本発明に係る作業車両の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。さらに、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能、かつ、容易なもの、或いは実質的に同一のものいわゆる均等の範囲のものが含まれる。
ここでは、作業車両として歩行型の苗移植機1を一例として説明するが、これに限られることはない。作業車両は、例えば、歩行型の耕耘機であってもよい。
なお、以下では前後、上下、左右の方向基準は、苗移植機1が苗を圃場に植え付ける場合に進む方向を前方とした前後方向、重力が作用する方向を下方とした上下方向、前後方向および上下方向に垂直な方向を左右方向とする。また、左右方向は、前進時における作業者の右手側を右方向とし、左手側を左方向とする。
実施形態に係る苗移植機1について図1を参照し説明する。図1は、実施形態に係る苗移植機の概略側面図である。
苗移植機1は、機体2と、苗載置台3と、苗植付装置4と、駆動力伝達機構5と、フロート6と、姿勢調整機構7と、制御装置(不図示)とを備える。
機体2は、圃場を走行する左右一対の駆動輪としての走行輪10を備えている。機体2は、機体2に設けられたエンジン11と、前部フレーム12と、前部フレーム12の後端に固着され湾曲して斜め上方に延びる後部フレーム13と、後部フレーム13の後端に取り付けられ、作業者が把持可能な操縦ハンドル14とを備えている。苗移植機1において、エンジン11の駆動力は、機体2を前進させるために走行輪10を回転駆動するだけでなく、苗植付装置4などを駆動させるためにも使用される。
走行輪10は、前部フレーム12に設けられた油圧昇降シリンダ73により、前部フレーム12、すなわち機体2に対して上下動され、機体2に対する上下方向の位置が変更される。油圧昇降シリンダ73は、各走行輪10に対応して一対設けられ、これら一対の油圧昇降シリンダ73は、左右方向に間隔をあけて配置されている。
エンジン11は、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関であって、出力軸から駆動力を出力する。出力軸は、機体2の左側方から突出している。エンジン11は、機体2の左右方向における略中央で、且つ、前部フレーム12の前端部に配置されている。エンジン11の上方には、ボンネットカバー18が設けられている。ボンネットカバー18は、エンジン11の上方に設けられた燃料タンク19や制御装置を収容している。
操縦ハンドル14は、機体2、すなわち歩行型の苗移植機1の走行方向を変更するためのものであり、作業者が把持し、操作可能である。
操縦ハンドル14には、苗植付装置4への動力伝達を切り替えるクラッチレバー20や、苗植付装置4を上下動させるための植付昇降レバー21や、振り子70(図2参照)の傾きを調整する傾き調整レバー76などが配置される。
苗載置台3は、機体2の左右方向において仕切られた植付条数分の苗載面3aを有しており、それぞれの苗載面3aに土付きのマット状苗を積載することが可能になっている。苗載置台3は、後部フレーム13の前部に左右方向に移動可能に支持され、駆動力伝達機構5からの駆動力により左右に往復移動する。
苗植付装置4は、所謂ロータリ式の苗植付機構であって、苗の植付範囲を複数の区画あるいは複数の列で、苗を圃場に植え付けることができる。苗植付装置4は、苗載置台3に載せられた苗を圃場に植え付ける植付機構41を複数備えている。
植付機構41は、機体2の後部でかつ苗載置台3の前方に設けられ、苗載置台3に積載された苗を圃場に植え付ける。
駆動力伝達機構5は、エンジン11の後ろ側に設けられた主伝動ケース50と、主伝動ケース50の左右各々に設けられた走行伝動ケース51と、駆動力を苗植付装置4へ伝達する植付伝動機構52とを備える。
主伝動ケース50は、前部フレーム12の前端部に取り付けられている。主伝動ケース50は、エンジン11の出力軸を収容しており、エンジン11からの駆動力が伝動される。
主伝動ケース50には、エンジン11から走行輪10や、苗植付装置4などへの駆動力の伝動を断つことができる主クラッチと、駆動力を走行輪10への伝動経路と苗植付装置4などへの伝動経路とに分岐する動力分岐部とが設けられる。また、主伝動ケース50には、苗植付装置4への伝動経路上において苗植付装置4への伝動を断つことができる植付クラッチが設けられる。
