図1(a)〜(d)に示す本発明の好ましい第1実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造は、例えば袋生産工場や工場内の袋生産エリアにおいて生産された多数のスパウト付きパウチ10を、当該パウチ10に内容物として例えば液体洗剤、粉末洗剤、シャンプー、食品等を収容して詰替え用のパウチ製品として製品化する製品化工場や、工場内の製品化エリアに搬送する際に、簡易な搬送用の収納箱として、例えば六面体形状の好ましくはA式のダンボール箱30に、積み重ねた状態で効率良く箱詰めできるようにするための積層構造として採用されたものである。ここで、収納箱の形態は特に限定されず、例えば、上方から見て丸型の箱や、上方から見て八角形の十面体形状の箱であってもよい。収納箱は、上面が常時開となっているコンテナのようなものであってもよい。特に好ましくは、収納箱は、スパウト付きパウチ10の箱詰めが容易な、六面体形状のA式の段ボール箱を用いることができる。また、本第1実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、搬送先である製品化工場や製品化エリアにおいて、好ましくは画像認識によって物品を認識することが可能なロボットハンドを備える、ピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械よって、搬送された多数のスパウト付きパウチ10の各々を、容易に且つ確実に取り出すことを可能にして、安定した状態で次の工程に送り出すことができるようにするための積層構造として採用できるものである。
ここで、例えば詰替え用の液体洗剤、粉末洗剤、シャンプー、食品等の内容物を収容するパウチは、環境負荷の低減や省資源化等を目的として、合成樹脂製のボトル容器等に代わる安価な容器として多用されている。また詰替え用のパウチは、内容量を、内容物が詰め替えられる被詰替え容器の購入時の内容量と同等か、または購入時の内容量よりも少なくして、1回の詰め替えで詰替え用の内容物を入れ切ってしまうものが主であったが、近年、まとめ買いの増加や商品の割安感から、被詰替え容器の購入時の内容量の例えば2〜3倍程度の、複数回の詰替えが可能な、大容量のパウチ製品の販売が急増している。複数回に分けて内容物を詰替えることが可能な詰替え用のパウチ製品の場合、軟質の柔らかいシート材料からなる袋本体の周縁部分に、注出スパウトを取り付けて、内容物である洗剤を注出し易くなっていると共に、注出スパウトに、注出口を覆うキャップ部材を着脱可能に装着して、注出口を開閉可能に封止できるようになっているのが一般的である。
このため、注出スパウトやキャップ部材が袋本体の周縁部分に取り付けられたスパウト付きパウチは、例えば六面体形状の収納箱の内部に、収納箱の底部から積み重ねた状態で収容する際に、厚みのある立体形状を有する注出スパウトやキャップ部材が取り付けられた部分と、これらが取り付けられた部分以外の、薄く平坦な形状を保持している袋本体の主要部分とでは、相当程度厚さが異なることから、このような厚さの相違によって、積み重ねられたスパウト付きパウチの間に多くの空隙が生じ易くなって、多数のスパウト付きパウチを収納箱に効率良く収納することが難しくなる。一例として、大容量の液体洗剤を収容可能なスパウト付きパウチにおいては、薄く平坦な形状を保持している袋本体の主要部の厚みは例えば0.4mm、袋の底部分のシート材料が多重化されているところの厚みは例えば0.8mm、注出スパウトやキャップ部材が取り付けられた部分の厚みは最大で例えば16mmとなっている。
本第1実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、上述のような従来の積層構造の技術的課題を解決せんとして開発されたものであり、着脱可能にキャップ部材12aが装着される注出スパウト12が袋本体11の周縁部分に取り付けられているスパウト付きパウチ10を、好ましくは六面体形状の収納箱であるダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収容する際に、空隙を少なくして効率良く収納することができるようにすると共に、積み重ねられたスパウト付きパウチ10に、反りによる歪みや変形が生じるのを抑制して、積み重ねられたスパウト付きパウチ10の各々を、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械よって上方から順次取り出す際に、取り出すべき各々のスパウト付きパウチ10を、画像認識によって容易に認識できるようにする機能を備えている。
そして、本第1実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、矩形状又は略矩形状の平面形状を有する袋本体11を備え、袋本体11の一辺部又は一角部(本第1実施形態では一角部)に注出スパウト12が取り付けられた、内容物が収容される前の複数(多数)のスパウト付きパウチ10を、上部が取出し用の開口面31となる収納箱として、好ましくは六面体形状のダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収納するための積層構造であって、図1(a)〜(d)に示すように、注出スパウト12が取り付けられた一辺部又は一角部(本第1実施形態では一角部)の位置を袋本体11の縦長方向Xにずらすことで、注出スパウト12が重ならないように配置した状態で、袋本体11を順次重ね合わせることにより、複数(本第1実施形態では6枚)のスパウト付きパウチ10を束にした単位パウチ束15が形成されている。形成された単位パウチ束15は、下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xが、90°以下の角度で交差するように配置されて、複数層に積み重ねられている。
ここで、図1(a)〜(d)の単位パウチ束15では、各々の上位のスパウト付きパウチ10は、各々の下位のスパウト付きパウチ10に対して、袋本体11の縦長方向Xに、注出スパウト12が取り付けられた部分とは反対側にずらして配置されているが、これとは逆に、注出スパウト12が取り付けられた部分側に、各々の上位のスパウト付きパウチ10を、各々の下位のスパウト付きパウチ10に対して袋本体11の縦長方向Xにずらして配置することによって、単位パウチ束15を形成することもできる。単位パウチ束における複数のスパウト付きパウチ10の枚数は、特に限定されないが、収納箱30に収納される際の効率や、取り出した後の特に人手による取り扱い易さ等を鑑みて、適宜定めることができる。収納箱30の内部にスパウト付きパウチ10を効率良く収納するには、例えば収納箱30の平面形状の一辺部の長さを、単位パウチ束15の長さの1.1倍以上とする関係で、できるだけ多くの枚数のスパウト付きパウチ10を用いて単位パウチ束15を形成することにより、高密度に複数のスパウト付きパウチ10を収納することが可能になる。人手による取り扱い易さの観点から、単位パウチ束15の一部を持った際に、全てのスパウト付きパウチ10を同時に保持できる枚数以内のスパウト付きパウチ10の枚数で、単位パウチ束15を構成することが、片手でも収納箱30への収納や取り出し作業を容易に行うことが可能になるため好ましい。
また、本第1実施形態では、単位パウチ束15は、好ましくは下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xが、概ね90°(90°を含む)の角度で交差するように配置されて、単位パウチ束15が、複数層に積み重ねられており、また好ましくは複数層に積み重ねられている各層において、単位パウチ束15は、袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で、重ならないように間隔をおいて複数列(本第1実施形態では、2列)に配置されている。
本第1実施形態では、袋生産工場や袋生産エリアで生産されるスパウト付きパウチ10は、詰替え用の内容物として、例えば液体洗剤や粉末洗剤等が後の充填工程で収容されて、洗剤詰替え用のパウチ製品を形成する袋状の容器となっている。スパウト付きパウチ10は、図2(a)、(b)に示すように、矩形状又は略矩形状の平面形状を有する袋本体11と、袋本体11の一角部に取り付けられた注出スパウト12とを含んで形成されている。
