本発明の実施の形態に係るエレベータについて図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
1.構成
図1は、実施の形態1におけるエレベータシステムの構成の概要を示した図である。
エレベータシステムは、複数台のエレベータ30と、群管理制御装置5とを有している。
各エレベータ30は、乗りかご20と、乗りかご20を昇降させる昇降機構39と、釣合おもり38と、昇降機構39等の動作を制御するエレベータ制御装置10とを有している。エレベータ制御装置10は、例えば各かごの上部に配置され、群管理制御装置5に接続され、群管理制御装置5と種々の信号を授受する。
群管理制御装置5は、複数台のエレベータ30の運行を統合的に制御する。
エレベータシステムが配置されるビルの1階には管理人室が設けられている。管理人室にはビル監視盤100が配置されている。ビル監視盤100は、管理人にビルやエレベータなどに関する種々の情報を提供する表示部やスピーカを備えている。ビル監視盤100は、コンピュータなどを利用して構成できる。
ビルの各階にはスピーカ110が設けられている。各スピーカ110は、ビル監視盤100から出力される音声信号に基づく音声を出力する。
ビルには、地震感知器34が設置されている。地震感知器34は、地震の揺れの大きさを示す信号を出力する。
図2は、乗りかごの内部を示した図である。
乗りかご20の内部の正面部には、かごドア21と、かごドア21用の乗降口20aが設けられている。また、正面部の内面には、操作盤31と、スピーカ36と、表示装置37が配置されている。操作盤31には、複数個の階床ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン等が配置されている。また、乗りかご20の天井部には、空調装置40が配置されている。空調装置40は、空調風の向きを調整するためのフラップ41を有している。
図3は、乗りかごの乗降口部分の水平断面を模式的に示した図である。
図2、図3に示すように、乗りかご20の乗降口20aの左側の側部には、マルチビームセンサ50の投光部51が配置され、右側の側部には、マルチビームセンサ50の受光部52が配置されている。
投光部51は、上下方向に所定間隔で並べて配置された複数の投光器51aを有している。受光部52は、複数の投光器51aに1対1で対向するように上下方向に所定間隔で並べて配置された複数の受光器52aを有している。投光器51aは、例えばLEDにより構成される。受光器52aは、例えばフォトダイオードにより構成される。
図4は、エレベータの制御システムのシステム構成を示したブロック図である。
エレベータ制御装置10は、プロセッサ11、記憶部12、入出力インタフェース13を有する。エレベータ制御装置10は、コンピュータなどを利用して構成できる。
プロセッサ11は、プログラムに基づく演算処理を実行し、エレベータ制御装置10における後述する各種の機能を実現する。プロセッサ11は、例えばCPU、MPU、ASIC、FPGA、GPUを利用して構成される。
記憶部12は、プログラムや各種のデータを記憶している。プログラムには、プロセッサ11により実行されることでエレベータ制御装置10に後述する各種の機能を実現させるプログラムが含まれる。また、各種のデータには、上記プログラムが参照するデータ等が含まれる。例えば、各種のデータには、後述する図11に示すような「車いす」、「ベビーカー」、「ショッピングカート」の各「車」の平均高さ波形のテンプレートが含まれる。また、各種のデータには、後述する表示装置37に表示される各種の表示画面や、後述するスピーカ36から出力される案内音声のデータなどが含まれる。記憶部12は、例えばHDD、SSD、RAM、ROMを利用して構成される。
入出力インタフェース13は、外部機器との間で種々の電気信号を入出力するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、例えばLANインタフェース、USBやRS−232C/422/485といったシリアル通信用インタフェース、音声信号入出力端子、映像信号入出力端子、アナログ信号用入出力端子、接点信号用入出力端子、その他専用規格のインタフェース等を備えている。
入出力インタフェース13には、群管理制御装置5、操作盤31、昇降モータ32、ドアモータ33、地震感知器34、ロードセル35、スピーカ36、表示装置37、空調装置40、センサ制御装置60、ビル監視盤100が接続されている。
操作盤31は、複数個の階床ボタン、戸開ボタン、戸閉ボタン等を備え、操作されたボタンに対応する信号をエレベータ制御装置10に出力する。
昇降モータ32は、乗りかご20を昇降させる昇降機構39を駆動する。昇降モータ32は、エレベータ制御装置10から出力される駆動信号により駆動される。
ドアモータ33は、かごドア21を開閉させる開閉機構を駆動する。ドアモータ33は、エレベータ制御装置10から入力される駆動信号により駆動される。
地震感知器34は、地震等により生じるビルの振動の大きさに関連する信号をエレベータ制御装置10に出力する。地震感知器34は、例えば加速度センサ等により構成される。
ロードセル35は、乗りかご20内に存在する乗客の荷重を検出し、検出した荷重値を示す信号をエレベータ制御装置10に出力する。ロードセル35は、荷重検出部の一例である。乗客の荷重とは、乗客がベビーカー、車いす、ショッピングカートなどの車を手押ししている場合や、乗客が車いすに乗っている場合は、車を含む荷重である。また、手押しされているベビーカーや車いすなどの車については、これに乗っている人を含む荷重である。
センサ制御装置60は、マルチビームセンサ50が有する複数の投光器51a及び複数の受光器52aの投光(発光)動作及び受光動作を制御する。センサ制御装置60は、信号出力部の一例である。センサ制御装置60は、エレベータ制御装置10同様に、プロセッサ、記憶部、入出力インタフェースを有する。センサ制御装置60の記憶部には、マルチビームセンサ50の複数の投光器51a及び複数の受光器52aの投光を制御するためのプログラムや、エレベータ制御装置10との間で信号を授受するためのプログラムが格納されている。センサ制御装置60は、コンピュータなどを利用して構成できる。
マルチビームセンサ50の構成については後述する。
スピーカ36は、エレベータ制御装置10から出力される音声信号に基づく音声を出力する。スピーカ36は、情報出力部の一例である。
表示装置37は、エレベータ制御装置10から出力される映像信号に基づく映像を表示する。表示装置37は、例えば液晶表示装置や有機EL表示装置により構成可能である。表示装置37は、情報出力部の一例である。
エレベータ制御装置10は、操作盤31、地震感知器34、ロードセル35、センサ制御装置60等から入力される種々の信号に基づいて、昇降モータ32、ドアモータ33、空調装置40等の駆動を制御するとともに、スピーカ36及び表示装置37に音声信号及び映像信号を出力する。また、エレベータ制御装置10は、緊急時等に、ビル監視盤100に所定の情報を出力する。
図5は、マルチビームセンサの構成を示した図である。
マルチビームセンサ50は、乗りかご20の乗降口20aを乗車や降車のために通過する乗客を検出する。マルチビームセンサ50の投光部51は、上下方向に所定間隔で並べて配置されたN個の投光器51aを有している。また、受光部52は、上下方向に所定間隔で並べて配置されたN個の受光器52aを有している。以下では、N個の投光器51aを区別するために、適宜、上から順にi及び1〜Nの通し番号を付して、投光器i1〜iNと表記する。また、N個の受光器52aを区別するために、適宜、上から順にj及び1〜Nの通し番号を付して、受光器j1〜jNと表記する。同じ通し番号を有する投光器51aと受光器52aは、同じ高さ位置に配置されている。
投光器i1〜iNの投光タイミング及び受光器j1〜jNの受光タイミングは、センサ制御装置60により、個別に制御される。
実施の形態1では、センサ制御装置60は、投光器i1〜iNを、上から順に1個ずつ投光させ、投光した投光器ikと同じセンサ番号kの受光器jkで受光したか否かを判断する。つまり、乗客によって遮られて受光できなかったのか、乗客によって遮られずに受光できたのかを判断する。センサ制御装置60は、投光器ikからの投光が、受光器jkによって受光できるか否かを、センサ番号kを1からNまで推移させる中で判断する。そして、受光できない受光器に初めて行き当ったとき、センサ番号を記憶する。センサ番号をNまで推移させた時点で、センサ番号の記憶があった場合(受光できない受光器があった場合)は、そのセンサ番号に応じたパルス幅(時間幅)を有するパルス信号を出力し、センサ番号の記憶がなかった場合(すべての受光器で受光できた場合)は、出力しない。以上の動作をセンサ制御装置60は、所定時間周期(例えば33ms)毎に繰り返す。なお、受光できない受光器に初めて行き当って以降は、投光器からの投光を省略してもよいので、省略するものとして以降の記述を進める。このような投光の省略をしても、パルス信号の出力は、周期毎のタイミングとする。
2.動作
2−1.概要
乗場の操作盤(図示せず)の上昇/下降ボタンなどの呼びボタンが乗客により押されると、押されたことが群管理制御装置5に伝わる。群管理制御装置5は、複数台のエレベータ30のうちのいずれかに呼びを割り当てて、割り当てたエレベータ30のエレベータ制御装置10に呼び応答指令を出力する。乗りかご20内の操作盤31の階床ボタンが乗客により押されると、押された階床を示す信号がエレベータ制御装置10に伝達される。エレベータ制御装置10は、群管理制御装置5から呼び応答指令を受信したり、操作盤31から、押された階床を示す信号を受信すると、対応する乗りかご20の昇降モータ32を制御し、乗りかご20を昇降させる。また、エレベータ制御装置10は、乗りかご20内の操作盤31の開扉ボタンあるいは閉扉ボタンが押されたり、呼び応答指令の目的階または操作盤31で押された階床に到着すると、乗りかご20のドアモータ33を制御し、かごドア21を開閉させる。さらに、エレベータ制御装置10は、マルチビームセンサ50のセンサ制御装置60から出力される信号に基づいて、対応する乗りかご20のドアモータ33を制御し、かごドア21を開閉させる。
エレベータ制御装置10は、対応する乗りかご20の音声出力装置や表示装置37を制御し、映像や音声を出力させる。
エレベータ制御装置10は、対応する乗りかご20の空調装置40を制御し、空調風の向きを変更させる。
また、本実施の形態のエレベータ30では、乗客が乗車または降車のために乗りかご20の乗降口20aを通過したことをマルチビームセンサ50のセンサ制御装置60から出力される信号に基づいて検出したときに、乗客種別を判定し、乗客種別の判定結果に応じて、エレベータ30の各種設備の動作の制御や、エレベータ30の運行の制御を行う。ここで、乗客種別とは乗客の属性等に基づいて分類した乗客の種別であり、本実施の形態では、乗客を、(1)手押しされない車いすに乗って乗降する「車いすのみ」の乗客種別に属する乗客と、(2)車いすを手押ししながら乗降する「車いす+人」の乗客種別に属する乗客と、(3)ベビーカーを手押ししながら乗降する「ベビーカー+人」の乗客種別に属する乗客と、(4)ショッピングカートを手押ししながら乗降する「ショッピングカート+人」の乗客種別に属する乗客と、(5)手押しされない車いすに乗ったり、車いす等の車を手押ししたりすることなく乗降する「人のみ」の乗客種別に属する乗客とのいずれかに分類する。以下、乗客種別判定結果に基づく制御について詳しく説明する。
2−2.乗客種別判定結果に基づく制御
図6は、エレベータ制御装置による制御の大まかな流れを示したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、乗客が乗降口20aを通って乗りかご20に乗降し始めたか否かを判断する(S1)。具体的には、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60からパルス信号が入力され始めると、乗客が乗降口20aを介して乗りかご20に乗降し始めたと判断する。
なお、ステップS1における乗降し始めたか否かの判断は、乗客種別判定のために行われる判断である。従来より、マルチビームセンサ50の検出結果に基づいてかごドア21の開閉のための判断が一般的に行われているが、このかごドア21の開閉のための判断は、異なるフロー(特には図示していない)に基づいて行われる。例えば、かごドア21を閉める動作中に所定個(例えばパルスの出力周期が33msで、5個)のパルス信号が連続して入力された場合、エレベータ制御装置10は、乗客が乗降口20a付近に存在していると判断し、かごドア21の移動方向を反転させてかごドア21を開かせる。一方、かごドア21を閉める動作を行っているときに、例えば1個や2個だけパルス信号が入力された後、その後パルス信号が入力されない場合には、かごドア21の向きは反転させずにかごドア21を閉じる動作を継続する。これは、乗降口20a付近の浮遊ゴミを検出したと考えられるためである。
乗客が乗降していないと判断した場合(S1でNO)、ステップS1の判断を再度実行する。
乗客が乗降し始めたと判断した場合(S1でYES)、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から出力されたパルス列に基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定する(S2)。パルス列に基づく乗客種別の具体的な判定方法については、2−4.乗客種別の判定処理で後述する。センサ制御装置60からパルス信号が入力され始めると、エレベータ制御装置10は、入力されたパルス信号を、パルス(パルス信号)の入力が所定周期数(例えば10周期)以上連続して途切れるまでの間、パルス列として蓄積する。パルス列の蓄積は、後でパルス列を読み出すことができるものであれば、どのような方法で行ってもよい。
エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果に基づいて、エレベータ30の各種設備の動作の制御や、エレベータ30の運行の制御を行う(S3)。これらの具体的な内容については後述する。
2−3.マルチビームセンサの動作
センサ制御装置60によるマルチビームセンサ50の制御について詳しく説明する。
図7Aは、センサ制御装置によるマルチビームセンサの制御を説明したフローチャートである。
センサ制御装置60は、このフローチャートに基づく制御を所定時間周期で繰り返し実行する。所定時間は、例えば33msである。
まず、センサ制御装置60は、センサ番号kとして1を設定する(S11)。なお、センサ番号kは、上から順に振られており、最上方のセンサにおいて1で、下に向かって1ずつ増加し、最下方のセンサでNであるものとする。
センサ制御装置60は、センサ番号kがN以下か否かを判断する(S12)。
センサ番号kがN以下である場合(S12でYES)、センサ制御装置60は、投光器ikのみ投光させる(S13)。
センサ制御装置60は、センサ番号kの受光器jkで受光したか否かを判断する(S14)。
受光器jkで受光した場合(S14でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとして現在のkに1を加算した値を設定し(S15)、ステップS12を実行する。
受光器jkで受光しなかった場合(S14でNO)、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jkのセンサ番号kを、乗客により遮光される、最も高い位置の水平光(特定水平光)に対応するセンサ番号Aとして設定し(S16)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、前述したように、本フローチャートによる処理は所定時間周期で繰り返し実行される。センサ番号Aとしてk(1以上の値)を設定した場合、センサ制御装置60は、センサ番号A(k)に対応するパルス幅のパルスを出力する。センサ番号kに対応するパルス幅は、センサ番号kに紐付けてセンサ制御装置60の記憶部に記憶されており、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jkに対応するパルス幅を記憶部から読み出し、当該パルス幅を有するパルス信号を1個生成してエレベータ制御装置10に出力する。
ステップS12においてセンサ番号kがN以下でない場合(S12でNO)、つまりセンサ番号kが1〜Nの全ての受光器で受光された場合、センサ制御装置60は、センサ番号Aとして、全ての受光器で受光されたことを示す0を設定し(S17)、本フローチャートによる処理を終了する。なお、前述したように、本フローチャートによる処理は所定時間周期で繰り返し実行される。センサ番号Aとして0を設定した場合、センサ制御装置60は、パルスを出力しない。
図7Bは、センサ番号kに対するパルス幅の特性を例示した図である。
図7B(a)に示すように、受光器jkに対応するパルス幅は、センサ番号kが小さいほど大きくなるように設定されている。これによると、図7B(b)に示すように、センサ高さが高くなるほど、パルス幅が大きくなる。
なお、このパルス幅は、図7B(b)に示すように、パルス幅とセンサ高さの関数関係が直線的となるように、センサ高さに正比例させてもよい。
図7Cは、センサ制御装置から出力されるパルスを模式的に説明した図である。
図7C(a)は、最も上の受光器j1で受光しなかった場合を示し、図7C(b)は、中間高さ付近の受光器jkで受光しなかった場合を示し、図7C(c)は最も下の受光器jNで受光しなかった場合を例示している。これらに示すように、パルス幅は、センサ番号kの大きさに応じて変化する。なお、これらの図は、4周期分を表示している。そのため4個のパルスが所定時間周期(上例では33ms周期)で出力されている。また、これら図ではいずれも、受光しなかった受光器jkの高さが4回連続して同じである場合を示しているが、乗降口20aを通過する乗客の高さが通過方向において一定でない場合、パルス幅は、受光しなかった受光器jkの高さに応じて変化することとなる。
図8は、センサ制御装置から出力されるパルス列の具体的一例を示した図である。
