JP2019184920A - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】虚像についての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立するHUD装置を提供する。【解決手段】HUD装置は、結像部に画像の表示光を反射させることにより、画像を視認可能に虚像表示する。HUD装置は、画像の表示光を投射するプロジェクタユニット10と、プロジェクタユニット10が投射した表示光の光束を拡張すると共に、表示光を結像部側へ導く導波路30と、導波路30への表示光の入射角を変更する入射角変更部52と、を備える。【選択図】図10
Description
この明細書による開示は、ヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置を略称とする)に関する。
従来、結像部に画像の表示光を反射させることにより、画像を視認可能に虚像表示するHUD装置が知られている。特許文献1に開示のHUD装置は、画像の表示光を射出する表示光投射部及び当該表示光投射部から射出された表示光を結像部側へ反射する凹面鏡を有している。表示光投射部は、光を拡散する拡散板を有し、凹面鏡は、拡散板により拡散された後の光を反射する。また、凹面鏡を回動する回動機構が設けられている。
しかしながら、特許文献1のHUD装置にて凹面鏡は、拡散板により拡散された後の拡がった状態の光を反射するために、大きな体格を要する。そして、このような凹面鏡を回動させるために、さらに大きな空間が必要となり、HUD装置自体の体格も増大してしまう。このように、虚像についての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立することは、困難であった。
開示されるひとつの目的は、虚像についての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立するHUD装置を提供することにある。
ここに開示された態様は、結像部(3a)に画像の表示光を反射させることにより、画像を視認可能に虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
画像の表示光を投射する表示光投射部(10)と、
表示光投射部が投射した表示光の光束を拡張すると共に、表示光を結像部側へ導く導波路(30)と、
導波路への表示光の入射角を変更する入射角変更部(52)と、を備える。
画像の表示光を投射する表示光投射部(10)と、
表示光投射部が投射した表示光の光束を拡張すると共に、表示光を結像部側へ導く導波路(30)と、
導波路への表示光の入射角を変更する入射角変更部(52)と、を備える。
このような態様によると、入射角変更部は、導波路への表示光の入射角を変更する。すなわち、表示光を結像部側へ導く導波路は、その入射角の変更に対応して表示光の射出角を変更する。この射出角の変更の結果、結像部での表示光の反射位置、延いては結像部に反射された後の表示光の到達範囲を調整することができる。故に、入射角変更部により、虚像についての位置調整機能が円滑に発揮される。
そして、本態様における表示光投射部から投射される表示光の角度変更は、導波路が表示光の光束を拡張する前の光路上にて実施されるので、光束の径が十分に小さな状態で、角度変更することができる。故に、表示光の角度変更のための大型部材や、当該大型部材を動かすための大きな空間を用意することを回避することができる。したがって、HUD装置の体格増大を抑制することができる。以上により、虚像についての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立するHUD装置を提供することができる。
なお、括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第1実施形態)
図1に示すように、本開示の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100は、車両1に用いられ、当該車両1のインストルメントパネル2内に収容されることにより、当該車両1に搭載されている。HUD装置100は、車両1のウインドシールド3に設定された結像部3aへ向けて画像の表示光を射出する。これによりHUD装置100は、画像を、視認者としての乗員により視認可能に虚像表示する。すなわち、結像部3aにて反射される画像の表示光が、車両1の室内に設定された視認領域EBに到達することにより、視認領域EBにアイポイントEPが位置する乗員が当該表示光を虚像VRIとして知覚する。そして、乗員は、虚像VRIとして表示される各種情報を認識することができる。虚像表示される各種情報としては、例えば車速、燃料残量等の車両1の状態を示す情報、又は視界補助情報、道路情報等のナビゲーション情報が挙げられる。
図1に示すように、本開示の第1実施形態によるヘッドアップディスプレイ装置100は、車両1に用いられ、当該車両1のインストルメントパネル2内に収容されることにより、当該車両1に搭載されている。HUD装置100は、車両1のウインドシールド3に設定された結像部3aへ向けて画像の表示光を射出する。これによりHUD装置100は、画像を、視認者としての乗員により視認可能に虚像表示する。すなわち、結像部3aにて反射される画像の表示光が、車両1の室内に設定された視認領域EBに到達することにより、視認領域EBにアイポイントEPが位置する乗員が当該表示光を虚像VRIとして知覚する。そして、乗員は、虚像VRIとして表示される各種情報を認識することができる。虚像表示される各種情報としては、例えば車速、燃料残量等の車両1の状態を示す情報、又は視界補助情報、道路情報等のナビゲーション情報が挙げられる。
以下において、特に断り書きが無い限り、前方、後方、前後方向、上方、下方、上下方向、左方、右方、及び左右方向の表記は、水平面HP上の車両1を基準として記載される。
