JP2019190853A - 腐食試験装置および腐食試験方法 - Google Patents

腐食試験装置および腐食試験方法 Download PDF

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【課題】試験溶液中の金属塩濃度が高い場合でもガス導入管の閉塞を生じさせない。【解決手段】本実施形態に係る腐食試験装置1は、試験容器10内で、腐食環境を模擬した試験溶液11を収容し、この試験溶液11中に金属材料からなる被検体12を浸漬した状態で、応力付与装置13によって被検体12に応力を負荷する、金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する装置である。本実施形態に係る腐食試験装置1は、不活性ガスまたは腐食性ガスの湿度を、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上に調整する湿度調整部2と、外気を遮断した状態で前記試験溶液を収容する試験容器10と、試験溶液10内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管14と、試験容器10内のガスを排気するガス排気管15とを備える。【選択図】 図2

Description

本発明は、腐食試験装置および腐食試験方法に関する。
石油・天然ガス生産の分野では、腐食性が高く高圧の深井戸の開発が増加している。油井、ガス井は、しばしば腐食性ガスの硫化水素(HS)や二酸化炭素ガス(CO)を含む。しかし、油井用鋼管などの鋼材が、硫化水素を含むサワー環境に曝されると、硫化物応力割れ(SULFIDE STRESS CRACKING:SSC)と呼ばれる腐食に起因した水素脆性破壊が起こる。SSCは、高強度鋼ほど起こりやすい。
このような環境下で使用される鉄鋼材料の信頼性の判断には、応力腐食割れ試験(NACE TM0177 Method A等)が用いられる。応力腐食割れ試験は、腐食環境を模擬した試験溶液中で被検体に応力を負荷し、割れが発生するまでの時間、限界応力などを測定するものであり、これらの測定データに基づいて被検体の耐応力腐食割れ性が評価される。
例えば、特許文献1には、試験片を腐食液中にさらす腐食液槽、同腐食液槽に腐食液を供給する液タンク、同液タンク及び前記腐食液槽の間に腐食液を循環させる循環機構を有する腐食試験装置に於いて、前記腐食液中の溶存酸素量を減少させるため前記液タンク内の腐食液中に窒素ガスをバブリングさせるバブリング機構、前記腐食液槽を大気から隔離させるため内部に窒素ガスを封入した隔離室、及び前記腐食液循環配管系内に設けられ溶存酸素濃度を検出するため前記腐食液を採集する採集壜を取付けたことを特徴とする腐食試験装置に関する発明が開示されている。
特開昭53−099995号公報
図1は、従来の腐食試験装置を示す図である。図1を参照して、従来の腐食試験装置100は、試験容器110内で、腐食環境を模擬した試験溶液111を収容し、この試験溶液111中に金属材料からなる被検体112を浸漬した状態で、応力付与装置113によって被検体112に応力を負荷する装置である。この装置においては、試験容器110に試験溶液111および被検体112を収容し、外気を遮断した状態で、ガス導入管114により、試験溶液111に窒素などの不活性ガスを導入しつつ、ガス排気管115により、試験容器110内のガスが排気される。この作業(バブリング)を一定期間継続することにより、試験溶液111中の溶存酸素が低減される。その後、同じガス導入管114を用いて、試験溶液111内に硫化水素(HS)などの腐食性ガスを導入しつつ、ガス排気管115により、試験容器110内のガスが排気される。これによって、試験溶液111中の腐食性ガス濃度を飽和状態にすることが可能である。
実際には、被検体112を試験容器110に収容した後、応力付与装置113によって被検体112に応力を負荷する。次に、試験容器110を閉じ、試験容器110にガス導入管114とガス排気管115を接続する。さらに、ガス導入管114から不活性ガスを導入しながら、ガス排気管115から試験容器110内のガスを排気する作業(パージ)を一定期間継続することにより、試験容器110内を不活性ガス雰囲気とする。続いて、試験溶液注入管(図示省略)より試験溶液111を試験容器110内へ注入する。試験溶液111を不活性ガスにより一定期間バブリングした後、ガス導入管114から腐食性ガスを試験溶液111内に導入する。試験溶液111中の腐食性ガス濃度が飽和状態となったときから720時間経過するまでが試験時間となる。
