JP2019180948A - 画像処理装置およびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 眼底の断層画像と平面画像それぞれだけでは得られない情報を得ることができる装置を提供する。【解決手段】 被検査物の撮影領域の複数の断層画像と複数の平面画像を処理する画像処理装置であって、前記複数の断層画像からモーションコントラスト画像を生成する第1の生成手段と、前記複数の平面画像から血流情報を生成する第2の生成手段と、前記モーションコントラスト画像に前記血流情報を表示する制御手段とを有する。【選択図】 図11
Description
本発明は、画像処理装置およびその制御方法に関し、特に、被検眼の画像を処理する画像処理装置およびその制御方法に関する。
近年、眼科用の撮影装置として、眼底に2次元的にレーザ光を照射してその反射光を受光して平面画像を取得するSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope:走査レーザ検眼鏡)や、低コヒーレンス光の干渉を利用したイメージング装置が開発されている。低コヒーレンス光の干渉を利用したイメージング装置は、OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層装置あるいは光干渉断層法)と呼ばれ、特に、眼底あるいはその近傍の断層画像を得る目的で用いられている。OCTの種類としては、TD−OCT(Time Domain OCT:タイムドメイン法)や、SD−OCT(Spectral Domain OCT:スペクトラルドメイン法)等を含め、種々のものが開発されてきている。
特に、このような眼科用の撮影装置は、近年において、照射レーザの高NA化等によってさらなる高解像度化が進められている。しかしながら、眼底を撮影する場合には、角膜や水晶体等の眼の光学組織を通して撮影をしなければならない。そのため、高解像度化が進むに連れて、これら角膜や水晶体の収差が撮影画像の画質に大きく影響するようになってきた。
そこで、眼の収差を測定し、その収差を補正する補償光学(Adaptive Optics:AO)機能を光学系に組み込んだ、AO−SLOやAO−OCTの研究が進められている。例えば、非特許文献1に、AO−OCTが開示されている。これらAO−SLOやAO−OCTは、一般的にはシャックハルトマン波面センサー方式によって眼の波面を測定する。シャックハルトマン波面センサー方式とは、眼に測定光を入射し、その反射光を、マイクロレンズアレイを通してCCDカメラに受光することによって波面を測定するものである。測定した波面を補正するように可変形状ミラーや、空間位相変調器を駆動し、それらを通して眼底の撮影を行うことにより、AO−SLOやAO−OCTは高分解能な撮影が可能となる。
また最近、造影剤を用いずに網膜の血管等の構造を撮影する方法として、OCTを用いた血管造影法(OCT Angiography:OCTA)が利用されている。OCTAでは、OCTにより取得した三次元のモーションコントラストデータを二次元平面に投影することで、血管画像(以下、OCTA画像という。)を生成する。ここで、モーションコントラストデータとは、測定対象の同一断面をOCTで繰り返し撮影し、その撮影間における測定対象の時間的な変化を検出したデータである。モーションコントラストデータは、例えば、複素OCT信号の位相やベクトル、強度の時間的な変化を差、比率、又は相関等から計算することによって得られる(特許文献1)。
同様に、SLOやAOSLOにおいては、画像から血管領域を特定し、その時空間画像を解析することで血管内の粒子の動作や血流を解析することが可能である。AOSLOでは焦点深度が浅いために、撮影される層範囲は数十μmに限定され、ほぼ網膜の1層のみの血流が解析可能である。
また、OCTAと同様に、SLOやAOSLOにおいても、その平面画像のモーションコントラストデータから血管画像(以下SLOA、AOSLOA画像)を生成する方法も研究されている。SLOのモーションコントラストデータもOCTAのモーションコントラストデータと同じく、測定対象の同撮影位置における時間的な変化を検出したデータである。しかしながら、SLO画像とは特定平面の連続動画であるため、OCTAのような特定断層の切り出しや、平面への投射といった処理をすることなく、モーションコントラストデータを作成することが可能である。
Y.Zhang et al,Optics Express,Vol.14,No.10,15May2006
OCTAにおいては、その元データとなるOCT画像を撮像したOCTの性能により、描出できる変化が限定される。例えば、一般的なOCTでは20μm程度の水平方向解像度しかないため、その解像度以下の画像上の構造物や変化をとらえることができない。また、OCTAは断層画像間の変化量を画像化するため、網膜の血管構造を描出することが可能であるが、血管内の血流の方向や速度などの情報を取得することができない。血管の微細な構造も血流の方向もわからないため、描出している血管が動脈なのか静脈なのかも判別困難である。
一方でAOSLOでは横解像度が非常に高く、細胞レベルの非常に微細な変化も捉えることが可能で、血管であれば内部の血球レベルの変化まで捉えることが可能である。しかし、AOSLOは横解像度が高い反面、一般的な眼底撮影装置に対して相対的に撮影画角が狭くなり、全体像を把握することが困難であった。また、AOSLOを含むSLOは平面撮影のため、特定のフォーカス位置のみ撮影可能で、フォーカス深度外の情報がなく、上下方向の構造物との構造的関連性を把握しにくかった。
本発明は、上記問題を鑑み、OCTやOCTAで描出可能な網膜上の血管構造と、SLOやAOSLOで撮影可能な血流情報を解析し、単独の画像では取得できない情報を提供する画像処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明の画像処理装置は、被検査物の撮影領域の複数の断層画像と複数の平面画像を処理する画像処理装置であって、前記複数の断層画像からモーションコントラスト画像を生成する第1の生成手段と、前記複数の平面画像から血流情報を生成する第2の生成手段と、前記モーションコントラスト画像に前記血流情報を表示する制御手段とを有する。
本発明によれば、単独の画像では取得できない情報を提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。以下の説明は本質的に、説明的及び例示的なものにすぎず、いかなる形でも、本開示及びその用途又は使用を限定することを意図していない。実施形態において示されるコンポーネントの相対的構成、並びに、ステップ、数値表現及び数値は、別段の具体的な指示がない限り、本開示の範囲を限定しない。当業者によってよく知られている技法、方法及びデバイスは、以下で論考する実施形態を可能にするために当業者がこれらの詳細を知る必要がないので、詳細に論考されていない場合がある。
[実施形態1]
