JP2019165636A - 形質転換体および3−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法 - Google Patents

形質転換体および3−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アルカリによる中和を必要とせずに高い生産性で3−HPを産生できるS.ポンベの形質転換体、および該形質転換体を培養して3−HPを産生する方法の提供。【解決手段】シゾサッカロミセス・ポンベを宿主とする形質転換体であって、マロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、アセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子、ピルビン酸オキシダーゼをコードする遺伝子、およびアセチルCoAシンセターゼをコードする遺伝子が導入されている、またはマロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、アセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子、およびピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を形成しうる遺伝子群が導入されており、前記ピルビン酸オキシダーゼが、ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素であることを特徴とする形質転換体。【選択図】なし

Description

本発明は、3−ヒドロキシプロピオン酸(3−HP)の製造に好適な、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe、以下、「S.ポンベ」ということがある。)を宿主とし外来遺伝子等を組込んだ形質転換体に関する。
3−HPは、アクリル酸エステルなど様々な化学製品の原料として非常に有用な化合物である。3−HPは、微生物による発酵工程を経て製造できる。たとえば、マロニルCoAレダクターゼ(MCR)をコードする遺伝子を導入した微生物では、マロニルCoAから3−HPが産生される。また、グリセロールデヒドラターゼ、アルデヒドデヒドロゲナーゼ等をコードする遺伝子を導入した微生物では、グリセリンから3−ヒドロキシプロピオンアルデヒド(3−HPA)を介して3−HPが産生される。
微生物に3−HPを産生させた場合、産生された3−HPにより、培養培地が酸性となる。該微生物の耐酸性が低い場合には、培養培地のpH低下に伴い微生物自体の生育が抑制される結果、3−HPの産生量も低下してしまうため、一般的には、培養培地のpHを中和しながら培養する必要がある。しかし、中和した場合には、3−HPは塩として回収されるため、3−HPに変換するための工程が必要になる。そこで、中和を必要とせずに3−HP生産が可能になることから、3−HPを産生させる微生物としては、耐酸性の高いものが好ましい。たとえば、特許文献1および2には、耐酸性の高いS.ポンベに、MCRをコードする遺伝子とアセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)をコードする遺伝子を導入した形質転換体を、中和をせずに培養することにより、3−HPが産生されたことが記載されている。
一方で、酵母などの真核細胞微生物を用いた異種タンパク質生産系においては、目的の異種タンパク質の生産効率を向上させるべく、異種タンパク質生産に不要または有害な宿主のゲノム部分の一部または全部を削除または不活性化した改良宿主を用いることが知られている。たとえば、特許文献3には、S.ポンベにおいて、特定のプロテアーゼをコードする遺伝子(プロテアーゼ遺伝子)から選ばれる少なくとも1種の遺伝子を削除または不活性化した改良宿主を用いることにより、異種タンパク質の生産効率を向上させられることが記載されている。
国際公開第2013/137277号 国際公開第2016/084857号 国際公開第2007/015470号
本発明では、アルカリによる中和を必要とせずに高い生産性で3−HPを産生できるS.ポンベの形質転換体、および該形質転換体を培養して3−HPを産生する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る形質転換体は、S.ポンベを宿主とする形質転換体であって、MCRをコードする遺伝子、ACCをコードする遺伝子、ピルビン酸オキシダーゼをコードする遺伝子、およびアセチルCoAシンセターゼ(ACS)をコードする遺伝子がそれらの発現産物を細胞質に発現させるように導入されている、またはMCRをコードする遺伝子、ACCをコードする遺伝子、およびピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDH)を形成しうる遺伝子群がそれらの発現産物を細胞質に発現させるように導入されており、前記ピルビン酸オキシダーゼが、ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素であることを特徴とする。
本発明に係る形質転換体においては、前記導入されたACCをコードする遺伝子は、宿主が本来有するACCをコードする遺伝子であることが好ましく、前記導入されたACSをコードする遺伝子は、宿主が本来有するACSをコードする遺伝子であることが好ましい。
また、本発明に係る形質転換体においては、前記ピルビン酸オキシダーゼをコードする遺伝子はpoxBであることが好ましく、前記導入されたMCRをコードする遺伝子が、クロロフレクサス・オーランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)由来のMCRをコードする遺伝子であることが好ましい。
また、本発明に係る形質転換体においては、前記PDHが、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ/デカルボキシラーゼ(E1)、ジヒドロリポイルアセチルトランスフェラーゼ(E2)、およびデヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(E3)からなる複合体であることが好ましく、前記PDHを形成しうる遺伝子群が、原核細胞由来の遺伝子群であることも好ましい。
また、本発明に係る形質転換体においては、前記宿主が本来有する少なくとも1種のプロテアーゼをコードする遺伝子が削除または不活性化されていることが好ましく、前記プロテアーゼをコードする遺伝子は、メタロプロテアーゼをコードする遺伝子、セリンプロテアーゼをコードする遺伝子、システインプロテアーゼをコードする遺伝子、およびアスパラギン酸プロテアーゼをコードする遺伝子からなる群から選ばれる遺伝子であることが好ましい。
本発明に係る3−HPの製造方法は、前記形質転換体を、液体培地中で培養し、該液体培地から3−ヒドロキシプロピオン酸を取得することを特徴とする。
本発明に係る3−HPの製造方法においては、前記液体培地が、グルコースまたはスクロースを含み、それらの合計の濃度が1〜50質量%であることが好ましい。
また、本発明に係る3−HPの製造方法においては、前記液体培地中の3−ヒドロキシプロピオン酸を中和することなく培養を継続することが好ましい。
本発明に係る形質転換体を培養することにより、中和処理を要することなく、効率よく3−HPを製造できる。
pJK148−hsp9p−cut6−LPItベクターの構造の模式図である。 pML7a−hsp9p−CaMCR−inv1tベクターの構造の模式図である。 pSM−u4pAdeベクターの構造の模式図である。 pSN−u4pAdeベクターの構造の模式図である。 pSM−u4pAde−poxB−acs1ベクターの構造の模式図である。 実施例1において、mcr/cut6−2発現株(破線:コントロール)とmcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線)の各培養液のOD600値を経時的に測定した結果を示した図である。 実施例1において、mcr/cut6−2発現株(破線:コントロール)とmcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線)の各培養液の3−HP濃度(g/L)を経時的に測定した結果を示した図である。 pSN−u4pAde−PDHベクターの構造の模式図である。 実施例2において、mcr/cut6−3発現株(破線:コントロール)とmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線)の各培養液のOD600値を経時的に測定した結果を示した図である。 実施例2において、mcr/cut6−3発現株(破線:コントロール)とmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線)の各培養液の3−HP濃度(g/L)を経時的に測定した結果を示した図である。 実施例3において、mcr/cut6−2発現株(破線白抜き丸:コントロール)、mcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線黒丸)、mcr/cut6−3発現株(破線白抜き三角:コントロール)、およびmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線黒三角)の各培養液の3−HP濃度(g/L)を経時的に測定した結果を示した図である。
