JP2019168348A - シンチレータパネルおよびシンチレータパネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
以下、図面を用いて本発明の一実施形態のシンチレータパネルの具体的な構成について説明する。図1は、本実施形態のシンチレータパネル2を含む放射線検出器用部材1を模式的に表した断面図である。放射線検出器用部材1は、シンチレータパネル2、出力基板3を有する。シンチレータパネル2は、基板4と、隔壁5と、隔壁5によって区画されたセル内の蛍光体層6を有する。出力基板3は、基板10と、基板10上に形成された出力層9と、出力層9上に形成されたフォトダイオードを有する光電変換層8とを有する。光電変換層8上には、隔膜層7が設けられてもよい。シンチレータパネル2の出光面と出力基板3の光電変換層8とは、隔膜層7を介して接着または密着されていることが好ましい。蛍光体層6で発光した光は、光電変換層8に到達して光電変換され、出力される。以下、それぞれについて説明する。
基板4は、本実施形態のシンチレータパネル2において好適に設けられる部材であり、必須ではない。基板4を構成する材料は、放射線透過性を有する材料であることが好ましい。一例を挙げると、基板4を構成する材料は、各種のガラス、高分子材料、金属等である。ガラスは、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス等である。高分子化合物は、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、トリアセテート、ポリカーボネート、炭素繊維強化樹脂等である。金属は、アルミニウム、鉄、銅等である。これは併用されてもよい。これらの中でも、基板4を構成する材料は、放射線の透過性が高い高分子材料であることが好ましい。また、基板4を構成する材料は、平坦性および耐熱性の優れる材料であることが好ましい。
隔壁5は、少なくとも区画された空間(セル)を形成するために設けられる。隔壁5は、金属反射層11と、ポリシロキサンを主成分として含む有機保護層12とを有する。金属反射層11および有機保護層12は、隔壁5の少なくとも一部に設けられればよい。
金属反射層11は、薄膜でも高い反射率を有する。そのため、薄膜である金属反射層11が設けられることにより、蛍光体13の充填量が低下しにくく、シンチレータパネル2は、輝度が向上しやすい。金属反射層11を構成する金属は特に限定されない。一例を挙げると、金属反射層11は、銀やアルミニウムなど、反射率の高い金属を主成分として含有することが好ましく、銀を主成分として含有することがより好ましい。金属反射層11は、合金であっても良い。金属反射層11は、特に、パラジウムと銅を含有する銀合金であることが好ましい。このような銀合金からなる金属反射層11は、大気中における変色耐性が優れる。なお、本実施形態において、「主成分として含有する」とは、所定の成分を50〜100質量%となるよう含むことをいう。
有機保護層12は、ポリシロキサンを主成分として含有する。ポリシロキサンを主成分として含有する有機保護層12を形成することにより、シンチレータパネル2は、初期輝度が向上する。また、シンチレータパネル2は、高温・高湿環境下におけるピンホール欠陥が顕著に抑制され、輝度低下も抑制される。なお、ポリシロキサンを主成分として含んでいない場合、シンチレータパネル2は、耐熱性、耐薬品性、透明性、平坦性等が不足し、初期輝度改善効果や、高温・高湿環境下におけるピンホール欠陥抑制効果が不充分となる。
蛍光体層6は、隔壁5で区画されたセル内に形成される。蛍光体層6は、入射されたX線等の放射線のエネルギーを吸収して、波長300nm〜800nmの範囲の電磁波、すなわち、可視光を中心に紫外光から赤外光にわたる範囲の光を発光する。蛍光体層6で発光した光は、光電変換層8で光電変換が行われ、出力層9を通じて電気信号として出力される。蛍光体層6は、蛍光体13およびバインダー樹脂14を有することが好ましい。
蛍光体13は特に限定されない。一例を挙げると、蛍光体13は、放射線から可視光への変換率が高い、CsI、Gd2O2S、Lu2O2S、Y2O2S、LaCl3、LaBr3、LaI3、CeBr3、CeI3、LuSiO5、Ba(Br、F)等である。
