JP2019170751A - シリンジ用外筒、シリンジおよびプレフィルドシリンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】接続された回路等が内圧を有するものであっても、その内圧がシリンジの外筒本体内に伝達されず、回路内の液体の逆流、回路内の内圧のガスケットへの付与を阻止し、回路内の液体の漏出を防止できるシリンジ用外筒を提供する。【解決手段】シリンジ用外筒1は、開口25を有する先端部22を備える外筒本体2と、外筒本体2の先端部22の外面に固定されたノズル部材4と、逆止弁6とを備える。ノズル部材4は、先端に液体排出のための開口部42を備える。シリンジ用外筒1は、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する流路15を備え、逆止弁6は、流路15内に配置されている。逆止弁6は、外筒本体2の開口2側からノズル部材4の開口部42側への液体の流動を許容し、ノズル部材4の開口部42側から外筒本体2の開口25側への液体の流動を遮断するものとなっている。【選択図】図5
Description
本発明は、逆流阻止機能を備えるシリンジ用外筒、それを用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジに関する。
体外血液回路、薬液投与ラインは、途中にシリンジが装着可能なコネクタを備えているのが一般的である。そして、コネクタに装着した液体注入具を用いて、回路またはラインへの生体投与用の液体(例えば、薬液)の注入が行われる。液体注入には、一般的なシリンジが用いられる。なお、シリンジが接続されるコネクタとしては、ニードルレスコネクタと呼ばれ、シリンジを装着前では閉塞し、シリンジに装着することにより、開通するバルブを備えるものが用いられている。
液体注入にあたり、回路等のニードルレスコネクタに、液体が充填されたシリンジのノズル部を挿入して、シリンジを回路等の内部と連通させる。回路内は、内圧(例えば、動脈圧)を有する場合があり、シリンジを取り付けたまま放置すると、内圧により血液がシリンジ内に逆流する場合があり、逆流した血液により、ガスケットが押されることにより、シリンジからガスケットが離脱し、血液が漏れる危険性がある。また、シリンジを用いた液体の注入後において、ガスケットを押圧するプランジャより手を放した場合にも、上記と同様に、血液逆流が生じ、シリンジからガスケットが離脱し、血液が漏れる危険性がある。
本発明の目的は、接続された回路等が内圧を有するものであっても、その内圧がシリンジの外筒本体内に伝達されず、回路内の液体の逆流、回路内の内圧のガスケットへの付与を阻止し、回路内の液体の漏出を防止できるシリンジ用外筒、それを用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジを提供する。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1)シリンジ用外筒であって、
前記シリンジ用外筒は、開口を有する先端部を備える外筒本体と、前記外筒本体の前記先端部の外面に固定されたノズル部材と、逆止弁とを備え、
前記ノズル部材は、先端に液体排出のための開口部を備え、
前記シリンジ用外筒は、前記外筒本体の前記開口と前記ノズル部材の前記開口部を連通する流路を備え、前記逆止弁は、前記流路内に配置されており、かつ、前記逆止弁は、前記外筒本体の前記開口側から前記ノズル部材の開口部側への液体の流動を許容し、前記ノズル部材の前記開口部側から前記外筒本体の前記開口側への液体の流動を遮断するものとなっているシリンジ用外筒。
(1)シリンジ用外筒であって、
前記シリンジ用外筒は、開口を有する先端部を備える外筒本体と、前記外筒本体の前記先端部の外面に固定されたノズル部材と、逆止弁とを備え、
前記ノズル部材は、先端に液体排出のための開口部を備え、
前記シリンジ用外筒は、前記外筒本体の前記開口と前記ノズル部材の前記開口部を連通する流路を備え、前記逆止弁は、前記流路内に配置されており、かつ、前記逆止弁は、前記外筒本体の前記開口側から前記ノズル部材の開口部側への液体の流動を許容し、前記ノズル部材の前記開口部側から前記外筒本体の前記開口側への液体の流動を遮断するものとなっているシリンジ用外筒。
(2)前記逆止弁は、前記外筒本体の前記先端部の外面と前記ノズル部材の内面間により形成される空間内に収納されている上記(1)に記載のシリンジ用外筒。
(3)前記外筒本体の前記先端部は、先端面に形成された逆止弁載置部と、前記ノズル部材の後端部を収納可能な環状突出部とを備え、前記ノズル部材の後端部は、前記外筒本体の前記環状突出部内に進入し、前記外筒本体の先端面と当接し、かつ、前記ノズル部材の後端部と前記外筒本体の先端面との当接部にて、固着されている上記(1)または(2)に記載のシリンジ用外筒。
