JP2019193915A - ガラス多孔質基材 - Google Patents

ガラス多孔質基材 Download PDF

Info

Publication number
JP2019193915A
JP2019193915A JP2018088189A JP2018088189A JP2019193915A JP 2019193915 A JP2019193915 A JP 2019193915A JP 2018088189 A JP2018088189 A JP 2018088189A JP 2018088189 A JP2018088189 A JP 2018088189A JP 2019193915 A JP2019193915 A JP 2019193915A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass
fine particles
porous
gas permeability
porous substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018088189A
Other languages
English (en)
Inventor
齋藤 達彦
Tatsuhiko Saito
達彦 齋藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP2018088189A priority Critical patent/JP2019193915A/ja
Publication of JP2019193915A publication Critical patent/JP2019193915A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Separation Using Semi-Permeable Membranes (AREA)
  • Glass Melting And Manufacturing (AREA)

Abstract

【課題】ガス分離膜に好適に用いることができるガラス多孔質基材を提供する。【解決手段】焼結された石英ガラス微粒子により構成されるガス分離膜用のガラス多孔質基材であって、前記石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であり、室温での窒素ガスのガス透過率が5.0×10−5[mol/m2/Pa/s]以上であり、脆性破壊強度が10MPa以上である、ガラス多孔質基材。【選択図】図5