例えば、図8(a)に示すような車いすを利用した乗客が乗降口20a(マルチビームセンサ50)を通過したものとする。このとき、マルチビームセンサ50の投光器i1〜iNが、高い位置のものから1個ずつ順に投光されると、いずれかの高さで、投光された光が遮られる。そして、遮られた光の高さに応じたパルス幅を有するパルスが、図8(b)に示すように、所定時間周期(上例では33ms周期)でセンサ制御装置60から出力される。そうすることで、車いす利用の乗客が乗降口20aを通過するときに上縁の高さが前後方向(通過方向)に変動する有様が、パルス幅が変動する形で示される。なお、いずれのセンサ光も遮られていないとき、センサ制御装置60は、パルスを出力しない。このように、本実施の形態では車いす利用の乗客の上縁の高さを、上縁の高さに応じたパルス幅を有するパルスに変換して出力する。そのため、センサ制御装置60は、乗客の上縁の高さの情報を、接点信号用入出力端子を利用してエレベータ制御装置10に出力できる。従来からかごドア21の開閉のための判断用に、パルス幅固定のパルスを接点信号用入出力端子を介して出力するようにしているが、同じ入出力端子のままパルス幅可変の機能を追加するだけで済ませることができる利点を追求したものである。
本実施の形態のエレベータ30では、上記のようなセンサ制御装置60から出力されるパルス信号に基づいて、エレベータ30に乗降する乗客の乗客種別を判定するとともに、判定した乗客種別に応じて、乗りかごの各種設備の動作やエレベータ30の運行の制御を行う。以下、くわしく説明する。
2−4.乗客種別の判定処理
乗客種別の判定処理について詳しく説明する。
図9Aは、エレベータ制御装置における乗客種別判定処理を説明したフローチャートである。
エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から出力されたパルス列の電圧波形に基づいて、乗降口20aを通って乗りかご20に乗降した乗客の上縁の形状を示す高さ波形(Tstart〜Tendの時間の波形)を生成する(S101)。高さ波形の生成は、例えば、図9Bに示すような方法で行うことができる。最後のパルスが出力された時刻Tendは、連続的に出力されていたパルスが、所定個数分途切れたときに、最後のパルスの出力が終了した時刻に設定される。所定個数は例えば10個である。
図9Bは、高さ波形の生成処理の一例を説明した図である。
図9B(a)に示すように、例えば、図8でも説明したのと同じような車いす利用の乗客がマルチビームセンサ位置を通過し、図9B(b)に示すようなパルス列がセンサ制御装置60から出力され始めたものとする。エレベータ制御装置10は、パルス列の出力が終了するまで、パルス列の電圧波形に対してローパスフィルタ処理を施す。ローパスフィルタ処理を施すと、パルス毎にパルス幅に基づいてデューティ比(オンデューティの比率)が抽出され、図9B(c)に示すようなデューティ比波形が生成される。エレベータ制御装置10は、デューティ比波形に対して所定増幅率の増幅処理を施して、図9B(d)に示すような高さ波形を生成する。エレベータ制御装置10は、生成した高さ波形を記憶部12に記憶する。その際、高さ波形に紐付けて、時刻Tstart及び時刻Tendを記憶する。時刻Tstartは、乗客が乗車または降車し始めてセンサ光が遮光されたことで、一部の受光器でセンサ光が受光されなくなり、センサ制御装置60からパルス列が出力され始めた時刻である。時刻Tendは、乗客の乗車または降車が完了してセンサ光が遮光されなくなったことで、全ての受光器でセンサ光が受光されるようになり、センサ制御装置60からパルス列が出力されなくなった時刻である。
エレベータ制御装置10は、このようにして生成された高さ波形(Tstart〜Tendの時間の波形)に基づいて以下の判断を行う。以下の説明では、図9Aのフローチャートに加えて図9C、図9D、図9Eを適宜参照しながら説明する。
図9Cは、乗客種別判定方法を説明した図である。図9Dは、乗客種別判定方法を説明した図である。図9Eは、乗客種別判定方法を説明した図である。
図9Cでは、乗客が、車いすを利用する「車いすのみ」の乗客種別に属する乗客であるときの例を示している。図9Dでは、乗客が、車いす等の車を押していない「人のみ」の乗客種別に属する乗客であるときの例を示している。図9Eでは、乗客が、車いす等を押している「車いす+人」の乗客種別に属する乗客であるときの例を示している。図9Cと図9Dと図9Eのいずれも、乗車と降車で共通な図である。図9Cと図9Eでは、乗車後に乗りかご内で車いすをターンして、降車時も前向きに進んで降車することを想定している。
図9AのステップS102において、エレベータ制御装置10は、高さ波形(Tstart〜Tendの時間の波形)に閾値Ht以上の高さの部分が含まれているか否かを判断する(S102)。閾値Htは、車いすに座った利用者の頭頂の平均的な高さ(床面からの高さ)よりも所定量高い高さに設定されている。所定量は、平均的な高さに対する偏差量に基づいて設定される。
閾値Ht以上の高さの部分が含まれていない場合(S102でNO)、例えば、図9Cに示すような場合、エレベータ制御装置10は、乗客が「車いすのみ」の乗客種別に属する乗客であると判定する(S103)。
これに対し、閾値Ht以上の高さの部分Phが含まれている場合(S102でYES)、例えば、図9Dや図9Eに示すような場合、エレベータ制御装置10は、高さ波形が人と車の両方を含む波形か否かを判断する(S104)。
エレベータ制御装置10はこの判断を例えば以下のように行う。すなわち、エレベータ制御装置10は、ロードセル35から、かごの荷重値を示す信号を常時受信しており、受信した信号が示す荷重値を時間で微分して得た微分値の波形を、現在時刻の前後の一定時間分、時刻と関連付けて記憶する。一定時間は、乗客が通過するのに要する時間よりも十分に(例えば2倍)長い時間である。ここで、乗客が乗車した際のかごの荷重値、及びその微分値の波形は、乗客種別が「人のみ」の場合、例えば図9Dに示すように、第1閾値Dt1以上の微分値を有する山P1を1個だけ有する波形となる。これに対し、「車」を人が押している場合には、例えば図9Eに示すように、第1閾値Dt1以上の微分値を有する山P1と、第2閾値Dt2以上の微分値を有する山P2との2つ以上の山を有するとともに、山P1と山P2の間に第3閾値Dt3以下(ほぼ0)の微分値を有する変曲点P3を有する波形となる。ここで、第1閾値Dt1は、例えば、所定乗客が乗りかご20に乗車した際に生じる微分値程度の値に設定されている。所定乗客とは、例えば、車いすを押すことが可能な例えば30kg程度の体重を有する乗客である。この考え方に基づいて、エレベータ制御装置10は、高さ波形が、第1閾値Dt1以上の微分値を有する第1の山と、第2閾値Dt2以上の微分値を有する第2の山との2つ以上の山を有し、かつ第1の山と第2の山の間に第3閾値Dt3以下(ほぼ0)の微分値を有する変曲点P3を有しているときは、高さ波形が人と車の両方を含む波形であると判断し、そうでないときは、高さ波形が人と車の両方を含む波形ではないと判断する。
ステップS104において高さ波形が人と車の両方を含む波形ではないと判断した場合(S104でNO)、例えば、図9Dに示すような高さ波形の場合、エレベータ制御装置10は、乗客種別が「人のみ」の乗客種別であると判定する(S105)。
これに対し、高さ波形が人と車の両方を含む波形である場合(S104でYES)、「車」の種別の判別を適切に行えるように、人の波形と車の波形を分離する処理を行う。例えば、高さ波形が図9Eに示すような人と「車」の両方を含む波形の場合、エレベータ制御装置10は、上記の変曲点P3が生じた時刻を分離タイミングTsとして取得し、取得した分離タイミングTsで高さ波形を分割し、Tstart〜Tsの高さ波形と、Ts〜Tendの高さ波形のうち、山P1が無いTstart〜Tsの間の高さ波形を「車」の高さ波形として分離する(S106)。人が車いすを引いて後ろ向きに乗車したり降車したりする場合は、Ts〜Tendの高さ波形の方において山P1が無いことになるので、Ts〜Tendの高さ波形を「車」の高さ波形として分離する。なお、「車」には、車いすだけでなく、ベビーカーや、ショッピングカートが含まれる。
エレベータ制御装置10は、「車」の高さ波形を、正規化する(S107)。
図10は、「車」の高さ波形の正規化を説明した図である。
図10では「車いす」の例を示している。正規化するのは、以下の理由による。すなわち、「車」の進行速度は「車」を動かす乗客毎に異なるため、乗降口20aを「車」が通過するのに要する時間が乗客毎に異なり、その結果、検出される「車」の高さ波形は、例えば、ある乗客Pxの場合は図10(a)に示すような波形になったり、ある乗客Pyの場合は図10(b)に示すような波形になったりする。つまり、乗客毎に、検出される「車」の高さ波形の時間軸方向の大きさ(長さ)が異なってくる。そのため、「車」の高さ波形に対して、「車」(車部分)の通過時間に関し、0〜1の値範囲(所定の値範囲)への正規化を施す。例えば、図10(a)において、Tstartを「0(s)」、Tendを「Ts1(s)」に置き換え、かつTstartが「0」、Tendが「1」となるように、波形を描き直して図10(c1)のような波形を生成する。図10(b)で、Tstartを「0(s)」、Tendを「Ts2(s)」に置き換え、かつTstartが「0」、Tendが「1」となるような波形に描き直して図10(c2)のような波形を生成する。
図11は、平均高さ波形の一例を示した図である。
図11(a)は「車いす」の平均高さ波形を示す。図11(b)は「ベビーカー」の平均高さ波形を示す。図11(c)は「ショッピングカート」の平均高さ波形を示す。これらからわかるように、「車」の種類に応じて、平均高さ波形の形状は異なる。そのため、検出された高さ波形と平均高さ波形との相関を調べれば、「車」の種類を判別することができる。
図12は、各「車」の平均高さ波形の生成方法の一例を説明した図である。
各「車」の平均高さ波形は、例えば図12に示すような手順で生成される。図12では、「車」の1種である「車いす」の平均高さ波形の生成方法の一例を示している。まず、図12(a)に示すように、世の中に流通している複数種の車いすの画像を取得する。これらの画像は、設計図や写真等であってもよい。なお、「車いす」の場合、人が乗っている車いすの画像とすることが好ましい。次に、図12(b)に示すように、複数の車いすの画像のそれぞれについて、画像処理を施して上縁の形状を抽出した高さ波形を取得する。次に、図12(c)に示すように、各車いすに関して取得した高さ波形間で、車いすの前後方向の長さが一致するように、各車いすの高さ波形に対して、車いすの長さに関し、0〜1の値範囲(所定の値範囲)への正規化を施す。例えば、各画像に関して検出された高さ波形が、0(m)〜L1(m)、0(m)〜L2(m)、0(m)〜L3(m)の長さ範囲の波形である場合、それぞれL1(m)、L2(m)、L3(m)で除算することで、0〜1の値範囲(所定の値範囲)の波形に正規化(規格化)して描き直す。次に、図12(d)に示すように、このようにして得られた複数の車いすの高さ波形を平均化した1つの高さ波形を生成し、生成した高さ波形を「車いす」の平均高さ波形として設定する。
「車」の1種である「ベビーカー」や「ショッピングカート」についても、「車いす」の場合と同様の処理で、平均高さ波形を生成する。なお、「ベビーカー」の場合、子供が乗っているベビーカーの画像を用いることが好ましい。
図9Aに戻り、エレベータ制御装置10は、正規化された「車」の高さ波形と、「車いす」の平均高さ波形とを比較(パターンマッチング)して、これらの高さ波形間の類似の程度を示す相関係数を求める(S108)。相関係数は、類似の程度が高いほど大きな値を有するものとする。相関係数は、公知のパターンマッチング手法を用いて求めることができる。
エレベータ制御装置10は、求められた相関係数が「車いすのしきい値」以上か否かを判断する(S109)。
求められた相関係数が「車いすのしきい値」以上である場合(S109でYES)、エレベータ制御装置10は、乗客種別が「車いす+人」であると判定する(S110)。
求められた相関係数が「車いすのしきい値」以上でない場合(S109でNO)、エレベータ制御装置10は、正規化した「車」の高さ波形と、「ベビーカー」の平均高さ波形とを比較(パターンマッチング)して、両高さ波形間の類似の程度を示す相関係数を求める(S111)。
エレベータ制御装置10は、求められた相関係数が「ベビーカーのしきい値」以上か否かを判断する(S112)。
求められた相関係数が「ベビーカーのしきい値」以上である場合(S112でYES)、エレベータ制御装置10は、乗客種別が「ベビーカー+人」であると判定する(S113)。
求められた相関係数が「ベビーカーのしきい値」以上でない場合(S112でNO)、エレベータ制御装置10は、正規化された「車」の高さ波形と、「ショッピングカート」の平均高さ波形とを比較(パターンマッチング)して、両高さ波形間の類似の程度を示す相関係数を求める(S114)。
エレベータ制御装置10は、求めた相関係数が「ショッピングカートのしきい値」以上か否かを判断する(S115)。
求めた相関係数が「ショッピングカートのしきい値」以上である場合(S115でYES)、エレベータ制御装置10は、乗客種別が「ショッピングカート+人」であると判定する(S116)。
求められた相関係数が「ベビーカーのしきい値」以上でない場合(S115でNO)、エレベータ制御装置10は、乗客種別が「人のみ」であると判定する(S117)。
2−5.乗降方向の判定
エレベータ制御装置10は、ロードセル35で検出された荷重値に基づいて、乗客の乗降方向の判定を行う。具体的には、Tstart〜Tendの期間の高さ波形を取得した際、当該期間にロードセル35で検出された荷重値が増加したか否かを判断する。そして、増加した場合は、乗客が乗車したと判断する。一方、減少した場合は、乗客が降車したと判断する。
なお、「ベビーカー」、「ショッピングカート」、「車いす」などの「車」を押す乗客、及び「車いす」に乗る乗客は、後退しながら乗降する場合がある。そのため、前述した、前進して乗降車した場合のテンプレートに加え、前進して乗降車した場合のテンプレートの時間軸を反転した「後退して乗降車した場合のテンプレート」を記憶させておいてもよい。あるいは、パターンマッチングの際、「前進して乗降車のテンプレート」の時間軸を反転してパターンマッチングを行ってもよい。
エレベータ制御装置10は、乗りかご20に乗車した乗客の乗客種別の判定を完了すると、判定した乗客種別に応じて、エレベータ30の各種設備の動作の制御や、エレベータ30の運行の制御を行う。以下、くわしく説明する。
3.乗客種別の判定結果に基づく乗りかご内の子どもへの音楽や映像の提供
図13は、乗客種別の判定結果に基づく乗りかご内の子どもへの音楽や映像の提供を説明した図である。
エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果に基づいて乗りかご20内の子どもへの音楽や映像の提供を行う。
具体的には、図9Aのフローチャートにおいて、乗車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、記憶部12に格納されている子供用音楽及び子供用映像のデータを読み出して、音声信号及び映像信号を生成し、スピーカ36及び表示装置37に出力する。これにより、スピーカ36及び表示装置37から子供用音楽及び子供用映像が出力される。
また、降車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、スピーカ36及び表示装置37への音声信号及び映像信号の出力を終了する。これにより、スピーカ36及び表示装置37からの子供用音楽及び子供用映像の提供が終了する。
乗車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」以外である場合には、エレベータ制御装置10は、子供用音楽及び子供用映像の提供は行わない。
なお、1個の乗りかご20内に乗客種別が「ベビーカー+人」の乗客が複数乗車する場合がある。そのため、エレベータ制御装置10は、乗りかご20内の「ベビーカー+人」の乗客数をカウントし、「ベビーカー+人」の乗客が全て降車したときに、つまり乗客種別が「ベビーカー+人」の乗客数がゼロとなったときに、スピーカ36及び表示装置37からの子供用音楽及び子供用映像の提供を終了させてもよい。例えば、エレベータ制御装置10は、乗車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断したときに、「ベビーカー+人」の乗客数に1を加算し、降車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断したときに、「ベビーカー+人」の乗客数から1を減算することで、乗車中の「ベビーカー+人」の乗客数をカウントする。なお、「ベビーカー+人」の場合、1回の乗降につき、実際の乗客数は2人ずつ増減することとなるが、本制御では、「ベビーカー+人」を「1」とカウントしても特に問題は生じない。
ここで、子供用音楽及び子供用映像は、ベビーカーに乗っている子供に適した音楽や映像である。ベビーカーに乗っている子供とは、例えば0歳〜3歳程度の乳幼児である。このような子供は、乗りかご20内でむずかる場合があり、このときその親は周囲に迷惑とならないよう気兼ねする。このようなことの発生を抑制するため、乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断した場合、子供に適した音楽や映像を提供することで、子供の機嫌を良くさせるようにする。なお、ベビーカーに乗っている子供が睡眠中の場合もある。そのため、提供する音楽や映像は、睡眠中の子供を起こしにくい音楽や映像とする。
子ども向けの音楽としては、例えば子守唄、童謡、手遊び歌(知育音楽)、アニメソング、クラシック音楽(育脳音楽)、オルゴール音楽等の音楽が挙げられる。なお、クラシック音楽やオルゴール音楽としては、ゆったりとしたテンポでやさしい曲調のものが好ましい。また、これらの音楽に砂嵐風の音を混合してもよい。具体的一例としては、「赤ちゃんが泣きやむクラシック音楽メドレー」、「ゆりかごのうた(オルゴール)+砂嵐の音」等がある。また、定位反射を促す動画(映像・音楽)、例えば「ふかふかかふかのうた」のような動画であってもよい。
