JP2019175507A - 車両の走行可能距離算出システムおよび走行可能距離算出方法 - Google Patents

車両の走行可能距離算出システムおよび走行可能距離算出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】車両の走行可能距離算出システムにおいて、走行可能距離の算出精度を向上させる。【解決手段】車両の走行可能距離算出システム9は、車両1(対象車)の電費履歴を含むデータD1を記憶するとともに車両1以外の複数車両2(他車)の電費履歴を含むデータD2を記憶する走行履歴データベース340と、データD1,D2のうちの少なくとも一方を使用することによって車両1の走行可能距離を算出する演算装置100とを備える。演算装置100は、車両1の走行可能距離を算出する際に、データD1とデータD2との使用比率を車両1のユーザの操作に従って設定することが可能に構成される。【選択図】図3

Description

本開示は、車両の走行可能距離を算出するシステムおよび方法に関する。
本開示において、「走行可能距離」とは、蓄電装置に蓄えられた電力または燃料タンクに蓄えられた燃料(ガソリン、軽油、バイオエタノールなどの液体燃料、もしくは水素などの気体燃料)が所定の規定量まで消費される間に車両が走行可能な距離を意味する。走行可能距離は、電力または燃料が最大量である場合に車両が走行可能な最大距離を含むが、これに限定されるものではない。走行可能距離は、任意の時点での電力または燃料が上記規定量まで消費される間に車両が走行可能な距離を含む。
ある車両の走行可能距離を算出する際に、他の車両が過去に実際に走行した走行履歴データを使用することが考えられる。たとえば特開2013−070515号公報(特許文献1)に開示された電動車両の充電制御システムは、走行履歴データベースを備える。この走行履歴データベースには、複数の電動車両についての車種、走行経路および当該走行経路における消費電力量の情報を含む走行履歴データが蓄積されている。ユーザの電動車両が充電される場合には、予定された走行経路について走行履歴データベースが検索され、他の電動車両が過去に同じ走行経路を走行した際に消費された消費電力量が取得される。そして、取得された消費電力量に基づいて、当該走行経路の走行に必要な電力量の充電が行なわれる。
特開2013−070515号公報
車両の走行可能距離を高精度に算出する重要性が高まっている。モータを搭載せずガソリン等の燃料を消費する車両においては、給油せずに走行可能な距離を正確に知ることに対する要望が常に存在する。この要望は、近年開発が進められている自動運転の技術が普及した場合には一層強まるとも考えられる。また、電気自動車の走行時には、現在地から充電ステーションなどの充電設備までの距離に対して走行可能距離(いわゆるEV走行距離)が十分かどうかを意識することが求められる状況が生じやすい。
本発明者は、ある車両(対象車)の走行可能距離を算出する際に、他の複数の車両(他車)の走行履歴データを使用する手法では、以下に説明する観点から、対象車の走行可能距離の算出精度に向上の余地がある点に着目した。たとえば、一般的なユーザとは異なる運転傾向(いわば運転の癖)を有するユーザが存在する。また、低燃費または低電費で走行するための運転技術の技量もユーザによって異なる。したがって、他車の走行履歴データを一律に使用したのでは、対象車の走行可能距離を正確に算出できない場合がある。
一方、対象車のユーザの運転傾向を対象車の走行可能距離に反映させる観点からは、対象車の過去の走行履歴データを使用することも考えられる。しかしながら、たとえば対象車が過去にあまり走行したことがない経路については、対象車の走行履歴データが十分に蓄積されておらず、走行履歴データのばらつきが大きい可能性がある。したがって、対象車の走行履歴データを使用したとしても、対象車の走行可能距離を正確に算出できない場合がある。
本開示は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の走行可能距離算出システムにおいて、走行可能距離の算出精度を向上可能な技術を提供することである。
本開示のある局面に従う車両の走行可能距離算出システムは、対象車の燃費履歴および電費履歴の一方を含むエネルギー消費履歴を第1のデータとして記憶する第1の記憶装置と、対象車以外の複数の車両のエネルギー消費履歴を第2のデータとして記憶する第2の記憶装置と、第1および第2のデータのうちの少なくとも一方を使用することによって対象車の走行可能距離を算出する演算装置とを備える。演算装置は、対象車の走行可能距離を算出する際に、第1のデータと第2のデータとの使用比率を対象車のユーザの操作に従って設定することが可能に構成される。
本開示の他の局面に従う車両の走行可能距離算出方法は、対象車の燃費履歴および電費履歴の一方をエネルギー消費履歴として含む第1のデータと、対象車以外の複数の車両のエネルギー消費履歴を含む第2のデータとのうちの少なくとも一方を使用することによって対象車の走行可能距離を算出するステップを含む。上記算出するステップは、対象車の走行可能距離を算出する際に、第1のデータと第2のデータとの使用比率を対象車のユーザの操作に従って設定するステップを含む。
上記構成または方法によれば、対象車の走行可能距離を算出する際に、第1のデータと第2のデータとの使用比率を対象車のユーザの操作に従って設定することができる。すなわち、対象車の走行可能距離に反映される第1および第2のデータの軽重の重み付けをユーザ自身が決定することができる。たとえば、過去の走行回数が多い経路を走行する際には、第1のデータの使用比率を相対的に高く設定することによって、そのユーザの運転傾向をより適切に反映させることが可能になる。逆に、過去の走行回数が少ない経路を走行する際には、第1のデータのばらつきの影響を低減するために第1のデータの使用比率を相対的に低く設定し、主に第2のデータを使用することができる。
ユーザは、これから走行しようとする経路等の過去の走行履歴を記憶している。したがって、上記のように第1および第2のデータの重み付けをユーザ自身が過去の経験を考慮して決定することによって、より適切なデータを対象車の走行可能距離に反映させることが可能になる。その結果、対象車の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
好ましくは、上記複数の車両は、対象車と同型の車両を含む。演算装置は、第2のデータのうち上記同型の車両のデータを使用して使用比率を設定する。
上記構成によれば、複数の車両のエネルギー消費(単位エネルギー量当たりの走行距離)履歴が対象車のエネルギー消費履歴と同程度になり類似性が高くなるので、対象車の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
好ましくは、第2の記憶装置は、第2のデータを上記複数の車両の走行条件毎に記憶する。走行条件とは、たとえば走行期間、走行地域または外気温などに関する条件である。走行可能距離算出システムは、ユーザが走行条件を選択するための画像を表示する表示装置をさらに備える。演算装置は、第2のデータを使用する場合には、ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータを使用することによって対象車の走行可能距離を算出する。
上記構成によれば、ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータを使用すること、すなわちユーザが走行条件を考慮して第2のデータの絞り込みを行なうことができるので、対象車の走行可能距離の算出精度を一層向上させることができる。
好ましくは、表示装置は、ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータの分布、および、ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータを使用して算出された上記複数の車両の走行可能距離の分布のうちの少なくとも一方を表示する。
ユーザが走行条件を考慮して第2のデータの絞り込みを行なう際に、第2のデータ(または第2のデータを使用して算出された複数の車両の走行可能距離)を単純に表示させることも考えられる。これに対し、上記構成によれば、第2のデータの分布を表示させることにより、ユーザが第2データの妥当性(サンプル数またはばらつきなど)を確認した上で第2のデータの絞り込みを行なうことが可能になる。したがって、より適切な第2のデータを対象車の走行可能距離に反映させることができる。
