JP2019190312A - プラント制御装置および発電プラント - Google Patents

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光平 岩本
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Masayuki Tobo
昌幸 当房
拓郎 小西
Takuo Konishi
拓郎 小西
秀顕 島田
Hideaki Shimada
秀顕 島田
尚毅 持田
Naotake Mochida
尚毅 持田
啓一 中村
Keiichi Nakamura
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Abstract

【課題】蒸気タービンを短時間で起動可能なプラント制御装置および発電プラントを提供する。【解決手段】一の実施形態によれば、プラント制御装置は、ガスタービンと、前記ガスタービンにより駆動される発電機と、前記ガスタービンから排出された排ガスの熱を利用して主蒸気を生成する熱交換器を備える排熱回収ボイラと、前記主蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記主蒸気の圧力を検出する主蒸気圧力センサと、を備える発電プラントを制御する。前記装置は、前記検出された前記主蒸気の圧力を、前記熱交換器内の伝熱管の暴露温度に応じて変化する前記熱交換器内の伝熱管の許容圧力に基づいて定められる所定の圧力以下に制御する。前記装置はさらに、前記検出された前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下である場合に、前記発電機を電力グリッド系統に電気的に結合させる。前記装置はさらに、前記ガスタービンの出力を制御する。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、プラント制御装置および発電プラントに関する。
ガスタービンと、排熱回収ボイラと、蒸気タービンとを組み合わせて構成するコンバインドサイクル発電プラントが知られている。ここで、排熱回収ボイラは、ガスタービンの排ガスから熱回収して蒸気を生成する。蒸気タービンは、排熱回収ボイラが生成する蒸気により駆動される。
特開2015−227630号公報 特許第6139311号公報
ASME BPVC.I−2017
蒸気タービンへの通気開始を早めて蒸気タービンを早く起動するために、ガスタービンの出力を早い段階で大きく上昇させて排ガス温度を高温にし、主蒸気温度を早く所定温度にすることが考えられる。しかし、排熱回収ボイラ内の熱交換器(例えば過熱器)は最高使用温度が定められているので、排ガス温度を高温にすると熱交換器が破損する可能性がある。
具体的には、排熱回収ボイラから充分な主蒸気が発生している場合には、熱交換器内を流れる主蒸気が冷却効果を発揮して熱交換器が最高使用温度にならないため、排ガス温度が最高使用温度を超えても問題とならない。しかし、主蒸気の発生がないか極端に少ない場合には、熱交換器が主蒸気により冷却されずに最高使用温度を超えるという、熱交換器のから焚きの問題が生じる。
この問題を回避するため、主蒸気流量が所定値以上になってからガスタービン用の発電機を並列することで、熱交換器のから焚きを防止する方法が知られている。しかし、この場合には、主蒸気流量が所定値以上になるまでガスタービンを無負荷定格回転に保持する必要があるため、蒸気タービンの起動工程が遅延してしまう。
そこで、本発明の実施形態は、蒸気タービンを短時間で起動可能なプラント制御装置および発電プラントを提供することを課題とする。
一の実施形態によれば、プラント制御装置は、ガスタービンと、前記ガスタービンにより駆動される発電機と、前記ガスタービンから排出された排ガスの熱を利用して主蒸気を生成する熱交換器を備える排熱回収ボイラと、前記主蒸気により駆動される蒸気タービンと、前記主蒸気の圧力を検出する主蒸気圧力センサと、を備える発電プラントを制御する。前記装置は、前記検出された前記主蒸気の圧力を、前記熱交換器内の伝熱管の暴露温度に応じて変化する前記熱交換器内の伝熱管の許容圧力に基づいて定められる所定の圧力以下に制御する圧力制御部を備える。前記装置はさらに、前記検出された前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下である場合に、前記発電機を電力グリッド系統に電気的に結合させる結合制御部を備える。前記装置はさらに、前記ガスタービンの出力を制御する出力制御部を備える。
第1実施形態の発電プラントの構成を示す模式図である。 第1実施形態の発電プラントの動作を示すフローチャート(1/2)である。 第1実施形態の発電プラントの動作を示すフローチャート(2/2)である。 第1実施形態の熱交換器の許容圧力と温度との関係を示すグラフである。 第1実施形態のGT排ガス温度とGT出力との関係を示すグラフである。 第2実施形態の発電プラントの動作を示すフローチャート(1/2)である。 第2実施形態の発電プラントの動作を示すフローチャート(2/2)である。 第2実施形態の変形例の発電プラントの動作を示すフローチャート(1/2)である。 第2実施形態の変形例の発電プラントの動作を示すフローチャート(2/2)である。 比較例の発電プラントの動作を示すフローチャート(1/2)である。 比較例の発電プラントの動作を示すフローチャート(2/2)である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の発電プラント1の構成を示す模式図である。この発電プラント1は、発電プラント1を制御するプラント制御装置2を備えている。プラント制御装置2の例は、プロセッサ、電気回路、PC(Personal Computer)などである。本実施形態の発電プラント1は、コンバインドサイクル発電プラントである。図1はさらに、電力グリッド系統3と、発電機遮断器4とを示している。
図1に示すように、発電プラント1は、ガスタービン11と、燃料調節弁12と、圧縮機13と、燃焼器14と、GT(ガスタービン)発電機15と、排熱回収ボイラ21と、蒸発器22と、ドラム23と、熱交換器24と、アンモニア供給設備25と、アンモニア供給弁26と、脱硝触媒27と、蒸気タービン31と、加減弁32と、タービンバイパス調節弁33と、復水器34と、循環水ポンプ35と、ST(蒸気タービン)発電機36とを備えている。
発電プラント1はさらに、排ガス温度センサTS1と、主蒸気流量センサTS2と、主蒸気圧力センサTS3と、触媒温度センサTS4と、メタル温度センサTS5と、GT発電機電力センサOSとを備えている。
燃料調節弁12は、燃料配管に設けられている。燃料調節弁12が開弁されると、燃料配管から燃焼器14へと燃料A1が供給される。一方、圧縮機13は、燃焼器14に圧縮空気を供給する。燃焼器14は、燃料A1を圧縮空気と共に燃焼させ、高温・高圧の燃焼ガスを発生させる。
ガスタービン11は、燃焼ガスにより回転駆動されることで、ガスタービン11に接続された回転軸を回転させる。GT発電機15は、この回転軸を介してガスタービン11により駆動されることで発電を行う。ガスタービン11から排出された排ガスA2は、排熱回収ボイラ21に送られる。排熱回収ボイラ21は、後述するように、排ガスA2の熱を利用して蒸気を生成する。
GT発電機電力センサOSは、GT発電機15の電気出力を検出し、この電気出力の検出結果をプラント制御装置2に出力する。GT発電機15の電気出力とは、GT発電機15がガスタービン11より受領した仕事であり、本実施形態ではガスタービン11が外部に与えた仕事にほぼ等しい。GT発電機電力センサOSは、その電気出力を送電する送電線上(発電機遮断器4の下流部)に設けられている。なお、ST発電機36にも同様の発電機遮断器4と電力センサOSが設置されている。また、排ガス温度センサTS1は、ガスタービン11の出口付近で排ガスA2の温度を検出し、この温度の検出結果をプラント制御装置2に出力する。