車両1のウインドシールド3は、例えばガラスないしは合成樹脂により透光性の板状に形成され、インストルメントパネル2よりも上方に配置されている。ウインドシールド3は、下方から上方へ向かう程、より後方となるように傾斜して配置されている。ウインドシールド3は、画像が投影される結像部3aを、滑らかな凹面状又は平面状に形成している。なお、結像部3aは、ウインドシールド3に設けられていなくてもよい。例えば車両1と別体となっているコンバイナを車両1内に設置して、当該コンバイナに結像部3aが設定されていてもよい。
視認領域EBは、HUD装置100により表示される虚像VRIが所定の規格(例えば虚像VRI全体を所定の輝度以上で視認できる)を満たすように視認可能となる空間領域であって、アイボックスとも称される。視認領域EBは、典型的には、車両1に設定されたアイリプスと重なるように設定される。アイリプスは、乗員のアイポイントEPの空間分布を統計的に表したアイレンジに基づいて、楕円体状に設定されている。
このようなHUD装置100の具体的構成を、図2〜11も用いて、以下に説明する。HUD装置100は、図2〜4に示すように、プロジェクタユニット10、可動ミラー20、導波路30、及び制御ユニット50等により構成されている。これら構成要素は、例えば、中空形状に形成された遮光性を有するハウジング6の内部に、収容されている。
プロジェクタユニット10は、画像の表示光(以下、単に表示光という)を投射する表示光投射部となっている。プロジェクタユニット10は、図5に示すように、光源部11、画像素子12及び投射レンズ部13等により構成され、これらはケーシング10aに収容されている。プロジェクタユニット10の具体的構成の一例を、以下に説明する。
光源部11には、例えば複数のレーザ発振器が採用される。各レーザ発振器は、例えば半導体レーザを採用しており、可視領域にて波長が互いに異なるレーザ光を発振する。レーザ発振器が3つ設けられる場合には、例えばピーク波長が490〜530nmの範囲、好ましくは515nmである緑色のレーザ光を発振するレーザ発振器と、例えばピーク波長が430〜470nmの範囲、好ましくは450nmである青色のレーザ光を発振するレーザ発振器と、例えばピーク波長が600〜650nmの範囲、好ましくは640nmである赤色のレーザ光を発振するレーザ発振器とが、採用され得る。
画像素子12には、例えばLCOS(Liquid crystal on silicon)等のシリコン基板上に液晶層が設けられて形成された反射型液晶素子が採用される。反射型液晶素子は、例えば各レーザ発振器がそれぞれ発する各波長の光に個別に対応するように複数設けられる。各反射型液晶素子は、画素電極が2次元に配列されることにより構成された液晶画素毎に、入射する光の反射率を制御することができる。各反射型液晶素子は、反射率の制御によって、各波長に対応した画像を生成することが可能となる。その後、各波長に対応した画像がダイクロイックプリズムを用いて互いに合成され、表示光が投射レンズに入射することとなる。また、HUD装置100による光学系において画像素子12と虚像VRIとが共役関係となる。
投射レンズ部13は、画像素子12からの表示光を集光して、プロジェクタユニット10の外部(特に本実施形態では可動ミラー20)へ投射する。投射レンズ部13は、全体の光学パワーが正となるレンズ群を構成するように、複数の投射レンズ素子13aを有している。各投射レンズ素子13aは、画像素子12から射出された表示光を屈折して、当該表示光の投射状態を調整する。具体的に、投射レンズ部13により、画像が拡大され、収差が補正される。
このようにして、プロジェクタユニット10は、図2,4に示すように、車両1の前方から後方へ向かって表示光を投射する。
可動ミラー20は、表示光による光路上において、導波路30よりもプロジェクタユニット10側、すなわちプロジェクタユニット10と導波路30との間に配置される。可動ミラー20は、プロジェクタユニット10よりも後方に配置されている。可動ミラー20は、例えば合成樹脂ないしはガラスからなる基材の表面に、アルミニウムの金属蒸着等により、反射面21を形成した反射鏡である。反射面21は、例えば滑らかな平面状に形成されている。プロジェクタユニット10から可動ミラー20に入射した表示光は、導波路30の入力ポート33へ向けて反射される。ここで図4に示すように、可動ミラー20は、可動機構を有しており、基材上に設定されて左右方向に伸びる回転軸22まわりに、回動可能となっている。
可動ミラー20に入射する表示光の光束(ビームともいう)は、導波路30から射出された後よりも十分に径が小さな状態であるため、可動ミラー20の反射面21の面積は、導波路30の表面積に対して十分に小さく設定することができる。
導波路30は、図3,4に示すように、例えばガラスないしは合成樹脂により透光性の板状基材31の板表面31a,31bに、入力ポート33、拡張ポート35、及び出力ポート37が設けられて平板状に形成されている。導波路30は、プロジェクタユニット10及び可動ミラー20よりも上方において、前後方向及び左右方向に輪郭を矩形状に延設されており、入力ポート33を可動ミラー20と上下方向に対向させている。換言すると、入力ポート33は、板状基材31のうち下方を向く板表面31aに設けられている。
一方、拡張ポート35及び出力ポート37は、板状基材31のうち上方を向く板表面31b、換言すると、板表面31aとは反対側の板表面31bに設けられている。拡張ポート35は、入力ポート33に対して前方にずれた位置に、入力ポート33とは板厚方向(本実施形態では上下方向)の重なりを避けるように、配置されている。出力ポート37は、拡張ポート35に対して、左方又は右方にずれた位置に、入力ポート33及び拡張ポート35とは板厚方向の重なりを避けるように、配置されている。