好ましくは、表示装置は、表示装置に表示された分布から特定のデータがユーザにより選択された場合、上記特定のデータに対応する車両の走行条件を表示する。
たとえば、表示装置に表示された分布から走行可能距離が最も長いデータ(すなわちエネルギー消費が最も良いチャンピオンデータ)をユーザが選択し、そのデータの走行可能距離にできるだけ近づけるように車両の運転を行なうことが考えられる。このような場合に、上記構成によれば、特定のデータに対応する車両(チャンピオンデータを達成した車両)の走行条件(アクセルワーク、空調装置の消費電力量等)を表示装置に表示させることにより、ユーザは、どのような走行条件下でその走行可能距離が得られたのかを知ることができる。また、最長の走行可能距離を達成するために、どのような操作(アクセルワーク、空調装置の設定等)を行なうべきかを知ることができる。
好ましくは、表示装置は、対象車の実際のエネルギー消費履歴と、ユーザによる設定に従って算出されたエネルギー消費履歴との間の乖離が所定レベルを超える場合には、乖離が所定レベル未満の場合と比べて、表示装置に表示される分布の表示範囲を拡大する。
上記構成によれば、たとえば表示画面上で第2のデータの分布(または走行可能距離の分布)のうちの任意の箇所をユーザが選択する際に、ユーザに与えられる選択範囲が広がるので、ユーザは、自身の運転傾向に合った第2のデータを選択しやすくなる。
好ましくは、車両の走行可能距離算出システムは、ユーザが使用比率を調整するためのバーを表示する表示装置をさらに備える。
上記構成によれば、ユーザインターフェースとしてバーを用いることにより、使用比率をユーザが直感的に調整することが可能になる。使用比率は、たとえば最小値(たとえば0%)と最大値(たとえば100%)との間で選択することができる。
好ましくは、第2の記憶装置は、対象車の外部かつ複数の車両の外部に設けられるデータセンタに備えられる。対象車は、第1の記憶装置を含み、第1のデータをデータセンタに送信する。データセンタは、使用比率を設定するサーバを含む。
複数の車両からデータセンタを介さずに対象車に第2のデータを直接送信し、対象車にて第2のデータの記憶(蓄積)、エネルギー消費の算出、走行可能距離の算出を行なうことも考えられるが、実際には、システム全体での通信データ量が膨大になってしまうため現実的でない。これに対し、上記構成によれば、データセンタに第1および第2のデータが収集され、データセンタにてエネルギー消費の算出が行なわれることになる。これにより、システム全体での通信データ量を低減することができる。
好ましくは、対象車は、定期的または所定条件成立時に第1のデータをデータセンタに送信する。
無線通信が困難な場所(たとえばトンネル内など)を車両が走行する場合もあり、車両から第1のデータを常に送信可能とは限らない。上記構成によれば、定期的または所定条件成立時(たとえば車両の充電時)に第1のデータを送信することにより、より確実な送信が可能になる。
本開示によれば、車両の走行可能距離算出システムにおいて、走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
実施の形態1に係る車両の走行可能距離算出システムの全体構成を概略的に示す図である。 図1に示した車両(対象車)およびデータセンタの構成をより詳細に示す図である。 実施の形態1における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。 ユーザによる使用比率の設定操作を説明するための図である。 実施の形態1の変形例1における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。 実施の形態1の変形例2における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。 実施の形態2における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。 走行条件の設定画面の一例を示す図である。 走行期間による第2のデータの絞り込みを概念的に説明するための図である。 外気温による第2のデータの絞り込みを概念的に説明するための図である。 複数の走行条件による第2のデータの絞り込みを概念的に説明するための図である。 走行地域による第2のデータの絞り込みを概念的に説明するための図である。 ユーザの運転傾向に応じた調整を説明するためのフローチャートである。 電費の乖離の有無の判定手法を説明するための図である。 空調装置の消費電力量を抑制するための制御を示すタイムチャートである。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
以下の実施の形態では、電気自動車の走行可能距離(EV走行距離)を算出する構成を例に説明する。しかし、本開示に係る「対象車」および「複数の車両」は、電気自動車に限定されず、走行用のモータおよび蓄電装置を搭載しない車両(ガソリン車またはディーゼル車等)であってもよいし、ハイブリッド車であってもよいし、燃料自動車であってもよい。「対象車」および「複数の車両」が電気自動車の場合には、本開示に係る「エネルギー消費履歴」として電費履歴が用いられる一方で、ガソリン車またはハイブリッド車等の場合には「エネルギー消費履歴」として燃費履歴を用いることができる。
[実施の形態1]
<走行可能距離算出システムの構成>
図1は、実施の形態1に係る車両の走行可能距離算出システムの全体構成を概略的に示す図である。走行可能距離算出システム9は、ユーザ(図示せず)の車両1(対象車)と、ユーザのものではない、車両1以外の複数の車両2(以下「他車」とも称する)と、データセンタ3とを含む。車両1とデータセンタ3とは通信が可能なように構成されている。また、複数の車両2の各々とデータセンタ3とも通信が可能なように構成されている。なお、図示しないが、車両1と複数の車両2との間の通信が可能に構成されていてもよい。
本実施の形態において、車両1および複数の車両2の各々は電気自動車である。複数の車両2の各々は、車両1と電費(単位消費電力量当たりの走行距離)が同程度の電気自動車であることが好ましく、車両1と同型車種の電気自動車であることがより好ましい。車両1と電費が同程度の電気自動車とは、たとえば小型車、中型車または大型車など車両重量の区分が同じ電気自動車であってもよいし、セダン、ステーションワゴン、バンなどの車両のタイプが同じ電気自動車であってもよい。一方、車両1と同型車種の電気自動車とは、より狭義のモデル(車名)が同じことを意味し、さらに年式も同じであることがより好ましい。データセンタ3は、車両1の走行時の電費履歴を含む走行履歴データ(第1のデータ)D1および複数の車両2の各々の走行時の電費履歴を含む走行履歴データ(第2のデータ)D2を収集し、データD1,D2のうちの少なくとも一方を使用することによって車両1の走行可能距離を算出する。この算出手法については後に詳細に説明する。
図2は、図1に示した車両1およびデータセンタ3の構成をより詳細に示す図である。図示しないが、複数の車両2の各々は、車両1と基本的に共通の構成を有する。
車両1は、ナビゲーションシステム10と、インレット210と、コンバータ220と、蓄電装置230と、電池ECU(Electronic Control Unit)240と、空調装置250と、車両ECU260と、通信モジュール270とを備える。ナビゲーションシステム10、電池ECU240、車両ECU260および通信モジュール270は、車内LAN(Local Area Network)280により互いに接続されている。
インレット210は、車両1外部の電源(たとえば図示しない系統電源)から蓄電装置230の充電時に充電ケーブルのプラグ(図示せず)を接続することが可能に構成されている。コンバータ220は、車両1外部の電源からインレット210を介して供給された電力の電圧を蓄電装置230に充電可能な電圧に変換する。蓄電装置230は、再充電可能な直流電源である。蓄電装置230は、リチウムイオン電池もしくはニッケル水素電池等の二次電池、または電気二重層キャパシタ等のキャパシタ(いずれも図示せず)を含んで構成される。
電池ECU240は、蓄電装置230の電圧、電流および温度を監視するとともに蓄電装置230の充放電を制御する。また、電池ECU240は、蓄電装置230の監視結果に基づいて蓄電装置230の充電状態(SOC:State Of Charge)を算出する。