Description

本発明は、ガラス多孔質基材に関する。
ゼオライト等の分離層を多孔質基材上に堆積させたガス分離膜が知られている。この多孔質基材として特許文献1には、火炎堆積法(スス付法)により作製されたシリカガラスの多孔質基材が開示されている。
国際公開第2011/071138号
ゼオライトは結晶構造中に比較的大きな空隙を持っており、空隙サイズより小さな分子を選択的に透過することからガス分離膜に使用できる。ガス分離膜としての透過率(性能)を上げるためにはゼオライトの膜厚は薄い方が好ましいが、薄いゼオライト膜は機械的強度が不足し、単体でガス分離膜としての形状を維持することができない。そこで、ガス透過基材の上に、薄い一層のゼオライトをCVD法などで付着させてガス分離膜を作製する方法が採用されている。
ガス透過基材の表面を薄いゼオライトで均一に覆うためには、ゼオライトを付着させる表面の孔径は10nm以下にする必要があるが、孔径が小さくなるほどガス透過率は低くなる。そのため、多孔質基材の上に、多孔質基材の孔径と同程度の粒径を持つ微粒子を薄く敷き詰め、更にその上により小さな粒径の微粒子を薄く敷き詰め、最終的にガス透過基材の表面の孔径が10nm以下になる様に調整した多層構造の材料をゼオライト膜用のガス透過基材として使用する(図1参照)。
ガス分離膜用の多孔質基材としては、一般にアルミナ多孔質やシリカガラス多孔質などが使用されており、シリカガラスの多孔質基材は特許文献1に記載されている様に火炎堆積法(スス付法)により作製されている。シリカガラス多孔質体はアルミナ多孔質体などに比べて化学的安定性、熱的安定性に優れているが、火炎堆積法で作製されたシリカガラス微粒子は粒径が200〜300nm程度と比較的小さく、そのガス透過率は1.0〜1.5×10−5[mol/m/Pa/s]程度とあまり高くないという課題がある。
本発明は、ガス分離膜に好適に用いることができるガラス多孔質基材を提供することを目的とする。
本発明に係るガラス多孔質基材は、
焼結された石英ガラス微粒子により構成されるガス分離膜用のガラス多孔質基材であって、
前記焼結された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であり、
室温での窒素ガスのガス透過率が5.0×10−5[mol/m/Pa/s]以上であり、
脆性破壊強度が10MPa以上である。
本発明によれば、ガス分離膜に好適に用いることができるガラス多孔質基材を提供することができる。
ガス分離膜の構成を示す図である。 例1〜例3のガラス多孔質基材の気孔率とガス透過率との関係を示す図である。 例1及び例2のガラス多孔質基材の気孔率とガス透過率との関係を示す図である。 火炎堆積法にて作製した多孔質基材に正常に下地層を形成した場合の断面SEM写真を示す図である。 下地層の微粒子が小さすぎて多孔質基材内部にまで下地層微粒子が侵入してしまった場合の断面SEM写真を示す図である。 平均粒径15μmのガラス微粒子を使用した射出成形(例1)、平均粒径7μmのガラス微粒子を使用した射出成形(例2)、火炎堆積法(例3)のそれぞれにおいて作製されたガラス多孔質基材の、3000倍での断面SEM写真を示す図である。 例1における焼結温度と機械的強度との関係を示す図である。 例1における焼結温度とガス透過率との関係を示す図である。 図3に示すグラフに造孔材添加のデータを追加したグラフを示す図である。 例1及び例4のガラス多孔質基材における焼結温度と気孔率との関係を示す図である。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明の実施形態に係るガラス多孔質基材は、
焼結された石英ガラス微粒子により構成されるガス分離膜用のガラス多孔質基材であって、
前記焼結された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であり、
室温での窒素ガスのガス透過率が5.0×10−5[mol/m/Pa/s]以上であり、
脆性破壊強度が10MPa以上である。
当該ガラス多孔質基材によれば、ガス分離膜に用いた際にガス分離膜全体でのガス透過率を改善させることができる。また、ガラス多孔質基材上に下地層等を積層させる際に、ガラス多孔質基材中に細かい粒子が入り込むことを防止することができる。さらにガラス多孔質基材自体の強度が高いため、ガス分離膜の強度も高めることができる。
(2)また、(1)のガラス多孔質基材において、
気孔率が22%以上37%以下であると好ましい。
この構成によれば、更にガス分離膜全体でのガス透過率を改善させることができる。また、ガラス多孔質基材中に微粒子が入り込むことを一層防止することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
続いて、本発明の実施形態の内容を詳細に説明する。
(ガラス多孔質基材)
まず本実施形態におけるガラス多孔質基材を説明する。本実施形態におけるガラス多孔質基材は、焼結された石英ガラス微粒子により構成される。焼結された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径は10μm以上20μm以下である。当該一次粒子の平均粒径は、電子顕微鏡によって複数個(例えば50個)の一次粒子を選定して粒径を測定して平均化することで判定することができる。なお、この一次粒子は後述する原料である石英ガラス微粒子の外形を概ね維持した状態で観測できる。焼成時間、温度によって粒子の焼結が進みネックが形成されるが、完全に粒子の形が潰れることはない。また、ガラス多孔質基材は、気孔率が22%以上37%以下であると好ましい。気孔率は多孔質基材の外形寸法から求められる体積と、その質量から計算により求めることができる。