また、主伝動ケース50には、走行輪10へ伝達される回転を、前進高速状態、植付作業用の前進低速状態、中立状態、および後進状態に切り替えて変速できる変速部と、左右の走行輪10への伝動を非伝動状態に切り替えできる左右各々のサイドクラッチが設けられる。
走行伝動ケース51は、主伝動ケース50の走行用伝動軸を収容する。走行伝動ケース51内でスプロケットおよびチェ−ンにより走行伝動ケース51から左右外側に突出する車軸10aに駆動力が伝達される。
走行伝動ケース51から突出する車軸10aは、前端部に位置する走行用伝動軸周りに上下方向へ回動可能に設けられ、油圧昇降シリンダ73によって上下方向に回動されることで、走行輪10を上下動させる。
フロート6は、機体2の下部に設けられ、機体2の移動と共に圃場の表面に接触して圃場の表面上を滑走して整地する。フロート6は、機体2の左右方向の中央に設けられた一つのセンターフロート61と、該センターフロート61の左右両側にそれぞれ設けられた一対のサイドフロート62とを備える。
センターフロート61、およびサイドフロート62は、苗移植機1の側面視において、後部フレーム13の同じ位置に配置された各々の左右方向の回動軸63回りに上下に回動自在に支持され、前部が圃場の表面に合わせて上下動する構成となっている。
次に、姿勢調整機構7について図2、および図3を参照し説明する。図2は、姿勢調整機構7の一部を示す左側面図である。図3は、姿勢調整機構7の一部を示す正面図である。
姿勢調整機構7は、エンジン11と走行輪10との間に配置される。姿勢調整機構7は、振り子70と、変更機構71と、油圧バルブ72と、油圧昇降シリンダ73を備える。姿勢調整機構7は、振り子70の傾きに応じて機体2の左右方向における傾きを調整する。
振り子70は、左右方向へ回動可能に機体2に取り付けられる。振り子70は、左右方向への機体2の傾きに応じて回動し、機体2の左右方向の傾きを検知する。
変更機構71は、第1アーム74と、第2アーム75と、傾き調整レバー76(図4参照)とを備える。変更機構71は、作業者の操作に応じて振り子70の傾きを調整する。変更機構71は、作業者の操作に応じて油圧バルブ72のバルブ軸を回転させることで、バルブ軸に対する振り子70の相対的な傾きを調整する。なお、ここでは、振り子70の傾きは、バルブ軸と振り子70との位相差であり、バルブ軸に対する相対的な回動量である。そのため、振り子70の傾きは、振り子70を回動させたり、バルブ軸を回動させたりすることで変更可能である。
第1アーム74は、左右方向に回動可能となるように油圧バルブ72に取り付けられる。第1アーム74は、上端の回動軸を中心に回動する。例えば、回動軸は、油圧バルブ72のバルブ軸に連結される。第1アーム74には、下端側に第2アーム75と連結するためのピン77が挿入される。
第2アーム75は、L字状に形成され、振り子70に取り付けられたベース78が挿入され、ベース78を中心に回動する。第2アーム75は、上端側に形成された長孔75aにピン77が挿入され、ピン77が長孔75a内で摺動可能である。
第2アーム75は、左端側にケーブル80が取り付けられ、左端側がケーブル80によって上下動する構成となっている。第2アーム75は、左端側がケーブル80によって上下動することで、ベース78を中心に回動する。第2アーム75の回動は、ピン77を介して第1アーム74に伝達され、第1アーム74が回動し、油圧バルブ72のバルブ軸が回動する。
傾き調整レバー76は、作業者によって操作され、振り子70の傾きを調整する。傾き調整レバー76は、図4に示すように、操縦ハンドル14に回動可能に取り付けられる。図4は、操縦ハンドル14に取り付けられた傾き調整レバー76を示す図である。傾き調整レバー76は、中立位置から上下方向に回動可能である。なお、傾き調整レバー76は、サラバネなどにより、位置を保持可能となっている。傾き調整レバー76は、ケーブル80によって第2アーム75と接続され、作業者の操作に応じて第2アーム75、第1アーム74を回動させ、油圧バルブ72のバルブ軸を回動させる。
なお、第1アーム74は、振り子70の回動軸に取り付けられてもよい。すなわち、変更機構71は、振り子70を回動させて、バルブ軸と振り子70との位相差を調整し、振り子70の傾きを調整してもよい。
