JP2019196933A - 熱線式流量計 - Google Patents

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将志 西田
Masashi Nishida
将志 西田
伊藤 秀文
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Abstract

【課題】漏れ電流の発生を抑制しつつ、被計測流体の流量を精度良く測定することが可能となる熱線式流量計を提供する。【解決手段】本発明の熱線式流量計は、ヒータと第1及び第2測温センサを備え、これらを用いて被計測流体の流量を計測するものである。そして、ヒータ及び第1及び第2測温センサは、それぞれ、メッシュ状のシリコン窒化膜111a,111b,111c上に、金属薄膜を含む回路パターン112a,112b,112cを形成し、その上に、保護膜として、シリコン窒化膜113a,113b,113cを成膜し、さらに、その周囲をパリレン(登録商標)膜114a,114b,114cで覆うことによって形成されている。【選択図】 図5

Description

本発明は、被計測流体の流量を計測する熱線式流量計に関するものである。
従来より、被計測流体の流量を計測する流量計に関する技術が種々提案されている。
例えば、下記特許文献1に記載された流量センサは、被計測流体が通過するオリフィスを有するダイアフラムが設けられた枠部を備えて構成される流量センサにおいて、少なくとも枠部と基板との接合部をパラキシリレン系樹脂被膜によって被覆することにより、被計測流体がオリフィス以外の部分から漏れることを防止するようにしている。
上記流量センサと同様に、被計測流体の流量を計測するものであるが、上記流量センサとは計測手法が異なるため、その構成を異にする熱線式流量計も、従来から知られている。
図8は、このような従来の熱線式流量計の一例を示している。同図に示す熱線式流量計200は、ヒータ201と、2つの測温センサ202,203と、1つの流体温度測定センサ204とによって構成されている。ヒータ201及び測温センサ202,203は、シリコンウェハ210の上方に形成され、流体温度測定センサ204は、薄膜211が成膜されたシリコンウェハ210上に形成されている。
そして、ヒータ201は、メッシュ状の薄膜形成部211a上に金属薄膜パターン212aを形成し、その上に保護膜213aを成膜することにより、形成されている。測温センサ202,203も、ヒータ201と同様の構成によって、形成されている。一方、流体温度測定センサ204は、ヒータ201に対して、メッシュ状ではなく、一様に成膜された薄膜211上に形成されている点が異なっている。
熱線式流量計200は、被計測流体が流れる流路内に設置され、被計測流体が流路内を流れている間、当該被計測流体中に沈んでいる。被計測流体の流量の測定は、当該被計測流体が流路内に流れている状態で、次のようにして行う。
すなわち、まず、流体温度測定センサ204を用いて、被計測流体の温度を測定し、当該温度に応じた電力をヒータ201に印加して、ヒータ201を加熱する。次に、被計測流体の流れに従って、ヒータ201から奪われた熱量、あるいは測温センサ202,203を用いて、ヒータ201によって形成された熱分布に応じた電気的な変化を計測する。そして、計測された電気的な変化から被計測流体の流速を算出し、当該流速から被計測流体の流量を算出する。
特開2009−243923号公報
しかし、上記従来の熱線式流量計では、保護膜として、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜を用いた場合、図8に示されるように、金属薄膜パターン212aの上面には、保護膜213aが形成されるものの、金属薄膜パターン212aの側面には、保護膜は形成されない。この事情は、ヒータ201だけでなく、測温センサ202,203及び流体温度測定センサ204についても同様である。
したがって、流路内に被計測流体を入れ、熱線式流量計200を用いて、実際に流量の測定を開始すると、金属薄膜パターン212aの側面から被計測流体へ漏れ電流が発生し、測定できなくなったり、測定精度が上がらなくなったりすることがあった。