(4)前記逆止弁は、環状フランジ部と、前記環状フランジ部より、先端方向に延びる弁本体部と、前記弁本体部の頂点部に形成された開口用のスリットを備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(5)前記弁本体部は、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びる弁口部を備え、前記スリットは、前記弁口部内にて、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びている上記(4)に記載のシリンジ用外筒。
(6)前記環状フランジ部の周縁部は、前記ノズル部材の前記後端部と前記外筒本体の前記逆止弁載置部により圧縮され、液密状態となっている上記(4)または(5)に記載のシリンジ用外筒。
(7)前記逆止弁は、通常時閉鎖型である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(8)前記ノズル部材は、ノズル部と、前記ノズル部と前記後端部との間に形成された連結部を備え、前記逆止弁は、前記連結部内に形成された空間内に収納されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(9)前記ノズル部材は、前記ノズル部を被包するカラー部を備え、前記カラー部は、内面に螺合部を備え、医療用コネクタに、前記螺合部を用いて装着可能となっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(3)前記外筒本体の前記先端部は、先端面に形成された逆止弁載置部と、前記ノズル部材の後端部を収納可能な環状突出部とを備え、前記ノズル部材の後端部は、前記外筒本体の前記環状突出部内に進入し、前記外筒本体の先端面と当接し、かつ、前記ノズル部材の後端部と前記外筒本体の先端面との当接部にて、固着されている上記(1)または(2)に記載のシリンジ用外筒。
(4)前記逆止弁は、環状フランジ部と、前記環状フランジ部より、先端方向に延びる弁本体部と、前記弁本体部の頂点部に形成された開口用のスリットを備えている上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(5)前記弁本体部は、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びる弁口部を備え、前記スリットは、前記弁口部内にて、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びている上記(4)に記載のシリンジ用外筒。
(6)前記環状フランジ部の周縁部は、前記ノズル部材の前記後端部と前記外筒本体の前記逆止弁載置部により圧縮され、液密状態となっている上記(4)または(5)に記載のシリンジ用外筒。
(7)前記逆止弁は、通常時閉鎖型である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(8)前記ノズル部材は、ノズル部と、前記ノズル部と前記後端部との間に形成された連結部を備え、前記逆止弁は、前記連結部内に形成された空間内に収納されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
(9)前記ノズル部材は、前記ノズル部を被包するカラー部を備え、前記カラー部は、内面に螺合部を備え、医療用コネクタに、前記螺合部を用いて装着可能となっている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(10)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットとからなるシリンジ。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記シリンジ用外筒の前記ノズル部材に装着されたシールキャップと、前記シリンジ用外筒内に収納された医療用液体とからなるプレフィルドシリンジ。
(10)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットとからなるシリンジ。
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(11)上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記シリンジ用外筒の前記ノズル部材に装着されたシールキャップと、前記シリンジ用外筒内に収納された医療用液体とからなるプレフィルドシリンジ。
本発明のシリンジ用外筒は、開口を有する先端部を備える外筒本体と、外筒本体の先端部の外面に固定されたノズル部材と、逆止弁とを備える。ノズル部材は、先端に液体排出のための開口部を備え、シリンジ用外筒は、外筒本体の開口とノズル部材の開口部を連通する流路を備え、逆止弁は、流路内に配置されており、かつ、逆止弁は、外筒本体の開口側からノズル部材の開口部側への液体の流動を許容し、ノズル部材の開口部側から外筒本体の前記開口側への液体の流動を遮断するものとなっている。
