JP2019196731A - コンプレッションリング - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングにおいて、ブローバイ又はオイル上がりを抑制しつつ、合口部分の強度を確保することが可能な技術を提供する。【解決手段】コンプレッションリングは、外側の突出部と内側の突出部とを有し、外側の突出部は、第1溝壁に当接するとともに周長方向に延在する帯状の外側第1面と、外側第1面よりも第2溝壁側に設けられる面であって外側第1面の径方向内側の端縁よりも外側に位置する径方向内側の端縁を有する、周長方向に延在する帯状の外側第2面と、を有し、外側第2面の前記径方向における最小幅は、所定の幅以上である。【選択図】図2

Description

本発明は、コンプレッションリングに関する。
内燃機関のシリンダに装着されるピストンの外周面に形成されたリング溝には、ピストンリングとして、コンプレッションリング(圧力リング)とオイルリングとが設けられる。コンプレッションリングは、高圧の燃焼ガスが燃焼室側からクランク室側へ流出すること(ブローバイ)やシリンダ内の余分なオイル(潤滑油)がクランク室側から燃焼室側に流出すること(オイル上がり)を抑制する機能を有する。このようなコンプレッションリングには気密性が優れていることが要求されるが、シリンダとの熱膨張差を吸収するために、コンプレッションリングに適度な隙間を形成した合口を設けておく必要がある。そのため、この合口部分における燃焼ガスやオイルの漏れを低減することが課題であった。このような課題に対して、例えば、特許文献1には、特殊合口構造とすることで合口におけるブローバイガスの低減を図ったコンプレッションリングが開示されている。該コンプレッションリングは、合い口を三角形断面の凸部と、該凸部を受け入れる凹部とで形成し、それぞれの合わせ面を逆傾斜に形成している。そして、ピストンのリング溝に設けられた状態において、凸部が凹部に着座する構成とすることによって、燃焼ガスが合口部分を通過することを抑制し、ブローバイガスを低減している。
また上記課題に関連する技術として、特許文献2には、コンプレッションリングの背面にバックアップリングを配し、それぞれの合い口を、三角形断面の凸部と凸部を受け入れる凹部とで形成し、それぞれの合わせ面を逆傾斜にした組合せピストンリングが開示されている。特許文献2に開示された技術は、コンプレッションリングとバックアップリングのうち、一方で燃焼ガスの通り抜けを防止し、他方でオイルの通り抜けを防止することができる。
実公平1−22916号公報 特開平6−331029号公報
これらのように合口を三角形断面の凸部によって構成するコンプレッションリングは、気密性に優れている。一方で、凸部の断面を三角形にすると、合わせ面と外周面とが成す角が鋭角となるため、当該箇所に応力が集中しがちである。また、コンプレッションリングの上下幅は該コンプレッションリングを収容するリング溝の上下幅に依存し、例えば、1.0〜1.5mmのように、設計可能な上下幅の範囲が限定されている。そのため、凸部の断面を三角形にすると、凸部の強度を確保するために最低限必要な断面積を確保することが困難となる。その結果、荷重によって凸部が折損する虞があった。
本発明は、上記したような種々の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングにおいて、ブローバイ又はオイル上がりを抑制しつつ、合口部分の強度を確保することが可能な技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用した。即ち、本発明は、内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングであって、合口を形成する第1の端部と第2の端部のうち第1の端部から前記コンプレッションリングの周長方向に突出する外側の突出部と、第2の端部から前記周長方向に突出するとともに前記外側の突出部よりも当該コンプレッションリングの径方向における内側に位置する内側の突出部と、を有し、前記外側の突出部は、前記リング溝において上下に対向配置された第1溝壁と第2溝壁のうち、前記第1溝壁に当接するとともに、前記周長方向に延在する帯状の外側第1面と、前記外側第1面よりも前記第2溝壁側に設けられる面であって、前記外側第1面の前記径方向内側の端縁よりも外側に位置する径方向内側の端縁を有する、前記周長方向に延在する帯状の外側第2面と、前記外側第1面の前記端縁と前記外側第2面の前記端縁とを接続する外側合わせ面と、を有し、前記内側の突出部は、前記第1溝壁に当接するとともに、前記周長方向に延在する帯状の内側第1面と、前記内側第1面よりも前記第2溝壁側に設けられる面であって、前記内側第1面の前記径方向外側の端縁よりも外側に位置する径方向外側の端縁を有する、前記周長方向に延在する帯状の内側第2面と、前記内側第1面の前記端縁と前記内側第2面の前記端縁とを接続するとともに、前記コンプレッションリングの軸方向視において、前記外側合わせ面と少なくとも一部が重複する内側合わせ面と、を有し、前記外側第2面の前記径方向における最小幅は、所定の幅以上である。
本発明は、外側の突出部が、帯状の外側第1面に加えて帯状の外側第2面を有する。これにより、外側の突出部の周長方向と直交する断面形状が四角形(台形)となる。これによると、外側突出部における第2溝壁側の端部が鋭角端とならずに幅を有する面(外側第2面)となるため、第2溝壁側から荷重が掛かったときに、外側の突出部に作用する応力を低減することができる。また、一般に、コンプレッションリングの軸方向における幅は該コンプレッションリングを収容するリング溝の上下幅に依存し、設計可能な幅の範囲が限定されている。そのため、突出部の該断面形状を三角形にすると、軸方向の荷重によって突出部が折損しないだけの強度を確保するために最低限必要な断面積を確保することが困難となる。本発明のコンプレッションリングは、外側の突出部の該断面形状を四角形とし、更に、外側第2面の径方向における最小幅を所定の幅以上とすることによって、軸方向における幅が同一であって外側の突出部の該断面形状が三角形であるコンプレッションリングと比較して、軸方向における厚肉部位を増加させ、突出部の周長方向における断面積を大きくすることができる。これにより、荷重によって突出部に作用する応力を低減することができる。その結果、本発明によれば、外側の突出部の耐折損性を向上させることができる。なお、本発明において、コンプレッションリングの「径方向内側」とは、径方向におけるコンプレッションリングの中心軸側のことを指し、「径方向外側」とは、その反対側(即ち、コンプレッションリングの外周面側)のことを指す。また、ピストンにおける「上方向」とは、ピストンに対する燃焼室側のことを指し、「下方向」とは、その反対方向(即ち、クランク室側)のことを指す。本発明のコンプレッションリングは、リング溝に設けられることによって、コンプレッションリングの軸方向がピストンの上下方向と一致する。なお、本発明は、第1溝壁と第2溝壁の上下方向における位置関係までを限定するものではない。