袋本体11は、好ましくは内容物が収容された際に自立することが可能なパウチ袋となっている。パウチ袋は、例えば一対の正面フィルム部11aの底部分の間に、底面フィルム部11bを二つ折りにして挟み込んだ状態で、これらのフィルム部11a,11bの周縁部分を例えばヒートシールによりシール接合部11cとしてシール接合することによって得られる、公知の構成を備える袋である。袋本体11は、例えば低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(NY)等の合成樹脂や、アルミニウムからなる、合成樹脂製または合成樹脂とアルミニウムとを積層したシート材料(フィルム材料)による袋である。袋本体11は、単数の材料から構成されていてもよいが、一般には、外観、バリア性、シール性、コストなどの観点から、これらの樹脂や金属が適切に組み合わされた複数の材料から構成することもできる。袋本体11は、上述のように、矩形状又は略矩形状の平面形状を有しており、底部を載置面に載置して立設させた際に上部となる部分の一方の角部が、斜めに傾斜した形状を備えている。この斜めに傾斜した部分の周縁部分に、注出スパウト12が、注出口を斜めに突出させて設けられている。また、袋本体11を形成する一対の正面フィルム部11aの表面には、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等が印刷等によって施されている。ロボットハンドを備えるピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械は、これらの商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち、強調された特徴的部分13を画像認識することによって、各々のスパウト付きパウチ10を識別して、一枚一枚自動的に取り出すことができるようになっている。
注出スパウト12は、例えばポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂からなる射出成形品となっており、袋本体11における斜めに傾斜した一角部の、シール接合部11cとしてシール接合された周縁部分に取り付けられている。注出スパウト12は、シール接合された一対の正面フィルム部11aの間に挟み込まれるようにして、袋本体11の周縁部分に接合される接合基部(図示せず。)と、接合基部の注出口側の端部から径方向外側に張り出して設けられた位置決めフランジ12bと、位置決めフランジ12bから接合基部とは反対側に突出して設けられた、円筒状注出部12cとを備えており、相当の保形剛性を有する立体成形品として形成されている。注出スパウト12の円筒状注出部12cの外周面には、雄ネジ突条(図示せず。)が設けられており、この雄ネジ突条を介することによって、注出口を開閉可能に覆うキャップ部材12aが、注出スパウト12に着脱可能に装着される。また、注出スパウト12を貫通させて、注出流路が形成されており、この注出流路を介することによって、内容物である液体洗剤や粉末洗剤等を、円筒状注出部12cの先端の注出口から、安定した状態で注出できるようになっている。
本第1実施形態では、スパウト付きパウチ10は、袋本体11の周縁部分である一角部に注出スパウト12が取り付けられていることにより、厚みのある立体形状を有する注出スパウト12やキャップ部材12aが取り付けられた当該一角部の部分と、一角部の部分以外の、薄く平坦な形状を保持している袋本体11の主要部分とでは、厚みの差が大きくなっており、例えば10〜30倍程度、厚さが異なっている。
本第1実施形態では、上述のような注出スパウト12が取り付けられた部分とその他の部分で厚さが異なる形状を備える、内容物が収容される前の多数のスパウト付きパウチ10を、搬送用の六面体形状のダンボール箱30の内部に、積み重ねた状態で収納して箱詰めするにあたり、図1(a)〜(d)に示すように、キャップ部材12aを装着した注出スパウト12が取り付けられた一角部の位置を、袋本体11の縦長方向Xにずらすことにより注出スパウト12が重ならないように配置した状態で、袋本体11を順次重ね合わせることにより、複数(本第1実施形態では6枚)のスパウト付きパウチ10を束にした、単位パウチ束15を複数形成する(図1(a)参照)。
しかる後に、好ましくは略正方形の平面形状を備えるダンボール箱30の上部の開口面31を開放した状態で、好ましくは2束の単位パウチ束15を、ダンボール箱30の底部に、好ましくは袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で、重ならないように間隔をおいて、最下層の1段目の単位パウチ束15として2列に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する。すなわち、最下層の2列の単位パウチ束15は、ダンボール箱30の底部の中央部を通る、ダンボール箱30の略正方形の平面形状の一方の一対の対向する辺部30bと平行な帯状の中央部間隔領域30aを挟んだ両側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(a)参照)。また最下層の2列の単位パウチ束15は、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分13が施された、袋本体11の一対の正面フィルム部11aのうちの例えば表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置すると共に、注出スパウト12が取り付けられた斜めに傾斜する一角部が連設する領域を、ダンボール箱30の底部の略正方形の平面形状の一方の一対の対向する辺部30bのうちの、片側の同じ辺部30b側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(a)参照)。なお、図1(a)〜(d)に示す例では、表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置したが、後述する画像認識が可能であれば、特徴的部分の少ない裏側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置して、ダンボール箱30の内部に収納することもできる。
2列に配置された最下層の1段目の単位パウチ束15をダンボール箱30の内部に収納したら、これらの最下層の単位パウチ束15の上に重ねるようにして、これらの上層となる2段目の単位パウチ束15を、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(b)参照)。上層の2段目の単位パウチ束15は、最下層の単位パウチ束15と同様に、好ましくは袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして2列に並べた状態で配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(b)参照)。すなわち、上層の2段目の2列の単位パウチ束15は、ダンボール箱30の中央部を通る、ダンボール箱30の略正方形の平面形状の他方の一対の対向する辺部30cと平行な帯状の中央部間隔領域30aを挟んだ両側に配置して、最下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、縦長方向Xをダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°回転させることで、概ね90°の角度で交差させた状態として、最下層の単位パウチ束15の上に積み重ねられる(図1(b)参照)。また上層の2段目の2列の単位パウチ束15は、最下層の単位パウチ束15と同様に、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分13が施された、袋本体11の一対の正面フィルム部11aのうちの例えば表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置すると共に、注出スパウト12が取り付けられた斜めに傾斜する一角部が連設する領域を、ダンボール箱30の底部の略正方形の平面形状の他方の一対の対向する辺部30cのうちの、片側の同じ辺部30c側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(b)参照)。
