JP2019175913A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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桂一 中山
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Abstract

【課題】絶縁膜上のレジストに良好な開口パターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。【解決手段】半導体装置の製造方法は、基板上に設けられた半導体をプラズマCVD法によって形成した絶縁膜で覆う工程と、絶縁膜の表面をマイクロ波プラズマに曝す工程と、絶縁膜の表面上にレジストを形成した後、電子ビーム露光によって当該レジストに開口を形成する工程と、開口を介して絶縁膜をドライエッチングする工程と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
半導体装置として、例えば下記特許文献1に記載される高電子移動度トランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)が挙げられる。下記特許文献1には、三層のレジストマスクを用いることによって、断面T字形状のゲートを有するHEMTが開示されている。上記特許文献1では、半導体積層体を覆う絶縁膜上に三層のレジストマスクを形成した後、各レジストマスクにゲート形成用の開口を形成する。そして、当該開口を介して絶縁膜を除去し、半導体積層体においてゲートに接する部分を露出させる。
特開2017−85051号公報
上記特許文献1のような開口の形成方法では、最下層のレジストマスクに対して露光及び現像すると、当該レジストマスクと絶縁膜との界面にて開口パターンが崩れ当該界面に隙間が生じてしまう。このような隙間が形成されたレジストマスクを用いて絶縁膜を除去すると、当該隙間にエッチングの残滓が入り込んでしまう。この残滓がゲートに含まれる場合、もしくは半導体積層体の表面上に残存する場合、HEMTの特性が劣化してしまう。
本発明の目的は、絶縁膜上のレジストに良好な開口パターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の一側面に係る半導体装置の製造方法は、基板上に設けられた半導体をプラズマCVD法によって形成した絶縁膜で覆う工程と、絶縁膜の表面をマイクロ波プラズマに曝す工程と、絶縁膜の表面上にレジストを形成した後、電子ビーム露光によって当該レジストに開口を形成する工程と、開口を介して絶縁膜をドライエッチングする工程と、を備える。
本発明によれば、絶縁膜上のレジストに良好な開口パターンを形成可能な半導体装置の製造方法を提供できる。
図1は、実施形態に係る半導体装置の一例である高電子移動度トランジスタを示す概略断面図である。 図2(a)〜(c)は、実施形態に係るHEMTの製造方法を説明する図である。 図3(a)〜(c)は、実施形態に係るHEMTの製造方法を説明する図である。 図4(a)〜(c)は、実施形態に係るHEMTの製造方法を説明する図である。 図5(a),(b)は、実施形態に係るHEMTの製造方法を説明する図である。 図6(a)は、従来のHEMTの製造方法を説明するための図である。図6(b)は、従来においてレジストに照射される電子の一部の動きを示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
図1は、本実施形態に係る製造方法によって製造されるHEMTの一例を示す断面図である。図1に示されるように、HEMT1は、基板10、バッファ層11、電子走行層14、電子供給層15、埋込層16、ストッパ層17、キャップ層18、第1絶縁膜19、第2絶縁膜20、ソース21、ドレイン22、及びゲート23を備える。HEMT1では、電子走行層14と電子供給層15との界面に2次元電子ガスが生じる。
本実施形態において、バッファ層11、電子走行層14、電子供給層15、埋込層16、ストッパ層17、及びキャップ層18は、半導体積層体Sを構成する。半導体積層体Sには、ストッパ層17及びキャップ層18の一部が除去されてなる開口Oが設けられている。開口Oを介して埋込層16の一部が露出している。開口O上には、ゲート23が設けられている。