ここで、前記第1溝壁は、前記リング溝の下壁であり、前記第2溝壁は、前記下壁に対向する上壁である場合、本発明のコンプレッションリングは、ブローバイの抑制に利用することができる。より詳細には、燃焼室のガス圧が高圧になると、コンプレッションリングがリング溝の下壁に押し付けられ、外側第1面と内側第1面とがリング溝の下壁に当接した状態となる。これにより、合わせ面同士の間に形成される隙間である合わせ面隙間は、外側第1端縁と内側第1端縁においてリング溝の下壁によって塞がれた状態となる。その結果、燃焼室からシリンダの内壁とピストンの外周面との隙間(ピストンクリアランス)内を下降してコンプレッションリングに到達した燃焼ガスのうち、合わせ面隙間を通り
抜けてクランク室側へ流出する燃焼ガスの量を低減することができる。
また、前記第1溝壁は、前記リング溝の上壁であり、前記第2溝壁は、前記上壁に対向する下壁である場合、本発明のコンプレッションリングは、オイル上がりの抑制に利用することができる。より詳細には、燃焼室のガス圧が負圧になると、コンプレッションリングがリング溝の上壁に押し付けられ、外側第1面と内側第1面とが上壁に当接した状態となる。これにより、合わせ面隙間は、外側第1端縁と内側第1端縁においてリング溝の上壁によって塞がれた状態となる。その結果、クランク室からピストンクリアランス内を上昇してコンプレッションリングに到達したオイルのうち、合わせ面隙間を通り抜けてシリンダ内から燃焼室側へ流出するオイルの量を低減することができる。
また、前記外側の突出部の先端面と前記第2の端部の端面との間に形成される隙間のうち、前記径方向において前記内側第2面よりも外側の領域である合口隙間の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離未満としてもよい。即ち、合口隙間の径方向における幅をピストンクリアランスの径方向における幅よりも狭くしてもよい。そうすることによって、コンプレッションリングがリング溝に設けられたときに、合口隙間において、内側第2面の径方向外側の側端縁がピストンの外周面よりも径方向外側に位置した状態となる。これによれば、コンプレッションリングに到達した燃焼ガス又はオイルがシリンダ軸に沿うようにして合口隙間を通り抜ける量を低減することができる。その結果、気密性(ガスシール性又はオイルシール性)を向上させることができる。
また、コンプレッションリングは、前記合口隙間を前記第2溝壁側から覆うカバー部材を有してもよい。これによると、合口隙間が塞がれるため、コンプレッションリングに到達した燃焼ガス又はオイルが合口隙間を通り抜けることを抑制することができる。その結果、気密性を更に向上させることができる。また、この場合において、合口隙間が塞がれることから、前記合口隙間の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離以上であってもよい。即ち、合口隙間の径方向における幅をピストンクリアランスの径方向における幅よりも広くしてもよい。これにより、コンプレッションリングがリング溝に設けられたときに、合口隙間において、内側第2面の径方向外側の側端縁をより径方向内側に位置させておくことが可能となる。そのため、外側第2面の径方向内側の側端縁がより径方向内側に位置するように外側の突出部を形成することができる。即ち、外側第2面の径方向における幅をより大きくすることができる。その結果、外側の突出部の強度をより高め易くすることができる。カバー部材は、例えば、コンプレッションリングに重ねられるサイドレールである。
また、コンプレッションリングは、前記合わせ面隙間を埋めることによって前記合わせ面隙間を閉塞する、合わせ面閉塞部を有してもよい。これにより、コンプレッションリングに到達した燃焼ガス又はオイルが合わせ面隙間を通り抜けることを抑制することができる。その結果、気密性を向上させることができる。
更に、コンプレッションリングは、前記合口隙間を埋めることによって前記合口隙間を閉塞する、合口隙間閉塞部を有してもよい。これによると、合口隙間が塞がれるため、ピストンクリアランス内をシリンダ軸に沿うようにして進行する燃焼ガス又はオイルが合口隙間を通り抜けることを抑制することができる。その結果、気密性を向上させることができる。
本発明によれば、コンプレッションリングにおいて、ブローバイ又はオイル上がりを抑
制しつつ、合口部分の強度を確保することが可能となる。
実施形態1に係るコンプレッションリングの上面図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの合口部分を説明するための斜視図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の斜視図である。 実施形態1に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の上面図である。 図4のA−A断面図である。 実施形態1の比較例に係るコンプレッションリングの合口部分を説明するための斜視図である。 実施形態1の比較例に係るコンプレッションリングが使用状態のときの外側突出部と内側突出部とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。 図4のB−B断面図である。 実施形態1の変形例1に係るコンプレッションリングが使用状態のときの合口隙間における周長方向に直交する断面を示す断面図である。 実施形態1の変形例2に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の斜視図である。 図9のA−A断面図である。 実施形態1の変形例3に係るコンプレッションリングが使用状態のときの合口隙間における周長方向に直交する断面を示す断面図である。 実施形態2に係るコンプレッションリングの使用状態における合口部分の上面図である。 図12のA−A断面図である。 図12のB−B断面図である。 実施形態2の変形例1に係るコンプレッションリングが使用状態のときの合口隙間における周長方向に直交する断面を示す断面図である。 実施形態2の変形例2に係るコンプレッションリングが使用状態のときの外側突出部と内側突出部とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。 実施形態2の変形例3に係るコンプレッションリングが使用状態のときの合口隙間における周長方向に直交する断面を示す断面図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。なお、本実施例に記載されている構成は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