実施形態1として、本発明を適用した眼底画像を撮影する撮影装置および画像処理ユニットの構成について図1、図2、図9を用いて説明する。
実施形態1として、本発明を適用した眼底画像を撮影する撮影装置および画像処理ユニットの構成について図1、図2、図9を用いて説明する。
なお、本実施形態においては、測定対象である被検査物を眼とし、OCT装置と眼で発生する収差を補償光学系で補正して眼底を撮影するAOSLOの装置との組み合わせによる一例について説明する。
図1がOCTの構成を示す図であり、図2がAOSLOの構成を示す図であり、図9がこれらの装置で得られたデータを解析する画像処理ユニット他の構成との関係を示した構成図である。
図1において、110がOCTユニットである。OCTユニット110の主要なユニットとして、光源101、ファイバーカプラー102、参照光学系111、検出光学系112および接眼光学系から構成されている。
101は光源であり、波長840nmのSLD(Super Luminescent Diode)光源を用いた。光源101は低干渉性のものであれば良く、波長幅30nm以上のSLDが好適に用いられる。また、チタンサファイアレーザなどの超短パルスレーザなどを光源に用いることもできる。
光源101から照射された光は、単一モード光ファイバーを通って、ファイバーカプラー102まで導光される。ファイバーカプラー102によって、測定光経路103と参照光経路113に分岐される。ファイバーカプラーは10:90の分岐比のものを使用し、投入光量の10%が測定光経路103に行くように構成した。
測定光経路103を通った光は、コリメータ104により、測定光105が平行光線として照射される。照射される光の偏光は、単一モード光ファイバー103の経路に具備された不図示の偏光調整器により調整される。別の構成としては、コリメータ104から出射された後の光路に偏光を調整する光学部品を配置する構成がある。また、光路中に測定光の分散特性を調整する光学素子や色収差特性を調整する光学素子を具備する場合もある。
測定光105は反射ミラー106−1〜3や不図示のレンズ等でリレーされ、走査光学系107−1によって、1次元もしくは2次元に走査される。本実施形態では走査光学系107−1に主走査用(眼底水平方向)と副走査用(眼底垂直方向)として二つのガルバノスキャナーを用いた。走査光学系107−1内の各スキャナーを光学的な共役状態にするために、各スキャナーの間にミラーやレンズといった光学素子を用いる装置構成の場合もある。本実施形態では、走査光学系にさらにトラッキングミラー107−2を持つ。トラッキングミラー107−2は2つのガルバノスキャナーから構成され、眼109の眼底に設定される撮影領域をさらに2方向に移動させることが可能である。別の構成では、走査光学系107−1がトラッキングミラー107−2を兼ねる構成もある。また、107−1と107−2を光学的に共役関係とするために、不図示のリレー光学系が用いられることが多い。
走査光学系107−1および107−2で走査された測定光105は、接眼レンズ108−1および108−2を通して眼109に照射される。眼109に照射された測定光105は、眼底の網膜で反射もしくは散乱される。接眼レンズ108−1および108−2の位置を調整することによって、眼109の視度にあわせて最適な照射を行うことが可能となる。ここでは、接眼部にレンズを用いたが、球面ミラー等で構成しても良い。
眼109の眼底の網膜から反射もしくは散乱された反射光は、入射した時の経路を逆向きに進行し、コリメータ104を通して光ファイバー103に入り、ファイバーカプラー102に戻る。
一方、参照光経路113を通った参照光はコリメータ114で出射され、光路長可変部116で反射して再度ファイバーカプラー102に戻る。
ファイバーカプラー102に到達した反射光と参照光は合波されて干渉光となり、光ファイバー117を通して検出光学系112に導光される。検出光学系112に入った干渉光はコリメータ118で出射され、グレーティング1119により波長ごとに分光される。分光された光はレンズ系120を通してラインセンサー121に照射される。ラインセンサー121はCCDセンサーで構成される場合もあるし、CMOSセンサーで構成される場合もある。
検出光学系112によって分光された干渉光をもとに、制御部122によって眼底の断層画像が構成される。制御部122は光路長可変部116を制御し、所望の深さ位置の画像を取得できる。また、制御部122は走査部107−1、107−2も同時に制御しており、任意の位置の干渉信号が取得可能である。一般的には、走査部107−1、107−2によって眼底上に設定される撮影領域をラスタースキャンし、その各々の位置での干渉信号が位置情報と同時に記録される。得られた干渉信号から断層画像を作成することにより、3次元ボリュームデータが取得される。
次に、図5を用いて本実施形態のスキャンパターンの一例を説明する。図5(a)は任意のスキャンについて、図5(b)は本実施形態で具体的に実行した数値を反映させた図である。OCTAでは血流によるOCT干渉信号の時間変化を計測するため、同じ場所で複数回の計測が必要となる。本実施形態ではOCT装置は同じ場所でのBスキャンをm回繰り返しつつ、n箇所のyポジションに移動するスキャンを行う。具体的なスキャンパターンを図5(a)に示す。眼底平面上でy1〜ynのn箇所のyポジションについて、Bスキャンをm回繰り返す。mが大きいと同じ場所での計測回数が増えるため、血流の検出精度が向上する。その一方でスキャン時間が長くなり、スキャン中の眼の動き(固視微動)によりOCTA画像にモーションアーチファクトが発生する問題と被検者の負担が増える。本実施形態では両者のバランスを考慮してm=4(図5(b))として実施した。なお、OCT装置のAスキャン速度、被検体の眼底表面画像の運動解析に応じて、繰り返し数mを変更してもよい。図5においてpは1つのBスキャンにおけるAスキャンのサンプリング数を示している。すなわち、p×nにより平面画像サイズが決定される。p×nが大きいと、同じ計測ピッチであれば広範囲がスキャンできるが、スキャン時間が長くなり、上述のモーションアーチファクトおよび患者負担の問題が生じる。本実施形態では両者のバランスを考慮してn=p=300として実施した。なお、上記n,pは適宜自由に変更が可能である。また、図5(a)におけるΔxは隣り合うxポジションの間隔(xピッチ)であり、Δyは隣り合うyポジションの間隔(yピッチ)である。本実施形態ではxピッチ、yピッチは眼底における照射光のビームスポット径の1/2として決定し、本実施形態では、10μm(図5(b))とする。xピッチ、yピッチを眼底上ビームスポット径の1/2とすることで生成する画像を高精細に形成することができる。xピッチ、yピッチを眼底ビームスポット径の1/2より小さくしても生成する画像の精細度をそれ以上高くする効果は小さい。逆にxピッチ、yピッチを眼底ビームスポット径の1/2より大きくすると精細度は悪化するが、小さなデータ容量で広い範囲の画像を取得することができる。臨床上の要求に応じてxピッチ、yピッチを自由に変更してもよい。本実施形態の撮影範囲は、x方向がp×Δx=3mm、y方向がn×Δy=3mmである(図5(b)参照)。
