JP2019192628A - リチウム金属二次電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】負極上でのリチウム金属の析出による膨張を抑制し、充放電効率および充放電サイクル特性を向上させる。【解決手段】リチウム金属二次電池は、正極1と、負極2と、正極1及び負極2の間に配置されたセパレータ3と、非水電解質とを備える。正極1は、放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含む。負極2は、充電時にリチウム金属2bが析出し、放電時にリチウム金属2bが溶解する反応を行う。正極1と負極2とがセパレータ3を介して対向した状態で捲回されて電極群を構成している。前記電極群は、完全放電時において電極群内に非水電解質の少なくとも一部を収容する空間4が存在するように構成される。正極1の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属2bの厚さをX、空間4が負極2とセパレータ3との間のみに形成されると仮定した際の空間4の仮想的な厚さをYとしたとき、1.00≦X/Y<1.20を満たす。【選択図】図1

Description

本開示は、リチウム金属を負極活物質とするリチウム金属二次電池に関する。
近年、非水電解質二次電池は、パソコン、スマートフォン等のICT(Information and Communication Technology)用、車載用、蓄電用等として広く用いられている。このような用途に用いられる非水電解質二次電池には、さらなる高容量化が求められる。高容量の非水電解質二次電池としては、リチウムイオン電池が知られている。リチウムイオン電池の高容量化は、負極活物質として、例えば、黒鉛とSi(シリコン)化合物等の合金活物質とを併用することにより達成され得る。しかしながら、リチウムイオン電池の高容量化は限界に達しつつある。
リチウムイオン電池を超える高容量の非水電解質二次電池として、負極にリチウム金属を用いるリチウム金属二次電池が有望である(例えば特許文献1、2)。
特開2001−243957号公報 特開2016−527680号公報
本開示の一実施形態は、充放電効率および充放電サイクル特性を向上させたリチウム金属二次電池を提供する。
本開示の一局面に係るリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、非水電解質とを備える。前記正極は、放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含む。前記負極は、前記充電時にリチウム金属が析出し、前記放電時にリチウム金属が溶解する反応を行う。前記正極と前記負極とが前記セパレータを介して対向した状態で捲回されて電極群を構成している。前記電極群は、完全放電時において前記電極群内に前記非水電解質の少なくとも一部を収容する空間が存在するように構成される。前記正極の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属の厚さをX、前記空間が前記負極と前記セパレータとの間のみに形成されると仮定した際の前記空間の仮想的な厚さをYとしたとき、
1.00≦ X/Y < 1.20
を満たす。
なお、本開示の包括的または具体的な態様は、電池、装置、システム、方法、またはこれらの任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示の一実施形態のリチウム金属二次電池によれば、充放電効率および充放電サイクル特性を向上させることができる。
本開示の実施形態に係るリチウム金属二次電池の電極群の一部の概略断面図であり、(a)は非水電解液含浸直後の状態、(b)は完全放電状態、(c)は満充電状態を示す。 比較例のリチウム金属二次電池の電極群の一部の概略断面図であり、(a)は電解液含浸直後の状態、(b)は満充電状態を示す。 本開示の実施形態に係る完全放電時のリチウム金属二次電池の上部X線CT測定により得られる正極を示す図である。 本開示の実施形態に係るリチウム金属二次電池の縦断面図である。 本開示の実施形態に係るリチウム金属二次電池の正極側の部分断面図である。 本開示の実施形態に係るリチウム金属二次電池の負極側の部分断面図である。
本開示に係るリチウム金属二次電池は、正極と、負極と、正極及び負極の間に配置されたセパレータと、非水電解質とを備える。正極は、放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含む。負極は、充電時にリチウム金属が析出し、放電時にリチウム金属が溶解する反応を行う。正極および負極は、セパレータを介して対向した状態で捲回され、電極群を構成している。
リチウム金属二次電池では、充放電に伴うリチウム金属の溶解と析出の過程で、負極上でリチウム金属のデンドライトの生成や、リチウム金属と電解質との反応が起こる。そのため、リチウム金属二次電池は、リチウムイオン電池に比べて充放電効率が低く、充放電サイクル特性に劣る傾向がある。
実施形態1.