このシリンジ用外筒は、上記の逆止弁が、外筒本体の開口とノズル部材の開口部を連通する流路内に配置されているので、ノズル部材の開口部側の圧力が、外筒本体の開口側の圧力より高い状態および圧力変化により高い状態となった場合において、逆止弁が閉塞し、外筒本体内に圧力が伝達されない。このため、上記の圧力に起因するガスケットの後退および離脱を防止し、また、ノズル部材側から外筒本体側への液体の流入、いわゆる逆流を防止する。
このシリンジ用外筒は、上記の逆止弁が、外筒本体の開口とノズル部材の開口部を連通する流路内に配置されているので、ノズル部材の開口部側の圧力が、外筒本体の開口側の圧力より高い状態および圧力変化により高い状態となった場合において、逆止弁が閉塞し、外筒本体内に圧力が伝達されない。このため、上記の圧力に起因するガスケットの後退および離脱を防止し、また、ノズル部材側から外筒本体側への液体の流入、いわゆる逆流を防止する。
本発明のシリンジ用外筒、それを用いたシリンジおよびプレフィルドシリンジを図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明のシリンジは、本発明のシリンジ用外筒1と、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7とからなる。
また、本発明のプレフィルドシリンジ10は、本発明のシリンジ用外筒1と、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7と、シリンジ用外筒1のノズル部材4に装着されたシールキャップ3と、シリンジ用外筒1内に収納された医療用液体9とからなる。
本発明のシリンジは、本発明のシリンジ用外筒1と、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7とからなる。
また、本発明のプレフィルドシリンジ10は、本発明のシリンジ用外筒1と、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7と、シリンジ用外筒1のノズル部材4に装着されたシールキャップ3と、シリンジ用外筒1内に収納された医療用液体9とからなる。
そして、本発明のシリンジ用外筒1は、開口25を有する先端部22を備える外筒本体2と、外筒本体2の先端部22の外面に固定されたノズル部材4と、逆止弁6とを備える。ノズル部材4は、先端に液体排出のための開口部42を備える。シリンジ用外筒1は、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する流路15(内部流路)を備え、逆止弁6は、流路15内に配置されている。逆止弁6は、流路15における外筒本体2の開口25側からノズル部材4の開口部42側への液体の流動を許容し、ノズル部材4の開口部42側から外筒本体2の開口25側への液体の流動を遮断するものとなっている。
この実施例のシリンジ用外筒1は、図1ないし図5に示すように、外筒本体2と、外筒本体2の先端に固定されたノズル部材4と、内部に収納された逆止弁6とを備える。また、シリンジ用外筒1は、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する内部流路15を備えている。また、プレフィルドシリンジ10は、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7と、シリンジ用外筒1のノズル部材4に装着されたシールキャップ3と、シリンジ用外筒1内に収納された医療用液体9と、ガスケット7に装着されたプランジャ5を備えている。
外筒本体2は、図1ないし図3および図5に示すように、筒状部21と、筒状部21の先端に位置し、開口25を備える先端部22と、筒状部21の後端に設けられたフランジ23を備える。さらに、先端部22は、逆止弁載置部26と、ノズル部材4の後端部を収納可能な環状突出部24とを備えている。
筒状部21は、ほぼ同一内径、同一外径にて延びる円筒部となっている。先端部22は、筒状部21の先端に形成された先端壁部である。そして、先端部22には、その中心に、開口25が形成されている。さらに、開口25の周縁部である先端部22の外面に、逆止弁載置部26が形成されている。この実施例では、逆止弁載置部26は、平坦面となっている。さらに、逆止弁載置部26の側方に、環状突出部24が設けられている。環状突出部24は、先端方向に延びる短い筒状突出部となっている。
そして、シリンジ用外筒1は、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する内部流路15を備え、逆止弁6は、この内部流路15内に配置されている。このため、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する流路15は、逆止弁6により、外筒本体2の開口側流路(下流側流路部)とノズル部材4の開口部側流路(上流側流路)とに区分されている。