本発明および本願明細書において、「外来の」遺伝子とは、宿主が本来有している構造遺伝子(形質転換前の天然型の宿主に含まれている構造遺伝子)ではなく、形質転換操作等により導入された構造遺伝子を意味する。また、「導入された」遺伝子とは、形質転換操作等により導入された構造遺伝子を意味し、宿主以外の生物由来の遺伝子や人工遺伝子は勿論、宿主が本来有している遺伝子と同一の遺伝子であってもよい。
本発明において、MCRをコードする遺伝子(mcr)、および、ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素であるピルビン酸オキシダーゼ(PoxB)をコードする遺伝子(poxB)は外来の遺伝子である。本発明において、ACCをコードする遺伝子、ACSをコードする遺伝子、および、PDHを形成しうる遺伝子は、外来の遺伝子であってもよく、宿主が本来有している遺伝子であってもよい。
なお、以下、酵素等のタンパク質をコードする遺伝子を「タンパク質名+遺伝子」で記すことがある。たとえば、MCRをコードする遺伝子を「MCR遺伝子」とも記す。
[形質転換体]
本発明に係る形質転換体は、S.ポンベを宿主とし、MCRをコードする遺伝子(MCR遺伝子)およびACCをコードする遺伝子(ACC遺伝子)を有しており、かつ細胞質におけるピルビン酸からのアセチルCoAの産生量を増大させた形質転換体である。野生型のS.ポンベでは、アセチルCoAから3−HPを産生することはできないが、MCR遺伝子およびACC遺伝子を導入した形質転換体では、ACCによってアセチルCoAからマロニルCoAが産生され、MCRによってマロニルCoAから3−HPが産生される。つまり、MCR遺伝子およびACC遺伝子を導入したS.ポンベの形質転換体では、アセチルCoAは3−HPの前駆体であり、細胞質におけるアセチルCoAの量を増大させることにより、産生される3−HP量を増大させられる。
本発明に係る形質転換体は、さらに、PoxBをコードする遺伝子(PoxB遺伝子)およびACSをコードする遺伝子(ACS遺伝子)を有するか、または、PDHを形成しうる遺伝子群(PDH遺伝子群)を有する。PDH遺伝子群は、PDHを形成する複数の酵素をそれぞれコードした複数の遺伝子をいう。
本発明に係る形質転換体は、具体的には、S.ポンベを宿主とする形質転換体であって、細胞質に、MCRとACCに加えて、PoxBおよびACS、またはPDHが発現しうる。PoxBおよびACSを発現させた形質転換体では、細胞質において、PoxBによってピルビン酸から酢酸が産生され、この酢酸がACSによりアセチルCoAに変換される。一方で、PDHを発現させた形質転換体では、細胞質において、PDHによってピルビン酸からアセチルCoAが産生される。
野生型のS.ポンベでは、ピルビン酸からのアセチルCoAの産生は、ミトコンドリア内で行われるため、MCR遺伝子とACC遺伝子のみを導入した形質転換体では、3−HPの産生効率を上げるためには、酢酸濃度の高い液体培地で培養することによって細胞内の酢酸濃度を上昇させる必要がある。細胞外から取り込まれた酢酸がACSによりアセチルCoAに変換されることにより、細胞質中でのアセチルCoA量が増大し、これによりACCおよびMCRによって産生される3−HP量が増大する。しかし、酢酸を含有する液体培地中で形質転換体の培養を行った場合には、形質転換体から液体培地中に分泌された3−HPを、酢酸から分離する工程が必要となる。これに対して、本発明に係る形質転換体は、細胞質に元々存在しているピルビン酸からアセチルCoAを産生できるため、3−HP産生に用いる培養培地に酢酸を含有させる必要がなく、産生された3−HPを酢酸から分離精製する必要がない。
<S.ポンベ>
宿主であるS.ポンベは、シゾサッカロミセス属に属する酵母(分裂酵母)であり、他の酵母に比べて特に耐酸性に優れる微生物である。また、S.ポンベは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等の他の酵母に比べ、高濃度のグルコース下における3−HPの生産性に優れ、高密度培養(大量の酵母を用いた培養)にも適していることがわかった。そのため、S.ポンベの形質転換体を用いることにより、極めて高い生産性で3−HPを製造できる。
なお、S.ポンベの染色体の全塩基配列は、サンガー研究所のデータベース「GeneDB」に「Schizosaccharomyces pombe Gene DB (http://www.genedb.org/genedb/pombe/)」として、収録され、公開されている。本明細書記載のS.ポンベの遺伝子の配列データは前記データベースから遺伝子名や前記系統名で検索して、入手できる。
<PoxB>
PoxBは、ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素である。S.ポンベの細胞質では、本来PoxBは発現していない。このため、本発明に係る形質転換体のうち細胞質内でPoxBを発現させた形質転換体は、PoxB遺伝子を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入することにより得られる。本発明に係る形質転換体に導入されるPoxB遺伝子としては、S.ポンベに導入した場合にPoxB活性(ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素活性)を発揮するタンパク質を発現させ得る構造遺伝子であればよく、いずれの生物種由来のPoxB遺伝子であってもよい。また、該形質転換体が有するPoxB遺伝子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
外来遺伝子として導入されるPoxB遺伝子がコードするPoxBとしては、たとえば、大腸菌(エシュケリキア・コリ(Escherichia coli))、またはコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に由来のPoxB等が挙げられる。また、これらのPoxBの改変体であってもよい。PoxBの改変体としては、たとえば、これらのPoxBのアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸が置換、付加、または欠失したアミノ酸配列からなり、かつPoxB活性を有するポリペプチドが挙げられる。置換等するアミノ酸の数は、PoxB活性を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、5個以下がさらに好ましい。PoxBの改変体としては、これらのPoxBのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつPoxB活性を有するポリペプチドも挙げられる。本発明に係る形質転換体が有するPoxB遺伝子としては、大腸菌由来のpoxBが好ましく、大腸菌由来のpoxBを発現させるのに最適化させた配列(配列番号1)が好ましい。
<ACS>
本発明に係る形質転換体のうち、細胞質内でPoxBを発現させた形質転換体は、細胞質内においてACSも発現しうる。本発明に係る形質転換体は、導入したACS遺伝子を有し、細胞質中に充分量のACSが発現しうる。これにより、酢酸から変換されるアセチルCoA量が多くなり、結果として3−HPの生産量も多くなる。
導入されるACS遺伝子がコードするACSとしては、たとえば、S.ポンベ、サッカロミセス・セレビシエに由来のACS等が挙げられる。また、これらのACSの改変体であってもよい。ACSの改変体としては、たとえば、これらのACSのアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸が置換、付加、または欠失したアミノ酸配列からなり、かつACS活性を有するポリペプチドが挙げられる。置換等するアミノ酸の数は、ACS活性を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、5個以下がさらに好ましい。ACSの改変体としては、これらのACSのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつACS活性を有するポリペプチドも挙げられる。本発明に係る形質転換体が有するACS遺伝子としては、サッカロミセス・セレビシエ由来のACS2(配列番号2)またはS.ポンベ由来のacs1(配列番号3)が好ましい。
<PDH(Pyruvate dehydrogenase complex)>
PDHは、ピルビン酸をアセチルCoAに変換する反応(ピルビン酸脱炭酸反応)を触媒する酵素活性を有する複合酵素である。本発明に係る形質転換体としては、細胞質において、PoxBとACSに代えて、PDHが発現していてもよい。PDHはS.ポンベにおいて本来はミトコンドリアのマトリックスに局在している。したがって、PDHを形成しうる各酵素をコードする遺伝子群を、遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入することによって、PDHが細胞質において発現しうる形質転換体が得られる。
PDHは、たとえば、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ/デカルボキシラーゼ(E1)、ジヒドロリポイルアセチルトランスフェラーゼ(E2)、およびデヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(E3)からなる複合体を用いることができる。E1、E2、およびE3からなるPDHとしては、細胞質で安定して発現可能な点から、大腸菌等の原核細胞に由来するPDHが好ましい。大腸菌由来のPDHは、AceE(E1に相当)、AceF(E2に相当)、およびLpd(E3に相当)の3つの酵素からなる。たとえば、AceEをコードするaceE(配列番号4)、AceFをコードするaceF(配列番号5)、およびLpdをコードするlpd(配列番号6)を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入することによって、AceE/AceF/Lpd複合酵素が細胞質で発現しうる形質転換体が得られる。