図1は、本開示の実施形態1に係る電極群を構成して、非水電解質として非水電解液(以下、単に電解液と呼ぶ場合がある)を含浸させた後の各状態における電極群の一部の概略断面図である。(a)は電解液含浸直後の状態、(b)は完全放電状態、(c)は満充電状態を示す。
図1(a)に示すように、電解液含浸直後には、リチウムイオンが脱離した状態の正極1と、リチウム金属2bが負極集電体2aに貼り付けられた状態の負極2とが、セパレータ3を介して積層されている。正極1は、正極集電体1aと、正極集電体1a上に形成された正極合剤層1bとを具備する。次に、図1(b)に示すように、放電により、正極1にリチウムイオンが挿入される。一方、負極2からは、負極集電体2a上に存在していたリチウム金属2bが溶出する。これにより、負極集電体2a上においてリチウム金属2bが占有していた空間4(具体的には、負極集電体2aとセパレータ3との間の部分)に電解液の少なくとも一部が収容された状態となる。なお、完全放電状態において、空間4には、リチウム金属2bが実質的に存在しなくてもよいし、リチウム金属2bの一部が残っていてもよい。次に、図1(c)に示すように、充電より、正極1からリチウムイオンが脱離した状態となる。一方、負極2では、負極集電体2a上にリチウム金属2bが析出する。
なお、リチウム金属2bは、図1(b)で形成された空間4の中に析出するため、リチウム金属2bの体積が空間4の体積を大きく超えることはないと考えられる。析出するリチウム金属2bの厚さは、負極集電体2aとセパレータ3との間の空間4の厚さとほぼ同じになり得る。以上のことから、リチウム金属2bの析出により電極群が大きく膨張するのを抑制することができる。
図2は、比較例の電極群を構成して電解液を含浸させた後の各状態における電極群の一部の概略断面図である。(a)は電解液含浸直後の状態、(b)は満充電状態を示す。
図2(a)に示すように、電解液含浸直後には、リチウムイオンが挿入された状態の正極101と負極集電体102aとが、セパレータ103を介して積層されている。次に、図2(b)に示すように、充電状態において、正極101はリチウムイオンが脱離した状態となる。一方、負極102では、負極集電体102a上にリチウム金属102bが析出する。リチウム金属102bは、負極集電体102aとセパレータ103との間に析出するため、電極群が膨張する。
ここで、正極1の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属2bの厚さをX、空間4が負極2とセパレータ3との間のみに形成されると仮定した際の空間4の仮想的な厚さをYとしたとき、本開示に係るリチウム金属二次電池は、1.00≦X/Y<1.20を満たす。
本開示において、「設計容量」とは、上限電圧での満充電状態から下限電圧での完全放電状態までの放電容量のことである。ここで、上限電圧および下限電圧は、サイクル特性を考慮して定められる値である。例えば、上限電圧および下限電圧は、所定の充放電回数(例えば500回)で、所定の容量維持率(例えば80%)を保証するために定められる。また、完全放電状態とは、電池の定格容量をCとするとき、0.05×C以下の充電状態(SOC:State of Charge)となるまで放電させた状態である。満充電状態とは、0.98×C以上のSOCとなるまで充電させた状態である。例えば、電極に含まれる活物質の理論容量および全質量から算出した値を設計容量とみなすことができる。ここで、理論容量とは、想定される電気化学反応において単位質量の活物質が蓄えることができる最大の電気量(容量密度とも称される。)のことをいう。例えば、正極活物質が、層状岩塩型構造を有し、組成式LiMO2(ただし、MはLi以外の金属であり、Mの90モル%以上が遷移金属である)で表される場合、単位質量の活物質が電気化学的に放出し得るリチウムイオンの電気量の最大値が理論容量(すなわち、容量密度)である。また、本開示において、「正極の単位面積あたりの設計容量」とは、正極において、正極活物質を担持し、かつ、負極と対向する領域の単位面積あたりの設計容量のことをいう。以下、空間が負極とセパレータとの間のみに形成されると仮定した際の当該空間を「仮想空間」と呼び、当該空間の仮想的な厚さを「仮想空間の厚さ」と呼ぶ場合がある。
X/Yは、1.15より小さくてもよく、1.10より小さくてもよい。X/Yが1.20より小さくなることで、負極集電体2a上に析出するリチウム金属2bの厚さが、負極2とセパレータ3との間の仮想空間4の厚さYよりも大きくなることを低減することができる。この場合、満充電状態においても、析出したリチウム金属2bが空間4内に収容されることから、電極群が膨張するのを抑制することができる。
厚さXは、具体的には、例えば、正極1の単位面積あたりの設計容量(すなわち、正極1において、正極活物質を担持し、かつ、負極2と対向する領域の単位面積あたりの設計容量)、リチウム金属2bの理論容量(3860mAh/g)、およびリチウム金属2bの密度(0.534g/cm)を用いて算出することができる。厚さXは、具体的には、次の様に算出する。すなわち、(1)リチウム金属2bの理論容量から、正極1の単位面積あたりの設計容量に相当するリチウム金属2bの質量を求める。次に、(2)その質量およびリチウム金属2bの密度から正極1の単位面積あたりのリチウム金属2bの厚さを求める。
一方、仮想空間4の厚さYは、具体的には、捲回されたリチウム金属二次電池を完全放電した際の負極2の一方の面と、その面に対向するセパレータ3との間に形成される空間である。この空間4の厚さは、例えば完全放電時のリチウム金属二次電池の正極1の断面の画像を取得することにより算出することができる。正極1の断面の画像は、例えばX線を用いたコンピュータ断層撮影の測定(以下、X線CT測定という。)により取得することが可能であるが、特にこの方法に限定されるものではない。
以下、X線CT測定により得られた正極の断面の画像による仮想空間の厚さYの算出手順を示す。なお、負極やセパレータは、X線CT測定で断面画像の取得が困難であるため、放電後に、捲回されたリチウム金属二次電池を解体して実測する。また、以下に示す長さおよび厚さの寸法の測定方法は、例えば日本工業規格によって定められる方法であればよく、特に限定されるものではない。測定方法としてはスケール、ノギス、マクロメーターあるいはレーザー顕微鏡等を用いることができる。
実施形態2.
