以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
[第1の実施形態]
以下、タンデム方式といわれる二次転写機構を有する電子写真方式の画像形成装置を例に説明する。尚、以下で用いる「画像形成」と「印刷」の用語は同義である。
図1は、本実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す図である。図1において、画像形成装置100は、中間転写ユニットと、各色の作像装置20と、露光部21と、二次転写ユニット22と、定着ユニット25とを有する。
中間転写ユニットは、無端ベルトである中間転写ベルト10と、3つの支持ローラ14〜16と、中間転写体クリーニングユニット17とを有する。中間転写ベルト10は支持ローラ14〜16に掛け回され、時計回りに回転する。中間転写体クリーニングユニット17は、第2の支持ローラ15と第3の支持ローラ16の間に設けられ、画像を転写後に中間転写ベルト10の表面に残留する残留トナーを除去する。
作像装置20は、第1の支持ローラ14と第2の支持ローラ15との間に設置される。また、作像装置20は、中間転写ベルト10の搬送方向に、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの順に設置される。
作像装置20は、クリーニングユニットと、帯電ローラ18と、除電器と、現像器と、感光体ドラムとを、色ごとに有し、各色の作像を行う。なお、作像装置20は、画像形成装置100に対して脱着が可能であってもよい。
露光部21は、作像装置20の上方に設けられる。露光部21は、画像形成を行うために、各色の感光体ドラム40に、光源であるLEDA(Light Emitting Diode Array)ヘッドから光を照射し、露光する。但し、露光用の光源は、LEDに代えてレーザを用いても構わない。
二次転写ユニット22は、中間転写ベルト10の下方に設けられ、2つのローラ23と、二次転写ベルト24とを有する。二次転写ベルト24は、無端ベルトである。また、二次転写ベルト24は、2つのローラ23に掛けられ、回転する。ローラ23及び二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を押し上げて、第3支持ローラ16に押し当てるように設置される。
二次転写ベルト24は、中間転写ベルト10の上に形成される画像を記録媒体Pに転写する。尚、記録媒体Pは例えば紙又はプラスチックシート等である。
定着ユニット25は、二次転写ユニット22の横に設置される。トナー画像が転写された記録媒体Pが定着ユニット25に送られ、定着ユニット25は、画像を記録媒体Pに定着させる。また、定着ユニット25は、定着ベルト26と、加圧ローラ27とを有する。定着ベルト26は無端ベルトである。定着ベルト26及び加圧ローラ27は、定着ベルト26に、加圧ローラ27を押し当てるように設置される。また、定着ユニット25は、加熱を行う。
シート反転ユニット28は、二次転写ユニット22及び定着ユニット25の下方に設置される。シート反転ユニット28は、送られる記録媒体Pの表面と裏面を反転させる。尚、シート反転ユニット28は、表面に画像形成した後、裏面に画像形成する場合に用いられる。
自動給紙装置(ADF;Auto Document Feeder)400は、操作パネルが有するスタートボタンが押され、かつ、給紙台30の上に記録媒体Pがある場合には、記録媒体Pを原稿台としてのコンタクトガラス32の上へ搬送する。一方で、自動給紙装置400は、給紙台30の上に記録媒体Pがない場合には、ユーザによって置かれるコンタクトガラス32の上の記録媒体Pを読み取るために、画像読取装置300を起動させる。
画像読取装置300は、第1キャリッジ33と、第2キャリッジ34と、結像レンズ35と、CCD(Charge Coupled Device)36と、光源とを有する。画像読取装置300は、コンタクトガラス32の上の記録媒体Pを読み取るために、第1キャリッジ33及び第2キャリッジ34を動作させる。
第1キャリッジ33が有する光源から、コンタクトガラス32に向かって光が発せられ、光はコンタクトガラス32の上の記録媒体Pで反射する。
第1キャリッジ33にある第1ミラーは、記録媒体Pでの反射光を第2キャリッジ34に向かって反射する。第2キャリッジ34に入射し、反射した光は、結像レンズ35により、読み取りセンサであるCCD36の撮像面で結像する。
