JP2019170217A - 植物栽培支援情報提供システム - Google Patents
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Abstract
Description
栽培地における植物の栽培を支援するための支援情報を、該栽培地に提供する植物栽培支援情報提供システムであって、
前記栽培地から前記植物の栽培状況を表す栽培状況データを取得する取得部と、
目標となる栽培結果が得られるよう過去の栽培状況および栽培結果を踏まえて設定される目標栽培状況に、前記栽培状況が適合しているか否かを、前記栽培状況データに基づいて判断する状況判断部と、
前記判断結果に応じて、目標となる栽培結果が得られるよう栽培を支援するための支援情報を生成する支援情報生成部と、
前記支援情報を前記栽培地に出力する出力部とを備える植物栽培支援情報提供システムとして構成することができる。
本発明の対象となる植物は、農作物、花、果実など栽培の対象となるものであればよい。
栽培地は、例えば、植物工場、ビニルハウス、田畑などを対象とすることができる。
目標となる栽培結果としては、開花または収穫の時期、収穫量、色・栄養素などの品質などとすることができる。
栽培状況データとしては、例えば、温度、日照量、給水量、植物の画像などとすることができる。また、肥料や農薬の量など、植物に対して行った措置の履歴を栽培状況データに含めても良い。栽培状況データは、現時点だけのものには限らず、現時点までの成長過程を含めて栽培状況データとしてもよい。
目標栽培状況としては、例えば、目標の栽培結果が得られるようにするために満たされるべき温度、日照量などが挙げられる。常に一定とは限らず、植物の成育過程に応じて変化する場合もある。目標栽培状況は、それぞれ許容範囲が設けられていても良い。また、温度に応じて許容される日照量も変化する、というように、複数の要素が相関をもって設定されていてもよい。
例えば、前記状況判断部は、過去の栽培状況および栽培結果に基づいて設定され、目標となる栽培結果を得るための目標栽培状況を記憶した栽培基準データベースを参照して、前記判断を行うものとしてもよい。
栽培基準データベースは、過去の栽培状況および栽培結果に基づいて設定されるものである。例えば、ある植物について、過去に十分な栽培結果が得られた時の栽培状況を解析すれば、温度、日照量などの要素の組み合わせで、かかる栽培結果を得るための栽培状況を得ることができる。逆に、十分な栽培結果が得られなかった時の栽培状況を解析すれば、各要素の組み合わせで、避けるべき栽培状況を得ることができる。栽培基準データベースは、こうした解析を総合的に行うことにより、設定することが可能である。かかる解析を、統計分析や人工知能によって行うものとしてもよい。
過去の栽培状況および栽培結果を学習データとして用いることにより、前記栽培状況に対する栽培結果を予測する成長予測部を有し、
前記状況判断部は、前記成長予測部による予測結果と目標となる栽培結果との比較に基づいて前記判断を行うものとしてもよい。
成長予測は、例えば、学習データを参照して、栽培状況に比較的近いケースを抽出し、その栽培結果を得る方法をとってもよい。また、統計分析や人工知能を用いて行うこともできる。成長予測のためのモデルは、種々の方法で設定すればよい。
成長予測には誤差があるため、栽培状況の適否は、予測結果と目標となる栽培結果との比較において、成長予測の誤差を考慮して判断してもよい。例えば、収穫時期に対する成長予測の誤差が3日である場合、予測結果と目標となる栽培結果との差が3日以内であれば、栽培状況は適切であると判断するようにしてもよい。
前記取得部は、さらに前記栽培地から栽培結果を取得して、前記学習データを更新するものとしてもよい。
こうすることにより、学習データをさらに充実化させることができ、成長予測の精度向上を図ることができる。
栽培結果としては、目標となる栽培結果に対応する情報を取得することが好ましい。例えば、植物の開花または収穫の時期、収穫量、色・栄養素などの品質などが挙げられる。
栽培結果の取得については、栽培地の作業員に対して、結果の送信を指示した上で取得する方法をとることができる。
栽培状況の適否は、栽培基準データを用いる方法、成長予測を用いる方法を、いずれか一方のみを適用してもよいし、双方を併用してもよい。
例えば、
前記支援情報は、前記目標栽培状況からの逸脱を示すアラート情報であるものとしてもよい。
こうすることにより、栽培地ではアラート情報に応じて、必要に応じて対策を施すことができる。アラート情報は、逸脱していることを示すランプまたは情報を点灯・表示等するものとしてもよいし、逸脱している程度、要素が認識可能な表示としてもよい。例えば、逸脱の程度に応じて、黄色→赤色のように表示の色を変えるなどの方法をとることができる。
