転倒危険性を判断することで、従来技術と比較してより迅速かつ正確に転倒判断を行うことができる。
また、前記転倒判断手段は、前記予測物理量としての予測ZMPが、前記脚式ロボットの足裏支持多角形の安定領域内に収まらない場合に、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断するようにしてもよい。これにより、予測ZMPが脚式ロボットの足裏支持多角形の安定領域内に収まるか否かにより転倒危険性を判断することができ、容易に転倒危険性を判断することができる。
さらにまた、前記物理量としてのZMPを計測するZMP計測手段を更に備え、前記予測物理量計算手段は、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記ZMP計測手段により計測したZMPとに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算するようにしてもよい。
また、前記ZMP計測手段を、前記脚式ロボットの足首に設けた力センサとすると好適である。
さらにまた、前記物理量は、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度偏差と、姿勢角偏差と、姿勢角速度偏差とを含み、該物理量を計測するセンサを更に備え、前記物理量計算手段は、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記センサにより計測した物理量とに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算するようにしてもよい。これにより、力センサを使用せずに状態変数を推定することができる。このため、足首に力センサを設ける必要が無く、脚部の軽量化を図ることができる。
また、前記センサは、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度を検出する加速度センサと、前記脚式ロボットの姿勢角及び姿勢角速度を検出する角速度センサとを含み、前記加速度センサにより前記脚式ロボットの重心体幹の加速度を検出し、該検出した重心体幹の加速度と目標加速度とから前記加速度偏差を計測し、前記角速度センサにより前記脚式ロボットの姿勢角及び姿勢角速度を検出し、該検出した姿勢角及び姿勢角速度と、目標姿勢角及び目標姿勢角速度とから、前記姿勢角偏差及び前記姿勢角速度偏差を計測するようにしてもよい。
さらにまた、前記転倒判断手段が、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、前記脚式ロボットが転倒する際の重心軌道を生成する転倒動作生成手段を更に備え、前記転倒動作生成手段で生成した重心軌道から目標関節角を計算し、該計算した目標関節角に従って転倒動作を行うようにしてもよい。これにより、外乱を受けた直後に、脚式ロボットが転倒回避動作を実行するか否かを判断し、転倒動作を実行するものと判断した場合には、転倒動作時の重心軌道を生成することで、より適切な転倒動作を実行することができる。
また、前記転倒動作生成手段で生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中に前記脚式ロボットに発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する上体補正角計算手段を更に備え、前記上体補正角により前記計算した目標関節角を補正し、該補正後の関節角に従って転倒動作を行うようにしてもよい。このように、転倒動作時に、姿勢角速度を補償することで、転倒時の脚式ロボットに対する衝撃をより低減することができる。
本発明に係る脚式ロボットの制御方法は、関節角を変更して動作し、ZMP規範に基づいて安定化制御を行う脚式ロボットの制御方法であって、前記脚式ロボットをモデル化した方程式であって、前記脚式ロボットの状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算ステップと、前記計算した予測物理量に基づいて前記脚式ロボットの転倒危険性を判断する転倒判断ステップと、を備え、前記予測物理量計算ステップでは、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測する前記脚式ロボットの観測物理量とに基づいて前記状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて前記予測物理量を計算するものである。
また、前記転倒判断ステップでは、前記予測物理量としての予測ZMPが、前記脚式ロボットの足裏支持多角形の安定領域内に収まらない場合に、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断するようにしてもよい。
さらにまた、前記物理量としてのZMPを計測するZMP計測ステップを更に備え、前記予測物理量計算ステップでは、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記計測したZMPとに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算するようにしてもよい。
また、前記物理量は、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度偏差と、姿勢角偏差と、姿勢角速度偏差とを含み、該物理量をセンサにより計測する物理量計測ステップを更に備え、前記予測物理量計算ステップでは、前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記計測した物理量とに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算するようにしてもよい。
また、前記転倒判断ステップで、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、前記脚式ロボットが転倒する際の重心軌道を生成する転倒動作生成ステップを更に備え、前記生成した重心軌道から目標関節角を計算し、該計算した目標関節角に従って転倒動作を行うようにしてもよい。
さらにまた、前記生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中に前記脚式ロボットに発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する上体補正角計算ステップを更に備え、前記上体補正角により前記計算した目標関節角を補正し、該補正後の関節角に従って転倒動作を行うようにしてもよい。
本発明によれば、転倒の危険性を迅速かつ正確に評価し、さらに、転倒時のロボットに対する衝撃を低減することが可能な脚式ロボット及びその制御方法を提供することができる。
発明の実施の形態1.