なお、音楽や映像の提供とともに、乗りかご20内に備えられた照明装置(図示せず)の照明の照度を、ベビーカーに乗車中の子供がまぶしくないように通常よりも低下させてもよい。これにより、睡眠中の子供を、より起こしにくくすることができる。「ベビーカー+人」の乗客種別の乗客が乗車していない場合は、音楽や映像を流さず、照明も通常の照度に保ち、通常のかご内空間で保持する。これにより、一般の利用者に適した環境を保持できる。
4.乗客種別の判定結果に応じた乗りかご内の空調風の風向きの調整
図14は、乗客種別の判定結果に応じた乗りかご20内の空調風の風向きの調整を説明した図である。
エレベータ制御装置10は、空調装置40に、乗客種別の判定結果に応じて、乗りかご20内の空調風の風向きの調整を行わせる。
具体的には、エレベータ制御装置10は、空調装置40のコントローラに、空調風の風向きを乗客種別の判定結果に応じた風向きとさせる風向き信号を出力する。乗客種別の判定結果に応じた空調風の風向きとしては、「背高」、「中背」、「背低」用の風向きがある。空調装置40のコントローラは、風向き信号を受信すると、フラップ41の角度を風向き信号に応じた角度とさせるように、フラップ41のアクチュエータを制御する。これにより、空調装置40のフラップ41の角度が風向き信号に応じた角度、つまり乗客種別に応じた角度となり、空調風の風向きが、乗客種別に応じて「背高」、「中背」、「背低」に制御されることとなる。
より具体的には、乗車した乗客の乗客種別が例えば「人のみ」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、空調装置40に、乗客の身長区分に応じて空調風の風向きを調整させる。乗客の身長は、マルチビームセンサ50を利用した乗客種別の判断において取得した高さ波形(Tstart〜Tendの時間の波形)に基づいて取得できる。エレベータ制御装置10は、高さ波形に基づいて、乗車してきた乗客を、「背高」、「中背」、「背低」のいずれの身長区分に属するかを判断し、判断した結果に応じて、空調装置40に、フラップ41の角度を「背高」用の角度、「中背」用の角度、または「背低」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「背高」、「中背」、「背低」に応じた風向きに調整される。空調風の風向きが「背高」、「中背」、「背低」に応じた風向きに調整されるとは、例えば、乗りかご20内でほぼ中央の位置にいる「背高」、「中背」、「背低」の乗客の頭に、最も強い空調風が当たるように調整されることである。なお、「背高」は例えば身長が170cm以上、「中背」は身長が例えば150cm以上、「背低」は身長が例えば130m以上としてもよい。
「背高」の乗客、「中背」の乗客、「背低」の乗客のいずれであるかの判定は例えば以下のように行う。すなわち、乗客種別の判断において取得した高さ波形に「背高」用閾値以上の高さの部分が存在するときは「背高」の乗客と判断し、「背高」用閾値以上の高さの部分が存在せず、かつ「中背」用閾値以上の高さの部分が存在するときは「中背」の乗客と判断し、「中背」用閾値以上の高さの部分が存在しないときは「背低」の乗客と判断する。
乗車した乗客の乗客種別が「車いすのみ」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、空調装置40に、フラップ41の角度を「背低」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「背低」用の風向きに調整される。車いす利用の乗客は座った状態であるため、頭の高さが「背低」相当となる。そのため、「背低」用の風向きとする。
乗車した乗客の乗客種別が「車いす+人」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、空調装置40に、フラップ41の角度を「中背」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「中背」用の風向きに調整される。車いすに座った乗客の頭の位置は、「背低」相当となる。一方、車いすを押す乗客は、「背高」、「中背」、「背低」のいずれかである。そのため、車いすに座った乗客と、車いすを押す乗客との両方に一定程度空調風が当たるように、「車いす+人」であると判断した場合には、「中背」用の風向きとする。
乗車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、空調装置40に、フラップ41の角度を「中背」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「中低」用の風向きに調整される。ベビーカーに座った乗客(子供)の頭の位置は、「背低」相当となる。一方、ベビーカーを押す乗客は、「背高」、「中背」、「背低」のいずれかである。そのため、ベビーカーに座った乗客(子供)と、ベビーカーを押す乗客との両方に一定程度空調風が当たるように、「ベビーカー+人」であると判断した場合には、「中背」用の風向きとする。
乗車した乗客の乗客種別が「ショッピングカート+人」であると判断した場合、エレベータ制御装置10は、「人のみ」であると判断したとき同様に、乗車した乗客が「背高」の乗客、「中背」の乗客、「背低」の乗客のいずれであるかを判定し、判定した結果に応じて、空調装置40に、フラップ41の角度を「背高」用の角度、「中背」用の角度、または「背低」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「背高」、「中背」、「背低」に応じた風向きに調整される。
なお、1個の乗りかご20内に異なる乗客種別の乗客が混在する場合がある。この場合、乗りかご20内に存在する最も優先順位の高い乗客種別の乗客用の風向きに調整する。本実施の形態では、図14に示すように、社会的弱者優先の方針のもとに、「車いすのみ」を優先順位「1」とし、「車いす+人」及び「ベビーカー+人」を優先順位「2」とし、「人のみ」及び「ショッピングカート+人」を優先順位「3」としている。
ここで、1個の乗りかご20内に異なる乗客種別の乗客が混在しているか否かを判断するためには、乗りかご20内にいる乗客の数を乗客種別毎に把握しておく必要がある。そのため、エレベータ制御装置10は、乗りかご20内にいる乗客の数を乗客種別毎にカウントする。例えば、エレベータ制御装置10は、乗車した乗客の乗客種別が「車いすのみ」であると判断したときに、「車いすのみ」の乗客数に1を加算し、降車した乗客の乗客種別が「車いすのみ」であると判断したときに、「車いすのみ」の乗客数から1を減算することで、「車いすのみ」の乗客数をカウントする。また、エレベータ制御装置10は、乗車した乗客の乗客種別が「車いす+人」であると判断したときに、「車いす+人」の乗客数に1を加算し、降車した乗客の乗客種別が「車いす+人」であると判断したときに、「車いす+人」の乗客数から1を減算することで、「車いす+人」の乗客数をカウントする。また、エレベータ制御装置10は、乗車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断したときに、「ベビーカー+人」の乗客数に1を加算し、降車した乗客の乗客種別が「ベビーカー+人」であると判断したときに、「ベビーカー+人」の乗客数から1を減算することで、「ベビーカー+人」の乗客数をカウントする。なお、「車いす+人」または「ベビーカー+人」の場合、1回の乗降につき、実際の乗客数は2人ずつ増減することとなるが、本制御では、「車いす+人」、「ベビーカー+人」をそれぞれ「1」とカウントしても特に問題は生じないので、そのように扱う。また、エレベータ制御装置10は、乗降した乗客の乗客種別が「人のみ」、「ショッピングカート+人」の場合にも同様に、乗客数をカウントする。
そして、エレベータ制御装置10は、1個の乗りかご20内の各乗客種別の乗客数がいずれもゼロとなった場合、つまり1個の乗りかご20内の乗客数がゼロとなった場合には、空調装置40に、フラップ41の角度を「中背」用の角度に調整させる。これにより、空調風の風向きが「中背」用の風向きに調整される。これにより、次の乗客が乗車したときに、いずれの乗客種別の乗客が乗車した場合でも、弱いながらも一定程度の空調風が乗客に当たることとなる。なお、1個の乗りかご20内の乗客数がゼロとなる前から、乗車中の乗客の乗客種別によっては、空調風の風向きが「中背」用の風向きになっていることがある。この場合、1個の乗りかご20内の乗客数がゼロとなった後も、その状態が維持される。
なお、乗客種別が「車いす+人」または「ベビーカー+人」の場合、車いすまたはベビーカーを押す乗客を高さ波形に基づいて、当該乗客の身長区分が「背高」、「中背」、「背低」のいずれかであるかを「人のみ」の場合と同様の方法により検出し、空調装置40のフラップ41を、検出した身長区分用の角度と、車いす及びベビーカーに乗った乗客に適した「背低」用の角度との間で首振りさせるようにしてもよい。この場合、エレベータ制御装置10は、空調装置40のコントローラに、「背高」、「中背」、「背低」のうち検出された身長区分と、車いす及びベビーカーに乗った乗客に適した「背低」と、これらの間で首振りさせることを要求する信号を出力する。空調装置40のコントローラは、信号を受信すると、フラップ41を2つの身長区分に応じた角度範囲内で首振りさせるように、フラップ41のアクチュエータを制御する。これにより、車いす及びベビーカーに乗った乗客と車いす及びベビーカーを押す乗客との両方に、空調風を当てることができる。
5.乗客種別の判定結果に基づく緊急時の自動情報発信
図15Aは、乗客種別の判定結果に基づく緊急時の自動情報発信を説明した図である。図15Bは、監視盤の表示部の表示例を示した図である。
エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果に応じて、図15Aに示すように、緊急時の自動情報発信を行う。
具体的には、エレベータ制御装置10は、地震感知器34から地震検知信号を受信した場合、緊急事態が発生したと判断してエレベータ30の運転モードを、通常運転モードから地震時管制運転モードに変更する。通常運転モードは、乗客による行先階ボタン等の操作を受け付けて、乗りかご20を通常通り昇降させる運転モードである。地震時管制運転モードは、乗りかご20を自動で最寄階に着床させて戸開させるモードである。これにより、乗りかご20内の乗客は、最寄階に着床後、最寄階で降車できる。
エレベータ制御装置10は、運転モードを地震時管制運転モードに設定すると、乗りかご20内に、社会的弱者である、乗客種別が「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」の乗客が少なくとも1組乗車しているか否かを判断する。乗客種別が「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」である乗客が少なくとも一組乗車しているか否かの判断は、乗りかご20内にいる乗客の数を、前項(4.乗客種別の判定結果に応じた乗りかご内の空調風の風向きの調整)で説明したのと同様の方法で、乗客種別毎にカウントしておき、カウントした乗客の数に基づいて行うことができる。なお、本項では、「人のみ」及び「ショッピングカート+人」の乗客数をカウントすることは必須ではない。
なお、この判断は、地震時管制運転モードに設定された直後に実行されるため、判断時にはまだ乗りかご20は最寄階に着床していない。
乗客種別が「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」の乗客が少なくとも1組乗車している場合、エレベータ制御装置10は、ビルの管理人室のビル監視盤100(エレベータ監視盤)に、社会的弱者が乗車していることを示す救助要請信号を自動で発信する。
救助要請信号を受信すると、ビル監視盤100は、社会的弱者が乗車していることを、管理人が認識可能な態様で報知する。例えば、図15B(a)に示すように、ビル監視盤100は、表示部101に「8階のエレベータ付近に社会的弱者がいます」等の内容を表示する。あるいは、ビル監視盤100は、スピーカ102から当該内容を音声で出力させる。
なお、本実施の形態のエレベータ制御装置10は、前述したように、社会的弱者に相当する乗客種別として「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」を区別して把握しているとともに、乗客種別毎の人数(組数)を把握している。そのため、乗客種別の情報、乗客種別毎の人数の情報を付加した救助要請信号を出力してもよい。また、エレベータ制御装置10は、上記の弱者が乗車している号機名の情報をビル監視盤100に出力するようにしてもよい。この場合、例えば図15B(b)に示すように、ビル監視盤100は、表示部101に「8階のA号機付近に車いすの乗客が1人います」、「7階のB号機付近に、車いすの乗客が1人と、ベビーカーを押した乗客が1組います」等の内容を表示する。あるいは、ビル監視盤100は、スピーカ102から同じ内容を音声で出力させる。このようにビル監視盤100の表示部101やスピーカ102から乗客種別毎の人数等の報知を行うことで、ビル管理人において、救助の優先順位等を検討できるようになる。
なお、乗りかご20にかご内の映像を撮像するカメラが備えられている場合には、ビル監視盤100に、カメラで撮像された映像の映像信号を出力してもよい。ビル監視盤100は、映像信号を受信すると、映像信号に係る映像をその表示部101に表示させる。
ビル監視盤100から報知された情報に基づいて、ビル管理人は、ビル監視盤100に備えられたマイク等を利用して、ビルの各階のスピーカ110から、ビル内にいる人々に、上述のようにして把握した社会的弱者を安全な階床に移動させることの協力を要請するアナウンスを行う。例えば、「8階に車いすの乗客が1人います」という内容がビル監視盤100の表示部101に表示された場合、「8階のエレベータ乗場付近に車いすの乗客が1人いますので、移動の手助けをお願いします」等の館内アナウンスを行う。
なお、上記では、「地震時管制運転モード」になった際に自動情報発信を行う例を示したが、本発明は、火災の発生などで管制運転モードになった際にも適用できる。火災発生の情報は、例えば、ビル内の火災感知器に接続されたビル監視盤100から、エレベータ制御装置10に自動であるいは管理人の操作により手動で出力させる。火災発生の情報を受信した場合、エレベータ制御装置10は、緊急事態が発生したと判断してエレベータ30の運転モードを通常運転モードから管制運転モードに切り替えるとともに、上述したのと同様に乗客種別毎の人数等の情報をビル監視盤100に自動で情報発信する。また、停電の発生をエレベータ制御装置10が検知したとき、あるいはビル監視盤100から停電が発生したことを示す信号を受信したときに、エレベータ制御装置10は緊急事態が発生したと判断して上述したのと同様に乗客種別毎の人数等の情報をビル監視盤100に自動で情報発信を行ってもよい。あるいは、エレベータ制御装置10が自己診断した際に、エレベータ30が故障した、あるいは故障の可能性があると判断した場合に、上述したのと同様に乗客種別毎の人数等の情報をビル監視盤100に自動で情報発信を行ってもよい。
また、上記では、エレベータ30が設置されたビル内の「管理人室」のビル監視盤100へ自動情報発信を行う例を示したが、ビルの外でエレベータ会社等が設けている「監視センタ」の外部監視装置200へ自動情報発信を行ってもよい。
また、上記では、最寄階で社会的弱者が乗りかご20から脱出できる例について説明したが、階間で乗りかご20が止まってしまって弱者が閉じ込められた状況になった場合にも適用できることは言うまでもない。
上記では、自動情報発信が行われた後、発信された情報に基づいて、管理人がビル監視盤100のマイク等を利用して館内アナウンスを行う例を示したが、ビル監視盤100自体が、受信した情報を用いて上記と同様の内容を自動で音声合成して館内アナウンスを行ってもよい。また、発信された情報に基づいて、管理人あるいはビル監視盤100自体がビル外部の例えば役所などに救助要請を行う等その他の対応を行ってももちろんよい。
6.乗客種別の判定結果に基づく乗りかごの待機
図16Aは、乗客種別の判定結果に基づく乗りかごの待機制御を説明した図である。図16Bは、乗りかごの待機制御の概要を示した図である。図16Cは、乗りかごの表示装置の表示例を示した図である。
エレベータ制御装置10は、乗客種別の判定結果に応じて、図16Aに示すように、乗りかご20の待機制御を行う。
具体的には、エレベータ制御装置10は、乗りかご20から降車する乗客が、社会的弱者である「車いすのみ」、「車いす+人」、及び「ベビーカー+人」のうちのいずれかの乗客種別の乗客であると判断した場合、図16Bに示すように、上記乗客種別の乗客が降車した時刻Td1から第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2から第2所定時間Tm2の間、降車した階床に乗りかご20を待機させるように、乗りかご20の運行を制御する。エレベータ制御装置10は、第1所定時間Tm1の期間、当該乗りかご20を他の乗客の輸送のために、他階床に移動させてもよい。この場合、エレベータ制御装置10は、遅くとも時刻Td2までには、降車した階床に乗りかご20を着床させて待機させる。
より具体的には、エレベータ制御装置10は、乗りかご20から、社会的弱者に相当する「車いすのみ」、「車いす+人」及び「ベビーカー+人」のうちのいずれかの乗客種別の乗客が降車したか否かを判断する。乗客が降車したか否かの判断、及び降車した乗客の乗客種別の判定は、4項(4.乗客種別の判定結果に応じた乗りかご内の空調風の風向きの調整)で説明した方法により行うことができる。
エレベータ制御装置10は、本待機制御を、エレベータ30の利用が比較的少ない閑散時間帯のみ実行してもよい。
