以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るスピンドルモータ1が適用されたディスク駆動装置100の概略構成を示すための斜視図である。ディスク駆動装置100において、スピンドルモータ1がハウジング101の底部101aに固定又は形成されており、スピンドルモータ1は磁気ディスク102を回転可能に支持している。カバー(図示せず)とハウジング101とにより、ディスク駆動装置100の筐体が形成される。カバー(図示せず)とハウジング101とにより形成される内部の空間Sには、例えばヘリウム等の空気よりも軽いガスが充填されている。
ディスク駆動装置100では、ピボットアッシー軸受装置103により揺動可能に支持されているスイングアーム104の先端に配置された磁気ヘッド105が、回転している磁気ディスク102上を移動する。これにより、磁気ディスク102に情報を記録し、また、磁気ディスク102に記録されている情報を読み出すことができる。
図2は、図1に示すスピンドルモータ1の構成を概略的に示す断面図である。図3は、図2に示すベースプレート10及びシャフト30の構成を概略的に示す部分拡大断面図である。以下、説明の便宜上、図2におけるスピンドルモータ1の軸Y1の方向(以下、軸方向ともいう)における一方(矢印a方向)を上側とし、他方(矢印b方向)を下側とする。また、図2におけるスピンドルモータ1の軸Y1に直交して延在する半径方向における一方(矢印c方向)を内側とし、他方(矢印d方向)を外側とする。以下の説明において、各部材の位置関係や方向を上下を用いて説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
本発明の第1の実施の形態に係るスピンドルモータ1は、貫通孔10cが形成されたベースプレート10と、ベースプレート10に固定され、コイル34が巻回されたステータコア31と、ベースプレート10にシャフト30を介して回転自在に支持されるロータ50とを有するスピンドルモータである。
スピンドルモータ1は、ベースプレート10の貫通孔10cに固定される構成部材を有しており、また、貫通孔10cの連通する貫通孔10cよりも拡径されている拡径部12を有している。また、スピンドルモータ1は、拡径部12の少なくとも一部の全周に亘って形成されたエポキシ系電着塗装膜20と、このエポキシ系電着塗装膜20の少なくとも環状の一部の上に設けられ、貫通孔10cと構成部材との間をシールする接着部40とを有している。本実施の形態においては、構成部材をシャフト30とする。以下、スピンドルモータ1の構成について具体的に説明する。
ベースプレート10は、例えばアルミニウム合金により形成され、ステータコア31が固定される上側(矢印a方向)の面(内面10a)と、内面10aとは軸方向において反対側の下側(矢印b方向)の面(外面10b)と、を有する。ベースプレート10は、ディスク駆動装置100の内部の空間Sを構成(画成)する。
シャフト30には、円錐外面を有する上側円錐軸受部材32と、下側円錐軸受部材33とが、軸方向に離間して固定されている。ロータ50は、シャフト30を挿通する軸挿通孔51aを有するスリーブ51と、スリーブ51の外側(矢印d方向)に固定されたハブ52と、ハブ52に固定されたヨーク53及びリングマグネット54と、を備えている。
スリーブ51の軸挿通孔51aは上側(矢印a方向)及び下側(矢印b方向)の端部に上側円錐内面51bと下側円錐内面51cとを有する。上側円錐内面51bと下側円錐内面51cとは微小隙間を介して、上側円錐軸受部材32と下側円錐軸受部材33とに夫々対向する。上側円錐軸受部材32と上側円錐内面51b及び下側円錐軸受部材33と下側円錐内面51cとの間の微小隙間には、それぞれ潤滑油が充填されている。さらに、上側円錐内面51bと下側円錐内面51c又は上側円錐軸受部材32と下側円錐軸受部材33の円錐外面の少なくともいずれか一方には、動圧発生溝が形成され、流体動圧軸受70による軸受部71を形成している。
以上の構成により、ロータ50は、回転時には流体動圧軸受70による軸受部71を介してベースプレート10の内面10a側で支持される。また、ベースプレート10の内面10a側には、リングマグネット54と対向するように、コイル34が巻回されたステータコア31が固定されている。リングマグネット54は、周方向に極性が反転する状態で着磁された永久磁石であり、ヨーク53は、リングマグネット54からの磁束の漏洩を抑制する。
