JP2019190977A - マイクロチップおよびマイクロチップ測定システムおよび測定方法 - Google Patents

マイクロチップおよびマイクロチップ測定システムおよび測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、抗体を固定した電極、洗浄溶液および測定溶液を内蔵することで、手動操作で洗浄処理を含めた抗原抗体反応を簡便に測定できる試薬内臓型マイクロチップを提供し、さらには該マイクロチップを既存の小型測定装置と組み合わせ可能とした携帯型マイクロチップ測定システムを提供することを目的とする。【解決手段】 本発明は、被験物質測定用のマイクロチップ1において、試薬反応部位111を有する電極11と、洗浄溶液および測定溶液の保持ならびに試薬反応部位111への送液を行う送液部12と、洗浄溶液および測定溶液を吸収することで送液を促す吸液部13と、送液部12と試薬反応部位111と吸収部13とを連結する流路14とを有するマイクロチップ1。【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナノ粒子の酸化還元反応を電気化学的に測定し、簡易迅速に被験物質の定量を行うためのマイクロチップ、マイクロチップ測定システムおよび測定方法に関する。
臨床、創薬および食品科学などの分野で、RNA(リボ核酸)やDNA(デオキシリボ核酸)等の核酸、抗原や抗体や酵素等のタンパク質、ウィルスや細胞等の生体物質、ならびに化学物質を簡便に測定(検出及び/又は定量)する目的で、免疫化学測定法による様々なマイクロチップ(バイオチップやマイクロ化学チップ等とも称する。)が提案されている。
免疫化学測定法とは、抗原抗体反応を利用して被験物質を検出する測定方法であり、試験溶液中の微量物質を簡便かつ高感度に測定する方法の1つとして知られる。免疫化学測定法には、酵素で標識した抗体を用いて酵素反応に由来する発色や発光等の信号を得ることで被験物質の検知や濃度測定を行うELISA法(酵素免疫測定法)が広く知られている。また発色標識や蛍光標識などの標識物質を用いるとともにこの標識物質を電気化学的手法により検出することで被験物質の検知や濃度測定を行う電気化学的測定法が知られ、ELISA法に比べて測定機器の小型化や検出感度の向上が期待されている。
マイクロチップとは、典型的には掌に収まる程度の大きさで、一対のマイクロチップ基板が対向して接着された構造であり、該一対のマイクロチップ内部には様々な領域が機能的に集積された流体回路が形成されている。流体回路の各領域としては、検査対象の検体(血液等)を注入する注入領域、検体を検査または分析するための検査試薬を保持するための試薬保持領域、該検査試薬と検体を混合して反応させる反応領域、該混合液を検査または分析して検体中の被験物質を検出する検出領域、使用済みの検体や検査試薬を排出する排出領域などがある他、マイクロチップ内部にはこれら各部位を接続する微細な流路(例えば幅・深さが10〜数100μm程度)などが設けられている。
近年、高齢化に伴い増加する在宅医療の現場において、誰もが検体中の被験物質を迅速簡便かつ安全に定量することができる、小型かつ安価な免疫化学測定用マイクロチップおよび該マイクロチップ測定システム(例えば測定キット)が求められている。
従来技術では、このような免疫化学測定法によるマイクロチップおよびマイクロチップ測定システムとして次のものが開示されている。
特許文献1のバイオアッセイ用マイクロチップは、「測定物質を含んだ液体試料が流下する流体流路10と、流体流路10に液体試料を分析する分析部20とを設けたマイクロチップ本体Aを有するバイオアッセイ用マイクロチップXであって、マイクロチップ本体Aに挿入可能であり、測定物質と反応する反応性物質を分析部20に封入するプラグ部材30を備える(要約参照)」。
特許文献2のバイオチップは、「被験物質と、標識化合物が抗体部分に結合した標識抗体とを混合するための混合槽と、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、前記被験物質を検出する検出部とを含むバイオチップであって、前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離されてなり、前記標識抗体は、前記標識化合物と1:1〜1:n(nは整数)で結合するF(ab)’フラグメントからなり、前記抗イディオタイプ抗体は、前記被験物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体に対する抗体であるバイオチップ(要約参照)」である。
特開2007−263706号公報 特開2007−064827号公報 特許第5187759号公報
しかしながら高感度免疫化学測定法に必須な洗浄操作を簡便に行うことのできる試薬内臓型のマイクロチップは未だ実用化されていない。
特許文献1では、注入部1と排出部2とを有し(段落0025,0026)、注入部から液体試料等の液体や洗浄用バッファーを注入して排出部から排出する(段落0021,0049)。この場合、測定時に使用者が洗浄溶液や測定溶液を外部から注入する必要があるため操作が煩雑になりやすい。またマイクロチップは流路が複雑化しやすく簡便な流路が求められていた。
特許文献2では、未反応の標識抗体を固定手段に担持された抗イディオタイプ抗体で捕捉することで検出部への移行を防ぎ、一方、標識抗体と結合した被験物質は抗イディオタイプ抗体に捕捉されず検出部に移動する(段落0039)。これにより洗浄工程を省略することができるが、洗浄工程を省略するための手段として抗イディオタイプ抗体(別の抗体の抗原認識部位(相補性決定領域)に対する抗体)を必要とする。また特許文献2に記載されるようなマイクロチップは、典型的には適切な方向の遠心力を印加することにより、検体と試薬との混合や、得られた混合液の検出部への移行等を行なうものであり、このようなマイクロチップは、遠心力を印加可能な装置に載置して使用する必要がある。
