この発明を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一又は相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化又は省略する。なお、本発明は以下の実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
実施の形態1.
図1から図7は、この発明の実施の形態1に係るものである。図1は冷蔵庫の正面図である。図2は冷蔵庫の縦断面図である。図3は冷蔵庫の冷蔵室部分の拡大断面図である。図4は冷蔵庫の冷蔵室部分の拡大断面図である。図5は冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。図6は冷蔵庫の米注出時の動作例を示すフロー図である。そして、図7は冷蔵庫の米投入時の動作例を示すフロー図である。
この発明の実施の形態1に係る冷蔵庫は、冷蔵庫本体1を備えている。冷蔵庫本体1は、図2に示すように断熱箱体90を有している。断熱箱体90は、前面(正面)が開口されて内部に貯蔵空間が形成されている。断熱箱体90は、外箱、内箱及び断熱材を有している。外箱は鋼鉄製である。内箱は樹脂製である。内箱は外箱の内側に配置される。断熱材は、例えば発泡ウレタン等であり、外箱と内箱との間の空間に充填されている。断熱箱体90の内部に形成された貯蔵空間は、1つ又は複数の仕切り部材により、食品を収納保存する複数の貯蔵室に区画されている。
図1及び図2に示すように、ここでは、冷蔵庫本体1は、複数の貯蔵室として、例えば、冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500を備えている。これらの貯蔵室は、断熱箱体90において上下方向に4段構成となって配置されている。
冷蔵室100は、断熱箱体90の最上段に配置されている。切替室200は冷蔵室100の下方における左右の一側に配置されている。切替室200の保冷温度帯は、複数の温度帯のうちのいずれかを選択して切り替えることができる。切替室200の保冷温度帯として選択可能な複数の温度帯は、例えば、冷凍温度帯(例えば−18℃程度)、冷蔵温度帯(例えば3℃程度)、チルド温度帯(例えば0℃程度)及びソフト冷凍温度帯(例えば−7℃程度)等である。製氷室300は、切替室200の側方に隣接して切替室200と並列に、すなわち、冷蔵室100の下方における左右の他側に配置されている。
冷凍室400は、切替室200及び製氷室300の下方に配置されている。冷凍室400は、主に貯蔵対象を比較的長期にわたって冷凍保存する際に用いるためのものである。野菜室500は、冷凍室400の下方の最下段に配置されている。野菜室500は、主に野菜や容量の大きな(例えば2L等)の大型ペットボトル等を収納するためのものである。
冷蔵室100の前面に形成された開口部には、当該開口部を開閉する回転式の冷蔵室扉7が設けられている。ここでは、冷蔵室扉7は両開き式(観音開き式)であり、右扉7a及び左扉7bにより構成されている。
冷蔵庫本体1の前面の冷蔵室扉7(例えば、左扉7b)の外側表面には、操作パネル6が設けられている。操作パネル6は、図5に示すように操作部6a及び表示部6bを備えている。操作部6aは、各貯蔵室の保冷温度及び冷蔵庫本体1の動作モード(解凍モード等)を設定したり、後述するディスペンサ部9を使用したりするための操作スイッチである。表示部6bは、各貯蔵室の温度等の各種情報を表示する液晶ディスプレイである。また、操作パネル6は、操作部6aと表示部6bを兼ねるタッチパネルを備えていてもよい。
冷蔵室100以外の各貯蔵室(切替室200、製氷室300、冷凍室400及び野菜室500)は、それぞれ引き出し式の扉によって開閉される。これらの引き出し式の扉は、扉に固定して設けられたフレームを各貯蔵室の左右の内壁面に水平に形成されたレールに対してスライドさせることにより、冷蔵庫本体1の奥行方向(前後方向)に開閉できるようになっている。