2列に配置された2段目の単位パウチ束15をダンボール箱30の内部に収納したら、これらの2段目の単位パウチ束15の上に重ねるようにして、これらの上層となる3段目の単位パウチ束15を、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(c)参照)。3段目の単位パウチ束15は、最下層の1段目の単位パウチ束15や2段目の単位パウチ束15と同様に、好ましくは袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして2列に並べた状態で配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(c)参照)。すなわち、3段目の2列の単位パウチ束15は、ダンボール箱30の中央部を通る、ダンボール箱30の略正方形の平面形状の一方の一対の対向する辺部30bと平行な帯状の中央部間隔領域30aを挟んだ両側に配置して、2段目の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、縦長方向Xをダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°回転させることで、概ね90°の角度で交差させた状態として、2段目の単位パウチ束15の上に積み重ねられる(図1(c)参照)。これによって、3段目の2列の単位パウチ束15は、最下層の1段目の2列の単位パウチ束15に対して、180°反転させた状態で、2段目の単位パウチ束15の上に積み重ねられることになる。3段目の2列の単位パウチ束15は、最下層の1段目の単位パウチ束15や2段目の単位パウチ束15と同様に、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分13が施された、袋本体11の一対の正面フィルム部11aのうちの例えば表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置すると共に、注出スパウト12が取り付けられた斜めに傾斜する一角部が連設する領域を、ダンボール箱30の底部の略正方形の平面形状の一方の一対の対向する辺部30bのうちの、片側の同じ辺部30b側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(c)参照)。
2列に配置された3段目の単位パウチ束15をダンボール箱30の内部に収納したら、これらの3段目の単位パウチ束15の上に重ねるようにして、これらの上層となる4段目の単位パウチ束15を、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(d)参照)。4段目の単位パウチ束15は、最下層の1段目の単位パウチ束15や2段目の単位パウチ束15や3段目の単位パウチ束15と同様に、好ましくは袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして2列に並べた状態で配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(d)参照)。すなわち、4段目の2列の単位パウチ束15は、ダンボール箱30の中央部を通る、ダンボール箱30の略正方形の平面形状の他方の一対の対向する辺部30cと平行な帯状の中央部間隔領域30aを挟んだ両側に配置されて、下層である3段目の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、袋本体11をずらした縦長方向Xをダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°回転させることで、3段目の単位パウチ束15に対し概ね90°の角度で交差させて、3段目の単位パウチ束15の上に積み重ねられる(図1(d)参照)。これによって、4段目の2列の単位パウチ束15は、2段目の2列の単位パウチ束15に対して、概ね180°反転させた状態で、3段目の単位パウチ束15の上に積み重ねられることになる。4段目の2列の単位パウチ束15は、最下層の1段目の単位パウチ束15や2段目の単位パウチ束15や3段目の単位パウチ束15と同様に、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分13が施された、袋本体11の一対の正面フィルム部11aのうちの例えば表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置すると共に、注出スパウト12が取り付けられた斜めに傾斜する一角部が連設する領域を、ダンボール箱30の底部の略正方形の平面形状の他方の一対の対向する辺部30cのうちの、片側の同じ辺部30c側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する(図1(d)参照)。
2列に配置された4段目の単位パウチ束15をダンボール箱30の内部に収納したら、引き続いて、必要に応じてさらに5段目以降の上層となる単位パウチ束15を、下層となる単位パウチ束15の上に順次積み重ねながら、ダンボール箱30の内部に収納することができる。ここで、例えば5段目の2列の単位パウチ束15は、最下層の1段目の2列の単位パウチ束15と同様に配置して、ダンボール箱30の内部に収納することができる。例えば6段目の2列の単位パウチ束15は、2段目の2列の単位パウチ束15と同様に配置して、ダンボール箱30の内部に収納することができる。例えば7段目の2列の単位パウチ束15は、3段目の2列の単位パウチ束15と同様に配置して、ダンボール箱30の内部に収納することができる。例えば8段目の2列の単位パウチ束15は、4段目の2列の単位パウチ束15と同様に配置して、ダンボール箱30の内部に収納することができる。
また、本第1実施形態では、図3(a)〜(d)に示すように、2列の単位パウチ束15が積み重ねられる各層において、2列の単位パウチ束15は、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分13が施された、袋本体11の一対の正面フィルム部11aのうちの例えば表側の正面フィルム部11aを上方に向けて配置すると共に、注出スパウト12が取り付けられた斜めに傾斜する一角部が連設する領域を、ダンボール箱30の底部の略正方形の平面形状の一方の一対の対向する辺部30bの各々の側に配置して、或いは他方の一対の対向する辺部30cの各々の側に配置して、ダンボール箱30の内部に収納することもできる(図1(a)参照)。
すなわち、図3(a)〜(d)に示す積層構造では、2列の単位パウチ束15が積み重ねられる各層において、2列の単位パウチ束15は、立体形状を有する注出スパウト12やキャップ部材12aが取り付けられた厚みのある部分である、袋本体11の斜め傾斜する一角部が連設する領域が、帯状の中央部間隔領域30aとは反対側の外側に配置されるようにすると共に、袋本体11の斜め傾斜する一角部が連設する領域が、ダンボール箱30の一対の対向する一方の辺部30b又は一対の対向する他方の辺部30cの側壁部に各々近接するように、一対の単位パウチ束15の向きを概ね180°異ならせた状態で、ダンボール箱30の内部に収納されるようになっている。これによって、スパウト付きパウチ10における立体形状を有する注出スパウト12やキャップ部材12aが取り付けられた厚みのある部分は、ダンボール箱30の側壁部に近接する領域のみに配置されて、ダンボール箱30の中央領域には存在しなくなる。このため、積層された単位パウチ束15やスパウト付きパウチ10に、反りによる歪みや変形が生じるのを、さらに効果的に抑制することが可能になると共に、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械のロボットハンドにより上方から押え付けて吸着することによって、各々のスパウト付きパウチ10を取り出す際に、各々のスパウト付きパウチ10における袋本体11の高さ方向の位置の変化が少なくなるため、さらに安定した状態で取り出す操作を行なうことが可能になる。
ここで、図1(a)〜(d)に示す積層構造や、図3(a)〜(d)に示す積層構造において、2列の単位パウチ束15を、ダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°ずつ回転させながら積み重ねる回転方向は、時計回りの方向であっても良く、反時計回りの方向であっても良い。各層の単位パウチ束15を積み重ねる途中で、回転方向を変化させても良い。また、図1(a)〜(d)に示す積層構造と、図3(a)〜(d)に示す積層構造とを組み合わせた積層構造とすることもできる。
そして、本第1実施形態では、図1(a)〜(d)に示す積層構造や、図3(a)〜(d)に示す積層構造によって、図4に示すように、上部が取出し用の開口面31となる好ましくは六面体形状の収納箱であるダンボール箱30の内部に、多数のスパウト付きパウチ10が、ダンボール箱30の底部から積み重ねられて、隙間を少なくした状態で効率良く収納されることになる。
本第1実施形態では、ダンボール箱30等の六面体形状の収納箱は、上方から見た形状が、正方形の平面形状を備えていることが好ましく、平面形状の一辺部の長さは、単位パウチ束15の長さの1.1〜1.5倍となっていることが好ましい。収納箱の平面形状の一辺部の長さが、単位パウチ束15の長さの1.1倍以上となっていることにより、収納箱30の側壁部の内側部分で、スパウト付きパウチ10に反りが生じ易くなるのを効果的に回避することが可能になる。収納箱の正方形の平面形状の一辺部の長さが、単位パウチ束15の長さの1.5倍以内となっていることにより、単位パウチ束15の端部と収納箱30の側壁部の内側部分との間の隙間が大きくなり過ぎないようにして、搬送途中で単位パウチ束15が動いたり、単位パウチ束15の積層状態が乱れたりするのを効果的に回避することが可能になる。ダンボール箱等の六面体形状の収納箱30が、正方形の平面形状を備えていることにより、2列に配置された単位パウチ束15を、概ね90°ずつ回転させながら積み重ねて行く際に、積み重ねられた単位パウチ束15の周囲に隙間が生じ易くなるのを、効果的に回避することが可能になる。