また、本実施形態におけるガラス多孔質基材の窒素ガスのガス透過率は5.0×10−5[mol/m/Pa/s]以上である。窒素ガスのガス透過率は円盤状サンプル(多孔質基材)の両側に圧力差を与えて、その際にサンプルを透過するガス流量を測定することで計算により求めることができる。また、当該ガラス多孔質基材の脆性破壊強度は10MPa以上である。脆性破壊強度は3点曲げ試験によって判定することができる。
ガラス多孔質基材の形状としては、平板状、ペレット状、円筒状、棒状等、多様な形状が挙げられる。表面積が大きく分離効率が良い観点から、円筒状であると好ましい。
本実施形態におけるガラス多孔質基材は、ガス分離膜の基材に用いることができる。図1は、ガラス多孔質基材上に、下地層を積層し、下地層の上に中間層を積層し、中間層の上に分離層を積層したガス分離膜を示す図である。下地層としては、ガラス多孔質基材の細孔に入りこまない大きさの平均粒子径を備える一次微粒子から構成されるものを適用することができ、例えば100nm程度の平均粒子径の一次微粒子で構成できる。中間層としては、下地層の細孔に入りこまない大きさの平均粒子径を備える一次微粒子から構成されるものを適用することができ、例えば50nm程度の平均粒子径の一次微粒子で構成できる。分離層としては、ゼオライトなどで構成されたものを適用することができる。ただし、本実施形態におけるガラス多孔質基材を適用したガス分離膜はこの態様に限定されず、例えば対向拡散法により分離層が細孔内部に形成されたガス分離膜にも好適に使用することができる。
本実施形態のガラス多孔質基材によれば、ガラス多孔質基材を構成する焼結された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であることで、高い窒素ガスのガス透過率を確保できる。具体的には、室温で5.0×10−5[mol/m/Pa/s]以上の窒素ガスのガス透過率を確保できる。これにより、ガス分離膜に用いた際にガス分離膜全体でのガス透過率を改善させることができる。また、ガラス多孔質基材を構成する焼結された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であることで、ガラス多孔質基材上に下地層等を積層させる際に、ガラス多孔質基材中に細かい粒子が入り込むことを防止することができる。さらにガラス多孔質基材自体の強度が高いため、多孔質基材を含むガス分離膜全体の強度も高めることができる。また、ガラス多孔質基材の気孔率が22%以上37%以下であると、更にガス分離膜全体でのガス透過率を改善させることができる。
(ガラス多孔質基材の製造方法)
続いて本実施形態におけるガラス多孔質基材の製造方法を説明する。石英ガラス微粒子をバインダーと混練・成形し、焼結することによって、本実施形態におけるガラス多孔質基材を作製することができる。この石英ガラス微粒子の平均粒径は10μm以上20μm以下である。また、石英ガラス微粒子とバインダーとの混合物を焼結させるときの焼結温度は、1230℃以上1300℃以下である。これにより、石英ガラス微粒子の焼結と併せて、有機性材料(樹脂材料等)で構成されるバインダーが除去されて、ガラス多孔質基材が形成される。
本実施形態のガラス多孔質基材の製造方法は、火炎堆積法(スス付法)とは異なる。石英ガラス微粒子をバインダーと混練して得られた混合物を、金型を用いた射出成形または押し出し成形によって所望の形状に成形し、1230℃以上1300℃以下で例えば1時間以上3時間以下の間維持することで焼結させる。所定時間後、焼結炉から焼結体を取り出してガラス多孔質基材を得ることができる。
ところで、火炎堆積法で作製されたシリカガラス微粒子は粒径が比較的小さく、そのガス透過率もあまり高くないという課題があった。本実施形態におけるガラス多孔質基材の製造方法によれば、出発原料として平均粒径が10μm以上20μm以下である石英ガラス微粒子を用いて、焼結温度を1230℃以上1300℃以下とすることにより優れたガス透過率を備え、かつ機械的強度にも優れるガラス多孔質基材を得ることができる。
上記のガラス多孔質基材の製造において、石英ガラス微粒子およびバインダーに加えて造孔材を添加して混練・成形し、焼結すると、より好ましい。造孔材はバインダーと異なる材料であり、形成される多孔質ガラス材料の気孔率を上昇させる材料である。造孔材を添加することにより多孔質ガラス材料の気孔率が大きくなり、さらに優れたガス透過率を備えるガラス多孔質基材を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本実施例は発明を限定するものではない。
(例1)
平均粒径が15μmである石英ガラス微粒子(デンカ株式会社製、FB−15D)とバインダーとを混練した混合物を、射出成形により1100℃以上1400℃以下の一定温度で2時間焼結し、大きさφ15mm、t2mmのペレット状のガラス多孔質基材と、3.0×3.5×40mmの角材状のガラス多孔質基材と、を作製した。また、焼結時の一定温度を変化させて複数のガラス多孔質基材を作製した。