蒸発器22、ドラム23、および熱交換器24は、排熱回収ボイラ21内に設けられており、排熱回収ボイラ21の一部を構成している。本実施形態の熱交換器24は、例えば過熱器である。ドラム23内の水は、蒸発器22に送られ、蒸発器22内で排ガスA2により加熱されることで飽和蒸気となる。飽和蒸気は、熱交換器24に送られ、熱交換器24内で排ガスA2との熱交換により過熱されることで過熱蒸気A4となる。排熱回収ボイラ21により生成された過熱蒸気A4は、蒸気配管に排出される。以下、この過熱蒸気A4を主蒸気と呼称する。
アンモニア供給設備25は、アンモニア供給弁26を介して排熱回収ボイラ21内にアンモニアA3を供給する。脱硝触媒27は、排熱回収ボイラ21内に配置されている。アンモニア供給設備25が排熱回収ボイラ21内にアンモニアA3を供給すると、脱硝触媒27の作用によりアンモニアA3が排ガスA2内の窒素酸化物と反応し、排ガスA2から窒素酸化物が除去される。アンモニア供給設備25は、脱硝装置の例である。
主蒸気流量センサTS2は、排熱回収ボイラ21の出口付近で主蒸気A4の流量を検出し、この流量の検出結果をプラント制御装置2に出力する。主蒸気圧力センサTS3は、排熱回収ボイラ21の出口付近で主蒸気A4の圧力を検出し、この圧力の検出結果をプラント制御装置2に出力する。触媒温度センサTS4は、脱硝触媒27の温度を検出し、この温度の検出結果をプラント制御装置2に出力する。
上述の蒸気配管は、蒸気タービン31に接続された主配管と、復水器34に接続されたバイパス配管とに分岐している。加減弁32は、主配管に設けられている。タービンバイパス調節弁33は、バイパス配管に設けられている。
加減弁32が開弁されると、主配管の主蒸気A4が蒸気タービン31へと供給される。蒸気タービン31は、主蒸気A4により回転駆動されることで、蒸気タービン31に接続された回転軸を回転させる。ST発電機36は、この回転軸を介して蒸気タービン31により駆動されることで発電を行う。なお、蒸気タービン31の出力は、蒸気タービン31が外部に与えた仕事であり、本実施形態では蒸気タービン31に接続されたST発電機36の電気出力にほぼ等しい。蒸気タービン31から排出された排気蒸気A5は、復水器34に送られる。
一方、タービンバイパス調節弁33が開弁されると、バイパス配管の主蒸気A4が蒸気タービン31をバイパスして復水器34に送られる。復水器34は、循環水ポンプ35からの循環水A6を入口から取り込み、主蒸気A4や排気蒸気A5を循環水A6により冷却し、主蒸気A4や排気蒸気A5を水に戻す。循環水A6が海水である場合には、復水器34の出口から排出された循環水A6は海に戻される。
メタル温度センサTS5は、蒸気タービン31の第1段内面のメタル温度を検出し、この温度の検出結果をプラント制御装置2に出力する。
以下、発電プラント1の構成についてより詳細に説明する。
一般にコンバインドサイクル発電プラントは、1台のガスタービンに1台の蒸気タービンを組み合わせる「1on1タイプ」と、複数台のガスタービンに1台の蒸気タービンを組み合わせる「Non1タイプ」とに分類される(Nは2以上の整数)。前者はさらに、ガスタービンと蒸気タービンが同じ軸に接続される一軸型と、ガスタービンと蒸気タービンが異なる軸に接続される別軸型とに分類される。一方、後者は多軸型と呼ばれる。図1の発電プラント1は別軸型であり、ガスタービン11と蒸気タービン31がそれぞれGT発電機15とST発電機36を独立して駆動する。ただし、本実施形態は一軸型や多軸型にも適用可能である。
本実施形態の脱硝触媒27は、高性能の低温触媒タイプのものであり、例えば、脱硝触媒27が150℃になればアンモニア注入が可能となる。よって、ガスタービン11のFSNL(無負荷定格回転)状態での暖気は、40分で実行することができる。すなわち、脱硝触媒27の温度を、アンモニア注入が可能な150℃まで40分で上昇させることができる。
図5は、第1実施形態のGT排ガス温度とGT出力との関係を示すグラフである。GT排ガス温度は、排ガス温度センサTS1により測定される排ガスA2の温度である。GT出力は、GT発電機電力センサOSにより測定されるガスタービン11の出力であり、GT発電機15の電気出力にほぼ等しい。
本実施形態のガスタービン11は、GT排ガス温度を最高で620℃まで上昇させることが可能な特性を有している。以下、この620℃という温度を、排ガスA2の最高温度と呼ぶ。一方、本実施形態の熱交換器24の最高使用温度は、図5にて符号Tmaxで示すように550℃である。以下、熱交換器24の最高使用温度に関し、熱交換器24のから焚き防止と関連付けて説明する。
本実施形態の熱交換器24は例えば、伝熱管(チューブ)により構成される過熱器である。熱交換器24は、この伝熱管以外に、管寄せや連絡配管などの諸構成部品を備えている。排熱回収ボイラ21は、図1の熱交換器24とは異なる熱交換器をさらに備えていてもよく、このような熱交換器の例は、主蒸気A4を再熱する再熱器である。以下、過熱器として機能する熱交換器24の詳細を説明するが、以下の説明は、排熱回収ボイラ21のその他の熱交換器(例えば再熱器)にも適用可能である。
GT排ガス温度が最も高くなるGT出力は、図5に示すように、定格100%出力ではなく、中間出力域にある。GT出力が中間出力域となる段階では、発電プラント1の起動工程は相当進行している。よって、この段階ではすでに蒸気タービン31の通気がなされており、熱交換器24からは多量の主蒸気A4が発生している。そのため、主蒸気A4は熱交換器24を内部から冷却する効果を発揮する。すなわち、主蒸気A4が熱交換器24の伝熱管内を通過すれば、熱交換器24のから焚きは回避される。
熱交換器24を設計する際には、GT排ガス温度、主蒸気A4などの内部流体の温度や流量、熱交換器24の物理的強度、熱交換器24での発生応力、商用機として求められる経済性などの観点から、熱交換器24のサイズ、材質、厚さなどが選ばれる。その結果、熱交換器24の温度は、熱交換器24内を通過する主蒸気A4の温度の近傍で整定する。なお、熱交換器24内で最も高温になる部分は、一般に排ガスA2に直接触れる伝熱管の外側表面である。
熱交換器24の最高使用温度は例えば、このようなGT排ガス温度や内部流体流量を考慮に入れて、必要かつ充分なマージンを有するように選定される。例えば、排ガスA2の最高温度が600〜650℃となるガスタービン11と組み合わせる排熱回収ボイラ21においては、熱交換器24の最高使用温度は550〜600℃程度である。しかし、主蒸気A4による冷却効果が利用できる場合には、GT排ガス温度を熱交換器24の最高使用温度よりも高くし、このような排ガスA2に熱交換器24をさらすことが許容される。
主蒸気A4による冷却効果は、15%(目標出力)以下の初期の起動負荷の状況下においても、中間出力域に比べて小さいとはいえ期待できる。初期の起動負荷の状況下でも、少量の主蒸気A4が発生するからである。よって、目標出力を適切に選定すれば、GT排ガス温度が熱交換器24の最高使用温度を超えても、主蒸気A4による冷却効果により熱交換器24の温度を最高使用温度以下にすることができる。これにより、から焚き問題を回避しつつ、発電プラント1の起動時間を短縮することが可能となる。
しかし、排熱回収ボイラ21は大きな熱容量を有する。よって、GT排ガス温度が比較的低温のFSNL運転中(別言すれば燃料供給量が少ない間)に、主蒸気A4の発生を待つ。そのため、主蒸気A4の流量が充分に大きくなるまでに、場合によっては、約30分から1時間という長い時間を要する。このデメリットは例えば、FSNL状態で脱硝触媒27の温度上昇を待っている時間に主蒸気A4の発生を待つことで対処できる。
しかし、昨今の脱硝触媒27は低温触媒が指向されており、将来的にはより低温化が進むと考えられる。このような低温触媒は、比較的短時間のFSNL運転で脱硝反応に充分な温度に到達する。そのため、上記のような対処法を採用した場合、FSNL状態で脱硝触媒27の温度上昇を待つ時間が、低温触媒の採用により短くなり、主蒸気A4の発生を待つことが難しくなる。すなわち、低温触媒の採用により、主蒸気A4が不足することが問題となる。
以下、本実施形態の発電プラント1の動作と、比較例の発電プラント1の動作とを比較することで、このことをより詳細に説明する。具体的には、比較例の発電プラント1の動作を説明した後、本実施形態の発電プラント1の動作を説明する。以下の説明中で登場する参照符号については、図1に示す参照符号を参照されたい。