このような導波路30の板表面31a,31bに沿う仮想平面上にて、入力ポート33と拡張ポート35とを結ぶ方向D1(第1方向ともいう)が、前後方向に沿うように定義され、拡張ポート35と出力ポート37とを結ぶ方向D2(第2方向ともいう)が、左右方向に沿うように定義される。方向D1と方向D2とは、実質的に90度の角度をなしている。
板状基材31における入力ポート33側の板表面31aと、拡張ポート35及び出力ポート37側の板表面31bとは、互いに実質平行に配置されると共に、各々平面状かつ表示光を反射によって導光可能な鏡面状に形成されている。
入力ポート33は、拡張ポート35及び出力ポート37よりも、表面積が小さくなるように、矩形状、より詳細には正方形状に形成されている。入力ポート33は、板状基材31よりも薄く形成され、板表面31aに対して接合されている。入力ポート33には、プロジェクタユニット10により投射された表示光が可動ミラー20を介して入射され、入力ポート33は、当該表示光を導波路30の内部へと導入する。本実施形態の入力ポート33には、回折光学素子(Diffractive Optical Element;DOE)の一種である回折格子構造34が採用されている。
回折格子構造34は、図6に拡大して示すように、方向D1とは直交する直交方向に直線状に延伸したプリズム状の延伸構造34aが方向D1に沿って周期的に配列されることで、格子状に形成されている。回折格子構造34は、延伸構造34aの配列ピッチ及び構造の高さを、表示光の各波長を考慮して適切に設定すると共に、ブレーズ化されていることで、回折次数が1次である1次回折光の回折効率が他の次数の回折光の回折効率よりも高くなるように形成されている。そして、表示光が回折格子構造34に入射した際に、1次回折光は、板表面31a,31bにて全反射される角度で、板状基材31の内部かつ拡張ポート35側へ向けて回折される。そして、1次回折光は、板表面31a,31bの間を全反射されながら往復し、拡張ポート35へと逐次到達する。
拡張ポート35は、図3に示すように、入力ポート33から遠ざかるように、方向D1に沿って延伸すると共に、入力ポート33から遠ざかる程、方向D1とは直交する直交方向に拡幅する台形状に形成されている。拡張ポート35は、板状基材31よりも薄く形成され、板表面31bに対して接合されている。本実施形態の拡張ポート35には、回折光学素子の一種である回折格子構造36が採用されている。
回折格子構造36は、図6に拡大して示すように、方向D1に対して斜めに交差する方向D3に直線状に延伸したプリズム状の延伸構造36aが当該方向D3とは直交する直交方向に周期的に配列されることで、格子状に形成されている。例えば方向D1と方向D2とが90度の角度をなす本実施形態では、方向D3は、90度の半角である45度の角度を、なしている。回折格子構造36は、入力ポート33の回折格子構造34と同様に、1次回折光の回折効率が他の次数の回折光の回折効率よりも高くなるように形成されている。
そして、表示光が入射ポート33から拡張ポート35の回折格子構造34に入射した際に、1次回折光は、板表面31a,31bにて全反射される角度で、板状基材31の内部へ向けて回折される。このとき、方向D3が入力ポート33からの表示光が進む方向D1に対して交差していることで、1次回折光は、板状基材31の内部において、実質的に、方向D2に沿って出力ポート37へ向かう成分と、方向D1に沿って拡張ポート35のうち入射ポート33からより遠ざかる成分とに実質的に分かれる。この結果、表示光が、その光束を拡張ポート35にて方向D1に拡張されると共に、方向D2に偏向されていく。
方向D2に偏向された光は、入力ポート33での回折と同様に、板表面31a,31bにて全反射される角度に進むことで、板表面31a,31bの間を全反射されながら往復し、拡張ポート35へと逐次到達する。
出力ポート37は、図3,4に示すように、拡張ポート35から遠ざかるように、方向D2に沿って延伸することによって、方向D2を長手方向とする矩形状(長方形状)に形成されている。この出力ポート37の形状が視認領域EBの形状に概ね対応している。出力ポート37は、板状基材31よりも薄く形成され、板表面31bに対して接合されている。本実施形態の出力ポート37には、回折光学素子の一種である回折格子構造38が採用されている。
回折格子構造38は、図7に拡大して示すように、方向D1に沿って延伸するプリズム状の突起構造38aが互いに間隔を空けて周期的に配列されている。各突起構造38aの間には、突起構造38aの先端とは段差をなす平面状の平面構造38bが形成されていることにより、突起構造38aと平面構造38bとがストライプ状に交互配置されている。回折格子構造38にて、突起構造38aの配列ピッチ及び突起構造38aの高さを表示光の各波長を考慮して適切に設定される。これにより、回折次数が0次である0次回折光と、回折次数が1次である1次回折光とが、異なる方向に所定の比率で分岐されるように、各々の回折効率が設定されている。
より詳細に、回折格子構造38は、拡張ポート35により導光された表示光が入射した際に、0次回折光を、板状基材31の内部かつより拡張ポート35から遠ざかる方向D2へ回折させる。この0次回折光は板表面31aに全反射されて、出力ポートにおいて拡張ポート35からより遠い位置に到達する。その一方で、回折格子構造38は、1次回折光を、板状基材31の外部、すなわち導波路30の外部へ向けて回折させる。この結果、表示光は、出力ポート37にてその光束を0次回折光によって方向D2に拡張されると共に、出力ポート37の各箇所から1次回折光によって導波路30の外部である結像部3aへ向けて射出される。
このようにして、図8に示すように、光(電磁波)の伝送路としての導波路30は、表示光の光束を方向D1及び方向D2に拡張すると共に、当該表示光を光路上の結像部3a側へ導く。換言すると、導波路30は、HUD装置100による光学系の射出瞳を拡大する射出瞳拡大素子として、機能している。
