JP2019174233A - 電子時計、および高度補正方法 - Google Patents

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【課題】高度を精度良く算出する場合であっても、消費電力を抑える。【解決手段】電子時計Wは、気圧センサー3を備える。電子時計Wは、所定位置の高度から算出される第1気圧と、気圧センサー3が所定時刻に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値cv1を生成する。次に、電子時計Wは、第1補正値cv1に基づいて、高度を算出するために気圧センサー3が測定した第3気圧を補正する。そして、電子時計Wは、補正後の気圧に基づいて、高度を算出する。【選択図】図3

Description

本発明は、電子時計、および高度補正方法に関する。
近年、高度を表示する電子時計が普及している。例えば、特許文献1には、気圧センサーおよびGPS(Global Positioning System)モジュールにより現在位置の高度を測定し、測定した高度を表示する電子時計が開示されている。気圧は時間経過によって変化するため、この電子時計は、気圧センサーが測定した気圧を、GPSモジュールが得た高度に基づいて補正している。
特開2013−72668号公報
しかしながら、上述した従来の電子時計では、高度を精度良く算出するためにGPSモジュールを用いるが、GPSモジュールの消費電力は、気圧センサーの消費電力より大きい。従って、高度を精度良く算出する場合に、気圧センサーのみを用いて高度を測定する場合と比較して、消費電力が大きくなる問題があった。
本発明の好適な態様(第1態様)にかかる電子時計は、気圧センサーと、所定位置の高度から算出される第1気圧と、前記気圧センサーが所定時刻に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値を生成する生成部と、前記第1補正値に基づいて、前記気圧センサーが測定した第3気圧を補正する補正部と、前記補正部が補正した補正後の気圧に基づいて、前記高度を算出する算出部と、を備える。
以上の態様では、第2気圧を測定した所定時刻以降の気圧は、一定期間第1補正値が影響するように変化するとみなせる。例えば、所定時刻において低気圧であれば、一定期間低気圧が継続すると予想できる。この場合、第1補正値は、通常の気圧を基準として低気圧の影響を考慮した値であるとみなせる。従って、以上の態様によれば、第2気圧に影響を与えた低気圧または高気圧の影響を考慮した第1補正値に基づいて第3気圧を補正するため、高度の補正を行わない場合と比較して高度を精度良く算出することが可能になる。さらに、以上の態様では、GPSモジュールを用いずに第3高度の補正を行っているため、高度の補正を行わない場合と比較して高度を精度良く算出する場合であっても、消費電力を抑えることが可能になる。
第1態様の好適例(第2態様)において、所定期間における時刻ごとの気圧の平均値と前記第1気圧との差分、または、所定期間における月ごとの気圧の平均値と前記第1気圧との差分を示す気圧情報を記憶する記憶部を備え、前記補正部は、前記気圧情報を参照して前記第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分、または前記第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分と、前記第1補正値とに基づいて、前記第3気圧を補正する。
一般的に、一日単位の所定時刻ごとの平均的な気圧は、周期的に変化する傾向がある。同様に、一年単位の月ごとの平均的な気圧も、周期的に変化する傾向がある。上述した態様では、気圧情報には、この周期的な変化の傾向が反映されている。従って、上述した態様では、気圧情報を参照することにより、所定時刻ごと、または月ごとに周期的に変化する気圧の傾向を考慮するため、気圧情報を参照しない場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
なお、気圧情報に記載した2つの所定期間は、互いに同一の期間でもよいし、互いに異なる期間でもよい。
第2態様の好適例(第3態様)において、前記第2気圧と前記第1気圧との差分、または前記第3気圧と前記第1気圧との差分に基づいて、前記気圧情報を更新する更新部を備え、前記補正部は、更新後の前記気圧情報を参照して前記第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分または前記第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分と、前記第1補正値とに基づいて、前記第3気圧を補正する。
上述の態様では、更新後の気圧情報には、第2気圧または第3気圧が反映される。すなわち、気圧情報には、気圧情報を更新しない場合と比較して、新しい情報が反映される。従って、以上の態様によれば、新しい情報が反映された更新後の気圧情報を参照して第3気圧を補正するため、気圧情報を更新しない場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
第3態様の好適例(第4態様)において、前記更新部は、前記第1気圧と前記第2気圧との差分が所定値以上である場合、前記気圧情報の値を前記第2気圧および前記第3気圧の測定前後で維持する。
一般的に、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上となる場合とは、所定位置から電子時計が離れている場合、所定位置の高度とは異なる高度で第2気圧を測定した場合、または、台風が接近している等の異常気象時に第2気圧を測定した場合である。気圧情報は、所定位置における通常の気圧変化を想定しているため、所定位置から電子時計が離れている場合、または、所定位置に電子時計があったとしても通常とは異なる異常気象の気圧変化となる場合には、第2気圧を気圧情報に反映させない方がよい。第3気圧を測定した時点でも、第2気圧を測定した状況と同様の状況であると想定できるため、第3気圧も気圧情報に反映させない方がよい。以上の形態によれば、気圧情報に、精度を悪化させる、所定位置から電子時計が離れているときの気圧、および、異常気象の気圧を含めないことができる。従って、上述した態様によれば、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上の場合でも気圧情報を更新する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
第1態様から第4態様の好適例(第5態様)において、前記第1気圧と前記第2気圧との差分が所定値以上である場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する。
以上の態様によれば、第1補正値に基づいて補正した気圧に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値を用いずに高度を算出する。そのため、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上の場合でも第1補正値に基づいて気圧を算出する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
第1態様から第4態様の好適例(第6態様)において、前記算出部は、前記第2気圧を測定したときのタイムゾーンが前記所定位置のタイムゾーンと異なる場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する。
第2気圧を測定したときのタイムゾーンが、所定位置のタイムゾーンと異なる場合、第2気圧を測定した位置が、所定位置から離れていることを示す。所定位置から電子時計が離れている場合には、第1補正値に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると、かえって誤差が大きくなる虞がある。従って、以上の態様によれば、第1補正値に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値を用いずに高度を算出する。そのため、タイムゾーンと異なる場合でも第1補正値に基づいて気圧を算出する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
第1態様から第4態様の好適例(第7態様)において、慣性センサーを備え、前記算出部は、前記第2気圧を測定したときに前記慣性センサーが慣性力を検出した場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する。
第2気圧を測定したときに慣性力を検出した場合、電子時計が移動していることを意味するため、電子時計が所定位置から離れている虞がある。従って、以上の態様によれば、第1補正値に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値を用いずに高度を算出する。そのため、慣性力を検出した場合でも第1補正値に基づいて気圧を算出する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
なお、慣性センサーは、慣性力を検出するのであれば、どのような構成であってもよいが、例えば、加速度センサーとジャイロセンサーとを含む。慣性センサーが加速度センサーである場合、加速度センサーは、電子時計Wにかかる直線的な慣性力に基づいて、加速度を測定する。慣性センサーがジャイロセンサーである場合、電子時計Wにかかるコリオリの力(慣性力の一種)に基づいて、角速度を測定する。
