JP2019168048A - 鉄道車両車軸軸受 - Google Patents

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Kengo Suzuki
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Abstract

【課題】シールリップとこのシールリップが摺接する摺接面に対する摺動速度(摺接速度)を低減し、発生する発熱を抑制することができ、シールリップ及び摺接面の摩耗の進展を遅らせることが可能である鉄道車両車軸軸受を提供する。【解決手段】内輪を挟んで軸端側に油切り、その反対側に後蓋が、それぞれ配置されるとともに、軸方向両端部を密封装置で密封した鉄道車両車軸軸受である。油切りと後蓋との少なくともいずれか一方を、車軸に嵌合する軸嵌合部材と、密封装置のシールリップが摺接するリップ摺接部材とに分割する。軸嵌合部材とリップ摺接部材との間に、転動自在に介在されるボールと、ボールを円周方向で所定の間隔に保持する保持器とを介在させた。【選択図】図1

Description

本発明は、鉄道車両車軸軸受に関する。
鉄道車両車軸軸受は、一般的には、図10に示すように、車軸1に嵌合させた内輪2,2と、軸箱(図示省略)に嵌合させた外輪3と、内輪2,2の軌道2a,2aと外輪3の軌道3a,3aとの間に転動自在に介在される転動体4と、転動体4を円周方向で所定の間隔に保持する保持器5,5とを備える。また、一対の内輪2,2を挟んで、軸端側に油切り6、その反対側に後蓋7がそれぞれ配している。
外輪3の軸方向両端部には、異なる内径の円筒部材が連結されて段を有する筒状のシールケース10、10が配置されている。また、各シールケース10の内周側には、環状のオイルシール11が取り付けられ、軸受の内部に、ごみ,水分,異物等が外部から侵入することを防ぐとともに、軸受内のグリース等の潤滑剤が外部に漏出することを防いでいる。
図11に後蓋7側のオイルシール11を示し、このオイルシール11は、全体としては環状で断面略コ字状の仕切り板12と、仕切り板12に内装されたシール部材13とで構成されている。シール部材13はゴム等の樹脂で形成されたシールリップ13aと芯金13bで構成されている。このようなオイルシール11は、その仕切り板12の外周側がシールケース10の内周側に固着され、オイルシール11の内周側に位置するシール部材13が後蓋7の外周面に摺接することで、軸受内部を外部から密閉している。
この場合のシール部材13は、図11に示すように、内側リップ14と、内側リップ14から間隔を隔てて配置されている外側リップ15とを有している。これら内側リップ14及び外側リップ15は、オイルシール11の全周にわたって配置されており、鉄道車両用転がり軸受が作動している際には、両リップ14,15が後蓋7の外周面にて構成される摺接面7aと摺動している。内側リップ14には、内側リップ14を後蓋7の外周面(摺接面)7aに向けて付勢するためのガータスプリング16が取り付けられている。
なお、油切り6側のオイルシール11も後蓋7のオイルシール11と同様の構成となっている。このため、シール部材13の両リップ14,15が油切り6の外周面にて構成される摺接面6aと摺動している。
このようにガータスプリング16を用いた場合、シールリップ14,15が摺動面に対して緊迫力を有し、軸受サイズや回転速度の増大に伴い、シールリップ14,15の摺動速度(摺接速度)も増加し、発熱が大きくなる。
近年、車両重量や速度の増加により軸受サイズや回転速度が増大傾向にあるため、現在のオイルシール仕様では発熱が大きくなり、許容温度を超える場合がある。シールの発熱抑制には緊迫力の低減が最も有効であり、そのためにはシールリップと摺接面の締め代レンジをより厳しく管理する必要があるが、現状の工程能力では対応が不可能な状況にある。