以下、図面を参照しながら本実施の形態1に係る脚式ロボットの制御動作について説明する。図1は、本実施の形態1に係る脚式ロボットの概要を示す図である。ロボット2は、体幹4と、左脚リンク6と、右脚リンク8と、コントローラ16とを備えている。
以下、図面を参照しながら本実施の形態1に係る脚式ロボットの制御動作について説明する。図1は、本実施の形態1に係る脚式ロボットの概要を示す図である。ロボット2は、体幹4と、左脚リンク6と、右脚リンク8と、コントローラ16とを備えている。
体幹4は、ロボット2の動作(各関節の動作)を制御する制御部10と、体幹4の加速度を検出する加速度センサ12と、体幹4の鉛直方向に対する傾斜角(姿勢角)と角速度を検出する角速度センサ14とを備えている。角速度センサ14として、例えばジャイロセンサを使用することができる。
左脚リンク6は一方の端部は股関節を介して体幹4に揺動可能に接続されている。左脚リンク6はさらに膝関節と足首関節を備え、先端には足平を備えている。右脚リンク8は一方の端部は股関節を介して体幹4に揺動可能に接続されている。右脚リンク8はさらに膝関節と足首関節を備え、先端には足平を備えている。足首関節には、ZMP検出手段としての力センサ(不図示)を備えている。
ロボット2の各関節はアクチュエータ(不図示)を備えており、それらのアクチュエータは制御部10からの指示によって回転駆動する。即ち、制御部10が2本の各関節(詳細には関節角)を適宜制御することにより、ロボット2を歩行又は走行させることができる。左脚リンク6と右脚リンク8の足平の中心には、それぞれ基準点L0、R0が設けられている。基準点L0、R0は、ロボット2の動作パターンを生成する際の基準となる点である。図中Gは、ロボット2の重心位置を示す。
制御部10は、CPU、ROM、RAM、ハードディスクなどを有するコンピュータ装置である。制御部10はコントローラ16と通信可能であり、ユーザーが操作するコントローラ16から指令値を入力する。制御部10はユーザーから入力される指令値に基づいて、ロボット2の動作パターンを生成ないし計算する。制御部10は生成した動作パターンを記憶し、記憶された動作パターンを実現するように各関節を駆動する。
図2は、制御部10の主な構成を示す機能ブロック図である。制御部10は、予測ZMP計算手段21と、転倒判断手段22と、転倒動作生成手段23と、上体補正角計算手段24とを含む。
予測物理量計算手段としての予測ZMP計算手段21は、ロボット2をモデル化した方程式であって、ロボット2の状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先のZMPを示す予測ZMPを計算する。具体的には、予測ZMP計算手段21は、まず、状態方程式に所定の制御入力を与えて、その制御入力に対する状態方程式の出力を取得する。そして、予測ZMP計算手段21は、取得した状態方程式の出力と、観測するロボット2の観測物理量とに基づいて状態変数を推定する。予測ZMP計算手段21は、推定した状態変数に基づいて予測物理量としての予測ZMPを計算することができる。尚、予測ZMP計算手段21による予測ZMPの計算方法の詳細については後述する。
転倒判断手段22は、予測ZMP計算手段21で計算した予測ZMPに基づいてロボット2の転倒危険性を判断する。具体的には、転倒判断手段22は、予測ZMP計算手段21で計算した予測ZMPが、ロボット2の足裏支持多角形の安定領域内に収まるか否かを判断する。これにより、転倒判断手段22は、予測ZMPが、ロボット2の足裏支持多角形の安定領域内に収まるらない場合には、ロボット2が転倒しそうな状態であるものと判断することができる。尚、転倒判断手段22による判断の結果、ロボット2が転倒しそうな状態であっても、転倒を回避可能であるものと判断した場合には、ロボット2は転倒回避動作を行うことができる。転倒回避動作は公知の手法により実現することができ、転倒回避動作として、例えばロボット2の脚を予測ZMPを囲い込むように前方へと踏み出させるなどの動作を行えばよい。
転倒動作生成手段23は、転倒判断手段22によりロボット2が転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、ロボット2が転倒する際の重心軌道を生成する。ロボット2は、転倒動作生成手段23で生成した重心軌道から目標関節角を計算し、その計算した目標関節角に従って転倒動作を行うことができる。尚、転倒動作生成手段23による重心軌道生成方法の詳細については後述する。
上体補正角計算手段24は、転倒動作生成手段23で生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中にロボット2に発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する。ロボット2は、その上体補正角により目標関節角を補正し、補正後の関節角に従って転倒動作を行うことができる。尚、上体補正角計算手段24による上体補正角計算方法の詳細については後述する。
さらに、制御部10は、図示しない重心軌道生成手段と、足先軌道生成手段と、関節角目標値計算手段と、関節駆動手段とを含む。ここでは重心の軌道を計算して生成することから、計算、生成、演算の語を区別なく用いる。