これに対処するために、保護膜として、上記特許文献1に記載された流量センサのように、パラキシリレン系樹脂皮膜を用いることが考えられる。パラキシリレン系樹脂皮膜は、気体として蒸着されるため、金属薄膜パターン212aの表面だけではなく、側面を含めた全体を覆うことができるからである。
このため、パラキシリレン系樹脂皮膜で金属薄膜パターン212aを覆った場合、上記漏れ電流の発生を抑制できるという期待が生ずるが、この場合、流れのある液中で電気的絶縁性を確保するために、膜厚を5μm以上にする必要がある。
ところが、パラキシリレン系樹脂皮膜は、熱伝導性が悪いので、膜厚を厚くすると、ヒータ201については、発生させた熱量を被計測流体に伝導し難くなる一方、測温センサ202,203及び流体温度測定センサ204については、測温感度が悪くなってしまう。その結果、電気的絶縁性を確保できたとしても、被計測流体の流量を精度良く測定することは、依然として困難である。
そこで、本発明は、以上のようなことに対処するため、漏れ電流の発生を抑制しつつ、被計測流体の流量を精度良く測定することが可能となる熱線式流量計を提供することを目的とする。
この課題を解決するためになされた請求項1に係る発明は、薄膜が成膜されるシリコン基板と、薄膜をメッシュ状に形成してなる薄膜形成部の表面上の一部に形成された金属薄膜を含む第1回路パターンと、薄膜形成部の表面上の他の一部に形成された金属薄膜を含む第2回路パターンと、薄膜形成部の表面上のさらに他の一部に形成された金属薄膜を含む第3回路パターンと、を有し、第1〜第3回路パターンはいずれも、その表面上をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われ、当該第1回路パターンは、ヒータとして機能し、当該第2及び第3回路パターンはそれぞれ、測温センサとして機能することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の熱線式流量計であって、薄膜形成部の薄膜は、シリコン窒化膜を含む薄膜であることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の熱線式流量計であって、薄膜形成部のうち、少なくとも、第1〜第3回路パターンが形成された領域は、シリコン基板の表面に設けられた凹部を構成する周壁に懸架されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の熱線式流量計であって、第1保護膜により、当該第1〜第3回路パターンの各側面も覆われることを特徴とする。
また、この課題を解決するためになされた請求項5に係る発明は、薄膜が成膜されるシリコン基板と、薄膜を含む薄膜形成部の表面上の一部に形成された金属薄膜を含む第1回路パターンと、薄膜形成部の表面上の他の一部に形成された金属薄膜を含む第2回路パターンと、薄膜形成部の表面上のさらに他の一部に形成された金属薄膜を含む第3回路パターンと、を有し、第1〜第3回路パターンはいずれも、その周囲をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われ、当該第1回路パターンは、ヒータとして機能し、当該第2及び第3回路パターンはそれぞれ、測温センサとして機能することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載の熱線式流量計であって、第2保護膜の膜厚は、1μmから2μmまでの範囲であることを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、第1〜第3回路パターンはいずれも、その表面上をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われるので、パラキシリレン系樹脂を含む薄膜の膜厚を、当該パラキシリレン系樹脂を含む薄膜を単独で用いたときよりも、薄くしたとしても、当該第1〜第3回路パターンからの漏れ電流を防止できる電気的絶縁性を確保することができる。
また、第2保護膜の膜厚を薄くしたことで、パラキシリレン系樹脂の熱伝導率の低さの影響を緩和できるとともに、パラキシリレン系樹脂の保護膜としての特長を活かすことができる。