そこで、従来には、図12に示すように、両リップ14,15のうち摺接面7aには、硬質炭素被膜Cを形成したものが提案されている(特許文献1)。すなわち、「硬質炭素被膜は摺動性に優れ低摩擦性であるので、シールが摩耗しにくく鉄道車両用転がり軸受装置の密封性が長期間にわたって維持される。また、鉄道車両用転がり軸受装置の回転トルクが小さいので、鉄道車両の燃費の向上につながる。」というものである。
特開2006−275231号公報
前記特許文献1に記載されているように硬質炭素被膜Cを形成したものでは、硬質炭素被膜Cの密着強度が十分でない場合やリップ14,15が変形した場合に剥離が生じるおそれがある。このように剥離が生じれば、剥離片が軸受内部に存在することになる。剥離片が存在していれば、シール部材13や軸受の構成部品のいずれかが損傷したりするおそれがある。
また、摺接面を構成する油切り6および後蓋7の硬度は、硬質炭素被膜Cの硬度よりも低くなっている。このため、摺接面に摩耗が生じ、定期検査時の油切り6および後蓋7の交換頻度が増加することになる。
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、シールリップとこのシールリップが摺接する摺接面に対する摺動速度(摺接速度)を低減し、発生する発熱を抑制することができ、シールリップ及び摺接面の摩耗の進展を遅らせることが可能である鉄道車両車軸軸受を提供するものである。
本発明の鉄道車両車軸軸受は、車軸に嵌合させた内輪と、軸箱に嵌合させた外輪と、内輪の軌道と外輪の軌道との間に転動自在に介在される転動体と、転動体を円周方向で所定の間隔に保持する保持器とを備え、内輪を挟んで軸端側に油切り、その反対側に後蓋が、それぞれ配置されるとともに、軸方向両端部を密封装置で密封した鉄道車両車軸軸受であって、油切りと後蓋との少なくともいずれか一方を、前記車軸に嵌合する軸嵌合部材と、密封装置のシールリップが摺接するリップ摺接部材とに分割するとともに、軸嵌合部材とリップ摺接部材との間に、転動自在に介在されるボールと、ボールを円周方向で所定の間隔に保持する保持器とを介在させたものである。
本発明の鉄道車両車軸軸受によれば、シールリップが摺接する部材(油切りと後蓋との少なくともいずれか一方の部材)を軸嵌合部材とリップ摺接部材に分けて、これらの間にボールを配列させたので、軸受回転時に、軸嵌合部材に対しリップ摺接部材の回転速度が低くなり、シールリップと摺接面の摺動速度(摺接速度)及び発熱を低減することができる。
ボール潤滑用の熱固化型グリースを封入するのが好ましい。熱固化型グリースは、潤滑グリースと樹脂を主成分とした潤滑剤であり、初期状態では流動性を有していて、熱を与えることによって固形化するものであり、封入後に加熱により固形化される。このため、熱固化型グリースを用いれば、漏れが生じず、潤滑性を長期にわたって確保できる。
前記リップ摺接部材に、リップ間と軸受内部及び外部との差圧発生防止用の径方向孔を設けたものであってもよい。このような径方向孔を設けることによって、密閉空間と他の空間との差圧によって生じるリップの変形を阻止することができて、リップと油切り(後蓋)の摺接面との腹当たりを防止する。すなわち、腹当たりを起こして、リップの緊迫力が大きくなることもない。したがって、リップの腹当たりに起因するトルクの上昇が起こることがない。
前記径方向孔は、その直径が1mm〜2mmの円形孔であり、かつ、周方向の所定ピッチで少なくとも2箇所に有するものとすることができる。
前記径方向孔の少なくとも一方の開口部を、透湿防水防油性の通気フィルターにて蓋をすることができる。このように通気フィルターにて蓋をすることによって、ボール潤滑用の熱固化型グリースが、径方向孔から軸受外部等へ漏れるのを有効に防止できる。ここで、透湿防水防油性とは、水及び油を遮断するが、湿気(水蒸気)を通過させる性能である。
前記リップ摺接部材の内径面を、軸方向外方から軸方向内方に向かって拡径するテーパ面とすることができる。このように、テーパ面とすることによって、熱固形型グリースの潤滑成分が軸方向外方側へ流出しようとしても回転の遠心力により軸受内部へ戻るようにできる。
