JP2019165276A - エコーキャンセル装置、エコーキャンセル方法およびエコーキャンセルプログラム - Google Patents

エコーキャンセル装置、エコーキャンセル方法およびエコーキャンセルプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現する。【解決手段】エコーキャンセル装置10は、複数のスピーカ21、22、23、24が出力する音を入力するマイクロホン30からの信号を取得して入力デジタルデータを生成する。また、複数のスピーカ21、22、23、24への出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、複数のスピーカ21、22、23、24それぞれからマイクロホン30までの音の到達時間に基づいて、遅延部101、102、103、104で、それぞれ遅延させる。信号処理部100において、受信音声データを参照データとし上記入力デジタルデータから参照データに対応する成分を除去する。【選択図】図1

Description

本発明は、エコーキャンセル装置、エコーキャンセル方法およびエコーキャンセルプログラムに関する。
カーオーディオには、ユーザーの音声を検出するシステムとして、ハンズフリーと呼ばれるシステム(以下、ハンズフリーシステムと呼ぶ)を有するものがある。ハンズフリーシステムでは、マイクロホンを用いて集音した運転者の音声をデジタルデータに変換する。マイクロホンは、ルームミラーやピラーに設置される。集音した音声は電話機を通して先方の通話者に送られる。また、先方の発話した音声は電話機を通しカーオーディオのスピーカから鳴らす。
ここで、複数のスピーカを含むマルチチャンネル対応の拡声通話系システムにおいて、チャンネル間の音量バランスを設定する技術として、特許文献1が知られている。特許文献1では、チャンネルごとに適応フィルタを設けてエコーキャンセル処理を行っている。
特開2009−094707号公報
ハンズフリーシステムでは、エコー除去装置を設けて音響エコーを除去することがある。特許文献1に記載の技術によると、チャンネルごとに適応フィルタが必要になることから、チャンネル数が多いと適応フィルタの数も多くなるため、ハンズフリーシステムに適用するには改善の余地がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できるエコーキャンセル装置、エコーキャンセル方法およびエコーキャンセルプログラムを提供することである。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様によるエコーキャンセル装置は、マイクロホンからの信号を取得する取得部と、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれから前記マイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる遅延部と、前記受信音声データを参照データとし、前記取得部が取得した信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する信号処理部と、を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様によるエコーキャンセル方法は、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる工程と、前記マイクロホンからの信号を取得する工程と、前記受信音声データを参照データとし、前記取得した信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する工程と、を含む。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のある態様によるエコーキャンセルプログラムは、コンピュータを、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる遅延部、前記複数のスピーカへの出力信号に対応するデジタルデータを参照データとし、前記マイクロホンからの入力信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する信号処理部、として機能させるためのエコーキャンセルプログラムである。
本発明にかかるエコーキャンセル装置、エコーキャンセル方法およびエコーキャンセルプログラムは、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できるという効果を奏する。
図1は、本実施形態によるエコーキャンセル装置の構成例を示す図である。 図2は、エコーキャンセル部の構成例を示す図である。 図3は、他の実施形態によるエコーキャンセル装置の構成例を示す図である。 図4は、遅延部を設けない構成を有する比較例の装置において、各スピーカからマイクへの入力を模式的に示す図である。 図5は、遅延部を設けない構成を有する比較例の装置において、エコーキャンセル部を複数設ける例を示す図である。 図6は、エコーキャンセル装置によって実現されるエコーキャンセル方法を示すフローチャートである。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明において、同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。なお、実施形態により本発明が限定されるものではない。また、実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、この実施形態に記載された複数の変形例は、当業者自明の範囲内にて任意に組み合わせが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の省略、置換又は変更を行うことができる。