<実施形態1>
図1は、第1実施形態に係るコンプレッションリング100の上面図である。図2は、コンプレッションリング100の合口部分を説明するための斜視図である。図3は、コンプレッションリング100の使用状態における合口部分の斜視図である。図4は、コンプレッションリング100の使用状態における合口部分の上面図である。図5は、図4のA−A断面図である。より詳細には、図5は、コンプレッションリング100が使用状態のときの外側突出部1と内側突出部2とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。以下、図1〜5を参照しながら、実施形態1に係るコンプレッションリング100の構造について説明する。
図1に示すように、コンプレッションリング100は、合口(図1中、破線で囲んだ部
分)が形成された円環状を有している。コンプレッションリング100は、周長方向と直交する断面が略矩形状となるように形成されている。コンプレッションリング100は、シリンダに装着されたピストンの外周に形成されたリング溝に設けられて用いられる。ここで、コンプレッションリング100がシリンダ内でピストンのリング溝に設けられた状態を、使用状態と称する。コンプレッションリング100は、使用状態において外周面がシリンダ内壁4に当接するように自己張力を有している。使用状態においてコンプレッションリング100の外周面がシリンダ内壁4に摺接することで、ピストン外周面3Cとシリンダ内壁4の隙間が塞がれ、燃焼ガスが燃焼室から漏れることが抑制される。以下、本明細書における周長方向とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング100の周長方向のことを指す。また、径方向とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング100の径方向のことを指す。特に、径方向内側とは、径方向におけるコンプレッションリング100の中心軸側のことを指し、径方向外側とは、その反対側(即ち、外周面側)のことを指す。また、軸方向とは、特に指定しない限りはコンプレッションリング100の中心軸方向のことを指す。また、ピストンに対する燃焼室側の方向を上方向(図5における上方向)と定義し、その反対方向(即ち、クランク室側)を下方向と定義する。使用状態において、コンプレッションリング100の軸方向は上下方向と一致する。図5に示すように、リング溝は、上方に面する溝下壁3Bと溝下壁3Bに対向配置された溝上壁3Aとを有し、断面視において略矩形状に形成される。実施形態1においては、溝下壁3Bが本発明の「第1溝壁」に相当し、溝上壁3Aが本発明の「第2溝壁」に相当する。
図2に示すように、コンプレッションリング100には、一対の第1合口端部10,第2合口端部20が対向することによって合口が形成されている。第1合口端部10の端面である第1合口端面101には、周長方向に突出する外側突出部1が形成されている。また、第2合口端部20の端面である第2合口端面201には、周長方向に突出する内側突出部2が形成されている。図3及び図5に示すように、使用状態において、外側突出部1と内側突出部2は径方向に隣り合い、内側突出部2が外側突出部1よりも径方向の内側に位置する。なお、第1合口端部10、第2合口端部20は、それぞれ、本発明の「第1の端部」、「第2の端部」に相当する。また、外側突出部1と内側突出部2は、それぞれ、本発明の「外側の突出部」、「内側の突出部」に相当する。
図2に示すように、外側突出部1は、周長方向と直交する断面視において略台形状の外形を有する。外側突出部1は、外側第1面11、外側第2面12、外側合わせ面13、シリンダ当接面14、外側先端面15、を有する。外側第1面11は、図5に示すように使用状態において溝下壁3Bに当接する面であり、図2に示すように周長方向に延在する帯状に形成されている。ここで、外側第1面11の径方向内側の端縁を、外側第1端縁111と称する。外側第2面12は、図5に示すように外側第1面11よりも溝上壁3A側(上側)に設けられる面であり、図2に示すように周長方向に延在する帯状に形成されている。また、図4に示すように、外側第2面12は、径方向において幅Wを有して形成されている。ここで、外側第2面12の径方向内側の端縁を外側第2端縁121と称する。外側第2端縁121は、外側第1端縁111よりも径方向外側に位置する。これにより、外側第2面12は、外側第1面11よりも面積が小さくなっている。外側合わせ面13は、外側第2端縁121と外側第1端縁111とを接続する面である。外側第2端縁121が外側第1端縁111よりも径方向外側に位置することにより、外側合わせ面13は、径方向の内側に向かうに従って下がるように傾斜した傾斜面に形成されている。なお、外側合わせ面13は、図5に示すような平坦な傾斜面でなくともよく、外側第2端縁121と外側第1端縁111とを接続する曲面であってもよい。
シリンダ当接面14は、コンプレッションリング100の外周面の一部を形成し、図5に示すように使用状態においてシリンダ内壁4に摺接する面である。シリンダ当接面14は、その上端縁において外側第2面12の径方向外側の端縁と接続され、下端縁において
外側第1面11の径方向外側の端縁と接続される。外側先端面15は、外側突出部1の先端面であり、周長方向と直交する面である。図2に示すように、外側先端面15は、外側第1面11、外側第2面12、外側合わせ面13、シリンダ当接面14の、周長方向における先端縁同士を接続する。図4に示すように、外側先端面15は、第2合口端面201との間に所定間隔を空けることで隙間を形成している。当該隙間における外側先端面15と第2合口端面201との距離は、使用状態において外側先端面15と第2合口端面201とが熱膨張によって突き当たることのない距離であればよい。但し、外側先端面15と第2合口端面201との距離は、より小さい方がブローバイガス低減の観点から好ましい。ここで、外側先端面15と第2合口端面201との間に形成される隙間のうち、内側第2面22よりも径方向外側の領域を、合口隙間G1と称する。合口隙間G1は、即ち、外側先端面15と第2合口端面201との間に形成される隙間のうち、内側第2端縁221よりも径方向外側の領域である。合口隙間G1を、図4における斜めハッチングで示す。
