以下に、一つの実施形態について、図1乃至図8を参照して説明する。なお、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明について、複数の表現が記載されることがある。複数の表現がされた構成要素及び説明は、記載されていない他の表現がされても良い。さらに、複数の表現がされない構成要素及び説明も、記載されていない他の表現がされても良い。
図1は、一つの実施形態の画像形成装置10を概略的に示す例示的な図である。本実施形態において、画像形成装置10は多機能周辺装置(Multi−Function Peripheral:MFP)である。なお、画像形成装置10は、プリンタ、複写機、又は媒体に画像を形成する他の装置であっても良い。
画像形成装置10は、本体11と、読取部12と、操作部13とを有する。読取部12は、本体11の上に位置し、原稿台21と、自動原稿搬送部22と、イメージセンサ23とを有する。自動原稿搬送部22は、原稿台21の上に配置される。
イメージセンサ23は、原稿台21に置かれた原稿、又は自動原稿搬送部22によって送られた原稿を読み取って画像データを生成する。イメージセンサ23は、主走査方向に配置される。イメージセンサ23は、原稿の画像を1ライン分ずつ読み取ることで、1ページ分の原稿の画像を読み取る。
本体11は、プリンタ部25と、給紙カセット26とを有する。給紙カセット26は、プリンタ部25の下に位置し、複数の用紙Pを収容可能である。用紙Pは、媒体の一例である。なお、媒体は他の印刷可能な媒体であっても良い。
プリンタ部25は、イメージセンサ23が読み取った画像、パーソナルコンピュータのような外部装置から入力された画像、又はメモリーカードのような情報記憶媒体に記憶された画像に基づき、用紙Pに画像を形成する。プリンタ部25は、例えば、タンデム方式のカラーレーザプリンタである。なお、プリンタ部25は、他のプリンタであっても良い。
プリンタ部25は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のための四つの画像形成部31、四つのレーザ露光機32、及び四つのトナーカートリッジ33と、中間転写ベルト34と、駆動ローラ41と、従動ローラ42と、ベルトクリーナ44と、給紙ローラ45と、定着装置46と、搬送ローラ47と、排紙部48とを有する。四つの画像形成部31は、中間転写ベルト34に沿って配置される。
画像形成部31はそれぞれ、感光体ドラム51と、帯電器52と、現像機53と、一次転写ローラ54と、クリーナ55とを有する。帯電器52、現像機53、一次転写ローラ54、及びクリーナ55は、感光体ドラム51の周りに配置される。
感光体ドラム51は、レーザ露光機32から光を照射されることで、静電潜像を形成される。帯電器52は、感光体ドラム51の表面を一様に帯電する。現像機53は、例えば、現像ローラにより、トナー及びキャリアを含む二成分現像剤を感光体ドラム51に供給し、静電潜像の現像を行う。クリーナ55は、例えばブレードを用いて、感光体ドラム51上に残留したトナーを除去する。
四つのトナーカートリッジ33は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ33は、対応する画像形成部31の現像機53にトナーを供給する。
駆動ローラ41及び従動ローラ42は、中間転写ベルト34を循環移動させる。中間転写ベルト34は、四つの画像形成部31の感光体ドラム51及び一次転写ローラ54の間を通る。中間転写ベルト34は、一次転写ローラ54に一次転写電圧が印加されることで、感光体ドラム51上のトナー像を一次転写される。
中間転写ベルト34は、駆動ローラ41と二次転写ローラ43との間を通る。駆動ローラ41と二次転写ローラ43との間を用紙Pが通るときに、二次転写ローラ43に二次転写電圧が印加されることで、中間転写ベルト34上のトナー像が用紙Pに二次転写される。中間転写ベルト34上に残留したトナーは、ベルトクリーナ44によって除去される。