請求項3に係る発明によれば、薄膜形成部のうち、少なくとも、第1〜第3回路パターンが形成された領域は、シリコン基板の表面に設けられた凹部を構成する周壁に懸架されているので、当該発明の熱線式流量計を被計測流体内に入れ、当該第1〜第3回路パターンをそれぞれ、ヒータ及び2つの測温センサとして機能させたとき、当該第1〜第3回路パターンと被計測流体との接触面積が大きくなるので、被計測流体に対する熱伝導率が向上し、これにより、被計測流体の流量の測定精度が向上する。
請求項4に係る発明の熱線式流量計では、第1保護膜によって、第1〜第3回路パターンの各側面も覆われるので、当該各側面からの漏れ電流も完全に防止でき、これにより、電気的絶縁性の確保に対する歩留まりをさらに向上させることができる。
請求項5に係る発明によれば、第1〜第3回路パターンはいずれも、その周囲をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われるので、請求項1に係る発明と同様の効果を得ることができる。
本発明の一実施の形態に係る熱線式流量計の概略構成を示す斜視図である。 図1の熱線式流量計の概略回路構成を示す図である。 図1の熱線式流量計の平面図(a)及びA−Aに沿う断面図(b)である。 図1の熱線式流量計の製造工程図である。 図4の製造工程の各工程で形成される膜を示す断面図である。 本発明の他の実施の形態に係る熱線式流量計の断面図である。 本発明のさらに他の実施の形態に係る熱線式流量計の断面図である。 従来の熱線式流量計の断面図である。
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る熱線式流量計は、熱線式MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)流量計であり、被計測流体が流れる流路内に設置され、被計測流体の流量を計測するものである。用途としては、微量な医療薬品の流量管理や、生物化学試験の試薬・培養液の管理等が考えられる。被計測流体の流量範囲は、1〜100μl/minを想定するが、これに限られる訳ではない。
本実施形態の熱線式流量計100は、図1に示すように、主として、ヒータ101と、当該ヒータ101を挟んで、その両側に設けられた、第1測温センサ102及び第2測温センサ103と、当該第1測温センサ102の上流側に設けられた流体温度測定センサ104とによって構成されている。
そして、ヒータ101も、第1及び第2測温センサ102,103及び流体温度測定センサ104も、図4及び図5を用いて後述するように、当該部材中に金属薄膜パターンを有しているので、当該ヒータ101、第1及び第2測温センサ102,103、及び流体温度測定センサ104はいずれも、電気回路としては図2に示すように、抵抗体と見なすことができる。つまり、ヒータ101は、端子対T101a,T101bに電力を印加することにより、発熱抵抗体として使用されている。他方、第1及び第2測温センサ102,103及び流体温度測定センサ104は、当該各抵抗値を測定することにより測温する測温抵抗体として使用されている。
本実施形態の熱線式流量計100は、被計測流体が流れる流路150(図2参照)内に設置される。被計測流体は、流路150内を矢印Arの方向に流れるので、第1測温センサ102が上流側の測温センサとなり、第2測温センサ103が下流側の測温センサとなっている。
図3(a)は、本実施形態の熱線式流量計100の平面図であり、図3(b)は、図3(a)中のA−A線に沿う断面図である。
図3(b)に示すように、第1測温センサ102とヒータ101との間、ヒータ101と第2測温センサ103との間、第1測温センサ102と左隣の部材との間、第2測温センサ103と右隣の部材との間、などには、複数の開口部105が形成されている。
開口部105は、後述するように、シリコン基板110の表面に対して異方性エッチングを行うためのエッチング窓としての役割を果たすとともに、被計測流体とヒータ101及び第1及び第2測温センサ102,103との接触面積を大きくする役割を果たしている。
また、ヒータ101及び第1及び第2測温センサ102,103等の裏面と、シリコン基板110の表面との間には、キャビティ106が形成されている。このキャビティ106は、上記異方性エッチングによって形成されたものである。
このキャビティ106も、上記開口部105と同様に、被計測流体とヒータ101及び第1及び第2測温センサ102,103との接触面積を大きくする役割を果たしている。これにより、被計測流体へのヒータ101の熱量の伝達が向上するため、出力信号となる消費電力の変化を増大させることができる。また、第1及び第2測温センサ102,103も、被計測流体に対する測温精度が向上するため、被計測流体の流量の測定精度も向上する。