図2および図3に戻り、油圧バルブ72は、油圧バルブ72のバルブ軸と振り子70との位相差、具体的には、バルブ軸に対する振り子70の回動角に応じて油圧昇降シリンダ73への油圧を調整する。すなわち、油圧バルブ72は、バルブ軸に対する振り子70の回動角に応じて左右の走行輪10を上下動させる。
油圧バルブ72は、機体2が左右方向に傾いていない場合には、左右の走行輪10の高さを同じ高さにする。油圧バルブ72は、機体2の左側が下がった場合には、左側の走行輪を下げる。これにより、機体2の左側が上がり、機体2を水平に保つことができる。また、油圧バルブ72は、機体2の右側が下がった場合には、右側の走行輪を下げる。これにより、機体2の右側が上がり、機体2を水平に保つことができる。
姿勢調整機構7は、作業者が傾き調整レバー76を操作することで、機体2の左右方向の傾きを調整可能とする。
ここで、傾き調整レバー76による機体2の傾き調整方法について図5A〜図5Cを参照し説明する。図5Aは、傾き調整レバー76が所定の中立位置にある場合の姿勢調整機構7の一部を示す正面図である。図5Bは、傾き調整レバー76が操作されて機体2の左側を上げる場合の姿勢調整機構7の一部を示す正面図である。図5Cは、傾き調整レバー76が操作されて機体2の右側を上げる場合の姿勢調整機構7の一部を示す正面図である。
傾き調整レバー76が所定の中立位置にある場合には、図5Aに示すように、振り子70と第1アーム74との上下方向の軸が一致する中立状態に保持されており、油圧バルブ72のバルブ軸と、振り子70との位相差は生じていない。
傾き調整レバー76が中立位置から操作され、図5Bに示すように、第2アーム75の左端側が上方に回動し、第2アーム75、および第1アーム74が回動する。これにより、振り子70の上下方向の軸に対して、第1アーム74の上下方向の軸がずれ、油圧バルブ72のバルブ軸と、振り子70との位相差が生じる。生じた位相差に応じて油圧昇降シリンダ73の油圧が調整され、例えば、左側の走行輪10が上がる。
また、傾き調整レバー76が中立位置から操作され、図5Cに示すように、第2アーム75の左端側が下方に回動し、第2アーム75、および第1アーム74が回動する。これにより、振り子70の上下方向の軸に対して、第1アーム74の上下方向の軸がずれ、油圧バルブ72のバルブ軸と、振り子70との位相差が生じる。生じた位相差に応じて油圧昇降シリンダ73の油圧が調整され、例えば、右側の走行輪10が上がる。
このように、姿勢調整機構7は、作業者の傾き調整レバー76の操作に応じて機体2の左右方向への傾きを調整することができる。
なお、第1アーム74は、傾き調整レバー76が操作されていない場合には、トルクスプリング79(図2参照)によって中立状態に保持される。
また、油圧バルブ72は、フロート6(図1参照)の回動に基づいて油圧昇降シリンダ73の油圧を調整可能である。例えば、油圧バルブ72は、フロート6の回動に基づいてバルブ軸を回動させる機構を油圧バルブ72の後方に設け、油圧バルブ72は、前方側で振り子70の回動角に応じて油圧昇降シリンダ73への油圧を調整し、かつ後方側でフロート6の回動に応じて油圧昇降シリンダ73への油圧を調整する。
すなわち、油圧バルブ72は、振り子70の傾きに応じて調整される油圧を、フロート6の回動に基づいてさらに調整(補正)する。
制御装置は、苗移植機1を構成する上述した構成要素をそれぞれ制御するものである。制御装置は、一例として、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)を有する構成とすることができる。制御装置には、スイッチや、センサなど接続される。
制御装置は、例えば、エンジン11を制御するエンジン制御等を実行している。なお、油圧昇降シリンダ73の油圧は、電動モータによって調整されてもよい。この場合、制御装置は、電動モータを制御し、油圧昇降シリンダ73の油圧を制御する。また、制御装置は、例えば、フロート6に設けたポテンショメータからの信号に基づいて、電動モータを制御し、油圧昇降シリンダ73の油圧を制御する。
次に、本実施形態の効果について説明する。