(例2)
平均粒径が7μmである石英ガラス微粒子(デンカ株式会社製、FB−7SDC)とバインダーとを混練した混合物を、射出成形により1100℃以上1400℃以下の一定温度で2時間焼結し、大きさφ15mm、t2mmのペレット状のガラス多孔質基材と、3.0×3.5×40mmの角材状のガラス多孔質基材と、を作製した。また、焼結時の一定温度を変化させて複数のガラス多孔質基材を作製した。
(例3)
火炎堆積法により、内径8mm、外径10mm、長さ300mmの円筒状ガラス多孔質基材を作製した。
(機械的強度(脆性破壊強度)、気孔率、ガス透過率の評価)
得られた例1、例2の角材状のガラス多孔質基材の機械的強度(脆性破壊強度)を3点曲げ試験によって評価し、例3のガラス多孔質基材の機械的強度を圧環試験によって評価した。また、得られた例1、例2のペレット状のガラス多孔質基材、および例3のガラス多孔質基材の気孔率を計算により求めた。また、得られた例1、例2のペレット状のガラス多孔質基材、および例3のガラス多孔質基材のガス透過率を気体透過度試験によって評価した。例1〜例3のガラス多孔質基材の気孔率とガス透過率との関係を図2に示す。なお、図2に示すグラフ中の直線は例1〜例3のそれぞれにおける気孔率とガス透過率との相関予想を示す仮想線である。
射出成形によって作製されたガラス多孔質基材においては、同じ石英ガラス微粒子を使用していても、焼結温度などの条件により気孔率を10%程度変えることができ、気孔率に対応してガス透過率も変化することが確認された。但し、石英ガラス微粒子の平均粒径が同じであれば、図2に示すようにほぼ同じ直線に乗って変化することが確認された。また、石英ガラス微粒子の平均粒子径を大きくすることで、この直線はグラフの左上にシフトし、同じ気孔率でも大幅にガス透過率が向上することが確認された。また、焼結温度を上げると焼き固められるため気孔率は減少し、上記直線上を左下へシフトしてガス透過率は減少するが、その分機械的強度は上昇した。
本実施例において一定の機械的強度を確保して無理なく製造できる気孔率は33%以下であった。後述する造孔材を添加することで気孔率は37%まで上げることが可能であるが、安定して製造するためには気孔率33%でも所定のガス透過率と機械的強度を達成できることが好ましい。本実施例において目標とするガス透過率は火炎堆積法に比べて明らかに優位となる5×10−5[mol/m/Pa/s]、目標とする機械的強度(脆性破壊強度)は火炎堆積法と同等以上である10[MPa]以上に設定した。
平均粒径7μm(例2)と15μm(例1)の石英ガラス微粒子を原料とした場合の結果を図3に拡大表示する。図3に示すように、平均粒径7μmの石英ガラス微粒子を用いた例2では、ガス透過率5×10−5[mol/m/Pa/s]を達成することはできなかった。一方で、平均粒径15μmの石英ガラス微粒子を用いた例1では、5×10−5[mol/m/Pa/s]以上となる条件が複数確認された。図3には平均粒径10μmの石英ガラス微粒子を用いた場合の推定ラインが記載されている。平均粒径10μmの石英ガラス微粒子を用いた場合なら30%程度の気孔率で5×10−5[mol/m/Pa/s]のガス透過率は達成可能と予想される。従って、目標とするガス透過率5×10−5[mol/m/Pa/s]を達成するには平均粒径が10μm以上である石英ガラス微粒子を用いることが必要であると予想される。
ガス透過率の観点からは平均粒径10μm以上の石英ガラス微粒子であればどれだけ大きくても構わないが、以下に説明する2つの理由から平均粒径は20μm以下であることが好ましい。
図1に示したように、ガス分離膜の製造においては、多孔質基材上に順次サイズが小さくなる微粒子層を複数層敷き詰めて最終的に孔径が10nm以下の平滑な表面を形成して、その上にCVD法などで分離層を形成する。図1では多孔質基材の直上に形成する粒径の大きな層を下地層、その上の粒径の小さな層を中間層と表示しており、中間層の上に分離層を形成している。
仮に孔径に対して小さすぎる微粒子層を敷き詰めると、微粒子は表層に留まらず内部にまで侵入し、実質的にガス透過率の低い層が厚く付着することになる。図4aは火炎堆積法にて作製した多孔質基材に正常に下地層を形成した場合の断面SEM写真である。図4bは下地層の微粒子が小さすぎて多孔質基材内部にまで下地層微粒子が侵入してしまった場合の断面SEM写真である。図4bに示す状態になるとガス透過率が大幅に低下する。
図5には平均粒径15μmのガラス微粒子を使用した射出成形(例1)、平均粒径7μmのガラス微粒子を使用した射出成形(例2)、火炎堆積法(例3)のそれぞれにおいて作製されたガラス多孔質基材の、3000倍での断面SEM写真が示されている。図5に示すように、例1のガラス多孔質基材では焼成された石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が大きく、孔径も大きい。例1のガラス多孔質基材では、図1の下地層と多孔質基材との間に下地層より粒径の大きな層(粒径1〜2μm程度)をもう1層形成して下地層の微粒子が多孔質基材内部に侵入することを防がなければならない。ガラス微粒子の平均粒径が20μm程度までなら追加される層は1層で対応できると予想されるが、それ以上にガラス微粒子の粒径が大きくなると追加層が1層では済まなくなるおそれがある。これが1つ目の理由である。
