以下、本開示の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ここで、実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は、例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本開示に直接関係のない要素については、図示を省略する。更に、以下の各図では、鉛直方向にZ軸を取り、Z軸に垂直な平面内において、X軸と、X軸に垂直な方向にY軸とを取る。
図1は、一実施形態に係る収納容器10の構成を示す斜視図である。図2は、収納容器10の鉛直方向の断面図である。収納容器10は、キャスクCを収納する。
キャスクCは、例えば、使用済み核燃料集合体を収納する金属製の乾式キャスクである。ここで、使用済み核燃料集合体とは、原子炉での反応を終えた複数の使用済み核燃料棒を連結した集合体をいう。なお、各図では、使用済み核燃料集合体を収納しているキャスクCの外形を、概略的に全長LC及び外径DCの円柱で示している。
本実施形態に係る収納容器10は、全体として、鉛直軸AXを中心軸とした略6角柱状の外形を有する。収納容器10は、内部に形成されている収納空間S1にキャスクCを縦置きに収納する。なお、各図では、収納容器10の外形を、全長L1、並びに、水平面上の6角形の寸法である二面幅W1及び対角距離W2の略6角柱で示している。
キャスクCを収納した収納容器10は、例えば、屋外の地盤上に設置される。収納容器10を略6角柱状としているため、地盤への設置時に、複数の収納容器10を外側面同士で近接あるいは締結させて、いわゆるハニカム構造で集積配置させることができる。
収納容器10は、筒状体12と、蓋体14と、基台16とを備える。ここで、キャスクC内の使用済み核燃料集合体からは、微量の中性子線等の放射線が漏出することも懸念される。ただし、微量の放射線の漏出に短期的に暴露されることが問題になることはない。しかし、キャスクCの周辺では、長期的に暴露されることもあり得ることから、キャスクCを収納する容器の材質をコンクリートとする場合がある。そこで、本実施形態では、筒状体12、蓋体14及び基台16を構成する主材料は、コンクリートである。収納容器10は、全体としてコンクリート製となることから、コンクリートオーバパック(COP)とも表現される。
筒状体12は、内側の空間を収納空間S1とする6角柱状である。筒状体12は、6角柱の6つの側面からなる外側面12aと、円筒状の内側面12bとを有する。なお、各図では、収納空間S1の形状を、全長L2及び内径D2の円筒で示している。筒状体12の全長L2は、収納空間S1の全長に相当する。キャスクCが筒状体12に対して同軸状に収納空間S1内に配置されているとすると、キャスクCの外壁面と、筒状体12の内側面12bとの間に、間隔Gの隙間空間が生じる。
また、筒状体12は、外側面12aを構成する6つの側面上のそれぞれに、水平方向の中央部で鉛直方向に沿って伸びる溝部12cを有する。溝部12cは、複数の収納容器10を上記のようにハニカム構造で集積配置した際に、隣り合う収納容器10同士で互いに向かい合うことで、空気の流路となり得る。つまり、収納容器10をハニカム構造に集積配置した場合、溝部12cは、対面する別の収納容器10の側面に設けられた溝部12cと対向する。
図3は、筒状体12の分解図である。筒状体12は、大型のキャスクCを内部に収納する。また、収納容器10の材質は、コンクリートである。そのため、筒状体12が一個体で形成されていると、重量が大きくなるため、例えば、収納容器10を組み立てる際に、現場にあるクレーンの能力によっては、筒状体12を持ち上げることができないこともあり得る。そこで、筒状体12は、例えば、図3に示すように、更に複数の部材の組み合わせで構成されている。