本発明において、細胞質に発現させるE1、E2およびE3としては、原核細胞が本来有しているタンパク質であってもよく、これらの改変体であってもよい。該改変体としては、たとえば、原核細胞が本来有しているE1のアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸が置換、付加、または欠失したアミノ酸配列からなり、かつE1酵素活性を有するポリペプチドが挙げられる。置換等するアミノ酸の数は、E1酵素活性を損なわない範囲であれば特に限定されるものではないが、20個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、5個以下がさらに好ましい。E1の改変体としては、原核細胞が本来有しているE1のアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつE1酵素活性を有するポリペプチドも挙げられる。E2およびE3も同様である。
<MCR>
本発明に係る形質転換体は、MCR遺伝子を有する。S.ポンベは本来MCR遺伝子を有していない。したがって、S.ポンベ以外の生物由来のMCR遺伝子を遺伝子工学的方法でS.ポンベに導入して形質転換体を得る。該形質転換体に導入されるMCR遺伝子としては、S.ポンベに導入した場合にMCR活性を発揮するタンパク質を発現させ得る構造遺伝子であればよく、いずれの生物種由来のMCR遺伝子であってもよい。また、該形質転換体が有するMCR遺伝子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
導入されるMCR遺伝子がコードするMCRとしては、たとえば、クロロフレクサス・オーランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)、クロロフレクサス・アグレガンス(Chloroflexus aggregans)、ロセイフレクサス・カステンホルジイ(Roseiflexus castenholzii)、ロセイフレクサス・エスピー(Roseiflexus sp.)、ロセイフレクサスエスピー・ストレインRS−1(Roseiflexussp. Strain RS-1)、エリスロバクター・エスピー(Erythrobacter sp.)、エリスロバクターエスピー・ストレインNAP1(Erythrobactersp. Strain NAP1)、ガンマ・プロテオバクテリウム(gamma proteobacterium)、メタロスファエラ・セデュラ(Metallosphaera sedula)、スルフォロバス・トコダイ(Sulfolobus tokodaii)、スルフォロバス・メタリカス(Sulfolobus metallicus)、スルフォロバス・エスピー(Sulfolobus sp.)、アシディアヌス・ブリーエリイ(Acidianus brierleyi)、アシディアヌス・インフェルノス(Acidianus infernos)、アシディアヌス・アンビバレンス(Acidianus ambivalens)、スティギオロバス・アソリカス(Stygiolobus azoricus)、およびピロロバス・フマリ(Pyrolobus fumarii)に由来のMCR等が挙げられる。また、これらのMCRの改変体であってもよい。MCRの改変体としては、たとえば、これらのMCRのアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸が置換、付加、または欠失したアミノ酸配列からなり、かつMCR活性を有するポリペプチドが挙げられる。これらのMCRのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつMCR活性を有するポリペプチドが挙げられる。本発明に係る形質転換体が有するMCR遺伝子としては、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrが好ましく、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrを発現させるのに最適化させた配列(配列番号7)がより好ましい。
<ACC>
本発明に係る形質転換体は、導入されたACC遺伝子を有する。該形質転換体に導入されるACC遺伝子としては、S.ポンベに導入した場合にACC活性を発揮するタンパク質を発現させ得る構造遺伝子であればよく、いずれの生物種由来のACC遺伝子であってもよい。また、該形質転換体が有するACC遺伝子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよい。
導入されるACC遺伝子がコードするACCとしては、たとえば、S.ポンベ、サッカロミセス・セレビシエ、バチラス・セレウス(Bacillus cereus)、バチラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、ボス・タウラス(Bos taurus)、ブレビバクテリウム・チオゲニタリス(Brevibacterium thiogenitalis)、ラクトバチラス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、キャンディダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、キャンディダ・カテヌラタ(Candida catenulata)、キャンディダ・グロペンギエセリ(Candida gropengiesseri)、キャンディダ・ルゴサ(Candida rugosa)、キャンディダ・ソノレンシス(Candida sonorensis)、キャンディダ・メタノソルボサ(Candida methanosorbosa)、キャンディダ・カルバタ(Candida curvata)、クリベロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クリベロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)、イタッツェンキア・オリエンタリス(Ittatchenkia orientalis)、ロドトルラ・グルチニス(Rhodotorula glutinis)、ピキア・ハプロフィラ(Pichia haplophila)、アスペルギルス・クレバタス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・オケラセウス(Aspergillus ochraceus)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、クリプトスポリディウム・パルバム(Cryptosporidium parvum)、ドロソフィラ・メラノガスター(Drosophila melanogaster)、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)、エシュケリキア・コリ(Escherichia coli)、エシュケリキア・ブラッタエ(Escherichia blattae)、ホルデウム・バルガレ(Hordeum vulgare)、マイコバクテリウム・アビウム(Mycobacterium avium)、マイコバクテリウム・フレイ(Mycobacterium phlei)、セタリア・ビリヂス(Setaria viridis)、ソラナム・ツベロサム(Solanum tuberosum)、スピナシア・オレラセア(Spinacia oleracea)、スタフィロコッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトマイセス・コエリカラー(Streptomyces coelicolor)、スルフォロバス・メタリカス、タキフグ・エスピー(Takifugu sp.)、プロピオニバクテリウム・シェラマニ(Propionibacterium shermanii)、シュードモナス・アエルギノサ(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・フルオレスセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス・エスピー(Pseudomonas sp.)、クロロフレクサス・オーランティアカス、クロロフレクサス・アグレガンス、メタロスファエラ・セデュラ、ロドスポリジウム・トルロイデス(Rhodosporidium toruloides)、クリプトコッカス・カルバタス(Cryptococcus curvatus)、トリコスポラン・クタネウム(Trichosporon cutaneum)、リポマイセス・スタルケイ(Lipomyces starkeyi)、およびコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)に由来のACC等が挙げられる。また、これらのACCの改変体であってもよい。ACCの改変体としては、たとえば、これらのACCのアミノ酸配列の1もしくは数個のアミノ酸が置換、付加、または欠失したアミノ酸配列からなり、かつACC活性を有するポリペプチドが挙げられる。これらのACCのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列からなり、かつACC活性を有するポリペプチドが挙げられる。本発明に係る形質転換体が有するACC遺伝子としては、cut6(配列番号8)が好ましい。なお、cut6は、S.ポンベが本来有するACCをコードする遺伝子である。
