JP2019168132A - 熱交換素子の製造方法、および流路板 - Google Patents
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Abstract
【課題】より簡素に斜め流路板を切り取ることにより製造工程を簡素化することが可能な、熱交換素子の製造方法、および流路板を提供する。【解決手段】少なくとも1つ以上の第1のローラ21b1の軸の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる第1の波形状を有する第1の歯車を用いて、第1の波形状を転写することにより、第1の波形状の流路を有する第1の間隔板1b1が形成される。第1の間隔板1b1の第1の波形状の頂点に第1の仕切り板が接着され、第1の流路板ベース部材が形成される。第1の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより斜め流路板が形成される。【選択図】図13
Description
本発明は熱交換素子の製造方法、および流路板に関し、特に積層構造式で対向流を受ける構成の熱交換素子の製造方法および流路板に関するものである。
近年、省エネルギーの観点から、室内を換気する装置として熱交換換気装置が採用されている。熱交換換気装置は、室内の空気の温度および湿度と、室外の空気の温度および湿度とを、熱交換素子を介して交換する装置である。これにより熱交換換気装置は、換気に伴う熱のロスを低減する。熱交換換気装置に使用される熱交換素子は、熱交換をする方式により、直交流形熱交換素子と、対向流形熱交換素子とに分類される。直交流形熱交換素子は、給気流および排気流を互いに直交させることにより熱交換する。対向流形熱交換素子は、給気流および排気流を互いに対向させることにより熱交換する。これらの熱交換素子のうちの対向流形熱交換素子は、たとえば国際公開第2016/147359号(特許文献1)に開示された構成を有している。
国際公開第2016/147359号においては、中央の直線流路板とその両サイドの斜め流路板とが、いずれも同一の流路板ベース部材から別々に切り取られ、その後別々に切り取られたもの同士が接合される。外縁の延在方向にほぼ平行に波形状が延びる流路板ベース部材から斜め流路板を形成する場合、三角形状の三辺すべてを、流路の角度を考慮しつつ、延在方向に対して斜め方向に精密に切り取る必要がある。このため国際公開第2016/147359号においては、直線流路板のみの熱交換素子に比べて製造工程が煩雑となり、製造コストが増大する。
本発明は以上の課題に鑑みなされたものである。その目的は、より簡素に斜め流路板を切り取ることにより製造工程を簡素化することが可能な熱交換素子の製造方法、および流路板を提供することである。
本発明の熱交換素子の製造方法は、以下の各工程を備えている。まず少なくとも1つ以上の第1のローラの軸の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる第1の波形状を有する第1の歯車を用いて、第1の波形状を転写することにより、第1の波形状の流路を有する第1の間隔板が形成される。第1の間隔板の第1の波形状の頂点に第1の仕切り板が接着され、第1の流路板ベース部材が形成される。第1の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより斜め流路板が形成される。
本発明の流路板は、間隔板と、仕切り板とを備えている。間隔板は波形状を有し、少なくとも1枚有している。仕切り板は平面状を有し、間隔板に貼り合わせられる。間隔板の波形状は、第1の波形状と、第1の波形状が延びる方向とは異なる方向に延びる第2の波形状とが連続している。
本発明によれば、軸に対し傾斜する方向に延びる第1の波形状が転写されることにより、傾斜された流路を有する間隔板が形成される。このため当該間隔板から容易に、傾斜された流路を有する斜め流路板を切り取ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
実施の形態1.
まず本実施の形態に係る熱交換素子の構成について、図1〜図5を用いて説明する。図1は本発明の各実施の形態に係る熱交換素子の構成を示す概略斜視図である。図2は図1に含まれる第1の複合流路板の構成を示す概略断面図である。図3は図1に含まれる第2の複合流路板の構成を示す概略断面図である。
実施の形態1.
まず本実施の形態に係る熱交換素子の構成について、図1〜図5を用いて説明する。図1は本発明の各実施の形態に係る熱交換素子の構成を示す概略斜視図である。図2は図1に含まれる第1の複合流路板の構成を示す概略断面図である。図3は図1に含まれる第2の複合流路板の構成を示す概略断面図である。
図1を参照して、本実施の形態の熱交換素子100は、第1の複合流路板11と、第2の複合流路板12とが図の上下方向に交互に積層された構成を有している。図1の熱交換素子100は、第1の複合流路板11と、第2の複合流路板12とが3つずつ積層された構成を有している。しかし第1の複合流路板11および第2の複合流路板12が積層される数は任意である。
図2を参照して、第1の複合流路板11は、流路板として、直線流路板11aと、斜め流路板11bとを含んでいる。図2の第1の複合流路板11における流体の流路は、図中に点線で示す。直線流路板11aは、平面視においてたとえば矩形状を有している。直線流路板11aは、流路板のうち、そこを流れる空気などの流体が、直線流路板11a本体の矩形状の外縁が延びる方向に沿って流れる構成を有する。斜め流路板11bは、平面視においてたとえば三角形状を有している。斜め流路板11bは、流路板のうち、そこを流れる流体が、直線流路板11a本体の外縁が延びる方向とは異なる方向、すなわち当該外縁が延びる方向に対して斜め方向に流れる構成を有する。
斜め流路板11bは、流体の流れる方向(図中の矢印が示す方向)に沿って、直線流路板11aをその両側から挟むように1対、斜め流路板11b1および斜め流路板11b2として配置されている。斜め流路板11bと直線流路板11aとは接合部11cにおいて互いに接続されることにより、第1の複合流路板11を構成している。より具体的には、接合部11cは接合部11c1および接合部11c2を含んでいる。すなわち斜め流路板11b1と直線流路板11aとは接合部11c1において互いに接続され、斜め流路板11b2と直線流路板11aとは接合部11c2において互いに接続される。直線流路板11aにおける流体の流れる方向は、接合部11c1,11c2の延びる方向に対して、平面視においてほぼ直交している。これに対し、斜め流路板11bにおける流体の流れる方向は、接合部11c1,11c2の延びる方向に対して、平面視において斜め方向である。すなわち斜め流路板11bにおける流体の流れる方向は、接合部11c1,11c2の延びる方向に対して、平面視においてほぼ平行またはほぼ直交していない。
図3を参照して、第2の複合流路板12は、流路板として、直線流路板12aと、斜め流路板12bとを含んでいる。図3の第2の複合流路板12における流体の流路は、図中に点線で示す。直線流路板12aは、平面視においてたとえば矩形状を有している。直線流路板12aは、流路板のうち、そこを流れる空気などの流体が、直線流路板12a本体の矩形状の外縁が延びる方向に沿って流れる構成を有する。斜め流路板12bは、平面視においてたとえば三角形状を有している。斜め流路板12bは、流路板のうち、そこを流れる流体が、直線流路板12a本体の外縁が延びる方向とは異なる方向、すなわち当該外縁が延びる方向に対して斜め方向に流れる構成を有する。
斜め流路板12bは、流体の流れる方向(図中の矢印が示す方向)に沿って、直線流路板12aをその両側から挟むように1対、斜め流路板12b1および斜め流路板12b2として配置されている。斜め流路板12bと直線流路板12aとは接合部12cにおいて互いに接続されることにより、第2の複合流路板12を構成している。より具体的には、接合部12cは接合部12c1および接合部12c2を含んでいる。すなわち斜め流路板12b1と直線流路板12aとは接合部12c1において互いに接続され、斜め流路板12b2と直線流路板12aとは接合部12c2において互いに接続される。直線流路板12aにおける流体の流れる方向は、接合部12c1,12c2の延びる方向に対して、平面視においてほぼ直交している。これに対し、斜め流路板12bにおける流体の流れる方向は、接合部12c1,12c2の延びる方向に対して、平面視において斜め方向である。すなわち斜め流路板12bにおける流体の流れる方向は、接合部12c1,12c2の延びる方向に対して、平面視においてほぼ平行またはほぼ直交していない。
図2の第1の複合流路板11においては、図の手前左側の斜め流路板11b1から直線流路板11aを通り、斜め流路板11b2へ流体が流れる。すなわち図2中に矢印で示すようにA1からB1に向けて流体が流れる。図3の第2の複合流路板12においては、図の奥右側の斜め流路板12b2から直線流路板12aを通り、斜め流路板12b1へ流体が流れる。すなわち図2中に矢印で示すようにA2からB2に向けて流体が流れる。