[エコーキャンセル装置]
図1は、本実施形態によるエコーキャンセル装置の構成例を示す図である。図1において、本実施形態によるエコーキャンセル装置10は、車両1に搭載されて用いられる。図1は、ハンズフリーシステムに適用したエコーキャンセル装置の例を示す。
図1を参照すると、車両1には、4つのスピーカ21、22、23および24と、マイクロホン(以下、マイクと略称する)30とが搭載される。スピーカ21、22、23および24は、車両1内に音声を出力する。スピーカ21、22、23および24は、入力されるアナログの音声信号を、音声に変換する。スピーカ21は車両1内の左前、スピーカ22は車両1内の右前、スピーカ23は車両1内の左後、スピーカ24は車両1内の右後に設けられる。スピーカ21、22、23および24は、サラウンド効果を実現する。
スピーカ21、22、23および24は、フルレンジ型のスピーカであってもよいし、セパレート型のスピーカであってもよい。スピーカ21、22、23および24がセパレート型のスピーカである場合、主に音の高域を出力するツイータと、主に音の中低域を出力するウーファとを含むことがある(図示せず)。車両1において、ツイータはダッシュボードに設置され、ウーファがドアの下に設置されるなど、ツイータとウーファとが異なる場所に設置されることがある。
マイク30は、車両1内の音声を取得する。マイク30は、取得した音声をアナログの音声信号に変換する。本実施形態において、マイク30は、運転席のハンドルの位置に設置されている。マイク30は、車両1内のルームミラーやピラーに設置されていてもよい。
また、図1において、本実施形態によるエコーキャンセル装置10は、信号処理部100と、増幅部(Amplifier;以下、AMPと呼ぶ)11および15と、アナログデジタル変換部(Analog Digital Converter;以下、ADCと呼ぶ)12と、デジタルアナログ変換部(Digital Analog Converter;以下、DACと呼ぶ)13と、音量制御部(以下、VOLと呼ぶ)14と、を有する。
信号処理部100は、デジタルの音声データに対して、エコー等の対象の音声以外を除去する処理等を行う。信号処理部100は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)を利用して実現することができる。信号処理部100は、SOC(System-on-a-chip)によって実現してもよい。信号処理部100は、DSPとSOCとの両方を利用して実現してもよい。
AMP11は、マイクアンプである。AMP11は、マイク30から出力されるアナログの音声信号を増幅する。
ADC12は、入力されるアナログの音声信号をデジタルの音声データに変換する変換部である。AMP11およびADC12は、マイク30からの信号を取得する取得部として機能する。ADC12は、マイク30から入力した信号を取得し、デジタルの音声データに変換する。つまり、ADC12は、複数のスピーカ21、22、23および24が出力する音を入力するマイク30からの入力信号を、対応するデジタルデータに変換する。ADC12によって変換されたデジタルの音声データは、入力デジタルデータとして信号処理部100に入力される。
DAC13は、入力されるデジタルの音声データをアナログの音声信号に変換する。DAC13によって変換されたアナログの音声信号は、VOL14に入力される。
VOL14は、スピーカ21、22、23および24から出力する音の出力レベルすなわち音量を調整する。VOL14によって音量が調整されたアナログの音声信号は、AMP15に入力される。
AMP15は、スピーカアンプである。AMP15は、入力されるアナログの音声信号を増幅する。AMP15が増幅したアナログの音声信号は、スピーカ21、22、23および24に入力される。
電話機40は、音声信号を通話相手側に送信すると共に、通話相手側からの音声信号を受信する。電話機40は、例えば、移動電話機やスマートフォンである。
[信号処理部]
信号処理部100は、遅延部(Delay)101、102、103および104と、エコーキャンセル部105と、を有する。遅延部101、102、103および104、ならびに、エコーキャンセル部105は、例えば、DSPを利用して実現することができる。
エコーキャンセル部105は、デジタルの音声データを参照データとして入力する。参照データは、受信音声データ400である。エコーキャンセル部105は、マイク30に入力された音声信号を変換したデジタルの音声データから、参照データに対応する成分を除去するエコー除去処理を行う。エコー除去処理とは、マイク30に入力された音声信号を変換したデジタルの音声データから、参照データに対応する成分を差し引く処理である。このエコー除去処理を行うことにより、スピーカ21、22、23、24から出力される音声が通話相手に出力する音声に含まれないようにすることができる。