画像形成装置100は、CCD36が出力する電気信号に基づいて、Y、M、C及びKの各色の画像データを取得する。
画像形成装置100は、操作パネルが有するスタートボタンが押される場合、PC(Personal Computer)等の外部装置から画像形成の指示がある場合、又はファクシミリの出力指示がある場合には、中間転写ベルト10の回転を開始する。
中間転写ベルト10の回転が開始されると、作像装置20は、作像プロセスを開始する。トナー画像が転写された記録媒体Pは、定着ユニット25に送られる。次に、定着ユニット25が定着のプロセスを行うと、記録媒体に画像が形成される。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42と、給紙ユニット43と、分離ローラ45と、搬送コロユニット48とを有している。また、給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44を有し、搬送コロユニット48は、搬送ローラ47を有する。
給紙テーブル200は、給紙ローラ42のうち、1つの給紙ローラを選択する。次に、給紙テーブル200は、選択される給紙ローラ42を回転させる。
給紙ユニット43は、複数の給紙トレイ44のうち、1つの給紙トレイを選択し、給紙トレイ44から記録媒体Pを送る。次に、送り出された記録媒体Pは、分離ローラ45によって1枚に分離され、搬送路46に送られる。続いて、搬送路46では、搬送ローラ47によって記録媒体Pが画像形成装置100に送られる。
画像形成装置100に送られる記録媒体Pは、給紙路53を介してレジストローラ49へ送られる。次に、レジストローラ49へ送られた記録媒体Pは、レジストローラ49に突き当てて止められる。続いて、記録媒体Pは、トナー画像が二次転写ユニット22に進入する際に、二次転写ユニット22に送られる。
なお、記録媒体Pは、手差しトレイ51から送られてもよい。手差しトレイ51から記録媒体Pが送られる場合、画像形成装置100は、給紙ローラ50を回転させる。次に、給紙ローラ50は、手差しトレイ51上にある複数の媒体から1枚の記録媒体Pを分離させる。続いて、給紙ローラ50は、分離させた記録媒体Pを給紙路53へ送る。さらに、給紙路53へ送られる記録媒体Pは、レジストローラ49へ送られる。また、記録媒体Pがレジストローラ49へ送られた以降の処理は、例えば、給紙テーブル200から記録媒体Pを送る場合と同様である。
記録媒体Pは、定着ユニット25によって定着が行われ、排出される。また、定着ユニット25から排出される媒体は、切換爪55によって、排出ローラ56に送られる。次に、排出ローラ56は、送られる記録媒体Pを排紙トレイ57に送り、排紙する。
切換爪55は、定着ユニット25から排出された記録媒体Pをシート反転ユニット28に送ってもよい。シート反転ユニット28は、送られてきた記録媒体Pの表面と裏面を反転させる。反転させられた記録媒体Pは、表面と同様に裏面に画像形成が行われ、排紙トレイ57へ送られる。
次に、本実施形態の露光部21について、図2を参照して説明する。図2は、本実施形態の露光部と感光体ドラムとの配置を示す図である。
図2に示されるように、露光部21は、イエロー用のLEDAヘッド210Yと、シアン用のLEDAヘッド210Cと、マゼンタ用のLEDAヘッド210Mと、ブラック用のLEDAヘッド210Kとを有する。LEDAヘッド210Yはロッドレンズアレイ等を介して感光体ドラム40Yを露光する。同様に、LEDAヘッド210Cはロッドレンズアレイ等を介して感光体ドラム40Cを露光する。LEDAヘッド210Mはロッドレンズアレイ等を介して感光体ドラム40Mを露光する。LEDAヘッド210Kはロッドレンズアレイ等を介して感光体ドラム40Kを露光する。
以下では、LEDAヘッド210Y、210C、210M、及び210Kを、総称してLEDAヘッド210と称する場合がある。
図3は、LEDAヘッド210Yの構成の一例を示す図である。尚、図3では、イエロー用のLEDAヘッド210Yを例に説明するが、他の色のLEDAヘッド210C、210M、及び210Kも同様の構成である。
図3は、LEDAヘッド210Yに含まれる光源であるLEDAの照射面を照射方向から表示している。図3に示されるように、LEDAヘッド210Yでは、基板211Y上に複数のLEDA212Yが配列する。LEDA212Yの配列方向は、感光体ドラム40Yの軸方向、即ち主走査方向に該当する。