バインダー樹脂14は特に限定されない。一例を挙げると、バインダー樹脂14は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等である。より具体的には、バインダー樹脂14は、アクリル樹脂、アセタール樹脂、セルロース誘導体、ポリシロキサン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリフェニルベンゼン等である。これらの中でも、バインダー樹脂14は、アクリル樹脂、アセタール樹脂およびセルロース誘導体のうち少なくともいずれか1種を含有することが好ましく、これら1〜3種を主成分として含有することがより好ましい。これにより、シンチレータパネル2は、有機保護層12によるはじきが発生し難く、輝度ムラの発生が抑制されやすい。なお、アクリル樹脂、アセタール樹脂およびセルロース誘導体のうち少なくともいずれか1種を主成分とするとは、アクリル樹脂、アセタール樹脂、セルロース誘導体の合計量が、樹脂を構成する材料の50〜100質量%であることをいう。
本発明の一実施形態のシンチレータパネルの製造方法は、基材上に隔壁を形成し、セルを区画する、隔壁形成工程と、隔壁の表面に金属反射層を形成する、反射層形成工程と、反射層の表面に有機保護層を形成する、有機保護層形成工程と、隔壁で区画されたセル内に蛍光体を充填する、充填工程とを含む。以下、それぞれの工程について説明する。なお、以下の説明において、上記したシンチレータパネルの実施形態において説明した事項と共通する事項は、説明を適宜省略する。
隔壁形成工程は、基材上に隔壁を形成する工程である。基材上に隔壁を形成する方法は特に限定されない。隔壁を形成する方法は、各種公知の方法が利用でき、形状の制御が容易である点から、感光性ペースト法であることが好ましい。
塗布工程は、基材の表面に、ガラス粉末含有ペーストを全面または部分的に塗布して塗布膜を得る工程である。基材は、ガラス板またはセラミックス板等の高耐熱性の支持体を用いることができる。ガラス粉末含有ペーストを塗布する方法は、例えば、スクリーン印刷法、バーコーター、ロールコーター、ダイコーターまたはブレードコーターが挙げられる。得られる塗布膜の厚さは、塗布回数、スクリーンのメッシュサイズまたはペーストの粘度等により調整することができる。
アルカリ金属酸化物:2〜20質量%
酸化亜鉛:3〜10質量%
酸化ケイ素:20〜40質量%
酸化ホウ素:25〜40質量%
酸化アルミニウム:10〜30質量%
アルカリ土類金属酸化物:5〜15質量%
パターン形成工程は、例えば、塗布工程で得られた塗布膜を、所定の開口部を有するフォトマスクを介して露光する露光工程と、露光後の塗布膜における、現像液に可溶な部分を溶解除去する現像工程と、からなる。
焼成工程は、パターン形成工程で得られた格子状の焼成前パターンを焼成して、ガラス粉末含有ペーストが含有する有機成分を分解除去し、ガラス粉末を軟化及び焼結させて、格子状の焼成後パターン、すなわち隔壁を得る工程である。
本実施形態のシンチレータパネルの製造方法は、隔壁の表面に金属反射層を形成する、反射層形成工程を有する。金属反射層は、隔壁表面の少なくとも一部に形成されればよい。
本実施形態のシンチレータパネルの製造方法は、反射層表面に有機保護層を形成する、有機保護層形成工程を有する。有機保護層の形成方法は特に限定されない。一例を挙げると、有機保護層は、ポリシロキサンを含有する溶液を隔壁基板上に真空下で塗布した後、乾燥して溶媒を除去することによって形成され得る。また、乾燥後の基板は、乾燥温度よりも高温で硬化されることが好ましい。硬化することにより、基板は、ポリシロキサンの縮合が進み耐熱性や耐薬品性が向上し、シンチレータパネルの初期輝度が向上しやすくなる。
本実施形態のシンチレータパネルの製造方法は、隔壁で区画されたセル内に蛍光体を充填する、充填工程を有する。蛍光体の充填方法は特に限定されない。一例を挙げると、プロセスが簡便であり、大面積への均質な蛍光体充填が可能であることから、充填方法は、蛍光体粉末およびバインダー樹脂を溶媒に混合した蛍光体ペーストを隔壁基板上に真空下で塗布した後、乾燥して溶媒を除去する方法が好ましい。
合成例および実施例に用いた化合物のうち、略語を使用しているものについて、以下に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
装置:核磁気共鳴装置JNM−GX270(日本電子(株)製)
測定法:ゲーテッドデカップリング法
測定核周波数:53.6693MHz(29Si核)
スペクトル幅:20000Hz
パルス幅:12μs(45°パルス)
パルス繰り返し時間:30.0秒
溶媒:アセトン−d6
基準物質:テトラメチルシラン
