JP2019187868A - 超音波探触子及び超音波診断装置 - Google Patents

超音波探触子及び超音波診断装置 Download PDF

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孝悦 斉藤
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光太郎 門田
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Abstract

【課題】超音波の減衰及び不要な多重反射を小さくし、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現することである。【解決手段】超音波探触子10は、超音波を被検体へ送受信する振動子1と、振動子1の被検体側に設けられた超音波伝搬部としての音響レンズ4と、を備える。音響レンズ4は、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ被検体側の表面及び振動子1側の表面の少なくとも一方に凹凸部4aを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、超音波探触子及び超音波診断装置に関する。
従来、超音波探触子により超音波を被検体内部に照射し、その反射された超音波を受信して、所定の信号データ処理を行うことにより被検体の内部構造の超音波画像を生成する超音波診断装置が知られている。このような超音波診断装置は、医療目的の検査、治療や建築構造物内部の検査といった種々の用途に広く用いられている。
図10は、従来の超音波探触子40の斜視図である。図10において、超音波探触子40は、振動子41と、音響マッチング層42と、バッキング部43と、音響レンズ44と、を備える。振動子41は、被検体(図示略)との間で超音波を送受信するべく、配列された複数個の振動子である。音響マッチング層42は、振動子41の被検体側の前面(+Z方向)に設けられる1層以上からなる層である。ここでは、音響マッチング層42は、音響マッチング層42a,42b,42cからなるものとする。バッキング部43は、振動子41に対して音響マッチング層42の反対側となる背面に設けられる。音響レンズ44は、音響マッチング層42の被検体側(+Z方向側)表面に設けられている。
振動子41の前面と背面には、それぞれ図示しない電極が配置され、当該電極に電圧を印加して振動子41を振動させて超音波の送信及び受信をおこない、それを電気信号で送受信する。
振動子41は、電圧を超音波に変換して被検体内に送信し、あるいは被検体内で反射したエコーを電気信号に変換して受信する。図10では、X方向に複数の振動子41が配列されている。このような振動子41の複数個の配列は、電子的に超音波を走査する電子走査型といわれるタイプであり、位相制御により超音波ビームを偏向あるいは集束することができ、さらに電子的に複数の振動子41を順次切換えて走査して実時間で超音波断層を画像化する。また、このほかに単一の振動子を機械的に走査させて、超音波断層を画像化する方法もある。
これらに用いる超音波探触子40は、超音波画像の高分解能化を実現するために、配列された複数個の振動子41と直交するY方向に超音波ビームを絞るために、音響レンズ44が設けられている。特に生体を対象とする超音波診断装置用の超音波探触子40に用いられる音響レンズ44は、被検体との音速が異なることが必要であり、また被検体(生体)との密着性をよくすることを考慮すると、被検体に向けて凹面形状より凸面形状にすることが望ましい。そのため音響レンズ44の音速は生体の音速(約1540[m/s])より遅くする必要があり、さらに音響レンズと被検体との間での超音波の反射を最小にして多重反射をなくすため、被検体に近い音響インピーダンス(約1.54[MRayl])にする必要がある。
従来、音響レンズの材料としては、シリコーンゴムを主剤として、酸化亜鉛、白金、白金酸化物、酸化イッテルビウム、酸化チタン、酸化ケイ素の粉末を充填したものが使用された超音波探触子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、超音波を送受信する単体の振動子を有する超音波送受波部を機械的に回転、揺動又はスライドさせるメカニカルスキャン機構を備えた内視鏡用としての超音波探触子、あるいは振動子を複数個アレイ状に配列し電子的に走査できる超音波送受波部を機械的に回転又は揺動して3次元の超音波画像を得る超音波探触子が知られている。
これらの超音波探触子は、いずれも超音波送受波部が機械的に動作するため、被検体に接する部分は超音波の音響窓材又は膜を設けて、その中に液体の超音波伝搬媒体を封入している構成となっている。超音波送受波部から超音波伝搬媒体、音響窓材を通して被検体に超音波を送信及び受信して超音波画像を表示する。しかし、ここで問題になるのが、超音波送受波部、超音波伝搬媒体、音響窓材、被検体間でそれぞれ音響インピーダンスが異なると、それぞれの境界から超音波が反射して多重反射となり、超音波画像に虚像(アーティファクト)として表示される。この問題を回避するために、それぞれの部材は、音響インピーダンスが被検体に近い材料を選択するようにしており、超音波伝搬媒体として多価アルコールのエチレングリコール、1.3−ブタンジオールなどが使用され、音響窓材としては、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどが使用された超音波探触子が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−72605号公報 特開2006−198162号公報
超音波診断装置は、高分解能で診断領域を拡大させるという要望が高い。これに対して超音波診断装置本体に接続する超音波は感度を向上させるということが重要である。超音波探触子の感度を向上させるための疎外要因の一つとして、被検体に接触する音響レンズ材料の減衰が大きいことがある。
通常使用されている音響レンズは、被検体の音響インピーダンスに近い値を有し、かつ超音波を集束させて分解能を向上させる目的で設けている。一般的には、シリコーンゴムの材料が用いられている。しかし、シリコーンゴム単体では、被検体の音響インピーダンス(1.5〜1.6[MRayl])より小さい(1.0〜1.2[MRayl])ため、このままの特性で音響レンズとして使用すると、被検体と音響レンズ間での反射波が多重に発生してアーティファクトになり、画像診断の誤診につながる。そのため、シリコーンゴムに種々の微細な粒径の酸化物などを充填して、音響インピーダンスを上げて被検体の音響インピーダンスに近い値にしている。一方、超音波の減衰は、充填物により大きくなり、特に周波数が高くなると周波数依存減衰があり、これと共に超音波の減衰も大きくなっている。
したがって、ある程度の減衰は犠牲にして、音響インピーダンスを被検体に近い値に調整しているのが現状である。このことによって、超音波探触子のセンサー部の感度は向上させても、音響レンズの減衰が大きいため、感度を向上させることが難しいという課題がある。
一方、従来の超音波送受波部、超音波伝搬媒体及び音響窓材を設けた超音波探触子では、超音波送受波部に設けた音響レンズと超音波伝搬媒体と音響窓材として、音響インピーダンスが被検体に近い値のものを選択しているが、同じ値を有する材料の組合せることが難しい。そのため、多重反射は少なからず残るため、それを材料の減衰で低減させている。したがって、多重反射も残るとともに減衰により感度も犠牲にしているという課題がある。
本発明の課題は、超音波の減衰及び不要な多重反射を小さくし、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現することである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の超音波探触子は、
超音波を被検体へ送受信する振動子と、
前記振動子の前記被検体側に設けられた超音波伝搬部と、を備え、
前記超音波伝搬部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記被検体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部は、超音波の減衰が小さい。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、前記凹凸部を備える超音波伝搬部本体と、