図6がOCTA画像の例である。図6のa)がOCT断層画像であり、OCTA画像構築のために同じ位置の断層画像が複数毎撮影され、それぞれ601〜604となっている。各断層画像601〜604のそれぞれの画像間の差異を計算することにより、モーションコントラスト画像が生成される。それを3次元方向に位置合わせスタックし、任意の層範囲のモーションコントラストデータを抜き出して深さ方向に投影することにより、OCTA画像b)が生成される。b)の範囲605を拡大したものがc)である。
次に、図6のb)の様なOCTA画像を生成する方法について、図4を用いて説明する。
ステップS101において、画像処理ユニット901(図9参照)はポジションykにおける繰り返しBスキャン干渉信号(m枚分)を抜き出す。ステップS102において、画像処理ユニット901はj番目のBスキャン干渉信号を抜き出す。
ステップS103において、画像処理ユニット901は取得したバックグラウンドデータを当該干渉信号から減算する。
ステップS104において、画像処理ユニット901は、バックグラウンドを減算した干渉信号に対して波数関数に変換処理を施し、フーリエ変換を行う。本実施形態では高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を適用する。尚、フーリエ変換前にゼロパディング処理を施し、干渉信号を増長させても良い。ゼロパディング処理を施すことでフーリエ変換後の階調性が増し、後述するステップ109において位置合わせ精度を向上させることが出来る。
ステップS105において、画像処理ユニット901は、ステップS104にて実行したフーリエ変換によって得られる複素信号の絶対値を計算する。この値が当該スキャンの断層画像のIntensityとなる。
ステップS106において、画像処理ユニット901はインデックスjが、所定数(m)に到達したかを判断する。すなわち、ポジションykでの断層画像のIntensity計算がm回繰り返されたかを判断する。所定数に満たない場合はステップS102に戻り、同一Y位置における断層画像のIntensity計算を繰り返す。所定数に達した場合は、次ステップへ進む。
ステップS107において、画像処理ユニット901はあるykポジションにおけるmフレームの同一撮影位置の断層画像の間で、画像の類似度を計算する。具体的には、画像処理ユニット901はmフレームの断層画像の内、任意の一枚をテンプレートとして選択し、残りのm−1フレームの画像との相関値を算出する。
ステップS108において、画像処理ユニット901はステップS107で算出した相関値の中で、他の画像との相関が一定の閾値以上である相関が最も高い画像を選択する。閾値は任意に設定が可能であり、被検者の瞬きや固視微動によって画像としての相関が低下したフレームを排除することができるように設定する。前述したように、OCTAでは、被検体組織のうち流れのある組織(例えば血液)と流れのない組織の間の対比を、画像間の相関値に基づき区別する技術である。即ち、流れの無い組織は画像間で相関が高いという前提の上で流れのある組織を抽出するため、画像として相関が低い場合、モーションコントラストを計算する際に誤検出となり、あたかも画像全体が流れのある組織であるかのように判定してしまう。このステップではそうした誤検出を回避するために、予め画像として相関の低い断層画像を排除し、相関の高い画像のみを選択する。画像選択の結果、同一ポジションykで取得されたmフレームの画像は適宜取捨選択され、qフレームの画像となる。ここで、qの取りうる値は、1≦q≦mである。
ステップS109において、画像処理ユニット901は、ステップS108にて選択されたqフレームの断層画像の位置合わせを行う。テンプレートとして選択するフレームは、互いに全ての組み合わせで相関を計算し、フレーム別に相関係数の和を求め、その和が最大となるフレームを選択してもよい。次に、テンプレートでフレーム毎に照合し位置ずれ量(δX、δY、δθ)を求める。具体的にはテンプレート画像の位置と角度を変えながら類似度を表す指標であるNormalized Cross−Correlation(NCC)を計算し、この値が最大となるときの画像位置の差を位置ずれ量として求める。
本実施形態では、類似度を表す指標は、テンプレートとフレーム内の画像の特徴の類似性を表す尺度であれば種々変更が可能である。例えばSum of Absolute Difference(SAD)、Sum of Squared Difference(SSD)、Zero−means Normalized Cross‐Correlation(ZNCC)、Phase Only Correlation(POC)、Rotation Invariant Phase Only Correlation(RIPOC)等を用いてもよい。
次に画像処理ユニット901は位置ずれ量(δX、δY、δθ)に応じて位置補正をテンプレート以外の(q−1)フレームに適用し、フレームの位置合わせを行う。qが1である場合はこのステップは実行されない。
ステップS110において、画像処理ユニット901はモーションコントラストを計算する。本実施形態では、ステップS108で選択し、ステップS109で位置合わせを行ったqフレームのIntensity画像間において、同じ位置のピクセルごとに分散値を計算し、その分散値をモーションコントラストとする。モーションコントラストの求め方は種々あり、本発明においてモーションコントラストは同一Y位置での複数の断層画像の各ピクセルのモーションコントラスト値の変化を表す指標であれば適用が可能である。尚、q=1の時、即ち、瞬きや固視微動の影響のために画像として相関が低く、同一ポジションykの位置においてモーションコントラストの計算が不可能な場合は異なる処理を行う。例えば、特徴量を0としてステップを終了しても良いし、前後yk−1、yk+1の画像におけるモーションコントラストが得られる場合、前後の分散値から値を補間しても良い。この場合、正しく計算できなかった特徴量は補完値であるとして異常を通知しても良い。また、特徴量の計算が出来なかったY位置を記憶しておき、自動で再スキャンを行っても良い。或いは、自動の再スキャンを行うことをせず、再測定を促す警告を通知しても良い。
ステップS111において、画像処理ユニット901はステップS109にて位置合わせを行ったIntensity画像を平均化し、Intensity平均化画像を生成する。
ステップS112において画像処理ユニット901は、ステップS110で出力したモーションコントラストの閾値処理をする。閾値の値は画像処理ユニット901がステップS111で出力したIntensity平均化画像から、ノイズフロアでランダムノイズのみが表示されているエリアを抽出し、標準偏差σを計算し、ノイズフロアの平均モーションコントラスト値+2σと設定する。