図3は、X線CT測定により得られる完全放電時のリチウム金属二次電池の正極11の横断面画像である。なお、本実施形態2の正極11、負極、セパレータおよび非水電解質として、上述した実施形態1の正極1、負極2、セパレータ3および非水電解質を用いることができる。図3の画像において、捲回されている正極11の内周の開始点をA点、正極11の外周の終止点をB点、正極11の内周側の一周目においてA点からの距離が最大となる点をC点とし、A点とC点の中点をD点とする。A点とC点との距離をl、B点とD点との距離をLとする。横断面において、完全放電時の電極群の面積Sdは以下の式で規定される。
Sd=π×L×L−π×(l×0.5)×(l×0.5)
次に、横断面において、正極の長さをLpとし、正極の厚さをdpとし、完全放電状態における負極の厚さをdnとし、セパレータの厚さをdsとすると、完全放電時の正極、負極およびセパレータの横断面の総面積sdは、以下の式で規定される。なお、完全放電状態で負極がリチウム金属を実質的に含まない場合は、負極の厚さdnは、負極集電体の厚さとなる。
sd=Lp×(dp+dn+2ds)
Sdおよびsdより、空間面積Sは以下の式で規定される。
S=Sd−sd
したがって、厚さYは以下の式で規定することができる。Yは、正極の一方の面がセパレータを介して負極の一方の面と対向した際の仮想空間の厚さである。
Y=(S÷Lp)×0.5
実際の正極および負極には、集電体上に活物質が担持されている塗工部と、活物質が担持されていない未塗工部とが存在する。ただし、正極の長さLpに対して未塗工部は、例えば0.5%程度であり、厚さYを算出する場合において未塗工部は無視できるレベルである。例えば、未塗工部を正極の中間に設けずに集電体の端部に形成する場合、未塗工部の影響は実質上0%となる。
本開示に係るリチウム金属二次電池の完全放電状態とは、電池の定格容量をCとするとき、0.05×C以下の充電状態(SOC:State of Charge)となるまで放電させた状態をいう。例えば0.05Cの定電流で下限電圧まで放電した状態をいう。下限電圧は、例えば2.5Vである。
一方、本開示に係るリチウム金属二次電池において、0.98×C以上のSOCとなるまで充電させた状態を満充電状態という。例えば0.05Cの定電流で上限電圧まで充電した後、上限電圧である定電圧で電流が0.02Cまで充電した状態をいう。上限電圧は、例えば4.3Vである。
ただし、放電時の電流、電圧および下限電圧、充電時の電流、電圧および上限電圧、ならびに定電流および定電圧といった充放電方式等の条件は、本開示の条件に限定されるものではない。これらの条件は、リチウム金属二次電池を具備するモジュールや、モジュールを組み合せたシステムの仕様により決定されるため、それらの仕様に合わせた条件としてもよい。
本開示の一態様において、正極の設計容量Cに対する負極の設計容量Cの比:C/Cが、1.0<C/C<4.0であってもよい。例えば、正極活物質であるコバルト酸リチウムの理論容量は274(mAh/g)であるが、サイクル特性等を加味した実質的な容量は150mAh/gであり、正極集電体に担持される正極活物質の全担持量をM(g)とすると、正極の設計容量は、150×M(mAh)となる。また、負極活物質であるリチウム金属の理論容量は3860(mAh/g)であり、負極に含まれる全リチウム金属量をM(g)とすると、リチウム金属相当分の負極の設計容量は、3860×M(mAh)となる。C/Cは、1.1より大きくてもよく、1.2より大きくてもよい。また、C/Cは、2.0より小さくてもよく、1.5より小さくてもよい。C/Cを1.0より大きく設定することで、リチウム金属二次電池のサイクル特性を向上させやすくなる。C/Cを4.0より小さく設定することで、リチウム金属二次電池として適切な容量を確保しやすくなる。なお、完全放電状態における負極が、実質的に、集電体だけになる場合、C/Cは常に1と考えればよい。
以上に鑑み、本開示に係るリチウム金属二次電池の製造方法は、(1)放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含み、かつリチウムイオンが脱離した状態の正極を準備する工程と、(2)リチウム金属を含む負極を準備する工程と、(3)正極と負極とをセパレータを介して対向した状態で捲回して電極群を構成する工程と、(4)構成された電極群を外装体に収容し、電極群を収容した外装体に電解液を注入して電池を組み立てる工程と、を含む。本製造方法は、工程(4)の後、組み立てられた電池を放電する工程を含んでもよい。ただし、完全放電時に電極群内に空間が形成されるように、正極から脱離させるリチウムイオンと、負極に含ませるリチウム金属の量を制御する。すなわち、電極群は、完全放電時に電極群内に非水電解質の少なくとも一部を収容する空間が存在するように構成される。このとき、正極の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属の厚さをX、空間が負極とセパレータとの間のみに形成されると仮定した際の空間の仮想的な厚さをYとしたとき、1.00≦X/Y<1.20を満たすようにする。このように制御することで、充電時に負極集電体上に析出するリチウム金属を、電極群内に形成された空間内に収容することができる。これにより、リチウム金属の析出による電極群の膨張を抑えることが可能となる。
実施形態3.