前記超音波伝搬部本体の前記被検体側の表面上に設けられ、当該被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部と、を備える。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部本体は、前記層部より超音波の減衰が小さい。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部本体及び前記層部は、互いに異なる色を有する。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部は、凸面形状を有し、前記被検体よりも遅い音速の値を有する、又は凹面形状を有し、前記被検体よりも速い音速の値を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部の少なくとも前記被検体側に配置された超音波伝搬媒体と、
前記振動子、前記超音波伝搬部及び前記超音波伝搬媒体を内包する音響窓材部と、を備える。
請求項8に記載の発明の超音波探触子は、
超音波を被検体へ送受信する振動子と、
前記振動子の少なくとも前記被検体側に配置された超音波伝搬媒体と、
前記振動子及び前記超音波伝搬媒体を内包する音響窓材部と、を備え、
前記音響窓材部は、前記被検体及び前記超音波伝搬媒体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記被検体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の超音波探触子において、
前記音響窓材部及び前記超音波伝搬媒体は、超音波の減衰が小さい。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は9に記載の超音波探触子において、
前記音響窓材部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、前記凹凸部を備える音響窓材部本体と、
前記音響窓材部本体の前記被検体側の表面上に設けられ、当該被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部と、を備える。
請求項11に記載の発明は、請求項8から10のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記振動子の前記被検体側に設けられた超音波伝搬部を備える。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の超音波探触子において、
前記超音波伝搬部は、前記超音波伝搬媒体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記超音波伝搬媒体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える。
請求項13に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記凹凸部は、所定の単一の深さの複数の凹部を有する。
請求項14に記載の発明は、請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記凹凸部は、互いに異なる複数の深さの凹部を有する。
請求項15に記載の発明は、請求項1から14のいずれか一項に記載の超音波探触子において、
前記凹凸部は、使用周波数に対応する0.15波長から1.3波長の範囲の深さの凹部を有する。
請求項16に記載の発明の超音波診断装置は、
請求項1から15のいずれか一項に記載の超音波探触子と、
前記超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
前記超音波探触子から受信信号が入力される受信部と、
前記入力された受信信号に応じて、超音波画像データを生成する画像生成部と、を備える。
本発明によれば、超音波の減衰及び不要な多重反射を小さくでき、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。
本発明の第1の実施の形態の超音波診断装置の概略外観図である。 第1の実施の形態の超音波診断装置の機能構成を示すブロック図である。 (a)は、第1の実施の形態の超音波探触子を示す概略断面図である。(b)は、第1の実施の形態の音響レンズの被検体側の表面の拡大断面図である。 (a)は、第1の比較例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。(b)は、第1の実施例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。 (a)は、第2の実施例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。(b)は、第3の実施例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。(c)は、第2の比較例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。 第2の実施の形態の音響レンズの被検体側の表面の拡大断面図である。 第4の実施例の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。 (a)は、第3の実施の形態の第1の音響レンズの被検体側の表面の拡大断面図である。(b)は、第3の実施の形態の第2の音響レンズの被検体側の表面の拡大断面図である。 (a)は、第4の実施の形態の超音波探触子の一部概略断面図である。(b)は、第4の実施の形態の音響窓材部の拡大断面図である。 従来の超音波探触子の斜視図である。
添付図面を参照して、本発明に係る第1〜第4の実施の形態を順に詳細に説明する。なお、本発明は、図示例に限定されるものではない。
(第1の実施の形態)
図1〜図5を参照して、本発明に係る第1の実施の形態を説明する。まず、図1〜図2を参照して、本実施の形態の超音波診断装置100の全体の装置構成を説明する。図1は、本実施の形態の超音波診断装置100の概略外観図である。図2は、超音波診断装置100の機能構成を示すブロック図である。
本実施の形態の超音波診断装置100は、病院などの医療機関で、医師、技師などの操作者に使用される超音波診断を行うための装置である。図1及び図2に示すように、超音波診断装置100は、超音波探触子10と、超音波診断装置本体110と、を備える。超音波探触子10は、図示しない患者の生体などの被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する。超音波診断装置本体110は、超音波探触子10とケーブル10bを介して接続され、超音波探触子10に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子10に被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子10にて受信された被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子10で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する。
超音波探触子10は、振動子1を備える。この振動子1は、例えば、方位方向(走査方向(ラテラル方向)あるいは上下方向(エレベーション方向))に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、n個(例えば、192個)の振動子1を備えた超音波探触子10を用いている。なお、振動子1は、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子1の個数は、任意に設計することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子10について、リニア電子スキャンプローブを採用するが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。
図2に示すように、超音波診断装置本体110は、例えば、操作入力部111と、送信部112と、受信部113と、画像生成部114と、メモリー部115と、DSC(Digital Scan Converter)116と、表示部117と、制御部118と、を備える。
操作入力部111は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報などのデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を備えており、操作信号を制御部118に出力する。