画像処理ユニット901は、各Intensityが、上記閾値以下の領域に対応したモーションコントラストの値を0に設定する。この閾値処理により、ランダムノイズに由来するモーションコントラストを除去することでノイズを軽減することができる。閾値の値は小さいほどモーションコントラストの検出感度は上がる一方、ノイズ成分も増す。また、大きいほどノイズは減るがMCモーションコントラスト検出の感度は下がる。
本実施形態では閾値をノイズフロアの平均モーションコントラスト値+2σとして設定したが、閾値はこれに限るものではない。
ステップS113において、画像処理ユニット901はインデックスkが、所定数(n)に到達したかを判断する。すなわち、n箇所の全てのY位置において、画像相関度計算、画像選択、位置合わせ、Intensity画像平均化計算、モーションコントラストの計算、及び閾値処理を行ったかを判断する。所定数に満たない場合はステップS101に戻り、所定数に到達した場合は、次のステップS114へ進む。ステップS113を終了した時点で、すべてのY位置での断層画像におけるIntensity平均画像とモーションコントラストの3次元ボリュームデータ(3次元OCTAデータ)が生成されたことになる。
ステップS114では生成された3次元のOCTAデータに対し、深さ方向に積算したモーションコントラスト正面画像を生成する。この時、モーションコントラスト正面画像の生成にあたり、積算する画像深さ範囲は任意に設定して良い。例えば、ステップS111にて生成されたIntensityの平均化画像を元に眼底網膜の層境界を抽出し、所望の層を含むようにモーションコントラスト正面画像を生成する。モーションコントラスト正面画像を生成した後、画像処理ユニット901は信号処理フローを終了する。
以上説明した装置構成、撮影方法、信号処理手順を用いることにより、所望領域においてOCTAの撮影と、OCTA画像生成を行うことが可能となる。本実施形態では、m=4の条件下でOCTA画像を取得している。
図6のa)のような黄斑部を撮影したOCT断層画像より作成した3次元のOCTAデータに対して、積算する深さ範囲を網膜表層側数層(内境界膜からINL中心部)に限定すると図6のb)の如くの網膜表層(Superficial Capillary)のモーションコントラスト画像が得られ黄斑中心の眼底血管画像が抽出できる。
次に図2を用いて、本実施形態のAOSLOの構成を説明する。本実施形態のAOSLOは、照射ビームの焦点位置からの反射散乱光のみにほぼ限定される共焦点撮影機能と、それ以外の多重散乱等による反射散乱光も画像化する暗視野撮影機能の両方を有する構成とした。
図2において、201は光源であり、波長760nmのSLD光源(Super Luminescent Diode)を用いた。光源201の波長は特に制限されるものではないが、眼底撮影用としては被検者の眩しさの軽減と分解能維持のために、750〜1500nm程度が好適に用いられる。本実施形態においてはSLD光源を用いたが、その他にレーザ等も用いられる。本実施形態では眼底撮影と波面測定のための光源を共用しているが、それぞれを別光源とし、光路の途中で合波する構成としても良い。
光源201から照射された光は、単一モード光ファイバー202を通って、コリメータ203により、平行光線(測定光205)として照射される。照射される光の偏光は、単一モード光ファイバー202の経路に具備された不図示の偏光調整器により調整される。別の構成としては、コリメータ203から出射された後の光路に偏光を調整する光学部品を配置する構成がある。
照射された測定光205はビームスプリッターからなる光分割部204を透過し、補償光学の光学系に導光される。
補償光学系は、光分割部206、波面センサー215、波面補正デバイス208および、それらに導光するための反射ミラー207−1〜4から構成される。
ここで、反射ミラー207−1〜4は、少なくとも眼211の瞳と波面センサー215、波面補正デバイス208とが光学的に共役関係になるように設置されている。また、光分割部206として、本実施形態ではビームスプリッターを用いた。
光分割部206を透過した測定光205は、反射ミラー207−1と207−2で反射されて波面補正デバイス208に入射する。波面補正デバイス208で反射された測定光205は、さらに反射ミラー207−3と207−4で反射され、走査光学系に導光される。
本実施形態では、波面補正デバイス208として可変形状ミラーを用いた。可変形状ミラーは反射面が複数領域に分割されており、各領域の角度を変えることにより、反射光の波面を変化させることができるミラーである。波面補正デバイスとしては、可変形状ミラーの代わりに液晶素子を用いた空間位相変調器を用いることも可能である。その場合、被検眼からの光の両偏光を補正するために、2つの空間位相変調器を用いる場合もある。
図2において、反射ミラー207−3、4で反射された光は、走査光学系209−1によって、1次元もしくは2次元に走査される。本実施形態では走査光学系209−1に主走査用(眼底水平方向)と副走査用(眼底垂直方向)として一つの共振スキャナーと一つのガルバノスキャナーを用いた。別の構成では、走査光学系209−1に二つのガルバノスキャナーを用いることもある。走査光学系209−1内の各スキャナーを光学的な共役状態にするために、各スキャナーの間にミラーやレンズといった光学素子を用いる装置構成の場合もある。
本実施形態では、走査光学系にさらにトラッキングミラー209−2を持つ。トラッキングミラー209−2は2つのガルバノスキャナーから構成され、撮影領域をさらに2方向に移動させることが可能である。別の構成では、走査光学系209−1がトラッキングミラー209−2を兼ねる構成、トラッキングミラー209−2が走査光学系209−1の共振スキャナー方向のみの構成、トラッキングミラー209−2が2次元ミラーである構成もある。また、209−1と209−2を光学的に共役関係とするために、不図示のリレー光学系が用いられることが多い。
走査光学系209−1および209−2で走査された測定光205は、接眼レンズ210−1および210−2を通して眼211に照射される。眼211に照射された測定光は眼底で反射もしくは散乱される。接眼レンズ210−1および210−2の位置を調整することによって、眼211の視度にあわせて最適な照射を行うことが可能となる。ここでは、接眼部にレンズを用いたが、球面ミラー等で構成しても良い。
眼211の網膜から反射もしくは散乱された反射光は、入射した時の経路を逆向きに進行し、光分割部206によって一部は波面センサー215に反射され、光線の波面を測定するために用いられる。光分割部206で波面センサー215に向けて反射された光線は、リレー光学系219−1、219−2を通り、波面センサー215に入射する。リレー光学系219−1と219−2の間にはアパーチャー220が設置されており、レンズ等からの不要な反射散乱光を波面センサーに入射させないようにする。本実施形態では、波面センサー215としてシャックハルトマンセンサーを用いた。