図2に示すように、内側突出部2は、周長方向と直交する断面視において略台形状の外形を有する。内側突出部2は、内側第1面21、内側第2面22、内側合わせ面23、内周面24、内側先端面25、を有する。内側第1面21は、図5に示すように使用状態において溝下壁3Bに当接する面であり、図2に示すように周長方向に延在する帯状に形成されている。ここで、内側第1面21の径方向外側の端縁を、内側第1端縁211と称する。内側第2面22は、図5に示すように、内側第1面21よりも溝上壁3A側(上側)に設けられる面であり、図2に示すように周長方向に延在する帯状に形成されている。ここで、内側第2面22の径方向外側の端縁を内側第2端縁221と称する。内側第2端縁221は、内側第1端縁211よりも径方向外側に位置する。内側合わせ面23は、内側第2端縁221と内側第1端縁211とを接続する面である。内側第2端縁221が内側第1端縁211よりも径方向外側に位置することにより、内側合わせ面23は、径方向の内側に向かうに従って下がるように傾斜した傾斜面に形成されている。これにより、内側第2面22は、内側第1面21よりも面積が大きくなっている。内側合わせ面23は、外側合わせ面13と略平行であり、使用状態において外側合わせ面13と対向する。より詳しくは、図4に示すように、内側合わせ面23は、使用状態にあるとき、上面視(軸方向視)において外側合わせ面13に一部が重複するように形成されている。なお、外側合わせ面13と内側合わせ面23は、必ずしも当接することを要さない。但し、外側合わせ面13と内側合わせ面23との距離は、より小さい方がよく、0.1mm以下とすることが、ブローバイガス低減の観点から好ましい。また、内側合わせ面23は、使用状態にあるとき、軸方向視において外側合わせ面13に少なくとも一部が重複すればよい。
内周面24は、図5に示すようにコンプレッションリング100の内周面の一部を形成する面である。内側先端面25は、内側突出部2の先端面であり、周長方向と直交する面である。図2に示すように、内側先端面25は、内側第1面21、内側第2面22、内側合わせ面23、内周面24の周長方向における先端縁同士を接続する。図4に示すように、内側先端面25は、第1合口端面101との間に所定間隔を空けることで隙間を形成している。当該隙間における内側先端面25と第1合口端面101との距離は、使用状態において内側先端面25と第1合口端面101とが熱膨張によって突き当たることのない距離であればよい。
このようなコンプレッションリング100は、ステンレス鋼線材や鋳鉄、又はスチール線材で成形したコイリング材の一部を切断することによって合口を形成し、合口を形成する両端部に切欠加工を施すことによって得られる。但し、コンプレッションリング100の材料は上記に限定されない。外側突出部1及び内側突出部2は、例えば、合口を形成する両端部の一部が切り欠かれることによって残った、両端部の残部である。
ここで、図6Aは、比較例に係るコンプレッションリング100Dの合口部分を説明す
るための斜視図である。図6Bは、比較例に係るコンプレッションリング100Dが使用状態のときの外側突出部1と内側突出部2とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。図6A及び図6Bに示すように、比較例に係るコンプレッションリング100Dは、コンプレッションリング100と異なり、一対の突出部が上下に配置される。溝下壁3B側(下側)の突出部を下側突出部1Dとし、溝上壁3A側(上側)の突出部を上側突出部2Dとする。上側突出部2Dは、下側突出部1Dの上に載置される。下側突出部1Dは、外側第2面12を有さない点で、コンプレッションリング100の外側突出部1と異なる。下側突出部1Dにおける外側合わせ面13Dは、外側第1端縁111とシリンダ当接面14の上端縁とを接続している。これにより、図6A及び図6Bに示すように、下側突出部1Dは、周長方向と直交する断面形状が三角形をなしている。ここで、外側合わせ面13Dとシリンダ当接面14とが鋭角をなすことから、下側突出部1Dの溝上壁3A側の端部(上端部)は、周長方向と直交する断面視において鋭角な鋭角端16となっている。このようなコンプレッションリング100Dが使用状態にあるとき、シリンダ内でのピストンの往復運動に伴うコンプレッションリング100Dの摺動により、下側突出部1Dに対して軸方向の荷重が作用する。下側突出部1Dは、上端部が鋭角な鋭角端16となっているため、上方から荷重が作用したときに鋭角端16において大きな応力が生じることとなる。その結果、鋭角端16において下側突出部1Dが破損する虞がある。
これに対して、上述のように、コンプレッションリング100は、外側突出部1が、周長方向に延在する帯状の外側第1面11に加えて、周長方向に延在する帯状の外側第2面12を有している。そのため、図5に示すように、外側突出部1の周長方向と直交する断面形状が四角形(台形)となる。これによると、外側突出部1における溝上壁3A側の端部(上端部)が鋭角端とならずに幅を有する面(外側第2面12)となる。これにより、溝上壁3A側(上方)からの荷重によって外側突出部1に作用する応力を低減することができる。その結果、外側突出部1の破損を抑制することができる。また、一般に、コンプレッションリングの軸方向における幅は、該コンプレッションリングを収容するリング溝の上下幅に依存し、設計可能な幅の範囲が限定されている。そのため、仮に、突出部の該断面形状を比較例に係るコンプレッションリング100Dの下側突出部1Dのように三角形にすると、軸方向の荷重によって該突出部が折損しないだけの強度を確保するために最低限必要な断面積を確保することが困難となる。これに対して、コンプレッションリング100は、外側突出部1の該断面形状を四角形とすることによって、突出部の該断面形状が三角形であるコンプレッションリング100Dと比較して、軸方向における厚肉部位を増加させ、外側突出部1の周長方向における断面積を大きくすることができる。これにより、荷重によって外側突出部1に作用する応力を低減することができ、外側突出部1の折損を抑制することができる。その結果、外側突出部1の耐折損性を向上させ、外側突出部1の強度を確保することができる。なお、外側第2面12の径方向における幅Wは、周長方向において一定でなくともよい。換言すると、外側第2端縁121とシリンダ当接面14との距離は、周長方向において一定でなくともよい。外側第2面12は、径方向における最小幅Wminが所定の幅W以上であればよい。即ち、Wmin≧Wであればよい。Wは、外側突出部1が折損しないだけの強度を確保するために必要な幅であり、Wmin≧Wとすることで外側突出部1の耐折損性が確保される最小の幅である。