前記支援情報は、前記栽培状況を前記目標栽培状況に移行させるための移行情報であるものとしてもよい。
こうすることにより、目標栽培状況に移行を支援することができる。
移行情報の生成は、種々の方法で行うことができる。
第1の方法として、現在の栽培状況と栽培基準データベースに基づいて定まる目標栽培状況との要素ごとの差違に基づいて、移行情報を設定してもよい。例えば、現在の温度と目標栽培状況との温度の差を移行情報とすることができる。日照量についても現在と目標栽培状況との差違がある場合には、それを日照量についての移行情報とすることになる。
第2の方法として、学習データに基づき統計分析や人工知能による回帰をさせてもよい。即ち、目標となる栽培結果を達成するための栽培状況を回帰によって求め、これを目標栽培状況として、現在の栽培状況と目標栽培状況との差違を移行情報とするのである。
第3の方法として、現在の栽培状況を仮想的に変化させた場合に、栽培結果がどのように変化するかを成長予測によって求め、この繰り返しによって、目標となる栽培結果を達成し得る目標栽培状況を見いだすようにしてもよい。
前記状況判断部および前記支援情報生成部は、前記目標となる栽培結果が変更されたときには、該変更に応じて前記判断および前記支援情報の生成を行うものとしてもよい。
こうすることにより、目標となる栽培結果が変更された場合でも、それに応じて栽培状況を移行させることが可能となる利点がある。例えば、目標の収穫時期が早くなった場合を考えると、仮に今までの栽培状況が適正であったとしても、変更後の収穫時期を基準にすれば収穫時期が目標よりも遅れることになる。しかし、上記態様によれば、変更後の収穫時期に基づいて栽培状況の適否や支援情報の生成が行われるため、目標の収穫時期を達成する可能性を高めることができる。
例えば、前記移行情報は、前記栽培地に設置され前記栽培状況を調整する調整機器の制御情報であり、
前記出力部は、前記制御情報を、対応する前記調整機器に出力するものとしてもよい。
こうすることにより、調整機器を自動的に制御して目標栽培状況に移行させることができ、栽培地で対処する負担を軽減することができる。
上記態様としては、例えば、温度が高すぎると判断されるときに、空調機器に制御情報を送信して、温度を低下させる態様が挙げられる。
前記目標栽培状況に移行させるための移行情報は、前記栽培地の作業員に対する作業情報であり、
前記出力部は、前記作業員に前記作業情報を提示するものとしてもよい。
作業情報としては、例えば、肥料の追加、農薬の散布、窓の開閉など、自動制御で対応できない作業の指示とすることができる。
作業情報の出力先としては、例えば、栽培地に設置され、作業員が認識できる表示装置等としてもよいし、作業員が所持するスマートフォンその他の携帯端末を利用してもよい。
先に説明した調整機器の制御情報と、作業情報は、移行させるための対処方法に応じて、一方を選択するようにしてもよいし、双方を併用しても良い。また、例えば、温度が高すぎると判断されるときに空調機器を制御する制御情報を出力したが、それでも温度が下がらないときには、窓の開放を栽培地の作業員に指示する作業情報を出力するというように、両者を順次、用いるようにしてもよい。
前記取得部は、前記栽培地の作業員に対して取得すべき栽培状況を指示し、当該指示に応じた栽培状況を取得するものとしてもよい。
こうすることにより、栽培状況の適否などの判断に適切な情報を取得することができ、結果として判断精度を向上させることができる。
作業員に対する指示は、栽培地の表示装置や作業員が所持する携帯端末などに提示することができる。取得すべき栽培状況としては、例えば、栽培されている植物の画像データなどとすることができる。かかる場合に、作業員に対して、「葉の裏側の写真を撮影せよ」などのように「取得すべき栽培状況を指示」すれば、適切な栽培状況を知ることが可能となる。
作業員に対する指示は、栽培地から栽培状況を取得するときに必ず行うようにしてもよいし、栽培地から送信された栽培状況のみでは、情報不足と判断されるときにのみ行うようにしてもよい。後者の方が、必要な情報を無駄なく取得できる利点がある。
作業員と複数の前記栽培地とを対応づけて記憶するユーザデータベースを有し、
前記出力部は、前記作業員からの指示に対応した前記栽培地の支援情報を出力するものとしてもよい。
こうすることにより、作業員が複数の栽培地を担当することが可能となる利点がある。かかる場合には、支援情報の出力は、作業員が所持しているスマートフォンなどの携帯端末を利用することが好ましい。こうすることにより、作業員が複数の栽培地を移動するときでも、各栽培地の情報を確認できる利点がある。
図1は、植物栽培支援情報提供システム100の構成を示す説明図である。植物栽培支援情報提供システム100は、農作物の栽培地に設置されたセンサ等を活用して、農作物の栽培状況を取得し、目標となる栽培結果が得られるように栽培を支援するためのシステムである。