給紙ローラ45は、給紙カセット26と二次転写ローラ43との間に設けられ、給紙カセット26から取り出された用紙Pを搬送する。定着装置46は、二次転写ローラ43の下流に設けられ、用紙Pに形成されたトナー像を定着させる。搬送ローラ47は、定着装置46の下流に設けられ、用紙Pを排紙部48に排出する。
図2は、一つの実施形態の画像形成装置10のハードウェア構成例を示す例示的なブロック図である。図2に示すように、画像形成装置10は、例えば、バス60により相互に接続されたCPU61、ROM62、RAM63、インターフェース(I/F)64、入出力制御回路65、搬送制御回路66、画像形成制御回路67、及び定着制御回路68を有する。
CPU61は、画像形成装置10の全体の処理を制御する演算装置である。ROM62は、CPU61による各種処理を実現するプログラムやデータを記憶する。RAM63は、CPU61による各種処理に必要なデータを記憶する。I/F64は、外部装置や外部端末に通信回線等を介して接続し、接続した外部装置や外部端末との間でデータを送受信するためのインターフェースである。
CPU61で実行される各種処理を実行するためのプログラムは、ROM62等に予め組み込んで提供される。なお、上記プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、FD、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供するように構成してもよい。
また、CPU61で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上記プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
入出力制御回路65は、操作部13を制御する。搬送制御回路66は、給紙ローラ45、搬送ローラ47、及び用紙Pを搬送する種々のローラを駆動する複数のモータを制御する。画像形成制御回路67は、レーザ露光機32、感光体ドラム51、帯電器52、現像機53、及び一次転写ローラ54を制御する。定着制御回路68は、定着装置46を制御する。入出力制御回路65、搬送制御回路66、画像形成制御回路67、及び定着制御回路68は、CPU61に制御されるが、個別に設けられた演算処理装置によって制御されても良い。
図3は、一つの実施形態の定着装置46を概略的に示す例示的な断面図である。図3に示すように、定着装置46は、ヒータ71と、ヒータホルダ72と、定着ベルト73と、加圧ローラ74とを有する。加圧ローラ74は、ローラの一例である。
ヒータホルダ72は、ヒータ71を保持する。定着ベルト73は、略円筒状に形成され、ヒータホルダ72の周りを回転可能に、ヒータホルダ72を囲む。定着ベルト73は、内面73aと、外面73bとを有する。ヒータホルダ72に保持されたヒータ71は、定着ベルト73の内面73aに面する。定着ベルト73は、例えば、ポリイミド樹脂のような耐熱性の樹脂により作られる。
加圧ローラ74は、回転体76と、回転軸77と、樹脂層78とを有する。例えば、定着制御回路68が回転軸77に接続されたモータを駆動させることで、回転体76が回転軸77を中心に回転する。樹脂層78は、例えば、シリコン樹脂のような耐熱性の樹脂によって作られ、回転体76の外面上に設けられる。加圧ローラ74は、定着ベルト73の外面73bに押し付けられる。ヒータ71は、定着ベルト73を介して加圧ローラ74に向く。
二次転写ローラ43においてトナー像Tを二次転写された用紙Pは、定着ベルト73と、加圧ローラ74との間を通過する。このとき、ヒータ71が用紙Pを加熱し、加圧ローラ74が用紙Pを加圧する。これにより、用紙Pの表面に形成されたトナー像Tが加熱溶融され、用紙Pに定着する。