そこで本発明の目的は、抗体を固定した電極、洗浄溶液および測定溶液を内蔵することで、高感度免疫化学測定に必須な洗浄操作を簡便に行うことのできる試薬内臓型のマイクロチップを提供することにある。そして、指で圧すという手動操作で洗浄処理を含めた抗原抗体反応を測定できるチップを提供することにある。また該マイクロチップを既存の小型測定装置と組み合わせ可能として、在宅医療等の現場において患者のベッドサイドで使用可能な小型、軽量および低コストの携帯型マイクロチップ測定システムを提供することにある。
ところで本願発明者は、特許文献3においてGLIEA法(Gold−Linked Electrochemical Immuno−Assay)による免疫化学測定を開示している。GLIEA法は、作用極に一次抗体を固定して、被験物質である抗原と、金ナノ粒子(40〜60nm)標識した二次抗体とでサンドイッチを形成させ、酸性溶液中で電圧をかけて金ナノ粒子を酸化させ、微分パルスボルタンメトリを用いて金の還元電流を測定することにより、被験物質を定量する方法である。
本願発明者は、GLIEA法をマイクロチップに適用することで、洗浄と測定を同一の溶液で行うことが可能となり、上記問題を解決できる試薬内蔵型のマイクロチップを提供できることを見出した。
本発明のマイクロチップは、被験物質測定用のマイクロチップにおいて、試薬反応部位を有する電極と、洗浄溶液および測定溶液の保持ならびに前記試薬反応部位への送液を行う送液部と、前記洗浄溶液および前記測定溶液を吸収することで前記送液を促す吸液部と、前記送液部と前記試薬反応部位と前記吸収部とを連結する流路を有することを特徴とする。
本発明において「洗浄溶液」とは、電極を洗浄するための溶液のことである。例えば、抗原抗体反応後に残存した抗体を洗い流す溶液を含む。
本発明において「測定溶液」とは、電極の電位制御及び電気化学測定の際に用いる溶液のことである。
本発明において「試薬反応部位」とは、試薬が反応して抗原抗体反応や酸化還元反応が発生する場所である。より具体的にはこれらの化学反応の場である電極が露出した領域のことである。試薬反応部位には試薬を適用(アプライ)するための供給穴があり、対極、参照極および作用極が外部に露出している。
本発明によれば、電極が試薬反応部位を有する場合、供給穴がなく試薬反応部位を有さない場合と比較すると、被験物質の測定精度が向上する。
本発明によれば、抗体を固定した電極、洗浄溶液および測定溶液を内蔵することで、高感度免疫化学測定に必須な洗浄操作を簡便に行うことができる。
また試薬反応部位の容量は一定であるところ、洗浄溶液によって洗浄をして測定溶液中で測定を行うには、洗浄溶液および測定溶液を試薬反応部位の容量以上に送液する必要がある。本発明によれば、洗浄溶液や測定溶液を吸収する吸液部を有するため使用済みまたは過剰な洗浄溶液や測定溶液を逃がすスペースが生まれ、新たな洗浄溶液や測定溶液を試薬反応部位へ円滑に送液することができる。
本発明のマイクロチップは、前記マイクロチップが免疫化学測定用のマイクロチップであって、金属ナノ粒子の酸化還元反応を電気化学的に測定することで前記被験物質の測定を行うものであることを特徴とする。
本発明によれば、高感度な免疫化学測定を行うことができ、微量な被験物質を定量することが可能となる。
また本発明によれば、このアッセイにより測定を行うことで、電極の電位制御および電気化学測定の際に用いられる測定溶液を、塩素を含む中性溶液とすることが可能となる。したがって該測定溶液を、電極を洗浄するための洗浄溶液と同一の溶液(例えば塩素を含む中性溶液)とすることができる。
本発明のマイクロチップは、前記洗浄溶液および前記測定溶液が、同一の溶液であることを特徴とする。すなわち、測定溶液は、電極を洗浄するための洗浄溶液を兼ねる。
本発明によれば、電極の電位制御および電気化学測定の際に用いられる測定溶液が、電極を洗浄するための洗浄溶液を兼ねており、同一の溶液であるため、マイクロチップをより小型化することが可能となる。
本発明のマイクロチップは、前記洗浄溶液および前記測定溶液が、塩素を含む中性溶液であることを特徴とする。
本発明のマイクロチップは、前記洗浄溶液および前記測定溶液が、同一の塩化ナトリウム溶液であることを特徴とする。
本発明によれば金属ナノ粒子の酸化還元反応を電気化学的に測定することで前記被験物質の測定を行う方法とした上で、洗浄溶液と測定溶液として塩素を含む溶液を用いると、大きな電流変化量が得られ、高感度な測定が可能となる。また測定中、低電位側における還元ピークの裾が平坦となるとともに、ノイズ発生を抑えることができ、還元ピーク強度検出が簡便となる。塩素を含む溶液としては例えば塩化ナトリウム溶液や塩化カリウムや塩化リチウムなどがあるが、これらに限定されない。
本発明によれば、前記洗浄溶液および前記測定溶液として中性溶液を使用することで、酸性溶液やアルカリ溶液を使用する場合と比較して、安全かつ簡便に測定を行うことができ、低コスト化が可能となる。
本発明によれば、前記洗浄溶液および前記測定溶液として同一の塩化ナトリウム溶液を使用することで、異なる濃度の塩化ナトリウム溶液を使用する場合や、塩化ナトリウム溶液以外の塩素を含む中性溶液(例えば塩化カリウムや塩化リチウム)を使用する場合と比較しても、さらに安全かつ簡便に測定を行うことができ、低コスト化が可能となる。
本発明のマイクロチップは、前記送液部が軟性素材からなることを特徴とする。
本発明によれば、送液部を軟性素材とすることで送液部に保持されている洗浄溶液および測定溶液の押圧が容易になり試薬反応部位や吸液部への送液が円滑に行われる。
本発明によれば、軟性素材の仕様により、指で押圧して送液でき、複雑または高価なポンプの組み込みまたは使用が不要となる。
本発明のマイクロチップは、前記吸液部が吸水性素材を有することを特徴とする。