波面センサー215は補償光学制御部217に接続され、受光した波面を補償光学制御部217に伝える。波面補正デバイス208も補償光学制御部217に接続されており、補償光学制御部217から指示された変調を行う。補償光学制御部217は波面センサー215の測定結果により取得された波面情報を基に、収差のない波面へと補正するような波面補正デバイスの画素ごとの変調量(補正量)を計算し、波面補正デバイス208に対してそのように変調するように指令する。波面の測定と波面補正デバイスへの指示は繰り返し処理され、常に最適な波面となるようにフィードバック制御が行われる。
図2において、光分割部206を透過した反射光は光分割部204によって一部が反射され、集光レンズ212によって穴あきミラー213の穴付近に集光させる。穴あきミラー213の穴は、共焦点効果を得るために、測定光205の回折限界付近の径に調整されることが多い。径が大きいと感度は向上するが分解能は低下し、径が小さいと分解能は高いが感度は低下する傾向となる。穴あきミラー213の穴を通過した光は光センサー214−1に入射し、光強度に応じた電気信号に変換される。
光センサー214−1は制御部218に接続され、制御部218は得られた電気信号と光走査の位置を基に平面画像を構築し、共焦点画像としてディスプレー219に表示する。
穴あきミラー213の穴以外のミラー部分で反射された光はリレー光学系215を通して再度ナイフエッジ216のエッジ付近に集光し、ナイフエッジ216によって略半分に分割される。分割された光は光センサー214−2と214−3に入射する。光センサー214−2と214−3では光強度に応じた電気信号に変換され、制御部218に出力されて、暗視野撮影画像として画像化される。ナイフエッジ216は、集光光をどのように分割しても良く、紙面と水平方向や垂直方向の分割方向や、分割する比率に関しても半々ではなく40:60等の非均等分割も可能である。さらに2分割ではなく、より多くの成分に分割させることも可能である。また、このような分割方法を撮影中に動的に変更することも可能である。
トラッキングミラー209−2は不図示のトラッキング制御ユニットによる制御される。トラッキング制御ユニットは、制御部218から撮影部の画像信号を取得し、眼211の眼底に設定される撮影領域の固視微動によるズレ量を計算し、トラッキングミラー209−2を制御することにより、撮影領域を常に所定の位置に保つように制御を行う。
本実施形態のAOSLOで撮影した撮影画像例を図7に示す。
図7のa)が共焦点画像(平面動画像)である。血管層にフォーカスしているため、血管内の血球のみ一部高輝度で観察される。b)とc)が暗視野撮影の画像(平面動画像)であり、ナイフエッジの右側と左側で検出した信号を基に生成した画像である。これらの画像は眼底からの反射光を異なる方法で同時に取得しているのであり、厳密に同じ撮影位置由来の信号から構築した画像となる。AOSLOではこのような画像を連続で撮影し、それぞれの平面動画像が取得される。
OCTAと同様に、画像処理ユニット901が、AOSLOの連続で撮影された各画像間での輝度変化を解析することにより、モーションコントラスト画像を作成する。共焦点画像a)よりモーションコントラスト画像a’)、b)からはb’)、c)からはc’)の様なモーションコントラスト画像が得られる。
また、図7は血管層にフォーカスしている画像であるが、それよりも下層の視細胞層にフォーカスしていても血球の動態を撮影することが可能である。図8は視細胞層を撮影した例である。a)は共焦点画像であり、白い輝点が視細胞であり、その中に黒い血管の影が映っている。血管に特定の種類の血球が通った場合、その部分は光が透過し、影がなくなり輝点として撮影される。b)はその際の撮影例を示している。801が共焦点画像であり、802が視細胞層の共焦点画像上の血管の影である。803が血球の位置だけ光が透過することで見える輝点を示しており、血球が動くことによりこの輝点も804の様な軌跡を描きながら移動する。この輝点の時空間画像解析により血流の方向と速度が解析される。c)が血管802の時空間画像である。時空間画像805は、血管802にそった画素列Ptに関して、時間Tに関して並べたものであり、806が血球の軌跡(時空間画像内の白い輝線)を示している。この傾きから、血球動作の方向と速度といった血流情報を算出する。視細胞画像から時空間画像を作成して血流情報を生成するのと同様に、血管層にフォーカスした共焦点画像や、非共焦点画像からも同様の方法で血流情報を生成してもよい。
なお、図8のa)の様な視細胞層の画像であっても、動画の各画像間の輝度変化を解析することにより、モーションコントラスト画像を作成することが可能である。この場合、視細胞層に影を形成する血管が描出されるため、血管にフォーカスしたモーションコントラスト画像よりも多くの層の情報が含まれたモーションコントラスト画像となることが多い。一方で影の変化が必要であるため、血球の通過によっても影の状態が変わらないような血管は描出が難しい。
次に図9を用いて画像処理ユニットに関して説明する。画像処理ユニット901はOCT装置903とAOSLO装置904と接続され、それぞれのデータを取得することが可能である。解析されたデータはディスプレー902に表示される。図9は画像処理ユニット901がOCT装置903やAOSLO装置904と別個に記載されているが、OCT装置内903やAOSLO装置904の一つの機能として実装することも可能である。
次に画像処理ユニット901の処理を、図10を用いて説明する。本実施形態は、操作者がOCTA画像を選択することにより、合致するAOSLO画像が選択され、AOSLO画像を解析した結果の血流情報をOCTA画像と併せて表示するものである。
ステップS201において、操作者により解析する層の指示に応じて、解析対象の層を選択する。ステップS202において、選択された層に該当するOCTA画像を取得する。このステップでは、すでに生成されているOCTA画像から取得しても良いし、この時点で当該層のOCTデータを用いてOCTA画像を生成しても良い。次にステップS203において、解析する平面方向の位置を特定する。平面方向の位置は、OCTデータに付随するSLO画像情報を基にしても良いし、OCTのEnface画像を基にし、ある特徴を持つ基準点からの距離として算出しても良い。一般的にOCTよりもAOSLOの画角は小さいので、取得したOCTA画像からさらに平面方向の範囲を限定してOCTA画像を生成する場合が多い。ステップS204において、解析層の深さ情報から、相当するAOSLO装置におけるフォーカス位置を算出する。得られたフォーカス情報、位置情報を基に、ステップS205で当該AOSLO動画を取得する。取得するAOSLO動画は、共焦点画像でもよいし、暗視野撮影画像、またそれらを演算した画像でもよい。
ステップS206において、OCTA画像とAOSLO画像の位置合わせを行う。この位置合わせは、OCTA画像とAOSLO動画と比較することで行っても良いし、AOSLO画像から作成したモーションコントラスト画像を用いて行っても良い。