筒状体12は、互いに鉛直方向に積層される複数の筒状部材で構成されている。本実施形態では、筒状体12は、第1筒状部材121、第2筒状部材122、第3筒状部材123及び第4筒状部材124の4つの筒状部材で構成されている。更に、第1筒状部材121等の各層は、鉛直方向に沿って分割された複数の部材を組み合わせたものであってもよい。本実施形態では、第1筒状部材121は、第1部材121aと第2部材121bとに2等分されている。同様に、第2筒状部材122は、第3部材122aと第4部材122bとに2等分されている。第3筒状部材123は、第5部材123aと第6部材123bとに2等分されている。第4筒状部材124は、第7部材124aと第8部材124bとに2等分されている。つまり、筒状体12は、第1部材121aから第8部材124bまでの計8つの部材で構成されている。第1部材121aと第2部材121b等の各部材同士は、ボルト等により接続される。
この場合、それぞれの筒状部材における2つの部材同士のつなぎ位置が、図3に示すように、略6角柱の鉛直軸AXを基準として、筒状部材ごとに60°ずれるように、各部材同士を組み合わせてもよい。これにより、筒状体12は、つなぎ位置に影響されることなく強度を均一化させることができる。また、筒状部材ごとに60°ずれる配置に限らず、上下方向に隣接する部材のつなぎ位置が周方向に重ならない配置としてもよい。なお、各筒状部材同士の接続については、以下で詳説する。
蓋体14は、筒状体12の鉛直方向上部の開口部を覆う平板である。蓋体14の平面形状は、筒状体12の外側面12aに合わせた6角形である。なお、蓋体14は、筒状体12の構成と同様に、鉛直方向に沿って分割された複数の部材を組み合わせたものであってもよい。
また、蓋体14は、第1開口部として、収納空間S1を流れる空気を収納容器10の外部に排出するための複数の排出口14aを有する。本実施形態の排出口14aは、それぞれ、蓋体14の6つの側面上で、水平方向の中央部で鉛直方向に切り欠かれた切り欠き部である。更なる第1開口部として、筒状体12の上端には、蓋体14の排出口14aと連続する切り欠き部12dを有してもよい。なお、排出口14aは、このような切り欠き部で構成されるものではなく、蓋体14の外周部近傍で鉛直方向に沿って貫通する貫通孔で構成されるものでもよい。又は、蓋体14に排出口14aを設けることに代えて、筒状体12の上端部に形成された切り欠き部等の排出口だけが存在するものとしてもよい。
また、排出口14aや切り欠き部12dが上記例示した位置に設けられている場合、筒状体12の外側面12aに形成されている複数の溝部12cは、それぞれ、排出口14aや切り欠き部12dと連続するものとしてもよい。これにより、収納容器10の外部と収納空間S1との間で、空気の流通経路が形成されやすくなる。
基台16は、筒状体12の下方に配置され、筒状体12を支持する部材である。基台16の全体形状は、筒状体12の外形に合わせた略6角柱である。なお、基台16は、筒状体12の構成と同様に、鉛直方向又は水平方向等に沿って分割された複数の部材を組み合わせたものであってもよい。
また、基台16は、収納空間S1と外部とに連通する第2開口部を有する。第2開口部の形状に基づいて、基台16は、例えば、鉛直方向の長さがL4の第1積層部16aと、鉛直方向の長さがL5の第2積層部16bとの2つの積層部が鉛直方向に積層された部材であると考えることができる。この場合、基台16の全長L3は、長さL4と長さL5とを加えたものとなる。第1積層部16aの上面は、基台16の上面27に相当する。第1積層部16aの下面は、第2積層部16bの上面と一体化されている。第2積層部16bの下面は、基台16の底面すなわち収納容器10の底面に相当する。