図4は第1の複合流路板と第2の複合流路板とが重なった熱交換素子において、第1の複合流路板および第2の複合流路板での流体の流れを重ねて示す概略平面図である。図4における左側の三角形状の部材は図2および図3の手前左側の斜め流路板11b1,12b1に相当し、図4における右側の三角形状の部材は図2および図3の奥右側の斜め流路板11b2,12b2に相当する。また図4における中央の矩形状の部材は図2および図3の直線流路板11a,12aに相当する。図4を参照して、第1の複合流路板11と第2の複合流路板12とは、それぞれの直線流路板同士、および斜め流路板同士が重なり合う形状を有することが好ましい。
以下では一例として図4の各複合流路板の左側を室内側、右側を室外側とする。この場合、第1の複合流路板11を流れる流体(空気)は、A1において吸われた室内の空気であり、B1において室外へ排出される。また第2の複合流路板12を流れる流体(空気)は、A2において吸われた室外の空気であり、B2において室内へ排出される。第1の複合流路板11を流れる室内の空気と第2の複合流路板12を流れる室外の空気とは互いに温度が異なり、かつ流れの向きが互いに逆となっている。このため直線流路板11a,12aの重なる領域において、冷たい空気と温かい空気とが互いに対向する。これにより直線流路板11a,12aの重なる領域において、冷たい空気と暖かい空気との熱交換がなされる。
すなわち三角形状の斜め流路板の部分は、流体を、室内の空気を吸うA1、室内の空気を出すB1、室外の空気を吸うA2、または室外の空気を出すB2のいずれかとなるよう分流するヘッダー部分として機能する。また矩形状の直線流路板の部分は、これが複数重なり合うことにより流体を、当該矩形状に沿って流しながら熱交換を行なう対向流用の熱交換素子として実質的に機能する。
本実施の形態の熱交換素子100(図1参照)は、複数の第1の複合流路板11および第2の複合流路板12が交互に積層され接着される構成を有する。また積層方向に関して隣り合う1対の複合流路板11,12においては、吸気側のヘッダー部分が図4中の左右方向に関して互いに逆側に取り付けられている。また当該1対の隣り合う複合流路板11,12においては、図の左右方向に関して流体が流れる方向が互いに逆となる。これにより、直線流路板11a,12aの重なる領域において、互いに逆方向に流れる冷たい空気と温かい空気との熱交換がなされる。
図5は、本発明の各実施の形態の流路板を構成する各部材の態様を示す概略斜視図である。図5を参照して、第1の複合流路板11および第2の複合流路板12を構成する直線流路板および斜め流路板は、間隔板1と、仕切り板2とを有している。間隔板1は、段ボールのような波形状を有するシート状の部材である。間隔板1の波形状により、図の左上から右下に直線状に延びる溝状の部分が流体の流路となる。仕切り板2は間隔板1のような波形状を有さない平面状の部材である。仕切り板2は伝熱性を有する。ただし仕切り板2は伝熱性に加えて透湿性を有してもよい。間隔板1に仕切り板2が貼り合わされることによりシート状の部材が形成される。このシート状の部材が、図1〜図3に示すような直線流路板11a,12aおよび斜め流路板11b,12bの形状に切り取られる。
図6および図7は、実施の形態1における熱交換素子の製造方法として、これを構成するための流路板ベース部材を形成する工程の原理を示す概略側面図である。図6を参照して、図5に示すような波形状を有する間隔板1を形成する工程においては、歯車状ローラ21を用いて、当該ローラ21に含まれる波形状を所望の部材に転写させる。
具体的には、まず間隔板1を形成するための部材が準備される。この間隔板1を形成するための部材は、主表面を有し当該主表面が拡がるシート状であることが好ましい。したがって加工前の当初においては、間隔板1を形成するための部材は巻かれた態様であってもよい。
間隔板1を形成するための部材は、たとえば紙などのパルプ材料であってもよい。ただし間隔板1を形成するための部材は、その他に、たとえばアルミニウム、鉄、ステンレスからなる群から選択されるいずれかの金属材料であってもよい。あるいは間隔板1を形成するための部材は、プラスチック材料などの樹脂材料またはカーボン素材などであってもよい。また間隔板1は、上記の各材料から選択される2以上の材料により形成されるものであってもよい。
間隔板1を形成するための部材がシート状に拡げられた状態で、図6に示すように、2つの加工用の歯車状ローラ21が、間隔板1を形成するためのシート状の部材をその一方の主表面側およびその反対側の他方の主表面側の双方からこれを挟むように配置される。図6に示されないが、図6における歯車状ローラ21は紙面奥行き方向に延びる円柱形状に近い形状を有している。当該歯車状ローラ21の紙面奥行き方向に延びる側面には、図6に示すような波形状が、当該側面に沿って図の紙面奥行き方向に沿って延びるように形成されている。図6の2つの歯車状ローラ21のそれぞれの波形状は、図6に示す歯車状ローラ21の円周に沿った方向に関して一定周期の波形状を有する、歯車のような形状を有している。
図6に示すように、2つの加工用の歯車状ローラ21は、互いにシート状の部材の表面に接するようにこれを挟む。この状態で2つの歯車状ローラ21は、互いの波形状同士が噛み合うように追従することが可能となるように回転される。そのように2つの歯車状ローラ21の波形状を歯車のように噛み合わせながら、それらの歯車状ローラ21に接触するシート状の部材をたとえば図の左側へ矢印Mに示すように移動させる。これにより、シート状の部材には歯車状ローラ21の波形状が転写される。以上により、シート状の部材から間隔板1が形成される。
波形状が転写された間隔板1は、図6の紙面奥行き方向に延びるような波形状の山形の頂点または谷形の頂点としての筋、すなわち図5の間隔板1の左上から右下に延びるような直線状の筋を、一定間隔で複数有している。間隔板1の山形または谷形の頂点の筋の部分に、図6に示すように、接着剤塗布ローラ22を用いて、接着剤23が塗布される。一例として図6においては間隔板1の谷形の筋の部分に接着剤23が塗布される態様が示されている。
図7を参照して、間隔板1の特に接着剤23が塗布された部分に、一方の主表面およびその反対側の他方の主表面を有する平板形状の仕切り板2が接着される。なお当初においては、仕切り板2を形成するための部材は巻かれた態様であってもよい。仕切り板2を接着する際には、まず間隔板1の接着剤23上に接するように仕切り板2が設置される。その状態で、間隔板1と仕切り板2とが重なったものをその間隔板1側および仕切り板2側から挟むように2つの加圧ローラ24で挟む。そして2つの加圧ローラ24のそれぞれは、間隔板1および仕切り板2側へ圧力を印加しながら、間隔板1および仕切り板2の表面上を転がらせる。あるいは2つの加圧ローラ24は間隔板1および仕切り板2側へ圧力を印加する状態を保ちながら動かさず、間隔板1および仕切り板2を移動させてもよい。
これにより間隔板1と仕切り板2とが重なり合うように接着された形状の部材が構成される。当該部材において間隔板1の波形状と仕切り板2とに挟まれた隙間の部分は、図7の紙面奥行き方向に延びる隙間となる。この隙間は流体の流路として形成可能である。このようにして、間隔板1と仕切り板2とからなる流路板ベース部材が形成される。
図8は、図7により形成される流路板ベース部材の第1例の概略側面図である。図9は、図7により形成される流路板ベース部材の第2例の概略側面図である。図8を参照して、図7により形成される流路板ベース部材は、間隔板1が側面図または断面図において三角形の波形状を有してもよい。図8においては、当該三角形の谷形の頂点としての筋の部分に仕切り板2が接着されている。あるいは図9を参照して、図7により形成される流路板ベース部材は、間隔板1が側面図または断面図において曲線の波形状を有してもよい。図9においては、当該曲線の谷形の頂点としての筋の部分に仕切り板2が接着されている。
図10は、図6および図7により形成される流路板ベース部材が巻かれた状態の第1例を示す概略斜視図である。図11は、図6および図7により形成される流路板ベース部材が巻かれた状態の第2例を示す概略斜視図である。図10を参照して、図6および図7により形成される流路板ベース部材が巻かれることによりコルゲートロール3が形成される。コルゲートロール3は、たとえば矩形状の仕切り板の図10における左上から右下に延びる外縁にほぼ平行に延びる、図の点線で示す間隔板1の流路を示す筋が形成されている。これに対し、図11を参照して、図6および図7により形成される流路板ベース部材が巻かれることにより、コルゲートロール4も形成される。コルゲートロール4の間隔板1の流路を示す筋は、矩形状の仕切り板の図10における左上から右下に延びる外縁に対して斜め方向に延びるように形成されている。流路板ベース部材を保管する際にはコルゲートロール3,4のように巻き取られた形状とされることが好ましい。