<プロテアーゼ>
本発明に係る形質転換体としては、プロテアーゼをコードする遺伝子(プロテアーゼ遺伝子)のうちの少なくとも1種が削除または不活性化されているものが好ましい。形質転換体内においてS.ポンベが本来有する少なくとも1種のプロテアーゼ遺伝子のプロテアーゼ活性が阻害されていることにより、PoxB、ACS、PDH、MCR、およびACCの生産効率が向上し、3−HPの生産量がより高まる。本発明に係る形質転換体としては、セリンプロテアーゼをコードする遺伝子(セリンプロテアーゼ遺伝子)、アミノペプチダーゼをコードする遺伝子(アミノペプチダーゼ遺伝子)、カルボキシペプチダーゼをコードする遺伝子(カルボキシペプチダーゼ遺伝子)およびジペプチダーゼをコードする遺伝子(ジペプチダーゼ遺伝子)からなる群から選ばれる1種以上の遺伝子が削除または不活性化されているものが好ましい。
本発明に係る形質転換体としては、1種類のプロテアーゼ遺伝子のみが削除等されたものであってもよく、2種類以上のプロテアーゼ遺伝子が削除等されたものであってもよい。なかでも、メタロプロテアーゼをコードする遺伝子(メタロプロテアーゼ遺伝子)、セリンプロテアーゼ遺伝子、システインプロテアーゼをコードする遺伝子(システインプロテアーゼ遺伝子)、およびアスパラギン酸プロテアーゼをコードする遺伝子(アスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子)からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子が削除等された形質転換体が好ましく、メタロプロテアーゼ遺伝子およびセリンプロテアーゼ遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子とシステインプロテアーゼ遺伝子およびアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子内からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子とが削除等された形質転換体も好ましい。
S.ポンベの該4種のプロテアーゼ遺伝子としては、たとえば以下のものが挙げられる。
メタロプロテアーゼ遺伝子:cdb4(SPAC23H4.09)、mas2(SPBC18E5.12c)、pgp1(SPCC1259.10)、ppp20(SPAC4F10.02)、ppp22(SPBC14C8.03)、ppp51(SPAC22G7.01c)、ppp52(SPBC18A7.01)、ppp53(SPAP14E8.04)。
セリンプロテアーゼ遺伝子:isp6(SPAC4A8.04)、ppp16(SPBC1711.12)、psp3(SPAC1006.01)、sxa2(SPAC1296.03c)。
システインプロテアーゼ遺伝子:ppp80(SPAC19B12.08)、pca1(SPCC1840.04)、cut1(SPCC5E4.04)、gpi8(SPCC11E10.02c)。
アスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子:sxa1(SPAC26A3.01)、yps1(SPCC1795.09)、ppp81(SPAC25B8.17)。
本発明に係る形質転換体において削除等されているメタロプロテアーゼ遺伝子としては、cdb4、pgp1、ppp20、ppp22、ppp52、またはppp53の少なくとも1種が好ましく、cdb4、ppp22、またはppp53の少なくとも1種がより好ましい。
本発明に係る形質転換体において削除等されているセリンプロテアーゼ遺伝子としては、isp6、ppp16、psp3、またはsxa2の少なくとも1種が好ましい。
本発明に係る形質転換体において削除等されているシステインプロテアーゼ遺伝子としては、ppp80が好ましい。
本発明に係る形質転換体としては、cdb4、ppp22、およびppp53からなる群から選ばれる1種以上の遺伝子と、isp6、ppp16、psp3、およびsxa2からなる群から選ばれる2種以上の遺伝子の合計3種以上の遺伝子が削除等されているものが好ましく、ppp53およびcdb4からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子とisp6とpsp3とを含む合計3種以上の遺伝子が削除等されているものがより好ましい。たとえば、psp3、isp6、ppp53の少なくとも3種の遺伝子が削除等されているものがさらに好ましい。
本発明に係る形質転換体としては、さらに、ppp53、isp6、psp3、およびppp16を含む4種以上の遺伝子が削除等されているものが好ましく、ppp53、isp6、psp3、ppp16、およびppp22を含む5種以上の遺伝子が削除等されているものがより好ましく、ppp53、isp6、psp3、ppp16、ppp22、およびsxa2を含む6種以上の遺伝子が削除等されているものがさらに好ましく、psp3、isp6、ppp53、ppp16、ppp22、sxa2、ppp80、およびppp20が削除等されているものがよりさらに好ましい。
<形質転換体の製造>
本発明に係る形質転換体のうち細胞質内でPoxBおよびACSを発現させた形質転換体は、宿主となるS.ポンベに、PoxB遺伝子、ACS遺伝子、MCR遺伝子、およびACC遺伝子を遺伝子工学的方法で導入することにより製造できる。また、本発明に係る形質転換体のうち細胞質内でPDHを発現しうる形質転換体は、宿主となるS.ポンベに、E1遺伝子、E2遺伝子、E3遺伝子、MCR遺伝子、およびACC遺伝子を遺伝子工学的方法で導入することにより製造できる。
複数の遺伝子を導入する場合、全てを同時に宿主に導入してもよく、順次(順不同)導入してもよい。酵母を宿主として用いた遺伝子組換え法に関しては、タンパク質をより安定に効率よく発現させるために種々の発現システム、特に発現ベクター、分泌シグナル遺伝子導入発現ベクター等が開発されており、本発明に係る形質転換体の製造においては、これらを広く応用可能である。たとえば、S.ポンベを宿主とした発現システムとしては、特許2776085号公報、特開平07−163373号公報、特開平10−215867号公報、特開平10−215867号公報、特開平11−192094号公報、特開11−192094号公報、特開2000−262284号公報、国際公開第96/023890号等が知られており、本発明に係る形質転換体を製造する方法には広くこれら発現システムが利用できる。
宿主とするS.ポンベは、野生型であってもよく、用途に応じて特定の遺伝子を欠失または失活させた変異型であってもよい。特定の遺伝子を欠失または失活させる方法としては、公知の方法を用いられる。具体的には、Latour法(Nucreic Acids Res誌、2006年、34巻、e11頁、国際公開第2007/063919号に記載)を用いることにより遺伝子を欠失させられる。また、変異剤を用いた突然変異分離法(酵母分子遺伝学実験法、1996年、学会出版センター)や、PCRを利用したランダム変異法(PCR Methods Application誌、第2巻、28-33ページ、1992年)等により遺伝子の一部に変異を導入することにより該遺伝子を失活させられる。また、特定の遺伝子の削除または不活性化を行う部分はORF(オープンリーディングフレーム)部分であってもよく、発現調節配列部分であってもよい。特に好ましい方法は、構造遺伝子のORF部分をマーカー遺伝子に置換するPCR媒介相同組換え法(Yeast誌、第14巻、943-951ページ、1998年)による削除または不活性化の方法である。
特定遺伝子を欠失または失活させたシゾサッカロミセス属酵母宿主としては、たとえば、国際公開第2002/101038号、国際公開第2007/015470号、国際公開第2013/137277号等に記載されている。本発明において用いられる宿主としては、S.ポンベが本来有する少なくとも1種のプロテアーゼ遺伝子が削除または不活性化されているものが好ましく、セリンプロテアーゼ遺伝子、アミノペプチダーゼ遺伝子、カルボキシペプチダーゼ遺伝子およびジペプチダーゼ遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子が削除または不活性化されているものがより好ましく、メタロプロテアーゼ遺伝子、セリンプロテアーゼ遺伝子、システインプロテアーゼ遺伝子、およびアスパラギン酸プロテアーゼ遺伝子からなる群から選ばれる少なくとも1種の遺伝子が削除または不活性化されているものがさらに好ましく、psp3、isp6、ppp53、ppp16、ppp22、sxa2、ppp80、およびppp20が削除または不活性化されているものがよりさらに好ましい。
さらに宿主として使用するS.ポンベには、形質転換体を選択するためのマーカーを有するものを用いることが好ましい。たとえば、ある遺伝子が欠落していることにより特定の栄養成分が生育に必須である宿主を使用することが好ましい。目的遺伝子配列を含むベクターにより形質転換をして形質転換体を作製する場合、ベクターにこの欠落している遺伝子(栄養要求性相補マーカー)を組み込んでおくことにより、形質転換体では宿主の栄養要求性が消失する。宿主と形質転換体の栄養要求性の相違により、両者を区別して形質転換体を得られる。