図4は、基台16上に第3筒状部材123までを組み合わせた状態の収納容器10の平面図である。なお、図4では、キャスクCの載置位置を二点鎖線円で示している。第1積層部16aは、鉛直方向に貫通した、第1貫通孔20aと、6つの第2貫通孔21a〜26aとの2種類の貫通孔を有する。第1貫通孔20aは、図4中の破線円で示すように、鉛直軸AXと同軸に形成され、開口径D3を有する。開口径D3は、キャスクCの外径DCよりも小さい。第2貫通孔21a〜26aは、それぞれ、鉛直軸AXから同一距離で、かつ、鉛直軸AXを基準として等間隔で形成され、開口径D4を有する。本実施形態では、第2貫通孔21a〜26aは、それぞれ、鉛直軸AXから基台16の各外側面に向かう方向に合わせて、60°間隔で形成されている。なお、第2貫通孔21a〜26aの個数や位置は、上記例示に限らず、適宜変更しても構わない。
図5は、第2積層部16bの水平方向の断面図である。第2積層部16bは、鉛直方向に切られた、それぞれ第1連通空間S2を形成する6つの第1開口溝21b〜26bと、第2連通空間S3を形成する第2開口溝20bとの2種類の開口溝を有する。第1開口溝21b〜26bは、それぞれ、鉛直軸AXから基台16の各外側面に向かう方向に形成され、間隔W3を有する。間隔W3は、例えば、第1積層部16aに形成されている第2貫通孔21a〜26aの開口径D4と同一である。つまり、第1開口溝21b〜26bは、それぞれ、第2貫通孔21a〜26aに連通する。第2開口溝20bは、鉛直軸AXと同軸に形成される。つまり、第2開口溝20bは、第1貫通孔20aに連通する。また、第2開口溝20bは、水平方向で、第1開口溝21b〜26bのぞれぞれと連通する。すなわち、第2積層部16bには、中心側に形成された第2連通空間S3と、第2連通空間S3から径方向に外側面まで延伸する第1連通空間S2とが形成されている。
このような基台16の形状によれば、図2を参照すると、6つの第1開口溝21b〜26bの外部に面する開口から流入した空気は、第1連通空間S2を通過して、そのうち一方の空気は、第2貫通孔21a〜26aに導かれて、収納空間S1内に流入する。また、第1連通空間S2を通過したうちの他方の空気は、更に第2連通空間S3を通過して第1貫通孔20aに導かれて、収納空間S1内に流入する。つまり、第2開口部とは、第1貫通孔20a、第2貫通孔21a〜26a、第1開口溝21b〜26b及び第2開口溝20bを含む一連の開口部をいう。
載置板30は、収納空間S1に面する基台16の上面27に、脚部34を介して設置されている。載置板30の上面30aには、キャスクCが載置される。載置板30は、金属製の円板状部材である。載置板30の外径D5は、キャスクCの外径DCよりも大きく、筒状体12の内径D2よりも小さい。なお、載置板30は、基台16に対して略同軸に設置されるものとする。また、キャスクCは、載置板30に対して略同軸に載置されるものとする。載置板30の厚さTは、キャスクCの荷重に耐え得る寸法を有する。
脚部34は、例えば、載置板30の下面30bの外周部に、鉛直軸AXを基準として等間隔で配置される部材である。つまり、脚部34は、複数ある。なお、本実施形態では、脚部34は、6つある。本実施形態では、脚部34は、載置板30が基台16の上面27上に設置された際には、それぞれ、基台16に形成されている第2貫通孔21a〜26aの位置を避けて、上面27と接触する。また、脚部34が存在することにより、載置板30が基台16の上面27上に設置された際には、載置板30の上面30aは、基台16の上面27から高さHの位置となる。高さHを、載置板30の厚さTよりも大きく設定することにより、載置板30の下面30bと基台16の上面27との間には、隙間が生じる。また、脚部34の長手方向の幅W4は、例えば、キャスクCの荷重に耐え得ることや、第2貫通孔21a〜26aの開口を塞がないことなどを条件として決定される。