また、この実施例では、逆止弁6は、外筒本体2の先端部22の外面とノズル部材4の内面間により形成される空間内に収納されている。図示する実施例では、シリンジ用外筒1の内部(流路の一部)である逆止弁載置部26と環状突出部24間に、ノズル部材4の後端部の収納部が形成されており、この収納部に逆止弁6の後端部が収納されている。さらに、この実施例では、ノズル部材4の後端部の収納部の後端面(下面)は、逆止弁載置部26より、後端側に位置しており、このため、逆止弁載置部26の側部は、環状凹部となっている。この環状凹部に、後述する、ノズル部材4の後端部が収納される。フランジ23は、筒状部21の後端より外方に延びるものとなっている。
ノズル部材4は、図1ないし図3および図5に示すように、開口部42を有するノズル部41と、後端部44と、ノズル部41と後端部44間に設けられた逆止弁収納部とを備える。図示する実施例では、ノズル部41は、先端に向かってテーパー状に縮径するように形成されている。ノズル部41は、血液回路、薬液投与ラインに設けられているコネクタ(例えば、ニードルレスコネクタ)に装着可能なものとなっている。ノズル部41の後端と後端部44間には、連結部46が設けられている。
そして、この実施例では、後端部44と連結部46の内部に、逆止弁収納部が形成されている。連結部46は、ノズル部41の後端より後方に延びる短い筒状部である。後端部44は、連結部46の後端より、後方に延びる短い筒状部である。また、後端部44は、連結部46より、内径および外径が、大径となっている。
そして、後端部44は、外筒本体2の環状突出部24内に進入し、その後端は、外筒本体2の先端部22に形成された環状凹部の底面に当接している。そして、外筒本体2とノズル部材4は、ノズル部材4の後端部44の後端面と外筒本体2の先端部22の環状凹部の底面との当接部に形成された、固定部8により固着されている。固着部8は、レーザ溶着、高周波溶着、超音波溶着などにより、形成することができる。
また、ノズル部材4は、ノズル部41を被包するカラー部43を備え、カラー部43は、内面に螺合部45を備えている。カラー部43の螺合部45を用いて、本発明のシリンジ用外筒1は、使用時に、回路に設けられている医療用コネクタに、離脱することなく装着可能となっている。
カラー部43は、ノズル部41を取り囲むようにノズル部41と同心的に円筒状に形成されている。また、カラー部43は、先端が開口しており、カラー部43の内径および外径は基端から先端までほぼ同一径となっている。また、カラー部43の先端開口からはノズル部41の先端部が突出している。そして、カラー部42の内周面には、シールキャップ3のノズル部収納部33に形成されたキャップ側螺合部34と螺合するための螺合部45が形成されている。
これにより、ノズル部材4とキャップ3はカラー部43の内周面とノズル収納部外周面との間で螺合する。また、カラー部43の螺合部45は、血液回路、薬液投与ラインに設けられているコネクタ(例えば、ニードルレスコネクタ)側の螺合部と螺合可能であり、本発明のシリンジ用外筒1を回路に内圧により離脱しないように、コネクタに装着可能なものとなっている。この実施例では、螺合部45は、螺旋状リブにより形成されている。
外筒本体2の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーのような樹脂が好ましい。なお、内部に充填された薬液を外側から目視にて確認できるように透明性が高く、高圧蒸気滅菌に耐えられる耐熱性を有する環状オレフィンポリマー、環状オレフィンコポリマーが、外筒本体2の形成材料として特に好ましい。
逆止弁6は、外筒本体2の開口25とノズル部材4の開口部42を連通する内部流路15内、具体的には、外筒本体2とノズル部材4により形成される空間内に収納されている。逆止弁6は、筒状部21の開口25とノズル部材4の開口部42間の流路15を遮断するように設けられている。また、この実施例では、逆止弁6としては、通常時閉鎖型のものが用いられている。このため、外筒本体2側が、陽圧となった場合のみ、逆止弁6は、開口し、液体の通過を許容する。逆止弁6の前後が等圧の場合および、ノズル部材4の開口部42側が高圧の場合には、逆止弁6は、開口しない。なお、図示する実施例では、逆止弁として、いわゆるダックビル弁が用いられている。
この実施例では、逆止弁6は、図5ないし図12に示すように、環状フランジ部62と、環状フランジ部62より、先端方向に延びる弁本体部61と、弁本体部61の頂点部に形成された開口用のスリット63を備えている。環状フランジ部62は、所定に厚さを有するリング状部であり、上面および下面は、環状の平坦面となっている。そして、図5に示すように、逆止弁6の環状フランジ部62の周縁部は、外筒本体2とノズル部材4により液密状態に保持されている。具体的には、逆止弁6の環状フランジ部62の周縁部は、ノズル部材4の後端部の環状内面と、外筒本体2の逆止弁載置部26より、圧縮され、液密状態となっている。このため、逆止弁6の環状フランジ部62からの液体の漏出を防止している。