導波路30から射出された表示光が出力ポート37から上方のウインドシールド3へ向けて進むこととなる。このとき、車両1の左右方向を長手方向とする出力ポート37により、表示光の光束は、車両1の左右方向の径が車両1の前後方向の径よりも大きな状態で、ウインドシールド3の結像部3aへ入射する。そして、表示光の光束が結像部3aにて反射されると、表示光の進行方向が車両1の後方へ偏向され、車両1の左右方向の径が車両1の上下方向の径よりも大きな状態で、例えば乗員の座席の上方に位置する視認領域EBへと到達することとなる。したがって、視認領域EBは、車両1の左右方向の径が車両1の上下方向の径よりも大きな矩形状に形成される。
図9に示す制御ユニット50は、少なくとも1つのプロセッサ、メモリ装置、入出力インターフェースを含む電子回路を主体として構成されている。プロセッサは、メモリ装置に記憶されているコンピュータプログラムを実行する演算回路である。メモリ装置は、例えば半導体メモリ等によって提供され、プロセッサによって読み取り可能なコンピュータプログラムを非一時的に格納するための非遷移的実体的記憶媒体である。
制御ユニット50は、プロジェクタユニット10、調整スイッチ8及び可動ミラー20と通信可能に接続されており、また、HUD装置100に対する外部機器(例えば車両1の電子制御装置)と通信可能に接続されている。この通信には、有線通信、無線通信を問わず各種の好適な通信方式が採用され得る。制御ユニット50は、コンピュータプログラムをプロセッサによって実行することにより、画像制御部51及び入射角変更部52等の機能部を有する。
画像制御部51は、例えば外部機器からの入力される信号によって取得された情報に応じて、プロジェクタユニット10により実現される画像を、制御する。
入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、可動ミラー20の角度を制御するための制御信号を、当該可動ミラー20に対して出力する。ここで調整スイッチ8は、例えば車両1のステアリングハンドル等に設置され、乗員により操作可能となっている。調整スイッチ8は、例えばプッシュ式の等の2種類のスイッチ8a,8bを有している。具体的に、ダウンスイッチ8aは、虚像VRIの表示位置を下方に移動させるための操作部材である。アップスイッチ8bは、虚像VRIの表示位置を上方に移動させるための操作部材である。
入射角変更部52は、例えばダウンスイッチ8a又はアップスイッチ8bのプッシュ操作時間に基づいて虚像VRIの下方又は上方への移動量を算出し、当該移動量に対応した可動ミラー20の変更角度を算出する(図11のステップS1も参照)。そして、入射角変更部52は、この変更角度に応じた制御信号を出力し(図11のステップS2も参照)、図10に示すように、可動ミラー20の回転軸22を変更角度分、回転させる。
この結果、可動ミラー20の反射面21の向きが回転軸22まわりに変更され、これに対応してプロジェクタユニット10からの表示光を可動ミラー20により反射する反射方向が変更される(図12)。可動ミラー20による反射方向の変更は、反射された表示光が入力ポート33に確実に入射する範囲で実施される。反射方向の変更に伴って、導波路30の入力ポート33への表示光の入射角が変更される(図11のステップS3も参照)。入力ポート33への表示光の入射角の変更機能は、実際的には、入射角変更部52と、入射角変更部52が制御するハードウエア部材である可動ミラー20との協調によって実現される。
入力ポート33への表示光の入射角が変更されると、これに連動して、入力ポート33での1次回折光の回折方向、拡張ポート35での1次回折光の回折方向、及び出力ポート37での0次回折光の回折方向が変化する。出力ポート37からの0次回折光の回折方向が変化するので、導波路30からウインドシールド3の結像部3aへ向けて射出される表示光の光束の射出角が変更される。
本実施形態では、可動ミラー20が左右方向に沿って配置された回転軸22まわりに回動するようになっているので、入射角の角度変更方向DSI(すなわち表示光の光束を振る方向)は、前後方向であって、方向D1に沿った方向となっている。ここでいう「沿った方向」とは、方向が厳密に一致することを意味せず、±30度程度のずれを許容していることを意味する。
方向D1に沿って角度変更方向DSIが設定されているため、入射ポート33にて回折された1次回折光の方向は、方向D1から逸れることが抑制されつつ、導波路30の板厚方向と方向D1を含む断面上での板表面31a,31bに対する角度が変化する。故に、角度変更方向DSIが方向D1に沿っている本実施形態の場合、表示光の光束を振っても、拡張ポート35において、当該拡張ポート35の幅方向に表示光の光束が拡散され難い。したがって、入射角の変更機能に対応して拡張ポート35の幅を拡張する必要性は、減少する。
そして、方向D1に沿った入射角の変更に伴って、出力ポート37での1次回折光の回折方向も、方向D1に沿って変化する。すなわち、ウインドシールド3へ向けて射出される表示光の光束の射出角の角度変更方向DSOも方向D1に沿ったものとなる。したがって、表示光の光束の結像部3aにおける入射位置が上下方向にずれ、虚像VRIの表示位置が上下方向に沿って移動すると共に、視認領域EBも上下方向に沿って移動する。
(作用効果)
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
以上説明した第1実施形態の作用効果を以下に改めて説明する。
第1実施形態によると、入射角変更部52は、導波路30への表示光の入射角を変更する。すなわち、表示光を結像部3a側へ導く導波路30は、その入射角の変更に対応して表示光の射出角を変更する。この射出角の変更の結果、結像部3aでの表示光の反射位置、延いては結像部3aに反射された後の表示光の到達範囲を調整することができる。故に、入射角変更部52により、虚像VRIについての位置調整機能が円滑に発揮される。