ステップS207において、OCTA画像から血管領域を抽出し、ステップS208において前記血管領域に応じた時空間画像をAOSLO動画から作成する。得られた時空間画像はステップS209において解析されて、血球の動作方向や速度といった血流情報を得る。
ステップS210において、OCTA画像を表示する。ステップS211において、操作者の指示に基づき血流情報の表示方法を選択し、ステップS215において、OCTA画像に血流情報を併せて表示する。表示方法の例としては、ステップS212のように血流を線として血管領域上に、血流条件によって線幅や色や線形を変化させて表示したり、ステップS213のように血流速や血流の方向によって血管領域を色付けしたり、ステップS214のように血管領域近傍に血流情報を文字として表示する。
図11のa)が各画像の表示例である。本実施形態では、同一箇所のAOSLO動画1101、それを基に作成したAOSLOのモーションコントラスト画像1102(AOSLO angio)、当該位置のOCTA画像1103を表示している。
OCTA画像に対して、血流の方向を表示した例がb)である。OCTAの血管領域に血流の方向を示す線1104を重合して表示する。
OCTA画像に対して、血流の方向および血流速を表示した例がc)である。血流を示す線が1105であり、血流速に応じて表示色を変えたり、線幅を変えたりする。また、血管領域近傍に血流情報を文字1106として重合表示する。血流を示すものとして矢印を例示したが、これに限定されるものではなく、血球を表す白い輝点などの記号が血流の方向/血流に応じて血管に沿って移動する動画表示(アニメーション表示)としてもよい。更に、AOSLOの血管領域を抽出し、OCTA画像に動画像として対応する血管に重畳表示するようにしてもよい。
また、OCT断層画像やAOSLO平面画像を解析することで、視神経乳頭の位置および解析対象である血管の位置関係が分かるので、その位置情報と血流の方向を元に、解析している血管が動脈か静脈かを推定し、血流情報として識別可能に表示しても良い。
本実施形態ではAOSLOの静止画像やOCT断層画像は表示しなかったが、これらを表示して、その上に血流情報を表示しても良い。また、血流情報表示を強調するために、当該領域の画像や動画を拡大・縮小表示することも可能である。
このように、OCTAと血流情報を解析表示することにより、操作者は被検者の血管血流状態を複合的に把握することが可能で、各血管・血流の特性を判断することが可能となる。
[実施形態2]
図12のフローチャートを用いて、本発明を適用した実施形態1とは異なる形態の眼底撮影装置の制御方法の例について説明する。本実施形態において、基本的な装置構成は実施形態1と同様である。また、撮影の基本的なフローも実施形態1と同様であり、画像処理ユニット901の処理のみが異なる。
図12のフローチャートを用いて、本発明を適用した実施形態1とは異なる形態の眼底撮影装置の制御方法の例について説明する。本実施形態において、基本的な装置構成は実施形態1と同様である。また、撮影の基本的なフローも実施形態1と同様であり、画像処理ユニット901の処理のみが異なる。
ステップS301において、操作者の指示に基づいてAOSLO画像を指定する。選択したAOSLO画像に関して、ステップS302においてフォーカス位置、ステップS303においてXY位置を特定する。AOSLOの画像データには、その時点でのAO状態が付加情報として保存されており、AO状態から撮影したフォーカス位置が分かるようになっている。一般的にAOは最高輝度層である視細胞層がフォーカス原点となる場合が多いため、それからどれくらいの光学パワーを与えたかが分かり、フォーカス移動量が分かる。より厳密には被検者の視度や撮影時の瞳位置等のパラメータを利用することで、厳密な移動量が分かる。しかし、AOSLOは一定の被写界深度を有するため、それほどの厳密性は求められない場合が多い。ステップS304において、当該フォーカス情報から網膜での層を特定する。
ステップS305において、当該層のOCTA画像を取得する。一般的にOCTA画像はAOSLO画像よりも撮影範囲が大きいので、ステップS306でAOSLO撮影範囲に該当する範囲のOCTA画像領域を特定する。
ステップS307において、OCTAとAOSLOの位置合わせを行う。
ステップS308において、OCTA画像から血管領域を抽出し、ステップS309において前記血管領域に応じた時空間画像をAOSLO動画から作成する。得られた時空間画像はステップS310において解析されて、血球の動作方向や速度といった血流情報を得る。
ステップS311において、OCTA画像を表示する。ステップS312で血流情報の表示方法を選択し、ステップS316でOCTA画像に血流情報を併せて表示する。表示方法の例としては、実施形態1と同様である。GUIの表示例も実施形態と同じく、図11の様な構成である。
このように、AOSLO画像から解析領域を選択することにより、より詳細な位置指定が可能となり、操作者は被検者の血管血流状態を複合的に把握することが可能で、各血管・血流の特性を判断することが可能となる。
[実施形態3]
次に、実施形態3として、本発明を適用した眼底撮影装置の構成について図3を用いて説明する。本実施形態においては、測定対象である被検査物を眼とし、同一装置内にAOSLOとAOOCTの両機能を有する、補償光学OCT−SLOの一例について説明する。
次に、実施形態3として、本発明を適用した眼底撮影装置の構成について図3を用いて説明する。本実施形態においては、測定対象である被検査物を眼とし、同一装置内にAOSLOとAOOCTの両機能を有する、補償光学OCT−SLOの一例について説明する。
図3において、318がAOSLOユニットであり、324がAOOCTユニットである。
まず、AOSLOユニットに関して説明する。図3において、301は光源であり、波長760nmのSLD光源(Super Luminescent Diode)を用いた。光源301の波長は特に制限されるものではないが、眼底撮影用としては被検者の眩しさの軽減と分解能維持のために、750〜1500nm程度が好適に用いられる。本実施形態においてはSLD光源を用いたが、その他にレーザ等も用いられる。本実施形態では眼底撮影と波面測定のための光源を共用しているが、それぞれを別光源とし、光路の途中で合波する構成としても良い。また、本実施形態ではOCTと一部の光学系を共用するため、OCTとの光路と分岐するために、OCT光源の波長とは異なる波長を選択し、ダイクロイックミラーで光路を分岐する構成としている。
光源301から照射された光は、単一モード光ファイバー302を通って、コリメータ303により、平行光線(測定光305)として照射される。照射される光の偏光は、単一モード光ファイバー302の経路に具備された不図示の偏光調整器により調整される。別の構成としては、コリメータ303から出射された後の光路に偏光を調整する光学部品を配置する構成がある。
照射された測定光305はビームスプリッターからなる光分割部304を通過し、さらにOCTとの光分岐用ビームスプリッター319を通過し、補償光学の光学系に導光される。