LEDA212Yは、発光素子であるLED素子が、主走査方向に複数配列した発光素子アレイである。LEDA212Yに含まれる各LED素子が1画素分の照射を行う。
また、基板211Yの内部には、各LEDA212Yを発光駆動する複数のICドライバ213Yが設置される。LEDA212Yのそれぞれに対応して、ICドライバ213Yが設けられている。
露光部21に含まれるLEDA制御部は、LEDAヘッド210Yにおいて主走査方向に配列されている各LED212Yの点灯/消灯を制御する。LEDA制御部は、画像形成装置100の有するプリンタコントローラから入力された画像データに基づいて、主走査方向の1ライン毎に制御する。これにより感光体ドラム40Yの表面を選択的に露光し、静電潜像を形成する。
LEDAヘッド210では、LED素子毎の形状、特性等のばらつきや、LED素子の配列に微小なズレや、ロッドレンズアレイの光学特性の周期的又は非周期的な変化等がある場合がある。これに起因し、LEDAヘッドを露光部に用いる画像形成装置では、LED素子の配列方向と交差する方向に延びる縦スジ、縦帯等の画像濃度ムラが、形成された画像に発生する場合がある。
図4は、このような画像濃度ムラの一例を説明する図である。図4の横軸は、記録媒体Pにおける主走査方向の位置を示している。縦軸は、記録媒体Pに形成された画像の濃度を示している。
画像濃度ムラが無い場合、実線81に示されるように主走査方向の位置によらず、一定の濃度が得られる。画像濃度ムラがあると、破線82に示されるように、主走査方向の位置によって濃度が異なる。図4に示されるような主走査方向の画像濃度ムラが、副走査方向に対して同じように生じると、記録媒体Pに形成された画像には、上述の縦スジ、縦帯等の画像濃度ムラが視認される。
本実施形態では、このような画像濃度ムラを補正する。
本実施形態の画像形成装置100の有する制御部500のハードウェア構成の一例を、図5を参照して説明する。図5に示すように、制御部500は、CPU(Central Processing Unit)501と、ROM(Read Only Memory)502と、RAM(Random Access Memory)503と、メモリ504とを備える。これらはシステムバス505を介して相互に電気的に接続されている。
CPU501は、制御部500の動作を統括的に制御する。CPU501は、RAM503をワークエリア(作業領域)として、ROM502又はメモリ504等に格納されたプログラムを実行することで、制御部500全体の動作を制御し、後述する各種機能を実現する。
メモリ504は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等である。制御部500は、特許請求の範囲に記載された「制御手段」の一例である。
図6は、本実施形態の画像形成装置の有する制御部500の構成要素を機能ブロックで示す図である。尚、図6に図示される各機能ブロックは概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。各機能ブロックの全部又は一部を、任意の単位で機能的又は物理的に分散・結合して構成することが可能である。各機能ブロックにて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、上述のCPU501にて実行されるプログラムにて実現され、或いはワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
制御部500は、濃度検出用画像出力部510と、位置指令部511と、濃度検出用画像入力部512と、濃度ムラ補正部513と、位置取得部514と、異常判定部515とを有する。
濃度検出用画像出力部510は、画像形成装置100の備えるLEDAヘッド210等に電気的に接続する。濃度検出用画像出力部510は、画像濃度ムラを補正するために、濃度検出用画像の画像データをLEDAヘッド210に出力する。濃度検出用の画像は、例えば、主走査方向に亘って同一の色を有する所謂ベタ画像である。或いはベタ画像に代えて、ハーフトーン画像等であってもよい。