[遅延部]
遅延部101、102、103、104は、スピーカ21、22、23、24と同じ数だけ設けられる。遅延部101、102、103、104は、複数のスピーカ21、22、23、24への出力信号すなわち複数のチャネルに一対一に対応している。遅延部101、102、103、104には、電話機40から入力されるデータすなわち通信相手からの受信音声データ400が入力される。遅延部101、102、103、104は、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データ400を、それぞれ遅延させる。遅延部101、102、103、104は、複数のスピーカ21、22、23、24それぞれからマイク30までの音の到達時間に基づいて、通信相手からの受信音声データ400を、それぞれ遅延させる。つまり、遅延部101、102、103、104は、同じ受信音声データ400を、それぞれ異なる時間だけ遅延させる。以上のように、遅延部101、102、103、104は、複数のスピーカ21、22、23、24への出力信号に対応する通信相手からの受信音声データ400を、複数のスピーカ21、22、23、24それぞれからマイク30までの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる。
遅延部101、102、103、104は、信号処理部100によって実現することができる。遅延部101、102、103、104は、信号処理部100によって実現するのではなく、信号処理部100の外部に設けてもよい。信号処理部100の外部に遅延部101、102、103、104を設ける場合、可変ディレイラインを用いてもよい。
[遅延量の調整]
図1を参照すると、スピーカ21、22、23および24については、マイク30との距離が互いに異なる。スピーカ23とマイク30との距離が最も長い。スピーカ22とマイク30との距離が最も短い。このように、距離が互いに異なるため、各スピーカ21、22、23、24からマイク30までの音の到達時間が互いに異なる。
そこで、遅延部101、102、103および104について、例えば、次のように異なる遅延量を設定する。各スピーカ21、22、23、24からマイク30までのそれぞれの距離を測定する。距離の測定は、例えば、巻尺を用いて行うことができる。測定した距離を音速で除算することにより、各スピーカ21、22、23、24からマイク30までの音の到達時間を算出できる。このように算出した到達時間に基づき、各遅延部101、102、103、104の遅延量を設定する。
スピーカ21、22、23および24がツイータとウーファとを含み、ツイータとウーファとが異なる場所に設置されることがある。セパレート型のスピーカにおいて、人間が発話する音声は、主にウーファから出力される。このため、ウーファからマイク30までの音の到達時間を算出し、算出結果に基づいて各遅延部の遅延量を設定すればよい。人間が発話する音声ではなく、より周波数が高い音についてエコーキャンセルを行う場合は、ツイータからマイク30までの音の到達時間を算出し、算出結果に基づいて各遅延部の遅延量を設定すればよい。なお、ツイータとウーファとの両方の出力についてエコーキャンセルを行う場合は、それぞれについてマイク30までの音の到達時間に相当する遅延量を有する遅延部を用意すればよい。
また、遅延部101、102、103および104について、次のように遅延量を設定してもよい。インパルス信号を1つのスピーカから出力し、マイク30に入力する。インパルス信号の波形とマイク30への入力信号の波形とを比較する。インパルス信号の波形のピーク点からマイク30への入力信号の波形のピーク点までの時間を、スピーカからマイクまでの音の到達時間とする。マイク30の位置に音が同じタイミングで到達するように、各スピーカ21、22、23、24から出力する前に到達時間に基づいて遅延させる。なお、インパルス信号を各スピーカ21、22、23、24から同時に出力し、各スピーカ21、22、23、24から出力したインパルス信号の波形が重なるように遅延量を調整してもよい。
この処理を各スピーカ21、22、23、24について行うことにより、複数のスピーカ21、22、23、24それぞれについて、マイク30までの音の到達時間を算出する。上記のように算出した到達時間に基づき、各遅延部101、102、103、104の遅延量を設定する。エコーキャンセル装置10の稼働前に遅延量を1度設定すれば、各スピーカまたはマイク30の位置を変更しないかぎり、遅延量を再度設定する必要はない。
[エコーキャンセル部]
図2は、エコーキャンセル部105の構成例を示す図である。図2に示すように、エコーキャンセル部105は、適応フィルタ1051と、減算部1052とを有する。
適応フィルタ1051は、電話機40から信号処理部100に入力される受信音声データ400を入力する。適応フィルタ1051は、各スピーカ21、22、23および24の出力からマイク30への入力までの空間すなわちエコーパスの特性に基づいて参照データを処理してキャンセルデータを生成する。より具体的には、適応フィルタ1051は、エコーパスの特性を模擬した特性情報を、参照データに掛けてキャンセルデータを生成する。適応フィルタ1051は、適応フィルタ係数で畳み込み処理を行い、キャンセルデータを生成する。適応フィルタ1051は、生成したキャンセルデータを減算部1052に入力する。