図4は、一つの実施形態の定着制御回路68及びヒータ71を概略的に示す例示的な平面図である。図5は、一つの実施形態のヒータ71を図4のF5−F5線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図5に示すように、ヒータ71は、基板81と、第1の配線82と、複数の第2の配線83と、絶縁層84と、第1の導体85と、複数の第2の導体86と、複数の発熱体87と、保護層88を有する。
各図面に示されるように、本明細書において、X軸、Y軸及びZ軸が定義される。X軸とY軸とZ軸とは、互いに直交する。X軸は、ヒータ71の厚さに沿う。Y軸は、ヒータ71の長さ及び主走査方向に沿う。Z軸は、ヒータ71の幅に沿う。
基板81は、例えば、セラミックスによって作られ、Y軸方向に延びる矩形の板状に形成される。基板81は、第1の面81aと、第2の面81bと、第1の端部81cと、第2の端部81dとを有する。第1の面81aは、面の一例である。
第1の面81aは、X軸の正方向(X軸の矢印が示す方向)に向く略平坦な面である。第2の面81bは、第1の面81aの反対側に位置し、X軸の負方向(X軸の矢印の反対方向)に向く略平坦な面である。
第1の端部81cは、Z軸の正方向(Z軸の矢印が示す方向)における基板81の端部である。第2の端部81dは、Z軸の負方向(Z軸の矢印の反対方向)における基板81の端部であり、第1の端部81cの反対側に位置する。第1の端部81c及び第2の端部81dは、略平行にY軸方向に延びる。
第1の配線82及び複数の第2の配線83は、基板81の第1の面81aに設けられる。第1の配線82は、グランドに接続される。複数の第2の配線83はそれぞれ、CPU61の制御に基づき電流を印加される。
図6は、一つの実施形態の第1の配線82、第2の配線83、絶縁層84、第1の導体85、第2の導体86、及び発熱体87を分解して概略的に示す例示的な平面図である。図6に示すように、第1の配線82は、端子部82aと、配線部82bと、電極部82cとを有する。
端子部82aは、Y軸方向における基板81の一方の端部に位置する。配線部82bは、Y軸方向に延び、端子部82aと電極部82cとに接続される。電極部82cは、第1の端部81cに沿って延びる。
複数の第2の配線83は、第1の配線82からZ軸方向に離間する。さらに、複数の第2の配線83は、互いに離間する。複数の第2の配線83はそれぞれ、端子部83aと、配線部83bと、電極部83cとを有する。
端子部83aは、Y軸方向における基板81の一方の端部に位置する。配線部83bは、Y軸方向に延び、端子部83aと電極部83cとに接続される。電極部83cは、第2の端部81dに沿って延び、対応する第2の導体86に接続される。
第1の配線82の端子部82aと、複数の第2の配線83の端子部83aとは、Z軸方向に互いに離間して並べられる。複数の第2の配線83の電極部83cは、Y軸方向に互いに離間して並べられる。
図5に示すように、絶縁層84は、第1の配線82の配線部82bと、第2の配線83の配線部83bとを覆う。なお、第1の配線82の端子部82a及び電極部82cと、第2の配線83の端子部83a及び電極部83cとは、絶縁層84に覆われず露出される。
図6に示すように、第1の導体85は、Y軸方向に延びる。Y軸方向は、第1の方向の一例であり、Y軸の正方向(Y軸の矢印が示す方向)とY軸の負方向(Y軸の矢印の反対方向)とを含む。図5に示すように、第1の導体85の一部は、第1の配線82の電極部82cに接続される。第1の導体85の他の一部は、絶縁層84の一部を覆う。
複数の第2の導体86は、Z軸方向に第1の導体85から離間する。Z軸方向は、基板81の第1の面81aに沿う方向であり、第2の方向の一例であり、Z軸の正方向とZ軸の負方向とを含む。
図6に示すように、複数の第2の導体86は、Y軸方向に互いに離間して並べられ、第2の導体86の列91を形成する。このため、複数の第2の導体86は全体として、Y軸方向に延びる。Z軸方向における第2の導体86の幅は、Z軸方向における第1の導体85の幅と略等しい。