ステータコア31は、環状に加工された電磁鋼板を積層した構造を有する。ステータコア31は、軸受部71の外周よりも径方向の外側(矢印d方向)に延在し、ステータコア31の周方向には複数の極歯が相互に離間して設けられる。各極歯には、コイル34が巻回されている。コイル34からはワイヤ(導線)35が引き出されている。ワイヤ(導線)35は、ベースプレート10の外面10bに貼り付けられているフレキシブルプリント基板(FPC)36に半田37による半田付けにより接続されており、FPC36の出力端より制御電流がワイヤ35を介してコイル34に供給される。
コイル34に電流を流し、その極性を切り替えることで、リングマグネット54とステータコア31の極歯との間で生じる磁気吸引力と磁気反発力とが切り替わり、ロータ50がベースプレート10に固定されたシャフト30を中心に、ベースプレート10に対して回転する。ロータ50が高速で回転することにより軸受部71に動圧が発生し、ロータ50はシャフト30と上側円錐軸受部材32と下側円錐軸受部材33とに対して非接触状態で支持されながら回転する。
図3に示すように、ベースプレート10の貫通孔10cの外部側(下側(矢印b方向))に開口する外部開口部11は、貫通孔10cよりも拡径されている拡径部12に連通している。拡径部12にはエポキシ系電着塗装膜20が被覆されている。接着部40は、拡径部12において、構成部材(シャフト30)とエポキシ系電着塗装膜20との間に介在している。
具体的に、ベースプレート10には、ベースプレート10の内面10aと外面10bとの間でベースプレート10を貫通した貫通孔10cが形成されている。貫通孔10cは、シャフト30に対応して軸方向に円筒状に延在している。貫通孔10cは、上述のように、下側(矢印b方向)の端部に外部開口部11を有している。外部開口部11は、貫通孔10cの下側において開口している。外部開口部11は、ベースプレート10の下側において貫通孔10cよりも外側(矢印d方向)に向かって拡径されている拡径部12に連通している。
拡径部12は、ベースプレート10の外面10bにおいて貫通孔10cを面取りした面取り部である。拡径部12は、貫通孔10cの外部開口部11からベースプレート10の外面10bに向かって外側(矢印d方向)に向かって拡径するテーパ面である円錐内面12aを有している。
拡径部12の円錐内面12aには、円錐内面12aの全周に亘ってエポキシ系電着塗装膜20が被覆されている。エポキシ系電着塗装膜20は、エポキシ系樹脂を用いた電着塗装膜であり、例えば、電着塗装により形成されたエポキシ系樹脂の絶縁膜である。
ベースプレート10の貫通孔10cには、シャフト30が圧入固定されている。シャフト30は、円柱棒状に形成されている。シャフト30の直径は、ベースプレート10の貫通孔10cの直径よりも僅かに大きい。シャフト30の下側(矢印b方向)の端部(下端部30a)は、軸Y1方向において貫通孔10cの外部開口部11の位置に位置しており、拡径部12内に入り込んでおらず、拡径部12のエポキシ系電着塗装膜20に上側から接触している。。シャフト30の下端部30aは、貫通孔10cの外部開口部11に達しておらず、拡径部12のエポキシ系電着塗装膜20に接触せず、拡径部12のエポキシ系電着塗装膜20から上側に離れていてもよい。また、シャフト30の下端部30aは、軸Y1方向において、拡径部12内に入り込んでいてもよい。
拡径部12において、シャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間には、接着剤ADの硬化により形成された接着部40が全周に亘って介在している。具体的に、接着部40は、シャフト30の下端部30aの全体を下側(矢印b方向)から覆っており、また、シャフト30と貫通孔10cとの間の隙間を塞ぐようにシャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間を全周に亘って覆っている。接着部40は、図3に示すように、接着剤ADがシャフト30の下端部30aに隣接する空間において拡径部12に充填されて、拡径部12を閉塞するように形成されている。このような接着部40は、貫通孔10cの内周面10ciと、貫通孔10cに圧入されたシャフト30の外周面30bとの間をシールする機能を有するシール部でもある。
なお、接着部40は、接着剤ADが拡径部12の全体に充填されて形成されていてもよい。また、接着部40は、上述のように拡径部12を閉塞するように形成されていなくともよく、少なくとも、シャフト30と貫通孔10cとの間を塞ぐように、下端部30aと拡径部12におけるエポキシ系電着塗装膜20との間の環状の空間に介在するように形成されていてもよい。すなわち、接着部40は、拡径部12に形成されたエポキシ系電着塗装膜20に接触して、貫通孔10cの内周面10ciと、貫通孔10cに圧入されたシャフト30の外周面30bとの間をシールする機能を有するように設けられていればよい。
