(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る煙感知器は、火災等によって発生する煙を感知したときに、発報を行う防災機器である。つまり、火災等の災害の発生時において煙が発生すると、煙感知器は、この煙を検知し、一例として、警報音の出力又は通信機能による他の機器との連動等によって発報を行う。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。
煙感知器1は、図2A及び図2Bに示すように、筐体2を備え、筐体2内に種々の部品を収容している。煙感知器1は、施設に設置されて使用される。本実施形態では、煙感知器1が、例えば、ホテル、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院又は工場等の非住宅の施設に用いられる場合を例示するが、この例に限らず、煙感知器1は、集合住宅又は戸建住宅等の施設に用いられてもよい。煙感知器1は、例えば、施設の居室、廊下又は階段等において、天井又は壁等に取り付けられた状態で施設に設置される。
本実施形態に係る煙感知器1は、図1A及び図1Bに示すように、感知ケース7と、発光素子4と、受光素子5(図6参照)と、発光素子ホルダ8と、を備える。感知ケース7は、感知空間Sp1を囲む。発光素子4は、感知空間Sp1に向けて光を出力する。受光素子5は、発光素子4からの直接光が入射せず、かつ感知空間Sp1内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。したがって、煙感知器1は、受光素子5での受光状態によって、感知空間Sp1に存在する煙を感知することができる。発光素子ホルダ8は、発光素子4を保持する。感知ケース7は、煙を通過させかつ光の透過を抑制する壁構造3(図8A参照)を含む。つまり、壁構造3は、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に光が進入することを抑制しつつも、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に煙を取り込む機能を有する。
ここにおいて、発光素子ホルダ8は、発光素子4からの光が通過する発光ガイド84を有する。発光ガイド84は、発光素子4に向けて開口する入射口805と、感知空間Sp1に向けて開口する出射口804と、発光側周面806と、を含む。発光側周面806は、入射口805と出射口804との間において発光素子4の光軸Ax1を包囲する。発光側周面806は、発光素子4の光軸Ax1に対し、出射口804側に向けて傾斜する。
この構成によれば、発光素子4から出力された光の少なくとも一部が、発光ガイド84を通過する際に、発光ガイド84の発光側周面806に入射することがある。この場合に、発光側周面806に入射した光線が発光側周面806にて反射されることで、発光素子4の光軸Ax1に対する光線の傾きが小さくなるように、光線の向きが変更されることになる。すなわち、発光側周面806が、発光素子4の光軸Ax1に対し出射口804側に向けて傾斜しているので、発光素子4から発光側周面806に入射した光は、出射口804に向けて反射される。しかも、このような発光側周面806が発光素子ホルダ8に設けられているので、発光側周面806と発光素子4との位置関係を比較的高精度に設定することができ、発光側周面806で反射される光の向きの制御が容易になる。そのため、発光側周面806で反射されて出射口804から出力される光線については、発光素子4の光軸Ax1に対する光線の傾きを比較的小さく抑えることが可能である。これにより、発光側周面806で反射されて出射口804から出力される光が、例えば、感知ケース7の内面700等で反射して受光素子5に入射する可能性を低減できる。その結果、受光素子5には、感知ケース7の内面700等での反射光が入射しにくくなり、煙感知器1の感知精度の向上を図ることが可能である。
(2)構成
以下、本実施形態に係る煙感知器1の構成について詳しく説明する。
本実施形態では、一例として、煙感知器1が施設の天井に取り付けられることとして説明する。以下、煙感知器1が天井に取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、上下方向における下方を「下方」として説明する。図面中の「上下方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。ただし、これらの方向は煙感知器1の使用方向(取付方向)を限定する趣旨ではない。例えば、ここで規定した「下方」が、実際の煙感知器1の設置状態では前方(水平方向)であってもよい。
また、以下に説明する各図面においては、煙感知器1の構成を模式的に表しており、図面における各種の寸法関係等が実物とは異なる場合がある。
(2.1)全体構成
まず、本実施形態に係る煙感知器1の全体構成について、図2A〜図5を参照して説明する。
煙感知器1は、筐体2と、感知ブロック10(図3参照)と、回路ブロック20(図3参照)と、を備えている。また、本実施形態では、煙感知器1は、音出力部61(図3参照)と、電池62と、を更に備えている。電池62は、煙感知器1の構成要素に含まれることは必須ではなく、煙感知器1の構成要素に電池62が含まれていなくてもよい。
筐体2は、平面視において円形状となる円盤状である。筐体2は、合成樹脂製の成形品である。筐体2は、第1カバー21と、第2カバー22と、を有している。第1カバー21は、第2カバー22の下面を覆うように、第2カバー22に対して組み合わされる。第2カバー22は、施工面(本実施形態では天井面)に固定される。ただし、厳密には、第2カバー22は施工面に直接的に固定されるわけではなく、施工面に固定されている取付ベースに固定されることによって、施工面に対して間接的に固定される。
ここで、第1カバー21及び第2カバー22は、いずれも円盤状に形成されており、平面視における外周形状が同一である。そのため、第1カバー21と第2カバー22とが組み合わされることにより、1つの円盤状の筐体2が構成される。第1カバー21は、第2カバー22に対して複数本(3本)のねじ63にて結合される。第1カバー21と第2カバー22とが互いに結合された状態で、第1カバー21と第2カバー22との間には、感知ブロック10、回路ブロック20及び音出力部61が収容される。
第1カバー21は、円形状の第1主板211と、第1主板211の上面の外周部から上方に突出する第1周壁212と、を有している。また、第1カバー21は、第1主板211の上面に、回路ブロック20を配置するための回路領域213(図4参照)、及び音出力部61を配置するための第1音響領域214(図4参照)を更に有している。第1カバー21は、回路領域213内に配置された押釦215を更に有している。押釦215は、第1主板211に対してヒンジ構造により可動に構成されており、筐体2の内側、つまり上方へと押し込む操作が可能である。押釦215が押し操作されることにより、回路領域213に配置される回路ブロック20に含まれるスイッチが操作されることになる。
また、第1主板211の下面には、外周縁に沿って延びる溝216(図2A参照)が形成されている。溝216は、第1主板211の下面の外周縁と略同心円状であって、全周に亘って形成されている。つまり、溝216は、第1主板211の下面の外周縁よりも一回り小さい円環状である。さらに、溝216の底面のうち第1音響領域214に対応する部分には、第1主板211を、第1主板211の板厚方向に貫通する音孔217(図2A参照)が形成されている。
第2カバー22は、円形状の第2主板221と、第2主板221の上面の外周部から上方に突出する第2周壁222と、を有している。また、第2カバー22は、第2主板221の下面に、感知ブロック10を配置するための収容領域223(図3参照)、及び音出力部61を配置するための第2音響領域224を更に有している。第2カバー22は、第2主板221の上面に、電池62を収容するための電池領域225(図4参照)を更に有している。
また、第2カバー22は、第2主板221の下面から下方に突出する複数のスペーサ226を更に有している。複数のスペーサ226は、各々の先端部(下端部)を第1主板211の上面に接触させることにより、第1カバー21と第2カバー22との間に、所定の隙間を確保する。具体的には、第1カバー21と第2カバー22とが互いに結合された状態で、第1周壁212の上端面と第2主板221の下面との間には、筐体2の内部空間を筐体2の外部とつなぐ開口部23としての隙間が形成される。これにより、開口部23を通して、筐体2の内部空間、つまり第1カバー21と第2カバー22との間の空間に、煙が流入可能となる。
感知ブロック10は、感知ケース7と、発光素子4(図6参照)と、受光素子5(図6参照)と、を有している。感知ケース7は、平面視において円形状となる円盤状である。感知ケース7は、合成樹脂製の成形品である。ここで、感知ケース7は、少なくとも遮光性を有している。本実施形態では、感知ケース7の一部が壁構造3(図5参照)として機能する。壁構造3は、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に光が進入することを抑制しつつも、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に煙を取り込む機能を有する。感知ブロック10は、筐体2の内部空間において、回路ブロック20の上方に配置される。感知ブロック10は、感知ケース7内における感知空間Sp1(図5参照)に存在する煙を感知する。
すなわち、感知ブロック10は、図5に示すように、筐体2の内部空間、つまり第1カバー21と第2カバー22との間の空間に、回路ブロック20等と共に収容される。そして、筐体2の内部空間は、上述したよう開口部23を通して筐体2の外部と繋がっているので、筐体2の内部空間には開口部23を通して煙が流入可能である。図5では、煙の進入経路の一部を模式的に点線矢印で示している。そして、感知ブロック10は、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に煙を取り込む壁構造3を有するので、筐体2の内部空間に流入した煙は、更に感知空間Sp1へと流入可能となる。これにより、感知ブロック10での煙の感知が可能となる。感知ブロック10について詳しくは「(2.2)感知ブロックの構成」の欄で説明する。