本発明によれば、前記吸液部が吸水性素材であることで洗浄溶液や測定溶液の吸収が容易となり吸引力が生じるため、より速く送液することが可能となる。加えて使用済みまたは過剰な洗浄溶液や測定溶液をより多く保持することが可能となり、より多く送液することが可能となる。したがって新たな洗浄溶液や測定溶液を試薬反応部位へより円滑に送液することができる。
本発明のマイクロチップは、前記流路は、前記試薬反応部位と前記送液部とを連結する送液流路と、前記試薬反応部位と前記吸液部とを連結する吸液流路とを有し、前記送液流路が逆止弁を有することを特徴とする。
本発明によれば、送液流路が逆止弁を有することで送液が容易になる。送液部が軟性素材からなり、軟性素材を指先で押圧をすることで洗浄溶液や測定溶液を試薬反応部位や吸収部方向へ向けて送液する場合、押圧を終えて指を離すと軟性素材には復元力が生じ元の状態に戻ろうとする。すると密閉された空間では送液方向とは逆向き(吸収部や試薬反応部位から送液部へ向かう方向)に吸引力が生じるため、洗浄溶液や測定溶液が元の送液部に戻る事態が生じる。そこで本発明では送液流路に逆止弁を配することでこのような事態が防止され送液が容易となる。
本発明のマイクロチップ測定システムは、請求項1から7のいずれか一項記載のマイクロチップと、前記マイクロチップを装着する測定用治具と、前記電極に接続し電圧をかけることで金属ナノ粒子を酸化させるとともに微分パルスボルタンメトリにより前記金属ナノ粒子の還元電流を測定する測定機器とを有することを特徴とする。
本発明によれば、本発明のマイクロチップは既存の小型測定装置と組み合わせ可能であり、在宅医療等の現場において患者のベッドサイドで使用可能な小型、軽量および低コストの携帯型マイクロチップ測定システムを提供できる。
本発明の測定方法は、マイクロチップを用いた被検物質の測定方法において、前記マイクロチップに内蔵されるとともに洗浄測定溶液が入った送液部を指で圧して前記洗浄測定溶液を電極上に送液することで、前記被検物質と結合していない標識抗体を前記電極上から流し出すとともに、前記電極上の前記洗浄測定溶液を測定溶液として使用することを特徴とする。
本発明において、前記洗浄溶液および前記測定溶液が、同一の溶液である場合、該同一の溶液を「洗浄測定溶液」とする。
本発明のマイクロチップを用いたGLEIA法による被検物質の測定方法によれば、反応は15分以内、測定は1分程度で、サンプル調整から測定終了まで20分以内で完了する。感度は測定対象物のELISA測定と同等以上であり、チップは冷蔵または室温保存可能であり、抗体や試薬の活性は少なくとも1年は維持可能である。
本発明によれば、抗体を固定した電極、洗浄溶液および測定溶液を内蔵することで、高感度免疫化学測定に必須な洗浄操作を簡便に行うことのできる試薬内臓型のマイクロチップを提供できる。また手動で洗浄溶液および測定溶液を流して簡便迅速にGLEIA法による測定を行うことができ、かつ抗体を変えることによりサンドイッチ法で測定できる様々なバイオマーカーを測定することができる。また本発明のマイクロチップは既存の小型測定装置と組み合わせ可能であり、在宅医療等の現場において患者のベッドサイドで使用可能な小型、軽量および低コストの携帯型マイクロチップ測定システムを提供できる。該マイクロチップおよびマイクロチップ測定システムはIоT機器と併用することでより的確な診断や療養指導が可能となる。
本発明の第1の実施形態のマイクロチップ測定システムの概略図である。 上記実施形態のマイクロチップの概略平面図である。 上記実施形態のマイクロチップの概略断面図である。 上記実施形態のマイクロチップの概略断面図である。 上記実施形態の電極の概略平面図である。 上記実施形態のマイクロチップを用いた測定方法のステップ図である。 本発明の第2の実施形態のマイクロチップの概略平面図である。 上記実施形態のマイクロチップの概略断面図である。 実施例において本発明のマイクロチップを用いた場合の検量線である。 上記実施例においてGLEIA電極のみを用いた場合の検量線である。 上記実施例において本発明のマイクロチップを用いた場合の結果と、従来の高感度ELISAを用いた場合の結果の相関性を説明するためのグラフである。 上記実施例においてGLEIA電極のみを用いた場合の結果と、従来の高感度ELISAを用いた場合の結果の相関性を説明するためのグラフである。
以下、本発明を適用したマイクロチップ1およびマイクロチップ測定システムS、ならびにマイクロチップ1を用いた測定方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態のマイクロチップ測定システムSの概略図である。
本実施の形態のマイクロチップ測定システムSは、被験物質測定用のマイクロチップ1と、マイクロチップ1を装着する測定用治具2と、電極11に接続し電圧をかけることで金属ナノ粒子を酸化させるとともに微分パルスボルタンメトリにより金属ナノ粒子の還元電流を測定する測定機器3と、測定用のタッチパネルディスプレイ4とを有する(図1)。
マイクロチップ1は、GLEIA法(Gold−Linked Electrochemical Immuno−Assay Method)と呼ばれる、免疫化学測定方法用のマイクロチップである。GLEIA法は、後述する金属ナノ粒子の酸化還元反応を電気化学的に測定することで被験物質の測定を行う方法である。
測定用治具2は、マイクロチップ1を固定するための固定台として使用される。測定用治具2には、マイクロチップ1の固定位置を決めるために、4.5×9cmサイズのチップが収まる窪みがある。測定用治具2は所定の蓋体により蓋をすることができ、ポテンショスタット等の測定機器3に接続された3本のピン31を電極11の下端のリード線32にそれぞれ接するようにセットすることができる。マイクロチップ1を測定用治具2に固定した後、測定用治具2を測定機器3にセットして測定を行う。