また、ダンボール箱等の収納箱30の平面形状の一辺部の長さは、単位パウチ束15の幅でもあるスパウト付きパウチ10の袋本体11の短辺の長さの、2.1〜3.0倍とすることが好ましい。収納箱30の平面形状の一辺部の長さを、スパウト付きパウチ10の袋本体11の短辺の長さの2.1倍以上とすることにより、積み重ねられた各層において、袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で2列に配置された単位パウチ束15の間の部分に、適度な幅の帯状の中央部間隔領域30aを保持して、2列の単位パウチ束15が干渉し合うのを効果的に防止することが可能になる。これによって、例えば自動取出し機械を用いて、一方の側の単位パウチ束15からスパウト付きパウチ10を持ち上げる際に、他方の側の単位パウチ束15のスパウト付きパウチ10に引っ掛かった状態で持ち上げることになって、トラブルが生じることになるのを、効果的に回避することが可能になる。収納箱30の平面形状の一辺部の長さを、スパウト付きパウチ10の袋本体11の短辺の長さの3.0倍以内とすることにより、2列に配置された単位パウチ束15の間の部分の帯状の中央部間隔領域30aの幅が、大きくなり過ぎないようにして、中央部間隔領域30aによる空間を少なくすることで、スパウト付きパウチ10の収納効率を高めると共に、収納箱30が大きくなって取り扱い難くなるのを回避することが可能になる。
さらに、本第1実施形態では、六面体形状の収納箱30の形態は、特に限定されないが、安価で上部を取出し用の開口面として容易に開放することが可能な、A式ダンボール箱を収納箱30として用いることが好ましい。収納箱30の材質もまた、特に限定されないが、安価な紙製の段ボール箱を用いることが好ましい。収納箱30からスパウト付きパウチ10を取り出す際に収納箱30が変形して不安定になるのを防止するために、強度のあるプラスチック製の段ボールを用いた段ボール箱を用いることもできる。六面体形状の収納箱30として、硬質の樹脂による収納箱や金属製の収納箱を用いることで、収納箱30が変形するのを、さらに効果的に防止することが可能になる。
六面体形状の収納箱30としてダンボール箱を用いる場合には、上面部を形成するフラップ片を開くことで上部の取出し用の開口面31を開放して、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械によってスパウト付きパウチ10を取り出してゆくことになるが、この際にフラップ片が不安定にならないように、フラップ片を外側に折り返して、例えば紐で縛ったり、コーナークリップと呼ばれるL字形の固定治具で角部を押さえたりすることによって、フラップ片を収納箱30の外側に固定して安定させることが可能になる。
また、本第1実施形態では、例えば搬送途中や、上部の取出し用の開口面31を開放した際に、収納されたスパウト付きパウチ10に異物が付着したりすること等を防止するために、複数層に積み重ねられたスパウト付きパウチ10は、図5に示すように、六面体形状の収納箱30の内部に、好ましくはシート材料や筒状材料をシールして袋とした簡易袋35に納めた状態で収納することもできる。袋の材質は特に限定されず、樹脂、紙、布などが挙げられ、特に好ましくは軽量で埃の侵入を確実に防止できる樹脂を使用して袋を形成することができる。複数層に積み重ねられたスパウト付きパウチ10が、簡易袋35に納めた状態で収納箱30の内部に収納されている場合には、例えば上述のように収納箱30であるダンボール箱の上部のフラップ片を外側に折り返す際に、簡易袋35の上部もまとめて折り返して固定治具等で押さえることによって、開放された開口面31から、各々のスパウト付きパウチ10を容易に取り出せるようにすることが可能になる。
ここで、簡易袋35として、例えば特願2017−108082号に記載されるような、表裏一対の正面シート部における収納用開口部が形成される各々の上辺部の中央部から、上辺部に対して垂直に延設して底辺部に至る不連続カット線が、表裏一対の正面シート部に跨るように連続して設けられている簡易袋を用いることもできる。これによって、例えば複数層に積み重ねられたスパウト付きパウチ10を簡易袋35に納めた状態で、簡易袋35の収納開口部の開口周縁部を両側に引っ張ることにより、不連続カット線の非カット部を連続的に破断させながら簡易袋35を2分割し、2分割された簡易袋35を各々取り除くことによって、納められた状態のまま残置された複数のスパウト付きパウチ10を、収納箱30の開放された開口面31から、各々容易に取り出せるようにすることもできる。
さらに、本第1実施形態では、複数層に積み重ねられてダンボール箱等の収納箱30の内部に収納されたスパウト付きパウチ10は、収納箱30の上部の取出し用の開口面31から、好ましくは物品取出し用の自動機械を構成するピックアンドプレイス装置によって、順次取り出されるようにすることができる。ピックアンドプレイス装置によって取り出し易くするため、図6(a)、(b)に示すように、収納箱30の底面部には、上下動可能に底上げ板33を設けておくことが好ましい。この際の収納箱30は、樹脂や金属による硬質なケースとすることが好ましい。収納箱30の底部は、開状態であるが、その周囲には底上げ板33の落下を防止する落下防止部材(図示せず)が設けられている。底上げ板33は、収納箱30の下方に設けられた、物品取出し用の自動機械の上下移動装置34によって、収納箱30の内周壁面に沿って上下に昇降移動できるようになっている。ピックアンドプレイス装置は、好ましくはスカラ型ロボットやパラレル型リンクロボット等のロボットを含んで構成されており、センサ(図示せず)によって、収納箱30に纏めて収納された複数のスパウト付きパウチ10の最上部の位置を、確認できるようになっている。センサによる情報に基づいて、複数のスパウト付きパウチ10の最上部の位置が、収納箱30の開口面31、又は開口面31に近接する部分に配設されるように、底上げ板33の昇降を、上下移動装置34によって制御できるようになっている。
ここで、ピックアンドプレイス装置がロボットを含んで形成されている場合には、カメラによって、上方から、収納箱30に纏めて収容されたスパウト付きパウチ10を撮像できるようになっている。またカメラと接続する画像処理装置によって、スパウト付きパウチ10に施された商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等による特徴的部分13から、ロボットによる把持目標とされる最上部のスパウト付きパウチ10の位置が、目標座標として決定され、決定された目標座標がロボットへと伝えられるようになっている。把持目標とされる最上部のスパウト付きパウチ10は、伝えられた目標座標に基づいて例えばロボットアームに設けられた吸着装置によって把持され、ロボットアームの作動によって、例えば目的とされる供給箇所である搬送コンベアの上に供給される。なお、上下移動装置34とセンサによって、複数のスパウト付きパウチ10の最上部の位置を、収納箱30の開口面31、又は開口面31に近接する部分に配設できるので、カメラと最上部のスパウト付きパウチ10の距離をほぼ一定に保持して、安定的に画像認識することができる。
物品取出し用の自動機械の上下移動装置34によって底上げ板33を昇降させながら、収納箱30の開口面31、又は開口面31に近接する部分から、ピックアンドプレイス装置のロボットアームにより各々のスパウト付きパウチ10を取り出せるようにしたことで、ロボットアームは、徐々にスパウト付きパウチ10が減少していっても、スパウト付きパウチ10を把持する際に収納箱30の底まで上下動する必要がなくなるので、ロボットアームがスパウト付きパウチ10を把持するための1サイクルの作動時間を短縮することが可能になり、これによって、多数のスパウト付きパウチ10を、ピックアンドプレイス装置によって効率良く取り出すことが可能になる。さらに、ロボットによっては収納箱30の底深いところまで届かずに、全てのスパウト付きパウチ10を把持できないことがあるが、そのような問題も解決することが可能になる。
そして、上述の構成を備える本第1実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によれば、多数のスパウト付きパウチ10を、六面体形状の収納箱であるダンボール箱30に、空隙を少なくして積み重ねた状態で効率良く収納することが可能になると共に、積み重ねられたスパウト付きパウチ10に、反りによる歪みや変形が生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