本発明では、軸受回転時に、軸嵌合部材に対しリップ摺接部材の回転速度が低くなり、シールリップと摺接面の摺動速度(摺接速度)及び発熱を低減することができる。これによって、シールリップ及び摺接面の摩耗の進展を遅らせることができ、密封装置の耐用寿命を延ばすことができる。
本発明の鉄道車両車軸軸受の断面図である。 図1に示す鉄道車両車軸軸受の油切り側の密封装置の断面図である。 油切りの要部拡大断面図である。 図1に示す鉄道車両車軸軸受の後蓋側の密封装置の断面図である。 後蓋の要部拡大断面図である。 軸嵌合部材とリップ摺接部材との間に介在されるボールと保持器を示す拡大側面図である。 径方向孔が形成されたリップ摺接部材を備えた鉄道車両車軸軸受の要部拡大断面図である。 径方向孔が通気フィルターにて蓋をされているリップ摺接部材の拡大断面図である。 内径面がテーパ面とされたリップ摺接部材を備えた鉄道車両車軸軸受の要部拡大断面図である。 従来の鉄道車両車軸軸受の断面図である。 図10の要部拡大断面図である。 図11の要部拡大断面図である。
以下本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。図1は本発明の鉄道車両車軸用軸受の要部拡大断面図を示している。鉄道車両車軸用軸受は、車軸20の小径端部20aに装着されるものであって、外輪21と、一対の内輪22、22と、複数の転動体23を主要な構成要素としている。外輪21は内周に二列の軌道21a、21aを形成した複列外輪である。各内輪22,22は外周に軌道22a、22aが形成してある。外輪21の軌道21aと内輪22の軌道22aとの間に二列の転動体23(本実施形態では円すいころ)を転動自在に介在させている。なお、各列の円すいころ23は保持器24によって円周方向に所定の間隔に保持される。
外輪21は軸箱(図示省略)に固定され、その軸箱は台車枠等に固定される。一対の内輪22、22の一方の軸端側に油切り25が配設されるとともに、一対の内輪22,22の他方の軸端側に後蓋26が配設されている。一対の内輪22,22と油切り25と後蓋26とが車軸20の小径端部20aに外嵌固定される。また、内輪22は、その軌道22aの大径側に大鍔22bを有し、その軌道22aの小径側に小鍔22cを有する。なお、一対の内輪22,22間にはスペーサ27が介在されている。
外輪21の軸方向両端部に密封装置S、Sを配置している。図2に油切り25側の密封装置Sを示し、この密封装置Sは、外輪21の後端部に嵌合固定されるシールケース32と、このシールケース32に内装されるシール部材33とを備える。シールケース32は、図1に示すように、大径部32aと中径部32bと小径部32cとを有する段付き円筒形状体からなる。このため、大径部32aと中径部32bとの間に段付き部32dが設けられ、中径部32bと小径部32cとの間に段付き部32eが設けられる。そして、図2に示すように、大径部32aが外輪21の端部に設けられた周方向切欠部21bに嵌入され、中径部32bにシール部材33が収納されている。
また、シールケース32には、図2に示すように、仕切板35が中径部32b内に配設され、この仕切板35内にシール部材33が収納されている。仕切板35は、平板リング部35aと、この平板リング部35aの外周縁から軸方向に延びる短円筒部35bとからなり、短円筒部35bが中径部32bに内嵌固定されている。
シール部材33は、金属製の芯金36と、芯金36の先端部に一体形成され、ゴムあるいは樹脂等の弾性材料からなる先端リップ部37とを具備する。芯金36の外周面が仕切板35の短円筒部35bに圧入固定され、芯金36の外側端面36aがシールケース32の段付き部32eの内面に当接している。先端リップ部37は、軸受内部側のメインリップ37aと、軸受外部側のダストリップ37bとを有し、各リップ37a、37bが軸方向に離隔した2箇所で全周にわたって、油切り25の後述する摺接面25aに弾性的に接触する。メインリップ37aの外周にはガータスプリング38が装着され、ガータスプリング38の弾性力によって、メインリップ37aの摺接面への接触圧が強化されている。