重心軌道生成手段は、目標ZMP軌道に基づいて、ロボット2の重心の軌道を生成する。ここで生成される重心軌道は、ロボット2が移動する空間において固定する座標系で記述したものである。尚、重心軌道は、ロボット2の支持脚の足先に設けられた基準点L0、R0を原点とする座標系で記述してもよい。重心軌道は、シミュレーション等によってロボット2を安定して歩行させることができるように作成されている。即ち、重心軌道は、ロボット2のZMPが接地面に接地した足裏で囲まれた凸包内となる関係を満足するように設定されている。言い換えると、ZMPが、ロボット2の足裏支持多角形の安定領域内に収まるように重心軌道を生成する。
足先軌道生成手段は、ロボット2の遊脚の足先の軌道を計算する。ここで計算される遊脚の足先の軌道は、ロボット2が移動する空間において固定する座標系で記述したものである。尚、足先の軌道は、ロボット2の支持脚の足先に設けられた基準点L0、R0を原点とする座標系で記述してもよい。
関節角目標値計算手段は、重心軌道生成手段で計算されるロボット2の重心軌道と、足先軌道生成手段で計算されるロボット2の遊脚の足先の基準点の足先軌道とに基づいて、ロボット2の各関節の関節角目標値の経時的データを演算する。また、関節角目標値計算手段は、ロボット2が転倒回避動作、或いは転倒動作を行う場合には、転倒回避動作、或いは転倒動作の際の重心軌道と足先軌道とに基づいて、ロボット2の各関節の関節角目標値の経時的データを演算する。さらに、転倒動作中にロボット2に発生する姿勢角速度を補償するため、関節角目標値計算手段は、計算した関節角目標値の経時的データに対して、上体補正角計算手段24により計算した上体補正角を加算する。関節角目標値経時的データは、ロボット2の各関節の目標関節角の経時的データを含む。関節駆動手段は、関節角目標値の経時的データに基づいて、ロボット2の各関節を駆動する。
続いて、予測ZMP計算手段21による予測ZMPの計算方法の詳細について説明する。図3は、本実施の形態1に係るロボット2を概念的に示すモデル図である。図3は、脚式ロボットを単質点モデルにより示すものである。以下、図3を参照しながら、予測ZMPの算出方法について説明する。
まず、図3について、ZMP規範に基づく安定化制御を想定する。図3に示す単質点モデルより、以下の数1に示すZMP方程式を得る。ここで、pはZMP位置を示す。x、zは、それぞれx軸方向とz軸方向におけるロボット2の重心位置を示す。ロボット2の重心高さzcは一定であるものとする。gは重力加速度を示す。数1において、記号「x」の上部に「・」が二個付いたものは、時間tに関するxの二階微分を示すものとし、以下、x(・・)として記述する。
ロボット2をモデル化した状態方程式を構成するため、制御入力uを以下の数2により定義する。数2において、記号「x」の上部に「・」が三個付いたものはxの三階微分を示すものとし、以下、x(・・・)として記述する。
数1と数2より、上述した単質点モデルを示すシステムを、以下の状態方程式により表現する。
ここで、ベクトルxを、以下の数4に示すように定義する。即ち、ベクトルxは、ロボットの重心の位置xと、その速度x(・)と、その加速度x(・・)とを要素に含む。
また、係数行列A、B、Cを、以下の数5に示すように定義する。
数4と数5を用いると、数3を以下の数6により表すことができる。
次に、数6に示す状態方程式を離散化することで、以下の数7を得ることができる。即ち、数7は離散化した状態方程式を示す。AdとBdは、離散化後の状態方程式の各係数を示す。
ここで、ベクトルxkはステップkにおけるロボット2の状態を示す状態変数ベクトルである。ukはステップkにおける制御入力である。数7における第二式は、観測情報(観測物理量)をZMPとした場合の、出力方程式である。
数7に示す状態方程式について、状態フィードバックにより安定化を実現するため、まず、制御入力ukを以下に示す数8により定義する。ここで、Kは、フィードバックゲインの行ベクトルであり、要素k1と、k2と、k3とを含む。
数8を用いて、数7の第一式を以下の数9に示すように変形する。ここで、数9において、記号「A」の上部に「〜」が付いたものを、以下、係数行列A〜として記述する。
従って、数9を用いることで、数7を以下の数10に示す離散化した状態方程式として示すことができる。
数10において、係数行列A〜が安定な行列であれば、システムの安定性を保証することができる。そして、数10に示すように、現在のステップ(ステップk)における状態変数ベクトルxkと係数行列A〜とから、次のステップ(ステップk+1)における状態変数ベクトルxk+1を計算することができる。また、現在のステップ(ステップk)における状態変数ベクトルxkと係数行列Cとから、現在のステップ(ステップk)におけるZMPを示すpkを計算することができる。尚、上述したベクトルKの要素k1、k2、k3の各値については、係数行列A〜が安定するような値を、公知の手法により計算することができる。
さらに、数10を変形することで、現在のステップ(ステップk)からmステップ先(ステップk+m)の状態変数ベクトルxk+mと、pk+mとについて、以下の数11を得ることができる。