(1)比較例の発電プラント1の動作
図10および図11は、比較例の発電プラント1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは発電プラント1の起動動作を示しており、この起動動作はプラント制御装置2内のソフトウェアや回路により制御される。なお、以下の説明中に使用される具体的な数値は、容易な理解のために記載する一例である。
ガスタービン11を起動すると(ステップS1)、まずガスタービン11のパージ運転が行われる(ステップS2)。次に、ガスタービン11の着火および昇速の過程(ステップS3)を経て、ガスタービン11がFSNL状態に到達する(ステップS4)。この時点で、ガスタービン11から出る排ガスA2は燃焼に伴うNOx(窒素酸化物)を含む。しかしながら、この起動初期工程では未だに脱硝触媒27の温度が低く、アンモニアガスA3を注入してもNOxと反応するアンモニア量は少ないことから、脱硝触媒効率が低い。このため、この時点からアンモニアガスA3の注入を行うことはできない。
そこで、FSNL状態における燃料A1は少量であり、 排出されるNOx流量も少ないことに着目する。FSNL状態に移行した後は、すぐにGT発電機15を並列する起動工程に入るのではなく、排熱回収ボイラ21と脱硝触媒27の暖気運転のためにFSNL状態を保持する。
そこで、触媒温度センサTS4により脱硝触媒27の温度(触媒温度)を計測して(ステップS5)、プラント制御装置2は、触媒温度センサTS4からの触媒温度信号を用いて触媒温度が150℃以上となったか否かを判定する(ステップS6)。この暖気プロセスでは、排ガスA2が排熱回収ボイラ21に流入すると、排ガスA2の熱は最初、脱硝触媒27よりも上流に配置された蒸発器22や熱交換器24が奪ってしまうので、脱硝触媒27になかなか伝わらない。FSNL状態を継続する間に、脱硝触媒27にまで熱が伝わるようになって、触媒温度が上昇する。40分のFSNL状態を保持すると、脱硝触媒効率が安定する温度である150℃まで脱硝触媒27は暖められる。
なお、脱硝触媒効率が安定したことの指標として、触媒温度センサTS4の温度ではなく、脱硝触媒27の入口に設けられた温度センサにより計測された排ガスA2の温度を用いてもよい。この場合、プラント制御装置2は、計測された排ガスA2の温度が規定の閾値以上になった場合に、脱硝触媒効率が安定したとみなしてもよい。
このFSNL状態を保持する間に、蒸発器22では蒸発量が徐々に増加し、これによりドラム23内の蒸気圧力が徐々に増加する。さらには、ドラム23の下流部の熱交換器24と加減弁32とを繋ぐ配管内の圧力も増加する。主蒸気圧力センサTS3はこの圧力を計測し(ステップS21)、プラント制御装置2は、この計測された圧力値が第1フロア圧力に到達したか否か(すなわち、第1フロア圧力以上であるか否か)を判定する(ステップS22)。
ここで、第1フロア圧力とは、タービンバイパス調節弁33の圧力制御設定値のことである。上記の圧力値が第1フロア圧力にまで到達したとき(ステップS22 YES)、タービンバイパス調節弁33が開弁され、タービンバイパス調節弁33による圧力制御が開始される(ステップS23)。このとき、初めて上記配管内に蒸気の流れができる。この蒸気の流れが主蒸気A4である。主蒸気A4の圧力は、タービンバイパス調節弁33の開度により制御される。
なお、第1フロア圧力のフロア(floor)とは床を意味し、フロア圧力は、コンバインドサイクル発電プラントの起動初期工程において保持される主蒸気圧力である。フロア圧力は、蒸気タービン31の通気が行われるボトム(基底)の主蒸気圧力を意味するテクニカルタームとして発電分野で使用されている。
また、第1フロア圧力の「第1」は、後述する第1実施形態の第2フロア圧力と区別するために便宜上付されている。本比較例の第1フロア圧力は、ドラム23の汽水分離、蒸気タービン31の許容圧力、タービンバイパス調節弁33の経済的なサイズなどを考慮して選定される。第1フロア圧力は例えば6〜8MPa程度である。一方、後述する第1実施形態の第2フロア圧力は、本比較例の第1フロア圧力よりも低圧であり、例えば4.5MPaである。
また、タービンバイパス調節弁33と第1フロア圧力との関係に関しては、主蒸気A4の流量を一定に維持しつつ第1フロア圧力を低圧にすると、タービンバイパス調節弁33の開度は大きくなる。理由は、タービンバイパス調節弁33の弁体を通過するボリュームフローを増やす必要があるからである。逆に、主蒸気A4の流量を一定に維持しつつ第1フロア圧力を高圧にすると、タービンバイパス調節弁33の開度は小さくなる。これは、第2フロア圧力についても同様である。
このように、蒸気タービン31の通気が許容されるまでの間、タービンバイパス調節弁33は、主蒸気A4の圧力を第1フロア圧力にするように開弁される。この主蒸気A4はすべて、タービンバイパス調節弁33を経由して復水器34に導かれる。
ガスタービン11がFSNL状態に到達した後(ステップS4)、主蒸気流量センサTS2は主蒸気A4の流量を計測し(ステップS7)、プラント制御装置2は、計測された主蒸気流量が規定の発生流量Fα以上になったか否かを判定する(ステップS8)。ここで、規定の発生流量Fαは、ガスタービン11をFSNL状態に40分間保持した場合の主蒸気流量の経験値である。
ステップS9のANDゲートは、主蒸気流量が規定の発生流量Fα以上になり(ステップS8 YES)、かつ触媒温度が150℃以上になった(ステップS6 YES)ことを判定する。このANDが成立すると、プラント制御装置2が発電機遮断器4を閉じて、GT発電機15が並列される(ステップS10)、すなわち、GT発電機15が電力グリッド系統3に電気的に結合されて、GT発電機15の電気出力が電力グリッド系統3に送電される。
その後、プラント制御装置2は、アンモニア供給弁26を開弁する(ステップS11)と共に、GT出力を初負荷への上昇を経て(ステップS12、S13)、目標出力である15%になるまで上昇させる(ステップS15、S16)。この間、メタル温度センサTS5は、蒸気タービン31の第1段内面のメタル温度を繰り返し測定し、プラント制御装置2は、この測定結果を保存する(ステップS14)。そして、プラント制御装置2は、主蒸気温度が通気可能な温度になるようにGT出力を15%に保持する暖気を行う。
主蒸気温度が「メタル温度−20℃」以上になったら(ステップS17)、主蒸気温度とメタル温度とを近付けるマッチング制御を開始する(ステップS18)。そして、主蒸気温度とメタル温度との差が一定時間以上継続して±ε℃以内になったら(ステップS19)、蒸気タービン31の通気を開始する(ステップS20)。その後も発電プラント1の起動工程が継続される。
本比較例では、GT出力が目標出力(15%)のときに、排ガス温度は560℃となり熱交換器24の最高使用温度(550℃)を超える。しかし、主蒸気A4がもたらす冷却効果により、熱交換器24の温度が熱交換器24の最高使用温度以下となるので、熱交換器24が最高使用温度よりも高温になる問題は抑えられる。
本比較例では、脱硝触媒27として低温触媒を採用し、目標出力を15%と低くして少量の熱量で暖気運転を行う。そのため、主蒸気温度が通気可能な温度になるまでに長時間を要する。理由は、低温触媒を採用する場合には、40分という短時間のFSNL運転で脱硝反応に充分な触媒温度を実現できるので、主蒸気A4の発生が不足するからである。その結果、脱硝触媒27の温度上昇を待っている時間を利用して主蒸気A4の発生を待つことのメリットが低減されてしまう。
これに対処するために、目標出力を15%よりも高い値(例えば25%)にすることが考えられる。しかし、この場合にはガスタービン11をFSNL状態に1時間保持することが必要となる。これでは、低温触媒の利点が充分に活用されているとは言えない。
(2)第1実施形態の発電プラント1の動作