送信部112は、制御部118の制御に従って、超音波探触子10にケーブル10bを介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子10に送信超音波を発生させる回路である。また、送信部112は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子1毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
受信部113は、制御部118の制御に従って、超音波探触子10からケーブル10bを介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部113は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子1毎に対応した個別経路毎に、予め設定された所定の増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子1毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
画像生成部114は、制御部118の制御に従って、受信部113からの音線データに対して包絡線検波処理、対数増幅及びゲイン調整を実施し、音線データの示す受信信号の強さを輝度値に変換してBモード画像データを生成する。このようにして生成されたBモード画像データは、メモリー部115に送信される。なお、画像生成部114は、Bモード以外のカラードプラモードなどの他の画像モードの超音波画像データを生成する構成としてもよい。
メモリー部115は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリーによって構成されており、画像生成部114から送信されたBモード画像データをフレーム単位で記憶する。すなわち、フレーム画像データとして記憶することができる。そして、記憶されたフレーム画像データは、制御部118の制御に従って、DSC116に送信される。
DSC116は、制御部118の制御に従って、メモリー部115より受信したフレーム画像データに座標変換などを施して画像信号に変換し、表示部117に出力する。
表示部117は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイなどの表示装置が適用可能である。表示部117は、DSC116から出力された画像信号に従って表示画面上に画像の表示を行う。
制御部118は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラムなどの各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置100の各部の動作を集中制御する。ROMは、半導体等の不揮発メモリーなどにより構成され、超音波診断装置100に対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な各種処理プログラムや、ガンマテーブルなどの各種データを記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
ついで、図3(a)、図3(b)を参照して、超音波探触子10の構成を説明する。図3(a)は、超音波探触子10を示す概略断面図である。図3(b)は、音響レンズ4の被検体側の表面の拡大断面図である。
超音波探触子10は、超音波診断装置100を構成する際に、超音波診断装置本体110とケーブル10bを介して電気的に接続されて使用され得るものである。超音波探触子10は、超音波を被検体内に送信し、被検体内から反射し受信した超音波を電気信号に変換して超音波診断装置本体110に送信する機能を有している。
超音波探触子10は、図3(a)中に示したX,Y,Z軸のうち、X方向に振動子1が複数個配列された、所謂電子走査型超音波探触子の構成を有する。超音波探触子10は、+Z方向に、バッキング部3と、信号用電気端子7と、信号電極6と、振動子1と、接地電極5と、音響マッチング層2と、超音波伝搬部としての音響レンズ4とを順に備える。振動子1は、PZT(Lead Zirconate Titanate;チタン酸ジルコン酸鉛)系などの圧電セラミック、PMN−PT(Lead Magnesium Niobate-Lead Titanate;マグネシウムニオブ酸チタン酸鉛)などの圧電単結晶、また前記材料と高分子を複合した複合圧電体、あるいはPVDF(PolyVinylidene DiFluoride;ポリフッ化ビニリデン)などに代表される高分子の圧電体などによって構成されている。なお、振動子1は、超音波を発生させて送受信できる手段であれば、前述の圧電体に限定するものではなく、たとえばシリコンウエハ上に微小なセルを多数形成し,電気的にセルを振動させることで超音波の送受信を行う容量性の超音波送受信素子CMUT(Capacitive Micro-machined Ultrasonic Transducers)あるいは、圧電薄膜と半導体微細加工技術とを利用したPMUT(Piezoelectric Micromachined Ultrasound Transducers)の構成でも使用可能である。
接地電極5は、金や銀を蒸着、スパッタリング、あるいは銀の焼き付けなどにより、振動子1の+Z側の面に設けられている接地された電極である。信号電極6は、接地電極5と同じように、金や銀を蒸着、スパッタリングなどにより、振動子1の−Z側の面に設けている信号線側の電極である。信号用電気端子7は、信号電極6に駆動信号を入力し受信信号を取り出す。バッキング部3は、必要に応じて、振動子1を物理的に保持し、かつ振動子1から出力された不要な超音波信号を減衰させる機能を有する。
音響マッチング層2は、振動子1の接地電極5上に設けられ、振動子1と音響レンズ4との音響インピーダンスのマッチングをとる層である。本実施の形態では、音響マッチング層2は、2層(音響マッチング層2a,2b)を設ける構成とするが、この層数に限定されるものではない。音響レンズ4は、音響マッチング層2上に配置され、音響マッチング層2を伝搬した超音波を集束する機能を有する。
超音波探触子10は、超音波診断装置本体110から電気信号を接地電極5と信号電極6に電圧を印加することにより、振動子1が機械振動して発生する超音波が音響マッチング層2、音響レンズ4を伝搬して被検体に送信し、被検体からの反射波を受信するものである。生体を被検体とする超音波探触子10は、生体である被検体に直接的に接触又は超音波伝搬媒体(接触媒質)を介して間接的に接触して、被検体に超音波を送信し被検体から反射してきた反射波を再び受信して、その受信信号が超音波診断装置本体110で処理されて表示部117上に超音波画像として表示されて診断するものに用いられる、所謂センサーである。
ここで望まれる超音波探触子10の性能としては、高感度で広帯域の周波数特性を有していることである。したがって、音響レンズ4に望まれる特性としては、第1に、超音波を集束させるためには、従来から知られているように、被検体である水や生体と音速が違う値を有することである。特に音響レンズ4を被検体側(図3(a)の+Z方向側)に凸面形状にするには、音響レンズ4に被検体(生体を想定)の音速(約1.54[km/sec])より遅い値を有する材料を用いることが必要である。これとは逆に音響レンズ4の音速が速い場合には、表面形状は凹面形状になる。生体を対象とする被検体には、接触性が良く、操作性が良好な凸面形状が有効である。そのため、音響レンズ4に、音速が被検体より遅いシリコーンゴムを用いられているのが一般的である。
第2に、音響レンズ4と被検体間で音響インピーダンスの差による反射を少なくすることであり、被検体に近い音響インピーダンスの値(約1.5〜1.6[MRayl])が必要である。第3に、音響レンズ4の減衰によって超音波の送受信感度の低下と周波数特性の劣化をなくすために、減衰が可能な限り小さいことが必要となる。
以上のように、上記第1〜第3の3つの特性が望まれる訳であるが、本実施の形態の特徴は、音響レンズ4には、従来の音響レンズと異なる音響インピーダンスが被検体と異なる値の材料を用いることと、音響レンズ4の被検体側に位置する表面に凹凸を設け、その凹凸の表面粗さの範囲を限定し、音響レンズ4と被検体との音響インピーダンスの差による反射を問題ないレベルまで低減していることとである。この2つのことにより、音響レンズ4は、音響インピーダンスを被検体に近づける必要がなくなり、音響インピーダンスの値の制限がなくなる。したがって、音響レンズ4の材料として、従来の音響レンズの材料より減衰が小さい材料を選択できるため、感度を向上させることが可能となる。しかも、図3(b)に示すように、音響レンズ4は、被検体側の表面に凹凸部4aを設けた構成としており、被検体との音響インピーダンスが異なっていても、その境界からの反射を小さくできる。つまり、音響レンズ4は、多重反射を小さくできるという長所を有している。