以下、本開示の具体的な実施形態について説明するが、以下の実施形態は、本開示の具体例の一部に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではない。なお、実施形態1または2の構成を実施形態3に適用することができる。
[非水電解質]
非水電解質は、リチウム塩を含む。非水電解質は、液状であってもよいし、ゲル状であってもよいし、ゲル状および液状の混合であってもよい。液状の非水電解質(すなわち、非水電解液)は、リチウム塩と、リチウム塩を溶解させる非水溶媒とを含む。ゲル状の非水電解質は、例えば、リチウム塩とマトリックスポリマーあるいはリチウム塩と非水溶媒とマトリックスポリマーとを含む。マトリックスポリマーは、例えば、非水溶媒を吸収してゲル化する材料であり、フッ素樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂等が例示される。
[リチウム塩]
リチウム塩は、例えば、LiBF、LiClO、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、LiSCN、LiCFSO、LiCFCO、LiN(SOCF(ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム)、LiN(CmF2m+1SO(CnF2n+1SO(mおよびnは、それぞれ独立して0または1以上の整数であり、xおよびyは、それぞれ独立して0、1または2であり、x+y=2を満たす。)等のイミド塩類、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩等が挙げられる。リチウム塩は、デンドライトの生成が抑制され易い点で、LiPF、LiN(SOCF、LiN(SO(ビスパーフルオロエチルスルホニルイミドリチウム)、LiN(SOF)、オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩であってもよい。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩は、ホウ素(B)またはリン(P)を含有してもよい。このようなリチウム塩としては、例えば、リチウムビスオキサレートボレート(LiBOB)、LiBF(C)、LiPF(C)、LiPF(C等が挙げられる。オキサレート錯体をアニオンとするリチウム塩は、LiBOB、LiBF(C)であってもよい。
[非水溶媒]
非水溶媒としては、例えば、エステル、エーテル、ニトリル(アセトニトリル等)、アミド(ジメチルホルムアミド等)が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。非水溶媒は、水素の少なくとも一部がフッ素等のハロゲン原子で置換されたハロゲン置換体であってもよい。
エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
エーテルとしては、例えば、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,3,5−トリオキサン、フラン、2−メチルフラン、1,8−シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o−ジメトキシベンゼン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1−ジメトキシメタン、1,1−ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチル等の鎖状エーテル等が挙げられる。
非水電解質は、添加剤を含んでもよい。添加剤に由来する被膜が負極に形成されることにより、デンドライトの生成が抑制され易くなる。このような添加剤としては、例えば、ビニレンカーボネート(VC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ビニルエチルカーボネート(VEC)等が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
[負極]
負極は、充電時にリチウム金属が析出する電極である。リチウム以外に微量成分が含まれていてもよい。リチウム金属は、主に負極の正極と対向する表面に析出する。析出するリチウム金属は、正極から放出された非水電解質中のリチウムイオンに由来し、放電により、再び非水電解質に溶解して正極に挿入される。
本実施形態では、あらかじめリチウム金属が負極集電体上に形成される。あらかじめ形成されるリチウム金属の質量は、当該リチウム金属に対向させる正極の設計容量に相当するリチウム金属の質量より大きくてもよい。また、あらかじめ形成されるリチウム金属は、当該リチウム金属に対向する正極の面積よりも大きくしてもよい。リチウム金属の負極集電体上への形成方法は、特に限定されない。リチウム金属の負極集電体上への形成方法の例は、(1)ロールプレスにより圧延したリチウム金属を負極集電体上へ転写する方法、(2)負極集電体上にリチウム金属を蒸着する方法などを含む。
負極集電体は、リチウム金属および/またはリチウム合金以外の導電性材料で構成される。負極集電体は、リチウム金属と反応しない(すなわち、リチウム金属との合金あるいは金属間化合物を形成しない)金属材料により構成されてもよい。このような金属材料としては、例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。金属材料は、導電性の観点から、Cuであってもよい。
負極集電体の形態としては、例えば、多孔質あるいは無孔のシート(すなわち、箔、フィルム等)が挙げられる。負極集電体として銅箔を用いる場合、Cuが主成分であってもよい。すなわち、銅箔の50質量%以上をCuが占めてもよい。銅箔は、実質的にCuのみで構成されてもよい。負極集電体の厚さは特に限定されず、例えば5〜20μmである。
[正極]
正極は、例えば、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極合剤層とを備える。正極合剤層は、例えば、正極活物質と導電材と結着材とを含む。正極合剤層は、正極集電体の両面に形成されてもよい。正極は、例えば、正極集電体の両面に、正極活物質と導電材と結着材とを含む正極合剤スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧延することにより得られる。