なお、エポキシ系電着塗装膜20は、拡径部12全体に被覆されていなくてもよい。接着部40が、エポキシ系電着塗装膜20とシャフト30との間において、貫通孔10cの内周面10ciとシャフト30の外周面30bとの間をシールするように、エポキシ系電着塗装膜20は、拡径部12の少なくとも一部に環状に形成されていればよい。また、接着部40は、拡径部12に形成されたエポキシ系電着塗装膜20の全体に接触するように形成されていなくてもよく、エポキシ系電着塗装膜20の少なくとも一部に環状に接触するように形成されていてもよい。また、接着部40は、エポキシ系電着塗装膜20の全体を超えて形成されていてもよい。
接着剤ADは、エポキシ系の接着剤であり、熱硬化性を有するものが好ましい。ただし、接着剤ADは、アクリル樹脂系の接着剤等であってもよく、嫌気硬化性、紫外線硬化性等を有するものであってもよい。
このように、本発明の第1の実施の形態に係るディスク駆動装置100では、エポキシ系電着塗装膜20が、拡径部12の円錐内面12aの全周に亘って被覆されている。この拡径部12において、シャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間に、接着剤ADの硬化により形成された接着部40が全周に亘って介在している。従って、接着部40は、シャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
エポキシ系電着塗装膜20と接着部40(接着剤AD)との接着性は強いため、ベースプレート10の加工部(拡径部12の円錐内面12a)とシャフト30との間の接着部40のシール性を向上させることができる。従って、ベースプレート10の貫通孔10cからのヘリウムの外部への漏洩を防止することができる。
このように、本発明の第1の実施の形態に係るスピンドルモータ1によれば、ベースプレート10の貫通孔10cと構成部材(シャフト30)との間をシールする接着部40の接着性を向上させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係るスピンドルモータ2の構成を説明する。図4は、スピンドルモータ2のベースプレート210の構成を概略的に示す平面図であり、図5は、図4に示すベースプレート210の構成を概略的に示す断面図である。本発明の第2の実施の形態に係るスピンドルモータ2は、上述の本発明の第1の実施の形態に係るスピンドルモータ1とは異なり、ベースプレートの貫通孔に固定される構成部材をコネクタ250とする。コネクタ250は、磁気ヘッド105の信号入出力及びスイングアーム104を動かすためのボイスコイルモータと電気的に接続され、電力を供給する。
具体的に、ベースプレート210は、例えばアルミニウム合金により構成され、ステータコア31が固定された上側(矢印a方向)の面(内面210a)と、内面210aとは軸方向において反対側の下側(矢印b方向)の面(外面210b)と、を有する。
ベースプレート210の内面210aには、下側(矢印b方向)に凹んだ凹部211が形成されている。ベースプレート210の凹部211には、ベースプレート210の外面210bと凹部211の底面211aとの間でベースプレート210を貫通した貫通孔210cが形成されている。貫通孔210cは、貫通孔210cに挿入される後述するコネクタ250に対応した形状に形成されており、例えば、軸方向に矩形筒状に延在している。貫通孔210cは、具体的には、ベースプレート210の外部からコネクタピン(図示せず)を内部に挿入するためのコネクタ窓である。
ベースプレート210の貫通孔210cは、上側(矢印a方向)の端部に内部開口部212を有する。内部開口部212は、貫通孔210cの上側の端部において開口している。内部開口部212は、コネクタ250を収容する拡径部としての収容部213に連通している。収容部213は、凹部211の底面211aから下側(矢印b方向)に向かって凹む凹部であり、貫通孔210cよりも外側に拡径(拡大)している。このため、連通している貫通孔210cと収容部213とによって、軸方向に段付きの貫通孔が構成されている。