第1態様から第7態様の好適例(第8態様)において、時刻または前記高度を指示する指針を備え、前記指針は、前記算出部が前記補正後の気圧に基づいて前記高度を算出した場合に、第1通知動作を実施する。
以上の態様によれば、ユーザーは、第1通知動作を閲覧することにより、補正された高度であるか否かを把握することが可能になる。
第1態様から第7態様の好適例(第9態様)において、時刻または前記高度を指示する指針を備え、前記指針は、前記算出部が前記第3気圧に基づいて前記高度を算出した場合に、第2通知動作を実施する。
以上の態様によれば、ユーザーは、第2通知動作を閲覧することにより、表示される高度に誤差がある程度含まれる可能性があり、表示される高度が第1補正値によって補正を行った場合と比較して誤差が大きい可能性が高いことを把握することが可能になる。
本発明の好適な態様(第10態様)にかかる高度補正方法は、気圧センサーを備える電子時計が、所定位置の高度から算出される第1気圧と、前記気圧センサーが所定時刻に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値を生成し、前記第1補正値に基づいて、前記気圧センサーが測定した第3気圧を補正し、補正した補正後の気圧に基づいて、前記高度を算出する。
以上の態様によれば、第2気圧に影響を与えた低気圧または高気圧の影響を考慮した第1補正値に基づいて第3気圧を補正するため、高度の補正を行わない場合と比較して高度を精度良く算出することが可能になる。さらに、以上の態様によれば、GPSモジュールを用いずに第3高度の補正を行っているため、高度の補正を行わない場合と比較して高度を精度良く算出する場合であっても、消費電力を抑えることが可能になる。
第1実施形態における電子時計Wを示す平面図。 第1実施形態における電子時計Wの構成図。 第1実施形態における制御部6の構成図。 一日の気圧変化を示す図。 所定値の一例を示す図。 第1実施形態における所定時刻到達時処理のフローチャートを示す図。 第1実施形態における高度表示モードのフローチャートを示す図。 第2実施形態における制御部6の構成図。 第1の態様における気圧情報71を示す図。 第2の態様における気圧情報71を示す図。 第1の態様における気圧情報71を用いた第3気圧の補正方法を示す図。 第2の態様における気圧情報71を用いた第3気圧の補正方法を示す図。 第2実施形態における所定時刻到達時処理のフローチャートを示す図。 第2実施形態における高度表示モードのフローチャートを示す図。 実施例および参考例における補正後の気圧を示す図。
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法および縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
A.第1実施形態
以下、第1実施形態にかかる電子時計Wを説明する。
A.1.電子時計Wの概要
図1に、第1実施形態における電子時計Wを示す平面図を示す。電子時計Wは、操作ボタンAと、操作ボタンBと、操作ボタンCと、竜頭Dと、ベゼルEと、第2バンド部Fと、第1バンド部Gと、表示部10とを有する。図1に示すように、電子時計Wは、時間を計測するアナログ時計である。
図1において、表示部10の表示面における裏面から表面へと向かう方向をz軸正方向とする。そして、z軸に直交する2軸をxy軸とし、表示部10の中心から竜頭Dへの方向をx軸正方向とする。あるいは、表示部10の表示面の法線方向をz軸とし、表示面の中心から第2バンド部Fまたは第1バンド部Gへの方向をy軸、z軸およびy軸と直交する軸をx軸とすることもできる。第2バンド部Fから第1バンド部Gに向かう方向、すなわち、y軸正方向を、「12時方向」と定義する。従って、例えば、y軸負方向が「6時方向」となり、x軸正方向が「3時方向」となる。
操作ボタンA、操作ボタンB、操作ボタンC、および、竜頭Dは、電子時計Wの側面に設けられる。操作ボタンA、操作ボタンB、および操作ボタンCは、ユーザーの押下操作を検出する。竜頭Dは、回転および引き出しが可能な部材である。ベゼルEは、電子時計Wの保護および補強をする部材である。第2バンド部Fおよび第1バンド部Gは、電子時計Wをユーザーの手首に装着するための部材である。
表示部10は、時針11と、分針12と、センター指針13と、ダイヤルリング14と、6時側に設けられた6時側情報表示部20と、2時側に設けられた2時側情報表示部30と、10時側に設けられた10時側情報表示部40と、日にち表示部50と、を有する。ダイヤルリング14には、12時制の目盛り14aが環状に形成される。日にち表示部50は、6時側情報表示部20の6時側に設けられる。
6時側情報表示部20は、文字板21と、モード指針22とを有する。文字板21には、動作モードを表す文字が記載されている。電子時計Wは、動作モードとして、現在時刻を示す時刻表示モードと、タイムゾーンの表示および設定が可能なタイムゾーン設定モードと、高度を示す高度表示モードとを有する。文字板21には、時刻表示モードを表す文字列21a「TIME」と、タイムゾーン設定モードを表す文字列21b「TZ」と、高度表示モードを表す文字列21c「ALT」とが設けられている。
6時側情報表示部20は、モード指針22が文字列21aを指示することにより動作モードが時刻表示モードであることを表示する。また、6時側情報表示部20は、モード指針22が文字列21bを指示することにより動作モードがタイムゾーン設定モードであることを表示する。また、6時側情報表示部20は、モード指針22が文字列21cを指示することにより動作モードが高度表示モードであることを表示する。
A.1.1.時刻表示モードの概要
時刻表示モードでは、電子時計Wは、現在時刻を表示することができる。ユーザーにより操作ボタンAが何度か押下されてモード指針22が文字列21aを指示する場合に、電子時計Wは、動作モードを時刻表示モードに設定する。動作モードを時刻表示モードに設定している場合に、表示部10は、目盛り14aを基準にして、時針11および分針12を用いて、現在時刻の時および分を表示する。さらに、表示部10は、10時側情報表示部40を用いて、現在時刻の秒を表示する。
10時側情報表示部40は、文字板41と、小秒針42とを有している。文字板41には、秒についての目盛り41aが設けられている。目盛り41aには、秒を示す「0」、「15」、「30」、および、「45」、ならびに、「+」および「−」が設けられている。時刻表示モードにおいて、表示部10は、目盛り41aを基準にして、小秒針42を用いて、現在時刻の秒を表示する。
時刻表示モードにおいて、操作ボタンBを所定時間、例えば3秒以上押下されたことを検出すると、GPSモジュール2(図2参照)が起動し、現在の年月日、および現在時刻を取得する。取得した現在の年月日、および現在時刻によって、電子時計Wの内部時刻が修正されるとともに、表示部10は、取得した現在の年月日、および現在時刻を表示する。
A.1.2.タイムゾーン設定モードの概要
タイムゾーン設定モードでは、電子時計Wは、タイムゾーンの表示および設定が可能である。ユーザーにより操作ボタンAが何度か押下されてモード指針22が文字列21bを指示する場合に、電子時計Wは、動作モードをタイムゾーン設定モードに設定する。動作モードをタイムゾーン設定モードに設定している場合に、表示部10は、目盛り14aを基準にして、時針11および分針12を用いて、現在時刻の時および分を表示する。さらに、表示部10は、ベゼルEに設けられた目盛りEaを基準にして、センター指針13を用いて、現在のタイムゾーンを表示する。目盛りEaには、複数のタイムゾーンが示されている。目盛りEaには、例えば、協定世界時(UTC)から時差がないタイムゾーンを示す数字「0」、協定世界時から1時間早い時差を有するタイムゾーンを示す数字「+1」、および、協定世界時から1時間遅い時差を有するタイムゾーンを示す数字「−1」等が記載されている。
タイムゾーン設定モードにおいて、操作ボタンBを所定時間、例えば3秒以上押下されたことを検出すると、GPSモジュール2が起動し、現在位置の緯度および経度を取得する。電子時計Wは、記憶部7(図2参照)に記憶された、緯度および経度とタイムゾーンとの関係を示すタイムゾーン情報を参照して、取得した現在位置の緯度および経度に対応するタイムゾーンを算出し、算出したタイムゾーンの設定を記憶する。
タイムゾーン設定モードにおいて、竜頭Dの一段引き出し操作を行うと、電子時計Wは、タイムゾーンの手動設定を行うことが可能である。竜頭Dの一段引き出し操作を行った後に、竜頭Dの回転操作を受け付けると、竜頭Dの回転操作に応じてセンター指針13が回転する。竜頭Dの押し込み操作を受け付けると、電子時計Wは、センター指針13の現在の向きに応じたタイムゾーンの設定を記憶する。
A.1.3.高度表示モードの概要
高度表示モードでは、電子時計Wは、現在位置の高度を表示することができる。ユーザーにより操作ボタンAが何度か押下されてモード指針22が文字列21cを指示する場合に、電子時計Wは、動作モードを高度表示モードに設定する。高度表示モードでは、表示部10は、センター指針13と、ダイヤルリング14に形成された目盛り14bと、2時側情報表示部30と、10時側情報表示部40とを用いて、高度を表示する。目盛り14bは、目盛り14aの外側に形成された「0」、「10」、「20」、「30」、「40」、および「50」である。
2時側情報表示部30は、文字板31と、数値表示短針32と、数値表示長針33とを有する。文字板31には、0から9が書かれた目盛り31aが設けられている。