回路ブロック20は、プリント配線板201と、スイッチを含む複数の電子部品202と、を有している。複数の電子部品202は、プリント配線板201に実装される。プリント配線板201の導体部には、感知ブロック10の発光素子4及び受光素子5が電気的に接続される。また、プリント配線板201の導体部には、音出力部61及び電池62が更に電気的に接続される。本実施形態では、プリント配線板201は、感知ブロック10の下方、つまり感知ブロック10と第1主板211との間に配置されている。感知ブロック10はプリント配線板201の板厚方向の一面(上面)上に搭載される。
ここで、回路ブロック20は、複数の電子部品202にて構成される制御回路を含んでいる。制御回路は、発光素子4、受光素子5及び音出力部61等の制御を行う回路であって、少なくとも発光素子4を駆動し、かつ受光素子5の出力信号について信号処理を実行する。信号処理においては、回路ブロック20は、受光素子5の受光量(出力信号の大きさ)を閾値と比較することにより、感知空間Sp1における煙の有無を判断する。受光素子5での受光量は、例えば、感知空間Sp1の煙の濃度、及び煙の種類(白煙及び黒煙等)によって変化する。したがって、回路ブロック20は、閾値との比較により、一定以上の濃度の煙が感知空間Sp1に存在する場合に、「煙有り」と判断する。回路ブロック20は、煙の存在を感知すると、音出力部61を駆動するための電気信号を音出力部61に出力する。
音出力部61は、回路ブロック20からの電気信号を受けて音(音波)を出力する。音出力部61は、電気信号を音に変換するスピーカ又はブザー等により実現される。音出力部61は、平面視において円形状となる円盤状である。
電池62は、第2カバー22の上方において、電池領域225に収容される。電池62は、一次電池と二次電池とのいずれであってもよい。
以上説明したように構成される本実施形態に係る煙感知器1は、例えば、自動火災報知システムの構成要素に含まれる。自動火災報知システムは、煙感知器1の他、例えば、煙感知器1からの発報信号(火災信号)を受信する受信機、及び人が火災を発見した場合に押ボタンを操作するための発信機等を備えている。自動火災報知システムにおいては、例えば、煙感知器1にて火災(による煙)の発生が検知されると、煙感知器1から受信機へ火災発生を通知する発報信号(火災信号)が送信される。
(2.2)感知ブロックの構成
次に、感知ブロック10のより詳細な構成について、図6〜図10を参照して説明する。ただし、以下に説明する各図は模式的な図であって、図中の各部位の長さ又は大きさの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
感知ブロック10は、上述したように感知ケース7と、発光素子4と、受光素子5と、を有しており、感知ケース7の一部が壁構造3として機能する。感知ケース7の内部には、感知空間Sp1が形成される。また、感知ケース7は、発光素子4を保持する発光素子ホルダ8を有している。さらに、感知ケース7は、受光素子5を保持する受光素子ホルダ9を有している。すなわち、本実施形態に係る煙感知器1は、発光素子ホルダ8及び受光素子ホルダ9を備えている。
本実施形態では、図6に示すように、感知ケース7は、第1ケース71と、第2ケース72と、を有している。第2ケース72は、第1ケース71の上面を覆うように、第1ケース71に対して組み合わされる。第1ケース71は、プリント配線板201(図3参照)に固定される。第1ケース71は、第1ケース71をプリント配線板201に固定するための一対の爪711(図7参照)を有している。一対の爪711は、第1ケース71の下面の外周部から下方に突出しており、プリント配線板201の孔の周縁に引っ掛かることにより、第1ケース71をプリント配線板201に固定する。言い換えれば、第1ケース71をプリント配線板201とは、スナップフィット方式により機械的に結合される。
ここで、第1ケース71及び第2ケース72は、いずれも平面視において円形状に形成されており、平面視における外周形状が略同一である。そのため、第1ケース71と第2ケース72とが組み合わされることにより、1つの円盤状の感知ケース7が構成される。第1ケース71は、第1ケース71と第2ケース72とを結合するための一対の爪712(図7参照)を有している。一対の爪712は、第1ケース71の上面の外周部から上方に突出しており、第2ケース72の外周面に引っ掛かることにより、第1ケース71と第2ケース72とを結合する。言い換えれば、第1ケース71と第2ケース72とは、スナップフィット方式により機械的に結合される。第1ケース71と第2ケース72とが互いに結合された状態で、第1ケース71と第2ケース72との間には、感知空間Sp1が形成される。
第1ケース71は、円形状の底板73と、底板73の上面である(第1)内底面731の外周部から上方に突出する壁構造3と、を有している。底板73の内底面731は、感知空間Sp1の底面を構成する。また、第1ケース71は、発光素子ホルダ8の一部を構成する第1ホルダ81、及び受光素子ホルダ9を更に有している。また、第1ケース71は、後述する遮光壁74(図7参照)、遮光リブ75(図7参照)及び補助遮光壁76(図7参照)を更に有している。第1ホルダ81、受光素子ホルダ9、遮光壁74、遮光リブ75及び補助遮光壁76の各々は、底板73の内底面731から上方に突出する。ここで、底板73の内底面731からの発光素子ホルダ8、受光素子ホルダ9、遮光壁74及び補助遮光壁76の突出量は、底板73の内底面731からの壁構造3の突出量と略同一である。
第2ケース72は、円形状の上板721と、上板721の下面である(第2)内底面725の外周部から下方に突出する周壁722と、を有している。周壁722の内径は壁構造3の外径より大きい。さらに、上板721の内底面725からの周壁722の突出量は、底板73の内底面731からの壁構造3の突出量と略同一である。したがって、第1ケース71と第2ケース72とが互いに結合された状態では、周壁722の先端面(下端面)が底板73の内底面731に接触し、壁構造3の先端面(上端面)が上板721の内底面725に接触する。この状態で、壁構造3は周壁722で囲まれた空間に収まることになる。
周壁722には、周壁722を周壁722の板厚方向に貫通する複数の窓孔723が形成されている。複数の窓孔723は、上板721の内底面725の周方向に沿って並んでいる。これにより、第1ケース71と第2ケース72とが互いに結合された状態で、複数の窓孔723を通して壁構造3が感知ケース7の外部に露出する。ここで、周壁722には、複数の窓孔723を覆うように防虫ネットが取り付けられていてもよい。防虫ネットは、複数の窓孔723から感知ケース7内の感知空間Sp1への虫等の異物の進入を低減する。
また、第2ケース72は、発光素子ホルダ8の一部を構成する第2ホルダ82(図9参照)を更に有している。第2ホルダ82は、第1ホルダ81と共に発光素子ホルダ8を構成する。言い換えれば、発光素子ホルダ8は、第1ケース71に設けられた第1ホルダ81と、第2ケース72に設けられた第2ホルダ82と、の2部材に分割される。また、第2ケース72は、上板721の内底面725のうち、「第1遮光リブ」としての遮光リブ75と対向する位置に「第2遮光リブ」としての遮光リブ724(図9参照)を更に有している。
(第1)遮光リブ75及び(第2)遮光リブ724は、感知ケース7の内面700(図11参照)から感知空間Sp1内に突出する遮光構造70に含まれている。つまり、遮光リブ75及び遮光リブ724は、遮光構造70の少なくとも一部を構成する。遮光構造70について詳しくは「(2.3)遮光構造の構成」の欄で説明する。
壁構造3は、図8Aに示すように、底板73の内底面731(一平面)に直交する一方向(上方)から見て感知空間Sp1を囲んでいる。図8Aは、第2ケース72を外した状態、つまり第2ケース72を省略した感知ブロック10の平面図である。本実施形態では、底板73の内底面731上には、平面視において円形状の感知空間Sp1が形成されている。壁構造3は、平面視において、感知空間Sp1を全周にわたって包囲するように円環状に形成されている。言い換えれば、底板73の内底面731の外周部には、内底面731の外周縁に沿って円環状の壁構造3が形成されている。第1ケース71と第2ケース72とが互いに結合された状態において、底板73と上板721との間の空間であって、かつ壁構造3で囲まれた空間が感知空間Sp1となる。つまり、感知空間Sp1と、感知空間Sp1の周囲の空間と、は壁構造3によって仕切られている。
ここにおいて、壁構造3は、壁構造3の厚み方向の両側に、感知空間Sp1側を向いた内側面31と、感知空間Sp1とは反対側を向いた外側面32と、を有する。壁構造3は、厚み方向において、煙を通過させ、かつ光の透過を抑制する。すなわち、壁構造3は、平面視において所定の厚みを有する構造体であって、厚み方向の両側に、内側面31及び外側面32を有している。本実施形態では、壁構造3は、底板73の内底面731の半径方向、つまり、底板73の内底面731(一平面)に沿った方向であって感知空間Sp1の周囲から感知空間Sp1の中心に向かう方向を、壁構造3の厚み方向とする。そして、壁構造3は、内側面31と外側面32との間において、煙は通過させつつも、光の透過を抑制する機能を有している。これにより、壁構造3は、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に光が進入することを抑制しつつも、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に煙を取り込むことを可能にする。本実施形態では、壁構造3の厚みは、全周にわたって略均一であって、平面視において、内底面731の外周縁と、内側面31と、外側面32と、は略同心円状となる。