本実施形態において、半導体積層体Sに含まれる各層の厚さは、互いに異なってもよい。例えば、バッファ層11の厚さは10nmであり、電子走行層14の厚さは500nmであり、電子供給層15の厚さは30nmであり、埋込層16の厚さは30nmであり、ストッパ層17の厚さは2nmであり、キャップ層18の厚さは80nmである。また、第1絶縁膜19の厚さは300nmであり、第2絶縁膜20の厚さは300nmである。
基板10は、結晶成長用の基板である。基板10としては、半導体積層体Sの材料系に応じて種々の基板が選択される。本実施形態では、半導体積層体SがGaAs系半導体からなり、基板10はGaAs基板である。
バッファ層11は、半導体積層体Sの結晶性を高めるために設けられる半導体層であり、例えばアンドープGaAs層である。なお、アンドープGaAs層とは、例えばその不純物濃度が1×1015cm−3よりも小さいGaAs層とする。電子供給層15は、電子走行層14に電子を供給する半導体層であり、例えばn型AlGaAs層である。電子走行層14は、HEMT1におけるチャネル半導体層であり、例えばアンドープInGaAs層である。
埋込層16は、電子供給層15を保護するための半導体層であり、例えばn型GaAs層である。埋込層16において開口Oによって露出する部分には、電子供給層15を露出する開口16aが設けられている。この開口16aには、ゲート23が埋め込まれている。ストッパ層17及びキャップ層18は、電子供給層15とソース21との間、及び電子供給層15とドレイン22との間に設けられる半導体層である。ストッパ層17及びキャップ層18は、電子供給層15とゲート23との間には設けられない。ストッパ層17は例えばn型AlGaAs層であり、キャップ層18は、例えばn型GaAs層である。
第1絶縁膜19は、キャップ層18上に設けられる絶縁性の膜であって、ソース21及びドレイン22の一部を覆っている。第1絶縁膜19は、Siを含有する無機絶縁膜であり、例えばSiN膜、SiO膜等である。第1絶縁膜19は、例えばプラズマCVD法によって形成される。
第2絶縁膜20は、半導体積層体S上に設けられる絶縁性の膜であって、第1絶縁膜19と、ストッパ層17及びキャップ層18において第1絶縁膜19から露出する部分と、埋込層16とを覆っている。第2絶縁膜20は、Siを含有する無機絶縁膜であり、例えばSiN膜、SiO膜等である。第2絶縁膜20には、埋込層16の開口16aに重なる開口20aが設けられる。開口20aには、ゲート23が埋め込まれている。
ソース21及びドレイン22は、キャップ層18上に設けられた金属電極である。ソース21及びドレイン22のそれぞれは、オーミック電極であり、例えばAu層とGe層とNi層との積層構造を合金化(アロイ)することにより得られる。
ゲート23は、ソース21及びドレイン22の間に位置し、開口16a,20aを介して電子供給層15に接する金属電極である。ゲート23は、断面T字形状を呈するT型ゲート電極である。ゲート23は、半導体積層体Sの積層方向に沿って電子供給層15から突出する突出部23aと、突出部23aの先端から広がる庇部23bとを有する。ゲート23と電子供給層15との接触長さ(ゲート長)は、例えば0.1μmである。ゲート長は、突出部23aの幅に相当する。庇部23bは、半導体積層体S、第1絶縁膜19、第2絶縁膜20、ソース21及びドレイン22に接していない。庇部23bにおいて突出部23aに重なっていない部分は、半導体積層体Sに向かって湾曲してもよい。ゲート23は、例えばショットキ金属層と金(Au)層との積層構造を有してもよい。ショットキ金属層は、例えばタングステンシリサイド(WSi)層である。Au層は、ゲート抵抗低減化のためにショットキ金属層上に設けられる。
次に、図2〜図5を用いながら、本実施形態に係るHEMT1の製造方法について説明する。図2(a)〜(c)、図3(a)〜(c)、図4(a)〜(c)、及び図5(a),(b)は、本実施形態に係るHEMT1の製造方法を説明する図である。