ここで、鉄鋼材料の使用環境の変化に従い、最近、試験溶液として高濃度のNaClを含む試験溶液中での応力腐食試験の実施が求められるようになってきた。このような高濃度NaClの試験溶液中に、不活性ガスによるバブリングを行うと、ガス導入管114の先端部内面に試験溶液の飛沫が付着して、NaClの結晶が析出する。このNaClの結晶は、バブリング時、その後の腐食性ガスの導入時、および、試験中に成長して、最終的にはガス導入管114を閉塞させてしまうという問題が生じた。試験を中断し、結晶除去作業を行うためには、試験容器を開放せざるを得ず、試験溶液111が外気と接触し、正確な試験結果が得られなくなる。このため、このような閉塞が生じると、再試験を行う必要があり、開発の遅延や納期の遅れなどの問題を生じさせる。この問題は、試験溶液中のNaCl濃度が10質量%以上の場合に顕著となる。
本発明者らは、ガス導入管114の先端部内面にNaClの結晶が付着しないようにするための方法について、種々の検討を行った。まず、先端部の内径を大きくしたガス導入管を使用してみたが、閉塞までの時間が長くなるものの、試験中のガス導入管の閉塞を完全に抑えることはできなかった。また、ガス導入管の材質を石英などに変更する、内面に表面処理を行う、管の先端に複数の穴を空けるなど、様々な方法を検討したが、いずれも試験中のガス導入管の閉塞を完全に抑えることはできなかった。
そこで、本発明者らは、試験溶液111中に導入される窒素ガスなどの不活性ガス、硫化水素などの腐食性ガスの湿度に着目した。すなわち、試験溶液111中に導入される窒素ガスなどの不活性ガス、硫化水素などの腐食性ガスは、通常、市販のガスボンベから供給され、そこから実験室内の試験装置までの配管を通り、そのまま試験溶液111中に導入される。この配管には、通常、SUS316Lなどのステンレス鋼が使用されている。そして、ガスの湿度が高い場合には、ボンベ内の腐食や試験装置に搬送するための配管内の腐食が生じるので、市販のガスは、通常、湿度が10%程度以下に保たれている。この湿度を高くし、具体的には、試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整した後に、試験溶液111に導入したところ、試験中のガス導入管の閉塞を抑えることに成功した。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、下記の発明を要旨とする。
〔1〕腐食環境を模擬した試験溶液中で金属材料からなる被検体に応力を負荷して、前記金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する装置であって、
不活性ガスまたは腐食性ガスの湿度を、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上に調整する湿度調整部と、
外気を遮断した状態で前記試験溶液を収容する試験容器と、
前記試験溶液内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管と、
前記試験容器内のガスを排気するガス排気管とを備える、
腐食試験装置。
〔2〕前記金属塩が、塩化ナトリウムであり、
前記試験溶液中の塩化ナトリウムの濃度が、10質量%以上である、
上記〔1〕の腐食試験装置。
〔3〕前記ガス導入管が、ポリアミド系樹脂からなる、
上記〔1〕または〔2〕の腐食試験装置。
〔4〕前記湿度調整容器が、
外気を遮断した状態で純水を収容する湿度調整容器と、
前記純水内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管と、
前記湿度調整容器内のガスを排気するガス排気管とを備える、
上記〔1〕〜〔3〕のいずれかの腐食試験装置。
〔5〕腐食環境を模擬した試験溶液中で金属材料からなる被検体に応力を負荷して、前記金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する方法であって、