次に、本実施形態の熱線式流量計100の製造方法を、図4及び図5に基づいて説明する。
まず、図4のステップ1の両面窒化膜成膜工程で、シリコン基板(シリコンウェハ)110の両面にシリコン窒化膜を成膜する。シリコン窒化膜の成膜は、例えば、シランとアンモニアを用いて、LPCVD(low pressure chemical vapor deposition)法により、シリコン基板110の両面にシリコン窒化膜を堆積させて行う。図5(a)は、シリコン基板110の両面にシリコン窒化膜111が成膜された様子を示している。当該シリコン窒化膜111の膜厚は、例えば、200nm程度である。なお、シリコン基板110の両面に形成する膜は、シリコン窒化膜に限らず、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜を組み合わせたものなどであってもよい。
次に、工程はステップ2の金属薄膜成膜工程に進み、シリコン基板110の表面に成膜されたシリコン窒化膜111の上に、金属薄膜を成膜する。使用する金属は、例えば、白金が考えられるが、これに限られる訳ではない。金属薄膜の成膜は、例えば、スパッタリングによって行う。図5(b)は、シリコン基板110の表面にシリコン窒化膜111が生成され、さらにその上に金属薄膜112が成膜された様子を示している。
次に、工程はステップ3の金属薄膜パターン形成工程に進み、金属薄膜112に所定の回路パターンを形成する。すなわち、図1あるいは図3に示すヒータ101、第1及び第2測温センサ102,103、及び流体温度測定センサ104の各回路パターンを形成する。当該各回路パターンの形成は、例えば、金属エッチング加工によって行う。具体的には、次のようにして行う。
すなわち、まず、フォトレジストを金属薄膜112上に均一に塗布する。次に、当該各回路パターンをマスクからフォトレジスト膜に転写する。そして、フォトレジスト膜で保護されていない部分の金属薄膜を、例えば、イオンミリングによって除去する。最後に、フォトレジスト膜を除去する。図5(c)は、金属薄膜上に、当該各回路パターン112a,112b,112c,112dが形成された様子を示している。
次に、工程はステップ4の窒化膜成膜工程に進み、上記各回路パターン112a,112b,112c,112dの上、及び各回路パターン112a,112b,112c,112dが形成されたシリコン窒化膜111の上に、シリコン窒化膜を成膜する。このシリコン窒化膜の成膜は、例えば、TEOS(tetraethoxysilane)を使用するPECVD(plasma enhanced chemical vapor deposition)によって行う。図5(d)は、各回路パターン112a,112b,112c,112dの上、及び各回路パターン112a,112b,112c,112dが形成されたシリコン窒化膜111の上に、シリコン窒化膜113が成膜された様子を示している。当該シリコン窒化膜113の膜厚は、例えば、0.5〜2μm程度である。
このシリコン窒化膜113は、主として、各回路パターン112a,112b,112c,112dから漏れ電流が発生しないように絶縁する、保護膜としての役割を果たしている。したがって、当該保護膜としての役割を果たすものであれば、シリコン窒化膜に限らず、シリコン酸化膜や、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜を組み合わせたものなど、他の種類の膜であってもよい。ただし、当該各回路パターン112a,112b,112c,112dは、ヒータ101、第1及び第2測温センサ102,103、及び流体温度測定センサ104として用いられるため、熱伝導性の高いものである必要がある。
次に、工程はステップ5のエッチング窓形成工程に進み、成膜されたシリコン窒化膜113上で、各回路パターン112a,112b,112c,112dの形成されていない部分に複数のエッチング窓を形成する。当該エッチング窓は、最終的には、上述した開口部105(図3参照)になるものであるが、ここでは、シリコン基板110の表面に対して異方性エッチングを行うために、化学溶液が浸透する窓としての役割を果たすものである。