空調装置250は、蓄電装置230から供給された電力を用いて車両1の車室内の空調(暖房または冷房)を行なう。空調装置250の消費電力は、車両ECU260が、たとえば図示しない電流センサ等を用いて空調装置250への供給電流を監視することにより算出される。車両ECU260は、空調装置250を制御するとともに、車両1が所望の状態となるように各機器(たとえば図示しないモータの駆動装置等)を制御する。
車両1は、通信モジュール270を介してデータセンタ3とデータ通信を行なうことが可能に構成されている。車両1は、車両1の車種を含む識別情報、車両1の走行履歴データ(データD1)および蓄電装置230のSOCをデータセンタ3に送信する一方で、データセンタ3から車両1の走行可能距離を受信する(詳細は後述)。なお、車両1は、データセンタ3から通信モジュール270を介して道路交通情報(渋滞、事故、工事、車線規制、交通規制などの情報)を受信したり、気象情報(天候、気温等)を受信したりすることも可能である。
ナビゲーションシステム10は、演算装置100と、地図データ記憶部110と、GPS(Global Positioning System)受信機120と、走行状態検出部130と、ナビゲーションスクリーン(以下「ナビ画面」と記載する)140と、スピーカ150と、記憶装置160とを含む。
地図データ記憶部110は、たとえば道路地図データと、それに付随する各種店舗等の施設データとを記憶する。GPS受信機120は、人工衛星からの電波に基づいて車両1の現在地を特定(測位)する。走行状態検出部130は、ジャイロスコープおよび地磁気センサ等(いずれも図示せず)を含んで構成され、車両1の走行状態を検出する。
ナビ画面140は、たとえばタッチパネル付の液晶ディスプレイであって、各種情報を表示するとともにユーザの操作を受け付ける。ユーザは、ナビ画面140を操作することにより、車両1の目的地を設定したり走行経路を選択したりすることができる。スピーカ150は音声を出力する。なお、ナビ画面140は、本開示に係る「表示装置」に相当する。しかし、本開示に係る「表示装置」はナビ画面140に限定されるものではなく、たとえばヘッドアップディスプレイであってもよい。また、センターコンソールもしくはステアリングホイール等に設けられた機械式スイッチの操作、またはマイクロフォンからの音声入力によりユーザ操作を受け付けてもよい。
記憶装置160は、たとえばハードディスク装置であって、車両1が過去に実際に走行した走行履歴データ(データD1)を記憶する。データD1は、たとえば、車両1の走行経路の情報(より詳細には走行経路を、たとえば交差点等をノードとする複数の区間に分割し、各ノード間をリンクとして規定したデータ)、および、各リンクにおける蓄電装置230からの供給電力量の情報(電費履歴)を含む。なお、データD1が各リンクにおける車両1の運転状態(加速/減速、ブレーキ等)を示す情報および空調装置250の消費電力量の情報などを含んでもよい。記憶装置160に記憶されたデータD1は、定期的または所定条件成立時に通信モジュール270を介してデータセンタ3に送信される。無線通信が困難な場所(たとえばトンネル内など)を車両1が走行する場合もあり、車両1からデータD1を常に送信可能とは限らない。定期的または所定条件成立時(たとえば車両1の充電時)にデータD1を送信することにより、より確実な送信が可能になる。
演算装置100は、いずれも図示しないが、CPU(Central Processing Unit)と、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))と、入出力バッファとを含んで構成される。演算装置100は、GPS受信機120および走行状態検出部130に含まれる各センサからの信号に基づいて、車両1の現在地、進行方向および速度等を算出する。
また、演算装置100は、車両1の各種ナビゲーション処理を実行する。より具体的には、演算装置100は、車両1の現在地および地図データ記憶部110からの道路地図データに基づいて、車両1の周辺の道路地図に車両1の現在地を重ね合わせてナビ画面140に表示させる。さらに、演算装置100は、車両1の現在地から目的地までの推奨経路を案内する経路案内機能を実現する。すなわち、演算装置100は、データセンタ3のサーバ300(後述)による経路探索処理により求められた推奨経路を通信モジュール270を介して受信する。そして、演算装置100は、推奨経路をナビ画面140に表示させるとともに、車両1が所定のポイントに達したときには案内音声をスピーカ150から出力させる。
データセンタ3は、サーバ300と、地図データベース310と、道路交通情報取得部320と、気象情報取得部330と、走行履歴データベース340と、通信装置350とを備える。
地図データベース310は、経路探索処理用の道路地図データを記憶する。道路交通情報取得部320は、たとえば道路交通情報センタから提供される最新の道路交通情報を取得する。気象情報取得部330は、たとえば気象庁から提供される最新の気象情報を取得する。走行履歴データベース340は、たとえばハードディスク装置であって、車両1から送信された走行履歴データ(データD1)および複数の車両2から送信された走行履歴データ(データD2)を記憶する。データD2はデータD1と同種の情報を含むものであるため、詳細な説明は繰り返さない。通信装置350は、車両1に搭載された通信モジュール270とデータ通信を行なうことが可能に構成されている。なお、走行履歴データベース340は、本開示に係る「第1の記憶装置」および「第2の記憶装置」の両方に相当する。
サーバ300は、演算装置100と同様に、CPU、メモリおよび入出力バッファ(いずれも図示せず)を含んで構成される。サーバ300は、車両1から受信したデータD1を車種毎および走行条件毎(後述)に層別して走行履歴データベース340に記憶させるとともに、複数の車両2から受信したデータD2を車種毎および走行条件毎に層別して走行履歴データベース340に記憶させる。また、サーバ300は、車両1の現在地および目的地の情報に基づいて経路探索処理を実行し、求めた推奨経路を通信装置350を介して車両1に送信する。さらに、サーバ300は、以下に説明するように、データD1,D2に含まれる電費履歴を使用して車両1の走行可能距離を算出する。
<走行可能距離の算出>
車両1の走行可能距離を算出する際に、たとえば特許文献1に開示されているように、他車が過去に実際に走行した走行履歴データ(データD2)を使用することが考えられる。しかしながら、ユーザ毎に運転傾向(運転の癖)は異なり、電費が良い運転を常に心掛けているユーザが存在する一方で、電費については特に気にしていないユーザも存在する。また、低電費で走行するための運転技術の技量もユーザによって異なる。たとえば、車両1のユーザが一般的なユーザ(他車のユーザ)と異なる運転傾向または技量を有するときには、データD2を一律に使用したのでは、車両1の走行可能距離を正確に算出できない場合がある。
一方、車両1のユーザの運転傾向を車両1の走行可能距離に反映させる観点からは、データD1のみを使用することも考えられる。しかし、車両1の過去の走行回数が少ない経路については、データD1が十分に蓄積されておらず、データD1のばらつきが大きい可能性がある。したがって、データD1を使用したとしても、車両1の走行可能距離を正確に算出できない場合がある。
そこで、本実施の形態においては、車両1の走行可能距離を算出する際のデータD1とデータD2との「使用比率」をユーザ操作により設定(あるいは変更)可能な構成を採用する。使用比率とは、車両1の走行可能距離に車両1の電費履歴を反映させる度合いと他車の電費履歴を反映させる度合いとの比率である。そして、ユーザにより設定された使用比率に従ってデータD1,D2を使用して電費を算出し、その電費算出結果に基づいて車両1の走行可能距離を算出する。
言い換えると、本実施の形態では、車両1の走行可能距離の算出に際し、車両1の過去の走行履歴をどの程度反映させるかを車両1のユーザ自身が決定することができる。ユーザは、これから走行しようとする経路を過去にどの程度の頻度でどのように走行したのかを覚えているため、データD1を反映させるべき度合いを適切に判断することが可能である。たとえば、過去の走行回数が多い経路については、データD1の使用比率をデータD2の使用比率よりも高く設定することによって、そのユーザの運転傾向をより適切に反映させることができる。あるいは、過去の走行回数が少ない経路については、主にデータD2を使用するように使用比率を設定することも可能である。