(1)前記試験溶液内に、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整した不活性ガスを導入する工程、および、
(2)前記試験溶液内に、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整した腐食性ガスを導入する工程、
を順に実施する、
腐食試験方法。
〔6〕前記(1)の工程の前に、下記の(A1)〜(A3)を順に実施する、上記〔5〕の腐食試験方法。
(A1)試験容器内に前記被検体を収容して、応力を負荷する工程、
(A2)前記試験容器内を不活性ガスでパージする工程、および
(A3)前記試験容器内に、前記試験溶液を注入する工程。
本発明によれば、試験溶液中の金属塩濃度が高い場合でも、ガス導入管の閉塞を生じさせることなく、腐食試験を行うことができる。
図1は、従来の腐食試験装置を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る腐食試験装置を示す図である。
1.腐食試験装置
以下、図2を参照して、本発明の一実施形態に係る腐食試験装置について説明する。
図2を参照して、本実施形態に係る腐食試験装置1は、試験容器10内で、腐食環境を模擬した試験溶液11を収容し、この試験溶液11中に金属材料からなる被検体12を浸漬した状態で、応力付与装置13によって被検体12に応力を負荷する、金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する装置である。本実施形態に係る腐食試験装置1は、不活性ガスまたは腐食性ガスの湿度を、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上に調整する湿度調整部2と、外気を遮断した状態で前記試験溶液を収容する試験容器10と、試験溶液10内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管14と、試験容器10内のガスを排気するガス排気管15とを備える。
試験溶液11中には、金属塩が含まれる。金属塩としては、例えば、NaCl、CaCl、MgClなどが挙げられる。NaClは、油井管の使用環境中に含まれ、CaCl、MgClは、油井からの生産流体に含まれる。試験溶液11中の金属塩の濃度には特に制約がないが、その濃度が高く、10質量%以上になると、ガス導入管14の閉塞の問題が生じやすく、本発明による作用効果がなければ、試験自体を継続することができなくなる。よって、本発明は、金属塩の濃度が10質量%以上である試験溶液11を用いる場合に特に有用である。試験溶液11中の金属塩濃度が上昇するとガス導入管14が閉塞しやすくなるが、金属塩濃度が15質量%以上、さらには、20質量%以上の試験溶液11を用いた場合でも、本発明の効果が有効に作用することを確認している。金属塩濃度の上限は25%とするのが好ましい。
不活性ガスは、腐食試験前に、試験溶液11の溶存酸素を低減するためのバブリングに用いられるガスである。不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス、またはこれらの混合ガスなどが挙げられるが、特に、窒素ガスを用いるのがよい。また、腐食性ガスは、腐食試験環境に応じて決めればよく、例えば、硫化水素ガス、二酸化炭素ガス、またはこれらの混合ガス、硫化水素および窒素の混合ガスなどが挙げられる。
ガス導入管14としては、腐食性ガスに対する十分な耐食性が求められ、また、管内面が平滑であることが好ましい。このため、ガス導入管14の材質としては、例えばフッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ガラス、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられるが、特に、ポリアミド系樹脂を用いるのが好ましい。ガス排気管15としては、ガス導入管14と同様に、腐食性ガスに対する十分な耐食性があればよく、その材質にはガス導入管14と同様のものを使用すればよい。