図2に示すように、切替室200の内部には、切替室収納ケース201が引き出し自在に格納されている。冷凍室400の内部には、冷凍室収納ケース401が引き出し自在に格納されている。同様に、野菜室500内には、野菜室収納ケース501が引き出し自在に格納されている。これらの切替室収納ケース201、冷凍室収納ケース401及び野菜室収納ケース501のそれぞれの内部には、食品等を収納できる。
冷蔵庫本体1は、各貯蔵室へ供給する空気を冷却する冷凍サイクル回路を備えている。冷凍サイクル回路は、圧縮機2、凝縮器(図示せず)、絞り装置(図示せず)及び冷却器3等によって構成されている。圧縮機2は、冷凍サイクル回路内の冷媒を圧縮し吐出する。凝縮器は、圧縮機2から吐出された冷媒を凝縮させる。絞り装置は、凝縮器から流出した冷媒を膨張させる。冷却器3は、絞り装置で膨張した冷媒によって各貯蔵室へ供給する空気を冷却する。圧縮機2は、例えば、冷蔵庫本体1の背面側の下部に配置される。
冷蔵庫本体1には、冷凍サイクル回路によって冷却された空気を各貯蔵室へ供給するための風路5が形成されている。この風路5は、主に冷蔵庫本体1内の背面側に配置されている。冷凍サイクル回路の冷却器3は、この風路5内に設置される。また、風路5内には、冷却器3で冷却された空気を各貯蔵室へ送るための送風ファン4も設置されている。
送風ファン4が動作すると、冷却器3で冷却された空気(冷気)が風路5を通って冷凍室400、切替室200、製氷室300及び冷蔵室100へと送られ、これらの貯蔵室内を冷却する。野菜室500は、冷蔵室100からの戻り冷気を冷蔵室用帰還風路を介して野菜室500内に導入することで冷却される。野菜室500を冷却した冷気は、野菜室用帰還風路を通って冷却器3のある風路5内へと戻される(これらの帰還風路は図示せず)。そして、冷却器3によって再度冷却されて、冷蔵庫本体1内を冷気が循環する。
風路5からそれぞれの貯蔵室へと通じる中途の箇所には、図2では図示しないダンパが設けられている。各ダンパは、風路5の各貯蔵室へと通じる箇所を開閉する。ダンパの開閉状態を変化させることで、各貯蔵室へと供給する冷気の送風量を調節することができる。また、冷気の温度は圧縮機2の運転を制御することで調節することができる。
以上のようにして設けられた圧縮機2及び冷却器3からなる冷凍サイクル回路、送風ファン4、風路5及びダンパは、冷蔵室100を含む各貯蔵室の内部を冷却する冷却手段を構成している。
冷蔵庫本体1の例えば背面側の上部には、制御装置8が収容されている。制御装置8には、冷蔵庫本体1の動作に必要な各種の制御を実施するための制御回路等が備えられている。制御装置8が備える制御回路として、例えば、各貯蔵室内の温度及び操作パネル6に入力された情報等に基づいて圧縮機2及び送風ファン4の動作並びにダンパの開度を制御するための回路が挙げられる。すなわち、制御装置8は前述した冷却手段等を制御して、冷蔵庫本体1の動作を制御する。なお、各貯蔵室内の温度は、それぞれの貯蔵室に設置されたサーミスタ等により検知することができる。
図2及び図3に示すように、冷蔵室扉7の内側の面には、ドアポケット10が設けられている。このドアポケット10にも食品を載置、収納することができる。また、冷蔵室100の内部には、複数の棚板が設けられている。冷蔵室100の内部は、これらの棚板によって、上下方向に複数の空間(棚)に仕切られている。棚板によって区画された、冷蔵室100内の最上段には、米貯蔵室11が設けられている。
すなわち、米貯蔵室11は、貯蔵室である冷蔵室100の内部に設けられている。また、前述したように、冷蔵室100は、冷蔵庫本体1における最上段に配置されている。そして、米貯蔵室11は、冷蔵室100内の最上段に配置されている。したがって、この実施の形態における米貯蔵室11は、冷蔵庫本体1における貯蔵室が配置された領域の最上部に配置されている。
この実施の形態における米貯蔵室11は、粒状の食品を貯蔵するための粒状食品貯蔵部の一例である。粒状食品貯蔵部の貯蔵対象は、粒状の食品であれば米(生米)に限られない。粒状食品貯蔵部の貯蔵対象としては、他に例えば、玄米、麦等の穀物類、豆類等が挙げられる。