第2の理由は、20μm以上にして多孔質基材のガス透過率を更に上げても、ガス分離膜まで含めた全体のガス透過率は殆ど変化しないということである。全体のガス透過率と各層のガス透過率は下式の関係にある。
Figure 2019193915
現状の実績において、火炎堆積法による多孔質基材を用いた場合のガス分離膜全体のガス透過率は1×10−6[mol/m/Pa/s]程度である。火炎堆積法による多孔質基材のガス透過率を1×10−5[mol/m/Pa/s]とすると、それ以外の層のガス透過率は1.11×10−6[mol/m/Pa/s]と計算される。この状態で射出成形により製造されたガラス多孔質基材のガス透過率が1×10−4[mol/m/Pa/s]まで1桁改善した場合、ガス分離膜全体のガス透過率は1.099×10−6[mol/m/Pa/s]と10%改善する。仮に30μmの石英ガラス微粒子を用いた場合、図3の傾向からは2×10−4[mol/m/Pa/s]のガス透過率が見込めるが、その場合の全体のガス透過率は1.105×10−6[mol/m/Pa/s]と計算される。1.099×10−6[mol/m/Pa/s]と比較すると誤差程度の改善しか見込めないことが分かる。
ガラス多孔質基材以外の各層に関してもガス透過率の改善は進められているので、将来は現状の数倍に改善される可能性は十分にある。仮にガラス多孔質基材以外の層のガス透過率が現状の1.11×10−6[mol/m/Pa/s]から1桁改善されて1.11×10−5[mol/m/Pa/s]になった場合を想定する。火炎堆積法による多孔質基材を用いた場合のガス分離膜全体のガス透過率は5.26×10−6[mol/m/Pa/s]であり、射出成形により製造されたガス透過率1×10−4[mol/m/Pa/s]のガラス多孔質基材を用いた場合のガス分離膜全体のガス透過率は1.00×10−5[mol/m/Pa/s]であり、凡そ2倍の改善となる。
これを更に30μmガラス微粒子を用いて射出成形によりガラス多孔質基材を製造し、ガス透過率を2×10−4[mol/m/Pa/s]まで改善した場合のガス分離膜全体のガス透過率は1.05×10−5[mol/m/Pa/s]であり、僅か5%の改善に留まる。ガラス多孔質基材以外のガス透過率が1桁改善した場合でも20μmより大きなガラス微粒子を用いた場合のガス分離膜全体のガス透過率改善効果は僅かであり、前述のように下地層を更に増やさなければならないデメリットを考慮すると20μm以下の石英ガラス微粒子を用いることが好ましいと判断できる。以上の様に使用する石英ガラス微粒子の平均粒径は10μm以上20μm以下の範囲にあることが好ましい。
(焼成温度と機械的強度およびガス透過率との関係)
次に本発明の焼結温度に関して説明する。図6に平均粒径15μmの石英ガラス微粒子を用いてガラス多孔質基材を作製した場合(例1)の焼結温度と機械的強度との関係を示す。実用上は10MPa以上の強度が望ましいが、1230℃より低い焼結温度では焼結が進まず、十分な強度が確保できないことが確認された。10MPa以上の強度を確保するには焼結温度1230℃以上が望ましい。
図7に平均粒径15μmの石英ガラス微粒子を用いてガラス多孔質基材を作製した場合(例1)の焼結温度とガス透過率との関係を示す。高温で焼結すると焼結が進み過ぎてガス透過率が低くなっており、5×10−6[mol/m/Pa/s]以上のガス透過率を確保するには、焼結温度を1300℃以下とするとよいことが確認された。以上から石英ガラス微粒子とバインダーとの焼結温度範囲は1230℃以上1300℃以下であることが好ましい。
(造孔材の効果)
最後に造孔材の効果について説明する。
(例4)
平均粒径が15μmである石英ガラス微粒子(デンカ株式会社製、FB−15D)とバインダーと造孔材とを混練した混合物を、金型に射出して1100℃以上1400℃以下の一定温度で2時間焼結し、射出成形により大きさφ15mm、t2mmのペレット状のガラス多孔質基材を作製した。また、焼結時の一定温度を変化させて複数のガラス多孔質基材を作製した。なお、造孔材は焼結時に気化して抜け、気孔率を高める材料である。
図3と同じグラフに造孔材添加のデータを追加したグラフを図8に示す。また、例1及び例4のガラス多孔質基材における焼結温度と気孔率との関係を図9に示す。図9に示すように、同じ焼成温度の場合でも造孔材の添加により気孔率が上昇することが確認された。また図8に示すように、造孔材を添加することで気孔率は37%まで上昇し、ガス透過率は造孔材を添加しない場合に比べて15%程度高くなることが確認された。造孔材を添加することで製造可能な気孔率の上限は37%となり、気孔率の下限はガス透過率5×10−5[mol/m/Pa/s]を満たすという条件から22%となる。
以上、本発明の実施形態及び実施例について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態及び実施例の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態及び実施例は単なる例示であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。