本実施の形態の熱交換素子100を構成する第1の複合流路板11および第2の複合流路板12を形成するに当たっては、コルゲートロール3およびコルゲートロール4の双方が必要となる。ところが上記の図6および図7においてはこれら双方の製法を総括的に示しているに過ぎず、上記ではどのような波形状が転写されるかを考慮せず、工程に用いられる波形状の転写方法のみを説明している。しかし本実施の形態においては、実際には間隔板1の流路の延びる方向が異なる2種類の流路板を形成するために、以下の製造方法が適用される。以下、図12〜図21を用いて、本実施の形態における、図10および図11の2種類のコルゲートロール3,4としての流路板ベース部材、およびそれを用いた各複合流路板11,12の製造方法について、図6および図7よりも詳細に説明する。
図12は、実施の形態1における第1の間隔板および第2の間隔板を形成する工程において用いられる歯車状ローラの配置態様を示す概略斜視図である。図12を参照して、本実施の形態においては、加工用の歯車状ローラ21として、第1のローラ21bと、第2のローラ21aとの2種類が用いられる。
第1のローラ21b、第2のローラ21aともに、図の左上から右下に延びる方向を軸の方向とする円柱形状に近い形状を有している。その円柱形状に近い形状の側面には、歯車のような周期的な波形状が形成されている。具体的には、第1のローラ21bの側面には第1の波形状が、第2のローラ21aの側面には第2の波形状が形成されている。これらの波形状はいずれも、山形または谷形の筋を形成するように延びている。
なお第1のローラ21bは、第2のローラ21aをその軸の方向に関する一方側および他方側の双方から挟むように配置されている。このため両者を区別する観点から、図12では第1のローラ21b1、第1のローラ21b2と符号が付されている。
図6および図7で説明したとおり、2つの加工用の歯車状ローラ21が、間隔板1を形成するためのシート状の部材をその一方の主表面側およびその反対側の他方の主表面側の双方からこれを挟むように配置される。このため図12においても第1のローラ21b1、第1のローラ21b2、第2のローラ21aのそれぞれについて、上下方向に2段ずつ同じものが積まれるように示されている。
第2のローラ21aは、その軸の延びる方向に沿って延びる第2の波形状を有する第2の歯車が形成されている。具体的には図12においては、少なくとも1つ(2段に積まれるため2つ)以上の第2のローラ21aの軸の延びる方向すなわち第2のローラ21aのベースとなる円柱形状の一方端の円形および他方端の円形を結ぶ方向に沿って、波形状の山形または谷形の筋が延びている。以下において第2の歯車の形状を平歯車状と呼ぶことがある。
これに対し、第1のローラ21b1,21b2は、その軸の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる第1の波形状を有する第1の歯車が形成されている。具体的には図12においては、少なくとも1つ(2段に積まれるため2つ)以上の第1のローラ21b1、第1のローラ21b2の軸の延びる方向に対してやや図の左側が下になるように、波形状の山形または谷形の筋が延びている。このように第1のローラ21bの第1の歯車は、第2のローラ21aの第2の歯車の筋が延びる方向に対して傾斜する方向に、波形状の山形または谷形の筋が延びている。以下において第1の歯車の形状を、はすば歯車状と呼ぶ場合がある。
図13は図12の歯車状ローラを用いて第1の間隔板および第2の間隔板が形成される工程の第1例を示す概略平面図である。すなわち図13の歯車状ローラ21は、図12の歯車状ローラ21が真上から見られた態様として示されている。図13を参照して、図12のように第2のローラ21aの延びる方向に関する一方側および他方側の双方から、第2のローラ21aを挟むように、1対の第1のローラ21b1,21b2が配置される。これらの各ローラは、第2の波形状の頂点が延びる第1の方向に沿って並ぶように配置される。言い換えれば、各ローラの円柱形状の一方端の円形および他方端の円形を結ぶ方向、すなわち円柱形状の側面の高さ方向に沿うように、複数の第1のローラ21bおよび第2のローラ21aが、一直線状に並んでいる。なお図13における上下方向は、図12における左上から右下に延びる各ローラの円柱形状の一方端の円形および他方端の円形を結ぶ、当該円柱形状の側面の延びる方向(円柱の側面の高さの方向)に相当する。
図13は上方から見る図であるため図13中には示されないが、実際には図13においては図6および図12と同様に、第2のローラ21aおよびその両端の1対の第1のローラ21b1,21b2はいずれも、間隔板1を形成する部材を挟むように、その上下に2つずつ積まれている。
間隔板1は第1の間隔板1bと第2の間隔板1aとを含む。すなわち間隔板1を形成するシート状の部材として、図13においては、第1の間隔板1bを形成する部材と、第2の間隔板1aを形成する部材とが準備されている。第1の間隔板1bは第1のローラ21bにより形成され、第2の間隔板1aは第2のローラ21aにより形成される。このため第1の間隔板1bを形成する部材としては第1のローラ21b1により形成される第1の間隔板1b1を形成する部材と、第1のローラ21b2により形成される第1の間隔板1b2を形成する部材とが配置されている。
図13においては、2段の第2のローラ21aに挟まれるように第2の間隔板1aを形成する部材が挟まれる。同様に、2段の第1のローラ21b1に挟まれるように第1の間隔板1b1を形成する部材が、2段の第1のローラ21b2に挟まれるように第1の間隔板1b2を形成する部材が、挟まれる。第1の間隔板1b1,1b2を形成する部材としては、言い換えれば第1の間隔板1b1,1b2を形成する工程においては、斜め流路板11b,12b(図2、図3参照)の第1の波形状を形成するための第1の素材が用いられる。また第2の間隔板1aを形成する部材としては、言い換えれば第2の間隔板1aを形成する工程においては、直線流路板11a,12a(図2、図3参照)の第2の波形状を形成するための第2の素材が用いられる。
図14は第1のローラと第2のローラとの歯数の関係の第1例を示す概略斜視図である。図15は第1のローラと第2のローラとの歯数の関係の第2例を示す概略斜視図である。図14を参照して、互いに隣り合う第1のローラ21b(21b1,21b2)と第2のローラ21aとは、山形の頂点の筋同士の位置がずれないように取り付けられることが好ましい。ただし第1のローラ21bと第2のローラ21aとの歯数は必ずしも同一である必要はない。図15を参照して、たとえば第2のローラ21aの平歯車状の波長を、第1のローラ21bのはすば歯車状の波長の2倍にしてもよい。このようにすれば、最終的に転写される第1の波形状と第2の波形状との山側または谷側の筋の位置の位相がずれないように、第1の波形状と第2の波形状とを接合できる。
再度図12および図13を参照して、以上のように各ローラおよび間隔板を形成する部材が準備された状態で、図6の工程の要領で、第2の歯車を用いて、第2の波形状が転写される。これにより第2の波形状の流路を有する第2の間隔板1aが形成される。第2の間隔板1aの波形の筋は図の上下方向に沿って延びる。また同様に、図6の工程の要領で、第1の歯車を用いて、第1の波形状が転写される。これにより第1の波形状の流路を有する第1の間隔板1b1,1b2が形成される。
なお図13においては、第1の素材と第2の素材とが間隔Gを有するように配置された状態で、上記の第1の波形状および第2の波形状が転写される。また図13の第1の間隔板1b1,1b2および第2の間隔板1aを形成する工程においては、第1のローラ21b1,21b2による第1の波形状と、第2のローラ21aによる第2の波形状とが同時に形成される。
ここでは2段の第2のローラ21aに挟まれるように1枚の第2の間隔板1aを形成する部材が挟まれる。同様に、2段の第1のローラ21b1に挟まれるように1枚の第1の間隔板1b1を、2段の第1のローラ21b2に挟まれるように1枚の第1の間隔板1b2を、形成する部材が挟まれる。このように図13においては、各ローラが2段に組まれる組みに対して1枚ずつの素材が挟まれ加工がなされることが好ましい。また図13においては、直列に並ぶ第1のローラ21b1,21b2および第2のローラ21aは、共通の加工軸部材25に通され、これを回転軸として1回の回転動作によりすべてのローラによる転写加工が同時になされることが好ましい。このようにすれば、第1のローラ21bおよび第2のローラ21aを組み合わせた状態で、第1の間隔板1bおよび第2の間隔板1aを同時に、一括して加工できる。