このような壁構造3は、上記の機能を実現するために、壁構造3を厚み方向に貫通する、つまり内側面31と外側面32との間を貫通する複数の煙通過孔33を有している。複数の煙通過孔33は、壁構造3の周方向に沿って並んでいる。これにより、壁構造3は、各煙通過孔33を通して、煙を通過させることができ、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に煙を取り込むことを可能にする。ここで、各煙通過孔33は、平面視において、内側面31と外側面32との間を真っ直ぐ貫くような形状ではなく、内側面31と外側面32との間の少なくとも一部が曲がった形状である。つまり、壁構造3の外側面32側からでは、各煙通過孔33を通しても、壁構造3に囲まれた感知空間Sp1を見通すことができないように、各煙通過孔33は、少なくとも一部が湾曲又は屈曲した形状を有している。これにより、壁構造3は、光が各煙通過孔33を通して壁構造3を透過することが抑制され、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に光が進入することの抑制が可能になる。ただし、煙通過孔33は、その全周が壁構造3に囲まれている必要はなく、例えば、煙通過孔33における上下方向の両側には壁構造3が存在しなくてもよい。また、各煙通過孔33の内側面31側の開口と、外側面32側の開口とは、平面視において、感知空間Sp1の半径上、つまり感知空間Sp1の中心点P1から放射状に延びる直線上に、並んでいなくてもよい。
具体的には、壁構造3は、内側面31に沿って並ぶ複数の小片30の集合体である。壁構造3は、これら複数の小片30の間を通して煙を通過させる。言い換えれば、底板73の内底面731の外周部には、内底面731の外周縁に沿って複数の小片30が間隔を空けて並んで配置されている。複数の小片30は、いずれも底板73の内底面731から突出しており、1つの壁構造3を構成する。複数の小片30の内底面731からの突出量は略均一である。壁構造3は、複数の小片30のうち、隣接する一対の小片30の間に、それぞれ煙通過孔33を有している。そのため、各煙通過孔33の上下方向の両側には、壁構造3を構成する小片30が存在しない。
内側面31は、これら複数の小片30の感知空間Sp1側の端縁301を通る面である。外側面32は、複数の小片30の感知空間Sp1とは反対側の端縁302を通る面である。要するに、複数の小片30の感知空間Sp1側の端縁301を結ぶ滑らかな曲面、平面、又は平面と曲面との組み合わせが内側面31に相当する。同様に、複数の小片30の感知空間Sp1とは反対側の端縁302を結ぶ滑らかな曲面、平面、又は平面と曲面との組み合わせが外側面32に相当する。
言い換えれば、複数の小片30の感知空間Sp1側の端縁301は内側面31上に位置し、複数の小片30の感知空間Sp1とは反対側の端縁302は外側面32上に位置する。複数の小片30のうち、後述の補助遮光壁76と連続する小片30においても、他の小片30と同様に、感知空間Sp1側の端縁301が内側面31上に位置し、複数の小片30の感知空間Sp1とは反対側の端縁302が外側面32上に位置する。このように、内側面31及び外側面32の各々は、本実施形態では、実体を有する面ではなく、複数の小片30によって形状が規定される仮想面である。そのため、図8A及び図8Bでは、内側面31及び外側面32を想像線(2点鎖線)で表記している。また、図8Aにおいては、壁構造3に相当する領域に網掛け(ドットハッチング)を付している。
ただし、複数の小片30の全てについて端縁301の位置が内側面31と完全に一致することは必須ではなく、複数の小片30について端縁301の位置が内側面31と略一致していればよい。図8Aの例でも、複数の小片30のうちの過半数の小片30は、感知空間Sp1側の端縁301の位置が内側面31と完全に一致するが、残りの小片30については、端縁301の位置が内側面31付近ではあるものの、内側面31と完全には一致しない。このように、内側面31は、複数の小片30のうちの過半数の小片30の端縁301の位置によって規定され、残りの小片30については端縁301が内側面31付近にあればよい。外側面32についても同様であって、複数の小片30の全てについて端縁302の位置が外側面32と完全に一致することは必須ではなく、複数の小片30について端縁302の位置が外側面32と略一致していればよい。つまり、外側面32は、複数の小片30のうちの過半数の小片30の端縁302の位置によって規定され、残りの小片30については端縁302が外側面32付近にあればよい。ここでいう「付近」は、内側面31又は外側面32から見て、壁構造3の厚みの20%程度の範囲である。
本実施形態では、平面視において、外側面32は底板73の内底面731の外周縁と略平行、つまり内底面731の外周縁から外側面32までの距離は、全周にわたって均一である。さらに、内側面31は、図8Aに示すように、感知空間Sp1の中心点P1と外側面32との間であって、中心点P1よりも外側面32に近い位置に形成されている。言い換えれば、平面視において、外側面32の略同心円であって半径が外側面32の半分(1/2)となる仮想円を引いた場合に、この仮想円と外側面32との間に、内側面31が位置することになる。ただし、このような内側面31及び外側面32の各々の形状及び配置は、一例に過ぎず、内側面31及び外側面32の各々は、他の形状及び配置を採用してもよい。
ここで、複数の小片30の各々は、平面視において、感知空間Sp1側の端縁301と、感知空間Sp1とは反対側の端縁302と、の間に曲げ部を有している。本実施形態では、複数の小片30の各々は、平面視において、略L字状、略V字状又は略Y字状に形成されている。このような形状により、隣接する一対の小片30の間に生じる隙間からなる各煙通過孔33は、上述したように、平面視において、内側面31と外側面32との間の少なくとも一部が曲がった形状となる。これにより、壁構造3は、厚み方向において、煙を通過させ、かつ光の透過を抑制する機能を実現する。
発光素子4は、光出射面41(図7参照)を有し、通電時に、光出射面41から光を出力する。本実施形態では一例として、発光素子4は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。発光素子4は、図6に示すように、本体部401を有している。本体部401の表面からは、一対のリード端子402が突出している。ここで、一対のリード端子402は、発光素子4の本体部401に電気的に接続されている。一対のリード端子402がプリント配線板201に電気的に接続されることにより、発光素子4は、回路ブロック20から電力供給を受けて発光する。本実施形態では、一対のリード端子402は、発光素子4の構成要素に含まれないこととして説明するが、一対のリード端子402が発光素子4の構成要素に含まれてもよい。
ここで、発光素子4は、図8Aに示すように、壁構造3の内側面31と外側面32との間に配置されている。言い換えれば、発光素子4の本体部401は、壁構造3の厚み方向の両端面となる内側面31及び外側面32の間に収まるように配置されている。また、発光素子4は、光出射面41を内側面31側、つまり感知空間Sp1側に向けて配置されている。これにより、発光素子4は、ミラー等の光学素子を用いることなく、光出射面41から感知空間Sp1に向けて光を出力することができる。
本実施形態では、発光素子4は、図9に示すように、外側面32側を向いた背面42と、光出射面41と背面42とをつなぐ底面43と、を更に有している。図9は、図5の領域Z1についての拡大断面図である。発光素子4に電気的に接続される一対のリード線は底面43から突出する。本実施形態では、底面43から突出するリード線は、リード端子402である。言い換えれば、発光素子4は、本体部401における壁構造3の厚み方向の両側に光出射面41及び背面42を有している。そして、リード端子402は、光出射面41及び背面42のいずれでもなく、光出射面41及び背面42の両方に隣接する底面43から突出する。すなわち、発光素子4は、リード端子402が突出する面(底面43)を下方に向けた場合に、側方に光を出力する、いわゆるサイドビュータイプの発光ダイオードである。
また、本実施形態では、リード線(リード端子402)は、発光素子4から、発光素子4の光軸Ax1(図10参照)と直交する方向(ここでは下方)に突出する。つまり、リード端子402は、上述したように底面43から下方に突出しており、リード端子402の一部に曲げ構造を採用することなく、発光素子4から下方に向けてリード端子402を引き出すことが可能である。
このような構成の発光素子4では、例えば、いわゆる砲弾タイプの発光ダイオードのように、光出射面とは反対側の面からリード端子が突出する構成の発光素子に比べて、壁構造3の厚み方向における占有スペースを小さくすることができる。すなわち、サイドビュータイプの発光ダイオードでは、底面43から突出するリード端子402は、光出射面41を内側面31側に向けた発光素子4から、壁構造3の厚み方向とは直交する方向に引き出すことができる。これにより、壁構造3の厚み方向の寸法を比較的小さく抑えながらも、上述したように、壁構造3の内側面31と外側面32との間に、光出射面41を内側面31側に向けて発光素子4を配置することが可能である。
ここで、底面43は、底板73の内底面731(一平面)に沿っている。本実施形態では、底面43は、底板73の内底面731に対して平行ではなく、内底面731に対して傾斜している。ただし、底面43は、底板73の内底面731に沿っていればよく、内底面731に対して略平行であってもよい。
さらに詳しくは、光出射面41は、平坦部411と、凸部412と、を含んでいる。平坦部411は、背面42と略平行な平面である。凸部412は、平坦部411からドーム状に突出し、凸レンズとして機能する。本体部401は、図9に示すように、発光部403及びリード部404を有している。発光部403は、リード部404のうち外側面32側を向いた表面上に実装されており、通電時に発光する。リード部404は、リード端子402と一体に構成されている。
受光素子5は、光を電気信号に変換する光電変換を行う素子である。本実施形態では一例として、受光素子5はフォトダイオード(PD:Photodiode)である。受光素子5は、図6に示すように、本体部501と、一対のリード端子502と、金属カバー503と、を有している。少なくとも本体部501の受光面が金属カバー503の孔から露出するように、本体部501が金属カバー503に収容されている。一対のリード端子502は、本体部501の下面から突出する。ここで、一対のリード端子502は、受光素子5の本体部501に電気的に接続されている。一対のリード端子502がプリント配線板201に電気的に接続されることにより、受光素子5は、回路ブロック20に電気的に接続される。