目盛り14bの各数値は、高度の「m」の100の位の桁の値、および高度の「m」の1000の位の桁の値として使用される。目盛り31aの各数値は、数値表示短針32に対して高度の「m」の10の位の桁の値として使用され、数値表示長針33に対して高度の「m」の1の位の桁の値として使用される。目盛り41aの「+」および「−」は、高度の正負の符号として使用される。従って、高度表示モードでは、小秒針42が「+」を指示する場合、センター指針13、数値表示短針32、および、数値表示長針33は、センター指針13が指示する数×100m+数値表示短針32が指示する数×10m+数値表示長針33が指示する数×1mによって、現在位置の高度を表示する。同様に、小秒針42が「−」を指示する場合、センター指針13、数値表示短針32、および、数値表示長針33は、(−1)×センター指針13が指示する数×100m+数値表示短針32が指示する数×10m+数値表示長針33が指示する数×1mによって、現在位置の高度を表示する。
例えば、高度が3776mである場合、小秒針42は、「+」を指示し、センター指針13は、「37」を指示し、数値表示短針32は、「7」を指示し、数値表示長針33は、「6」を指示する。
高度表示モードにおいて、竜頭Dの一段引き出し操作を行うと、電子時計Wは、高度補正に用いる高度の設定を行うことが可能である。この設定される高度には、以下に示す2つの条件を満たす必要がある。第1の条件は、高度が予め判明している場所であることである。第2の条件は、所定時刻において、ユーザーがこの場所にほぼ毎日いることである。第1の条件および第2の条件を満たす高度は、例えば、ユーザーの自宅の高度である。所定時刻を午前2時とすると、ユーザーは、通常、高度が判明している自宅内で睡眠中であると考えられるため、第1の条件および第2の条件を満たす。
例えば、電子時計Wは、竜頭Dの一段引き出し操作を行った後に、竜頭Dの回転操作を受け付けると、竜頭Dの回転操作に応じてセンター指針13が回転する。ユーザーは、自宅の高度÷100の値をセンター指針13が指示するように、竜頭Dを回転させる。電子時計Wは、操作ボタンBの押下操作を受け付けると、竜頭Dの回転操作に応じて数値表示短針32および数値表示長針33が回転する。ユーザーは、自宅の高度÷100の余りが、数値表示短針32が指示する数×10m+数値表示長針33が指示する数×1mとなるように、竜頭Dを回転させる。竜頭Dの押し込み操作を受け付けると、電子時計Wは、操作ボタンBの押下操作を受け付けたときのセンター指針13の向き、および、竜頭Dの押し込み操作を受け付けたときの数値表示短針32および数値表示長針33の向きに応じた高度の設定を記憶する。そして、電子時計Wは、下記(1)式に従って、記憶した高度から、気圧を算出する。
Figure 2019174233
P0は、海面気圧であり、例えば、1013.25hPaである。Tは、気温であり、例えば、15度である。Pは、気圧である。hは、高度である。
電子時計Wは、算出した気圧を、所定位置の高度から算出される第1気圧として記憶する。本実施形態では、第1気圧と、所定時刻である午前2時に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値cv1(図11参照)を生成する。次に、電子時計Wは、第1補正値cv1に基づいて、高度を算出するために気圧センサー3が測定した第3気圧を補正する。そして、電子時計Wは、第3気圧を補正した補正後の気圧に基づいて、高度を算出する。
日にち表示部50は、カレンダーの日にちを表示する日車51を有する。
図2に、電子時計Wの構成図を示す。図2において、図1に示したものと同一構成のものには同一符号を付してある。
電子時計Wは、時針11、分針12およびセンター指針13に関する構成として、時針11、分針12、センター指針13、輪列機構201ならびに輪列機構202、ステッピングモーター301ならびにステッピングモーター302、および、モータードライバー401ならびにモータードライバー402を含む。モータードライバー401は、輪列機構201を介して時針11と分針12とを駆動するためにステッピングモーター301を駆動する。モータードライバー402は、輪列機構202を介してセンター指針13を駆動するためにステッピングモーター302を駆動する。
電子時計Wは、6時側情報表示部20に関する構成として、モード指針22、輪列機構203、ステッピングモーター303、および、モータードライバー403を含む。モータードライバー403は、輪列機構203を介してモード指針22を駆動するためにステッピングモーター303を駆動する。
電子時計Wは、2時側情報表示部30に関する構成として、数値表示短針32、数値表示長針33、輪列機構204、ステッピングモーター304、および、モータードライバー404を含む。モータードライバー404は、輪列機構204を介して数値表示短針32および数値表示長針33を駆動するためにステッピングモーター304を駆動する。
電子時計Wは、10時側情報表示部40に関する構成として、小秒針42、輪列機構205、ステッピングモーター305、および、モータードライバー405を含む。モータードライバー405は、輪列機構205を介して小秒針42を駆動するためにステッピングモーター305を駆動する。
電子時計Wは、日にち表示部50に関する構成として、日車51、輪列機構206、ステッピングモーター306、モータードライバー406を含む。モータードライバー406は、輪列機構206を介して日車51を駆動するためにステッピングモーター306を駆動する。
電子時計Wは、さらに、発振回路1と、GPSモジュール2と、気圧センサー3と、加速度センサー4と、制御部6と、記憶部7と、操作ボタンAと、操作ボタンBと、操作ボタンCと、竜頭Dとを含む。
発振回路1は、時刻を計時するために用いられるクロック信号を生成する。クロック信号の周波数は、例えば、32.768kHzである。クロック信号の周波数が分周されて、周波数が1Hzとなったクロック信号が、制御部6に入力される。GPSモジュール2は、位置情報衛星の一つであるGPS衛星からの衛星信号を受信する。
気圧センサー3は、電子時計Wの周辺の気圧を計測する。加速度センサー4は、電子時計Wにかかる直線的な慣性力を検出し、検出した慣性力に基づいて、電子時計Wの加速度を計測する。加速度センサー4は、「慣性センサー」の一例である。
記憶部7は、読み書き可能な不揮発性の記録媒体である。記憶部7は、例えば、フラッシュメモリーである。記憶部7は、フラッシュメモリーに限らず適宜変更可能である。記憶部7は、例えば、制御部6が実行するプログラムを記憶する。
制御部6は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のコンピューターである。制御部6は、電子時計Wの全体の制御を司る。制御部6の構成について、図3を用いて説明する。
A.2.第1実施形態にかかる制御部6の構成
図3に、制御部6の構成図を示す。制御部6は、記憶部7に記憶されたプログラムを読み取り実行することにより、生成部61と、補正部62と、算出部63と、表示制御部64とを実現する。生成部61、補正部62、算出部63、および表示制御部64の処理結果は、記憶部7に記憶される。以下、現在時刻が所定時刻に到達した場合に実施される所定時刻到達時処理と、動作モードが高度表示モードに設定された場合の処理とについて、制御部6の構成を説明する。
A.2.1.所定時刻到達時処理における制御部6の構成
現在時刻が所定時刻に到達した場合、気圧センサー3は、第2気圧を測定する。所定時刻は、午前2時が好ましい。午前2時が好ましい理由について、図4を用いて説明する。
図4に、一日の気圧変化を示す。図4に示すグラフg1は、1日の気圧変化を示す。グラフg1の横軸は、時刻であり、グラフg1の縦軸は、気圧である。グラフg1内に示す気圧変化特性g1_1が、一日の気圧変化の特性である。以下に示すグラフでは、表示の簡略化のため、時刻を24時制で示すが、説明では、時刻を明確に示すために、午前または午後を付与した12時制で示す。
平均pavgが、年間の気圧の平均値を示す。図4に示すように、午前2時の気圧は、平均pavgに近づいている。平均値から離れた気圧を用いて補正すると、平均値からの差分が日によって変動するので、平均値に近い気圧を用いて補正することが好ましい。従って、午前2時に測定した気圧を用いて補正することが好ましい。なお、図4では、午前6時、午前11時、午後8時、または午後11時等の気圧も、平均pavgに近づいている。しかしながら、午前6時、午前11時、午後8時、または午後11時では、ユーザーが自宅から外出しており、午前2時と比較して、第1気圧を測定した高度とは異なる高度の位置に電子時計Wが存在する可能性が高い。従って、午前2時に測定した気圧を用いて補正することが好ましい。
説明を図3に戻す。
生成部61は、記憶部7に記憶された第1気圧と、気圧センサー3が測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値cv1を生成する。第1補正値cv1の生成方法は、例えば、以下に示す2つの方法がある。
第1の方法において、生成部61は、第2気圧から第1気圧を減じた値を、第1補正値cv1として生成する。第2の方法において、生成部61は、第2気圧を第1気圧で除した値を、第1補正値cv1として生成する。以下の説明では、生成部61が、第1の方法を用いて第1補正値cv1を生成した場合を例にして説明する。生成部61は、生成した第1補正値cv1を記憶部7に保存する。
