JP2019183202A - 自溶炉及びその操業方法 - Google Patents

自溶炉及びその操業方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019183202A
JP2019183202A JP2018072628A JP2018072628A JP2019183202A JP 2019183202 A JP2019183202 A JP 2019183202A JP 2018072628 A JP2018072628 A JP 2018072628A JP 2018072628 A JP2018072628 A JP 2018072628A JP 2019183202 A JP2019183202 A JP 2019183202A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reaction shaft
slag
mat
setter
furnace
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018072628A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7137336B2 (ja
Inventor
竜也 本村
Tatsuya Motomura
竜也 本村
友也 川崎
Tomoya Kawasaki
友也 川崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pan Pacific Copper Co Ltd
Original Assignee
Pan Pacific Copper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pan Pacific Copper Co Ltd filed Critical Pan Pacific Copper Co Ltd
Priority to JP2018072628A priority Critical patent/JP7137336B2/ja
Publication of JP2019183202A publication Critical patent/JP2019183202A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7137336B2 publication Critical patent/JP7137336B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Vertical, Hearth, Or Arc Furnaces (AREA)

Abstract

【課題】セットラのサイズを大幅に拡大することなくスラグロスを効果的に抑えることが可能な自溶炉及びその操業方法を提供する。【解決手段】セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させ生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、前記セットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても前記スラグと前記マットの境界面が前記反応シャフト直下の投影領域の外側まで延在できるように前記反応シャフト下部における前記セットラの炉内を拡張したことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は自溶炉及びその操業方法に関する。
銅等の金属製錬における自溶炉200は、図6に示すように、反応シャフト201、セットラ202及びアップテイク203から構成され、反応シャフト201の頂部には精鉱バーナ204が配置されている。そして、精鉱(製錬原料)を酸素富化空気あるいは高温熱風と同時に吹き込んで瞬間的に化学反応を起こさせ、比重差によってマット層3aとスラグ層3bに分離する。自溶炉200は精鉱の酸化反応熱を利用するため他の方法より燃料消費率が低いという特徴がある。処理する原料の品位、組成によっては、酸化反応熱だけでは熱量が不足することもあるため、精鉱バーナ204から重油等で助燃することもある。
マット層3aには、通常、銅が60〜70%含まれており、このマット層3aは自溶炉200の底部近傍に複数連設して設けられたマットタップホール205、205から抜き出される。一方、スラグ層3bにも1%前後の銅が含まれているため、このスラグ層3bはアップテイク203の下部側に設けられたスラグタップホール206から抜き出される。抜き出されたスラグは錬かん炉220へ送られ錬かんされ、これに含まれていた銅を回収し、マットタップホール205、205から抜き出されたマットとあわせて転炉で処理する。そして、電解精製によってさらに品位の高い電気銅が製造される。この自溶炉200のセットラ202の炉壁には熱的負荷がかかるため、炉壁に水冷ジャケットを配置して炉壁を構成する耐火物を冷却し、それによって耐火物の熱負荷の抑制を図ることが提案されている(特許文献1、2等を参照)。
特許第5441593号公報 特許第5511601号公報 特開2017−155260号公報 特公平03−071489号公報