画像形成装置100が画像濃度ムラを生じさせる場合、画像形成装置100でベタ画像等の濃度検出用画像を記録媒体Pに形成すると、画像濃度ムラが発生する。そのため、記録媒体Pの濃度検出用画像の画像濃度を検出することで、画像形成装置100が生じさせる画像濃度ムラを把握することができる。
濃度検出用画像出力部510の出力した濃度検出用画像は、例えば、画像形成装置100の有するプリンタコントローラが通常の画像形成を行う場合と同様に、LEDAヘッド210、作像装置20等を動作させることで、記録媒体Pに画像形成される。濃度検出用画像出力部510と、画像形成装置100の有するプリンタコントローラ等は、「濃度検出用画像形成手段」の一例である。
位置指令部511は、濃度検出用画像出力部510に対して、画像形成毎に、濃度検出用画像の形成位置を変化させる指令を出力する。このような変化は、例えば、主走査方向と直交する方向、即ち副走査方向における変化である。尚、本実施形態において、記録媒体Pが搬送される搬送方向と、副走査方向は同義である。
図7は、位置指令部511からの指令に応じて形成位置が変化された濃度検出用画像の一例を示す図である。図の左右方向は主走査方向で、上下方向は副走査方向である。
図7において、ベタ画像61は、N−1回目の画像形成において形成された濃度検出用画像である。一方、ベタ画像62は、N回目の画像形成において形成された濃度検出用画像である。図7では、同じ記録媒体Pにベタ画像61とベタ画像62が形成されているように表示されているが、実際にはN−1回目の記録媒体にベタ画像61が形成され、N−1回目の記録媒体とは異なるN回目の記録媒体にベタ画像62が形成されている。ベタ画像61とベタ画像62では、例えば、主走査方向の100ライン(ドット)分だけ、副走査方向に画像形成位置がずれている。
図6に戻り、位置指令部511は、このように、画像形成毎に副走査方向で形成位置の異なる画像を形成するように、濃度検出用画像出力部510に対して指令を出力する。濃度検出用画像出力部510は、指令に応じ、副走査方向に形成位置が異なる濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。画像データに応じて、記録媒体Pに濃度検出用画像が形成される。
また、位置指令部511は、副走査方向において変化させた画像形成位置のデータをメモリ504に記憶させる。
濃度検出用画像入力部512は、画像形成装置100の備える画像読取装置300等に電気的に接続する。画像読取装置300は、画像読取装置300のコンタクトガラス32にセットされた記録媒体Pの濃度検出用画像を読み取り、濃度検出用画像入力部512に出力する。濃度検出用画像入力部512は、濃度検出用画像を入力する。
画像読取装置300のコンタクトガラス32への記録媒体Pのセットは、例えばユーザが行う。或いは、濃度検出用画像入力部512が、画像形成装置100の有するプリンタコントローラを介して、記録媒体Pをコンタクトガラス32まで搬送し、画像読取装置300が濃度検出用画像を読み取るように制御してもよい。
濃度検出用画像入力部512は、濃度検出用画像の画像データを、濃度ムラ補正部513と位置取得部514にそれぞれ出力する。濃度検出用画像入力部512と、画像読取装置300等は、「読取手段」の一例である。
位置取得部514は、入力された濃度検出用画像の画像データに基づき、記録媒体Pにおける濃度検出画像の副走査方向の形成位置を取得し、メモリ504に記憶させる。
図8は、位置取得部514が取得する濃度検出用画像の位置の一例を示す図である。図8において、原点71は読み取った画像の位置を座標で表すために設定される原点である。位置取得部514は、読み取った画像の位置として、図示されている位置72を取得する。位置72は、原点71に対する座標値で表現される。座標73はX座標であり、座標74はY座標である。
図9は、画像形成毎に異なる濃度検出用画像の形成位置を、位置取得部514が取得した結果を示す図である。左の列に画像形成された記録媒体Pの枚数が示され、中央の列に、X方向(主走査方向)における位置がX座標値として示され、右の列にY方向(副走査方向)における位置がY座標値として示されている。X座標、及びY座標の単位は、ドット数である。
X座標値は、記録媒体Pへの画像形成毎に変化せず、15000ドットで一定である。Y座標値は画像形成毎に異なり、100ドットずつ変化している。このように副走査方向に変化する濃度検出用画像の形成位置が、位置取得部514により取得される。