このように、データD1とデータD2との重み付けをユーザ自身が過去の経験を考慮して決定することによって、より適切なデータ(電費履歴)を車両1の走行可能距離に反映させることが可能になる。その結果、車両1の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
以下、実施の形態1における車両1の走行可能距離を算出するための処理(以下「走行可能距離算出処理」とも称する)について詳細に説明する。
図3は、実施の形態1における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。図3においては、車両1の目的地がユーザにより設定される場合について説明する。
図3および後述する図5〜図7のフローチャートに示される処理は、所定の条件成立時(たとえばユーザがナビ画面140を操作して目的地を設定したとき)に、図示しないメインルーチンから呼び出されて実行される。図中左側には車両1の演算装置100によって実行される一連の処理を示し、図中右側にはデータセンタ3のサーバ300によって実行される一連の処理を示す。これらのフローチャートに含まれる各ステップ(以下「S」と略す)は、基本的には演算装置100またはサーバ300によるソフトウェア処理によって実現されるが、その一部または全部が演算装置100またはサーバ300内に作製されたハードウェア(電気回路)によって実現されてもよい。
S110において、演算装置100は、車両1の現在地およびユーザにより設定された目的地を示す情報とともに、目的地までの車両1の推奨経路を算出する旨の要求(推奨経路要求)をサーバ300に送信する。サーバ300は、車両1の現在地および目的地ならびに道路交通情報に基づいて経路探索処理を実行して車両1の推奨経路を算出し、演算装置100に送信する(S210)。これにより、今回の走行(トリップ)における車両1の走行経路が設定される。なお、図示しないが、サーバ300から演算装置100に複数の推奨経路を送信し、そのうちのいずれかをユーザに選択させてもよい。また、サーバ300が経路探索処理を実行するのに代えて、演算装置100が経路探索処理を実行し、それにより算出された走行経路を演算装置100からサーバ300に送信してもよい。
S120において、演算装置100は、S110,S210の処理にて設定された走行経路における車両1の走行可能距離を算出する旨の要求(走行可能距離要求)をサーバ300に送信する。S130において、演算装置100は、蓄電装置230のSOCを電池ECU240から取得し、サーバ300に送信する。
S140において、演算装置100は、ユーザによる使用比率の設定操作を受け付けるようにナビ画面140を制御する。ユーザ操作により設定された使用比率はサーバ300に送信される。
図4は、ユーザによる使用比率の設定操作を説明するための図である。図4には、ナビ画面140(タッチパネル付ディスプレイ)上に表示される画像の一例が示されている。使用比率の設定においては、たとえば、「自車/他車の電費データの使用比率を設定してください」とのメッセージとともに、データD1とデータD2との使用比率を設定するための操作バーが表示される。図4に示すような操作バーをユーザインターフェースとして採用することにより、使用比率をユーザが直感的に調整することが可能になる。この使用比率は、たとえば最小値(0%)と最大値(100%)との間で選択することができる。
たとえばユーザの通勤経路など車両1の走行回数が多い経路(データD1のサンプル数が多い経路)を車両1が走行する場合、データD1をデータD2よりも重視すべきと考えられる。したがって、図4(A)に示すように、ユーザは、データD1とデータD2との使用比率(R1:R2)を、たとえば100%:0%に設定する(R1:R2=100%:0%)。これにより、ユーザの運転傾向(運転の癖)が反映されたデータD1のみを使用して車両1の走行可能距離を算出することができる。
一方、車両1の走行回数が比較的少ない経路を車両1が走行する場合には、データD1のサンプル数が少ないので、データD1のばらつきが相対的に大きい可能性がある。そのため、データD1よりもデータD2を重視する方が望ましいと考えられる。したがって、図4(B)に示すように、ユーザは、使用比率をたとえば10%:90%に設定する(R1:R2=10%:90%)。これにより、ユーザ自身の過去の走行履歴に基づくデータD1についてはばらつきの影響を低減しつつ、他の多数のユーザの過去の走行履歴に基づくデータD2(つまり平均的な走行を行なった場合の電費データ)を主に使用して車両1の走行可能距離を算出することができる。
なお、図4(A)および図4(B)に示す操作バーは使用比率の設定操作のための画像の一例に過ぎず、この操作手法は限定されるものではない。たとえば数値入力画面をナビ画面140に表示させて、ユーザに使用比率を示す数値を入力させてもよい。あるいは、音声入力により使用比率を受け付けてもよい。
図3に戻り、S220において、サーバ300は、車両1の走行経路(S210にて算出した推奨経路)に関し、過去のデータD1,D2を走行履歴データベース340から読み出す。
S230において、サーバ300は、S140にて設定された使用比率に基づいて、今回の車両1の走行経路を走行した場合の電費を算出する。より具体的には、下記式(1)に示すように、車両1の走行経路を複数のリンクLi(iは自然数)に分割する。そして、各リンクLiについて、リンクLiにおける車両1の電費E1にデータD1の使用比率R1を乗算したものと、リンクLiにおける他車の電費E2にデータD2の使用比率R2を乗算したものとの和を電費Qiとして算出する。
Qi=E1×R1+E2×R2 ・・・(1)
たとえば、図4(B)にて説明したように使用比率がR1:R2=10%:90%に設定された場合に、k番目(kは自然数)のリンクLkについての車両1の電費E1および他車の電費E2がそれぞれ6.0(km/kWh)および8.0(km/kWh)であったときには、そのリンクLkについての電費Qkは、Qk=6.0×0.10+8.0×0.90=7.8(km/kWh)と算出される。このようにして車両1の走行経路に含まれる全リンクLiの電費Qiが算出される。
なお、他車の電費E2としては、データD2に含まれる複数の車両2のデータのうちの中央値を用いてもよいし、平均値を用いてもよいし、最頻値を用いてもよい。車両1の電費E1についても同様である。
S240において、サーバ300は、S130にて車両1から取得した蓄電装置230のSOCと、S230における電費算出結果とを用いて、車両1の走行可能距離を算出する。より具体的には、演算装置100は、車両1の走行経路に含まれる各リンクLiについて、リンクLiの長さ[単位:km]とリンクLiにおける電費Qi[単位:km/kWh]とに基づいて、リンクLiにおける消費電力量[単位:kWh]を算出する。そして、演算装置100は、蓄電装置230のSOCを残存電力量に換算し、車両1の現在地からの走行経路に沿って、蓄電装置230の残存電力量が所定の規定値(下限値)に達する地点までのリンクLiの長さの積算値を車両1の走行可能距離として算出する。サーバ300は、算出した走行可能距離を演算装置100に送信する。
S150において、演算装置100は、サーバ300から受信した走行可能距離をナビ画面140に表示させる。その後、処理はメインルーチンへと戻される。図示しないが、図3に示した一連の処理のうちS110,S210,S140以外の処理が繰り返し実行されることにより、車両1の走行可能距離を最新の値に遂次更新することができる。
なお、S110〜S140における演算装置100からサーバ300への情報および要求の送信順序は特に限定されるものではなく、順序を適宜入れ替えてもよい。あるいは、これらの情報および要求を一括送信してもよい。
以上のように、実施の形態1によれば、車両1の走行可能距離の算出において、車両1の電費履歴を含むデータD1と複数の車両2(他車)の電費履歴を含むデータD2との重み付けを、ユーザがナビ画面140を操作することによって設定することができる。
ユーザは、これから走行しようとする経路の過去の走行履歴を記憶している。たとえば、ユーザは、当該走行経路の過去の走行頻度を覚えている。また、ユーザは、過去の走行時の条件がどのようなものであったのか、たとえば車両1の走行時に事故により渋滞が発生していたことや、気象条件が大雨または積雪等の例外的な条件であったことなどを覚えている。さらに、ユーザは、今回の走行をどのようなものにしたいのか、たとえば電費を重視したいのか、あるいは電費をあまり気にせず短時間で目的地に到達したいのかなどの予定(希望)についても把握している。したがって、ユーザは、ユーザ自身の過去の走行履歴と今回の走行予定とが類似しているか否かを自らの記憶から判断し、その判断結果に応じて電費の重み付けを行なうことができる。