図の右下に示したビニルハウスは、植物栽培支援情報提供システム100の対象となる栽培地を表している。図中では、2箇所を例示したが、栽培地の数は1箇所でも3箇所以上でもよい。また、栽培地は、ビニルハウスに限らず、開放状態の田畑などであってもよい。
センサ13は、栽培地において種々の栽培状況を表す栽培状況データを取得するためのセンサである。栽培状況データとしては、例えば、温度、日照量、吸水量または湿度などが挙げられる。また、センサ13としてカメラを用いることにより、植物の生育状況を撮影可能としてもよい。
ディスプレイ12は、植物栽培支援情報提供システム100からの支援情報を表示するために用いられる。ディスプレイ12は、栽培地の作業員が視認できる任意の場所に設置可能である。支援情報が音声で提供される場合には、音声出力用のスピーカ等を合わせて設置してもよい。
センサ13およびディスプレイ12は、ネットワークNEを介して植物栽培支援情報提供システム100に接続される。接続ユニット11は、センサ13およびディスプレイ12をネットワークNEに接続するための装置である。ネットワークNEは、インターネット、イントラネットなどとすることができる。
栽培地ユニット10には、栽培地で作業員が所持するスマートフォン14を含めることもできる。スマートフォン14には、植物栽培支援情報提供システム100と情報の授受等を行うためのアプリケーション15がインストールされている。本実施例では、スマートフォン14は、ネットワークNEに直接、接続可能としているが、接続ユニット11を介して接続するようにしてもよい。
以下、各機能ブロックについて説明する。
ユーザデータベース101は、栽培地の作業員の情報を記憶するデータベースである。その構造については後述する。
栽培地データベースベース102は、栽培地の情報を記憶するデータベースである。その構造については後述する。
栽培状況データベース103は、栽培地における栽培状況データを記憶するデータベースである。その構造については後述する。本実施例では、栽培状況データは、栽培地ユニット10から得られるが、栽培状況データベース103は、これを過去のものも含めて記憶する。
取得部125は、栽培地ユニット10から、栽培状況データを取得する。また、目標となる栽培結果などの情報を作業員の操作に応じて入力する機能も奏する。
成長予測部120は、統計分析や人工知能によって、栽培されている植物の成長を予測する。学習データ121は、統計分析や人工知能による予測に活用するためのデータであり、過去の栽培状況、栽培結果が多数格納されている。学習データ121の構造については後述する。
状況判断部123は、栽培基準データベース122を参照して、栽培状況が目標栽培状況に適合しているか否かを判断する。判断方法は後述する。
支援情報生成部124は、栽培状況を目標栽培状況に移行させ、目標となる栽培結果を達成するために栽培地に提供する支援情報を生成する。支援情報の内容および生成方法については後述する。
ユーザデータベース101は、栽培地の作業員について、作業員固有の識別情報であるユーザIDごとに、氏名等の情報を記憶する。また、植物栽培支援情報提供システムを利用する栽培地のうち、各作業員が担当する栽培地を、担当栽培地として登録可能となっている。担当栽培地は1箇所でも複数でもよい。本実施例では、担当栽培地として、各栽培地に付された識別子である栽培地IDを記憶するものとした。この登録により、作業員には、担当栽培地に関する支援情報が提供されるようになる。
栽培状況データベース103には、栽培状況が登録されている。栽培状況としては、栽培地における栽培環境を表す情報、例えば、温度、日照時間、給水量、肥料、農薬などが挙げられる。また、栽培されている植物の写真データなども登録可能としてもよい。さらに、植物が収穫等を迎えたときは、収穫量や品質などを登録可能としてもよい。
栽培状況データベース103には、対処も登録されている。これは、栽培地において、植物に対して行った措置の記録である。例えば、肥料の追加、農薬の散布などを登録することができる。
栽培状況データベース103は、このように各栽培地の栽培状況を日時ごとに記録するものである。記録する内容・データ構造については、上述した項目に限られるものではない。
本実施例では、学習データ121のレコードは、栽培地および品種ごとに作成されるものとした。図示する通り、学習データ121の各レコードには、栽培地を特定する栽培地IDと、そこにおける「品種」が記憶されている。栽培地IDに対応する詳細な情報は、栽培地データ102を参照することにより特定することができる。なお、図に例示した栽培地では、品種1、品種2の2つの品種が栽培されているが、学習データ121上は、当該栽培地の品種2は、品種1とは別のレコードとして格納されることになる。