正極活物質は、リチウムイオンを挿入および脱離する材料である。正極活物質は、層状岩塩型構造、スピネル型構造およびオリビン型構造よりなる群から選択される少なくとも1つの結晶構造を有することが望ましい。正極活物質としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物、遷移金属フッ化物、ポリアニオン化合物、フッ素化ポリアニオン化合物、遷移金属硫化物等が挙げられる。正極活物質は、製造コストが安く、平均放電電圧が高い点で、リチウム含有遷移金属酸化物がより望ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物を構成する金属元素としては、例えば、Mg、Al、カルシウム(Ca)、スカンジウム(Sc)、Ti、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、Fe、コバルト(Co)、Ni、Cu、亜鉛(Zn)、Ga、Ge、イットリウム(Y)、Zr、錫(Sn)、アンチモン(Sb)、タングステン(W)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)が挙げられる。上記金属元素は、Co、Ni、Mn、Alなどであってもよい。これらは1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(KB)、カーボンナノチューブ(CNT)、黒鉛等の炭素材料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて用いられる。
正極集電体の材質としては、例えば、Al、SUS、Tiおよびそれらの合金等の金属材料が挙げられる。上記材質は、安価で薄膜化しやすい点で、AlまたはAl合金であってもよい。正極集電体の形態としては、例えば、多孔質あるいは無孔のシートが挙げられる。金属材料のシートとは、例えば、金属箔(すなわち、金属フィルム)、金属メッシュ等である。正極集電体の表面には、カーボンなどの炭素材料が塗布されていてもよい。これにより、抵抗値の低減、触媒効果の付与、正極合剤層と正極集電体との結合強化等が期待できる。
本実施形態では、上記のように構成された正極からリチウムを脱離する工程を有する。脱離させる方法としては電気化学的方法が挙げられ、例えば、正極と、正極から脱離されたリチウムが析出する対向電極とを、電解液で満たされた浴槽に浸漬し、正極と対向電極との間に通電することにより行われる。リチウムの脱離量は正極の設計容量の50〜100%としてもよく、70〜100%としてもよい。上記のように構成された正極からリチウムを脱離する処理を行った正極を洗浄、乾燥することで、リチウムが脱離された正極を得ることができる。
正極活物質の合成時に、化学的な方法によってリチウムが脱離したリチウム含有遷移金属化合物を得た後、正極を形成してもよい。この際もリチウムの脱離量は正極の設計容量の50〜100%としてもよく、70〜100%としてよい。なお、リチウムが脱離した正極を得る方法は、これらに限定されるものではない。また、正極活物質は、層状岩塩型構造、スピネル型構造およびオリビン型構造よりなる群から選択される少なくとも1つの結晶構造を有するものが望ましいが、特段限定されるものではない。正極活物質が層状岩塩型構造を有し、組成式LiMO2(ただし、MはLi以外の金属であり、Mの90モル%以上が遷移金属である)で表される場合、正極および負極が有するLiの合計のモル量Mtに対する、正極が完全放電状態で有するLiのモル量Mpのモル比:Mp/Mtは、1.0であってもよいし、1.0未満であってもよい。
[セパレータ]
セパレータには、イオン透過性および絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートとしては、例えば、微多孔を有する薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質は、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体等のオレフィン樹脂、セルロース等であってもよい。セパレータは、多孔性シートの積層体であってもよい。例えば、セパレータは、セルロース繊維により形成される不織布と熱可塑性樹脂繊維により形成される不織布との積層体であってもよく、ポリエチレン薄膜とポリプロピレン薄膜との積層体であってもよい。セパレータの表面には、ポリアミド樹脂が塗布されていてもよい。これにより、セパレータの耐久性の向上が期待できる。セパレータと正極との界面および/またはセパレータと負極との界面には、無機フィラーを含む耐熱層が形成されていてもよい。
[リチウム金属二次電池]
以下、本実施形態に係るリチウム金属二次電池の構成を、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施形態の一例であるリチウム金属二次電池10の縦断面図である。図5は、本実施形態に係る電極群の正極側の構成を示す断面図である。より詳細には、図5は、図4の破線Vで囲まれる領域を示している。図6は、本実施形態に係る電極群の負極側の構成を示す断面図である。より詳細には、図4の破線VIで囲まれる領域を示している。なお、本実施形態の正極11、負極12、セパレータ13および非水電解質として、上述した実施形態1の正極1、負極2、セパレータ3および非水電解質を用いることができる。この場合、実施形態1の正極集電体1aの2つの表面のそれぞれに正極合剤層1bおよびセパレータ3を配置したものが、図5の構成に対応し、実施形態1の負極集電体2aの2つの表面のそれぞれにリチウム金属2bおよびセパレータ3を配置したものが、図6の構成に対応する。
本実施形態においては、充電時に負極12の負極集電体12a上にリチウム金属12bが析出し、放電時にリチウム金属12bが非水電解質(図示せず)に溶解する。
リチウム金属二次電池10は、金属製の電池ケースを備える円筒形電池である。電池ケースは、ケース本体15および封口体16によって構成される。電池ケースには、電極群14と非水電解質とが収容される。ケース本体15と封口体16の間にはガスケット27が配置されており、電池ケース内の密閉性が確保されている。