ここで、図2を参照すると、外部から第1連通空間S2を通過して第2貫通孔21a〜26aに導かれた空気は、収納空間S1に流入する。収納空間S1内の空気は、キャスクCの外壁面に沿いながら、収納空間S1内の隙間空間を下方から上方に通過し、最終的に蓋体14に形成されている排出口14a、又は、筒状体12に形成されている切り欠き部12dから外部に排出される。したがって、キャスクCから放出された熱は、収納空間S1内のこのような空気の流れに沿って、収納空間S1の外部に放熱される。
一方、外部から第2連通空間S3を通過して第1貫通孔20aに導かれた空気は、載置板30の下面30bと基台16の上面27との間の隙間を通過して、収納空間S1内の隙間空間を下方から上方に通過する空気の流れに合流する。したがって、キャスクCの底面近傍から放出された熱も、収納空間S1内の空気の流れに沿って、収納空間S1の外部に放熱される。
次に、収納容器10に含まれる各要素を接続する構成について説明する。図6は、各要素が互いに接続された状態にある収納容器10の鉛直方向の断面図である。
まず、筒状体12を構成する各筒状部材同士の鉛直方向すなわち積層方向の接続について説明する。図3及び図6に示すように、互いに鉛直方向で隣接する筒状部材同士は、複数の接続部材を介して接続される。ここで、最上部に設置される第1筒状部材121と、第1筒状部材121の下部に設置される第2筒状部材122とに着目する。第1筒状部材121は、第2筒状部材122に対向する面に、複数の第2嵌合穴41bを有する。本実施形態では、第2嵌合穴41bは6つ存在する。一方、第2筒状部材122は、第1筒状部材121に対向する面に、複数の第1嵌合穴42aを有する。第2嵌合穴41bと第1嵌合穴42aとは、第1筒状部材121と第2筒状部材122とが互いに積層された状態でそれぞれ同軸上にある。つまり、本実施形態では、第1嵌合穴42aも6つ存在する。第2嵌合穴41b及び第1嵌合穴42aの開口形状は、それぞれ円である。また、第2嵌合穴41bと第1嵌合穴42aとの開口径は、おおよそ同一である。
第1接続部材51は、収納容器10内で用いられる接続部材のうち、第1筒状部材121と第2筒状部材122との接続に用いられるものである。第1接続部材51は、金属製の円柱状の部材である。第1接続部材51は、第2嵌合穴41bと第1嵌合穴42aとの組の数に合わせて存在する。第1接続部材51の一端は、第2嵌合穴41bに嵌合する。第1接続部材51の他端は、第1嵌合穴42aに嵌合する。つまり、本実施形態では、第1接続部材51が6つ存在し、第1接続部材51の径は、第2嵌合穴41b及び第1嵌合穴42aに嵌合可能な寸法に規定されている。
このような複数の第1接続部材51を用いることで、第1筒状部材121と第2筒状部材122とは、図6に示すように、鉛直方向において互いに剛に接続される。また、それ以外の第2筒状部材122と第3筒状部材123との接続、及び、第3筒状部材123と第4筒状部材124との接続についても、同様の構成で行われる。例えば、第2筒状部材122と第3筒状部材123との接続に関して、第2筒状部材122は、第3筒状部材123に対向する面に、6つの第2嵌合穴42bを有する。第3筒状部材123は、第2筒状部材122に対向する面に、6つの第1嵌合穴43aを有する。第2嵌合穴42bと第1嵌合穴43aとには、第2接続部材52が嵌合する。一方、第3筒状部材123と第4筒状部材124との接続に関して、第3筒状部材123は、第4筒状部材124に対向する面に、6つの第2嵌合穴43bを有する。第4筒状部材124は、第3筒状部材123に対向する面に、6つの第1嵌合穴44aを有する。第2嵌合穴43bと第1嵌合穴44aとには、第3接続部材53が嵌合する。