測定機器3は、電流値を測定するために使用される。本実施の形態では、酸化した金属微粒子を電気化学的に還元させて、金属微粒子が還元する際に生じる電流値を、測定機器3を用いて測定し、ピーク電流値に基づいて被検物質の有無又は濃度を調べる。
測定機器3としては、電極11間(後述する作用極と対極の間)を流れる電流を測定する装置であれば、特に限定はされず、例えばポテンショスタットが用いられる。ポテンショスタットとしては、USBケーブル33を用いてタッチパネルディスプレイ4等のタブレット機器に接続できる、小型ポテンショスタット(バイオデバイステクノロジー社製:miniSTAT100)が好適である。小型ポテンショスタットを用いることによりマイクロチップ測定システムSが小型化され携帯が容易となる。
測定機器3に備わる測定用ソフトウェアは、微分パルスボルタンメトリ(DPV)の測定モードが使用され、金属ナノ粒子の還元電流を測定する。測定されたピーク電流値(測定ピークの高さ)と、内蔵する検量線に基づいて、被験物質の濃度を計算して表示する。なお、検量線を校正する、または新規の検量線を自分で作成するメンテナンスモードを備えていてもよい。
タッチパネルディスプレイ4は、測定機器3の測定用ソフトウェアを表示して操作を行うために使用される。タッチパネルディスプレイ4は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを有する。表示パネルは、測定機器3によって制御された、測定条件、測定状態および各種処理の状態に関する情報等をユーザに提供する。なおタッチパネルディスプレイ4は、ユーザに対して対話的な操作インターフェイスを提供してもよい。この対話的な操作インターフェイスは、測定機器の動作に関する指示をユーザからタッチパネルを介して受付け、その指示の内容を表示パネルに表示するとともに、測定機器3に対してその指示を出力する。
図2は本実施形態のマイクロチップ1の概略平面図である。図3は、図2で示したマイクロチップ1のAA’断面矢視図である。図4は、図2で示したマイクロチップ1のBB’断面矢視図である。図5は、電極11の詳細な構成を説明するための要部拡大図である。以下、マイクロチップ1を詳細に説明する。
マイクロチップ1は、試薬反応部位111を有する電極11と、洗浄溶液および測定溶液の保持ならびに洗浄溶液および測定溶液の試薬反応部位111への送液を行う送液部12と、洗浄溶液および測定溶液を吸収することで送液を促す吸液部13と、送液部12と試薬反応部位111と吸収部13とを連結する流路14を有する(図2)。
本実施の形態において、洗浄溶液と測定溶液とは同一の溶液(洗浄測定溶液)であり、予め送液部12中に納められている。すなわち、送液部12は、洗浄測定溶液の保持ならびに洗浄測定溶液の試薬反応部位111への送液を行うものである。洗浄溶液と測定溶液とが同一の溶液(洗浄測定溶液)であることで、マイクロチップ1が小型化でき、操作も簡便になる。
マイクロチップ1は、サイズ縦4.5cm×横9cm以内の透明基板1aとカバー用の透明フィルム1cとが重なり合わされてなる、バイオマーカー定量用ディスポーザブルチップである(図3)。より詳細には、マイクロチップ1は、透明基板1aの中央近傍に位置した溝1bに、一次抗体を固定化した電極11(DEP−Chip)が納められ、全体が透明フィルム1cでカバーされた、GLEIA法用チップである。電極11は基板15上に印刷されており、基板15によって溝1bによって生じる隙間が埋められた状態にされて、電極が溝1bに納められる(図2〜4)。
電極11は3つの部材が縦長に配された構成である(図5)。図5において、左側に配されて試薬反応部位111において一部円弧形状となった部材が対極11a、中央に配された部材が参照極11b、右側に配されて試薬反応部位111において円形状となった部材が作用極11cである。電極11は、上部の露出領域が試薬反応部位111となっており、下部の露出領域がリード線32に連結する接続部112となっている(図1,2,5)。
試薬反応部位111は、GLEIA法による化学反応(抗原抗体反応、酸化還元反応等)が発生する場所であり、対極11aの上部と、参照極11bの上部と、作用極11cの上部とが外部に露出している(図5)。フィルム1cには、抗体固定化部分である作用極11cの表面を露出させて試薬を供給するための直径4mm程度の供給穴1dがある(図2,3)。
接続部112では、対極11aの下部と、参照極11bの下部と、作用極11cの下部とが外部に露出している(図5)。フィルム1cの接続部112には、これら11a,11b,11cを露出させる接続用の穴1eが形成されており、測定機器3に連結するリード線32を接続用の穴1eに挿入することで、3本のリード線32と、接続部112の対極11a、参照極11bおよび作用極11cとを各々対応させて接続する(図2)。
なお測定機器3であるポテンショスタットは、参照極11bには電流を流さないようにする仕組みとなっており、参照極11bの電位を基準として作用極11cの電位を規制することで、作用極11cの電位を参照極11bに対して一定にして、作用極11cと対極11b間を流れる電流を正確に測定する。
マイクロチップ1の円形の送液部12は、例えば弾力性のあるシリコンゴム等の軟性素材からなり、マイクロチップに内蔵されている(図2)。送液部12は、内部に1mL以下の洗浄測定溶液(洗浄溶液と測定溶液とを兼ねる溶液)を満たした試薬槽となっており、洗浄測定溶液をマイクロチップ内に留め置いて保持する試薬槽としての機能を有する。また送液部12は、送液部12の表面がシリコンゴム製となっており、送液部12中の洗浄測定溶液を押し出すことが可能であり、洗浄測定溶液を試薬反応部位111へ送液する送液機能とを有する。このように、本発明のマイクロチップ1は、試薬槽内蔵型のマイクロチップであり、該試薬槽は、内部に保持している試薬を送液する機能を有するため、本発明では送液部12と呼ばれる。