従って、オブザーバー、或いは、カルマンフィルタによって、状態変数ベクトルxkを推定し、推定した状態変数ベクトルxkを数11の第一式に代入することで、mステップ先の状態変数ベクトルxk+mを計算することができる。そして、計算した状態変数ベクトルxk+mを数11の第二式に代入することで、mステップ先のZMPを示すpk+mを予測することができる。
図4は、オブザーバー20による状態変数ベクトルxkの推定処理を説明するためのブロック線図である。図4において一点鎖線により示す範囲は、数7に示す状態方程式に相当する部分であり、ロボット2のモデルを示す。ここで、Ad、Bd、Cは、上述した係数行列を示す。また、Lは、オブザーバーゲイン行列を示す。ロボット2は、現在の状態変数ベクトルxkを直接観測することはできないため、オブザーバー20により状態変数ベクトルxkを推定する。具体的には、オブザーバー20は、まず、実際に観測される観測物理量としてのzmp(p)を、ロボット2のZMP計測手段により取得する。また、オブザーバー20は、制御入力ukに対する出力pkを、数10の第二式から計算する。そして、オブザーバー20は、取得したzmp(p)と、計算したpkとから、状態変数ベクトルxkを推定する。
次に、推定する状態変数ベクトルxk+mについて、その値mの算出方法を説明する。上述したように、本実施の形態1に係るロボット2は、状態変数ベクトルxkを推定することにより、mステップ先の状態変数ベクトルxk+mを推定することができる。これにより、推定した状態変数ベクトルxk+mを用いて、mステップ先のZMPであるpk+mを予測することができる。ここで、ロボット2による安定化制御周期をdtとし、ロボット2は
サンプル周期dtでZMPを計測する。即ち、サンプリングを行う各ステップ間の間隔をdtとする。現在のステップkを時点tとすると、ステップkからmステップ後の時点は、t+m・dtにより示すことができる。値のmの決定方法としては、mの値を大きくしすぎた場合には、現時点よりもかなり先の将来時点のpk+mを予測することになり、mの値を小さくしすぎた場合には、現時点に対してかなり直近の将来時点のpk+mを予測することになる。このため、外乱によってZMPのピークが発生する時点が大きく変動する場合には、現時点からmステップ先のZMPを示すpk+mを、そのピークに応じて適切に検出することができない。即ち、外乱によって変動するZMPのピーク発生時点に応じて、そのピーク発生時点を適切に検出可能となるように値mを決定する必要がある。
サンプル周期dtでZMPを計測する。即ち、サンプリングを行う各ステップ間の間隔をdtとする。現在のステップkを時点tとすると、ステップkからmステップ後の時点は、t+m・dtにより示すことができる。値のmの決定方法としては、mの値を大きくしすぎた場合には、現時点よりもかなり先の将来時点のpk+mを予測することになり、mの値を小さくしすぎた場合には、現時点に対してかなり直近の将来時点のpk+mを予測することになる。このため、外乱によってZMPのピークが発生する時点が大きく変動する場合には、現時点からmステップ先のZMPを示すpk+mを、そのピークに応じて適切に検出することができない。即ち、外乱によって変動するZMPのピーク発生時点に応じて、そのピーク発生時点を適切に検出可能となるように値mを決定する必要がある。
図5は、ZMP計測手段により実際に観測される実ZMPと、予測ZMP(数11に示すpk+m。)との関係を示す図である。図において、実ZMPを破線により示し、予測ZMPを実線により示す。横軸は時間tを示し、縦軸はZMPの位置(x軸方向、又は、y軸方向のzmp(p)。)を示す。実ZMP及び予測ZMPが値L1から値L2の範囲内にある場合には、ZMPは足裏支持多角形の安定領域内に存在しているものと判断することができる。足裏支持多角形に対して所定の余裕範囲を持たせた範囲を安定領域として設定する。図において、時間T1において外乱などを受け、ロボットの足裏のZMPが移動を開始する。実ZMPは、外乱の影響により、時間T1から時間Tpにかけて、目標ZMPから大きく乖離するように移動し、時間Tpにおいてそのピークとなる極値をとる。以下、実ZMPが極値をとる際のピーク時間Tpを計算することで、予測ZMP(pk+m)のステップ数mを算出する方法を説明する。
まず、数10の第一式を伝達関数G(s)により表現することで、以下に示す数12を得る。ここで、z1、z2は、伝達関数G(s)の零点を示す。p1は伝達関数G(s)の極を示す。ζは減衰率を示す。ωnは自然角振動数を示す。K、α、βは任意の定数である。ζとωnに対して、予め所定の値を設定する。
数12に対して逆ラプラス変換を施すことにより、以下の数13に示す時間応答pkを得ることができる。
ここで、p1が負の値で、且つ、十分大きな値である場合には、数13を以下の数14により近似して示すことができる。
数12において、右辺第二項の極で、虚部が応答の振動周波数を定めている。従って、数14のsin(ωdt)が極値をとる際のピーク時間Tdを、以下の数15に示すようにして求めることができる。
これにより、予測ZMPのステップ数mを、以下の数16により算出することができる。即ち、mは、自然角振動数ωnと、減衰率ζと、サンプル周期dtとに基づいて算出することができる。尚、mの値は、予め計算しておき、ロボット2に設定しておく。