次に、各筒状部材における第1嵌合穴及び第2嵌合穴の形成位置について説明する。ここでは、一例として、図4を参照して、第3筒状部材123の第2筒状部材122に対向する面に形成されている第1嵌合穴43aの形成位置に着目する。まず、第1嵌合穴43aは、強度上、第3筒状部材123の鉛直軸AXからの放射方向の肉厚が薄い領域よりも厚い領域に形成されることが望ましい。また、収納容器10が水平方向のいずれの方向から外力を受けても同等の耐久性を発揮するために、第1嵌合穴43aは、鉛直軸AXを基準として等間隔の角度で複数配置されることが望ましい。これらを考慮すると、第1嵌合穴43aは、水平面に関して、第3筒状部材123の外形の中心を通るそれぞれの対角線上、又は、その対角線の近傍に形成される。本実施形態では、第3筒状部材123の水平面上の外形が6角形であるので、第1嵌合穴43aは、第3筒状部材123の第2筒状部材122に対向する面に、6角形の中心である鉛直軸AXを通る3つの対角線に合わせて6つ形成される。ここで、本実施形態では、第3筒状部材123は、鉛直方向に沿って第5部材123aと第6部材123bとに2等分されている。そのため、第5部材123aと第6部材123bとのつなぎ位置に第1嵌合穴43aの形成位置が存在することは望ましくない。そこで、すべての第1嵌合穴43aは、鉛直軸AXを基準として、対角線から同一方向に角度θ分ずれた位置に形成されるものとしてもよい。
なお、ここでは、第3筒状部材123に関して、第1嵌合穴43aの形成位置について説明したが、第4筒状部材124に対向する面に形成される第2嵌合穴43bの形成位置についても同様である。また、他の筒状部材に形成される第1嵌合穴及び第2嵌合穴の形成位置についても、同様に規定される。さらに、このように規定された、すべての筒状部材に形成されている6つの第1嵌合穴と第2嵌合穴との組は、図6に示すように、それぞれ鉛直方向に沿って同軸上に並ぶものとしてもよい。
また、本実施形態では、各筒状部材がそれぞれ鉛直方向に沿って2つの部材に分割されている場合を例示しているため、第1嵌合穴及び第2嵌合穴を、鉛直軸AXを基準として対角線から同一方向に角度θ分ずれた位置に形成されるものとしている。したがって、各筒状部材がそれぞれ複数の部材に分割されていない場合には、第1嵌合穴及び第2嵌合穴を、筒状部材の水平面上の外形の対角線上に形成してもよい。
次に、筒状体12の最上部にある第1筒状部材121と、蓋体14との接続について説明する。図3及び図6に示すように、第1筒状部材121と蓋体14とは、上記の第1接続部材51〜第3接続部材53と同様の6つの第4接続部材50を介して接続されてもよい。この場合、第1筒状部材121は、蓋体14に対向する面に、6つの第1嵌合穴42aを有する。一方、蓋体14は、第1筒状部材121に対向する面に、6つの嵌合穴40bを有する。第4接続部材50の一端は、嵌合穴40bに嵌合する。第4接続部材50の他端は、第1嵌合穴41aに嵌合する。ただし、蓋体14の板厚は、第1筒状部材121の鉛直方向の厚みよりも薄いため、嵌合穴40b及び第1嵌合穴41aの深さは、第1筒状部材121の第2嵌合穴41bの深さよりも浅くてよい。また、嵌合穴40b及び第1嵌合穴41aの水平面上の形成位置についても、第2嵌合穴41bと同様の形成位置としてよい。
次に、筒状体12の最下部にある第4筒状部材124と、基台16との接続について説明する。図3及び図6に示すように、第4筒状部材124と基台16とは、上記の第1接続部材51〜第3接続部材53と同様の6つの第5接続部材54を介して接続されてもよい。この場合、第4筒状部材124は、基台16に対向する面に、6つの第2嵌合穴44bを有する。一方、基台16は、第4筒状部材124に対向する面に、6つの嵌合穴45aを有する。第5接続部材54の一端は、第2嵌合穴44bに嵌合する。第5接続部材54の他端は、嵌合穴45aに嵌合する。また、第2嵌合穴44b及び嵌合穴45aの水平面上の形成位置についても、第4筒状部材124の第1嵌合穴44aと同様の形成位置としてよい。