図2および図3は、第1実施形態の発電プラント1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは発電プラント1の起動動作を示しており、この起動動作はプラント制御装置2内のソフトウェアや回路により制御される。本実施形態の方法は、比較例の方法と比べて、発電プラント1の起動時間を短縮することを可能にする。なお、以下の説明中に使用される具体的な数値は、容易な理解のために記載する一例である。
ガスタービン11を起動すると(ステップS1)、まずガスタービン11のパージ運転が行われる(ステップS2)。次に、ガスタービン11の着火および昇速の過程(ステップS3)を経て、ガスタービン11がFSNL状態に到達する(ステップS4)。この時点で、ガスタービン11から出る排ガスA2は燃焼に伴うNOx(窒素酸化物)を含む。しかしながら、この起動初期工程では未だに脱硝触媒27の温度が低く、アンモニアガスA3を注入してもNOxと反応するアンモニア量は少ないことから、脱硝触媒効率が低い。このため、この時点からアンモニアガスA3の注入を行うことはできない。
そこで、FSNL状態における燃料A1は少量であり、 排出されるNOx流量も少ないことに着目する。FSNL状態に移行した後は、すぐにGT発電機15を並列する起動工程に入るのではなく、排熱回収ボイラ21と脱硝触媒27の暖気運転のためにFSNL状態を保持する。
そこで、触媒温度センサTS4により脱硝触媒27の温度(触媒温度)を計測して(ステップS5)、プラント制御装置2は、触媒温度センサTS4からの触媒温度信号を用いて触媒温度が150℃以上となったか否かを判定する(ステップS6)。この暖気プロセスでは、排ガスA2が排熱回収ボイラ21に流入すると、排ガスA2の熱は最初、脱硝触媒27よりも上流に配置された蒸発器22や熱交換器24が奪ってしまうので、脱硝触媒27になかなか伝わらない。FSNL状態を継続する間に、脱硝触媒27にまで熱が伝わるようになって、触媒温度が上昇する。40分のFSNL状態を保持すると、脱硝触媒効率が安定する温度である150℃まで脱硝触媒27は暖められる。
なお、脱硝触媒効率が安定したことの指標として、触媒温度センサTS4の温度ではなく、脱硝触媒27の入口に設けられた温度センサにより計測された排ガスA2の温度を用いてもよい。この場合、プラント制御装置2は、計測された排ガスA2の温度 が規定の閾値以上になった場合に、脱硝触媒効率が安定したとみなしてもよい。
このFSNL状態を保持する間に、蒸発器22では蒸発量が徐々に増加し、これによりドラム23内の蒸気圧力が徐々に増加する。さらには、ドラム23の下流部の熱交換器24と加減弁32とを繋ぐ配管内の圧力も増加する。主蒸気圧力センサTS3はこの圧力を計測し(ステップS21)、プラント制御装置2は、この計測された圧力値が第2フロア圧力以上に到達したか(すなわち、第2フロア圧力以上であるか否か)を判定する(ステップS33)。
ここで、第2フロア圧力とは、タービンバイパス調節弁33の圧力制御設定値のことである。上記の圧力値が第2フロア圧力にまで到達したとき(ステップS33 YES)、タービンバイパス調節弁33が開弁され、タービンバイパス調節弁33による圧力制御が開始される(ステップS23)。このとき、初めて上記配管内に蒸気の流れができる。この蒸気の流れが主蒸気A4である。主蒸気A4の圧力は、タービンバイパス調節弁33の開度により制御される。ステップS33およびS23の処理を実行するプラント制御装置2の機能は、圧力制御部の一例である。また、第2フロア圧力は、所定の圧力の一例である。
このように、蒸気タービン31の通気が開始(ステップS20)されるまでの間は、タービンバイパス調節弁33は、主蒸気A4の圧力を第2フロア圧力にするように開弁される。この主蒸気A4はすべて、タービンバイパス調節弁33を経由して復水器34に導かれる。本実施形態では、第2フロア圧力を所望の圧力に設定するが、これについては以下の「ASME(American Society of Mechanical Engineers:アメリカ機械学会)の新指針と第2フロア圧力」において詳述する。本実施形態の第2フロア圧力は、例えば4.5MPaである。
ガスタービン11がFSNL状態に到達した後(ステップS4)、主蒸気圧力センサTS3は主蒸気A4の圧力を計測し(ステップS31)、プラント制御装置2は、計測された主蒸気圧力が第2フロア圧力以下であるか否かを判定する(ステップS32)。実際には、マージンを考慮に入れて、計測された主蒸気圧力が「第2フロア圧力+α」以下であるか否かが判定される。ここで、このαは、主蒸気圧力を第2フロア圧力を中心に変動させるための定数であり、例えば0.2MPaである。
ステップS9のANDゲートは、主蒸気圧力が「第2フロア圧力+α」以下であり(ステップS32 YES)、かつ触媒温度が150℃以上である(ステップS6 YES)ことを判定する。このANDが成立すると、GT発電機15が電力グリッド系統3に並列される(ステップS10)、すなわち、GT発電機15が電力グリッド系統3と電気的に結合される。ステップS31、S32、S5、S6、S9、およびS10の処理を実行するプラント制御装置2の機能は、結合制御部の一例である。また、150℃は、所定の温度の一例である。
ステップS33およびS23の処理により主蒸気圧力は第2フロア圧力以下に制御されていることから、本実施形態のステップS32の判定は、設備故障等のイレギュラーな事態が発生しない限りYESが成立する。よって、GT発電機15の並列は多くの場合、FSNL状態が40分保持されて、脱硝触媒27が150℃に上昇した時点で行われることになる。
比較例では、FSNL状態が40分保持された時点で主蒸気流量(Fα)を確認し、主蒸気がもたらす冷却効果が確保されてからGT発電機15の並列を行う。一方、本実施形態では、FSNL状態が40分保持された時点で、冷却効果を確認することなくGT発電機15の並列を行う。
その後、プラント制御装置2は、アンモニア供給弁26を開弁する(ステップS11)と共に、逆電力が発生するのを避けるためにGT出力を初負荷に上昇させる(ステップS12、S13)。この起動工程によりアンモニアガスA3が排ガスA2に注入される。その結果、アンモニアガスA3は、脱硝触媒27において排ガスA2中のNOxと反応し、NOxは分解除去される。
GT出力が初負荷に到達した後、加減弁32を開弁して主蒸気A4を蒸気タービン31に流入させる起動工程に備えて、蒸気タービン31の第1段シェル内面のメタル温度がメタル温度センサTS5により繰り返し計測され、この計測結果がプラント制御装置2により記憶される(ステップS14)。この初負荷の時点では、主蒸気A4の温度が不充分であり、蒸気タービン31の通気は許容されない。
そこで、主蒸気温度が通気可能な温度になるように、目標出力である30%に向けてGT出力を上昇させる(ステップS34、S35)。比較例では、GT排ガス温度を560℃にするGT出力である15%を目標出力に選定したが、本実施形態では、GT排ガス温度を最高温度の620℃にするGT出力である30%を目標出力に選定できる。よって、本実施形態の目標出力は30%に選定される。ステップS34およびS35の処理を実行するプラント制御装置2の機能は、出力制御部の一例である。また、目標出力である30%は、所定の出力の一例である。
このことを、図5のグラフを参照して説明する。第1実施形態で選定する30%の目標出力とは、ガスタービン11の排ガスA2が到達可能な最高温度である620℃を与える最小出力である。熱交換器24が排ガスA2と最も効率よく熱交換するのは、両者の温度偏差が最も大きいときであり、それは、GT排ガス温度が最高温度である620℃のときである。すなわち、GT排ガス温度として620℃を選定することで、発電プラント1の起動時間を短縮した高速起動が実現する。
本実施形態では、GT排ガス温度は620℃であるが、目標出力は、620℃のGT排ガス温度を与える最小出力である30%である。この目標出力を、620℃のGT排ガス温度を与える出力である40%や50%に上昇させて、さらに多くの熱量を排熱回収ボイラ21に投入することも想定される。ただし、この場合には、多くの熱量投入により過剰な主蒸気A4が生成されることに伴うデメリットもある。そこで、本実施形態では、熱交換器24で最も効率よく熱交換が行われるGT排ガス温度(620℃)の運転帯域のなかで、投入熱量を最小にする30%を選定する。