図5に示すように、時間T1において外乱などを受け、足裏のZMPが移動を開始する。その直後、実線により示す予測ZMPは、mステップ先のZMPを予測する(即ち、時間Tpにおける実ZMPに相当する。)。このため、外乱などを受けた時間T1の直後に、予測ZMPは、実ZMPよりも先行して変化する。即ち、予測ZMPは、実ZMPがその時点からmステップ先に到達するであろうと予測されるZMPの位置を示す。予測ZMPは、実ZMPよりも先行して変化し、時間Tpよりも早くそのピークとなる極値をとる。予測ZMPが、値L1から値L2の範囲を超えた場合には、ロボット2は転倒しそうな状態であるものと判断することができる。従って、予測ZMPに基づいて転倒を判断することで、実ZMPに基づいて転倒を判断する場合に比べて、より迅速に転倒を判断することができる。また、予測ZMPに基づいて転倒を判断することで、値L1と値L2とを小さくするなどの変更をすることなく転倒状態をより高速に判断することができる。このため、微小な外乱などに対して不要な転倒回避動作を実行させずに済み、より正確に転倒判断を実行することができる。
次に、転倒動作生成手段23による処理の詳細について説明する。転倒動作生成手段23は、転倒時の受身動作をリアルタイムに生成することができる。以下、転倒時の転倒動作生成方法について説明する。
図6は、ロボット2を単質点モデルで示した場合の、ロボット2が転倒する際の様子を示す図である。図6において、ロボット2のZMPを以下の数17により示すことができる。ここで、px、py、pzはZMPを示す。gは重力加速度を示す。x、y、zはロボットの重心位置を示す。尚、ここでは、ロボット2の回転による項についてはその影響を考慮しないものとして省略する。また、ロボット転倒時には、その足平の端部のみが接地しているものと考えられるため、ZMP位置を足平の端部に固定し、不変であるものとする。以下では、転倒時におけるロボット2の重心位置x、y、zの時系列データを示す重心軌道を計算する。
数17を解析的に解くことで、ロボット転倒時の重心位置軌道を生成することができる。まず、鉛直方向(z軸方向)における重心軌道z(t)を生成する。このため、重心軌道z(t)を以下の数18に示す微分方程式により拘束する。ここで、f(t)は拘束関数である。
数18を数17に代入することで、以下の数19を得る。
数17を解くことができるように拘束関数f(t)を選択することで、数17を解析的に解くことが可能となる。ここでは、例えば拘束関数f(t)を以下の数20に示すように設定する。ここで、a0とa1は拘束関数fのパラメータである。
数20より、数18の解析解は以下の数21となる。数21は、z(t)の解析解を示す。ここで、Cz0とCz1は積分定数を示す。I1(τ)は第1変形ベッセル関数を示す。K1(τ)は第2次変形ベッセル関数を示す。
数21におけるτとzs(t)の定義を、以下の数22に示す。
同様に、数20より、数19の解析解は以下の数23となる。数23は、x(t)と、y(t)の解析解を示す。ここで、Cx0、Cx1、Cy0、Cy1は積分定数を示す。xs(t)とys(t)は特殊解を示す。転倒時のロボットはその足平端部のみが地面と接触しているものと考えられる。このため、特殊解xs(t)とys(t)は0とする。
転倒時の解析解を得るためには、重心位置zについて、以下の数24を満足する必要がある。即ち、重心位置zの加速度の絶対値が、重力加速度g以下である必要がある。
従って、z(t)を3次関数で近似することにより、z(t)について、以下の数24に示す解の存在条件を得る。t0とt1は、それぞれ転倒開始時刻と転倒終端時刻を示す。
ここで、転倒開始時刻t0を、予測ZMPが足裏支持多角形の範囲から外れた時間(若しくは、許容範囲を超えた時間)とする。そして、z0とz1を以下の数24に示すように定義する。
従って、数25に示す不等式を満足するように、転倒終端時刻における重心位置z1と転倒終端時刻t1を決定する。そして、転倒開始時刻t0と、転倒終端時刻t1と、決定した重心位置z1と、転倒終端時刻t1とから、Cz0と、Cz1と、a0と、a1とを求めて数21に代入することで、重心軌道z(t)を得ることができる。
次に、重心軌道x(t)を生成する。尚、重心軌道y(t)についても同様にして生成することができるため、ここでは説明を省略する。適切なx(t)を算出するため、z(t)と同様に、転倒開始時刻と転倒終端時刻での位置・速度の境界条件を満足する必要がある。しかし、上述したように、数23においては、パラメータを2つ(Cx0、Cx1)のみしか含んでいないため過拘束となってしまう。このため、パラメータ(Cx0、Cx1)は、以下の数27に示すように、初期条件のみで決定されることとなる。
ここで、数27におけるτ0を、以下の数28に示すように定義する。
従って、重心軌道x(t)と、重心軌道y(t)を得ることができる。
転倒動作生成手段23は、転倒判断手段22が、ロボット2が転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、ロボット2が転倒する際の重心軌道を生成する。そして、ロボット2は、生成した重心軌道から目標関節角を計算し、その計算した目標関節角に従って転倒動作を行う。即ち、外乱を受けた直後に、ロボット2は、転倒回避動作を実行するか否かを判断する。そして、転倒動作を実行するものと判断した場合には、転倒動作時の重心軌道を生成することで、より適切な転倒動作を実行することができる。