Claims (2)

  1. 焼結された石英ガラス微粒子により構成されるガス分離膜用のガラス多孔質基材であって、
    前記石英ガラス微粒子の一次粒子の平均粒径が10μm以上20μm以下であり、
    室温での窒素ガスのガス透過率が5.0×10−5[mol/m/Pa/s]以上であり、
    脆性破壊強度が10MPa以上である、
    ガラス多孔質基材。
  2. 気孔率が22%以上37%以下である、請求項1に記載のガラス多孔質基材。
JP2018088189A 2018-05-01 2018-05-01 ガラス多孔質基材 Pending JP2019193915A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018088189A JP2019193915A (ja) 2018-05-01 2018-05-01 ガラス多孔質基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018088189A JP2019193915A (ja) 2018-05-01 2018-05-01 ガラス多孔質基材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2019193915A true JP2019193915A (ja) 2019-11-07

Family

ID=68469133

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018088189A Pending JP2019193915A (ja) 2018-05-01 2018-05-01 ガラス多孔質基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2019193915A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2021227818A1 (zh) 梯度多孔材料及其制备方法、雾化器和电子雾化装置
CN1980720B (zh) 多孔陶瓷体及其生产方法
KR101722914B1 (ko) 내화성 물체, 유리 오버플로우 형성 블록, 및 유리 물체의 제조 방법
CA2647453A1 (en) Thermal barrier coating member, method for producing the same, thermal barrier coating material, gas turbine, and sintered body
KR101515242B1 (ko) 내화성 세라믹 조성물 및 그 제조방법
US11980942B2 (en) Method for manufacturing metal foam
KR100756619B1 (ko) 질화알루미늄 소결체, 반도체 제조용 부재 및 질화알루미늄소결체의 제조 방법
Kim et al. Processing and properties of glass-bonded silicon carbide membrane supports
US20120225270A1 (en) Fabrication of dual structure ceramics by a single step process
EP2217546A2 (en) Low creep refractory ceramic and method of making
CN102962464A (zh) 一种非对称不锈钢过滤膜管及其制备方法
WO2015027746A1 (zh) 粉末烧结金属多孔体、过滤元件及改善其渗透性的方法
KR101401084B1 (ko) 콜로이드 입자 안정화 세라믹 폼을 코팅한 세라믹 소재 및 이의 제조방법
US20160003401A1 (en) Heat insulator
JP2019193915A (ja) ガラス多孔質基材
JP2019194135A (ja) ガラス多孔質基材の製造方法
Song et al. Effects of silicon particle size on microstructure and permeability of silicon-bonded SiC ceramics
KR101806309B1 (ko) 세라믹-금속 복합체 및 그 제조방법
US9938195B2 (en) Heat insulating material containing a porous sintered body formed of MgAl2O4
US10882278B2 (en) Palladium composite membrane
JP2006023128A (ja) ジルコニア構造体およびその製造方法
US20080290138A1 (en) Method for bonding refractory ceramic and metal
JPH0631174B2 (ja) 網目状シリカウィスカー・セラミックス多孔質体複合体の製造方法
Köllner et al. Additive manufactured replica foams
JP6319909B2 (ja) 断熱材