苗移植機1は、振り子70の傾きを手動で変更可能な変更機構71を備える。これにより、作業者が機体2の左右方向の傾きを調整することができる。そのため、機体2の姿勢を作業者の意図する姿勢とすることができる。従って、傾いた圃場を作業する場合に、作業者の判断によって機体2を傾けることができる。
苗移植機1は、圃場面に対するフロート6の接地状態に応じて機体2の左右方向の傾きを調整する。これにより、苗移植機1は、フロート6によって検出される圃場の状態に基づいて走行輪10の高さをさらに調整することができる。例えば、苗移植機1は、傾き調整レバー76に基づいた機体2の左右方向の傾きを基準として、フロート6によりさらに圃場の状態に合わせて機体2の左右方向の傾きを追従させることができる。
苗移植機1は、傾き調整レバー76の操作位置を保持する。これにより、苗移植機1は、作業者が操作した傾き調整レバー76の位置を保持した状態で、作業を行うことができる。
苗移植機1は、傾き調整レバー76を操縦ハンドル14に設ける。これにより、作業者は、作業を行いながら、傾き調整レバー76を容易に操作することができる。
次に、実施形態の変形例について説明する。
変形例に係る苗移植機1について図6〜図8を参照し説明する。図6は、変形例に係る苗移植機1の姿勢調整機構7の一部を示す左側面図である。図7は、変形例に係る苗移植機1の姿勢調整機構7の一部を示す正面図である。図8は、変形例に係る苗移植機1の姿勢調整機構7の一部を示す平面図である。
変形例に係る苗移植機1は、アーム90が油圧バルブ72のバルブ軸に取り付けられ、アーム90の上端にロッド91が取り付けられる。
ロッド91は、左右方向に延び、アーム90に取り付けられた端とは逆側の端に第1ロッドアーム92および第2ロッドアーム93が取り付けられる。
第1ロッドアーム92、および第2ロッドアーム93は、L字状であり、油圧バルブ72、および油圧昇降シリンダ73に取り付けられたベース94に支持された支持ピン95を中心に回動可能である。
ベース94は、側面視においてL字状に形成され、前端が油圧バルブ72に取り付けられ、後方側の端が油圧昇降シリンダ73に取り付けられる。これにより、ベース94を固定することができ、第1ロッドアーム92、および第2ロッドアーム93を安定させることができる。
第1ロッドアーム92は、前方の端に形成された円弧状の孔にロッド91が挿入され、左側の端には第1ケーブル96が取り付けられる。第1ケーブル96は、左側の操縦ハンドル14に取り付けられた第1傾き調整レバーに連結される。
第1ロッドアーム92は、第1傾き調整レバーの操作に応じて回動し、ロッド91を左右方向に移動させ、油圧バルブ72のバルブ軸を回動させる。
第2ロッドアーム93は、前方の端に形成された円弧状の孔にロッド91が挿入され、右側の端には第2ケーブル97が取り付けられる。第2ケーブル97は、右側の操縦ハンドル14に取り付けられた第2傾き調整レバーに連結される。
第2ロッドアーム93は、第2傾き調整レバーの操作に応じて回動し、ロッド91を左右方向に移動させ、油圧バルブ72のバルブ軸を回動させる。
すなわち、変形例に係る苗移植機1は、操縦ハンドル14に2つの傾き調整レバー(第1傾き調整レバー、および第2傾き調整レバー)が設けられ、作業者は、いずれかの傾き調整レバーを操作することで、機体2の左右方向の傾きを調整することができる。
なお、第1ロッドアーム92、および第2ロッドアーム93は、それぞれトルクスプリング98a、98bなどによって中立状態に戻るように付勢されている。また、第1ロッドアーム92、および第2ロッドアーム93は、同一形状の部材を上下方向に180°回転させた状態で組み付けることができる形状に形成される。すなわち、第1ロッドアーム92、および第2ロッドアーム93として、同じ部材を用いることができる。これにより、コストを削減することができる。
変形例に係る苗移植機1は、操縦ハンドル14に2つの傾き調整レバー(第1傾き調整レバー、および第2傾き調整レバー)を設ける。これにより、作業者は、機体2の左右方向の傾きの調整を容易に行うことができる。例えば、第1傾き調整レバーは、左側の操縦ハンドル14に設けられ、第2傾き調整レバーは、右側の操縦ハンドル14に設けられる。
例えば、変形例に係る苗移植機1は、第1傾き調整レバーが上方に回動されると、右側の走行輪10を上げる。また、変形例に係る苗移植機1は、第2傾き調整レバーが上方に回動させると、左側の走行輪10を上げる。なお、各傾き調整レバーに対する走行輪10の上下動は、適宜設定可能であってもよい。