このような自溶炉200の操業においては系外に排出される貴金属成分(スラグロス)を抑えることが重要な課題である。スラグロスは、化学的にスラグ層3bに溶解しているスラグロスと、スラグ層3b中に懸垂しているマット粒子のような物理的なスラグロスとに大別されるが、このうち物理的なスラグロスを低減するためにはセットラ202におけるマット層3aとスラグ層3bとの分離が鍵となる。反応シャフト201で生成したマット粒子やスラグ粒子が着湯する懸濁領域(反応シャフト201の直下及びその周辺に分布)においては、マット粒子同士が接触して粒径が増大することにより沈降分離が促進され、またマット粒子がマット層3aと接触してトラップされることでマット層3a及びスラグ3bの分離が促進される。そして、スラグ層3b中に懸垂したマット粒子は反応シャフト201の直下からスラグホール205に至るまでの期間中に自然沈降により分離される。しかしながら、近年では銅鉱石中の銅含有量の低下やスラグ成分の増加等により、スラグロスが増大傾向にある。また、マット粒子径が小さい場合やスラグ層3bの粘度が高い場合は分離に時間を要し、スラグロスがさらに増大する。この点、スラグロス対策として引用文献3または引用文献4のようにFeメタルや炭材を添加することによりスラグロスを改善する方法が提案されている。しかしながら、引用文献3または4のように添加剤を用いる場合、添加剤のコストが増大するという問題点がある。
そのため、本発明者らは、反応シャフトで生成した直後の高温で粘度が低く流動性の高い溶湯が対流している反応シャフト201の下部に着目し、この反応シャフト201の下部においてマット層3aの表面積を大きく確保し、マット粒子が他のマット粒子やマット層3aと接触できる機会を増大させればスラグロスを低減できるという着想を得た。またマット層3aの表面積を大きく確保することで、同様に対流するスラグとマット層3aの接触頻度も増加し、高温状態でのマットによるスラグの還元促進にも寄与する。しかしながら、反応シャフト下部のセットラの内壁には鋳付が成長しやすく、操業の継続によりマット層3aの表面積を大きく確保することが困難となる場合がある。
そこで、本発明は上記の課題に鑑み、添加剤の投入に依存することなくスラグロスを抑制することができる自溶炉及びその操業方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、反応シャフト下部のセットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても反応シャフトの下部においてマットとスラグの境界面を維持することができ、それによってマットとスラグの分離が阻害されることを防止してスラグロスの抑制を図ることが可能な自溶炉及びその操業方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、セットラを無制限に大きくすることによる工期の延長やコスト増大を招くことなく、スラグロスを効果的に抑えることが可能な自溶炉及びその操業方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため請求項1に記載の本発明は、セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、前記セットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても前記スラグと前記マットの境界面が前記反応シャフトの横断面を当該反応シャフト直下へ投影してできる投影領域の外側まで延在できるように前記反応シャフト下部における前記セットラの内壁面を位置させたことを特徴とする自溶炉を提供する。
上記課題を解決するため請求項2に記載の本発明は、セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、前記反応シャフトに近接する側の長手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を長手方向における前記投影領域の幅長さの20〜35%としたことを特徴とする自溶炉を提供する。
上記課題を解決するため請求項3に記載の本発明は、セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、前記反応シャフトに近接する側の短手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を短手方向における前記投影領域の幅長さの15〜20%としたことを特徴とする自溶炉を提供する。
上記課題を解決するため請求項4に記載の本発明は、セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、前記反応シャフトに近接する側の長手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を長手方向における前記投影領域の幅長さの20〜35%とし、前記反応シャフトに近接する側の短手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を短手方向における前記投影領域の幅長さの15〜20%としたことを特徴とする自溶炉を提供する。
上記課題を解決するため請求項5に記載の本発明は、セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉の操業方法において、前記セットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても前記スラグと前記マットの境界面が前記反応シャフトの横断面を前記反応シャフト直下へ投影してできる投影領域の外側まで延在できるように前記反応シャフト下部における前記セットラの内壁面を位置させることによりマットとスラグの分離を促進することを特徴とする自溶炉の操業方法を提供する。