ここで、受光素子5は、発光素子4からの直接光が入射せず、かつ感知空間Sp1内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。具体的には、受光素子5は、本体部501の受光面を感知空間Sp1側に向けて配置されている。すなわち、発光素子4及び受光素子5の両方が、感知空間Sp1に向けて配置されている。ただし、図7に示すように、平面視において、発光素子4と受光素子5とを結ぶ直線上には、遮光壁74が配置されている。遮光壁74は、発光素子4からの受光素子5への直接光を遮る機能を有する。本実施形態では、遮光壁74は、壁構造3を構成する複数の小片30のうちの1つに連続する形状に形成されている。図7は、第2ケース72を外した状態、つまり第2ケース72を省略した感知ブロック10の平面図である。
そして、図8Aに示すように、平面視において、発光素子4の光軸Ax1と、受光素子5の光軸Ax2と、が互いに交差するような位置関係で、発光素子4及び受光素子5が配置されている。図8Aの例では、平面視において円形状の感知空間Sp1の中心点P1において、発光素子4の光軸Ax1と、受光素子5の光軸Ax2と、が交差する。発光素子4及び受光素子5が、上述のような位置関係にあれば、発光素子4からの直接光は受光素子5には入射しない。一方で、感知空間Sp1内に煙が流入すると、発光素子4からの光は感知空間Sp1の中心点P1に存在する煙にて散乱し、この散乱光の少なくとも一部が受光素子5にて受光される。
このように、感知空間Sp1に煙が存在しない状態では、受光素子5は、発光素子4から出力された光を受光せず、感知空間Sp1に煙が存在する状態では、受光素子5は、発光素子4から出力され煙で散乱された光(散乱光)を受光する。したがって、煙感知器1は、受光素子5での受光状態によって、感知空間Sp1に存在する煙を感知することができる。
ここにおいて、本実施形態では、上述したように発光素子4が壁構造3の厚み内に収まっているので、壁構造3の内側面31から発光素子4が突出する構成に比べて、感知空間Sp1を広く確保できる。感知空間Sp1が広くなれば、感知空間Sp1内における遮光壁74の配置の自由度が高くなる。さらに、感知空間Sp1が広くなれば、感知空間Sp1の中心点P1から比較的離れた位置に遮光壁74が配置可能となる。
また、本実施形態では、発光素子4の光軸Ax1と受光素子5の光軸Ax2とは、図10に示すように、底板73の内底面731(一平面)に沿っている。図10は、図7のA1−A1線端面図である。図10の例では、発光素子4の光軸Ax1と受光素子5の光軸Ax2とは、いずれも底板73の内底面731と略平行である。さらに、発光素子4の光軸Ax1と受光素子5の光軸Ax2とは、同一平面内に位置する。言い換えれば、発光素子4の光軸Ax1及び受光素子5の光軸Ax2とは、底板73の内底面731から略同一高さの位置にある。
また、遮光リブ75は、平面視において、発光素子4の正面、つまり発光素子4の光出射面41と対向する位置に配置されている。遮光リブ75と第2ケース72に設けられた遮光リブ724との間には、図9に示すように、一定の隙間が生じる。発光素子4の光軸Ax1は、遮光リブ75と遮光リブ724との間の隙間を通ることになる。これにより、遮光リブ75及び遮光リブ724によって、発光素子4から出力された光の上下方向への拡がりが抑制される。その結果、発光素子4から出力された光が、底板73の上面(内底面731)又は上板721の下面(内底面725)にて反射することが抑制される。
また、補助遮光壁76は、壁構造3を構成する複数の小片30のうち、遮光壁74と受光素子ホルダ9との間に位置する1つの小片30に連続する形状に形成されている。補助遮光壁76は、壁構造3の内側面31から、感知空間Sp1内に突出する。補助遮光壁76は、底板73の内底面731又は上板721の内底面725等での光の反射に起因した感知空間Sp1の内部での迷光の発生を抑制し、かつ感知空間Sp1内への煙の流入性を向上させる機能を有する。つまり、補助遮光壁76は、感知空間Sp1の外部から感知空間Sp1に光が進入することを抑制するための壁構造3の一部である小片30とは、別の構造体である。図7において、補助遮光壁76と小片30との境界線を想像線(2点鎖線)で示している。
発光素子ホルダ8は、上述したように第1ケース71に設けられた第1ホルダ81と、第2ケース72に設けられた第2ホルダ82と、の2部材に分割されており、発光素子4を保持する。ここで、発光素子ホルダ8の少なくとも一部は、図8Aに示すように、内側面31と外側面32との間に配置されている。具体的には、第1ホルダ81は、その大部分が内側面31と外側面32との間に収まるように、壁構造3を構成する複数の小片30の間に配置されている。第1ホルダ81は、発光素子4が嵌る窪みを有している。
さらに、本実施形態では、発光素子ホルダ8は、外側面32で囲まれた領域に収まるように配置されている。つまり、発光素子ホルダ8(第1ホルダ81を含む)は、外側面32からはみ出さずに、外側面32で囲まれた領域に収まる形状に形成されている。
また、発光素子ホルダ8は、発光素子4に電気的に接続されるリード線を通すための通線孔801を有している。本実施形態では、通線孔801を通るリード線は、リード端子402である。通線孔801は、第1ホルダ81に形成されている。ここにおいて、通線孔801は、図8Bに示すように、内側面31と外側面32との間であって、内側面31よりも外側面32に近い位置に形成されている。言い換えれば、図8Aに示すように、平面視において、壁構造3を厚み方向に2等分する中心線C1を引いた場合に、この中心線C1と外側面32との間に、通線孔801が位置することになる。
また、発光素子ホルダ8は、図7に示すように、遮光片802を更に有している。遮光片802は、第1ホルダ81における感知空間Sp1側を向いた面から、感知空間Sp1内に突出する。ここで、遮光片802は、第1ホルダ81のうち、壁構造3の周方向において遮光壁74から遠い側の端部から突出する。遮光片802は、発光素子4から出力され発光素子ホルダ8の表面で反射された光を遮る機能を有する。
遮光片802は、感知ケース7の内面700(図11参照)から感知空間Sp1内に突出する遮光構造70に含まれている。つまり、本実施形態では、遮光片802は、遮光リブ75及び遮光リブ724と共に、遮光構造70の少なくとも一部を構成する。遮光構造70について詳しくは「(2.3)遮光構造の構成」の欄で説明する。
また、発光素子ホルダ8は、図9に示すように、位置決め面803を更に有している。位置決め面803は、発光素子4の光軸Ax1と交差する面であって、発光素子4に対して外側面32側から接触することにより、発光素子4の位置決めを行う。すなわち、位置決め面803は、発光素子4の背面42に接触し、壁構造3の厚み方向における発光素子4の位置決めを行う。本実施形態では、発光素子ホルダ8は、上述したように第1ホルダ81と、第2ホルダ82と、の2部材に分割されているため、位置決め面803についても、これら第1ホルダ81及び第2ホルダ82の2部材にわたって形成されている。
さらに、本実施形態では、位置決め面803は、弾性、つまりばね性を有している。位置決め面803は、発光素子4を外側面32側から押す向きの弾性力を発光素子4に作用させる。本実施形態では、発光素子ホルダ8が合成樹脂製であるため、少なくとも第2ホルダ82が樹脂ばねとして機能することにより、位置決め面803に上述の弾性が付与される。
受光素子ホルダ9は、受光素子5を保持する。ここで、受光素子ホルダ9の少なくとも一部は、図8Aに示すように、内側面31と外側面32との間に配置されている。具体的には、受光素子ホルダ9は、その大部分が内側面31と外側面32との間に収まるように、壁構造3を構成する複数の小片30の間に配置されている。受光素子ホルダ9は、受光素子5が嵌る窪みを有している。
(2.3)遮光構造の構成
次に、遮光構造70のより詳細な構成について、図11、図12A及び図12Bを参照して説明する。図12A及び図12Bでは、発光素子4から出力された光の経路(光路)の一部を模式的に点線矢印で示している。ただし、以下に説明する各図は模式的な図であって、図中の各部位の長さ又は大きさの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る煙感知器1は、上述したように感知ケース7の内面700から感知空間Sp1内に突出する遮光構造70を有している。本開示でいう「感知ケース7の内面700」は、感知ケース7の内側となる面であって、感知ケース7の内部空間としての感知空間Sp1側を向いた面である。本実施形態では、壁構造3の内側面31、第1ケース71の内底面731(底板73の上面)、及び第2ケース72の内底面725(上板721の下面)は、感知ケース7の内面700に含まれている。さらに、発光素子ホルダ8及び受光素子ホルダ9のうちの感知空間Sp1側を向いた面についても、感知ケース7の内面700に含まれている。
本実施形態に係る煙感知器1は、遮光構造70として、上述したように遮光片802、遮光リブ75及び遮光リブ724を含んでいる。つまり、これら遮光片802、遮光リブ75及び遮光リブ724は、いずれも感知ケース7の内面700から感知空間Sp1内に突出する。そして、遮光片802、遮光リブ75及び遮光リブ724は、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の経路Op1,Op2,Op3(図12A及び図12B参照)上に位置する。
煙感知器1は、このような遮光構造70を備えることにより、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の少なくとも一部を、遮光構造70にて遮ることができる。すなわち、感知ケース7の内面700での光の反射方向については、一律に制御することが困難であり、感知空間Sp1を囲む感知ケース7の汚れ及び異物の侵入等に起因して、大きく変化する。そのため、このような感知ケース7の内面700での反射光が受光素子5に入射すると、受光素子5の受光量(出力信号の大きさ)に影響を与え、ひいては煙感知器1の感知結果に影響を与えることになる。要するに、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射する光は、いわゆる「迷光」として、煙感知器1の感知精度を低下させる要素となる。本実施系形態に係る煙感知器1は、遮光構造70にて、上述したような迷光の少なくとも一部を遮ることにより、感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することができる。