そして、本形態における表示光投射部としてのプロジェクタユニット10から投射される表示光の角度変更は、導波路30が表示光の光束を拡張する前の光路上にて実施されるので、光束の径が十分に小さな状態で、角度変更することができる。故に、表示光の角度変更のための大型部材や、当該大型部材を動かすための大きな空間を用意することを回避することができる。したがって、HUD装置100の体格増大を抑制することができる。以上により、虚像VRIについての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立するHUD装置100を提供することができる。
また、第1実施形態によると、入射角変更部52が入射角を変更する角度変更方向DSIは、入力ポート33と拡張ポート35とを結ぶ方向D1に沿っている。方向D1に沿った角度変更では、表示光の角度を振っても拡張ポート35の方向D1とは交差する幅方向に表示光が拡がり難いので、拡張ポート35のサイズの増大を抑制することができる。
また、第1実施形態によると、入射角変更部52が入射角を変更する角度変更方向DSIは、入射角の変更に伴って、車両1の上下方向に沿って視認領域EBが移動するように設定されている。視認領域EBが上下方向に移動するので、乗員の身長差に合わせて、虚像VRIについての位置調整をすることができる。
また、第1実施形態によると、入射角変更部52は、可動ミラー20を回転させることにより、導波路30への入射角を変更する。プロジェクタユニット10と導波路30との間の光路上に配置された可動ミラー20を入射角の変更に利用するので、容易に導波路30が表示光の光束を拡張する前に、角度変更を実施することができる。
(第2実施形態)
図12に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図12に示すように、第2実施形態は第1実施形態の変形例である。第2実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第2実施形態の入力ポート33には、回折格子構造34に代えて、回折光学素子の一種であるホログラム素子(Holographic Optical Element;HOE)234が採用されている。ホログラム素子234は、例えば合成樹脂ないしはガラス等の一対の透光基板層239に、ホログラム層234aが挟まれることによって薄い平板状に形成されている透過型のホログラム素子である。ホログラム層234aは、例えば合成樹脂からなる組成物により透光性に形成されて、縞状の屈折率分布を有する。ホログラム層234aの屈折率は、方向D1に沿って周期的に変化している。ホログラム層234aにおいて、方向D1に直交する方向には、屈折率の変化は実質的に認められない。
そして、ホログラム素子234は、第1実施形態と同様に、表示光を回折するようになっている。ホログラム素子234は、回折次数が1次である1次回折光の回折効率が他の次数の回折光の回折効率よりも高くなるように形成されている。そして、表示光がホログラム素子234に入射した際に、1次回折光は、板表面31a,31bにて全反射される角度で、板状基材31の内部かつ拡張ポート35側へ向けて回折される。
入力ポート33と同様に、第2実施形態の拡張ポート35及び出力ポート37にもホログラム素子236,238が採用されている。拡張ポート35のホログラム素子236は、反射型のホログラム素子であり、表示光を回折する。ホログラム素子236のホログラム層236aは、方向D1と方向D2とがなす角度の半分だけ、方向D1に対して交差する方向に沿って、屈折率が周期的に変化するような屈折率分布を有している。ホログラム素子236は、1次回折光の回折効率が他の次数の回折光の回折効率よりも高くなるように形成されている。1次回折光は、板表面31a,31bにて全反射される角度で、板状基材31の内部へ向けて回折される。
出力ポート37のホログラム素子238も、表示光を回折する。ホログラム素子238のホログラム層238aは、方向D2に沿って、屈折率が周期的に変化するような屈折率分布を有している。ホログラム素子238は、回折次数が0次である0次回折光と、回折次数が1次である1次回折光とが、異なる方向に所定の比率で分岐されるように、各々の回折効率が設定されている。ホログラム素子238は、0次回折光を、板状基材31の内部かつより拡張ポート35から遠ざかる方向D2へ回折させる。その一方で、ホログラム素子238は、1次回折光を、板状基材31の外部、すなわち導波路30の外部へ向けて回折させる。この結果、表示光は、出力ポート37にて0次回折光によって方向D2に拡張されると共に、出力ポート37の各箇所から1次回折光によって結像部3aへ向けて射出される。
以上説明した第2実施形態によると、入力ポート33、拡張ポート35、及び出力ポート37のうち少なくとも1つは、ホログラム素子234,236,238である。ホログラム素子234,236,238では、凹凸構造の形成が規制されている。このため、熱膨張により凹凸構造の寸法が変化してポート33,35,37の回折特性が変質してしまう事態を回避することができる。
特に、ウインドシールド3を通じて、太陽光等の外光が導波路30に入射し得る本実施形態のHUD装置100においては、当該導波路30が熱膨張しても、ホログラム素子234,236,238の採用により、光学性能の維持が容易となる。
(第3実施形態)
図13に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図13に示すように、第3実施形態は第1実施形態の変形例である。第3実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第3実施形態のプロジェクタユニット10は、導波路30の入力ポート33と上下方向に対向して設けられており、表示光を、上方の入力ポート33へ向けて直接的に投射するようになっている。すなわち、第3実施形態では、可動ミラー20が設けられていない。