減算部1052は、マイク30に入力される音声信号に対応する音声データすなわち入力デジタルデータからキャンセルデータを減算する。入力デジタルデータは、マイク30に入力された信号をADC12において変換した、デジタルの音声データである。減算部1052の出力は音声データとして電話機40に入力されるとともに、誤差データとして適応フィルタ1051に入力される。適応フィルタ1051は、フィルタ係数を更新し、誤差信号が最小になるように収束させる動作を行う。
上記のように各遅延部101、102、103、104の遅延量を設定し、マイク30への入力タイミングを調整することにより、エコーキャンセル部105を複数設ける必要はなく、単一のエコーキャンセル部105によってエコー除去処理を実現できる。
[動作]
次に、車両1に搭載されたハンズフリーシステムの動作について説明する。ハンズフリーシステムの動作については、エコーキャンセル装置10の動作を中心に説明する。
エコーキャンセル部105は、電話機40から出力されるデジタルの音声データすなわち受信音声データを参照データとして入力することで、参照データに対応する成分を除去する。マイク30から入力するスピーカ21、22、23、24からの音声を消すことで、エコーの無い音がエコーキャンセル部105の出力から得られる。
通話相手側への送話側の経路は、以下のようになる。すなわち、マイク30は、車両1内の音声を取得する。マイク30は、取得した音声をアナログの音声信号に変換する。マイク30によって変換された音声信号は、AMP11に入力される。AMP11は、音声信号の電圧レベルを増幅する。AMP11は、後段でクリップしない程度に、音声信号の電圧レベルを調整する。ADC12は、AMP11によってレベルが調整されたアナログの音声信号をデジタルの音声データに変換する。ADC12によって変換されたデジタルの音声データは、信号処理部100に入力される。信号処理部100は、デジタルの音声データについて、エコーを除去する処理を行う。信号処理部100によってエコーが除去された音声データは、信号処理部100から出力される。信号処理部100から出力された音声データは、電話機40に入力される。電話機40は、音声データを通話相手側の図示しない電話機に送信する。
通話相手側の電話機からの受話側の経路は、以下のようになる。すなわち、電話機40は、通話相手側の電話機から受信した、デジタルの音声データを出力する。エコーキャンセル装置10は、電話機40から出力されるデジタルの音声データを入力する。エコーキャンセル装置10は、信号処理部100においてデジタルの音声データについて必要な処理を行う。信号処理部100は、デジタルの音声データを出力する。信号処理部100が出力するデジタルの音声データは、DAC13に入力される。DAC13は、入力されるデジタルの音声データをアナログの音声信号に変換する。DAC13によって変換されたアナログの音声信号は、AMP15に入力される。AMP15は、音声信号の電圧レベルを増幅する。AMP15によって電圧レベルが増幅された音声信号は、スピーカ21、22、23および24に入力される。スピーカ21、22、23および24は、車両1内に音声を出力する。
ここで、車両1内に、スピーカ21、22、23および24とマイク30とが設けられている。このため、スピーカ21、22、23および24が車両1内に出力した音声は、マイク30に入力される。その場合、エコーが発生し聞き取りづらくなることがある。そこで、信号処理部100のエコーキャンセル部105において、エコー除去処理を行う。
エコーキャンセル部105は、デジタルの音声データを参照データとして入力する。参照データであるデジタルの音声データは、遅延部101、102、103および104で遅延させる前の音声データである。エコーキャンセル部105は、マイク30に入力された音声信号を変換したデジタルの音声データから、参照データに対応する成分を差し引くエコー除去処理を行う。このエコー除去処理を行うことにより、スピーカ21、22、23および24から出力される音声が、通話相手に出力する音声に含まれないようにすることができる。
以上説明したように、本実施形態では、複数のスピーカ21、22、23、24それぞれからマイク30までの音の到達時間に基づいて、通信相手からの受信音声データ400を、それぞれ遅延させることにより、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できる。また、複数のスピーカ21、22、23、24から出力された音がマイク30に入力される際、各スピーカ21、22、23、24からの音が時間軸上でずれて重畳されることはなく、正確なエコーキャンセルを実現できる。
本実施形態のエコーキャンセル装置10は、各遅延部101、102、103および104において遅延量を設定し、歪などを伴う非線形処理を行っていない。このため、本実施形態のエコーキャンセル装置10によれば、本来の音が維持される。また、マイク30への入力信号に対して追加処理を行っていないため、マイク30の入力信号について劣化が発生しない。
[他の実施形態]