送液部12の表面のシリコンゴムは水蒸気を通すため、このままでは蒸散を抑制することができない。そのためマイクロチップ1の表面に薄いポリカーボネートの保護板を貼り、全体をラップ包装して、これらを使用時に剥がす。このようにすることで蒸散を抑え、持ち運び時の液漏や破損を防ぐことができる。
吸液部13は、洗浄測定溶液を吸収することで送液を促す(図2)。また送液部12から送液された過剰な洗浄測定溶液を吸収して除去することができる。吸液部13は、吸水性素材131を有することが好ましく、これにより洗浄測定溶液の吸収、送液および除去を促進する。
流路14は、試薬反応部位111と送液部12とを連結する送液流路141と、試薬反応部位111と吸液部13とを連結する吸液流路142とを有し、送液流路141が、洗浄測定溶液の逆流を防ぐための逆止弁141aを有する(図2)。送液部12を指で圧して送液した後に、送液部12から指を離した場合、洗浄測定溶液が逆流する可能性があるが、マイクロチップ1には流路14に逆止弁141aが配されているため、洗浄測定溶液の逆流を防ぐことができる。
流路14はマイクロチップ1に内蔵された細管である。図2に示すように流路14は直線状とされ(送液流路141と吸液流路142とが一直線上に配され)、流路14の一端に送液部12が配されるとともに流路14の他端に吸液部13が配され、流路14上(送液部12と吸液部13の間の位置)に作用極11cが露出した領域である試薬反応部位111が配されて供給穴1dが形成されていることが好ましい。このようにすることで、マイクロチップ1が小型化され、かつ送液や吸液がスムーズに行われる。
逆止弁141aは、吸液流路142側(試薬反応部位111と吸液部13とを連結する流路)に配されると、供給穴1dから洗浄測定溶液が排出されやすくなり、洗浄測定溶液を吸液部13へスムーズに送液しにくくなる。そのため逆止弁141aは、流路14のうち送液流路141側(試薬反応部位111と送液部12とを連結する流路)に配されている。
(本発明のマイクロチップ1を用いた測定方法)
図6は、本実施形態のマイクロチップを用いた測定方法のステップ図である。
本発明に係るマイクロチップ1を用いたGLEIA法による被検物質の測定方法では、被検物質に特異的に結合する抗体である第1の結合物質が固定化された作用極11cを用意する。それとともに当該被検物質に特異的に結合する抗体である第2の結合物質を金属微粒子で標識した標識体を用意する(ステップ1)。
次に、被検物質を含有する試験溶液と標識体(第2の結合物質を金属微粒子で標識したもの)とを混合して混合物とし、試験溶液中の被験物質と標識体とを抗原抗体反応させる(第2の結合物質反応ステップ:ステップ2)。より具体的には、例えば金コロイド標識抗体と血液(または血清)とを混合したサンプル5μL以下を用意する。
次に、ステップ1で調製した、標識体と未知量の被験物質を含む試験溶液と含む混合物を、円形の供給穴1d(マイクロチップ1の電極11上に位置し、かつ作用極11cと対極11aの表面を露出させる穴)に適用(アプライ)して供給することで、試験溶液中の被験物質と、作用極11cに固定された第1の結合物質とを反応させる。これにより、試料溶液中の被検物質に対応した量の金属微粒子を作用極11cの表面近傍に集める(第1の結合物質反応ステップ:ステップ3)。例えば、マイクチップ1の抗体固定化部分である試薬反応部位111に、予め金コロイド標識抗体と、血液または血清とを混合した試験溶液を5μL以下適用する。このようにして、標識体及び未知量の被検物質を含む試験溶液を、作用極11cの表面に供給し、一次抗体と接触させ、作用極11c上で抗原抗体反応を行う。標識体が被検物質を介して一次抗体に結合することにより、被検物質の濃度に対応した量の金属微粒子が作用極11cの近傍に集められた状態となる。
本発明においては、生体物質、合成物質等のあらゆる物質を被検物質とすることができる。被検物質に特異的に結合する結合物質(第1の結合物質、第2の結合物質)には、被験物質に応じて適切なものを選択する。試験溶液中の被検物質に応じた量の金属微粒子を集めるために、本実施形態では抗原と抗体との特異的結合を利用しているが、物質間で特異的に結合するものであればこの組合せに限らず、例えば、核酸−核酸、核酸−核酸結合タンパク質、レクチン−糖鎖、又はレセプター−リガンドの特異的結合を利用してもよい。被検物質−特異的結合物質の関係の順序は、前記と逆でもよい。
標識物質として用いられる金属微粒子としては特に制限されないが、例えば金、白金、銀、銅、ロジウム、パラジウム等の微粒子やそれらのコロイド粒子、量子ドット等を用いることができる。なかでも粒径10nm〜60nmの金微粒子、より好ましくは粒径40nm〜60nmの金微粒子であり、特に粒径40nm程度の金微粒子を用いることが好ましい。
このようにして抗原抗体反応を行い、所定時間(数分間)反応後に、シーリング用テープ等のシール部材によって、電極11の試薬反応部位111上の供給穴1dを塞ぐ(ステップ4)。
次に、送液部12を指で圧することで、流路14の接着が外れて電極11の試薬反応部位111に向けて洗浄測定溶液が流れる。これにより、洗浄操作と測定液適用が行われる。本実施の形態では洗浄溶液と測定溶液とが同一の溶液(洗浄測定溶液)であり、操作が容易となっている。なお逆止弁141aが設けられているため、指を離した際に洗浄測定溶液が逆流しない。
試験溶液と標識体の混合物を電極11上の供給穴1dに適用してから3分〜5分経過後、送液部12を指で圧して、洗浄測定溶液を洗浄溶液として送液することで、ステップ2の抗原抗体反応時に未反応のまま残存した余分な標識抗体(被験物質と結合していない標識抗体)をできるだけ電極11上から流し出すことで電極11を洗浄し、吸液部13へと移動させるとともに、電極11上の洗浄測定溶液を測定溶液として使用する(洗浄測定ステップ:ステップ5)。このように洗浄測定溶液は、洗浄溶液として余分な標識抗体を洗い流すとともに、電極11上に残った洗浄測定溶液は、そのまま測定溶液として使用される。