尚、本実施形態では、濃度検出用画像の形成位置を副走査方向に変化させる例を示すが、主走査方向に変化させてもよい。この場合は、Y座標値は一定で、画像形成毎に異なるX座標値が位置取得部514により取得される。
図6に戻り、異常判定部515は、メモリ504を参照し、位置指令部511により記憶された形成位置と、位置取得部514により記憶された形成位置とを取得する。異常判定部515は、両者を比較し、一致するかの判定を行う。異常判定部515は、一致する場合は「正常」と判定し、一致しない場合は「異常」と判定する。
この場合の「異常」とは、例えば、濃度検出用画像の形成された記録媒体Pが、間違った方向にセットされたことを意味する。濃度検出用画像が形成された記録媒体Pが画像読取装置300に正しい方向にセットされれば、濃度検出用画像を形成した時と、濃度検出用画像を読み取った時で、記録媒体Pにおける濃度検出用画像の副走査方向の形成位置は等しくなる。
一方、副走査方向において記録媒体Pが画像読取装置300のコンタクトガラス32に誤った方向、例えば反対向きにセットされると、濃度検出用画像を形成した時と、濃度検出用画像を読み取った時で、記録媒体Pにおける濃度検出用画像の副走査方向の形成位置は異なる。このように記録媒体Pが誤った方向にセットされた時、異常判定部515は「異常」と判定する。
このように異常判定部515は、濃度検出用画像の形成位置を比較して、異常を判定する。異常判定部515は、判定結果を濃度ムラ補正部513に出力する。
濃度ムラ補正部513は、異常判定部515による判定結果が「正常」である場合、画像濃度ムラ補正処理の実行を決定し、濃度検出用画像入力部512が入力した濃度検出用画像に基づき、画像濃度ムラの補正値を算出する。例えば、画像濃度ムラを打ち消すように、LEDAヘッド210の主走査方向の位置に応じた露光強度分布が算出される。
次に濃度ムラ補正部513は、算出した補正値をLEDAヘッド210に転送する。LEDAヘッド210は、転送された画像濃度ムラの補正値をROM214に記憶させる。LEDAヘッド210は、画像形成時にROM214を参照して、ICドライバ213を駆動する。LEDAヘッド210が補正値に応じた露光強度分布で露光することで、画像濃度ムラは補正される。
一方、異常判定部515による判定結果が「異常」である場合、濃度ムラ補正部513は、画像濃度ムラ補正処理の中止を決定し、画像濃度ムラ補正処理を実行しない。
図10は、本実施形態の濃度検出用画像形成のための処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、位置指令部511は、画像形成毎に、副走査方向において形成位置を変化させて濃度検出用画像を形成するように、濃度検出用画像出力部510に対して指令を出力する(ステップS101)。
次に、位置指令部511は、副走査方向において変化させた濃度検出用画像の画像形成位置のデータをメモリ504に記憶させる(ステップS102)。
次に濃度検出用画像出力部510は、位置指令部511からの指令に応じ、副走査方向の位置を変化させて濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。LEDAヘッド210等は、画像データに応じて濃度検出用画像を形成する(ステップS103)。
このようにして、画像形成毎に副走査方向に形成位置が異なる濃度検出用画像が記録媒体Pに形成される。また画像形成毎に異なる画像形成位置がメモリ504に記憶される。
図11は、本実施形態の濃度検出用画像の読み取りのための処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、記録媒体Pが画像読取装置300のコンタクトガラス32にセットされる(ステップS111)。
次に、画像読取装置300は、記録媒体Pに形成された濃度検出用画像を読み取る。濃度検出用画像入力部512は、読み取られた濃度検出用画像を入力する(ステップS112)。濃度検出用画像入力部512は、濃度検出用画像の画像データを、濃度ムラ補正部513と位置取得部514にそれぞれ出力する。
次に、位置取得部514は、入力された濃度検出用画像の画像データに基づき、濃度検出用画像の位置を取得する(ステップS113)。位置取得部514は、取得した位置を、「今回読み取った濃度検出用画像の位置」として、メモリ504に記憶させる。