また、エレベータ制御装置10は、乗りかご20から降車する乗客が、社会的弱者である「車いすのみ」、「車いす+人」、及び「ベビーカー+人」のうちのいずれかの乗客種別の乗客であると判断した場合、上記乗客種別の乗客が降車したこと、及び降車した時刻Td1の情報を、群管理制御装置5に送信してもよい。この場合、群管理制御装置5は、上記所定乗客種別の乗客が降車した乗りかご20でなく、他の乗りかご20を割り当ててもよい。その際、通常の群管理のように、運行効率を考慮して最適な乗りかご20(号機)を割り当ててもよい。あるいは、複数台のエレベータ30の中に、車いす利用の乗客に適した身障者仕様の乗りかご20(号機)が含まれている場合には、群管理制御装置5は、待機させるエレベータ30として身障者仕様のエレベータを設定してもよい。群管理制御装置5は、割り当てた号機のエレベータ制御装置10に対し、上記乗客種別の乗客が降車した時刻Td1から第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2から第2所定時間Tm2の間、降車した階床に乗りかご20を待機させることを指示する信号を出力する。この信号を受信したエレベータ制御装置10は、上記乗客種別の乗客が降車した時刻Td1から第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2から第2所定時間Tm2の間、降車した階床に乗りかご20を待機させるように、乗りかご20の運行を制御する。
また、エレベータ制御装置10は、降車した階床に乗りかご20を待機させている間、図16Cに示すように、例えば「現在、車いす利用の乗客を待っています。他のエレベータをご利用ください」等の案内を乗りかご20の表示装置37に表示させてもよい。あるいは、エレベータ制御装置10は、当該内容の案内音声を乗りかご20のスピーカ36から出力させてもよい。案内音声の出力は、一定時間間隔で行ってもよいし、待機中に乗車しようとした乗客の乗客種別を判定し、判定された乗客種別が、待機の原因となった乗客の乗客種別と一致しない場合に出力してもよい。
また、エレベータ制御装置10は、第1所定時間Tm1を、「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」の乗客種別に応じて異ならせてもよい。例えば、「車いすのみ」の乗客は、「車いす+人」や「ベビーカー+人」の乗客と比べて移動に時間がかかりやすいので、「車いすのみ」の乗客種別の第1所定時間Tm1を、「車いす+人」や「ベビーカー+人」の乗客種別の第1所定時間Tm1よりも長くしてもよい。また、乗客種別毎の第1所定時間Tm1を実測値に基づいて設定してもよい。例えば、「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」の乗客種別の各乗客について、降車してから乗車するまでの時間を測定し、乗客種別毎に測定値の平均値を求め、この平均値を第1所定時間Tm1としてもよい。あるいは、乗客種別毎に測定値の平均値及び標準偏差を求め、この平均値に対して標準偏差分を加算した値を第1所定時間Tm1としてもよい。
なお、上記では、第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2から第2所定時間Tm2の間だけ、乗りかご20を待機させるが、乗客が降車した時刻Td1から第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2までの間についても、適宜待機させてもよい。例えば、エレベータシステムが複数台のエレベータ30を有している場合において、エレベータ30の利用が少ない閑散時間帯には、乗客が降車した時刻Td1から第1所定時間Tm1が経過した時刻Td2までの間についても、乗りかご20を待機させるようにしてもよい。
また、乗りかご20の待機制御を、エレベータ30の利用が比較的少ない閑散時間帯のみ行うようにしてもよい。
また、エレベータ制御装置10は、上記の社会的弱者に相当する乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したことを検知した直後に、乗りかご20のスピーカ36から、乗りかご20を待機させる旨の案内音声を出力させてもよい。例えば、「今降車されたお客様のため、30分後に、エレベータを本階へ待機させます」などの案内音声を出力させてもよい。これにより、降車した乗客は、戻ってきたときの乗車について心配することなく、落ち着いて、ショッピングなどの用事を済ませることができる。
7.まとめ
7−1.乗客種別判定
(1)本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aを左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置された投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
所定時間周期で、同じ高さ位置に対向配置された投光器51aから投光された光を受光しなかった受光器52aのうち最も高い位置の受光器52aの高さ位置を示す信号を出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20内の乗客の荷重を検出するロードセル35(荷重検出部の一例)と、
エレベータ制御装置10(制御部の一例)と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号に基づいて、乗りかご20に乗降する乗降中の乗客の上縁の高さを所定時間周期で検出し、
所定時間周期で検出された上縁の高さと、ロードセル35で検出された荷重とに基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定する。
本発明によれば、マルチビームセンサ50の検出結果に基づく信号に基づいて、乗りかご20に乗車する乗降中の乗客の上縁の高さを所定時間周期で検出し、所定時間周期で検出された上縁の高さと、ロードセル35で検出された荷重とに基づいて、乗降した乗客の乗客種別を判定することができる。
(2)エレベータ制御装置10は、乗降した乗客を、車を手押ししながら乗降した乗客と、手押しされない車に乗って乗降した乗客と、車を伴わずに乗降した乗客とのうちのいずれの乗客種別の乗客であるかを判定する。
これにより、乗降した乗客を、車を手押ししながら乗降した乗客と、手押しされない車に乗りながら乗降した乗客と、車を伴わずに乗降した乗客とに区分できる。
(3)エレベータ制御装置10は、ロードセル35で検出された荷重に基づいて、乗客の乗降方向を判定する。
これにより、乗客種別毎の現在の乗客数を把握することなどが可能となる。
(4)車を手押ししながら乗降した乗客に関する乗客種別として複数の乗客種別が含まれている。
エレベータ30は、車を側方から見たときの上縁の形状を示す高さ波形を記録したテンプレートを複数記憶する記憶部12をさらに備える。
エレベータ制御装置10は、
乗客の乗降中に所定時間周期で検出された上縁の高さに基づいて、乗降した乗客の上縁の形状を示す高さ波形を生成し、
ロードセル35で検出された荷重の時間変化に基づいて、乗降した乗客がいずれかの車を押しながら乗降したか否かを判断し、
乗降した乗客がいずれかの車を押しながら乗降したと判断したときは、荷重の時間変化に基づいて、高さ波形を車部分の高さ波形と車を押す人部分の高さ波形とに分離し、
分離された車部分の高さ波形と各テンプレートにおける高さ波形とを比較して、車部分の高さ波形と最も高い相関を有する高さ波形が記録されたテンプレートを特定し、
乗降した乗客を、特定されたテンプレートに紐付けられた乗客種別に属する乗客であると判定する。
これにより、車を手押ししながら乗降した乗客を複数の乗客種別に精度よく区分できる。
(5)各テンプレートにおける高さ波形は、車の画像に基づいて生成された高さ波形に対して車の長さに関して所定の値範囲への正規化を施した波形であり、
分離された車部分の高さ波形は、車部分の通過時間に関して前記所定の値範囲への正規化を施した波形である。
これにより、分離された車部分の高さ波形と各テンプレートにおける高さ波形との比較の精度を向上させることができる。
(6)テンプレートは、車を利用する乗客に関する複数の乗客種別毎に1つずつ設定されている。
各テンプレートにおける高さ波形は、乗客種別に関連付けられた1以上の車の高さ波形に対して車の長さに関して前記前記所定の値範囲への正規化を施した波形を平均化した波形である。
これにより、車を利用する乗客に関する乗客種別を、乗客種別毎のテンプレートと1回ずつ比較するだけで判定できる。つまり、1つの乗客種別に含まれる多数の車機種毎にテンプレートを設定する場合よりも、比較及び乗客種別判定に要する時間を短縮できる。なお、各テンプレートにおける高さ波形は、乗客種別毎に関連付けられた1以上の車の高さ波形を車の長さに関して正規化した波形を平均化した波形であるので、車を利用する乗客に関する複数の乗客種別毎に1つずつとした場合でも、一定の精度を有する乗客種別判定を行うことができる。
(7)センサ制御装置60は、所定時間周期で、最も高い位置の受光器52aの高さ位置に応じたパルス幅を有するパルス信号を出力する。
エレベータ制御装置10は、受信したパルス信号のパルス幅に基づいて、最も高い位置の受光器52aの高さ位置を取得する。
これにより、受信したパルス信号のパルス幅に基づいて、最も高い位置の受光器52aの高さ位置を取得できる。
7−2.乗客種別の判定結果に応じた乗りかご内での音楽や映像の提供
(1)本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aを左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置された投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
マルチビームセンサ50の受光器52aの受光状態を示す信号を所定時間周期で出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20内の乗客の荷重を検出するロードセル35と、
乗りかご20内に配置され、音声と映像とのうちの少なくとも一方を出力するスピーカ36及び/または表示装置37(情報出力部の一例)と、
エレベータ制御装置10と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される荷重値を示す信号とに基づいて、ベビーカーを押す所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車したか否かを判定し、
所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車したと判定したときは、スピーカ36及び/または表示装置37から、ベビーカーに乗車する子供に適した音声及び/または映像を出力させる。
本発明によれば、エレベータ30に備えられることが多いマルチビームセンサ50を利用して、ベビーカーを押す所定の乗客種別の乗客を検出し、乗りかご内のベビーカーに乗車する子供に適した子供向け音声及び/または映像を提供することができる。
(2)エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される信号とに基づいて、所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したか否かを判定し、
所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したと判定したときは、スピーカ36及び/または表示装置37からの音声及び/または映像の出力を停止させる。
これにより、所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車している間だけ、子供向け音声及び/または映像を提供することができる。
(3)エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される信号とに基づいて、所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したか否かを判定し、
所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車したと判定したときに、所定の乗客種別の乗客数に1を加算するとともに、所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したと判定したときに、所定の乗客種別の乗客数から1を減算して、乗りかご20内の所定の乗客種別の乗客数をカウントし、乗客数がゼロとなったときに、スピーカ36及び/または表示装置37からの音声及び/または映像の出力を停止させる。
これにより、異なる階で降車する複数組の所定の乗客種別の乗客が乗車しているような場合に、少なくとも1組の所定の乗客種別の乗客が乗車している間は、子供向け音声及び/または映像を提供することができる。
(4)乗りかご20内に、乗りかご20内を照明する照明装置をさらに備え、
エレベータ制御装置10は、所定の乗客種別の乗客が前記乗りかごに乗車したと判定したときは、照明装置による照明の照度を低下させる。
これにより、所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車しているときに、ベビーカーに乗車する子供にまぶしさを感じにくくさせることができる。
7−3.乗客種別の判定結果に応じた乗りかご内の空調風の風向きの調整
(1)本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aを左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置された投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
マルチビームセンサ50の受光器52aの受光状態を示す信号を所定時間周期で出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20内の乗客の荷重を検出するロードセル35と、
乗りかご20内の空調を行う空調装置40と、
エレベータ制御装置10と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される荷重値を示す信号とに基づいて、乗りかご20に乗車する乗客の乗客種別を判定し、
空調装置40に、乗車する乗客種別に応じた風向きで空調風を出力させる。
本発明によれば、エレベータ30に備えられることが多いマルチビームセンサ50を利用して、乗客種別を判定し、乗客に応じた風向きの空調風を出力できる。
(2)エレベータ制御装置10は、さらに、センサ制御装置60から出力される信号に基づいて乗客の身長を推定し、空調装置40に、推定した身長に応じて空調風の風向きを変更させる。
これにより、乗客の身長に応じた風向きの空調風を出力できる。
(3)エレベータ制御装置10は、
乗りかご20に乗車する乗客の乗客種別を判定したときに、判定結果に対応する乗客種別の乗客数に1を加算するとともに、乗りかご20から降車する乗客の乗客種別を判定したときに、判定結果に対応する乗客種別の乗客数から1を減算して、乗客種別毎に乗車中の利用者数をカウントして、乗りかご20内に異なる乗客種別の乗客が混在しているか否かを判断し、
乗りかご20内に異なる乗客種別の乗客が混在していると判断したときは、空調装置40に、相対的に社会的弱者となる乗客種別用の風向きで空調風を出力させる。
これにより、乗りかご20内に異なる乗客種別の乗客が混在している場合に、相対的に社会的弱者となる乗客種別用の風向きで空調風を出力できる。
(4)エレベータ制御装置10は、全ての乗客種別に関して利用者数がゼロになったと判断したときは、空調装置40に、平均身長を有する乗客に適した風向きで空調風を出力させる。
これにより、乗客が乗車していない乗りかご20に乗車してくる乗客に対し、その乗車開始時からできるだけ適切な風向きで空調を出力できる。
7−4.乗客種別の判定結果に基づく緊急時の自動情報発信
(1)本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aを左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置されたた投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
マルチビームセンサ50の受光器52aの受光状態を示す信号を所定時間周期で出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20内の乗客の荷重を検出するロードセル35と、
エレベータ制御装置10と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される荷重値を示す信号とに基づいて、社会的弱者である所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車したこと、および乗りかご20から降車したことを判定し、
所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車したと判定した後、いずれかの階に着床した乗りかご20から降車したと判定されるまでの間に、所定の緊急事態が発生していると判断される場合、乗りかご20に所定の乗客種別の乗客が乗車中であることを示す信号を、当該エレベータ30が設置されているビル内のビル監視盤100及び/またはビル外の外部監視装置200に向けて出力する。
本発明によれば、エレベータ30に通常備えられるマルチビームセンサ50を利用して、乗客種別を判別し、社会的弱者である所定の乗客種別の乗客が乗りかご20に乗車してからいずれかの階で降車するまでの間に所定の緊急事態が発生していると判断される場合、乗りかご20に所定の乗客種別の乗客が乗車中であることを示す信号を、当該エレベータが設置されているビル内のビル監視盤100及び/またはビル外の外部監視装置200に向けて出力することができる。したがって、乗客に専用の属性情報記憶装置を所持させることなく、救出優先度が高い乗客がかご内にいることを報知できる。
(2)所定の乗客種別の乗客は、ベビーカーを押す乗客、車いすを押す乗客、及び車いすに乗る乗客のうちの少なくともいずれか1つである。
これにより、一般に社会的弱者と認識されている、ベビーカーを押す乗客、車いすを押す乗客、及び車いすに乗る乗客のうちの少なくとも1組に関し、乗車中に所定の緊急事態が発生した場合、所定の乗客種別の乗客が乗車中であることを示す信号を外部監視装置200に向けて出力することができる。
7−5.乗客種別の判定結果に基づく乗りかごの待機制御
(1)本実施の形態のエレベータ30は、
乗客が乗降する乗降口20aを有する乗りかご20と、
乗降口20aを左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置されたた投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