本発明において、洗浄溶液および測定溶液は、塩素を含む中性溶液とすることできる。すなわち、洗浄測定溶液(抗原抗体反応の洗浄溶液としての作用と、電極11の電位制御及び電気化学測定の際に用いる測定溶液としての作用を有する溶液)として、塩素を含む中性溶液を用いることができる。塩素を含む中性溶液を用いることにより、大きな電流変化量が得られ場合があり、結果として、高感度な測定を達成し得る。また、酸性溶液を用いる場合、例えば低電位側における還元ピークの裾が上昇する等のようにピーク形状が非対称となったり、例えば0.1V付近においてノイズが発生したりすることがある。これに対して、塩素を含む中性溶液を用いることで、還元ピークの裾が平坦となるとともに、前記ノイズ発生が抑えられるので、還元ピーク強度検出が簡便となる。さらに、酸性溶液やアルカリ溶液のような取扱いの難しい溶液の使用を回避することができ、測定操作を安全且つ簡便に実施することができ、低コスト化が可能となる。塩素を含む中性溶液としては、例えばKCl、NaCl、LiCl等を用いたときに前記の効果を得られるが、特にNaClを用いたときに低濃度で効果が大きい。
また本発明において、洗浄溶液および測定溶液は、同一の塩化ナトリウム溶液とすることできる。すなわち、洗浄測定溶液(抗原抗体反応の洗浄溶液としての作用と、電極11の電位制御及び電気化学測定の際に用いる測定溶液としての作用を有する溶液)として、同一の塩化ナトリウム溶液を用いることも可能である。洗浄溶液および測定溶液として同一の塩化ナトリウム溶液を使用することで、異なる濃度の塩化ナトリウム溶液を使用する場合や、塩化ナトリウム溶液以外の塩素を含む中性溶液(例えば塩化カリウムや塩化リチウム)を使用する場合と比較しても、さらに安全かつ簡便に測定を行うことができ、低コスト化が可能となる。
次に、マイクロチップ1を測定用治具2に装着し、測定機器3を接続して被験物質の測定をする(被験物質測定ステップ:ステップ6,7)。マイクロチップ1の電極11にはリード線32が接続され、リード線32は測定機器3と接続されており、リード線32を介してマイクロチップ1と測定機器3とが接続される。このようにして測定機器3によって測定する。
ステップ6,7では、まず金属微粒子を電気化学的に酸化させるとともに、測定に用いる抗体や測定溶液中のチロシン又はトリプトファンを含む夾雑物に由来するノイズの影響を抑えた状態とし(ステップ6)、その後に、酸化した金属微粒子を電気化学的に還元させて、金属微粒子が還元する際に生じる電流値を測定し、ピーク電流値に基づいて、被検物質の有無又は濃度を調べる(ステップ7)。
ステップ6では、金属微粒子を電気化学的に酸化させる。作用極11cに対して対極11aを正電位とする電位制御を行うことで、参照極11bに対する作用極11cの電位を、金属微粒子が電気化学的に酸化する電位に所定時間保持する。これにより作用極11c表面に析出した金属と作用極11cの表面近傍に集めた金属微粒子とを電気化学的に完全に酸化させる。このとき、対極11a及び参照極11bも溶液に接触させた状態とする。また、金属微粒子の酸化とともに、測定に用いる抗体や測定溶液中のチロシン又はトリプトファンを含む夾雑物に由来するノイズの影響を抑えた状態とする。
金属微粒子を酸化させるに際して、作用極11cの電位は、金属微粒子が酸化可能な電位とする。具体的には、作用極11cの電位は、使用する金属微粒子の種類に応じて適宜最適な値に設定する必要があるが、例えば、銀塩化銀参照極に対して+1〜+2Vとすることが好ましい。作用極11cの電位を前記範囲内にすることにより、作用極11cの表面近傍に集めた金属微粒子を完全に酸化溶出させることができ、被検物質の検出感度を確実に向上させることができる。作用極11cの電位を前記範囲未満とした場合、測定時に還元電流のピークが現れないおそれがあり、逆に前記範囲を超えた場合、酸化させた金属微粒子の泳動による拡散が起こり、作用極11c近傍における酸化物の濃度が低下してしまい、これにより還元電流のピークが小さくなるおそれがある。より好ましい範囲は、+1.2V〜+1.6Vである。
金属微粒子を電気化学的に酸化させる具体的な手段としては、作用極11cの電位を金属微粒子が酸化する電位に所定時間保持することが挙げられる。前記電位を所定時間保持する操作は、金属微粒子を十分に酸化させられるため、好ましい方法である。また、作用極11cに金属微粒子が電気化学的に酸化する電位を印加するに際しては、前述したように作用極11cの電位を所定の電位に保持する方法の他、例えばサイクリックボルタンメトリ等によって、作用極11cの電位を時間経過に伴い変化させてもよい。作用極11cの電位を時間経過に伴って変化させる場合には、金属微粒子が酸化する電位の範囲内(例えば、銀塩化銀参照極に対し+1〜+2V)において、作用極11cの電位を変化させることが好ましい。さらに、金属微粒子を酸化させるに際しては、金属微粒子が電気化学的に酸化する電位を作用極11cに複数回印加してもよい。
金属微粒子が電気化学的に酸化する電位に作用極11cの電位を保持する時間を1秒以上とすることで、金属微粒子を十分に酸化させることができ、検出感度を確実に向上させることができる。一方、印加時間を100秒以上としても得られる電流値は殆ど変わらない。したがって、1秒以上100秒以下が好ましい。前記電位の保持時間のさらに好ましい範囲は、40秒以上100秒以下である。
酸化した金属を電気化学的に還元する際に生じる電流を測定する方法としては、例えば、微分パルスボルタンメトリ、サイクリックボルタンメトリ等のボルタンメトリ、アンペロメトリ、クロノメトリ等が挙げられる。