各レコードには、栽培地、品種に対応した栽培状況が記憶される。本実施例では、関連する状況IDを記憶するものとした。状況IDに対応する詳細な情報は、栽培状況データベース103を参照することにより得ることができる。
また、各レコードには、栽培結果も記憶される。栽培結果として記録する項目は、任意に設定可能であるが、例えば、図示するように開花日、収穫日、収穫量、品質などを挙げることができる。品質としては、色、形状、栄養分、味など、植物の栽培目的に応じた項目を記憶させればよい。栽培結果は、学習データの全レコードで必ずしも統一化する必要はないが、統計分析や人工知能による学習効果を高めるため、品種ごとに項目を統一しておくことが望ましい。こうすることで、複数の栽培地で栽培された「品種1」の栽培状況、栽培結果を成長予測に活用することが可能となる。
植物栽培支援情報提供システム100は、栽培地のディスプレイ12(図1参照)に支援情報を提供する他、作業員が使用するスマートフォン14を端末とし、そこにインストールされたアプリケーション15を介して情報の授受も行う。以下に、この情報の授受の例について説明する。
図4は、スマートフォン14の表示画面を例示する説明図である。アプリケーション15を起動した状態を例示した。
中央に示した「ホーム画面」では、種々の操作メニューが表示される。「管理」は、作業員の情報の登録、更新を行うためのメニューであり、これを選択することにより左上の管理画面に移行する。「状況確認」は、作業員が担当している栽培地における栽培状況を確認するためのメニューであり、これを選択することにより左下の「状況確認画面」に移行する。「状況送信」は、作業員が担当している栽培地における栽培状況を植物栽培支援情報提供システム100に送信するためのメニューであり、これを選択することにより右上の「入力指示画面」に移行する。「アラート」は、作業員が担当している栽培地に対する植物栽培支援情報提供システム100からの情報を確認するためのメニューであり、これを選択することにより右下の「アラート画面」に移行する。なお、植物栽培支援情報提供システム100からの新規の情報がある場合には、各画面に通知表示がなされるようにしてもよい。
管理画面では、併せて作業員が担当する栽培地を登録等することができる。図中の例では、栽培地として、「名古屋1」「名古屋2」が登録されている状態を示した。先に図2で説明した通り、ユーザデータベース101には、担当する栽培地の栽培地IDが記憶されており、栽培地データベース102を参照することで、この栽培地IDに対応する名称を特定することができるから、管理画面には、この名称が表示されているのである。作業員は、各栽培地の横にある「削除」を選択することにより、担当する栽培地の指定を解除することができる。また、画面下にある「栽培地追加」を選択することにより、担当する新たな栽培地を登録することもできる。栽培地の管理は、他の方法を採用してもよい。
管理画面の機能は、これらに限らず、作業員に関するさらに多くの情報の登録・更新等に関する機能を設けても良い。
状況確認画面をスワイプすると、作業員が担当する他の栽培地の栽培状況を確認することができる。
「入力指示」は、写真撮影に限られるものではなく、例えば、茎や葉の長さの測定結果や、一株あたりの花や果実の数など、種々の情報を対象とすることができる。また、植物の状態だけでなく、追加した肥料・農薬の種類や量などの入力を指示してもよい。
アラート画面には、アラートに代えて、栽培状況が適切な状況にあることを示す表示を行っても良い。こうすることで、作業員は、安心して栽培を続けることができる。また、かかる場合に、作業員が行うべき本来の作業を、「対処」に代えて表示するようにしてもよい。本来であれば、栽培状況が適切な状況下で行うべき作業は、改めて指示するまでなく作業員は認識しているはずであるが、確認的に作業指示を表示することにより、作業員が次に行うべき作業を誤ることを回避できる。
アラート画面も、スワイプにより、他の栽培地の画面を表示可能としてもよい。また、緊急性が高いアラートの場合には、ホーム画面における「アラート」メニューの選択を待たずに、「アラート画面」をポップアップするようにしてもよい。
図1で説明した機能および図4で説明した表示などを実現するための処理について、以下、説明する。
C1.全体処理:
図5は、栽培支援情報提供処理のフローチャートである。植物栽培支援情報提供システム100が、図1に示した各機能ブロックを用いて実現する機能であり、ハードウェア的には、植物栽培支援情報提供システム100を構築するサーバのCPUが実行する処理である。
処理を開始すると、サーバは、栽培地から栽培状況のデータを取得する(ステップS10)。栽培地ユニット10(図1参照)からネットワークNEを介して情報を取得することになる。栽培地は、一カ所とは限らない。取得した栽培状況データは、栽培状況データベース103に記憶される。