図16は図12の歯車状ローラを用いて第1の間隔板および第2の間隔板が形成される工程の第2例を示す概略平面図である。図16を参照して、ここでは基本的に図13の示す工程と同様に、第1のローラ21bおよび第2のローラ21aを用いた第1の間隔板1b(1b1,1b2)および第2の間隔板1aを形成する処理がなされる。しかし図16においては、斜め流路板の第1の波形状と、直線流路板の第2の波形状とが同一の素材に互いに並ぶように形成される。すなわち図16においては、斜め流路板の第1の波形状と、直線流路板の第2の波形状とが1枚の部材に形成される。これにより1枚の部材に、斜め流路板の部分と直線流路板の部分との双方を有する間隔板1が形成される。この点において図16の工程は、斜め流路板の部分と直線流路板の部分とが別個の部材に形成される図13の工程と異なっている。
以上の図13または図16の工程により、斜め流路板用の第1の波形状および直線流路板用の第2の波形状が形成される。その後、図7の工程の要領で、第1の間隔板1b1,1b2の第1の波形状の頂点の筋の部分に仕切り板2が接着される。ここで接着されるのは、第1の波形状と接着する第1の仕切り板である。これにより、第1の波形状を有する第1の流路板ベース部材が形成される。同様に、図7の工程の要領で、第2の間隔板1aの第2の波形状の頂点の筋の部分に仕切り板2が接着される。ここで接着されるのは、第2の波形状と接着する第2の仕切り板である。これにより、第2の波形状を有する第2の流路板ベース部材が形成される。
図17は図13または図16の工程、および図7の仕切り板の貼り付けの後の工程により最終的に得られる第1の複合流路板の構成を示す概略斜視図である。また図18は、図17の第1の複合流路板の構成を示す概略拡大平面図である。図17を参照して、先に形成された第1の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより、斜め流路板11b(11b1,11b2)が形成される。また先に形成された第2の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより、直線流路板11aが形成される。
ここで図13の工程により第1の流路板ベース部材と第2の流路板ベース部材とが別の部材として切り取られる場合は、第2の流路板ベース部材は、これに形成された第2の波形状の筋の延びる方向にほぼ平行となるように沿う辺(長辺であることが好ましい)を有する矩形状として切り取られる。これにより第2の流路板ベース部材が切り取られた直線流路板11aが形成される。これに対して第1の流路板ベース部材は、第1の波形状を形成するために用いられた第1のローラの軸にほぼ直交する方向に延びる底辺を有するたとえば二等辺三角形状として切り取られることが好ましい。これにより第1の流路板ベース部材が切り取られた斜め流路板11bが形成される。
また図13の工程により第1の流路板ベース部材が形成された場合は、斜め流路板11b(11b1,11b2)と直線流路板11aとは接合部11c(11c1,11c2)にて接合され一体化されることにより、第1の複合流路板11が形成される必要がある。ここではたとえば接着シートまたは接着剤により、斜め流路板11b(11b1,11b2)と直線流路板11aとが接合される。これにより、たとえば図18に示すように、斜め流路板11b1,11b2と直線流路板11aとからなる第1の複合流路板11が形成される。同様に、斜め流路板12b1,12b2と直線流路板12aとからなる第2の複合流路板12が形成される。
次に図16の工程により第1の流路板ベース部材と第2の流路板ベース部材とが同一の部材に一体として得られた場合には、両部材の部分の接合部11cは元々接合されている。このため、矩形状の直線流路板11aおよび三角形状の斜め流路板11bが形成されるように、外縁の部分のみが切り取られる。これにより、斜め流路板11b1,11b2と直線流路板11aとからなる第1の複合流路板11が形成される。同様に、斜め流路板12b1,12b2と直線流路板12aとからなる第2の複合流路板12が形成される。
図17においては斜め流路板11bと直線流路板11aとが図16の工程を経ることにより一体形成される場合と、図13の工程を経た後接着剤により接合される場合との双方を想定している。このため図17の第1の複合流路板11は、接合部11cにテープ13が示されない点において図2と異なっている。ただし図13の工程を経て斜め流路板11bと直線流路板11aとが別個に形成された場合には、図2のようにテープ13により両者が接合されてもよい。
図16のように斜め流路板11bと直線流路板11aとが一体形成され1枚の間隔板のみ有する場合と、図13のように複数の間隔板を有しそれらが相互に接合される場合とのいずれにおいても、斜め流路板11bの第1の間隔板1bの第1の波形状と、直線流路板11aの第2の間隔板1aの第2の波形状とが連続している。すなわち流路板においては、間隔板1の波形状は、第1の間隔板1bの第1の波形状と、第1の波形状が延びる方向とは異なる方向に延びる第2の間隔板1aの第2の波形状とが連続している。ここで連続とは、一体として繋がっている場合と、接合により繋がっている場合との双方を含む。これにより形成される第1の複合流路板11においては、第1の波形状の流路と、第2の波形状の流路とが、平面視において屈曲したような形状を有している。このことは第2の複合流路板12においても同様である。
なお図17および図18においては、図2の第1の複合流路板11のみ図示されており、第2の複合流路板12(図3参照)については図示されていない。上記の図4に示すように、第1の複合流路板11と第2の複合流路板12とは、流路に沿って流体の流れる方向が互いに逆側となる点において異なる。このため特に斜め流路板における流路の延びる方向が、第1の複合流路板11と第2の複合流路板12との間で異なっている。
具体的には、図17および図18に示すように、第1の複合流路板11の斜め流路板11b1,11b2は、直線流路板11aとの接合部11cとなる底辺を下にして平面視したときに、図17および図18の点線で示す流路が左上から右下へ延びるように形成される。これに対し、第2の複合流路板12の斜め流路板12b1,12b2は、直線流路板11aとの接合部11cとなる底辺を下にして平面視したときに、図17および図18の点線で示す流路が右上から左下へ延びるように形成される(図3参照)。
これにより、斜め流路板11b1,11b2および斜め流路板12b1,12b2のいずれも、三角形状のうち接合部11cとなる底辺に対して平行でも垂直でもない斜め方向に流路が延びる態様となる。このように第2の複合流路板12の斜め流路板12b1,12b2を形成するために、たとえば図13、図16の第1のローラ21b1,21b2とは異なる斜め方向に延びる波形状を有する第1のローラが用いられてもよい。あるいは後述するように、斜め流路板11b1,11b2を形成する第1のローラ21b1,21b2と同一のものを用いて、第2の複合流路板12の斜め流路板12b1,12b2を形成することもできる。
なお第2の複合流路板12の斜め流路板12b1,12b2も、第1の複合流路板11の斜め流路板11b1,11b2と同様に、これを形成するための第1の流路板ベース部材は、第1の波形状を形成するために用いられた第1のローラの軸にほぼ直交する方向に延びる底辺を有するたとえば二等辺三角形状として切り取られることが好ましい。
図19は、図17および図18の工程により形成される第1の複合流路板の構成を示す概略斜視図である。図20は、図17および図18の工程により形成される第2の複合流路板の構成を示す概略斜視図である。なお図19および図20のいずれも接合部にテープは示されず、図19は実質的に図17と同一である。図21は図19の第1の複合流路板と、図20の第2の複合流路板とを積層することで形成された本実施の形態の熱交換素子の構成を示す概略斜視図である。
図19を参照して、図の左側の斜め流路板11b1が右側の斜め流路板11b2に比べて手前側に配置された態様を示す斜視図においては、手前側の斜め流路板11b1の三角形状の外縁は、間隔板の波形状が露出する端面となっている。したがって斜め流路板11b(11b1,11b2)を以下において斜め順方向流路板11b(11b1,11b2)と呼ぶ場合がある。これに対し、図20を参照して、図の左側の斜め流路板12b1が右側の斜め流路板12b2に比べて手前側に配置された態様を示す斜視図においては、手前側の斜め流路板12b1の三角形状の外縁は、間隔板の波形状が図の上下方向(厚み方向)に沿って延びる外壁面を露出する端面となっている。
したがって斜め流路板12b(12b1,12b2)を以下において斜め逆方向流路板12b(12b1,12b2)と呼ぶ場合がある。斜め順方向流路板11bの波形状の流路と、斜め逆方向流路板12bの波形状の流路とは、第1の複合流路板11と第2の複合流路板12とが重なり積層された熱交換素子100,200において、平面視したときに互いに対称の位置関係となることが好ましい。すなわち1対の斜め流路板のそれぞれの、三角形状の底辺に対向する頂点同士を結んでできる直線に関し、斜め順方向流路板11bの波形状の流路と、斜め逆方向流路板12bの波形状の流路とは互いに対称の位置関係となることが好ましい。