マルチビームセンサ50の受光器52aの受光状態を示す信号を所定時間周期で出力するセンサ制御装置60(信号出力部の一例)と、
乗りかご20内の乗客の荷重を検出するロードセル35と、
エレベータ制御装置10と、を備える。
エレベータ制御装置10は、
センサ制御装置60から出力される信号と、ロードセル35から出力される荷重値を示す信号とに基づいて、社会的弱者である所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したか否かを判定し、
所定の乗客種別の乗客が乗りかご20から降車したと判定した場合、所定の乗客種別の乗客が降車したときから第1所定時間が経過したときから、第2所定時間の間、所定の乗客種別の乗客が降車した階床に乗りかご20を待機させるように、乗りかご20の運行を制御する。
本発明によれば、エレベータ30に通常備えられるマルチビームセンサ50を利用して、乗客種別を判別し、乗りかご20から降車する乗客が社会的弱者である所定の乗客種別の乗客である場合、所定の乗客種別の乗客が降車してから第1所定時間が経過したときから、第2所定時間の間、降車した階床に乗りかご20を待機させることができる。そのため、再乗り込み優先ボタン等の専用のボタンを設けることなく、社会的弱者が降車した後、降車した階床で容易に再乗り込みできる。
(2)乗りかご20、または各階床のエレベータ乗場に、案内情報を報知する報知部が配置される。
エレベータ制御装置10は、所定の乗客種別の乗客が降車した階床に乗りかご20を待機させているとき、報知部に、所定の乗客種別の乗客の乗車を待っている旨報知させる。
これにより、所定の乗客種別の乗客が待機中の乗りかご20に乗車するまでの間に他の乗客が当該待機中の乗りかご20に乗車して他階に移動するような事態の発生が抑制される。
(3)所定の乗客種別の乗客は、ベビーカーを押す乗客種別の乗客である。
これにより、ベビーカーを押す乗客種別の乗客に関して上述の効果が奏される。
(4)所定の乗客種別には、複数の乗客種別が含まれる。
エレベータ制御装置10は、第1所定時間と第2所定時間とのうちの少なくとも一方の長さを、複数の乗客種別の各々に応じて設定する。
これにより、所定の乗客種別に含まれる複数の乗客種別毎に適切な第1所定時間や第2所定時間を設定できる。所定の乗客種別の中は、「車いすのみ」、「車いす+人」及び「ベビーカー+人」の複数の乗客種別が含まれているが、種別により移動に要する時間や用事を済ませるのに必要な時間は異なることが多いが、このような場合に乗客に応じた待機を行わせることが可能となる。
(5)エレベータ制御装置10は、エレベータ30の乗客数が他の時間帯よりも相対的に少ない閑散時間帯に、待機の制御を行う。
これにより、エレベータ30の運行効率に対する悪影響を抑制しつつ、所定の乗客種別の乗客のための乗りかご20の待機を行うことができる。
(実施の形態2)
実施の形態2について説明する。本実施の形態では、実施の形態1で説明した乗客種別判定の判定精度をより向上させるために、マルチビームセンサ50の各受光器52aの受光結果に基づいて、乗降口20aを通過した乗客の横幅を検出する。また、検出した横幅に基づいて、乗客種別判定の判定結果を検証し、判定結果に応じた制御を行う。以下では、実施の形態1との相違点を中心に説明する。
1.構成
ハードウェア構成は実施の形態1と同じである。なお、エレベータ制御装置10の記憶部12には、実施の形態2におけるエレベータ制御装置10の機能を実現させるためのプログラムが格納され、センサ制御装置60の記憶部には、実施の形態2におけるセンサ制御装置60の機能を実現させるためのプログラムが格納されている。本実施の形態におけるセンサ制御装置60とマルチビームセンサ50を組み合わせた装置は、乗客の横幅を検出する物体幅検出装置の一例である。
2.動作
エレベータ制御装置10及びセンサ制御装置60の動作について、実施の形態2に特有の動作を中心に説明する。
2−1.概要
図17は、実施の形態2におけるエレベータ制御装置による制御の大まかな流れを示したフローチャートである。
ステップS1、S2、S3では、実施の形態1の図6と同じ処理が行われる。なお、実施の形態1では、エレベータ制御装置10が図6のフローチャートの処理を実行する際、その背景で、センサ制御装置60は、投光器から投光された光の受光器での受光状況に応じて、所定時間(例えば33ms)毎に、遮光された最も高い水平光の高さ位置を示すパルス信号をエレベータ制御装置10に出力する。これに対し、実施の形態2では、エレベータ制御装置10が図17のフローチャートの処理を実行する際、その背景で、センサ制御装置60は、投光器から投光された光の受光器での受光状況に応じて、所定時間(例えば33ms)毎に、遮光された最も高い水平光の高さ位置を示すパルス信号に加え、2−2.横幅検出で詳述する乗客の横幅の情報(最大横幅Wの値)を示す信号をエレベータ制御装置10に出力する。
ステップS2で乗客種別の判定を行うと、エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60が乗客の横幅検出を行って乗客の横幅の情報を示す信号を送信してくるのに基づいて、乗客種別の判定結果の検証を行う(S2B)。横幅検出の具体方法、及び乗客種別判定結果の検証の具体方法については後述する。なお、乗客種別の判定結果の検証は、乗客種別が「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」、及び「ショッピングカート+人」の場合に行われ、乗客種別が「人のみ」の場合には、ステップS2の実行後、実施の形態1同様に、ステップS3を実行する。また、乗客種別が「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」、及び「ショッピングカート+人」の場合における横幅とは、「車いす」、「ベビーカー」、「ショッピングカート」の横幅である。これは、「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」、及び「ショッピングカート+人」と乗客種別が判定された場合に、手押しされない「車」に乗って乗降する場合の「車」や、車いすを手押ししながら乗降する場合の「車」が本当に「車いす」、「ベビーカー」、「ショッピングカート」であるかを検証するためである。なお、乗客種別の検証結果が否定されるのは、後述するように、「車いす」、「ベビーカー」または「ショッピングカート」の横幅が所定値よりも小さいときであり、例えば、「車いす」、「ベビーカー」または「ショッピングカート」を含んでいると判定された乗客が、実は、「車いす」、「ベビーカー」または「ショッピングカート」に類似している横幅の小さい荷物等を所持する乗客であることも考えられる。また、乗客種別が「人のみ」と判定された場合にも、「人のみ」との判定結果の検証のために、同様のことを行ってもよいことは言うまでもない。この場合、「人」の横幅によって検証を行うこととなる。
エレベータ制御装置10は、乗客種別の検証結果が肯定であったか否かを判断する(S2C)。
乗客種別の検証結果が肯定であった場合(S2CでYES)、エレベータ制御装置10は、実施の形態1と同様に、乗客種別の判定結果に基づいて、エレベータ30の各種設備の動作やエレベータ30の運行の制御を行う(S3)。このときの具体的な制御内容は実施の形態1と同じである。
乗客種別の検証結果が否定であった場合(S2CでNO)、エレベータ制御装置10は、ステップS3の処理をバイパスしてステップS1に戻る。つまり、エレベータ制御装置10は、ステップS2の乗客種別判定結果に応じた制御を行わない。なお、乗客種別の検証結果が否定であった場合、他の制御を行ってもよい。例えば、乗客種別の判定結果を「人のみ」に置き換えて、「人のみ」に応じた制御を行ってもよい。
2−2.横幅検出
ステップS2Bで用いられる乗客横幅情報を得るための横幅検出処理について説明する。
まず、横幅検出処理の考え方について説明する。ここでは、理解の容易のために、マルチビームセンサ50が、図18に示すような構成を有する場合を例にして説明する。
図18は、P=3の場合における横幅検出処理の概要を示した図である。
マルチビームセンサ50は、1個の投光器から投光された光を、同じ高さ位置に対向配置された1個の受光器と、当該受光器の直上方の3個の受光器と、当該受光器の直下方の3個の受光器とで受光できるように構成されている。この直上方及び直下方の3個という数がPである。この一例として、図18(a)では、投光器ikから投光された光を、同じ高さ位置にある1個の受光器jkと、当該受光器jkの直上方の3個の受光器jk−1、jk−2、jk−3と、当該受光器jkの直下方の3個の受光器jk+1、jk+2、jk+3とで受光できることを示している。
このような構成の場合、投光器を1個ずつ順に投光するとともに、投光動作を行わせた投光器からの光を受光可能な上記の位置関係にある7個の受光器のそれぞれについて受光したか否かを確認することで、図18(b)のようにメッシュ状に受光の有無を確認できる。これらの光線の受光の確認結果に基づいて、物体の横幅を検出できる。例えば、図18(b)のように乗客Zが進入したとき、実線で示す光線は乗客Zにより遮光されずに受光器で受光されるが、破線で示す光線は乗客Zにより遮光され、受光器で受光されないこととなる。
ここで、上記のような乗客Zが存在する場合において、乗客Zにより遮光される水平光のうち最も高い位置にある水平光ik−jk(以下適宜「特定水平光ik−jk」という)よりも上方で投光かつ受光される光線(投光と受光のうちの一方は、特定水平光と同じ高さ位置で行われてもよい)は、必ず遮光されない。また。特定水平光ik−jkよりも下方で投光かつ受光される光線は、必ず遮光される。したがって、受光結果に基づく横幅検出の判断に寄与する光線は、図18(c)に示すように、特定水平光ik−jkに対して投光端及び受光端以外で交差する6本の光線となる。
図19は、P=3の場合における遮光パターンを示した図である。
P=3の場合における交差する6本の光線の遮光状態の組み合わせ(遮光パターン)は、図19に示すように10種類あり、各遮光パターンにおける最大横幅Wは以下の通りとなる。OPは、乗りかご20の乗降口20aの開口幅(水平幅)である。
(5)、(8) W = OP * 1/6
(1)、(6)、(10) W = OP * 1/3
(2)、(9) W = OP * 1/2
(3)、(7) W = OP * 2/3
(4) W = OP
図20は、P=3の場合における幾何的に横幅を求める例を示した図である。
図20は、図19の(6)の遮光パターンに対応する。図20(a)は、乗客Zの右側位置(最大値)Xの求め方を示し、図20(b)は、乗客Zの左側位置(最小値)Yの求め方を示す。右側位置Xは、乗りかご20の乗降口20aの開口幅OPに対する、投光器から物体の右側の位置(最大値)までの割合で示す。左側位置Yは、乗りかご20の乗降口20aの開口幅OPに対する、投光器から物体の左側の位置(最小値)までの割合で示す。図20(a)、図20(b)において、実線で示す光線は、遮光されない(受光される)光線を示し、破線で示す光線は、遮光される(受光されない)光線を示す。
図20(a)の例では、投光器iA−2から受光器jA+1に向かって斜め下向きに進む斜め下向き光iA−2−jA+1は受光器jA+1で受光されたが、投光器iA−1から受光器jA+1に向かって斜め下向きに進む斜め下向き光iA−1−jA+1は受光器jA+1で受光されていない。この場合、乗客Zの右側位置Xは、特定水平光iA−jAと斜め下向き光iA−2−jA+1(特定斜め下向き光)との交差位置Crx(交点)と近似することができる。なお、図20(a)の遮光パターンは、図19(6)の遮光パターンに対応するが、実際に得られた遮光パターンが例えば図19(5)の遮光パターンに対応し、受光された斜め下向き光が複数ある場合は、交差位置Crx(交点)は、複数の斜め下斜め向き光のうち、投光器iAに最も近い位置で特定水平光iA−jAと交差する斜め下向き光(特定斜め下向き光)が交差する位置となる。交差位置Crxは、特定斜め下向き光iA−2−jA+1を斜辺とする三角形Tr1と相似の関係にある三角形Tr2の大きさの比に基づいて求めることができる。大きさ比は、投光器の上下方向の間隔に基づいて求めることができる。図20(a)では、大きさ比は、3:2となる。これに基づいて、X=2/3と求めることができる。
図20(b)の例では、投光器iA+1から受光器jA−2に向かって斜め上向きに進む斜め上向き光iA+1−jA−2は受光器jA−2で受光されたが、投光器iA+1から受光器jA−1に向かって斜め上向きに進む斜め上向き光iA+1−jA−1は受光器jA−1で受光されていない。この場合、乗客Zの左側位置Yは、特定水平光iA−jAと斜め上向き光iA+1−jA−2(特定斜め上向き光)との交差位置Cry(交点)と近似することができる。なお、図20(b)の遮光パターンは、図19(6)の遮光パターンに対応するが、実際に得られた遮光パターンが例えば図19(8)の遮光パターンに対応し、受光された斜め上向き光が複数ある場合、交差位置Cry(交点)は、複数の斜め上斜め向き光のうち、投光器iAに最も遠い位置で特定水平光iA−jAと交差する斜め上向き光(特定斜め上向き光)が交差する位置となる。この交差位置Cryは、特定斜め上向き光iA+1−jA−2を斜辺とする三角形Tr3と相似の関係にある三角形Tr4の大きさの比に基づいて求めることができる。大きさ比は、投光器の上下方向の間隔に基づいて求めることができる。図20(b)では、大きさ比は、3:1となる。これに基づいて、Y=1/3と求めることができる。
そして、乗客Zの最大横幅Wは、特定水平光iA−jAと交差する特定斜め下向き光iA−2−jA+1との交差位置と、特定水平光iA−jAと特定斜め下向き光iA+1−jA−2との交差位置との間の距離と検出できる。この距離は、図20(c)に示すように、上記の右側位置Xと左側位置Yとの間の距離であり、下記式により求めることができる。
W=OP*(X−Y)
図20(a)、(b)で求めたX、Yを代入すると、本例では、Wは以下の通りとなる。
W=OP*1/3
上記では、横幅検出の概要を説明するために、一例としてP=3の場合の具体例を説明したが、上記の思想は、P=3でない場合にも好ましく適用できる。次に、P=3でない場合も含めた一般のPについて、横幅検出の処理の大まかな流れを説明する。
図21は、横幅検出の大まかな流れを示した図である。
まず、センサ制御装置60は、ステップ(a)の処理を行う。すなわち、センサ制御装置60は、複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの中から、第1規則にしたがって、互いに同じ高さ位置にあるそれぞれ1個の投光器51aと受光器52aを上から順に選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって水平に進む水平光が、乗客により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認する。センサ制御装置60は、確認結果に基づいて、乗客により遮光される水平光のうち最も高い位置にある水平光(特定水平光)を特定する。ステップ(a)の処理は、図22Aに示すフローチャート(以下適宜「検出フロー(1)」というにしたがって行われる。第1規則は、「特定水平光」を特定するための規則であり、「投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)の規則」である。検出フロー(1)により規定される投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)は、第1規則の具体的一例である。なお、以下では、検出フロー(1)による処理を第1段階の処理という場合がある。
次に、センサ制御装置60は、ステップ(b)の処理を行う。すなわち、センサ制御装置60は、複数個の投光器51aのうち特定水平光の高さ位置の投光器51aに対して直上方のM個(本実施の形態では、M=P−1。以下において同様である)の投光器51aと複数個の受光器52aのうち特定水平光の高さ位置の受光器52aに対して直下方のM個の受光器52aの中から、第2規則にしたがって順次、それぞれ1個の投光器51aと受光器52aを選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め下向きに進み特定水平光と交差する斜め下向き光が、乗客により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認する。センサ制御装置60は、確認結果に基づいて、乗客により遮光されない斜め下向き光であって、特定水平光を投光した投光器51aから水平方向で最も近い位置で特定水平光と交差する特定斜め下向き光を特定する。ステップ(b)の処理は、図22B、図22Cに示すフローチャート(以下適宜「検出フロー(2)」、「検出フロー(3)」という)にしたがって行われる。第2規則は、「特定斜め下向き光」を特定するための規則であり、「投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)の規則」である。検出フロー(2)、検出フロー(3)により規定される投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)は、第2規則の具体的一例である。以下では、検出フロー(2)による処理を第2段階の処理、検出フロー(3)による処理を第3段階の処理という場合がある。検出フロー(2)、検出フロー(3)では、特定水平光と特定斜め下向き光との交差位置を、乗客の右側位置(最大値)Xと検出する。