収容部213には、接着剤ADが流入するように形成された接着剤溜まり部214が形成されている。接着剤溜まり部214は、角部が丸みを有する矩形環状の下側(矢印b方向)に凹む凹部又は溝部である。接着剤溜まり部214は、その底面214a及び側面214bと、後述するコネクタ支持部251の外周面251cとによって画成されている。収容部213において接着剤溜まり部214の内側には、上側(矢印a方向)に向かってコネクタ支持部251が突出している。コネクタ支持部251は、接着剤溜まり部214の内側において環状に延びており、角部が丸みを有する矩形環状に延在している。コネクタ支持部251の内周面251bは、ベースプレート210の貫通孔210cの内周面210ciと面一である。
コネクタ支持部251は、コネクタ250と対向してコネクタ250を支持する支持面251a(図5)を有している。コネクタ支持部251の支持面251aは、コネクタ支持部251の先端(上側端)部分において、角部が丸みを有する矩形環状に形成された面であり、軸方向においてコネクタ250を支持する。コネクタ支持部251の軸方向における高さは、凹部211の底面211aまで達していない。軸Y1方向において、外面210bから支持面251aまでの高さ(コネクタ支持部251の高さ)は、外面210bから底面211aまでの高さには達していない。
エポキシ系電着塗装膜220は、収容部213に被覆されている。具体的に、エポキシ系電着塗装膜220は、接着剤溜まり部214に、つまり、接着剤溜まり部214の底面214a、接着剤溜まり部214の側面214b、及びコネクタ支持部251の外周面251cに被覆されている。なお、貫通孔210cの内周面210ci、コネクタ支持部251の支持面251a、ベースプレート210の内面210a及び外面210bには、エポキシ系電着塗装膜220が被覆されていない。
ベースプレート210の収容部213には、コネクタ250が収容されている。コネクタ250の大きさは、例えば、ベースプレート210の収容部213の大きさよりも僅かに小さい。コネクタ250は、コネクタ支持部251の支持面251aに支持されている。
収容部213において、接着部240は、接着剤ADの硬化によりコネクタ250とエポキシ系電着塗装膜220との間の全周に亘って介在している。具体的に、接着部240は、コネクタ250の下面250a及び側面250bと接着剤溜まり部214を被覆するエポキシ系電着塗装膜220との間の隙間に介在しており、コネクタ250とエポキシ系電着塗装膜220との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
続いて、収容部213にコネクタ250を固定する方法について説明する。まず、ベースプレート210に凹部211、貫通孔210c、収容部213及びコネクタ支持部251が形成される。その後、ベースプレート210の表面全体に電着塗装が施され、その後、貫通孔210cの内周面210ci、及びコネクタ支持部251の支持面251aが切削加工される。
続いて、接着剤ADが接着剤溜まり部214に塗布された後、コネクタ250が収容部213に収容され、接着剤ADが硬化される(接着剤ADが熱硬化性の場合、加熱硬化される。)。これにより、コネクタ250は、コネクタ支持部251の支持面251aに支持されて収容部213に収容される。また、接着剤ADは、コネクタ250の下面250a及び側面250bと収容部213の接着剤溜まり部214を被覆するエポキシ系電着塗装膜220との間の隙間に介在する。
このように、本発明の第2の実施の形態に係るディスク駆動装置200では、エポキシ系電着塗装膜220が、収容部213に全周に亘って被覆されており、収容部213において、接着部240が、接着剤ADの硬化によりコネクタ250とエポキシ系電着塗装膜220との間の全周に亘って介在している。このとき、接着部240は、コネクタ250とエポキシ系電着塗装膜220との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
このため、エポキシ系電着塗装膜220と接着部240(接着剤AD)との接着性は強いため、ベースプレート210の加工部(収容部213)とコネクタ250との間の接着部240のシール性を向上させることができる。従って、ベースプレート210の貫通孔210cからのヘリウムの外部への漏洩を防止することができる。
このように、本発明の第2の実施の形態に係るスピンドルモータ2によれば、ベースプレート210の貫通孔210cと構成部材(コネクタ250)との間をシールする接着部240の接着性を向上させることができる。