まず、図2(a)に示されるように、基板10上に半導体積層体Sをエピタキシャル成長する(第1工程)。第1工程では、有機金属気相成長法(以下、MOCVD法とする)によって、バッファ層11として機能するアンドープGaAs層、電子走行層14として機能するアンドープInGaAs層、電子供給層15として機能するn型AlGaAs層、埋込層16として機能するGaAs層、ストッパ層17として機能するn型AlGaAs層、及びキャップ層18として機能するn型GaAs層を、基板10として機能するGaAs基板上に順に成長する。各半導体層を成長するとき、例えばAl(アルミニウム)源としてトリメチルアルミニウム(TMA)を用い、Ga(ガリウム)源としてトリメチルガリウム(TMG)を用い、In(インジウム)源としてトリメチルインジウム(TMI)を用い、As(ヒ素)源としてアルシン(AsH)を用いる。また、キャリアガスとして、例えばH(水素)ガスが用いられる。
次に、図2(b)に示されるように、ソース21及びドレイン22をキャップ層18上に形成する(第2工程)。第2工程では、まずキャップ層18の一部を露出するレジストパターンを形成する。続いて、例えばAu層と、Ge層と、Ni層とを順に蒸着した後、レジストパターンを除去する。これにより、レジストパターン上に設けられていた各金属層がリフトオフされ、キャップ層18上に直接形成された金属層が残存する。そして、例えば400℃〜500℃、約1分間の加熱処理を半導体積層体Sに施すことによって、Au層とGe層とNi層との積層構造を合金化し、ソース21及びドレイン22を形成する。
次に、図2(c)に示されるように、半導体積層体SをプラズマCVD法によって形成した絶縁膜31で覆う(第3工程)。第3工程では、半導体積層体Sだけでなく、ソース21及びドレイン22を被覆する絶縁膜31を形成する。絶縁膜31は、Siを含有する無機絶縁膜であり、例えばSiN膜、SiO膜等である。本実施形態では、周波数(RF)を13.56MHzに設定し、成膜温度を300℃に設定した条件にて、アンモニア(NH)ガス及びSiH(シラン)ガスを用いて、厚さ300nmの窒化ケイ素膜を形成する。
次に、図3(a)に示されるように、絶縁膜31の表面31aをマイクロ波プラズマMPに曝す(第4工程)。第4工程では、まず、絶縁膜31が形成された半導体積層体SをプラズマCVD装置から取り出し、マイクロ波プラズマ発生装置に収容する。続いて、O(酸素)ガスの流量を5000sccm、Hガスの流量を500sccm、Nガスの流量を500sccm、温度を室温、マイクロ波の周波数を2.45GHz、マイクロ波の出力を1000Wの条件にて、マイクロ波プラズマMPを発生させる。そして、室温の上記装置内にて、30秒間、絶縁膜31の表面31aをマイクロ波プラズマMPに曝す。マイクロ波プラズマMPは、上記周波数にて形成された酸素プラズマである。
次に、図3(b)に示されるように、絶縁膜31の表面31a上にレジスト41を形成した後、レジスト41に開口41aを形成する(第5工程)。第5工程では、まず、スピンコートなどの公知の方法にてレジスト41を絶縁膜31の表面31a上に形成する。レジスト41は、例えば電子線によって露光されるEBレジストである。本実施形態では、塩素系レジストであるα−クロロアクリレートとα−メチルスチレンとの共重合体(例えば、日本ゼオン株式会社製のZEP520AもしくはZEP520A−7)が用いられる。続いて、ソース21とドレイン22との間に位置するレジスト41の一部に電子ビーム露光を施す。そしてレジスト41において露光した箇所を現像して除去することによって、ソース21とドレイン22との間に開口41aを形成する。開口41aによって、絶縁膜31の一部が露出する。開口41aの開口幅W1は、例えば0.5μm程度であり、ソース21とドレイン22との間隔よりも狭い。このため、ソース21とドレイン22との間に位置し、且つ、ソース21またはドレイン22と重ならない絶縁膜31の一部上には、レジスト41が残存する。
次に、図3(c)に示されるように、レジスト41の開口41aを介して絶縁膜31と、キャップ層18と、ストッパ層17とを順にエッチングする(第6工程)。第6工程では、まず、開口41aを介して絶縁膜31をドライエッチングし、開口19aを有する第1絶縁膜19を形成する。例えば、エッチングガスをSF(六フッ化硫黄)ガス、エッチングガスの流量を30sccm、圧力を1Pa、マイクロ波の出力を150W、バイアスパワーを20Wと設定し、絶縁膜31をプラズマエッチングする。開口19aの幅は、開口41aの開口幅W1と略同一である。開口19aは、ソース21とドレイン22との間に位置しており、且つ、ソース21及びドレイン22のいずれに対しても離間している。