また、この実施例の逆止弁6は、先端部に形成された弁口部65を備えている。この実施例では、図8に示すように、弁口部65は、弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びるものとなっている。そして、弁口部65内に、スリット63が設けられている。スリット63は、弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びており、かつ、弁口部よりも短いものとなっている。このため、弁口部65の両側部は、スリット非存在部となっている。
そして、弁口部65は、スリット63の両側に形成された2つの側部65a,65bを備えており、この側部65a,65bが、図13に示すように、外方に変形することにより、両者間に液体通過用開口66が形成される。弁口部65として、上述のように、弁本体部の直径とほぼ同じ長さを有し、かつ、スリット63も十分な長さを有するため、容易に開口するとともに、図13に示すように、開口時に十分の大きさの液体通過用開口66が形成され、良好に液体を通過させることができる。
そして、この実施例における逆止弁6は、図6に示すように、正面視において略矩形状であり、図7に示すように、側面視において略三角形状である。また、弁本体部61は、図5ないし図12に示すように、弁口部65の両側部65a,65bより、環状フランジ部まで延びる2つの弁側壁部を備えている。そして、弁側壁部は、側部65aより環状フランジ部付近まで延びる第1平板部61aと、側部65bより環状フランジ部付近まで延びる第2平板部61bと、第1平板部61aの一方の側部と第2平板部61bの一方の側部を繋ぐ第1の湾曲壁部と61cと、第1平板部61aの他方の側部と第2平板部61bの他方の側部を繋ぐ第2の湾曲壁部と61dとを有するものとなっている。逆止弁6は、内腔部64を備えており、内腔部64は、弁口部65に向かって減少するものとなっている。
また、ノズル部材4の連結部46の内面には、逆止弁6の第1平板部61aと向かい合う第1の傾斜面部と、第2平板部61bと向かい合う第2の傾斜面部が形成されている。このため、液体通過時において、逆止弁6の第1平板部61aおよび第2平板部61bの後端側部分は、連結部46の第1の傾斜面部および第2の傾斜面部に当接するため、逆止弁の過剰変形が規制されている。
また、図5に示すように、この実施例では、逆止弁6の第1平板部61aと連結部46の第1の傾斜面部間、および逆止弁6の第2平板部61bと連結部46の第2の傾斜面部間に、若干の空隙を持っている。このため、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)の圧力は、逆止弁6の第1平板部61aおよび第2平板部61bの外面(先端側面)のほぼ全体に負荷されるものとなっている。このため、逆止弁6は、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)の圧力の上昇時に良好に反応する。
逆止弁6は、少なくとも弁本体部61は、弾性変形可能なものとなっている。逆止弁6の形成材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料が好ましい。
キャップ3は、図1ないし図3に示すように、円筒状に形成されており、本体部31と、本体部31より、後方に延びるノズル部材4のノズル部41を収納するノズル部収納部33と、ノズル部収納部33内に収納されたシール部材32とを備える。この実施例では、本体部31とノズル部収納部33間には、壁部を備えており、この壁部のノズル部収納部33側の面に当接するように、シール部材32が配置されている。
そして、ノズル部収納部33の外面には、ノズル部材4のカラー部43の内面に形成された螺合部45と螺合可能なキャップ側螺合部34が設けられている。キャップ3がノズル部材4に装着された時、ノズル部41の先端開口部42は、シール部材32によりシールされる。
シール部材32の形成材料としては、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴム、オレフィン系エラストマーやスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー等の弾性材料が好ましい。
ノズル部材4およびキャップ3の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
ノズル部材4およびキャップ3の形成材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アクリル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、環状ポリオレフィンのような各種樹脂が挙げられるが、その中でも成形が容易で耐熱性があることから、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンのような樹脂が好ましい。