たとえば、オロチジンリン酸デカルボキシラーゼ遺伝子(ura4)が欠失または失活してウラシル要求性となっているS.ポンベを宿主とし、ura4(栄養要求性相補マーカー)を有するベクターにより形質転換した後、ウラシル要求性が消失したものを選択することにより、ベクターが組み込まれた形質転換体を得られる。宿主において欠落により栄養要求性となる遺伝子は、形質転換体の選択に用いられるものであればura4には限定されず、イソプロピルリンゴ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(leu1)等であってもよい。
<遺伝子導入方法>
導入する各遺伝子はS.ポンベの染色体に導入することが好ましい。染色体に遺伝子を導入することにより継代の維持安定性に優れた形質転換体が得られる。また、遺伝子は染色体に複数導入することもできる。
遺伝子工学的方法で宿主に遺伝子を導入する方法としては、公知の方法を使用できる。遺伝子をS.ポンベの染色体に導入する方法としては、遺伝子を有する発現カセットと組換え部位とを有するベクターを用い、相同組換え法により導入する方法が好ましい。
<発現カセット>
発現カセットとは、目的のタンパク質を発現するために必要なDNAの組み合わせであり、目的のタンパク質をコードする構造遺伝子と宿主内で機能するプロモーターとターミネーターを含む。本発明に係る形質転換体の製造において用いられる発現カセットは、導入する構造遺伝子と、S.ポンベ内で機能するプロモーターとS.ポンベ内で機能するターミネーターとを含む。該発現カセットは、5’−非翻訳領域、3’−非翻訳領域のいずれか1つ以上が含まれていてもよい。さらに、前記栄養要求性相補マーカーが含まれていてもよい。1の発現カセットには複数の構造遺伝子が存在していてもよい。一つの発現カセット中の構造遺伝子の数は1〜8が好ましく、1〜5がより好ましい。また、一つの発現カセット中に複数の構造遺伝子が含まれている場合、2種類以上の構造遺伝子を含んでいてもよい。具体的には、該形質転換体の製造において、MCR遺伝子およびACC遺伝子は、それぞれ別個の発現カセットにより宿主に導入してもよく、両遺伝子を一つの発現カセットにより宿主に導入してもよい。PDHを細胞質に発現させる場合には、E1遺伝子とE2遺伝子とE3遺伝子は、それぞれ別個の発現カセットにより宿主に導入してもよく、各遺伝子を一つの発現カセットとして宿主に導入してもよい。
発現カセットに含める構造遺伝子の遺伝子配列としては、野生型がコードする遺伝子をそのまま用いてもよいが、宿主として用いるS.ポンベ内での発現量を増大させるために、野生型の遺伝子配列を、S.ポンベにおいて使用頻度の高いコドンに改変してもよい。
S.ポンベ内で機能するプロモーターとしては、S.ポンベが本来有するプロモーター(転写開始活性が高いものが好ましい)やS.ポンベが本来有しないプロモーター(ウイルス由来のプロモーターなど)を使用できる。なお、プロモーターはベクター内に2種以上存在していてもよい。本発明に係る形質転換体に導入される発現カセットのプロモーターとターミネーターとしては、3−HPが蓄積して酸性になっても(pH6以下になっても)、形質転換体内で機能して構造遺伝子がコードするタンパク質の発現を維持できるものが好ましい。
S.ポンベが本来有するプロモーターとしては、たとえば、アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター、チアミンの代謝に関与するnmt1遺伝子プロモーター、グルコースの代謝に関与するフルクトース−1、6−ビスホスファターゼ遺伝子プロモーター、カタボライト抑制に関与するインベルターゼ遺伝子のプロモーター(国際公開第99/23223号参照)、熱ショックタンパク質遺伝子プロモーター(国際公開第2007/26617号参照、国際公開第2014/030644号)などが挙げられる。
S.ポンベが本来有しないプロモーターとしては、たとえば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されている動物細胞ウイルス由来のプロモーターが挙げられ、hCMVプロモーター、SV40プロモーターが好ましい。
S.ポンベ内で機能するターミネーターとしては、S.ポンベが本来有するターミネーターやS.ポンベが本来有しないターミネーターを使用できる。なお、ターミネーターはベクター内に2種以上存在していてもよい。
ターミネーターとしては、たとえば、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、特開平10−234375号公報に記載されているヒト由来のターミネーターが挙げられ、ヒトリポコルチンIのターミネーターが好ましい。
<ベクター>
本発明に係る形質転換体は、導入する構造遺伝子を含む発現カセットを、染色体中に有するか、または染色体外遺伝子として有する。発現カセットを染色体中に有するとは、宿主細胞の染色体中の1カ所以上に発現カセットが組み込まれていることであり、染色体外遺伝子として有するとは、発現カセットを含むプラスミドを細胞内に有するということである。各発現カセットを含む形質転換体は、各発現カセットを含むベクターを用いて宿主であるS.ポンベを形質転換することにより得られる。
該ベクターは、環状DNA構造または線状DNA構造を有するベクターに、該発現カセットを組み込むことにより製造できる。該発現カセットが、宿主の細胞内で染色体外遺伝子として保持される形質転換体を作製する場合には、該ベクターは、宿主細胞内で複製されるための配列、即ち、自律複製配列(Autonomously Replicating Sequence:ARS)を含むプラスミドであることが好ましい。一方で、該発現カセットが、宿主細胞の染色体中に組み込まれた形質転換体を作製する場合には、該ベクターは、線状DNA構造であり、かつARSを有していないものとして、宿主細胞へ導入されることが好ましい。たとえば、該ベクターは、線状DNAからなるベクターであってもよく、宿主への導入時に、線状DNAに切り開くための制限酵素認識配列を備える環状DNA構造のベクターであってもよい。該ベクターがARSを有するプラスミドの場合、ARS部分を削除して線状DNA構造、またはARS部分を開裂させることによりARSの機能を失活させた線状DNA構造とした後、宿主へ導入できる。
該ベクターは、形質転換体を選択するためのマーカーを有することが好ましい。該マーカーとしては、たとえば、ura4、leu1が挙げられる。
該ベクターをS.ポンベの染色体に導入する場合、該ベクターの組換え部位は、S.ポンベの染色体における相同組換えの標的部位に対して相同組換えを行わせることのできる塩基配列を有する部位である。また、標的部位は、S.ポンベの染色体内で発現カセットを組み込む標的となる部位である。標的部位は、ベクターの組換え部位を該標的部位に対して相同組換えを行わせる塩基配列とすることにより自由に設定できる。
前記組換え部位の塩基配列と標的部位の塩基配列との相同性は70%以上とすることが必要である。また、組換え部位の塩基配列と標的部位の塩基配列との相同性は、相同組換えが起きやすくなる点から、90%以上とすることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。該組換え部位を有するベクターを用いることにより、発現カセットが相同組換えにより標的部位に組み込まれる。
組換え部位の長さ(塩基数)は、20〜2000bpであることが好ましい。組換え部位の長さが20bp以上であれば、相同組換えが起きやすくなる。また、組換え部位の長さが2000bp以下であれば、ベクターが長くなりすぎて相同組換えが起き難くなることを防ぎやすい。組換え部位の長さは100bp以上であることがより好ましく、200bp以上であることがさらに好ましい。また、組換え部位の長さは800bp以下であることがより好ましく、400bp以下であることがさらに好ましい。
ベクターは、前記発現カセットと組換え部位以外に他のDNA領域を有していてもよい。たとえば、大腸菌内での複製のために必要な「ori」と呼ばれる複製開始領域や抗生物質耐性遺伝子(ネオマイシン耐性遺伝子等)が挙げられる。これらは大腸菌を使用してベクターを構築する場合に通常必要とされる遺伝子である。ただし、前記複製開始領域は後述のようにベクターを宿主の染色体に組み込む際には除去されることが好ましい。
染色体に遺伝子を組み込む場合、ベクターは、S.ポンベの細胞に導入する際には線状DNA構造で導入することが好ましい。すなわち、通常用いられるプラスミドDNA等の環状DNA構造を有するベクターである場合には、制限酵素でベクターを線状に切り開いた後にS.ポンベの細胞に導入することが好ましい。
この場合、環状DNA構造を有するベクターを切り開く位置は、組換え部位内とする。これにより、切り開かれたベクターの両端にそれぞれ組換え部位が部分的に存在することとなり、相同組換えによりベクター全体が染色体の標的部位に組み込まれる。
ベクターは、両端それぞれに組換え部位の一部が存在するような線状DNA構造とすることができれば、環状DNA構造を有するベクターを切り開く方法以外の方法で構築してもよい。
ベクターとしては、たとえば、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19等の大腸菌由来のプラスミドを好適に用いられる。
この場合、相同組換えに用いる際のプラスミドベクターは、大腸菌内での複製のために必要な「ori」と呼ばれる複製開始領域が除去されていることが好ましい。これにより、上述したベクターを染色体に組み込む際に、その組み込み効率を向上させられる。