なお、上記のデメリットとは例えば、復水器34の出入口の海水温度差が環境保護のための規制値(一般に7℃以内)を越える問題や、タービンバイパス調節弁33が100%全開してドラム23の圧力制御機能が喪失する問題などが生じ得ることである。なお、GT出力を30%よりも大きくする例については、第2実施形態にて説明する。
図5のグラフを参照して、ステップS34の工程をより詳細に説明する。ステップS34では、30%の目標出力に向けてGT出力が上昇し始める。GT出力が15%近傍まで上昇したとき、GT排ガス温度は熱交換器24の最高使用温度(550℃)を超える。さらに、GT出力が30%に上昇したとき(ステップS35 YES)、GT排ガス温度は熱交換器24の最高使用温度(550℃)を70℃も上回る620℃に到達する。しかし、第2フロア圧力を適切に選定すれば、熱交換器24の伝熱管に損傷等は発生せずに、最高使用温度を超えるGT排ガス温度によるプラント起動が許容される。このような起動法の詳細については、以下の「ASMEの新指針と第2フロア圧力」にて説明する。
その後、GT出力が30%に上昇したら(ステップS35 YES)、GT出力を30%かつ排ガス温度を620℃に保持しながら、排熱回収ボイラ21の暖気を行い主蒸気温度の上昇を待つ。620℃の排ガス温度により、熱交換器24と排ガスA2は効率よく熱交換して主蒸気温度は急速に上昇する。そして、主蒸気温度が「メタル温度−20℃」以上になったか否か判定する(ステップS17)。
主蒸気温度が「メタル温度−20℃」以上になったら(ステップS17 YES)、主蒸気温度のマッチング制御が開始され(ステップS18)、マッチング制御によりGT出力が低減される。その後、ステップS19におけるεによる偏差判定に基づいて、ステップS20における蒸気タービン31の通気開始が行われる。
(3)ASMEの新指針と第2フロア圧力
以下、本実施形態に関連するASMEの新指針について説明する。
ASMEの新指針には「ボイラの各機器は、各機器が運転中に曝されると予想される圧力および温度の組合せの中で、最も厳しい条件で設計すること」との記載がある。一方、本実施形態では「熱交換器24の伝熱管が熱交換器24の最高使用温度以上の温度に曝された場合であっても、伝熱管内の圧力が低ければ、伝熱管の損傷を防ぐことができる」というアイデアを採用している。両者は、圧力および温度の組合せを考慮するという意味で関連性を有しているとも言える。
図4は、第1実施形態の熱交換器24の許容圧力と温度との関係を示すグラフである。
図4の横軸は、熱交換器24内の伝熱管が曝される温度(暴露温度)を示す。図4の縦軸は、熱交換器24内の伝熱管に印加することが許容される圧力(許容圧力)を示す。図4に示すように、伝熱管の許容圧力は、伝熱管の暴露温度に応じて変化する。図4のグラフは、コンバインドサイクル発電プラントの商用機に使用される伝熱管(肉厚4.2mmの材質火STBA28)に関して計算したものである。伝熱管の許容圧力は、伝熱管の許容熱応力とも呼ぶ。
具体的には、本グラフは、経済産業省発行の「発電用火力設備の技術基準の解釈」に基づいて、JISB8201により定義された強度計算式を引用し作成した。強度計算式を以下に示す。
t=P×d/(2σ+P)+0.005d+α
ここで、tは鋼管の最小厚さ(mm)、Pは最高使用圧力(MPa)、dは鋼管の外径(mm)、σは材料の許容引張応力(N/mm)、αは付け代(ここでは0とする)を表す。
伝熱管の暴露温度(ここでは排ガス温度)における材料の許容引張応力を用い、上記の強度計算式のもと、許容される最高使用圧力(すなわち許容圧力)を算出した。
図4から分かるように、暴露温度が高い場合には許容圧力は低くなり、暴露温度が低い場合には許容圧力は高くなる。本実施形態では、排ガス温度の最高温度である620℃を有する排ガスA2に伝熱管が曝される。図4の横軸が620℃のとき、図4の縦軸の許容圧力は5.5MPaとなる。そこで、本実施形態の第2フロア圧力は、この許容圧力から1MPaのマージンを引いて4.5MPaに定められている。このように、本実施形態の第2フロア圧力は、図4の許容圧力に基づいて定められている。
前述のとおり、第2フロア圧力とは、タービンバイパス調節弁33の圧力制御設定値である。よって、主蒸気圧力、すなわち、熱交換器24の伝熱管内の圧力は、タービンバイパス調節弁33の圧力制御により第2フロア圧力に保持される。実際の圧力制御の応答においては、主蒸気圧力は第2フロア圧力を中心に多少の上下動を伴うものである。ただしその場合でも、図4の一例に示すように、許容圧力と第2フロア圧力とのマージンを適切に確保することで(ここでは1MPa)、主蒸気圧力は許容圧力を超えないようにすることができる。すなわち、第2フロア圧力が適切に選定された上でタービンバイパス調節弁33の圧力制御が健全に働くことで、熱交換器24の損傷を回避した起動が可能となる。
しかしながら、このマージンを過大にして、第2フロア圧力を必要以上に低く設定すると、ドラム23の汽水分離や蒸気タービン31の許容圧力に悪影響が生じ得る。さらに、大きな悪影響として、タービンバイパス調節弁33の開度に与えるインパクトが考えられる。前述したとおり、フロア圧力を低くするとタービンバイパス調節弁33の開度は大きくなるから、第2フロア圧力が低すぎると、タービンバイパス調節弁33は100%全開となり、ドラム23の圧力制御が喪失してしまう。よって、上述のマージンは、このような問題を抑制可能な適切な値に設定することが望ましい。
適切なマージンを付した第2フロア圧力を見出すことが難しい場合には、排ガス温度の最高温度である620℃の許容圧力を求める替わりに、最高温度よりも低い温度(例えば590℃)での許容圧力を求めるよう妥協し、第2フロア圧力を少し高くすればよい。例えば、タービンバイパス調節弁33の容量が経済性に配慮することで小さくなり、主蒸気A4の発生量が多くなる場合、合理的な第2フロア圧力を選定すると、タービンバイパス調節弁33が100%全開してしまう。この場合は、上記のような妥協をすることが考えられる。この場合、590℃の排ガス温度を与えるGT出力(25%)を目標出力に選定すれば、目標出力が30%のときより高速起動のメリットは低下するものの、本実施形態の起動法を採用可能となる。
以上のように、本実施形態では、熱交換器24の伝熱管の許容圧力に基づき第2フロア圧力を適切に選定した上で、タービンバイパス調節弁33の圧力制御により主蒸気圧力を第2フロア圧力に基づいて制御する。よって、本実施形態によれば、排ガス温度の最高温度(620℃)を与えるGT出力(30%)で暖気を行うことが可能となり、蒸気タービン31の通気開始までの時間を短縮するプラント高速起動を実現することが可能となる。
(第2実施形態)
図6および図7は、第2実施形態の発電プラント1の動作を示すフローチャートである。このフローチャートは発電プラント1の起動動作を示しており、この起動動作はプラント制御装置2内のソフトウェアや回路により制御される。なお、以下の説明中に使用される具体的な数値は、容易な理解のために記載する一例である。以下の説明中で登場する参照符号については、図1に示す参照符号を参照されたい。図1に示す構成は、第1実施形態と第2実施形態とに共通である。
第2実施形態の背景には、次のi)とii)がある。
まず、i)第2実施形態では、第1実施形態と同様に、伝熱管の許容熱応力以下となる適切な第2フロア圧力を見出す。このことは、比較的低圧の圧力値を第2フロア圧力として選択することを意味する。しかし、過度に低圧の第2フロア圧力は、主蒸気A4の発生量が多くなると、タービンバイパス調節弁33を100%全開させてしまうという問題を生じる。第2実施形態では、この問題に対処する方法を採用する。
また、ii)第2実施形態は、環境規制上の基準が比較的緩和されるケースのプラント起動法に関する。具体的には、GT発電機15を並列した後にアンモニアガスA3を注入してNOxを除去する(脱硝)ことが許される場合において、第1実施形態よりもさらにプラント起動時間を短縮することを可能にする。