ユーザは、今回の走行予定が過去の走行履歴と類似している場合には、データD1の使用比率R1(言い換えれば重み)を相対的に高く設定する一方で、今回の走行予定が過去の走行履歴にあまり類似していない場合には、データD1の使用比率R1を相対的に低く(すなわちデータD2の使用比率R2を相対的に高く)設定することができる。このように、データD1,D2の使用比率をユーザ自身が設定できるようにすることによって、ユーザの過去の走行履歴および今回の走行予定に基づく電費履歴の重み付けをユーザの経験に基づいて適切に行なうことができる。その結果、車両1の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
また、複数の車両2からデータセンタ3を介さずに車両1にデータD2を直接送信し、車両1にてデータD2の蓄積、電費の算出、走行可能距離の算出を行なうことは、走行可能距離算出システム9全体での通信データ量が膨大になってしまうため現実的でない。これに対し、実施の形態1によれば、データセンタ3にデータD1,D2が収集および蓄積され、データセンタ3にて電費および走行可能距離の算出が行なわれ、その算出結果がデータセンタ3から車両1に送信される。これにより、走行可能距離算出システム9全体での通信データ量を低減することができる。
[実施の形態1の変形例1]
実施の形態1ではデータセンタ3のサーバ300が走行可能距離を算出する構成について説明したが、走行可能距離の算出は車両1の演算装置100により行なわれてもよい。
図5は、実施の形態1の変形例1における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。S310,S410の処理は、実施の形態1におけるS110,S210の処理(図3参照)とそれぞれ同等である。
S320において、演算装置100は、車両1の走行経路における電費データを算出する旨の要求(電費データ要求)をサーバ300に送信する。S330において、演算装置100は、使用比率を設定するためのユーザ操作を受け付けるようにナビ画面140を制御する。
S420において、サーバ300は、車両1の走行経路についての過去のデータD1,D2を走行履歴データベース340から読み出す。S430において、サーバ300は、S330にて設定された使用比率に基づいて、車両1の走行経路についての電費データを算出する。これらの処理は、実施の形態1におけるS220,S230の処理と同等である。サーバ300は、算出した電費データ(電費算出結果)を演算装置100に送信する。
S340において、演算装置100は、蓄電装置230のSOCを電池ECU240から取得する。S350において、演算装置100は、蓄電装置230のSOCと、S430にてサーバ300から送信された電費算出結果とに基づいて車両1の走行可能距離を算出する。この処理は、実施の形態1におけるS240の処理と同等である。さらに、演算装置100は、算出した走行可能距離をナビ画面140に表示させる(S360)。
以上のように、実施の形態1の変形例1によれば、実施の形態1と同様にユーザがナビ画面140を操作することでデータD1とデータD2との使用比率を設定することによって、走行可能距離が演算装置100により算出される構成においても車両1の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
[実施の形態1の変形例2]
実施の形態1(およびその変形例1)では、車両1の走行経路を設定した上で車両1の走行可能距離を算出する処理について説明した。しかし、走行経路の設定は必須ではなく、以下に説明するように、走行経路が設定されていない場合においても走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
図6は、実施の形態1の変形例2における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、S110,S210の処理を含まない点、および、S120,S220の処理に代えてS510の処理を含む点において、実施の形態1におけるフローチャート(図3参照)と異なる。
S510において、演算装置100は、車両1の現在地を示す情報とともに、車両1が現在地付近のエリア(より具体的には、車両1の現在地を中心とする所定範囲(たとえば50kmの範囲)のエリア)内で走行した場合の走行可能距離要求をサーバ300に送信する。これは、坂道が多いエリアまたは渋滞が発生しやすいエリア等が存在するため、他車の電費履歴を含むデータD2がエリアによって異なり得るためである。なお、上記所定範囲は予め規定された固定値であってもよいし、ユーザ操作により変更可能な可変値であってもよい。
その後のS520,S530の処理は、実施の形態1におけるS130,S140の処理とそれぞれ同等である。すなわち、演算装置100は、蓄電装置230のSOCおよび走行履歴データの使用比率を示す情報をサーバ300に送信する。
S610において、サーバ300は、車両1の現在地付近のエリアについてのデータD1,D2を走行履歴データベース340から読み出す。その後のS620,S630,S540の処理は、実施の形態1におけるS230,S240,S150の処理とそれぞれ同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。
以上のように、実施の形態1の変形例2によれば、車両1の走行経路が設定されていない場合であっても、たとえば車両1の現在地を中心とする所定範囲内のデータD2を抽出することによって、車両1の走行可能距離の算出精度を向上させることができる。
[実施の形態2]
車両1の走行可能距離の算出に際して走行履歴データベース340から読み出されるデータD2は、様々な走行条件下あるいは走行環境下でのデータを含む。そのような多数のデータD2のなかからどのようなデータを抽出するかに応じて、車両1の走行可能距離の算出結果は異なり得る。したがって、走行可能距離の算出精度を一層向上させるためには、データD2を絞り込んで適切なデータを使用して走行可能距離を算出することが望ましいと考えられる。そこで、実施の形態2においては、データD2の絞り込みを行なうためのユーザ操作が可能であるとともに、そのようなユーザ操作を行なう動機付けをユーザに与える構成について説明する。
図7は、実施の形態2における走行可能距離算出処理を示すフローチャートである。このフローチャートは、走行条件に応じてデータD2を絞り込むためのS740,S820,S830,S750,S760の処理(破線で囲って示す)をさらに含む点において、実施の形態1におけるフローチャート(図3参照)と異なる。S710,S810,S720,S730の処理は、実施の形態1におけるS110,S210,S120,S130の処理とそれぞれ同等である。
S740において、演算装置100は、走行条件を設定するためのユーザ操作を受け付ける。この制御は、演算装置100が、たとえば以下のような所定の設定画面をナビ画面140に表示させることによって実現される。
図8は、走行条件の設定画面の一例を示す図である。走行条件として、たとえば車両1の走行期間、外気温、アクセルワーク、空調装置250の使用量および乗員数を設定することができる。車両1の走行期間および外気温については図9〜図11にて説明する。
アクセルワークとは、ユーザの運転傾向を示す一指標であって、たとえばアクセルワークを示す指標が車両1のデータD1と類似する他車のデータD2を選択的に抽出するか、類似/非類似を問わずデータD2を抽出するかをユーザが設定することができる。アクセルワークの類似/非類似は、たとえばユーザの運転傾向が現れやすい特定の走行パターンが現れる頻度(単位時間当たりの回数)により判定することができる。一例として、他車を追い抜くことを好むユーザの車両は、時速40km程度から時速60km程度まで一旦加速し、その後再び時速40km程度で走行するという走行パターンを示すことが多い。したがって、そのような走行パターンが現れる頻度に応じて各ユーザの運転傾向を分類することによって、あるユーザの運転傾向と他のユーザの運転傾向との類似/非類似を判定することができる。