続いて、開口19aにて露出した半導体積層体Sの表面をエッチングする。例えば、エッチングガスをSFガスとSiCl(四塩化ケイ素)ガスとの混合ガス、エッチングガスの流量を20sccm、圧力を2.0Pa、マイクロ波の出力を40Wと設定し、キャップ層18をドライエッチングする。キャップ層18をエッチングするとき、ストッパ層17がエッチングストップ層として機能する。そして、ストッパ層17をエッチングすることによって半導体積層体Sに開口Oを形成する。例えば、エッチングガスをSFガスとSiClガスとの混合ガス、エッチングガスの流量を40sccm、圧力を2.0Pa、マイクロ波の出力を40Wと設定し、ストッパ層17をドライエッチングする。ストッパ層17をエッチングするとき、埋込層16がエッチングストップ層として機能する。
次に、図4(a)に示されるように、半導体積層体S及び第1絶縁膜19を覆う絶縁膜32を形成する(第7工程)。第7工程では、Siを含有する無機絶縁膜であり、例えばSiN膜、SiO膜等である絶縁膜32を形成する。本実施形態では、絶縁膜32として、絶縁膜31と同様の条件にて厚さ300nmの窒化ケイ素膜を形成する。
次に、図4(b)に示されるように、絶縁膜32上にレジスト42〜44を順に形成する(第8工程)。第8工程では、まず絶縁膜32上にレジスト42を形成する。レジスト42は、例えば、α−クロロアクリレートとα−メチルスチレンとの共重合体よりも露光感度が高いEBレジストである。このため、レジスト42には、レジスト41よりも微細なパターンが形成できる。本実施形態では、レジスト42として、アクリル樹脂であるポリメチルメタクリレート(PMMA)が用いられる。レジスト42の厚さは、例えば10nm以上40nm以下である。続いて、レジスト42上にレジスト43を形成する。本実施形態では、レジスト43として、ポリメチルグルタルイミド(PMGI)が用いられる。レジスト43の厚さは、例えば500nm以上900nm以下である。続いて、レジスト43上にレジスト44を形成する。本実施形態では、レジスト44として、α−クロロアクリレートとα−メチルスチレンとの共重合体が用いられる。このため、レジスト44の露光感度は、レジスト42よりも低い。レジスト44の厚さは、例えば20nm以上50nm以下である。
次に、図4(c)に示されるように、レジスト42〜44のそれぞれに開口42a〜44aを形成する(第9工程)。第9工程では、まず、レジスト44において開口Oに重なる部分の一部に電子線を照射し、当該一部を露光させる。続いて、レジスト44において露光した部分を現像して除去する。これにより、開口幅W4を有する開口44aを形成する。開口幅W4は、例えば0.5μm以上0.9μm以下である。
続いて、レジスト44の開口44aを介してレジスト43をウェットエッチングし、開口43aをレジスト43に形成する。開口43aの開口幅W3は、開口44aの開口幅W4よりも大きく、例えば1μm以上2μm以下である。続いて、開口44a,43aを介してレジスト42において開口Oに重なる部分の一部に電子線を照射し、当該一部を露光させる。続いて、レジスト44において露光した部分を現像して除去することによって、開口42aを形成する。開口42aの開口幅W2は、開口幅W3,W4よりも小さく、例えば50nm以上300nm以下である。
次に、図5(a)に示されるように、開口42a〜44aから露出する絶縁膜32を除去する(第10工程)。第10工程では、上記第6工程と同様の条件にて絶縁膜32の一部をドライエッチングし、開口20aを有する第2絶縁膜20を形成する。また、第10工程では、第2絶縁膜20の形成後、開口20aを介して半導体積層体Sの表面をエッチングする。本実施形態では、開口20aから露出する埋込層16をドライエッチングにて除去し、開口16aを形成する。なお、開口16a,20aの開口幅は、開口42aの開口幅W2と略同一である。
次に、図5(b)に示されるように、ゲート23を形成する(第11工程)。第11工程では、開口44aを介して、開口16a,20a,42a,43aに埋め込まれるゲート23を形成する。開口42aの開口幅W2は開口43aの開口幅W3よりも狭いので、断面T字形状を呈するゲート23を容易に形成できる。ゲート23の形成後、レジスト42〜44を除去する。これにより、ゲート23の形成時にレジスト44上に設けられた金属層51をリフトオフする。以上の工程を経て、図1に示されるHEMT1を形成する。