具体的には、例えば、作用極11cの電位を負方向に変化させていき、電位変化に伴う電流変化を測定する。作用極11cの電位を負方向に変化させていくと、前述の電位制御により酸化溶出した金属が還元されることにより還元電流が流れるので、これを測定する。試験溶液中の被検物質が多く、作用極11cの近傍に集められた金属微粒子が多いほど還元電流強度も大きくなることから、これに基づいて被検物質の定量又は検出が実現される。例えば、還元電流値と既知濃度の被検物質と関係を予め求めておき、測定された還元電流値と比較することにより、被検物質濃度を求めることができる。また、得られる還元電流値から試験溶液中の被検物質の有無を知ることができる。
(第2の実施の形態)
図7は、本実施の形態のマイクロチップ1Aの概略平面図である。図8は、図7で示したマイクロチップ1AのCC’断面矢視図である。
第2の実施の形態では、送液部として、第1の送液部12aと、第2の送液部12bの、複数の送液部を複数有する(図7,8)。第1の送液部12aでは洗浄溶液が保持され、第1の送液部12aを指で圧して洗浄溶液を電極11へ送液する。第2の送液部12bでは測定溶液が保持され、第2の送液部12bを指で圧して洗浄溶液を電極11へ送液する。第1の実施の形態で示した、吸液部13、吸水性素材131および吸液流路142は備えず、送液された測定溶液や洗浄溶液は、排出口1fから排出される。第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
マイクロチップ1Aは、試薬反応部位111を有する電極11と、洗浄溶液および測定溶液の保持ならびに洗浄溶液および測定溶液の試薬反応部位111への送液を行う複数の送液部12a,12bと、送液部12a,12bと試薬反応部位111とを連結する流路14を有する(図7,8)。
第1の送液部12aは軟性素材からなり、洗浄溶液をマイクロチップ1A内に留め置いて保持する試薬槽としての機能と、洗浄溶液を試薬反応部位111へ送液する送液機能とを有する。第1の送液部12aは、内部に1mL以下の洗浄溶液を満たした試薬槽となっている。また、第1の送液部12a中の洗浄溶液を押し出すために、第1の送液部12aの表面はシリコンゴム製となっている。
第2の送液部12bは軟性素材からなり、測定溶液をマイクロチップ1A内に留め置いて保持する試薬槽としての機能と、測定溶液を試薬反応部位111へ送液する送液機能とを有する。第2の送液部12bは、内部に1mL以下の測定溶液を満たした試薬槽となっている。また、第2の送液部12b中の測定溶液を押し出すために、第2の送液部12bの表面はシリコンゴム製となっている。
本実施の形態では、第1の実施の形態で示した測定方法のステップの内、ステップ5が異なる。すなわち第2の実施の形態では、ステップ5において、第1の送液部12aを圧して洗浄溶液を試薬反応部位111へ送液することで洗浄操作を行い、その後、第2の送液部12を圧して測定溶液を試薬反応部位111へ送液することで測定可能な状態とする。
マイクロチップ1Aは、透明基板1aの中央近傍に位置した溝1bに、一次抗体を固定化した電極11(DEP−Chip)が納められている(図8)。また図7に示すように、溝1bは、マイクロチップ1Aの中央近傍を短手方向に沿って凹形状に形成されており、マイクロチップの端まで凹形状が連続している。また第1の実施の形態と同様に、電極11は基板15上に印刷されている。このようにして、溝1bの凹形状は、送液された測定溶液や洗浄溶液を排出するための流路となる。第1の送液部12aや第2の送液部12bから試薬反応部位111へと送液された測定溶液や洗浄溶液は、溝1bを介して、マイクロチップ1Aの端に形成された排出口1fから排出される。
電極11の電位制御及び電気化学測定の際に用いる測定溶液(第2の送液部12bに保持する溶液)としては、金属微粒子を容易に電気化学的に酸化させることができることから、酸性溶液を用いることもできる。酸性溶液としては、金属微粒子の種類等に応じて適宜選択すればよいが、例えば塩酸、硝酸、酢酸、リン酸、クエン酸、硫酸等を含む水溶液を用いることができる。金属微粒子の電気化学的酸化のし易さを考慮すると、0.05規定〜2規定の塩酸水溶液を用いることが好ましく、0.1規定〜0.5規定の塩酸水溶液を用いることがより好ましい。
また、洗浄溶液(第1の送液部12bに保持する溶液)や、測定溶液(第2の送液部12bに保持する溶液)として、第1の実施の形態で示した、塩素を含む中性溶液であってもよく、特に塩化ナトリウム溶液であってもよい。
以上のような、本発明のマイクロチップを用いたGLEIA法による被検物質の測定方法では、反応は15分以内、測定は1分程度で、サンプル調整から測定終了まで20分以内で完了する。感度は測定対象物のELISA測定と同等以上である。なおチップは冷蔵または室温保存し、抗体や試薬の活性は少なくとも1年は維持可能である。また作用極上で抗原抗体反応等を行って作用極の表面近傍に金属微粒子を集め、標識体に含まれる金属微粒子に由来する還元ピーク電流を測定するので、簡便且つ高感度に試験溶液中の被検物質を測定することができる。
本実施例では、被験物質としてCRP(C−Reactive Protein)を含有する血清検体が供された。血清検体は、従来の高感度ELISAによる測定方法によって、CRPの濃度が0〜15.5mg/dLの範囲に分布していることが予め確認されたものが使用され、血清検体のうち濃度範囲をすべて網羅するように選択した検体が測定に使用された(不図示)。血清検体は、各々予め1000倍希釈して、CRP濃度を0〜155ng/mLの範囲に調製したものを使用した。
図9は、本実施例において本発明のマイクロチップを用いて被験物質を定量した場合の検量線を示すグラフである。図10は、本実施例においてGLEIA電極のみを用いて被験物質を定量した場合の検量線を示すグラフである。濃度の算出は、Origin 2017(Origin Lab Co. Ltd.)を用いてMichaels Menten式でフィッティングして検量線を作成することで行った。図11は、本実施例において本発明のマイクロチップを用いた場合と、従来の高感度ELISAを用いた場合の相関性を示したグラフである。図12は、本実施例においてGLEIA電極のみを用いたと、従来の高感度ELISAを用いた場合の相関性を示したグラフである。