また、空調装置250による電力消費は車両1の走行可能距離に大きな影響を与え得るので、空調装置250の使用度合いを考慮することが望ましい。そのため、冷房/暖房の選択とともに、風量の強弱をたとえば5段階でユーザが設定することができる。
さらに、車両1の重量も車両1の走行可能距離に影響を与え得る。車両1と車両2とが同種の車両である場合には車両自体の重量は同程度と考えられるので、たとえば乗員数をユーザに選択させるようにしてもよい。乗員数は、シートに設けられた荷重センサにより検出してもよいし、タイヤの空気圧センサ(いずれも図示せず)により検出してもよい。あるいは、図示しないドアの開閉により乗員数を推定することも可能である。
以上のような走行条件がユーザ操作により選択され、サーバ300に送信される。なお、各走行条件の初期値は、演算装置100が各種センサの検出結果に応じてナビ画面140に表示させつつ(すなわち演算装置100からユーザに推奨値を提案しつつ)、ユーザが変更可能とすることが好ましい。
図7に戻り、S820において、サーバ300は、S710,S810にて設定された走行経路に関し、ユーザが設定した走行条件により絞り込まれたデータD2を走行履歴データベース340から読み出す。さらに、S830において、サーバ300は、S730にて演算装置100から送信された蓄電装置230のSOCと、S820にて読み出したデータD2とを使用して、上記走行経路についての他車の走行可能距離分布(図9〜図11にて後述)を算出する。なお、他車の走行可能距離分布は、他車に搭載された蓄電装置のSOC(電力量)が車両1に搭載された蓄電装置230のSOCと等しいとの条件を仮定した上で算出される。算出された他車の走行可能距離分布は、演算装置100に送信される。演算装置100は、他車の走行可能距離分布をナビ画面140に表示させる(S750)。
図9は、走行期間によるデータD2の絞り込みを概念的に説明するための図である。図10は、外気温によるデータD2の絞り込みを概念的に説明するための図である。図9および図10ならびに後述する図11および図12において、横軸は、データD2から算出された他車の走行可能距離を表す。縦軸は、データD2のサンプル数(データ数)を表す。なお、これらの図面に示す数値は理解を容易にするための例示に過ぎないことを確認的に記載する。
まず図9を参照して、走行期間が異なると、気象条件や道路交通状況が異なることになるので、車両の走行可能距離にも違いが生じる可能性が高い。走行期間とは、季節(たとえば冬)であってもよいし、月(たとえば1月)であってもよいし、具体的な日付により指定される期間(たとえば1月1日〜1月7日の期間)であってもよい。なお、季節を用いて走行期間を設定する場合には、各季節に対応する期間を予め規定すること(たとえば冬とは12月1日〜2月28日の期間であると規定すること)が求められる。
車両1の走行期間が設定されていない場合には、図9(A)に示すように、車両1の走行経路についてのすべてのデータD2が使用される。この場合のデータD2には、たとえば様々な気象条件下または道路交通状況下でのデータが含まれるので、他車の走行可能距離のばらつきも大きくなる。図9(A)に示す例では、標準偏差σは25kmである。また、走行可能距離の中央値(平均値または最頻値であってもよい)は、たとえば200kmである。
走行期間として、たとえば冬を設定した場合には、図9(B)に示すように、走行期間が設定されていない場合と比べて、データD2のサンプル数が少なくなる。また、他車の走行可能距離分布も変化し得る。図9(B)から、走行可能距離の中央値が200kmから180kmにシフトしていることが分かる。さらに、走行可能距離のばらつきが小さくなり、標準偏差σが10kmになっていることが分かる。
走行期間として、たとえば1月1日〜1月7日の期間を設定した場合には、図9(C)に示すように、冬を設定した場合と比べて、データD2のサンプル数がさらに少なくなる。このように、走行期間が短すぎる場合には、サンプル数が不足し、他車の走行可能距離分布のばらつきが大きくなってしまう場合もある。したがって、データD2の絞り込みを行なう際には、図9(B)および図9(C)に示すような他車の走行可能距離分布をナビ画面140に表示させることによって、ユーザに自身が設定した走行期間が適切であるか否かを確認させることが好ましい。
図10を参照して、外気温とは、車両1の外気の温度範囲(たとえば0℃〜5℃)である。外気温に応じて、たとえば蓄電装置230の放電効率が異なるので、走行可能距離にも影響が生じ得る。図9の説明と同様に、外気温を設定することによっても他車の走行可能距離分布が変化し得る。
図11は、複数の走行条件によるデータD2の絞り込みを概念的に説明するための図である。ユーザは、走行期間、外気温、アクセルワーク、空調装置250の使用量、乗員数などのうちの任意の2つ以上の組合せ(図12に示す例では走行期間と外気温との組合せ)により走行条件を設定することでデータD2を絞り込むこともできる。
ユーザは、図9〜図11に示したような他車の走行可能距離分布をナビ画面140上で確認し、自らが設定した走行条件により絞り込まれたデータD2を車両1の走行可能距離の算出に使用するか否かを判断する。ユーザは、データD2のサンプル数が十分に存在するか否か、ばらつきが十分に小さいか否か、あるいは他車の走行可能距離がユーザの過去の経験に照らして妥当と思われるか否かなどの観点から、設定した走行条件を使用するか否かを判断することができる。
さらに、ナビ画面140上の操作により他車の走行可能距離分布のうちの任意の箇所をユーザが選択する(ナビ画面140上でタッチする)ことにより、選択された箇所に対応する特定のデータのみを抽出可能としてもよい。たとえば、ユーザは、他車の走行可能距離分布のうちの中央値に対応するデータをピンポイントで選択してもよい。
あるいは、ユーザは、走行可能距離が最も長いデータ(すなわち電費が最も良いチャンピオンデータ)を選択し、そのデータの走行可能距離にできるだけ近づけるように車両1の運転を行なうことができる。このように特定のデータを選択した場合には、選択されたデータに対応する車両の走行条件(アクセルワーク、空調装置の消費電力量等)をナビ画面140に表示させてもよい。これにより、ユーザは、どのような走行条件下でその走行可能距離が得られたのかを知ることができる。また、上記最長の走行可能距離を達成するために、どのような操作(より詳細にはアクセルワーク、空調装置の設定)を行なうべきかを知ることができる。
なお、図9〜図11では理解を容易にするため、横軸を他車の走行可能距離とし、他車の走行可能距離分布をナビ画面140に表示させる例について説明したが、実施の形態1の変形例1のようにサーバ300から電費データを受信する場合(図5参照)には、横軸を電費として、電費データ分布を表示させてもよい。
図7に戻り、S760において、演算装置100は、ユーザによる走行条件の設定(データD2の絞り込み)が完了したか否かを判定する。より詳細には、ナビ画面140に表示された他車の走行可能距離分布を確認したユーザが、S740にて設定した走行条件を妥当でないと判断し、そのことを示すナビ画面140への操作(たとえばタッチパネル上の「再設定」ボタンを押す操作)を行なった場合には、演算装置100は、走行条件の設定が完了していないと判定し(S760においてNO)、処理をS740へと戻す。これにより、ユーザが妥当と判断する走行条件が設定されるまでS740,S820,S830,S750,S760の処理が繰り返される。
一方、ユーザが走行条件を妥当であると判断したことを示す操作(たとえばタッチパネル上の「OK」ボタンを押す操作)を行なった場合に、演算装置100は、走行条件の設定が完了したと判定し(S760においてYES)、処理をS770に進める。S770において、演算装置100は、ユーザが使用比率を設定する操作を受け付けるようにナビ画面140を操作する。設定された使用比率はサーバ300に送信される。
S840において、サーバ300は、S810にて算出した走行経路(推奨経路)について、過去のデータD1を走行履歴データベース340から読み出す。以降のS850,S860,S770の処理は、実施の形態1におけるS230,S240,S150の処理とそれぞれ同等であるため、詳細な説明は繰り返さない。なお、ユーザによる走行条件の設定処理が繰り返された場合、S850における電費の算出には、S840にて読み出されたデータD1と、S820にて最後に読み出された直近のデータD2とが使用される。