さらに詳しく説明すると、本実施形態では、感知ケース7は、図11に示すように、発光素子4を保持する発光素子ホルダ8を有している。そして、遮光構造70は、発光素子ホルダ8から突出する遮光片802を含んでいる。遮光片802は、発光素子ホルダ8における感知空間Sp1側を向いた面から、感知空間Sp1内に突出する。ここで、発光素子ホルダ8における感知空間Sp1側を向いた面には、発光素子ホルダ8における発光素子4からの光が出射される出射口804が形成されている。そして、遮光片802は、発光素子ホルダ8における出射口804の周囲に位置する。ここで、遮光片802は、出射口804の全周に設けられるのではなく、平面視において、出射口804の片側にのみ設けられている。具体的には、遮光片802は、出射口804から見て、壁構造3の周方向において遮光壁74とは反対側の位置に配置されている。要するに、遮光片802は、平面視において、発光素子4の光軸Ax1に対して非対称に形成されている(図12A参照)。遮光片802が非対称であることにより、迷光成分となり得る光線については遮光片802で遮光されやすく、感知空間Sp1内の煙で散乱して受光素子5に到達する光線については遮光片802で遮光されにくい構成となる。したがって、このような構成の遮光片802によれば、感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することが可能である。
また、遮光片802は、第1ケース71に設けられた第1ホルダ81と一体に形成されており、平面視において、先端側が細くなる三角形状に形成されている。さらに、遮光片802は、感知空間Sp1の上下方向における略全幅にわたって形成されている。つまり、感知空間Sp1においては、感知空間Sp1の上下方向の両側に位置する一対の内底面731,725間にわたって遮光片802が形成されている。
以上説明した構成の遮光片802は、図12Aに示すように、発光素子4から出力され、発光素子ホルダ8の表面で反射され、かつ感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の経路Op1上に位置する。つまり、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の少なくとも一部は、遮光構造70である遮光片802にて遮られることになる。
仮に遮光片802が無ければ、経路Op1を通る光は、感知ケース7の内面700に含まれている壁構造3の内側面31にて反射し、場合によっては、受光素子5に入射する。本実施形態に係る煙感知器1では、このような経路Op1上に遮光片802が位置することで、経路Op1を通る光を遮光片802にて遮ることができ、「迷光」の発生を抑制することが可能である。ただし、感知ケース7の内面700に含まれている壁構造3の内側面31は、実体を有する面ではなく、複数の小片30によって形状が規定される仮想面であるので、内側面31での光の反射は、厳密には、複数の小片30の表面にて生じることになる。
ここで、本実施形態では、発光素子4の半値角θ1は25度以上である。本開示でいう「半値角」は、光軸Ax1上の明るさを100%として、光軸Ax1から徐々に離れたときの明るさの減少割合に着目し、明るさが50%になるときの角度(θ1)である。このように、半値角θ1が25度以上という比較的広角の素子が発光素子4として用いられている場合には、発光素子ホルダ8の表面での反射が生じやすく、経路Op1を通る光束が大きくなる。そのため、本実施形態のように、遮光構造70として遮光片802が設けられた構成は、特に有用である。
また、平面視において、発光素子4の光軸Ax1に対して、上記経路Op1と対称な位置にも、光の経路が生じることがある。ただし、このような経路上の光は、出射口804から遮光壁74(図7参照)に向けて出力されるため、遮光壁74で遮られ、迷光とはなりにくい。そのため、本実施形態のように、平面視において、出射口804の片側にのみ遮光片802が設けられた構成であっても、遮光片802にて「迷光」の発生を抑制することは十分に可能である。
また、感知ケース7は、図11に示すように、内面700の一部として、上下方向(一方向)において互いに対向する一対の内底面731,725を有している。さらに、感知ケース7は、遮光構造70として、一対の内底面731,725の少なくとも一方から突出する遮光リブ75,724を含んでいる。本実施形態では、一対の内底面731,725の各々から、遮光リブ75,724が突出する。つまり、遮光構造70は、第1ケース71の内底面731から上方に突出する(第1)遮光リブ75と、第2ケース72の内底面725から下方に突出する(第2)遮光リブ724と、を含んでいる。
ここで、遮光リブ75と遮光リブ724とは、互いに先端面同士を突き合わせるように形成されている。そして、両遮光リブ75,724の間には、一定の隙間が確保されている。発光素子4の光軸Ax1は、図12Bに示すように、遮光リブ75と遮光リブ724との間の隙間を通ることになる。これにより、遮光リブ75及び遮光リブ724によって、発光素子4から出力された光の上下方向への拡がりが抑制される。
言い換えれば、遮光リブ75,724は、発光素子4から出力され一対の内底面731,725の少なくとも一方に入射する光の経路Op2,Op3上に位置する。本実施形態では、発光素子4の光軸Ax1の下方に配置された遮光リブ75は、発光素子4から出力され内底面731に入射する光の経路Op2上に位置する。発光素子4の光軸Ax1の上方に配置された遮光リブ724は、発光素子4から出力され内底面725に入射する光の経路Op2上に位置する。
また、遮光リブ75,724は、平面視において、発光素子4の光軸Ax1と重なる位置に配置されている(図12A参照)。具体的には、遮光リブ75及び遮光リブ724は、平面視において、いずれも発光素子4の正面に配置されている。図12Aでは、遮光リブ75のみ図示しているが、遮光リブ724についても、平面視における位置及び形状は、遮光リブ75と同様である。
さらに、遮光リブ75,724は、発光素子4の光軸Ax1に交差する方向に延びた形状である。具体的には、遮光リブ75及び遮光リブ724は、いずれも発光素子4の光軸Ax1に直交する平板状に形成されている。これにより、発光素子4から出力された光のうち、遮光リブ75又は遮光リブ724に入射する光は、遮光リブ75又は遮光リブ724にて、発光素子4の光軸Ax1に沿って、発光素子4側に反射されやすくなる。したがって、遮光リブ75又は遮光リブ724に入射する光の感知空間Sp1内での拡散が生じにくくなる。
ここで、図12Aに示すように、平面視において、発光素子4の光軸Ax1から遮光壁74側への遮光リブ75,724の突出量L1は、発光素子4の光軸Ax1から遮光壁74とは反対側への遮光リブ75,724の突出量L2よりも小さい(L1<L2)。具体的には、遮光リブ75,724は、発光素子4の光軸Ax1から見て、壁構造3の周方向において遮光壁74とは反対側に寄った位置に配置されている。要するに、遮光リブ75,724は、平面視において、発光素子4の光軸Ax1に対して非対称に形成されている。
以上説明した構成の遮光リブ75,724は、図12Bに示すように、発光素子4から出力され、感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の経路Op2,Op3上に位置する。つまり、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の少なくとも一部は、遮光構造70である遮光リブ75,724にて遮られることになる。
仮に遮光リブ75,724が無ければ、経路Op2,Op3を通る光は、感知ケース7の内面700に含まれている一対の内底面731,725にて反射し、場合によっては、受光素子5に入射する。本実施形態に係る煙感知器1では、このような経路Op2上に遮光リブ75が位置することで、経路Op2を通る光を遮光リブ75にて遮ることができ、「迷光」の発生を抑制することが可能である。経路Op3についても同様に、経路Op3上に遮光リブ724が位置することで、経路Op3を通る光を遮光リブ724にて遮ることができ、「迷光」の発生を抑制することが可能である。
また、平面視において、出射口804から遮光壁74(図7参照)に向けて出力されることもあるが、このような光は遮光壁74で遮られ、迷光とはなりにくい。そのため、本実施形態のように、平面視において、発光素子4の光軸Ax1から見て遮光壁74とは反対側に寄った位置に遮光リブ75,724が設けられた構成であっても、遮光リブ75,724にて「迷光」の発生を抑制することは十分に可能である。
(2.4)発光素子ホルダ及び受光素子ホルダの構成
次に、発光素子ホルダ8及び受光素子ホルダ9のより詳細な構成について、図1A、図1B、図13A及び図13Bを参照して説明する。ただし、以下に説明する各図は模式的な図であって、図中の各部位の長さ又は大きさの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係る煙感知器1では、上述したように感知ケース7が、発光素子ホルダ8及び受光素子ホルダ9を有している。発光素子ホルダ8は、発光素子4を保持する。受光素子ホルダ9は、受光素子5を保持する。
発光素子ホルダ8は、図1A及び図1Bに示すように、発光保持部83と、発光ガイド84と、を有している。発光保持部83は、発光素子4を保持し、かつ発光素子4の位置決めを行う機能を有している。つまり、上述した位置決め面803は、発光保持部83に含まれている。一方、発光ガイド84は、発光素子4の正面に位置し、発光素子4からの光が通過する部位である。つまり、発光ガイド84は、発光素子4からの光を通過させることで、発光素子4からの光を感知空間Sp1に導く(ガイドする)機能を有している。発光保持部83と発光ガイド84とは一体化されているが、図1A及び図1B等においては、発光保持部83と発光ガイド84との境界線を想像線(2点鎖線)で示している。本実施形態では、発光素子ホルダ8は、上述したように第1ホルダ81と、第2ホルダ82と、の2部材に分割されているため、発光保持部83及び発光ガイド84の各々についても、これら第1ホルダ81及び第2ホルダ82の2部材にわたって形成されている。