なお、エポキシ系電着塗装膜220は、収容部213の接着剤溜まり部214全体に被覆されていなくてもよい。エポキシ系電着塗装膜220は、接着剤溜まり部214の少なくとも一部に環状に形成されていてもよい。また、接着部240は、接着剤溜まり部214に形成されたエポキシ系電着塗装膜220の全体に接触するように形成されていなくてもよく、エポキシ系電着塗装膜220の少なくとも一部に環状に接触するように形成されていてもよい。また、接着部240は、エポキシ系電着塗装膜220の全体を超えて形成されていてもよい。
次に、本発明の第3の実施の形態に係るスピンドルモータ3の構成を説明する。図6は、スピンドルモータ3のベースプレート310の構成を概略的に示す断面図である。本発明の第3の実施の形態に係るスピンドルモータ3は、上述の本発明の第1の実施の形態に係るスピンドルモータ1とは異なり、ベースプレートの貫通孔に固定される構成部材をワイヤ(導線)350とする。
具体的に、ベースプレート310は、例えばアルミニウム合金により構成され、ステータコア31が固定された上側(矢印a方向)の面(内面310a)と、内面310aとは軸方向において反対側の下側(矢印b方向)の面(外面310b)と、を有する。ベースプレート310には、ベースプレート310の内面310aと外面310bとの間でベースプレート310を貫通した貫通孔310cが形成されている。貫通孔310cは、軸方向に円筒状に延在している。貫通孔310cは、コイル34から引き出されたワイヤ350をベースプレート310の外部に引き出すための貫通孔である。
貫通孔310cは、上側(矢印a方向)及び下側(矢印b方向)の端部に開口部311を有する。開口部311は、上側及び下側に開口している。開口部311は、ベースプレート310の上側及び下側において貫通孔310cよりも外側に向かって拡径されている拡径部312に連通している。
拡径部312は、ベースプレート310の内面310a及び外面310bにおいて貫通孔310cを面取りした面取り部である。拡径部312は、貫通孔310cの開口部311からベースプレート310の内面310a及び外面310bに向かって外側に夫々延在するテーパ面である円錐内面312aを有している。円錐内面312aの軸方向における長さは、円錐内面312aの幅方向における長さよりも長いことが好ましい。
拡径部312の円錐内面312a、貫通孔310cの内周面310ci、ベースプレート310の内面310a及び外面310bには、エポキシ系電着塗装膜320が被覆されている。拡径部312の円錐内面312a及び貫通孔310cの内周面310ciには、円錐内面312a及び貫通孔310cの内周面310ciの全周に亘ってエポキシ系電着塗装膜320が被覆されている。なお、貫通孔310cの内周面310ciには、エポキシ系電着塗装膜320が被覆されていなくてもよく、円錐内面312aにエポキシ系電着塗装膜320が被覆されていればよい。
ベースプレート310の内面310aには、絶縁フィルム313が接着されている。絶縁フィルム313は、プラスチック等の絶縁材料により形成され、コイル34とベースプレート310の内面310aとの間に配置されている。絶縁フィルム313には、貫通孔313aが形成されている。ベースプレート310の貫通孔310cと絶縁フィルム313の貫通孔313aとは同軸である。絶縁フィルム313の貫通孔313aの直径は、ベースプレート310の貫通孔310cの直径よりも小さい。
ベースプレート310の外面310bには、FPC314が貼り付けられている。FPC314においては、例えばポリイミド等のフィルム状の絶縁体からなる絶縁層(基材)に銅箔等で導電層(配線)が形成されている。FPC314の表面には導電層の一部が露出してなるパッド(端子)が形成されている。
ベースプレート310の貫通孔310cには、ワイヤ350が挿入されている。ワイヤ350は、断面円状のケーブルである。ワイヤ350は、貫通孔310cにおいて、貫通孔310cの内周面310ciから離間して延びている。図6では、ワイヤ350は、貫通孔310cの中心を通るように、貫通孔310cの略中心にまで張り出したFPC314の端部によって位置決めされている。コイル34から引き出されたワイヤ350は、絶縁フィルム313の貫通孔313a、ベースプレート310の貫通孔310c、及び拡径部312を通じてFPC314のパッド(導電層)に電気的に接続されて半田315により半田付けされている。
接着部340は、接着剤ADの硬化によりベースプレート310の貫通孔310c及び拡径部312を封止している。具体的に、接着部340は、ワイヤ350の外周面と、拡径部312の円錐内面312aを被覆するエポキシ系電着塗装膜320及び貫通孔310cの内周面310ciを被覆するエポキシ系電着塗装膜320との間の全周に亘って介在しており、ワイヤ350とエポキシ系電着塗装膜320との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