すなわち、本第1実施形態によれば、注出スパウト12が取り付けられた一角部の位置を袋本体11の縦長方向Xにずらすことで、注出スパウト12が重ならないように配置した状態で、袋本体11を順次重ね合わせることにより、複数のスパウト付きパウチ10を束にした単位パウチ束15が形成されており、形成された単位パウチ束15は、下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xが、90°以下の角度として、好ましくは概ね90°の角度で交差するように配置されている。また、形成された単位パウチ束15は、各層において、袋本体11をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で、重ならないように間隔をおいて2列に配置されて積み重ねられている。
これによって、本第1実施形態によれば、例えば図17(a)〜(d)に示すような、注出スパウト12’が重ならないようにスパウト付きパウチ10’を順次ずらして束にした単位パウチ束15’を、スパウト付きパウチ10’をずらした袋本体11’の縦長方向X’を平行にして、複数列に並べて配置すると共に、上層の複数列に並べて配置した単位パウチ束15’を、下層の複数列に並べて配置した単位パウチ束15’に対して180°反転させながら積層した従来の積層構造と比較して、このような従来の積層構造と同様に、注出スパウト12が取り付けられた部分の配設位置を適度に分散させることが可能になって、多数のスパウト付きパウチ10を、ダンボール箱30に、空隙を少なくして積み重ねた状態で効率良く収納することが可能になることに加えて、特に、好ましくは六面体形状の収納箱であるダンボール箱30を上方から見た際に、ダンボール箱30の角部分に、注出スパウト12が存在しない領域が偏在しないようにすることが可能になるので、当該角部分において、袋本体11が垂れ下がること等により、袋本体11に反りによる歪みや変形が生じ易くなるのを回避して、このような反りによる歪みや変形が、積層されたスパウト付きパウチ10に生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
またこれによって、例えば多数のスパウト付きパウチ10の搬送先において、好ましくは画像認識によって物品を認識することが可能なロボットハンドを備える、ピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械によって、ダンボール箱30からスパウト付きパウチ10を各々取り出す際に、自動取出し機械に登録された文字や図形等による所定の特徴的部分13に歪みや変形が生じて、各々のスパウト付きパウチ10を画像認識することが困難になるのを効果的に回避して、自動取出し機械によるスパウト付きパウチ10の取出し作業を、よりスムーズに行えるようにすることが可能になる。
図7は、本発明の好ましい第2実施形態のスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図7に示す第2実施形態では、複数のスパウト付きパウチ10を束にして形成された各々の単位パウチ束15を、縦長方向Xを平行にして2列に並べることなく、1単位束毎に、下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xが、90°以下の角度として、好ましくは2〜30°の角度で順次交差するように配置して、回転積みにより複数層に積み重ねることによって積層構造が形成されている。すなわち、図7に示す第2実施形態のスパウト付きパウチの積層構造では、注出スパウト12が取り付けられた一角部の位置を袋本体11の縦長方向Xにずらすことで、注出スパウト12が重ならないように配置した状態で、袋本体11を順次重ね合わせることにより、複数のスパウト付きパウチ10を束にして形成された単位パウチ束15を、好ましくは下層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束15の袋本体11をずらした縦長方向Xが、2〜30°の角度として、例えば15°の角度で順次交差するように配置して、単位パウチ束15が、複数層に積み重ねられている。
図7に示す第2実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によっても、注出スパウト12が取り付けられた部分の配設位置を適度に分散させることが可能になって、多数のスパウト付きパウチ10を、ダンボール箱30に、空隙を少なくして積み重ねた状態で効率良く収納することが可能になる。また好ましくは六面体形状の収納箱であるダンボール箱30を上方から見た際に、注出スパウト12が存在しない領域を、偏在させることなく分散させることが可能になると共に、上層の単位パウチ束15の注出スパウト12が存在しない領域が、下層の単位パウチ束15の注出スパウト12が存在する領域の上方に配置されることになるので、注出スパウト22が存在しない領域の袋本体11が垂れ下がろうとするのを下方から支持して、袋本体11の反りによる歪みや変形が、積層された各々のスパウト付きパウチ10に生じるのを効果的に抑制することが可能になる。さらに、注出スパウト12が存在する領域が、ダンボール箱30を上方から見た際に、積層された単位パウチ束15の全域に略均等に分散して配置されることになるので、一枚一枚のスパウト付きパウチ10を、より水平な状態に保持したまま、ダンボール箱30の内部に収納することが可能になる。
図8は、本発明の好ましい第3実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図8に示す第3実施形態のスパウト付きパウチの積層構造では、スパウト付きパウチ20は、矩形状又は略矩形状の正面形状を有する袋本体21の一辺部(上辺部)の好ましくは中央部分に、注出スパウト22が取り付けられたパウチとなっている(図9(a)、(b)参照)。すなわち、図8に示す本第2実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、矩形状又は略矩形状の平面形状を有する袋本体21を備え、袋本体21の一辺部に注出スパウト22が取り付けられた、内容物が収容される前の複数(多数)のスパウト付きパウチ20を、上部が取出し用の開口面31となる好ましくは六面体形状のダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収納するための積層構造であって、注出スパウト22が取り付けられた一辺部の位置を袋本体21の縦長方向Xにずらすことで、注出スパウト22が重ならないように配置した状態で、袋本体21を順次重ね合わせることにより、複数のスパウト付きパウチ20を束にした単位パウチ束25が形成されている。形成された単位パウチ束25は、下層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xが、好ましくは概ね90°の角度で交差するように配置されて、複数層に積み重ねられている。
また、図8に示す第3実施形態のスパウト付きパウチの積層構造では、単位パウチ束25は、好ましくは複数層に積み重ねられている各層において、袋本体21をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で、重ならないように間隔をおいて2列に配置されて、複数層に積み重ねられている。
本第3実施形態では、スパウト付きパウチ20は、上述の第1実施形態や第2実施形態のスパウト付きパウチ10と同様に、詰替え用の内容物として、例えば液体洗剤や粉末洗剤等が後の充填工程で収容されて、洗剤詰替え用のパウチ製品を形成する袋状の容器となっている。スパウト付きパウチ20は、図9(a)、(b)に示すように、矩形状又は略矩形状の正面形状を有する袋本体21と、袋本体21の一辺部(上辺部)の中央部分に取り付けられた注出スパウト22とを含んで形成されている。図9(a)、(b)に示すスパウト付きパウチ20は、特にジェル状の機能性飲料、アイスクリームなどの食品を内容物とする用途に多用されている。
袋本体21は、上述の第1実施形態や第2実施形態で用いた袋本体11と同様に、LDPE、LLDPE、PET、NY等からなるパウチ袋となっている。袋本体21は、上述のように、矩形状又は略矩形状の正面形状を有しており、ヒートシールにより接合された上辺部のシール接合部21bの中央部分に、注出スパウト22が、注出口を上方に突出させて設けられている。また、袋本体21を形成する一対の正面フィルム部21aの表面には、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等が印刷等によって施されている。