発光ガイド84は、図1A及び図1Bに示すように、発光素子4に向けて開口する入射口805と、感知空間Sp1に向けて開口する出射口804と、発光側周面806と、を含む。具体的には、発光ガイド84は筒状に形成されており、発光素子4からの光が発光ガイド84の内部空間を通過する。このとき、発光素子4からの光は、入射口805より発光ガイド84の内部空間に入射し、出射口804から感知空間Sp1に出射される。ここで、発光側周面806は、入射口805と出射口804との間において、発光素子4の光軸Ax1を包囲するように配置された面である。本実施形態では、発光ガイド84が筒状であるため、発光側周面806は発光ガイド84の内周面である。
ここにおいて、図1A及び図1Bに示すように、発光側周面806は、発光素子4の光軸Ax1に対し、出射口804側に向けて傾斜する。すなわち、発光側周面806は、発光素子4の光軸Ax1と平行ではなく、発光素子4の光軸Ax1に対して傾斜する。特に、本実施形態では、発光ガイド84が筒状であるため、発光側周面806は、入射口805から出射口804に近づくにつれて発光ガイド84の内径が大きくなるように、発光素子4の光軸Ax1に対して傾斜することになる。
さらに、本実施形態では、発光側周面806は、発光素子4の光軸Ax1を中心軸とする回転放物面に沿った形状である。すなわち、図1A及び図1Bに示すように、発光素子4の光軸Ax1を中心として放物線Pr1が回転したときに生じる面、つまり放物線Pr1の回転体に沿って、発光側周面806が形成されている。放物線Pr1は、光軸Ax1との交点(頂点)を基準点P11とする仮想線である。
以上説明した構成によれば、発光素子4から出力された光が、発光ガイド84を通過する際に、発光側周面806にて反射されることで、発光素子4の光軸Ax1に対する光線の傾きが小さくなるように、光線の向きが変更されることになる。しかも、このような発光側周面806が発光素子ホルダ8に設けられているので、発光側周面806と発光素子4との位置関係を比較的高精度に設定することができ、発光側周面806で反射される光の向きの制御が容易になる。要するに、発光側周面806は、発光素子4から出力された光を、発光素子4の光軸Ax1に沿った平行光に近い光に変換する機能を有する。その結果、発光ガイド84の出射口804から出力される光については、感知ケース7の内面700等に入射しにくくなり、いわゆる「迷光」として、煙感知器1の感知精度を低下させる可能性を低減できる。
特に、本実施形態では、発光側周面806が回転放物面に沿った形状であるため、例えば、基準点P11から出た光は、発光側周面806にて光軸Ax1に近い向きに反射されることになる。そのため、例えば、基準点P11上に発光部403(図9参照)が位置することで、出射口804からは、光軸Ax1に沿った光線が出力されやすくなる。言い換えれば、出射口804からは平行光に近い光が出力されることになる。図1A及び図1Bでは、発光素子4から出力された光の経路(光路)の一部を模式的に点線矢印で示している。
さらに、発光部403が放物線Pr1の焦点に近い位置にあれば、発光素子4から出力された光は、発光側周面806にて光軸Ax1により近い向きに反射される。つまり、出射口804からは、より平行光に近い光が出力されることになる。
受光素子ホルダ9は、図13A及び図13Bに示すように、受光保持部91と、受光ガイド92と、を有している。受光保持部91は、受光素子5を保持し、かつ受光素子5の位置決めを行う機能を有している。一方、受光ガイド92は、受光素子5の正面に位置し、受光素子5に入射する光が通過する部位である。つまり、受光ガイド92は、受光素子5に入射する光を通過させることで、感知空間Sp1からの光を受光素子5に導く(ガイドする)機能を有している。受光保持部91と受光ガイド92とは一体化されているが、図13A及び図13B等においては、受光保持部91と受光ガイド92との境界線を想像線(2点鎖線)で示している。
受光ガイド92は、図13Bに示すように、感知空間Sp1に向けて開口する導入口901と、受光素子5に向けて開口する取出口902と、受光側周面903と、を含む。具体的には、受光ガイド92は筒状に形成されており、感知空間Sp1から受光素子5に入射する光が受光ガイド92の内部空間を通過する。このとき、感知空間Sp1からの光は、導入口901より受光ガイド92の内部空間に入射し、取出口902から受光素子5に出射される。ここで、受光側周面903は、導入口901と取出口902との間において、受光素子5の光軸Ax2を包囲するように配置された面である。本実施形態では、受光ガイド92が筒状であるため、受光側周面903は受光ガイド92の内周面である。ただし、受光ガイド92の内周面の全面が受光側周面903として機能するのではなく、平面視において光軸Ax2を挟んで対向する両側面のみが受光側周面903として機能する。
ここにおいて、図13Bに示すように、受光側周面903は、受光素子5の光軸Ax2に対し、導入口901側に向けて傾斜する。すなわち、受光側周面903は、受光素子5の光軸Ax2と平行ではなく、受光素子5の光軸Ax2に対して傾斜する。
さらに、本実施形態では、受光側周面903は平面状である。そのため、平面視において、受光側周面903は直線状となる。また、平面視において、導入口901及び取出口902の幅寸法は略同一である。ここで、平面視において、受光側周面903で囲まれた受光ガイド92の内部空間は、導入口901及び取出口902に比べて幅広に形成されている。言い換えれば、受光ガイド92の内部空間は、光軸Ax2に直交する断面が、導入口901及び取出口902にて最小となる形状に形成されている。
以上説明した構成によれば、受光素子5に入射する光が、受光ガイド92を通過する際に、受光側周面903にて反射されることで、受光素子5の光軸Ax2に対して比較的大きな傾きを有する光線は、受光素子5に到達しにくくなる。つまり、図13A及び図13Bに経路Op5で示すように、発光素子4から出力された光の一部が、いずれかの小片30に入射すると、この光が小片30にて反射されることがある。このとき、例えば、複数の小片30にて多重反射された光の一部が、導入口901から受光ガイド92の内部空間に入射することがある。このような場合、図13A及び図13Bに経路Op5で示すように、受光ガイド92の内部空間に入射した光の少なくとも一部は、受光側周面903にて受光素子5とは反対側、つまり導入口901に反射されることになる。言い換えれば、受光側周面903にて反射されて受光素子5に入射する光は、光軸Ax2に近い向きの光に制限されることになる。
要するに、図13A及び図13Bの例では、経路Op5のように導入口901から受光ガイド92の内部空間に入射した光は、受光側周面903にて2回反射され、受光素子5に到達することなく、導入口901から感知空間Sp1に出射される。しかも、このような受光側周面903が受光素子ホルダ9に設けられているので、受光側周面903と受光素子5との位置関係を比較的高精度に設定することができ、受光側周面903で反射される光の向きの制御が容易になる。その結果、感知ケース7の内面700等で反射され、煙感知器1の感知精度を低下させる「迷光」としての光は、受光素子5の受光部が位置する基準点P12には到達しにくくなる。
(3)変形例
実施形態1に係る煙感知器1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1に係る煙感知器1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
遮光リブ75,724の先端面は、図14に示すように、発光素子4の光軸Ax1(図1B参照)に対して、発光素子4とは反対側に向けて傾斜する傾斜部75a,724aを含んでいてもよい。すなわち、遮光リブ75と遮光リブ724とは、互いに先端面同士を突き合わせるように形成されおり、両者間には隙間が確保されている。遮光リブ75の傾斜部75aは、発光素子4から離れるにつれて遮光リブ724との隙間を大きくするように傾斜する。遮光リブ724の傾斜部724aは、発光素子4から離れるにつれて遮光リブ75との隙間を大きくするように傾斜する。特に、図14の例では、傾斜部75a,724aは、発光側周面806と同様に、発光素子4の光軸Ax1を中心軸とする回転放物面に沿った形状である。そのため、発光素子4から出力された光が、一対の遮光リブ75,724間を通過する際に、傾斜部75a,724aにて反射されることで、発光素子4の光軸Ax1に対する光線の傾きが小さくなるように、光線の向きが変更されることになる。
すなわち、図14に示す変形例において、傾斜部75a,724aは、発光側周面806と同様に、発光素子4から出力された光を、発光素子4の光軸Ax1に沿った平行光に近い光に変換する機能を有する。しかも、一対の遮光リブ75,724の間には、そもそも隙間が確保されているため、一対の遮光リブ75,724は、横方向(上下方向と発光素子4の光軸Ax1との両方に直交する方向)への光の拡がりは阻害しない。そのため、図14に示す構成では、発光ガイド84を発光素子4の光軸Ax1に沿って延長する場合に比べて、横方向への光の拡がりが阻害されない分だけ、光量の低下を小さく抑えることができる。ここで、一対の遮光リブ75,724の両方が傾斜部75a,724aを有することは必須ではなく、一方の遮光リブ75(又は724)のみが傾斜部75a(又は724a)を有していてもよい。
実施形態1では、壁構造3が複数の小片30の集合体からなるが、この構成に限らず、壁構造3は周方向に連続した一体の「壁」であってもよい。この場合でも、壁構造3は、壁構造3を厚み方向に貫通する複数の煙通過孔33を有することにより、厚み方向において、煙を通過させ、かつ光の透過を抑制する機能を実現可能である。
また、実施形態1では、感知ブロック10が筐体2の内部空間に収容される構成を示したが、この構成に限らず、例えば、感知ブロック10の少なくとも一部が筐体2から突出する構成であってもよい。さらには、筐体2は、煙感知器1に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、実施形態1では、感知ケース7及び感知空間Sp1のいずれもが平面視において円形状である場合について説明したが、この構成に限らず、感知ケース7又は感知空間Sp1は、例えば、平面視において楕円形状又は多角形状等であってもよい。この場合、壁構造3についても、平面視において、楕円形状又は多角形状等となる。