凹凸部4aは、凹部としての同じ深さdの楔状の溝が形成されている。
ついで、図4(a)〜図5(c)を参照して、音響レンズ4の具体的な実施例及びその特性を説明する。図4(a)は、比較例1の音響レンズを用いた超音波探触子のパルス応答特性を示す図である。図4(b)は、実施例1の音響レンズ4を用いた超音波探触子10のパルス応答特性を示す図である。図5(a)は、実施例2の音響レンズ4を用いた超音波探触子10のパルス応答特性を示す図である。図5(b)は、実施例3の音響レンズ4を用いた超音波探触子10のパルス応答特性を示す図である。図5(c)は、比較例2の音響レンズ4を用いた超音波探触子10のパルス応答特性を示す図である。
ここでは、本実施の形態の実施例1〜3の音響レンズ4を有する超音波探触子10と、実施例1〜3との比較のための比較例1、2の音響レンズを有する超音波探触子とを試作して、それらの特性を評価した。実施例1〜3の超音波探触子10は、使用周波数10[MHz]で音響マッチング層2が、音響マッチング層2a,2bの2層からなる構成とした。また、比較例1、3の超音波探触子も、音響レンズを除き、実施例1〜3の超音波探触子10と同様の構成のものを用いた。
比較例1の音響レンズは、従来の音響レンズであり、被検体の音響インピーダンスに近づけた従来のシリコーンゴムにシリカの粉体を充填した材料(音響インピーダンスが1.42[MRayl]、音速が990[m/sec]、使用周波数10[MHz]での減衰が7.8[dB/mm]、平均厚みが0.5[mm])で形成した。また、比較例1の音響レンズは、表面に凹凸部が形成されていない。
実施例1の音響レンズ4は、例えば、信越化学社製のKE108のシリコーンゴム(音響インピーダンスが1.0[MRayl]、音速が1000[m/sec]、使用周波数10[MHz]での減衰が0.7[dB/mm]、平均厚みが0.5[mm])の材料で形成した。実施例1の音響レンズ4は、楔状(溝の角度は約60度)の凹凸部4aが設けられている。実施例1の凹凸部4aの深さdは、0.15波長(0.15λ)(使用周波数10[MHz]での深さdが0.015[mm]、凹凸部4aの溝の間隔が約0.017mm)とした。超音波の波長λは、音速を使用周波数10[MHz]で除算した値である。
実施例2の音響レンズ4は、実施例1と同じ材料で形成した。実施例2の音響レンズ4の凹凸部4aの深さdは、0.65波長(使用周波数10[MHz]での深さdが0.065[mm]、凹凸部4aの間隔が約0.075[mm])とした。
実施例3の音響レンズ4は、実施例1と同じ材料で形成した。実施例3の音響レンズ4の凹凸部4aの深さdは、1.3波長(使用周波数10[MHz]での深さdが0.13[mm]、凹凸部4aの間隔が約0.15[mm])とした。
比較例2の音響レンズは、実施例1と同じ材料で形成した。ただし、比較例2の音響レンズは、表面に凹凸部が形成されていない。
なお、実施例1〜3及び比較例1,2の音響レンズは、曲率半径が8.5mmの凸面形状を有する。実施例1〜3の音響レンズ4は、送受信する超音波の伝搬経路をカバーする領域に凹凸部4aを設けている。実施例1〜3の超音波探触子10、比較例1,2の超音波探触子のそれぞれを用いて、水中下で送信した超音波を15[mm]の距離のステンレス板から反射した受信のパルス応答波形を同じ条件で測定した。
比較例1の超音波探触子、実施例1〜3の超音波探触子10、比較例2の超音波探触子を用いたパルス応答波形の測定結果を順に図4(a)、図4(b)、図5(a)、図5(b)、図5(c)に示した。図4(a)〜図5(c)において、横軸は時間[sec]、縦軸は電圧値[V]を示す。なお、凹凸部4aは、2次元に設けた形状にしている。
図4(a)〜図5(c)において、最初のパルス応答波形P1は、音響レンズから出射された超音波が反射板から反射して音響レンズ、音響マッチング層2を通過し振動子1に入力された反射波形を示す。パルス応答波形P2は、音響レンズから出射された超音波が反射板から反射して音響レンズに入射された後、音響マッチング層2(2b)で反射され、音響レンズの被検体側の表面で再び反射されて音響マッチング層2を通過し振動子1に入力された反射波形を示す。
ここで感度が高いかどうかを評価するのは、パルス応答波形P1の反射波形の大きさであり、大きいほど感度が高いという評価になる。パルス応答波形P1のVpp(peak to peak)を電圧値V1とする。一方、パルス応答波形P2は可能な限り小さいことが望ましく、大きくなると多重反射となり、超音波画像上では虚像として表示される。この虚像が誤診になる可能性があるため回避することが必要であり、パルス応答波形P2の電圧レベルは小さくしないといけない。
パルス応答波形P2のVppを電圧値V2とする。電圧値V1に対する電圧値V2の比(V2/V1)を、電圧値V1の電圧レベルを0[dB]とした場合の電圧値V2の電圧レベルのdB量で表す。電圧値V1に対する電圧値V2の比[dB]は、−35dB以下であれば、超音波画像において虚像として認識され難いことから、このレベル以下が望ましい。
比較例1、実施例1〜3、比較例2の超音波探触子におけるパルス応答波形の電圧値V1[V]と、電圧値V1に対する電圧値V2の比(V2/V1)[dB]と、を次表1に表す。
Figure 2019187868
比較例1の超音波探触子におけるパルス応答波形の結果では、V2/V1は、−39[dB]であり問題ないレベルである。比較例2の超音波探触子におけるパルス応答波形の結果では、V2/V1は、−25.4[dB]であり、かなり大きい値であり、超音波画像上では明らかに虚像として表示され問題である。
一方、実施例1〜3の超音波探触子10におけるパルス応答波形の結果では、V2/V1は、−36.3〜−37.1[dB]であり、比較例2よりも10[dB]以上改善されており、許容レベルの−35dB以下をクリアしており、多重反射を低減させることに効果があることは確認できた。さらに、実施例1〜3の超音波探触子10における感度を表す電圧値V1のパルス応答波形を、比較例1の超音波探触子における電圧値V1のパルス応答波形と比較するため、第1例(例えば、比較例1)の電圧値V1に対する第2例(例えば、実施例1〜3)の電圧値V1の比を、次式(1)を用いて算出した。
20log{(第2例のV1)/(第1例のV1)} …(1)
比較例1の電圧値V1に対する実施例1〜3の電圧値V1の比は、約8[dB]となった。つまり、実施例1〜3の感度が、比較例1の感度に比べて、約8[dB]ほど向上していることが確認できる。この結果は、ほぼ音響レンズの超音波減衰の差に相当していることがわかる。
音響レンズ4の凹凸部4aの深さdの範囲は、0.15波長から1.3波長の範囲で、多重反射の低減に効果を確認しているが、0.15波長以下では、凹凸部4aを設けない表面に近づくため多重反射の電圧値V2が徐々に大きくなる傾向があり望ましくない。また、1.3波長を超える凹凸部4aの形状では、凹凸の部分により音響レンズ4と被検体との音速差により屈折が発生して、所望の超音波ビームを形成することが難しくなるので望ましくない。以上のことから、音響レンズ4の凹凸部4aは、0.15波長から1.3波長の範囲が望ましい。凹凸部4aの深さdは、波長で正規化しているため、周波数が変わると当然のことであるが、凹凸部4aの深さdも変わってくる。
以上のようなパルス応答波形の結果から、音響レンズ4に、音響インピーダンスが被検体と異なる値の材料を用いることと、音響レンズ4の被検体側に位置する表面に凹凸部4aを設けることにより、超音波減衰の小さい材料を使用でき、しかも、表面に凹凸部4aを設けることにより、音響レンズ4と被検体の音響インピーダンスの差による多重反射を小さくすることができるため、高感度で高分解能の超音波画像を得ることができる。
また、音響レンズ4は、所望の型又は金型を使用して成形して作成する。凹凸部4aの形成は、型又は金型に、サンドブラスト、放電加工又はレーザー加工などの種々の方法で凹凸部4aに対応する溝を設けることで可能である。
以上、本実施の形態によれば、超音波探触子10は、超音波を被検体へ送受信する振動子1と、振動子1の被検体側に設けられた音響レンズ4と、を備える。音響レンズ4は、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ被検体側の表面に凹凸部4aを備える。
このため、音響レンズ4に超音波の減衰が小さい材料を適用して、超音波の減衰を小さくすることができ、凹凸部4aにより不要な多重反射を小さくすることができ、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。