注出スパウト22は、上述の第1実施形態や第2実施形態で用いた注出スパウト12と同様に、例えばPP、HDPE、PE等の合成樹脂からなる射出成形品となっており、袋本体21の上辺部の中央部分における、シール接合部21bとしてシール接合された周縁部分に取り付けられている。注出スパウト22は、接合基部(図示せず)と、2段構造の位置決めフランジ22aと、円筒状注出部22bとを備えており、相当の保形剛性を有する立体成形品として形成されている。注出スパウト22には、注出口を開閉可能に覆うキャップ部材22cが着脱可能に装着される。また、注出スパウト22を貫通させて、注出流路が形成されており、この注出流路を介することによって、内容物である液体洗剤や粉末洗剤等を、円筒状注出部22bの先端の注出口から、安定した状態で注出できるようになっている。
本第3実施形態では、上述のような構成を備える内容物が収容される前の多数のスパウト付きパウチ20を、搬送用の六面体形状のダンボール箱30の内部に積み重ねた状態で収納して箱詰めするには、キャップ部材22cを装着した注出スパウト22が取り付けられた一辺部(上辺部)の位置を、袋本体21の縦長方向Xにずらすことにより注出スパウト22が重ならないように配置した状態で、袋本体21を順次重ね合わせることにより、複数(本第3実施形態では6枚)のスパウト付きパウチ20を束にした、単位パウチ束25を複数形成する(図8参照)。
単位パウチ束25を複数形成したら、図1(a)〜(d)に示す上記第1実施形態の積層構造と同様に、好ましくは略正方形の平面形状を備えるダンボール箱30の上部の開口面31を開放した状態で、好ましくは2束の単位パウチ束25を、ダンボール箱30の底部に、好ましくは袋本体21をずらした縦長方向Xを平行にして並べた状態で、重ならないように間隔をおいて、最下層の1段目の単位パウチ束25として2列に配置して、ダンボール箱30の内部に収納する。しかる後に、上記第1実施形態の積層構造と同様に、2段目以降の上層の単位パウチ束25を、最下層の単位パウチ束15と同様に、好ましくは袋本体21をずらした縦長方向Xを平行にして2列に並べた状態で配置すると共に、下層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xに対して、縦長方向Xをダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°回転させることで、概ね90°の角度で交差させた状態として、下層の単位パウチ束25の上に順次積み重ねて、ダンボール箱30の内部に収納する(図8参照)。
また、本第3実施形態では、2列の単位パウチ束25が積み重ねられる各層において、2列の単位パウチ束25は、商品名、装飾、広告、説明書き、能書き等のうち強調された特徴的部分23が施された、袋本体21の一対の正面フィルム部21aのうちの例えば表側の正面フィルム部21aを上方に向けて配置した状態で、ダンボール箱30の内部に収納されている(図8参照)。これによって、カメラで撮像された特徴的部分23から各々のスパウト付きパウチ20の位置を画像処理装置によって認識して、各々のスパウト付きパウチ20を、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械のロボットハンドによって、ダンボール箱30から順次取り出すことができるようになっている。
図8に示す本第3実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によっても、注出スパウト22が取り付けられた部分の配設位置を適度に分散させることが可能になって、多数のスパウト付きパウチ20を、ダンボール箱30に、空隙を少なくして積み重ねた状態で効率良く収納することが可能になる。また六面体形状の収納箱であるダンボール箱30を上方から見た際に、注出スパウト22が存在しない領域を、偏在させることなく分散させることが可能になると共に、上層の単位パウチ束25の注出スパウト22が存在しない領域が、下層の単位パウチ束25の注出スパウト12が存在する領域の上方に配置されることになるので、注出スパウト22が存在しない領域の袋本体21が垂れ下がろうとするのを下方から支持して、袋本体21の反りによる歪みや変形が、積層された各々のスパウト付きパウチ20に生じるのを効果的に抑制することが可能になる。
図10は、本発明の好ましい第4実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図10に示す第4実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、図7に示す上述の第2実施形態のスパウト付きパウチの積層構造と同様に、複数のスパウト付きパウチ20を束にして形成した各々の単位パウチ束25を、縦長方向Xを平行にして2列に並べることなく、1単位束毎に、下層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xに対して、上層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xが、90°以下の角度として、好ましくは2〜30°の角度で順次交差するように配置して、回転積みにより複数層に積み重ねることによって形成されている。これによって、注出スパウト22が存在する領域が、ダンボール箱30を上方から見た際に、積層された単位パウチ束25の全域に略均等に分散して配置されることになるので、一枚一枚のスパウト付きパウチ20を、より水平な状態に保持したまま、ダンボール箱30の内部に収納することが可能になる。
図11は、本発明の好ましい第5実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図11に示す第5実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、複数のスパウト付きパウチ20を束にして形成された各々の単位パウチ束25を、袋本体21をずらした縦長方向Xを平行にして3列に並べた状態で配置すると共に、上層の単位パウチ束25の袋本体21をずらした縦長方向Xを、下層の単位パウチ束25の縦長方向Xに対してダンボール箱30の中央部を中心に概ね90°回転させることで、概ね90°の角度で交差させた状態として、下層の単位パウチ束25の上に上層の単位パウチ束25を順次積み重ねて、ダンボール箱30の内部に収納している。また本第5実施形態のスパウト付きパウチの積層構造では、複数のスパウト付きパウチ20を束にして形成された各々の単位パウチ束25を、袋本体21をずらした縦長方向Xを平行にして4列以上に並べた状態で配置すると共に、概ね90°の角度で交差させた状態として、下層の単位パウチ束25の上に上層の単位パウチ束25を順次積み重ねて、ダンボール箱30の内部に収納することもできる。
特に、単位パウチ束25の長さが、単位パウチ束25の幅でもあるスパウト付きパウチ20の袋本体21の短辺の長さに対して長くなっている場合には、3列以上に並べて配置することで、ダンボール箱30の内部の空間を効率良く使用して、スパウト付きパウチ20や単位パウチ束25を積層した状態で収納することが可能になる。より具体的には、例えば単位パウチ束25の長さが、単位パウチ束25の幅でもあるスパウト付きパウチ20の袋本体21の短辺の長さの3.2倍を超える場合には3列に、4.2倍を超える場合には4列に並べて配置して、ダンボール箱30の内部に収納することが好ましい。
図12は、本発明の好ましい第6実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図12に示す第6実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、スパウト付きパウチ20が、矩形状又は略矩形状の正面形状を有する袋本体21の一辺部(上辺部)の中央部分に、注出スパウト22が取り付けられたパウチとなっていることから、注出スパウト22が取り付けられた一辺部の位置を袋本体21の縦長方向Xにずらして袋本体21を順次重ね合わせることにより、複数のスパウト付きパウチ20を束にした単位パウチ束25’を形成する際に、スパウト付きパウチ20を交互に左右方向にもずらして順次重ね合わせるようにして、単位パウチ束25’を形成している。
図12に示す第6実施形態の積層構造では、中央部分に、注出スパウト22が取り付けられたスパウト付きパウチ20を交互に左右方向にもずらして順次重ね合わせることにより、注出スパウト22が取り付けられた一辺部の位置を袋本体21の縦長方向Xにずらす際の長さを、注出スパウト22の長さの1/2程度に留めることが可能になるので、注出スパウト22が取り付けられた一辺部の位置を縦長方向Xにずらして袋本体21を重ね合わせることにより形成される、単位パウチ束25’の全体の長さを短くして、単位パウチ束25’が収納されるダンボール箱30のサイズを小さくすることで、スパウト付きパウチ20の保管効率や搬送効率を高めることが可能になる。