A.2.2.高度表示モードにおける制御部6の構成
高度表示モードにおいて、高度を表示するため、補正部62は、気圧センサー3が測定した第3気圧を取得する。補正部62は、第1補正値cv1に基づいて、第3気圧を補正する。補正の考え方としては、例えば、第2気圧が高気圧である場合、第3気圧も高気圧となっていると予想できるため、第3気圧から、高気圧から通常の気圧を減じた値、すなわち第1補正値を減ずればよい。
従って、補正部62は、第3気圧から第1補正値cv1を減じて得られる値を、補正後の気圧として設定する。例えば、第1気圧が943hPaであり、第2気圧が945hPaである場合、生成部61は、第1補正値cv1を、945−943=2hPaと生成する。そして、第3気圧が942hPaである場合、補正部62は、942−(+2)=940hPaであると補正する。
算出部63は、補正部62が補正した補正後の気圧、または、第3気圧に基づいて、高度を算出する。補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについて、以下に示す5つの方法がある。
補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第1の方法において、算出部63は、常に、補正後の気圧に基づいて、高度を算出する。補正後の気圧から高度を算出する方法として、例えば、下記に示す2つの方法がある。補正後の気圧から高度を算出する第1の方法として、算出部63は、下記(2)式に、補正後の気圧を入力することにより、高度を算出する。
Figure 2019174233
補正後の気圧から高度を算出する第2の方法として、算出部63は、気圧と高度との関係を示す気圧高度変換表を参照して、補正後の気圧に応じた高度を算出する。気圧高度変換表は、例えば、下記のような1次元のデータ構造を有する。
気圧高度変換表[気圧]=高度
補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第2の方法において、算出部63は、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上である場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第1実施形態では、第1補正値cv1は、第2気圧から第1気圧を減じた値である。従って、第1補正値cv1は、第1気圧と第2気圧との差分といえる。第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上となる場合とは、例えば、第2気圧を測定した位置が第1気圧を測定した位置、すなわち自宅から大きく離れた場合、または、台風が接近しており低気圧となった場合がある。所定値は、例えば、ユーザーまたは電子時計Wの開発者などによって設定された、人間の感覚的な高度のずれの値を気圧に変換した値、もしくは、過去の気圧の履歴から得られた統計的なばらつきの値である。人間の感覚的な高度のずれの値は、例えば、100mである。気圧の履歴から得られた統計的なばらつきの値について、図5を用いて説明する。
図5に、所定値の一例を示す。図5に示すグラフg2は、過去の第2気圧の傾向を示すヒストグラムである。グラフg2の横軸は、気圧である。グラフg2の縦軸は、気圧ごとの累積度数である。本実施形態の前提により、ユーザーは、第1気圧を測定した位置、すなわち、自宅にいることが最も多い。従って、過去の第2気圧の履歴の平均値μが、第1気圧であるとする。算出部63は、過去の第2気圧の履歴の標準偏差σまたは2×σを、所定値として算出する。標準偏差σは、例えば、下記(3)式により求められる。
Figure 2019174233
nは、第2気圧のデータの数である。hは、i番目の第2気圧である。
説明を図3に戻す。
補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第3の方法において、算出部63は、第2気圧を測定したときのタイムゾーンが、自宅のタイムゾーンと異なる場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第2気圧を測定したときのタイムゾーンが自宅のタイムゾーンに一致する場合、算出部63は、補正後の気圧に基づいて高度を算出する。以下、自宅のタイムゾーンを、「第1タイムゾーン」と称し、第2気圧を測定したときのタイムゾーンを、「第2タイムゾーン」と称する。
補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第4の方法において、算出部63は、第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0でない場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0である場合、言い換えれば、電子時計Wが静止しており電子時計Wが慣性力を受けていないとみなせる場合、算出部63は、補正後の気圧に基づいて高度を算出する。
補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第5の方法は、第2の方法、第3の方法、および第4の方法の組み合わせである。具体的には、算出部63は、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる、または、第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0でない場合、第3気圧に基づいて高度を算出する。以下の説明では、算出部63は、補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第5の方法を実施する場合を例として説明する。
表示制御部64は、算出部63が算出した高度を表示部10が表示するように、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42を制御する。高度の表示方法について、以下に示す4つの方法がある。
高度の第1の表示方法において、算出部63が補正後の気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、時刻または高度を指示する指針が第1通知動作を実施するように制御する。一方、算出部63が第3気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、時刻または高度を指示する指針が第2通知動作を実施するように制御する。時刻または高度を指示する指針は、時針11、分針12、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、または、小秒針42である。第1通知動作を実施する指針と、第2通信動作を実施する指針とは、互いに同一でもよいし互いに異なってもよいが、第1実施形態では、互いに同一であるとし、センター指針13が第1通知動作および第2通知動作を実施するとする。表示制御部64は、センター指針13に第1通知動作または第2通知動作を実施させた後、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42に高度を表示させる。
第1通知動作および第2通知動作は、センター指針13が動作可能であればどのような動作でもよい。例えば、第1通知動作は、センター指針13が時計回りまたは反時計回りに一周する動作である。第2通知動作は、センター指針13が振動する動作である。
高度の第2の表示方法において、算出部63が補正後の気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13が第1通知動作を実施するように制御する。一方、算出部63が第3気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13に第2通知動作を実施させず、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42に高度を表示させる。
高度の第3の表示方法において、算出部63が補正後の気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13に第1通知動作を実施させず、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42に高度を表示させる。一方、算出部63が第3気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13が第2通知動作を実施するように制御する。
高度の第4の表示方法において、算出部63が補正後の気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13に第1通知動作を実施させず、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42に高度を表示させる。同様に、算出部63が第3気圧に基づいて高度を算出した場合、表示制御部64は、センター指針13に第2通知動作を実施させず、センター指針13、数値表示短針32、数値表示長針33、および小秒針42に高度を表示させる。
以下の説明では、表示制御部64は、高度の第1の表示方法に従って、高度を表示する。
A.3.各処理のフローチャート
所定時刻到達時処理と、高度表示モードの処理とのそれぞれについて、具体的なフローチャートを用いて説明する。
A.3.1.所定時刻到達時処理のフローチャート