なお、変形例に係る苗移植機1は、図9に示すように、1つのロッドアーム99によってロッド91を左右方向に移動可能としてもよい。図9は、変形例に係る苗移植機1の姿勢調整機構7の一部を示す平面図である。変形例に係る苗移植機1は、2本の引っ張りスプリング100a、100bによって、ロッドアーム99が中立状態に戻るように付勢する。
また、変形例に係る苗移植機1は、2つの傾き調整レバーを左右方向における一方の操縦ハンドル14、例えば、右側の操縦ハンドル14に設けてもよい。
なお、傾き調整レバーの回動は、上下方向への回動であっても、左右方向の回動であってもよい。
また、走行輪10を上下動させる場合に、油圧昇降シリンダ73を作用させるためのテンビン機構101(図1参照)を回動させずに、バネによる荷重のみで作用させてもよい。これにより、動作する箇所を少なくし、機体2の傾きを精度よく調整することができる。
なお、上記した苗移植機1は、以下の構成を有してもよい。
苗移植機1は、図10に示すように、植付株間を切り替える複数のベベルギア110〜113を備える。図10は、ベベルギア110〜113を示す図である。複数のベベルギア110、111は、エンジン11から駆動力が伝達される伝導シャフト114の先端に設けられる。ベベルギア110、111、および伝導シャフト114には、キー115が差し込まれるキー溝116〜118が形成される。キー溝116、117の段を差し替えることで、ベベルギア110〜113の駆動を変更し、植付株間を切り替えることができる。そのため、植付株間の切り替えが容易となる。
なお、キー115の先端は、押さえ座金(不図示)に挿入される。押さえ座金には、2種類の切欠が形成され、それぞれのキー端面を挿入することで、固定保持することができる。これにより、簡易な構成でキー115を保持することができ、押さえ座金を外すと、キー115の出っ張りによってキー115を容易に外すことができる。
苗移植機1は、図11に示すように、ハンドルフレーム120に操縦ハンドル14を挿入(インロー挿入)する。図11は、操縦ハンドル14付近を示す平面図である。これにより、ハンドルフレーム120の断面係数を向上させることができ、操縦ハンドル14の剛性を簡易な構成で確保することができる。
苗移植機1では、ハンドルフレーム120のレバー支点プレート120aの側面に操縦ハンドル14の回動プレート14aが接する。また、操縦ハンドル14の回動プレート14aを、ハンドルフレーム120のレバー支点プレート120aと固定プレート121とによって挟み、ボルト等により回動プレート14aを固定する。これにより、回動プレート14aの面圧を確保し、緩みを抑制することができる。また、平らなプレートによって挟持することで、簡易な構成とすることができる。
また、操縦ハンドル14をレバー支点プレート120aとその内側の複数箇所で固定する。これにより、回り止め用のカットを不要とし、締め付けることができる。また、レバー支点プレート120aの内側のスペースを活用することができ、レバー支点プレート120aの形状をコンパクトにすることができる。
また、操縦ハンドル14は、図12に示すように、標準位置から複数の位置に調整可能である。図12は、操縦ハンドル14付近を示す左側面図である。固定プレート121には、出荷位置固定孔121aが形成された突出部121bが形成される。これにより、出荷時に操縦ハンドル14を固定することができ、固定プレート121の形状をコンパクトにし、歩留まりを向上させることができる。
なお、固定プレート121には、切欠溝が形成されてもよい。切欠溝は、操縦ハンドル14の標準位置で固定プレート121の丸孔と一致する。これにより、左右の操縦ハンドル14を標準位置で容易に締め付けることができる。
苗移植機1は、図13に示すように、リコイルユニット130を備える。図13は、エンジン11付近を示す右側面図である。リコイルユニット130は、リコイルロープ131の引き方向の延長線がエアクリーナーカバー132の上端よりも機体2上方となるようにカウンタローラ133を備える。カウンタローラ133は、リコイルロープ131を下方から支持する樹脂性のカウンタプーリ135を備える。これにより、リコイルロープ131が、例えば、吸気パイプなどと接触することを抑制し、リコイルロープ131が劣化することを抑制することができる。