上記の各スピーカ21、22、23および24は、カーオーディオなどから出力される音楽の出力のためにも用いられることがある。つまり、スピーカが、電話機40による通話用と音楽鑑賞用とに用いられることがある。カーオーディオなどから出力される音楽についてエコーキャンセルを行わない場合、音楽と通話に関する音声とを分離し、音楽については遅延部により遅延処理を行わず、通話に関する音声のみ遅延処理を行えばよい。以下、このように音楽と通話を分離した、他の実施形態によるエコーキャンセル装置について説明する。
図3は他の実施形態によるエコーキャンセル装置10Aの構成例を示す図である。図3において、本実施形態によるエコーキャンセル装置10Aは、図1に示すエコーキャンセル装置10に、加算部161、162、163および164を追加した構成である。加算部161、162、163および164には、音楽データ160が入力される。
加算部161は、遅延部101に対応して設けられている。加算部162は、遅延部102に対応して設けられている。加算部163は、遅延部103に対応して設けられている。加算部164は遅延部104に対応して設けられている。加算部161、162、163、164は、遅延部101、102、103、104から出力されるデータに、音楽データ160を加算する。音楽データ160が加算されたデータは、DAC13、VOL14、AMP15を経由して、各スピーカ21、22、23および24への出力信号として出力される。
図3に示すエコーキャンセル装置10Aにおいて、各遅延部101、102、103および104についての遅延量の設定については、図1に示すエコーキャンセル装置10の場合と同様である。
図3に示すエコーキャンセル装置10Aによるエコーキャンセルの動作は、図1に示すエコーキャンセル装置10と同様である。音楽と通話に関する音声とを分離し、音楽については遅延部101、102、103および104による遅延処理を行わず、通話に関する音声について遅延部101、102、103および104で遅延させてマイク30の位置に音が同じタイミングで到達するため、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できる。
[比較例]
図4および図5は、上述した遅延部101、102、103および104を設けない構成を有する比較例の装置を説明する図である。図4は、各スピーカ21、22、23および24からマイク30への入力を模式的に示す図である。図5は、エコーキャンセル部を複数設ける例を示す図である。
図4に示すように、各スピーカ21、22、23および24から出力される音声は、1つのマイク30に入力される。各スピーカ21、22、23および24からマイク30までの音の到達時間は互いに異なる。このため、各スピーカ21、22、23および24から同時に音を出力しても、出力された音はマイク30と各スピーカ21、22、23、24との距離分の遅延時間を持ってマイク30に入力される。図4に示すように、マイク30に入力される信号301は、各スピーカ21、22、23、24から出力された信号が時間軸上でずれて重畳された状態になる。
同じ音が各スピーカ21、22、23、24から出力されていても、各スピーカ21、22、23、24の設置された位置や各スピーカのエンクロージャーの容積によってスピーカの能率が変わることで音の大きさが変わる。例えば、車両1のドアに搭載されたスピーカについては、ドアの厚さによって音の大きさが変わる。音が大きい場合、エコーが発生しやすくなる。
このため、図4に示すように、異なる遅延時間を持ってマイク30に入力された音声信号についてエコーを除去する処理を行う場合、複数のスピーカそれぞれについてエコーをキャンセルする必要がある。複数のスピーカについてエコーをキャンセルするためには、エコーキャンセル部をスピーカのチャンネル数分用意するのが一般的である。つまり、4チャンネルの場合、図5に示すように、4つのエコーキャンセル部105A、105B、105C、105Dを設けるのが一般的である。
エコーキャンセル部105A、105B、105C、105Dは、それぞれ適応フィルタを有する。適応フィルタは処理が重いため、装置全体の処理への影響を考慮するとエコーキャンセル部を複数搭載することは難しい。このため、複数のスピーカから出力する場合でも、1つのエコーキャンセル部で対応する場合が多い。1つのエコーキャンセル部で対応する場合、エコーサプレッサを併用することがある。エコーサプレッサを用いると、強制的にエコーを落とす処理を行うことになり、声の品質が損なわれることがある。
上記のような比較例に対し、上述したエコーキャンセル装置10、10Aによれば、エコーサプレッサを組み合わせて用いた場合でも、エコーを容易に除去できるため、エコーサプレッサの残留エコー低減効果を弱めることもできる。これにより、本実施形態のエコーキャンセル装置にエコーサプレッサを組み合わせて用いた場合でも、声の品質が低下することはない。
[エコーキャンセル方法]
上記エコーキャンセル装置10、10Aにより、以下のエコーキャンセル方法が実現される。図6は、上記エコーキャンセル装置によって実現されるエコーキャンセル方法を示すフローチャートである。図6に示すように、エコーキャンセル方法は、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、上記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる工程(ステップS601)と、上記マイクロホンからの信号を取得する工程(ステップS602)と、上記受信音声データを参照データとし、上記取得した信号に対応する入力デジタルデータから上記参照データに対応する成分を除去する工程(ステップS603)とを含む。このエコーキャンセル方法によれば、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できる。