補償光学系は、光分割部306、波面センサー314、波面補正デバイス308および、それらに導光するための反射ミラー307−1〜4から構成される。ここで、反射ミラー307−1〜4は、少なくとも眼311の瞳と波面センサー314、波面補正デバイス308とが光学的に共役関係になるように設置されている。また、光分割部306として、本実施形態ではビームスプリッターを用いた。
光分割部306を透過した測定光305は、反射ミラー307−1と307−2で反射されて波面補正デバイス308に入射する。波面補正デバイス308で反射された測定光305は、さらに反射ミラー307−3と307−4で反射され、走査光学系に導光される。
本実施形態では、波面補正デバイス308として可変形状ミラーを用いた。可変形状ミラーは反射面が複数領域に分割されており、各領域の角度を変えることにより、反射光の波面を変化させることができるミラーである。波面補正デバイスとしては、可変形状ミラーの代わりに液晶素子を用いた空間位相変調器を用いることも可能である。その場合、被検眼からの光の両偏光を補正するために、2つの空間位相変調器を用いる場合もある。
反射ミラー307−3、4で反射された光は、走査光学系309−1によって、1次元もしくは2次元に走査される。本実施形態では走査光学系309−1に主走査用(眼底水平方向)と副走査用(眼底垂直方向)として一つの共振スキャナーと一つのガルバノスキャナーを用いた。別の構成では、走査光学系309−1に二つのガルバノスキャナーを用いることもある。走査光学系309−1内の各スキャナーを光学的な共役状態にするために、各スキャナーの間にミラーやレンズといった光学素子を用いる装置構成の場合もある。本実施形態では、走査光学系にさらにトラッキングミラー309−2を持つ。トラッキングミラー309−2は2つのガルバノスキャナーから構成され、撮影領域をさらに2方向に移動させることが可能である。別の構成では、走査光学系309−1がトラッキングミラー309−2を兼ねる構成、トラッキングミラー309−2が走査光学系309−1の共振スキャナー方向のみの構成、トラッキングミラー309−2が2次元ミラーである構成もある。また、309−1と309−2を光学的に共役関係とするために、不図示のリレー光学系が用いられることが多い。
走査光学系309−1および309−2で走査された測定光305は、接眼レンズ310−1および310−2を通して眼311に照射される。眼311に照射された測定光は眼底で反射もしくは散乱される。接眼レンズ310−1および310−2の位置を調整することによって、眼311の視度にあわせて最適な照射を行うことが可能となる。ここでは、接眼部にレンズを用いたが、球面ミラー等で構成しても良い。
眼311の網膜から反射もしくは散乱された反射光は、入射した時の経路を逆向きに進行し、光分割部306によって一部は波面センサー314に反射され、光線の波面を測定するために用いられる。光分割部306で波面センサー314に向けて反射された光線は、リレー光学系316−1、316−2を通り、波面センサー314に入射する。リレー光学系316−1と316−2の間にはアパーチャー317が設置されており、レンズ等からの不要な反射散乱光を波面センサーに入射させないようにする。本実施形態では、波面センサー314としてシャックハルトマンセンサーを用いた。
波面センサー314は補償光学制御部315に接続され、受光した波面を補償光学制御部315に伝える。波面補正デバイス308も補償光学制御部315に接続されており、補償光学制御部315から指示された変調を行う。補償光学制御部315は波面センサー314の測定結果による取得された波面を基に、収差のない波面へと補正するような波面補正デバイスの画素ごとの変調量(補正量)を計算し、波面補正デバイス308にそのように変調するように指令する。波面の測定と波面補正デバイスへの指示は繰り返し処理され、常に最適な波面となるようにフィードバック制御が行われる。
光分割部306を透過した反射光は光分割部304によって一部が反射され、集光レンズ312によってピンホールを有する光センサー313に集光され、光強度に応じた電気信号に変換される。
光センサー313は制御部334に接続され、制御部334は得られた電気信号と光走査の位置を基に平面画像を構築し、SLO画像としてディスプレー335に表示する。
次にAOOCTユニット324に関して説明する。
324がAOOCTユニットであり、主要なユニットとして、光源320、ファイバーカプラー321、参照光路325、分光器326から構成されている。
320は光源であり、波長840nmのSLD光源を用いた。光源101は低干渉性のものであれば良く、波長幅30nm以上のSLDが好適に用いられる。また、チタンサファイアレーザなどの超短パルスレーザなどを光源に用いることもできる。本実施形態では、SLOと一部の光学系を共用するため、SLOの光源と異なる波長とし、ダイクロイックミラー等で分岐する構成が望ましい。
光源320から照射された光は、単一モード光ファイバーを通って、ファイバーカプラー321まで導光される。ファイバーカプラー321によって、信号光経路322と参照光経路に分岐される。ファイバーカプラーは10:90の分岐比のものを使用し、投入光量の10%が信号光経路322に行くように構成した。
信号光経路322を通った光は、コリメータ323により、測定光が平行光線として照射される。照射される光の偏光は、単一モード光ファイバー322の経路に具備された不図示の偏光調整器により調整される。別の構成としては、コリメータ323から出射された後の光路に偏光を調整する光学部品を配置する構成がある。また、光路中に測定光の分散特性を調整する光学素子や色収差特性を調整する光学素子を具備する場合もある。
測定光は光分岐用ビームスプリッター319でSLO測定光と合波され、測定光305としてSLOと同様の光路をたどり、被検眼311を照射する。被検眼311から散乱反射された光はSLOと同様に往路と同じ経路を逆向きに進んで光分岐用ビームスプリッター319で反射され、光ファイバー322を通してファイバーカプラー321に戻る。
OCTの光も波面センサー314で波面が測定され、波面補正デバイス308で補正される。波面補正の方法はこのような方式に限定されるわけではなく、OCT光の波面のみを測定する場合や、SLO光の波面のみを測定する場合には、波面センサー314の前に光学フィルターを追加する構成とされる。また、光学フィルターを動的に抜差ししたり、変更したりすることで、測定する光を切り替える制御も可能である。
一方、参照光経路を通った参照光はコリメータ327で出射され、光路長可変部329で反射して再度ファイバーカプラー321に戻る。