本実施例では血清検体のCRP濃度を、上述の本発明のマイクロチップ(試薬槽である送液部や電極を内蔵したチップ)を用いて測定した(図9)。そして全血清検体のCRP濃度を本発明のマイクロチップを用いて測定した場合の結果と、同じ全血清検体のCRP濃度を従来の高感度ELISAを用いて測定した場合の結果から、相関直線グラフを作成し、相関性の程度を確認した(図11)。
本発明のマイクロチップで測定した場合、測定に使用したすべての濃度範囲(CRP濃度が0〜155ng/mL)の血清検体で、相関直線の傾きは0.8であり、R二乗値は0.92であった(図11)。測定に使用した血清検体のうち、CRP濃度が100ng/mL以下の濃度範囲に希釈されたサンプルでは、相関直線の傾きは0.99であり、R二乗値は0.96であった(不図示)。測定に使用した血清検体のうち、検量線の傾きが急な100ng/mL以下の濃度範囲に希釈されたサンプルでは良好な測定精度を示した。
また、本発明のマイクロチップを使用せずGLEIA電極のみを使用して、GLEIA電極上に血清検体の溶液を適用する方法によって、同じ血清検体のCRP濃度を測定し、コントロールとした(図10)。そして全血清検体のCRP濃度を、同方法(GLEIA電極のみを使用する方法)を用いて測定した場合の結果と、同じ全血清検体のCRP濃度を従来の高感度ELISAを用いて測定した場合の結果から、相関直線グラフを作成し、相関性の程度を確認した(図12)。
GLEIA電極のみを使用して測定した結果、測定に使用したすべての濃度範囲の血清検体で、相関直線の傾きは1.03であり、R二乗値は0.86であった(図12)。
以上のように、本発明のマイクロチップ(試薬槽である送液部や電極を内蔵したチップ)を使用した場合にも、マイクロチップを使用せずGLEIA電極のみを使用した場合と比較して、ほぼ同様の結果となり、遜色のない測定精度を得ることができる。特に、本発明のマイクロチップを用いて、0ng/mL〜100ng/mLの濃度範囲に希釈されたサンプルを測定した場合、GLEIA電極のみを使用して測定した場合と比較して、より簡便かつ迅速に測定でき、遜色のない測定精度を得ることができるとともに、従来の高感度ELISAでは測定できなかった検体も感度良く測定することができ、良好な測定精度を得ることができる。
S マイクロチップ測定システム、
1,1A マイクロチップ、
1a 透明基板、
1b 溝、
1c カバー用フィルム、
1d 供給穴、
1e 接続用穴、
1f 排出口、
2 測定用治具、
3 測定機器、
4 タッチパネルディスプレイ、
11 電極、
11a 対極、
11b 参照極、
11c 作用極、
12 送液部、
12a 第1の送液部、
12b 第2の送液部、
13 吸液部、
14 流路、
15 外枠、
31 ピン、
32 リード線、
33 USBケーブル、
111 試薬反応部位、
112 接続部、
131 吸水性素材、
141 送液流路、
141a 逆止弁、
142 吸液流路

Claims (10)

  1. 被験物質測定用のマイクロチップにおいて、試薬反応部位を有する電極と、洗浄溶液および測定溶液の保持ならびに前記洗浄溶液および前記測定溶液の前記試薬反応部位への送液を行う送液部と、前記洗浄溶液および前記測定溶液を吸収することで前記送液を促す吸液部と、前記送液部と前記試薬反応部位と前記吸収部とを連結する流路を有することを特徴とするマイクロチップ。
  2. 前記洗浄溶液および前記測定溶液が、同一の溶液であることを特徴とする請求項1記載のマイクロチップ。
  3. 前記洗浄溶液および前記測定溶液が、塩素を含む中性溶液であることを特徴とする請求項1または2記載のマイクロチップ。
  4. 前記洗浄溶液および前記測定溶液が、同一の塩化ナトリウム溶液であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のマイクロチップ。
  5. 前記送液部が軟性素材からなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のマイクロチップ。
  6. 前記吸液部が吸水性素材を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のマイクロチップ。
  7. 前記流路は、前記試薬反応部位と前記送液部とを連結する送液流路と、前記試薬反応部位と前記吸液部とを連結する吸液流路とを有し、前記送液流路が逆止弁を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載のマイクロチップ。
  8. 前記マイクロチップが免疫化学測定用のマイクロチップであって、金属ナノ粒子の酸化還元反応を電気化学的に測定することで前記被験物質の測定を行うものであることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載のマイクロチップ。
  9. 請求項1から8のいずれか一項記載のマイクロチップと、前記マイクロチップを装着する測定用治具と、前記電極に接続し電圧をかけることで金属ナノ粒子を酸化させるとともに微分パルスボルタンメトリにより前記金属ナノ粒子の還元電流を測定する測定機器とを有することを特徴とするマイクロチップ測定システム。
  10. マイクロチップを用いた被検物質の測定方法において、前記マイクロチップに内蔵されるとともに洗浄測定溶液が入った送液部を指で圧して前記洗浄測定溶液を電極上に送液することで、前記被検物質と結合していない標識抗体を前記電極上から流し出すとともに、前記電極上の前記洗浄測定溶液を測定溶液として使用することを特徴とする、測定方法。


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