本発明によれば、セットラのサイズを大幅に拡大することなくスラグロスを効果的に抑えることが可能な自溶炉及びその操業方法を提供することができるという効果がある。
本発明に係る自溶炉の好ましい一実施形態の概略正面断面図である。 (A)は比較例におけるセットラの寸法の説明図、(B)は本実施形態におけるセットラの寸法の説明図である。 (A)は比較例におけるスラグ層とマット層の境界面の説明図、(B)は本実施形態におけるスラグ層とマット層の境界面の説明図である。 (A)は比較例におけるスラグロスを示すグラフ、(B)は本実施形態におけるスラグロスを示すグラフである。 (A)は比較例におけるスクリーニング後のスラグロスを示すグラフ、(B)は本実施形態におけるスクリーニング後のスラグロスを示すグラフである。 従来(比較例)の自溶炉の概略正面断面図である。
以下、本発明に係る自溶炉及びその操業方法について、好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。本実施形態では一例として銅製錬における自溶炉及びその操業方法について説明する。
[本実施形態の自溶炉の構成]
以下、本実施形態における自溶炉の構成について説明する。図1は本実施形態における自溶炉の概略正面断面図である。図示された自溶炉1は、概略として、一端側に設けられた反応シャフト2と、他端側に設けられたアップテイク4と、反応シャフト2とアップテイク4の中間部に位置するセットラ3を備えて炉体が構成されており、自溶炉1の炉体全体は鋼材等の金属製材料によって形成されたシェル(缶体)によって形成されている。反応シャフト2は、略円筒形状とされ、その上部に精鉱バーナ7が配置されている。そして、精鉱バーナ7には酸素富化空気の供給部8が設けられている。反応シャフト2に精鉱バーナ7から酸素富化空気あるいは高温熱風と同時に精鉱(製錬原料)が吹き込まれると、瞬間的に化学反応が生起し、反応した精鉱(製錬原料)は比重差によってセットラ3の炉底部1a上でマット層3aとスラグ層3bとに分離される。セットラ3のマットレベルには不図示のマットタップホールが設けられ、セットラ3のスラグレベルには不図示のスラグタップホールが設けられる。スラグタップホールは不図示の錬かん炉に連結されており、スラグ層3bに含まれていた銅はマットとして回収される。一方、アップテイク4は、スラグ層3bの上部の排ガスを不図示の廃熱ボイラへ誘導して廃熱の回収を行い、冷却された排ガスは硫酸工場に送られる。
[本実施形態の自溶炉の内壁面]
次に、本実施形態の自溶炉1の内壁面について説明する。図1に示されるとおり、反応シャフト2及びセットラ3の周壁には、互いに連結された複数の水冷ジャケット10が配置されている。反応シャフト2の周壁を構成する水冷ジャケット10の炉内側の端面が反応シャフト2の内壁面を構成する。符号30で示す部分が反応シャフト2の内壁面であり、円筒状をしている。また、セットラ3の周壁を構成する水冷ジャケット10の炉内側の端面がセットラ3の内壁面を構成し、概略角柱状をしている。符号30bで示すのは、セットラ3の長手方向において相対する一対の内壁面のうち反応シャフト2に近い側に位置する内壁面であり、図2(A)(B)において符号30aで示すのは、セットラ3の短手方向において相対する一対の内壁面である。
[比較例の自溶炉の構成]
さらに、比較例の自溶炉の構成について説明する。図6に示す比較例の自溶炉200の構成は、図1に示す本実施形態の自溶炉1の構成と基本的に同様である。すなわち、図1に示す本実施形態の自溶炉1は、セットラ3の一方端側に配置された反応シャフト2で銅精鉱を加熱溶融することにより生成された高温融体をマット層3aとスラグ層3bとに分離するものであり、図6に示す比較例の自溶炉200も、セットラ202の一方端側に配置された反応シャフト201で銅精鉱を加熱溶融することにより生成された高温融体をマット層3aとスラグ層3bとに分離するものである。ここでは比較例の自溶炉200と本実施形態の自溶炉1との間ではセットラの寸法以外は共通であって操業条件も共通であるものとする。また、比較例の自溶炉200の構成のうち本実施形態の自溶炉1における構成と対応するものについては適宜に同一の符号を付して説明する。
[比較例のセットラの寸法]
続いて、上述した比較例のセットラの寸法について説明する。図2(A)は比較例におけるセットラの寸法の説明図、図3(A)は比較例におけるスラグ層とマット層の境界面の説明図である。
図2(A)に示すとおり、比較例の自溶炉200においては、反応シャフト201の下部に位置するセットラ202の内壁面30a、30bは反応シャフト201に近接している。このため、セットラ202の内壁面30a、30bや炉底部に鋳付3cが形成され(図3(A))、内壁面30a、30bと炉底部との角部(エッジ部)や炉底部の鋳付3cが成長した場合には、鋳付3cがマット層3aの表面積の拡がりを制限すると共に、スラグ層3bとマット層3aの境界面3dが反応シャフト2の直下の投影領域Aの外側まで延在できない状態となる(図3(A))。ここで、投影領域Aは、反応シャフト202の横断面を反応シャフト2直下へ投影してできる領域、すなわち、筒状の反応シャフト2の内壁30を炉底部側へ投影してできる領域のことである。また、懸濁領域A0は、反応シャフト201の下部で生成された高温融体が着湯する領域のことであって、投影領域A及びその周辺に分布する周縁部A1を含む。なお反応シャフト2の断面形状が円形の場合には、投影領域Aは円形状となるが、反応シャフト2の断面形状が楕円形の場合には投影領域Aは楕円形状となる。