次に、異常判定部515は、メモリ504を参照し、メモリ504に記憶された「最後に形成した濃度検出用画像の位置」を取得する(ステップS114)。「最後に形成した濃度検出用画像の位置」とは、換言すると、「最新に形成した濃度検出用画像の位置」である。
次に、異常判定部515は、メモリ504を参照し、メモリ504に記憶された「今回読み取った濃度検出用画像の位置」と「最後に形成した濃度検出用画像の位置」を取得し、両者のY座標値を比較する(ステップS115)。
両者のY座標値が一致する場合は(ステップS115、Yes)、異常判定部515は、今回読み取った濃度検出用画像は「正常」と判定する。異常判定部515は、例えば、記録媒体Pは正しい方向にセットされていると判定する。異常判定部515は、「正常」の判定結果を濃度ムラ補正部513に出力する(ステップS116)。
濃度ムラ補正部513は、「正常」の判定結果を受け、画像濃度ムラ補正処理を実行することを決定する(ステップS117)。
一方、今回読み取った濃度検出用画像の位置のY座標値と、最後に形成した濃度検出用画像の位置のY座標値が一致しない場合(ステップS115、No)、異常判定部515は、今回読み取った濃度検出用画像は「異常」と判定する。異常判定部515は、例えば、記録媒体Pは間違った方向にセットされていると判定する。異常判定部515は、「異常」の判定結果を濃度ムラ補正部513に出力する(ステップS118)。
濃度ムラ補正部513は、「異常」の判定結果を受け、画像濃度ムラ補正処理を中止することを決定する(ステップS119)。
このようにして、記録媒体Pに形成された濃度検出用画像が読み取られ、また画像濃度ムラ補正処理の実行、又は中止が決定される。
図12は、本実施形態の濃度ムラ補正部513による処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、濃度ムラ補正部513は、濃度検出用画像入力部512から受け取った濃度検出用画像に基づき、画像濃度ムラの補正値を算出する(ステップS122)。補正値は、例えば、LEDAヘッド210の主走査方向の位置に応じた露光強度分布である。
次に、濃度ムラ補正部513は、算出した補正値をLEDAヘッド210に転送する。LEDAヘッド210は、転送された画像濃度ムラの補正値をROM214に記憶させる。LEDAヘッド210は、画像形成時にROM214を参照して、ICドライバ213を駆動する。LEDAヘッド210が補正値に応じた露光強度分布で露光し、画像形成する(ステップS124)。
このようにして、画像濃度ムラが補正された画像形成が行われる。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、位置指令部511の指令に応じて濃度検出用画像出力部510は、画像形成毎に形成位置を変化させた濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。位置取得部514は、濃度検出用画像の位置を取得する。異常判定部515は取得された位置に基づき、記録媒体Pが正しい方向にセットされたかを判定する。正しい方向なら「正常」で、間違った方向なら「異常」である。目印画像等の追加の画像を形成せず、濃度検出用画像のみで上記判定を行うため、目印画像等の形成にトナーを消費することなく、濃度検出用画像の形成された記録媒体が、間違った方向にセットされることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、画像形成毎に、濃度検出用画像の形成位置が異なるため、異常判定部515は取得された位置に基づき、最新の濃度検出用画像であるかを判定することができる。最新の濃度検出用画像であれば「正常」で、最新でなければ「異常」である。これにより画像濃度ムラの補正値を算出するにあたり、読み取った画像が正常な濃度検出用画像であるかを判定でき、画像濃度ムラの補正を正常に行うことができる。
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態を、図13〜15を参照して説明する。なお、第1の実施形態において、既に説明した実施形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