次に、各接続部材の材質について説明する。鉛直方向を長手方向とする筒状体12は、4つの筒状部材すなわち第1筒状部材121〜第4筒状部材124を鉛直方向に積層して構成されている。そして、これらの筒状部材を接続する部材として、第1接続部材51〜第3接続部材53が用いられている。しかし、収納容器10に高レベルの地震力のような突発的な外力が加わると、筒状部材同士を接続する接続部材に大きな荷重がかかる。この荷重が、筒状部材を構成するコンクリート材の耐久性能を超えた場合、筒状体12に損傷が生じるおそれがある。そこで、本実施形態では、第1接続部材51〜第3接続部材53の少なくともいずれかの材質を低降伏点鋼とする。
低降伏点鋼とは、普通鋼材と比べて降伏点が低く設定されている鋼材をいう。低降伏点鋼材料としては、例えば、日本国建築基準法に基づく国土交通大臣指定のLY225がある。LY225の降伏点は、例えば、応力値が225(N/mm2)の近傍であるときに生じ得る。他にも、応力値が100(N/mm2)の近傍であるときに生じ得る、同じく国土交通大臣指定のLY100のような低降伏点鋼材料が知られている。このような低降伏点鋼を用いて形成されている部材は、大きなエネルギー吸収能力を有する。
第1接続部材51〜第3接続部材53のうち、いずれの材質を低降伏点鋼とするかについては、以下のようにいくつかの選択肢がある。収納容器10が高レベルの地震力を受けた場合、収納容器10には、地盤に近い基台16を揺れの基準として、収納容器10の上方が大きく揺さぶられる、いわゆるロッキングが生じる。そこで、筒状体12において揺れが大きくなると想定される、上方の接続部材の材質を低降伏点鋼とする。例えば、4つの筒状部材のうち最上部に設置される第1筒状部材121と、第1筒状部材121の下部に設置される第2筒状部材122とを接続する第1接続部材51の材質を低降伏点鋼としてもよい。この場合、他の筒状部材同士を接続する第2接続部材52及び第3接続部材53の材質は、それぞれ普通鋼材とする。このような構成によれば、収納容器10が高レベルの地震力を受けた場合、それぞれ剛に接続された第2筒状部材122よりも下部に位置する部分に対して、第1筒状部材121が位相をずらして振動する。そして、第1接続部材51は、筒状体12のコンクリート部分が破損する前に塑性変形し、この塑性化により、揺れエネルギーを吸収する。その結果、第1接続部材51は、低降伏点鋼で形成された接続部材を用いない場合よりも大きな減衰力を発生させることで、第1筒状部材のロッキングを抑制する。
また、第1の変形例として、第1接続部材51の材質を低降伏点鋼とするのに代えて、その下位に位置する、第2筒状部材122と、第2筒状部材122の下部に設置される第3筒状部材123とを接続する第2接続部材52の材質を低降伏点鋼としてもよい。この場合、第1接続部材51及び第3接続部材53の材質が、普通鋼材となる。このような構成によれば、収納容器10が高レベルの地震力を受けた場合、第2接続部材52が、地震力に起因する揺れエネルギーを吸収し、大きな減衰力を発生させることになる。
また、第2の変形例として、第1接続部材51の材質を低降伏点鋼とするのに代えて、その最も下位に位置する、第3筒状部材123と、第3筒状部材123の下部に設置される第4筒状部材124とを接続する第3接続部材53の材質を低降伏点鋼としてもよい。この場合、第1接続部材51及び第2接続部材52の材質が、普通鋼材となる。このような構成によれば、収納容器10が高レベルの地震力を受けた場合、第3接続部材53が、地震力に起因する揺れエネルギーを吸収し、大きな減衰力を発生させることになる。
更に、第3の変形例として、第1接続部材51〜第3接続部材53のうちの複数又はすべての材質を低降伏点鋼とすることもあり得る。ただし、この場合、それらの接続部材を用いて接続されている第1筒状部材121〜第3筒状部材123が、第4筒状部材124よりも下部に位置する部分に対して、それぞれ異なる位相で振動し、所望の減衰力が得られない場合もあり得る。そこで、例えば、第1筒状部材121と第2筒状部材122とを接続する第1接続部材51を、大きな減衰力を得るための接続部材と位置付け、その他の接続部材で接続される各面間を、ボルト等により固定してもよい。このような構成によれば、第2筒状部材122よりも下部に位置する部分がそれぞれ剛に接続されているとみなされるため、第1接続部材51は、第1の変形例と同様に作用する。