ここで、比較例における反応シャフト201は横断面が円形状なので、投影領域Aも円形状となり、長手方向における投影領域Aの幅長さは円形状である投影領域Aの直径となる。そうすると、反応シャフト201に近接する側の長手方向におけるセットラ202の内壁面30bから投影領域Aの端部までの最短距離L2は、投影領域Aの直径φ=6200mmに対してL2=1150mm(L2は直径φの約18.5%)となっている。
また、反応シャフト201に近接する側の短手方向におけるセットラ202の内壁面から投影領域Aの端部までの最短距離L1は、短手方向における前記投影領域の幅長さ、すなわち、投影領域Aの直径φ=6200mmに対してL1=715mm(L1は直径φの約11.5%)となっている。
上述の比較例の場合、反応シャフト201の下部におけるセットラ202の一対の内壁面30a,30aとの間の間隔L4は、約7630mmであり、反応シャフト201の下部における懸濁領域A0の下流側端からセットラ202の長手方向における内壁面30bまでの間隔L5は、約8500mmしか確保できない。
[比較例のスラグロス]
また、上述の比較例では、図3(A)に示すとおり、セットラ202の内壁面30a、30bと炉底部との角部(エッジ部)に鋳付3c形成されると、その鋳付3cが障害となってセットラ20の長手方向における端面側の懸濁領域A0の周縁部A1の位置までマット層3aが延在できないので、その周縁部A1においてはマット層3aとスラグ層3bの境界面3dが存在しないこととなる。このため、当該周縁部A1を浮遊するマット粒子3a’は、その落下後にマット層3aと接触することができず、スラグ層3bに留まる。そのため、当該マット粒子3a’はマットとして回収されずにスラグロスとなる可能性が高まる。
[実施形態のセットラの寸法]
次に、本実施形態のセットラの寸法について説明する。図2(B)は本実施形態におけるセットラの寸法の説明図であり、図3(B)は本実施形態におけるスラグ層とマット層の境界面の説明図である。
図2(B)に示すとおり、本実施形態の自溶炉1においては、反応シャフト2の下部におけるセットラ3の内壁が拡張されており、スラグ層3bとマット層3aの境界面3dが反応シャフト2の直下の投影領域Aの外側まで延在できるような位置に反応シャフト2の下部におけるセットラ3の内壁面30a、30bが配置されている。このため、仮にセットラ3の内壁面30a、30bや炉底部に鋳付3cが形成され(図3(B))、内壁面30a、30bと炉底部との角部(エッジ部)の鋳付3cが成長した場合であっても、スラグ層3bとマット層3aの境界面3dは反応シャフト2直下の投影領域A(図3(B))越え、その周縁部A1を含む懸濁領域A0に至る位置まで延在させることが可能となる。
ここで、本実施形態における反応シャフト2は横断面が円形状なので、投影領域Aも円形状となり、長手方向における投影領域Aの幅長さは円形状である投影領域Aの直径となる。そうすると、反応シャフト2に近接する側の長手方向におけるセットラ3の内壁面30bから投影領域Aの端部までの最短距離L2は、投影領域Aの直径φの20〜35%の範囲とされている。例えば投影領域Aの直径φ=6200mmに対してL2=1850mm(L2は直径φの約30%)とされている。
また、本実施形態における、反応シャフト2に近接する側の短手方向におけるセットラ3の内壁面から投影領域Aの端部までの最短距離L1は、短手方向における前記投影領域の幅長さ、すなわち、投影領域Aの直径φの15〜20%の範囲とされている。例えば投影領域Aの直径φ=6200mmに対してL1=1000mm(L1は直径φの約16%)とされている。
この場合、反応シャフト2の下部におけるセットラ3の一対の内壁面30a,30aの間隔L4は、8200mmほど確保され、反応シャフト2の下部における投影領域A及びその周辺に分布する周縁部A1を含む懸濁領域A0の下流側端から内壁面30bまでの間隔L5は、9200mmほど確保される。
[実施形態のスラグロス]
上述の本実施形態では、図3(B)に示すとおり、セットラ3の内壁面30a、30bと炉底部との角部(エッジ部)に鋳付3cが形成されても、懸濁領域A0の周縁部A1に至るまでマット層3aが延在できるので、周縁部A1においてもマット層3aとスラグ層3bの境界面3dを存在させることができる。このため、当該周縁部A1を浮遊するマット粒子3a’は、その落下後にマット層3aと接触することが可能となり、マット層3aへ吸収が促進される。そして当該マット粒子3a’は最終的にスラグロスとならずにマットとして回収される。よって、本実施形態は比較例よりもスラグロスを確実に抑制することができる。
また、上記のごとく本実施形態ではスラグとマットの分離性改善を、セットラ3の上流側(すなわち懸濁領域A0の側)において行うこととしている。この懸濁領域A0に着湯し存在する高温融体の温度は1300〜1500℃ほどであって、セットリングエリア(セットラ3におけるアップテイク4の側)に存在する溶湯の温度1250℃よりも高温であり、流動性が極めて高く、粘性が低い。このため、懸濁領域A0での分離性改善の効果は、セットリングエリア(アップテイク4の側)での分離性改善の効果(自然沈降による分離による)よりも高い。従って、本実施形態ではスラグロスの低減効果を高めることができる。
また、マット層の表面積が増加することで、高温雰囲気でのスラグとマットの接触頻度も増加し、マットによるスラグの還元が促進されやすくなる。