また、後蓋26側の密封装置Sも、図4に示すように、油切り25側の密封装置Sと同様の構造となっている。すなわち、後蓋26側の密封装置Sは、外輪21の後端部に嵌合固定されるシールケース32と、このシールケース32に内装されるシール部材33とを備える。この場合、先端リップ部37のリップ37a、37bが軸方向に離隔した2箇所で全周にわたって、後蓋26の摺接面26aに弾性的に接触する。
油切り25は、図2に示すように、車軸に嵌合する軸嵌合部材40(40A)と、密封装置のシールリップが摺接するリップ摺接部材41(41A)とに分割され、軸嵌合部材40Aとリップ摺接部材41Bとの間に、転動自在に介在されるボール42(42A)と、ボールを円周方向で所定の間隔に保持する保持器43(43A)とを介在させている。また、後蓋26も、図4に示すように、車軸に嵌合する軸嵌合部材40(40B)と、密封装置のシールリップが摺接するリップ摺接部材41(41B)とに分割され、軸嵌合部材40Bとリップ摺接部材41Bとの間に、転動自在に介在されるボール42(42B)と、ボール42Bを円周方向で所定の間隔に保持する保持器43(43B)とを介在させている。
油切り25の軸嵌合部材40Aは、反内輪側の周方向切欠部45aを有するリング体部45と、このリング体部45の反内輪側の外径へ突出する外鍔部46とを有するものである。なお、外鍔部46に軸方向内方に開口する周方向凹溝46aが形成され、この周方向凹溝46aにシールケース32の小径部32cが遊嵌状に嵌入されている。すなわち、ラビリンス構造が形成される。リング体部45の外径面45bにはボール42Aが転動する転動面47が、軸方向に沿って所定ピッチで3本形成されている。
後蓋26の軸嵌合部材40Bは、内径面にテーパ面部50aと円筒面部50bとを有する短円筒体部50と、この短円筒体部50の反内輪側の外径へ突出する外鍔部51とを有するものである。なお、外鍔部51に軸方向内方に開口する周方向凹溝51aが形成され、この周方向凹溝51aにシールケース32の小径部32cが遊嵌状に嵌入されている。すなわち、ラビリンス構造が形成される。この短円筒体部50の外径面50cにはボール42Bが転動する転動面47が、軸方向に沿って所定ピッチで3本形成されている。
また、図3と図5に示すように、各リップ摺接部材41A、41Bは円筒体からなり、その内径面41A1,41B1に、ボール42A,42Bが転動する転動面48、48が、軸方向に沿って所定ピッチで3本形成されている。軸嵌合部材40A,40B側の転動面47、47と、リップ摺接部材41A,41B側の転動面48、48とが径方向で相対向し、相対向する転動面47、48間にボール42A,42Bが転動自在に嵌合されている。各ボール42A、42Bは、図6に示すように、周方向に沿って所定ピッチで複数個配設される。そして、リップ摺接部材41A、41Bの外径面にシール部材33、22のリップ部37a、37b、37a、37bが摺接(摺動)する摺接面25a,26aが形成される。
ボール42A,42Bは、例えば、鋼製、黄銅製、又はセラミック製であり、直径が1mm〜5mm程度の球体からなる。この場合、予めボール・保持器・潤滑剤(後述)を軸嵌合部材の各転走面上に組立て、熱したリップ摺接部材を焼嵌めする組立方法、もしくは予めボール・保持器・潤滑剤(後述)をリップ摺接部材の転走面上で組立て、冷やした軸嵌合部材を冷し嵌めする組立方法が望ましい。ボール42A,42Bを等間隔に保持する保持器43A,43Bは、組立性を容易にするため、樹脂製の波型爪嵌合方式が望ましいが、鋼製の鋲締結方式、黄銅製のボール強制嵌合(かち込み)方式でも良い。
ボール転動部位(ボール外面と、このボール42A、42Bを保持している保持器43A,43Bの保持面との間)の潤滑はグリースとし、漏れを生じず潤滑性を確保するため、熱固化型グリースをボール42A、42B間の保持器側面に封入することが望ましい。熱固化型グリースは、潤滑グリースと樹脂を主成分とした潤滑剤であり、初期状態では流動性を有していて、熱を与えることによって固形化するものであり、封入後に加熱により固形化される。