図6に、所定時刻到達時処理のフローチャートを示す。所定時刻到達時処理を実施する前に、第1気圧が設定済みであるとする。生成部61は、現在時刻が所定時刻に到達した場合、記憶部7から第1気圧を取得する(ステップS1)。次に、気圧センサー3は、所定時刻における第2気圧を測定する(ステップS2)。さらに、制御部6は、第2気圧を測定したときの第2タイムゾーンを記憶する(ステップS3)。さらに、制御部6は、第2気圧を測定したときの加速度センサー4の加速度を記憶部7に保存する(ステップS4)。そして、生成部61は、気圧センサー3から第2気圧を取得して、第1気圧と第2気圧とに基づいて、第1補正値cv1を生成する(ステップS5)。生成部61は、生成した第1補正値cv1を記憶部7に保存する(ステップS6)。ステップS6の処理終了後、制御部6は、一例の処理を終了する。
A.3.2.高度表示モードのフローチャート
図7に、高度表示モードのフローチャートを示す。動作モードを高度表示モードに設定した場合、気圧センサー3は、第3気圧を測定する(ステップS11)。制御部6は、第1気圧と第2気圧の差分、言い換えれば、第1補正値cv1が所定値未満か否かを判断する(ステップS12)。第1気圧と第2気圧の差分が所定値未満である場合(ステップS12:Yes)、制御部6は、引き続き、第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一か否かを判断する(ステップS13)。第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一である場合(ステップS13:Yes)、制御部6は、引き続き、保存した加速度の値が0か否かを判断する(ステップS14)。保存した加速度の値が0である場合(ステップS14:Yes)、補正部62は、第1補正値cv1に基づいて、第3気圧を補正する(ステップS15)。次に、算出部63は、補正後の気圧に基づいて、高度を算出する(ステップS16)。そして、表示制御部64は、センター指針13に第1通知動作を実施させる(ステップS17)。
一方、第1気圧と第2気圧の差分が所定値以上である場合(ステップS12:No)、第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一でない場合(ステップS13:No)、または、保存した加速度の値が0ではない場合(ステップS14:No)、算出部63は、第3気圧に基づいて、高度を算出する(ステップS18)。次に、表示制御部64は、センター指針13に第1通知動作を実施させる(ステップS19)。
ステップS17の処理終了後、または、ステップS18の処理終了後、表示制御部64は、高度を表示部10に表示させる(ステップS20)。ステップS20の処理終了後、制御部6は、一例の処理を終了する。
A.4.第1実施形態の効果
以上示したように、電子時計Wは、第1気圧と第2気圧とに基づいて、第1補正値cv1を生成し、第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正し、補正後の気圧に基づいて、高度を算出する。第2気圧を測定した所定時刻以降の気圧は、一定期間第1補正値cv1が影響するように変化するとみなせる。例えば、所定時刻で低気圧であれば、一定期間低気圧が継続すると予想できる。この場合、第1補正値cv1は、通常の気圧を基準として低気圧の影響を考慮した値であるとみなせる。この一定期間は、天候または季節によって変動する。高度をより精度良く算出するには、第2気圧を測定する間隔が短いほど好ましく、例えば、1日間である。従って、電子時計Wは、第2気圧を毎日測定することが好ましい。
従って、第2気圧に影響を与えた低気圧または高気圧の影響を考慮した第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正するため、高度を精度良く算出することが可能になる。さらに、以上の形態では、GPSモジュール2を用いずに第3高度の補正を行っているため、消費電力を抑えることが可能になる。
これに対し、GPSモジュール2による高度測定を行って高度を補正すると、消費電力が大きく、高度の精度も数十メートルである。従って、本実施形態のように、既知の高度を用いることにより、電子時計Wは、より正確な補正を行うことができる。
また、電子時計Wは、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上である場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上となる場合とは、所定位置から電子時計Wが離れている場合、所定位置の高度とは異なる高度で第2気圧を測定した場合、または、台風が接近している等の異常気象時に第2気圧を測定した場合である。第1気圧は所定位置の通常時の気圧であるから、所定位置から電子時計Wが離れている場合には、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると、かえって誤差が大きくなる虞がある。例えば、所定位置とは高度が異なる第1地点において高度を測定した場合、第1地点の気圧が通常時の気圧であれば、第1地点の気圧をそのまま(2)式に代入することにより、真の高度に近い高度を得ることが可能である。しかしながら、第1補正値cv1に基づいて第1地点の気圧を補正してしまうと、真の高度から離れた高度を算出することになってしまう。
従って、第1実施形態によれば、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値cv1を用いずに高度を算出するため、慣性力を検出した場合でも第1補正値に基づいて気圧を算出する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第2タイムゾーンが、第1タイムゾーンと異なる場合、第2気圧を測定した位置が、所定位置から離れていることを示す。所定位置から電子時計Wが離れている場合には、前述したように、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると、かえって誤差が大きくなる虞がある。従って、第1実施形態によれば、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値cv1を用いずに高度を算出するため、タイムゾーンと異なる場合でも第1補正値に基づいて気圧を算出する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、加速度センサー4が測定した加速度の値が0ではない場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。加速度の値が0ではない場合、電子時計Wが移動していることを意味するため、電子時計Wが所定位置から離れている虞がある。所定位置から電子時計Wが離れている場合には、前述したように、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると、かえって誤差が大きくなる虞がある。従って、第1実施形態によれば、第1補正値cv1に基づいて補正した高度に基づいて高度を算出すると誤差が大きくなる虞がある場合には、第1補正値cv1を用いずに高度を算出するため、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、センター指針13は、補正後の気圧に基づいて高度を算出した場合に、第1通知動作を実施する。ユーザーは、第1通知動作を閲覧することにより、補正された高度であるか否かを把握することが可能になる。
また、センター指針13は、第3気圧に基づいて高度を算出した場合に、第2通知動作を実施する。ユーザーは、第2通知動作を閲覧することにより、真の誤差に対して表示される高度に誤差がある程度含まれる可能性があり、表示される高度が第1補正値によって補正を行った場合と比較して誤差が大きい可能性が高いことを把握することが可能になる。
B.第2実施形態
第2実施形態では、補正部62は、第1補正値cv1と、記憶部7に記憶された気圧情報71(図8参照)とに基づいて、第3気圧を補正する。以下、第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各形態および各変形例において作用や機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。以下に示す要素については、説明の省略のため、特に記載がない場合、第2実施形態に関する要素であるとする。
B.1.第2実施形態にかかる制御部6の構成
図8に、制御部6の構成図を示す。制御部6は、記憶部7に記憶されたプログラムを読み取り実行することにより、生成部61と、補正部62と、算出部63と、表示制御部64と、更新部66とを実現する。以下の説明では、所定時刻到達時処理と、動作モードが高度表示モードに設定された場合の処理とについて、第1実施形態との差異について説明する。
B.1.1.所定時刻到達時処理における制御部6の構成
生成部61の処理は、第1実施形態と同一の処理である。更新部66は、所定の条件を満たす場合、第2気圧と第1気圧との差分、または第3気圧と第1気圧の差分に基づいて気圧情報71を更新する。所定の条件は、以下に示す5つの態様がある。
第1の態様における所定の条件において、更新部66は、常に気圧情報71を更新する。気圧情報71には、2つの態様がある。以下、図9および図10を用いて、気圧情報71の各態様についてと、更新例について説明する。