また、本実施形態では反応シャフト2の下部の厳しい環境(懸濁領域A0)からセットラ3の内壁面30a、30bを遠ざけたので、これら内壁面30a、30bを構成する水冷ジャケット10の寿命を延長することができるという効果も期待できる。
さらに、本実施形態のように、自溶炉1の反応シャフト2の下端部が上方から下方に向けて末広がり状に形成された構造の場合には反応シャフト2で反応したマット粒子が広範囲に落下しやすいため本発明の効果がより一層高くなる。
[スラグロスの低減効果]
次に、本実施形態におけるスラグロスの低減効果を数値で説明する。図4、図5はそれぞれ比較例、実施例の自溶炉を用いて銅精鉱を処理した操業期間において、自溶炉から排出されるスラグをタップ時間帯に常時サンプリングする機器を用いてサンプリングし、1日分を縮分した1日の平均化サンプルとし、そのサンプルスラグに含まれるCu品位をスラグロスの指標としてある一定の操業期間の結果をプロットしたものであり、図4(A)は比較例におけるスラグロスを示すグラフ、図5(A)は比較例におけるスクリーニング後のスラグロスを示すグラフであり、図4(B)は本実施形態におけるスラグロスを示すグラフ、図5(B)は本実施形態におけるスクリーニング後のスラグロスを示すグラフである。グラフの横軸はいずれもスラグ中における酸化アルミニウムの含有量(%)であり、グラフの縦軸はスラグロス(%)である。なお、図5のデータは図4のデータと同じであるが、図5ではスラグロス軽減のための炭材の添加の有無を区別している点で図4とは異なる。また、図4、図5のデータの取得条件は、次のとおりである。比較例においては直径φ=6200mm、L1=715mm、L2=1150mm、本実施形態においては直径φ=6200mm、L1=1000mm、L2=1850mmである。
先ず、図4(A)、図4(B)を比較すると明らかなとおり、比較例ではスラグロスが平均で約0.90%であり、しかもスラグロスの幅が広く一定しないのに対し、本実施形態では平均で約0.75%であり、スラグロスの幅も狭くスラグロスを確実に低減できており、比較例よりも本実施形形態の方がスラグロス低減の効果が高いことがわかる。また、図5(A)、図5(B)を参照すると明らかなとおり、炭材の添加によるスラグロスの低減効果よりも、本実施形態によるスラグロス低減効果の方が高いことがわかる。
なお、比較例でスラグ中の酸化アルミニウムが増加した条件でスラグロスが悪化しているのは、スラグ中の酸化アルミニウムが増加するとスピネルが形成しやすい方向に作用し、それが鋳付の形成を助長するため、壁面部の鋳付の厚みが増加して反応シャフト2の直下滞留部のスラグ層3bとマット層3aの境界面3dの面積が小さくなり、反応シャフト2の直下でのマットとスラグの分離性を悪化させていることを示している。炭材の添加は酸化アルミニウム増加時のスピネル形成を抑制する方向に寄与するが、比較例に示す通り、実操業においては明確なスラグロス低減効果は得られておらず、鋳付の厚みが増大してもスラグとマットの分離性を悪化させないための境界面積を維持することを目的とした本実施形態による効果が大きいことがわかる。また、セットリングエリアでの沈降分離に関しても、壁面間の距離を延ばし、スラグとマットの境界面を拡大させたことで、スピネルを多く含有する中間層の厚みを薄く維持することが可能となり、セットラ3でのマット粒子の沈降分離性の改善にも寄与している。
[実施形態の効果]
以上説明したとおり、本実施形態に係る自溶炉1は、セットラ3の内壁面30a、30bに鋳付3cが形成された場合であってもスラグ層3bとマット層3aの境界面3dが反応シャフト2直下の投影領域Aの外側まで延在できるように反応シャフト2の下部におけるセットラ3の内壁を位置させたので、懸濁領域A0における境界面3dの占める割合を増加させ、マット層3aとスラグ層3bの分離(マット層3aのトラップ)を促進することができる。
また、本実施形態に係る自溶炉1は、反応シャフト2の内壁面30から長手方向におけるセットラ3の内壁面30bまでの水平方向の最短距離L2を投影領域Aの直径φの20〜35%としたので、セットラ3の内壁面30bに鋳付3cが形成された場合であってもスラグ層3bとマット層3aの境界面3dを、反応シャフト2直下の投影領域Aの外側まで(内壁面3bの側へ)延在させることができる。
また、本実施形態に係る自溶炉1は、反応シャフト2の内壁面から短手方向におけるセットラ3の内壁面30aまでの水平方向の最短距離L1を投影領域Aの直径φの15〜20%としたので、セットラ3の内壁面30aに鋳付3cが形成された場合であってもスラグ層3bとマット層3aの境界面3dを、反応シャフト2直下の投影領域Aの外側まで(内壁面30aの側へ)延在させることができる。
[その他の実施の形態]
本発明は各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
また、銅製錬炉として自溶炉及びその操業方法に係る実施形態について説明したが、本発明は銅以外の金属の製錬にも適用が可能である。
1 自溶炉
1a 炉底部
2 反応シャフト
3 セットラ
3a マット層
3a’ マット粒子
3b スラグ層
3b’ スラグ粒子
3c 鋳付
3d 境界面
4 アップテイク
7 精鉱バーナ
8 酸素富化空気供給部
10 水冷ジャケット
30 内壁面
30a 内壁面
30b 内壁面
200 自溶炉
201 反応シャフト
202 セットラ
205 マットタップホール
206 スラグタップホール
203 アップテイク
204 精鉱バーナ
220 練かん炉
A 投影領域
A0 懸濁領域
A1 周縁部