ハーフトーン等の濃度検出用画像の濃度に応じて、LEDAヘッド等の光源の光量に対する感度は異なる。そのため、より高精度に画像濃度ムラ補正を行うために、複数の濃度のハーフトーンの濃度検出用画像を形成してそれぞれに対する補正値を求めておき、画像形成時に、画像データの濃度に応じて適正な補正値を選択して用いる場合がある。
本実施形態では、このように、画像濃度が異なる複数の濃度検出用画像を用いて画像濃度ムラ補正を行う場合に、記録媒体Pに形成された複数の濃度検出用画像の形成順序を、画像形成毎に変化させる。この形成順序に基づき、記録媒体Pが正しい方向にセットされたか、或いは濃度検出用画像が最新のものかどうかを判定する。尚、複数の濃度検出用画像を、以下では「濃度検出用画像群」と称する。濃度検出用画像は、濃度検出用画像群を構成する個々の濃度検出用画像を意味するものとする。
図13は、本実施形態の画像形成装置の有する制御部500aの構成要素を機能ブロックで示す図である。制御部500aは、順序指令部521と、順序取得部522とを有する。
順序指令部521は、濃度検出用画像出力部510に対して、画像形成毎に濃度検出用画像群における濃度検出用画像の形成順序を変化させる指令を出力する。このような変化は、例えば、主走査方向と直交する方向、即ち副走査方向における変化である。
図14は、順序指令部521からの指令に応じて、形成順序が変化された濃度検出用画像群の一例を示す図である。図7と同様に、図の左右方向は主走査方向であり、上下方向は副走査方向である。図14では、画像濃度が異なる3つの濃度検出用画像が形成されている。各濃度検出用画像は、主走査方向において濃度が均一なベタ画像、又はハーフトーン画像である。
(a)は、N−1回目に形成された濃度検出用画像群131である。濃度検出用画像群131は、濃画像131aと、中濃画像131bと、薄画像131cとを有する。形成の順序は、上から濃画像131a、中濃画像131b、薄画像131cの順である。
一方(b)は、N回目に形成された濃度検出用画像群132である。(a)と同様に、濃度検出用画像群132は、濃画像132aと、中濃画像132bと、薄画像132cとを有する。しかし形成順序は、上から薄画像132c、中濃画像132b、濃画像132aの順で、(a)とは順序が異なっている。
画像形成の順序を順序データとして示す場合、例えば濃画像を「1」とし、中画像を「2」とし、薄画像を「3」として、数字の並びを変化させる。(a)の場合、順序データは「123」であり、(b)の場合、順序データは「321」である。
尚、本実施形態では、濃度を3通りに異なる例を示すが、これに限定はされない。濃度をさらに細かく分け、濃度検出用画像群を構成する濃度検出用画像の数をさらに増やしてもよい。
図13に戻り、順序指令部521は、このように、画像形成毎に濃度検出用画像群における濃度検出用画像の形成順序を変化させる指令を、濃度検出用画像出力部510に対して出力する。濃度検出用画像出力部510は、指令に応じ、副走査方向に形成順序が異なる濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。画像データに応じて、記録媒体Pに濃度検出用画像群が形成される。
また、順序指令部521は、変化させた画像形成の順序データをメモリ504に記憶させる。
順序取得部522は、入力された濃度検出用画像の画像データに基づき、濃度検出用画像群における濃度検出用画像の形成の順序データを取得し、メモリ504に記憶させる。
異常判定部515は、順序指令部521により記憶された順序データと、順序取得部522により記憶された順序データとを比較し、両者が一致するかを判定する。異常判定部515は、一致する場合は「正常」と判定し、一致しない場合は「異常」と判定する。
図15は、本実施形態の濃度検出用画像形成のための処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、順序指令部521は、画像形成毎に、副走査方向において形成順序を変化させて濃度検出用画像を形成するように、濃度検出用画像出力部510に対して指令を出力する(ステップS151)。
次に、順序指令部521は、副走査方向において変化させた濃度検出用画像の画像形成の順序データをメモリ504に記憶させる(ステップS152)。