測定温度:23℃
試料回転数:0.0Hz
オルガノシランS−1:メチルトリメトキシシラン
オルガノシランS−2:フェニルトリメトキシシラン
オルガノシランS−3:2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
オルガノシランS−4:3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物
500mlの三口フラスコに、オルガノシランS−1を16.34g(0.12mol)、オルガノシランS−2を29.75g(0.15mol)、オルガノシランS−3を7.39g(0.03mol)、PGMEAを45.00g仕込み、室温で攪拌しながら水16.21gにリン酸0.16g(仕込みモノマーに対して0.30重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加した。その後、フラスコを70℃のオイルバスに浸けて90分間攪拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌し(内温は100〜110℃)、ポリシロキサン溶液を得た。なお、昇温および加熱攪拌中、窒素を0.05リットル/分流した。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン(A−1)溶液を得た。29Si−NMRにより測定したオルガノシランS−1、S−2、S−3に由来する繰り返し単位のモル比は、それぞれ40mol%、50mol%、10mol%であった。
オルガノシランS−1を18.39g(0.135mol)、オルガノシランS−2を29.75g(0.15mol)、オルガノシランS−4を3.94g(0.015mol)、PGMEAを45.00g仕込み、室温で攪拌しながら水16.21gにリン酸0.16g(仕込みモノマーに対して0.30重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加したこと以外は合成例1と同様の手順により、ポリシロキサン溶液を得た。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン(A−2)溶液を得た。29Si−NMRにより測定したオルガノシランS−1、S−2、S−4に由来する繰り返し単位のモル比は、それぞれ45mol%、50mol%、5mol%であった。
オルガノシランS−1を20.02g(0.147mol)、オルガノシランS−2を29.75g(0.15mol)、オルガノシランS−3を0.74g(0.003mol)、PGMEAを45.00g仕込み、室温で攪拌しながら水16.21gにリン酸0.15g(仕込みモノマーに対して0.30重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加したこと以外は合成例1と同様の手順により、ポリシロキサン溶液を得た。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン(A−2)溶液を得た。29Si−NMRにより測定したオルガノシランS−1、S−2、S−3に由来する繰り返し単位のモル比は、それぞれ49mol%、50mol%、1mol%であった。
オルガノシランS−1を20.43g(0.15mol)、オルガノシランS−2を29.75g(0.15mol)、PGMEAを45.00g仕込み、室温で攪拌しながら水17.0gにリン酸0.15g(仕込みモノマーに対して0.30重量%)を溶かしたリン酸水溶液を30分間かけて添加したこと以外は合成例1と同様の手順により、ポリシロキサン溶液を得た。得られたポリシロキサン溶液に、固形分濃度が40重量%となるようにPGMEAを追加し、ポリシロキサン(A−2)溶液を得た。29Si−NMRにより測定したオルガノシランS−1、S−2に由来する繰り返し単位のモル比は、それぞれ50mol%、50mol%であった。
感光性のガラス粉末含有ペーストの作製に用いた原料は次のとおりである。
感光性モノマーM−1:トリメチロールプロパントリアクリレート
感光性モノマーM−2:テトラプロピレングリコールジメタクリレート
感光性ポリマー:メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30の質量比からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000;酸価100)