そして、プロジェクタユニット10は、可動機構を有しており、ケーシング10aごと可動するようになっている。具体的に、プロジェクタユニット10は、導波路30の入力ポート33上に設定された仮想の回転軸AXまわりに、回動可能に形成されている。この回動は、例えば、円弧状に延伸するガイドレールに沿ってプロジェクタユニット10をスライドさせることによって実現可能であるが、他の種々の形態を採用することができる。
第3実施形態の入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、プロジェクタユニット10の位置を制御するための制御信号を、当該プロジェクタユニット10に対して出力する。入射角変更部52は、調整スイッチ8の操作に基づいて虚像VRIの下方又は上方への移動量を算出し、当該移動量に対応したプロジェクタユニット10の変更角度を算出する。そして、入射角変更部52は、この変更角度に応じた制御信号を出力し、プロジェクタユニット10を変更角度分、回転させる。
この結果、プロジェクタユニット10の投射位置及び投射方向が変更され、この変更に伴って、導波路30の入力ポート33への表示光の入射角が変更される。プロジェクタユニット10が、入力ポート33の特に回転軸AXの位置に向けて表示光を投射するように配置されていることで、入射角が変更されても、入力ポート33における表示光の入射位置のずれは抑制されるようになっている。故に、入射角の変更機能に対応して入力ポート33のサイズを拡張する必要性は、減少する。
以上説明した第3実施形態によると、入射角変更部52は、プロジェクタユニット10を回転させることにより、導波路30への入射角を変更する。プロジェクタユニット10自体を回転させるので、角度変更のための光学部材の追加を抑制することができる。
また、第3実施形態によると、入射角変更部52は、プロジェクタユニット10を、当該プロジェクタユニット10よりも入力ポート33側に設定された回転軸AXまわりに回転させることにより、入力ポート33への入射角を変更する。このようにすると、角度変更に伴う入力ポート33上の表示光の入射位置のずれを抑制することができるので、入力ポート33のサイズの増大を抑制することができる。
また、回転軸AXを入力ポート33上に設定すると、表示光の入射位置のずれは殆ど生じなくなるので、入力ポート33のサイズの増大の抑制効果が高まる。
(第4実施形態)
図14に示すように、第4実施形態は第1実施形態の変形例である。第4実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図14に示すように、第4実施形態は第1実施形態の変形例である。第4実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第4実施形態では、可動ミラー20に代えて、可動機構が設けられていない折り返しミラーが設けられている。折り返しミラーは、第1実施形態の可動ミラー20と同様の反射面を有している。
一方、第4実施形態のプロジェクタユニット10において、投射レンズ部13が有する各投射レンズ素子13aのうちの1つは、可動機構を有しており、可動するようになっている。この投射レンズ素子13aは、例えば正の光学パワーを有し、レンズの径方向に沿って平行移動可能に、すなわち光軸に対して偏心可能に、形成されている。
第4実施形態の入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、投射レンズ素子13aの位置を制御するための制御信号を、当該プロジェクタユニット10に対して出力する。入射角変更部52は、調整スイッチ8の操作に基づいて虚像VRIの下方又は上方への移動量を算出し、当該移動量に対応した投射レンズ素子13aの偏心量を算出する。この偏心量の算出においては、投射レンズ素子13aの光学パワーの値が用いられる。そして、入射角変更部52は、この変更角度に応じた制御信号を出力し、投射レンズ素子13aを偏心量分、平行移動させる。
この結果、投射レンズ素子13aに入射する表示光の屈折角が変更され、この変更に伴って、導波路30の入力ポート33への表示光の入射角が変更される。
以上説明した第4実施形態によると、入射角変更部52は、投射レンズ素子13aの偏心量を変更することにより、導波路30への入射角を変更する。角度変更にプロジェクタユニット10の部品を利用するので、光学部材の追加を抑制することができる。
(第5実施形態)
図15に示すように、第5実施形態は第1実施形態の変形例である。第5実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図15に示すように、第5実施形態は第1実施形態の変形例である。第5実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第5実施形態では、可動ミラー20に代えて、プロジェクタユニット10と導波路30との間の光路上に、楔形状のウエッジプリズム520が設けられている。ウエッジプリズム520は、例えばガラスないしは合成樹脂により形成され、可視領域に対して正常分散を示す透光性のプリズム素子となっている。ウエッジプリズム520は、可動機構を有しており、基材上に設定されて左右方向に伸びる回転軸522まわりに、回動可能となっている。
第5実施形態の入射角変更部52は、ウエッジプリズム520と通信可能となっている。入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、ウエッジプリズム520の角度を制御するための制御信号を、当該ウエッジプリズム520に対して出力する。入射角変更部52は、調整スイッチ8の操作に基づいて虚像VRIの下方又は上方への移動量を算出し、当該移動量に対応したウエッジプリズム520の変更角度を算出する。そして、入射角変更部52は、この変更角度に応じた制御信号を出力し、ウエッジプリズム520の回転軸522を変更角度分、回転させる。