また、音響レンズ4は、超音波の減衰が小さい。このため、超音波の減衰を小さくすることにより、超音波画像の高感度化を実現できる。
また、音響レンズ4は、凸面形状を有し、被検体よりも遅い音速の値を有する、又は凹面形状を有し、被検体よりも早い音速の値を有する。このため、音響レンズ4を凸面形状にすることにより、被検体への音響レンズ4の接触性を良くすることができ、超音波探触子10の操作性を良好にすることができ、音響レンズ4を凹面形状にすることもできる。
また、凹凸部4aは、所定の単一の深さの複数の溝を有する。このため、音響レンズ4と被検体との間の多重反射をより小さくすることができ、超音波画像のさらなる高感度化及び高分解能化を実現できるとともに、凹凸部を容易に形成できる。
また、凹凸部4aは、使用周波数に対応する0.15波長から1.3波長の範囲の深さの溝を有する。このため、音響レンズ4と被検体との間の多重反射を小さくすることができ、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。
また、超音波診断装置100は、超音波探触子10と、超音波探触子10に駆動信号を出力する送信部112と、超音波探触子10から受信信号が入力される受信部113と、入力された受信信号に応じて、超音波画像データを生成する画像生成部114と、を備える。このため、高感度及び高分解能の超音波画像データを生成できる。
なお、本実施の形態の音響レンズ4の凹凸部4aが、角度が60度で楔形の溝からなる構成を説明したが、この角度及び形状に限定されるものでない。音響レンズの凹凸部の角度及び形状は、どのような角度、深さdにおいても、音響レンズの表面から反射を少なくできる形状であればよく、音響レンズ4及び超音波探触子10と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態の音響レンズ4には、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ減衰の小さいシリコーンゴムを用いた構成について説明したが、これに限定されるものではない。音響レンズの材料としては、この他、被検体と異なる音速と音響インピーダンスを有し、かつ減衰の小さい材料、例えば、合成ゴム、高分子樹脂のポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、及びエラストマーを用いても、同様の効果が得られる。なお、音響レンズに被検体より音速が速い値を有する材料を用いる場合には、音響レンズの曲率は凹面形状になる。凹面形状になると被検体との接触性に課題があるが、当該凹面部に新たに音響インピーダンスが被検体に近い超音波伝搬媒体(接触媒質)を設けても有効である。さらに、当該凹面部に設けた超音波伝搬媒体に被検体と異なる音響インピーダンスのものを使用し、被検体側に位置する表面に凹凸部4aを設けて境界での反射を低減するという構成としても、音響レンズ4及び超音波探触子10と同様の効果が得られる。
さらに、振動子1そのものを凹面の形状にして、超音波ビームを集束するという構成もあり、この場合には、振動子1の凹面部に、超音波伝搬部として、被検体と異なる音響インピーダンスの固体の材料の超音波伝搬媒体を設け、当該超音波伝搬媒体の振動子1側及び被検体側に位置する表面もしくは、どちらかの面に凹凸部4aと同様の凹凸部を設けて境界での反射を低減するという構成としても、音響レンズ4及び超音波探触子10と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、音響レンズ4に凸面形状の曲率を設け、送受信する超音波の伝搬経路をカバーする領域に凹凸部4aを設けた構成について説明したが、これに限定されるものではない。このほか、音響レンズの多重反射の寄与度が大きい超音波伝搬経路の中心領域の一部に凹凸部を設ける構成としても、音響レンズ4及び超音波探触子10と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、音響レンズ4の被検体側に位置する表面に凹凸部4aを設けた構成について説明したが、これに限定されるものではない。図3(a)に示す音響マッチング層2と音響レンズ4との音響インピーダンスの差による超音波の反射もあるため、この境界に位置する音響レンズ4の振動子1側(図3(a)の−Z方向側)の表面にも凹凸部4aと同様に、凹凸部を設けることにより超音波の反射を低減できる。例えば、被検体側の表面に凹凸部4aを有し、かつ振動子1側の表面に凹凸部を有する音響レンズを成形などにより生成し、当該音響レンズを接着剤により音響マッチング層2に接着する。したがって、音響レンズの4の超音波を送受信する領域の両面(被検体側及び振動子1側の表面)に凹凸部を設けることにより、多重反射を小さくでき、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。なお、音響レンズの振動子1側の表面のみに凹凸部を設ける構成としてもよい。
また、本実施の形態では、超音波探触子10の形態について、振動子1を複数個配列したアレイタイプについて説明したが、これに限定されるものではない。このほか、単一の振動子又は2次元に配列したアレイタイプの複数の振動子を備える超音波探触子について、本実施形態の音響レンズ4を適用しても、超音波探触子10と同様の効果が得られる。
(第2の実施の形態)
図6及び図7を参照して、本発明に係る第2の実施の形態を説明する。図6は、音響レンズ4Aの被検体側の表面の拡大断面図である。図7は、実施例4の音響レンズ4Aを用いた超音波探触子10のパルス応答特性を示す図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態の超音波診断装置100に代えて、超音波探触子10の音響レンズ4を、後述する音響レンズ4Aに代えた超音波診断装置100を用いる。このため、超音波診断装置100と同様の部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
図6に示すように、音響レンズ4Aは、被検体側の表面に設けられた凹凸部4bを有する。音響レンズ4Aは、凹凸部4bの表面粗さを、不規則に設けた構成である点で、規則的な表面粗さの凹凸部4aを有する音響レンズ4と異なる。
ついで、図7を参照して、音響レンズ4Aの具体的な実施例及びその特性を説明する。ここでは、本実施の形態の実施例4の音響レンズ4Aを有する超音波探触子10を試作して、その特性を評価した。実施例4の超音波探触子10は、使用周波数10[MHz]で音響マッチング層2が、音響マッチング層2a,2bの2層からなる構成とした。
実施例4の音響レンズ4Aの凹凸部4bの深さd1は、0.28波長(使用周波数10[MHz]での深さd1が0.028[mm])とした。実施例4の音響レンズ4Aの凹凸部4bの深さd2は、0.52波長(使用周波数10[MHz]での深さd2が0.052[mm])とした。実施例4の音響レンズ4Aの凹凸部4bの深さd3は、0.76波長(使用周波数10[MHz]での深さd3が0.076[mm])とした。実施例4の音響レンズ4Aの凹凸部4bの深さd4は、1.3波長(使用周波数10[MHz]での深さd4が0.13[mm])とした。
実施例4の音響レンズ4として、例えば、信越化学社製のKE1300のシリコーンゴム(音響インピーダンスが1.1[MRayl]、音速が1005[m/sec]、使用周波数10[MHz]での減衰が3.7[dB/mm]、平均厚み0.5[mm])を材料とし、深さd1、d2、d3、d4の図6に示すような楔状の溝(溝の角度は60度)の凹凸部4bを設けた。実施例4の音響レンズ4Aを有する超音波探触子10にして、超音波の送信受信のパルス応答波形を測定した結果を、図7に示す。なお、凹凸部4bは、2次元に設けた形状にしている。
図7に示すように、実施例4の超音波探触子10において、最初のパルス応答波形P1の電圧値V1に対する、パルス応答波形P1が再び音響レンズ4Aの表面から反射してきたパルス応答波形P2の電圧値V2の比[dB]は、−39.1[dB]であった。実施例4の電圧値V1に対する電圧値V2の比は、第1の実施の形態の比較例1の電圧値V1に対する電圧値V2の比の−39dBとほぼ同等レベルとなっており、多重反射はほとんど問題ないレベルを実現している。このように、凹凸部4bにおいて、深さが0.28波長から1.3波長の範囲で複数個の溝を設ける、又は不規則に複数個の溝を設けることにより、多重反射はさらに小さくすることができる。なお、実施例4の凹凸部4bの深さd1〜d4は、0.28波長から1.3波長の範囲としたが、第1の実施の形態でも示した0.28波長以下の0.15波長から1.3波長の範囲にしても、音響レンズ4A及び超音波探触子10と同様の効果が得られる。