図9に、第1の態様における気圧情報71を示す。図9に示すグラフg3の気圧変化特性g3_1は、第1の態様における気圧情報71が示す特性である。グラフg3の横軸は時刻であり、グラフg3の縦軸は気圧である。第1の態様における気圧情報71は、所定期間における1日間の所定時刻ごとに測定された気圧の平均値と第1気圧との差分を示す。所定期間は、1日間を超える期間が好ましく、例えば、1週間、1ヶ月間、2ヶ月間、または1年間等である。または、所定期間が変動してもよく、例えば、所定期間は、電子時計Wが動作した時点から現在時刻まででもよい。以下の説明では、所定期間は、電子時計Wが動作した時点から現在時刻までとする。気圧変化特性g3_1が示すように、1日の気圧の平均値は、午前9時が最も低く、午後3時が最も高い。このように、気圧の平均値は、1日の時刻の変化に応じて周期的に変化する傾向がある。
第2気圧と第1気圧との差分に基づく気圧情報71の更新例として、更新部66は、例えば、下記(4)式に従って、気圧情報71の所定時刻の平均気圧を更新する。
更新後の所定時刻の平均気圧=(所定期間のデータの数×更新前の所定時刻の平均気圧+第2気圧と第1気圧との差分)/(所定期間のデータの数+1) (4)
第3気圧と第1気圧との差分に基づく気圧情報71の更新例として、更新部66は、例えば、下記(5)式に従って、気圧情報71の所定時刻の平均気圧を更新する。
更新後の所定時刻の平均気圧=(所定期間のデータの数×更新前の所定時刻の平均気圧+第3気圧と第1気圧との差分)/(所定期間のデータの数+1) (5)
図9に示す気圧変化特性g3_1は、説明の簡略化のため、所定時刻である午前2時において、午前2時の測定された気圧の平均値と第1気圧との差分が0であるとする。所定時刻における気圧の平均値と第1気圧との差分が、0とならない場合もある。
図10に、第2の態様における気圧情報71を示す。図10に示すグラフg4の気圧変化特性g4_1は、第2の態様における気圧情報71が示す特性である。グラフg4の横軸は時刻であり、グラフg4の縦軸は気圧である。第2の態様における気圧情報71は、所定期間における1年間の月ごとに測定された気圧の平均値と第1気圧との差分を示す。所定期間は、1年間を超える期間が好ましく、例えば、2年間または3年間などである。気圧変化特性g4_1が示すように、1年間の気圧の平均値は、8月が最も低く、11月が最も高い。このように、気圧の平均値は、1年間の月の変化に応じて周期的に変化する傾向がある。
第2気圧と第1気圧との差分に基づく気圧情報71の更新例として、更新部66は、例えば、下記(6)式に従って、気圧情報71の第2気圧を測定した月の平均気圧を更新する。
更新後の第2気圧を測定した月の平均気圧=(所定期間のデータの数×更新前の第2気圧の測定した月の平均気圧+第2気圧と第1気圧との差分)/(所定期間のデータの数+1) (6)
第3気圧と第1気圧との差分に基づく気圧情報71の更新例として、更新部66は、例えば、下記(7)式に従って、気圧情報71の第2気圧を測定した月の平均気圧を更新する。
更新後の第3気圧を測定した月の平均気圧=(所定期間のデータの数×更新前の第3気圧の測定した月の平均気圧+第3気圧と第1気圧との差分)/(所定期間のデータの数+1) (7)
説明を図8に戻す。
第2の態様における所定の条件において、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上である場合、更新部66は、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。一方、第1気圧と第2気圧との差分が所定値未満である場合、更新部66は、第2気圧と第1気圧との差分、または第3気圧と第1気圧との差分に基づいて気圧情報71を補正する。この所定値は、第1実施形態における、補正後の気圧か第3気圧のいずれに基づいて高度を算出するかについての第2の方法で説明した所定値と同一である。
第3の態様における所定の条件において、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる場合、更新部66は、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。一方、第1気圧と第2気圧との差分が所定値未満である場合、更新部66は、第2気圧と第1気圧との差分、または第3気圧と第1気圧との差分に基づいて気圧情報71を補正する。
第4の態様における所定の条件において、第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0でない場合、更新部66は、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。一方、第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0である場合、更新部66は、第2気圧と第1気圧との差分、または第3気圧と第1気圧との差分に基づいて気圧情報71を補正する。
第5の態様における所定の条件は、第2の態様における所定の条件、第3の態様における所定の条件、および、第4の態様における所定の条件の組み合わせである。具体的には、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる、または第2気圧を測定したときの加速度センサー4が測定した加速度の値が0でない場合、更新部66は、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。
以下の記載では、更新部66は、第5の態様における所定の条件に従うとする。
B.1.2.高度表示モードにおける制御部6の構成
高度表示モードにおいて、高度を表示するため、補正部62は、気圧センサー3が測定した第3気圧を取得する。補正部62は、更新部66が気圧情報71を更新した場合、更新後の気圧情報71と、第1補正値cv1とに基づいて、第3気圧を補正する。第1態様における気圧情報71の補正方法、および、第2態様における気圧情報71の補正方法について、図11および図12を用いて説明する。
図11に、第1の態様における気圧情報71を用いた第3気圧の補正方法を示す。補正部62は、第1の態様における気圧情報71を参照して第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と第1気圧との差分と、第1補正値cv1とに基づいて、第3気圧を補正する。
図11に示すグラフg5は、図9に示した気圧変化特性g3_1と、第1補正値cv1とを示す。図11の例では、第2気圧が、第1気圧より0.5hPa低かった例である。第1補正値cv1は、第2気圧から第1気圧を減じた値であるから、−0.5hPaである。午前2時の時に低気圧であれば、一定期間低気圧が継続すると予想できる。従って、この一定期間の気圧変化は、気圧変化特性g3_1の各時刻における気圧から第1補正値cv1を減じた、グラフg5に示す気圧変化特性g5_1が示す特性を有すると予想できる。補正部62は、下記(8)式に従って、第3気圧を補正する。
補正後の第3気圧=補正前の第3気圧−気圧情報71を参照して第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と第1気圧との差分−第1補正値 (8)
例えば、電子時計Wは、午後2時に第3気圧として、943.7hPaを測定したとする。気圧変化特性g3_1の午後2時の差分が、プロット点p14hが示すように1.2hPaであり、第1補正値cv1が−0.5hPaであったとすると、補正部62は、(8)式に従って、補正後の第3気圧=943.7−(1.2)−(−0.5)=943hpaと補正する。
図12に、第2の態様における気圧情報71を用いた第3気圧の補正方法を示す。補正部62は、第2の態様における気圧情報71を参照して前記第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と第1気圧との差分と、第1補正値cv1とに基づいて、第3気圧を補正する。
図12に示すグラフg6は、図10に示した気圧変化特性g4_1と、第1補正値cv1とを示す。図12の例では、第2気圧が、第1気圧より1hPa低かった例である。第1補正値cv1は、第2気圧から第1気圧を減じた値であるから、−1hPaである。午前2時の時低気圧であれば、一定期間は低気圧が継続すると予想できる。従って、この一定期間の気圧変化は、気圧変化特性g4_1の各時刻における気圧から第1補正値cv1を減じた、グラフg6に示す気圧変化特性g6_1が示す特性を有すると予想できる。補正部62は、下記(9)式に従って、第3気圧を補正する。
補正後の第3気圧=補正前の第3気圧−気圧情報71を参照して第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と第1気圧との差分−第1補正値 (9)
例えば、電子時計Wは、10月1日の午前2時に第2気圧を測定し、第1補正値cv1を−1hPaであると測定したとする。そして、電子時計Wは、11月1日に第3気圧として、937hPaを測定したとする。気圧変化特性g3_1の11月の差分が、プロット点p11mが示すように−4.9hPaであり、第1補正値cv1が−1hPaであったとすると、補正部62は、(9)式に従って、補正後の第3気圧=937−(−4.9)−(−1)=942.9hpaと補正する。
算出部63は、更新部66が気圧情報71を更新した場合、補正後の気圧に基づいて高度を算出し、更新部66が気圧情報71の値を維持した場合、第3気圧に基づいて高度を算出する。表示制御部64の処理は、第1実施形態と同一であるため、説明を省略する。
B.2.各処理のフローチャート