図21を参照して、図19の第1の複合流路板11と図20の第2の複合流路板12とが互いに交互に積層され、一束に括られる。これにより、図21のように各複合流路板の接合部においてテープ13で接合された熱交換素子200では、手前側の斜め順方向流路板の三角形状の外縁が波形状として露出する層と、手前側の斜め逆方向流路板の全体が外壁面として露出する層とが交互に現れる。なお熱交換素子200は図1の熱交換素子100とほぼ同一の構成である。しかし熱交換素子200は、各複合流路板における接合部にテープ13が用いられていない点において、同箇所にテープ13が用いられる図1〜図3の熱交換素子100と異なる。
積層された各複合流路板を1束にまとめるためのテープ13は、斜め流路板および直線間隔板の間における加工時に発生した位置ずれおよび歪み、ならびにこれらにより形成された隙間を塞ぐ目的で用いられている。これにより形成された熱交換素子100,200は、第1の複合流路板11および第2の複合流路板12のそれぞれにおいて、間隔板の波形状からなる流路により、図4に示すように吸気および排気を、互いに逆方向に行なうことを可能とする。
いずれにせよ、図19の第1の複合流路板11、図20の第2の複合流路板12ともに、直線流路板の部分は、間隔板の波形状の筋に対して平行な辺、たとえば長辺を有する矩形状となるように切断されることにより形成されている。言い換えれば直線流路板の部分は、斜め流路板との接合部としての辺、たとえば短辺が、間隔板の波形状の筋に対して約90°に直交するように切断されることにより形成されている。
これに対し、図19の第1の複合流路板11、図20の第2の複合流路板12ともに、斜め流路板の部分は、三角形状の底辺が、間隔板の波形状の筋に対して平行または垂直でない斜め方向に延びるように切断されることにより形成されている。言い換えれば斜め流路板の部分は、直線流路板との接合部としての辺、たとえば底辺が、間隔板の波形状の筋に対して90°以下になるように切断されることにより形成されている。
次に、図22〜図24の本実施の形態の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図22は、比較例における流路板ベース部材から、直線流路板を切り取る工程を示す概略斜視図である。図23は、比較例における流路板ベース部材から、斜め順方向流路板を切り取る工程を示す概略斜視図である。図24は、比較例における流路板ベース部材から、斜め逆方向流路板を切り取る工程を示す概略斜視図である。
図22〜図24を参照して、比較例においても、構成上は上記の本実施の形態の熱交換素子100,200と同様の構成を有する熱交換素子が形成される。すなわち比較例においても、本実施の形態と同様に、直線流路板、斜め順方向流路板11b、斜め逆方向流路板12bのすべてが切り取られる加工が行なわれる。ただし比較例においては、図22〜図24に示すように、直線流路板、斜め順方向流路板11b、斜め逆方向流路板12bのすべてが同一の流路板ベース部材から切り取られている。この同一の流路板ベース部材は、本実施の形態における第2のローラ21aにより、母材の外縁の向きに沿って延びる第2の波形状が転写された第2の流路板ベース部材である。
この場合、図23および図24の工程において、接合部11c,12cを含む三角形状のすべての辺を、第2の流路板ベース部材の外縁の方向とは異なる方向に切り落とす必要が生じる。具体的には、接合部11c,12cとしての辺を含む三角形状の3つの辺のすべてを、波形状の筋に対して90°とは異なる斜め方向に延びるように切り落とす必要が生じる。このため比較例によれば、図22のように直線流路板のみにより形成される熱交換素子に比べ、製造工程が煩雑である。言い換えれば比較例では製造工程が複雑化し、製造コストが増大するという問題がある。
しかし本実施の形態においては、斜め順方向流路板11bおよび斜め逆方向流路板12bは、軸に対して斜め方向に延びる第1の波形状を有する第1のローラが転写された第1の間隔板から形成される。つまり第1の間隔板において既に流路が、当該間隔板の外縁の方向に対して所望の角度に傾斜した方向に延びる構成を有している。このため第1の間隔板から三角形状の斜め流路板を切り取る際には、間隔板の外縁を底辺として切り取ればよい。このようにすれば、比較例のように波形状の筋に対して斜め方向に延びる接合部の辺を切り取る煩雑な処理を行なうことなく、簡単に所望の角度に傾斜した流路を有する斜め流路板を切り取ることができる。したがって第1のローラに形成された第1のはすば歯車状の筋が延びる角度の制御さえすればよく、それにより全体の製造コストを簡素化し、製造コストを低減することができる。
上記により形成された斜め流路板と併せて、第2のローラの軸の方向に沿う第2の波形状を有する第2のローラが転写された第2の間隔板を形成すれば、簡単に、複合流路板11,12を形成することができる。
なお本実施の形態による第1の間隔板から切り取られた斜め流路板を用いれば、たとえば直線流路板は市販のものを使用したとしても、上記と同様の観点から、簡単に、複合流路板11,12を形成することができる。
本実施の形態においては第1の間隔板1bを形成する第1の素材と、第2の間隔板1aを形成する第2の素材とが間隔G(図13参照)を有するように配置された状態で、第1の波形状および第2の波形状が転写される。この間隔Gは、図12および図13において隣り合う第1のローラ21bと第2のローラ21aとの間隔に相当する。第1のローラ21bと第2のローラ21aとの間隔を設けておけば、波形状の転写加工の後に、間隔板を形成するシート状の部材が、積層される1対の第1のローラ21bなどの間に挟まれることにより発生する、微小なズレおよび歪みを許容することができる。
なお、第1のローラ21bと第2のローラ21aとの間に上記の間隔Gを設けない場合には、たとえば第1の素材の第1のローラ21bの延びる方向に関する幅を、第2の素材の第2のローラ21aの延びる方向に関する幅とわずかに異ならしめることが好ましい。このようにすれば、第1のローラ21bと第2のローラ21aとの間に上記の間隔Gを設ける場合と同様に、微小なズレおよび歪みを許容する効果を有する。
一方、本実施の形態においては、間隔板を形成する工程において、第1の間隔板1bの第1の波形状と、第2の間隔板1aの第2の波形状とは別個の部材に形成される必要はなく、同一の素材に互いに並ぶように形成されてもよい。
たとえば紙などの軟らかい素材に波形状を転写する場合には、ローラと転写される素材との間の摩擦の差異等の様々な原因により、第1のローラ21bによる転写と第2のローラ21aとによる転写とを同一の素材に対して互いに並ぶように形成することは困難な場合がある。しかしそのような摩擦の差異などを考慮する必要がない素材、たとえば金属材料などのシート部材に波形状を転写して間隔板を形成する場合には、同一の素材に第1の波形状と第2の波形状とを並べて形成することができる。このようにすれば、第1の波形状を有する斜め流路板の部分と第2の波形状を有する直線流路板の部分とが一体として形成可能となる。このため斜め流路板と直線流路板とを位置決めしてテープで接合する工程を削除することができる。つまり生産工程の削減により製造コストを削減することができる。
以上の本実施の形態においては、第1のローラによる第1の波形状と、第2のローラによる第2の波形状とが同時に形成される。このため両者が別工程で形成される場合に比べて生産工程のタクトタイムを削減することができ、製造コストを削減することができる。また波形状の形成による間隔板の形成工程と、その後工程である仕切り板の接着工程および各形状への切断工程を一連の流れで実施することができる。
ところで、上記のように(図14、図15およびその説明箇所参照)、本実施の形態においては複合流路板11,12の接合部において、直線流路板と斜め流路板との波形状の位相が合うように接合されることが好ましい。ただし、図22〜図24のように第2のローラに相当するローラから転写される、矩形状の外縁に沿って延びる波形状を有する流路板ベース部材のみから直線流路板と斜め流路板との双方を切り取る場合には、切り取られる両部材の間で波形状の位置ずれが不可避となる。直線流路板の波形状の筋間距離と斜め流路板の波形状の筋間距離とが異なるためである。しかし図22〜図24の場合のように、互いに筋間距離の異なる直線流路板および斜め流路板を繋いで熱交換素子を形成しても、両者の接合部にて流路が塞がり、流体の流通が困難となるなどの問題は特に生じない。波形状の位相がたとえずれても最小限の隙間は形成され、流路を確保することは可能となるためである。このため本実施の形態においても、接合される直線流路板と斜め流路板との波形状の位相がずれていても特に問題は生じず、特許性を失わない。
実施の形態2.