以上に説明した本実施形態に係る半導体装置であるHEMT1の製造方法によって奏される作用効果について、図6(a),(b)に示されるHEMTの製造方法を参照しつつ説明する。図6(a)は、従来のHEMTの製造方法を説明するための図である。図6(b)は、従来においてレジスト41に照射される電子の一部の動きを示す模式図である。
まず、従来のHEMTの製造方法によって発生する問題について説明する。従来においては、本実施形態と異なり、絶縁膜31に対してマイクロ波プラズマを照射しない。このため従来においては、絶縁膜31を形成した後、直ちにレジスト41を形成している。この場合、図6(a)に示されるように、開口41aを形成するとき、開口41a付近におけるレジスト41の一部が同時に除去される。これにより、開口41a付近における絶縁膜31とレジスト41との間に不定形の隙間61ができてしまう傾向にある。このような隙間61には、開口41aを介して絶縁膜31、キャップ層18、及びストッパ層17を除去するときに発生する残渣が入り込むことがある。この残渣が露出した埋込層16上に残存する、もしくは後にゲート23内に入り込むと、HEMT1の特性が劣化してしまう。
レジスト41に隙間61が形成される現象について検討すると、図6(b)に示されるように、レジスト41に照射される電子線EBを構成する電子Eの一部が、レジスト41と絶縁膜31との界面Bに沿って拡がる可能性が見出された。上述したように、従来においては、絶縁膜31である窒化ケイ素膜をプラズマCVD法によって形成した後、直ちにレジスト41を形成している。このため、窒化ケイ素膜(特にその表面)が帯電していることによって、レジスト41と窒化ケイ素膜との界面に到達した電子線の電子が窒化ケイ素膜の界面に沿って拡がると推察される。特に窒化ケイ素膜が正に帯電している場合、絶縁膜31とレジスト41との界面に到達した電子は、当該界面上の正電荷を順次補償しつつ、当該界面に沿って容易に拡がると推察される。これによりレジスト41には、後に開口41aが形成される箇所だけでなく、当該箇所の周辺に不定形状の露光パターンが設けられる。したがって、上記界面近傍に位置するレジスト41が露光し、図6(a)に示される隙間61が形成されやすくなる。
そこで、本実施形態においては、プラズマCVD法によって絶縁膜31を形成した後、その表面31aをマイクロ波プラズマに曝している。すなわち本実施形態においては、絶縁膜31の表面31aを、絶縁膜31の形成時に曝されるプラズマとは異なるプラズマに曝す。これにより、表面31aが帯電されている状態を中和できる。そして本実施形態では、マイクロ波プラズマに曝した表面31a上にレジスト41を設け、開口41aを形成するためにレジスト41に電子線を照射する。このとき、レジスト41と絶縁膜31との界面に到達した電子が当該界面に沿って拡がりにくくなる。したがって、本実施形態に係るHEMT1の製造方法によれば、絶縁膜31上のレジスト41に良好なパターンを形成することが可能である。
本実施形態では、絶縁膜31は、13.56MHzの周波数に設定されたプラズマCVD法によって形成される。このため、絶縁膜31の表面31aの帯電状態をマイクロ波プラズマによって容易に中和できる。
本実施形態では、マイクロ波プラズマは、2.45GHzの周波数にて形成された酸素プラズマである。このため、絶縁膜31の表面31aが正に帯電していたとしても、表面31aを良好に中和できる。
本実施形態では、絶縁膜31をドライエッチングした後、開口19aを介して半導体積層体Sの表面をエッチングする。このため、半導体積層体Sにおいて開口19aから露出する部分の表面状態を整えることができる。
なお、レジストに照射される電子線を構成する電子の一部が、レジストと絶縁膜との界面にて乱反射していることによっても、レジストに隙間が形成される可能性がある。この場合もまた、レジストには、後に開口が形成される箇所だけでなく、当該箇所の周辺に不定形状の露光パターンが設けられる。HEMTの性能は、レジストの開口の形状の精度が高まることによって安定化する傾向にある。このため、高い加速電圧を設定した条件にて電子線をレジストに照射することが一般的である。しかしながらこの場合、レジストと絶縁膜との界面にて電子が乱反射する確率が高まってしまう。上記界面にて電子が乱反射する確率を抑えるために、加速電圧を低く設定することが考えられる。しかしながらこの場合においては、レジストに良好なパターンが形成されなくなる。以上より、単に電子線の条件を変更しただけでは、レジストに対して良好なパターンが形成されない。なお、絶縁膜の表面を原子レベルにて平滑化することによっても、上記界面における電子の乱反射は抑制可能である。しかしながら、絶縁膜の表面の原子レベルでの平滑化は、極めて困難である。これに対して、本実施形態によれば、レジスト41と絶縁膜31との界面における電子Eの乱反射も抑制可能である。したがって、本実施形態によれば、上記乱反射によるレジスト41への影響を抑制可能である。