所定時刻到達時処理と、高度表示モードの処理とのそれぞれについて、具体的なフローチャートを用いて説明する。
B.2.1.所定時刻到達時処理のフローチャート
図13に、所定時刻到達時処理のフローチャートを示す。図13に示すステップS41の処理からステップS45の処理までの一連の処理は、ステップS1の処理からステップS5の処理までの一連の処理と一致するため、説明を省略する。
ステップS45の処理終了後、制御部6は、第1気圧と第2気圧の差分、言い換えれば、第1補正値cv1が所定値未満か否かを判断する(ステップS46)。第1気圧と第2気圧の差分が所定値未満である場合(ステップS46:Yes)、制御部6は、引き続き、第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一か否かを判断する(ステップS7)。第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一である場合(ステップS47:Yes)、制御部6は、引き続き、保存した加速度の値が0か否かを判断する(ステップS48)。保存した加速度の値が0である場合(ステップS48:Yes)、更新部66は、第1補正値cv1に基づいて、気圧情報71を更新する(ステップS49)。そして、更新部66は、第1補正値cv1を保存する(ステップS50)。
ステップS50の処理終了後、第1気圧と第2気圧の差分が所定値以上である場合(ステップS46:No)、第1タイムゾーンが第2タイムゾーンと同一でない場合(ステップS47:No)、または、保存した加速度の値が0ではない場合(ステップS48:No)、制御部6は、一連の処理を終了する。
B.2.2.高度表示モードのフローチャート
図14に、高度表示モードのフローチャートを示す。図14に示すステップS75の処理からステップS79の処理までの一連の処理は、ステップS16の処理からステップS20までの一連の処理と一致するため、説明を省略する。
動作モードを高度表示モードに設定した場合、気圧センサー3は、第3気圧を測定する(ステップS71)。次に、制御部6は、所定時刻到達時処理において、第1補正値cv1を保存したか否かを判断する(ステップS72)。第1補正値cv1を保存した場合とは、ステップS46の処理、ステップS47の処理、および、ステップS48の処理の判断結果が全てYesとなったことを示す。一方、第1補正値cv1を保存していない場合とは、ステップS46の処理、ステップS47の処理、または、ステップS48の処理の判断結果のいずれかがNoとなったことを示す。
第1補正値cv1を保存した場合(ステップS72:Yes)、算出部63は、気圧情報71および第1補正値cv1に基づいて、第3気圧を補正する(ステップS73)。次に、更新部66は、第3気圧と第1気圧との差分に基づいて、気圧情報71を更新する(ステップS74)。ステップS74の処理実行後、表示制御部64は、ステップS74の処理を実施する。
一方、第1補正値cv1を保存していない場合(ステップS72:No)、算出部63は、ステップS77の処理を実施する。
B.3.第2実施形態の効果
以上示したように、電子時計Wは、気圧情報71を参照し、第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正する。一般的に、一日単位の所定時刻ごとの平均的な気圧は、周期的に変化する傾向がある。同様に、一年単位の月ごとの平均的な気圧も、周期的に変化する傾向がある。気圧情報71には、この周期的な変化の傾向が反映されている。従って、第2実施形態では、気圧情報71を参照することにより、所定時刻ごと、または月ごとに周期的に変化する気圧の傾向を考慮するため、気圧情報71を参照しない場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、第2気圧と第1気圧との差分、または第3気圧と第1気圧との差分に基づいて気圧情報71を更新し、更新後の気圧情報71を参照し、第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正する。このように、更新後の気圧情報71には、第2気圧または第3気圧が反映される。すなわち、更新後の気圧情報71には、気圧情報71を更新しない場合と比較して、新しい情報が反映される。従って、第2実施形態によれば、新しい情報が反映された気圧情報71に基づいて第3気圧を補正するため、気圧情報71を更新しない場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上である場合、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上となる場合とは、所定位置から電子時計Wが離れている場合、所定位置の高度とは異なる高度で第2気圧を測定した場合、または、台風が接近している等の異常気象時に第2気圧を測定した場合である。気圧情報71は、所定位置における通常の気圧変化を想定しているため、所定位置から電子時計Wが離れている場合、または、所定位置に電子時計Wがあったとしても通常とは異なる異常気象の気圧変化となる場合には、第2気圧を気圧情報71に反映させない方がよい。第3気圧を測定した時点でも、第2気圧を測定した状況と同様の状況であると想定できるため、第3気圧も気圧情報71に反映させない方がよい。
従って、第2実施形態によれば、気圧情報71に、精度を悪化させる、所定位置から電子時計Wが離れているときの気圧、および、異常気象の気圧を含めないことができる。従って、第2実施形態によれば、第1気圧と第2気圧との差分が所定値以上の場合でも気圧情報71を更新する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる場合、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる場合、第2気圧を測定した位置が、所定位置から離れていることを示す。所定位置から電子時計Wが離れている場合には、前述したように、第2気圧および第3気圧を気圧情報71に反映させない方がよい。従って、第2実施形態によれば、第2タイムゾーンが第1タイムゾーンと異なる場合でも気圧情報71を更新する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
また、電子時計Wは、加速度センサー4が測定した加速度の値が0ではない場合、気圧情報71の値を第2気圧および第3気圧の測定前後で維持する。加速度の値が0ではない場合、電子時計Wが移動していることを意味するため、電子時計Wが所定位置から離れている虞がある。所定位置から電子時計Wが離れている場合には、前述したように、第2気圧および第3気圧を気圧情報71に反映させない方がよい。従って、第2実施形態によれば、加速度センサー4が測定した加速度の値が0ではない場合でも気圧情報71を更新する場合と比較して、高度を精度良く算出することが可能になる。
C.実施例
以下、実施例を示すが、本発明は以下の例により限定されるものではない。
図15に、実施例および参考例における補正後の気圧を示す。図15に示すグラフg7では、高度610mの地点の1年間における1日の各時刻における第3気圧の平均値、または補正後の気圧の平均値を示す。
1年間の第3気圧の平均値は、944.0hPaとなった。(2)式のP0に1013.25hPaを代入し、Tに15度を代入し、Pに944.0hPaを代入すると、601mが得られた。
1年間のうち気圧の最大値は、959.9hPaとなった。(2)式のP0に1013.25hPaを代入し、Tに15度を代入し、Pに959.9hPaを代入すると、458mが得られた。
1年間のうち気圧の最小値は、918.7hPaとなった。(2)式のP0に1013.25hPaを代入し、Tに15度を代入し、Pに918.7hPaを代入すると、834mが得られた。
以上により、1年間のうち気圧の最大値と最小値との差は、41.2hPaとなった。(2)式のP0に1013.25hPaを代入し、Tに15度を代入し、Pに41.2hPaを代入すると、376mが得られた。従って、第3気圧の補正を行わないと、高度の表示において、一年間で最大376mのばらつきが発生してしまう。従って、補正を行わないと、高度のばらつきが発生することに慣れていないユーザーの場合、製品への信頼が低下する虞がある。
高度610mにおいて、(1)式のP0を1013.25hPaとし、(1)式のTを15度とすると、(1)式から、第1気圧は、943.1hPaが得られる。従って、補正後の第3気圧が943.1hPaに近づく程、真の高度からの誤差を抑えることが可能になる。
グラフg7の気圧変化特性p7_0は、補正しない場合の第3気圧の変化を示す。グラフg7の気圧変化特性p7_1は、第1実施形態の実施例、すなわち、第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正した補正後の気圧の変化を示す。グラフg7の気圧変化特性p7_2は、第2実施形態の実施例、すなわち、気圧情報71および第1補正値cv1に基づいて第3気圧を補正した補正後の気圧の変化を示す。グラフg7の気圧変化特性p7_reは、参考例として、気圧情報71に基づいて第3気圧を補正した補正後の気圧の変化を示す。
第1実施形態において、気圧変化特性p7_1が示すように、気圧変化特性p7_0と比較して943.1hPaに近づいているため、算出した高度の誤差を抑えることが可能になる。
第2実施形態において、気圧変化特性p7_2が示すように、気圧変化特性p7_0、気圧変化特性p7_1、および、気圧変化特性p7_reと比較して943.1hPaに近づいているため、算出した高度の誤差を抑えることが可能になる。