ケース本体15は、有底円筒形状の金属製容器である。ケース本体15は、例えば、その側面部を外側からプレスして形成された段部21を有する。段部21は、ケース本体15の周方向に沿って環状に形成されていてもよい。この場合、段部21の上面で封口体16が支持される。
封口体16は、フィルタ22、下弁体23、絶縁部材24、上弁体25およびキャップ26が、この順で積層されることにより形成されている。各部材は、例えば円板形状またはリング形状である。下弁体23と上弁体25とは、各々の中央部で互いに接続されるとともに、各々の周縁部の間には絶縁部材24が介在している。フィルタ22と下弁体23とは、各々の周縁部で互いに接続している。上弁体25とキャップ26とは、各々の周縁部で互いに接続している。つまり、絶縁部材24を除く各部材は、互いに電気的に接続している。
下弁体23には、図示しない通気孔が形成されている。そのため、異常発熱等により電池ケースの内圧が上昇すると、上弁体25がキャップ26側に膨れて、下弁体23から離間する。これにより、下弁体23と上弁体25との電気的接続が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体25が破断し、キャップ26に形成された図示しない開口部からガスが排出される。
電極群14は、正極11と負極12とセパレータ13とを有している。正極11および負極12は、セパレータ13を介して渦巻状に捲回されている。電極群14を構成する正極11、負極12およびセパレータ13は、いずれも帯状に形成されている。電極群14において、正極11と負極12とは、電極群14の径方向に交互に積層されている。つまり、各電極の長手方向が捲回方向であり、各電極の幅方向が軸方向である。電極群14の軸方向の両端部には、絶縁板17、18がそれぞれ配置される。
正極11は、正極集電体11aおよび正極合剤層11bを備え(図5参照)、正極リード19を介して正極端子の役割を果たすキャップ26と電気的に接続している。正極リード19の一端は、例えば、正極11の長手方向の中央付近に接続されている。正極11から延出した正極リード19は、絶縁板17に形成された図示しない貫通孔を通って、フィルタ22まで延びている。正極リード19の他端は、フィルタ22の電極群14側の面に溶接されている。負極12は、負極集電体12aと、リチウム金属12bを備え(図6参照)、負極リード20を介して負極端子の役割を果たすケース本体15と電気的に接続している。負極リード20の一端は、例えば、負極12の長手方向の端部に接続されており、他端は、ケース本体15の底部内面に溶接されている。
以下、本開示を実施例に基づいて、更に具体的に説明する。ただし、以下の実施例は本開示を限定するものではない。なお、本実施例では、図4に示すような構造の円筒型リチウム金属二次電池を検証するにあたり、断面が円形の捲回型電極群をラミネート封止した電池を用いた。
[実施例1]
(1)正極の作製
Li、Ni、CoおよびAlを含有するリチウム含有遷移金属酸化物(NCA:正極活物質の一例)と、アセチレンブラック(AB:導電材の一例)と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF:結着材の一例)とを、NCA:AB:PVdF=95:2.5:2.5の質量比で混合し、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を適量加えて撹拌して、正極合剤スラリーを調製した。次に、得られた正極合剤スラリーをアルミニウム箔(正極集電体の一例)の両面に塗布した後、乾燥して、ローラーを用いて正極合剤の塗膜を圧延し、正極集電体の両面に正極合剤層を備える正極を作製した。
ここでは、満充電状態から完全放電状態まで放電させるときに得られる放電容量が、単位面積あたり5mAh/cmとなるように、正極活物質の量を調整した。すなわち、正極の単位面積あたりの設計容量を5mAh/cmとした。リチウム金属の理論容量3860mAh/gおよび密度0.534g/cmを用いて、負極に析出するリチウム金属の理論上の厚さであるXを正極の単位面積あたりの設計容量から算出すると、24.3μmであった。
作製した正極を露点−40℃以下の雰囲気下でセパレータを解して電解銅箔と対向させ、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とを、EC:DMC=3:7の容積比で混合した溶媒にLiPFを1モル/L濃度で溶解させた電解液の浴槽に浸漬した。次に、正極と電解銅箔間に定電流負荷を所定時間通電し、電解銅箔上にリチウム金属を析出させ、正極から正極の設計容量の70%のリチウムを脱離させた。その後リチウムを脱離させた正極を電解液の浴槽から取り出し、DMCで洗浄、乾燥し、所定の電極サイズに切断して正極を得た。
(2)負極の作製
厚さ25μmに圧延したリチウム金属を電解銅箔の両面に転写し、所定の電極サイズに切断して、負極を得た。
(3)非水電解質の調製
EC:DMC=3:7の容積比で混合した溶媒に、LiPFを1モル/L濃度、LiBF(C)を0.1モル/L濃度となるようにそれぞれ溶解させて、液体の非水電解質(すなわち、非水電解液)を調製した。
(4)電池の作製
正極にAl製のタブを取り付け、負極にNi製のタブを取り付けた。不活性ガス雰囲気中で、正極と負極とをポリエチレン薄膜(セパレータの一例)を介して断面が円形になるように捲回して電極群を作製した。得られた電極群を、Al層を備えるラミネートシートで形成される袋状の外装体に収容し、電極群を収容した外装体に非水電解質を注入した後、外装体を封止してリチウム金属二次電池A1を作製した。得られたリチウム金属二次電池を完全放電させ、上部からのX線CT測定を行った。完全放電時の仮想空間の厚さYは21.0μmであった。前記(1)のリチウム金属の厚さXをYで除した値:X/Yは1.16であった。
[実施例2]
正極の作製において、リチウムの脱離量を正極の設計容量の80%とした以外は、実施例1と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A2を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは21.9μmであった。また、X/Yは1.11であった。