近年、超音波診断装置の高分解能化に伴って、使用される超音波探触子の周波数の広帯域化が進められている状況においては、いろいろな周波数に対して、音響レンズ4Aの被検体側の表面からの反射を低減するには、凹凸部4bの形状は複数の深さdあるいは間隔を有した形状にすることは有用である。
一方、実施例4の超音波探触子10における感度を表す電圧値V1のパルス応答波形を、第1の実施の形態の比較例1の超音波探触子における電圧値V1のパルス応答波形と比較するため、比較例1の電圧値V1に対する実施例4の電圧値V1の比を、式(1)を用いて算出した。
比較例1の電圧値V1に対する実施例4の電圧値V1の比は、約5.6[dB]となった。つまり、実施例4の感度が、比較例1の感度に比べて、約5.6[dB]ほど向上していることが確認できる。
また、音響レンズ4Aの生成方法は、第1の実施の形態の音響レンズ4の生成方法と同様である。
以上のような結果から、音響レンズ4Aに、音響インピーダンスが被検体と異なる値の材料を用いることと、音響レンズ4の被検体側に位置する表面に凹凸部4bを深さdが違う形状のものを複数個設ける形状、又は不規則に複数個設ける形状にすることにより、音響レンズ4Aに超音波減衰の小さい材料を使用できる。しかも、表面に凹凸部4bを設けた表面粗さにすることにより、音響レンズ4Aと被検体との音響インピーダンスの差による多重反射を小さくすることができるため、高感度で高分解能の超音波画像を得ることができる。
以上、本実施の形態によれば、超音波探触子10の音響レンズ4Aの凹凸部4bは、互いに異なる複数の深さの溝を有する。このため、音響レンズ4Aに超音波の減衰が小さい材料を適用でき、超音波の減衰を小さくすることができ、凹凸部4bにより不要な多重反射をより小さくすることができ、超音波画像のさらなる高感度化及び高分解能化を実現できる。
なお、本実施の形態では、音響レンズ4Aの被検体側に位置する表面に凹凸部4aを設け、凹凸部4aの深さdの異なる4種類の形状の場合について説明したが、これに限定されるものではない。音響レンズが、4種類以外の種類数、例えば2種類の凹凸部を有する形状にしても、音響レンズの表面から超音波の反射を少なくできる形状であればよく、音響レンズ4Aと同様の効果が得られる。
(第3の実施の形態)
図8(a)、図8(b)を参照して、本発明に係る第3の実施の形態を説明する。図8(a)は、音響レンズ4Bの被検体側の表面の拡大断面図である。図8(b)は、音響レンズ4Cの被検体側の表面の拡大断面図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態の超音波診断装置100に代えて、超音波探触子10の音響レンズ4を、後述する音響レンズ4B又は4Cに代えた超音波診断装置100を用いる。このため、超音波診断装置100と同様の部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
図8(a)に示すように、音響レンズ4Bは、超音波伝搬部本体としての音響レンズ本体4B1と、層部8と、を備える。音響レンズ本体4B1は、第1の実施の形態の音響レンズ4と同様の形状の音響レンズであり、被写体側の表面に深さdが単一の溝からなる凹凸部4aを有する。音響レンズ4Bの層部8は、音響レンズ本体4B1の凹凸部4aの溝を埋める層である。
図8(b)に示すように、音響レンズ4Cは、音響レンズ本体4C1と、層部8と、を備える。音響レンズ本体4C1は、第2の実施の形態の音響レンズ4Aと同様の形状の音響レンズであり、被写体側の表面に異なる複数の深さの溝からなる凹凸部4bを有する。音響レンズ4Cの層部8は、音響レンズ本体4C1の凹凸部4bの溝を埋める層である。
通常、効率よく被検体に超音波を伝搬させるように、音響レンズにゲル状の超音波接触媒体(接触媒質)を塗布して被検体に直接接触させて使用する。しかし、第1、第2の実施の形態の音響レンズ4,4Aでは、凹凸部4a,4bを有するため、超音波接触媒体が溝に完全に入らないとき、そこは空気が介在する場合がある。低い頻度であるが、その場合には被検体に超音波が送信し難いあるいは受信しにくいことが発生する。また、音響レンズ4,4Aは使用していくうちに摩耗して、凹凸部4a,4bの溝の形状が変化してくる場合がある。音響レンズ4,4Aは、溝の形状が変化することにより、多重反射が増えてくるおそれがある。本実施の形態の音響レンズ4B,4Cは、この課題を解消することを目的としている。
層部8は、被検体間との反射を小さくする必要があるため、必要な音響インピーダンスは、被検体の音響インピーダンス(約1.5〜1.6[MRayl])に近い特性のものが望ましい。なお、層部8は、被検体と同じ音響インピーダンスを有する構成としてもよい。また、層部8の音速は、特に限定する必要はない。音響レンズ本体4B1,4C1には、超音波の集束させる機能を持たせている。しかし、層部8は、超音波を集束させる機能をほとんど持たせないので、音響レンズ本体4B1,4C1の一部としての機能は有していない。
すなわち、層部8は、音響レンズ4B,4Cの厚みに対して極めて薄くともよく、音響レンズ4B,4Cの凹凸部4a,4bの溝を埋めるだけでよい。このため、層部8の厚みは、第1及び第2の実施の形態で示した凹凸部4a,4bの溝の深さの0.15波長〜1.3波長の範囲でよく、さらに厚みを0.05〜0.1[mm]追加した厚みでもよく、音響レンズ4の材料より多少減衰が大きい材料であっても感度の影響は小さいので問題ない。
層部8の材料としては、被検体に近い音響インピーダンスの値を有する材料であれば有用であり、例えばシリコーンゴム、ブタジエンゴム、ウレタンゴムなどのゴム系の材料、エラストマー材料、ポリエチレン、ポリメチルペンテンなどの樹脂材料、あるいはこれらを複合した材料などがある。
また、層部8は、音響レンズ本体4B1,4C1と違う配色にして、層部8が摩耗して音響レンズ4の色が見え始めたら、超音波探触子の寿命であるということが確認できるようにしてもよい。
音響レンズ4B,4Cの音響レンズ本体4B1,4C1の凹凸部4a,4bを設けた表面に、凹凸部4a,4bの溝を埋めるような層部8を設けることによって、被検体への接触性の向上と、音響レンズの凹凸部の表面の摩耗を防止することができ、音響レンズ4と層部8と被検体との音響インピーダンスの差による多重反射を小さくすることができるため、高感度で高分解能の超音波画像を得ることができる。
音響レンズ本体4B1,4C1は、所望の型又は金型を使用して成形して作成する。さらに、層部8の材料を音響レンズ本体4B1,4C1に流し込み、又は層部8を成形して音響レンズ本体4B1,4C1に密着させて形成する。あるいは、層部8を音響レンズ本体4B1,4C1の凹凸部4a,4bに合せた形状に成形した後、層部8の凹凸部に音響レンズ本体4B1,4C1を成形しても形成できる。音響レンズ本体4B1,4C1の凹凸部4a,4b又は層部8の凹凸部の形成は、型又は金型に、サンドブラスト、放電加工又はレーザー加工などの種々の方法で各凹凸部に対応する溝を設けることで可能である。
以上、本実施の形態によれば、音響レンズ4B,4Cは、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、凹凸部4a,4bを備える音響レンズ本体4B1,4C1と、音響レンズ本体4B1,4C1の被検体側の表面上に設けられ、被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部8と、を備える。このため、音響レンズ本体4B1,4C1と層部8と被検体との音響インピーダンスの差による多重反射を小さくすることができるため、超音波画像のさらなる高感度化及び高分解能化を実現できる。
また、音響レンズ本体4B1,4C1は、層部8より超音波の減衰が小さい。このため、超音波画像のさらなる高感度化及び高分解能化を実現できる。
また、音響レンズ本体4B1,4C1及び層部8は、互いに異なる色を有する。このため、層部8の色が見え始めることにより、超音波探触子10の寿命を目視により確実に認識できる。
なお、本実施の形態では、被検体に近い音響インピーダンスを有した層部8を単層に設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、層部8を複数層にしても、単層の層部8と同様の効果が得られる。
(第4の実施の形態)
図9(a)、図9(b)を参照して、本発明に係る第4の実施の形態を説明する。図9(a)は、超音波探触子20の一部概略断面図である。図9(b)は、音響窓材部30の拡大断面図である。
本実施の形態では、第1の実施の形態の超音波診断装置100に代えて、超音波探触子10を、後述する超音波探触子20に代えた超音波診断装置100を用いる。このため、超音波診断装置100と同様の部分には、同じ符号を付して、その説明を省略する。