なお、後述する実施の形態3のように、米貯蔵室11は、冷蔵庫本体1における貯蔵室が配置された領域の最下部に配置されてもよいし、最上部及び最下部の両方に配置されてもよい。
図1から図3に示すように、冷蔵庫本体1の前面の冷蔵室扉7(例えば、左扉7b)には、ディスペンサ部9が設けられている。ディスペンサ部9は、米貯蔵室11内に貯蔵された米を庫外に排出するディスペンサである。この実施の形態におけるディスペンサ部9は、粒状食品貯蔵部である米貯蔵室11内の食品を取り出し可能な食品取出部の一例である。ディスペンサ部9には、米を注ぎ出す注出口16が形成されている。
図3に示すように、米貯蔵室11の下面前端部には、接続部14が設けられている。接続部14は、伸縮可能な中空筒状の部材である。接続部14は、例えば蛇腹状である。接続部14の一端は、米貯蔵室11の内部に通じている。また、冷蔵室扉7には、連通ダクト15が形成されている。連通ダクト15は、左扉7b及び右扉7aのうちのディスペンサ部9が設けられた側、すなわち、ここでは左扉7bに設けられる。連通ダクト15の下端は、ディスペンサ部9の注出口16に通じている。そして、左扉7bを閉じた状態で、連通ダクト15の上端が接続部14の他端に通じるようになっている。
米貯蔵室11内には、米搬送機構12が設けられている。米搬送機構12は、例えばスクリュー式コンベヤである。すなわち、米搬送機構12はスクリューを備えている。スクリューの回転軸は、駆動装置13に接続されている。駆動装置13は、例えば米貯蔵室11の背面部に設けられている。米搬送機構12のスクリューを駆動装置13により回転させることで、米貯蔵室11内の米が接続部14に送り出される。
米貯蔵室11は、ディスペンサ部9よりも上方に配置されている。このため、接続部14に送り出された米は、連通ダクト15を通って、ディスペンサ部9の注出口16から庫外に注ぎ出される。以上のようにして構成された、この実施の形態における米搬送機構12、駆動装置13、接続部14及び連通ダクト15は、米貯蔵室11内の米をディスペンサ部9まで搬送する食品搬送手段の一例である。
図1から図3に示すように、ディスペンサ部9には、前面が開放された直方体状に凹んだ空間が形成されている。当該空間の上面部には、注出口16が形成されている。注出口は、米が通過する開口である。注出口16は、図示しない蓋により開閉される。上面が開口した容器を前述した空間内に入れた状態、すなわち、容器が注出口16の下方にある状態で注出口16の蓋を開いて米搬送機構12が動作すると、注出口16から容器内に米が注がれる。
このようにして、ディスペンサ部9は、米貯蔵室11が設けられた冷蔵室100の冷蔵室扉7を閉じた状態で米貯蔵室11内の食品を取り出し可能である。また、前述したように、米貯蔵室11は、冷蔵庫本体1における貯蔵室が配置された領域の最上部に配置されている。そして、ディスペンサ部9は、冷蔵庫本体1の上下方向中心よりも上側に配置されている。
ここで、特に冷蔵室100の最上段は、使用者の手が届きにくいため、頻繁に使用する食品等が入れられることが少なく、使用者によってはデッドスペースとなってしまう。この実施の形態に係る冷蔵庫によれば、このような冷蔵室100の最上段に米貯蔵室11を配置した上でディスペンサ部9を設けることで、貯蔵された米等の粒状の食品を容易に取り出すことができるとともに、出し入れが容易な冷蔵庫中央部分における他の食材の収納容量を圧迫することを抑制できる。
例えば米貯蔵室11の背面部には、吸引装置17が設けられている。前述したように、接続部14は、中空筒状で伸縮可能である。米貯蔵室11内に米を投入する場合には、まず、図4に示すように、冷蔵室扉7を開き、接続部14を伸ばして米が入った米袋内に入れる。そして、吸引装置17を動作させる。吸引装置17が動作すると、米貯蔵室11内が負圧になる。このため、米袋内の米が接続部14の下端から吸引されて、米貯蔵室11内に投入される。
以上のように構成された、この実施の形態の吸引装置17は、米貯蔵室11内への米の収納時に米貯蔵室11内へ米を吸引する吸引手段を構成している。このような吸引手段を備えたことで、重たい米を入れた容器等を最上段の米貯蔵室11まで持ち上げる必要がなく、簡単に米を米貯蔵室11に入れることができる。