湿度調整部2は、例えば、外気を遮断した状態で純水21を収容する湿度調整容器20と、純水21内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管24と、湿度調整容器20内のガスを排気するガス排気管25とを備える。不活性ガスまたは腐食性ガスとして湿度が低いものを用いると、ガス導入管14先端において金属塩の結晶化を避けることができず、管の閉塞が生じるため、この湿度調整部2では、不活性ガスまたは腐食性ガスの湿度を、試験溶液11に含まれる金属塩の臨界湿度以上に調整する。
ガス導入管24から導入される不活性ガスまたは腐食性ガスは、通常の湿度、すなわち、10%程度以下の湿度を有するガスである。このような湿度の低いガスであれば、ボンベおよびガスボンベから試験装置までの配管内を腐食することがない。そして、このような湿度の低いガスを、湿度調整部2において、純水中に導入することにより、その湿度を75%以上にまで上昇させることができ、その結果、試験溶液11に含まれる金属塩の臨界湿度以上となる。
ガス導入管24およびガス排気管25としては、ガス導入管14と同様に、腐食性ガスに対する十分な耐食性が求められ、また、管内面が平滑であることが好ましい。このため、ガス導入管24およびガス排気管25の材質にはガス導入管14と同様のものを使用すればよい。ガスボンベとガス導入管24との間は、湿度が低いガスが通過するだけであるので、その配管には、通常のSUS316Lなどを使用すればよい。
湿度調整部2のガス排気管25にはガス導入管14が接続されており、湿潤化されたガスは、ガス排気管25およびガス導入管14を介して、試験溶液11内に導入される。
ここで、試験容器10は、不活性ガスで満たされた密閉容器(図示省略)に収容されていることが好ましい。これは、腐食を促進し、試験精度を低下させる酸素の混入を抑止するためである。また、湿度調整部2も、試験容器10と同じ密閉容器内に収容することが好ましい。なお、湿度調整部2および試験容器10を同一の密閉容器内に収容することにより、湿度調整部2および試験容器10を近接した位置に配置することができるので、ガス排気管25およびガス導入管14の間を極力短くすることができるというメリットもある。なお、ガス排気管25およびガス導入管14の間が長くなっても試験は実施可能であるが、湿潤状態にある腐食性ガスに耐えうる管(チタン等)を配管する必要があり、製作コストが上昇する。
2.腐食試験方法
以下、本発明の一実施形態に係る腐食試験装置の動作を説明し、本発明に係る腐食試験方法の説明に替える。
図2を参照して、本実施形態に係る腐食試験装置1においては、まず、試験容器10に被検体12を収容し、応力付与装置13によって被検体12に応力を負荷する。次に、試験容器10を閉じ、試験容器10にガス導入管14とガス排気管15を接続する。さらに、ガス導入管14により、試験溶液11に窒素などの不活性ガスを導入する。このとき、ガス排気管15により、試験容器10内のガスが排気される。すなわち、試験容器10内は不活性ガスでパージされる。ここで導入される不活性ガスは、湿度調整部2により試験溶液11に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整されている。パージを一定期間継続することにより、試験容器10中を不活性ガス雰囲気とする。続いて、試験溶液注入管(図示省略)より試験溶液11を試験容器10内へ注入する。続いて、試験溶液11に不活性ガスを導入して、バブリングする。バブリングを一定期間継続することにより、試験溶液11中の溶存酸素が低減される。パージおよびバブリングの時間は、試験容器10の内容積、試験溶液11の種類や溶存酸素量によるが、少なくとも24時間とするのがよい。
バブリングが終了した後、同じガス導入管14により試験溶液11内に硫化水素(HS)などの腐食性ガスを導入する。このとき、ガス排気管15により、試験容器10内のガスが排気される。この導入は、試験溶液11中のpHや腐食性ガスの濃度が設定値に達するまで行う。その導入時間は、少なくとも30分である。その後、試験を開始する。試験時間は、例えば、720時間である。
そして、割れが発生するまでの時間、限界応力などを測定することにより、被検体の耐応力腐食割れ性が評価される。
試験溶液11の温度は、NACE TM0177 Method Aなどの規格に沿って決めればよく、試験温度は、腐食割れ感受性を変化させるため、例えば、21〜27℃の範囲とする。