[実施例3]
正極の作製において、リチウムの脱離量を正極の設計容量の90%とした以外は、実施例1と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A3を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは23.1μmであった。また、X/Yは1.05であった。
[実施例4]
正極の作製において、リチウムの脱離量を正極の設計容量の100%とした以外は、実施例1と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A4を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは24.0μmであった。また、X/Yは1.01であった。
[実施例5]
負極の作製において、リチウム金属を厚さ50μmとした以外は、実施例1(リチウム脱離量70%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A5を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは20.5μmであった。また、X/Yは1.19であった。
[実施例6]
負極の作製において、リチウム金属を厚さ50μmとした以外は、実施例2(リチウム脱離量80%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A6を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは22.1μmであった。また、X/Yは1.10であった。
[実施例7]
負極の作製において、リチウム金属を厚さ50μmとした以外は、実施例3(リチウム脱離量90%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A7を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは22.9μmであった。また、X/Yは1.06であった。
[実施例8]
負極の作製において、リチウム金属を厚さ50μmとした以外は、実施例4(リチウム脱離量100%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A8を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは23.9μmであった。また、X/Yは1.02であった。
[実施例9]
負極の作製において、リチウム金属を厚さ20μmとした以外は、実施例4(リチウム脱離量100%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A9を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは21.0μm、X/Yは1.16であった。
[比較例1]
正極の作製においてリチウムの脱離量を正極の設計容量の60%とした以外は、実施例1と同様の方法にて、リチウム金属二次電池B1を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは19.4μmであった。また、X/Yは1.25であった。
[比較例2]
正極の作製においてリチウムの脱離量を正極の設計容量の50%とした以外は、実施例1と同様の方法にて、リチウム金属二次電池B2を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは18.2μmであった。また、X/Yは1.33であった。
[比較例3]
正極の作製において、リチウムの脱離量を正極の設計容量の60%とした以外は、実施例5と同様の方法にて、リチウム金属二次電池B3を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは19.1μmであった。また、X/Yは1.27であった。
[比較例4]
正極の作製において、リチウムの脱離量を正極の設計容量の50%とした以外は、実施例5と同様の方法にて、リチウム金属二次電池B4を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは17.5μmであった。また、X/Yは1.39であった。
[実施例10]
正極の作製において、正極の単位面積あたりの設計容量が3.6mAh/cmとなるように、正極活物質の量を調整した以外は、実施例1(リチウム脱離量70%)と同様の方法にて、リチウム金属二次電池A10を作製した。
完全放電時の仮想空間の厚さYは15.1μmであった。また、X/Yは1.16であった。なお、リチウム金属の理論容量3860mAh/gおよび密度0.534g/cmを用いて、負極に析出するリチウム金属の理論上の厚さXを正極の単位面積あたりの設計容量から算出すると、17.5μmであった。
[実施例11]
正極の作製において、リチウム脱離量を正極の設計容量の80%とした以外は、実施例10と同様(正極の単位面積あたりの設計容量3.6mAh/cm)の方法にて、リチウム金属二次電池A11を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは16.2μmであった。また、X/Yは1.08であった。
[実施例12]
正極の作製において、リチウム脱離量を正極の設計容量の90%とした以外は、実施例10と同様(正極の単位面積あたりの設計容量3.6mAh/cm)の方法にて、リチウム金属二次電池A12を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは17.1μmであった。また、X/Yは1.02であった。
[実施例13]
正極の作製において、リチウム脱離量を正極の設計容量の100%とした以外は、実施例10と同様(正極の単位面積あたりの設計容量3.6mAh/cm)の方法にて、リチウム金属二次電池A13を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは17.3μmであった。また、X/Yは1.01であった。