なお、冷蔵室扉7が閉じた状態で吸引装置17が動作すると、冷蔵室100内の全体が負圧となり、冷却器3で冷却された風路5中の冷気、及び、他の貯蔵室内の冷気が冷蔵室100内に吸い込まれてしまう可能性がある。また、冷蔵室扉7が閉じた状態で冷蔵室100内が負圧になると、冷蔵室扉7を開くことが困難になってしまう。そこで、吸引装置17は、米貯蔵室11が設けられた冷蔵室100の冷蔵室扉7が開いた状態で動作するようにするとよい。
また、前述したように、風路5から各貯蔵室へと通じる中途の箇所には、ダンパが設けられている。図3及び図4には、そのようなダンパの1つとして、冷蔵室100の内部と冷却器3との間の風路5を開閉するダンパ18を示している。そして、吸引装置17は、米貯蔵室11が設けられた冷蔵室100の内部と冷却器3との間を風路5を開閉するダンパ18が閉じた状態で動作するようにしてもよい。このようにすることで、吸引装置17が動作したことにより、冷却器3で冷却された風路5中の冷気が冷蔵室100内に吸い込まれてしまうことを抑制できる。
また、冷蔵室扉7及びダンパ18が開いた状態で吸引装置17が動作すると、今度は、吸引装置17により米とともに吸引した外気が、風路5に流入し、冷凍室400、切替室200、製氷室300等の冷蔵室100以外の貯蔵室の温度が上昇してしまう可能性がある。ダンパ18を閉じた状態で吸引装置17を動作させることで、このような他の貯蔵室への外気流入を防止できる。
図5は、冷蔵庫本体1の制御系統の機能的な構成を示すブロック図である。この図5には、特に米貯蔵室11を含む冷蔵室100及びディスペンサ部9の制御に関係する部分が示されている。制御装置8は、例えばマイクロコンピュータを備えており、プロセッサ8a及びメモリ8bを備えている。制御装置8は、メモリ8bに記憶されたプログラムをプロセッサ8aが実行することにより、予め設定された処理を実行し、冷蔵庫本体1を制御する。
制御装置8には、各貯蔵室に設置されたサーミスタ41から出力された各貯蔵室内の温度の検出信号が入力される。また、制御装置8には、操作パネル6の操作部6aからの操作信号も入力される。制御装置8は、入力された信号に基づいて、冷蔵室100を含む各貯蔵室内が設定された温度に維持されるように、圧縮機2及び送風ファン4の動作並びにダンパ18を含む各ダンパの開度等を制御する処理を実行する。また、制御装置8は、操作パネル6の表示部6bに表示信号を出力する。
さらに、制御装置8は、駆動装置13、注出口16の蓋及び吸引装置17の動作も制御する。例えば操作パネル6の操作部6aには、「米注出」ボタンが設けられている。使用者が「米注出」ボタンを操作すると、操作部6aから米注出の操作信号が出力される。米注出の操作信号が制御装置8に入力されると、制御装置8は、駆動装置13を駆動させて米搬送機構12を動作させ、米貯蔵室11内の米をディスペンサ部9まで搬送する。そして、制御装置8は、注出口16の蓋を開いて米を吐出し、庫外へ供給する。
また、米投入スイッチ42が操作されて米投入の操作信号が制御装置8に入力されると、制御装置8は、ダンパ18を閉鎖させ、吸引装置17を駆動させて米を吸引し、米貯蔵室11内へと米を投入する。なお、米投入スイッチ42は、操作パネル6ではなく冷蔵室100の内部に設けるとよい。このようにすることで、冷蔵室扉7を開いた状態でなければ米投入スイッチ42を操作することができなくなる。したがって、冷蔵室扉7が閉じた状態で米投入スイッチ42が操作されて吸引装置17が動作してしまうことを防止できる。
次に、図6のフロー図を参照しながら、以上のように構成された冷蔵庫本体1における米注出時の処理の一例を説明する。操作部6aの「米注出」ボタンがオン操作されると、まず、ステップS101において、制御装置8は、駆動装置13を駆動させて米搬送機構12を動作させる。続くステップS102において、制御装置8は、注出口16の蓋を開く。ステップS102の後、処理はステップS103へと進む。
ステップS103においては、制御装置8は、タイマー変数tを0に初期化する。そして、制御装置8は、タイマー変数tを用いて経過時間を積算する。ステップS103の後、処理はステップS104へと進む。