なお、第3実施形態〜第6実施形態の積層構造では、単位パウチ束25,25’の長さは、各々の単位パウチ束25,25’における、縦長方向Xの一端部に配置されるスパウト付きパウチ20の袋本体21の底辺部から、他端部に配置されるパウト付きパウチ20の上辺部に接合された、注出スパウト22の円筒状注出部22bによる注出口を覆って装着されたキャップ部材22cの先端までの長さである。
図13(a)は、本発明の第7実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図13(a)に示す第3実施形態のスパウト付きパウチの積層構造もまた、上述の第1実施形態のスパウト付きパウチの積層構造と同様に、着脱可能にキャップ部材12aが装着される注出スパウト12が袋本体11の周縁部分に取り付けられているスパウト付きパウチ10を、好ましくは六面体形状の収納箱であるダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収容する際に、空隙を少なくして効率良く収納することができるようにすると共に、積み重ねられたスパウト付きパウチ10に、反りによる歪みや変形が生じるのを抑制して、積み重ねられたスパウト付きパウチ10の各々を、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械よって上方から順次取り出す際に、取り出すべき各々のスパウト付きパウチ10を、画像認識によって容易に認識できるようにする機能を備えている。
そして、本第7実施形態のスパウト付きパウチの積層構造は、矩形状又は略矩形状の平面形状を有する袋本体11を備え、袋本体11の一辺部又は一角部(本第7実施形態では一角部)に注出スパウト12が取り付けられた、上述の第1実施形態で用いたものと同様の構成を備える、内容物が収容される前の複数(多数)のスパウト付きパウチ10を、上部が取出し用の開口面31となる六面体形状のダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収納するための積層構造であって、図13(b)〜(f)に示すように、袋本体11の一角部に取り付けられた注出スパウト12が、ダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする円周方向にずれて配置されるように、下層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xに対して、上層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xを、2〜30°の角度θ(本第7実施形態の実施例では、概ね30°又は概ね15°の交差角度)で順次交差させて、スパウト付きパウチ10が、注出スパウト12が取り付けられた一角部を中央部32を中心とする径方向外側に配置した状態で、複数層に積み重ねられている(図13(a)、図14(a)参照)。
本第7実施形態では、内容物が収容される前の多数のスパウト付きパウチ10を、搬送用の六面体形状のダンボール箱30の内部に、積み重ねた状態で収納して箱詰めするには、図13(b)〜(f)に示すように、好ましくは略正方形の平面形状を備えるダンボール箱30の上部の開口面31を開放した状態で、一枚毎に、ダンボール箱30の底部から上方に、中央部32を中心とする円周方向の位置をずらしながら順次積層してゆく。
すなわち、まず最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10を、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11における注出スパウト12が取り付けられた一角部とは反対の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、ダンボール箱30の底部の上に配設する(図13(b)参照)。しかる後に、最下層から2枚目及び3枚目のスパウト付きパウチ10を、最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10や2枚目のスパウト付きパウチ10に対して、これらの縦長方向Xを例えば概ね30°(30°も含む)の交差角度θで交差させながら、ダンボール箱30を上方から見て時計回りの方向に、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する(図13(c)参照)。
さらに、例えば最下層から4枚目〜12枚目のスパウト付きパウチ10を、これらの下層のスパウト付きパウチ10に対して、縦長方向Xを例えば概ね30°の交差角度θで交差させながら、ダンボール箱30を上方から見て時計回りの方向に、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、下層のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する(図13(d)〜(f)参照)。
12枚のスパウト付きパウチ10を、ダンボール箱30の内部に収納したら、引き続いて、必要に応じてさらに13枚目以降のスパウト付きパウチ10を、下層のスパウト付きパウチ10に対して、縦長方向Xを例えば概ね30°の交差角度θで時計回りの方向に交差させながら、同様にして下層のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する。これにより、多数のスパウト付きパウチ10が、本第7実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によってダンボール箱30の内部に収納される。図13(a)〜(f)に示す形態では、13枚目以降のスパウト付きパウチ10は、1枚目〜12枚目の各々のスパウト付きパウチ10の直上部分に各々配設されることになる。
また、本第7実施形態では、下層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xに対する、上層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xの角度(交差角度)θは、概ね30°である必要は必ずしも無く、注出スパウト12が重ならないようにすることが可能な角度として、2〜30°の角度を適宜選択することができる。交差角度θが2°以上となっていることにより、注出スパウト12が取り付けられたスパウト付きパウチ10の厚みのある部分を、周方向にずらした状態で複数のスパウト付きパウチ10を積層することが可能になる。交差角度θが30°以内となっていることにより、例えばスパウト付きパウチ10を自動機械ではなく、手作業によって取り出す際に、複数枚のスパウト付きパウチ10を同じ向きに揃えた状態で、同時に容易に取り出すことが可能になる。
図14(a)〜(f)は、下層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xに対する、上層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xの交差角度θを概ね15°(15°も含む)とした、本第7実施形態の積層構造の他の形態を例示するものである。図14(a)〜(f)に示す形態では、最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10を、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11における注出スパウト12が取り付けられた一角部とは反対の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、ダンボール箱30の底部の上に配設する(図14(b)参照)。しかる後に、最下層から2枚目〜6枚目のスパウト付きパウチ10を、最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10や2〜5枚目のスパウト付きパウチ10に対して、これらの縦長方向Xを概ね15°の交差角度θで交差させながら、ダンボール箱30を上方から見て時計回りの方向に、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、最下層の1枚目のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する(図14(c)参照)。