次に、上体補正角計算手段24による処理の詳細について説明する。上体補正角計算手段24により、ロボット転倒時に、ロボット2の上体姿勢による角速度補償を実現することができる。上述した重心軌道生成方法においては、ロボット2の回転による影響を考慮しないものとして説明したが、ロボット2が大きな外乱などを受けた場合には、ロボット2の回転による影響を無視することができないものとなる。このため、本実施の形態1では、外乱などによりロボット2に発生した角速度を、上体姿勢を用いて補償する。これにより、転倒時のロボットに対する衝撃をより低減することができる。
上述した図6に示すモデルは、単質点モデルである。このため、ロボット2のy軸周り(ピッチ方向)における理想的な角速度refωyを、以下の数29により示すことができる。
従って、転倒時にロボット2に発生した角速度を補償するための上体補正角θupperを、以下の数30により得ることができる。上体補正角θupperにより上体を回転することで、ロボット2に発生した角速度を補償することができる。ここで、Δωupperは補正角速度を示す。実角速度ωyは、ロボット2の角速度センサ14により計測することができる。Kは角速度偏差に関するゲインであり、予め所定の値を設定する。例えば、上体補正角θupperを股関節の角度に加えることで、角速度補償を実現することができる。
上体補正角計算手段24は、転倒動作生成手段23で生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中にロボット2に発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する。ロボット2は、その上体補正角により目標関節角を補正し、補正後の関節角に従って転倒動作を行うことができる。このように、転倒動作時に姿勢角速度を補償することで、転倒時のロボット2に対する衝撃をより低減することができる。
発明の実施の形態2.
次に、本実施の形態2に係る脚式ロボットの制御動作について説明する。本実施の形態2にかかるロボットは、実施の形態1において図1に示すロボットと略同一の構成を有する。実施の形態1では、観測物理量(観測情報)としてZMPを使用するものとしたが、本実施の形態2では、観測物理量として重心体幹の加速度と、姿勢角度と、姿勢角速度とを使用する。従って、本実施の形態2では、実施の形態1のロボット2に必要としたZMP計測手段は不要であり、例えば力センサなどのZMP計測手段を搭載する必要が無い。
次に、本実施の形態2に係る脚式ロボットの制御動作について説明する。本実施の形態2にかかるロボットは、実施の形態1において図1に示すロボットと略同一の構成を有する。実施の形態1では、観測物理量(観測情報)としてZMPを使用するものとしたが、本実施の形態2では、観測物理量として重心体幹の加速度と、姿勢角度と、姿勢角速度とを使用する。従って、本実施の形態2では、実施の形態1のロボット2に必要としたZMP計測手段は不要であり、例えば力センサなどのZMP計測手段を搭載する必要が無い。
図7は、本実施の形態2に係るロボットを概念的に示すモデル図である。図7は、脚式ロボットを単質点モデルにより示すものである。以下、図7を参照しながら、本実施の形態2に係る予測ZMPの算出方法について説明する。
まず、離散化した状態変数ベクトルxkと制御入力ukを、以下の数32に示すように定義する。即ち、離散化した状態変数ベクトルxkは、ロボットの重心の位置偏差と、その速度偏差と、その加速度偏差とを要素に含む。ここで、記号の右上部に「*」がついたものはその目標値を示すものとし、予め計算して設定する。また、例えば、記号「x」の右上部に「*」がついたものを、以下、x(*)として記述する。
すると、実施の形態1と同様にして、以下の数32に示す離散化した状態方程式を得ることができる。
ここで、観測情報を、重心体幹の加速度偏差(即ち、xk (・・)−xk (・・)(*)。)と、姿勢角偏差(即ち、θk−θk (*)。)と、姿勢角速度偏差(即ち、ωk−ωk (*)。)とすると、数32に示す状態方程式の出力方程式を、以下の数33により示すことができる。尚、姿勢角偏差θk−θk (*)をθk erとして記述する。姿勢角偏差θk erにより、重心の位置偏差xk−xk (*)を近似することができる。
従って、上述した実施の形態1と同様にして、オブザーバー、或いは、カルマンフィルタによって、状態変数ベクトルxkを推定し、推定した状態変数ベクトルxkを数11の第一式に代入することで、mステップ先の状態変数ベクトルxk+mを計算することができる。具体的には、オブザーバーは、加速度センサ12によりロボット2の重心体幹の加速度を検出し、その検出した重心体幹の加速度と目標加速度とから加速度偏差を計測する。オブザーバーは、角速度センサ14によりロボット2の姿勢角及び姿勢角速度を検出し、その検出した姿勢角及び姿勢角速度と、目標姿勢角及び目標姿勢角速度とから、姿勢角偏差及び姿勢角速度偏差を計測する。また、オブザーバーは、制御入力ukに対する出力を、数33に示す出力方程式から計算する。そして、オブザーバー20は、取得した重心体幹の加速度偏差、姿勢角偏差、姿勢角速度偏差と、計算した出力とから、状態変数ベクトルxkを推定する。そして、計算した状態変数ベクトルxk+mを数11の第二式に代入することで、mステップ先のZMP偏差(pk+m−pk+m (*))を求めることができる。