Claims (5)

  1. セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、
    前記セットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても前記スラグと前記マットの境界面が前記反応シャフトの横断面を当該反応シャフト直下へ投影してできる投影領域の外側まで延在できるように前記反応シャフト下部における前記セットラの内壁面を位置させたことを特徴とする自溶炉。
  2. セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、
    前記反応シャフトに近接する側の長手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を長手方向における前記投影領域の幅長さの20〜35%としたことを特徴とする自溶炉。
  3. セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、
    前記反応シャフトに近接する側の短手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を短手方向における前記投影領域の幅長さの15〜20%としたことを特徴とする自溶炉。
  4. セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉において、
    前記反応シャフトに近接する側の長手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を長手方向における前記投影領域の幅長さの20〜35%とし、前記反応シャフトに近接する側の短手方向における前記セットラ内壁面から前記投影領域の端部までの最短距離を短手方向における前記投影領域の幅長さの15〜20%としたことを特徴とする自溶炉。
  5. セットラの一方端側に配置された反応シャフトで精鉱を酸素と反応させて生成した高温融体をマットとスラグに分離する自溶炉の操業方法において、
    前記セットラの内壁面に鋳付が形成された場合であっても前記スラグと前記マットの境界面が前記反応シャフトの横断面を前記反応シャフト直下へ投影してできる投影領域の外側まで延在できるように前記反応シャフト下部における前記セットラの内壁面を位置させることによりマットとスラグの分離を促進することを特徴とする自溶炉の操業方法。
JP2018072628A 2018-04-04 2018-04-04 自溶炉及びその操業方法 Active JP7137336B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018072628A JP7137336B2 (ja) 2018-04-04 2018-04-04 自溶炉及びその操業方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018072628A JP7137336B2 (ja) 2018-04-04 2018-04-04 自溶炉及びその操業方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019183202A true JP2019183202A (ja) 2019-10-24
JP7137336B2 JP7137336B2 (ja) 2022-09-14