隣り合う二つの第2の導体86の間に、隙間92が設けられる。隙間92は、例えば、開口、スリット、溝、又は間隔とも称され得る。隙間92は、Z軸方向に延び、隣り合う二つの第2の導体86の間を隔てる。隙間92は、第2の配線83の隣り合う二つの電極部83cの間の隙間に、X軸方向に重ねられる。
以下の説明において、複数の第2の導体86は、第2の導体86A,86B,86C,86Dと個別に称され得る。第2の導体86A,86B,86C,86Dはそれぞれ、分割導体の一例である。第2の導体86Aは、第1の分割導体の一例である。第2の導体86Bは、第2の分割導体の一例である。第2の導体86Cは、第3の分割導体の一例である。
第2の導体86Aは、列91のうち端に位置する一つの第2の導体86である。第2の導体86Bは、列91において第2の導体86Aに隣接する一つの第2の導体86である。第2の導体86Cは、列91において第2の導体86Bに隣接する一つの第2の導体86である。このため、第2の導体86Bは、第2の導体86Aと第2の導体86Cとの間に位置する。
第2の導体86Dは、列91において第2の導体86Cに隣接する一つの第2の導体86である。このため、第2の導体86Cは、第2の導体86Bと第2の導体86Dとの間に位置する。
図5に示すように、第2の導体86A,86B,86C,86Dのそれぞれの一部は、対応する第2の配線83の電極部83cに接続される。第2の導体86A,86B,86C,86Dのそれぞれの他の一部は、絶縁層84の一部を覆う。
図6に示すように、第2の導体86A,86B,86C,86Dそれぞれに、開口93が設けられる。なお、複数の第2の導体86は、開口93が無く連続した少なくとも一つの第2の導体86を含んでも良い。開口93は、複数の溝94を含む。溝94は、例えば、孔、スリット、又は間隔とも称され得る。溝94は、Z軸方向に延び、第2の導体86A,86B,86C,86Dを分割する。
複数の溝94が設けられることにより、第2の導体86A,86B,86C,86Dはそれぞれ、複数の部分導体95を有する。部分導体95は、溝94によって分割された第2の導体86A,86B,86C,86Dの一部分である。複数の部分導体95は、溝94を介して互いに離間するとともに、Y軸方向に並べられる。このように、複数の溝94は、複数の部分導体95の間に設けられる。
第2の導体86A,86B,86Cのそれぞれにおいて、複数の溝94は、Y軸方向に等間隔に配置される。また、第2の導体86A,86B,86Cのそれぞれにおいて、Y軸方向における複数の溝94の長さは互いに略同一であり、Y軸方向における複数の部分導体95の長さは互いに略同一である。
複数の溝94の大きさの合計の、複数の第2の導体86の大きさに対する比率(溝94の開口比)は、複数の隙間92の大きさの合計の、複数の第2の導体86の大きさに対する比率(隙間92の開口比)よりも大きい。本実施形態において、複数の溝94の大きさの合計は、開口93の大きさである。
本実施形態において、溝94の大きさは、隣り合う二つの部分導体95の間の空間の体積であり、隙間92の大きさは、隣り合う二つの第2の導体86の間の空間の体積である。例えば、複数の溝94の体積の合計と、複数の第2の導体86の体積の合計とが等しい場合、溝94の開口比は、1となる。
なお、溝94の大きさが、X軸方向から見た場合における隣り合う二つの部分導体95の間の空間の面積であり、隙間92の大きさが、X軸方向から見た場合における隣り合う二つの第2の導体86の間の空間の面積であっても良い。この場合も、溝94の開口比は、隙間92の開口比よりも大きい。
本実施形態において、第2の導体86Bに設けられた複数の溝94の大きさの合計の、当該第2の導体86Bの大きさに対する比率(第2の導体86Bの開口比)は、第2の導体86Aに設けられた複数の溝94の大きさの合計の、当該第2の導体86Aの大きさに対する比率(第2の導体86Aの開口比)よりも大きい。