サーバは、次に状況判断処理を行う(ステップS11)。処理の内容は後述するが、取得した栽培状況が、目標となる栽培結果を得るための目標栽培状況に適合しているか否かの判断を行うのである。この処理では、栽培状況データが不足しており、適正な判断ができないことも生じ得る。
そこで、状況判断処理の結果、情報不足とされた場合には(ステップS12)、サーバは、栽培地の作業員に対して、情報の送信を指示する(ステップ13)。先に図4に示した「入力指示画面」を表示することになる。入力を指示する情報は、写真撮影など予め定められたものであってもよいし、状況判断処理の結果に応じて決まるものであってもよい。指示に応じて、情報が送信されれば、サーバは、ステップS10、S11を再度、実行することになる。
図6は、状況判断処理のフローチャートである。主として成長予測部120および状況判断部123によって実行される処理であり、栽培支援情報提供処理のステップS11に相当する処理である。
処理を開始すると、サーバは、収穫目標、栽培状況データベースを読み込む(ステップS20)。収穫目標は、作業員が指示するものとしてもよいし、栽培地の管理者が別途、サーバに指示するものとしてもよい。収穫目標としては、例えば、植物の開花や収穫時期、収穫量、品質などが挙げられる。
収穫目標は、栽培開始時に指定したものを継続して用いるようにしてもよいし、適宜のタイミングで変更可能としてもよい。例えば、市場の出荷状況などを見て収穫時期を早めたい場合や遅らせたい場合に、収穫目標を変更するということが考えられる。本実施例では、変更された後の収穫目表に基づいて以下に示す状況判断処理が行われることになる。
ずれE1、E2ともに許容範囲内である場合には、「GREEN」、即ち適正な栽培状況であると判断する。
ずれE1、E2の一方が許容範囲内であり、他方が許容範囲を外れる場合には、「YELLOW」、即ち要注意の栽培状況であると判断する。
ずれE1、E2がともに許容範囲を外れる場合には、「RED」、即ち放置できない警告状態の栽培状況であると判断する。
これらの判断に用いる「許容範囲」は、ずれE1、E2の内容に応じて過去の栽培例などに基づいて設定すればよい。上述の例では、状況判断を簡略化するために、許容範囲内か否か、という判断方法を用いているが、ずれE1、E2を用いた関数によって、適正な栽培状況からの逸脱度を指標化するようにしてもよい。
追加の情報の送信を指示するために、情報不足と判断する場合には、併せて、どのような情報が必要かを決めるようにしてもよい。上述の例では、現時点での植物の品質を判断できる情報があれば良いと考えられるため、例えば、植物の画像を追加の情報として指定することが考えられる。追加の情報としては、他に、植物のサイズ、花の数など、種々の項目が考えられる。もちろん、情報不足と判断される原因に関わらず、これら種々の項目を追加情報として要求するようにしてもよい。
また、本実施例では、両者の判断結果を同等に評価して、最終的な状況判断を行っているが(ステップS23)、いずれか一方の判断を優先するようにしてもよい。例えば、成長予測に基づく判断を優先する場合には、その判断結果が目標を外れると判断される場合にのみ、栽培基準データベースに基づく状況判断を参照して、YELLOWかREDかを定める態様とすることができる。成長予測に基づき、目標通りと判断される場合には、栽培基準データベース122に基づく状況判断は省略されるのである。逆に、栽培基準データベース122に基づく判断を優先する態様としてもよい。
図7は、支援情報生成処理のフローチャートである。主として支援情報生成部124によって実行される処理であり、栽培支援情報提供処理のステップS14に相当する処理である。
支援情報生成処理では、情報判断の結果に応じて処理内容が分かれる(ステップS30)。状況判断の結果が、GREENの場合は、適正な栽培状況にあると判断されるので、サーバは、支援情報として現状維持シグナルを生成する(ステップS31)。現状維持シグナルとしては、例えば、ディスプレイ12やスマートフォン14に表示されるグリーンのマークなどが考えられる。ステップS31の段階では、かかる表示を行うための制御信号またはコマンドが生成されることになる。
次に、サーバは、支援情報として目標栽培状況に従い作業等を指示する(ステップS32)。栽培基準データベース122を参照して、次に作業員が行うべき作業を、ディスプレイ12やスマートフォン14に表示するための制御信号またはコマンドを生成するのである。適切な栽培状況にある場合には、かかる指示をするまでなく作業員は次の作業を認識しているものと考えられるが、このように次の作業を指示することにより、作業員のミスを未然に回避できる利点がある。
こうして設定された支援情報は、栽培地のディスプレイ12やスマートフォン14に出力される(図5のステップS15)。