試験容器10内の圧力は、0.08〜1.00MPaの範囲(大気圧)に調整するのがよい。試験液の試験容器10外への排出、排気管からのガスの逆流などを抑えるためである。
純水21の温度は、試験溶液11と同程度の温度に調整すればよく、例えば、21〜27℃の範囲であればよい。
湿度調整容器20内の圧力は、試験容器10内の圧力と同様に、0.08〜1.00MPaの範囲(大気圧)に調整するのがよい。
本発明の効果を確認するべく、図1または図2に示す腐食試験装置を用いて、ガス導入管から各種のガスを導入し、試験溶液のpH、不活性ガスの湿度、酸素溶存量およびガス導入管の閉塞を調査した。実験に用いた、試験溶液、不活性ガスおよび腐食性ガスの条件を表1に示した。
試験は、下記のようにして行った。まず、被検体を試験容器に収容した後、応力付与装置によって被検体に応力を負荷した状態で試験容器を不活性ガスで一定時間パージして、試験容器内を不活性ガス雰囲気とした。パージは、ポリアミド系樹脂製のガス導入管から不活性ガスを導入しながら、ガス排気管から試験容器内のガスを排気することにより行った。続いて、試験容器にNaClの濃度を種々調整した試験溶液を収容し、外気を遮断した状態で、ポリアミド系樹脂製のガス導入管により、表1に示す不活性ガスを導入して、バブリングを実施した。このとき、ガス排気管により、試験容器内のガスを排気した。湿潤化処理無しの例では、通常通り、ガスボンベから供給された不活性ガスをそのまま試験溶液に導入した。湿潤化処理有りの例では、ガスボンベから供給された不活性ガスを、湿度調整部において純水中に導入することにより、その湿度を上昇させたものを試験溶液に導入した。バブリングは、24時間実施した。24時間経過時にガス排出管から排出されたガス中の湿度を測定した。
バブリング終了後、各種腐食性ガスを導入した。このとき、湿潤化処理無しの例では、通常通り、ガスボンベから供給された腐食性ガスをそのまま試験溶液に導入した。湿潤化処理有りの例では、ガスボンベから供給された腐食性ガスを、湿度調整部において純水中に導入することにより、その湿度を上昇させたものを試験溶液に導入した。腐食性ガスを導入し、試験溶液中の腐食性ガス濃度が飽和状態となったときから720時間経過後、試験溶液のpHを測定した。また、ガス導入管内の金属塩の付着状況を確認した。ガス導入管の内面に金属塩が付着していない場合を「無し」、付着している場合を「有り」とする。
Figure 2019190853
表1に示すように、湿潤化処理により導入ガスの湿度を高めた本発明例1〜10、17および18では、いずれも、ガス導入管の内面に金属塩が付着しておらず、ガス導入管の閉塞が見られず、また、予定通りのpHおよび溶存酸素量が得られた。一方、湿潤化処理を行わず、通常の湿度のガスを導入した比較例11〜16では、予定通りのpHおよび溶存酸素量が得られたものの、ガス導入管の内面に金属塩が付着しており、ガス導入管の閉塞が発生した。
次に、ガス導入管の閉塞がほとんど生じることがない5%NaClを含有する試験溶液を用いて実際に腐食試験を行い、湿潤処理の有無によって腐食試験結果に違いが見られるか否かを確認した。この試験では、図1または図2に示す腐食試験装置を用いて、ガス導入管から各種のガスを導入しつつ、所定の化学組成を有する試験片について腐食試験を行なった。表2には、試験条件と、ガス導入管の閉塞の有無と、腐食試験結果を示す。
なお、試験片には、化学組成が、質量%で、C:0.01%、Si0.20%、Mn:0.40%、P:0.015%、S:0.005%、Cr:12.0%、Ni:5.5%、Mo:2.0%残部:Feおよび不純物である鋼を用いた。試験片には、NACE TM0177記載の6.35mmφ×25.4mmG.Lの丸棒試験片を用いた。試験中、試験片には、試材の降伏応力の90%相当である744MPaの一定荷重を付与した。
試験は、下記のようにして行った。まず、被検体を試験容器に収容した後、応力付与装置によって被検体に応力を負荷した状態で試験容器を不活性ガスで一定時間パージして、試験容器内を不活性ガス雰囲気とした。パージは、ポリアミド系樹脂製のガス導入管から不活性ガスを導入しながら、ガス排気管から試験容器内のガスを排気することにより行った。続いて、試験容器にNaClの濃度を種々調整した試験溶液および試験片を収容し、外気を遮断した状態で、ポリアミド系樹脂製のガス導入管により、表2に示す窒素ガスを導入して、バブリングを実施した。このとき、ガス排気管により、試験容器内のガスを排気した。湿潤化処理無しの例では、通常通り、ガスボンベから供給された不活性ガスをそのまま試験溶液に導入した。湿潤化処理有りの例では、ガスボンベから供給された不活性ガスを、湿度調整部において純水中に導入することにより、その湿度を上昇させたものを試験溶液に導入した。バブリングは、24時間実施した。24時間経過時にガス排出管から排出されたガス中の湿度を測定した。