また、実施形態1では、発光素子ホルダ8の一部が、壁構造3の内側面31から感知空間Sp1内にはみ出すように配置されているが、この構成に限らず、発光素子ホルダ8の全体が内側面31と外側面32との間に収まっていてもよい。受光素子ホルダ9についても同様に、内側面31と外側面32との間に収まっていてもよい。
また、実施形態1では、複数の小片30は底板73の内底面731から突出するように底板73と一体に形成されているが、この構成に限らず、複数の小片30は、底板73と別体であってもよい。例えば、底板73に対して、複数の小片30が、接着又は嵌め込み等により固定されてもよい。この場合、複数の小片30は、ばらばらに存在することになるが、この場合でも、複数の小片30が1つの壁構造3を構成する。
また、発光素子4は、発光ダイオードに限らず、例えば、有機EL(Electro-Luminescence)素子、又はレーザダイオード(LD:Laser Diode)等であってもよい。受光素子5は、フォトダイオードに限らず、例えば、フォトトランジスタ等であってもよい。
また、底面43から突出するリード線、又は発光素子ホルダ8の通線孔801を通るリード線は、発光素子4に電気的に接続されるリード線であればよく、リード端子402に限らず、例えば、リード端子402に電気的に接続された電線等であってもよい。
また、一対のリード端子402は、底面43から突出する構成に限らず、例えば、光出射面41又は背面42等、本体部401における底面43以外の面から突出していてもよい。
また、遮光構造70は、発光素子4から出力され感知ケース7の内面700にて1回以上反射して受光素子5に入射する光の経路上に位置すればよく、内面700にて複数回反射して受光素子5に入射する光の経路上に位置してもよい。
また、遮光構造70は、光を完全に遮る構成に限らず、遮光構造70を透過する光量を低下させる構成であればよい。
また、遮光構造70が、遮光片802及び遮光リブ75,724の両方を含むことは煙感知器1に必須の構成ではなく、例えば、遮光片802又は遮光リブ75,724は省略されてもよい。さらに、遮光構造70が遮光リブを含む場合でも、遮光構造70は、一対の内底面731,725の少なくとも一方から突出する遮光リブ75,724を有していればよく、遮光リブ75,724のいずれか一方のみは省略されてもよい。
また、遮光リブ75,724の各々の形状は、発光素子4の光軸Ax1に直交する平板状に限らず、例えば、湾曲した板状、又は多角柱状等であってもよい。さらに、遮光リブ75と遮光リブ724とでは、平面視における位置及び形状が異なっていてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る煙感知器1Aは、図15に示すように、壁構造3の形状等が実施形態1に係る煙感知器1とは相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
煙感知器1Aでは、図15に示すように、平面視において、第1ケース71の底板73の内底面731の外周縁と、壁構造3の外側面32との間に殆どスペースが生じない。また、本実施形態では、補助遮光壁76(図7参照)が省略されている。さらに、壁構造3を構成する複数の小片30の各々の形状も、実施形態1に係る煙感知器1と相違する。図15は、第2ケース72を外した状態、つまり第2ケース72を省略した感知ブロック10の平面図である。また、図15では、内側面31及び外側面32を想像線(2点鎖線)で表記し、壁構造3に相当する領域に網掛け(ドットハッチング)を付している。
また、煙感知器1Aでは、発光素子4の外観形状についても、実施形態1に係る煙感知器1と相違する。ただし、本実施形態でも、発光素子4は、リード端子402が突出する面(底面43)を下方に向けた場合に、側方に光を出力する、いわゆるサイドビュータイプの発光ダイオードである。この発光素子4は、壁構造3の内側面31と外側面32との間に、光出射面41を内側面31側に向けて配置されている。
また、図16は、実施形態2の変形例に係る煙感知器1Bを示す。図16に示す煙感知器1Bは、壁構造3が第1ケース71ではなく、第2ケース72に設けられている。図16は、第2ケース72を外した状態、つまり第2ケース72を省略した感知ブロック10の平面図である。そのため、図16では、壁構造3を想像線(2点鎖線)で表記している。また、図16では、内側面31及び外側面32を想像線(2点鎖線)で表記し、壁構造3に相当する領域に網掛け(ドットハッチング)を付している。さらに、図16の例では、遮光壁74についても、壁構造3と共に第2ケース72に設けられている。このような構成の煙感知器1Bにおいても、第1ケース71と第2ケース72とが互いに結合された状態では、煙感知器1Aと同様に、平面視において、感知空間Sp1を囲むように壁構造3が配置されることになる。
実施形態2の構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態3)
本実施形態に係る煙感知器1Cは、図17A及び図17Bに示すように、壁構造3を構成する複数の小片30の各々の形状が、実施形態2に係る煙感知器1Aと相違する。図17A及び図17Bでは、発光素子4から出力された光線の一部を模式的に点線で示している。図17Bは、図17Aの領域Z1の拡大図である。以下、実施形態2と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、図17Aに示すように、複数の小片30の少なくとも一部は、感知空間Sp1側を向いた面、つまり発光素子4からの直接光が入射する面に、凹曲面303を含んでいる。ここでは、複数の小片30のうち、発光素子4からの直接光が入射する位置にある小片30、つまり発光素子4の略正面に位置する小片30のみが、凹曲面303を有している。凹曲面303は、平面視において、例えば、放物線の一部、又は楕円の一部となるように湾曲している。
ところで、図18A及び図18Bは、実施形態2に係る煙感知器1Aについて、発光素子4から出力された光線の一部を模式的に点線で示す平面図である。図18A及び図18Bから明らかなように、小片30が凹曲面303を有しない場合、発光素子4から出力された光の一部が、いずれかの小片30に入射すると、この光が小片30にて反射されることがある。いずれかの小片30にて反射される光は、図18Bに示すように、この小片30に隣接する小片30に向けて反射される。このとき、小片30は、小片30に対して略平行光として入射する光を、略平行光のまま反射する。その結果、一部の光については、図18A及び図18Bに経路Op4で示すように、複数の小片30にて多重反射され、受光素子5に入射し、いわゆる「迷光」として、煙感知器1Aの感知精度を低下させる要素となる。
これに対して、本実施形態に係る煙感知器1Cによれば、発光素子4から出力された光の一部が、いずれかの小片30に入射すると、この光が小片30の凹曲面303にて反射される。いずれかの小片30の凹曲面303にて反射される光は、図17Bに示すように、この小片30に隣接する小片30に向けて反射される。このとき、凹曲面303は、凹曲面303に対して略平行光として入射する光を集光するように作用する。その結果、小片30に入射した発光素子4からの光を、隣接する一対の小片30間に閉じ込めることができ、図18A及び図18Bの例に比べて、受光素子5に入射する「迷光」を低減できる。よって、本実施形態に係る煙感知器1Cでは、感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することができる。
実施形態3の変形例として、複数の小片30の少なくとも一部は、凹曲面303の裏面、つまり凹曲面303とは反対側を向いた面に、(第1)凹曲面303とは別の(第2)凹曲面を有していてもよい。この構成では、第1凹曲面303で反射された光が第2凹曲面で更に集光され、小片30に入射した発光素子4からの光を、隣接する一対の小片30間により閉じ込めやすくなる。したがって、受光素子5に入射する「迷光」をより低減でき、感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することができる。
実施形態3の構成(変形例を含む)は、実施形態1及び2で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態4)
本実施形態に係る煙感知器1Dは、図19に示すように、遮光壁74が複数の小壁741,742を有する点で、実施形態1に係る煙感知器1と相違する。図19では、発光素子4による光の照射領域A1、及び受光素子5での光の受光領域A2に網掛け(ドットハッチング)を付している。照射領域A1と受光領域A2とが重複する領域が、感知空間Sp1内でも特に煙の感知に寄与する感知領域A3となる。また、図19では、実施形態1における単一の遮光壁74を想像線(2点鎖線)で示す。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、遮光壁74は、(第1)小壁741及び(第2)小壁742の2つの小壁741,742を有している。すなわち、平面視において、発光素子4と受光素子5とを結ぶ直線上には、遮光壁74を構成する複数の小壁741,742が配置されている。これら複数の小壁741,742は、発光素子4からの受光素子5への直接光を遮る機能を有する。
具体的には、小壁741は、平面視において、実施形態1における単一の遮光壁74に比較して、発光素子4に近い位置に配置されている。これにより、小壁741は、主に発光素子4から出力する光の一部を遮光して、照射領域A1を狭めるように機能する。一方、小壁742は、平面視において、実施形態1における単一の遮光壁74に比較して、受光素子5に近い位置に配置されている。これにより、小壁742は、主に受光素子5に入射する光の一部を遮光して、受光領域A2を狭めるように機能する。
本実施形態に係る煙感知器1Dによれば、平面視において、発光素子4の光軸Ax1と受光素子5の光軸Ax2とが交差する感知空間Sp1の中心点P1から、遮光壁74(小壁741,742)までの距離を比較的大きく確保できる。すなわち、実施形態1における単一の遮光壁74に比較すると、複数の小壁741,742の各々は、中心点P1から離れた位置に配置可能である。これにより、感知空間Sp1内における遮光壁74の配置の自由度が高くなる。
実施形態4の変形例として、遮光壁74が3つ以上の小壁を有していてもよい。