次に、センサ制御装置60は、ステップ(c)の処理を行う。すなわち、センサ制御装置60は、複数個の投光器51aのうち特定水平光の高さ位置の投光器51aに対して直下方のM個の投光器51aと複数個の受光器52aのうち特定水平光の高さ位置の受光器52aに対して直上方のM個の受光器52aの中から、第3規則にしたがって順次、それぞれ1個の投光器51aと受光器52aを選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め上向きに進み特定水平光と交差する斜め上向き光が、乗客により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認する。センサ制御装置60は、確認結果に基づいて、乗客により遮光されない斜め上向き光であって、特定水平光を投光した投光器51aに水平方向で最も遠い位置で特定水平光と交差する特定斜め上向き光を特定する。この処理は、図22D、図22Eに示すフローチャート(以下適宜「検出フロー(4)」、「検出フロー(5)」という)にしたがって行われる。第3規則は、「特定斜め上向き光」を特定するための規則であり、「投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)の規則」である。検出フロー(4)、検出フロー(4)により規定される投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)は、第3規則の具体的一例である。以下では、検出フロー(4)による処理を第4段階の処理、検出フロー(5)による処理を第5段階の処理という場合がある。検出フロー(4)、検出フロー(5)では、特定水平光と特定斜め上向き光との交差位置を、乗客の左側位置(最小値)Yと検出する。
次に、センサ制御装置60は、ステップ(d)の処理を行う。すなわち、センサ制御装置60は、乗客の最大横幅Wを下記式に基づいて求める。
W=OP*(X−Y)
すなわち、特定水平光と特定斜め上向き光との交差位置と、特定水平光と特定斜め下向き光との交差位置との間の距離を乗客の最大横幅Wとする。なお、本実施の形態では、ステップ(d)の処理は、検出フロー(2)、検出フロー(3)、検出フロー(4)、検出フロー(5)の中で一括して実行している。
ここで、上記の図21のフローチャートに基づく第1〜第5段階の一連の処理は、前述した33msの周期の間に1回実行される。第1段階の処理は、上述したように実施の形態1と同様の処理であり第1段階の処理が完了すると、センサ制御装置60は、遮光された最も高い水平光の高さ位置を示すパルス信号をエレベータ制御装置10に出力する。また、第1段階の処理が完了すると、上記第2〜第5段階の処理を引き続き実行する。第2〜第5段階の処理が完了すると、センサ制御装置60は、検出した最大横幅Wの値を示す信号をエレベータ制御装置10に出力する。
上記構成において、エレベータ制御装置10は、33ms毎に最大横幅Wの信号を受信することとなるが、乗客の横幅が、乗客の前後方向に関して一定でない場合がある。そのため、エレベータ制御装置10は、「車いす+人」、「ベビーカー+人」、及び「ショッピングカート+人」の場合は「車」の通過期間に相当するTstart〜Tsの期間、「車いすのみ」の場合はTstart〜Tendの期間に受信した複数の最大横幅Wの信号が示す値の例えば最大値を利用し、あるいはこの期間に受信した複数の最大横幅Wの信号が示す値の平均値を利用して、上述したステップS2Cの検証を行ってもよい。
次に、センサ制御装置60が横幅検出を行う際の具体的な処理の一例を図22A以下の図面を用いて説明する。
図22Aは、実施の形態2における横幅検出の第1段階のフローチャートである。
センサ制御装置60は、このフローチャートに基づく制御を所定時間周期で繰り返し実行する。所定時間は、例えば33msである。
まず、センサ制御装置60は、センサ番号kとして1を設定する(S101)。なお、センサ番号kは、上から順に振られており、最上方のセンサにおいて1で、下に向かって1ずつ増加し、最下方のセンサでNであるものとする。つまり、Nは、センサの高さ方向における配列数と等しい。
センサ制御装置60は、センサ番号kがN以下か否かを判断する(S102)。
センサ番号kがN以下である場合(S102でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kの投光器のみを投光させる(S103)。
センサ制御装置60は、センサ番号kの受光器jkで受光したか否かを判断する(S104)。
受光器jkで受光した場合(S104でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとして現在のkに1を加算した値を設定し(S105)、ステップS102を実行する。
ステップS104において受光器jkで受光しなかったと判断した場合(S104でNO)、センサ制御装置60は、センサ番号kが1か否かを判断する(S106)。
センサ番号kが1でない場合(S106でNO)、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jkのセンサ番号kを、乗客により遮光される、最も高い位置の水平光(特定水平光)に対応するセンサ番号Aとして設定する(S108)。センサ番号kに対応するパルス幅は、センサ番号kに紐付けてセンサ制御装置60の記憶部に記憶されており、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jkに対応するパルス幅を記憶部から読み出して、当該パルス幅を有するパルス信号を1個生成し、エレベータ制御装置10に出力する。そして、センサ制御装置60は、第2段階のフローチャート(検出フロー(2))を実行する。
これに対し、センサ番号kが1である場合(S106でYES)、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jkのセンサ番号kを、乗客により遮光される、最も高い位置の水平光(特定水平光)に対応するセンサ番号Aとして設定するとともに、最大横幅Wとして乗降口20aの開口幅OPを設定する(S107)。ここではセンサ番号kが1であるので、センサ番号Aも1となる。そして、センサ制御装置60は、受光しなかった受光器jk(j1)に対応するパルス幅を記憶部から読み出し、当該パルス幅を有するパルス信号を1個生成して出力するとともに、最大横幅Wを示す信号を生成してエレベータ制御装置10に出力する。
ステップS102においてセンサ番号kがN以下でない場合(S102でNO)、つまりセンサ番号kがNよりも大きい場合には、センサ番号kが1〜Nの受光器j1〜jNの全てで受光されたこと(全く遮光されていない)ことを意味するので、センサ制御装置60は、最も高い遮光位置に対応するセンサのセンサ番号Aとして、全く遮光されていないことを示す0(ゼロ)を設定するとともに、最大横幅Wとして0(ゼロ)を設定する(S109)。この場合、センサ制御装置60は、パルス信号や最大横幅Wを示す信号をエレベータ制御装置10に出力しないで、横幅検出に関する処理を終了する。なお、前述したように、本フローチャートによる処理は所定時間周期で繰り返し実行される。
図22Bは、実施の形態2における横幅検出の第2段階のフローチャート(検出フロー(2))である。
センサ制御装置60は、投光器iA−1のみを投光させる(S201)。
センサ制御装置60は、A+(P−1)の値を求め、求めた値がNよりも大きいか否かを判断する(S202)。
A+(P−1)の値がNよりも大きくない場合(S202でNO)、センサ番号kとしてA+(P−1)の値を設定する(S203)。
A+(P−1)の値がNよりも大きい場合(S202でYES)、センサ制御装置60は、AがN未満か否かを判断する(S204)。
AがN未満である場合(S204でYES)、センサ番号kとしてNを設定する(S205)。
センサ制御装置60は、A+1の値を求め、センサ番号kがA+1以上であるか否かを判断する(S206)。
センサ番号kがA+1以上である場合(S206でYES)、センサ制御装置60は、受光器jkで受光したか否かを判断する(S207)。
受光器jkで受光していない場合(S207でNO)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kから1だけ減算した値を設定し(S208)、ステップS206に戻る。
受光器jkで受光した場合(S207でYES)、右側位置Xとして1/(k−(A−1))を設定し、第4段階のフローチャート(検出フロー(4))を実行する。
上述のステップS204において、AがN未満でない場合(S204でNO)、右側位置Xとして1を設定し、第4段階のフローチャート(検出フロー(4))を実行する。
上述のステップS206において、センサ番号kがA+1以上でない場合(S206でNO)、センサ制御装置60は、第3段階のフローチャート(検出フロー(3))を実行する。
図22Cは、実施の形態2における横幅検出の第3段階のフローチャート(検出フロー(3))である。
センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S301)。
Pが2よりも大きい場合(S301でYES)、センサ制御装置60は、Aが2よりも大きいか否かを判断する(S302)。
Aが2よりも大きい場合(S302でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとしてAから2を減算した値(A−2)を設定する(S303)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上か否かを判断する(S304)。ここで、max(1,(A−(P−1)))は、1とA−(P−1)のうち大きい方の値を設定する関数であり、1とA−(P−1)との大小関係に応じて大きい方の値が設定される。
センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上である場合(S304でYES)、センサ制御装置60は、投光器ikのみを投光させる(S305)。
センサ制御装置60は、受光器jA+1で受光したか否かを判断する(S306)。
受光器jA+1で受光していない場合(S306でNO)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kから1だけ減算した値を設定し(S307)、ステップS304に戻る。
受光器jA+1で受光した場合(S306でYES)、右側位置Xとして(A−k)/((A+1)−k)を設定し(S309)、第4段階のフローチャート(検出フロー(4))を実行する。
上述のステップS301においてPが2よりも大きくない場合(S301でNO)と、上述のステップS302においてAが2よりも大きくない場合(S302でNO)と、上述のステップS304においてセンサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上でない場合(S304でYES)は、右側位置Xとして1を設定し、第4段階のフローチャート(検出フロー(4))を実行する。
図22Dは、実施の形態2における横幅検出の第4段階のフローチャート(検出フロー(4))である。
センサ制御装置60は、投光器iA+1のみを投光させる(S401)。
センサ制御装置60は、A−(P−1)が1未満か否かを判断する(S402)。
A−(P−1)が1未満でない場合(S402でNO)、センサ番号kとしてA−(P−1)を設定する(S403)。
A−(P−1)が1未満の場合(S402でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとして1を設定する(S404)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがA−1以下であるか否かを判断する(S405)。
センサ番号kがA−1以下である場合(S405でYES)、センサ制御装置60は、受光器jkで受光したか否かを判断する(S406)。
受光器jkで受光していない場合(S406でNO)、センサ制御装置60は、センサ番号kとして現在のセンサ番号kに1を加算した値を設定し(S407)、ステップS405に戻る。
受光器jkで受光した場合(S406でYES)、センサ制御装置60は、左側位置Yを下記式により求める(S408)。
Y=1/((A+1)−k)
センサ制御装置60は、最大横幅Wを下記式により求め(S409)、横幅検出処理を終了する。
W=OP*(X−Y)
上述のステップS405において、センサ番号kがA−1以下でない場合(S405でNO)、センサ制御装置60は、第5段階のフローチャート(検出フロー(5))を実行する。
図22Eは、実施の形態2における横幅検出の第5段階のフローチャート(検出フロー(5))である。
センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S501)。
Pが2よりも大きい場合(S501でYES)、センサ制御装置60は、A+2がN以下か否かを判断する(S502)。
A+2がN以下である場合(S502でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとしてAに2を加算した値(A+2)を設定する(S503)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下か否かを判断する(S504)。ここで、min(N,(A+(P−1)))は、NとA+(P−1)のうち小さい方の値を設定する関数であり、NとA+(P−1)との大小関係に応じて小さい方の値が設定される。
センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下である場合(S504でYES)、センサ制御装置60は、投光器ikのみを投光させる(S505)。
センサ制御装置60は、受光器jA−1で受光したか否かを判断する(S506)。
受光器jA−1で受光していない場合(S506でNO)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kに1を加算した値を設定し(S507)、ステップS504に戻る。
受光器jA−1で受光した場合(S506でYES)、センサ制御装置60は、左側位置Yを下記式により求める(S508)。
Y=(k−A)/(k−(A−1))
上述のステップS501においてPが2よりも大きくない場合(S501でNO)と、上述のステップS502においてA+2がN以下でない場合(S502でNO)と、上述のステップS504においてセンサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下でない場合(S504でNO)は、左側位置Yとして0を設定する(S509)。
センサ制御装置60は、最大横幅Wを下記式により求め(S510)、横幅検出処理を終了する。
W=OP*(X−Y)
2−2−1.P=2の場合の具体例
本例では、P=2の場合について説明する。
図23は、P=2の場合における横幅検出処理の概要を示した図である。
マルチビームセンサ50は、1個の投光器から投光された光を、同じ高さ位置に対向配置された1個の受光器と、当該受光器の直上方の2個の受光器と、当該受光器の直下方の2個の受光器とで受光できるように構成されている。この直上方及び直下方の2個という数がPである。この一例として、図23では、投光器ikから出射された光を、同じ高さ位置に対向配置された1個の受光器jkと、受光器jkの上の2個の受光器jk−1及びjk−2と、受光器jkの下の2個の受光器jk+1及びjk+2とで受光できることを示している。
このような構成の場合、投光器を1個ずつ順に投光するとともに、投光動作を行わせた投光器からの光を受光可能な上記の位置関係にある5個の受光器のそれぞれについて受光したか否かを確認することで、図23(b)のように、メッシュ状に受光の有無を確認できる。これらの光線の受光の確認結果に基づいて、乗客の横幅を検出できる。例えば、図23(b)のように乗客Zが進入したとき、実線で示す光線は乗客Zにより遮光されずに受光器で受光されるが、破線で示す光線は乗客Zにより遮光され、受光器で受光されないこととなる。
ここで、上記のような乗客Zが存在する場合において、乗客Zにより遮光される水平光のうち最も高い位置にある水平光ik−jk(以下適宜「特定水平光ik−jk」という)よりも上方で投光かつ受光される光線(投光と受光のうちの一方は、特定水平光と同じ高さ位置で行われてもよい)は、必ず遮光されない。また。特定水平光ik−jkよりも下方で投光かつ受光される光線は、必ず遮光される。したがって、受光結果に基づく横幅検出の判断に寄与するのは、図23(c)に示すように、特定水平光ik−jkに対して投光端及び受光端以外で交差する2本の光線となる。
図24は、P=2の場合における遮光パターンを示した図である。
P=2の場合における交差する2本の光線の遮光状態の組み合わせ(遮光パターン)は、図24に示すように3種類あり、各遮光パターンにおける最大横幅Wは以下の通りとなる。OPは、乗りかご20の乗降口20aの開口幅(水平幅)である。
(1)、(2) W = OP * 1/2
(3) W = OP
図25Aは、P=2の場合における横幅検出の第2段階のフローチャート(検出フロー(2))である。図25Bは、P=2の場合における横幅検出の第3段階のフローチャート(検出フロー(3))である。図25Cは、P=2の場合における横幅検出の第4段階のフローチャート(検出フロー(4))である。図25Dは、P=2の場合における横幅検出の第5段階のフローチャート(検出フロー(5))である。
図25A〜図25Dは、図22B〜図22Eのフローチャートにおいて、Pとして2を代入するとともに、P=2の場合には不要なステップを削除した結果を示している。ステップの符号は、図22B〜図22Eと共通にしている。なお、図25AのステップS203A、S209Aは、Pとして2を代入した結果、図22BのステップS203、S209の内容が変わっている。図25B、図25Dのフローチャートにおいて破線で囲まれている部分は、P=2の場合には実行されないことを示している。すなわち、図25Bの第3段階のフローチャートが実行されると、必ずステップS309において右側位置Xとして1が設定され、第4段階のフローチャート(検出フロー(4))が実行される。また、図25Dの第5段階のフローチャートが実行されると、必ずステップS509において左側位置Yとして0が設定される。そして、ステップS510において、最大横幅Wが求められ、横幅検出処理が終了する。
このように、P=2の場合には横幅検出のフローチャート(処理)が簡素化される。
2−2−2.P=3の場合の具体例
図26Aは、P=3の場合における横幅検出の第2段階のフローチャート(検出フロー(2))である。図26Bは、P=3の場合における横幅検出の第3段階のフローチャート(検出フロー(3))である。図26Cは、P=3の場合における横幅検出の第4段階のフローチャート(検出フロー(4))である。図26Dは、P=3の場合における横幅検出の第5段階のフローチャート(検出フロー(5))である。