光重合開始剤:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(BASF社製)
重合禁止剤:1,6−ヘキサンジオール−ビス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート])
紫外線吸収剤溶液:スダンIV(東京応化工業(株)製)のγ−ブチロラクトン0.3質量%溶液
粘度調整剤:フローノンEC121(共栄社化学(株)製)
溶媒:γ−ブチロラクトン
低軟化点ガラス粉末:
SiO2 27質量%、B2O3 31質量%、ZnO 6質量%、Li2O 7質量%、MgO 2質量%、CaO 2質量%、BaO 2質量%、Al2O3 23質量%、屈折率(ng)1.56、ガラス軟化温度588℃、熱膨張係数70×10-7(K-1)、平均粒子径2.3μm
高軟化点ガラス粉末:
SiO2 30質量%、B2O3 31質量%、ZnO 6質量%、MgO 2質量%、CaO 2質量%、BaO 2質量%、Al2O3 27質量%、屈折率(ng)1.55、軟化温度790℃、熱膨張係数32×10-7(K-1)、平均粒子径2.3μm
ガラス粉末含有ペーストP−1:
4質量部の感光性モノマーM−1、6質量部の感光性モノマーM−2、24質量部の感光性ポリマー、6質量部の光重合開始剤、0.2質量部の重合禁止剤及び12.8質量部の紫外線吸収剤溶液を、38質量部の溶媒に、温度80℃で加熱溶解した。得られた溶液を冷却した後、9質量部の粘度調整剤を添加して、有機溶液1を得た。得られた有機溶液1をガラス板に塗布して乾燥することにより得られた有機塗膜の屈折率(ng)は、1.555であった。50質量部の有機溶液1に、50質量部の低軟化点ガラス粉末を添加した後、3本ローラー混練機にて混練し、ガラス粉末含有ペーストP−1を得た。
50質量部の有機溶液1に、49質量部の低軟化点ガラス粉末及び1質量部の高軟化点ガラス粉末を添加した以外は、上記ガラス粉末含有ペーストP−1と同様にしてガラス粉末含有ペーストP−2を得た。低軟化点ガラスと高軟化点ガラスの合計量に占める低軟化点ガラスの体積比率は98体積%であった。
50質量部の有機溶液1に、40質量部の低軟化点ガラス粉末及び10質量部の高軟化点ガラス粉末を添加した以外は、上記ガラス粉末含有ペーストP−1と同様にしてガラス粉末含有ペーストP−3を得た。低軟化点ガラスと高軟化点ガラスの合計量に占める低軟化点ガラスの体積比率は80体積%であった。
隔壁基板1:
基材として、125mm×125mm×0.7mmのソーダガラス板を用いた。基材の表面に、ガラス粉末含有ペーストP−1を、乾燥後の厚さが220μmになるようにダイコーターで塗布して乾燥し、ガラス粉末含有ペーストの塗布膜を得た。次に、所望のパターンに対応する開口部を有するフォトマスク(ピッチ127μm、線幅15μmの、格子状開口部を有するクロムマスク)を介して、ガラス粉末含有ペーストの塗布膜を、超高圧水銀灯を用いて300mJ/cm2の露光量で露光した。露光後の塗布膜は、0.5質量%のエタノールアミン水溶液中で現像し、未露光部分を除去して、格子状の焼成前パターンを得た。得られた格子状の焼成前パターンを、空気中580℃で15分間焼成して、ガラスを主成分とする、格子状の隔壁を形成した。割断により隔壁断面を露出させ、走査型電子顕微鏡S2400((株)日立製作所製)で撮像して測定した、隔壁の高さL1は150μm、隔壁の間隔L2は127μm、隔壁の底部幅L3は30μm、隔壁の頂部幅L4は10μmであった。
ガラス粉末含有ペーストP−2を用いた以外は、隔壁基板1と同様に形成した。隔壁の高さL1は150μm、隔壁の間隔L2は127μm、隔壁の底部幅L3は30μm、隔壁の頂部幅L4は10μmであった。
ガラス粉末含有ペーストP−3を用い、隔壁の焼成温度を590℃としたこと以外は、隔壁基板1と同様に形成した。隔壁の高さL1は150μm、隔壁の間隔L2は127μm、隔壁の底部幅L3は30μm、隔壁の頂部幅L4は10μmであった。
市販のスパッタ装置、およびスパッタターゲットを用いた。スパッタ時は、隔壁基板の近傍にガラス平板を配置し、ガラス平板上における金属厚みが300nmとなる条件でスパッタを実施した。スパッタターゲットには、パラジウムおよび銅を含有する銀合金であるAPC((株)フルヤ金属製)、または非合金の銀を用いた。トリプルイオンミリング装置EM TIC 3X(LEICA社製)を用いて隔壁断面を露出させ、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)Merlin(Zeiss社製)で撮像して測定した、各隔壁基板における隔壁の高さ方向中央部側面の金属反射層厚みは、70nmであった。