複製開始領域が除去されたベクターの構築方法は特に限定されないが、特開2000−262284号公報に記載されている方法を用いることが好ましい。すなわち、組換え部位内の切断箇所に複製開始領域が挿入された前駆体ベクターを構築しておき、前述のように線状DNA構造とすると同時に複製開始領域が切り出されるようにする方法が好ましい。これにより、簡便に複製開始領域が除去されたベクターを得られる。
また、特開平5−15380号公報、特開平7−163373号公報、国際公開第96/23890号、特開平10−234375号公報等に記載された発現ベクターやその構築方法を適用して、発現カセットおよび組換え部位を有する前駆体ベクターを構築し、さらに通常の遺伝子工学的手法で該前駆体ベクターから複製開始領域を除去して相同組換えに用いるベクターを得る方法であってもよい。
<標的部位>
ベクターを組み込む標的部位は、S.ポンベの染色体中の1箇所のみに存在していてもよく、2箇所以上に存在していてもよい。標的部位が2箇所以上存在している場合、S.ポンベの染色体の2箇所以上に該ベクターを組み込める。また、1の発現カセット中の遺伝子を複数とした場合には、標的部位の1箇所に複数の遺伝子を組み込める。さらに、2種以上の標的部位に、それぞれの標的部位に対応する組換え部位を有する2種以上のベクターを用いて、発現カセットを組み込むこともできる。
<形質転換方法>
形質転換方法は、公知の形質転換方法がいずれも用いられる。該形質転換方法としては、たとえば、酢酸リチウム法、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、ガラスビーズ法など従来周知の方法や、特開2005−198612号公報記載の方法が挙げられる。また、市販の酵母形質転換用キットを用いてもよい。
形質転換体の製造では、通常、相同組換えを行った後、得られた形質転換体を選択する。選択する方法としては、たとえば、以下に示す方法が挙げられる。前記栄養要求性マーカーにより形質転換体を選択できる培地によりスクリーニングし、得られたコロニーから複数を選択する。次に、それらを別々に液体培養した後、それぞれの液体培地における異種タンパク質の発現量を調べ、該異種タンパク質の発現量がより多い形質転換体を選択する。それら選択した形質転換体に対してパルスフィールドゲル電気泳動法によるゲノム解析を行うことにより、染色体に組み込まれたベクターの数や発現カセットの数を調べられる。
染色体に組み込まれるベクターの数は組み込み条件などを調整することによりある程度は調整できる。ベクターの大きさ(塩基数)や構造により、組み込み効率や組み込み数も変化すると考えられる。
[3−HPの製造]
本発明に係る3−HPの製造方法は、本発明に係る形質転換体を、液体培地中で培養し、該液体培地から3−HPを取得する方法である。該形質転換体を液体培地中で培養すると、該形質転換体の細胞質において3−HPが産生される。産生された3−HPは、液体培地に分泌されるため、該形質転換体を培養した後の液体培地から、3−HPを回収できる。
3−HPの製造に用いる液体培地としては、糖を含有する公知の酵母培養培地を用いることができる。該液体培地としては、さらにS.ポンベが資化しうる窒素源、無機塩類等を含有し、S.ポンベの培養を効率良く行えるものが好ましい。該液体培地としては、天然培地を用いてもよく、合成培地を用いてもよい。
炭素源である糖としては、たとえば、グルコース、フルクトース、スクロース、マルトース等の糖が挙げられる。窒素源としては、たとえば、アンモニア、塩化アンモニウム、酢酸アンモニウム等の無機酸または無機酸のアンモニウム塩、ペプトン、カザミノ酸、イーストエキス等が挙げられる。無機塩類としては、たとえば、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム等が挙げられる。さらには、プロテオリピド等の発酵促進因子などを含ませられる。
本発明に係る3−HPの製造方法では、糖として特にグルコースまたはスクロースを含有する液体培地を用いることが好ましい。培養初期の液体培地(100質量%)中のグルコースまたはスクロースの濃度は1質量%以上が好ましく、1〜50質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。培養によりグルコース濃度が低下することより、必要によりグルコースを添加して培養を継続することが好ましい。培養終期のグルコース濃度は1質量%以下となってもよい。また、3−HPを分離しながら液体培地を循環させて連続的に培養を行う場合には、前記グルコース濃度を維持することが好ましい。グルコース濃度を2質量%以上とすることにより、3−HPの生産性がより向上する。また、液体培地中のグルコースを20質量%以下とすることにより、3−HPの生産効率がより向上する。
また、3−HP製造の生産性を高くするために、高密度培養を行うことが好ましい。高密度培養では、液体培地中の形質転換体の初発菌体濃度を乾燥菌体重量換算値で表して0.1〜5g/Lとすることが好ましい。液体培地中の形質転換体の初発菌体濃度を乾燥菌体重量換算値で表して0.2〜2g/Lとすることがより好ましい。初発菌体濃度を高くすることにより短時間で高い生産性を達成できる。また、初発菌体濃度があまりに高すぎると菌体の凝集および精製効率の低下等の問題が生じるおそれがある。
なお、後述の実施例等で示す菌体濃度は、島津製作所製紫外可視分光光度計UVmini-1240によって測定した波長600nmの光の吸光度(OD600)値である。
培養には公知の酵母培養方法を用いることができ、たとえば振とう培養、攪拌培養等により行える。
また、培養温度は、23〜37℃であることが好ましい。また、培養時間は適宜決定できる。
また、培養は、回分培養であってもよく、連続培養であってもよい。たとえば、回分培養で培養を行った後、菌体を液体培地から分離して、3−HPを含む液体培地を取得できる。また、連続培養法では、たとえば、培養中の培養槽から液体培地の一部を抜き出し、抜き出した液体培地から3−HPを分離するとともに、培養上清を回収し、該培養上清にグルコースおよび新たな液体培地等を加えて培養槽に戻すことを繰り返して、連続的に培養する方法が挙げられる。連続培養を行うことにより、3−HPの生産性がより向上する。
本発明に係る3−HPの製造方法では、耐酸性に特に優れたS.ポンベの形質転換体を用いているため、3−HPの蓄積により低pH(pH2〜4程度)となっても中和を行わずに3−HPを生産できる。そのため、液体培地のpHが3.5以下になった後も、さらに培養を継続する連続培養により3−HPを製造できる。培養終期のpHおよび連続培養におけるpHは、3.5以下が好ましく、特に2.3〜3.5が好ましい。3−HPの生産性を高くするために、液体培地のpHが3.5以下になった後にさらに培養を継続することが好ましい。本発明に係る形質転換体は耐酸性が優れているため、該形質転換体により産生された液体培地中の3−HPを中和することなく培養を継続できる。
液体培地からの3−HPの取得は、公知の方法を用いられる。特に、液体培地中の3−HPを中和することなく、液体培地と3−HPを分離して、3−HPを取得することが好ましい。たとえば、培養終了後の液体培地から遠心分離により菌体を分離し、pH1以下にした後にジエチルエーテルや酢酸エチル等により抽出する方法、イオン交換樹脂に吸着させて洗浄した後に溶出させる方法、活性炭を用いて不純物を除去する方法、酸触媒の存在下でアルコールと反応させた後に蒸留する方法、分離膜を用いて分離する方法が挙げられる。また、場合によっては液体培地中の3−HPを中和した後液体培地と3−HP塩を分離して、3−HPを取得することもできる。たとえば、液体培地中の3−HPをカルシウム塩またはリチウム塩に変換し、該中和塩を晶析する方法で3−HPを取得することもできる。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。また、本実施例においては特に断りのない限り「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
S.ポンベのうち、psp3、isp6、ppp53、ppp16、ppp22、sxa2、ppp80、およびppp20が削除されているMGF438株(遺伝子型:h leu1−32 ura4−D18 psp3−D13 isp6−D14 oma1−D10 ppp16−D20 fma2−D13 sxa2−D15 aap1−D17 ppp80−D11)のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株に、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrとS.ポンベ由来のcut6とを導入した形質転換体と、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrとS.ポンベ由来のcut6と大腸菌由来のpoxBとS.ポンベ由来のacs1とを導入した形質転換体の3−HP産生量を比較した。
<mcr/cut6−1発現株(No.395)の作製>
まず、hsp9プロモーターとLPIターミネーターの間にS.ポンベ由来のcut6が組み込まれている組換えベクターpJK148−hsp9p−cut6−LPIt(12925bp、図1、配列番号9)と、hsp9プロモーターとinv1ターミネーターの間にクロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrが組み込まれている組換えベクターpML7a−hsp9p−CaMCR−inv1t(9678bp、図2、配列番号10)とを、DNA合成により作製した。