本実施の形態2では、例えば力センサなどのZMP計測手段を用いることなく予測ZMPを計算することができる。従って、予測ZMPに基づいて転倒を判断することで、実ZMPに基づいて転倒を判断する場合に比べて、より迅速かつ正確に転倒を判断することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ZMP規範に基づいて安定化制御を行うロボットにおいて、そのロボットをモデル化した状態方程式の出力と、観測する観測物理量とから状態変数を推定することで、外乱を受けた直後に、将来のZMPを予測することができる。予測ZMPは現時点から所定の時間先に実際に観測されるであろうZMPを示しており、予測ZMPに基づいて転倒危険性を判断することで、従来技術と比較してより迅速かつ正確に転倒判断を行うことができる。従って、外乱などを受けた直後に、ロボットが転倒回避動作をとるべきか否かを判断することができ、さらに、転倒を回避できないものと判断した場合には、適切な転倒動作を生成した上で転倒させることができる。
尚、上述した実施の形態においては、推定した状態変数に基づいて計算する予測物理量を予測ZMPとして説明したが本発明はこれに限定されない。即ち、転倒判定に使用する指標はZMPに限定されず、角度や、角速度や、或いは、これらの非線形関数を転倒判定指標としてもよい。従って、予測物理量は予測ZMPに限定されず、予測角度や、予測角速度などを計算するものとしてもよい。
尚、本発明は上述した実施の形態のみに限定されるものではなく、既に述べた本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは勿論である。
2 ロボット、
4 体幹、
6 左脚リンク、
8 右脚リンク、
10 制御部、
12 加速度センサ、
14 角速度センサ、
16 コントローラ、
21 予測ZMP計算手段、
22 転倒判断手段、
23 転倒動作生成手段、
24 上体補正角計算手段
4 体幹、
6 左脚リンク、
8 右脚リンク、
10 制御部、
12 加速度センサ、
14 角速度センサ、
16 コントローラ、
21 予測ZMP計算手段、
22 転倒判断手段、
23 転倒動作生成手段、
24 上体補正角計算手段
Claims (14)
- 関節角を変更して動作し、ZMP規範に基づいて安定化制御を行う脚式ロボットであって、
前記脚式ロボットをモデル化した方程式であって、前記脚式ロボットの状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算手段と、
前記予測物理量計算手段で計算した予測物理量に基づいて前記脚式ロボットの転倒危険性を判断する転倒判断手段と、を備え、
前記予測物理量計算手段は、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測する前記脚式ロボットの観測物理量とに基づいて前記状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて前記予測物理量を計算する
ことを特徴とする脚式ロボット。 - 前記転倒判断手段は、
前記予測物理量としての予測ZMPが、前記脚式ロボットの足裏支持多角形の安定領域内に収まらない場合に、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断する
ことを特徴とする請求項1記載の脚式ロボット。 - 前記物理量としてのZMPを計測するZMP計測手段を更に備え、
前記予測物理量計算手段は、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記ZMP計測手段により計測したZMPとに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の脚式ロボット。 - 前記ZMP計測手段は、前記脚式ロボットの足首に設けた力センサである
ことを特徴とする請求項3記載の脚式ロボット。 - 前記物理量は、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度偏差と、姿勢角偏差と、姿勢角速度偏差とを含み、該物理量を計測するセンサを更に備え、
前記予測物理量計算手段は、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記センサにより計測した物理量とに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の脚式ロボット。 - 前記センサは、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度を検出する加速度センサと、前記脚式ロボットの姿勢角及び姿勢角速度を検出する角速度センサとを含み、