プレフィルドシリンジ10は、上述したシリンジ用外筒1と、シリンジ用外筒1内に摺動可能に収納されたガスケット7と、シリンジ用外筒1のノズル部材4に装着されたシールキャップ3と、シリンジ用外筒1内に収納された医療用液体9を備える。
ガスケット7としては、公知のものが使用される。図示するガスケット7は、筒状本体部71と、閉塞先端部72と、筒状本体部71の外面に形成された先端側リブ74と、後端側リブ75と、内面に形成された内腔部73を備えている。このガスケットは、内腔部73の内面に螺合用リブを備えている。
プランジャ5としては、公知のものが使用される。図示するプランジャ5は、ガスケット7の基端面を押圧可能なフランジ部を先端側に有する本体部51と、本体部51より、前方に突出し、ガスケット7の内腔部73内に進入可能な先端部52とを有する。本体部51の基端には、プランジャ押圧部53が設けられている。先端部52は、小径筒状部であり、ガスケット7の内腔部73の内面に設けられた螺合用リブと螺合可能な螺合用リブを備えている。
医療用液体9としても公知のものを用いることができる。医療用液体9としては、具体的には、薬液、フラッシュ液、造影剤などが用いられる。
医療用液体9としても公知のものを用いることができる。医療用液体9としては、具体的には、薬液、フラッシュ液、造影剤などが用いられる。
次に、本発明のシリンジ用外筒を用いたプレフィルドシリンジの作用を図5、図13ないし図15を用いて説明する。
図示する実施例のシリンジ用外筒1(プレフィルドシリンジ10)では、逆止弁6としては、通常時閉鎖型のものが用いられている。このため、通常状態、言い換えれば、図5に示すような、逆止弁6の前後が等圧の場合には、逆止弁6は、図8に示すように、閉塞している。そして、図14に示すように、プランジャを押圧し、ガスケット7を先端方向に押圧すると、外筒本体2内の内圧が、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)の内圧より高くなり、逆止弁6は、図13および図14に示すように、開口し、液体通過用開口66より、液体が逆止弁6を通過し、前方側(ノズル部材4の開口部42側)へと内部流路15内を流れる。
図示する実施例のシリンジ用外筒1(プレフィルドシリンジ10)では、逆止弁6としては、通常時閉鎖型のものが用いられている。このため、通常状態、言い換えれば、図5に示すような、逆止弁6の前後が等圧の場合には、逆止弁6は、図8に示すように、閉塞している。そして、図14に示すように、プランジャを押圧し、ガスケット7を先端方向に押圧すると、外筒本体2内の内圧が、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)の内圧より高くなり、逆止弁6は、図13および図14に示すように、開口し、液体通過用開口66より、液体が逆止弁6を通過し、前方側(ノズル部材4の開口部42側)へと内部流路15内を流れる。
そして、プランジャの押圧を停止し、外筒本体2内の内圧が、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)の内圧と等圧になると、図5および図8に示すように、逆止弁6は、閉塞状態となる。また、逆止弁6より前方側(ノズル部材4の開口部42側)である回路側が、常時ある程度の内圧を有する場合がある。このようなケースは、逆止弁6より前方側が、血液回路に接続されている場合が考えられる。特に、血液回路が、動脈に接続される場合には、動脈圧を受けることになる。このような場合、液体注入、言い換えれば、プランジャの押圧は、逆止弁6より前方側の内圧に打ち勝つように行うことが必要である。
そして、通常では、プランジャから手を放すと、ガスケット7に逆止弁6より前方側の内圧が急激に負荷されることになり、これにより、ガスケット7が外筒より離脱する可能性がある。しかし、図15に示すように、本発明のシリンジ用外筒1(プレフィルドシリンジ10)では、外筒本体2より前方に位置する逆止弁6が先に逆止弁6より前方側の内圧の負荷を受け閉塞するため、外筒本体内に逆止弁6より前方側の内圧が伝達することがなく、ガスケット7に圧力が負荷されることもない。また、内部流路15内を液体が流れることもない。
1 シリンジ用外筒
2 外筒本体
3 シールキャップ
4 ノズル部材
5 プランジャ
6 逆止弁
7 ガスケット
25 開口
42 開口部
2 外筒本体
3 シールキャップ
4 ノズル部材
5 プランジャ
6 逆止弁
7 ガスケット
25 開口
42 開口部
Claims (11)
- シリンジ用外筒であって、
前記シリンジ用外筒は、開口を有する先端部を備える外筒本体と、前記外筒本体の前記先端部の外面に固定されたノズル部材と、逆止弁とを備え、