次いで、MGF438株のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株を、制限酵素NruIで切断したpJK148−hsp9p−cut6−LPItベクターで形質転換し、該ベクターを染色体のleu1遺伝子座に導入した形質転換体を選抜した。
次いで、該形質転換体を、制限酵素NotIで切断したpML7a−hsp9p−CaMCR−inv1tで形質転換し、該ベクターの5’−Tf2(a)−SV40 プロモーター−URA3−hsp9 プロモーター−mcr−inv1 ターミネーター−3’−TF2(b)遺伝子を染色体のTf2遺伝子座に導入した形質転換体を選抜した。該形質転換体をmcr/cut6−1発現株(No.395)とした。
<mcr/cut6−2発現株(No.408)の作製>
まず、プライマーGpm1 up Fw(25mer、配列番号11)とプライマーGpm1 dw Rv(31mer、配列番号12)とを用いたPCRで、pSM−u4pAdeベクター(6259bp、図3、配列番号13)のGpm1 up−loxP−ura4 プロモーター−ade7−ura4 ターミネーター−loxP−Gpm1 Dw遺伝子を増幅した。次いで、MGF438株のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株を該増幅遺伝子で形質転換し、該増幅遺伝子を染色体のGpm1遺伝子座下流に導入した形質転換体を選抜した。該形質転換体をmcr/cut6−2発現株(No.408)とした。
<mcr/cut6−3発現株(No.409)の作製>
まず、プライマーEno101 up Fw(25mer、配列番号14)とプライマーEno101 dw Rv(33mer、配列番号15)とを用いたPCRで、pSN−u4pAdeベクター(6246bp、図4、配列番号16)のEno101 up−loxP−ura4 プロモーター−ade7−ura4 ターミネーター−loxP−Eno101 Dw遺伝子を増幅した。次いで、MGF438株のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株を該増幅遺伝子で形質転換し、該増幅遺伝子を染色体のEno101遺伝子座下流に導入した形質転換体を選抜した。該形質転換体をmcr/cut6−3発現株(No.409)とした。
<mcr/cut6/poxB/acs1発現株の作製>
まず、hsp9プロモーターとinv1ターミネーターの間にpoxBが組み込まれており、hCMVプロモーターとLPIターミネーターの間にacs1が組み込まれている組換えベクターpSM−u4pAde−poxB−acs1(11933bp、図5、配列番号17)をDNA合成により作製した。次いでプライマーGpm1 up FwとプライマーGpm1 dw Rvとを用いたPCRで、pSM−u4pAde−poxB−acs1ベクターのGpm1 up−loxP−ura4 プロモーター−ade7−ura4 ターミネーター−loxP−LPI ターミネーター−acs1−hCMV プロモーター−inv1 ターミネーター−poxB−hsp9 プロモーター−Gpm1 Dw遺伝子を増幅した。次いで、mcr/cut6−1発現株を該増幅遺伝子で形質転換し、該増幅遺伝子を染色体のGpm1遺伝子座下流に導入した形質転換体を選抜した。該形質転換体をmcr/cut6/poxB/acs1発現株とした。
<3−HP産生>
mcr/cut6−2発現株とmcr/cut6/poxB/acs1発現株を培養し、産生された3−HP量を測定して比較した。
具体的には、mcr/cut6−2発現株を、グルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地(MM培地からロイシンとウラシルとアデニンを除いた培地)に植菌して、温度30℃、振盪速度200rpmの条件下で48時間培養を行った。
次いで、培養終了後の液体培地から遠心分離処理により菌体を分離し、該菌体をグルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に、初発菌体濃度がOD600=0.05になるように接種し、温度30℃、振盪速度250rpmの条件下で184時間培養した。培養開始から24時間毎と培養終了後の培養液の3−HP濃度(g/L)を以下に示すHPLC条件で測定した。
使用カラム:InertSustain C18 5μm、4.6 I.D.×250 mm (GLサイエンス社製)
溶離液:10mM NHPO (pH2.6、リン酸で調製)
注入量:10μL
流量:0.5mL/min
カラム温度:30℃
検出:UV(波長210nm)
同様に、mcr/cut6/poxB/acs1発現株を、グルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に植菌して、温度30℃、振盪速度200rpmの条件下で48時間培養を行った。
次いで、培養終了後の液体培地から遠心分離処理により菌体を分離し、該菌体をグルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に、初発菌体濃度がOD600=0.05になるように接種し、温度30℃、振盪速度250rpmの条件下で184時間培養した。培養開始から24時間毎と培養終了後の培養液の3−HP濃度(g/L)を前記と同様にして測定した。
<生育性>
mcr/cut6−2発現株とmcr/cut6/poxB/acs1発現株の生育を比較した。
具体的には、mcr/cut6−2発現株およびmcr/cut6/poxB/acs1発現株を、それぞれ、グルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に植菌して、温度30℃、振盪速度200rpmの条件下で48時間培養を行った。
次いで、培養終了後の液体培地から遠心分離処理により菌体を分離し、該菌体をグルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に、初発菌体濃度がOD600=0.05になるように接種し、温度30℃、振盪速度250rpmの条件下で184時間培養した。培養開始から24時間毎と培養終了後の培養液のOD600値を吸光光度計で測定した。
各培養液の生育(OD600値)の測定結果を図6に示す。この結果、両株とも、培養開始から70時間で定常期に達した。70時間におけるmcr/cut6−2発現株(破線)のOD600値は6.3、mcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線)のOD600値は6.8であった。
各培養液の3−HP濃度(g/L)の測定結果を図7に示す。この結果、両株とも、生育が定常期に達した後も3−HP生産量は増加し続けた。培養終了後のmcr/cut6−2発現株(破線)の3−HP生産量は0.52g、mcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線)の3−HP生産量は3.31g/Lであり、mcr/cut6−2発現株よりもmcr/cut6/poxB/acs1発現株のほうが、3−HP生産量が6.4倍向上した。これらの結果から、MCR遺伝子とcut6を導入したS.ポンベの形質転換体では、poxBとacs1を過剰発現させることにより、3−HP生産量を増大させられることがわかった。
[実施例2]
MGF438株のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株にクロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrとS.ポンベ由来のcut6とを導入した形質転換体と、mcrとS.ポンベ由来のcut6と大腸菌由来のaceEと大腸菌由来のaceFと大腸菌由来のlpdとを導入した形質転換体の3−HP産生量を比較した。
<mcr/cut6/aceE/aceF/lpdの作製>
まず、hsp9プロモーターとinv1ターミネーターの間にaceEが組み込まれており、hCMVプロモーターとLPIターミネーターの間にaceFが組み込まれており、adh1プロモーターとadh1ターミネーターの間にlpdが組み込まれている組換えベクターpSN−u4pAde−PDH(15586bp、図8、配列番号18)をDNA合成により作製した。次いでプライマーEno101 up FwとプライマーEno101 dw Rvとを用いたPCRで、pSN−u4pAde−PDHベクターのEno101 up−loxP−ura4 プロモーター−ade7−ura4 ターミネーター−loxP−LPI ターミネーター−aceF−hCMV プロモーター−inv1 ターミネーター−aceE−hsp9 プロモーター−adh1プロモーター−lpd−adh1ターミネーター−Eno101 Dw遺伝子を増幅した。次いで、mcr/cut6−1発現株を該増幅遺伝子で形質転換し、該増幅遺伝子を染色体のEno101遺伝子座下流に導入した形質転換体を選抜した。該形質転換体をmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株とした。
<3−HP産生>
mcr/cut6−3発現株とmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株の3−HP産生量を比較した。