前記加速度センサにより前記脚式ロボットの重心体幹の加速度を検出し、該検出した重心体幹の加速度と目標加速度とから前記加速度偏差を計測し、
前記角速度センサにより前記脚式ロボットの姿勢角及び姿勢角速度を検出し、該検出した姿勢角及び姿勢角速度と、目標姿勢角及び目標姿勢角速度とから、前記姿勢角偏差及び前記姿勢角速度偏差を計測する
ことを特徴とする請求項5記載の脚式ロボット。 - 前記転倒判断手段が、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、前記脚式ロボットが転倒する際の重心軌道を生成する転倒動作生成手段を更に備え、
前記転倒動作生成手段で生成した重心軌道から目標関節角を計算し、該計算した目標関節角に従って転倒動作を行う
ことを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の脚式ロボット。 - 前記転倒動作生成手段で生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中に前記脚式ロボットに発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する上体補正角計算手段を更に備え、
前記上体補正角により前記計算した目標関節角を補正し、該補正後の関節角に従って転倒動作を行う
ことを特徴とする請求項7記載の脚式ロボット。 - 関節角を変更して動作し、ZMP規範に基づいて安定化制御を行う脚式ロボットの制御方法であって、
前記脚式ロボットをモデル化した方程式であって、前記脚式ロボットの状態を示す状態変数を含む状態方程式を用いて、現時点から所定の時間先の物理量を示す予測物理量を計算する予測物理量計算ステップと、
前記計算した予測物理量に基づいて前記脚式ロボットの転倒危険性を判断する転倒判断ステップと、を備え、
前記予測物理量計算ステップでは、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、観測する前記脚式ロボットの観測物理量とに基づいて前記状態変数を推定し、該推定した状態変数に基づいて前記予測物理量を計算する
ことを特徴とする脚式ロボットの制御方法。 - 前記転倒判断ステップでは、
前記予測物理量としての予測ZMPが、前記脚式ロボットの足裏支持多角形の安定領域内に収まらない場合に、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であるものと判断する
ことを特徴とする請求項9記載の脚式ロボットの制御方法。 - 前記物理量としてのZMPを計測するZMP計測ステップを更に備え、
前記予測物理量計算ステップでは、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記計測したZMPとに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算する
ことを特徴とする請求項9又は10記載の脚式ロボットの制御方法。 - 前記物理量は、前記脚式ロボットの重心体幹の加速度偏差と、姿勢角偏差と、姿勢角速度偏差とを含み、該物理量をセンサにより計測する物理量計測ステップを更に備え、
前記予測物理量計算ステップでは、
前記状態方程式に所定の制御入力を与えて該制御入力に対する前記状態方程式の出力を取得し、該取得した状態方程式の出力と、前記計測した物理量とに基づいて前記状態変数としての前記脚式ロボットの重心位置と重心加速度を推定し、該推定した重心位置と重心加速度に基づいて前記予測物理量としての予測ZMPを計算する
ことを特徴とする請求項9又は10記載の脚式ロボットの制御方法。 - 前記転倒判断ステップで、前記脚式ロボットが転倒しそうな状態であり、かつ、転倒が回避できないものと判断した場合に、前記脚式ロボットが転倒する際の重心軌道を生成する転倒動作生成ステップを更に備え、
前記生成した重心軌道から目標関節角を計算し、該計算した目標関節角に従って転倒動作を行う
ことを特徴とする請求項9乃至12いずれか1項記載の脚式ロボットの制御方法。 - 前記生成した重心軌道に基づいて、転倒動作中に前記脚式ロボットに発生する姿勢角速度を補償するための上体補正角を計算する上体補正角計算ステップを更に備え、
前記上体補正角により前記計算した目標関節角を補正し、該補正後の関節角に従って転倒動作を行う
ことを特徴とする請求項13記載の脚式ロボットの制御方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008143470A JP2009285816A (ja) | 2008-05-30 | 2008-05-30 | 脚式ロボット及びその制御方法 |
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ID=41455541
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2008
- 2008-05-30 JP JP2008143470A patent/JP2009285816A/ja active Pending
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