ガスタービン11を起動すると(ステップS1)、まずガスタービン11のパージ運転が行われる(ステップS2)。次に、ガスタービン11の着火および昇速の過程(ステップS3)を経て、ガスタービン11がFSNL状態に到達する(ステップS4)。
ここで、第1実施形態では、ガスタービン11はFSNL状態で40分保持して脱硝触媒27が150℃に上昇するのを待ち、その後にGT発電機15の並列を行った。一方、第2実施形態では、ガスタービン11がFSNL状態に到達した後(ステップS4)、脱硝触媒27が150℃に上昇するための40分間のFSNL保持は行わない。第2実施形態では、主蒸気圧力センサTS3が主蒸気圧力を計測し(ステップS31)、計測された主蒸気圧力が第2フロア圧力以下であることが判定されれば(ステップS32 YES)、GT発電機15が並列される(ステップS10)。
後述するステップS42による第3フロア圧力への昇圧は、この時点では未だ起こらない。よって、第2実施形態では、第1実施形態と同様に、ステップS32の判定は、設備故障等のイレギュラーな事態が発生しない限りYESとなる。そのため、GT発電機15の並列は、ガスタービン11がFSNL状態に到達した直後に実施される。従って、第2実施形態の起動時間は、第1実施形態の起動時間より40分短縮される。
GT発電機15を並列した後、逆電力が発生するのを避けるために、GT出力を初負荷に上昇させる(ステップS12、S13)。GT出力が初負荷に到達した後、加減弁32を開弁して主蒸気A4を蒸気タービン31に流入させる起動工程に備えて、蒸気タービン31の第1段シェル内面のメタル温度がメタル温度センサTS5により繰り返し計測され、この計測結果がプラント制御装置2により記憶される(ステップS14)。この初負荷の時点では、主蒸気A4の温度が不充分であり、蒸気タービン31の通気は許容されない。
そこで、主蒸気温度が通気可能な温度になるように、GT出力を上昇して暖気を行う。第1実施形態では、目標出力を、GT排ガス温度を620℃にする最小出力である30%に設定して、GT出力を30%に保持して暖気を行なった。一方、第2実施形態では、GT排ガス温度は620℃であるが、目標出力はより高い50%に設定して、GT出力を50%に向けて上昇させ始める(ステップS49、S50)。
ここで、本実施形態における50%の目標出力は、熱交換器24により生成された主蒸気A4がすべてタービンバイパス調節弁33を介して復水器34に導入された場合に、復水器34の入口と出口との間の海水温度差が許容される温度差以下になる最大のGT出力である。ただし、50%という値は、発電プラント1の諸条件が変われば変化する。
蒸気タービン31の通気が許容されない間、タービンバイパス調節弁33は、後述するステップS23による圧力制御を行いながら、主蒸気A4を復水器34に導く。復水器34内に入った主蒸気A4は、循環水ポンプ35より汲み上げられた海水A6により冷却されて凝結して復水となる一方、海水A6は熱交換により温度が上昇する。このとき、排熱回収ボイラ21からは多量の主蒸気A4が復水器34に流入するので、復水器34の熱交換量が増加して、復水器34の出口の海水温度が大きく上昇する可能性がある。これにより、復水器34の入口と出口との間の海水温度差が、環境面から許容される温度差(日本国内では一般的に7℃)を越えるおそれがある。
そこで、第2実施形態では、排熱回収ボイラ21が生成するすべての主蒸気A4がタービンバイパス調節弁33を経由して復水器34に直接流入したとしても、上記の海水温度差が許容される温度差を越えない最大のGT出力である50%を目標出力に選定する。
この50%のGT出力が、本実施形態において蒸気タービン31を通気する前の事実上の最大出力であり、発電プラント1の高速起動に適したGT出力である。そしてステップS49では、GT出力を50%に向けて上昇し始めるのだが、その詳細を説明する前に、タービンバイパス調節弁33の圧力制御について説明する。
なお、ステップS20で蒸気タービン31が通気された以後は、排熱回収ボイラ21が生成する主蒸気A4の全部または一部が蒸気タービン31を経由して復水器34に流入する。蒸気タービン31を駆動する際に主蒸気A4の保有するエネルギーは喪失しているので、この場合の復水器34の負担は軽減される。従って通気後は、GT出力が50%を越えても、上記の海水温度差を許容される温度差よりも小さくすることができる。50%という目標出力は、所定の出力の一例である。
以下、第2実施形態でのタービンバイパス調節弁33の圧力制御の挙動を説明する。
第1実施形態では、40分間のFSNL状態を保持する間に、主蒸気圧力が第2フロア圧力に到達して、タービンバイパス調節弁33の圧力制御が開始され、タービンバイパス調節弁33は開弁した。一方、40分間のFSNL保持を行わない第2実施形態では、GT出力を50%に向けて上昇する途中か、GT出力が50%に到達して暖気を行っている間に、主蒸気圧力が第2フロア圧力に到達する。すなわち、主蒸気圧力センサTS3による圧力計測が行われ(ステップS21)、主蒸気圧力が第2フロア圧力に到達したことが判断された場合に(ステップS33 YES)、タービンバイパス調節弁33は圧力制御による開弁を開始する(ステップS23)。
これ以後、タービンバイパス調節弁33は、この圧力制御により主蒸気圧力を第2フロア圧力に保持するように開閉操作される。第1実施形態では、蒸気タービン31の通気が開始される(ステップS20)までの期間中は、この圧力制御により主蒸気圧力を第2フロア圧力に保持するように開閉操作された。一方、第2実施形態では、GT出力を50%に向けて上昇させるので、第1実施形態より多くの熱量が排熱回収ボイラ21に投入されて、より多量の主蒸気A4が生成される。厳密に言えば、GT出力が30%(第1実施形態のGT出力)を越える出力帯域からより多量の主蒸気A4が生成され、この結果、タービンバイパス調節弁33の開度が過剰に大きくなる。
もしタービンバイパス調節弁33の開度が100%全開してしまうと、ドラム23内の圧力制御機能が喪失して、ドラム23の保有する水位が不安定になる。場合によっては、水位レベルの低下により、プラント起動の継続は不可能になってしまう。
そこで、本実施形態では、タービンバイパス調節弁33の開度が80%に達した場合、すなわち、80%以上である場合(ステップS41 YES)、タービンバイパス調節弁33の圧力設定値を第2フロア圧力から第3フロア圧力に上昇させる(ステップS42)。圧力設定値が上昇することで、タービンバイパス調節弁33の開度は80%以下に低減される(ステップS43)。この結果、ドラム23内の圧力制御は継続され、プラント起動ができなくなる事態は回避される。
しかし、このようにタービンバイパス調節弁33の圧力設定値を第3フロア圧力に上昇させると、主蒸気圧力が許容熱応力を越える可能性がある。そこで第2実施形態では、メタル温度の計測および記憶(ステップS14)に引き続き、再度、主蒸気圧力センサTS3が主蒸気圧力を計測する(ステップS44)。
そして、プラント制御装置2は、主蒸気圧力が第2フロア圧力以下であるか否かをこの時点で判定する(ステップS45)。実際には、マージンを考慮に入れて、主蒸気圧力が「第2フロア圧力+β」以下であるか否かが判定される。ここで、このβは、主蒸気圧力を第2フロア圧力を中心に変動させるための定数であり、上述のαと同じ値でも異なる値でもよい。ステップS45がYESの場合には、ステップS48のORゲートの出力を成立させる。
一方、ステップS45がNOの場合には、主蒸気流量センサTS2により主蒸気流量を計測し(ステップS46)、プラント制御装置2は、主蒸気流量が規定の発生流量Fβ以上であるか否かを判定する(ステップS47)。ここで、規定の発生流量Fβは、伝熱管が620℃の排ガスA2に曝されても、主蒸気A4がもたらす冷却効果により、伝熱管の温度が最高使用温度(550℃)以下となる流量として選定される。そして、主蒸気流量が規定の発生流量Fβ以上であることを確認して(ステップS47 YES)、ステップS48のORゲートの出力を成立させる。ステップS48のORゲートの出力が成立したら、GT出力を50%に向けて上昇し始める(ステップS49、S50)。