図25は、実施の形態2における第1の間隔板および第2の間隔板を形成する工程において用いられる歯車状ローラの配置態様を示す概略斜視図である。図26は図25の歯車状ローラを用いて第1の間隔板および第2の間隔板が形成される工程を示す概略平面図である。図25および図26を参照して、これらの図が示す本実施の形態での第1の間隔板1bおよび第2の間隔板1aを形成する工程は、基本的に図12および図13に示す実施の形態1での第1の間隔板1bおよび第2の間隔板1aを形成する工程と同様である。このため同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
図25は、実施の形態2における第1の間隔板および第2の間隔板を形成する工程において用いられる歯車状ローラの配置態様を示す概略斜視図である。図26は図25の歯車状ローラを用いて第1の間隔板および第2の間隔板が形成される工程を示す概略平面図である。図25および図26を参照して、これらの図が示す本実施の形態での第1の間隔板1bおよび第2の間隔板1aを形成する工程は、基本的に図12および図13に示す実施の形態1での第1の間隔板1bおよび第2の間隔板1aを形成する工程と同様である。このため同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
本実施の形態においては、第1の間隔板1bとして3つの第1の間隔板1b1,1b2,1b3が、第2の間隔板1aとして2つの第2の間隔板1a1,1a2が形成される。すなわちそれぞれの間隔板を形成するための歯車状ローラ21として、3つの第1のローラ21b1,21b2,21b3と、2つの第2のローラ21a1,21a2が用いられる。この点において本実施の形態は、第1の間隔板1bとして2つの第1の間隔板1b1,1b2が、第2の間隔板1aとして1つの第2の間隔板1a1が形成され、そのために2つの第1のローラ21b1,21b2と1つの第2のローラ21aが用いられる実施の形態1と異なっている。
第1のローラ21b1により第1の間隔板1b1が、第1のローラ21b2により第1の間隔板1b2が、第1のローラ21b3により第1の間隔板1b3が、それぞれ形成される。また第2のローラ21a1により第2の間隔板1a1が、第2のローラ21a2により第2の間隔板1a2が、それぞれ形成される。なお実施の形態1と同様に、第2のローラ21a1を挟むように1対の第1のローラ21b1,21b2のそれぞれが並ぶように配置される。また第2のローラ21a2を挟むように1対の第1のローラ21b2,21b3のそれぞれが並ぶように配置される。
以上を簡単に言い換えれば、本実施の形態においては、実施の形態1に対して、第1のローラ21b3および第2のローラ21a2が第1のローラ21b2から見てこの順に一直線状に配置され、第1の間隔板1b3および第2の間隔板1a2がさらに形成される点において異なっている。さらに言い換えれば、本実施の形態においては、第1の間隔板1b1と第1の間隔板1b2との間に第2の間隔板1a1が形成され、第1の間隔板1b2と第1の間隔板1b3との間に第2の間隔板1a2が形成される。これら5つの間隔板が、第2の間隔板1aに形成される第2の波形状の筋が延びる方向に関して一直線状に並ぶように配置される。
したがって、これら5つ全てを、それらの連なる方向に沿うように順番に見れば、第1のローラ21b(21b1〜21b3)と第2のローラ21a(21a1,21a2)とが交互に配置されるように並ぶ。したがって、最終的に形成されるものをそれらの連なる方向に沿うように順番に見れば、第1の間隔板(第1の流路板ベース部材)1b1〜1b3と第2の間隔板(第2の流路板ベース部材)1a1,1a2とが交互に並ぶように形成される。
すなわち本実施の形態の第1の間隔板および第2の間隔板を形成する工程においては、第1のローラ21bは、第2の波形状の頂点が延びる第1の方向に沿って3つ以上並ぶように配置される。すなわち図25および図26においては3つの第1のローラ21b1〜21b3が配置されるが、4つ以上の第1のローラが配置されてもよい。また本実施の形態では、第2のローラ21aは、3つ以上の第1のローラ21b1〜21b3の間の2以上の領域のそれぞれに1つずつ配置される。
本実施の形態においても、第1のローラ21b1〜21b3による第1の波形状と、第2のローラ21a1〜21a2による第2の波形状とが同時に形成される。以上の点において本実施の形態は実施の形態1と異なり、他の点は実施の形態1と同様である。
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は実施の形態1と同様の作用効果の他に、以下の作用効果を奏する。
本実施の形態においても実施の形態1と同様に、第1の間隔板1bと第2の間隔板1aとを同時に形成することができる。また本実施の形態においては第1のローラ21bおよび第2のローラ21aを実施の形態1よりも多数並べている。このため実施の形態1よりも多数の第1の間隔板1bと第2の間隔板1aとを、単一の工程により一括で加工することができる。すなわち本実施の形態によれば、実施の形態1よりも多数の複合流路板を、単一の工程により一括で加工することができる。
実施の形態3.
図27は、実施の形態3において第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材から複合流路板が切断される態様を示す概略平面図である。図27を参照して、本実施の形態においても実施の形態2と同様に、第1のローラ21b(21b1〜21b3)と第2のローラ21a(21a1,21a2)とが、それらの連なる方向について交互に並ぶように配置される。そのため、第1の間隔板1bとして3つの第1の間隔板1b1,1b2,1b3が、第2の間隔板1aとして2つの第2の間隔板1a1,1a2が、それらの連なる方向について交互に並ぶように形成される。これらの間隔板に仕切り板2が接着されることにより第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材が交互に並ぶように形成される。それらから直線流路板および斜め流路板が切り取られることにより、第1の複合流路板11および第2の複合流路板12が形成される。以上については本実施の形態においても実施の形態1,2と同様である。
図27は、実施の形態3において第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材から複合流路板が切断される態様を示す概略平面図である。図27を参照して、本実施の形態においても実施の形態2と同様に、第1のローラ21b(21b1〜21b3)と第2のローラ21a(21a1,21a2)とが、それらの連なる方向について交互に並ぶように配置される。そのため、第1の間隔板1bとして3つの第1の間隔板1b1,1b2,1b3が、第2の間隔板1aとして2つの第2の間隔板1a1,1a2が、それらの連なる方向について交互に並ぶように形成される。これらの間隔板に仕切り板2が接着されることにより第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材が交互に並ぶように形成される。それらから直線流路板および斜め流路板が切り取られることにより、第1の複合流路板11および第2の複合流路板12が形成される。以上については本実施の形態においても実施の形態1,2と同様である。
図27に示すように、本実施の形態においては、第2のローラの第2の波形状の頂点が延びる第1の方向(図の上下方向)に沿って3つ並ぶように形成される第1の流路板ベース部材の間の2つの領域のそれぞれに第2の流路板ベース部材が1つずつ形成される。ここでの第1の流路板ベース部材は、第1の間隔板1b1,1b2,1b3を含む部材であり、第2の流路板ベース部材は、第2の間隔板1a1,1a2を含む部材である。図27においては第1の流路板ベース部材は3つ並ぶが、4つ以上並んでもよい。また図27においては第2の流路板ベース部材は2つ並ぶが、3つ以上並んでもよい。
ここで、斜め流路板を形成する工程および直線流路板を形成する工程において、2以上形成される第2の流路板ベース部材のうち、第1の流路板ベース部材と第2の流路板ベース部材とが並ぶ方向(図の上下方向)に関する一方の第2の流路板ベース部材が切り取られる一方の直線流路板11a1を考える。つまりここでは説明を簡略化するために一例として第2の流路板ベース部材は2つ形成されるものとする。また上記の一方の直線流路板11aを挟むように1対形成される、一方の斜め流路板11b1,11b2を考える。つまりここで一方の直線流路板11aおよび一方の斜め流路板11b1,11b2が形成される(切り取られる)一方とは、図27の上側を意味する。一方の直線流路板11aおよび1対の一方の斜め流路板11b1,11b2により、一方の複合流路板11が形成される。図27においては左右方向に並ぶように2つの一方の複合流路板11が形成される。