一方、第1筒状部材121と蓋体14との接続に用いられる第4接続部材50、及び、第4筒状部材124と基台16との接続に用いられる第5接続部材54の材質は、それぞれ、普通鋼材であっても、低降伏点鋼であってもよい。ただし、第4接続部材50又は第5接続部材54が低降伏点鋼で形成される場合には、上記と同様に、その接続部材で接続される面間を、ボルト等により固定してもよい。
また、低降伏点鋼により形成されている接続部材を用いた各筒状部材同士の接続を行うのに合わせて、基台16の底面は、地盤側に押圧され、ボルト等により結合されているものとしてもよい。
次に、本実施形態による作用及び効果について説明する。
本実施形態に係る収納容器10は、キャスクCを内部に配置する筒状体12を構成する第1筒状部材と、筒状体12を構成し、第1筒状部材の下部に設置される第2筒状部材とを備える。また、収納容器10は、第1筒状部材と第2筒状部材とを接続する接続部材を備える。接続部材を形成する材料は、低降伏点鋼である。
ここで、筒状体12を構成する筒状部材は、第1筒状部材と第2筒状部材との2つに限られるものではなく、第1筒状部材と第2筒状部材とは、複数の筒状部材から選択された2つを意味する。また、第1筒状部材及び第2筒状部材は、上記例示した、筒状体12が4つの筒状部材で構成されている場合の第1筒状部材121及び第2筒状部材122に限定されない。例えば、上記の例を参照すれば、4つの筒状部材のうちの第2筒状部材122が、ここでの第1筒状部材に相当し、一方、第3筒状部材123が、ここでの第2筒状部材に相当すると考えることもできる。
このような収納容器10によれば、高レベルの地震力を受けた場合、低降伏点鋼で形成された接続部材が、地震力等の外力を吸収可能な接続構造として、地震力に起因する揺れエネルギーを吸収し、大きな減衰力を発生させる。その結果、収納容器10は、転倒挙動を抑止することができ、また、筒状体12のコンクリート部分の破損を抑止することができる。したがって、収納容器10は、外力に対する耐久性を向上させることができる。
また、本実施形態に係る収納容器10では、第1筒状部材には、蓋体14が取り付けられている。第2筒状部材は、キャスクCを載置する載置領域から離隔している。
ここで、載置領域とは、キャスクCが載置される広義の領域をいう。例えば、上記の例を参照すれば、キャスクCが載置される載置領域は、直接的な載置板30の上面30aではなく、載置板30自体が載置されている基台16の上面27近傍をいう。つまり、例えば、収納容器10が、基台16に代えて、より簡易的な基台を採用する場合には、キャスクCが載置される載置領域は、地盤近傍となることもあり得る。したがって、第2筒状部材が、このようなキャスクCを載置する載置領域から離隔しているとは、すなわち、第2筒状部材と地盤との間には、第3筒状部材123又は第4筒状部材124のような他の筒状部材が介在することを意味する。
例えば、高レベルの地震力が加えられた場合のロッキングを考慮すると、筒状体12において最も揺れが大きくなると想定されるのは、蓋体14が取り付けられている第1筒状部材121である。そのため、このような収納容器10によれば、第1筒状部材121の接続に用いられる接続部材の材質を低降伏点鋼とすることになり、その結果、筒状体12全体としてのエネルギーの吸収効果が最も得られやすくなる。
また、本実施形態に係る収納容器10は、筒状体12の下部に配置され、筒状体12を支持する基台16を備え、基台16の底面は、地盤側に押圧され結合されているものとしてもよい。