バブリング終了後、各種腐食性ガスを導入した。このとき、湿潤化処理無しの例では、通常通り、ガスボンベから供給された腐食性ガスをそのまま試験溶液に導入した。湿潤化処理有りの例では、ガスボンベから供給された腐食性ガスを、湿度調整部において純水中に導入することにより、その湿度を上昇させたものを試験溶液に導入した。腐食性ガスを導入し、試験溶液中の腐食性ガス濃度が飽和したときから720時間経過後、SSCの発生状況を調査した。また、試験溶液のpH、ガス導入管内の金属塩の付着状況を確認した。ガス導入管の内面に金属塩が付着していない場合を「無し」、付着している場合を「有り」とする。
Figure 2019190853
表2に示すように、湿潤処理の有無によって腐食試験結果に違いが見られなかった。
本発明によれば、試験溶液中の金属塩濃度が高い場合でも、ガス導入管の閉塞を生じさせることなく、腐食試験を行うことができる。
1 本実施形態に係る腐食試験装置
10 試験容器
11 試験溶液
12 被検体
13 応力付与装置
14 ガス導入管
15 ガス排気管
2 湿度調整部
20 湿度調整容器
21 純水
24 ガス導入管
25 ガス排気管
100 従来の腐食試験装置
110 試験容器
111 試験溶液
112 被検体
113 応力付与装置
114 ガス導入管
115 ガス排気管

Claims (6)

  1. 腐食環境を模擬した試験溶液中で金属材料からなる被検体に応力を負荷して、前記金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する装置であって、
    不活性ガスまたは腐食性ガスの湿度を、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上に調整する湿度調整部と、
    外気を遮断した状態で前記試験溶液を収容する試験容器と、
    前記試験溶液内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管と、
    前記試験容器内のガスを排気するガス排気管とを備える、
    腐食試験装置。
  2. 前記金属塩が、塩化ナトリウムであり、
    前記試験溶液中の塩化ナトリウムの濃度が、10質量%以上である、
    請求項1に記載の腐食試験装置。
  3. 前記ガス導入管が、ポリアミド系樹脂からなる、
    請求項1または2に記載の腐食試験装置。
  4. 前記湿度調整容器が、
    外気を遮断した状態で純水を収容する湿度調整容器と、
    前記純水内に不活性ガスまたは腐食性ガスを導入するガス導入管と、
    前記湿度調整容器内のガスを排気するガス排気管とを備える、
    請求項1から3までのいずれかに記載の腐食試験装置。
  5. 腐食環境を模擬した試験溶液中で金属材料からなる被検体に応力を負荷して、前記金属材料の耐応力腐食割れ性を試験する方法であって、
    (1)前記試験溶液内に、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整した不活性ガスを導入する工程、および、
    (2)前記試験溶液内に、前記試験溶液に含まれる金属塩の臨界湿度以上の湿度に調整した腐食性ガスを導入する工程、
    を順に実施する、
    腐食試験方法。
  6. 前記(1)の工程の前に、下記の(A1)〜(A3)を順に実施する、
    請求項5に記載の腐食試験方法。
    (A1)試験容器内に前記被検体を収容して、応力を負荷する工程、
    (A2)前記試験容器内を不活性ガスでパージする工程、および
    (A3)前記試験容器内に、前記試験溶液を注入する工程。
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