さらに、第2の導体86Bの開口比は、第2の導体86Cに設けられた複数の溝94の大きさの合計の、当該第2の導体86Cの大きさに対する比率(第2の導体86Cの開口比)よりも大きい。そして、第2の導体86Bの開口比は、第2の導体86Dに設けられた複数の溝94の大きさの合計の、当該第2の導体86Dの大きさに対する比率(第2の導体86Dの開口比)よりも大きい。
第2の導体86A,86B,86Cのそれぞれの開口比は、1よりも大きい。すなわち、第2の導体86A,86B,86Cに設けられた複数の溝94の大きさの合計は、第2の導体86A,86B,86Cの部分導体95の大きさの合計よりも大きい。なお、第2の導体86A,86B,86Cのそれぞれの開口比は、1以下であっても良い。
発熱体87は、電流を印加されることにより発熱する、セラミックヒータのような電気抵抗である。複数の発熱体87はそれぞれ、Y軸方向に延びる略矩形状に形成されるが、他の形状に形成されても良い。
複数の発熱体87は、Y軸方向に互いに離間して並べられる。このため、複数の発熱体87は全体として、Y軸方向に延びる。別の表現によれば、全体としての発熱体87が、Y軸方向に分割されている。隣り合う二つの発熱体87の間の隙間は、隙間92、及び第2の配線83の隣り合う二つの電極部83cの間の隙間に、X軸方向に重ねられる。
図5に示すように、複数の発熱体87はそれぞれ、絶縁層84を覆い、第1の導体85と、対応する第2の導体86とに接続される。絶縁層84は、発熱体87と、第1の配線82及び複数の第2の配線83との間を隔てる。このため、発熱体87は、絶縁層84を介して、第1の配線82及び複数の第2の配線83から離間する。
以下の説明において、複数の発熱体87は、発熱体87A,87B,87C,87Dと個別に称され得る。発熱体87Aは、第1の発熱体の一例である。発熱体87Bは、第2の発熱体の一例である。
図6に示すように、発熱体87Aは、第2の導体86Aに接続される。発熱体87Bは、第2の導体86Bに接続される。発熱体87Cは、第2の導体86Cに接続される。発熱体87Dは、第2の導体86Dに接続される。
本実施形態において、Y軸方向における複数の発熱体87の長さは、想定される用紙Pの大きさに応じて設定される。例えば、発熱体87Dの長さは、A5Rサイズ(148×210mm)の用紙Pを主走査方向(Y軸方向)の全域において加熱可能なように設定される。また、発熱体87C,87Dの長さの合計は、A4Rサイズ(210×297mm)の用紙Pを主走査方向の全域において加熱可能なように設定される。発熱体87B,87C,87Dの長さの合計は、B4サイズ(364×257mm)の用紙Pを主走査方向の全域において加熱可能なように設定される。なお、複数の発熱体87の長さはこの例に限られない。
図7は、一つの実施形態のヒータ71を図5のF7−F7線に沿って概略的に示す例示的な断面図である。図5及び図7に示すように、保護層88は、基板81の第1の面81aと、第1の配線82と、複数の第2の配線83と、絶縁層84と、第1の導体85と、複数の第2の導体86と、複数の発熱体87とを覆う。なお、第1の配線82の端子部82aと、第2の配線83の端子部83aとは、保護層88に覆われず露出される。保護層88は、第2の配線83に設けられる開口93を埋める。このため、保護層88の一部は、隣り合う二つの部分導体95の間の開口93に設けられる。
図4に示すように、露出された第1の配線82の端子部82aは、例えば、グランドに電気的に接続される。露出された第2の配線83の端子部83aは、例えば、定着制御回路68に含まれるスイッチング素子68aに電気的に接続される。定着制御回路68は、少なくとも一つの第2の配線83に選択的に電流を印加できる。なお、第2の配線83は、スイッチング素子68aに限らず、FETのような他の要素に電気的に接続されても良い。
第2の配線83に電流が印加されると、第2の配線83の電極部83cから、対応する第2の導体86を通って、対応する発熱体87に電流が印加される。電流が印加されることで、発熱体87が発熱する。電流は、発熱体87から、第1の導体85を通り、第1の配線82へ流れる。