次に、図5及び図7を参照して、コンプレッションリング100の使用状態における燃焼ガスの挙動について説明する。図7は、図4のB−B断面図である。より詳細には、図7は、コンプレッションリング100が使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。図5及び図7で示される矢印は、燃焼ガスの挙動を示す。
燃焼室のガス圧が高圧になると、図5及び図7に示すようにコンプレッションリング100が溝下壁3Bに押し付けられ、外側第1面11と内側第1面21が溝下壁3Bに当接
した状態となる。この状態で、燃焼室から燃焼ガスが高圧でクランク室側(下方向)に向かって流れ出る。ここで、図5及び図7に示すように、シリンダ内壁4とピストン外周面3Cとの間には、所定の離間距離dが確保されることで隙間(ピストンクリアランス)Cが形成されている。燃焼室からピストンクリアランスC内に流出した燃焼ガスは、ピストンクリアランスC内をシリンダ軸に沿って真っ直ぐ下降しながらコンプレッションリング100に到達する。ここで、外側合わせ面13と内側合わせ面23との間に形成される隙間である合わせ面隙間G2は、図5に示すように、外側第1端縁111と内側第1端縁211において溝下壁3Bによって塞がれた状態となっている。これにより、合わせ面隙間G2を通り抜けてクランク室側へ流出する燃焼ガスの量が低減されている。
ここで、コンプレッションリング100に到達した燃焼ガスの一部は、進行方向を変えることなく、シリンダ軸に沿って真っ直ぐ下降しながら合口隙間G1を通り抜けてクランク室側に流出しようとする。これに対し、コンプレッションリング100は、図7に示すように、合口隙間G1の径方向における幅dが、ピストンクリアランスCの径方向における幅d未満となるように設計されてもよい。そうすることにより、図7に示すように、コンプレッションリング100の使用状態において、内側第2面22の内側第2端縁221は、ピストン外周面3Cよりも径方向外側に位置することになる。これによると、燃焼ガスの一部がシリンダ軸に沿って真っ直ぐ下降しながら合口隙間G1を通り抜けてクランク室側に流出するためには、燃焼ガスはピストンクリアランスCよりも幅の狭い領域を通り抜けなければならず、内側突出部2がブローバイに対する抵抗となる。これによれば、燃焼室からコンプレッションリング100に到達した燃焼ガスが合口隙間G1を通り抜けてクランク室側に流出する量を減らすことができる。即ち、ガスシール性が高められ、ブローバイガスを低減することができる。合口隙間G1の径方向における幅dをより小さくすれば、合口隙間G1がより狭くなり、ブローバイガスをより低減することができる。そのため、ガスシール性の観点では、外側第2面12の径方向の幅Wは、少なくとも周長方向の先端においてW=Wとすることが好ましい。そうすることにより、外側突出部1の強度を確保しつつも、合口隙間G1において内側第2面22の内側第2端縁221をより径方向外側に位置させることが可能となり、dをより小さくすることができる。
また、コンプレッションリング100は、合口隙間G1を埋めることによって合口隙間G1を閉塞する、合口隙間閉塞部を有してもよい。合口隙間閉塞部は、シール材によって形成され、合口隙間G1を塞ぐことによってガスシール性をより高め、ブローバイガスを更に低減することができる。合口隙間閉塞部を形成するシール材としては、例えば、PI(Polyimide)系樹脂やPAI(Polyamide-imide)系樹脂、シリコーン(珪素樹脂)、フッ素樹脂等の耐熱性の高い樹脂の他、銅系の軟質金属等、耐熱性に優れた種々の材料を用いることができる。合口隙間閉塞部は、例えば、合口端面を上記のシール材でコーティングすることによって形成することができる。
また、燃焼ガスの他の一部は、図5に示すように外側合わせ面13と内側合わせ面23との間に形成された隙間である合わせ面隙間G2に進入し、合わせ面隙間G2を通り抜けて外側先端面15と第2合口端面201との隙間(図4参照)を介してクランク室側に流出しようとする。コンプレッションリング100は、合わせ面隙間G2を埋めることによって合わせ面隙間G2を閉塞する、合わせ面隙間閉塞部を有してもよい。合わせ面隙間閉塞部は、シール材によって形成され、合わせ面隙間G2を塞ぐことによってガスシール性をより高め、ブローバイガスを更に低減することができる。合わせ面隙間閉塞部を形成するシール材としては、例えば、PI(Polyimide)系樹脂や、PAI(Polyamide-imide)系樹脂、シリコーン(珪素樹脂)、フッ素樹脂等の耐熱性の高い樹脂の他、銅の軟質金属等、耐熱性に優れた種々の材料を用いることができる。合わせ面隙間閉塞部は、例えば、合わせ面を上記のシール材によってコーティングすることで形成することができる。
[変形例1]
図8は、実施形態1の変形例1に係るコンプレッションリング100Aが使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。図8に示すように、コンプレッションリング100Aは、コンプレッションリング100の上面にサイドレール30が載置されて構成される。サイドレール30は、合口が形成された円環形状を有している。但し、サイドレール30の形状はこれに限定しない。サイドレール30は、外側第2面12と内側第2面22に跨るようにして使用状態のコンプレッションリング100に載置される。このとき、サイドレール30の合口がコンプレッションリング100の合口上に位置しないように、サイドレール30が設けられる。サイドレール30の外周面はコンプレッションリング100の外周面とともにシリンダ内壁4に摺接する。
図8に示すように、コンプレッションリング100は、サイドレール30によって合口隙間G1が溝上壁3A側から覆われている。合口隙間G1がサイドレール30によって塞がれているため、燃焼室から流出した燃焼ガスが合口隙間G1を通り抜けることが抑制される。その結果、ブローバイガスを低減することができる。また、この場合、合口隙間G1が覆れていることから、合口隙間G1の径方向における幅dをピストンクリアランスCの幅d以上としたとしても、即ち、使用状態において内側第2面22の内側第2端縁221をピストン外周面3Cよりも径方向内側に位置したとしても、燃焼ガスの通り抜けを抑制することができる。つまり、使用状態において内側第2面22の内側第2端縁221をより径方向内側に位置させておくことが可能となる。これにより、外側第2面12の外側第2端縁121がより径方向内側に位置するように外側突出部1を形成することができる。即ち、外側第2面12の径方向における幅Wをより大きくすることができる。これにより、外側突出部1の強度をより高め易くすることができる。なお、サイドレール30は、コンプレッションリング100の上面の全てを覆う必要はなく、少なくとも、合口隙間G1を覆うことができればよい。サイドレール30は、本発明における「カバー部材」に相当する。また、コンプレッションリング100Aは、ピストンの往復運動に伴う振動等によってサイドレール30がコンプレッションリング100に対して周長方向へ相対的に回転することを抑制するための、回り止め手段を有してもよい。回り止め手段は、例えば、コンプレッションリング100の上面とサイドレール30の下面のうち一方に形成された突起と、他方に形成されて当該突起に係合する溝(ノッチ)と、を含んで形成されてもよい。回り止め手段によって、コンプレッションリング100とサイドレール30の相対的な回転が抑制されるため、サイドレール30の合口がコンプレッションリング100の合口上に位置することを抑制することができる。その結果、サイドレール30によって合口隙間G1が塞がれた状態が維持され、ブローバイガスを確実に低減することができる。