実施形態4の構成(変形例を含む)は、実施形態1〜3で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(実施形態5)
本実施形態に係る煙感知器1Eは、図20A及び図20Bに示すように、発光側周面806及び受光側周面903の形状が、実施形態1に係る煙感知器1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
まず、発光側周面806について図20Aを参照して説明する。本実施形態では、発光側周面806は、回転放物面ではなく平面状である。そのため、平面視において、発光側周面806は直線状となる。発光側周面806が平面状であっても、発光側周面806は、発光素子4から出力された光を、発光素子4の光軸Ax1に沿った平行光に近い光に変換する機能を有する。
また、受光側周面903は、平面視において、受光素子5の光軸Ax2を中心軸とする放物線Pr2に沿った形状である。放物線Pr2は、光軸Ax2との交点(頂点)を基準点P12とする仮想線である。そのため、例えば、受光側周面903にて反射されて受光素子5に入射する光は、より光軸Ax2に近い向きの光に制限されることになる。そのため、例えば、基準点P12上に受光素子5の受光部が位置することで、受光素子5の光軸Ax2に対して傾きを有する光線は、受光素子5に到達しにくくなる。さらに、受光素子5の受光部が放物線Pr2の焦点に近い位置にあれば、受光側周面903にて反射されて受光素子5に入射する光は、より光軸Ax2に近い向きの光に制限される。つまり、受光素子5の光軸Ax2に対して少しでも傾きを有する光線は、受光素子5に到達しにくくなる。
また、受光側周面903は、受光素子5の光軸Ax2を中心軸とする回転放物面に沿った形状であってもよい。この場合、受光素子5の光軸Ax2を中心として放物線Pr2が回転したときに生じる面、つまり放物線Pr2の回転体に沿って、受光側周面903が形成されることになる。この構成では、平面視においてだけでなく、上下方向に関しても、受光側周面903にて反射されて受光素子5に入射する光は、光軸Ax2に近い向きの光に制限されることになる。
さらに、発光側周面806及び受光側周面903の形状は、図20A及び図20Bに示す形状に限らず、適宜変更可能である。発光側周面806は、例えば、自由曲面のように回転放物面以外の凹曲面であってもよいし、凸曲面であってもよい。受光側周面903についても、自由曲面のように回転放物面以外の凹曲面であってもよいし、凸曲面であってもよい。
実施形態5の構成(変形例を含む)は、実施形態1〜4で説明した構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて適用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)は、感知ケース(7)と、発光素子(4)と、受光素子(5)と、発光素子ホルダ(8)と、を備える。感知ケース(7)は、感知空間(Sp1)を囲む。発光素子(4)は、感知空間(Sp1)に向けて光を出力する。受光素子(5)は、発光素子(4)からの直接光が入射せず、かつ感知空間(Sp1)内の煙での散乱光が入射する位置に配置される。発光素子ホルダ(8)は、発光素子(4)を保持する。感知ケース(7)は、煙を通過させかつ光の透過を抑制する壁構造(3)を含む。発光素子ホルダ(8)は、発光素子(4)からの光が通過する発光ガイド(84)を有する。発光ガイド(84)は、発光素子(4)に向けて開口する入射口(805)と、感知空間(Sp1)に向けて開口する出射口(804)と、発光側周面(806)と、を含む。発光側周面(806)は、入射口(805)と出射口(804)との間において発光素子(4)の光軸(Ax1)を包囲する。発光側周面(806)は、発光素子(4)の光軸(Ax1)に対し、出射口(804)側に向けて傾斜する。
この態様によれば、発光素子(4)から出力された光の少なくとも一部が、発光ガイド(84)を通過する際に、発光ガイド(84)の発光側周面(806)にて反射されることで、発光素子(4)の光軸(Ax1)に対する光線の傾きが小さくなる。しかも、発光側周面(806)が発光素子ホルダ(8)に設けられているので、発光側周面(806)と発光素子(4)との位置関係を比較的高精度に設定することができ、発光側周面(806)で反射される光の向きの制御が容易になる。そのため、発光側周面(806)で反射されて出射口(804)から出力される光線については、発光素子(4)の光軸(Ax1)に対する光線の傾きを比較的小さく抑えることが可能である。これにより、発光側周面(806)で反射されて出射口(804)から出力される光が、例えば、感知ケース(7)の内面(700)等で反射して受光素子(5)に入射する可能性を低減できる。その結果、受光素子(5)には、感知ケース(7)の内面(700)等での反射光が入射しにくくなり、煙感知器(1,1A〜1E)の感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することが可能である。
第2の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、第1の態様において、発光側周面(806)は、発光素子(4)の光軸(Ax1)を中心軸とする回転放物面に沿った形状である。
この態様によれば、出射口(804)からはより平行光に近い光が出力されることになり、煙感知器(1,1A〜1E)の感知精度の低下をより抑制することができる。
第3の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、第1又は2の態様において、壁構造(3)は、一平面(底板73の内底面731)に直交する一方向から見て感知空間(Sp1)を囲んでいる。感知ケース(7)は、一対の内底面(731,725)と、遮光リブ(75,724)と、を有する。一対の内底面(731,725)は、一方向において互いに対向する。遮光リブ(75,724)は、一方向から見て発光素子(4)の光軸(Ax1)と重なる位置に配置され、一対の内底面(731,725)の少なくとも一方から突出する。
この態様によれば、発光素子(4)から出力された光の一平面(底板73の内底面731)に直交する一方向への拡がりを抑制できる。
第4の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、第3の態様において、遮光リブ(75,724)の先端面は、発光素子(4)の光軸(Ax1)に対して、発光素子(4)とは反対側に向けて傾斜する傾斜部(75a,724a)を含む。
この態様によれば、傾斜部(75a,724a)は、発光側周面(806)と同様に、発光素子(4)から出力された光を反射することで、発光素子(4)の光軸(Ax1)に対する光線の傾きを小さくすることができる。
第5の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)は、第1〜4のいずれかの態様において、受光素子(5)を保持する受光素子ホルダ(9)を更に備える。受光素子ホルダ(9)は、受光素子(5)に入射する光が通過する受光ガイド(92)を有する。受光ガイド(92)は、感知空間(Sp1)に向けて開口する導入口(901)と、受光素子(5)に向けて開口する取出口(902)と、受光側周面(903)と、を含む。受光側周面(903)は、導入口(901)と取出口(902)との間において受光素子(5)の光軸(Ax2)を包囲する。受光側周面(903)は、受光素子(5)の光軸(Ax2)に対し、導入口(901)側に向けて傾斜する。
この態様によれば、受光素子(5)に入射する光の少なくとも一部が、受光ガイド(92)を通過する際に、受光ガイド(92)の受光側周面(903)にて反射されることで、受光素子(5)の光軸(Ax2)に対する光線の傾きが小さくなる。しかも、受光側周面(903)が受光素子ホルダ(9)に設けられているので、受光側周面(903)と受光素子(5)との位置関係を比較的高精度に設定することができ、受光側周面(903)で反射される光の向きの制御が容易になる。そのため、受光側周面(903)にて反射されて受光素子(5)に入射する光を、光軸(Ax2)に近い向きの光に制限することが可能である。これにより、例えば、感知ケース(7)の内面(700)等で反射して導入口(901)に入射した光が、受光側周面(903)で反射されて受光素子(5)に入射する可能性を低減できる。その結果、受光素子(5)には、感知ケース(7)の内面(700)等での反射光が入射しにくくなり、煙感知器(1,1A〜1E)の感知精度の向上を図りながらも迷光の増加を抑制することが可能である。
第6の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、第5の態様において、壁構造(3)は、一平面(底板73の内底面731)に直交する一方向から見て感知空間(Sp1)を囲んでいる。受光側周面(903)は、一方向から見て、受光素子(5)の光軸(Ax2)を中心軸とする放物線(Pr2)に沿った形状である。
この態様によれば、受光側周面(903)にて反射されて受光素子(5)に入射する光を、光軸(Ax2)により近い向きの光に制限でき、煙感知器(1,1A〜1E)の感知精度の低下をより抑制することができる。
第7の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、第5の態様において、受光側周面(903)は、受光素子(5)の光軸(Ax2)を中心軸とする回転放物面に沿った形状である。
この態様によれば、受光側周面(903)にて反射されて受光素子(5)に入射する光を、光軸(Ax2)により近い向きの光に制限でき、煙感知器(1,1A〜1E)の感知精度の低下をより抑制することができる。
第2〜7の態様は、煙感知器(1,1A〜1E)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
また、第5の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)の構成は、第1の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)の構成を前提とすることは必須ではなく、単独でも採用可能である。すなわち、第5の態様に係る煙感知器(1,1A〜1E)では、発光側周面(806)は必須の構成ではなく、発光側周面(806)、発光ガイド(84)、及び発光素子ホルダ(8)は適宜省略可能である。