リコイルユニット130は、図14に示すように、エンジン11側方にカウンタローラ133を取り付ける取付アーム137を備える。図14は、リコイルユニット130の一部の正面図である。取付アーム137には、U字状に形成されたカウンタプーリ支持フレーム138およびロープガイド139が溶接される。カウンタプーリ支持フレーム138とロープガイド139とは、同一部材で構成される。これにより、構成を簡素にすることができる。
取付アーム137の上端側には、U字状のカウンタプーリ支持フレーム138およびロープガイド139の一部(底部)を挿入可能な切欠部137aが形成され、切欠部137aにおいてカウンタプーリ支持フレーム138およびロープガイド139が溶接される。これにより、溶接長さを確保でき、剛性を向上させることができる。また、取付アーム137の取付面側にU字状の先端がはみ出すことを抑制し、エンジン11との干渉を抑制することができる。
カウンタプーリ135の左右方向のガイド135a間の長さは、リコイルロープ131の外径よりも長い。また、ガイド135aとロープガイド139との隙間は、リコイルロープ131の外径よりも短い。これにより、リコイルロープ131が勢いよく引かれた場合であっても、リコイルロープ131が外れることを抑制し、リコイルロープ131の振動(ぶれ)を吸収することができる。
図15に示すように、燃料キャップ150の周囲の燃料タンク19には、燃料タンク19の上面の平面部よりも高さが低い凹部151が形成される。図15は、燃料タンク19付近を示す概略平面図である。
また、凹部151には、マフラー160とは反対側に排出ガイド151aが形成される。これにより、燃料がこぼれた場合であっても、燃料がマフラー160とは反対側に流れ、マフラー160から離れた位置に燃料を排出することができる。
燃料タンク19の側面には、排出ガイド151aから排出された燃料を受ける受け部19aが形成される。受け部19aには、上下方向に貫通する孔19bが形成される。また、受け部19aの外周には、上方へ突出する壁部19cが形成される。これにより、排出ガイド151aから排出された燃料を安定して排出することができる。
受け部19aの前後方向の長さは、排出ガイド151aの前後方向の長さよりも長い。これにより、排出ガイド151aから排出された燃料を受け部19aにおいて受けることができる。また、燃料タンク19の側面には、排出ガイド151aは形成されない。これにより、燃料タンク19の容量が小さくなることを抑制することができる。
苗移植機1は、苗の取り量を調整する苗取り調整レバーを設けてもよい。苗取り調整レバーが操作されることで、ケーブルが引かれ、苗の取り量が調整される。これにより、苗の重量が変化した場合であっても、苗の取り量を調整し、適正化することができる。
例えば、苗取り調整レバーが操作されることで、苗の取り量を減少させる。具体的には、苗の取り量を減少させる場合には、苗取り調整レバーを一段ずつ上げる。また、苗の取り量を増加させる場合には、苗取り調整レバーを自重で下げる。これにより、調整を容易に行うことができる。
なお、苗移植機1は、苗取り調整レバーを回転させることでカムを変化させて、苗の取り量を調整してもよい。また、苗移植機1は、ベルトの張りを変化させて、苗の取り量を調整してもよい。
苗移植機1は、左右の操縦ハンドル14のグリップエンドをつなぐバーを設けてもよい。これにより、片手作業が容易となり、安定性を向上させることができる。また、剛性を向上させることができる。なお、左右の操縦ハンドル14の基端側をつなぐバーを設けてもよい。これにより、操縦ハンドル14のグリップ操作が容易となる。
なお、バーは、苗取り調整レバーよりも下方にオフセットした状態で取り付けられてもよい。これにより、苗取り調整レバーの操作が容易となる。
また、バーは、操縦ハンドル14よりも重心を離すようにオフセットした状態で取り付けられてもよい。これにより、機体2の操作が容易となる。
なお、左右の操縦ハンドル14のグリップエンドを内側に湾曲させてもよい。これにより、苗取り調整レバーの操作が容易となる。
また、苗移植機1は、操縦ハンドル14を回動可能とする調整機構において、調整回動部を後部フレーム13の下方としてもよい。これにより、グリップの角度変化を抑制することができ、把持性の低下を抑制することができる。