このような収納容器10によれば、収納容器10の最下部にある基台16が地盤側に結合されているので、積層された複数の筒状部材のうち基台16に近い下層の筒状部材が、地盤に対して比較的安定した状態に保たれる。そのため、収納容器10が外力を受けたときには、基台16に近い下層の筒状部材に対する、低降伏点鋼で形成された接続部材で接続された筒状部材の相対変位のバラツキが抑えられる。したがって、低降伏点鋼で形成された接続部材による減衰力の低下を抑えることができる。
また、本実施形態に係る収納容器10では、第2筒状部材は、第1筒状部材に対向する面に、第1嵌合穴を有し、第1筒状部材は、第2筒状部材に対向する面に、第2嵌合穴を有するものとしてもよい。また、接続部材の形状は、一端が第1嵌合穴に嵌合し、他端が第2嵌合穴に嵌合する円柱状であるものとしてもよい。
例えば、ここでの第1筒状部材が、上記の例でいう第1筒状部材121であり、ここでの第2筒状部材が、上記の例でいう第2筒状部材122であるとする。この場合、第2筒状部材122の第1嵌合穴は、第1嵌合穴42aに相当する。第2嵌合穴は、第1筒状部材121の第2嵌合穴41bに相当する。また、接続部材は、第1接続部材51に相当する。
このような収納容器10によれば、円柱状の接続部材が鉛直方向に沿って嵌合されているので、筒状部材同士の横ずれを抑止することができ、特に、水平方向の大きな外力が加えられたときには、効率よくエネルギーの吸収効果を得ることができる。また、収納容器10によれば、例えば、別途、筒状体12の外側面12aに耐久性を向上させるための補強部材などを設置する必要がないので、収納容器10の大型化を避け、又は、コストの上昇を抑える点で有利となる。
また、本実施形態に係る収納容器10では、接続部材は、3つ以上あり、3つ以上の接続部材は、筒状体12の水平面上の外形を規定する鉛直軸を基準として、互いに等間隔の角度位置に配置されるものとしてもよい。
このような収納容器10によれば、水平方向のいずれの方向から外力を受けても、それぞれの接続部材が外力を分散させて受けるので、収納容器10の耐久性をより向上させることができる。
(集積体)
次に、一実施形態に係る集積体について説明する。図7は、本実施形態に係る集積体100の構成を示す斜視図である。
集積体100は、上記実施形態に係る複数の収納容器10を地盤上に集積して配置した収納容器群である。例えば、集積体100は、互いに隣り合う、第1キャスクを収納する第1収納容器10aと、第2キャスクを収納する第2収納容器10bと、第3キャスクを収納する第3収納容器10cとを含むものとする。第1収納容器10a、第2収納容器10b及び第3収納容器10cは、全体形状が略6角柱状である。そのため、集積体100では、第1収納容器10aが備える筒状体12、第2収納容器10bが備える筒状体12、及び、第3収納容器10cが備える筒状体12は、それぞれ、他の2つの筒状体12に対面し、ハニカム状に配置される。
上記のとおり、収納容器10において、蓋体14は複数の排出口14aを有し、筒状体12は外側面12aに溝部12cを有する。そのため、複数の収納容器10が、図7に示すように互いに近接して集積配置された場合でも、隣り合う収納容器10同士の溝部12cが互いに対向し、空気の流路FPが形成される。
このような集積体100によれば、複数の収納容器10を外側面同士で近接させて、ハニカム構造で集積配置させることができるので、より少ない占有スペースで多くの収納容器10を配置することができる。
また、集積体100によれば、外力を吸収可能な接続構造を備える収納容器10を集積するので、集積体100全体として複数の収納容器10を集積させても、外力に対する耐久性を向上させるのに有利となり得る。
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。