エッチング窓の形成は、上述したステップ3と同様に、フォトリソグラフィの手法によってパターニングし、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングによって行う。もちろん、シリコン窒化膜上にエッチング窓が形成できる方法であれば、これに限らず、どのような方法を用いてもよい。
図5(e)は、開口部105を形成する位置にある、シリコン窒化膜113とその下のシリコン窒化膜111が除去され、シリコン基板110の表面が表出された様子を示している。
次に、工程はステップ6のキャビティ形成工程に進み、上記形成されたエッチング窓を介して、シリコン基板110の表面に対する、例えば、KOHを用いた異方性ウェットエッチングを行い、キャビティを形成する。
図5(f)は、シリコン基板110の表面にキャビティ106が形成された様子を示している。キャビティ106が形成されると、同図(f)に示すように、シリコン窒化膜111a,111b,111c等及びその上に形成された部材112a,113a,112b,113b,112c,113c等は、当該キャビティ106を構成する周壁に懸架されることになる。
次に、工程はステップ7のパリレン膜成膜工程に進み、熱線式流量計100のうち、少なくとも流路150内に入る部分に対して、パリレン膜を成膜する。パリレン(登録商標)は、パラキシリレン系樹脂であり、パリレンN、パリレンC、パリレンD、パリレンHTなどがある。
パリレン膜の成膜は、ダイマーと呼ばれる原材料を真空下で加熱し、ダイマー気体となったものを、対象物に蒸着させることによって行う。このように、パリレンは、気体として蒸着されるので、多層コンポーネントの割れ目や狭い部分にも容易に入り込み、均一なカプセル化が実現される。
図5(g)は、ヒータ101、第1及び第2測温センサ102,103、流体温度測定センサ104、及びシリコン基板110を囲んでパリレン膜114a,114b,114c,114が成膜された様子を示している。
パリレン膜の熱伝導率は、0.084W/mKである。これに対して、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の熱伝導率は、それぞれ、1.4W/mK,3.2W/mKである。すなわち、パリレン膜の熱伝導率は、シリコン酸化膜又はシリコン窒化膜に対して、数十分の1と、非常に小さい。そのため、ヒータで発生した熱が被計測流体及び熱感知素子に伝導し難くなって、熱線式流量計の出力が小さくなるとともに、応答性も悪くなる。つまり、被計測流体の測定精度が悪化する。
しかし、パリレン膜の膜厚を薄くすれば、熱伝導率の低さの影響を緩和できるとともに、パリレン膜の保護膜としての特長を活かすことができる。
パリレン膜を、上述した各回路パターン112a,112b,112c,112dの保護膜、つまり、漏れ電流の発生を防止する絶縁膜として、単独で用いた場合には、[発明が解決しようとする課題]欄で上述したように、膜厚を5μm以上にする必要がある。
しかし、本実施形態の熱線式流量計100のように、各回路パターン112a,112b,112c,112d上にそれぞれシリコン窒化膜113a,113b,113c,113を上記保護膜として成膜した上で、さらに上記保護膜としてパリレン膜114a,114b,114c,114を成膜すれば、当該パリレン膜114a,114b,114c,114の膜厚は、1〜2μmに抑えることができる。つまり、このような薄さの膜厚でパリレン膜を成膜したとしても、各回路パターン112a,112b,112c,112dからの漏れ電流を防止できる電気的絶縁性を確保することができる。
ただし、図5(g)から分かるように、各回路パターン112a,112b,112cの側面は、シリコン窒化膜によって覆われていないので、1〜2μmの膜厚のパリレン膜でのみ覆われることになる。なお、回路パターン112dの側面は、シリコン窒化膜によって覆われている。
パリレン膜は、ピンホールが発生するとしても、ランダムに発生する。このため、膜厚を厚くすれば、膜の内外を繋ぐピンホールがなくなって、漏れ電流の発生を防止し、電気的絶縁性が確保される。
本実施形態の熱線式流量計100では、各回路パターン112a,112b,112cの各側面部の各表面部に対する面積比は1/10以下であるので、パリレン膜の欠陥(ピンホールの発生)による側面部の電気的絶縁不良の発生確率は極めて低い。