ファイバーカプラー321に到達した信号光と参照光は合波され、光ファイバーを通して分光器326に導光される。分光器326に入った光はコリメータ330で出射され、グレーティング331により波長ごとに分光される。分光された光はレンズ系332を通してラインセンサー333に照射される。ラインセンサー333はCCDセンサーで構成される場合もあるし、CMOSセンサーで構成される場合もある。分光器326によって分光された干渉光情報をもとに、制御部334によって眼底の断層画像が構成される。制御部334は光路長可変部329を制御し、所望の深さ位置の画像を取得できる。また、制御部334は走査部309−1、309−2も同時に制御しており、任意の位置の干渉信号が取得可能である。得られた干渉信号から断層画像を作成することにより、3次元ボリュームデータが取得される。
OCTのスキャンパターン制御や、OCTA画像の構築方法は実施形態1と同様である。
次に図13を用いて、本実施形態での画像処理ユニットの制御方法を説明する。
本実施形態は、AOOCTとAOSLOが組み合わされた装置であり、両画像が同時に取得される。両画像の撮影位置も、フォーカス位置も同じであり、AOOCT撮影では一般的に注目層にフォーカスを指定するので、フォーカス位置と解析対象である層の位置も該同一となる。故に、AOOCT画像もしくは、AOSLOどちらかを指定することで、解析対象となる位置および層が決定し、対象となるAOOCTおよびAOSLOデータが決定される。
ステップS401において、操作者の指示に基づいて解析するAOOCT画像が選択する。ステップS402において、選択された層に該当するAOSLO画像を取得する。本ステップでは、同じタイミングで記録されたAOSLO画像を取得すればよい。
次にステップS403において、OCTA画像から血管領域を抽出する。
ステップS404において、血管領域に応じた時空間画像をAOSLO動画から作成する。得られた時空間画像はステップS405において解析されて、血球の動作方向や速度といった血流情報を得る。
ステップS406において、OCTA画像を表示する。ステップS407において血流情報の表示方法を選択し、ステップS411においてOCTA画像に血流情報を併せて表示する。表示方法の例としては、実施形態1のステップS212、S213、S214と同様に、ステップS408、S409、S410において選択される。GUIの表示例も実施形態1と同じく、図11の様な構成である。
このように、操作者が注目するAOOCTかAOSLO画像を指定するだけで、自動的に複数画像が解析され、操作者は被検者の血管血流状態を複合的に把握することが可能で、各血管・血流の特性を判断することが可能となる。
[その他の実施例]
なお、上述した実施形態では、被検査物が眼の場合について述べているが、眼以外の皮膚や臓器等の被検査物に本発明を適用することも可能である。この場合、本発明は眼科撮影装置以外の、例えば内視鏡等の医療機器としての態様を有する。従って、本発明は眼科撮影装置に例示される画像処理装置として把握され、被検眼は被検査物の一態様として把握されることが好ましい。
なお、上述した実施形態では、被検査物が眼の場合について述べているが、眼以外の皮膚や臓器等の被検査物に本発明を適用することも可能である。この場合、本発明は眼科撮影装置以外の、例えば内視鏡等の医療機器としての態様を有する。従って、本発明は眼科撮影装置に例示される画像処理装置として把握され、被検眼は被検査物の一態様として把握されることが好ましい。
また、本発明は、以下のように装置を構成することによっても達成できる。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコード(コンピュータプログラム)を記録した記録媒体(又は記憶媒体)をシステム或いは装置に供給することとしてもよい。また、該記録媒体の態様だけでなく、コンピュータの読み取り可能な記録媒体としてもよい。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。この場合、該記録媒体から読み出されたプログラムコード自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記録した記録媒体は本発明を構成することになる。また、該実施形態は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
Claims (10)
- 被検査物の撮影領域の複数の断層画像と複数の平面画像を処理する画像処理装置であって、
前記複数の断層画像からモーションコントラスト画像を生成する第1の生成手段と、
前記複数の平面画像から血流情報を生成する第2の生成手段と、
前記モーションコントラスト画像に前記血流情報を表示する制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記制御手段は、前記血流情報を示す記号及び文字、又は、アニメーションを前記モーションコントラスト画像に重ねて表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記血流情報が血流の方向およびもしくは速度であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
- 前記モーションコントラスト画像から血管領域を検出する検出手段を更に有し、
前記制御手段は、前記血流情報に応じて、検出した前記血管領域を色付けすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記モーションコントラスト画像から血管領域を検出する検出手段を更に有し、
前記第2の生成手段は、前記血管領域の位置情報に基づいて、前記平面画像から血流情報を生成することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記モーションコントラスト画像から血管領域を検出する検出手段と、
検出した血管が動脈か静脈かを判断する判断手段を更に有し、
前記制御手段は、前記血流情報及び動脈であるか静脈であるかを識別可能に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記第2の生成手段は、
前記モーションコントラスト画像を生成した断層画像の層の位置情報を取得し、
前記層の位置情報に該当するフォーカス位置を算出し、
前記フォーカス位置において取得した前記平面画像を用いて血流情報を作成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 被検査物の撮影領域の複数の断層画像と複数の平面画像を処理する画像処理装置の制御方法であって、
前記複数の断層画像からモーションコントラスト画像を生成する第1の生成工程と、
前記複数の平面画像から血流情報を生成する第2の生成工程と、
前記モーションコントラスト画像に前記血流情報を表示する制御工程とを有することを特徴とする画像処理装置の制御方法。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置を、コンピュータで実現するためのプログラム。
- 請求項9に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
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