mcr/cut6−3発現株およびmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株の培養と培養液の3−HP濃度(g/L)の測定は、実施例1におけるmcr/cut6−2発現株と同様にして行った。
<生育>
mcr/cut6−3発現株とmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株の生育を比較した。
mcr/cut6−3発現株およびmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株の培養と培養液のOD600値の測定は、実施例1におけるmcr/cut6−2発現株と同様にして行った。
各培養液の生育(OD600値)の測定結果を図9に示す。この結果、両株とも、培養開始から70時間で定常期に達した。70時間におけるmcr/cut6−3発現株(破線)のOD600値は7.1、70時間におけるmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線)のOD600値が6.9であった。
各培養液の3−HP濃度(g/L)の測定結果を図10に示す。この結果、両株とも、生育が定常期に達した後も3−HP生産量は増加し続けた。培養終了後のmcr/cut6−3発現株(破線)の3−HP生産量は0.31g、mcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線)の3−HP生産量は4.35g/Lであり、mcr/cut6−3発現株よりもmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株のほうが、3−HP生産量が14.0倍向上した。これらの結果から、MCR遺伝子とcut6を導入したS.ポンベの形質転換体では、aceEとaceFとlpdを過剰発現させることにより、3−HP生産量を増大させられることがわかった。
[実施例3]
MGF438株のade7を破壊してアデニン要求性を付与した株にクロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrとS.ポンベ由来のcut6とを導入した形質転換体と、クロロフレクサス・オーランティアカス由来のmcrとS.ポンベ由来のcut6と大腸菌由来のpoxBとS.ポンベ由来のacs1とを導入した形質転換体と、mcrとS.ポンベ由来のcut6と大腸菌由来のaceEと大腸菌由来のaceFと大腸菌由来のlpdとを導入した形質転換体の高密度培養による3−HP産生量を比較した。
<高密度培養による3−HP産生>
mcr/cut6−2発現株、mcr/cut6/poxB/acs1発現株、mcr/cut6−3発現株、およびmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株の高密度培養による3−HP産生量を比較した。
具体的には、各株を、それぞれ、グルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に植菌して、温度30℃、振盪速度200rpmの条件下で48時間培養を行った。
次いで、培養終了後の液体培地から遠心分離処理により菌体を分離し、該菌体をグルコース濃度20%のMM−leu−ura−adenine培地に、初発菌体濃度がOD600=100になるように接種し、温度30℃、振盪速度250rpmの条件下で9時間培養した。培養開始から1時間毎に培養液の3−HP濃度(g/L)をHPLCで測定した。培養液の3−HP濃度の測定は、実施例1と同様にして行った。
各培養液の3−HP濃度(g/L)の測定結果を図11に示す。この結果、培養終了後のmcr/cut6−2発現株(破線白抜き丸)の3−HP生産量は1.41g、mcr/cut6/poxB/acs1発現株(実線黒丸)の3−HP生産量は10.79g/Lであり、mcr/cut6−2発現株よりもmcr/cut6/poxB/acs1発現株のほうが、3−HP生産量が7.7倍向上した。また、培養終了後のmcr/cut6−3発現株(破線白抜き三角)の3‐HP生産量は1.34g、mcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株(実線黒三角)の3‐HP生産量は9.82g/Lであり、mcr/cut6−3発現株よりもmcr/cut6/aceE/aceF/lpd発現株のほうが、3−HP生産量が7.3倍向上した。これらの結果から、MCR遺伝子とcut6を導入したS.ポンベの形質転換体では、poxBとacs1を過剰発現させ、高密度培養することにより、3−HP生産量を増大させられることがわかった。また、同様に、該形質転換体では、aceEとaceFとlpdを過剰発現させ、高密度培養することにより、3−HP生産量を増大させられることがわかった。

Claims (12)

  1. シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)を宿主とする形質転換体であって、
    マロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、アセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子、ピルビン酸オキシダーゼをコードする遺伝子、およびアセチルCoAシンセターゼをコードする遺伝子がそれらの発現産物を細胞質に発現させるように導入されている、または
    マロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子、アセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子、およびピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を形成しうる遺伝子群がそれらの発現産物を細胞質に発現させるように導入されており、
    前記ピルビン酸オキシダーゼが、ピルビン酸と水から酢酸を生成する反応を触媒する酵素であることを特徴とする形質転換体。
  2. 前記導入されたアセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子が、宿主が本来有するアセチルCoAカルボキシラーゼをコードする遺伝子である、請求項1に記載の形質転換体。
  3. 前記導入されたアセチルCoAシンセターゼをコードする遺伝子が、宿主が本来有するアセチルCoAシンセターゼをコードする遺伝子である、請求項1または2に記載の形質転換体。
  4. 前記ピルビン酸オキシダーゼをコードする遺伝子がpoxBである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形質転換体。
  5. 前記導入されたマロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子が、クロロフレクサス・オーランティアカス(Chloroflexus aurantiacus)由来のマロニルCoAレダクターゼをコードする遺伝子である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の形質転換体。
  6. 前記ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体が、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ/デカルボキシラーゼ(E1)、ジヒドロリポイルアセチルトランスフェラーゼ(E2)、およびデヒドロリポアミドデヒドロゲナーゼ(E3)からなる複合体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の形質転換体。
  7. 前記ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体を形成しうる遺伝子群が、原核細胞由来の遺伝子群である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の形質転換体。
  8. 前記宿主が本来有する少なくとも1種のプロテアーゼをコードする遺伝子が削除または不活性化されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の形質転換体。
  9. 前記プロテアーゼをコードする遺伝子が、メタロプロテアーゼをコードする遺伝子、セリンプロテアーゼをコードする遺伝子、システインプロテアーゼをコードする遺伝子、およびアスパラギン酸プロテアーゼをコードする遺伝子からなる群から選ばれる遺伝子である、請求項8に記載の形質転換体。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の形質転換体を、液体培地中で培養し、該液体培地から3−ヒドロキシプロピオン酸を取得することを特徴とする、3−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法。
  11. 前記液体培地が、グルコースまたはスクロースを含み、それらの合計の濃度が1〜50質量%である、請求項10に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法。
  12. 前記液体培地中の3−ヒドロキシプロピオン酸を中和することなく培養を継続する、請求項10または11に記載の3−ヒドロキシプロピオン酸の製造方法。

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