[変形例2]
図9は、実施形態1の変形例2に係るコンプレッションリング100Bの使用状態における合口部分の斜視図である。図10は、図9のA−A断面図である。より詳細には、図10は、実施形態1の変形例2に係るコンプレッションリング100Bが使用状態のときの外側突出部1と内側突出部2とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。コンプレッションリング100Bでは、外周縁及び内周縁にR加工が施されたコンプレッションリング(以下、元のコンプレッションリング)の端部に切欠加工を施すことによって外側突出部1及び内側突出部2が形成されている。ここで、図9に示すように、外側突出部1は、元のコンプレッションリングの上面の中途を切り欠くことで形成されており、R面(図9中、斜めハッチングで示す面)の中途を切り欠くことなく形成されている。これにより、外側第2端縁121は、R面の内側に形成されず、元のコンプレッションリングの上面に形成されている。その結果、図10に示すように、外側第2面12は、上面の一部である平坦領域12Aと、R面の一部であるR面領域12Bと、を含んで形成されている。コンプレッションリング100Bでは、外側第2端縁121をR面の内側に形成しな
いことにより、R面の中途を切り欠いて外側突出部1を形成する場合と比較して、外側突出部1の外側第2端縁121付近を破損し難くすることができる。なお、図9に示すように、コンプレッションリング100Bの第1合口端面101と外側合わせ面13とがなす隅と、第2合口端面201と内側合わせ面23とがなす隅には、隅Rが形成されている。内側第2端縁221は、略直線状の平坦領域221Aと、隅Rを形成するR領域221Bと、を含む。また、外側突出部1と内側突出部2には、上記の隅Rに接触しないためのR加工がなされている。外側先端面15は、平坦な平坦領域15Aと、R加工によって形成されて外側合わせ面13に連なるR領域15Bと、を含む。なお、コンプレッションリング100BにおけるR加工部分には、R加工に代えて、C面取り加工がされていてもよい。例えば、上述の外側突出部1や内側突出部2を隅Rと接触させないための加工は、C面取り加工であってもよい。
[変形例3]
図11は、実施形態1の変形例3に係るコンプレッションリング100Cが使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。変形例3に係るコンプレッションリング100Cは、外側第2端縁121をR面の上端部に形成した点で変形例2に係るコンプレッションリング100Bと異なる。図11に示すように、コンプレッションリング100Cでは、外側第2端縁121をR面の上端部に形成することによって、外側第2面12が平坦領域を含まないでR面のみによって形成されている。R面の径方向の幅、即ち、外側第2面12の径方向の幅Wは、外側突出部1が折損しないだけの強度を確保するために必要な幅であるW以上となっている。外側第2端縁121をR面の内側に形成しないことで、外側第2端縁121付近の破損を抑制することができる。特に、外側第2端縁121をR面の上端部に形成することで、外側第2端縁121を元のコンプレッションリングの上面に形成する場合と比較して、外側第2端縁121をより径方向外側に位置させることができる。これにより、内側第2面22の内側第2端縁221を、より径方向外側へ位置させることが可能となる。即ち、合口隙間G1の径方向における幅dをより小さくすることができる。その結果、R加工が施されたコンプレッションリングを元に外側突出部1を形成する場合において、外側突出部1の強度の確保とブローバイガスの低減とを両立することができる。
<実施形態2>
図12は、実施形態2に係るコンプレッションリング200の使用状態における合口部分の上面図である。図13は、図12のA−A断面図である。より詳細には、図13は、実施形態2に係るコンプレッションリング200が使用状態のときの外側突出部1と内側突出部2とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。図14は、図12のB−B断面図である。より詳細には、図14は、実施形態2に係るコンプレッションリング200が使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。図12〜14に示すように、コンプレッションリング200は、全体として、コンプレッションリング100を軸方向において反対向きにした形状を有する。実施形態2においては、溝上壁3Aが本発明の「第1溝壁」に相当し、溝下壁3Bが本発明の「第2溝壁」に相当する。以下、図12〜14を参照しながら、実施形態2に係るコンプレッションリング200の構造について、コンプレッションリング100との相違点を中心に説明し、コンプレッションリング100と同一の構成については同一の符号を付すことで詳細な説明は割愛する。
図12〜14に示すように、実施形態2に係る外側突出部1は、外側第1面11、外側第2面12、外側合わせ面13、シリンダ当接面14、外側先端面15、を有する。図13に示すように、コンプレッションリング200において、外側第1面11は、溝上壁3Aに当接するように設けられている。そして、外側第2面12は、外側第1面11よりも溝下壁3B側に設けられている。また、図12に示すように、外側第2面12は、径方向
において幅Wを有して形成されている。ここで、外側第2面12の径方向内側の端縁である外側第2端縁121は、外側第1面11の径方向内側の端縁である外側第1端縁111よりも径方向外側に位置する。また、外側第2端縁121が外側第1端縁111よりも径方向外側に位置することにより、外側第2端縁121と外側第1端縁111とを接続する面である外側合わせ面13は、径方向の内側に向かうに従って上がるように傾斜した傾斜面に形成されている。