実施の形態1の変形例2にて説明したように走行経路が設定されていない場合には、走行地域により走行条件を絞り込むことも可能である。走行地域が異なると、気象条件等に加えて、たとえば勾配が大きい(坂道が多い)地域か平坦な地域かなどの地形条件によっても走行可能距離に違いが生じ得るためである。
図12は、走行地域によるデータD2の絞り込みを概念的に説明するための図である。走行可能距離の算出に車両1の現在地を中心とする所定範囲(たとえば50kmの範囲)のエリア内のデータD2を使用する場合、その所定範囲内で気象条件または地形条件が異なり得る。したがって、たとえば上記所定範囲よりも狭い地域(県もしくは州または市など)によりデータD2を絞り込んでもよいし、さらに狭い地域(町または村など)によりデータD2を絞り込んでもよい。図12(B)に示すように、走行地域としてエリアXを設定した場合にも、走行地域が設定されていない場合(図12(A)参照)と比べて、他車の走行可能距離分布がシフトするとともにその形状が変化し得る。
以上のように、実施の形態2によれば、車両1の走行可能距離の算出に使用されるデータD2が、ユーザにより設定された走行条件に応じて絞り込まれる。これにより、車両1の走行条件に類似した走行条件下でのデータD2のみを使用して電費を算出することが可能になるので、実施の形態1と比べて、車両1の走行可能距離の算出精度を一層向上させることができる。
[実施の形態2の変形例1]
ユーザ毎に運転傾向が異なるため、車両1の実際の走行距離(実績値)と比べて、サーバ300により走行可能距離が短く算出されることが多いユーザも存在し得るし、逆に長く算出されることが多いユーザも存在し得る。そこで、実施の形態2の変形例1においては、サーバ300がユーザ(車両1)の運転傾向に応じて各種調整を行なう処理について説明する。
図13は、ユーザの運転傾向に応じた調整を説明するためのフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば、車両1が目的地まで到達した後、あるいは車両1外部の電源(図示せず)から車両1の蓄電装置230を充電しているときなど、所定の条件成立時に実行される。
S910において、サーバ300は、車両1の走行履歴データ(車両1が実際に走行した走行経路の全リンクにおける電費の実績を示すデータ)を通信装置350を介して受信する。なお、このデータは上述の所定条件成立時に一括して送受信してもよいが、車両1の走行中に遂次送受信するようにしてもよい。
S920において、サーバ300は、S910にて受信した今回の車両1の走行履歴データを走行履歴データベース340に記憶する。このように、車両1が走行する度に車両1の走行履歴データをサーバ300が収集および蓄積することによって、次回以降のデータD1に反映させることができる。なお、サーバ300は、収集した全データを使用してもよいし、たとえば移動平均により所定数のデータのみを使用してもよい。
S930において、サーバ300は、車両1の走行経路のリンク毎に、車両1の実際の電費EACTと、ユーザ設定に従ってS850(図7参照)にて算出された電費ECALとの誤差(電費乖離率)ΔEを算出する。さらに、サーバ300は、電費乖離率ΔEに基づいて、電費EACTと電費ECALとの乖離が発生したか否かを判定する(S940)。
図14は、電費の乖離の有無の判定手法を説明するため図である。図14において、横軸は、車両1の走行経路(複数のリンク)を表す。縦軸は、各リンクにおける電費乖離率ΔEを表す。
電費乖離率ΔEとしては、たとえば下記式(2)に示すように、車両1の実際の電費EACTとユーザ操作に従って算出された電費ECALとの差(EACT−ECAL)を、電費EACTで除算したものをリンク毎に算出することができる。
ΔE=(EACT−ECAL)/EACT ・・・(2)
電費乖離率ΔEには、目標範囲(たとえば目標値±3%の間の範囲)が実験またはシミュレーションにより予め定められている。サーバ300は、電費乖離率ΔEが目標範囲外となったリンク(斜線部参照)について、電費EACTと電費ECALとの乖離が発生したことを示すカウント値をインクリメントする。そして、サーバ300は、カウント値(電費の乖離が生じたリンク数)が所定数を超えた場合、またはカウント値の全リンク数に対する割合が所定割合を超えた場合(「所定レベル」を超えた場合に相当)に乖離が発生したと判定する。
図13に戻り、電費EACTと電費ECALとの乖離が発生しなかったと判定した場合(S940においてNO)、サーバ300は、車両1の次回の走行可能距離算出時にS750(図7参照)にて他車の走行可能距離分布をナビ画面140に表示させる際に、たとえば図9(A)に示すように、走行可能距離分布の中央値±σ(σは標準偏差)の範囲Z1を表示させるようにフラグF1を立てる(S960)。これにより、車両1の次回走行時には、このフラグF1に応じた範囲の他車の走行可能距離分布がナビ画面140に表示されることになる。
一方、電費EACTと電費ECALとの乖離が発生したと判定した場合(S940においてYES)には、サーバ300は、ナビ画面140に表示させる他車の走行可能距離分布の範囲をより広くするためのフラグF2を立てる(S950)。たとえば、ナビ画面140に表示される走行可能距離分布の範囲をZ1からZ2へと拡大させる。範囲Z2とは、たとえば中央値±2σの範囲である。これにより、一連の処理が終了する。
以上のように、実施の形態2の変形例1によれば、車両1の走行履歴データ(データD1)が車両1の走行の度に収集されて蓄積される。これにより、ユーザの運転傾向に応じて車両1の走行可能距離の算出精度を一層向上させることができる。
さらに、データD2の絞り込みをユーザに行なわせる際に、電費の乖離が生じやすい運転傾向を有するユーザか否かによって、ナビ画面140に表示される他車の走行可能距離分布の範囲が調整される。電費の乖離が生じやすいユーザに対しては、電費の乖離が生じにくいユーザと比べて、より広範囲の走行可能距離分布が表示されるようになる(すなわち、ナビ画面140に表示される走行可能距離分布の表示範囲が拡大される)。これにより、たとえばナビ画面140上で他車の走行可能距離分布のうちの任意の箇所をユーザが選択する際に、ユーザに与えられる選択範囲が広くなるので、ユーザは、自身の運転傾向に合ったデータD2を選択しやすくなる。
[実施の形態2の変形例2]
ユーザが、ユーザ自身が設定した走行条件により絞り込まれたデータD2を使用して算出された車両1の走行可能距離を目標値(目標走行可能距離)として捉え、その目標値を達成するために、ある種ゲーム感覚で車両1の運転を行なうことも考えられる。たとえば、上述のように走行可能距離が最も長いデータ(電費が最も良いチャンピオンデータ)をユーザが選択し、その走行可能距離にできるだけ近づけるように車両1の運転を行なうことが考えられる。このような場合に空調装置250による空調を過剰に行なうと、目標走行可能距離を達成できなくなる可能性がある。したがって、実施の形態2の変形例2においては、空調装置250の消費電力量を抑制することによって車両1の走行可能距離の伸長を可能にする制御について説明する。なお、この制御は、ユーザが特定の操作を行なった場合にのみ実行してもよい。
図15は、空調装置250の消費電力量を抑制するための制御を示すタイムチャートである。図15において、横軸は、車両1の走行可能距離の算出時刻を初期時刻(t0)とする経過時間を表す。縦軸は、空調装置250の消費電力を初期時刻から順次積算した積算値(消費電力量)を表す。
折れ線C1は、今回の車両1の走行時における空調装置250の実際の消費電力を積算値表示したもの(以下「実績消費電力量」とも称する)を示す。一方、折れ線C2は、ユーザ操作により絞り込まれたデータD2に含まれる、空調装置250の消費電力を積算値表示したもの(以下「許容消費電力量」とも称する)である。
ユーザが目標走行可能距離の達成を目指す際には、空調装置250による電力消費をユーザに意識させるため、図15に示すようなグラフをナビ画面140上にリアルタイムで表示させることが望ましい。なお、空調装置250による消費電力の積算値を、たとえば棒グラフを用いてよりシンプルに表示してもよい。
時刻t1までの期間では、実績消費電力量は許容消費電力量未満である。時刻t1において実績消費電力量が許容消費電力に達すると、演算装置100は、このままのペースで空調装置250の動作を継続すると目標走行可能距離を達成できない可能性がある旨をユーザに通知する。この通知は、ナビ画面140にメッセージを表示させてもよいし、スピーカ150から音声を出力してもよい。通知を受けたユーザは、たとえば時刻t2において空調装置250の風量を弱める(空調装置250の停止を含む)ことにより、空調装置250の消費電力を節約する。あるいは、ユーザ操作を必要とすることなく、空調装置250の風量を自動的に弱めてもよい(自動停止を含む)。これにより、実績消費電力量が許容消費電力を再び下回るようになる(時刻t3参照)。