ここで、図8および図9について説明する。図8および図9は、第2実施形態の変形例の発電プラント1の動作を示すフローチャートである。図6および図7のステップS46は、ステップS45でNOが成立すれば実行される。一方、図8および図9のステップS46は、ステップS45がYESかNOかにかかわらず実行される。本実施形態のステップS46は、図6および図7のように実行してもよいし、図8および図9のように実行してもよい。
以下、図6および図7の説明を続ける。
ステップS44〜S48の内容を整理すると、ステップS48のORゲートの出力は、次のi)またはii)のいずれかの条件下で成立する。このORゲートが成立しているときに、ガスタービン出力は50%に向けて上昇を開始する(ステップS49、S50)。
i)主蒸気圧力が第2フロア圧力以下であり、第1実施形態と同じ理由で熱交換器24の伝熱管に損傷等が発生しないとき。
ii)主蒸気流量が規定の発生流量Fβ以上であり、主蒸気A4がもたらす冷却効果により熱交換器24の伝熱管の温度が最高使用温度以下となるとき。
以下、主蒸気流量の発生流量Fβと、タービンバイパス調節弁33の容量(サイズ)について補足する。
前述の通り、Fβは、伝熱管が620℃の排ガスA2に曝されても、主蒸気A4がもたらす冷却効果により、伝熱管の温度が最高使用温度(550℃)以下となる流量である。ここで、タービンバイパス調節弁33のサイズが小さい場合について想定する。例えば、主蒸気圧力を第2フロア圧力に保持しながら主蒸気流量をFβとするときに、タービンバイパス調節弁33の開度が90%となるサイズを想定する。
このサイズでは、上記のi)とii)の両方が不成立となるタイミングが生じる。具体的には、主蒸気圧力が第2フロア圧力に保持されながら開度が80%未満の場合には、主蒸気流量はFβに到達していないので、ii)は成立しない。一方、開度が80%開度以上の場合には、主蒸気圧力は第3フロア圧力に昇圧しているので、i)も成立しない。その結果、上記のi)とii)の両方が不成立となる。よって、本実施形態のタービンバイパス調節弁33の容量は、主蒸気圧力が第2フロア圧力に保持されながら開度が80%未満の場合にも、主蒸気流量がFβに到達するような大きな容量にする必要がある。
逆に、大きなタービンバイパス調節弁33において、主蒸気圧力を第2フロア圧力に保持しながら50%のGT出力で発生する多量の(Fβを大きく超える)主蒸気流量が、タービンバイパス調節弁33を通過する場合を想定する。この場合、タービンバイパス調節弁33の開度が70%に収まるようなサイズを選定すれば、圧力設定値を第2フロア圧力から第3フロア圧力に上昇させる制御が必要なくなる。しかし、過度に大容量のタービンバイパス調節弁33は、コスト上昇、振動の増加、弁体支持の困難性などの観点から好ましくない。
もし第2フロア圧力が低過ぎる等の理由で、タービンバイパス調節弁33の容量が大きくなり過ぎて、タービンバイパス調節弁33のサイズ選定が難しい場合には、50%の目標出力(排ガス温度620℃)に替わり、27.5%の目標出力(排ガス温度605℃)を選定してもよい。排ガス温度を605℃に低減することで、熱交換器24の温度を最高使用温度以下に冷却する主蒸気流量はFβより小さくなり、より小容量のタービンバイパス調節弁33の選定が可能となる。ただし、この場合には、発電プラント1の高速起動性の利点は低減される。
そして、GT出力が50%に到達する前には(ステップS50 NO)、本実施形態のフローチャートは常にステップS44の主蒸気圧力の計測に戻されて、上記のi)またはii)がその都度確認される。この場合、i)とii)のいずれかが成立すればガスタービン11の出力上昇を継続し(ステップS49)、再びステップS50の判定を行う。このステップS50でNO判定があった場合には、ステップS44に戻るサイクルフローに投入される。
このサイクルフローについて補足する。GT出力が30%(第1実施形態の目標出力)に到達するまでは、主蒸気圧力、主蒸気流量、およびタービンバイパス調節弁33のパフォーマンスは、第1実施形態と同一であり、上記i)のみが成立する。そして、GT出力が30%を越えたとき、第1実施形態に比べて多量の主蒸気流量が生成されて、発生流量はFβを超える。しかし、タービンバイパス調節弁33の開度は大きくなるものの80%未満であり、主蒸気圧力は第2フロア圧力を維持している状態なので、その期間はi)とii)の両方が成立している。そして、GT出力が40%になると、タービンバイパス調節弁33の開度は80%に到達し、主蒸気圧力は第3フロア圧力に上昇するので、そのときはii)のみが成立する。
以上のように、ステップS48のORゲートの出力は、常にi)またはii)が成立している。よって、i)とii)の両方が不成立となりGT出力の上昇が一時的に中断するようなことは通常では起こらない。
しかし、本実施形態では、発電プラント1に設備故障が発生する場合に備えて、GT出力を50%へと上昇させている間は、常に本サイクルフローによるi)またはii)の成立を確認してから、ステップS49による50%へのGT出力の上昇を行う。そして、もしi)とii)の両方が不成立となったときは、GT出力の上昇を中断し、そのときの出力状態を保持する。本実施形態のプラント制御装置2は、GT出力の上昇の継続と中断とを行うことで、GT出力を50%まで上昇させる。
このサイクルフローを繰り返しながら、GT出力が50%に上昇したら(ステップS50 YES)、GT出力を50%、排ガス温度を620℃に保持しながら排熱回収ボイラ21の暖気を行い、主蒸気温度の上昇を待つ。620℃という排ガス温度は第1実施形態と同じであるが、GT出力が第1実施形態よりも大きい50%に増強されているので、主蒸気温度はさらに急速に上昇する。
そして、主蒸気温度が「メタル温度−20℃」以上になったか否か判定する(ステップS17)。主蒸気温度が「メタル温度−20℃」以上になったとき(ステップS17 YES)、次の起動工程である主蒸気温度マッチング制御(ステップS18)を開始する。主蒸気温度マッチング制御が開始されると、GT出力は低減される。その後、ステップS19におけるεによる偏差判定に基づいて、S20における蒸気タービン31の通気開始が行われる。
ここで、第2実施形態においてアンモニアガスA3を注入してNOxを除去する脱硝について説明する。GT発電機15を並列した後(ステップS10)、触媒温度センサTS4が触媒温度を計測し(ステップS5)、プラント制御装置2は、触媒温度が150℃以上となったか否かを判定する(ステップS6)。150℃は脱硝触媒27の脱硝性能が発揮できる温度条件なので、本実施形態では150℃以下の温度でアンモニアガスA3を注入することはできない。よって、触媒温度が150℃以上となったときに(ステップS6 YES)、アンモニア供給弁26を開弁させる(ステップS11)。この起動工程により、アンモニアガスA3は排ガスA2中に注入される。その結果、アンモニアガスA3は、脱硝触媒27において排ガスA2中のNOxと反応し、NOxが分解除去される。
しかし、第1実施形態では、ガスタービン11がFSNL状態に到達した後(ステップS4)、40分間のFSNL保持を行い、脱硝触媒27の温度が150℃に上昇した後、GT発電機15を並列してアンモニアガスA3を注入する。すなわち、第1実施形態では、GT発電機15の並列直後からアンモニアガスA3が注入される。
これに対し、第2実施形態では、GT発電機15を並列した後に、脱硝触媒27の温度が150℃に上昇するのを待機する。よって、GT発電機15の並列直後からアンモニアガスA3が注入されるとは限らない。従って、GT発電機15の並列後、燃料A1が増加して排ガスA2中に排出されるNOx流量も多くなるときに、NOx除去が行われない。この期間中に環境上へのインパクトが発生する可能性がある。
しかし、第2実施形態では、GT発電機15を並列した後には、GT出力は50%の目標出力に向けて上昇する(ステップS49)ので、GT排ガス温度は速やかに620℃に到達する。よって、多くの熱量が排熱回収ボイラ21に投入される結果、脱硝触媒27の温度も短時間で150℃に上昇する(ステップS6)。その結果、アンモニアガスA3の注入がすぐに開始され(ステップS11)、環境中に排出されるNOxは充分に低減される。