次に濃度検出用画像出力部510は、順序指令部521からの指令に応じ、副走査方向の形成順序を変化させて濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。LEDAヘッド210等は、画像データに応じて濃度検出用画像を形成する(ステップS153)。
このようにして、記録媒体Pに、画像形成毎に副走査方向に形成順序が異なる濃度検出用画像が形成される。また画像形成毎に異なる形成順序が、メモリ504に記憶される。
図16は、本実施形態の濃度検出用画像の読み取りのための処理の一例を示すフローチャートである。
先ず、記録媒体Pが画像読取装置300のコンタクトガラス32にセットされる(ステップS161)。
次に、画像読取装置300は、記録媒体Pに形成された濃度検出用画像を読み取る。濃度検出用画像入力部512は、読み取られた濃度検出用画像を入力する(ステップS162)。濃度検出用画像入力部512は、濃度検出用画像の画像データを濃度ムラ補正部513と位置取得部514に出力する。
次に、順序取得部522は、入力された濃度検出用画像の画像データに基づき、濃度検出用画像の順序データを取得する(ステップS163)。順序取得部522は、取得した順序データを、「今回読み取った濃度検出用画像の順序データ」として、メモリ504に記憶させる。
次に、異常判定部515は、メモリ504を参照し、メモリ504に記憶された「最後に形成した濃度検出用画像の順序データ」を取得する(ステップS164)。「最後に形成した濃度検出用画像の順序データ」とは、換言すると、「最新に形成した濃度検出用画像の順序データ」である。
次に、異常判定部515は、メモリ504を参照し、メモリ504に記憶された「今回読み取った濃度検出用画像の順序データ」と「最後に形成した濃度検出用画像の順序データ」を取得し、両者を比較する(ステップS165)。
両者が一致する場合は(ステップS165、Yes)、異常判定部515は、今回読み取った濃度検出用画像は「正常」と判定する。異常判定部515は、例えば、記録媒体Pは正しい方向にセットされていると判定する。異常判定部515は、「正常」の判定結果を濃度ムラ補正部513に出力する(ステップS166)。
濃度ムラ補正部513は、「正常」の判定結果を受け、画像濃度ムラ補正処理を実行することを決定する(ステップS167)。
一方、今回読み取った濃度検出用画像の順序データと、最後に形成した濃度検出用画像の順序データが一致しない場合(ステップS165、No)、異常判定部515は、今回読み取った濃度検出用画像は「異常」と判定する。異常判定部515は、例えば、記録媒体Pは間違った方向にセットされていると判定する。異常判定部515は、「異常」の判定結果を濃度ムラ補正部513に出力する(ステップS168)。
濃度ムラ補正部513は、「異常」の判定結果を受け、画像濃度ムラ補正処理を中止することを決定する(ステップS169)。
このようにして、記録媒体P形成された濃度検出用画像が読み取られ、また画像濃度ムラ補正処理の実行、又は中止が決定される。
以上説明してきたように、本実施形態によれば、順序指令部521の指令に応じて濃度検出用画像出力部510は、画像形成毎に形成順序を変化させた濃度検出用画像の画像データを生成し、LEDAヘッド210に出力する。順序取得部522は、濃度検出用画像群における濃度検出用画像の順序データを取得する。異常判定部515は取得された順序データに基づき、記録媒体Pが正しい方向にセットされたかを判定する。正しい方向なら「正常」で、間違った方向なら「異常」である。画像濃度が異なる複数の濃度検出用画像を用いて画像濃度ムラ補正を行う場合において、目印画像等の形成にトナーを消費することなく、濃度検出用画像の形成された記録媒体が、間違った方向にセットされることを防止することができる。
また、本実施形態によれば、画像形成毎に、濃度検出用画像の形成順序が異なるため、異常判定部515は取得された順序データに基づき、最新の濃度検出用画像であるかを判定することができる。最新の濃度検出用画像であれば「正常」で、最新でなければ「異常」である。これにより画像濃度が異なる複数の濃度検出用画像を用いて画像濃度ムラ補正を行う場合において、画像濃度ムラの補正値を算出するにあたり、読み取った画像が正常な濃度検出用画像であるかを判定でき、画像濃度ムラの補正を正常に行うことができる。
以上、実施形態に係る画像形成装置、画像形成方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。