したがって、1〜2μmの膜厚のパリレン膜で、ヒータ101及び第1及び第2測温センサ102,103全体を覆うことにより、電気的絶縁性の確保に対する歩留まりを向上させることができる。
以上のようにして、本実施形態の熱線式流量計100には、シリコン窒化膜111が成膜されるシリコン基板110と、シリコン窒化膜111をメッシュ状に形成してなる薄膜形成部の表面上の一部に形成された金属薄膜112を含む第1回路パターン112aと、薄膜形成部の表面上の他の一部に形成された金属薄膜112を含む第2回路パターン112bと、薄膜形成部の表面上のさらに他の一部に形成された金属薄膜112を含む第3回路パターン112cとが設けられている。
さらに、本実施形態の熱線式流量計100では、第1〜第3回路パターン112a,112b,112cはいずれも、その表面上をシリコン窒化膜113a,113b,113c(又はシリコン酸化膜)を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパリレン膜114a,114b,114cを含む第2保護膜によって覆われ、当該第1回路パターン112aは、ヒータ101として機能し、当該第2及び第3回路パターン112b,112cはそれぞれ、第1及び第2測温センサ102,103として機能する。
本実施形態の熱線式流量計100によれば、第1〜第3回路パターン112a,112b,112cはいずれも、その表面上をシリコン窒化膜113a,113b,113c(又はシリコン酸化膜)を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパリレン膜114a,114b,114cを含む第2保護膜によって覆われるので、パリレン膜114a,114b,114cの膜厚を、当該パリレン膜を単独で用いたときよりも、薄くしたとしても、当該第1〜第3回路パターン112a,112b,112cからの漏れ電流を防止できる電気的絶縁性を確保することができる。
また、パリレン膜114a,114b,114cの膜厚を薄くしたことで、パリレン膜の熱伝導率の低さの影響を緩和できるとともに、パリレン膜の保護膜としての特長を活かすことができる。
さらに、本実施形態の熱線式流量計100では、薄膜形成部のうち、少なくとも、第1〜第3回路パターン112a,112b,112cが形成された領域は、シリコン基板110の表面に設けられたキャビティ106を構成する周壁に懸架されているので、本実施形態の熱線式流量計100を被計測流体内に入れ、当該第1〜第3回路パターン112a,112b,112cをそれぞれ、ヒータ101及び第1,第2測温センサ102,103として機能させたとき、当該第1〜第3回路パターン112a,112b,112cと被計測流体との接触面積が大きくなるので、被計測流体に対する熱の伝達が向上し、これにより、被計測流体の流量の測定精度が向上する。
ちなみに、本実施形態において、シリコン窒化膜111は、「薄膜」の一例である。シリコン窒化膜113は、「第1保護膜」の一例である。パリレン膜114は、「第2保護膜」の一例である。キャビティ106は、「凹部」の一例である。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
(1)本実施形態では、図5(e)に示すように、シリコン窒化膜111,113のエッチングを、各回路パターン112a,112b,112cの幅に対して垂直に行ったので、各回路パターン112a,112b,112cの側面の金属薄膜がそのまま表出する。しかし、各回路パターン112a,112b,112cの幅を、その下のシリコン窒化膜111a,111b,111cの各幅より狭くすれば、次に成膜されるシリコン窒化膜113により、各回路パターン112a,112b,112cの側面も覆われる。そして、各回路パターン112a,112b,112c全体がシリコン窒化膜113によって覆われた状態で、パリレン膜が成膜される。
図6(a)は、各回路パターン全体がシリコン窒化膜によって覆われた状態で、パリレン膜が成膜された様子を示す断面図であり、図6(b)は、図6(a)中の円Bで示されるヒータの拡大断面図である。
図6(b)に示すように、ヒータ101に備えられた回路パターン112a′は、その幅より広い幅のシリコン窒化膜111a′上に形成され、シリコン窒化膜113a′が、回路パターン112a′全体を覆っている。そして、パリレン膜114a′が、シリコン窒化膜111a′,113a′全体を覆っている。