ステップS104においては、制御装置8は、タイマー変数tの値が、駆動時間trに達したか否かを確認する。駆動時間trは、予め設定される。駆動時間trは、具体的に例えば10秒等である。タイマー変数tの値が駆動時間trに達しない場合、タイマー変数tの値が駆動時間trに達するまで、ステップS104の処理を繰り返しながら待機する。そして、タイマー変数tの値が駆動時間trに達したら、処理はステップS105へと進む。
なお、駆動時間trは、例えば米1合を吐出する時間に設定し、使用者が取り出したい合数分、米注出操作を行うようにしてもよい。また、操作パネル6に取り出したい合数を選択できるようにスイッチ等を設け、操作パネル6の入力信号により、制御装置8が選択された合数に応じた駆動時間trを設定するようにしてもよい。
ステップS105においては、制御装置8は、駆動装置13の動作を停止させる。そして、続くステップS106において、制御装置8は、注出口16の蓋を閉じる。ステップS106の処理が完了すると、一連の米注出動作は終了となる。
次に、図7のフロー図を参照しながら、以上のように構成された冷蔵庫本体1における米投入時の処理の一例を説明する。冷蔵室扉7が開かれて冷蔵室100内の米投入スイッチ42がオン操作されると、まず、ステップS1101において、制御装置8は、冷蔵室100に通じるダンパ18を閉鎖する。続くステップS1102において、制御装置8は、吸引装置17を動作させる。ステップS1102の後、処理はステップS1103へと進む。
ステップS1103においては、制御装置8は、米投入スイッチ42がオフ操作されたか否かを確認する。米投入スイッチ42がオフ操作されない場合、米投入スイッチ42がオフ操作されるまでステップS1103の処理を繰り返しながら待機する。そして、米投入スイッチ42がオフ操作されたら処理はステップS1104へと進む。
ステップS1104においては、制御装置8は、吸引装置17の動作を停止させる。そして、続くステップS1105において、制御装置8は、冷蔵室100に通じるダンパ18の閉鎖を解除する。したがって、制御装置8は、冷蔵室100の設定温度及びサーミスタ41の検出結果に基づいてダンパ18の開度を調節する通常制御を行う。ステップS1105の処理が完了すると、一連の米投入動作は終了となる。
なお、米貯蔵室11は、冷蔵室100に対し着脱可能にするとよい。米貯蔵室11内には直接米が貯蔵される。米貯蔵室11を着脱可能とすることで、使用者は米貯蔵室11を冷蔵室100から取り外して洗浄することができ、米貯蔵室11内を清潔に保つことができる。また、米貯蔵室11を着脱可能とする代わりに、米貯蔵室11内に着脱自在なケースを備え、このケース内に米を貯蔵するようにしてもよい。
実施の形態2.
図8及び図9は、この発明の実施の形態2に係るものである。図8は冷蔵庫の冷蔵室部分の拡大断面図である。そして、図9は冷蔵庫の制御系統の構成を示すブロック図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成において、ディスペンサ部9において米とともに水も注ぎ出すことができるようにしたものである。また、この実施の形態2では、冷蔵庫本体1の外部から米、水の注出指示を行うことができるようにもしている。以下、この実施の形態2に係る冷蔵庫について、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1と基本的に同様である。
この発明の実施の形態2に係る冷蔵庫においては、図8に示すように、冷蔵庫本体1は給水タンク19を備えている。ここで示す構成例では、給水タンク19は、冷蔵室100内の最下段に設けられている。給水タンク19には、ディスペンサ部9から注ぎ出すための水が貯められる。給水タンク19とディスペンサ部9との間には、給水パイプ21が設けられている。給水パイプ21は、給水タンク19内の水をディスペンサ部9へと送るためのものである。給水パイプ21は、冷蔵庫本体1外部の背面及び上面に沿って、冷蔵室扉7のディスペンサ部9にまで設けられている。