また第1の流路板ベース部材と第2の流路板ベース部材とが並ぶ方向(図の上下方向)に関する上記一方(図27の上側)とは反対側の他方(図27の下側)の第2の流路板ベース部材が切り取られる。この第2の流路板ベース部材が切り取られることによる他方の直線流路板11a2dを挟むように1対形成される、他方の斜め流路板11b2d,11b3dを考える。他方の直線流路板11a2dおよび1対の他方の斜め流路板11b2d,11b3dにより、他方の複合流路板11dが形成される。
本実施の形態においては、上記の一方の直線流路板11a1およびそれを挟む1対の一方の斜め流路板11b1,11b2と、他方の直線流路板11a2dおよびそれを挟む1対の他方の斜め流路板11b2d,11b3dとは、互いに千鳥状となるように切り取られる。すなわち、一方の複合流路板11と、他方の複合流路板11dとは、互いに千鳥状となるように切り取られる。
一方の複合流路板11に含まれる一方の斜め流路板11b2と、他方の複合流路板11dに含まれる他方の斜め流路板11b2dとは、同一の第1の流路板ベース部材すなわち同一の第1の間隔板1b2から得られる部材から切り取られる。一方の斜め流路板11b2と他方の斜め流路板11b2dとは、図27において互いに上下逆さまの三角形状となるように切り取られる。図27の左右方向に関しては、2つ並ぶ一方の複合流路板11の間に、他方の複合流路板11dが配置されるように形成される。
以上の点において本実施の形態は実施の形態1,2と異なり、他の点は本実施の形態は実施の形態1,2と同様である。このため実施の形態1,2と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
次に、図28の比較例を参照しながら、本実施の形態の作用効果について説明する。
図28は、実施の形態3の比較例として、第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材から複合流路板が切断される態様を示す概略平面図である。図28を参照して、ここでは実施の形態1と同様に、第1のローラ21bとして2つ(21b1,21b22)、第2のローラ21aとして1つ(21a)のみが用いられ、2つの第1の間隔板1b1,1b2と1つの第2の間隔板1aのみ形成される。この場合において、図27と同様にこれらの間隔板(から形成される流路板ベース部材)から第1の複合流路板11を切り取る。
図28は、実施の形態3の比較例として、第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材から複合流路板が切断される態様を示す概略平面図である。図28を参照して、ここでは実施の形態1と同様に、第1のローラ21bとして2つ(21b1,21b22)、第2のローラ21aとして1つ(21a)のみが用いられ、2つの第1の間隔板1b1,1b2と1つの第2の間隔板1aのみ形成される。この場合において、図27と同様にこれらの間隔板(から形成される流路板ベース部材)から第1の複合流路板11を切り取る。
この場合、左右方向に並ぶように2つの第1の複合流路板11を切り取ることができる。しかし当該2つの第1の複合流路板11を切り取る際に、同一の第1の流路板ベース部材すなわち同一の第1の間隔板1b2から切り取られる2つの一方の斜め流路板11b2の間にできる三角形の部分を他方の斜め流路板11b2dとして複合流路板を切り取ることができない。このため、第1の間隔板1b2から切り取られる2つの一方の斜め流路板11b2の間にできる三角形の部分は斜め流路板のヘッダー部分として用いることができず廃棄することになる。同一の第1の間隔板1b1から切り取られる2つの一方の斜め流路板11b1の間にできる三角形の部分についても同様である。
しかし図27に示すように、本実施の形態のように第1の間隔板(流路板ベース部材)および第2の間隔板(流路板ベース部材)が合計5列以上並ぶように形成されれば、上記の図28において廃棄される部分を斜め流路板11b2dのヘッダー部分として用い、他方の複合流路板11dを形成することができる。このため第1の流路板ベース部材および第2の流路板ベース部材において、斜め流路板のヘッダー部分を切り取ることができない領域を減らすことができ、部材の利用効率を高めることができる。
実施の形態4.
図29は、実施の形態4における熱交換素子の製造方法として、これを構成するための流路板ベース部材を形成する工程の原理を示す概略側面図である。図29を参照して、当該図は実施の形態1における図7に対応する。すなわち、図7においては流路板ベース部材を形成する際に、一例として間隔板1の谷形の筋の部分に接着剤23が塗布され、ここに仕切り板2が接着される。これに対して図29においては流路板ベース部材を形成する際に、図7とは異なる他の例として間隔板1の山形の筋の部分に接着剤23が塗布され、ここに仕切り板2が接着される。この点においてのみ図29は図7と異なり、他の点については図29は図7と同様である。このため図29において図7と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
図29は、実施の形態4における熱交換素子の製造方法として、これを構成するための流路板ベース部材を形成する工程の原理を示す概略側面図である。図29を参照して、当該図は実施の形態1における図7に対応する。すなわち、図7においては流路板ベース部材を形成する際に、一例として間隔板1の谷形の筋の部分に接着剤23が塗布され、ここに仕切り板2が接着される。これに対して図29においては流路板ベース部材を形成する際に、図7とは異なる他の例として間隔板1の山形の筋の部分に接着剤23が塗布され、ここに仕切り板2が接着される。この点においてのみ図29は図7と異なり、他の点については図29は図7と同様である。このため図29において図7と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
つまり本実施の形態においても実施の形態1と同様に、たとえば第1のはすば歯車を有する第1のローラ21bを用いて、図13などと同様の処理がなされる。これにより第1の間隔板1b1,1b2が形成される。その後図7のようにたとえば第1の間隔板1bに転写された第1の波形状の谷側の頂点に接触するように仕切り板2が接着されることにより、谷側流路板ベース部材が形成される。またその後図29のようにたとえば第1の間隔板1bに転写された第1の波形状の、谷側の頂点とは反対側の山側の頂点に接触するように仕切り板2が接着されることにより、山側流路板ベース部材が形成される。
たとえば谷側流路板ベース部材は、実施の形態1で示すように、第1の流路板ベース部材であり、そこから第1の複合流路板を形成可能であるとする。この場合、山側流路板ベース部材は、第2の流路板ベース部材であり、そこから第2の複合流路板が形成可能となる。仕切り板2を接着する側を互いに反対側とすることにより、第1の複合流路板および第2の複合流路板のように、互いに波形状の筋が延びる方向が反対側(互いに対称)となる2つの流路板ベース部材(複合流路板)を形成可能となる。
つまり同じ波形状を有する間隔板であっても、その山側に仕切り板2を接着するか、その谷側に仕切り板2を接着するかにより、斜め流路板を形成すべく筋の延びる方向が互いに逆方向(対称となる方向)となる。したがって、1種類のはすば歯車状を有するたとえば第1のローラ21bから形成された同一態様の第1の間隔板1b1,1b2のみから、仕切り板2を接着する側を山側とするか谷側とするかを変えるだけで、第1の流路板ベース部材および第2の流路ベース部材の双方が形成可能である。
その後、第1の間隔板から得られた谷側流路板ベース部材から切断される複合流路板としての第1の複合流路板11と、第1の間隔板から得られた山側流路板ベース部材から切断される複合流路板としての第2の複合流路板12とが、図1、図21と同様に交互に積層され接着される。なお上記と同様に、第2の間隔板のたとえば山側の筋に仕切り板2を接着して第1の複合流路板11を得、第2の間隔板のたとえば谷側の筋に仕切り板2を接着して第2の複合流路板12を得てもよい。
本実施の形態によれば、第1の複合流路板11を形成するための第1のはすば歯車を有する第1のローラ21bと、第2の複合流路板12を形成するための第2のはすば歯車を有する第2のローラ21aとの双方を準備する必要がなくなる。つまり本実施の形態の手法によれば、図21のような第1の複合流路板11および第2の複合流路板12の積層構造を得るために、第1のローラ21bと第2のローラ21aとの一方のみを準備すれば十分となる。第1のローラ21bと第2のローラ21aとの一方のみを準備すれば、後は仕切り板を貼る方向を変えるだけで、斜め順方向流路板11bと斜め逆方向流路板12bとの双方を得ることができる。したがって実施の形態1のように波形状を転写する加工機の構成を2種類に変更する必要がなくなり、準備されるべき部材の数、加工プログラムの数などを削減することができる。このため製造コストを低減することができる。
実施の形態5.