次に、サーバは、栽培状況と目標栽培状況とのずれを特定する(ステップS34)。本実施例では、栽培地における栽培状況と栽培基準データベース122とのずれを特定するものとした。かかる方法に代えて、統計分析や人工知能による方法を採用してもよい。学習データ121を利用して、目標となる栽培結果を得るための統計分析や人工知能による回帰を行うことにより、現時点における目標の栽培状況を設定し、それとのずれを特定するのである。
例えば、栽培状況が、目標栽培状況よりも「温度が高い」と特定されている場合には、空調の温度設定を変更することが対処方法となり、その指示を行うための移行情報が生成されることになる。この移行情報は、栽培地の空調機器を制御する制御信号として生成される。
また、給水不足の場合には、「スプリンクラーの制御」が対処方法となり、その指示を行うための移行情報が生成されることになる。この移行情報も、栽培地の機器を制御する制御信号として生成される。
肥料不足の場合には、「肥料追加」が対処方法となり、その指示を行うための移行情報が生成されることになる。この移行情報は、栽培地の作業員への指示となるため、ディスプレイ12またはスマートフォン14に指示を表示するための表示情報として生成される。
移行情報は、温度がT1度高いなどの具体的な数値に基づいて、空調の温度設定をT2度にせよというように具体的な情報として生成することが好ましい。温度以外の要素についても同様である。
実施例では、過去の指示を考慮して対処方法の修正を行う例を示したが、ずれの大きさに応じて複数の候補から1または2以上を選択するようにしてもよい。例えば、温度が高すぎる場合には、空調機器を制御するのと併せ窓の開放を指示するということが考えられる。
本実施例では、栽培地における栽培結果で学習データ121に更新することにより、成長予測の精度向上を図っている。以下では、学習データ121の更新処理について説明する。
図8は、学習データ更新処理のフローチャートである。処理を開始すると、サーバは、栽培地、品種のデータを取得する(ステップS40)。情報の取得は、例えば、作業員のスマートフォン14を通じて行うことができる。サーバは、入力された栽培地、品種を検索キーとして、既存のデータが学習データ121にあるか否かを判断する(ステップS41)。既存のデータがない場合には、サーバは、学習データのレコードを新規に作成し(ステップS42)、既存のデータがある場合にはそれを読み込んで表示する(ステップS43)。
栽培結果は、段階的に入力されることもある。例えば、植物が開花した時期には、栽培結果として開花日が送信され、その後、収穫時期には、栽培結果として収穫日が送信されることになる。処理の開始段階で、既存のデータは検索されているため、後に送信された収穫日は、既存のデータに追加して記録されることになる。
また、学習データ121の更新に応じて、統計分析や人工知能による回帰を実施し、植物の成長過程で満たされるべき栽培状況を求め、栽培基準データベース122も更新するようにしてもよい。
以上で説明した実施例の植物栽培支援情報提供システムによれば、栽培地における栽培状況を取得し、過去の栽培状況および栽培結果に基づいて、栽培状況の適否を精度よく判断することができる。この判断結果を栽培地に支援情報として提供することにより目標となる栽培結果が達成される可能性を向上させることができる。
実施例で説明した種々の特徴は、必ずしも全てを備えている必要はなく、適宜、一部を省略したり、組み合わせたりしてシステムを構築してもよい。また、本発明は、実施例に限らず、種々の変形例を構成することも可能である。
11…接続ユニット
12…ディスプレイ
13…センサ
100…植物栽培支援情報提供システム
101…ユーザデータベース
102…栽培地データベース
103…栽培状況データベース
110…認証部
111…送受信部
120…成長予測部
121…学習データ
122…栽培基準データベース
123…状況判断部
124…支援情報生成部
125…取得部
Claims (13)
- 栽培地における植物の栽培を支援するための支援情報を、該栽培地に提供する植物栽培支援情報提供システムであって、
前記栽培地から前記植物の栽培状況を表す栽培状況データを取得する取得部と、
目標となる栽培結果が得られるよう過去の栽培状況および栽培結果を踏まえて設定される目標栽培状況に、前記栽培状況が適合しているか否かを、前記栽培状況データに基づいて判断する状況判断部と、
前記判断結果に応じて、目標となる栽培結果が得られるよう栽培を支援するための支援情報を生成する支援情報生成部と、
前記支援情報を前記栽培地に出力する出力部とを備える植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記状況判断部は、過去の栽培状況および栽培結果に基づいて設定され、目標となる栽培結果を得るための目標栽培状況を記憶した栽培基準データベースを参照して、前記判断を行う植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