給水タンク19の背面側には、給水ポンプ20が設けられている。給水ポンプ20が動作すると、給水タンク19内の水は給水パイプ21を通ってディスペンサ部9へと送られる。ディスペンサ部9の上面部には、連通ダクト15と通じる米の注出口16の他に、給水パイプ21と通じる水の注出口も形成されている。このため、炊飯する際に必要な米と水の両方を冷蔵庫本体1から供給することができ、使用者の手間を省くことができる。
また、この実施の形態の構成例では、ディスペンサ部9の下面部に支持台23が設けられている。この支持台23により、ディスペンサ部9の注出口16の下方に、より大きな容器を置くことができる。このため、例えば、ボウル、炊飯釜等のカップより大きい容器であっても使用者が手で支える必要なく、ディスペンサ部9から米、水を注ぎ入れることができる。
この実施の形態においては、冷蔵庫本体1は通信装置22を備えている。通信装置22は、冷蔵庫本体1の例えば上面における背面寄りの位置に設置されている。図9に示すように、通信装置22は、電気通信回線24と通信可能に接続されている。通信装置22は、電気通信回線24を介して冷蔵庫本体1の外部と通信可能である。通信装置22は、制御装置8と接続されている。したがって、通信装置22により、制御装置8は、冷蔵庫本体1の外部と電気通信回線24を介して双方向に通信可能である。
電気通信回線24は電灯線、赤外線、非赤外線、無線、公衆電話回線、加入者専用通信回線、光ケーブル、インターネット、衛星回線等のデジタル又はアナログの信号の通信回線を指す。通信装置22と電気通信回線24との間での通信形式は、有線であっても無線であってもよい。
図9では、冷蔵庫本体1の外部にある通信対象の例として、スマートフォンを含む携帯電話、タブレット端末等の携帯情報端末43を示している。なお、冷蔵庫本体1の外部にある通信対象として他に例えば、パソコン、HEMSのコントローラ等が挙げられる。
携帯情報端末43は、操作パネル6の操作部6a及び表示部6bの機能の一方又は両方を備えている。すなわち、携帯情報端末43を操作することで、冷蔵庫本体1の制御装置8に指令を伝えることができる。また、携帯情報端末43で冷蔵庫本体1の情報を受信し、携帯情報端末43のディスプレイに冷蔵庫本体1の情報を表示できる。
特にディスペンサ部9に関しては、制御装置8は、米搬送機構12の駆動装置13、注出口16の蓋に加えて、給水ポンプ20の動作を制御する。携帯情報端末43では、少なくとも米注出を指示する操作を行うことができるようになっている。携帯情報端末43で米注出を指示する操作を行うと、米注出を指示する信号が、携帯情報端末43から電気通信回線24及び通信装置22を介して制御装置8に入力される。制御装置8は、操作パネル6から米注出を指示する信号が入力された場合と同様に、例えば実施の形態1で説明した図6に示す処理により、ディスペンサ部9から米を注出する。すなわち、この実施の形態においては、食品搬送手段の米搬送機構12は、通信装置22が外部から受信した信号に応じて動作可能である。
また、携帯情報端末43は、水注出を指示する操作を行うことができるようにしてもよい。すなわち、制御装置8は、通信装置22が外部から受信した信号に応じて給水ポンプ20を動作させる。
このような構成により、外出先等から冷蔵庫本体1を操作することができる。例えば、予め支持台23にボウル等を置いておき、外出先等から携帯情報端末43を操作し、電気通信回線24を介して米と水の注出を指示する。通信装置22が指示信号を受信すると、制御装置8は、駆動装置13を駆動させて米を注出し、給水ポンプ20を駆動させて水を注出する。このため、使用者が帰宅する前に、米を水に浸漬して米の吸水時間を十分にとることができる。そして、炊飯準備時間の短縮できるとともに、米にしっかりと吸水させておいしいご飯を炊くことができる。
なお、ディスペンサ部9で注出する水の量は、例えば200ml等と水量を携帯端末に入力してもよいし、選択された米の量に応じて、水量を自動で算出してもよい。制御装置8は、要求された水量に応じて、予め設定された時間、給水ポンプ20を駆動させて、水を供給する。
実施の形態3.