複数の第2の配線83は、並列接続される。このため、複数の第2の配線83に、均等に電圧が印加される。複数の第2の配線83には、交流で電圧が印加されても良いし、直流で電圧が印加されても良い。
以上説明した画像形成装置10は、例えば、以下に説明するように用紙Pにトナー像Tを定着させる。なお、画像形成装置10がトナー像Tを用紙Pに定着する方法は、以下に説明されるものに限られない。
まず、例えば、図1の読取部12がイメージセンサ23で原稿を読み取り、画像データを生成する。そして、図2のCPU61が、画像形成部31における画像形成制御プラグラムと、定着装置46における定着制御プログラムをROM62から読出し、実行する。
CPU61は、生成された画像データを処理する。さらに、CPU61は、画像形成制御プラグラムに基づいて画像形成制御回路67を制御し、感光体ドラム51の表面に静電潜像を形成し、現像機53で静電潜像を現像する。そして、一次転写ローラ54により中間転写ベルト34に一次転写されたトナー像Tが、二次転写ローラ43により用紙Pに二次転写される。
一方、CPU61は、例えば、通過した用紙Pの大きさを検知するラインセンサや、操作部13への入力に基づき、用紙Pの大きさについての情報を得る。CPU61は、定着制御プログラムに基づいて定着制御回路68を制御し、用紙Pが通過する位置に配置された少なくとも一つの発熱体87を発熱させる。
具体的には、用紙Pが通過する位置に配置された発熱体87に応じて、図4の少なくとも一つのスイッチング素子68aをONにする。これにより、発熱体87に電流が印加され、通過する用紙Pの大きさに対応する発熱体87が発熱し、ヒータ71の表面温度が上昇する。例えば、A4Rサイズの用紙Pが定着装置46を通過する場合、定着制御回路68は、発熱体87C,87Dを発熱させる。
ヒータ71の表面温度が所定の温度まで上昇した状態で、トナー像Tが転写された用紙Pが、定着装置46に搬入される。定着装置46において、トナー像Tが形成された用紙Pが、少なくとも一つの発熱体87に加熱されるとともに加圧ローラ74に加圧される。これにより、トナー像Tが溶融し、用紙Pに定着する。用紙Pの大きさに対応する発熱体87が発熱することで、用紙Pの大きさにかかわらず全ての発熱体87(主走査方向におけるヒータ71の全域)が発熱する場合に比べ、無駄な過熱が抑制され、ヒータ71の消費電力が低減される。
図8は、一つの実施形態の複数の第2の導体86と複数の発熱体87の温度分布とを概略的に示す例示的な図である。図8に実線で示されるグラフG1は、複数の第2の導体86A,86B,86C,86Dに対応する各位置における、本実施形態の発熱体87A,87B,87C,87Dの温度分布の一例を示す。また、図8に二点鎖線で示されるグラフG2は、それぞれの第2の導体86A,86B,86C,86Dが分割されずに連続する場合の、発熱体87A,87B,87C,87Dの温度分布の一例を示す。
図8に示すように、第2の導体86Bに接続される発熱体87Bは、第2の導体86Aに接続される発熱体87Aよりも、第2の配線83に印加される電圧あたりの発熱量及び温度上昇が多い。例えば、複数の発熱体87のうち端に位置する発熱体87Aは、発熱体87A,87Cの間に位置する発熱体87Bよりも放熱しやすく、このため、発熱体87A,87Bの間の温度差が生じる。
また、第2の導体86Bに接続される発熱体87Bは、第2の導体86Cに接続される発熱体87Cよりも、第2の配線83に印加される電圧あたりの発熱量及び温度上昇が多い。第2の導体86Cに接続される発熱体87Cは、第2の導体86Dに接続される発熱体87Dよりも、第2の配線83に印加される電圧あたりの発熱量及び温度上昇が多い。例えば、端子部83aまでの距離が短いほど第2の配線83における抵抗が少ないため、発熱体87B,87C,87Dの間の温度差が生じる。