[比較例5]
正極の作製において、リチウム脱離量を正極の設計容量の60%とした以外は、実施例10と同様(正極の単位面積あたりの設計容量3.6mAh/cm)の方法にて、リチウム金属二次電池B5を作製した。完全放電時の仮想空間の厚さYは14.3μmであった。また、X/Yは1.22であった。
[評価]
実施例1から13および比較例1から5にて得られた各電池について充放電試験を行い、充放電特性を評価した。充放電試験では、25℃の恒温槽内において、以下の条件で電池の充電を行った後、20分間休止して、以下の条件で放電を行った。
(充電)
電極の単位平方センチメートルあたり10mAの電流で電池電圧が4.3Vになるまで定電流充電を行い、その後、4.3Vで電極の単位平方センチメートルあたり電流値が1mAになるまで定電圧充電を行った。
(放電)
電極の単位平方センチメートルあたり10mAの電流で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行った。上記充電および放電を1サイクルとし、20サイクルの充放電試験を行った。
20サイクル目の放電容量を、1サイクル目の放電容量で割った値を容量維持率(%)とした。また、電池B1からB5について電池が内部短絡するまでのサイクル数を確認した。実施例1から9および比較例1から4の結果を表1に示し、実施例10から13および比較例5の結果を表2に示す。
Figure 2019192628
表1に示すように、比較例1〜4の電池(B1〜B4)は、20サイクルまでに短絡したのに対して、実施例1〜9の電池(A1〜A9)は、20サイクルの間に短絡することはなく、20サイクル目の容量維持率は全て90%を超えていた。実施例9の電池(A9)では、負極のリチウム金属の厚さが20μmであり、リチウム金属の析出厚さXより薄いため、正極の設計容量Cpに対する負極の設計容量Cnの比:C/Cが1より小さいことが推認される。これにより、A9は、20サイクル目の容量維持率が他の実施例の電池(A1〜A8)と比較して低下したと考えられる。
以上の結果から、1.00≦X/Y<1.20とすることで短絡を起こすことなく優れたサイクル特性が得られることが分かる。
Figure 2019192628
表2に示すように、実施例10〜13の電池(A10〜A13)は、20サイクルの間に短絡することはなく、20サイクル目の容量維持率は全て98%を超えていた。一方、比較例5の電池(B5)は、8サイクルで短絡を起こした。
以上の結果から、実施例1から9に比べてY値が小さい場合でも、1.00≦X/Y<1.20とすることで短絡を起こすことなく、優れたサイクル特性が得られることが分かる。
本開示のリチウム金属二次電池は、電池容量が大きくサイクル特性に優れるため、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末のような電子機器、ハイブリッド、プラグインハイブリッドを含む電気自動車、太陽電池と組み合わせた家庭用蓄電池などに用いることができる。
1 正極
2 負極
2a 負極集電体
2b リチウム金属
3 セパレータ
4 空間
10 リチウム金属二次電池
11 正極
12 負極
13 セパレータ
14 電極群
15 ケース本体
16 封口体
17、18 絶縁板
19 正極リード
20 負極リード
21 段部
22 フィルタ
23 下弁体
24 絶縁部材
25 上弁体
26 キャップ
27 ガスケット
30 正極集電体
31 正極合剤層
32 負極集電体
33 リチウム金属

Claims (4)

  1. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置されたセパレータと、非水電解質と、を備え、
    前記正極は、放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含み、
    前記負極は、前記充電時にリチウム金属が析出し、前記放電時にリチウム金属が溶解する反応を行い、
    前記正極と前記負極とが前記セパレータを介して対向した状態で捲回されて電極群を構成しており、
    前記電極群は、完全放電時において前記電極群内に前記非水電解質の少なくとも一部を収容する空間が存在するように構成され、
    前記正極の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属の厚さをX、前記空間が前記負極と前記セパレータとの間のみに形成されると仮定した際の前記空間の仮想的な厚さをYとしたとき、
    1.00≦ X/Y < 1.20
    を満たす、リチウム金属二次電池。
  2. 前記正極活物質は、層状岩塩型構造、スピネル型構造、およびオリビン型構造よりなる群から選択される少なくとも1つの結晶構造を有する、請求項1に記載のリチウム金属二次電池。
  3. 前記正極の設計容量Cに対する前記負極の設計容量Cの比:C/Cが、
    1.0<C/C<4.0
    である、請求項1または2に記載のリチウム金属二次電池。
  4. リチウム金属二次電池の製造方法であって、
    放電時にリチウムイオンの挿入反応を行い、充電時にリチウムイオンの脱離反応を行う正極活物質を含み、かつリチウムイオンが脱離した状態の正極を準備する工程と、
    リチウム金属を含む負極を準備する工程と、
    前記正極と前記負極とをセパレータを介して対向した状態で捲回して電極群を構成する工程と、
    前記構成された電極群を外装体に収容し、前記電極群を収容した前記外装体に電解液を注入して電池を組み立てる工程と、
    を含み、
    前記電極群は、完全放電時に前記電極群内に前記非水電解質の少なくとも一部を収容する空間が存在するように構成され、
    前記正極の単位面積あたりの設計容量から算出されるリチウム金属の厚さをX、前記空間が前記負極と前記セパレータとの間のみに形成されると仮定した際の前記空間の仮想的な厚さをYとしたとき、
    1.00≦ X/Y < 1.20
    を満たすように、前記正極から脱離させるリチウムイオンと、前記負極に含ませるリチウム金属の量を制御する、リチウム金属二次電池の製造方法。

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