図26A〜図26Dは、図22B〜図22Eのフローチャートにおいて、Pとして3を代入した結果を示している。ステップの符号は、図22B〜図22Eと共通にしている。なお、図26AのステップS202B、S203Bは、Pとして3を代入した結果、図22BのステップS202、S203の内容が変わっている。図26BのステップS304B、S308Bは、Pとして3を代入した結果、図22CのステップS304、S308の内容が変わっている。図26CのステップS402B、S403Bは、Pとして3を代入した結果、図22DのステップS402、S403の内容が変わっている。図26DのステップS504B、S508Bは、Pとして3を代入した結果、図22EのステップS504、S508の内容が変わっている。
2−3.乗客種別判定結果の検証
エレベータ制御装置10は、前述した図9Bのフローチャートにおける乗客種別判定で、乗客種別を「車いすのみ」、「車いす+人」、「ベビーカー+人」、または「ショッピングカート+人」と判定した場合、上述の方法で求めた最大横幅Wを用いて、乗客種別判定結果を検証する。エレベータ制御装置10は、図27A、図27B、図27Cのフローチャートのうち、乗客種別判定結果に応じたフローチャートを実行し、乗客種別判定結果の検証を行う。
図27Aは、検出した横幅に基づいて、乗客種別判定結果を検証する処理を説明したフローチャートである。図27Bは、検出した横幅に基づいて、乗客種別判定結果を検証する処理を説明したフローチャートである。図27Cは、検出した横幅に基づいて、乗客種別判定結果を検証する処理を説明したフローチャートである。
まず、乗客種別が「車いすのみ」または「車いす+人」と判定された場合の乗客種別判定結果の検証について、図27Aのフローチャートを参照して説明する。
エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms毎に受信した最大横幅Wを示す複数の信号に基づいて、乗客の最大横幅Wを決定する(S611)。具体的には、複数の信号が示す複数の最大横幅Wのうちの最大の値を、検証のための最大横幅Wとして決定する。
エレベータ制御装置10は、決定した最大横幅Wが第1所定値D1よりも小さいか否かを判断する(S612)。
最大横幅Wが第1所定値D1よりも小さくない場合(S612でNO)、エレベータ制御装置10は、「車いすのみ」または「車いす+人」との乗客種別の判定結果を肯定する(S613)。このとき、エレベータ制御装置10は、「車いすのみ」または「車いす+人」という乗客種別判定結果に基づいて、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
最大横幅Wが第1所定値D1よりも小さい場合(S612でYES)、エレベータ制御装置10は、「車いすのみ」または「車いす+人」との乗客種別の判定結果を否定する(S614)。このとき、エレベータ制御装置10は、乗客種別判定結果を「人のみ」に修正して、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
第1所定値D1は車いすと認める最小の横幅であり、例えば、市販されている多種の車いすの横幅(平均値)から「2×(標準偏差)」を減算して得た値である。この場合、多種の車いすの横幅が正規分布にしたがって分布しているものとすると、約98%の車いすをカバーできることになる。
次に、乗客種別が「ベビーカー+人」と判定された場合の乗客種別判定結果の検証について、図27Bのフローチャートを参照して説明する。
エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms毎に受信した最大横幅Wを示す複数の信号に基づいて、乗客の最大横幅Wを決定する(S621)。具体的には、複数の信号が示す複数の最大横幅Wのうちの最大の値を、検証のための最大横幅Wとして決定する。
エレベータ制御装置10は、最大横幅Wが第2所定値D2よりも小さいか否かを判断する(S622)。
最大横幅Wが第2所定値D2よりも小さくない場合(S622でNO)、エレベータ制御装置10は、「ベビーカー+人」との乗客種別の判定結果を肯定する(S623)。このとき、エレベータ制御装置10は、「ベビーカー+人」という乗客種別判定結果に基づいて、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
最大横幅Wが第2所定値D2よりも小さい場合(S622でYES)、エレベータ制御装置10は、「ベビーカー+人」との乗客種別の判定結果を否定する(S624)。このとき、エレベータ制御装置10は、乗客種別判定結果を「人のみ」に修正して、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
第2所定値D2はベビーカーと認める最小の横幅であり、例えば、市販されている多種のベビーカーの横幅(平均値)から「2×(標準偏差)」を減算して得た値である。このとき、多種のベビーカーの横幅が正規分布にしたがって分布しているものとすると、約98%のベビーカーをカバーできることになる。
次に、乗客種別が「ショッピングカート+人」と判定された場合の乗客種別判定結果の検証について、図27Cのフローチャートを参照して説明する。
エレベータ制御装置10は、センサ制御装置60から33ms毎に受信した最大横幅Wを示す複数の信号に基づいて、乗客の最大横幅Wを決定する(S631)。具体的には、複数の信号が示す複数の最大横幅Wのうちの最大の値を、検証のための最大横幅Wとして決定する。
エレベータ制御装置10は、最大横幅Wが第3所定値D3よりも小さいか否かを判断する(S632)。
最大横幅Wが第3所定値D3よりも小さくない場合(S632でNO)、エレベータ制御装置10は、「ショッピングカート+人」との乗客種別の判定結果を肯定する(S633)。このとき、エレベータ制御装置10は、「ショッピングカート+人」という乗客種別判定結果に基づいて、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
最大横幅Wが第3所定値D3よりも小さい場合(S632でYES)、エレベータ制御装置10は、「ショッピングカート+人」との乗客種別の判定結果を否定する(S634)。このとき、エレベータ制御装置10は、乗客種別判定結果を「人のみ」に修正して、乗客種別毎の上述した各種の制御を行う。
第3所定値D3はショッピングカートと認める最小の横幅であり、例えば、市販されている多種のショッピングカートの横幅(平均値)から「2×(標準偏差)」を減算して得た値である。この場合、多種のショッピングカートの横幅が正規分布にしたがって分布しているものとすると、約98%のショッピングカートをカバーできることになる。
3.実施の形態2の変形例
横幅検出の変形例について説明する。
図28は、実施の形態2の変形例における横幅検出処理の概要を説明した図である。図29は、実施の形態2の変形例における横幅検出処理の概要を説明した図である。
以下では、先に説明した横幅検出の例を第1例という。変形例では、第1例に対して、投光器の投光順序及び受光器の受光確認順序を変更し、これにより、乗客Zの右側位置X及び左側位置Yの検出までの時間を短縮可能に構成している。なお、ハードウェアの構成は第1例と同じである。
具体的には、第1例では、第2段階及び第3段階において、投光器及び受光器をそれぞれ下から上に順に動作させ、第4段階及び第5段階において、投光器及び受光器をそれぞれ上から下に順に動作させる。
すなわち、第2段階において、まずは、投光器iA−1を動作させる中で、受光器をjA+(P−1)からjA+2へと順に動作させる。
次に、投光器iA−1を動作させる中で、受光器jA+1を動作させる。
第3段階において、投光器をiA−2からiA−(P−1)へと順に動作させる中で、受光器jA+1を動作させる。
第4段階において、投光器iA+1を動作させる中で、受光器をjA−(P−1)からjA−2へと順に動作させる。
次に、投光器iA+1を動作させる中で、受光器jA−1を動作させる。
第5段階において、投光器をiA+2からiA+(P−1)へと順に動作させる中で、受光器jA−1を動作させる。
このような動作順序によると、第2段階〜第5段階において、投光器51aと受光器52aとの複数の組み合わせのうち、まず、組み合わせにより生じる特定水平光ik−jkと斜め下向き光との交差位置が投光器ikに近いものから順に、投光動作及び受光動作が行われ、次に、組み合わせにより生じる特定水平光ik−jkと斜め上向き光との交差位置が投光器ikに近いものから順に、投光動作及び受光動作が行われる。つまり、右側位置X及び左側位置Yの検出動作はそれぞれ左側から順に行われる。
これに対し、変形例では、上述した第1段階の処理の後、第II段階の処理を行い、さらに第III段階の処理を行う。第II段階において、投光器を下から上に順に動作させ、かつ受光器を上から下に順に動作させ、第III段階において、投光器を上から下に順に動作させ、かつ受光器を下から上に順に動作させる。
すなわち、第II段階において、まずは、投光器iA−1を動作させる中で、受光器jA+1を動作させる。その結果によって次のいずれかを行なう。
− 投光器をiA−2からiA−(P−1)へと順に動作させる中で、受光器jA+1を動作させる。
− 投光器iA−1を動作させる中で、受光器をjA+2からjA+(P−1)へと順に動作させる。
第III段階において、まずは、投光器iA+1を動作させる中で、受光器jA−1を動作させる。その結果によって次のいずれかを行なう。
− 投光器iA+1を動作させる中で、受光器をjA−2からjA−(P−1)へと順に動作させる。
− 投光器をiA+2からiA+(P−1)へと順に動作させる中で、受光器jA−1を動作させる。
このような動作順序によると、第II段階及び第III段階において、投光器51aと受光器52aとの複数の組み合わせのうち、まず、組み合わせにより生じる特定水平光ik−jkと斜め下向き光との交差位置が特定水平光ik−jkの水平方向中央に近い(投光器ikと受光器jkとの中間位置に近い)ものから順に、投光動作及び受光動作が行われ、次に、組み合わせにより生じる特定水平光ik−jkと斜め上向き光との交差位置が特定水平光ik−jkの水平方向中央に近い(投光器ikと受光器jkとの中間位置に近い)ものから順に、投光動作及び受光動作が行われる。つまり、右側位置X及び左側位置Yの検出動作はそれぞれ左右方向の中央付近から順に行われる。乗客は、通常、乗降口20aの左右中央付近を通過することが多い。そのため、例えば横幅検出対象の通過乗客の横幅が開口幅OPよりも十分小さい(例えば開口幅OPの1/2未満)場合、中央付近から左右に順に行うことで、第1例よりも、乗客の左右の端を見つけるまでの時間を短縮できる。
図30Aは、実施の形態2の変形例における横幅検出の第I段階のフローチャートである。
検出フローIでは、図22Aで説明した第1例の検出フロー1と同じ動作が行われる。そのため、説明は書略する。
図30Bは、実施の形態2の変形例における横幅検出の第II段階のフローチャートである。
検出フロー(II)は、図22B、図22Cで説明した検出フロー2、3に相当する部分であるが、上述した検出順序の変更に伴う変更を行っている。図22B、図22Cと類似する部分があるが、流れが大きく変わっているため、フローチャート全体を通して説明する。検出フロー(II)により規定される投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)の規則は、第2規則の一例である。
すなわち、センサ制御装置60は、AがN未満であるか否かを判断する(S1101)。
AがN未満である場合(S1101でYES)、センサ制御装置60は、投光器iA−1のみを投光させる(S1102)。
センサ制御装置60は、受光器jA+1で受光したか否かを判断する(S1103)。
受光器jA+1で受光していない場合(S1103でNO)、センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S1104)。
Pが2よりも大きい場合(S1104でYES)、センサ制御装置60は、Aが2よりも大きいか否かを判断する(S1105)。
Aが2よりも大きい場合(S1105でYES)、センサ制御装置60は、kとしてAから2を減算した値(A−2)を設定する(S1106)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上か否かを判断する(S1107)。ここで、max(1,(A−(P−1)))は、1とA−(P−1)のうち大きい方の値を設定する関数であり、1とA−(P−1)との大小関係に応じて大きい方の値が設定される。
センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上である場合(S1107でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kの投光器ikのみを投光させる(S1108)。
センサ制御装置60は、受光器jA+1で受光したか否かを判断する(S1109)。
受光器jA+1で受光していない場合(S1109でNO)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kから1だけ減算した値を設定し(S1110)、ステップS1107に戻る。
受光器jA+1で受光した場合(S1109でYES)、右側位置Xとして(A−k)/((A+1)−k)を設定し、第III段階のフローチャートを実行する。
上述のステップS1101においてAがN未満でない場合(S1101でNO)、最大横幅Wとして乗降口20aの開口幅OPを設定する(S1111)。
上述のステップS1104においてPが2よりも大きくない場合(S1104でNO)と、上述のステップS1105においてAが2よりも大きくない場合(S1105でNO)と、上述のステップS1107においてセンサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上でない場合(S1107でNO)は、右側位置Xとして1を設定し(S1112)、第III段階のフローチャートを実行する。
上述のステップS1103において受光器jA+1で受光した場合(S1103でYES)、センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S1114)。
Pが2よりも大きい場合(S1114でYES)、センサ制御装置60は、AがN−1未満か否かを判断する(S1115)。
AがN−1未満である場合(S1115でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとしてAに2を加算した値(A+2)を設定する(S1116)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下か否かを判断する(S1117)。ここで、min(N,(A+(P−1)))は、NとA+(P−1)のうち小さい方の値を設定する関数であり、NとA+(P−1)との大小関係に応じて小さい方の値が設定される。
センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下である場合(S1107でYES)、センサ制御装置60は、投光器iA−1のみを投光させる(S1117B)。
センサ制御装置60は、受光器jkで受光したか否かを判断する(S1118)。
受光器jkで受光した場合(S1118でYES)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kに1を加算した値を設定し(S1119)、ステップS1117に戻る。
受光器jkで受光していない場合(S1118でNO)と、上述のステップS1117においてセンサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下でない場合(S1117でNO)には、センサ制御装置60は、右側位置Xを下記式により求める(S1120)。
X=1/(k−A)
上述のステップS1114においてPが2よりも大きくない場合(S1114でNO)と、上述のステップS1115においてAがN−1未満でない場合(S1115でNO)は、センサ制御装置60は、右側位置Xとして1/2を設定する(S1121)。
図30Cは、実施の形態2の変形例における横幅検出の第III段階のフローチャートである。
検出フロー(III)は、図22D、図22Eで説明した検出フロー4、5に相当する部分であるが、上述した検出順序の変更に伴う変更を行っている。なお、図22D、図22Eと類似する部分があるが、流れが大きく変わっているため、フローチャート全体を通して説明する。検出フロー(III)により規定される投光器51aと受光器52aの組み合わせ方と、組み合わせる順序(投光動作及び受光動作の順序)の規則は、第3規則の一例である。
すなわち、センサ制御装置60は、投光器iA+1のみを投光させる(S1201)。
センサ制御装置60は、受光器jA−1で受光したか否かを判断する(S1202)。
受光器jA−1で受光していない場合(S1202でNO)、センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S1203)。
Pが2よりも大きい場合(S1203でYES)、センサ制御装置60は、Aが2よりも大きいか否かを判断する(S1204)。
Aが2よりも大きい場合(S1204でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとしてAから2を減算した値(A−2)を設定する(S1205)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上か否かを判断する(S1206)。ここで、max(1,(A−(P−1)))は、1とA−(P−1)のうち大きい方の値を設定する関数であり、1とA−(P−1)との大小関係に応じて大きい方の値が設定される。
センサ番号kがmax(1,(A−(P−1)))以上である場合(S1206でYES)、センサ制御装置60は、投光器iA+1のみを投光させる(S1206B)。
センサ制御装置60は、受光器jkで受光したか否かを判断する(S1207)。