[エコーキャンセルプログラム]
上記エコーキャンセル装置10、10Aは、コンピュータを、複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、上記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる遅延部、上記複数のスピーカへの出力信号に対応するデジタルデータを参照データとし、上記マイクロホンからの入力信号に対応する入力デジタルデータから上記参照データに対応する成分を除去する信号処理部、として機能させるためのエコーキャンセルプログラムを利用して実現してもよい。このエコーキャンセルプログラムを利用すれば、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できる。
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態では、各スピーカからマイクまでの音の到達時間に基づいて、上記複数のスピーカが出力する通信相手からの受信音声データを遅延させることにより、チャンネル数が複数であっても適応フィルタの数が増加せずに、エコーキャンセルを実現できる。スピーカと同数の遅延部を追加するだけであるため、処理の負荷がほとんど追加されることなく、エコーキャンセルを実現できる。
本実施形態によるエコーキャンセル装置は、複数のスピーカとマイクとを有する装置について適用することができる。例えば、インカーコミュニケーションをはじめとする自動車内でのハンズフリーシステムの他、テレビ電話、移動電話機やスマートフォンを用いたハンズフリー通話、テレビ会議システム、カラオケ装置について適用できる。
1 車両
10、10A エコーキャンセル装置
11、15 増幅部
12 アナログデジタル変換部
13 デジタルアナログ変換部
14 音量制御部
21、22、23、24 スピーカ
30 マイクロホン
40 電話機
100 信号処理部
101、102、103、104 遅延部
105、105A、105B、105C、105D エコーキャンセル部
160 音楽データ
161、162、163、164 加算部
400 受信音声データ
1051 適応フィルタ
1052 減算部

Claims (6)

  1. マイクロホンからの信号を取得する取得部と、
    複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれから前記マイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる遅延部と、
    前記受信音声データを参照データとし、前記取得部が取得した信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する信号処理部と、を含むエコーキャンセル装置。
  2. 前記遅延部は、前記マイクロホンと前記複数のスピーカそれぞれとの距離に基づいて算出される、前記音の到達時間に基づいて遅延量が設定される請求項1に記載のエコーキャンセル装置。
  3. 前記遅延部それぞれに対応して設けられた加算部をさらに含み、
    前記加算部は、前記加算部に対応する前記遅延部から出力されるデータに、音楽データを加算して前記スピーカへの出力信号として出力する請求項1または2に記載のエコーキャンセル装置。
  4. 前記信号処理部は、
    前記参照データが入力され、前記スピーカの出力から前記マイクロホンへの入力までの空間の特性に基づいて前記参照データを処理して生成したキャンセルデータを出力する適応フィルタと、
    前記キャンセルデータを前記入力デジタルデータから減算する減算部と、を含む請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のエコーキャンセル装置。
  5. 複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる工程と、
    前記マイクロホンからの信号を取得する工程と、
    前記受信音声データを参照データとし、前記取得した信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する工程と、
    を含むエコーキャンセル方法。
  6. コンピュータを、
    複数のスピーカへの出力信号に対応する通信相手からの受信音声データを、前記複数のスピーカそれぞれからマイクロホンまでの音の到達時間に基づいて、それぞれ遅延させる遅延部、
    前記複数のスピーカへの出力信号に対応するデジタルデータを参照データとし、前記マイクロホンからの入力信号に対応する入力デジタルデータから前記参照データに対応する成分を除去する信号処理部、
    として機能させるためのエコーキャンセルプログラム。
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