過去の栽培状況および栽培結果を学習データとして用いることにより、前記栽培状況に対する栽培結果を予測する成長予測部を有し、
前記状況判断部は、前記成長予測部による予測結果と目標となる栽培結果との比較に基づいて前記判断を行う植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項3記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記取得部は、さらに前記栽培地から栽培結果を取得して、前記学習データを更新する植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1〜4いずれか記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記支援情報は、前記目標栽培状況からの逸脱を示すアラート情報である植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1〜5いずれか記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記支援情報は、前記栽培状況を前記目標栽培状況に移行させるための移行情報である植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項6記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記状況判断部および前記支援情報生成部は、前記目標となる栽培結果が変更されたときには、該変更に応じて前記判断および前記支援情報の生成を行う植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項6または7記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記目標栽培状況に移行させるための移行情報は、前記栽培地に設置され前記栽培状況を調整する調整機器の制御情報であり、
前記出力部は、前記制御情報を、対応する前記調整機器に出力する植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項6または7記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記目標栽培状況に移行させるための移行情報は、前記栽培地の作業員に対する作業情報であり、
前記出力部は、前記作業員に前記作業情報を提示する植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1〜9いずれか記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
前記取得部は、前記栽培地の作業員に対して取得すべき栽培状況を指示し、当該指示に応じた栽培状況を取得する植物栽培支援情報提供システム。 - 請求項1〜10いずれか記載の植物栽培支援情報提供システムであって、
作業員と複数の前記栽培地とを対応づけて記憶するユーザデータベースを有し、
前記出力部は、前記作業員からの指示に対応した前記栽培地の支援情報を出力する植物栽培支援情報提供システム。 - コンピュータによって栽培地における植物の栽培を支援するための支援情報を、該栽培地に提供する植物栽培支援情報提供方法であって、
前記コンピュータが実行するステップとして、
前記栽培地から前記植物の栽培状況を表す栽培状況データを取得するステップと、
目標となる栽培結果が得られるよう過去の栽培状況および栽培結果を踏まえて設定される目標栽培状況に、前記栽培状況が適合しているか否かを、前記栽培状況データに基づいて判断するステップと、
前記判断結果に応じて、目標となる栽培結果が得られるよう栽培を支援するための支援情報を生成するステップと、
前記支援情報を前記栽培地に出力するステップとを備える植物栽培支援情報提供方法。 - 栽培地における植物の栽培を支援するための支援情報を、該栽培地に提供するためのコンピュータプログラムであって、
前記栽培地から前記植物の栽培状況を表す栽培状況データを取得する機能と、
目標となる栽培結果が得られるよう過去の栽培状況および栽培結果を踏まえて設定される目標栽培状況に、前記栽培状況が適合しているか否かを、前記栽培状況データに基づいて判断する機能と、
前記判断結果に応じて、目標となる栽培結果が得られるよう栽培を支援するための支援情報を生成する機能と、
前記支援情報を前記栽培地に出力する機能とをコンピュータに実現させるためのコンピュータプログラム。
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