苗移植機1は、例えば、後部フレーム13に回動可能なレーキを設けてもよい。レーキは、作業者より後方に設けられる。これにより、作業者の通過跡を消すことができる。なお、レーキは、フックにより脱着可能である。これにより、レーキの取り外しが容易となる。
苗移植機1は、水平方向に対して、図1に示すように、予備苗のせ台30が前方に傾斜するように配置する。また、予備苗のせ台30の前端にストッパー30aを設ける。これにより、予備苗のせ台30の載置された予備のマット状苗の落下を抑制することができ、作業者は、走行輪10を見ながら作業を行うことができる。
なお、予備苗のせ台30は、可動式であってもよい。例えば、予備苗のせ台30は、回動、またはスライド可能であってもよい。これにより、作業者毎に予備苗のせ台30の位置を調整することができる。
また、予備苗のせ台30は、左右の苗のせ台を中央に向かい傾斜させてもよい。これにより、機体2が左右方向に傾斜した場合に、マット状苗が落ちることを抑制することができる。また、走行輪10付近の視界を確保することができる。また、風通しがよくなり、エンジン11の熱気を直接受けることを抑制することができる。
また、苗移植機1は、センタマスコットの両端に鏡を設けてもよい。これにより、前方の視界を確保することができる。
また、苗移植機1は、苗載置台3を延長してもよい。その場合、苗載置台3の中央部分に角度を設け、作業者側で傾斜を緩くしてもよい。これにより、前方の視界を確保しつつ、載置量を増やすことができる。
苗移植機1は、図16に示す苗送りベルト32を苗載置台3に備える。図16は、苗送りベルト32の概略を示す図である。
苗送りベルト32には、苗を送るための複数の突起部300が形成される。苗送りベルト32は、両端の凸部301a、301bを結合することで形成される。凸部301a、301bは、苗マット側に突出し、突起部300よりも高さが低い。図17に示すように、一方の凸部301bには、係合穴302が形成され、他方の凸部301aには、係合穴302に係合する係合部303が形成される。図17は、苗送りベルト32の端を示す図である。
係合部303は、平面部303aと、平面部303aの先端に平面部303aよりも厚い爪部303bを備える。なお、係合穴302は、係合部303の形状に合わせて形成される。
凸部301a、301bの裏面には、苗送り用の凸部304が形成される。これにより、苗送り時に駆動負荷で外れることを抑制することができる。
凸部301a、301bは、接着剤によって結合される。このような苗送りベルト32を有することで、苗送りベルト32が切れた場合の交換が容易となる。また、係合部303に平面部303a、および爪部303bを設け、係合部303に合わせた係合穴302を設けることで、接着面積を大きくすることができ、苗送りベルト32の強度を上げることができる。
なお、苗送りベルト32は、ピン結合されてもよい。この場合、図18、および図19に示すように、苗送りベルト32の一方の端には、苗送りベルト32の幅方向の両端に第1結合部310が形成され、他の端には、幅方向の中央に第2結合部311が形成される。図18は、変形例に係る苗送りベルト32の端を示す図である。図19は、第1結合部310と第2結合部311とを示す右側面図である。第1結合部310、および第2結合部311は、裏面の苗送り用の凸部304(図17参照)間に形成される。
第1結合部310、および第2結合部311には、結合ピン312が挿入される挿入孔310a、311aが形成される。なお、苗送りベルト32の幅方向(左右方向)の第1結合部310の両端には、結合ピン312を曲げて収容可能な切欠部310bが形成される。これにより、結合ピン312が抜けることを抑制し、結合ピン312が苗送りベルト32からはみ出すことを抑制することができる。
苗送りベルト32の幅方向に長い第1結合部310、および第2結合部311によって結合することで、苗送りベルト32の成形が容易である。
また、第1結合部310、および第2結合部311は、苗マット側に突出し、突起部300(図16参照)よりも高さ低い。第1結合部310、および第2結合部311によって苗を送ることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。