金属酸化物反射層ペーストの作製に用いた原料は次のとおりである。
金属酸化物フィラー酸化チタン(石原産業(株)製)
バインダー溶液5質量%のエチルセルロース(ダウケミカル社製)及び95質量%のターピネオール(日本テルペン化学(株)製)の混合溶液
モノマー30質量%のジペンタエリスリトールペンタアクリレート及び70質量%のジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(いずれも東亞合成(株)製)の混合物
重合開始剤1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)(V−40:和光純薬工業(株)製)
50質量部の金属酸化物フィラー、45質量部のバインダー溶液、4.5質量部のモノマー及び1.5質量部の重合開始剤を3本ローラー混練機にて混練し、金属酸化物反射層ペーストを得た。金属酸化物反射層ペーストを隔壁上に真空印刷した後、90℃で1h乾燥し、さらに190℃で1hキュアして金属酸化物反射層を形成した。
反射層形成後の隔壁基板を割断し、隔壁側面の反射層が露出した断面について、レーザーマイクロスコープVK−X200(キーエンス(株)製)を用い、倍率50倍の対物レンズで隔壁側面を5箇所撮影し、付属の解析ソフトで隔壁側面中央20μmの長さ範囲を線粗さ分析し、5点の平均値を求めて算術平均傾斜角とした。
市販のスパッタ装置、およびスパッタターゲットを用いた。スパッタ時は、隔壁基板の近傍にガラス平板を配置し、ガラス平板上における無機保護層厚みが100nmとなる条件でスパッタを実施した。金属反射層厚みと同様にして測定した、各隔壁基板における隔壁の高さ方向中央部側面の無機保護層厚みは、20nmであった。
ポリシロキサンを含有する有機保護層は次のように形成した。隔壁基板にポリシロキサン溶液1質量部に対し、溶媒としてγ−ブチロラクトン10質量部を混合した希釈液を作製した。各実施例、比較例について、表1に記載のポリシロキサン溶液を用いた。この希釈液を隔壁基板に真空印刷した後、90℃で1h乾燥し、さらに190℃で1hキュアして有機保護層を形成した。表1において、形成位置に隔壁−反射層間と記載のサンプルは反射層の形成前に、形成位置が反射層上のサンプルは反射層の形成後に、形成位置が隔壁−反射層間+反射層上のサンプルは反射層形成前と後の2回、上記手法により有機保護層を形成した。なお、無機保護層が形成されており、さらに有機保護層の形成位置が反射層上のサンプルは、反射層、無機保護層、有機保護層をこの順に形成した。金属反射層厚みと同様にして測定した、各隔壁基板における隔壁の高さ方向中央部側面の有機保護層厚みは、隔壁−反射層間、および反射層上のいずれも1μmであった。
市販のGOS:Tb(Tbをドープした酸硫化ガドリニウム)蛍光体粉末をそのまま用いた。粒度分布測定装置MT3300(日機装(株)製)で測定した平均粒子径D50は11μmであった。
(蛍光体層のバインダー樹脂)
以下の樹脂を用いた。
セルロース誘導体:エトセル(登録商標)7cp(ダウケミカル社製)
ブチラール:エスレック(登録商標)B BL-S(積水化学工業(株)製)
アクリル:オリコックス(登録商標)KC7000(共栄社化学(株)製)
ポリオレフィン:ARTON(登録商標)D4540(JSR(株)製)
蛍光体粉末10質量部を、濃度10wt%のバインダー樹脂溶液5質量部と混合して、蛍光体ペーストを作製した。セルロース誘導体、ブチラール、アクリル樹脂溶液の溶媒には、ベンジルアルコールを用いた。また、ポリオレフィン樹脂溶液の溶媒にはシクロヘキサノンを用いた。この蛍光体ペーストを、反射層、無機保護層、有機保護層等を形成した隔壁基板に真空印刷し、蛍光体の体積分率が65%になるように充填して150℃で15分乾燥し、蛍光体層を形成した。
蛍光体層充填後の各シンチレータパネルを、X線検出器PaxScan 2520V(Varian社製)のセンサ表面中央に、シンチレータパネルのセルがセンサのピクセルと1対1対応するようにアライメントして配置し、基板端部を粘着テープで固定した。この検出器に、X線放射装置L9181−02(浜松ホトニクス(株)製)からのX線を、管電圧50kV、X線管と検出器の距離30cmの条件でX線を照射して画像を取得した。得られた画像中の、シンチレータパネルの発光位置中央における256×256ピクセルのデジタル値の平均値を輝度値とし、各サンプルについて実施例1の輝度値に対する相対値を算出し、初期輝度とした。初期輝度80未満は輝度が低く不適である。