図9(a)に示すように、本実施の形態の超音波探触子20は、超音波送受波部21と、駆動軸部28と、保持部29と、音響窓材部30と、超音波伝搬媒体31と、を備える。超音波送受波部21は、PZT系などの圧電セラミック、高分子材料あるいは単結晶などの振動子が用いられ、超音波を送受信する部品である。超音波送受波部21は、必要によって振動子の前面に超音波を効率よく送受信するために音響整合層を1層以上有し、さらには超音波を集束させる音響レンズ24を有する。
駆動軸部28は、超音波送受波部21を機械的に揺動、回転又は前後(被検体側⇔保持部29側)に動作させる部品である。保持部29は、駆動軸部28を保持する部品である。音響窓材部30は、超音波送受波部21などを内包する部品である。超音波伝搬媒体31は、超音波送受波部21と音響窓材部30との間隙を満たす媒体である。
超音波探触子20は、超音波診断装置本体110からケーブル、信号線(図示略)を介して駆動信号を超音波送受波部21に印加することにより、超音波送受波部21の振動子が機械振動して超音波を送信及び受信する。振動子から出射された超音波は、音響レンズ24、超音波伝搬媒体31、音響窓材部30を順に伝搬する。音響窓材部30は、被検体に直接接触又は超音波伝搬媒体(接触媒質)を介して間接的に接触して被検体、例えば生体に超音波を送信し、また被検体から反射してきた超音波の反射波を再び音響窓材部30、超音波伝搬媒体31、音響レンズ24を通して超音波送受波部21の振動子で受信する。
また、超音波送受波部21は、モーターなどが接続されている駆動部(図示略)及び駆動軸部28によって揺動、回転又は前後に動作される。超音波送受波部21は、その動作の都度超音波の信号を送受信し、この受信信号が信号線、ケーブル(図示略)を介して超音波診断装置本体110で信号処理され、表示部117上に超音波診断画像として2次元又は3次元に表示されて診断されるものに用いられる、所謂センサーである。
超音波の送受信する経路は、超音波送受波部21に接触している超音波伝搬媒体31と音響窓材部30である。超音波伝搬媒体31と音響窓材部30とによって、超音波画像を劣化させないで高分解能の画像を得るためには、超音波伝搬媒体31と音響窓材部30との音響特性、特に音響インピーダンスと超音波減衰に注意が必要であり、重要なポイントである。音響レンズ24、超音波伝搬媒体31及び音響窓材部30について、音響インピーダンスは、境界での反射を小さくするために被検体である例えば生体(1.5〜1.6[MRayl])に近い値が望まれる。さらに、もう一つの特性である超音波の減衰は、超音波の送受信の感度と周波数特性とに大きく影響するため、可能な限り小さい値のものが望まれる。特に、周波数依存減衰があり、高分解能の画像を得るために高い周波数を用いた超音波送受波部21を使用するときは、この特性が極めて重要になってくる。
このような観点から、音響窓材部30の材料としては、超音波送受波部21の揺動、回転又は前後にスムースに動作させるために、外圧などから防御するという点も考慮してポリエチレンやポリメチルペンテンなどのようなプラスチック材料が用いられている。しかし、ポリエチレン、ポリメチルペンテンの音響インピーダンスが、それぞれ約1.7、1.67[MRayl]であり、被検体(生体)の音響インピーダンスより大きい値であり、被検体との境界で音響インピーダンスの不整合により多重反射が発生するという課題がある。
一方、超音波伝搬媒体31は、上記望まれる特性にさらにいくつか要望される特性がある。それらの特性の一つは、超音波探触子20は、被検体が生体である場合、診断中に音響窓材部30が何らかの要因で亀裂あるいは破損などが発生して超音波伝搬媒体31が外部に流れ出て、生体に接触させる可能性があるために、超音波伝搬媒体31が、生体に対して害がないものあるいは小さいものであることである。また、要望される特性のもう一つは、超音波送受波部21を駆動軸部28でスムースにかつ高速に揺動、回転又は前後に動作するためには、駆動軸部28を駆動するモーターへの負荷(トルクなど)を可能な限り小さくしなければならないために、超音波伝搬媒体31の粘性が小さいことである。さらに、要望される特性の別のもう一つは、音響窓材部30内にある超音波送受波部21、駆動軸部28又は保持部29などの超音波伝搬媒体31が接触する部分が、超音波伝搬媒体31により悪影響(腐食による錆あるいは侵食など)を与えないことである。このように、超音波伝搬媒体31には、音響特性、安全性、粘性などのいろいろな特性を満たすようなものが望まれる。
従来、超音波伝搬媒体31としては、多価アルコールのエチレングリコール、1.3ブタンジオール(1.3ブチレングリコール)及びオイル系などの液体が用いられていた。エチレングリコール、1.3ブタンジオールの音響インピーダンスは、それぞれ約1.85、1.54[MRayl]である。エチレングリコールは、減衰が小さい(使用周波数10[MHz]で約0.1[dB/mm])が、音響インピーダンスが大きく、音響レンズ24、音響窓材部30との間で音響的な不整合により多重反射が発生するという課題がある。また、1.3ブタンジオールの音響インピーダンスは良好であるが、減衰が大きい(使用周波数10[MHz]で約1.3[dB/mm])ため、感度が低下するという課題がある。
本実施の形態では、図9(b)に示すように、音響レンズ24、超音波伝搬媒体31、音響窓材部30及び被検体の間における、音響インピーダンスが異なる境界である、音響レンズ24の被検体側(超音波伝搬媒体31側)の表面に凹凸部(図示略)を設け、音響窓材部30の振動子側(超音波伝搬媒体31側)の表面に凹凸部30aを設け、音響窓材部30の被検体側の表面に凹凸部30bを設け、多重反射の課題を解消するとともに、感度を向上させるところに特徴がある。もちろん、それぞれの境界で、音響インピーダンスが近く多重反射が問題ない部分には凹凸部を設ける必要はない。
たとえば、音響レンズ24に、第1の実施の形態の音響レンズ4と同じ材料を用いて、被検体側の表面に凹凸部(図示略)を設けるものを用いる。音響レンズ24の凹凸部の深さdの範囲は、0.15波長から1.3波長の範囲とする。また、超音波伝搬媒体31には、音響レンズ24、音響窓材部30の音響インピーダンスとは異なる音響インピーダンスが1.85[MRayl]の値を有し、かつ超音波の減衰が使用周波数10[MHz]で約0.1[dB/mm]のエチレングリコールなどの減衰の小さい値のものを用いる。
また、音響窓材部30においては、音響インピーダンスが1.7[MRayl]、音速が1950[m/sec]の低密度のポリエチレンを用い、超音波伝搬媒体31が接する内面の表面(超音波送受波部21の振動子側の表面)に凹凸部30aを設け、被検体に接する外面の表面(被検体側の表面)に凹凸部30bを設ける。この凹凸部30a,30bは、第1、第2の実施の形態の音響レンズ4,4Aと同じ思想で設けている。つまり、音響窓材部30の両面に設ける凹凸部30a,30bの深さdは、0.15波長から1.3波長の範囲で設ける。また、凹凸部30a,30bとして、当該深さの範囲内で、互いに深さが異なる複数個の溝を設けてよい。
たとえば、使用周波数10[MHz]の超音波送受波部21を用いた場合、音響窓材部30の表面の凹凸部30a,30bの深さを、0.15波長から1.3波長の範囲に設定すると、0.16波長が約0.031[mm]となり、1.3波長が約0.254[mm]となる。これらの範囲で単一の深さにしても、複数個の深さにしても、音響窓材部30の表面に凹凸部30a,30bを形成することによって、超音波伝搬媒体31、被検体の音響インピーダンスの不整合による多重反射を防止することができる。このため、音響レンズ24と超音波伝搬媒体31と音響窓材部30との音響インピーダンスが異なる材料を用いた場合でも、上記のように音響レンズ24と音響窓材部30との表面に凹凸部を設けることにより、多重反射の課題は解消できる。このため、音響レンズ24、超音波伝搬媒体31、音響窓材部30は、音響インピーダンスに制限がなくなるために、それぞれの材料の選択の範囲が広くなる。そのため、それぞれの材料は減衰の小さい材料を選択できるため、超音波送受信の感度を向上させることが可能となり、高感度で高分解能の超音波画像を得ることができる。
また、音響窓材部30は、所望の型又は金型を使用して成形して作成する。凹凸部30a,30bの形成方法は、型又は金型に、サンドブラスト、放電加工又はレーザー加工などの種々の方法で凹凸部4a,4bに対応する溝を設けることで可能である。音響レンズ24の凹凸部の形成方法は、第1、第2の実施の形態の音響レンズ4,4Aの凹凸部4a,4bの形成方法と同様である。