加えて本実施形態では、絶縁膜32に接するレジスト42として、α−クロロアクリレートとα−メチルスチレンとの共重合体よりも電子線に対する露光感度が低いPMMAが用いられる。これにより、絶縁膜32とレジスト42との界面にて電子が乱反射した場合も反応しにくくなるため、良好な露光パターンがレジスト42に設けられる。レジスト42に対するパターン形成工程は、HEMT1の性能に最も関係するゲート長を決定する工程である。したがって、レジスト42としてPMMAを用いることによって、良好な性能を備えるHEMT1を製造できる。
本発明による半導体装置の製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、HEMTに本発明を適用した例について説明しているが、本発明の製造方法は、HEMT以外の様々な電界効果トランジスタに適用可能である。また、上記実施形態では半導体積層体がGaAs系半導体からなっているが、これに限られない。加えて、上記実施形態では基板上に半導体積層体が設けられているが、これに限られない。例えば、基板上には単層構造の半導体層が設けられてもよい。
上記本実施形態では、絶縁膜31のみにマイクロ波プラズマを曝しているが、これに限られない。例えば、絶縁膜32に対してもマイクロ波プラズマを曝してもよい。この場合、レジスト42を絶縁膜32上に形成する前に、絶縁膜32の表面に対してマイクロ波プラズマを曝す。この場合、レジスト42に対してより良好なパターンを形成できるので、HEMT1のゲート長を精度よく定めることができる。また、ゲート23内に残渣が入り込みにくくなる。
上記実施形態では、装置内の温度を室温として絶縁膜の表面をマイクロ波プラズマに曝しているが、これに限られない。例えば、装置内を室温よりも高い温度(例えば250℃)に設定した状態にて、絶縁膜の表面をマイクロ波プラズマに曝してもよい。この場合、当該表面の帯電状態の中和を促進できる。
1…HEMT、10…基板、11…バッファ層、14…電子走行層、15…電子供給層、16…埋込層、16a…開口、17…ストッパ層、18…キャップ層、19…第1絶縁膜、19a…開口、20…第2絶縁膜、20a…開口、21…ソース、22…ドレイン、23…ゲート、31,32…絶縁膜、31a…表面、41〜44…レジスト、41a〜44a…開口、61…隙間、MP…マイクロ波プラズマ、O…開口、S…半導体積層体、W1〜W4…開口幅。

Claims (4)

  1. 基板上に設けられた半導体をプラズマCVD法によって形成した絶縁膜で覆う工程と、
    前記絶縁膜の表面をマイクロ波プラズマに曝す工程と、
    前記絶縁膜の前記表面上にレジストを形成した後、電子ビーム露光によって当該レジストに開口を形成する工程と、
    前記開口を介して前記絶縁膜をドライエッチングする工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  2. 前記絶縁膜は、13.56MHzの周波数に設定されたプラズマCVD法によって形成される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記マイクロ波プラズマは、2.45GHzの周波数にて形成された酸素プラズマである、請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記絶縁膜をドライエッチングする前記工程後、前記半導体の表面をエッチングする工程をさらに備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
JP2018059851A 2018-03-27 2018-03-27 半導体装置の製造方法 Pending JP2019175913A (ja)

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