以上の脱硝についてまとめると、並列直後は脱硝触媒27の温度が150℃に達していないため、一時的に環境上に多くのNOx量が排出される。しかし、第2実施形態では脱硝触媒27の温度は速やかに150℃に到達して脱硝工程に移行するので、その期間は短時間である。一般に、環境規制上の管理対象は、瞬時値のNOx量と、移動時間平均によるNOx量(所定時間内のNOx排出量を平均した値)であり、所定時間は例えば1時間である。第2実施形態では、触媒温度が150℃に達していないときに短時間排出されたNOx量と、触媒温度が150℃に達した後の脱硝工程で充分低減されたNOx量と、の移動1時間平均が算出されるので、その平均値は低くなる。このようにして、第2実施形態では、環境規制上の基準が緩和されることとなる。
このように、第2実施形態では、熱交換器24の伝熱管の許容圧力に基づき第2フロア圧力を選定し、タービンバイパス調節弁33の圧力制御により主蒸気圧力を第2フロア圧力以下に制御する。加えて、第2実施形態では、主蒸気流量の冷却効果も合わせて確認するようにしたので、蒸気タービン31の通気前に許される最も高いGT出力(50%)で暖気を行うことが可能となり、蒸気タービン31の通気開始までの時間を短縮するプラント高速起動が実現することが可能となる。
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置およびプラントは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置およびプラントの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
1:発電プラント、2:プラント制御装置、3:電力グリッド系統、
4:発電機遮断器、11:ガスタービン、12:燃料調節弁、
13:圧縮機、14:燃焼器、15:GT発電機、
21:排熱回収ボイラ、22:蒸発器、23:ドラム、24:熱交換器、
25:アンモニア供給設備、26:アンモニア供給弁、27:脱硝触媒、
31:蒸気タービン、32:加減弁、33:タービンバイパス調節弁、
34:復水器、35:循環水ポンプ、36:ST発電機、
TS1:排ガス温度センサ、TS2:主蒸気流量センサ、
TS3:主蒸気圧力センサ、TS4:触媒温度センサ、
TS5:メタル温度センサ、OS:GT発電機電力センサ

Claims (10)

  1. ガスタービンと、
    前記ガスタービンにより駆動される発電機と、
    前記ガスタービンから排出された排ガスの熱を利用して主蒸気を生成する熱交換器を備える排熱回収ボイラと、
    前記主蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記主蒸気の圧力を検出する主蒸気圧力センサと、
    を備える発電プラントを制御するプラント制御装置であって、
    前記検出された前記主蒸気の圧力を、前記熱交換器内の伝熱管の暴露温度に応じて変化する前記熱交換器内の伝熱管の許容圧力に基づいて定められる所定の圧力以下に制御する圧力制御部と、
    前記検出された前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下である場合に、前記発電機を電力グリッド系統に電気的に結合させる結合制御部と、
    前記ガスタービンの出力を制御する出力制御部と、
    を備えるプラント制御装置。
  2. 前記結合制御部は、前記ガスタービンが無負荷定格回転数を保持している状態で、前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下である場合に、前記発電機を前記電力グリッド系統に電気的に結合させる、請求項1に記載のプラント制御装置。
  3. 前記発電プラントはさらに、前記排ガスから脱硝触媒を利用して窒素酸化物を除去する脱硝装置を備え、
    前記結合制御部は、前記ガスタービンが無負荷定格回転数を保持している状態で、前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下であり、かつ、前記脱硝触媒の温度が所定の温度以上である場合に、前記発電機を前記電力グリッド系統に電気的に結合させる、請求項2に記載のプラント制御装置。
  4. 前記出力制御部は、前記ガスタービンが無負荷定格回転数を保持している状態で、前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下、または、前記主蒸気の流量が所定の流量以上である場合に、前記ガスタービンの出力を上昇させる、請求項1から3のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  5. 前記出力制御部は、前記ガスタービンが無負荷定格回転数を保持している状態で、前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下、または、前記主蒸気の流量が前記所定の流量以上である場合に、前記ガスタービンの出力上昇を継続し、
    前記出力制御部は、前記ガスタービンが無負荷定格回転数を保持している状態で、前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力よりも大きく、かつ、前記主蒸気の流量が前記所定の流量よりも小さい場合に、前記ガスタービンの出力上昇を中断し、
    前記出力制御部は、前記ガスタービンの出力上昇の継続と中断とを行うことで、前記ガスタービンの出力を所定の出力まで上昇させ、
    前記所定の出力は、前記排ガスの温度が、前記熱交換器の最高使用温度よりも高い温度になる出力である、請求項4に記載のプラント制御装置。
  6. 前記出力制御部は、前記ガスタービンの出力を所定の出力まで上昇させ、
    前記所定の出力は、前記排ガスの温度が、前記熱交換器の最高使用温度よりも高い温度になる出力である、請求項1から4のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  7. 前記最高使用温度よりも高い前記温度は、前記ガスタービンが排出可能な前記排ガスの最高温度である、請求項5または6に記載のプラント制御装置。
  8. 前記発電プラントはさらに、
    前記蒸気タービンから排出された蒸気を水に戻す復水器と、
    前記熱交換器により生成された前記主蒸気を、前記蒸気タービンをバイパスして前記復水器に導入するタービンバイパス弁とを備え、
    前記所定の出力は、前記排熱回収ボイラにより生成された前記主蒸気がすべて前記タービンバイパス弁を介して前記復水器に導入された場合に、前記復水器の入口と出口との間の海水温度差が許容される温度差以下になる出力である、請求項5から7のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  9. 前記発電プラントはさらに、
    前記蒸気タービンから排出された蒸気を水に戻す復水器と、
    前記熱交換器により生成された前記主蒸気を、前記蒸気タービンをバイパスして前記復水器に導入するタービンバイパス弁とを備え、
    前記圧力制御部は、前記タービンバイパス弁を制御することで、前記検出された前記主蒸気の圧力を制御する、請求項1から7のいずれか1項に記載のプラント制御装置。
  10. ガスタービンと、
    前記ガスタービンにより駆動される発電機と、
    前記ガスタービンから排出された排ガスの熱を利用して主蒸気を生成する熱交換器を備える排熱回収ボイラと、
    前記主蒸気により駆動される蒸気タービンと、
    前記主蒸気の圧力を検出する主蒸気圧力センサと、
    前記検出された前記主蒸気の圧力を、前記熱交換器内の伝熱管の暴露温度に応じて変化する前記熱交換器内の伝熱管の許容圧力に基づいて定められる所定の圧力以下に制御する圧力制御部と、
    前記検出された前記主蒸気の圧力が前記所定の圧力以下である場合に、前記発電機を電力グリッド系統に電気的に結合させる結合制御部と、
    前記ガスタービンの出力を制御する出力制御部と、
    を備える発電プラント。
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