この結果、ウエッジプリズム520に入射する表示光の屈折角が変更され、この変更に伴って、導波路30の入力ポート33への表示光の入射角が変更される。
以上説明した第5実施形態によると、入射角変更部52は、ウエッジプリズム520を回転させることにより、導波路30への入射角を変更する。プロジェクタユニット10と導波路30との間の光路上に配置されたウエッジプリズム520を入射角の変更に利用するので、容易に導波路30が表示光の光束を拡張する前に、角度変更を実施することができる。
(第6実施形態)
図16に示すように、第6実施形態は第1実施形態の変形例である。第6実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
図16に示すように、第6実施形態は第1実施形態の変形例である。第6実施形態について、第1実施形態とは異なる点を中心に説明する。
第6実施形態のプロジェクタユニット10の画像素子12には、走査ミラー612が採用されている。走査ミラー612は、微小電気機械システム(Micro Electro Mechanical Systems;MEMS)を用い、レーザ光を時間的に走査可能に構成されたMEMSミラーである。走査ミラー612は、アルミニウムの金属蒸着等により、反射面612aを形成している。反射面612aは、当該反射面612aに沿って互いに実質直交する2つの回転軸まわりに、回動可能となっている。
このような走査ミラー612は、制御ユニット50と電気的に接続されており、その走査信号に従って回動することで、反射面612aの向きを変えることができる。
走査ミラー612の反射面612aには、光源部11における各レーザ発振器からのレーザ光が互いに重ね合された状態で、光束状に入射されて提供されるようになっている。そして、走査ミラー612が制御ユニット50により制御されることで、各レーザ発振器と連動して、例えばレーザ光の反射面612aへの入射箇所である偏向点LTを起点として、時間的にレーザ光の投射方向を偏向走査することが可能となっている。こうしたレーザ光が走査ミラー612の振れ角に応じた走査角度範囲RGに走査されるによって、虚像VRIとして表示される画像を描画して生成することが可能となる。
偏向点LTでの偏向によって走査ミラー612に走査されたレーザ光は、プロジェクタユニット10から導波路30の入射ポート33へ向けて表示光として投射される。
入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、走査ミラー612の走査角度範囲RGを制御するための駆動信号を、当該走査ミラー612に対して出力する。入射角変更部52は、調整スイッチ8の操作に基づいて虚像VRIの下方又は上方への移動量を算出し、当該移動量に対応した走査角度範囲RGの変更角度を算出する。そして、入射角変更部52は、この変更角度に応じた駆動信号を出力し、走査ミラー612の振れ角を全体的にオフセットし、走査角度範囲RGを全体的に移動させる。
この結果、導波路30の入力ポート33への表示光の入射角が変更される。走査角度範囲RGの移動方向は、方向D1に沿っているため、入力ポート33への入射角を変更する角度変更方向DSIは、方向D1に沿ったものとなっている。
以上説明した第6実施形態によると、入射角変更部52は、走査角度範囲RGが移動するように、走査部としての走査ミラー612を制御することにより、導波路30への入射角を変更する。すなわち、角度変更のために追加の可動機構を設けることが抑制され、画像の描画制御の延長線上で導波路30への入射角を変更することができる。故に、虚像VRIについての位置調整機能と、体格増大の抑制とを両立するHUD装置100を、容易に実現することができる。
(他の実施形態)
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的に変形例1としては、光源部11において、レーザ光を発するレーザ発振器に代えて、発光ダイオード素子を採用することができる。
変形例2としては、プロジェクタユニット10として、DLP(Digital Light Processing;登録商標)方式を採用することができ、画像素子12として、DMD(Digital Micromirror Device)を採用することができる。
変形例3としては、プロジェクタユニット10の投射レンズ部13は、1つの投射レンズ素子13aにより構成されていてもよい。
変形例4としては、導波路30において入力ポート33、拡張ポート35及び出力ポート37が導光に用いる回折光は、1次回折光よりも高次の回折光であってもよい。
変形例5としては、図17に示すように、導波路30として、板状基材31の内部にハーフミラー930aを配列し、当該ハーフミラー930aによる表示光の透過光及び反射光への分岐によって、当該表示光の光束を拡張するハーフミラー型導波路が採用されてもよい。
変形例6としては、入射角変更部52は、調整スイッチ8から入力される信号に応じて、導波路30への表示光の入射角を変更するものに限られない。例えば、調整スイッチ8に代えて、タッチ操作が入力されるタッチパネル装置、又はジェスチャ操作が入力されるジェスチャ検出装置等の種々の入力装置を採用することができる。また例えば、入射角変更部52は、乗員のアイポイントEPの位置についての情報に基づき、自動的に導波路30への表示光の入射角を変更して、アイポイントEPが視認領域EB内に収まるようにするものであってもよい。
変形例7としては、ソフトウエアとハードウエア部材とが協調されて、入射角変更部52の機能が実現されるものに限られない。例えば、乗員が調整スイッチ8に対応するネジを操作すると、当該ネジと機械的に連結された可動ミラー20の回転軸22が回転するようにすることで、入射角変更部52の機能がソフトウエアを用いずに実現されてもよい。