これにより、回路パターン112a′の側面部は、その表面部と同様に、シリコン窒化膜113a′で覆われた上に、パリレン膜114a′で覆われる。したがって、パリレン膜114a′として、1〜2μmの膜厚のものを用いたとしても、漏れ電流の発生を完全に防止し、電気的絶縁性が確保されるので、電気的絶縁性の確保に対する歩留まりをさらに向上させることができる。
(2)本実施形態では、図5(f)に示すように、異方性エッチングを、シリコン基板110の表面に対して行うようにしたが、これに限らず、シリコン基板110の裏面に対して行うようにしてもよい。
図7は、シリコン基板110の裏面に対して異方性エッチングを行って製造された熱線式流量計の断面図を示している。そして、同図(a)は、熱線式流量計全体をパリレン膜114で覆った一例を示し、同図(b)は、熱線式流量計の表面のみをパリレン膜114′で覆った一例を示している。
(3)本実施形態では、パラキシリレン系樹脂の1つとして、パリレンを用いたが、これに限られる訳ではない。
(4)本実施形態では、測温センサは、ヒータ101の両側に1つずつ形成されているが、この個数は、1つに限らず、2つ以上であってもよい。
100 熱線式流量計
101 ヒータ
102 第1測温センサ
103 第2測温センサ
104 流体温度測定センサ
105 開口部
106 キャビティ
110 シリコン基板
111,113 シリコン窒化膜
112a,112b,112c,112d 回路パターン

Claims (6)

  1. 薄膜が成膜されるシリコン基板と、
    前記薄膜をメッシュ状に形成してなる薄膜形成部の表面上の一部に形成された金属薄膜を含む第1回路パターンと、
    前記薄膜形成部の表面上の他の一部に形成された金属薄膜を含む第2回路パターンと、
    前記薄膜形成部の表面上のさらに他の一部に形成された金属薄膜を含む第3回路パターンと、
    を有し、
    前記第1〜第3回路パターンはいずれも、その表面上をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われ、
    当該第1回路パターンは、ヒータとして機能し、
    当該第2及び第3回路パターンはそれぞれ、測温センサとして機能する
    ことを特徴とする熱線式流量計。
  2. 前記薄膜形成部の薄膜は、シリコン窒化膜を含む薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の熱線式流量計。
  3. 前記薄膜形成部のうち、少なくとも、前記第1〜第3回路パターンが形成された領域は、前記シリコン基板の表面に設けられた凹部を構成する周壁に懸架されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱線式流量計。
  4. 前記第1保護膜により、当該第1〜第3回路パターンの各側面も覆われることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の熱線式流量計。
  5. 薄膜が成膜されるシリコン基板と、
    前記薄膜を含む薄膜形成部の表面上の一部に形成された金属薄膜を含む第1回路パターンと、
    前記薄膜形成部の表面上の他の一部に形成された金属薄膜を含む第2回路パターンと、
    前記薄膜形成部の表面上のさらに他の一部に形成された金属薄膜を含む第3回路パターンと、
    を有し、
    前記第1〜第3回路パターンはいずれも、その周囲をシリコン窒化膜又はシリコン酸化膜を含む第1保護膜によって覆われた上に、さらに、その周囲をパラキシリレン系樹脂を含む薄膜である第2保護膜によって覆われ、
    当該第1回路パターンは、ヒータとして機能し、
    当該第2及び第3回路パターンはそれぞれ、測温センサとして機能する
    ことを特徴とする熱線式流量計。
  6. 前記第2保護膜の膜厚は、1μmから2μmまでの範囲であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の熱線式流量計。
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