以上、本実施の形態によれば、超音波探触子20は、超音波送受波部21と、超音波送受波部21の少なくとも被検体側に配置された超音波伝搬媒体31と、超音波送受波部21及び超音波伝搬媒体31を内包する音響窓材部30と、を備える。音響窓材部30は、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ被検体側の表面及び振動子側の表面に凹凸部30a,30bを備える。このため、音響窓材部30、超音波伝搬媒体31に超音波の減衰が小さい材料を適用でき、超音波の減衰を小さくすることができ、凹凸部30a,30bにより不要な多重反射を小さくすることができ、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。
また、音響窓材部30及び超音波伝搬媒体31は、超音波の減衰が小さい。このため、超音波の減衰を小さくすることにより、超音波画像の高感度化を実現できる。
また、超音波探触子20は、超音波送受波部21において、圧電体の被検体側に設けられた音響レンズ24を備える。音響レンズ24は、超音波伝搬媒体31と異なる音響インピーダンスを有し、かつ超音波伝搬媒体31側の表面に凹凸部を備える。このため、音響レンズ24に超音波の減衰が小さい材料を適用でき、超音波の減衰を小さくすることができ、音響レンズ24の凹凸部により不要な多重反射を小さくすることができ、超音波画像の高感度化及び高分解能化を実現できる。
なお、本実施の形態では、音響レンズ24の被検体側の表面と、音響窓材部30の被検体側の表面(外面)及び振動子側の表面(内面)とに凹凸部を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。音響窓材部30の内面、外面、音響レンズ24の被検体側の表面、振動子側の表面の少なくとも1つに凹凸部を設けても、本実施の形態の音響レンズ24及び超音波探触子20と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、超音波送受波部21を駆動軸部28によって揺動、回転又は前後に動作させる構成について説明したが、これに限定されるものではない。このほか、駆動軸部を設けず、超音波送受波部21が固定された超音波探触子においても、本実施の形態の音響レンズ24及び超音波探触子20と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、超音波伝搬媒体31は液体を設けた構成について説明したが、これに限定されるものではない。このほか、超音波伝搬媒体31はゲル状若しくは、固体であっても、本実施の形態の超音波探触子20と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態では、音響窓材部30の外面に凹凸部30bを設けた場合について説明したが、これに限定されるものではない。第3の実施の形態と同様に、音響窓材部は、被検体と異なる音響インピーダンスを有し、凹凸部30a,30bを備える音響窓材部本体と、当該音響窓材部本体の前記被検体側の表面上に設けられ、被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部と、を備える構成としてもよい。この構成によれば、第3の実施の形態の層部8と同様の効果が得られる。
なお、上記各実施の形態における記述は、本発明に係る好適な超音波探触子及び超音波診断装置の一例であり、これに限定されるものではない。
上記各実施の形態の少なくとも2つを適宜組み合わせる構成としてもよい。
また、以上の実施の形態における超音波診断装置100を構成する各部の細部構成及び細部動作に関して本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 超音波診断装置
10,20,40 超音波探触子
1,41 振動子
2,2a,2b,42,42a,42b,42c 音響マッチング層
3,43 バッキング部
4,24,4A,4B,4C,44 音響レンズ
4B1,4C1 音響レンズ本体
21 超音波送受波部
28 駆動軸部
29 保持部
30 音響窓材部
31 超音波伝搬媒体
4a,4b,30a,30b 凹凸部
5 接地電極
6 信号電極
7 信号用電気端子
8 層部
10b ケーブル
110 超音波診断装置本体
111 操作入力部
112 送信部
113 受信部
114 画像生成部
115 メモリー部
116 DSC
117 表示部
118 制御部

Claims (16)

  1. 超音波を被検体へ送受信する振動子と、
    前記振動子の前記被検体側に設けられた超音波伝搬部と、を備え、
    前記超音波伝搬部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記被検体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える超音波探触子。
  2. 前記超音波伝搬部は、超音波の減衰が小さい請求項1に記載の超音波探触子。
  3. 前記超音波伝搬部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、前記凹凸部を備える超音波伝搬部本体と、
    前記超音波伝搬部本体の前記被検体側の表面上に設けられ、当該被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部と、を備える請求項1又は2に記載の超音波探触子。
  4. 前記超音波伝搬部本体は、前記層部より超音波の減衰が小さい請求項3に記載の超音波探触子。
  5. 前記超音波伝搬部本体及び前記層部は、互いに異なる色を有する請求項3又は4に記載の超音波探触子。
  6. 前記超音波伝搬部は、凸面形状を有し、前記被検体よりも遅い音速の値を有する、又は凹面形状を有し、前記被検体よりも速い音速の値を有する請求項1から5のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  7. 前記超音波伝搬部の少なくとも前記被検体側に配置された超音波伝搬媒体と、
    前記振動子、前記超音波伝搬部及び前記超音波伝搬媒体を内包する音響窓材部と、を備える請求項1から6のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  8. 超音波を被検体へ送受信する振動子と、
    前記振動子の少なくとも前記被検体側に配置された超音波伝搬媒体と、
    前記振動子及び前記超音波伝搬媒体を内包する音響窓材部と、を備え、
    前記音響窓材部は、前記被検体及び前記超音波伝搬媒体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記被検体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える超音波探触子。
  9. 前記音響窓材部及び前記超音波伝搬媒体は、超音波の減衰が小さい請求項8に記載の超音波探触子。
  10. 前記音響窓材部は、前記被検体と異なる音響インピーダンスを有し、前記凹凸部を備える音響窓材部本体と、
    前記音響窓材部本体の前記被検体側の表面上に設けられ、当該被検体と同じ又は近い音響インピーダンスを有する層部と、を備える請求項8又は9に記載の超音波探触子。
  11. 前記振動子の前記被検体側に設けられた超音波伝搬部を備える請求項8から10のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  12. 前記超音波伝搬部は、前記超音波伝搬媒体と異なる音響インピーダンスを有し、かつ前記超音波伝搬媒体側の表面及び前記振動子側の表面の少なくとも一方に凹凸部を備える請求項11に記載の超音波探触子。
  13. 前記凹凸部は、所定の単一の深さの複数の凹部を有する請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  14. 前記凹凸部は、互いに異なる複数の深さの凹部を有する請求項1から12のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  15. 前記凹凸部は、使用周波数に対応する0.15波長から1.3波長の範囲の深さの凹部を有する請求項1から14のいずれか一項に記載の超音波探触子。
  16. 請求項1から15のいずれか一項に記載の超音波探触子と、
    前記超音波探触子に駆動信号を出力する送信部と、
    前記超音波探触子から受信信号が入力される受信部と、
    前記入力された受信信号に応じて、超音波画像データを生成する画像生成部と、を備える超音波診断装置。
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