Family

ID=68339906

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018072628A Active JP7137336B2 (ja) 2018-04-04 2018-04-04 自溶炉及びその操業方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7137336B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023100954A1 (ja) 2021-12-02 2023-06-08 住友金属鉱山株式会社 物質状態の測定方法、物質状態の測定装置

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202923A (ja) * 2007-01-23 2008-09-04 Nikko Kinzoku Kk 自溶炉の炉体水冷構造

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008202923A (ja) * 2007-01-23 2008-09-04 Nikko Kinzoku Kk 自溶炉の炉体水冷構造

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023100954A1 (ja) 2021-12-02 2023-06-08 住友金属鉱山株式会社 物質状態の測定方法、物質状態の測定装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP7137336B2 (ja) 2022-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2019502826A (ja) リチウムリッチな冶金スラグ
EP2861774B1 (en) Method and arrangement for refining copper concentrate
US9534846B2 (en) Method for manufacturing a melt launder and a melt launder
AU594913B2 (en) Pyrometallurgical copper refining
JP2004516441A (ja) 冷却エレメント
JP5901099B2 (ja) 冷却エレメントを被覆する方法
JP2019183202A (ja) 自溶炉及びその操業方法
JP4464343B2 (ja) アルミキルド鋼の製造方法
CN113710820B (zh) 含铬铁水的制造方法
CN103937992A (zh) 顶吹炉熔炼铅精炼的铜浮渣的方法
JPH07258757A (ja) 懸濁溶解方法および装置
JP2009209405A (ja) 含銅ドロスの製錬方法
JP4303578B2 (ja) 鋼の連続鋳造鋳片の中心欠陥低減方法
JP5726618B2 (ja) 錫含有銅の処理方法
JP3921511B2 (ja) 銅転炉の操業方法
WO1999015706A1 (en) Method of moderating temperature peaks in and/or increasing throughput of a continuous, top-blown copper converting furnace
US11603578B2 (en) Operation method of copper smelting furnace
JP2009167469A (ja) 含銅ドロスの処理方法
JP2002038223A (ja) 銅製錬炉の操業方法及びそれに用いる送風ランス
JP2007224340A (ja) 高純度銀インゴットの製造方法
JP4111115B2 (ja) 非鉄製錬用精製炉のドブ処理方法
JP4385788B2 (ja) 立ち上がり煙道
JP4686659B2 (ja) 銅転炉の操業方法
JP5518775B2 (ja) 鉄・錫含有銅の処理方法
CN102313453B (zh) 一种冶金炉渣厚度控制装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210311

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220607

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220725

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220809

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220902

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7137336

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R371 Transfer withdrawn

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R371

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S631 Written request for registration of reclamation of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313631

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350