D.変形例
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
第1実施形態において、ステップS12の処理、ステップS13の処理、または、ステップS14の処理の判断結果がNoとなった場合には、補正後の気圧に基づかず、第3気圧に基づいて、高度を算出したが、これに限らない。例えば、算出部63は、ステップS12の処理、ステップS13の処理、または、ステップS14の処理の判断結果でNoとなった場合に限り、GPSモジュール2を用いて高度を算出してもよい。これにより、制御部6は、常時GPSモジュール2を用いて高度を算出することと比較して消費電力を抑えることができる。さらに、制御部6は、ステップS12の処理、ステップS13の処理、または、ステップS14の処理の判断結果でNoとなった場合に、高度を精度良く算出することが可能になる。第2実施形態でも同様に、算出部63は、ステップS72の処理の判断結果がNoとなった場合に、GPSモジュール2を用いて高度を算出してもよい。
上述した各態様において、電子時計Wは、ユーザーの操作によって、第1高度を設定するために自宅の高度を受け付けたが、第1高度そのものを受け付けてもよい。
上述した各態様において、所定時刻が午前2時であることが好ましいと記載したが、他の時刻であってもよい。例えば、所定時刻は、午後11時でもよい。
上述した各態様では、第3気圧を補正したが、(2)式で得られる高度を補正してもよい。具体的には、電子時計Wは、予め設定した所定位置の高度を第1高度として記憶する。そして、電子時計Wは、記憶した第1高度と、所定時刻に測定した高度に基づく第2高度とに基づいて、第1補正値cv1を生成する。次に、電子時計Wは、高度を算出するために気圧センサー3が測定した高度に基づいて第3高度を算出する。そして、電子時計Wは、第1補正値cv1に基づいて、第3高度を補正する。または、電子時計Wは、海面気圧であるP0を補正してもよい。
上述した各態様において、電子時計Wは、加速度センサー4を有していたが、加速度センサー4の替わりに、ジャイロセンサーを有してもよいし、加速度センサー4およびジャイロセンサーを有してもよい。ジャイロセンサーは、電子時計Wにかかるコリオリの力(慣性力の一種)を検出し、検出したコリオリの力に基づいて、角速度を測定する。
算出部63は、第2気圧を測定したときのジャイロセンサーが測定した角速度の値が0でない場合、補正後の気圧の替わりに、第3気圧に基づいて、高度を算出する。第2気圧を測定したときのジャイロセンサーが測定した角速度の値が0である場合、言い換えれば、電子時計Wが静止しており電子時計Wが慣性力を受けていないとみなせる場合、算出部63は、補正後の気圧に基づいて高度を算出する。
上述した各態様において、電子時計Wは、第2気圧を毎日測定することが好ましいことを記載したが、これに限らない。例えば、電子時計Wは、第2気圧を一日おきに測定してもよいし、1週間に一度測定してもよい。
上述した各態様において、電子時計Wは、指針で時刻を表示するアナログ時計であったが、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)または有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等で時刻を表示するデジタル時計でもよい。または、電子時計Wは、コンビネーションクォーツ(CQ:Combination Quartz)でもよい。電子時計Wがデジタル時計またはCQである場合、電子時計Wは、第1通知動作の替わりにディスプレイに「第3気圧を補正した」旨を表示し、第2通知動作の替わりにディスプレイに「第3気圧を補正していない」旨を表示してもよい。
上述した各態様を電子時計Wに適用しているが、これに限らない。例えば、上述した各形態を、高度計に適用することも可能である。または、上述した各形態を、電子時計W以外の電子機器に適用することも可能である。例えば、上述した各形態を、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、またはビデオカメラ等に適用することが可能である。
上述した態様において、上述した電子時計Wを、上述した電子時計Wの各部として機能させるように構成されたコンピュータープログラムまたは当該コンピュータープログラムを記録したコンピューター読み取り可能な記録媒体として捉えることもできる。記録媒体は例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD−ROM等の光学式記録媒体の他、半導体記録媒体や磁気記録媒体等の公知の任意の記録媒体を含み得る。また、上述した各態様にかかる高度補正方法としても算出される。
2…GPSモジュール、3…気圧センサー、4…加速度センサー、6…制御部、7…記憶部、13…センター指針、61…生成部、62…補正部、63…算出部、64…表示制御部、66…更新部、71…気圧情報、W…電子時計、cv1…第1補正値。

Claims (10)

  1. 気圧センサーと、
    所定位置の高度から算出される第1気圧と、前記気圧センサーが所定時刻に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値を生成する生成部と、
    前記第1補正値に基づいて、前記気圧センサーが測定した第3気圧を補正する補正部と、
    前記補正部が補正した補正後の気圧に基づいて、前記高度を算出する算出部と、
    を備えることを特徴とする電子時計。
  2. 請求項1に記載の電子時計において、
    所定期間における時刻ごとの気圧の平均値と前記第1気圧との差分、または、所定期間における月ごとの気圧の平均値と前記第1気圧との差分を示す気圧情報を記憶する記憶部を備え、
    前記補正部は、
    前記気圧情報を参照して前記第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分、または前記第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分と、前記第1補正値とに基づいて、前記第3気圧を補正する、
    ことを特徴とする電子時計。
  3. 請求項2に記載の電子時計において、
    前記第2気圧と前記第1気圧との差分、または前記第3気圧と前記第1気圧との差分に基づいて、前記気圧情報を更新する更新部を備え、
    前記補正部は、
    更新後の前記気圧情報を参照して前記第3気圧を測定した時刻に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分または前記第3気圧を測定した月に応じた気圧の平均値と前記第1気圧との差分と、前記第1補正値とに基づいて、前記第3気圧を補正する、
    ことを特徴とする電子時計。
  4. 請求項3に記載の電子時計において、
    前記更新部は、
    前記第1気圧と前記第2気圧との差分が所定値以上である場合、前記気圧情報の値を前記第2気圧および前記第3気圧の測定前後で維持する、
    ことを特徴とする電子時計。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子時計において、
    前記算出部は、
    前記第1気圧と前記第2気圧との差分が所定値以上である場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する、
    ことを特徴とする電子時計。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子時計において、
    前記算出部は、
    前記第2気圧を測定したときのタイムゾーンが前記所定位置のタイムゾーンと異なる場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する、
    ことを特徴とする電子時計。
  7. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電子時計において、
    慣性センサーを備え、
    前記算出部は、
    前記第2気圧を測定したときに前記慣性センサーが慣性力を検出した場合、前記第3気圧に基づいて、前記高度を算出する、
    ことを特徴とする電子時計。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の電子時計において、
    時刻または前記高度を指示する指針を備え、
    前記指針は、前記算出部が前記補正後の気圧に基づいて前記高度を算出した場合に、第1通知動作を実施する、
    ことを特徴とする電子時計。
  9. 請求項4から7のいずれか1項に記載の電子時計において、
    時刻または前記高度を指示する指針を備え、
    前記指針は、前記算出部が前記第3気圧に基づいて前記高度を算出した場合に、第2通知動作を実施する、
    ことを特徴とする電子時計。
  10. 気圧センサーを備える電子時計が、
    所定位置の高度から算出される第1気圧と、前記気圧センサーが所定時刻に測定した第2気圧とに基づいて、第1補正値を生成し、
    前記第1補正値に基づいて、前記気圧センサーが測定した第3気圧を補正し、
    補正した補正後の気圧に基づいて、前記高度を算出する、
    ことを特徴とする高度補正方法。
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