受光器jkで受光していない場合(S1207でNO)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kから1だけ減算した値を設定し(S1208)、ステップS1206に戻る。
受光器jkで受光した場合(S1207でYES)、左側位置Yを下記式により求める(S1210)。
Y=1/((A+1)−k)
上述のステップS1202において受光器jA−1で受光した場合(S1202でYES)、センサ制御装置60は、Pが2よりも大きいか否かを判断する(S1211)。
Pが2よりも大きい場合(S1211でYES)、センサ制御装置60は、AがN−1未満か否かを判断する(S1212)。
AがN−1未満である場合(S1212でYES)、センサ制御装置60は、センサ番号kとしてAに2を加算した値(A+2)を設定する(S1213)。
センサ制御装置60は、センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下か否かを判断する(S1214)。ここで、min(N,(A+(P−1)))は、NとA+(P−1)のうち小さい方の値を設定する関数であり、NとA+(P−1)との大小関係に応じて小さい方の値が設定される。
センサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下である場合(S1214でYES)、センサ制御装置60は、投光器ikのみを投光させる(S1215)。
センサ制御装置60は、受光器jA−1で受光したか否かを判断する(S1216)。
受光器jA−1で受光した場合(S1216でYES)、センサ番号kとして現在のセンサ番号kに1を加算した値を設定し(S1217)、ステップS1214に戻る。
受光器jkで受光していない場合(S1216でNO)と、上述のステップS1214においてセンサ番号kがmin(N,(A+(P−1)))以下でない場合(S1214でNO)には、センサ制御装置60は、左側位置Yを下記式により求める(S1218)。
Y=((k−1)−A)/(k−A)
上述のステップS1211においてPが2よりも大きくない場合(S1211でNO)と、上述のステップS1212においてAがN−1未満でない場合(S1212でNO)には、センサ制御装置60は、左側位置Yとして1/2を設定する(S1219)。
センサ制御装置60は、最大横幅Wを下記式により求め(S1220)、横幅検出処理を終了する。
W=OP*(X−Y)
−横幅検出に関する他の形態1−
実施の形態2では、特定水平光、特定斜め下向き光、特定斜め上向き光の順で特定していく。しかし、本発明では、特定水平光、特定斜め上向き光、特定斜め下向き光の順で特定してもよい。
−横幅検出に関する他の形態2−
実施の形態2では、特定水平光を特定する際、組み合わせにより生じる水平光の高さ位置が高いものから順に、投光動作及び受光動作を行わせるが、本発明では、組み合わせにより生じる水平光の高さ位置が低いものから順に行ってもよい。最も高い高さ位置の投光器51a及び受光器52aの高さに対して半分以下の高さの乗客が通過することが多い場合には、組み合わせにより生じる水平光の高さ位置が低いものから順に投光動作及び受光動作を行わせることで、最も高い位置の特定水平光をより速く特定できる。
−横幅検出に関する他の形態3−
実施の形態2では、上述したフローチャートにしたがって(第1規則、第2規則、第3規則にしたがって)、複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの投光動作及び受光動作を行わせ、特定水平光、特定斜め下向き光、特定斜め上向き光の順で特定していく。しかし、本発明はこれに限定されない。複数個の投光器51aと複数個の受光器52aとの各々の間での受光の有無は、乗客の高さや横幅、通過位置によって変化するので、例えば、センサ制御装置60の記憶部に、複数個の投光器51aと複数個の受光器52aとの各々の間での受光の有無をマトリクス状に記録した遮光パターンリストを、想定される複数パターン分記憶させておく。また、遮光パターンリストには、検出される横幅を紐付けて記憶しておく。
図31は、横幅検出に関する他の形態3のセンサ制御装置の記憶部に記憶されている遮光パターンリストの一例を示す図である。
図31は、P=3のときの図19の(1)の遮光パターンにおける各受光器の受光状態を示している。センサ制御装置60の記憶部には、図31の遮光パターンリストに準じた遮光パターンリストが、図19の10個のパターン毎に、投光器51a及び受光器52aの上下方向の配列数Nから求められる(N−4)個ずつ、全パターンで(10×(N−4)個)だけ記憶されている。図31中の「k」について、制約条件「3〜(N−2)」を考慮して、(N−4)個とする。
現場において、センサ制御装置60は、複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの中からそれぞれ1個の投光器51a及び受光器52aを順次選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから投光された光が、乗客により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認する。そして、実確認結果に基づいて、図31同様のフォーマットの実遮光パターンリストを生成する。センサ制御装置60は、生成した実遮光パターンリストと、センサ制御装置60の記憶部に格納されている複数の遮光パターンリストとを比較して、一致する遮光パターンリストを特定する。遮光パターンリストを特定すると、特定された遮光パターンリストに紐付けて記憶されている、横幅の情報を読み出して、通過した乗客の最大横幅Wと検出する。
−横幅検出に関する他の形態4−
図32は、横幅検出に関する他の形態4のセンサ制御装置の記憶部に記憶されている遮光パターンリストの一例を示す図である。
横幅検出に関する他の形態3において、遮光パターンの実確認は、前述したPの数に応じ、受光可能な受光器についてのみ選択的に行ってもよい。その場合、図32に示すように、実遮光パターンリストにおいて受光確認を行わなかった部分については、例えば、受光したか否かを不問とすることを意味する−を記録すればよい。
4.まとめ
4−1.物体幅検出装置
(1)本実施の形態の物体幅検出装置は、
乗客(物体の一例)の移動通路を左右に跨いで互いに同じ高さ位置に対向配置された投光器51a及び受光器52aを、上下方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサ50と、
センサ制御装置60(センサ制御部)と、を備える。
センサ制御装置60は、
複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの中からそれぞれ1個の投光器51a及び受光器52aを所定規則にしたがって順次選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから投光された光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、
確認結果に基づいて、
投光動作が行われた各投光器51aから受光動作が行われた各受光器52aに向かって水平に進む水平光のうち、乗客(物体の一例)により遮光される、最も高い位置の特定水平光と、
投光動作が行われた各投光器51aから受光動作が行われた各受光器52aに向かって斜め下向きに進む斜め下向き光のうち、乗客(物体の一例)により遮光されず、特定水平光を投光した投光器51aから水平方向で最も近い位置で特定水平光と交差する特定斜め下向き光と、
投光動作が行われた各投光器51aから受光動作が行われた各受光器52aに向かって斜め上向きに進む斜め上向き光のうち、乗客(物体の一例)により遮光されず、特定水平光を投光した投光器51aに水平方向で最も遠い位置で特定水平光と交差する特定斜め上向き光と、を特定し、
特定水平光と特定斜め上向き光との交差位置と、特定水平光と特定斜め下向き光との交差位置との間の距離とに基づいて、乗客(物体の一例)の横幅を検出する。
これにより、マルチビームセンサを利用して、移動通路を通過する乗客(物体の一例)の横幅(移動方向に対して垂直な横方向の幅)を検出することができる。
(2)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの中から、第1規則にしたがって順次、互いに同じ高さ位置にあるそれぞれ1個の投光器51aと受光器52aを選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって水平に進む水平光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、確認結果に基づいて、特定水平光を特定する。
これにより、特定水平光を適切に特定できる。
(3)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、
特定水平光をまず特定し、その後、
複数個の投光器51aのうち特定水平光の高さ位置の投光器51aに対して直上方のM個の投光器51aと複数個の受光器52aのうち特定水平光の高さ位置の受光器52aに対して直下方のM個の受光器52aの中から、第2規則にしたがって順次、それぞれ1個の投光器51aと受光器52aを選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め下向きに進み特定水平光と交差する斜め下向き光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、確認結果に基づいて、特定斜め下向き光を特定する。
これにより、複数個の投光器51aと複数個の受光器52aをそれぞれ1個ずつ選択した場合の全ての組み合わせについて投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせる場合よりも、特定斜め下向き光を速く特定できる。そのため横幅検出を速く行うことができる。
(4)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、
特定水平光をまず特定し、その後、
複数個の投光器51aのうち特定水平光の高さ位置の投光器51aに対して直下方のM個の投光器51aと複数個の受光器52aのうち特定水平光の高さ位置の受光器52aに対して直上方のM個の受光器52aの中から、第3規則にしたがって順次、それぞれ1個の投光器51aと受光器52aを選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め上向きに進み特定水平光と交差する斜め上向き光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、確認結果に基づいて、特定斜め上向き光を特定する。
これにより、複数個の投光器51aと複数個の受光器52aをそれぞれ1個ずつ選択した場合の全ての組み合わせについて投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせる場合よりも、特定斜め上向き光を速く特定できる。そのため横幅検出を速く行うことができる。
(5)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、特定水平光を特定する際、
投光器51aと受光器52aとの複数の組み合わせのうち、組み合わせにより生じる水平光の高さ位置が高いものから順に、投光動作及び受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって水平に進む水平光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、受光されなかったことが確認された時点で、当該水平光を特定水平光であると特定する。
これにより、特定水平光を簡単な方法で特定できる。
(6)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、特定斜め下向き光を特定する際、
投光器51aと受光器52aとの複数の組み合わせのうち、組み合わせにより生じる斜め下向き光と特定水平光との交差位置が特定水平光の水平方向中央に近いものから順に、投光動作及び受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め下向きに進み特定水平光と交差する斜め下向き光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、受光されたことが確認された時点で、当該斜め下向き光を特定斜め下向き光であると特定する。
これによれば、例えば横幅検出対象の通過乗客(物体の一例)の横幅が開口幅OPよりも十分小さいときにおいて、斜め下向き光と特定水平光との交差位置が特定水平光の水平方向の端に近いものから順に投光動作及び受光動作を行わせる場合よりも、特定斜め下向き光を速く特定できる。
(7)本実施の形態の物体幅検出装置において、
センサ制御装置60は、特定斜め上向き光を特定する際、
投光器51aと受光器52aとの複数の組み合わせのうち、組み合わせにより生じる斜め上向き光と特定水平光との交差位置が特定水平光の水平方向中央に近いものから順に、投光動作及び受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから受光動作中の受光器52aに向かって斜め上向きに進み特定水平光と交差する斜め上向き光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、受光されたことが確認された時点で、当該斜め上向き光を特定斜め上向き光であると特定する。
これにより、例えば横幅検出対象の通過乗客(物体の一例)の横幅が開口幅OPよりも十分小さいときにおいて、斜め上向き光と特定水平光との交差位置が特定水平光の水平方向の端に近いものから順に投光動作及び受光動作を行わせる場合よりも、特定斜め上向き光を速く特定できる。
(8)本実施の形態の物体幅検出装置において、
移動通路は、エレベータ30の乗りかご20の乗降口20aの通路である。
これにより、マルチビームセンサ50を利用して、エレベータ30の乗りかご20の乗降口20aの通路を通過する乗客(物体の一例)の移動方向に対して垂直な横方向の幅(横幅)を検出することができる。
4−2.乗客種別判定装置
本実施の形態の乗客種別判定装置において、
センサ制御装置60は、乗降口20aを通過する乗客(物体の一例)の横幅を検出し、検出した横幅の情報をエレベータ制御装置10に出力し、
エレベータ制御装置10は、横幅の情報に基づいて、乗客種別の判定結果を検証する。
これにより、乗客種別の誤判定を見つけることができる。そして、必要に応じて誤判定に対処するための適切な処理を行うことができる。
本実施の形態の乗客種別判定装置において、
センサ制御装置60は、
複数個の投光器51a及び複数個の受光器52aの中からそれぞれ1個の投光器51a及び受光器52aを所定規則にしたがって順次選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器51aの投光動作及び受光器52aの受光動作を行わせ、投光動作中の投光器51aから投光された光が、乗客(物体の一例)により遮光されずに、受光動作中の受光器52aで受光されるか否かを確認し、
確認結果に基づいて、乗降口20aを通過する乗客(物体の一例)の横幅を検出し、検出した横幅の情報をエレベータ制御装置10に出力し、
エレベータ制御装置10は、横幅の情報に基づいて、乗客種別の判定結果を検証する。
これにより、乗客種別の誤判定を見つけることができる。そして、必要に応じて誤判定に対処するための適切な処理を行うことができる。
(他の実施の形態)
前記実施の形態において、本発明の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態に限られず、これらの実施の形態を組み合わせたものとすることもできる。
実施の形態2では、物体幅検出装置を、エレベータ30の乗降口20aに配置して乗客の横幅を検出する装置として適用した例を示した。しかし、本発明の物体幅検出装置は、これ以外の用途で利用可能である。例えば、種々の通路を通過する物体の横幅を検出する装置として利用できる。例えば、ベルトコンベヤのコンベヤ(通路)上の物体の横幅を検出する装置として利用できる。
実施の形態2では、物体が乗客であり、乗客の移動方向(移動通路の方向)がほぼ水平方向となっている。しかし、実施の形態2の技術思想は、物体の移動方向が水平方向でなく、上下方向など、他の方向である場合にも適用できる。
この場合の物体幅検出装置は、
物体の移動通路をその通路方向に垂直な幅方向に跨いで互いに正対するように対向配置された投光器及び受光器を、前記移動通路の前記幅方向及び前記通路方向に垂直な高さ方向に並べてそれぞれ複数個有するマルチビームセンサと、
センサ制御部と、を備え、
前記センサ制御部は、
前記複数個の投光器及び前記複数個の受光器の中からそれぞれ1個の投光器及び受光器を所定規則にしたがって順次選択して組み合わせ、各組み合わせについて、投光器の投光動作及び受光器の受光動作を行わせ、投光動作中の投光器から投光された光が、前記物体により遮光されずに、受光動作中の受光器で受光されるか否かを確認し、
確認結果に基づいて、
投光動作が行われた各投光器から受光動作が行われた各受光器に向かって前記幅方向に平行に進む平行光のうち、前記物体により遮光される、最も高い位置の特定平行光と、
投光動作が行われた各投光器から受光動作が行われた各受光器に向かって、前記通路方向に垂直な平面内で前記幅方向に対し一方側に傾斜して斜めに進む第1斜め向き光のうち、前記物体により遮光されず、前記特定平行光を投光した投光器から前記幅方向で最も近い位置で前記特定平行光と交差する特定第1斜め向き光と、
投光動作が行われた各投光器から受光動作が行われた各受光器に向かって、前記通路方向に垂直な平面内で前記幅方向に対し他方側に傾斜して斜めに進む第2斜め向き光のうち、前記物体により遮光されず、前記特定平行光を投光した投光器から前記幅方向で最も遠い位置で前記特定平行光と交差する特定第2斜め向き光と、を特定し、
前記特定平行光と前記特定第1斜め向き光との交差位置と、前記特定平行光と前記特定第2斜め向き光との交差位置とに基づいて、前記物体の前記幅方向の長さを検出する。