高温・高湿環境下における欠陥発生の加速試験として、作製したシンチレータパネルを、温度65℃、湿度90%の恒温恒湿器内に300h静置した。
・耐湿熱試験後輝度維持率の評価
耐湿熱試験後の各シンチレータパネルについて、初期輝度と同様にして輝度値を測定し、各サンプルの耐湿熱試験前の輝度値に対する割合を求めた。
・耐湿熱試験後ピンホール数の評価
耐湿熱試験後の各シンチレータパネルのX線画像におけるピンホール状の輝度低下箇所の数をカウントした。ピンホール欠陥数が10個以上の場合は、X線画像の補正による欠陥除去が困難となるため、実用には不適である。
シンチレータパネル作製後、1ヶ月間室温の大気中に保管したサンプルについて、シンチレータパネル表面の変色を目視で判断した。変色が見られない場合を◎、変色が見られるものの実用上問題がない場合を△とした。
各シンチレータパネルのX線画像を目視し、ムラが見られない場合を◎、ムラがごく軽微な場合を○、ムラが見られるが実用上使用可能な程度の場合を△、ムラが顕著で実用に不適な場合を×、ムラが極めて顕著な場合を××とした。
表1に示す隔壁基板に、表1に示す材料を用いて、前述の方法により金属反射層または金属酸化物反射層を形成し、前述の方法により、表1に示す無機保護層および有機保護層を形成した。その後、表1に示すバインダー樹脂を用いて前述の方法により蛍光体層を形成した。各実施例、比較例の構成、および各種評価結果を表1に示す。
2 シンチレータパネル
3 出力基板
4 基板
5 隔壁
6 蛍光体層
7 隔膜層
8 光電変換層
9 出力層
10 基板
11 金属反射層
12 有機保護層
13 蛍光体
14 バインダー樹脂
L1 隔壁の高さ
L2 隣接する隔壁の間隔
L3 隔壁の底部幅
L4 隔壁の頂部幅
Claims (9)
- 隔壁、および、前記隔壁によって区画されたセル内に蛍光体層を有し、
前記隔壁は、金属反射層と、ポリシロキサンを主成分として含む有機保護層とを有し、
前記ポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるオルガノシランを含むオルガノシランの加水分解・部分縮合物を含む、シンチレータパネル。
- 前記一般式(1)で表されるオルガノシランは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランおよび3−トリアルコキシシリルプロピルコハク酸無水物のうち少なくともいずれか一方を含む、請求項1記載のシンチレータパネル。
- 前記有機保護層中における前記一般式(1)で表されるオルガノシランの加水分解・部分縮合物の含有量は、5モル%以上である、請求項1または2記載のシンチレータパネル。
- 前記蛍光体層は、蛍光体およびバインダー樹脂を有し、
前記バインダー樹脂は、前記有機保護層と接触している、請求項1〜3のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。 - 前記バインダー樹脂は、アクリル樹脂、アセタール樹脂およびセルロース誘導体のうち少なくともいずれか1種を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記金属反射層は、銀を主成分として含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 前記金属反射層は、パラジウムおよび銅のうち少なくともいずれか1種を含む銀合金を含む、請求項6記載のシンチレータパネル。
- 前記隔壁は、軟化点650℃以下の低軟化点ガラスを98体積%以上含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のシンチレータパネル。
- 基材上に隔壁を形成し、セルを区画する、隔壁形成工程と、
前記隔壁の表面に金属反射層を形成する、反射層形成工程と、
前記反射層の表面に有機保護層を形成する、有機保護層形成工程と、
前記隔壁で区画されたセル内に蛍光体を充填する、充填工程とを含み、
前記有機保護層は、ポリシロキサンを主成分とし、
前記ポリシロキサンは、下記一般式(1)で表されるオルガノシランを含むオルガノシランの加水分解・部分縮合物を含む、シンチレータパネルの製造方法。
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