上記の発熱量及び温度上昇の分布に対応し、第2の導体86Bの開口比は、第2の導体86Aの開口比よりも大きく設定される。さらに、第2の導体86Bの開口比は、第2の導体86Cの開口比よりも大きく、且つ第2の導体86Dの開口比よりも大きく設定される。さらに、第2の導体86Cの開口比は、第2の導体86Dの開口比よりも大きく設定される。
上記の開口93により、グラフG1,G2に示されるように、発熱体87Bに印加される電流が低減され、発熱体87Bの温度が発熱体87C,87Dの温度に近づく。さらに、発熱体87Cに印加される電流が低減され、発熱体87Cの温度が発熱体87Dの温度に近づく。これにより、複数の発熱体87の温度がより均一化される。
グラフG1,G2に示されるように、発熱体87Dにおける発熱量及び温度上昇は、Y軸方向においてばらつきがある。以下、説明のため、発熱体87Dの一部を第1の発熱部分87Da、発熱体87Dの他の一部を第2の発熱部分87Dbと称する。図8において、第1の発熱部分87Daと第2の発熱部分87Dbとは、一点鎖線により区切られる。
第1の発熱部分87Da及び第2の発熱部分87Dbは、Y軸方向に並ぶ。言い換えると、発熱体87Dは、Y軸方向に、第1の発熱部分87Daと第2の発熱部分87Dbとに区切られる。
第2の発熱部分87Dbは、第1の発熱部分87Daよりも発熱体87Cに近い。さらに、第2の発熱部分87Dbは、第1の発熱部分87Daよりも、第2の配線83の端子部83aに近い。第2の発熱部分87Dbは、第1の発熱部分87Daよりも、端子部83aに印加される電圧あたりの発熱量が多い。
第2の導体86Dは、第1の発熱部分87Daに接続される部分86Daと、第2の発熱部分87Dbに接続される部分86Dbとを有する。第2の導体86Dの部分86Dbにおける開口93の大きさの、当該部分86Dbの大きさに対する比率(部分86Dbの開口比)は、第2の導体86Dの部分86Daにおける開口93の大きさの、当該部分86Daの大きさに対する比率(部分86Daの開口比)よりも大きい。例えば、第2の導体86Dの、接続される発熱体87Dの発熱量がより多い部分86Dbほど、より多くの溝94が設けられ、開口比が大きく設定される。
本実施形態において、第2の導体86Dの部分86Dbに、複数の溝94が設けられる。一方、第2の導体86Dの部分86Daは、溝94が設けられず、Y軸方向に連続する。部分86Daの開口93の大きさが0であるので、部分86Dbの開口比は、部分86Daの開口比よりも大きい。なお、第2の導体86Dの部分86Daに、少なくとも一つの溝94が設けられても良い。
第1の配線82、複数の第2の配線83、絶縁層84、第1の導体85、複数の第2の導体86、複数の発熱体87、及び保護層88は、例えば、原料をインクジェット印刷されることにより、基板81の上に作られる。なお、ヒータ71はインクジェット印刷に限らず、種々の方法で作られても良い。
第1の配線82、複数の第2の配線83、第1の導体85、及び複数の第2の導体86は、例えば、銀及びプラチナによって作られる。絶縁層84及び保護層88は、例えば、アルミナのような無機酸化物フィラーを添加されたガラスによって作られる。発熱体87は、例えば、Ta‐SiO2により作られる。なお、第1の配線82、第2の配線83、絶縁層84、第1の導体85、数の第2の導体86、発熱体87、及び保護層88はそれぞれ、他の材料によって作られても良い。
以上説明された一つの実施形態に係る画像形成装置10において、複数の第2の導体86は、Y軸方向に互いに離間して並べられる。複数の第2の導体86のうち少なくとも一つに開口93が設けられる。複数の発熱体87は、複数の第2の配線83から離間し、互いに離間して複数の第2の導体86と第1の導体85とに接続される。例えば、用紙Pの大きさに応じて発熱体87に電流を印加する第2の導体86を切り替えることで、定着装置46の消費電力を低減することができる。さらに、開口93が設けられることで、第2の導体86と発熱体87との接続部分の断面積が小さくなり、第2の導体86と発熱体87との間で流れる電流を少なくすることができる。これにより、例えば、発熱量が多い発熱体87に流れる電流を低減し、複数の発熱体87の発熱量及び温度をより均一化することができる。