以上のように、実施の形態2の変形例2によれば、空調装置250の消費電力量の可視化により、目標走行可能距離を達成するためのユーザのチャレンジをサポートすることができる。あるいは別の観点から説明すると、たとえ当初の目標走行可能距離を達成できず、目標走行可能距離と実際の走行距離との誤差が比較的大きかった場合であっても、それが空調装置250の消費電力量が大きかったためであることをユーザに知らしめることができる。これにより、走行可能距離の算出精度が低いとのユーザの不満を緩和することができる。
なお、ユーザが目標走行可能距離を達成できそうにない場合には、空調装置250の制御に加えて、電費を向上させるためのアクセルワークの提案(ナビ画面140上のメッセージ表示または音声案内)をユーザに行なってもよい。また、車両1が目的地に到達する前に蓄電装置230のSOCが枯渇しそうな場合には、早めに充電するようユーザに通知してもよい。
さらに、ユーザが目標走行可能距離を達成できなかった場合には、その原因をデータD1とユーザが目標としたデータD2とを比較することによって解析し、その解析結果(たとえば空調装置250の空調が過剰であった、あるいは追い越し回数が多かったなど)をユーザにフィードバックしてもよい。
実施の形態1と実施の形態2とは、その変形例を含めて、技術的に矛盾が生じない範囲で適宜組み合わせることができる。たとえば、実施の形態1に対して実施の形態2に記載のデータD2の絞り込みを追加することに技術的な矛盾は生じない。また、たとえば、実施の形態1の変形例1に対して実施の形態2の変形例2に記載の走行可能距離を伸長するための制御を追加することに技術的な矛盾は生じない。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,2 車両、3 データセンタ、9 走行可能距離算出システム、10 ナビゲーションシステム、100 演算装置、110 地図データ記憶部、120 GPS受信器、130 走行状態検出部、140 ナビ画面、150 スピーカ、160 走行履歴記憶装置、210 インレット、220 コンバータ、230 蓄電装置、240 電池ECU、250 空調装置、260 車両ECU、270 通信モジュール、280 車内LAN、300 サーバ、310 地図データベース、320 道路交通情報取得部、330 気象情報取得部、340 車両データ記憶部、350 走行履歴データベース、360 通信装置。

Claims (14)

  1. 車両の走行可能距離算出システムであって、
    対象車の燃費履歴および電費履歴の一方を含むエネルギー消費履歴を第1のデータとして記憶する第1の記憶装置と、
    前記対象車以外の他の車両の前記エネルギー消費履歴を第2のデータとして記憶する第2の記憶装置と、
    前記第1および第2のデータのうちの少なくとも一方を使用することによって前記対象車の走行可能距離を算出する演算装置とを備え、
    前記演算装置は、前記対象車の走行可能距離を算出する際に、前記第1のデータと前記第2のデータとの使用比率を設定することが可能に構成される、車両の走行可能距離算出システム。
  2. 前記他の車両は、前記対象車と同型の車両を含み、
    前記演算装置は、前記第2のデータのうち前記同型の車両のデータを使用して前記使用比率を設定する、請求項1に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  3. 前記第2の記憶装置は、前記第2のデータを前記他の車両の走行条件毎に記憶し、
    前記走行可能距離算出システムは、前記対象車のユーザが前記走行条件を選択するための画像を表示する表示装置をさらに備え、
    前記演算装置は、前記第2のデータを使用する場合には、前記ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータを使用することによって前記対象車の走行可能距離を算出する、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  4. 前記表示装置は、前記ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータの分布、および、前記ユーザにより選択された走行条件に対応する第2のデータを使用して算出された前記他の車両の走行可能距離の分布のうちの少なくとも一方を表示する、請求項3に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  5. 前記表示装置は、前記表示装置に表示された分布から特定のデータが前記ユーザにより選択された場合、前記特定のデータに対応する車両の走行条件を表示する、請求項4に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  6. 前記表示装置は、前記対象車の実際のエネルギー消費履歴と、前記ユーザによる設定に従って算出されたエネルギー消費履歴との間の乖離が所定レベルを超える場合には、前記乖離が前記所定レベル未満の場合と比べて、前記表示装置に表示される分布の表示範囲を拡大する、請求項4に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  7. 前記対象車のユーザが前記使用比率を調整するためのバーを表示する表示装置をさらに備える、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  8. 前記演算装置により算出された前記対象車の走行可能距離の最新の値を表示する表示装置をさらに備える、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  9. 前記演算装置は、前記対象車の走行経路が設定されていない場合であっても、前記対象車が前記対象車から所定範囲内を走行するときの走行可能距離を算出する、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  10. 前記演算装置は、前記対象車の走行条件に応じて前記対象車の走行可能距離を算出し、
    前記走行条件は、前記対象車の走行期間、外気温、アクセルワーク、空調装置の使用量および乗員数のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  11. 前記対象車は、車室内の空調を行う空調装置をさらに備え、
    前記演算装置は、前記対象車の実際の走行可能距離が、前記第2のデータのうち前記対象車のユーザが設定した走行条件により絞り込まれたデータを使用することによって算出された前記対象車の目標走行可能距離に近づくように、前記空調装置の消費電力量を抑制する、請求項1または2に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  12. 前記第2の記憶装置は、前記対象車の外部かつ前記他の車両の外部に設けられるデータセンタに備えられ、
    前記対象車は、前記第1の記憶装置を含み、前記第1のデータを前記データセンタに送信し、
    前記データセンタは、前記使用比率を設定するサーバを含む、請求項1〜11のいずれか1項に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  13. 前記対象車は、定期的または所定条件成立時に前記第1のデータを前記データセンタに送信する、請求項12に記載の車両の走行可能距離算出システム。
  14. 車両の走行可能距離算出方法であって、
    対象車の燃費履歴および電費履歴の一方をエネルギー消費履歴として含む第1のデータと、前記対象車以外の他の車両の前記エネルギー消費履歴を含む第2のデータとのうちの少なくとも一方を使用することによって前記対象車の走行可能距離を算出するステップを含み、
    前記算出するステップは、前記対象車の走行可能距離を算出する際に、前記第1のデータと前記第2のデータとの使用比率を設定するステップを含む、車両の走行可能距離算出方法。
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