変形例8としては、角度変更方向は、車両の上下方向以外の方向に視認領域EBが移動するように設定されていてもよい。
変形例9としては、HUD装置100は、航空機、船舶、あるいはゲーム筐体等の移動しない筐体等の各種の乗り物に適用することができる。
100 HUD装置、3a 投影部、10 プロジェクタユニット(表示光投射部)、30 導波路、52 入射角変更部
Claims (12)
- 結像部(3a)に画像の表示光を反射させることにより、前記画像を視認可能に虚像表示するヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記画像の表示光を投射する表示光投射部(10)と、
前記表示光投射部が投射した前記表示光の光束を拡張すると共に、前記表示光を前記結像部側へ導く導波路(30)と、
前記導波路への前記表示光の入射角を変更する入射角変更部(52)と、を備えるヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記導波路は、
前記表示光投射部が投射した前記表示光を前記導波路の内部へ入射させる入力ポート(33)と、
前記入力ポートから遠ざかる方向(D1)へ延伸し、前記入力ポートにより導光された前記表示光を入射させ、前記表示光の光束を拡張する拡張ポート(35)と、を有し、
前記入射角変更部が前記入射角を変更する角度変更方向(DSI)は、前記入力ポートと、前記拡張ポートとを結ぶ前記方向に沿っている請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記導波路は、
前記表示光投射部が投射した前記表示光を前記導波路の内部へ入射させる入力ポート(33)と、
前記入力ポートから遠ざかる第1方向(D1)へ延伸し、前記入力ポートにより導光された前記表示光の光束を、前記第1方向へ拡張すると共に、前記第1方向とは交差する第2方向(D2)へ偏向する拡張ポートと、
前記拡張ポートから遠ざかる前記第2方向へ延伸し、前記拡張ポートにより導光された前記表示光の光束を、前記第2方向へ拡張すると共に、前記結像部側へ射出する出力ポート(37)と、を有し、
前記入射角変更部が前記入射角を変更する角度変更方向は、前記入力ポートと、前記拡張ポートとを結ぶ前記第1方向に沿っている請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 車両(1)に搭載されるように構成され、前記画像が視認領域(EB)から視認可能に虚像表示されるように構成される請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置であって、
前記入射角変更部が前記入射角を変更する角度変更方向は、前記入射角の変更に伴って、前記車両の上下方向に沿って前記視認領域が移動するように設定されている請求項1から3のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記表示光投射部と前記導波路との間の光路上に配置され、可動することにより前記表示光の反射方向を変更可能に形成された可動ミラー(20)を、さらに備え、
前記入射角変更部は、前記可動ミラーを回転させることにより、前記入射角を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記入射角変更部は、前記表示光投射部を回転させることにより、前記入射角を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記導波路は、前記表示光投射部が投射した前記表示光を前記導波路の内部へ入射させる入力ポートを有し、
前記表示光投射部は、前記入力ポートへ向けて前記表示光を直接投射し、
前記入射角変更部は、前記表示光投射部を、前記表示光投射部よりも前記入力ポート側に設定された回転軸(AX)まわりに回転させることにより、前記入射角を変更する請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記回転軸は、前記入力ポート上に設定されている請求項7に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記表示光投射部は、
前記画像を生成する画像素子(12)と、
前記画像素子から射出された前記表示光を屈折して投射状態を調整する投射レンズ素子(13a)と、を有し、
前記入射角変更部は、前記投射レンズ素子の偏心量を変更することにより、前記入射角を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記表示光投射部と前記導波路との間の光路上に配置され、楔形状のプリズム素子(520)を、さらに備え、
前記入射角変更部は、前記プリズム素子を回転させることにより、前記入射角を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記表示光投射部は、
前記光束を提供する光源部(11)と、
前記光源部からの前記光束を走査角度範囲(RG)に走査することにより、前記画像を描画する走査部(612)と、を有し、
前記入射角変更部は、前記走査角度範囲が移動するように前記走査部を制御することにより、前記入射角を変更する請求項1から4のいずれか1項に記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記入力ポート、前記拡張ポート及び前記出力ポートのうち少なくとも1つは、凹凸構造の形成が規制されたホログラム素子(234,236,238)である請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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