開口93の大きさの、複数の第2の導体86の大きさに対する比率は、複数の第2の導体86のうち隣り合う二つの間に設けられる隙間92の大きさの、複数の第2の導体86の大きさに対する比率よりも大きい。これにより、開口93をより大きく設け、発熱量が多い発熱体87に流れる電流をより低減することができる。
開口93が設けられた第2の導体86は、開口93を介して互いに離間するとともにY軸方向に並べられた複数の部分導体95を有する。これにより、開口93をより大きく設け、発熱量が多い発熱体87に流れる電流をより低減することができる。
開口93は、複数の部分導体95の間に設けられるとともにY軸方向に等間隔に配置された複数の溝94を含む。これにより、第2の導体86と発熱体87との間で流れる電流を、Y軸方向においてより均等にすることができる。従って、第2の導体86に接続された発熱体87の発熱量を、Y軸方向においてより均等にすることができる。
第2の導体86Bに設けられた開口93の大きさの、当該第2の導体86Bの大きさに対する比率は、第2の導体86Aに設けられた開口93の大きさの、当該第2の導体86Aの大きさに対する比率よりも大きい。これにより、第2の導体86Bに接続された発熱体87Bの発熱量を、第2の導体86Aに接続された発熱体87Aの発熱量に比べてより低減させることができる。従って、例えば、発熱量が多い発熱体87Bに流れる電流をより低減し、複数の発熱体87の発熱量及び温度をより均一化することができる。
発熱体87Aが、第2の導体86Aに接続される。発熱体87Aよりも端子部83aに印加される電圧あたりの発熱量が多い発熱体87Bが、第2の導体86Bに接続される。第2の導体86Bに設けられた開口93により、端子部83aに印加される電圧あたりの発熱量が多い発熱体87Bに流れる電流がより低減され、複数の発熱体87の発熱量及び温度をより均一化することができる。
発熱体87Dは、第1の発熱部分87Daと、第1の発熱部分87Daよりも端子部83aに印加される電圧あたりの発熱量が多い第2の発熱部分87Dbとを有する。第2の導体86Dのうち第2の発熱部分87Dbに接続される部分86Dbにおける開口93の大きさの、当該部分86Dbの大きさに対する比率は、第2の導体86Dのうち第1の発熱部分87Daに接続される部分86Daにおける開口93の大きさの、当該部分86Daの大きさに対する比率よりも大きい。これにより、端子部83aに印加される電圧あたりの発熱量が多い第2の発熱部分87Dbに流れる電流がより低減され、Y軸方向における発熱体87Dの発熱量及び温度の分布をより均一化することができる。
Y軸方向に並べられた複数の第2の導体86の列91において、第2の導体86Aが端に位置し、第2の導体86Bが第2の導体86Aに隣接し、第2の導体86Cが第2の導体86Bに隣接する。このため、列91の端に位置する第2の導体86Aに接続される発熱体87Aは、第2の導体86Aと第2の導体86Cとの間に位置する第2の導体86Bに接続される発熱体87Bよりも放熱しやすい。第2の導体86Bに設けられた開口93の大きさの、当該第2の導体86Bの大きさに対する比率は、第2の導体86Aに設けられた開口93の大きさの、当該第2の導体86Aの大きさに対する比率よりも大きい。第2の導体86Bに設けられた開口93により、第2の導体86Bに接続される発熱体87Bに流れる電流がより低減されるため、複数の発熱体87の発熱量及び温度をより均一化することができる。
複数の第2の配線83に均等に電圧が印加される。このため、開口93が設けられることで、発熱体87に流れる電流が低減され、Y軸方向における発熱体87の発熱量及び温度の分布をより均一化することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。