また、図12〜14に示すように、実施形態2に係る内側突出部2は、内側第1面21、内側第2面22、内側合わせ面23、内周面24、内側先端面25、を有する。図13に示すように、コンプレッションリング200において、内側第1面21は、溝上壁3Aに当接するように設けられている。そして、内側第2面22は、内側第1面21よりも溝下壁3B側に設けられている。ここで、内側第2面22の径方向外側の端縁である内側第2端縁221は、内側第1面21の径方向外側の端縁である内側第1端縁211よりも径方向外側に位置する。また、内側第2端縁221が内側第1端縁211よりも径方向外側に位置することにより、内側第2端縁221と内側第1端縁211とを接続する面である内側合わせ面23は、径方向の内側に向かうに従って上がるように傾斜した傾斜面に形成されている。内側合わせ面23は、外側合わせ面13と略平行であり、使用状態において外側合わせ面13と対向する。より詳しくは、図12に示すように、内側合わせ面23は、使用状態にあるとき、上面視(軸方向視)において外側合わせ面13に一部が重複するように形成されている。
このようなコンプレッションリング200が使用状態にあるとき、シリンダ内でのピストンの往復運動に伴うコンプレッションリング200の摺動により、外側突出部1に対して軸方向の荷重が作用する。ここで、コンプレッションリング200は、実施形態1に係るコンプレッションリング100と同様に、外側突出部1が、周長方向に延在する帯状の外側第1面11に加えて、周長方向に延在する帯状の外側第2面12を有している。そのため、図13に示すように、外側突出部1の周長方向と直交する断面形状が四角形(台形)となる。これによると、外側突出部1における溝下壁3B側の端部(下端部)が鋭角端とならずに幅を有する面(外側第2面12)となるため、溝下壁3B側(下方)からの荷重によって外側突出部1に作用する応力を低減することができる。また、コンプレッションリング200は、外側突出部1の該断面形状を四角形とすることによって、外側突出部1の周長方向における断面積を大きくすることができる。これにより、荷重によって外側突出部1に作用する応力を低減することができ、外側突出部1の折損を抑制することができる。その結果、外側突出部1の耐折損性を向上させ、外側突出部1の強度を確保することができる。なお、外側第2面12の径方向における幅Wは、周長方向において一定でなくともよく、外側第2面12は、径方向における最小幅Wminが、Wmin≧Wであればよい。
次に、図13及び図14を参照して、コンプレッションリング200の使用状態におけるシリンダ内のオイルの挙動について説明する。図13及び図14で示される矢印は、オイルの挙動を示す。
燃焼室のガス圧が負圧になると、図13及び図14に示すようにコンプレッションリング200が溝上壁3Aに押し付けられ、外側第1面11と内側第1面21が溝上壁3Aに当接した状態となる。この状態で、シリンダ内のオイルが負圧によって吸引され、燃焼室側(上方向)に向かって上昇する。コンプレッションリング200によりもクランク室側のオイルは、ピストンクリアランスC内をシリンダ軸に沿って真っ直ぐ上昇しながらコンプレッションリング200に到達する。ここで、図13に示すように、合わせ面隙間G2は、外側第1端縁111と内側第1端縁211において溝上壁3Aによって塞がれた状態となっている。これにより、合わせ面隙間G2を通り抜けて燃焼室側へ流出するオイルの
量が低減されている。
ここで、クランク室側からコンプレッションリング200に到達したオイルの一部は、進行方向を変えることなく、シリンダ軸に沿って真っ直ぐ上昇しながら合口隙間G1を通り抜けて燃焼室側に流出しようとする。これに対し、コンプレッションリング200は、図14に示すように、合口隙間G1の径方向における幅dが、ピストンクリアランスCの径方向における幅d未満となるように設計されてもよい。そうすることにより、図14に示すように、コンプレッションリング200の使用状態において、内側第2面22の内側第2端縁221は、ピストン外周面3Cよりも径方向外側に位置することになる。オイルの一部は、ピストンクリアランスCよりも幅の狭い領域を通り抜けなければならず、内側突出部2がオイル上がりに対する抵抗となる。これによれば、クランク室側からコンプレッションリング200に到達したオイルが合口隙間G1を通り抜けて燃焼室側に流出する量を減らすことができる。即ち、オイルシール性が高められ、オイル上がりを抑制することができる。合口隙間G1の径方向における幅dをより小さくすれば、合口隙間G1がより狭くなり、燃焼室側に流出するオイルの量をより低減することができる。そのため、オイルシール性の観点では、外側第2面12の径方向の幅Wは、少なくとも周長方向の先端においてW=Wとすることが好ましい。そうすることにより、外側突出部1の強度を確保しつつも、合口隙間G1において内側第2面22の内側第2端縁221をより径方向外側に位置させることが可能となり、dをより小さくすることができる。
また、コンプレッションリング200は、合口隙間G1を埋めることによって合口隙間G1を閉塞する、合口隙間閉塞部を有してもよい。合口隙間閉塞部は、シール材によって形成され、合口隙間G1を塞ぐことによってオイルシール性をより高め、オイル上がりを更に抑制することができる。
また、オイルの他の一部は、図13に示すように合わせ面隙間G2に進入し、合わせ面隙間G2を通り抜けて外側先端面15と第2合口端面201との隙間(図12参照)を介してクランク室側に流出しようとする。コンプレッションリング200は、合わせ面隙間G2を埋めることによって合わせ面隙間G2を閉塞する、合わせ面隙間閉塞部を有してもよい。合わせ面隙間閉塞部は、シール材によって形成され、合わせ面隙間G2を塞ぐことによってオイルシール性をより高め、オイル上がりを更に抑制することができる。
[変形例1]
図15は、実施形態2の変形例1に係るコンプレッションリング200Aが使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。図15に示すように、コンプレッションリング200Aは、サイドレール30の上面にコンプレッションリング200が載置されて構成される。
図15に示すように、サイドレール30がコンプレッションリング200の合口隙間G1を溝下壁3B側から覆うことによって、オイルがクランク室側から合口隙間G1を通り抜けることが抑制される。その結果、燃焼室側に流出するオイルの量を低減することができる。また、この場合、合口隙間G1が覆れていることから、合口隙間G1の径方向における幅dをピストンクリアランスCの幅d以上にすることで内側第2端縁221がピストン外周面3Cよりも径方向内側に位置したとしても、オイルの通り抜けを抑制することができる。そのため、外側第2面12の外側第2端縁121をより径方向内側に位置させて外側第2面12の径方向における幅Wをより大きくすることができる。これにより、外側突出部1の強度をより高め易くすることができる。なお、サイドレール30は、コンプレッションリング100の下面の全てを覆う必要はなく、少なくとも、合口隙間G1を覆うことができればよい。また、コンプレッションリング200Aは、サイドレール30がコンプレッションリング200に対して周長方向へ相対的に回転することを抑制するた