図30および図31は、実施の形態5における熱交換素子の製造方法として、これを構成するための流路板ベース部材を形成する工程の原理を示す概略側面図である。図30お図30は実施の形態1の図6に対応する。図31は実施の形態1の図7に対応する。このため図30および図31を参照して、図6および図7と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
図30および図31は、実施の形態5における熱交換素子の製造方法として、これを構成するための流路板ベース部材を形成する工程の原理を示す概略側面図である。図30お図30は実施の形態1の図6に対応する。図31は実施の形態1の図7に対応する。このため図30および図31を参照して、図6および図7と同一の構成要素には同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
図30および図31に示すように、本実施の形態においても基本的に実施の形態1と同様に波形状が形成されることで間隔板1が形成され、そこに仕切り板2が接着されることで流路板ベース部材が形成される。ただし図30においては、歯車状ローラ21が3段積まれている。つまり1段目の歯車状ローラ21と2段目の歯車状ローラ21との間に挟まれるシート部材と、2段目の歯車状ローラ21と3段目の歯車状ローラ21との間に挟まれるシート部材とにより、2枚のシート部材に対して同時に波形状が転写される。なおこれら3つの歯車状ローラ21は、第1のローラ21bであっても第2のローラ21aであってもよい。ただしこれら3つの歯車状ローラ21は3つとも同一のローラ、すなわち3つとも第1のローラ21bであるか、3つとも第2のローラ21aであることが好ましい。このようにすれば、実施の形態4と同様に、2つのシート部材は、いずれも同一種類の間隔板1として形成される。一例としてここでは2つのシート部材はいずれも第1の間隔板1bとして形成されるとする。ただし2つのシート部材はいずれも第2の間隔板1aとして形成されてもよい。
そして図31に示すように、図の上側の第1の間隔板1bにはその上側から、すなわち実施の形態4における山側の頂点に接触するように仕切り板2が接着される。また図の下側の第1の間隔板1bにはその下側から、すなわち実施の形態4における谷側の頂点に接触するように仕切り板2が接着される。これにより、図31の下側には谷側流路板ベース部材が、図31の上側には山側流路板ベース部材が、同時に形成される。実施の形態4と同様に、たとえば谷側流路板ベース部材からは第1の複合流路板11が、山側流路板ベース部材からは第2の複合流路板12が、切り取り可能である。
以上のように、本実施の形態では、実施の形態1(図6〜図7)の流路板ベース部材の製造方法と、実施の形態4(図29)による1種類の間隔板から2種類の流路板ベース部材を形成する工程とが組み合わされている。これにより、1種類の歯車状ローラ21(間隔板1)から、2種類の複合流路板11,12が、同時に形成される。これにより、実施の形態4と同様の作用効果を奏しつつ、さらに製造工程のタクトタイムを短縮させることができる。したがって実施の形態4よりもさらに製造コストを削減することが期待できる。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 間隔板、2 仕切り板、3,4 コルゲートロール、11 第1の(一方の)複合流路板、11a,11a1,11a2d,12a 直線流路板、11b,11b1,11b2,11b2d,11b3d,12b,12b1,12b2 斜め流路板、11c,11c1,11c2,12c,12c1,12c2 接合部、11d 他方の複合流路板、12 第2の複合流路板、13 テープ、21 ローラ、21a 第2のローラ、21b,21b1,21b2 第1のローラ、22 接着剤塗布ローラ、23 接着剤、24 加圧ローラ、25 加工軸部材、100,200 熱交換素子。
Claims (10)
- 少なくとも1つ以上の第1のローラの軸の延びる方向に対して傾斜する方向に延びる第1の波形状を有する第1の歯車を用いて、前記第1の波形状を転写することにより、前記第1の波形状の流路を有する第1の間隔板を形成する工程と、
前記第1の間隔板の前記第1の波形状の頂点に第1の仕切り板を接着し第1の流路板ベース部材を形成する工程と、
前記第1の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより斜め流路板を形成する工程とを備える、熱交換素子の製造方法。 - 少なくとも1つ以上の第2のローラの軸の延びる方向に沿って延びる第2の波形状を有する第2の歯車を用いて、前記第2の波形状を転写することにより、前記第2の波形状の流路を有する第2の間隔板を形成する工程と、
前記第2の間隔板の前記第2の波形状の頂点に第2の仕切り板を接着し第2の流路板ベース部材を形成する工程と、
前記第2の流路板ベース部材の一部を切り取ることにより直線流路板を形成する工程と、
前記斜め流路板と前記直線流路板とからなる複合流路板を形成する工程とを備える、請求項1に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記第1の間隔板を形成する工程においては、前記斜め流路板の前記第1の波形状を形成するための第1の素材が用いられ、
前記第2の間隔板を形成する工程においては、前記直線流路板の前記第2の波形状を形成するための第2の素材が用いられ、
前記第1の素材と前記第2の素材とが間隔を有するように配置された状態で、前記第1の波形状および前記第2の波形状が転写される、請求項2に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記第1の間隔板を形成する工程および前記第2の間隔板を形成する工程においては、前記斜め流路板の前記第1の波形状と、前記直線流路板の前記第2の波形状とが同一の素材に互いに並ぶように形成される、請求項2に記載の熱交換素子の製造方法。
- 前記第1の間隔板を形成する工程および前記第2の間隔板を形成する工程においては、前記第2のローラを挟むように1対の前記第1のローラが、前記第2の波形状の頂点が延びる第1の方向に沿って並ぶように配置され、
前記第1の間隔板を形成する工程および前記第2の間隔板を形成する工程においては、前記第1のローラによる前記第1の波形状と、前記第2のローラによる前記第2の波形状とが同時に形成される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記第1の間隔板を形成する工程および前記第2の間隔板を形成する工程においては、前記第1のローラは、前記第1の方向に沿って3つ以上並ぶように配置され、前記第2のローラは、3つ以上の前記第1のローラの間の2以上の領域のそれぞれに1つずつ配置され、
前記第1のローラによる前記第1の波形状と、前記第2のローラによる前記第2の波形状とが同時に形成される、請求項5に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記第1の方向に沿って3つ以上並ぶように形成される前記第1の流路板ベース部材の間の2以上の領域のそれぞれに前記第2の流路板ベース部材が1つずつ形成され、
前記斜め流路板を形成する工程および前記直線流路板を形成する工程においては、前記2以上の領域のそれぞれに形成される前記第2の流路板ベース部材のうち、前記第1の流路板ベース部材と前記第2の流路板ベース部材とが並ぶ方向に関する一方の前記第2の流路板ベース部材が切り取られることによる一方の前記直線流路板および前記一方の直線流路板を挟むように1対形成される一方の前記斜め流路板と、前記第1の流路板ベース部材と前記第2の流路板ベース部材とが並ぶ方向に関する前記一方とは反対側の他方の前記第2の流路板ベース部材が切り取られることによる他方の前記直線流路板および前記他方の直線流路板を挟むように1対形成される他方の前記斜め流路板とが千鳥状に切り取られる、請求項6に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記第1の流路板ベース部材を形成する工程および前記第2の流路板ベース部材を形成する工程においては、前記第1の間隔板の前記第1の波形状の山側の頂点に接触するように仕切り板が接着された山側流路板ベース部材と、前記第1の間隔板の前記第1の波形状の、前記山側の頂点と反対側の谷側の頂点に接触するように仕切り板が接着された谷側流路板ベース部材とが形成され、
前記谷側流路板ベース部材から切断される前記複合流路板としての第1の複合流路板と、前記山側流路板ベース部材から切断される前記複合流路板としての第2の複合流路板とが交互に積層され接着される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の熱交換素子の製造方法。 - 前記山側流路板ベース部材を形成する工程と、前記谷側流路板ベース部材を形成する工程とは同時になされる、請求項8に記載の熱交換素子の製造方法。
- 波形状を有する少なくとも1枚の間隔板と、
平面状を有し、前記間隔板に貼り合わせられる仕切り板とを備え、
前記間隔板の前記波形状は、第1の波形状と、前記第1の波形状が延びる方向とは異なる方向に延びる第2の波形状とが連続している、流路板。
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