前記ノズル部材は、先端に液体排出のための開口部を備え、
前記シリンジ用外筒は、前記外筒本体の前記開口と前記ノズル部材の前記開口部を連通する流路を備え、前記逆止弁は、前記流路内に配置されており、かつ、前記逆止弁は、前記外筒本体の前記開口側から前記ノズル部材の開口部側への液体の流動を許容し、前記ノズル部材の前記開口部側から前記外筒本体の前記開口側への液体の流動を遮断するものとなっていることを特徴とするシリンジ用外筒。 - 前記逆止弁は、前記外筒本体の前記先端部の外面と前記ノズル部材の内面間により形成される空間内に収納されている請求項1に記載のシリンジ用外筒。
- 前記外筒本体の前記先端部は、先端面に形成された逆止弁載置部と、前記ノズル部材の後端部を収納可能な環状突出部とを備え、前記ノズル部材の後端部は、前記外筒本体の前記環状突出部内に進入し、前記外筒本体の先端面と当接し、かつ、前記ノズル部材の後端部と前記外筒本体の先端面との当接部にて、固着されている請求項1または2に記載のシリンジ用外筒。
- 前記逆止弁は、環状フランジ部と、前記環状フランジ部より、先端方向に延びる弁本体部と、前記弁本体部の頂点部に形成された開口用のスリットを備えている請求項1ないし3のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記弁本体部は、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びる弁口部を備え、前記スリットは、前記弁口部内にて、前記弁本体部の中心軸に直交する方向に所定長延びている請求項4に記載のシリンジ用外筒。
- 前記環状フランジ部の周縁部は、前記ノズル部材の前記後端部と前記外筒本体の前記逆止弁載置部により圧縮され、液密状態となっている請求項4または5に記載のシリンジ用外筒。
- 前記逆止弁は、通常時閉鎖型である請求項1ないし6のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記ノズル部材は、ノズル部と、前記ノズル部と前記後端部との間に形成された連結部を備え、前記逆止弁は、前記連結部内に形成された空間内に収納されている請求項1ないし7のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 前記ノズル部材は、前記ノズル部を被包するカラー部を備え、前記カラー部は、内面に螺合部を備え、医療用コネクタに、前記螺合部を用いて装着可能となっている請求項1ないし8のいずれかに記載のシリンジ用外筒。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットとからなることを特徴とするシリンジ。
- 請求項1ないし9のいずれかに記載のシリンジ用外筒と、前記シリンジ用外筒内に摺動可能に収納されたガスケットと、前記シリンジ用外筒の前記ノズル部材に装着されたシールキャップと、前記シリンジ用外筒内に収納された医療用液体とからなることを特徴とするプレフィルドシリンジ。
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JP2018063373A JP2019170751A (ja) | 2018-03-28 | 2018-03-28 | シリンジ用外筒、シリンジおよびプレフィルドシリンジ |
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JP2019170751A true JP2019170751A (ja) | 2019-10-10 |
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ID=68169563
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Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003339876A (ja) * | 2002-05-28 | 2003-12-02 | Nipro Corp | 混注具 |
US20090247961A1 (en) * | 2008-03-31 | 2009-10-01 | Tyco Healthcare Group Lp | Self-Capping Syringe Assembly With One-Way Valve |
WO2011125475A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-13 | テルモ株式会社 | シリンジ |
-
2018
- 2018-03-28 JP JP2018063373A patent/JP2019170751A/ja active Pending
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