このように、本発明の第3の実施の形態に係るディスク駆動装置300では、エポキシ系電着塗装膜320が、拡径部312の円錐内面312a及び貫通孔310cの内周面310ciに全周に亘って被覆されており、接着部340が、接着剤ADの硬化によりベースプレート310の貫通孔310c及び拡径部312を封止している。このとき、接着部340は、ワイヤ350とエポキシ系電着塗装膜320との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
このため、エポキシ系電着塗装膜320と接着部340(接着剤AD)との接着性は強いため、ベースプレート310の加工部(貫通孔310c及び拡径部312)とワイヤ350との間の接着部340のシール性を向上させることができる。従って、ベースプレート310の貫通孔310cからのヘリウムの外部への漏洩を防止することができる。
このように、本発明の第3の実施の形態に係るディスク駆動装置300によれば、ベースプレート310の貫通孔310cと構成部材(ワイヤ350)との間をシールする接着部340の接着性を向上させることができる。
なお、エポキシ系電着塗装膜320は、拡径部312の円錐内面312aの全体に被覆されていなくてもよい。エポキシ系電着塗装膜320は、拡径部312の円錐内面312aの少なくとも一部に環状に形成されていてもよい。また、接着部340は、拡径部312に形成されたエポキシ系電着塗装膜320の全体に接触するように形成されていなくてもよく、エポキシ系電着塗装膜320の少なくとも一部に環状に接触するように形成されていてもよい。また、接着部340は、エポキシ系電着塗装膜320の全体を超えて形成されていてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。また、本発明は、上述の各実施の形態を適宜組み合わせたものであってもよい。
例えば、本発明の第1の実施の形態では、拡径部12が、ベースプレート10の外面10bにおいて貫通孔10cを面取りした面取り部である場合について説明した。本発明はこれに限らず、図7に示すように、拡径部12が、ベースプレート10の外面10bに形成された、外面10bから内面10aに向かって凹む凹部400であってもよい。
具体的に、凹部400は、貫通孔10cの外部開口部11からベースプレート10の外面10bに向かって外側に延在する凹部内面400aを有している。凹部400の凹部内面400aには、上述の拡径部12と同様にエポキシ系電着塗装膜20が被覆されており、例えば凹部内面400aの全周に亘ってエポキシ系電着塗装膜20が被覆されている。凹部400において、シャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間には、接着剤ADの硬化により形成された接着部40が全周に亘って介在している。本変形例においても、接着部40は、シャフト30の下端部30aの全体を下側から覆っており、また、シャフト30の下端部30aとエポキシ系電着塗装膜20との間の隙間を全周に亘って塞いでいる。
また、本発明の第1の実施の形態ではベースプレート10の外面10bにおいて貫通孔10cを面取りした面取り部(拡径部12)にエポキシ系電着塗装膜20を被覆して接着部40を設ける場合について説明した。本発明はこれに限らず、ベースプレート10の内面10aにおいて貫通孔10cを面取りした面取り部(拡径部)を設け、これにエポキシ系電着塗装膜を被覆して接着部を設ける場合であってもよい。もちろん、ベースプレート10の内面10a及び外面10bの双方において貫通孔10cを面取りした面取り部(拡径部)を設け、これらにエポキシ系電着塗装膜を被覆して接着部を設ける場合であってもよい。
また、本発明の第2の実施の形態では、矩形環状の接着剤溜まり部214の内側において、上側(矢印a方向)に向かってコネクタ支持部251が突出している場合について説明した。本発明はこれに限らず、図8に示すように、コネクタ支持部410が接着剤溜まり部214の外側において突出していてもよい。この場合、コネクタ250は、コネクタ支持部410の支持面410aに支持されている。エポキシ系電着塗装膜220は、接着剤溜まり部214(収容部213の底面214a及びコネクタ支持部410の内周面410b)を被覆している。接着部240は、接着剤溜まり部214内において接着剤ADの硬化によりコネクタ250とエポキシ系電着塗装膜220との間の全周に亘って介在している。