さらに、例えば最下層から7枚目〜24枚目のスパウト付きパウチ10を、これらの下層のスパウト付きパウチ10に対して、縦長方向Xを例えば概ね15°の交差角度θで交差させながら、ダンボール箱30を上方から見て時計回りの方向に、注出スパウト12が取り付けられた一角部をダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする径方向外側に配置すると共に、袋本体11の底辺側部分をダンボール箱30の底部の中央部32に重ねるようにして、下層のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する(図14(d)〜(f)参照)。
ここで、下層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xに対する、上層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xの角度(交差角度)θは、スパウト付きパウチ10の注出スパウト12が取り付けられた厚みのある部分を、周方向にさらに確実にずらした状態で複数のスパウト付きパウチ10を積層できるようにするために、6°以上とすることが効果的である。
また、注出スパウト12同士が同じ向きで上下に重なっていると、相互に干渉して、スパウト付きパウチ10の袋本体11が反ることとなり、反りによる歪みや変形が生じ易くなる。そこで、注出スパウト12が同じ向きになるスパウト付きパウチ10の相互間の上下の厚み方向の距離を大きくして、注出スパウト12の厚み方向の干渉を無くすために、1周360°に配置されるスパウト付きパウチ10の枚数を増やすことが考えられる。これを目的に、上述の交差角度θは、18°以下とすることが効果的である。交差角度θを18°以下とすることで、注出スパウト12の向きが同じになるスパウト付きパウチ10の間に、注出スパウト12の向きが異なって上下の干渉がない他のスパウト付きパウチ10が、19枚以上挟まれることになり、これによって同じ向きにある注出スパウト12相互の距離を十分に確保することが可能になる。
したがって、下層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xに対する、上層のスパウト付きパウチ10の袋本体11の縦長方向Xの角度(交差角度)θは、6〜18°とすることが特に好ましい。
24枚のスパウト付きパウチ10を、ダンボール箱30の内部に収納したら、引き続いて、必要に応じてさらに25枚目以降のスパウト付きパウチ10を、下層のスパウト付きパウチ10に対して、縦長方向Xを例えば概ね15°の交差角度θで時計回りの方向に交差させながら、同様にして下層のスパウト付きパウチ10の上方に順次重ねて配設する。これにより、多数のスパウト付きパウチ10が、本第7実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によってダンボール箱30の内部に収納される。図14(a)〜(f)に示す形態では、25枚目以降のスパウト付きパウチ10は、1枚目〜24枚目の各々のスパウト付きパウチ10の直上部分に各々配設されることになる。
なお、本第7実施形態において、下層のスパウト付きパウチ10に対して、縦長方向Xを交差させながら上層のスパウト付きパウチ10を重ねて配設する際の回転方向は、ダンボール箱30を上方から見て時計回りの方向である必要は必ずしも無く、反時計回りの方向とすることもできる。またスパウト付きパウチ10を積み上げて行く途中で回転方向を変化させることもできる。交差角度(回転角度)θを途中で増加させたり、減少させたりすることもできる。
図15は、本発明の第8実施形態に係るスパウト付きパウチの積層構造を説明するものである。図15に示す第8実施形態の積層構造は、上述の第3実施形態で用いたものと同様の構成を備える、内容物が収容される前の複数(多数)のスパウト付きパウチ20を、好ましくは六面体形状のダンボール箱30の内部に、ダンボール箱30の底部から積み重ねた状態で収納するための積層構造として用いられる。すなわち、図15に示す第8実施形態の積層構造では、袋本体21の一辺部(上辺部)の好ましくは中央部分に取り付けられた注出スパウト22が、ダンボール箱30の底部の中央部32を中心とする円周方向にずれて配置されるように、下層のスパウト付きパウチ20の袋本体21の縦長方向Xに対して、上層のスパウト付きパウチ20の袋本体21の縦長方向Xを、2〜30°の角度θ(本第8実施形態では15°の交差角度)で順次交差させて、スパウト付きパウチ20が、注出スパウト22が取り付けられた一辺部を中央部32を中心とする径方向外側に配置した状態で、複数層に積み重ねられている。
図13〜図15に示す第7及び第8実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によっても、注出スパウト22が取り付けられた部分の配設位置を適度に分散させることが可能になって、多数のスパウト付きパウチ20を、ダンボール箱30に、空隙を少なくして積み重ねた状態で効率良く収納することが可能になる。また、第7及び第8実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によれば、注出スパウト12が取り付けられた一角部又は一辺部とは反対側の、袋本体21の底辺側部分が、注出スパウト12が取り付けられた部分によって周囲を囲まれるこれらの内側部分において、上下に密着した状態で積層しているので、袋本体21の底辺側部分に反りによる歪みや変形が生じるのを、さらに効果的に抑制することが可能になる。
また、図13〜図15に示す第7及び第8実施形態のスパウト付きパウチの積層構造によれば、図7や図10示す第2及び第4実施形態のスパウト付きパウチの積層構造と同様に、最上層のスパウト付きパウチ10,20は、常時一枚のみとなり、下層のスパウト付きパウチ20は、最上層のスパウト付きパウチ10,20によって覆い隠された状態となるので、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械よってスパウト付きパウチ10,20を上方から順次取り出す際に、取り出すべき各々のスパウト付きパウチ10,20が画像認識され易くなると共に、スパウト付きパウチ10,20の積層状態が多少乱れていても、最上層の一枚のスパウト付きパウチ10,20が画像認識され易くなる。また、注出スパウト12,22が取り付けられた一角部又は一辺部とは反対側の、袋本体11,21の底辺側部分が、注出スパウト12,22が取り付けられた部分によって周囲を囲まれるこれらの内側部分において、上下に密着した状態で積層しているので、例えばバキュームパッドで上から押さえ付けても、積層状態は殆ど撓まないことから、吸着時の押さえ付けを確実に行うことが可能になると共に、吸着の失敗が生じないようにすることが可能になる。
図7に示す第2実施形態、及び図13〜図15に示す第7及び第8実施形態では、ダンボール箱30等の六面体形状の収納箱は、複数のスパウト付きパウチ10,20を所定の交差角度θで周方向に回転させながら順次積み上げて行くために、上方から見た形状が、正方形の平面形状を備えていることが好ましく、平面形状の一辺部の長さは、スパウト付きパウチ10,20の長さの1.2〜1.8倍となっていることが好ましい。収納箱の平面形状の一辺部の長さが、スパウト付きパウチ10,20の長さの1.8倍以内となっていることにより、スパウト付きパウチ10,20の対角線長さを収納箱の大きさの範囲内とすることができるので、収納箱30の側壁部の内側部分で、スパウト付きパウチ10,20に反りが生じ易くなるのを効果的に回避することが可能になる。収納箱の平面形状の一辺部の長さが、スパウト付きパウチ10,20の長さの1.2倍以上となっていることにより、パウチのスパウトの無い側の重なり部分を十分な大きさで確保して、例えばピックアンドプレイス装置等の自動取出し機械によってスパウト付きパウチ10,20を上方から順次取り出す際に、各々のスパウト付きパウチ10における袋本体11の高さ方向の位置の変化が少なくなるため、例えばバキュームパッドで安定的に上から押さえ付けて、スパウト付きパウチ10,20を吸着して取り出すことが可能になる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、複数層に積み重ねられて収納箱の内部に収容されたスパウト付きパウチは、収納箱の上部の取出し用の開口面から、ピックアンドプレイス装置によって順次取り出されるものである必要は必ずしも無く、手作業等によって取り出すこともできる。また、収納箱の底部から積み重ねた状態で収納されるスパウト付きパウチは、袋本体の一辺部又は一角部に、相当の保形剛性を有する立体成形品である注出スパウトが取り付けられた、図2(a)、(b)や図9(a)、(b)に示すようなパウチである必要は必ずしも無く、例えば図16(a)、(b)に示すような、袋本体27の一辺部又は一角部に、切断が容易な樹脂からなる注出円筒体28が、スパウトとして包み込まれるようにして取り付けられた、当該注出円筒体28が取り付けられた部分を切り取って使用するスパウト付きパウチ26であっても良い。