めの、回り止め手段を有してもよい。
[変形例2]
図16は、実施形態2の変形例2に係るコンプレッションリング200Bが使用状態のときの外側突出部1と内側突出部2とを含む周長方向に直交する断面を示す断面図である。図16に示すように、外側第2面12は、元のコンプレッションリングの下面の一部である平坦領域12Aと、R面であるR面領域12Bと、を含んで形成されている。外側突出部1は、元のコンプレッションリングの下面の中途を切り欠くことで形成されており、外側突出部1をR面の中途を切り欠くことなく形成されている。これにより、外側第2端縁121がR面の内側に形成されないため、R面の中途を切り欠いて外側突出部1を形成する場合と比較して、外側突出部1の外側第2端縁121付近を破損し難くすることができる。
[変形例3]
図17は、実施形態2の変形例3に係るコンプレッションリング200Cが使用状態のときの合口隙間G1における周長方向に直交する断面を示す断面図である。図17に示すように、コンプレッションリング200Cでは、外側第2端縁121がR面の下端部に形成されている。外側第2面12の径方向の幅Wは、W≧Wである。外側第2端縁121をR面の内側に形成しないことで、外側第2端縁121付近の破損を抑制することができる。特に、外側第2端縁121をR面の下端部に形成することで、外側第2端縁121を元のコンプレッションリングの下面に形成する場合と比較して、外側第2端縁121をより径方向外側に位置させることができる。これにより、内側第2面22の内側第2端縁221を、より径方向外側へ位置させることが可能となる。即ち、合口隙間G1の径方向における幅dをより小さくすることができる。その結果、R加工が施されたコンプレッションリングを元に外側突出部1を形成する場合において、外側突出部1の強度の確保とオイル上がりの抑制とを両立することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上述した種々の形態は、可能な限り組み合わせることができる。
100 :コンプレッションリング
10 :第1合口端部
20 :第2合口端部
30 :サイドレール
1 :外側突出部
11 :外側第1面
111 :外側第1端縁
12 :外側第2面
121 :外側第2端縁
13 :外側合わせ面
2 :内側突出部
21 :内側第1面
211 :内側第1端縁
22 :内側第2面
221 :内側第2端縁
23 :内側合わせ面

Claims (8)

  1. 内燃機関のシリンダに装着されるピストンに形成されたリング溝に設けられるコンプレッションリングであって、
    合口を形成する第1の端部と第2の端部のうち第1の端部から前記コンプレッションリングの周長方向に突出する外側の突出部と、第2の端部から前記周長方向に突出するとともに前記外側の突出部よりも当該コンプレッションリングの径方向における内側に位置する内側の突出部と、を有し、
    前記外側の突出部は、
    前記リング溝において上下に対向配置された第1溝壁と第2溝壁のうち、前記第1溝壁に当接するとともに、前記周長方向に延在する帯状の外側第1面と、
    前記外側第1面よりも前記第2溝壁側に設けられる面であって、前記外側第1面の前記径方向内側の端縁よりも外側に位置する径方向内側の端縁を有する、前記周長方向に延在する帯状の外側第2面と、
    前記外側第1面の前記端縁と前記外側第2面の前記端縁とを接続する外側合わせ面と、を有し、
    前記内側の突出部は、
    前記第1溝壁に当接するとともに、前記周長方向に延在する帯状の内側第1面と、
    前記内側第1面よりも前記第2溝壁側に設けられる面であって、前記内側第1面の前記径方向外側の端縁よりも外側に位置する径方向外側の端縁を有する、前記周長方向に延在する帯状の内側第2面と、
    前記内側第1面の前記端縁と前記内側第2面の前記端縁とを接続するとともに、前記コンプレッションリングの軸方向視において、前記外側合わせ面と少なくとも一部が重複する内側合わせ面と、を有し、
    前記外側第2面の前記径方向における最小幅は、所定の幅以上である、
    コンプレッションリング。
  2. 前記第1溝壁は、前記リング溝の下壁であり、前記第2溝壁は、前記下壁に対向する上壁である、請求項1に記載のコンプレッションリング。
  3. 前記第1溝壁は、前記リング溝の上壁であり、前記第2溝壁は、前記上壁に対向する下壁である、請求項1に記載のコンプレッションリング。
  4. 前記外側の突出部の先端面と前記第2の端部の端面との間に形成される隙間のうち、前記径方向において前記内側第2面よりも外側の領域である合口隙間の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離未満である、
    請求項1から3の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
  5. 前記外側の突出部の先端面と前記第2の端部の端面との間に形成される隙間のうち、前記径方向において前記内側第2面よりも外側の領域である合口隙間を、前記第2溝壁側から覆うカバー部材を有する、
    請求項1から4の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
  6. 前記合口隙間の前記径方向における幅は、前記ピストンが前記シリンダに装着された場合に前記シリンダの内壁と前記ピストンの外周面との間に確保される所定の離間距離以上である、
    請求項5に記載のコンプレッションリング。
  7. 前記外側合わせ面と前記内側合わせ面との間に形成される隙間である合わせ面隙間を埋
    めることによって、前記合わせ面隙間を閉塞する、合わせ面隙間閉塞部を有する、請求項1から6の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
  8. 前記外側の突出部の先端面と前記第2の端部の端面との間に形成される隙間のうち、前記径方向において前記内側第2面よりも外側の領域である合口隙間を埋めることによって、前記合口隙間を閉塞する、合口隙間閉塞部を有する、請求項1から7の何れか一項に記載のコンプレッションリング。
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