なお、車軸20の小径端部20aの軸端部に、前蓋28が取付られている。前蓋28は、円盤形状の本体部28aと、この本体部28aから車軸側へ突設される内鍔部28bとを有する。そして、車軸20の小径端部20aの端面に螺着されるボルト部材29を介して前蓋28が車軸20の小径端部20aに取付られる。
本発明の鉄道車両車軸軸受では、シールリップ(先端リップ部37)が摺接する部材(油切り25及び後蓋26)を軸嵌合部材40A,40Bとリップ摺接部材41A,41Bに分けて、これらの間にボール42A,42Bを配列させたので、軸受回転時に、軸嵌合部材40A,40Bに対しリップ摺接部材41A,41Bの回転速度が低くなり、シールリップ(先端リップ部37)と摺接面25a、26aの摺動速度(摺接速度)及び発熱を低減することができる。これによって、シールリップ(先端リップ部37)及び摺接面25a、26aの摩耗の進展を遅らせることができ、密封装置の耐用寿命を延ばすことができる。
ボール42A,42Bの転動部の潤滑として、熱固化型グリースを用いているので、漏れが生じず、潤滑性を長期にわたって確保できる。なお、リップ摺接部材41A,41Bの肉厚としては、例えば、2mm〜10mm程度に設定することができる。
図7では、リップ摺接部材41Bのメインリップ37aとダストリップ37bとの間に径方向孔52を設けている。この場合、径方向孔52はリップ間と軸受内部及び外部との差圧発生防止用となる。このような径方向孔52を設けることによって、密閉空間と他の空間との差圧によって生じる先端リップ部37の変形を阻止することができて、先端リップ部37と油切り25(後蓋26)の摺接面25a(26a)との腹当たりを防止する。すなわち、腹当たりを起こして、先端リップ部37のリップ37a、37bの緊迫力が大きくなることもない。したがって、先端リップ部37のリップ37a、37bの腹当たりに起因するトルクの上昇が起こることがない。
径方向孔52としては、例えば、直径が1mm〜2mmの円形孔である。すなわち、この範囲の径よりも小さければ、差圧発生防止機能を発揮しにくく、この径よりも大きければ、熱固化型グリースが外部へ漏れることになる。また、径方向孔52としては、安定した差圧発生防止機能を発揮させるために、周方向の所定ピッチで少なくとも2箇所に設けるのが好ましい。
図8に示すように、径方向孔52のいずれかの開口部(図例では、軸嵌合部材側に開口する開口部)を、透湿防水防油性の通気フィルター53で塞いでもよい。ここで、透湿防水防油性とは、水及び油を遮断するが、湿気(水蒸気)を通過させる性能であり、このような特性を有するそれ自体周知のものを用いることができる。このように通気フィルターにて蓋をすることによって、ボール潤滑用の熱固化型グリースが、径方向孔52から軸受外部等へ漏れるのを有効に防止できる。
図9では、リップ摺接部材41Bの内径面を、軸方向外方から軸方向内方に向かって拡径するテーパ面54としている。この場合、軸嵌合部材40Bのテーパ面対応面は円筒面55とされている。このため、軸方向外方位置のボール径が小径とされ、軸方向中間位置のボール径が中径とされ、軸方向内方位置のボール径が大径とされる。このように、テーパ面54とすることによって、熱固形型グリースの潤滑成分が軸方向外方側へ流出しようとしても、回転の遠心力により軸受内部へ戻るようにできる。このため、テーパ面54のテーパ角θとして、回転速度や熱固形型グリースの材質等によって変更可能であるが、例えば、1°〜10°程度に設定される。
図7から図9に示すリップ摺接部材41Bを油切り側の密封装置に用いてもよい。また、前記実施形態では、油切り6及び後蓋7を、それぞれ、軸嵌合部材40とリップ摺接部材41とに分割したものを用いたが、他の実施形態として、油切り25のみを軸嵌合部材40とリップ摺接部材41とに分割したものを用い、別の実施形態として、後蓋26のみを軸嵌合部材40とリップ摺接部材41とに分割したものを用いたものであってもよい。