図10及び図11は、この発明の実施の形態3に係るものである。図10は冷蔵庫の正面図である。そして、図11は冷蔵庫の縦断面図である。
ここで説明する実施の形態3は、前述した実施の形態1又は実施の形態2の構成において、米貯蔵室11を冷蔵庫本体1の最下部に配置したものである。以下、この実施の形態3に係る冷蔵庫について、実施の形態1の構成を元にした場合を例に挙げ、実施の形態1との相違点を中心に説明する。説明を省略した構成については実施の形態1又は実施の形態2と基本的に同様である。
この発明の実施の形態3に係る冷蔵庫においては、図10に示すように、米貯蔵室11が、これまでに説明してきた実施の形態1、2のように冷蔵室100の内部にあるのではなく、単独の貯蔵室として設けられている。そして、冷蔵庫本体1の複数の貯蔵室、すなわち、冷蔵室100、切替室200、製氷室300、冷凍室400、野菜室500及び米貯蔵室11は、上下方向に5段構成となって配置されている。米貯蔵室11は、これらの貯蔵室のうちで最も下に配置されている。この実施の形態においては、米貯蔵室11の内部が、粒状の食品を貯蔵するための粒状食品貯蔵部になっている。そして、この粒状食品貯蔵部は、冷蔵庫本体1における貯蔵室が配置された領域の最下部に配置されている。
米貯蔵室11の前面(正面)は開口しており、この開口を開閉する米貯蔵室扉30が設けられている。米貯蔵室11の内部には、米収納ケース25が設けられている。米収納ケース25は、引き出し式になっており、米貯蔵室11に対し着脱自在である。
米収納ケース25内には、米袋ごと米を収容可能である。すなわち、米貯蔵室11は、包装材に包装された状態の米を収納可能である。一般家庭で購入される米は、少ないものなら1〜2kg、多いものでも10kgが1袋で市販されていることが多い。そこで、米収納ケース25は、10kgの米袋が入るようなサイズとすることが望ましい。具体的には、米収納ケース25は、幅275mm以上、奥行き400mm以上、高さ120mm以上の寸法とするとよい。
米収納ケース25内には、押出機構26が設けられている。押出機構26は、米収納ケース25内における背面側(奥側)に配置されている。そして、押出機構26は、米収納ケース25内の米袋を奥側から手前側に押すように付勢されている。
米貯蔵室11内とディスペンサ部9の注出口16とは、搬送ダクト28により通じている。搬送ダクト28の米貯蔵室11側には、貫入部27が設けられている。貫入部27は、米収納ケース25内の米袋の内部に差し入れられる。この際、貫入部27は、米収納ケース25内の米袋の手前側から米袋内に挿入される。米貯蔵室扉30を閉じた状態では、貫入部27及び搬送ダクト28を介して、米袋の内部から注出口16までが通じる。
搬送ダクト28には、搬送用吸引ポンプ29が設けられている。搬送用吸引ポンプ29が動作すると、米袋の内部の米が貫入部27を介して搬送ダクト28内へと吸引される。そして、搬送ダクト28内の米は、搬送ダクト28内を吸い上げられ、ディスペンサ部9の注出口16から庫外に吐出される。
以上のようにして構成された、この実施の形態の貫入部27、搬送ダクト28及び搬送用吸引ポンプ29は、米貯蔵室11内の米をディスペンサ部9まで搬送する食品搬送手段の一例である。そして、この実施の形態の食品搬送手段は、米貯蔵室11内の米を吸引してディスペンサ部9に送り出す搬送用吸引手段である搬送用吸引ポンプ29を備えている。
なお、ディスペンサ部9に米が吸い上げられると、米袋の内部の特に貫入部27が設けられた手前側の米が減る。この実施の形態の構成例では、押出機構26により米袋の外側から手前側へと米を押している。このため、手前側の米が減っても、奥側から米が手前側へと移動するため、最後まで連続して米袋内の米を貫入部27から吸い上げることができる。
ここで、冷蔵庫本体1の最下段は、使用者がしゃがみこまないと手が届きにくいため、頻繁に使用する食品を入れると、出し入れが不便になる。以上のように構成された冷蔵庫においては、米を袋ごとまとめて貯蔵するため直接的に米貯蔵室扉30を開閉する頻度が少ない米貯蔵室11を設け、ディスペンサ部9は冷蔵室扉7に設けて米を取り出せる構成とすることで、実施の形態1又は実施の形態2と同様の効果を奏することができる。さらに、米収納ケース25に袋ごと米を貯蔵できるため、米を袋から出す手間を省くことができ、利便性を向上できる。