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、ボール42を軸方向に沿って3列配設していたが、2列であっても、4列以上であってもよい。また、各列のボール数としては、少なくとも3個配設されたものであればよい。径方向孔52を設ける場合、孔形状として、円形に限るものではなく、楕円乃至長円、三角、四角、五角以上の多角形であってもよい。また、通気フィルター53を設ける場合、摺接面側の開口部に設けても、この両開口部に設けてもよい。通気フィルター53の肉厚としては、使用する材質に応じて種々変更できる。シール部材33として、ダストリップ37bを有さず、メインリップ37aのみであってもよい。油切り25および後蓋26のリップ摺接部材41の材質としては、機械構造炭素鋼、鋳鉄、ステンレス鋼等の金属製であっても、エンジニアプラスチック等の樹脂であってもよい。また、軸嵌合部材40とリップ摺接部材41とを同一の材質で構成しても、相違する材質で構成してもよい。
20 車軸
21 外輪
21a 軌道
22 内輪
22a 軌道
23 転動体
24 保持器
25 油切り
26 後蓋
37 シールリップ(先端リップ部)
40(40A、40B) 軸嵌合部材
41(41A、41B) リップ摺接部材
42(42A,42B) ボール
43(43A、43B) 保持器
52 径方向孔
53 通気フィルター
54 テーパ面
S 密封装置

Claims (6)

  1. 車軸に嵌合させた内輪と、軸箱に嵌合させた外輪と、内輪の軌道と外輪の軌道との間に転動自在に介在される転動体と、転動体を円周方向で所定の間隔に保持する保持器とを備え、内輪を挟んで軸端側に油切り、その反対側に後蓋が、それぞれ配置されるとともに、軸方向両端部を密封装置で密封した鉄道車両車軸軸受であって、
    油切りと後蓋との少なくともいずれか一方を、前記車軸に嵌合する軸嵌合部材と、密封装置のシールリップが摺接するリップ摺接部材とに分割するとともに、軸嵌合部材とリップ摺接部材との間に、転動自在に介在されるボールと、ボールを円周方向で所定の間隔に保持する保持器とを介在させたことを特徴とする鉄道車両車軸軸受。
  2. ボール潤滑用の熱固化型グリースを封入したことを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両車軸軸受。
  3. 前記リップ摺接部材に、リップ間と軸受内部及び外部との差圧発生防止用の径方向孔を設けたことを特徴とする請求項2に記載の鉄道車両車軸軸受。
  4. 前記径方向孔は、その直径が1mm〜2mmの円形孔であり、かつ、周方向の所定ピッチで少なくとも2箇所に有することを特徴とする請求項3に記載の鉄道車両車軸軸受。
  5. 前記径方向孔の少なくとも一方の開口部を、透湿防水防油性の通気フィルターにて蓋をしたことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項に記載の鉄道車両車軸軸受。
  6. 前記リップ摺接部材の内径面を軸方向外方から軸方向内方に向かって拡径するテーパ面としたことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の鉄道車両車軸軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
RU2801904C1 (ru) * 2022-08-25 2023-08-18 Вафандянь Беаринг Груп Корп., Лтд. Конструкция контактного уплотнения железнодорожного подшипника

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